説明

ドライブレコーダ

【課題】窓ガラスの傾斜角度や湾曲状態によらず適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像することができるドライブレコーダを提供すること。
【解決手段】窓ガラスと対向する面に、前記窓ガラスへ取り付けるための貼着面を有する凸部が設けられた本体部と、前記本体部の厚みよりも大きい径で、前記本体部の前記窓ガラスと対向する面からせり出す部分の高さが前記凸部の高さよりも小さい径の外周に沿って移動するレンズを有するカメラ部とを備えるドライブレコーダ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の状況を撮像して記録するドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交通事故等が発生した場合の原因究明に用いる材料として車両周辺の状況を撮像して記録するドライブレコーダが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両のフロントガラスの内面に設けられ、車両の前方を撮像するレンズの角度が固定されたカメラ部(固定式カメラ部)とカメラ部によって撮像された画像を記録する本体部とが一体に構成されたドライブレコーダが記載されている。
【0004】
ところで、車両のフロントガラスは、車種によって傾斜角度が異なる。したがって、特許文献1に記載のドライブレコーダのように固定式カメラ部を備えたドライブレコーダでは、フロントガラスの傾斜角度によってカメラの光軸方向が決定されるため、車種によっては適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像できない場合がある。
【0005】
このため、本体部と角度調整が可能なカメラ部(可動式カメラ部)とを一体に構成したドライブレコーダが開発されている。かかる本体部と可動式カメラ部とを一体に構成したドライブレコーダでは、窓ガラスの形状に応じてカメラ部の角度を調整して設置することができるため、適切な撮像範囲の画像を取得することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−158913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本体部と可動式カメラ部とを一体に構成したドライブレコーダでは、カメラ部の角度を調整したとしても適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像できない場合があるという問題があった。
【0008】
具体的には、ドライブレコーダでは、広い撮像範囲で撮影を行うために広い画角のレンズが用いられる。そのため、可動式カメラ部と本体部とを一体に設けたドライブレコーダでは、カメラ部の角度を適切に調整したとしても、その適切に調整された角度での撮像範囲内に本体部が入り込んでしまい、本体部が画像に写り込んでしまうことから適切な車両周辺の画像が得られないといった問題があった。
【0009】
また、前述したように、車両の窓ガラスは、車種によって傾斜角度が異なるため、本体部と可動式カメラ部とを一体に構成したドライブレコーダでは、カメラ部の角度を調整した場合に、カメラ部が窓ガラスへ接触する場合があった。
【0010】
かかる場合のドライブレコーダでは、カメラ部の角度を適切な角度まで調整することができないため、適切な撮像範囲で撮影することができず、その結果、車両周辺の画像が得られないといった問題があった。
【0011】
また、これを解決する方法として、別途ブラケットを用意しこのブラケットを用いてドライブレコーダを窓ガラスから干渉しない程度に離して車両に固定する方法が考えられるが、ブラケットを別途設ける必要があり、コスト高となる等の問題がある。
【0012】
これらのことから、窓ガラスの傾斜角度や形状によらず適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像することができるドライブレコーダをいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0013】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像することができるドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両の窓ガラスに取付けられるドライブレコーダであって、前記窓ガラスと対向する面に、前記窓ガラスへ取り付けるための貼着面を有する凸部が設けられた本体部と、前記本体部の厚みよりも大きい径で、前記本体部の前記窓ガラスと対向する面からせり出す部分の高さが前記凸部の高さよりも小さい前記径の外周に沿って移動するレンズを有するカメラ部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係るドライブレコーダの概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係るドライブレコーダの外観を示す斜視図である。
