説明

ドアロックシステム

【課題】低消費電力で処理を行うことができ、ドアのロック状態をユーザに対して確実に報知することができるドアロックシステムを提供する。
【解決手段】車輌などに設けられた操作部12に対するユーザの操作がなされた場合に、車輌に搭載されたドアロック装置1とユーザが所持する無線通信器3の間で無線通信を行った後、ドアロック装置1がロック機構15を動作させてドアのロック/アンロックを行う。ドアロック装置1は、ロック機構15からのフィードバック信号を基にドアのロック/アンロックに係る状態情報を取得して無線通信器3へ送信する。無線通信器3は受信した状態情報に応じたランプ33の点灯制御を行う。また、ドアロック装置1から無線通信器3への無線信号の送信はLF帯にて行い、無線通信器3からドアロック装置1への無線信号の送信はUHF帯にて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型の無線通信器を所持したユーザがドア(又はその近傍)に設けられた操作部を操作することにより、ドアのロック/アンロック(施錠/開錠)を行うことができるドアロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが例えばカード型又はキーホルダ型等の可搬型の無線通信器(キー)を所持し、車輌のドア又はその近傍に設けられた操作部に対する接触操作又はプッシュ操作等を行った場合に、車輌のドアを自動的にロック/アンロックするドアロックシステム、所謂スマートエントリシステムが実用化されている。このドアロックシステムは、従来のように機械キーの差し込み及び回動操作をユーザが行う必要がないため利便性が高く、特にユーザが荷物を抱えて両手が塞がれている場合などに有効である。
【0003】
このドアロックシステムにおいては、車輌にはユーザが所持する無線通信器との間で無線通信を行うドアロック装置が搭載され、車輌の操作部が操作された場合にドアロック装置が無線信号をユーザの無線通信器へ送信し、これに対する無線通信器からの応答信号を受信することで、ドアロック装置は車輌のドアのロック/アンロックを行う。またこのシステムでは、ドアのロック状態をユーザが確認し難いことから、ユーザの操作に対してドアのロック状態を報知する機能、所謂アンサバック機能が設けられることが多い。アンサバック機能では、例えば車輌のドアをロックした場合にランプ又はブザー等を1回動作させ、車輌のドアをアンロックした場合にランプ又はブザー等を2回動作させることにより、ユーザに対してドアのロック状態を報知することができる。
【0004】
特許文献1においては、車輌に搭載された送受信装置が、車輌のドアが閉状態のときにリクエスト信号を無線により携帯機へ送信し、ドアが開状態のときに警告信号を送信すると共に、携帯機が、送受信装置からの警告信号を受信した後、警告信号又はリクエスト信号が受信できなくなった場合に、ブザーを駆動して警告音を発生させる構成とすることにより、車輌のドアのロック状態を運転者に報知することができる自動ドアロック装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−213216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のドアロックシステムのアンサバック機能は、ユーザの操作に対してドアのロック/アンロックを行った直後にランプ又はブザー等の動作が行われるのみであるため、これらの動作を見逃した又は聞き逃した場合、ユーザはドアのロック状態を確認することができないという問題があった。特に、車輌から離れた後にユーザがドアのロック状態を確認するためには、車輌の元へユーザが戻って確認する必要があり、ユーザにとって煩わしいという問題がある。
【0007】
特許文献1に記載の自動ドアロック装置は、車輌のドアが開状態のまま携帯機を所持したユーザが車輌を離れた場合にブザーによる警告音を発生させる構成であるため、車輌を離れたユーザに車輌のドアのロック状態を報知することができる。しかしながら、この自動ドアロック装置は、車輌の送受信装置からの警告信号を携帯機が受信した後、警告信号又はリクエスト信号が受信できなくなった場合に携帯機が報知を行う構成であるため、車輌の送受信装置は常に警告信号又はリクエスト信号を送信し続けなければならず、多大な電力消費を伴うという問題がある。