説明

ドアミラー

【課題】ドアミラーにターンランプを設ける場合に、組み込みが容易で、かつ、大型化しないように構成する。
【解決手段】ターンランプ2を、発光ダイオード6が組み込まれるベースハウジング3と、該ベースハウジング3を覆うアウターレンズ4とをそれぞれ型成形し、これらベースハウジング3とアウターレンズ4との突き合わせ部に、樹脂材を射出成型して接合片7を形成して一体化したものとし、ターンランプ2の接合片7により一体化された突き合わせ部に、ドアミラーDMのボディー1の開口部1bを構成する下側端縁部1c、左側端縁部1eが位置決め状に突き当てられる段差部7c、7dを形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に設けられるドアミラーの技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種車両のドアには、ボディーに後方確認用ミラーを設けてなるドアミラーが設けられているが、近年、このようなドアミラーに後方確認以外の多様な機能を付加させることが提唱されている。このようなものとしては、ドアミラーに車両の進行方向(操向方向)の指示をする燈体であるターンランプを設けて、車両の前後等に単独で設けられたサイドターンランプとともに、周囲の人に強くアピールするようにしたものがある。
【0003】
この場合に、ターンランプは、ドアミラーのボディーに一体的に組み込まれることになるが、該組み込みの手法としては、ボディーにターンランプを構成する光源を配設する凹溝状の光源配設部を形成する一方、該ボディーの光源配設部にアウターレンズを嵌着させるようにしたもの(特許文献1)や、光源が収容されたランプハウジングにアウターレンズを突き合わせ状に一体化して予めターンランプを構成し、該ターンランプを、ドアミラーのボディーに開設した開口部に組み込むようにしたもの(特許文献2)等が知られている。
【特許文献1】特開2005−47411号公報
【特許文献2】特開2004−1710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来のものにおいて、前者のものは、光源をドアミラーのボディーに直接組み込む構成であるため、ボディーの形状が複雑になり、専用のボディーが必要となるうえ、ターンランプの組み込み作業が面倒になるという問題がある。一方、後者のものでは、ボディーの構成を簡略化することができるという利点があるうえ、ターンランプのボディーへの組み込みが容易になるという利点があるが、このものにおいては、ターンランプのランプハウジングとアウターレンズとの突き合わせ部を、超音波溶着等の接着手段により一体化する構成であるため意匠性に劣ることもあって、ターンランプの突き合わせ部をボディーによって覆うように組み込まれている。このため、ターンランプの突き合わせ部をボディーの内側に収容する分、ボディーが大型化するという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、後方確認用のミラーを備えたドアミラーのボディーに開口部を形成し、該開口部に燈体を組み込むにあたり、前記燈体は、光源が組み込まれたベースハウジングとアウターレンズとの突き合わせ部に樹脂材の射出成型による接合片が形成されるものとし、前記接合片により一体化された突き合わせ部には、ボディーの開口部を構成する端縁部が位置決め状に突き当てられる位置決め部が形成されているドアミラーである。
請求項2の発明は、位置決め部は、接合片に形成された段差部により構成されている請求項1に記載のドアミラーである。
請求項3の発明は、位置決め部は、アウターレンズの端面と接合片とにより形成された段差部により形成されている請求項1に記載のドアミラーである。
請求項4の発明は、燈体は、進行方向を指示するターンランプである請求項1乃至3の何れか1項に記載のドアミラーである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ドアミラーのボディーに燈体を突き当て状に、しかも、位置決めされた状態で組み込むことができて、ボディーの軽量コンパクト化に寄与できる。
請求項2の発明とすることにより、燈体とボディーとのあいだの封止性が向上し、しかも、燈体のガタつきを防止できる。
請求項3の発明とすることにより、燈体の下方への抜け止めをすることができる。
請求項4の発明とすることにより、ターンランプを、ボディーの何れの部位にも組み込むことができて設計の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は車両の運転席、および、助手席側の各ドアに設けられるドアミラーDMのボディーであって、該ボディー1の後方(車両後方)に面する部位には開口部(図示せず)が形成され、該開口部に、後方確認用のミラー(図示せず)が位置調整自在に嵌め込まれている。さらに、前記ボディー(ドアミラーDM)1は、ドア側に固定されるステー1aに回転自在に支持されており、ミラーが後方を向いて運転者による後方確認ができる作用姿勢と、ミラーがドア面に沿って邪魔にならない格納姿勢とに回転変姿するように構成されている。
【0008】
前記ボディー1は、ドアミラーDMの作用姿勢において、車両前方に向けて膨出する一方、後方が開口する椀型形状に形成されており、該膨出部には、ミラーの姿勢調整をするための部材等が収容されている。さらに、ボディー1は、前面の下方部位から下面の前方部位を切り欠く状態で開口部1bが形成されており、該開口部1bに、車両の進行方向(操向方向)を指示するためのターンランプ(本発明の燈体に相当する)2が組み込まれている。
