説明

トーン検出および向上のために適応多帯域通過フィルタを含む高度トーン検出器

適応多帯域通過フィルタ(201)と、トーン検出器(203)と、フィルタ制御装置(205)とを含む高度トーン検出器(103)。適応多帯域通過フィルタは、入力信号(X’(n))を受け取る信号入力、フィルタ処理された信号(X(n))を供給する信号出力、および少なくとも1つの制御信号(rlcl)を受け取る少なくとも1つの制御入力を備える。トーン検出器は、適応多帯域通過フィルタの信号出力に結合された入力、およびトーン事象が検出されたときに少なくとも1つのトーン検出信号を供給する少なくとも1つの出力(DTE)を備える。フィルタ制御装置は、入力信号を受け取る第1の入力、少なくとも1つのトーン検出信号を受け取る少なくとも1つの第2の入力、および少なくとも1つの制御信号を供給する少なくとも1つの第1の出力を備える。制御信号は、1つまたは複数の周波数成分信号と、周波数成分信号がトーン事象の成分周波数に対応している対応する帯域幅信号とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にはトーン事象の検出および向上に関し、より具体的には、高雑音信号条件時にトーン検出を改善して性能を高める適応多帯域通過フィルタおよびこれを備えた高度(enhanced)トーン検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トーン事象検出は、電話ネットワーク上の共用データおよび音声通信を有するデジタル電話通信システムにおいて重要な用途である。国際電気通信連合(ITU)は、パケットネットワーク上のデータ伝送(Vシリーズモデム信号)の標準(V.150)を開発中であり、この標準は、公衆交換電話網(PSTN)とインターネットプロトコル(IP)ネットワークの間の相互動作を定義する。データ伝送前、またはデータ伝送中に、一連のトーン事象が交換され、その結果、トーン事象が検出されたときはいつでも、IP上の適切なデータ通信を開始して維持するために、特定の処置が取られる必要がある。
【0003】
トーン事象は、単一トーンまたは、異なる変調方式を有する多数のトーンセグメントの組合せを含むことがある。例えば、トーン事象は、オン/オフ振幅変調(AM)の単一周波数トーンを含むことがある。他の例では、トーン事象は、単一周波数トーンが後に続く2周波数成分トーンを含むことがある。さらに他の例では、トーン事象は、周期的な位相変化を有する単一周波数トーンを含むことがある。したがって、様々な変調方式に従ったトーン事象を確実に検出することが望ましい。検出されることがあるいくつかの代表的なトーン事象には、T.30呼出しトーン(CNG)、V.25呼出しトーン(CT)、V.25応答トーン(ANS)/T.30CED、V.25位相反転応答トーン(ANS_PR)、V.8振幅変調応答トーン(ANSam)、V.8振幅変調位相反転応答トーン(ANSam_PR)、V.22アンスクランブル2進1(USB1)、V.21チャネル2HDLCフラグ、TIA/EIA_825TTYトーン、V.8ビス開始/応答、Q.24デュアルトーン多周波数(DTMF)、多周波数トーン(例えば、MFR1、MFR2)、その他がある。これらのトーン事象は、大きさ、周波数、または位相、またはこれらの任意の組合せによって変調される。さらに、これらのトーン事象は、同じトーン特性を有する信号の1セグメント当たりに1より多い周波数成分を含むことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信信号を監視し、かつ予め定義された信号トーンの存在を識別するために、トーン検出器が通信システムでしばしば使用される。しかし、信号トーンが雑音によってひどく害され、ついには予想されるトーン検出機能を妨害することになる可能性のある多くの現実的な状況がある。処理後低域通過フィルタ処理によって雑音のある状況を処理しようとする新しいトーン検出方法が開発された。しかし、周波数およびタイミング許容範囲の要件のために、検出欠落率は、雑音歪みがクリティカルなレベルを超えて大きくなるにつれて増加する傾向がある。したがって、トーン検出動作範囲を拡げるために、雑音条件を識別し、信号対雑音比(SNR)を大きくするように信号を選択的にフィルタ処理する必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の利益、特徴、および有利点は、以下の説明および添付の図面に関連してより適切に理解されるようになるであろう。
【0006】
以下の説明は、当業者が特定の用途およびその要件の背景の範囲内で実現されるように本発明を作り、かつ使用することができるようにするために提供される。しかし、好ましい実施形態に対する様々な修正は、当業者には明らかになり、さらに、本明細書で定義される全体的な原理は、他の実施形態に応用されることがある。したがって、本発明は、本明細書で示され、説明される特定の実施形態に限定されるように意図されていないので、本明細書で開示される原理および新規な特徴と一貫性のある最も広い範囲が与えられるべきである。
【0007】
