説明

トングの塗装方法、トング及びシートベルト装置

【課題】メッキ加工を施すことなくトングに求められる性能を付与することができるトングの塗装方法、トング及びシートベルト装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るトング6の塗装方法は、トング本体6aの母材60の表面に防錆化成皮膜63を形成する素地調整工程(Step1)と、防錆化成皮膜63の表面に少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜61を形成するベース塗装工程(Step2)と、ベース塗膜61の表面に少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜62を形成するクリアー塗装工程(Step3)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トングの塗装方法、トング及びシートベルト装置に関し、特に、メッキ加工による表面処理を施さないトングの塗装方法、メッキ加工による表面処理層を有しないトング及び該トングを有するシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されたシートベルト装置は、一般に、乗員を座席に拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、車体側に設けられ前記ウェビングを案内するガイドアンカーと、前記ウェビングを車体側に固定するベルトアンカーと、前記座席の側面に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を有し、前記トングを前記バックルに嵌着させることによって乗員を座席に拘束している。
【0003】
前記トング(タングと呼ぶこともある)は、シートベルトの脱着の度にバックルとの接触を繰り返す部品であるため、摺動性、耐擦傷性、耐摩耗性、防錆性等の性能が要求される。かかるトングは、特許文献1に記載されたように、プレス機械によって金属板の打抜き加工及び成形加工を行うことにより製造された後、表面処理としてメッキ加工を行い、その後にモールド樹脂による被覆が行われている。また、トング等の自動車内装部品のメッキ加工には、特許文献2に記載されたように、クロムメッキを用いることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−6745号公報
【特許文献2】特開2009−256461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メッキに使用されるニッケルやクロム等の重金属は、レアメタルの一種として近年価格が高騰しており、将来的にも希少価値が高く、低廉化する見込みは少ない。また、トングはシートベルト装置の一部品であり、安全部品であることから、強度が重要視され、メッキ加工の場合には水素脆性処理を含め綿密な生産計画が必要となる。したがって、メッキ加工に代わる表面処理方法が求められている。
【0006】
また、クロムメッキは、色調が単調であり、下地処理の施し方により、艶消しや燻しの効果を付与したり、光沢の程度を変更したりする程度の色調の範囲内でしか加工することができず、意匠性に乏しいという問題もあった。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑み創案されたものであり、メッキ加工を施すことなくトングに求められる性能を付与することができるトングの塗装方法、トング及びシートベルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、シートベルト装置のバックルに嵌着されることによって乗員を座席に拘束するトングの塗装方法であって、前記トングの母材の表面に防錆化成皮膜を形成する素地調整工程と、前記防錆化成皮膜の表面に少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜を形成するベース塗装工程と、前記ベース塗膜の表面に少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜を形成するクリアー塗装工程と、を有することを特徴とするトングの塗装方法が提供される。
【0009】
前記ベース塗膜は、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリル樹脂、アクリル樹脂又はこれらの樹脂にシロキサンポリマー樹脂を配合した混合樹脂のいずれかを主たる成分とするベース塗料により形成される。
【0010】
前記ベース塗料には、金属材、無機物若しくはこれらの混合物により構成される顔料又は染料が配合されていてもよい。また、前記ベース塗膜は、防錆性に優れたアンダーコートと、意匠性に優れたベースコートと、により構成されていてもよい。
【0011】
前記クリアー塗膜は、例えば、シロキサンポリマー樹脂、シロキサンアクリル複合樹脂又は紫外線硬化樹脂のいずれかを主たる成分とするクリアー塗料により形成される。