【図3】図3は、本実施例に係るドライブレコーダの設置位置を示す図である。
【図4】図4は、本実施例に係るドライブレコーダをフロントガラスの傾斜角度が異なる車両へ設置する場合の設置態様を示す図である。
【図5】図5は、本実施例に係るドライブレコーダが備える凸部の形状の説明図である。
【図6】図6は、本実施例に係るドライブレコーダの配線の取り回し態様を示す図である。
【図7】図7は、本実施例に係るドライブレコーダの側面視による断面図である。
【図8】図8は、本実施例に係るドライブレコーダにおける記録媒体の挿し抜き部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るドライブレコーダの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るドライブレコータの概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係るドライブレコータについての実施例を図2〜図8を用いて説明することとする。
【0018】
図1は、本発明に係るドライブレコーダ10の概要を示す図である。図1に示すように、ドライブレコーダ10は、車両のフロントガラスgの車室内側の面に取付けられ、車両前方の状況を撮像して記録する装置である。
【0019】
かかるドライブレコーダ10は、車両前方の状況を撮像するカメラ部11と、カメラ部11によって撮像された画像の記録処理を行う処理部等を備えた本体部12とが一体に構成されている。
【0020】
また、本体部12は、フロントガラスgと対向させる側の面に、フロントガラスgへ取り付けるための貼着面(以下、「貼付面」ともいう)となる平面形状の頂面を有する凸部12aを備えている。
【0021】
また、カメラ部11は、径が本体部の厚みより大きく、本体部12におけるフロントガラスgと対向させる側の面を含む平面sから凸部12aの貼着面を含む平面側(フロントガラスg側)へせり出した部分の高さd1が凸部12aの高さd2よりも小さい外周を有する筒状の筐体11aと、筐体11aの外周に沿って移動するとともに、筐体11aから所定の画角wで車両の外部を撮像するレンズ11bとを備えている。
【0022】
すなわち、カメラ部11は、本体部の厚み(フロントガラスgと対向する側の面sに対して垂直方向の厚み)よりも大きい径で、本体部12のフロントガラスgと対向する側の面sからせり出す部分の高さd1が凸部12aの貼付面までの高さd2(貼付面に対して垂直方向の厚み)よりも小さい径の外周に沿って移動する撮像レンズ11bを有している。
【0023】
そして、かかるドライブレコーダ10をフロントガラスgへ設置する場合、本体部12におけるフロントガラスgへ取付ける側の面とフロントガラスgとが対向するように凸部12aの頂面をフロントガラスgの車室内側の面へ貼着する。尚、貼着固定は、心材に発泡ゴム等を用いた弾性のある両面テープ等を用いて行なう。
【0024】
続いて、カメラ部11のレンズ11bの向きが車両前方へ向くようにレンズ11bを筐体11aの外周に沿って回動させることでカメラ部11の撮像範囲を調整する。これにより、ドライブレコーダ10は、適切な撮像範囲で車両前方の状況を撮像することができる。
【0025】
このとき、ドライブレコーダ10では、本体部12におけるフロントガラスgと対向する側の面とフロントガラスgとの間に、凸部12aの高さ(厚み)d2分の十分な間隙がある。このため、ドライブレコーダ10では、レンズ11bをフロントガラスgに最も近い位置まで回動させてもレンズ11bがフロントガラスgへ接触することはない。
【0026】
したがって、ドライブレコーダ10は、図1に示すフロントガラスgよりも水平面に対する傾斜角度(地面に対する垂直方向の角度)が大きなフロントガラスへ設置し、レンズ11bを車両前方へ向くように回動させても、レンズ11bがフロントガラスへ接触することはない。
【0027】
しかも、ドライブレコーダ10では、カメラ部11の筐体11aの外周の一部を本体部12に対してフロントガラスg側へせり出すように形成し、レンズ11bがカメラ部11の筐体11aの外周に沿って回動するように構成している。