図1は、本発明の一実施形態に従った通信システム100のブロック図である。通信システム100は、送信機/受信機101、高度トーン検出器103、通信ネットワーク105、高度トーン検出器107、送信機/受信機109、および制御バス111を含む。制御バス111は、送信機/受信機101、高度トーン検出器103、通信ネットワーク105、高度トーン検出器107、および送信機/受信機109に双方向的に結合されている。送信機/受信機101は高度トーン検出器103に双方向的に結合され、高度トーン検出器103は通信ネットワーク105に双方向的に結合され、通信ネットワーク105は高度トーン検出器107に双方向的に結合され、高度トーン検出器107は送信機/受信機109に双方向的に結合されている。
【0008】
送信機/受信機101は、高度トーン検出器103を経由して通信ネットワーク105にデータ信号を供給し、また受け取る。同様に、送信機/受信機109は、高度トーン検出器107を経由して通信ネットワーク105にデータ信号を供給し、また受け取る。したがって、送信機/受信機101および109は、通信ネットワーク105を通して互いに通信することができる。送信機/受信機101および109各々は、通信ネットワーク105上で通信するために使用される、例えば電話、モデム、その他などのどんなデバイスであってもよい。また、通信ネットワーク105は、パケット電話通信ネットワーク(例えば、インターネットプロトコル(IP)による音声、パケット非同期転送モード(ATM)によるデータ、その他を含む)を含むことができ、さらに、無線または有線システムか公衆交換電話網(PSTN)かのどちらかに適用されるかもしれない。代替の実施形態では、通信システム100は、どんな型の通信システムでも意味することがある。
【0009】
制御バス111は、送信機/受信機101および109、高度トーン検出器103および107、および通信ネットワーク105の間に制御経路を与える。制御バス111を介して伝送された制御信号は、一般に、一列に並んだ信号ではない。例えば、制御バス111は、高度トーン検出器103または107を使用可能にするか使用不能にする使用可能/使用不能信号を含むことがあり、または、高度トーン検出器103または107の様々な部分の間で通信される必要がある信号を含むことがある。制御バス111は、また、受話器が置かれているか外れているかを示す信号を含むことがある。また、留意されたいことであるが、制御バス111は、例えばRFC2833標準に従ったもののような伝送信号の符号化されたものを含むことがある。
【0010】
留意されたいことであるが、送信機/受信機101および高度トーン検出器103の動作は、送信機/受信機109および高度トーン検出器107の動作によく似ている。すなわち、通信システム100は、対称である。さらに、本発明の実施形態は、伝送信号を使用して表されるが、トーン事象検出が、伝送信号か受信信号かのどちらか(すなわち、通信ネットワーク105の方へ行く信号か、または通信ネットワーク105から来る信号)について行われることがある。送信機/受信機101は、x’(n)と表示された送信または伝送信号を高度トーン検出器103に供給する。x’(n)信号は、サンプリング周波数fに従った率のサンプルを含むサンプル信号である。x’(n)信号は、通常の音声を含むことがあり、または、AM、周波数偏移変調(FSK)、差動位相偏移変調(DPSK)、その他などの特定の変調方式に従ったトーン事象を含むことがある。さらに以下で説明されるように、高度トーン検出器103は、x’(n)信号をフィルタ処理し、高められた信号x(n)を通信ネットワーク105に供給する。
【0011】
例えば、TTY電話(図示されない)は、通信ネットワーク105などの通信ネットワーク上で音声およびテキスト通信を可能にする。TTY電話は、一般に、テキスト通信を可能にする組み込みキーボードを含む。すなわち、押されたキーごとに、対応する文字列が生成される。生成された文字列は、FSK変調されたトーン事象に対応する。TTY電話のどの押されたキーも、開始ビットトーン、5つのデータビット文字集合トーン、および停止ビットトーンを含む7つの(7)FSK変調トーンを有するトーン事象を生成する。したがって、この場合、トーン事象は、7つの個別トーンセグメントを含む。1つの場合(例えば、通信ネットワークがパケット電話通信ネットワークであるときなど)には、トーン事象に関連する情報は、トーン事象が受信機側で局部的に再現されるように受信機に伝送される。すなわち、送信機(例えば、送信機101)がTTY電話で生成された開始ビットトーンを検出するや否や、送信機は、トーン事象が検出されるまで残りのトーンを抑制することができ、この時点で、送信機は、このトーン事象に関連する情報を受信機(例えば、受信機109)に送信し、次に、この受信機は、送信された情報からこのトーン事象を局部的に再現することができる。1つの場合には、この情報は、通信ネットワーク105を介してではなく、制御バス111のような制御線上で伝送される。代わりに、この情報、またはこのトーン事象のトーンは、通信ネットワーク105上で直接送信されることがある。
【0012】