【0012】
前記クリアー塗料には、撥水性を付与するフッ素樹脂が配合されていてもよい。また、 前記クリアー塗膜は、前記トングを予熱した後、ディッピング塗装により形成されてもよい。
【0013】
さらに、前記ベース塗装工程と前記クリアー塗装工程とは、進行方向が反対となるように並列に配置されていてもよい。
【0014】
また、本発明によれば、シートベルト装置のバックルに嵌着されることによって乗員を座席に拘束するトングであって、少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜と、を有することを特徴とするトングが提供される。
【0015】
さらに、本発明によれば、乗員を座席に拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、車体側に設けられ前記ウェビングを案内するガイドアンカーと、前記ウェビングを車体側に固定するベルトアンカーと、前記座席の側面に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を有し、前記トングを前記バックルに嵌着させることによって乗員を座席に拘束するシートベルト装置において、前記トングは、少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜と、を有することを特徴とするシートベルト装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明に係るトングの塗装方法、トング及びシートベルト装置によれば、トングの表面に、少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜と、を形成したことにより、メッキ加工を施すことなくトングに求められる性能を付与することができる。さらに、メッキ加工と比較して意匠性を格段に向上させることができる。
【0017】
また、ベース塗膜を所定のベース塗料により形成することにより、ベース塗膜に防錆性及び意匠性を容易に付与することができる。また、ベース塗料に所定の顔料や染料を配合することにより、意匠性を容易に向上させることができる。さらに、ベース塗膜をアンダーコートとベースコートとに分離することにより、防錆性に優れた塗膜と意匠性に優れた塗膜とをそれぞれ形成することができ、塗料構成等の汎用性を向上させることができる。
【0018】
また、クリアー塗膜を所定のベース塗料により形成することにより、クリアー塗膜に摺動性及び耐擦傷性を容易に付与することができる。また、クリアー塗料にフッ素樹脂を配合することにより、クリアー塗膜に撥水性を付与することができ、飲料水等がかかった場合であっても水分を付着し難くすることができる。さらに、トングを予熱した後にディッピング塗装してクリアー塗膜を形成することにより、必要な膜厚のクリアー塗膜を効率的に形成することができる。
【0019】
また、ベース塗装工程とクリアー塗装工程とを進行方向が反対となるように並列に配置することにより、塗装ラインをコンパクトにすることができ、効率よく塗装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るシートベルト装置を示す図であり、(A)は全体構成図、(B)はトングの平面図、を示している。
【図2】本発明に係るトングの塗膜構成を示す図であり、(A)は第一実施形態、(B)は第二実施形態、(C)は第三実施形態、を示している。
【図3】本発明に係るトングの塗装方法で使用される塗装ライン構成図である。
【図4】トングのクリアー塗装工程でディッピング塗装を用いた場合の処理工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図1〜図4を用いて説明する。ここで、図1は、本発明に係るシートベルト装置を示す図であり、(A)は全体構成図、(B)はトングの平面図、を示している。また、図2は、本発明に係るトングの塗膜構成を示す図であり、(A)は第一実施形態、(B)は第二実施形態、(C)は第三実施形態、を示している。
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明に係るシートベルト装置の実施形態は、乗員を座席Sに拘束するウェビング1と、ウェビング1の巻き取りを行うリトラクタ2と、車体側に設けられウェビング1を案内するガイドアンカー3と、ウェビング1を車体側に固定するベルトアンカー4と、座席Sの側面に配置されたバックル5と、ウェビング1に配置されたトング6と、を有し、トング6をバックル5に嵌着させることによって乗員を座席Sに拘束するシートベルト装置であって、トング6は、少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜61と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜62と、を有する。
【0023】
