説明

ドアハンドル構造及びドア

【課題】把手板に換気機能とドアハンドルの機能を持たせたドアハンドル構造及びドアを提供すること。
【解決手段】扉本体2に空気の通路となる開口部4を形成する。開口部4に扉本体2に開閉可能に軸支される把手板9を配設する。把手板9の中央部に扉本体2の開閉及び把手板9の開閉を可能に形成した貫通孔10を設ける。貫通孔10に手を挿入して把持して把手板9を扉本体2に対して直交するように開けることにより扉本体2を閉めたまま換気する。換気しない場合には、把手板9を扉本体2に対して面一になるように閉めて扉本体2をフラットな状態にする。貫通孔10に手を挿入して把持して扉本体2の開閉を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気機能を有するドアハンドル構造及びドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の建築技術向上の結果、室内の密閉性が高くなり空気を換気することが必要となってきた。
【0003】
これに対し、特許文献1には、ドア枠内で開閉自在に枢支され、室外面側に凹設形成した収納凹部を有するドア板と、防虫網体を着脱可能に嵌め込むよう収納凹部の室内面側に形成した窓枠部と、収納凹部の開口面に嵌め入れられているスライド板と、ドア板の収納凹部、スライド板夫々の両端縁部同士を連結すべく介設され、スライド板の収納凹部内への収納退避に応じて折り畳み可能とした通風・換気性を有する左右一対の通気板と、スライド板を収納凹部内外で進出・収納させるようにしたスライド板進退機構とから成るドアにおける換気装置があった。
【0004】
当該ドアにおける換気装置は、ドア板からスライド板を迫り出して通気可能にし、あるいは収納して閉塞するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−159279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のドアにおける換気装置は、スライド板、通気板、防虫網体等の部材をスライド板進退機構やガイド機構を用いて進出・収納させるため複雑な構造となっていた。また、収納時においてもドア板から突起物が多くぶつかって怪我をしたり、ドア自体のデザインを損ねたりするという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、扉本体に配設されて換気機能を有するドアハンドル構造であって、
該扉本体には、空気の通路となる開口部が形成され、
該開口部には、該扉本体に開閉可能に軸支される把手板が配設され、
該扉本体と該把手板を回動可能に連結する軸部を備え、
該把手板には、該扉本体の開閉及び該把手板の開閉をさせる把手部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、該把持部が、該把手板に手を挿入可能な貫通孔であることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、該把手板が、平面視略S字状に形成され、該把持部が、該把手板の水平方向の両端部を手で把持可能に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、該軸部が、該把手板を緩速又は間欠に回動させる部材を有して構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、該把手板の水平方向の両端面には、手の挟み込みを防止する弾性体が止着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4、又は5記載のドアハンドル構造のうちいずれか一つのドアハンドル構造を備えているドアであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明では、把手板に換気機能とドアハンドルの機能を持たせることで、換気装置を簡易な構造とすることができる。把手板を扉本体に対して直交させるように開けることにより扉本体を閉めたまま換気が可能となる。把手板を扉本体に対して直交させて開放換気状態にしても、把手板を扉本体に対して面一にして閉鎖状態にしても、把手部で容易に扉本体の開閉及び把手板の開閉をすることができる。
【0014】