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、低消費電力で処理を行うことができ、ドアのロック状態をユーザに対して確実に報知することができるドアロックシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るドアロックシステムは、可搬型の無線通信器と、ドアのロック/アンロックに係る操作を受け付ける操作部、及び該操作部が操作を受け付けた場合に前記無線通信器と無線通信を行う無線通信手段を有し、該無線通信手段による通信結果に応じて前記ドアのロック/アンロックを行うドアロック装置とを備えるドアロックシステムにおいて、前記ドアロック装置は、前記操作部に対する操作がなされた場合に、前記無線通信器へ確認信号を前記無線通信手段により送信する確認信号送信手段と、前記確認信号に対する前記無線通信器からの応答信号を前記無線通信手段により受信する応答信号受信手段と、該応答信号受信手段が受信した応答信号に応じて、前記ドアのロック/アンロックを行うロック制御手段と、該ロック制御手段による前記ドアのロック/アンロックの状態情報を前記無線通信手段により前記無線通信器へ送信する状態情報送信手段とを有し、前記無線通信器は、前記ドアロック装置の確認信号送信手段が送信した確認信号を受信する確認信号受信手段と、該確認信号受信手段が受信した確認信号に応じて、前記ドアロック装置へ応答信号を送信する応答信号送信手段と、前記ドアロック装置の状態情報送信手段が送信した状態情報を受信する状態情報受信手段と、該状態情報受信手段が受信した状態情報を、所定時間に亘って継続的に報知する報知手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るドアロックシステムは、前記ドアロック装置の無線通信手段が、LF(Low Frequency)帯の無線信号の送信、及びUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号の受信を行うことができ、前記無線通信器は、UHF帯の無線信号の送信、及びLF帯の無線信号の受信を行うことができ、前記ドアロック装置の確認信号送信手段及び前記無線通信器の確認信号受信手段は、LF帯の無線信号により確認信号を送受信し、前記ドアロック装置の応答信号受信手段及び前記無線通信器の応答信号送信手段は、UHF帯の無線信号により応答信号を送受信し、前記ドアロック装置の状態情報送信手段及び前記無線通信器の状態情報受信手段は、LF帯の無線信号により状態情報を送受信するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るドアロックシステムは、前記無線通信器が、操作部と、前記状態情報受信手段が受信した状態情報を記憶する記憶手段とを更に有し、前記報知手段は、前記操作部に対する操作がなされた場合に、前記記憶手段が記憶した状態情報を報知するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、可搬型の無線通信器を所持するユーザが、車輌などに設けられた操作部に対する操作を行った場合に、ドアロック装置が無線通信器との間で無線通信を行った後にドアのロック/アンロックを行うドアロックシステムを対象とし、無線通信器に報知手段を設けることによってユーザへの報知を行う。
車輌などに搭載されたドアロック装置は、操作部に対する操作がなされた場合に、無線通信器へ確認信号を送信する。この確認信号を受信した無線通信器は、認証処理などを行った後、ドアロック装置へ応答信号を送信する。この応答信号を受信したドアロック装置は、認証処理などを行った後、ドアのロック/アンロックを行う。ここまでの処理は、従来のドアロックシステム(スマートエントリシステム)が行う処理と同様である。
本発明のドアロックシステムにおいては、ドアロック装置は、ドアのロック/アンロックを行った後、ドアがロック状態であるか又はアンロック状態であるかを示す状態情報を無線通信器へ更に送信する。無線通信器には、ランプ又はブザー等の報知手段が設けられ、ドアロック装置からの状態情報を受信した場合に、例えば数分程度の所定時間に亘ってドアのロック状態の報知を行う。
これにより、ユーザは自らが所持する無線通信器の報知手段によりドアのロック状態を容易に確認することができる。また無線通信器は、所定時間に亘って報知を継続して行うため、ユーザが車輌などを離れた後であってもドアのロック状態を確認することができる。更には、ドアロック装置及び無線通信器の間で行われる無線通信は、確認信号の送受信、応答信号の送受信及び状態情報の送受信の3回のみであり、ドアロック装置が無線信号を送信し続ける必要はなく、少ない電力消費で上記の処理を行うことができる。
【0013】