ここで、ドアミラーDMは左右対称状のものが車両の左右ドア体にそれぞれ設けられるが、ここでは、図1に示す車両左側に設けられるドアミラーDMについての説明をし、右側のドアミラーDMの説明については省略する。
【0009】
前記ボディー1(ドアミラーDM)に組み込まれるターンランプ2は、ボディー1に形成された開口部1bに一つの組み立て部品としてそれぞれ組み込まれるように構成されている。
前記ターンランプ2は、図2に示すように、ボディー1の内側に収容されるベースハウジング3と、ボディー1外周面とともに外部(前方)に露出するアウターレンズ4と、ベースハウジング3とアウターレンズ4とのあいだに設けられるインナーハウジング5とを備えて構成されている。
前記ベースハウジング3は、非透明樹脂材を一体型成形することにより構成されており、前方部位から左方部位に向けて開口する湾曲凹溝状の凹部3aが形成されており、該凹部3aに、インナーハウジング5が収容されている。前記インナーハウジング5は、長尺状の導光部5aと、該導光部5aの左端側のインナーレンズ部5bと、導光部5aの上下に延出し、ベースハウジング3の凹部3aを覆う上下一対のフランジ片部5cとを備えて構成されている。尚、導光部5aとインナーレンズ部5bとは透明樹脂材により形成され、フランジ片部5cは非透明樹脂材により形成されている。さらに、インナーハウジング5とベースハウジング3とのあいだには、導光部5a、インナーレンズ部5bにベースハウジング3側から入光する複数の発光ダイオード(本発明の光源に相当する)6、これら発光ダイオード6が電気的に接続される基板6aが内装されている。
尚、3bは外部電源との接続部、3cはボディー1と一体化するための取り付け片である。
【0010】
一方、アウターレンズ4は透明樹脂材で一体型成形され、外周縁部がベースハウジング3の外周縁部に突き当たるように形成されている。そして、ベースハウジング3にインナーハウジング5を収容して、フランジ片部5cにより凹部3aが覆われた状態となったベースハウジング3の開口端部(外周縁部)に対し、アウターレンズ4を突き合わせ、これらベースハウジング3とアウターレンズ4との外周縁部となる突き合わせ部に透明樹脂材を射出成型することにより、該突き合わせ部(外周縁部)に接合片7がリング状に形成され、これによって、ベースハウジング3とアウターレンズ4とが一体化されたターンランプ2が構成されている。
【0011】
ここで、接合片7は、ベースハウジング3とアウターレンズ4とが保持される金型の形状により、種々の形状に射出成型することができるように設定されている。
そして、ベースハウジング3とアウターレンズ4との突き合わせ部のうち、下方部位における突き合わせ部は、ベースハウジング3の下側板厚面3dとアウターレンズ4の下側板厚面4aとが直交状に対向するように突き当てられており、これら各面3d、4aのあいだに接合片7を射出成型することにより各面3d、4a同士が一体化されている。該下方部位に形成された接合片7は、上側半部から後方に突出する突部7aを備えた形状に形成されており、これによって、接合片7は、L字形をなし、後方を向く突き当て面7bを備えた下側段差部(本発明の位置決め部に相当する)7cが形成されるように設定されている。
また、ベースハウジング3とアウターレンズ4との突き合わせ部のうち、車両の左右方向外方である左方部位における突き合わせ部は、ベースハウジング3の左側板厚面3eとアウターレンズ4の後方を向く左側板厚面4bとが直交状に対向するように突き当てられており、これら各面3e、4bのあいだに接合片7が形成されることにより各面3e、4b同士が一体化されている。そして、該左方部位に形成された接合片7は、アウターレンズ左側板厚面4bのベースハウジング3側半部とベースハウジング左側板厚面3eとが一体化されるように形成されており、該左方部位に、アウターレンズ左側板厚面4bの外方側板厚面4cと接合片7の左側端面とにより、L字形をなし、後方を向く突き当て面として外方側板厚面4cが形成された左側段差部(本発明の位置決め部に相当する)7dが形成されるように設定されている。
【0012】
そして、ターンランプ2をボディー1の開口部1bに組み込む場合では、ベースハウジング3とアウターレンズ4との突き合わせ部に形成された接合片7のうち、下側に位置する接合片7に形成された下側段差部7cにボディー開口部1bにおける下側端縁部1cを嵌め込み、後方を向く突き当て面7cにボディー開口部1bの下側先端面(下側板厚面)1dを突き当てることにより、ターンランプ2の上下方向における位置決めがなされ、また、突部7bの下方にボディー1の下側端縁部1cが位置することにより、ターンランプ2の下方への抜け止めがなされるように設定されている。
さらに、左側に位置する接合片7とアウターレンズ4左側の外方側板厚面4cとにより形成された左側段差部7dにボディー開口部1bにおける左側端縁部1eを嵌め込み、後方を向くアウターレンズ4の外方側板厚面4cにボディー開口部1bの左側先端面(左側板厚面)1fを突き当てることにより、ターンランプ2の左右方向の位置決めがなされるように設定されている。
さらに、この組み込み状態において、ボディー開口部1bの下側端縁部1cは接合片7の突部7aと積層し、さらに、ボディー開口部1bの左側端縁部1eは接合片7と積層しており、これら積層部がボディー開口部1bとターンランプ2との合わせ代となって、ターンランプ2の封止性の向上、ガタつき防止を図るように構成されている。
【0013】