前記座席Sは、例えば、乗員が着座する腰掛部S1と、乗員の背面に位置する背もたれ部S2と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト部S3と、を備えている。リトラクタ2は、例えば、車体のBピラーPに内蔵される。また、一般に、バックル5は腰掛部S1の側面に配置されることが多く、ベルトアンカー4は腰掛部S2の下面に配置されることが多い。また、ガイドアンカー3は、車体のBピラーPに配置されることが多い。そして、ウェビング1は、一端がベルトアンカー4に接続され、他端がガイドアンカー3を介してリトラクタ2に接続されている。そして、トング6をバックル5に嵌着させる場合、ウェビング1はガイドアンカー3の挿通孔を摺動しながらリトラクタ2から引き出されることとなる。また、乗員がシートベルトを装着した場合や降車時にシートベルトを解除した場合には、リトラクタ2のゼンマイバネやモータの作用により、ウェビング1は一定の負荷がかかるまで巻き取られる。
【0024】
前記トング6は、図1(B)に示したように、高硬度鋼板等の金属素材を略T字形状に形成したトング本体6aを有する。トング本体6aには、バックル5と係合する係合孔6b及びウェビング1を挿通する挿通孔6cが形成されている。また、挿通孔6cが形成された部分は、把手部を形成する部分でもあるため、樹脂成型品であるカバー部材6dにより被覆される。カバー部材6dは、一点鎖線で図示したように、挿通孔6cの内側にウェビング1を挿通できる空間(挿通部6e)を残すようにトング本体6aを被覆する。なお、かかるカバー部材6dは、高級感を出すために革張りされていてもよいし、挿通部6e内でウェビング1を案内又は係止するためのバー部材を有していてもよいし、不要な場合には省略してもよい。
【0025】
ここで、図2に示したトング6の塗膜構成は、図1(B)におけるII−II断面図を図示したものである。図2に示したように、トング6は、少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜61と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜62と、を有する。また、ベース塗膜61と母材60との間には、防錆化成皮膜63が形成される。防錆化成皮膜63は、母材60の耐食性及び塗装の密着性の向上を目的として広く一般的に用いられる保護皮膜である。防錆化成皮膜63は、例えば、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マンガン等により構成される。
【0026】
図2(A)に示した第一実施形態は、メッキ加工を施す代わりに、ベース塗膜61及びクリアー塗膜62を有する表面処理層を母材60の上に形成したものである。
【0027】
前記ベース塗膜61は、防錆化成皮膜63を介して母材60の表面に形成され、その上にクリアー塗膜62が形成される。したがって、ベース塗膜61には、防錆性や密着性を重視した塗料が用いられる。例えば、ベース塗膜61は、エポキシ樹脂、エポキシアクリル樹脂、アクリル樹脂又はこれらの樹脂にシロキサンポリマー樹脂を配合した混合樹脂のいずれかを主たる成分とするベース塗料により形成される。また、クリアー塗膜62は透明な塗膜であるため、ベース塗膜61の意匠性がそのままトング6の意匠性として反映される。そこで、ベース塗料には、金属材、無機物又はこれらの混合物により構成される顔料を配合するようにしてもよい。金属材には、アルミ箔、アルミ粉、アルミフレーク、マイカ、金粉、銀粉、銅粉等が使用される。また、無機物には、カーボンブラック等の着色顔料やセラミック顔料等が使用される。着色顔料は、黒色顔料に限定されるものではなく、工業的に一般に使用されている白色顔料、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料等、種々のものを使用することができる。また、ベース塗料は、耐食性や高硬度化等の性能向上を考慮して、樹脂、硬化剤、添加剤等の種類や配合を適宜変更することができる。さらに、ベース塗料には、染料を混合するようにしてもよい。染料には、天然染料、合成染料、蛍光染料等、種々のものを使用することができ、顔料と混合するようにしてもよい。かかる顔料及び染料により、ベース塗膜61を任意に着色することができ、意匠性を向上させることができる。さらに、ベース塗料には、炭化珪素、アルミナ、酸化珪素等を配合して耐磨耗性を向上させるようにしてもよい。
【0028】
前記クリアー塗膜62は、最表面に形成される表面処理層(トップコート)であるため、トング6のバックル5への挿入及び係合時に他部材と接触し摩擦を生じる部分である。すなわち、クリアー塗膜62は、トング6の着脱時の摩擦により生じる、光沢の変化、擦傷、接触物からの物質移行等の損傷によりトング表面を保護し、外観品質を均一にするための皮膜である。したがって、クリアー塗膜62には、摺動性、耐擦傷性、耐摩耗性等を重視した塗料が用いられる。例えば、クリアー塗膜62は、シロキサンポリマー樹脂、シロキサンアクリル複合樹脂又は紫外線硬化樹脂のいずれかを主たる成分とするクリアー塗料により形成される。また、クリアー塗膜62を透明な塗膜とすることにより、下層のベース塗膜61の着色を効果的に視覚化することができる。なお、クリアー塗料は、例示した樹脂に限定されるものではなく、透過性及びトングに使用に耐え得る摺動性、耐擦傷性、耐摩耗性等の機能を有していれば、他の樹脂や表面処理等の加工を施されたものであってもよい。