また、本発明においては、ドアロック装置から無線通信器への無線信号の送信はLF帯の無線信号にて行い、無線通信器からドアロック装置への無線信号の送信はUHF帯の無線信号にて行う。この構成は従来のドアロックシステム(スマートエントリシステム)と同様である。本発明のドアロックシステムでは、この従来の構成を利用して、ドアロック装置から無線通信器への状態情報の送信を行う。これにより、従来のドアロックシステムに対して低コストで機能を追加して本発明のドアロックシステムを実現することができる。特に無線通信器にランプ又はブザー等があらかじめ設けられた従来のドアロックシステムであれば、ソフトウェアの変更のみで本発明のドアロックシステムを実現することも可能である。
【0014】
また、本発明においては、ドアロック装置から送信されたドアのロック/アンロックに係る状態情報を無線通信器が受信し、受信した状態情報を記憶しておく。無線通信器に設けられた操作部に対するユーザの操作がなされた場合、無線通信器は記憶した状態情報に応じてランプ又はブザー等による報知を行う。
これにより、ドアのロック/アンロックが行われて無線通信器の報知が所定時間に亘って継続して行われ、無線通信器による報知が終了した後であっても、ユーザは無線通信器の操作部を操作することによってドアのロック/アンロックに係る状態情報の報知を再度行わせることができ、ドアのロック状態を再確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による場合は、ドアロック装置がドアのロック/アンロックを行った後、ドアのロック状態を示す状態情報を無線通信器へ送信し、これを受信した無線通信器が状態情報に応じた報知を所定時間に亘って継続的に行う構成とすることにより、ユーザが車輌などを離れた後であっても、自らが所持する無線通信器の報知によりドアのロック状態を容易且つ確実に確認することができる。また、ドアロック装置及び無線通信器の間で行う無線通信が少ない回数でよいため、少ない電力消費でドアロック状態の報知機能に係る処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係るドアロックシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る無線通信器の構成を示すブロック図である。
【図3】ドアロック装置が行うドアのロック/アンロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】無線通信器が行うドアのロック/アンロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】無線通信器が行う報知処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係るドアロックシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2の無線通信器が行う報知処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2の無線通信器が行う報知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るドアロックシステムの構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の実施の形態1に係る無線通信器の構成を示すブロック図である。ドアロックシステムは、車輌(図示は省略する)に搭載されたドアロック装置1と、可搬型の無線通信器3とを備えて構成されている。なお、ドアロックシステムを構成するドアロック装置1の詳細を図1に示し、無線通信器3の詳細を図2に示してある。
【0018】
ドアロック装置1は、車輌の適所に搭載されており、車輌のドア又はドア近傍に設けられた操作部12に対するユーザの操作がなされた場合に、車輌のロック機構15を駆動することにより、ドアのロック/アンロックを行うものである。無線通信器3は、カード型又はキーホルダ型等の可搬型のものであり、ドアロック装置1との間で無線通信を行う機能を有している。よってドアロック装置1も無線通信器3との間で無線通信を行う機能を有しており、ドアロック装置1と無線通信器3との無線通信は、車輌から無線信号の到達する限られた範囲(例えば車輌から数十mの範囲)でのみ行うことができる。
【0019】
ドアロック装置1は、制御部11、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14及び無線通信部17等を備えて構成されている。ドアロック装置1の制御部11は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置であり、ROM13に予め記憶された制御プログラム(図示は省略する)を読み出して実行することにより、ドアロック装置1内の各部の動作を制御して、車輌のドアのロック/アンロックに係る制御処理を行う。制御部11には、操作部12に対するユーザの操作がなされた場合に操作内容などが通知される。操作部12は、プッシュ操作を受け付けるプッシュスイッチ、又は、接触操作を受け付けるセンサ等により構成され、ユーザの操作を検知して制御部11へ通知する。
