説明

ドアウエザストリップ、その取付構造及びその製造方法

【課題】組付性の向上を図ることのできるドアウエザストリップ、その取付構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ドア周縁にはドアウエザストリップが取着されている。ドアウエザストリップは、取付基部20、中空シール部21及びシールリップ22を備えている。取付基部20は、車内側係合部23と、車外側係合部24と、車内側係合部23近傍から突出形成された首部25とから構成されている。中空シール部21は、車内側係合部23と所定間隔Tをあけて当該車内側係合部23と略平行するように首部25から車内側へと略直線状に延出形成された底壁部26と、当該底壁部26における車内側係合部23との非対向面側に設けられたシール面構成部27とによって中空状に構成されている。そして、首部25の車内側には、中空シール部21の底壁部26と、取付基部20の車内側係合部23との間において隙間部としてのくびれ部29が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに取付けられるドアウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両のドア周縁にはドアウエザストリップが取付けられる。ドアウエザストリップは、ドア周縁に設けられた断面略C字状のリテーナに取付けられる取付基部や、当該取付基部に一体形成された中空シール部及びシールリップを備え、その大部分はいわゆる押出成形法によって成形されている。そして、ドア閉時には、ドアウエザストリップの中空シール部及びシールリップが自動車ボディのドア開口周縁に圧接する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平7−21413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、中空シール部を比較的大きくした場合などには、押出成形後などにおいて中空シール部が垂れ下ってきてしまい、中空シール部と取付基部とがくっついてしまうおそれがある。また、両者がくっつかないまでも、中空シール部が垂れ下がった状態では、中空シール部が取付基部に覆い被さり両者の間隔が狭くなる。そのため、取付基部の端部が係合されるリテーナの折返し部が両者間の隙間に挿入しづらくなる。つまり、取付基部をリテーナへ嵌め込みづらくなるおそれがあった。かかる取付基部の嵌め込みは、一般的に作業者が視覚に頼らず手探り状態で行わなければならないため、前記不具合は顕著に現われる。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、組付性の向上を図ることのできるドアウエザストリップ、その取付構造及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0006】
手段1.車両のドア周縁の取付部に取付けられ、車両本体とドアとの間をシールするドアウエザストリップであって、
前記取付部に設けられた一対の係合凹部に係合される車内側係合部及び車外側係合部と、当該車内側係合部又はその近傍から突出形成された首部とからなる取付基部と、
前記首部から車外側へと延出形成されたシールリップと、
前記車内側係合部と所定間隔をあけて当該車内側係合部と略平行するように前記首部から前記車内側へと略直線状に延出形成された底壁部、及び当該底壁部における前記車内側係合部との非対向面側に設けられたシール面構成部によって中空状に構成されてなる中空シール部とを備えたことを特徴とするドアウエザストリップ。
【0007】
上記手段1によれば、中空シール部が上記底壁部を備えることにより、略平行する中空シール部の底壁部と取付基部の車内側係合部との間に所定間隔の隙間を確保することができる。これにより、仮に中空シール部を比較的大きくした場合においても、中空シール部が車内側係合部に覆い被さり両者の間隔が狭くなるといった不具合を低減し、車内側係合部を取付部の係合凹部へ嵌め込みやすくなる。結果として、ドアウエザストリップの組付性の向上を図ることができる。さらに中空シール部を比較的大きなものとすることができ、シール性の向上を図ることもできる。
【0008】
手段2.前記取付基部はソリッド弾性材料よりなり、前記シールリップ及び少なくとも前記中空シール部のうち前記シール面構成部はスポンジ弾性材料よりなることを特徴とする手段1に記載のドアウエザストリップ。
【0009】
