説明

ドーパミンD3受容体に親和性を有するN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物

本発明は、一般式(I)


[式中、Qは、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、互いに独立して、ハロゲン、CN、NO、CO、COR、C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持する、二価の6員へテロ芳香族基であり;Arは、フェニル又は、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、ハロゲン、NO、CN、CO、COR、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持し、またArの隣接炭素原子に結合した2個のR基が一緒にC−C−アルキレンであることも可能である、6員へテロ芳香族基であり;Rは、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルキニルであり;n、R、R、R、R及びRは特許請求の範囲において与えられる意味を有する]のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの化合物の生理的に許容される酸付加塩及び、ドーパミンD受容体アンタゴニスト又はアゴニストによる作用に応答する疾患を治療するため、特に中枢神経系の疾患及び腎機能障害を治療するための、適宜に生理的に許容される担体及び/又は補助物質と共に、請求項1から10のいずれかに記載の少なくとも1つのN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物及び/又は少なくとも1つのIの生理的に許容される酸付加塩及び少なくとも1つのIのN−オキシドを含有する医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規N−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物に関する。前記化合物は有益な治療特性を有し、特にドーパミンD受容体の調節に応答する疾患を治療するのに適する。
【背景技術】
【0002】
ニューロンは、中でも特に、Gタンパク質共役受容体によって情報を得る。数多くの物質がこれらの受容体によってその作用を及ぼす。これらの1つがドーパミンである。ドーパミンの存在及び神経伝達物質としてのこの生理的機能に関して確認された所見が存在する。ドーパミン作動性伝達物質系の障害は、例えば統合失調症、うつ病及びパーキンソン病を含む、中枢神経系の疾患を生じさせる。これらや他の疾患は、ドーパミン受容体と相互作用する薬剤で治療される。
【0003】
1990年までに、ドーパミン受容体の2つのサブタイプ、すなわちD及びD受容体が薬理学的に明瞭定義されていた。最近になって、3番目のサブタイプ、すなわち抗精神病薬及び抗パーキンソン病薬の一部の作用を仲介すると思われるD受容体が見出された(J.C.Schwarzら、The Dopamine D Receptor as a Target for Antipsychotics,Novel Antipsychotic Drugsより、H.Y.Meltzer編集、Raven Press,New York 1992,p.135−144;M.Dooleyら、Drugs and Aging 1998,12,495−514,J.N.Joyce,Pharmacology and Therapeutics 2001,90,p.231−59「The Dopamine D Receptor as a Therapeutic Target for Antipsychotic and Antiparkinsonian Drugs」)。
【0004】
このとき以来、ドーパミン受容体は2つのファミリーに分類されてきた。一方には、D、D及びD受容体から成るD群があり、他方にはD及びD受容体から成るD群がある。D及びD受容体は広く分布するのに対し、D受容体は位置選択的に発現されると思われる。従って、これらの受容体は、辺縁系及び中脳辺縁系ドーパミン系の突出部において、特に側坐核において選択的に見出されるが、扁桃などの他の領域でも認められる。この比較的位置選択な発現の故に、D受容体は副作用が少ない標的であるとみなされ、選択的Dリガンドは公知の抗精神病薬の性質を有するが、これらのドーパミンD受容体を介した神経学的副作用を有さないと考えられている(P.Sokoloffら、Localization and Function of the D Dopamine Receptor,Arzneim.Forsch./Drug Res.42(1),224(1992);P.Sokoloffら、Molecular Cloning and Characterization of a Novel Dopamine Receptor(D) as a Target for Neuroleptics,Nature,347,146(1990))。
【0005】
ドーパミンD受容体に親和性を有する化合物は、様々な機会に先行技術において、例えば国際公開公報第WO96/02519号、国際公開公報第WO96/02520号、国際公開公報第WO96/02249号、国際公開公報第WO96/02246号及びドイツ特許第10131543号及び国際公開公報第WO99/02503号において、記述されている。これらの化合物の一部はドーパミンD受容体に高い親和性を有する。従って、これらは、中枢神経系の疾患を治療するのに適すると提案されてきた。これらの公表文献に述べられている化合物の一部は、ピペラジニルヘタリール構造を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、選択的ドーパミンD受容体リガンドとして働く化合物を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、一般式I:
【0008】
【化9】