【0020】
ROM13は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子で構成されており、制御部11が実行する制御プログラムと、認証情報13aなどの制御部11が処理を行う際に必要とする種々のデータとが予め記憶されている。認証情報13aには、ドアロック装置1に固有の識別情報及び暗号化を行う際の鍵情報等が含まれており、無線通信器3との間の認証処理に用いられる。RAM14は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ素子で構成されており、制御部11が処理を行う過程で生じたデータなどを一時的に記憶する。
【0021】
無線通信部17は、制御部11の制御に応じて無線通信器3との間で無線通信を行うものであり、LF送信部18及びUHF受信部19を有している。LF送信部18は、LF用アンテナ18aが接続され、LF帯(例えば125kHz)の無線信号の送信を行うものであり、制御部11から与えられた種々の情報(データ)を無線信号に変換して無線通信器3へ送信することができる。UHF受信部19は、UHF用アンテナ19aが接続され、UHF帯(例えば315MHz)の無線信号の受信を行うものであり、無線通信器3から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号をデータに変換して制御部11へ与える。
【0022】
ロック機構15は、車輌のドアのロック/アンロックを行うための機械機構、この機械機構を動作させるためのモータ又はアクチュエータ等の動力源、及びこの動力源を駆動する駆動回路等により構成され、制御部11がロック機構15の駆動回路へ制御信号を与えることにより車輌のドアのロック/アンロックを行うことができる。またロック機構15は、機械機構又は動力源の動作量などを示す信号を制御部11へフィードバックしており、制御部11はロック機構15からのフィードバック信号によりロック機構15の動作状態、即ち車輌のドアのロック状態を取得することができる。
【0023】
また、無線通信器3は、制御部31、ROM32、ランプ33及び無線通信部34等を備えて構成されている。制御部31は、無線通信器3内の各部の制御処理を行うものである。ROM32は、EEPROM又はフラッシュメモリ等のデータ書換可能な不揮発性のメモリ素子で構成されており、認証情報32aなどのデータが予め記憶されている。認証情報32aには、無線通信器3に固有の識別情報及び暗号化を行う際の鍵情報等が含まれており、ドアロック装置1との間の認証処理に用いられる。
【0024】
ランプ33は、例えばLED(Light Emitting Diode)などを用いて構成されるものであり、制御部31により点灯/消灯の制御が行われる。また制御部31は、ランプ33の点灯/消灯を周期的に繰り返すことにより、ランプ33を点滅させることができる。制御部31がランプ33を点灯及び点滅させることによって、無線通信器3を所持するユーザに対する種々の通知を行うことができる。
【0025】
無線通信部34は、制御部31の制御に応じてドアロック装置1との間で無線通信を行うものであり、LF受信部35及びUHF送信部36を有している。LF受信部35は、LF用アンテナ35aが接続され、LF帯の無線信号の受信を行うものであり、ドアロック装置1から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号をデータに変換して制御部31へ与える。UHF送信部36は、UHF用アンテナ36aが接続され、UHF帯の無線信号の送信を行うものであり、制御部31から与えられたデータを無線信号に変換してドアロック装置1へ送信する。
【0026】
本発明のドアロックシステムでは、車輌の適所に設けられたドアロック装置1の操作部12をユーザが操作することによって、ドアのロック/アンロックが行われる。なお、例えば操作部12としてドアのロック用のスイッチとアンロック用のスイッチとが別に設けられている場合には、ドアロック装置1はいずれのスイッチが操作されたかを判定し、判定結果に応じてロック又はアンロックの処理を行う。また操作部12として、ロック/アンロック共用の1つのスイッチが設けられている場合には、ドアロック装置1は操作部12の操作に対して、ドアロック状態に応じてロック処理又はアンロック処理のいずれかの処理を行う。
【0027】