【0029】
このように、トング6の表面に、少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜61と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜62と、を形成することにより、メッキ加工を施すことなくトング6に求められる性能(摺動性、耐擦傷性、耐摩耗性、防錆性等)を付与することができる。
【0030】
図2(B)に示した第二実施形態は、第一実施形態のベース塗膜61を、防錆性に優れたアンダーコート61aと、意匠性に優れたベースコート61bと、により構成したものである。このようにベース塗膜61の機能を分担させることにより、塗膜性能を容易に又は効果的に向上させることができ、塗料構成等の汎用性を向上させることもできる。例えば、アンダーコート61aは、防錆性、耐食性、密着性等に優れた塗料により形成し、ベースコート61bは、中間層として、上下の密着性、硬度、意匠性、耐候性等に優れた塗料により形成される。アンダーコート61aには、上述したベース塗料の他に、アクリルウレタン系塗料又はこれにシロキサンポリマー樹脂を配合した塗料を使用するようにしてもよい。
【0031】
図2(C)に示した第三実施形態は、第一実施形態のクリアー塗膜62に撥水性を付与するフッ素樹脂を配合したものである。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉等が使用される。このように、クリアー塗膜62に撥水性を付与することにより、飲料水等がかかった場合であっても水分を付着し難くすることができる。すなわち、図示したように、水滴Dの形状を維持したままクリアー塗膜62の表面を滑走させることができ、塗膜表面や隙間への汚れ等の付着や固着を抑制することができ、着脱時の摺動性を維持することができる。
【0032】
次に上述したトング6の塗装方法について説明する。ここで、図3は、本発明に係るトングの塗装方法で使用される塗装ライン構成図である。また、図4は、トングのクリアー塗装工程の一部を示す図である。
【0033】
本発明に係るトング6の塗装方法は、トング本体6aの母材60の表面に防錆化成皮膜63を形成する素地調整工程(Step1)と、防錆化成皮膜63の表面に少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜61を形成するベース塗装工程(Step2)と、ベース塗膜61の表面に少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜62を形成するクリアー塗装工程(Step3)と、を有する。かかる塗装方法は、具体的には、図3に示すような塗装ラインにより実現される。
【0034】
図3に示した塗装ラインは、複数のトング本体6aを部品ハンガーHに吊り掛ける部品吊り掛けゾーン7と、素地調整工程(Step1)を処理する素地調整ゾーン8と、ベース塗装工程(Step2)を処理するベース塗装ゾーン9と、クリアー塗装工程(Step3)を処理するクリアー塗装ゾーン10と、塗装が完了したトング本体6aを部品ハンガーHごと蓄積するストックゾーン11と、トング本体6aを部品ハンガーHから取り外して搬出する部品取り出しゾーン12と、を有する。
【0035】
最初に、前記塗装ラインにトング本体6aを投入する前処理について説明する。塗装前のトング本体6aの素材は、鉄鋼等の金属をプレス成型した後、バリ取り及び熱処理により生じる酸化皮膜を除去するために、バレル研磨が施される。さらに、バレル研磨を行った後に、必要に応じてショットブラストエ程を設けてバリ等の除去効率を上げるようにしてもよい。従来のように、メッキ加工をした場合には、バレル研磨によりプレスバリ除去のために粗取りを行い、さらに外観仕上げとしてバレル研磨による細目仕上げを行う必要があるが、本発明では、粗取り用又は酸化スケールを除去できる程度のバレル研磨でよい。また、表面のプレス傷をより軽減するために、ショットブラスト処理を併用してもよい。かかる前処理を行った後、トング本体6aは塗装ラインに投入される。なお、上述した塗装前処理は高硬度鋼板に適した前処理であるが、かかる塗装前処理はトング本体6aを構成する金属の種類に応じて適宜変更されるものである。
【0036】
部品吊り掛けゾーン7は、複数のトング本体6aを、整列機により所定の溝に沿って挿通孔6c側を下にして一列に整列させ、クランプ装置により係合孔6b側を把持し、複数のトング本体6aをクランプしたまま部品ハンガーHのフックに挿通孔6cを係止させる。そして、部品ハンガーHごとに順次塗装ラインに送り出される。
【0037】