【0028】
このため、ドライブレコーダ10は、レンズ11bを本体部12におけるフロントガラスgと対向する側の面に最も近い位置まで回動させた場合であっても、レンズ11bの画角w、すなわち、撮像範囲に本体部12が入り込むことがない。
【0029】
また、凸部12aを側方から見た場合において、上辺(貼付面側)が下辺(ドライブレコーダ側)よりも短い台形の形状で構成されている。これにより、凸部12aの縁端部がレンズ11bの画角wに入り込まないようにしている。
【0030】
上述したように、ドライブレコーダ10では、レンズ11bを回動させてもレンズ11bとフロントガラスgとが接触することはなく、撮像範囲へ本体部12が入り込むこともないため、フロントガラスgの傾斜角度によらず適切な撮像範囲で撮像された画像を取得することができる。
【0031】
以下では、図1を用いて説明したドライブレコーダ10についての実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
図2は、本実施例に係るドライブレコーダ1の外観を示す斜視図である。以下では、車両のフロントガラスに設置され、車両の前方の状況を撮像するドライブレコーダ1について説明する。なお、ドライブレコーダ1は、フロントガラス以外に、車両のリアガラスや車室内の天井、ダッシュボード上等、車両周辺の状況を撮像できる箇所であれば任意の箇所に設置することができる。
【0033】
図2に示すように、ドライブレコーダ1は、略円筒形をした筐体(以下、「円筒20」という。)を有するカメラ部2と、所定の厚さDを有する箱型をした筐体30を有する本体部3とを備えている。なお、カメラ部2は、円筒20の周面の一部が本体部3の筐体30の内側へ入り込んだ状態で本体部3と一体に構成されている。
【0034】
なお、以下では、便宜上、本体部3の筐体30を構成する面のうち、図2に符号31で示す面を本体部3の上面といい、上面31と対向する面を本体部3の下面ということとする。
【0035】
また、以下では、ドライブレコーダ1の筐体30を構成する面のうち、円筒20の円形面と平行な面を側面ということとする。
【0036】
カメラ部2は、円筒20の内部に、円筒20の周面に沿って回動するレンズ21を備えており、レンズ21の回動角度を調整することによって画角、すなわち、撮像範囲を変更して車両周辺の状況を撮像する撮像装置である。
【0037】
なお、図2に示す符号22は、回動させたレンズ21の位置を固定する固定部材(ネジ)である。ドライブレコーダ1では、かかる固定部材22を円筒20の内部に設けられた固定穴へ挿入固定(ネジ止め)することでレンズ21の位置、すなわち、レンズ21による撮像方向を固定する。
【0038】
つまり、当該固定部材22が筐体30とカメラ部2をネジ止め固定するようになっている。尚、撮像方向は、固定部材22を挿入する固定穴の選択により決定される。
【0039】
また、カメラ部2は、円筒20の直径が本体部3の厚さDよりも大きな直径となるように形成され、側面視において円筒20の周面の一部が本体部3の上面31を含む平面よりも上側(本体部3の外側)へせり出した状態で本体部3と一体に構成されている。
【0040】
本体部3は、内部にカメラ部2によって撮像された車両周辺の状況の画像を記録する記録部等を備えている。かかる本体部3の上面31には、ドライブレコーダ1を車両のフロントガラスへ貼着するための貼着面321を有する凸部32を備えている。
【0041】
なお、図2に示す符号33は、ドライブレコーダ1をフロントガラスへ貼着するための両面テープであり、符号34は、ドライブレコーダ1から配線を引き出す配線引き出し部である。
【0042】
特に、凸部32は、カメラ部2の外形を構成する円筒20の直径と本体部3の厚さDとの差よりも大きな厚みを備えている。すなわち、凸部32は、本体部3の上面31からの高さが、側面視において本体部3の上面31よりも上側へせり出した円筒20のせり出し部分における高さよりも高くなるように形成している。
【0043】
換言すると、凸部32の上部平面(両面テープ貼付面)について説明すると、凸部32の上面が形成する平面がカメラ部2と交わらないように、凸部32は形成されている。
【0044】
これにより、ドライブレコーダ1は、フロントガラスへ貼着した場合に、カメラ部2のレンズ21をフロントガラス側へ回動させても、レンズ21とフロントガラスとが接触することはない。
【0045】
したがって、ドライブレコーダ1は、取付ける車種によって異なるフロントガラスの傾斜角度に応じた適切な位置までレンズ21を回動させて撮像範囲を調整することができる。このため、ドライブレコーダ1は、フロントガラスの傾斜角度によらず、適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像することができる。