操作部12に対するユーザの操作がなされた場合、ドアロック装置1の制御部11は、無線通信部17のLF送信部18からLF帯の無線信号(確認信号)を送信する。このとき無線送信する確認信号には、ROM13に記憶された認証情報13aを暗号化した情報などが含まれている。LF送信部18から無線送信された確認信号は、車輌の近傍(LF用アンテナ18aの近傍)に存在する無線通信器3にて受信される。
【0028】
操作部12を操作したユーザが無線通信器3を所持している場合、ドアロック装置1から無線送信されたLF帯の確認信号が無線通信器3のLF受信部35にて受信される。無線通信器3の制御部31は、受信した確認信号に含まれる情報と、ROM32に記憶された認証情報32aとによる認証処理を行い、認証に成功した場合には、UHF送信部36からUHF帯の無線信号(応答信号)を送信する。このとき無線送信する応答信号には、ROM32に記憶された認証情報32aを暗号化した情報などが含まれている。
【0029】
無線通信器3から送信されたUHF帯の応答信号は、ドアロック装置1のUHF受信部19にて受信される。ドアロック装置1の制御部11は、受信した応答信号に含まれる情報と、ROM13に記憶された認証情報13aとによる認証処理を行う、認証に成功した場合には、ロック機構15を動作させて車輌のドアのロック/アンロックを行う。またドアロック装置1の制御部11は、ロック機構15からのフィードバック信号によりドアのロック状態を取得し、この状態情報をLF送信部18から無線送信する。このとき送信する無線信号には、ドアのロックに係る状態情報の他に、ROM13に記憶された認証情報13aなどの情報が含まれている。LF送信部18から無線送信された状態情報の無線信号は、車輌の近傍に存在する無線通信器3にて受信される。
【0030】
ドアロック装置1から送信された状態情報の無線信号を受信した無線通信器3は、受信した無線信号に含まれる認証情報と、ROM32に記憶された認証情報32aとによる認証情報を制御部31が行い、認証に成功した場合には、受信した状態情報に応じてランプ33の点灯制御を行う。例えば制御部31は、ドアがロック状態である旨の状態情報を受信した場合にはランプ33を点灯させ、アンロック状態である旨の状態情報を受信した場合にはランプ33を点滅させる。その後、無線通信器3の制御部31は、ランプの点灯又は点滅を開始してからの経過時間が所定時間を超えた場合に、ランプ33を消灯する。
【0031】
図3は、ドアロック装置1が行うドアのロック/アンロック処理の手順を示すフローチャートであり、ドアロック装置1の制御部11が行う処理である。ドアロック装置1の制御部11は、操作部12からの通知の有無に応じて、操作部12に対するユーザの操作の有無を判定し(ステップS1)、操作部12に対する操作がなされていない場合には(S1:NO)、操作がなされるまで待機する。操作部12に対する操作がなされた場合(S1:YES)、制御部11は、認証情報13aの情報を含む送信用データを無線通信部17へ与えることにより、送信用データをLF帯の無線信号に変換した確認信号をLF送信部18から送信する(ステップS2)。
【0032】
確認信号の送信終了後、制御部11は、無線通信器3からUHF帯の無線信号として送信される応答信号をUHF受信部19にて受信したか否かを判定し(ステップS3)、応答信号を受信していない場合には(S3:NO)、応答信号を受信するまで待機する。無線通信器3からの応答信号を受信した場合(S3:YES)、制御部11は、受信した応答信号に含まれる情報と、ROM13に記憶した認証情報13aとを基に認証処理を行って(ステップS4)、受信した応答信号が正当な無線通信器3から送信されたものであるか否かを調べる。
【0033】
次いで制御部11は、認証処理に成功したか否か、即ち正当な無線通信器3からの応答信号を受信したか否かを判定し(ステップS5)、認証処理に成功していない場合には(S5:NO)、処理を終了する。認証処理に成功した場合(S5:YES)、制御部11は、ロック機構15に制御信号を与えることによってドアのロック/アンロックを行い(ステップS6)、ロック機構15からのフィードバック信号に基づくドアのロックの状態情報を無線通信部17へ与えることにより、状態情報をLF帯の無線信号に変換してLF送信部18から送信し(ステップS7)、処理を終了する。
【0034】
図4は、無線通信器3が行うドアのロック/アンロック処理の手順を示すフローチャートであり、無線通信器3の制御部31が行う処理である。無線通信器3の制御部31は、ドアロック装置1からLF帯の無線信号として送信される確認信号をLF受信部35にて受信したか否かを判定し(ステップS21)、確認信号を受信していない場合には(S21:NO)、確認信号を受信するまで待機する。ドアロック装置1からの確認信号を受信した場合(S21:YES)、制御部31は、受信した確認信号に含まれる情報と、ROM32に記憶した認証情報32aとを基に認証処理を行って(ステップS22)、受信した確認信号が正当なドアロック装置1から送信されたものであるか否かを調べる。