素地調整ゾーン8は、一般に、脱脂工程、水洗工程、表面調整工程、皮膜化成処理工程、水洗工程、乾燥工程を有する。脱脂工程は、素材の表面から油汚れやダスト等を除去する工程である。脱脂処理には、例えば、超音波洗浄を使用すると効果的である。また、脱脂工程を数回繰り返すことにより、脱脂効果を向上させることができる。なお、脱脂剤には、例えば、弱アルカリ性のものが使用される。脱脂後の水洗工程は、脱脂液を洗浄する工程である。水洗工程を数回繰り返したり、洗浄水を撹拌しながら水洗したりすることにより、洗浄効果を向上させることができる。表面調整工程は、リン酸塩の結晶をより微細かつ緻密に生成させるための前処理工程である。具体的には、素材を表面調整薬品に浸漬する。皮膜化成処理工程は、素材の表面に、リン酸塩として、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マンガン等の化成皮膜を形成する工程である。皮膜化成後の水洗工程は、素材の表面を洗浄して皮膜化成剤を除去する工程である。水洗工程を数回繰り返したり、洗浄水を撹拌しながら水洗したりすることにより、洗浄効果を向上させることができる。乾燥工程は、洗浄水を速やかにフラッシュオフする工程である。乾燥には、加熱空気、遠赤外線又は及びこれらに相当する熱源が用いられる。そして、素地調整ゾーン8は、例えば、脱脂工程、水洗工程、表面調整工程、皮膜化成処理工程、水洗工程を処理する皮膜化成処理ゾーン81、乾燥工程を処理する水切り炉82及び冷却ゾーン83により構成される。
【0038】
ベース塗装ゾーン9は、塗装工程、セッチング工程、乾燥工程を有する。塗装工程は、ベース塗膜61を形成する工程である。使用するベース塗料に応じて、エアスプレー塗装、静電塗装又はディッピング塗装(浸漬塗装)のいずれかの塗装方法を用いることができる。アンダーコート61aを形成する場合も同様である。ただし、金属粉入りのメタリック色調を付与した塗膜形成には、エアスプレー塗装又は静電塗装の塗装方法を用いることが好ましい。セッチング工程は、塗装した塗料の流動性がなくなるまで放置する工程であり、塗膜の平滑性を出すとともに溶剤の蒸発を行う。乾燥工程は、塗料に適した温度で塗膜を焼成する工程である。そして、ベース塗装ゾーン9は、塗装工程を処理する塗装ブース91、セッチング工程を処理するセッチングルーム92、乾燥工程を処理する焼付炉93により構成される。
【0039】
上述した乾燥工程では、アンダーコート61aを形成する場合には、塗料に適した温度と時間(例えば、150〜200℃で15〜45分)で処理する。また、ベースコート61bを形成する場合には、ソリッドカラー色調の塗膜形成には溶剤除去可能な温度と時間(例えば、70〜100℃で5分以上)で処理し、カラーメタリック色調の塗膜形成には溶剤の除去及びメタリックが陽動しない温度と時間(例えば、110℃以上で3分以上)で処理する。なお、メタリック色調に関係なく溶剤を蒸発させる目的の場合は100℃以下の温度で処理してもよい。また、ベース塗膜61を形成する場合には、塗料に適した温度と時間(例えば、120〜200℃で20〜40分)で処理する。
【0040】
クリアー塗装ゾーン10は、塗装工程、セッチング工程、乾燥工程を有する。塗装工程は、クリアー塗膜62を形成する工程である。使用するクリアー塗料に応じて、エアスプレー塗装又はディッピング塗装(浸漬塗装)のいずれかの塗装方法を用いることができる。また、所望の膜厚を得るために、2回以上の塗装工程を繰り返すようにしてもよい。また、ディッピング塗装を用いる場合は、トング本体6aを予熱した後、ディッピング塗装によりクリアー塗膜62を形成するようにしてもよい。さらに、ディッピング塗装では、予熱工程及び塗装後の乾燥工程をも含めて複数回繰り返すことにより、所望の膜厚を得るようにしてもよい。セッチング工程及び乾燥工程は、ベース塗装ゾーン9の場合と同様の処理を行う。そして、クリアー塗装ゾーン10は、塗装工程を処理する塗装ブース101、セッチング工程を処理するセッチングルーム102、乾燥工程を処理する焼付炉103により構成される。なお、クリアー塗装ゾーン10の前後に冷却ゾーン104を配置するようにしてもよい。
【0041】
上述した乾燥工程では、クリアー塗料にシロキサンポリマー樹脂を使用した場合には、その塗料に適した温度と時間(例えば、170〜200℃で20〜40分)で処理する。また、ディッピング塗装を使用した場合は、セッチング工程以外に焼付乾燥前に予熱ゾーンを設け60〜100℃の温度で20分以上保持し、ワキやピンホール等の欠陥生成を抑制するようにしてもよい。
【0042】
上述した塗装工程において、ディッピング塗装を行う場合には、例えば、図4に示した装置構成により処理される。ここで、図4は、トングのクリアー塗装工程でディッピング塗装を用いた場合の処理工程を示す図である。
【0043】
図4に示したディッピング塗装工程では、ディッピング槽13とそのライン上流側に配置された予熱装置14とにより処理される。予熱装置14は、熱風を吹き付けるドライヤーであってもよいし、遠赤外線や赤外線予熱を利用した装置であってもよい。
【0044】