上記手段2によれば、取付基部をソリッド弾性材料とすることにより剛性を高め、ドアウエザストリップの組付状態での安定性が高まる。また、首部が傾倒しづらくなり、略平行する中空シール部の底壁部と車内側係合部との間の隙間をさらに維持しやすくなる。
【0010】
手段3.前記中空シール部の底壁部はソリッド弾性材料よりなることを特徴とする手段2に記載のドアウエザストリップ。
【0011】
上記手段3によれば、中空シール部の底壁部の剛性が高まり、当該中空シール部の底壁部と車内側係合部との間の隙間をさらに維持しやすくなる。結果として、上記手段1の作用効果をより確実に得ることができる。
【0012】
手段4.車両のドア周縁の取付部に設けられた一対の係合凹部に係合される車内側係合部及び車外側係合部と、当該車内側係合部又はその近傍から突出形成された首部とからなる取付基部と、
前記首部から車外側へと延出形成されたシールリップと、
前記車内側係合部と所定間隔をあけて当該車内側係合部と略平行するように前記首部から前記車内側へと略直線状に延出形成された底壁部、及び当該底壁部における前記車内側係合部との非対向面側に設けられたシール面構成部によって中空状に構成されてなる中空シール部とを備えた押出成形部を有してなり、車両本体とドアとの間をシールするよう構成されたドアウエザストリップの製造方法であって、
前記中空シール部の底壁部と前記取付基部の車内側係合部と間の前記所定間隔を維持可能なように所定の形状保持部を、自身が前記底壁部と前記車内側係合部のそれぞれに接合された状態で前記押出成形部とともに押出成形法により成形する押出成形工程と、
前記形状保持部と、前記底壁部及び前記車内側係合部のそれぞれの接合部との接合を解除する解除工程とを備えたことを特徴とするドアウエザストリップの製造方法。
【0013】
上記手段4によれば、押出成形部の成形に際し、当該押出成形部とともに形状保持部を押出成形するため、成形時に中空シール部が垂れ下がり取付基部にくっついてしまったり、中空シール部が車内側係合部に覆い被さり両者の間隔が狭くなるといった不具合を低減することができる。結果として、上記手段1と同様の作用効果が奏される。さらに、形状保持部を押出成形部とともに押出成形せず、押出成形部の成形後に取付けるようにした場合には、上記不具合が発生しやすくなるとともに、生産コストの増大や製造工程の複雑化等といった不具合が生じるおそれがあるが、本手段によれば、そのような不具合は発生しにくい。
【0014】
手段5.前記形状保持部は、前記中空シール部の前記底壁部と略直交するように配設される本体部と、当該本体部から前記車内側係合部の底面に回り込むように延出された底面支持部とからなることを特徴とする手段4に記載のドアウエザストリップの製造方法。
【0015】
上記手段5によれば、形状保持部の本体部が中空シール部の底壁部と略直交するように設けられているため、前記底壁部をより確実に支持することができる。また、本体部から車内側係合部の底面に回り込むように底面支持部が設けられているため、車内側係合部の底面との接合面(接合部)を比較的多く確保することができる。結果として、より確実に両者間の間隔を維持することができる。さらに、接合部が両者間の隙間部外に設けられることとなるため、取付基部の底面側から形状保持部の解除作業を行うことができる。そのため、仮に両者間の隙間部内に接合部が設けられた場合に比べて、より作業を行いやすくなる。結果として、作業性の向上を図ることができる。
【0016】
手段6.前記形状保持部の底面は、前記中空シール部の底壁部の先端部と前記車外側係合部の底面の少なくとも一部とを結ぶ直線状に沿って形成されていることを特徴とする手段4又は5に記載のドアウエザストリップの製造方法。
【0017】
上記手段6によれば、押出成形後などにおいてドアウエザストリップ(押出成形部)を載置する際、三点で支持することでき、より安定して形状を維持できる。
【0018】
手段7.前記形状保持部は、前記底壁部と前記車内側係合部のそれぞれとの接合部(接合面)が断面略鋸歯状に構成されていることを特徴とする手段4乃至6のいずれかに記載のドアウエザストリップの製造方法。
【0019】
上記手段7によれば、接合箇所が略点接触となる、つまり接合箇所の厚みが十分薄くなるため、例えば作業者が手作業等で押出成形部から形状保持部を比較的容易に剥がすことができ、解除工程における作業性の向上を図ることができる。
【0020】
手段8.前記形状保持部は、ソリッド弾性材料よりなることを特徴とする手段4乃至7のいずれかに記載のドアウエザストリップの製造方法。
【0021】
上記手段8によれば、より確実に上記手段4の作用効果が奏される。