【0035】
次いで制御部31は、認証処理に成功したか否か、即ち正当なドアロック装置1からの確認信号を受信したか否かを判定し(ステップS23)、認証処理に成功した場合には(S23:YES)、認証情報32aの情報を含む送信用データを無線通信部34へ与えることにより、送信用データをUHF帯の無線信号に変換した応答信号をUHF送信部36から送信し(ステップS24)、処理を終了する。また認証処理に成功していない場合(S23:NO)、制御部31は、応答信号を送信することなく処理を終了する。
【0036】
図5は、無線通信器3が行う報知処理の手順を示すフローチャートであり、無線通信器3の制御部31が行う処理である。無線通信器3の制御部31は、ドアロック装置1からLF帯の無線信号として送信される状態情報をLF受信部35にて受信したか否かを判定し(ステップS31)、状態情報を受信していない場合には(S31:NO)、状態情報を受信するまで待機する。ドアロック装置1からの状態情報を受信した場合(S31:YES)、制御部31は、受信した状態情報に含まれる情報と、ROM32に記憶した認証情報32aとを基に認証処理を行って(ステップS32)、受信した状態情報が正当なドアロック装置1から送信されたものであるか否かを調べる。
【0037】
次いで制御部31は、認証処理に成功したか否か、即ち正当なドアロック装置1からの状態情報を受信したか否かを判定し(ステップS33)、認証処理に成功していない場合には(S33:NO)、報知処理を終了する。認証処理に成功した場合(S33:YES)、制御部31は、受信した状態情報に応じてランプ33を点灯することにより報知を行う(ステップS34)。
【0038】
その後、制御部31は、ランプ33の点灯から所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS35)、所定時間が経過していない場合には(S35:NO)、ステップS34へ処理を戻し、ランプによる報知を継続して行う。所定時間が経過した場合(S35:YES)、制御部31は、ランプ33を消灯して報知を終了し(ステップS36)、報知処理を終了する。
【0039】
以上の構成のドアロックシステムにおいては、操作部12に対するユーザの操作がなされた場合に、ドアロック装置1及び無線通信器3の間で無線通信を行った後、ドアロック装置1がロック機構15を動作させてドアのロック/アンロックを行い、ロック機構15からのフィードバック信号を基にドアのロック/アンロックに係る状態情報を取得して無線通信器3へ送信する構成とすることにより、無線通信器3は受信した状態情報に応じたランプ33の点灯制御を行うことができる。無線通信器3が所定時間に亘ってランプ33の点灯制御を行うことにより、ユーザは車輌を離れた後であっても、自らが所持する無線通信器3のランプ33によってドアのロック状態を容易且つ確実に確認することができる。また、ドアロック装置1及び無線通信器3の間で行う無線通信は、確認信号の送受信、応答信号の送受信及び状態情報の送受信の3回でよいため、少ない電力消費でドアのロック/アンロックに係る処理及びドアのロック状態を報知する処理を実現することができる。
【0040】
また、ドアロック装置1から無線通信器3への無線信号の送信はLF帯にて行い、無線通信器3からドアロック装置1への無線信号の送信はUHF帯にて行う構成とすることにより、従来のスマートエントリシステムと同様の構成であるため、従来構成を利用してドアのロック/アンロックに係る状態情報に応じたランプ33による報知機能を実現できる。よって、本発明のドアロックシステムを、従来構成を利用して低コストで実現することができる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、車輌のドアのロック/アンロックを行うドアロックシステムを例に説明を行ったが、これに限るものではなく、例えば住宅のドアなどのその他のドアに同様のドアロックシステムを搭載してもよい。また、無線通信器3に設けたランプ33の点灯により報知を行う構成としたが、これに限るものではなく、ブザー又はスピーカ等による音声出力、又は液晶パネルによるメッセージ表示等のその他の方法により報知を行う構成であってもよい。また、図1においては、操作部12、ロック機構15及び無線通信部17等をドアロック装置1が備える構成を図示したが、これに限るものではなく、これらの各部は別の装置として実現され、ドアロック装置1がこれら別の装置との間で通信を行って上述の処理を行う構成であってもよい。