ディッピング槽13は、クリアー塗料が充填される容器131と、容器131の外縁部に配置されたオーバーフロー槽132と、容器131の下部に配置された冷却槽133と、を有する。容器131からオーバーフロー槽132に溢れ出た塗料は、塗料タンク134に回収され、撹拌ノズル135を介して容器131に循環される。かかる循環により塗料の沈殿や沈降を抑制することができ、粘度の均一化を図ることができる。また、容器131には蒸発した溶剤を補給する溶剤タンク136が接続されている。冷却槽133は、槽内の冷却水の温度(例えば、20〜25℃)を維持するために冷却水タンク137を介して循環され、必要に応じて冷却水を冷却又は加熱するようにしてもよい。かかる冷却により、部品の持ち込む熱による塗料の温度上昇を抑制することができる。
【0045】
部品ハンガーHに係止された部品(トング本体6a)は、図示しない搬送装置により予熱装置14の手前まで搬送され、図示しない移載装置により昇降可能な搬送装置に載せ替えられる。予熱装置14上に搬送されたトング本体6aは予熱装置14内に降下され、所定時間予熱される。かかる予熱により、塗料の付きを向上させることができ、所望の膜厚を維持することができる。予熱が完了したトング本体6aは、上昇されてディッピング槽13に搬送される。そして、トング本体6aは、容器131内に浸漬されてディッピング塗装される。浸漬終了後のトング本体6aは、液垂れや溜りが発生し難くなるように引き上げ速度が調整される。その後、トング本体6aは、所定の位置に搬送され、下流のセッチング工程に部品を搬送する搬送装置に移載される。
【0046】
上述したディッピング塗装を処理する装置構成は、図示したものに限定されるものではない。また、ディッピング槽13や予熱装置14を複数配置して、並列処理又は繰り返し処理できるように構成してもよい。なお、ディッピング塗装を繰り返す場合には、ディッピング塗装の合間に予熱装置14を利用して、被塗物に残った溶剤を除去することが好ましい。かかる工程を追加することにより、塗料の液垂れや白化を抑制することができる。
【0047】
クリアー塗装ゾーン10を通過したトング本体6aは、部品ハンガーHごとストックゾーン11に搬送され、蓄積される。ストックゾーン11は、塗装後の部品を貯蓄するだけでなく、所定時間放置することにより塗膜を安定させる役割も有する。
【0048】
そして、順次、部品取り出しゾーン12から塗装されたトング本体6aが搬出される。部品取り出しゾーン12では、吸盤又はバキュームカップを有する吸着装置により、部品ハンガーHに係止された複数のトング本体6aを一度に吸着し、複数のトング形状の凹部が形成された発泡スチロールボード上に載置される。最終的に、発泡スチロールボードは手動又はベルトコンベアにより外部に搬出される。
【0049】
また、図3に示したように、ベース塗装工程(ベース塗装ゾーン9)とクリアー塗装工程(クリアー塗装ゾーン10)とを進行方向が反対となるように並列に配置することにより、塗装ラインをコンパクトにすることができ、効率よく塗装することができる。勿論、工場のスペースに余裕がある場合には、各工程を一列に配置するようにしてもよい。また、各工程において処理効率を向上させるために、複数のラインを並列に配置して適宜複線化するようにしてもよい。なお、図示した塗装ラインの構成は、単なる一例であり、かかる構成に限定されるものではない。
【0050】
以下、本発明に係るトングの塗装方法に関する実施例について説明する。ここで、表1は、本発明のトングの塗装方法を使用した実施例1〜実施例5の塗装条件を示している。
【0051】
【表1】

【0052】
(実施例1)
塗装前処理(素材の形成):粗バレルエ程にトングの素材を投入し、焼成メディアとして粗研磨用研磨石をコンパウンドとして平滑度や光沢度を増加させる研磨助剤を使用し、90rpm×40分で処理したものを塗装ラインに投入する。
【0053】
素地調整工程:粗バレル研磨後の素材に付着する酸化スケール粉、残留油分、鉄粉等の除去のために2回の脱脂工程を設け、初工程には超音波を備えた脱脂槽で脱脂し、次工程で脱脂してクリーンな表面とする。脱脂剤として弱アルカリ性脱脂剤を2%液で、50℃の温度で1分間処理する。脱脂後に1分間の水洗工程を経て、リン酸チタン系表面調整剤の表面調整剤浴で30秒間処理した後、リン酸亜鉛被膜を用いて皮膜化成処理を行い、トングの母材の表面に防錆化成皮膜を形成する。皮膜化成処理は、50℃の温度で4分間処理した後、皮膜化成液を水洗工程にて洗浄し、乾燥させた。
【0054】
ベース塗装工程:メタリックシルバー色としてエポキシ樹脂にアルミ箔を配合した塗料を溶剤希釈にて吹付けに適した粘度13〜16″に調合した塗料をエアスプレーガンで吹付け塗装した。塗装によって得られた約12〜18μの被塗物をセッチングルームで約10分間放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で120〜130℃の温度で35分間保持してベース塗膜を形成した。なお、溶剤には塗料用ソルベント(例えば、キシレン、ケトン、エステル、グリコールエーテル、芳香族炭化水素系等)が使用される。