請求項2記載の発明では、把手板に設けた貫通孔によって、手を挿入して容易に扉本体の開閉及び把手板の開閉をすることができる。把手板を扉本体に対して直交させるように開けることにより扉本体を閉めたまま換気が可能となる。把手板を扉本体に対して面一にして扉本体をフラットな状態にでき、突起物が無くなるため、突起物に人がぶつかって怪我をしたりするのを防止することができ、デザイン性も高める事ができる。
【0015】
請求項3記載の発明では、把手板を平面視略S字状に形成するとともに、把持部を手で把持可能に形成されているので、手で容易に扉本体の開閉及び把手板の開閉をすることができる。把手板を扉本体に対して直交させるように開けることにより扉本体を閉めたまま換気が可能となる。把手板を扉本体に沿って配置することで、突起物が無くなるため、突起物に人がぶつかって怪我をしたりするのを防止することができ、デザイン性も高める事ができる。
【0016】
請求項4記載の発明では、把手板を扉本体に対して緩速又は間欠に回動させる部材を有した軸部によって連結している。よって、把手板の速い開閉を制限して開口部と把手板との間で手を挟むことを防止して安全を確保することができる。
【0017】
請求項5記載の発明では、手の挟み込みを防止する弾性体を止着することによって開口部と把手板との間で手を挟むことがなくなり、把手板開閉時の安全を確保することができる。
【0018】
請求項6記載の発明では、ドアに備えられている、上述した請求項1乃至5記載のうちのいずれかのドアハンドル構造の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における第1の実施形態のドアハンドル構造が取り付けられた状態を示す正面図である。
【図2】図1における把手板を扉本体に直交させた状態の正面図である。
【図3】本発明における第1の実施形態のドアハンドル構造が取り付けられた状態を示す平面断面図である。
【図4】図1における把手板の(a)は貫通孔部分以外の平面断面図であり、(b)は貫通孔部分の平面断面図である。
【図5】本発明における第1の実施形態のドアハンドル構造の把手板取付部分を示す側面断面図である。
【図6】本発明における第1の実施形態のドアハンドル構造のガラス板取付部分を示す側面断面図である。
【図7】本発明における第2の実施形態のドアハンドル構造の(a)は把手板の平面断面図であり、(b)は把手板を扉本体に直交させた状態の平面断面図である。
【図8】本発明における第3の実施形態のドアハンドル構造が取り付けられた状態を示す正面図である。
【図9】本発明におけるドアハンドル構造の把手板の変形例の平面断面図である。
【図10】本発明におけるドアハンドル構造の変形例の正面図である。
【図11】本発明におけるドアハンドル構造の貫通孔の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明におけるドアハンドル構造の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、図1における上下を上下方向、左右を左右方向、とする。
【0021】
図1に示すとおり、ドア100は、ドアハンドル構造1を備えて構成されている。ドアハンドル構造1は、開口部4が形成された扉本体2に把手板9が配設され開閉可能に軸支されて形成されている。
【0022】
扉本体2は、図1、図2、図3に示すとおり、建築物の出入口等に設置された図示しないドア枠に開閉可能に枢支されて設置されている。扉本体2は、木材で矩形平板状に形成されている。
【0023】
扉本体2の左側の端部付近には、上下方向に沿って長尺で矩形状の穴部3が形成されている。穴部3は、切削加工等により扉本体2を貫通して形成されている。穴部3の外縁には、上開口枠部5aと、下開口枠部5bと、左開口枠部5cと、上採光枠部7aと、縦採光枠部7bと、下採光枠部7cと、が設けられている。穴部3は、上下方向に沿って設けられた右開口枠部5dによって、空気の通路となる開口部4と採光する採光部6と、に区画されている。
【0024】
把手板9は、上下方向に長尺な矩形形状に木材で形成されて開口部4に配置されている。中央部に扉本体2の開閉及び把手板9の開閉を可能に形成された貫通孔10が設けられている。貫通孔10は、把手板9の上下方向の中央部に上下方向に沿って長尺で矩形状に形成され、手を挿入して把持可能に形成されている。図4(a)に示すとおり、貫通孔10が形成される把手板9の中央部以外の平面視における断面は、略十字状に形成されている。図4(b)に示すとおり、貫通孔10が形成される把手板9の中央部の平面視における断面は、貫通孔10部分が手で把持しやすいように湾曲した形状に抜かれて形成されている。