[式中、
Rは、酸素、N−R基又はCR3a3b基であり、
Qは、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、互いに独立してハロゲン、CN、NO、CO、COR、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される1又は2個の置換基Rを担持する、二価の6員へテロ芳香族基であり、
Arは、フェニル又は、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、ハロゲン、NO、CN、CO、COR、NH、NHR、NR、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cシクロアルキル−C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持し、Arの隣接炭素原子に結合した2個のR基が一緒にC−C−アルキレンであることも可能である、6員へテロ芳香族基であり、
nは0、1又は2であり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルキニルであり、
は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキルであるか又は、Rと共に、C−C−アルキレンであるか又はn=2の場合は、2個のR基が一緒になってC−C−アルキレンであってもよく、
は、水素又はC−C−アルキルであり、
3a、R3bは、互いに独立して、水素又はC−C−アルキルであり、
は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニルC−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルであり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニルC−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルであり、
、Rは、互いに独立して、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキルから選択されるか又はこれらが結合している窒素と共に、付加的に環成員として酸素原子又は付加的な窒素原子を含んでいてもよく、及び1、2、3又は4個のC−C−アルキル基を担持してもよい、飽和3、4、5又は6員へテロ環を形成する]
のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの化合物の生理的に許容される酸付加塩によって達成される。
【0009】
これらの化合物は、研究ライブラリーのための試験物質としてAmbinter,Parisによって市販されている、4−メチル−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド及び4−クロロ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミドを除いて、これまでに記述されていない。
【0010】
本発明は、従って、化合物:4−メチル−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド及び4−クロロ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミドを除く、一般式IのN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの生理的に許容される酸付加塩に関する。
【0011】
本発明はまた、ドーパミンD受容体アンタゴニスト又はアゴニストの作用に応答する疾患を治療するための医薬組成物を生産するための、一般式IのN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの酸付加塩の使用に関する。
【0012】
ドーパミンD受容体アンタゴニスト又はアゴニストの作用に応答する疾患は、特に、中枢神経系の障害及び疾患、特に情動障害、神経障害、ストレス障害及び身体表現性障害、及び精神病、特に統合失調症及びうつ病、及びこれらに加えて、腎機能の障害、特に糖尿病によって引き起こされる腎機能障害(国際公開公報第WO00/67847号参照)を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明によれば、最初に述べた意味を有する一般式Iの少なくとも1つの化合物を、前述した適応症を治療するために使用する。式Iの化合物が1又はそれ以上の不斉中心を有する場合は、鏡像異性体混合物、特にラセミ化合物、ジアステレオマー混合物及び互変異性体混合物を使用することも可能であるが、好ましくは、それぞれの基本的に純粋な鏡像異性体、ジアステレオマー及び互変異性体を使用する。
【0014】
同様に式Iの化合物の生理的に許容される塩、特に生理的に許容される酸との酸付加塩を使用することが可能である。適切な生理的に許容される有機及び無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸などのC−C−アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、アジピン酸及び安息香酸である。他の使用可能な酸は、Fortschritte der Arzneimittelforschung[Advances in drug research],Volume 10,p.224 ff.,Birkhaeuser Verlag,Basel and Stuttgart,1966に述べられている。
【0015】
同様に式Iの化合物のN−オキシドを使用することが可能である。式Iの化合物のN−オキシドでは、環成員、特に芳香族ヘテロ環Q及び/又はArにおける環成員である1個又はそれ以上の窒素原子がN−オキシド基として存在する。ピペラジン環における環窒素原子がいかなるN−オキシド基も形成しない、式IのN−オキシドが好ましい。特に好ましいN−オキシドは、Ar及び/又はQの1又は2個の環窒素原子上にN−オキシド基を示す。
【0016】
ここで及び以下において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0017】
−Cアルキル(同様にアルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ等のような基として)は、nからm個の炭素原子、例えば1から4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル等である。
【0018】
−C−ハロアルキル(同様にハロアルコキシ、ハロアルコキシアルキル、ハロアルキルチオ等のような基として)は、全部又は一部の、例えば1、2、3又は4個の、水素原子がハロゲン原子によって、特に塩素又はフッ素によって置換されている、1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。好ましいハロアルキルは、C−Cフルオロアルキル又はC−C−フルオロクロロアルキル、特にCF、CHF、CFCl、CHF及びCHCFである。
【0019】
−C−ヒドロキシアルキルは、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−メチル−2−ヒドロキシプロピル等のような、OH基を有するC−C−アルキル基である。
【0020】