図2は、本発明の例示の実施形態に従って実現された高度トーン検出器103のブロック図である。高度トーン検出器103は、適応多帯域通過フィルタ(AMBPF)201、トーン検出器203、およびフィルタ制御装置205を含む。x’(n)信号が、適応多帯域通過フィルタ201およびフィルタ制御装置205のそれぞれの入力に供給される。適応多帯域通過フィルタ201は、トーン検出器203およびフィルタ制御装置205のそれぞれの入力にx(n)信号を供給する出力を備える。トーン検出器203は、DTEとして示される検出されたトーンまたは記号を供給する制御バス111に結合された第1の出力を備える。図示された実施形態では、トーン検出器203は、最高で数「N」の周波数成分信号cを供給する1つまたは複数の第2の出力を備え、ここで、「l」は1からNまでの添数であり、「N」はゼロよりも大きい正の整数である。周波数成分信号cは、フィルタ制御装置205の対応する入力に供給される。図示された実施形態では、フィルタ制御装置205は、周波数成分信号cを適応多帯域通過フィルタ201に転送し、すなわち渡し、さらに、対応する1つまたは複数の帯域幅制御信号rを供給する。以下でさらに説明されるように、フィルタ制御装置205は、フィルタ処理されないx’(n)信号に比べてx(n)信号の品質を高めるように適応多帯域通過フィルタ201を調整または更新するc、r信号を供給する。フィルタ制御装置205は、また、必要であるか、または望ましい場合に、外部制御またはプログラミングを可能にするように制御バス111に双方向的に結合されるように示されている。
【0013】
トーン検出器203は、x(n)信号の周波数成分および振幅成分を推定し、その推定を再帰的に調整して、推定された周波数成分に対して周波数ロックを確立する。周波数ロックが実現された場合に、トーンまたはトーン事象が指示され、トーン検出器203が、周波数成分信号cの1つまたは複数を生成する。各周波数成分cは、次式1に従った対応する正規化周波数パラメータθの関数である。
=cosθ (1)
ここで、正規化周波数パラメータθは、次式2に従って決定される。
θ=2πf/f (2)
ここで、fは対応するトーン成分の周波数であり、fはx’(n)信号のサンプリング周波数である。
【0014】
代替の実施形態では、トーン検出器203は、当業者に知られているようにトーン指示または周波数成分情報を供給する他の方法に従って、実現されることがある。例えば、トーン検出器203は、周波数信号fまたは正規化周波数パラメータθを、それらの関数としてではなく直接供給することができる。いずれの場合も、フィルタ制御装置205は、周波数信号fまたは正規化周波数パラメータθを適応多帯域通過フィルタ201によって必要とされる適切な情報、例えば前に説明された周波数成分信号cなどに変換する。所定のトーン集合の周波数成分の完全な集合が、前もって、フィルタ制御装置205によって知られている場合には、トーン検出器203は、指示されたトーンの特定の1つまたは複数の周波数の任意の十分な指示を与えるように実現されてもよく、フィルタ制御装置205は、与えられた情報を適応多帯域通過フィルタ201によって必要とされる適切な情報、例えば前に説明された周波数成分信号cなどに変換する。
【0015】
一実施形態では、フィルタ制御装置205は、最初に、適応多帯域通過フィルタ201を全通過フィルタとしてプログラムするように(例えば、r=0に設定することによって)r信号をアサートする。トーン検出器203は、x(n)信号(これは、最初、x’(n)信号と同じである)の入力サンプルを監視し、トーンが指示された場合およびトーンが指示されたときだけc信号を供給する。例えば、トーン検出器203は、トーンを周期的に推定し、第1の所定のサンプル数の後で、または所定の時間量の後で、その推定が間違いないと確認されるまで、推定を再帰的に調整する。第2の所定のサンプル数または第2の所定の時間量の後で依然としてこの推定が間違いないと確認された場合、トーン検出器203は、そのトーンを確かめて、検出されたトーン事象(DTE)を出力する。一方では、フィルタ制御装置205がc信号を受け取ったとき、フィルタ制御装置205は、トーン検出器203のトーン事象検出プロセスを改善するように入力信号の信号品質を改善し高めるために適応多帯域通過フィルタ201を調整し始める。従来の構成では、x’(n)信号が通信ネットワーク105に供給される。代わりに、高度トーン検出器103は、x’(n)信号のフィルタ処理されて高められたものであるx(n)信号を供給する。
【0016】
図3は、本発明の例示の実施形態に従って実現された適応多帯域通過フィルタ201の簡略化されたブロック図である。図示された構成では、適応多帯域通過フィルタ201は、第1のフィルタABPF1から最後のABPFNまでのN個の適応帯域通過フィルタ(ABPF)301(すなわち、ABPF1、ABPF2、...、ABPFN)の並列結合として構成されている。各ABPF301は、x’(n)信号を受け取る信号入力、周波数成分信号c(すなわち、c、c、...、c)の対応する1つを受け取る第1の制御入力、帯域幅制御信号r(すなわち、r、r、...、r)の対応する1つを受け取る第2の制御入力、およびフィルタ処理された対応する出力信号x(n)(すなわち、x(n)、x(n)、...、x(n))を供給する出力を備える無限インパルス応答(IIR)フィルタとして構成されている。フィルタ処理された出力信号x(n)は、加算器303によって一緒に合計され、加算器303はフィルタ処理されたx(n)信号を出力する。
【0017】
図示された実施形態では、ABPF301は、次式3に従って動作するフィルタ構造をひとまとめにして備える。
【数1】

このフィルタ構造は、各々複素共役極
【数2】

および単一ゼロ
【数3】

を有する1つまたは複数の2次IIRフィルタである。この特定の構造は、極の位置で位相変化のない最大単位ゲインの特性を有し、この特性は、次式4によって示される特性に従っている。
【数4】

極の大きさは、全体的なフィルタ安定性を保証するように選ばれ、このことは、0≦r<1であるように帯域幅制御パラメータrが選ばれることを意味する。式3で示されるように、フィルタ制御装置205は、帯域幅制御パラメータrをゼロにプログラムすることによって適応多帯域通過フィルタ201を全通過フィルタとして初期化する。