【0025】
図1、図2、図5に示すとおり、把手板9の上端面の幅方向の中央部には、軸11が嵌入される軸支孔12が設けられている。軸11は、一方の端部が軸支孔12に嵌入可能に形成されて軸支孔12に嵌入され、他方の端部が把手板9を緩速回動させるロータリダンパ13に止着されている。把手板9と扉本体2がロータリダンパ13及び軸11を介して回動可能に軸支され連結されている。
【0026】
把手板9の下端面の幅方向の中央部には、軸14が嵌入される軸支孔15が設けられている。軸14は、一方の端部が軸支孔15に嵌入可能に形成され、他方の端部が下開口枠部5bの軸14に対向する位置に設けられた軸受け孔17に挿入可能に形成されている。軸支孔15に軸14の一方の端部が嵌入されている。軸14は、下端部から全長の約四分の一の位置に、軸14の直径より大きい拡径部16を有している。軸14の他方の端部を軸受け孔17に挿入して、拡径部16と下開口枠部5bを当接させて、把手板9と扉本体2が下開口枠部5b及び軸14を介して回動可能に軸支され連結されている。
【0027】
上開口枠部5aと、下開口枠部5bと、左開口枠部5cは、開口部4の外縁に嵌入されネジ等で止着されている。右開口枠部5dは、上開口枠部5aと、下開口枠部5bと、を連結するように配置されている。
【0028】
上開口枠部5aの軸11に対向する位置にロータリダンパ13が止着されている。扉本体2のロータリダンパ13に対応する位置に、ロータリダンパ13が配置される孔22が設けられている。下開口枠部5bの軸14に対向する位置に軸受け孔17が設けられている。扉本体2の軸受け孔17に対応する位置に、軸14を配置する孔23が設けられている。
【0029】
図1、図2、図6に示すとおり、開口部4に連接して、右開口枠部5dで区画された採光するための採光部6が設けられている。採光部6の縁部には、採光用のガラス板8を支持するための上採光枠部7aと、縦採光枠部7bと、下採光枠部7cと、が設けられている。これらに加え、開口部4と、採光部6と、を区画する右開口枠部5dで光を透過するガラス板8が支持されている。上採光枠部7aと、縦採光枠部7bと、下採光枠部7cは、採光部6の外縁に嵌入されネジ等で止着されている。
【0030】
以下に本実施形態のドアハンドル構造1の使用方法の説明をする。
【0031】
図1に示すとおり、建築物の出入口等に設置された扉本体2を、把手板9が扉本体2に対して面一な状態に配設して、閉めておく。
【0032】
室内の空気を換気したい場合は、図2、図5に示すとおり、貫通孔10に手を挿入して把手板9を把持して扉本体2に直交するように開ける。換気が終了したら、貫通孔10に手を挿入して把手板9を把持して扉本体2に対して面一な状態にして閉じる。
【0033】
扉本体2を開閉させる場合、把手板9が扉本体2に対して面一な状態な場合には、貫通孔10に手を挿入して把手板9を把持してそのまま扉本体2を引っ張る又は押して開閉させる。また、把手板9が扉本体2に対して直交した状態にしてから、把手板9を把持してそのまま扉本体2を引っ張る又は押して開閉させてもよい。
【0034】
本実施形態のドアハンドル構造1は、把手板9に換気機能と扉本体2の開閉機能を持たせることで、換気装置を簡易な構造とすることができる。
【0035】
把手板9に設けた貫通孔10によって、挿入した手で容易に扉本体2の開閉及び把手板9の開閉をすることができる。把手板9を扉本体2に対して直交させるように開けることにより扉本体2を閉めたまま換気が可能となる。換気しない場合には、把手板9を扉本体2に対して面一にして扉本体2をフラットな状態に閉じることができ、突起物が無くなるため、突起物に人がぶつかって怪我をしたりするのを防止することができ、デザイン性も高める事ができる。
【0036】
把手板9を扉本体2に対して緩速に回動させるロータリダンパ13によって軸支している。よって、把手板9の速い開閉を制限して開口部4と把手板9との間で手を挟むことを防止して安全を確保することができる。
【0037】
本実施形態では、扉本体2を木材で形成したが材料としては、例えば、アルミ等の金属や、合成樹脂等の既存の全てのものを用いることができる。また、扉本体2の構造もハニカム構造等既存の全てのものを用いることができる。
