説明

ドアのための電気機械式の駆動装置

本発明はドア又はそれに類似したものの旋回障子のためのドアクローザの電気機械式の駆動装置であって、下部シェル(2)と上部シェル(3)とから成るケーシング(4)を有し、該ケーシング(4)がドア駆動装置(1)の駆動エレメント(5)を受容している形式のものに関する。本発明の特徴は、前記ケーシング(4)の前記下部シェル(2)及び/又は上部シェル(3)に、ドア駆動装置(1)の駆動エレメント(5)を不動に位置決めするための受容部(6)が配置されており、該受容部(4)と一体に構成されていることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回障子又はそれに類似したものとして構成されたドアのための電気機械式駆動装置であって、駆動エレメントを受容する、下部シェルと上部シェルとから成るケーシングを備えている形式のものに関する。
【0002】
DE3202930A1号明細書によれば直方体形のケーシングが駆動エレメントを受容する底部兼保持板を有し、ケーシングがカバーにより閉鎖可能であるドアクローザが公知である。ケーシングの内部に配置された駆動エレメントはねじ結合によってケーシングと結合されている。つまり少なくとも出力軸のための転がり軸受けは転がり軸受けの軸受けシェルを介して前記保持プレートにねじ結合されている。
【0003】
USPS4501090号明細書には駆動もしくは制御エレメントが1つの保持板の両側に配置されたドアクローザが記載されている。この場合には伝動装置ケーシングの保持板の片側にはモータと、ドアの開放度を測定するコントロールユニットとが接続され、保持板の反対側には伝動装置の伝動歯車列が接続されている。伝動歯車列の転がり軸受けは伝動装置ケーシングの補強されて構成された壁領域に支承されている。
【0004】
USPS4727679号明細書によるクローザケーシングにおいては、ケーシング内部にケーシングと結合された付加的なプレートが配置されており、該プレートが、電気モータにより駆動された伝動歯車列の個々の歯車の軸受け又は軸受け軸を受容している。
【0005】
DE69517013T2号明細書には窓枠に配置された窓操作装置が開示されている。この窓操作装置においてはベースとカバーとから成るケーシング内で、互いに旋回可能である多数の部材から成る複合体が前記ベースに配置された案内に滑動可能に支承されかつ案内されている。人的な作動又はモータを用いた作動により、他端で窓に接続された複合体はケーシングから走出させられるかもしくはケーシング内へ走入させられる。案内はベースと一体の、つまりベースに統合された構成部分である。これはベースに統合された構成部分を形成し、複合体を駆動する鎖歯車が回転可能に支承されているピンにも当て嵌まる。案内とピンとの統合された構成は複合的な構造形式の回避を目的としている。モータを用いた駆動装置が使用されている限り、駆動エレメントは、固定エレメントを用いて、つまりねじ結合を用いてベースに接続された別個の組み立てU字型部材に配置される。
【0006】
比較的に類似した窓操作装置は下部分にフランジを介してねじ結合された、実質的にカバーを形成するケーシングを有している。この場合にはすべての駆動エレメントは電気モータを含めてケーシング内に配置されている。モータは伝動装置に作用し、この場合モータと伝動装置との間の伝動的な結合は連結装置を用いて、閉鎖メカニックの負荷の大きさに応じて中断されることができる。互いに分離可能な両方の連結部材は波形ばねにより負荷される。この波形ばねは上部分の下面、つまりケーシングの壁と連結部材との間に締め込まれている。
【0007】
前記公知のドア駆動装置は個々の駆動エレメントとドア駆動装置のケーシングとの間の結合に関して高い製作及び組み立て費用を必要とする。従来技術により公知であるねじ結合は多数のルーズな部品を必要とする。このねじ結合は個々の駆動エレメントに付加的な固定フランジを必要とし、ルーズな部品のために組み立ても修理も不便である。
【0008】
本発明の課題は確実な機能性を有し、きわめて経済的に製作可能であるドアクローザの駆動装置を提供することである。本発明は、個々の駆動エレメントをケーシングと結合するため、つまり駆動エレメントをケーシングに固定するために組み立てやすい、つまり時間のかからない費用的に好適な解決を見出したいという思いから出発している。さらに特に力を伝達する駆動エレメント、例えばモータと伝動エレメントとが確実に運転位置に位置決めされるようにしたい。
【0009】
本発明の課題は本発明によれば請求項1の構成により解決された。
【0010】
本発明の更なる有利な特徴は従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明によれば、ケーシングと駆動エレメントとの結合のためのねじ結合は又はそれに類似したものを省略することができる。個々の駆動エレメントは単に、ケーシングのシェルに、有利には下部シェルに差し込まれる必要しかないので、すでにドア駆動装置の組立に際して顕著な利点が得られる。これは修理する場合の個々の駆動エレメントの保持もしくは交換にも当て嵌まる。制御装置自体は自体公知の形式で任意に構成し、その都度の要求に適合させられることができる。全体的には例えば障害なく装備された住居ユニットに費用的に好適に使用されることができる。
【0012】
本発明にしたがってケーシングと一体に構成された受容部は、ドア駆動装置の個々の駆動エレメントを確実に不動に位置決めし、特に力を伝達するエレメント、すなわちモータと伝動装置との一義的な固定を保記するのに適している。受容部はドア駆動装置のケーシング内に係止される駆動エレメントに関連して種々異なって構成しかつ各駆動エレメントに適合させることができる。すなわち、滑り又は転がり軸受けの軸受けシェルに関しては本発明の構成では、受容部は、この駆動エレメントの軸受けシェルを完全に又は部分的に掴むように構成されている。