【0046】
次に、図3を用いてドライブレコーダ1の設置位置について説明する。図3は、本実施例に係るドライブレコーダ1の設置位置を示す図である。なお、図3(A)には、車両を前方から見たフロントガラスG1部分を示しており、図3(B)には、車両を側方からみたフロントガラスG1部分を示している。
【0047】
図3(A)に示すように、ドライブレコーダ1は、フロントガラスG1の車室内側の面に設置される。具体的には、ドライブレコーダ1は、フロントガラスG1における助手席側の上部に両面テープ33を介して貼着される。このとき、ドライブレコーダ1は、ワイパーによる雨滴等のふき取り範囲W内にレンズ21が収まるように設置される。
【0048】
これにより、ドライブレコーダ1は、運転者の視界を妨げることなく、車両前方の状況を撮像して記録することができる。また、ドライブレコーダ1は、レンズ21がワイパーのふき取り範囲W内に位置しているため、降雨時であっても適切に車両前方の状況を撮像して記録することができる。
【0049】
なお、ドライブレコーダ1は、フロントガラスG1に放送受信用、GPS(Global Positioning System)用、ETC(Electronic Toll Collection System)用等のアンテナが設置されている場合、各アンテナの設置箇所を避けて設置することが望ましい。
【0050】
また、運転中、運転者の視界にドライブレコーダ1が入り込んで運転の集中力を妨げてしまうのを防止するために、ドライブレコーダ1の設置場所として、ルームミラー近傍の助手席側が好ましい(図3の実施形態では、運転席からフロントガラスG1に向かって、ルームミラーの近傍で左側)。
【0051】
また、ドライブレコーダ1は、図3(B)に示すように、カメラ部2が下方に、本体部が上方になるようにフロントガラスG1に固定される。このように固定することにより、カメラ部2が上方に、本体部が下方になるようにフロントガラスG1に固定した場合より、車両前方方向と(ドライブレコーダ動作時の撮影方向)とドライブレコーダ1が写り込む撮影方向の角度差が大きくなり、より効率的に、つまり無駄な画像成分無しに、車両前方画像を撮影できる。
【0052】
なお、ドライブレコーダ1は、図3(B)に示すように、フロントガラスG1の最下点から最上点までの垂直方向の高さがHの場合、フロントガラスG1の最上点から垂直下側へ0.2Hまでの間にドライブレコーダ1全体が収まる位置に設置する。これにより、ドライブレコーダ1は、運転者の視界を妨げることなく適切な撮像範囲で車両前方の状況を撮像することができる。
【0053】
次に、図4を用いてドライブレコーダ1をフロントガラスの傾斜角度が異なる車両へ設置する場合の設置態様について説明する。図4は、本実施例に係るドライブレコーダ1をフロントガラスの傾斜角度が異なる車両へ設置する場合の設置態様を示す図である。
【0054】
なお、図4(A)には、水平面に対するフロントガラスG1の傾斜角度が比較的小さな一般的な乗用車へドライブレコーダ1を設置した場合の設置態様を示しており、図4(B)には、水平面に対するフロントガラスG2の傾斜角度が乗用車に比べて大きなバスやトラック等の大型車両へドライブレコーダ1を設置した場合の設置態様を示している。
【0055】
図4(A)に示すように、ドライブレコーダ1を一般的な乗用車のフロントガラスG1へ設置する場合、凸部32の頂面(図2示す貼着面321)に設けた両面テープ33によって本体部1の上面32とフロントガラスG1とが平行に対向するように貼着する。
【0056】
続いて、レンズ21が水平に車両の前方を向くようにレンズ21を円筒20の周面に沿って回動させ、固定部材22(図2参照)によってレンズ21の向きを固定する。
【0057】
このように、ドライブレコーダ1は、フロントガラスG1の所定位置に貼着した後、レンズ21の方向を適切に調整することによって、適切な撮像範囲で車両前方の状況を撮像して記録することができる。
【0058】
また、図4(B)に示すように、ドライブレコーダ1を大型車両のフロントガラスG2へ設置する場合も同様に、凸部32の貼着面321に設けた両面テープ33によって本体部1の上面32とフロントガラスG2とが平行に対向するように貼着する。
【0059】
続いて、レンズ21が水平に車両の前方を向くようにレンズ21を円筒20の周面に沿って回動させ、固定部材22(図2参照)によってレンズ21の向きを固定する。
【0060】