−C−アルコキシ−C−C−アルキルは、C−C−アルコキシ置換基を担持するC−C−アルキル基、例えばメトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、1−メトキシエチル、2−エトキシエチル、1−エトキシエチル、n−プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n−ブトキシメチル、(1−メチルプロポキシ)メチル、(2−メチルプロポキシ)メチル、CH−OC(CH、2−(メトキシ)エチル、2−(エトキシ)エチル、2−(n−プロポキシ)エチル、2−(1−メチルエトキシ)エチル、2−(n−ブトキシ)エチル、2−(1−メチルプロポキシ)エチル、2−(2−メチルプロポキシ)エチル、2−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル、2−(メトキシ)プロピル、2−(エトキシ)プロピル、2−(n−プロポキシ)プロピル、2−(1−メチルエトキシ)プロピル、2−(n−ブトキシ)プロピル、2−(1−メチルプロポキシ)プロピル、2−(2−メチルプロポキシ)プロピル、2−(1,1−ジメチルエトキシ)プロピル、3−(メトキシ)プロピル、3−(エトキシ)プロピル、3−(n−プロポキシ)プロピル、3−(1−メチルエトキシ)プロピル、3−(n−ブトキシ)プロピル、3−(1−メチルプロポキシ)プロピル、3−(2−メチルプロポキシ)プロピル、3−(1,1−ジメチルエトキシ)プロピル、2−(メトキシ)ブチル、2−(エトキシ)ブチル、2−(n−プロポキシ)ブチル、2−(1−メチルエトキシ)ブチル、2−(n−ブトキシ)ブチル、2−(1−メチルプロポキシ)ブチル、2−(2−メチルプロポキシ)ブチル、2−(1,1−ジメチルエトキシ)ブチル、3−(メトキシ)ブチル、3−(エトキシ)ブチル、3−(n−プロポキシ)ブチル、3−(1−メチルエトキシ)ブチル、3−(n−ブトキシ)ブチル、3−(1−メチルプロポキシ)ブチル、3−(2−メチルプロポキシ)ブチル、3−(1,1−ジメチルエトキシ)ブチル、4−(メトキシ)ブチル、4−(エトキシ)ブチル、4−(n−プロポキシ)ブチル、4−(1−メチルエトキシ)ブチル、4−(n−ブトキシ)ブチル、4−(1−メチルプロポキシ)ブチル、4−(2−メチルプロポキシ)ブチル又は4−(1,1−ジメチルエトキシ)ブチル、好ましくはメトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−(メトキシ)プロピル、2−(エトキシ)プロピル又は3−(メトキシ)プロピル又は3−(エトキシ)プロピルである。
【0021】
−C−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどの、3から6個の炭素原子を有する脂環式基である。
【0022】
−C−シクロアルキル−C−C−アルキルは、C−C−シクロアルキル基を担持するC−C−アルキル基、例えばシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、1−シクロプロピルエチル、1−シクロブチルエチル、1−シクロペンチルエチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロブチルエチル、2−シクロペンチルエチル、1−シクロプロピルプロピル、1−シクロブチルプロピル、1−シクロペンチルプロピル、2−シクロプロピルプロピル、2−シクロブチルプロピル、2−シクロペンチルプロピル、3−シクロプロピルプロピル、3−シクロブチルプロピル、3−シクロペンチルプロピル、1−シクロプロピル−1−メチルエチル、1−シクロペンチル−1−メチルエチル、1−シクロペンチル−1−メチルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル又は1−シクロヘキシル−1−メチルエチルである。
【0023】
−C−アルケニル(同様にアルケニルオキシなどの基として)は、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する、1個の不飽和結合を含む炭化水素基、例えばビニル、アリル(2−プロペン−1−イル)、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−2−イル、メタリル(2−メチルプロパ−2−エン−1−イル)等である。C−C−アルケニルは、特にアリル、1−メチルプロパ−2−エン−1−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、メタリル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、1−メチルブタ−2−エン−1−イル又は2−エチルプロパ−2−エン−1−イルである。
【0024】
−C−アルキニル(同様にアルキニルオキシなどの基として)は、1個の三重結合を有する、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する炭化水素基、例えばプロパルギル(2−プロピン−1−イル)、1−(メチルプロパ−2−イン−1−イル)、2−ブチン−1−イル、3−ブチン−1−イル、2−ペンチン−1−イル、1−ペンチン−3−イル等である。
【0025】
環成員として1又は2個の窒素原子を有する6員へテロ芳香族基の例は、特に2−、3−又は4−ピリジニル、2−、4−又は5−ピリミジニル、2−又は3−ピラジニル及び3−又は4−ピリダジニルである。環成員として1又は2個の窒素原子を有する二価6員へテロ芳香族基の例は、特にピリジン−2,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,6−ジイル、ピリジン−3,5−ジイル、ピリミジン−2,4−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリミジン−4,6−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピラジン−2,6−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル及びピリダジン−3,5−ジイルである。
【0026】
本発明に従った化合物をドーパミンD受容体リガンドとして使用することに関して、ピペラジン環が、R基に対してメタ位又は、特にパラ位のヘテロ芳香族基Qに結合している式Iの化合物が好ましい。
【0027】
1つの実施態様では、R基は、ハロゲン、CN、NO、CO、COR、C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される。R及びRの好ましい意味は、互いに独立して、水素又はC−C−アルキルである。もう1つの実施態様では、Rは、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、NH、NHR及びNRから選択される。この実施態様では、R及びRの好ましい意味は、互いに独立してメチル又はエチルである。
【0028】
ヘテロ芳香族基Qは、置換されていないか又はハロゲン、C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される置換基Rを有し得る。1つの実施態様では、Rは、ハロゲン、C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される。もう1つの好ましい実施態様では、Rは、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、NH、NHR及びNRから選択され、メトキシ、NH、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミン、ジエチルアミノ及びメチルエチルアミノが特に好ましい。
【0029】
非常に好ましい実施態様では、Qは置換されていない。
【0030】
もう1つの非常に好ましい実施態様では、Qは、C−C−ハロ−アルコキシ、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−アルキル、NH、NHR又はNRから選択される基、特にメトキシ又はメチルを担持する。
【0031】
Q、R、R、R及びArは、互いに独立して、以下に述べる意味を有することが好ましい。
【0032】
Qは、好ましくは式(A):
【0033】
【化10】