【0018】
図4は、本発明の例示の実施形態に従って第1のフィルタABPF1を実現する適応帯域通過フィルタ400の簡略化されたブロック図である。適応帯域通過フィルタ400は、周波数および帯域幅制御値r、cの第1の集合を受け取る。x’(n)信号は、機能ブロック401および遅延ブロック403のそれぞれの入力に供給される。機能ブロック401は、x’(n)信号の入力サンプルに[1−r]を掛けて、その結果を加算器405の1つの入力に供給する。表示z−1の付いた遅延ブロック403は、x’(n)信号の入力サンプルを1サンプル値だけ遅延させて、遅延されたサンプル値を機能ブロック407の入力に供給し、機能ブロック407は、遅延されたサンプル値に[−2r(1−r)]を掛ける。機能ブロック407の出力は、加算器409の1つの入力に供給され、加算器409の出力が加算器405の第2の入力に供給される。加算器405の出力は、その出力からx(n)信号を供給する。当業者によって理解されるように、機能ブロック407の出力は、機能ブロック401の出力に対して1サンプル値だけ遅延される。加算器405の出力から供給されるx(n)の各サンプルフィルタ値は、遅延ブロック411によって遅延され、遅延ブロック411は、機能ブロック413および他の遅延ブロック415のそれぞれの入力に遅延されたx(n)値を出力する。機能ブロック413は、遅延されたx(n)値に[2r]を掛けて、この結果を加算器409の第2の入力に供給する。遅延ブロック415は、遅延されたx(n)値を他のサンプル時間だけ遅延させ、この遅延された結果を他の機能ブロック417の入力に供給し、機能ブロック417は、この遅延された結果に[−r]を掛ける。遅延ブロック411および415の直列結合は、x(n)サンプルを2サンプル値だけ遅延させる(すなわち、各サンプル値にz−2を掛ける)。機能ブロック417の出力は、加算器409の第3の入力に供給される。このようにして、当業者によって理解されるように、適応帯域通過フィルタ400は、周波数および帯域幅制御値r、cの第1の集合がフィルタ処理されたサンプル信号x(n)を供給するように式3の機能を行う。フィルタ処理されたサンプル信号x(n)からx(n)を供給するように適応多帯域通過フィルタ201のABPF301のどれか、または全てを実現するために、適応帯域通過フィルタ400が使用されてもよく、これらのサンプルは、x(n)信号を発生させるように加算器303によって互いに加算される。
【0019】
図5は、本発明の他の実施形態に従って第1のフィルタABPF1を実現する適応帯域通過フィルタ500の簡略化されたブロック図である。適応帯域通過フィルタ500は、また、周波数および帯域幅制御値r、cの第1の集合を受け取る。x’(n)信号が加算器501の1つの入力に供給され、出力が機能ブロック503および遅延ブロック505のそれぞれの入力に供給される。機能ブロック503は、加算器501の出力に[1−r]を掛けて、その結果を加算器507の1つの入力に供給する。遅延ブロック505の出力は、他の遅延ブロック509ならびに2つの機能ブロック511および513のそれぞれの入力に供給される。遅延ブロック509の出力は、機能ブロック515の入力に供給され、機能ブロック515は、遅延ブロック509の出力に[−r]を掛けて、その結果を加算器517の1つの入力に供給する。機能ブロック511は、遅延ブロック505の出力に[2r]を掛けて、この結果を加算器517の他方の入力に供給する。加算器517の出力は、加算器501の他方の入力に供給される。機能ブロック513は、遅延ブロック505の出力に[−2r(1−r)]を掛けて、この結果を加算器507の他方の入力に供給する。加算器507の出力は、サンプルフィルタ値x(n)を供給する。このようにして、当業者によって理解されるように、適応帯域通過フィルタ500は、また、周波数および帯域幅制御値r、cの第1の集合がフィルタ処理されたサンプル信号x(n)を供給するように式3の機能を行う。フィルタ処理されたサンプル信号x(n)からx(n)を供給するように適応多帯域通過フィルタ201のABPF301のどれか、または全てを実現するために、適応帯域通過フィルタ500が使用されてもよく、これらのサンプルは、x(n)信号を発生させるように加算器303によって互いに加算される。
【0020】
適応帯域通過フィルタ400または500は、個別論理、チップ上に集積化された回路、すなわち集積回路(IC)、ソフトウェア、その他などによって当業者に知られているようなどんな適切なやり方で実現されてもよい。ソフトウェア構成では、rおよびcの値は、x(n)信号およびx’(n)信号および入力信号がフィルタを通って伝播されるときの他の中間状態信号のサンプルと共に記憶デバイスに格納される。数Nは、選ばれた変調方式のトーン事象または最高数の周波数成分を有するトーン集合に基づいて選ばれる。特定のトーン集合の任意のトーン事象の周波数成分の数は、任意のトーン集合の各トーン事象の周波数成分の数が変化するときトーン事象ごとに変化する。各ABPF301は、フィルタ制御装置205によって供給される周波数成分信号cに従ってプログラムされる。さらに、対応する帯域通過制御値rは、対応する周波数に中心のある周波数帯域の幅を決定する。中心周波数の周波数成分は、ユニティゲイン(unity gain)で位相シフトなしに通過する。中心周波数より上および下の周波数成分は、rの値に基づいて減衰される。対応するr値がゼロである場合、入力信号がフィルタ処理なしに通過するように、フィルタは、全通過構成にプログラムされる。対応するr値のレベルがゼロよりも上に大きくされるときに、対応する周波数通過帯域は、プログラムされた中心周波数より上および下の周波数成分をフィルタ除去するように減少する。