【0022】
手段9.前記取付基部はソリッド弾性材料よりなり、前記シールリップ及び少なくとも前記中空シール部のうち前記シール面構成部はスポンジ弾性材料よりなることを特徴とする手段4乃至8のいずれかに記載のドアウエザストリップの製造方法。
【0023】
上記手段9によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0024】
手段10.前記中空シール部の底壁部はソリッド弾性材料よりなることを特徴とする手段9に記載のドアウエザストリップ。
【0025】
上記手段10によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
【0026】
手段11.車両のドア周縁において、車内外一対の折返し部によって画定される一対の係合凹部を有する取付部に取付けられるドアウエザストリップの取付構造であって、
前記ドアウエザスリップは、
前記一対の係合凹部に係合される車内側係合部及び車外側係合部と、当該車内側係合部又はその近傍から突出形成された首部とからなる取付基部と、
前記首部から車外側へと延出形成されたシールリップと、
前記車内側係合部と所定間隔をあけて当該車内側係合部と略平行するように前記首部から前記車内側へと略直線状に延出形成された底壁部、及び当該底壁部における前記車内側係合部との非対向面側に設けられたシール面構成部によって中空状に構成されてなる中空シール部とを備え、
前記中空シール部の底壁部と前記取付基部の車内側係合部との間の隙間部に、前記ドア周縁の車内側の前記折返し部の先端部を差し込みつつ、前記車内側係合部を車内側の前記係合凹部に嵌め込むようにしたことを特徴とするドアウエザストリップの取付構造。
【0027】
上記手段11によれば、中空シール部の底壁部に車内側の折返し部の先端部を当接させてドアウエザストリップを車内側に摺動させていき、折返し部の先端部を隙間部内に差し込みつつ、車内側係合部を車内側の係合凹部に嵌め込むことができる。従って、上記手段1と同様の作用効果が奏され、ドアウエザストリップの組付性の向上を図ることができる。
【0028】
手段12.前記車両のドア周縁において車外方向へ延出した平坦部を備え、
前記平坦部の先端部近傍において前記取付部が設けられ、
前記中空シール部の底壁部の先端部が前記平坦部に当接するよう構成されていることを特徴とする手段11に記載のドアウエザストリップの取付構造。
【0029】
上記手段12によれば、中空シール部の底壁部の先端部を平坦部に当接させてドアウエザストリップを車内側に摺動させていき、折返し部の先端部を隙間部内に差し込みつつ、車内側係合部を車内側の係合凹部に嵌め込むことができる。結果として、さらなるドアウエザストリップの組付性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、車両(車両本体)としての自動車ボディ1の開口部2には自動車ドア(図ではフロントドア:以下、単に「ドア」という)3が開閉可能に設けられている。また、自動車ボディ1の開口部2には、自動車ボディ1とドア3との間をシールするウエザストリップ4が取着されている。同様に、ドア3には、その外周形状に対応してドアウエザストリップ5が取着されている。
【0032】
次に図1のJ−J線部分断面図である図2を参照し、ドアフレーム7部分の構成を基に、ドアウエザストリップ5の構成及びその取付構造について詳しく説明する。
【0033】
ドアフレーム7は、車外側に向け突出した2つの金属板よりなる平坦部10を備えている。平坦部10の先端部には、前記2つの金属板を挟持するクリップ11が取着されている。さらに、平坦部10の先端部には硬質樹脂材料よりなるフレームモール12が取着されている。
【0034】
フレームモール12は車外側側面に沿って設けられた外壁部13と、当該外壁部13から車内側へ略直交するように突出した取付部としてのリテーナ部14とから構成されている。そして、フレームモール12は、リテーナ部14が平坦部10の上面に配設された状態でクリップ15によって平坦部10に固定されている。
【0035】
また、リテーナ部14の車内側端部には、当該端部が車外側に向け折り曲げられることにより折返し部16が形成されている。一方、外壁部13の上端部には、当該上端部が車内側に折り曲げられることにより折返し部17が形成されている。これにより、リテーナ部14は、上方に向け開口した断面略C字状をなし、その車内外両端部において前記一対の折返し部16,17によって画定される車内外一対の係合凹部18,19を備えることとなる。