[式中、A、A及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、A、A及びAの1又は2個はC−Rであってもよく、但しA、A及びAは同時にNではないか又は同時にCH及びC−Rから選択されることはない]
である。式Aにおいて、kは0又は1であり、Rは先に述べた意味を有する。
【0034】
式Aにおいて、Rは、好ましくはハロゲン、特に塩素又はフッ素、C−C−アルキル、特にメチル、及びC−C−ハロアルキル、特にトリフルオロメチル、C−C−アルコキシ、特にメトキシ、C−C−ハロアルコキシ、特にジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシ、NH、NHR、特にメチルアミノ又はエチルアミノ、及びNR、特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はメチルエチルアミノから選択される。原子AとAの間に位置する炭素原子は、好ましくはピペラジニル基を担持する。
【0035】
特に、A、A及びAはいずれもC−Rではない。好ましいQは、式中、A及び/又はAがNであり、残りのA又はAがCH又はC−Rであり、AがCHであり、およびピペラジニル基がAとAの間に位置する炭素原子に結合している、式Aである。
【0036】
式AにおけるA及びAがNであり、AがCH又はC−Rである、式Iの化合物は、さらに好ましい。
【0037】
非常に好ましい実施態様では、式Aにおけるkは0である。特に、Qは、置換されていないか又は水素とは異なる置換基Rを有し得るピリジン−2,5−ジイル又はピリミジン−2,5−ジイルである。ピペラジニル基は、この場合、好ましくは2位に位置する。
【0038】
もう1つの非常に好ましい実施態様では、式Aにおけるkは1であり、AはNであり、A及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、Rは、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される。特に、Rはメトキシ又はメチルである。もっとも好ましくは、ピペラジン基は2位に位置する。この実施態様では、AがN又はCH、特にCHであり、AがCHである化合物が特に好ましい。
【0039】
Arは、好ましくは、適宜に1又は2個の前述した置換基Rを有するフェニル又はピリジルである。本発明に従った化合物をドーパミンD受容体リガンドとして使用することに関して、Arが、各々の場合にスルホンアミド基についての結合部位に対して、パラ位に1個の置換基R及び、適宜に、オルト位又はメタ位にさらなる1個の置換基Rを担持する、式Iの化合物が好ましい。基Rは同じであるか又は異なってもよい。パラ位の基Rは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、NH、NHR及びNRから選択されることが好ましい。
【0040】
1つの好ましい実施態様では、パラ位の基Rは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキルから、特に分枝C−C−アルキル、特にイソプロピル、及びC−C−シクロアルキル、特にシクロプロピルから選択される。Arのパラ位に位置する基Rはイソプロピルであることが非常に好ましい。
【0041】
1つの好ましい実施態様では、パラ位の基Rは、NHR及びNRから選択される。この実施態様では、R及びRの好ましい意味は、互いに独立して、メチル又はエチルであるか若しくは窒素原子と共に、付加的に環成員として酸素原子又は付加的な窒素原子を含んでいてもよく、及び1、2、3又は4個のC−C−アルキル基、例えばアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル等から成る群からの基を担持してもよい、飽和3、4、5又は6員へテロ環を形成する。
【0042】
メタ位又はオルト位の好ましい基Rは、ハロゲン、特に塩素及びフッ素、C−C−アルキル、特にメチル、CN、トリフルオロメチル及びジフルオロメチルから選択される。
【0043】
本発明に従った化合物をドーパミンD受容体リガンドとして使用することに関して、Rが水素とは異なる、特に水素及びメチルとは異なる、式Iの化合物が好ましい。特に、Rは、C−C−アルキル、シクロプロピルメチル又は、特に好ましくはエチル、アリル又はn−プロピルである。
【0044】
変数nは、好ましくは0又は1である。nが0ではないことを条件として、Rは、好ましくはメチルである。nが0ではないとき、R基は、好ましくは、R−N基に隣接するピペラジン環内の炭素原子に結合している。特に好ましい化合物においては、n=0である。また、n=1及びR基が、R−N基に隣接するピペラジン環内の炭素原子に結合しているメチル基であることが該当する式Iの化合物が特に好ましい。前記化合物は、この場合、ラセミ体として、純粋な鏡像異性体として又は鏡像異性体の非ラセミ混合物として存在し得る。これらの中で、前記メチル基を担持する炭素原子がS立体配置を示す化合物が特に好ましい。
【0045】
は、好ましくは水素又はC−C−アルキル、特に水素である。
【0046】
RがCR3a3b基である場合、R3a又はR3b基の少なくとも1つは水素である。より好ましくは、R3a及びR3b基の両方が水素である。
【0047】
一般式Iの化合物の中で、式中、RがN−Rであり、Rが前記で定義した通りである、特に水素である、式Iの化合物が好ましい。これらの化合物の中で、一般式Ia:
【0048】
【化11】