【0021】
図6は、1キロヘルツ(kHz)の選ばれた成分周波数fに関して、例示のABPF301の伝達関数のゲイン(dB)対周波数(Hz)を、対応する帯域幅制御信号rの様々な値についてプロットするグラフ図である。r=0の場合、関連した周波数スペクトル全体にわたってゲインはユニティ(unity)である(例えば、ナイキスト基準に従ったサンプリング周波数fの2分の1まで;図示の実施形態では、サンプリング周波数fは8kHzである)。rの値がゼロよりも上に大きくされると、プログラムされた中心周波数f(例えば、1kHz)よりも上または下の周波数成分の振幅が減少されるように、中心の周波数帯域幅は減少し、すなわち狭くなる。rが0.5に大きくされたとき、選ばれた成分周波数fよりも上および下の周波数にはいくらかの減衰がある(例えば、3kHzの周波数成分はほぼ5dBだけ減衰される)。この減衰は、r=0.75では増加される(例えば、3kHzの周波数成分はほぼ10dBだけ減衰される)。この減衰は、r=0.95ではさらに増加される(例えば、3kHzの周波数成分はほぼ25dBだけ減衰される)。rの値に無関係に、f=1kHzの周波数成分は、0dBのゲインすなわちユニティゲイン(unity gain)でABPF301を通過する。
【0022】
図7は、帯域幅制御信号rの同じ値について図6の同じ伝達関数の位相(度)対周波数(Hz)をプロットするグラフ図である。選ばれた成分周波数f=1kHzでは、位相変化はゼロである(位相シフトなし)。fよりも上または下の周波数成分には大きな位相シフト(最大で50度を超える)がある。
【0023】
各変化が過渡事象をもたらすので、帯域幅制御信号rは、少しずつ増やして調整される。帯域幅制御信号rの調整量は、与えられた構成の特定のトーン事象に依存する。トーン事象が比較的長い場合、または、x’(n)信号の歪み雑音レベルLNOISEが比較的高い場合には、帯域幅制御信号rはいっそうゆっくり調整される。トーン事象が比較的短い場合、または、LNOISEが比較的小さい(たとえLTHより上でも)場合には、帯域幅制御信号rは、いっそう急速に大きくされることがある。
【0024】
図8は、本発明の例示の実施形態に従った適応多帯域通過フィルタ201の動作を示す流れ図である。第1のブロック801で、フィルタ制御装置205は、適応多帯域通過フィルタ201を全通過フィルタに初期化する。図示された実施形態では、これは、x’(n)信号が適応多帯域通過フィルタ201を変化しないで効果的に通過するように(例えば、x(n)≒x’(n))、すべての帯域幅制御信号rをゼロに設定することによって達成される。他の実施形態では、適応多帯域通過フィルタ201は、一時的に使用不能にされるかバイパスされることがある。次のブロック803で、x’(n)信号の次のサンプルが受け取られる。次のブロック805で、x’(n)信号は、サンプルごとに、適応多帯域通過フィルタ201によってフィルタ処理される。当業者によって理解されるように、x’(n)信号のサンプルは、適応多帯域通過フィルタ201を通って伝播して、フィルタ処理されたx(n)信号のサンプルの対応するストリームを生成する。帯域幅制御信号rがゼロに設定された場合、サンプルは、変更されないで(減衰または位相変化なし)効果的に通過する。次のブロック807で、フィルタ制御装置205は、x’(n)信号の歪み雑音レベル(LNOISE)の推定値を生成するか、そうでなければ更新する。フィルタ制御装置205は、また、x’(n)信号をフィルタ処理することによって、x(n)信号の信号対雑音比(SNR)改善を引き起こすか、または更新する。一実施形態では、電力レベルを推定する方法は、|x’(n)|および|x(n)|を低域通過フィルタ処理することによっている。ここで、k=1、2、...、その他。パラメータkは、2に等しく設定されてもよく、単一極低域通過フィルタは、次式5に従った形である。
【数5】

式5は、電力推定値(P)が次式6および7に従って決定されてもよいことを示す。
x’(n)=aPx’(n−1)+(1−a)x’(n) (6)
(n)=aP(n−1)+(1−a)x(n) (7)
このようにして、SNR改善Q(n)は、次式8に与えられるように電力推定値の比を取ることによって推定され、
【数6】

さらに、デシベル(dB)すなわち10log10(Q(n))で表される。
【0025】