【0036】
次にドアウエザストリップ5について説明する。ドアウエザストリップ5は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に(長尺状に)形成された押出成形部と、当該押出成形部の端縁を連結するようにして所定の金型装置によって当該押出成形部に連続的に接続成形された型成形部とから構成されている。
【0037】
ドアウエザストリップ5は、上記リテーナ14に取付けられる取付基部20と、当該取付基部20に一体形成された中空シール部21及びシールリップ22とを備えている。本実施形態において、取付基部20はソリッド弾性材料としてのEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)ソリッドゴムよって構成され、中空シール部21及びシールリップ22はスポンジ弾性材料としてのEPDMスポンジゴムよって構成されている。
【0038】
より詳しくは、取付基部20は、車内側の係合凹部18に係合される車内側係合部23と、車外側の係合凹部19に係合される車外側係合部24と、当該車内側係合部23近傍の取付基部20本体との略境界部から突出形成された首部25とから構成されている。
【0039】
また、シールリップ22は、首部25の先端部から車外側へ延出形成されている。一方、中空シール部21は、車内側係合部23と所定間隔Tをあけて当該車内側係合部23と略平行するように首部25から車内側へと略直線状に延出形成された底壁部26と、当該底壁部26における車内側係合部23との非対向面側に設けられた断面略円弧状のシール面構成部27とによって中空状に構成されている。そして、首部25の車内側には、中空シール部21の底壁部26と、取付基部20の車内側係合部23との間において隙間部としてのくびれ部29が形成される。
【0040】
さて、上記の構成を有してなるドアウエザストリップ5をリテーナ部14に取付ける際には、中空シール部21の底壁部26の先端部を上記平坦部10に当接させつつ、底壁部26に車内側の折返し部16の先端部を当接させて、ドアウエザストリップ5を車内側に摺動させていく。そして、折返し部16の先端部をくびれ部29内に差し込みつつ、車内側係合部23を車内側の係合凹部18に嵌め込む。次に、車外側係合部24を車外側の係合凹部19に係合させ、取付けを完了する。そして、ドアウエザストリップ5の取付状態にあっては、中空シール部21の底壁部26の先端部が平坦部10に当接した状態となっている。
【0041】
次に、上記の構成を有してなるドアウエザストリップ5の製造方法について説明する。まず、図示しない押出成形機を用い、公知の押出成形法により押出成形部を成形する。なお、この押出成形工程の段階では、押出成形部においてくびれ部29の間隔Tを維持可能なように、形状保持部30が、中空シール部21の底壁部26及び取付基部20の車内側係合部23それぞれに接合された状態で、ドアウエザストリップ5とともに押出成形される。
【0042】
形状保持部30は、EPDMソリッドゴムよって構成され、中空シール部21の底壁部26と略直交するように配設される本体部31と、当該本体部31から車内側係合部23の底面に回り込むように延出された底面支持部32とから構成されている。また、形状保持部30の底面33は、中空シール部21の底壁部26の先端部41と車外側係合部24の底面の所定部位43とを結ぶ直線状に沿って形成される(図3参照)。
【0043】
また、本体部31における底壁部26との対向面、及び底面支持部32における車内側係合部23との対向面、つまり底壁部26及び車内側係合部23それぞれとの接合部(接合面)34,35は、それぞれ複数の断面略三角形状よりなる断面略鋸歯状に形成されている。
【0044】
さて、上記押出成形後、中空シール部21の底壁部26との接合部34、及び車内側係合部23との接合部35の接合を解除する。この場合、略波形状に形成された接合部34,35では、各接合箇所の厚みが十分薄いため、手作業、或いは刃物等を用いて押出成形部から形状保持部30を容易に分離させることができる。
【0045】
次に、上記押出成形部を金型装置(図示せず)にセットし、型成形部の成形を行う。そして、押出成形部に型成形部が接続されてなるドアウエザストリップ5が得られる。
【0046】