ところで、大型車両のフロントガラスG2は、一般に、乗用車のフロントガラスG1よりも水平面に対する傾斜角度が大きく、水平面に対して垂直に近い状態で立設されている。このため、ドライブレコーダ1を大型車両へ設置した場合、レンズ21を車両の前方へ向けるためには、レンズ21を向ける方向とフロントガラスG2との角度が垂直に近くなるまでカメラ部2を回動させる。
【0061】
ここで、ドライブレコーダ1では、前述のように、カメラ部2の円筒20の直径を本体部3の筐体30の厚さDよりも大きく形成している。具体的には、ドライブレコーダ1では、側面視においてカメラ部2の円筒20の周面の一部が本体部3の上面31を含む平面よりもフロントガラスG2側へせり出すように形成している。
【0062】
このため、ドライブレコーダ1では、レンズ21を向ける方向とフロントガラスG2との角度が垂直に近くなるまでレンズ21を回動させた場合、本体部3の上面31はレンズ21から見て後方に位置することになる。したがって、ドライブレコーダ1では、レンズ21を向ける方向とフロントガラスG2との角度が垂直に近くなるまでレンズ21を回動させても、本体部3が撮像範囲へ入り込むことがない。
【0063】
しかも、ドライブレコーダ1は、側面視においてカメラ部2の円筒20の周面が本体部3の上面31を含む平面よりもフロントガラスG2側へせり出した部分の高さよりも大きな厚み(高さ)を備えた凸部32を介してフロントガラスG2へ貼着されている。
【0064】
すなわち、ドライブレコーダ1では、カメラ部2の円筒20の周面とフロントガラスG2との間に凸部32によって形成された十分な間隙が形成されている。このため、ドライブレコーダ1では、レンズを向ける方向とフロントガラスG2との角度が垂直に近くなるまでカメラ部2を回動させた場合であっても、レンズ21とフロントガラスG2とが接触することはない。
【0065】
このように、ドライブレコーダ1は、カメラ部2を回動さても撮像範囲へ本体部3が入り込まず、レンズ21がフロントガラスG2へ接触することもないためフロントガラスG1、G2の傾斜角度によらず適切な撮像範囲で車両前方の状況を撮像することができる。
【0066】
次に、図5を用いて凸部32の形状についてさらに具体的に説明する。図5は、凸部32の形状の説明図である。なお、図5(A)には、ドライブレコーダ1の取付面側を示しており、図5(B)には、湾曲したフロントガラスG3へ設置したドライブレコーダ1の配線引き出し部34が設けられている側の面を示している。
【0067】
図5(A)に示すように、凸部32は、貼着面321の面積が本体部3の上面31の面積よりも小さく形成されている。このため、ドライブレコーダ1は、図5(B)に示すように、湾曲したフロントガラスG3へ設置する場合、フロントガラスG3へ貼着する面積を小さくできるためフロントガラスG3の湾曲の影響を受けることなくフロントガラスG3へ貼着することができる。
【0068】
例えば、凸部32を備えていないドライブレコーダを湾曲したフロントガラスG3へ両面テープによって貼着する場合、本体部3の上面をフロントガラスG3へ貼着することになる。かかる場合、ドライブレコーダでは、本体部3の上面の中央部分とフロントガラスG3との間に隙間ができることがあり、貼着強度が低下する恐れがある。
【0069】
このように、凸部32を備えていないドライブレコーダは、フロントガラスG3へ貼着する場合に、フロントガラスG3の湾曲の影響を受ける恐れがあるため、設置場所の自由度に欠ける。また、凸部32を備えていないドライブレコーダは、ブラケット等の別部材を用いることで湾曲したフロントガラスG3へ設置することは可能であるが、部品点数が増加するためコストの面で好ましくない。
【0070】
そこで、本実施例のドライブレコーダ1では、本体部3の上面31へ上面31よりも面積の小さな貼着面321を備えた凸部32を設け、かかる凸部32の貼着面321に貼付した両面テープ33によって湾曲したフロントガラスG3へ貼着する構成とした。
【0071】
これにより、ドライブレコーダ1は、フロントガラスG3の湾曲の影響を受けずに設置することができるため、フロントガラスG3における設置位置の自由度を向上させることができる。
【0072】
したがって、ドライブレコーダ1は、フロントガラスG3に設置されているアンテナ等の他の部材と干渉しない位置を選択して設置することができる。しかも、ドライブレコーダ1は、ブラケット等の取付専用の別部材を用いることなく両面テープ33だけでフロントガラスG3へ貼着することができるため、コストの増大を抑制することもできる。
【0073】
次に、図6を用いてドライブレコーダ1の配線の取り回し態様について説明する。図6は、本実施例に係るドライブレコーダ1の配線の取り回し態様を示す図である。