次のブロック809で、LNOISEが所定の閾値雑音レベルLTH以上であるかどうかが照会される。LNOISEがLTHより小さい場合には、動作はブロック811に進み、ブロック811で、適応多帯域通過フィルタ201は、帯域幅制御信号rをゼロに設定することなどによって、全通過フィルタにリセットされる。この場合に、トーン事象が容易に識別できるようにx’(n)信号の雑音レベルが十分に小さけば、その結果、フィルタ処理によって信号を高める必要は余りない。ブロック809で決定されるように、またはブロック811が行われた後で、LNOISEがLTH以上である場合、動作はブロック813に進み、ブロック813で、トーン検出器203は、どんなトーン事象でも得るために、フィルタ処理されたx(n)信号を監視する。理解されることであるが、x(n)信号のサンプルがトーン検出器203の中を伝播するときに、トーン検出器203はトーン事象を絶えず監視する。次のブロック815で、トーン事象が指示されたかどうかが照会される。前に説明されたように、トーン検出器203がトーン事象を検出したか、または、別の方法でトーンの1つまたは複数の周波数成分にロックされたとき、トーン検出器203は、対応する周波数制御信号cをフィルタ制御装置205に供給する。留意されたいことであるが、代替の実施形態では、周波数のどんな関数もトーン検出器203によって供給されることがあり、この場合、フィルタ制御装置205は、これをcの同等な値に変換する責任を負っている。トーン事象が、ブロック815で決定されるように指示されない場合、動作はブロック817に進んで、前に説明されたように適応多帯域通過フィルタ201を全通過フィルタにリセットする。トーン事象が未だ指示されていないか、伝送中に失われた場合、またはトーン事象が完成した後で、トーン検出器203が次のトーン事象を検出することができるようにするために、適応多帯域通過フィルタ201をリセットすることが望ましい。
【0026】
トーン事象がブロック815で指示された場合、動作はブロック819に進み、ブロック819で、適応多帯域通過フィルタ201は、トーン検出器からの周波数情報、例えば周波数成分信号cおよび帯域幅制御信号rに基づいて更新される。前に説明されたように、各帯域幅制御信号rは、周波数成分信号cの対応する1つによって指示されるように対応する周波数成分の対応する周波数成分を調整するか、フィルタ処理する。適応多帯域通過フィルタ201がブロック817でリセットされたか、またはブロック819で更新された後で、動作はブロック821に進んで、処理すべきもっと多くの入力サンプルがあるかどうかを決定する。ない場合には動作は完了され、ある場合には、動作は、次の入力サンプルのためにブロック803に戻る。
【0027】
図9は、SNRフィルタ処理ゲイン(dB)対SNR(dB)をプロットするグラフ図である。第1の線901は、5成分(すなわち、N=5)トーン検出用途の1000の無秩序試用(dBごとに)に基づいた平均SNRゲインである。第2の線903は、SNRゲイン≒−0.45*SNR+11.37としてSNRゲインを示す。平均SNRゲインは、3dB未満のSNRを有する入力信号では、10dBよりも大きかったが、これは、従来の技術を超える実質的な改善である。
【0028】
本発明の実施形態に従った高度トーン検出器は、適応多帯域通過フィルタ、トーン検出器およびフィルタ制御装置を含む。適応多帯域通過フィルタは、入力信号を受け取る信号入力、フィルタ処理された信号を供給する信号出力、および少なくとも1つの制御信号を受け取る少なくとも1つの制御入力を備える。トーン検出器は、適応多帯域通過フィルタの信号出力に結合された入力と、トーン事象が検出されたときに少なくとも1つのトーン検出信号を供給する少なくとも1つの出力とを備える。フィルタ制御装置は、入力信号を受け取る第1の入力、少なくとも1つのトーン検出信号を受け取る少なくとも1つの第2の入力、および少なくとも1つの制御信号を供給する少なくとも1つの第1の出力を備える。
【0029】
適応多帯域通過フィルタは、各々対応する周波数制御入力を有する多数の適応帯域通過フィルタを含むことができ、フィルタ制御装置が周波数成分信号を周波数制御入力の各々に供給する。一実施形態では、トーン検出器は、トーン事象を検出し、さらに、適応多帯域通過フィルタに供給される周波数成分信号を供給する。代替の実施形態では、フィルタ制御装置は、トーン検出器信号を適切な周波数成分信号に変換する。各適応帯域通過フィルタは、帯域幅制御入力を含むことができ、フィルタ制御装置が帯域幅制御信号を各帯域幅制御入力に供給する。
【0030】
適応多帯域通過フィルタの制御入力は、少なくとも1つの周波数制御入力および少なくとも1つの帯域幅制御入力を含むことができる。この場合、フィルタ制御装置は、1つまたは複数の周波数成分信号を1つまたは複数の周波数制御入力に供給し、さらに、1つまたは複数の帯域幅制御信号を1つまたは複数の帯域幅制御入力に供給する。フィルタ制御装置は、さらに、入力信号の雑音レベルを測定することができる。その場合、フィルタ制御装置は、最初に、各制御信号を全通過値に設定し、雑音レベルが閾値雑音レベルよりも下である間、またはトーン事象が検出されない間は、これらの全通過値を維持することができる。トーン事象が検出される間に雑音レベルが閾値雑音レベルに達した場合には、フィルタ制御装置は、また、帯域幅を減少させるように帯域幅制御信号を調整することができる。フィルタ制御装置は、さらに、フィルタ処理された入力信号を受け取る第3の入力を含むことができる。さらに、その場合、フィルタ制御装置は、入力信号とフィルタ処理された入力信号の間のSNR改善に基づいて、各帯域幅制御信号を調整することができる。
【0031】
本発明の実施形態に従ったトーン事象検出システムは、適応多帯域通過フィルタ、トーン検出器、および制御装置を含む。適応多帯域通過フィルタは、サンプル入力信号をフィルタ処理して、フィルタ処理されたサンプル信号を供給する。このフィルタは、多数の周波数入力および対応する帯域幅制御入力を備える。トーン検出器は、トーン事象を得るために、フィルタ処理されたサンプル信号を監視し、トーン事象が検出されたときにトーン指示を供給する。制御装置は、トーン指示を受け取り、各周波数信号を対応する周波数入力に供給し、さらに、供給される各周波数信号について帯域幅信号を対応する帯域幅制御入力に供給する。