以上詳述したように、中空シール部21が底壁部26を備えることにより、略平行する中空シール部21の底壁部26と取付基部20の車内側係合部23との間に所定間隔Tのくびれ部29を確保することができる。これにより、本実施形態のように中空シール部21を比較的大きくした場合においても、中空シール部21が車内側係合部23に覆い被さり両者の間隔が狭くなるといった不具合を低減し、車内側係合部23をリテーナ部14の車内側の係合凹部18に嵌め込みやすくなる。結果として、ドアウエザストリップ5の組付性の向上を図ることができる。さらに中空シール部21を比較的大きなものとすることができ、シール性の向上を図ることもできる。
【0047】
また、押出成形部の成形に際し、当該押出成形部とともに形状保持部30を押出成形するため、成形時に中空シール部21が垂れ下がり取付基部20(車内側係合部23)にくっついてしまったり、中空シール部21が車内側係合部23に覆い被さり両者の間隔が狭くなるといった不具合を低減することができる。さらに、仮に形状保持部30を押出成形部とともに押出成形せず、押出成形部の成形後に取付けるようにした場合に比べて、上記不具合の発生はもとより生産コストの増大や製造工程の複雑化等といった不具合の発生を低減することができる。
【0048】
また、形状保持部30の本体部31が中空シール部21の底壁部26と略直交するように設けられているため、底壁部26をより確実に支持することができる。さらに、本体部31から車内側係合部23の底面に回り込むように底面支持部32が設けられているため、車内側係合部23の底面との接合部35を比較的多く確保することができる。結果として、より確実に両者間の間隔を維持することができる。加えて、各接合部34,35がくびれ部29外に設けられているため、仮にくびれ部29内に接合部34,35が設けられた場合に比べて、形状保持部30の解除作業をより容易に行うことができる。結果として、作業性の向上を図ることができる。
【0049】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0050】
(a)上記実施形態では、フロントドア3用のドアウエザストリップ5について具体化したが、取付けられるドアの部位は何ら限定されるものではなく、例えばリヤドアに取着されるドアウエザストリップにも適用することもできる。
【0051】
(b)上記実施形態では、ドアウエザストリップ5をEPDMにより構成しているが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の他の素材により構成してもよい。
【0052】
(c)上記実施形態では、中空シール部21全体がEPDMスポンジゴムよって構成されているが、これに限らず、少なくとも中空シール部21のうちシール面構成部27がEPDMスポンジゴム(スポンジ弾性材料)より構成されればよく、例えば中空シール部21の底壁部26がソリッド弾性材料によって構成されてもよい。このようにすれば、中空シール部21の底壁部26の剛性が高まり、当該中空シール部21の底壁部26と車内側係合部23との間の隙間をさらに維持しやすくなる。
【0053】
(d)形状保持部30の構成は上記実施形態に限られるものではない。例えば、形状保持部がくびれ部29内に設けられた構成としてもよいし、車内側係合部23の底面に回り込む底面支持部32を省略した構成としてもよい。また、形状保持部30の底面33が、中空シール部21の底壁部26の先端部41と車外側係合部24の底面の所定部位43とを結ぶ直線状に沿って形成されていなくともよい。さらに、底壁部26及び車内側係合部23それぞれとの接合部34,35が断面略波形状に形成されていなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】フロントドアが開状態にある自動車の斜視図である。
【図2】図1におけるJ−J線断面図である。
【図3】押出成形直後の押出成形部の断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1…車両(車両本体)としての自動車ボディ、3…自動車ドア、5…ドアウエザストリップ、10…平坦部、14…取付部としてのリテーナ部、16,17…折返し部、18,19…係合凹部、20…取付基部、21…中空シール部、22…シールリップ、23…車内側係合部、24…車外側係合部、25…首部、26…底壁部、27…シール面構成部、29…隙間部としてのくびれ部、30…形状保持部、31…本体部、32…底面支持部、34,35…接合部、T…所定間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア周縁の取付部に取付けられ、車両本体とドアとの間をシールするドアウエザストリップであって、