[式中、n、R、R、R、R及びRは、先に述べた意味、特に、好ましいと記述した意味を有し、A、A及びAは、互いに独立して、N又はCHでありA、A及びAのうち1つはC−Rであってもよく、但しA、A及びA同時にNではないか又は同時にCH及びC−Rから選択されることはなく、X及びYは、CH、C−R及びNから選択され、前記式中、Rは、ハロゲン、メチル、CN、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり、但しX及びYは同時にNではないか又は同時にC−Rではなく、kは0又は1である]
の化合物が好ましい。Rは、先に述べた意味を有する。特に、Rは、ハロゲン、特に塩素又はフッ素、C−C−アルキル、特にメチル、及びC−C−ハロアルキル、特にトリフルオロメチル、C−C−アルコキシ、特にメトキシ、C−C−ハロアルコキシ、特にジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシ、NH、NHR、特にメチルアミノ又はエチルアミノ、及びNR、特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はメチルエチルアミノから選択される。
【0049】
特に、A、A及びAはいずれもC−Rではない。好ましい化合物Iaは、式中、A及び/又はAがNであり、残りのA又はAがCH又はC−Rであり、AがCHである化合物である。
【0050】
特に好ましい実施態様では、k=0である。これらの中で、特に、A及びAがNであり、AがCH又はC−Rである化合物Iがさらに好ましい。これらの中で、X又はYがCH又はNである、特に両方がCHである、式Iaの化合物が好ましい。
【0051】
もう1つの非常に好ましい実施態様では、式Iaにおけるkは1であり、AはNであり、A及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、Rは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される。特に、Rはメトキシ又はメチルである。この実施態様では、AがN又はCH、特にCHであり、AがCHである化合物が特に好ましい。
【0052】
一般式Iaの化合物の中で、一般式Ia.1:
【0053】
【化12】