【0032】
適応多帯域通過フィルタは、各々減少された位相シフトで対応する周波数を通過させる多数の適応帯域通過フィルタを含むことができる。一実施形態では、少なくとも1つの周波数信号はcos(2πf/f)であり、ここでfはトーン事象の成分の周波数であり、fはサンプル入力信号のサンプリング周波数である。
【0033】
本発明の実施形態に従ってトーン事象を高める(enhancing)方法は、入力信号をフィルタ処理して、フィルタ処理された信号を供給すること、このフィルタ処理された信号を監視し、トーン事象が指示されたときにトーン指示を供給すること、および、トーン指示に応答して適応多帯域通過フィルタを更新するために少なくとも1つのフィルタ制御信号を供給することを含む。
【0034】
本方法は、少なくとも1つの周波数成分信号および/または少なくとも1つの帯域幅制御信号を供給することを含むことができる。本方法は、周波数成分信号および対応する帯域幅制御信号を供給すること、および帯域幅制御信号に相応する帯域幅を有する周波数成分信号に相応する周波数で、入力信号を帯域通過フィルタ処理することを含むことができる。
【0035】
本方法は、入力信号の雑音レベルを測定することを含むことができる。その場合、本方法は、さらに、トーン事象が指示されない場合、または雑音レベルが閾値レベルよりも下である場合に、全通過値のための帯域幅制御信号を供給することを含むことができる。そしてさらに、本方法は、雑音レベルが閾値レベルに達した場合に、雑音レベルに基づいて帯域幅制御信号を調整することを含むことができる。本方法は、さらに、入力信号とフィルタ処理された信号の間のSNR改善レベルを測定すること、およびこのSNR改善レベルに基づいて少なくとも1つの制御信号を調整することを含むことができる。
【0036】
本発明の特定の実施形態が示され、説明されたが、当業者には認められることであろうが、本明細書の教示に基づいて、本発明および本発明のより広い態様から逸脱することなしに、さらなる変更および修正が加えられることがある。添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、本発明の真の精神および範囲内にあるような全ての変更および修正を含む意図である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に従った通信システムのブロック図である。
【図2】本発明の例示の実施形態に従って実現された図1の高度トーン検出器のブロック図である。
【図3】本発明の例示の実施形態に従って実現された図2の適応多帯域通過フィルタの簡略化されたブロック図である。
【図4】本発明の例示の実施形態に従って図3の第1のフィルタを実現する適応帯域通過フィルタ(ABPF)の簡略化されたブロック図である。
【図5】本発明の他の実施形態に従って図3の第1のフィルタを実現する適応帯域通過フィルタの簡略化されたブロック図である。
【図6】1キロヘルツ(kHz)の選ばれた成分周波数fに関して、図3の例示のABPFの伝達関数のゲイン(dB)対周波数(Hz)を、対応する帯域幅制御信号の様々な値についてプロットするグラフ図である。
【図7】帯域幅制御信号の同じ値について図6の同じ伝達関数の位相(度)対周波数(Hz)をプロットするグラフ図である。
【図8】本発明の例示の実施形態に従って図2の適応多帯域通過フィルタの動作を示す流れ図である。
【図9】5成分(すなわち、N=5)トーン検出用途の1000回無秩序試用(1dBごとに)に基づいたSNRフィルタ処理ゲイン(dB)対SNR(dB)をプロットするグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を受け取る信号入力、フィルタ処理された信号を供給する信号出力、および少なくとも1つの制御信号を受け取るための少なくとも1つの制御入力を有する適応多帯域通過フィルタと、
前記適応多帯域通過フィルタの前記信号出力に結合された入力、およびトーン事象が検出されたときに少なくとも1つのトーン検出信号を供給する少なくとも1つの出力を有するトーン検出器と、
前記入力信号を受け取る第1の入力、前記少なくとも1つのトーン検出信号を受け取る少なくとも1つの第2の入力、および前記少なくとも1つの制御信号を供給する少なくとも1つの第1の出力を有するフィルタ制御装置(unit)と、
を備える高度(enhanced)トーン検出器。
【請求項2】
前記適応多帯域通過フィルタが、各々複数の周波数制御入力のうちの対応する1つを有する複数の適応帯域通過フィルタを備え、さらに、
前記フィルタ制御装置が、複数の周波数成分信号の各々を前記複数の周波数制御入力のうちの対応する1つに供給する、請求項1に記載の高度トーン検出器。
【請求項3】
前記トーン検出器が、トーン事象を検出し、さらに前記複数の周波数成分信号を供給する、請求項2に記載の高度トーン検出器。
【請求項4】
複数の帯域幅制御入力のうちの対応する1つを含む、前記複数の適応帯域通過フィルタの各々をさらに備え、さらに、
前記フィルタ制御装置が、複数の帯域幅制御信号の各々を前記複数の帯域幅制御入力の対応する1つに供給する、請求項2に記載の高度トーン検出器。
【請求項5】
前記適応多帯域通過フィルタの前記少なくとも1つの制御入力が、少なくとも1つの周波数制御入力および少なくとも1つの帯域幅制御入力を備え、さらに、