【0038】
本実施形態では、把手板9の開閉を制限する手段としては、ロータリダンパ13を用いたが、間欠回動機能を有するラチェット等の部材を用いてもよい。
【0039】
また、把手板9を扉本体2に対して直交させて換気する際に、把手板9の直交状態を維持するために小型のドアクローザーや、ドアチェッカー等を補助的に用いて把手板9と扉本体2を連結してもよい。
【0040】
把手板9が扉本体2に対して開き放しにならないように、小型のドアクローザーや、ドアチェッカー等を補助的に用いて自動的に扉本体2に対して把手板9が面一状態になるように、把手板9と扉本体2を連結してもよい。
【0041】
本発明におけるドアハンドル構造の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図7(a)、(b)において左右方向を左右とし、上下方向を上下とする。以下の説明以外の構成は第1の実施形態と、同様のものとする。
【0042】
本実施形態のドア100aは、ドアハンドル構造1aを備えて構成されている。ドアハンドル構造1aは、図7(a)に示すとおり、把手板9aは、平面視における断面が略S字状に形成され開口部4aに配設されている。把手板9aの左右方向の両端部には、略U字状にカーブが形成されて、把手板9aが扉本体2に対して突出しない状態でも、扉本体2に対して直交する状態でも、手で把持可能に形成された把持部18が設けられている。把手板9aの上下方向の全長は、扉本体2の上下方向の全長を超えない様に形成されている。
【0043】
なお、開口部4aの外縁には、上開口枠部5aと、下開口枠部5bと、左開口枠部5cと、右開口枠部5dは、設けられていない。
【0044】
本実施形態のドアハンドル構造1aの使用方法としては、図7(a)に示すとおり、把手板9aが扉本体2に対して突出しない状態にして閉められた状態にしておく。
【0045】
室内の空気を換気したい場合は図7(b)に示すとおり、略U字状に形成された把持部18を手で把持して把手板9aを扉本体2に直交するように開ける。換気が終了したら、把持部18を手で把持して把手板9aを扉本体2に対して突出しない状態にして閉める。
【0046】
扉本体2を開閉させる場合は、先ず、把持部18を手で把持して把手板9aを扉本体2に直交するように開ける。次に、把持部18を介して扉本体2を引っ張る又は押して開閉させる。
【0047】
本実施形態のドアハンドル構造1aでは、把手板9aに換気機能と扉本体2の開閉機能を持たせ、一体に形成することで、換気装置を簡易な構造とすることができる。把手板9aを平面視略S字状に形成するとともに、把持部18を手で把持可能に形成されている。把手板9aを扉本体2に対して直交させるように開けることにより扉本体2を閉めたまま換気が可能となる。把手板9aを扉本体2に対して直交させて開放換気状態にしても、把手板9aを扉本体2に沿って配置して扉本体2を閉鎖したときでも、手で把持部18を把持して容易に扉本体2の開閉及び把手板9aの開閉をすることができる。把手板9aを扉本体2に沿って配置することで、突起物が無くなるため、突起物に人がぶつかって怪我をしたりするのを防止することができ、デザイン性も高める事ができる。
【0048】
また、第1の実施形態における貫通孔10のような孔部分を設けていないので、把手板9aを扉本体2に沿って配置することで扉本体2を閉めたときでも、部屋の気密性を高めることができる。
【0049】
本発明におけるドアハンドル構造の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明以外の構成は第1の実施形態と、同様のものとする。図8の上下左右方向を上下左右とする。
【0050】
図8に示すとおり、ドア100bは、ドアハンドル構造1bを備えて構成されている。ドアハンドル構造1bは、扉本体2bの左側の端部には、上下方向に沿って矩形状の開口部4bが形成されている。
【0051】
把手板9bは、上下方向に長尺な矩形平板形状に形成され、開口部4bに配置されている。把手板9bの中央部には、扉本体2bの開閉及び把手板9bの開閉を可能に形成された貫通孔10b設けられている。貫通孔10bは、把手板9bの上下方向の中央部に上下方向における中心線に沿って矩形状に形成され、手を挿入して把持可能に形成されている。
【0052】