[式中、n、X、Y、R、R、R、R及びRは、先に述べた意味、特に、好ましいと記述した意味を有し、qは0、1又は2、特に0又は1である]
の化合物が好ましい。qが1である場合、R基は、好ましくは、ピリジン環の窒素原子に隣接する炭素原子に結合している。
【0054】
一般式Iaの化合物の中で、一般式Ia.2:
【0055】
【化13】

[式中、n、X、Y、R、R、R、R及びRは、先に述べた意味、特に、好ましいと記述した意味を有し、q及びq’は、互いに独立して0又は1であり、但しq+q’は、好ましくは0又は1である]
の化合物がさらに好ましい。
【0056】
式Ia.1の化合物の例は、以下の一般式Ia.1a、Ia.1b、Ia.1c、Ia.1d、Ia.1e、Ia.1f、Ia.1g、Ia.1h及びIa.1k:
【0057】
【化14】



[式中、R、R2a、R2b、R2c、R、X、Y及びRは、表1の1つの行において規定される意味を有する]
の化合物である。
【0058】
式Ia.2の化合物の例は、以下の一般式Ia.2a、Ia.2b、Ia.2c、Ia.2d及びIa.2e:
【0059】
【化15】

[式中、R、R2a、R2b、R2c、R、X、Y及びRは、表1の1つの行において規定される意味を有する]
の化合物である。
【0060】
【表1】


















【0061】
本発明に従った化合物の他の例は、一般式Ia.3、Ib、Ic、Id、Ie及びIf:
【0062】
【化16】


[式中、R、R2a、R2b、R2c、R、X、Y及びRは、表1の1つの行において規定される意味を有する]
の化合物である。
【0063】
一般式Iの化合物の中で、一般式Ig:
【0064】
【化17】

[式中、n、k、R、R、R、R、A、A、A、X及びYは、式Iaに関して与えられた意味を有する]
の化合物も好ましい。
【0065】
一般式Iの化合物の中で、一般式Ih:
【0066】
【化18】

[式中、n、k、R、R、R、R、A、A、A、X及びYは、式Iaに関して与えられた意味を有する]
の化合物も好ましい。
【0067】
一般式Ig及びIhの化合物の中で、一般式Ig.1、Ig.2、Ih.1及びIh.2:
【0068】
【化19】

[式中、n、q、q’、X、Y、R、R、R及びRは、式Ia.1及びIa.2に関して先に述べた意味を有し、Rは、CH(化合物Ig.1及びIg.2)又はO(化合物Ih.1又はIh.2)である]
の化合物が好ましい。
【0069】
一般式Ig.1及びIh.1の化合物の例は、以下の一般式Ig.1a、Ig.1b、Ig.1c、Ig.1d、Ig.1e、Ig.1f、Ig.1g、Ig.1h、Ig.1k、Ih.1a、Ih.1b、Ih.1c、Ih.1h、Ih.1e、Ih.1f、Ih.1g、Ih.1h及びIh.1k:
【0070】
【化20】



[式中、R、R2a、R2b、R2c、X、Y及びRは、表1の1から474の行の1つにおいて規定される意味を有する]
の化合物である。
【0071】
一般式Ig.1及びIh.1の化合物の例は、以下の一般式Ig.2a、Ig.2b、Ig.2c、Ig.2d、Ig.2e、Ih.2a、Ih.2b、Ih.2c、Ih.2d及びIh.2e:
【0072】
【化21】