【0013】
この場合には下部シェルと上部シェルとに、駆動エレメントの軸受けシェルに対して相補的な受容部を配置し、軸受けシェルが実地において完全に取り囲まれかつその位置にて固定されることが有利であることが証明された。
【0014】
特に負荷される領域、例えばモータ又は個々の伝動部材の支承に関して負荷される領域においては受容部がインサート、例えば金属ブッシュ、ねじブッシュ又はそれに類似したものを備えていることが提案されている。このインサートは、下部シェル又は上部シェルがプラスチックから成る限り、例えばプラスチックで接着されることができる。
【0015】
さらに本発明の1実施例は、下部シェルの受容部に保持された駆動エレメントの不動な位置決めが相補的な受容部を有する上部シェルとの伝力接続的な結合によって行われるように構成されていることができる。
【0016】
前記実施例においては有利にはすべての駆動エレメント、例えばトランスフォーマ、制御装置、モータ及び伝動装置出力軸を有する伝動装置が、下部シェルに一体に構成された受容部に差し込み可能でかつ上部シェルとの結合によって固定可能であると有利である。
【0017】
その際、ケーシングはその全長に亘って下部シェルと上部シェルとに分割されていることができる。しかし本発明は上部シェルが単にモータと伝動装置を下部シェルにて受容する領域だけに亘って延在するのに対し、制御装置を受容する領域ではその長さの少なくとも一部に亘っては下部シェルと一体に構成されたカバーを有することができる。
【0018】
さらに請求項1による本発明は、上部シェルがその長さ寸法に関して、トランスフォーマ及び制御装置をカバーする領域とモータ及び伝動装置をカバーする領域とに分けられて実現されることもできる。この実施例は修理に際して、ドア駆動装置の制御装置を含む領域又は機械的な駆動エレメントを含む領域に、それぞれ他方の領域を開放することなく、選択的にアプローチすることを可能にする。
【0019】
上記課題を解決する別の提案は、受容部が上部シェルに配置された相補的な受容部を省略して下部シェルの底部は側壁と一体に構成された、制御装置、モータ及び伝動装置を係止する保持爪として構成されることを特徴としている。この場合、上部シェルはカバーの機能しか有していない。つまり、前述の保持爪は個々の駆動エレメントを確実に3つの平面の各々において係止する。
【0020】
コストをさらに低減するためには本発明の構成で電気モータのモータケーシングを省くことができる。この場合、モータの結合は前述の保持爪に軽視されるモータ軸の軸受けシェルを介して行うことができる。
【0021】
ケーシング自体は任意の材料から成ることができる。つまり、重要であることは受容部又は保持爪が各材料と一体に構成されていることである。これは例えばプラスチック、亜鉛ダイカスト鋳造体、アルミニウムダイカスト鋳造体又はそれに類似したケーシングにて実現可能である。
【0022】
以下、本発明を5つの実施例に基づき詳細に説明する。
【0023】
図1の実施例においては、ドア駆動装置1は下部シェル2と上部シェル3とを有し、該下部シェル2と上部シェル3は一緒にケーシング4を形成する。下部シェル2は例えば符号23で示された接続短管を介して図示されていないベースプレートに接続される。全体として符号5で示された駆動エレメントは図示の実施例では全般的に符号6で示された受容部に差し込まれている。受容部6は下部シェル2にも上部シェル3にも配置されかつシェルと一体に構成されている。受容部6は種々異なる形式で構成することができる。つまり、受容部6はその輪郭に関して、それぞれ個々の固定しようとした駆動エレメントに適合させることができる。この場合には下部シェルこと上部シェル3との受容部6は、該受容部6が位置決めもしくは係止しようとする駆動エレメント5を完全に又は部分的に取り囲むか又はクランプ作用で固定するように補完することができる。これは図示の滑り又は転がり軸受け8の軸受けシェル7にも、トランスフォーマ9にも、制御装置10にも、図1において下部シェル2の長さ方向に配置されたモータ11にも、配属された伝動装置出力軸13を有する伝動装置12の個々の部分にも当て嵌まる。さらに図面には下部シェル2と上部シェル3との間の結合に役立つ結合短管22が示されている。これによって上部シェル3にて確認できる貫通孔もしくはねじは図示されていないブラインドでカバーされることができる。符号21で示された通気スリットは熱の導出に役立つ。
【0024】
図2の実施例は、受容部6の構成に関してはほぼ図1の実施例に相応している。この場合、上部シェル3はほぼ駆動エレメント5の機械的な部分、つまり、この場合には横置きされたモータ11を有する円筒歯車伝動装置をカバーしている。ケーシング4の制御装置領域は閉鎖されて構成されているが、伝動装置12に対向する、仕切り壁24の背後にある室25を介して制御装置はまだ接近可能である。
【0025】
図3の実施例も同様にほぼ図1と図2の実施例に相応している。上部シェル3はドアクローザ1の長さ方向に関して分割されて構成されている。したがって制御装置10の領域と機械的な駆動エレメント5とが修理に際して選択的に開放されることができる。
【0026】
図4の実施例においては駆動エレメント5はもっぱら保持爪16として構成された受容部6によって保持されている。この保持爪16は下記シェル2の底14もしくは側壁15と一体に構成されている。したがって図4の実施例においては上部シェル3における受容部6は省略されている。
【0027】
図5には図4における実施例において図5におけるモータを使用できることが示されている。この場合にはモータケーシングは省略でき、ロータ18、ステータ19及びコレクタ20は滑り又は転がり軸受け8の軸受けシェルを介して、前記保持フック16によって位置決めされかつ係止されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施例の斜視図で、全長に亘って一貫した下部シェルと上部シェルとを有するケーシングを示した図。