把手板9bの上端面の左右方向の中央部には、軸11bが嵌入される軸支孔12bが設けられている。軸支孔12bに軸11bの一方の端部が嵌入されている。軸11bに対向する上開口枠部5Aの位置に軸受け孔19aが設けられている。扉本体2bの軸受け孔19aに対応する位置に、軸11bを配置する孔22bが設けられている。軸11bの他方の端部を軸受け孔19aに挿入して、把手板9bと扉本体2bが上開口枠部5Aと軸11bを介して回動可能に軸支され連結されている。
【0053】
把手板9bの下端面の左右方向の中央部には、軸14bが嵌入される軸支孔15bが設けられている。軸支孔15bに軸14bの一方の端部が嵌入されている。軸11bに対向する下開口枠部5Bの位置に軸受け孔19bが設けられている。扉本体2bの軸受け孔19bに対応する位置に、軸14bを配置する孔23bが設けられている。軸14bの他方の端部を軸受け孔19bに挿入して、把手板9と扉本体2bが下開口枠部5Bと軸14bを介して回動可能に軸支され連結されている。
【0054】
把手板9bを開口部4bに配設しやすくするため、軸11b、軸14bのいずれか、又は両方に、上下方向の長さを調節可能な部材を用いるのが望ましい。
【0055】
本実施形態のドアハンドル構造1bの使用方法を説明する。
【0056】
図8に示すとおり、建築物の出入口等に設置された扉本体2bを、把手板9bが扉本体2bに対して面一な状態に配設して、閉めておく。
【0057】
室内の空気を換気したい場合は、第1の実施形態における図2、図3と同様に、貫通孔10bに手を挿入して把手板9bを把持して扉本体2bに直交するように開ける。換気が終了したら、貫通孔10bに手を挿入して把手板9bを把持して扉本体2bに対して面一な状態にして閉じる。
【0058】
扉本体2bを開閉させる場合、把手板9bが扉本体2に対して面一な状態な場合には、貫通孔10bに手を挿入して把手板9bを把持してそのまま扉本体2を引っ張る又は押して開閉させる。また、把手板9bが扉本体2bに対して直交した状態にしてから、把手板9bを把持してそのまま扉本体2bを引っ張る又は押して開閉させてもよい。
【0059】
本実施形態のドアハンドル構造1bは、把手板9bに換気機能と扉本体2bの開閉の機能を持たせることで、換気装置を簡易な構造とすることができる。把手板9bに設けた貫通孔10bによって、挿入した手で容易に扉本体2の開閉及び把手板9bの開閉をすることができる。把手板9bを扉本体2bに対して直交させるように開けることにより扉本体2を閉めたまま換気が可能となる。
【0060】
換気しない場合には、把手板9bを扉本体2bに対して面一にして扉本体2bを閉めてフラットな状態にでき、突起物が無くなるため、突起物に人がぶつかって怪我をしたりするのを防止することができ、デザイン性も高める事ができる。
【0061】
本実施形態では、把手板9bに軸11b及び軸14bを嵌入しているが、軸部分を把手板9bと一体成形してもよい。
【0062】
本発明の第1及び第3の実施形態における把手板9及び把手板9bの変形例を、図9に示す。図9における左右方向を左右とする。
【0063】
把手板9及び把手板9bの左右方向の長さを、開口部4及び開口部4bの左右方向の長さより短く形成して、左右方向の両端面に弾性体20が止着されている。手の挟み込みを防止する弾性体20を止着することによって左開口枠部5c及び右開口枠部5dと把手板9bとの間で手を挟むことがなくなり、把手板開閉時の安全を確保することができる。また、弾性体20で空気の漏れを防止するようにしてもよい。さらに、第2の実施形態における把手板9aに弾性体20を止着して同様の効果を得るようにしてもよい。
【0064】
把手板の形状及び取付方法は、上述した形態には、こだわらない。変形例を図面に基づいて説明する。図10における左右方向を左右とし、上下方向を上下とする。例えば、ドア100cは、ドアハンドル構造1cを備えて構成されている。ドアハンドル構造1cは、図10に示すとおり、扉本体2cには、開口部4cが左右方向に長尺で中央部に形成されている。把手板9cは、左右方向に長尺な矩形形状に木材で形成されて開口部4cに配置されている。
【0065】
把手板9cの左端面の幅方向の中央部には、軸11cが嵌入される軸支孔12cが設けられている。軸支孔12bに軸11bの一方の端部が嵌入されている。軸11cに対向する左開口枠部5Cの位置に軸受け孔19cが設けられている。扉本体2cの対応する位置に、軸11cを配置する孔22cが設けられている。軸11cの他方の端部を軸受け孔19cに挿入して、把手板9cと扉本体2cが軸11cによって回動可能に軸支され連結されている。