このようにボディー1に位置合わせされたターンランプ2は、アウターレンズ4の上端部から右端部については、ボディー1の開口部1bにおける上側端縁部1gおよび右側端縁部1hとにより覆われるように構成されている。これによって前述したターンランプ2の下方部位と左側部位との位置合わせに基づく調整代は、ボディー1の上側端縁部1gおよび右側端縁部1hとアウターレンズ4との積層代において調整することができるように設定されている。
そして、この状態において、ベースハウジング3の取り付け片3cを用いてボディー1に収容されるフレーム材(図示せず)に固定することにより、ターンランプ2がボディー1に組み込まれるように構成されている。
尚、アウターレンズ4の段差部4dの上方であって、ボディー1の上側端縁部1eおよび右側端縁部1fとにより覆われる部位には、防水用の封止材8が介装されている。
【0014】
叙述の如く構成された本形態において、ドアミラーDMは、ボディー1に進行方向を指示するターンランプ2が組み込まれているが、この場合に、予め一つの組み立て部品となったターンランプ2をボディー1に組み込む構成としたので、ボディーの構成を簡略化できるとともに、組み込み作業を容易にすることができる。しかも、ターンランプ2は、予め型成形されたベースハウジング3とアウターレンズ4との突き合わせ部に、樹脂材を射出成型して接合片7を形成することにより一体化されているので、突き合わせ部であるターンランプ2の外周縁部が意匠性に優れ、該外周縁部をドアミラーDMのボディー1により敢えて覆う必要性はない。そして、このものもでは、自由な形状に射出成型することができる接合片7のうち、下方の接合片7には突部7aを形成することにより段差部7bが形成され、左方の接合片7にはアウターレンズ7の左側板厚面4bの外側半部である外方側板厚面4cとともに段差部7dが形成されており、これら段差部7b、7dの後方を向く各面7c、4cにボディー開口部1bの下側先端面1d、左側先端面1fをそれぞれ突き当てるように組み込むことで、ターンランプ2をボディー1に対して位置決め状、かつ、突き当て状に組み込むことができる。この結果、従来のターンランプの外周縁部がボディーにより覆われるような組み込み状態のもののように、ボディーが大型化してしまうことがなく、ボディー1の軽量、小型化に寄与できる。
【0015】
しかも、ターンランプ2のボディー1に対する位置決め部は、接合片7を用いて形成された段差部7c、7dにより構成されているので、ボディー開口部1bに対して突き当て状に組み込んだ場合に、ボディー開口部1bの下側端縁部と左側端縁部とは接合片7とのあいだに積層部が形成され、該積層部がターンランプ2のボディー1に対する合わせ代となって、封止性の向上、ガタつきの防止を図ることができる。
【0016】
さらに、ターンランプ2の外周縁部に形成される接合片7のうち、下側に形成される接合片7は、突部7aの下方にボディー開口部1bの下側端縁部1cが嵌め込まれるので、ターンランプ2の下方への抜け止めもなされることになって、ターンランプ2のボディー1への支持が一層確実になる。
【0017】
そして、このものでは、ターンランプ2の接合片7に位置決め部が形成される構成であり、ボディー1の開口部が何れの部位に形成されたとしても組み込むことができ、ターンランプ2の機能に合わせて、ボディー1の視認度が高められるような部位を自由に選択して配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ドアミラーの全体斜視図である。
【図2】図2(A)、(B)、(C)はそれぞれターンランプの正面図、図2(A)のX−X断面図、側面図である。
【図3】図3(A)、(B)はそれぞれドアミラーの要部における縦断面図、図3(A)の要部拡大図である。
【図4】ドアミラーの一部を切り欠いた横断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ボディー
1c 下側端縁部
1e 左側端縁部
2 ターンランプ
3 ベースハウジング
4 アウターレンズ
4c 外方側板厚面
5 インナーハウジング
7 接合片
7a 突部
7b 突き当て面
7c 下側段差部
7d 左側段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方確認用のミラーを備えたドアミラーのボディーに開口部を形成し、該開口部に燈体を組み込むにあたり、前記燈体は、光源が組み込まれたベースハウジングとアウターレンズとの突き合わせ部に樹脂材の射出成型による接合片が形成されるものとし、前記接合片により一体化された突き合わせ部には、ボディーの開口部を構成する端縁部が位置決め状に突き当てられる位置決め部が形成されているドアミラー。
【請求項2】
位置決め部は、接合片に形成された段差部により構成されている請求項1に記載のドアミラー。
【請求項3】
位置決め部は、アウターレンズの端面と接合片とにより形成された段差部により形成されている請求項1に記載のドアミラー。
【請求項4】
燈体は、進行方向を指示するターンランプである請求項1乃至3の何れか1項に記載のドアミラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−96391(P2009−96391A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271422(P2007−271422)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】