【図2】第2実施例の斜視図で、長さの一部分だけに亘って一貫した上部シェルを有するケーシングを示した図。
【図3】第3実施例の斜視図で、長さに亘って分割された上部シェルを有するケーシングを示した図。
【図4】第4実施例で図1から3までとは異なった受容部を備えた下部シェルを示した平面図。
【図5】モータケーシングを省略した電気的な駆動モータを示した断面図。
【符号の説明】
【0029】
1 ドア駆動装置
2 下部シェル
3 上部シェル
4 ケーシング
5 駆動エレメント
6 受容部
7 軸受けシェル
8 滑り又は転がり軸受け
9 トランスフォーマ
10 制御装置
11 モータ
12 作動装置
13 伝動装置出力軸
14 下部シェルの底
15 下部シェルの側壁
16 保持爪
17 モータ軸
18 ロータ
19 ステータ
20 コレクタ
21 通気スリット
22 結合短管
23 接続短管
24 仕切り壁
25 室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア又はそれに類似したものの旋回障子のためのドアクローザの電気機械式の駆動装置であって、下部シェルと上部とから成るケーシングを有し、該ケーシングがドア駆動装置の駆動エレメントを受容している形式のものにおいて、前記ケーシング(4)の前記下部シェル(2)及び/又は上部シェル(3)の内部に該ケーシング(4)と一体に構成された受容部(6)が、該受容部(6)内に差し込み可能なドア駆動装置(1)の駆動エレメント(5)を不動に位置決めするために配置されていることを特徴とする、ドアのための電気機械式の駆動装置。
【請求項2】
前記受容部(6)が前記駆動エレメント(5)の滑り又は転がり軸受け(8)の軸受けシェル(7)を完全に又は部分的に取り囲んでいる、請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記下部シェル(2)と前記上部シェル(3)に前記駆動エレメント(5)の軸受けシェル(7)に対し相補的な受容部(6)が配置されている、請求項2記載の駆動装置。
【請求項4】
前記受容部(6)がインサート、例えば金属ブッシュ、ねじブッシュ又はそれに類似したものを有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項5】
前記下部シェル(2)の受容部(6)内に保持された駆動エレメント(5)の不動な位置決めが、相補的な受容部(6)を有する上部シェル(3)との伝力接続的な結合によって行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項6】
すべての駆動エレメント(5)、例えばトランスフォーマ(9)、制御装置(10)、モータ(11)、伝動装置出力軸(13)を有する伝動装置(12)が前記下部シェル(2)と一体に構成された受容部(6)に挿し込み可能でかつ前記下部シェル(3)との結合を介して固定可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ケーシング(4)がその全長に亘って下部シェル(2)と上部シェル(3)とに分割されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項8】
前記上部シェル(3)がその長さ寸法に関し、下部シェル(2)の、モータ(11)と伝動装置(12)とを受容する領域に亘って延在している、請求項1から7までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項9】
前記上部シェル(3)がその長手方向の寸法に関し、トランスフォーマ(9)と制御装置(10)とを覆う領域と、モータ(11)と伝動装置(13)とを覆う領域とに分割されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項10】
前記受容部(6)が上部シェル(3)に配置された相補的な受容部(6)を省略して下部シェル(2)の底(14)又は側壁(15)と一体に構成された、制御装置(10)、モータ(11)及び伝動装置(12)を係止する保持爪(16)として構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項11】
モータケーシングが存在しない状態でモータ軸(17)の軸受けシェル(7)が保持爪(16)に係止されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ケーシング(4)がプラスチック、亜鉛ダイカスト鋳造体、アルミニウムダイカスト鋳造体又はそれに類似したものから成っている、請求項1から11までのいずれか1項記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−516040(P2006−516040A)
【公表日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544137(P2004−544137)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011236
【国際公開番号】WO2004/035977
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(598055932)ドルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (56)
【氏名又は名称原語表記】DORMA GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Breckerfelder Strasse 42−48, D−58256 Ennepetal, Germany
【Fターム(参考)】