【0055】
クリアー塗装工程:クリアー塗料としてシロキサンポリマー樹脂塗料をエアスプレーガンで吹付け塗装した。塗装した部品をセッチング時間として5分間放置し、このセットを3回繰り返して得られた約10〜15μの被塗物をセッチングルームで約10分間放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で170〜190℃の温度で35分間保持してクリアー塗膜を形成した。なお、溶剤にはアルコール系溶剤(例えば、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ターシャリーブタノール、グリコール、セロソルブ等)が使用される。
【0056】
(実施例2)
実施例2は、ベース塗膜の色調をカラーメタリックにしたものである。塗装前処理、素地調整工程及びクリアー塗装工程については、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0057】
ベース塗装工程:カラーメタリック色としてエポキシ樹脂にアルミ箔と着色顔料(例えば、カーボンブラック等)を配合した塗料を溶剤で希釈し、吹付けに適した粘度13〜16″に調合した塗料をエアスプレーガンで吹付け塗装した。塗装によって得られた約10μの被塗物をセッチングルームで約10分間放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で120〜130℃で35分間保持して塗膜を形成した。
【0058】
(実施例3)
実施例3は、ベース塗膜をベースコートとアンダーコートとにより構成するとともに、クリアー塗膜をディッピング塗装により形成したものである。塗装前処理及び素地調整工程については、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
ベース塗装工程:
(1)アンダーコートの形成
エポキシ樹脂にカーボンブラックを配合した黒色塗料をディッピング槽に仕込み、液垂れや溜りが発生し難いように溶剤や引き上げ時間を調整して得られた10〜15μの被塗物をセッチングルームで約10分間放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で150〜160℃の温度で35分間保持してアンダーコートを形成した。
(2)ベースコートの形成
メタリックシルバー色としてエポキシ樹脂にアルミ箔を配合した塗料を溶剤希釈にて吹付けに適した粘度13〜16″に調合した塗料をエアスプレーガンで吹付け塗装した。塗装によって得られた約12〜18μの被塗物をセッチングルームで約10分間放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で120〜130℃の温度で35分間保持してベースコートを形成した。
【0060】
クリアー塗装工程:ディッピング槽にクリアー塗料としてシロキサンポリマー樹脂塗料を仕込み、トングをディッピング(浸漬)して塗装した。ディッピング槽からのトングの引き上げ速度は、液垂れの発生しないスピードに調整し、平滑な塗膜を得るようにした。また、所望の膜厚を得るために、3回のディッピングを途中にホットドライエアーを吹付けて乾燥させる処理を交えながら行った。塗装によって得られた約10μの被塗物をセッチングルームで約10分問放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で170〜190℃で35分間保持してクリアー塗膜を形成した。
【0061】
(実施例4)
実施例4は、ベース塗膜を形成するベース塗料の成分を実施例1から変更したものである。塗装前処理、素地調整工程及びクリアー塗装工程については、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0062】
ベース塗装工程:メタリックシルバー色としてアクリル樹脂とシロキサンポリマー樹脂の混合体にアルミ箔を配合した塗料を溶剤希釈にて吹付けに適した粘度13〜16″に調合した塗料をエアスプレーガンで吹付け塗装した。塗装によって得られた約10μの被塗物をセッチングルームで約10分間放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で150〜160℃の温度で35分間保持してベース塗膜を形成した。
【0063】
(実施例5)
実施例5は、ベース塗膜を形成するベース塗料の成分を実施例1から変更したものである。塗装前処理、素地調整工程及びクリアー塗装工程については、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
ベース塗装工程:カラーメタリック色としてアクリル樹脂とシロキサンポリマー樹脂の混合体にアルミ箔と着色顔料(例えば、カーボンブラック等)、さらに硬化剤(イソシアネート)を配合した塗料を溶剤希釈にて吹付けに適した粘度13〜16″に調合した塗料をエアスプレーガンで吹付け塗装した。塗装によって得られた約10μの被塗物をセッチングルームで約10分間放置して溶剤を蒸発させた後、焼付炉で110℃以上の温度で35分間保持してベース塗膜を形成した。