【0042】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係るドアロックシステムの構成を示すブロック図であり、無線通信器203の詳細を示してある。なお、実施の形態2に係るドアロックシステムのドアロック装置1の構成は、実施の形態1に係るドアロックシステムのドアロック装置1の構成と同様であるため、詳細の図示を省略する。実施の形態2に係るドアロックシステムの無線通信器203は、実施の形態1に係るドアロックシステムの無線通信器3に、操作部238及び記憶部239を追加した構成である。
【0043】
無線通信器203の操作部238は、例えばプッシュ操作を受け付けるプッシュスイッチを用いて実現することができ、ユーザの操作を検知して制御部231へ通知する。なお、操作部238は、無線通信器203に専用のものを新たに設けるのではなく、無線通信器203が備える別の目的のためのスイッチと共用のものであってもよい。記憶部239は、レジスタ、SRAM又はEEPROM等のメモリ素子で構成されている。制御部231は、ドアロック装置1から送信された状態情報を無線通信部34にて受信し、受信した状態情報を記憶部239に記憶しておくことができる。
【0044】
実施の形態2に係るドアロックシステムは、ドアロック装置1からの状態情報を受信した無線通信器203がランプ33を所定時間に亘って点灯させることで報知を行うまでは、上述の実施の形態1に係るドアロックシステムと同様である。実施の形態2に係るドアロックシステムは、ランプ33を所定時間に亘って点灯させ、所定時間が経過してランプ33を消灯した後に、操作部238に対するユーザの操作に応じてランプ33を再点灯させる。
【0045】
図7は、実施の形態2の無線通信器203が行う報知処理の手順を示すフローチャートであり、ドアロック装置1によりドアのロック/アンロックが行われた際に無線通信器203の制御部231が行う処理である。無線通信器203の制御部231は、ドアロック装置1から送信される状態情報を受信したか否かを判定し(ステップS51)、状態情報を受信していない場合には(S51:NO)、状態情報を受信するまで待機する。ドアロック装置1からの状態情報を受信した場合(S51:YES)、制御部231は、受信した状態情報に含まれる情報と、ROM32に記憶した認証情報32aとを基に認証処理を行って(ステップS52)、受信した状態情報が正当なドアロック装置1から送信されたものであるか否かを調べる。
【0046】
次いで制御部231は、認証処理に成功したか否かを判定し(ステップS53)、認証処理に成功していない場合には(S53:NO)、報知処理を終了する。認証処理に成功した場合(S53:YES)、制御部231は、受信した状態情報を記憶部239へ記憶し(ステップS54)、この状態情報に応じてランプ33を点灯することにより報知を行う(ステップS55)。その後、制御部231は、ランプ33の点灯から所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS56)、所定時間が経過していない場合には(S56:NO)、ステップS55へ処理を戻し、ランプによる報知を継続して行う。所定時間が経過した場合(S56:YES)、制御部231は、ランプ33を消灯して報知を終了し(ステップS57)、報知処理を終了する。
【0047】
図8は、実施の形態2の無線通信器203が行う報知処理の手順を示すフローチャートであり、操作部238が操作された際に無線通信器203の制御部231が行う処理である。無線通信器203の制御部231は、操作部238からの通知の有無に応じて、操作部238に対するユーザの操作の有無を判定し(ステップS71)、操作部238に対する操作がなされていない場合には(S71:NO)、操作がなされるまで待機する。操作部238に対する操作がなされた場合(S71:YES)、制御部231は、記憶部239に記憶した状態情報を読み出す(ステップS72)。
【0048】
次いで、制御部231は、読み出した状態情報に応じてランプ33を点灯させて報知を行い(ステップS73)、点灯開始から所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS74)。所定時間が経過していない場合(S74:NO)、制御部231はステップS73へ処理を戻し、ランプ33の点灯を継続して行う。所定時間が経過した場合(S74:YES)、制御部231は、ランプ33を消灯して報知を終了し(ステップS75)、報知処理を終了する。
【0049】