前記取付部に設けられた一対の係合凹部に係合される車内側係合部及び車外側係合部と、当該車内側係合部又はその近傍から突出形成された首部とからなる取付基部と、
前記首部から車外側へと延出形成されたシールリップと、
前記車内側係合部と所定間隔をあけて当該車内側係合部と略平行するように前記首部から前記車内側へと略直線状に延出形成された底壁部、及び当該底壁部における前記車内側係合部との非対向面側に設けられたシール面構成部によって中空状に構成されてなる中空シール部とを備えたことを特徴とするドアウエザストリップ。
【請求項2】
前記取付基部はソリッド弾性材料よりなり、前記シールリップ及び少なくとも前記中空シール部のうち前記シール面構成部はスポンジ弾性材料よりなることを特徴とする請求項1に記載のドアウエザストリップ。
【請求項3】
前記中空シール部の底壁部はソリッド弾性材料よりなることを特徴とする請求項2に記載のドアウエザストリップ。
【請求項4】
車両のドア周縁の取付部に設けられた一対の係合凹部に係合される車内側係合部及び車外側係合部と、当該車内側係合部又はその近傍から突出形成された首部とからなる取付基部と、
前記首部から車外側へと延出形成されたシールリップと、
前記車内側係合部と所定間隔をあけて当該車内側係合部と略平行するように前記首部から前記車内側へと略直線状に延出形成された底壁部、及び当該底壁部における前記車内側係合部との非対向面側に設けられたシール面構成部によって中空状に構成されてなる中空シール部とを備えた押出成形部を有してなり、車両本体とドアとの間をシールするよう構成されたドアウエザストリップの製造方法であって、
前記中空シール部の底壁部と前記取付基部の車内側係合部と間の前記所定間隔を維持可能なように所定の形状保持部を、自身が前記底壁部と前記車内側係合部のそれぞれに接合された状態で前記押出成形部とともに押出成形法により成形する押出成形工程と、
前記形状保持部と、前記底壁部及び前記車内側係合部のそれぞれの接合部との接合を解除する解除工程とを備えたことを特徴とするドアウエザストリップの製造方法。
【請求項5】
前記形状保持部は、前記中空シール部の前記底壁部と略直交するように配設される本体部と、当該本体部から前記車内側係合部の底面に回り込むように延出された底面支持部とからなることを特徴とする請求項4に記載のドアウエザストリップの製造方法。
【請求項6】
前記形状保持部の底面は、前記中空シール部の底壁部の先端部と前記車外側係合部の底面の少なくとも一部とを結ぶ直線状に沿って形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のドアウエザストリップの製造方法。
【請求項7】
前記形状保持部は、前記底壁部と前記車内側係合部のそれぞれとの接合部が断面略鋸歯状に構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のドアウエザストリップの製造方法。
【請求項8】
前記形状保持部は、ソリッド弾性材料よりなることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のドアウエザストリップの製造方法。
【請求項9】
車両のドア周縁において、車内外一対の折返し部によって画定される一対の係合凹部を有する取付部に取付けられるドアウエザストリップの取付構造であって、
前記ドアウエザスリップは、
前記一対の係合凹部に係合される車内側係合部及び車外側係合部と、当該車内側係合部又はその近傍から突出形成された首部とからなる取付基部と、
前記首部から車外側へと延出形成されたシールリップと、
前記車内側係合部と所定間隔をあけて当該車内側係合部と略平行するように前記首部から前記車内側へと略直線状に延出形成された底壁部、及び当該底壁部における前記車内側係合部との非対向面側に設けられたシール面構成部によって中空状に構成されてなる中空シール部とを備え、
前記中空シール部の底壁部と前記取付基部の車内側係合部との間の隙間部に、前記ドア周縁の車内側の前記折返し部の先端部を差し込みつつ、前記車内側係合部を車内側の前記係合凹部に嵌め込むようにしたことを特徴とするドアウエザストリップの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−15768(P2006−15768A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192421(P2004−192421)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】