【0066】
把手板9cの右端面の幅方向の中央部には、軸14cが嵌入される軸支孔15cが設けられている。軸支孔15cに軸14cの一方の端部が嵌入されている。軸11cに対向する右開口枠部5Dの位置に軸受け孔19dが設けられている。扉本体2cの軸受け孔19dに対応する位置に、軸14cを配置する孔23cが設けられている。軸14cの他方の端部を軸受け孔19dに挿入して、把手板9cと扉本体2cが軸14cによって回動可能に軸支され連結されている。
【0067】
把手板9cを開口部4cに配設しやすくするため、軸11c、軸14cのいずれか、又は両方に、左右方向の長さを調節可能な部材を用いるのが望ましい。
【0068】
把手板9cの左側の端部には、上下方向に沿って扉本体2cを回動可能に形成される貫通孔10cが設けられている。貫通孔10cより中央寄りに、把手板9cを回動可能に形成される貫通孔10dが設けられている。
【0069】
把手板の形状及び取付方法に応じて、貫通孔の位置や機能を変化させることで、手で扉本体2cの開閉及び把手板9cの開閉をしやすくすることができる。
【0070】
図11に示すとおり、貫通孔10eは、把手板9eの上下方向の中央部に上下方向における中心線に沿って平行に複数設けてもよい。
【0071】
把手板の形状は、上述した形状にはこだわらない。例えば、丸型、星型、十字形等回動可能に軸支できる形状であればよい。また、人の背の高さに応じて把手板を適切な位置に複数設けてもよい。
【0072】
本発明の全ての実施形態の扉本体の開閉方式は、開き戸方式で説明したが、スライド方式その他の開閉方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1、1a、1b、1c ドアハンドル構造
2、2b、2c 扉本体
4、4a、4b、4c 開口部
9、9a、9b、9c、9e 把手板
10、10b、10c、10d、10e 貫通孔
11、11b、11c 軸
12、12b、12c 軸支孔
13 ロータリダンパ
14、14b、14c 軸
15、15b、15c 軸支孔
16 拡径部
17 軸受け孔
18 把持部
19a、19b、19c、19d 軸受け孔
20 弾性体
100、100a、100b、100c ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉本体に配設されて換気機能を有するドアハンドル構造であって、
該扉本体には、空気の通路となる開口部が形成され、
該開口部には、該扉本体に開閉可能に軸支される把手板が配設され、
該扉本体と該把手板を回動可能に連結する軸部を備え、
該把手板には、該扉本体の開閉及び該把手板の開閉をさせる把持部が形成されていることを特徴とするドアハンドル構造。
【請求項2】
該把持部が、該把手板に手を挿入可能な貫通孔であることを特徴とする請求項1記載のドアハンドル構造。
【請求項3】
該把手板が、平面視略S字状に形成され、
該把持部が、該把手板の水平方向の両端部を手で把持可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載のドアハンドル構造。
【請求項4】
該軸部が、該把手板を緩速又は間欠に回動させる部材を有して構成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載のドアハンドル構造。
【請求項5】
該把手板の水平方向の両端面には、手の挟み込みを防止する弾性体が止着されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のドアハンドル構造。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、又は5のいずれか一項に記載のドアハンドル構造を備えていることを特徴とするドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−111826(P2011−111826A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270249(P2009−270249)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(509326854)株式会社ジュケン (1)
【Fターム(参考)】