前記フィルタ制御装置が、少なくとも1つの周波数成分信号を前記少なくとも1つの周波数制御入力に供給し、また、少なくとも1つの帯域幅制御信号を前記少なくとも1つの帯域幅制御入力に供給する、請求項1に記載の高度トーン検出器。
【請求項6】
前記フィルタ制御装置が、前記入力信号の雑音レベルを測定する、請求項5に記載の高度トーン検出器。
【請求項7】
前記フィルタ制御装置が、最初に、前記少なくとも1つの帯域幅制御信号の各々を全通過値に設定し、さらに、前記雑音レベルが閾値雑音レベルより下である間、または前記トーン事象が検出されないとき、前記少なくとも1つの帯域幅制御信号を前記全通過値に維持する、請求項6に記載の高度トーン検出器。
【請求項8】
前記トーン事象が検出される間に前記雑音レベルが閾値雑音レベルに達した場合、前記フィルタ制御装置が、帯域幅を減少させるように前記少なくとも1つの帯域幅制御信号を調整する、請求項6に記載の高度トーン検出器。
【請求項9】
前記フィルタ制御装置が、前記フィルタ処理された入力信号を受け取る第3の入力を含み、さらに、前記フィルタ制御装置が、前記入力信号と前記フィルタ処理された入力信号の間の信号対雑音比(SNR)改善に基づいて、前記少なくとも1つの帯域幅制御信号を調整する、請求項5に記載の高度トーン検出器。
【請求項10】
サンプル入力信号をフィルタ処理して、フィルタ処理されたサンプル信号を供給し、さらに、複数の周波数入力および対応する複数の帯域幅制御入力を有する適応多帯域通過フィルタと、
トーン事象を得るために前記フィルタ処理されたサンプル信号を監視し、さらに、トーン事象が検出されたときにトーン指示を与えるトーン検出器と、
前記トーン指示を受け取り、少なくとも1つの周波数信号の各々を前記複数の周波数入力の対応する1つに供給し、さらに、供給される前記少なくとも1つの周波数信号の各々について帯域幅信号を前記複数の帯域幅制御入力の対応する1つに供給する制御装置と、
を備えるトーン事象検出システム。
【請求項11】
前記適応多帯域通過フィルタが、各々対応する周波数を減少された位相シフトで通過させる複数の適応帯域通過フィルタを備える、請求項10に記載のトーン事象検出システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの周波数信号が、cos(2πf/f)であり、ここで、fが前記トーン事象の成分の周波数であり、fが前記サンプル入力信号のサンプリング周波数である、請求項10に記載のトーン事象検出システム。
【請求項13】
トーン事象を高める方法であって、
入力信号をフィルタ処理して、フィルタ処理された信号を供給するステップと、
前記フィルタ処理された信号を監視し、さらに、トーン事象が指示されたときにトーン指示を与えるステップと、
前記トーン指示に応答して適応多帯域通過フィルタを更新するために少なくとも1つのフィルタ制御信号を供給するステップとを含む方法。
【請求項14】
少なくとも1つのフィルタ制御信号を供給する前記ステップが、少なくとも1つの周波数成分信号を供給するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのフィルタ制御信号を供給する前記ステップが、少なくとも1つの帯域幅制御信号を供給するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのフィルタ制御信号を供給する前記ステップが、周波数成分信号および対応する帯域幅制御信号を供給するステップを含み、さらに、
フィルタ処理する前記ステップが、前記帯域幅制御信号に相応する帯域幅を有する、前記周波数成分信号に相応する周波数で、前記入力信号を帯域通過フィルタ処理するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記入力信号の雑音レベルを測定するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対応する帯域幅制御信号を供給する前記ステップが、前記トーン事象が指示されない場合、または前記雑音レベルが閾値レベルより下である場合には、全通過値のための前記帯域幅制御信号を供給するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対応する帯域幅制御信号を供給する前記ステップが、前記雑音レベルが閾値レベルに達した場合、前記雑音レベルに基づいて前記帯域幅制御信号を調整するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記入力信号と前記フィルタ処理された信号の間の信号対雑音比(SNR)改善レベルを測定するステップをさらに含み、
少なくとも1つのフィルタ制御信号を供給する前記ステップが、前記SNR改善レベルに基づいて前記少なくとも1つの制御信号を調整するステップを含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−529297(P2009−529297A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558444(P2008−558444)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/061190
【国際公開番号】WO2007/120958
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】