【0074】
図6に示すように、ドライブレコーダ1は、凸部32の側面に配線341を引き出す配線引き出し部34を備えている。特に、ドライブレコーダ1をフロントガラスG1に取り付けた状態において上方に位置する側面に配線引き出し部34を設けている。かかる配線引き出し部34から引き出される配線341は、ドライブレコーダ1へ電力を供給する給電線である。
【0075】
このように、ドライブレコーダ1では、本体部3よりもフロントガラスG1に近い位置(特に、上方に位置する側面)に配線引き出し部34を備えている。このため、ドライブレコーダ1では、本体部3よりもフロントガラスG1に近い位置からフロントガラスG1の内側面を沿わせて配線341の取り回しを行うことができる。
【0076】
また、凸部32と本体部3とで形成される間隙に配置されるため、配線341の取り回しを行う場合の美観を向上させることができると共に、ドライブレコーダ1全体の上下方向(ドライブレコーダ1をフロントガラスG1に取り付けた状態における上端から下端まで)の長さを小さくでき、小型化を実現できる。
【0077】
次に、ドライブレコーダ1の内部構造について説明する。図7は、本実施例に係るドライブレコーダ1の側面視による断面図である。
【0078】
図7に示すように、ドライブレコーダ1の本体部3は、内部にカメラ部2によって撮像された画像を記録処理する回路基板50や、車両の電源がOFFされた場合に、ドライブレコーダ1の予備電源となるスーパーキャパシタ51等を収納する空間を備えている。
【0079】
なお、図7に示す符号52は、ドライブレコーダ1へのノイズの侵入、ドライブレコーダ1から外部へのノイズの漏れ出しを防止するシールドである。
【0080】
また、本体部3の上面31に設けられている凸部32は、内部に本体部3内部の空間と連通する空間を備え、かかる空間内に本体部3へ収納すべき部品の少なくとも一部を収納する。例えば、凸部32内部の空間には、スーパーキャパシタ51等の他の部品に比べて厚みが大きな部品を収納する。
【0081】
尚、回路基板50は大型部品の配置面を凸部32側とし、配線パターン面(小型チップ部品の配置は可能)を凸部32側の反対方向として、凸部32内部の空間を有効に利用し、本体部3内部の空間の使用体積を抑えている。
【0082】
このように、ドライブレコーダ1では、凸部32の内部に、本体部3へ収納すべき部品の少なくとも一部を収納させることができるため、凸部32を設けない場合に比べて本体部3の外形を小型化(薄型化)することができる。
【0083】
これにより、ドライブレコーダ1は、美観を向上できるだけでなく、フロントガラスG1における設置箇所の自由度を向上させることができる。また、本体部3を小型化(薄型化)することによって、運転中の振動の影響を受けにくくなり、ドライブレコーダ1が脱落しにくくなる。
【0084】
また、ドライブレコーダ1は、本体部3と凸部32との色を異なる色としておくことにより、ユーザに対して本体部32の厚みを視覚的にさらに薄く感じさせることができる。
【0085】
次に、図8を用いてドライブレコーダ1における記録媒体の挿し抜き部4について説明する。図8は、本実施例に係るドライブレコーダ1における記録媒体の挿し抜き部4を示す図である。
【0086】
図8に示すように、ドライブレコーダ1の本体部3における側面には、カメラ部2によって撮像された画像を記録する記録媒体となるメモリーカード41の挿し抜きを行うための挿し抜き部4を備えている。
【0087】
この挿し抜き部4は、ドライブレコーダ1の設置場所(ルームミラーの近傍で左側に設置される)を考慮して、ドライブレコーダ1が設置された場合に、左側からメモリーカード41が挿入されるように設けられている。
【0088】
尚、左ハンドルの車両(左側に運転席がある車両)においては、ドライブレコーダ1の設置場所は、ルームミラーの近傍で右側に設置されるのが好ましく、この場合、挿し抜き部4は、ドライブレコーダ1が設置された場合に、右側からメモリーカード41が挿入されるように設けられている。すなわち、挿し抜き部4は、ルームミラーと対向する側面とは反対側の側面に設けられている。
【0089】
このため、ドライブレコーダ1は、本体部3の側面からメモリーカード41の挿し抜きを容易に行うことができる。
【0090】
上述したように、本実施例に係るドライブレコーダは、カメラ部と本体部とが一体に形成されている。そして、本体部は、窓ガラスと対向する面に、頂面が窓ガラスへの貼着面となる凸部を備えている。
【0091】