【0065】
本発明は、上述した実施形態及び実施例に限定されず、例えば、トング6の塗膜構成の第一実施形態〜第三実施形態を適宜組み合わせてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1…ウェビング
2…リトラクタ
3…ガイドアンカー
4…ベルトアンカー
5…バックル
6…トング
6a…トング本体
6b…係合孔
6c…挿通孔
6d…カバー部材
6e…挿通部
7…部品吊り掛けゾーン
8…素地調整ゾーン
9…ベース塗装ゾーン
10…クリアー塗装ゾーン
11…ストックゾーン
12…部品取り出しゾーン
13…ディッピング槽
14…予熱装置
60…母材
61…ベース塗膜
61a…アンダーコート
61b…ベースコート
62…クリアー塗膜
63…防錆化成皮膜
81…皮膜化成処理ゾーン
82…水切り炉
83…冷却ゾーン
91,101…塗装ブース
92,102…セッチングルーム
93,103…焼付炉
104…冷却ゾーン
131…容器
132…オーバーフロー槽
133…冷却槽
134…塗料タンク
135…撹拌ノズル
136…溶剤タンク
137…冷却水タンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルト装置のバックルに嵌着されることによって乗員を座席に拘束するトングの塗装方法であって、
前記トングの母材の表面に防錆化成皮膜を形成する素地調整工程と、
前記防錆化成皮膜の表面に少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜を形成するベース塗装工程と、
前記ベース塗膜の表面に少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜を形成するクリアー塗装工程と、
を有することを特徴とするトングの塗装方法。
【請求項2】
前記ベース塗膜は、エポキシ樹脂、エポキシアクリル樹脂、アクリル樹脂又はこれらの樹脂にシロキサンポリマー樹脂を配合した混合樹脂のいずれかを主たる成分とするベース塗料により形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のトングの塗装方法。
【請求項3】
前記ベース塗料には、金属材、無機物若しくはこれらの混合物により構成される顔料又は染料が配合されている、ことを特徴とする請求項2に記載のトングの塗装方法。
【請求項4】
前記ベース塗膜は、防錆性に優れたアンダーコートと、意匠性に優れたベースコートと、により構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のトングの塗装方法。
【請求項5】
前記クリアー塗膜は、シロキサンポリマー樹脂、シロキサンアクリル複合樹脂又は紫外線硬化樹脂のいずれかを主たる成分とするクリアー塗料により形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のトングの塗装方法。
【請求項6】
前記クリアー塗料には、撥水性を付与するフッ素樹脂が配合されている、ことを特徴とする請求項5に記載のトングの塗装方法。
【請求項7】
前記クリアー塗膜は、前記トングを予熱した後、ディッピング塗装により形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のトングの塗装方法。
【請求項8】
前記ベース塗装工程と前記クリアー塗装工程とは、進行方向が反対となるように並列に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のトングの塗装方法。
【請求項9】
シートベルト装置のバックルに嵌着されることによって乗員を座席に拘束するトングであって、
少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜と、を有することを特徴とするトング。
【請求項10】
乗員を座席に拘束するウェビングと、該ウェビングの巻き取りを行うリトラクタと、車体側に設けられ前記ウェビングを案内するガイドアンカーと、前記ウェビングを車体側に固定するベルトアンカーと、前記座席の側面に配置されたバックルと、前記ウェビングに配置されたトングと、を有し、前記トングを前記バックルに嵌着させることによって乗員を座席に拘束するシートベルト装置において、
前記トングは、少なくとも防錆性及び意匠性を有するベース塗膜と、少なくとも摺動性及び耐擦傷性を有する透明のクリアー塗膜と、を有することを特徴とするシートベルト装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−218254(P2011−218254A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87356(P2010−87356)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】