以上の構成の実施の形態2に係るドアロックシステムは、ドアロック装置1から送信された状態情報を無線通信器203が受信して記憶部239に記憶しておき、操作部238に対するユーザの操作がなされた場合に、無線通信器3が記憶した状態情報に応じてランプ33による報知を行う構成とすることにより、状態情報の受信後に無線通信器3が所定時間に亘って行う報知が終了した後であっても、ユーザは無線通信器3の操作部238を操作することによって状態情報の報知を再度行わせることができ、車輌のドアのロック状態を再確認することができる。
【0050】
なお、図8に示したフローチャートにおいては、操作部238が操作された場合に所定時間に亘ってランプ33による報知を継続的に行う構成としたが、これに限るものではなく、例えば操作部238に対するユーザの操作がなされている間にのみランプ33による報知を行う構成としてもよい。
【0051】
なお、実施の形態2に係るドアロックシステムのその他の構成は、実施の形態1に係るドアロックシステムの構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0052】
1 ドアロック装置
3 無線通信器
11 制御部(確認信号送信手段、応答信号受信手段、ロック制御手段、状態情報送信手段)
12 操作部
13 ROM
13a 認証情報
14 RAM
15 ロック機構
17 無線通信部(無線通信手段)
18 LF送信部
19 UHF受信部
31 制御部(確認信号受信手段、応答信号送信手段、状態情報受信手段)
32 ROM
32a 認証情報
33 ランプ(報知手段)
34 無線通信部
35 LF受信部
36 UHF送信部
203 無線通信器
238 操作部
239 記憶部(記憶手段)
239a 状態情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の無線通信器と、ドアのロック/アンロックに係る操作を受け付ける操作部、及び該操作部が操作を受け付けた場合に前記無線通信器と無線通信を行う無線通信手段を有し、該無線通信手段による通信結果に応じて前記ドアのロック/アンロックを行うドアロック装置とを備えるドアロックシステムにおいて、
前記ドアロック装置は、
前記操作部に対する操作がなされた場合に、前記無線通信器へ確認信号を前記無線通信手段により送信する確認信号送信手段と、
前記確認信号に対する前記無線通信器からの応答信号を前記無線通信手段により受信する応答信号受信手段と、
該応答信号受信手段が受信した応答信号に応じて、前記ドアのロック/アンロックを行うロック制御手段と、
該ロック制御手段による前記ドアのロック/アンロックの状態情報を前記無線通信手段により前記無線通信器へ送信する状態情報送信手段と
を有し、
前記無線通信器は、
前記ドアロック装置の確認信号送信手段が送信した確認信号を受信する確認信号受信手段と、
該確認信号受信手段が受信した確認信号に応じて、前記ドアロック装置へ応答信号を送信する応答信号送信手段と、
前記ドアロック装置の状態情報送信手段が送信した状態情報を受信する状態情報受信手段と、
該状態情報受信手段が受信した状態情報を、所定時間に亘って継続的に報知する報知手段と
を有すること
を特徴とするドアロックシステム。
【請求項2】
前記ドアロック装置の無線通信手段は、LF(Low Frequency)帯の無線信号の送信、及びUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号の受信を行うことができ、
前記無線通信器は、UHF帯の無線信号の送信、及びLF帯の無線信号の受信を行うことができ、
前記ドアロック装置の確認信号送信手段及び前記無線通信器の確認信号受信手段は、LF帯の無線信号により確認信号を送受信し、
前記ドアロック装置の応答信号受信手段及び前記無線通信器の応答信号送信手段は、UHF帯の無線信号により応答信号を送受信し、
前記ドアロック装置の状態情報送信手段及び前記無線通信器の状態情報受信手段は、LF帯の無線信号により状態情報を送受信するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載のドアロックシステム。
【請求項3】
前記無線通信器は、
操作部と、
前記状態情報受信手段が受信した状態情報を記憶する記憶手段と
を更に有し、
前記報知手段は、前記操作部に対する操作がなされた場合に、前記記憶手段が記憶した状態情報を報知するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドアロックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−58329(P2011−58329A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212271(P2009−212271)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】