さらに、カメラ部は、本体部の厚みよりも径が大きく、本体部の窓ガラスと対向する面を含む平面から貼着面を含む平面側へせり出す部分の高さが凸部の高さよりも小さい外周を有する筒状の筐体と、筐体の外周に沿って移動するとともに、筐体から車両の外部を撮像するレンズとを備えている。
【0092】
このため、本実施例に係るドライブレコーダでは、レンズを本体部の窓ガラスと対向する面に最も近い位置まで移動させた場合、レンズの撮像方向に対して本体部がレンズよりも斜め後方に位置することになる。
【0093】
したがって、本実施例に係るドライブレコーダによれば、レンズを本体部の窓ガラスと対向する面に最も近い位置まで移動させた場合であっても、本体部が撮像範囲へ入り込むことがない。
【0094】
しかも、本実施例に係るドライブレコーダでは、車両の窓ガラスへ凸部の頂面を貼着して設置した場合、凸部によってカメラ部の筐体と窓ガラスとの間に、レンズが窓ガラスに接触することなく移動できるだけの間隙を形成することができる。
【0095】
このため、本実施例に係るドライブレコーダは、窓ガラスの傾斜角度に応じてレンズを移動させても、レンズと窓ガラスとが接触することはない。このように、本実施例に係るドライブレコーダは、レンズを移動させることで撮像範囲を調整しても、レンズと窓ガラスとが接触することがなく、撮像範囲へ本体部が入り込むこともない。
【0096】
したがって、本実施例に係るドライブレコーダによれば、レンズを移動させて撮像範囲を調整することでフロントガラスの傾斜角度によらず適切な撮像範囲で車両周辺の状況を撮像することができる。
【符号の説明】
【0097】
1、10 ドライブレコーダ
2、11 カメラ部
21 レンズ
3、12 本体部
32、12a 凸部
34 配線引き出し部
4 挿し抜き部
G、G1、G2、G3 フロントガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスに取付けられるドライブレコーダであって、
前記窓ガラスと対向する面に、前記窓ガラスへ取り付けるための貼着面を有する凸部が設けられた本体部と、
前記本体部の厚みよりも大きい径で、前記本体部の前記窓ガラスと対向する面からせり出す部分の高さが前記凸部の高さよりも小さい前記径の外周に沿って移動するレンズを有するカメラ部と、
を備えたことを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記貼付面の面積が、前記本体部の窓ガラスと対向する面の面積よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記凸部は、
内部に前記本体部内の空間と連通した空間を有し、当該空間内に前記本体部へ収納すべき部品の少なくとも一部を収納した
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記凸部の上方の側面に、配線を引き出す配線引き出し部を備えた
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記本体部は、
前記窓ガラスに設置された場合において、ルームミラーと対向する側面とは反対側の側面に、記録媒体の挿し抜きを行う挿し抜き部を備えた
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
記録媒体の装着部を有する本体部に、カメラ部が一体的に設けられたドライブレコーダであって、
前記カメラ部は本体部に対しで回動可能に設けられ、
前記本体部には、本体部筐体の一部として設けられ窓ガラスに貼付される貼付面を有し、該貼付面は前記カメラ部よりも窓ガラス側へせり出していることを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項7】
カメラ部と本体部とが一体に形成され、車両の窓ガラスに該本体部の取付部を貼付固定することにより取付けられて、前記車両周辺の状況の画像を撮像して記録するドライブレコーダであって、
前記カメラ部は、
前記本体部の端部に該本体部に対して回動可能に固定され、ドライブレコーダの窓ガラスへの固定状態において、前記カメラ部が回動可能範囲全域で前記窓ガラスに接触しないように、前記取付部が凸状に形成されていることを特徴とするドライブレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−56405(P2012−56405A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200300(P2010−200300)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】