[式中、R、R2a、R2b、R2c、X、Y及びRは、表1の1から474の行の1つにおいて規定される意味を有する]
の化合物である。
【0073】
本発明に従った化合物Iは、文献から公知の方法と同様にして製造される。RがO又はN−Rである本発明に従った化合物への重要なアプローチは、スキーム1に示すようなヘタリール化合物IIとアリールスルホン酸誘導体IIIの反応によって提供される。
【0074】
スキーム1:
【0075】
【化22】

【0076】
スキーム1において、n、R、R、R、Ar及びQは、先に述べた意味を有する。Rは、O又はN−Rである。Xは、求核置換可能な脱離基、特にハロゲン原子、特に塩素又は臭素である。スキーム1に示す反応は、それぞれアリールスルホンアミド化合物又はアリールスルホン酸エステルを製造するために慣例的であり、例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第3版、John Wiley & Sons,New York,1985 p.444及びこの中で引用される文献、European J.Org.Chem.2002(13),p.2094−2108、Tetrahedron 2001,57(27)p.5885−5895、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,2000,10(8),p.835−838及びSynthesis 2000(1),p.103−108に述べられている反応条件下で起こる。
【0077】
反応は、慣例的に、不活性溶媒中、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル又はテトラヒドロフランなどのエーテル、ジクロロメタンなどのハロ炭化水素、ペンタン、ヘキサン又はシクロヘキサンなどの脂肪族又は脂環式炭化水素、若しくはトルエン、キシレン、クメン等のような芳香族炭化水素中で、若しくは前述した溶媒の混合物中で、実施する。
【0078】
IIとIIIの反応は、慣例的に補助塩基の存在下で実施する。適切な塩基は、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムなどの無機塩基、及び有機塩基、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、若しくはピリジン、ルチジン等のようなピリジン化合物である。後者の化合物は、同時に溶媒として働くことができる。補助塩基は、慣例的に、アミン化合物IIに基づいて少なくとも等モル量で使用する。
【0079】
一般式IIの化合物は、それ自体公知であるか又は、RがN−R3aである場合は、スキーム2に示すようにして製造できる。
【0080】
スキーム2:
【0081】
【化23】

【0082】
スキーム2において、n、R及びQは、先に述べた意味を有する。R1’は、Rに関して指定される水素とは異なる意味を有するか又は適切な保護基である。適切な保護基は、例えばP.Kocienski,Protecting Groups,Thieme−Verlag,Stuttgart 2000,第6章に開示されている。Yは、求核置換可能な脱離基、特にハロゲン原子、例えば塩素又は臭素、又はアルキルスルホニル基、例えばメチルスルホニルである。
【0083】
スキーム2の工程a)に示す反応は、芳香族基に関する求核置換について慣例的であり、例えばTetrahedron 1999,55(33),p.10243−10252、J.Med.Chem.1997,40(22),p.3679−3686及びSynthetic Communications,1993,23(5),p.591−599に述べられている反応条件下で起こる。適切な場合は、Q基内の環窒素原子をそのN−オキシドに転換することが好都合であり得る(例えばAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,2002 41(11),p.1937−1940、J.Med.Chem.1985,28(2),p.248−252及びTetrahedron Lett.2002 43(17)p.3121−3123参照)。このアプローチは、特にQがピリジン−2,4−ジイル基である化合物Iを製造するために、有益であることが証明された。VIにおけるニトロ基の続く還元と共に(工程b)、N−オキシド基も還元される。これに関して、還元は、例えばインジウム塩の存在下で実施される。
【0084】
スキーム2に従って5−ブロモニトロピリジンを工程a)における化合物Vとして使用する場合、カップリングはまた、補助塩基、例えば炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、の存在下にパラジウム触媒作用下で達成される。これに関して特に適切なパラジウム触媒は、好都合にはホスフィンリガンド、例えばトリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン、トリブチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン、及びトリシクロヘキシルホスフィンなどのシクロアルキルホスフィンと組み合わせて、特に2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルなどのホスフィンキレートリガンドを使用する、パラジウム(0)化合物又は反応条件下でパラジウム(0)化合物を形成することができるパラジウム化合物、例えば二塩化パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)である。この性質の反応のために必要な条件は、例えばTetrahedron Lett.2001,42(22),p.3681及びTetrahedron Lett.2002,43(12),p.2171−2173に述べられている。
【0085】
工程b)において、VIのニトロ基は、IIにおけるNH基に還元される。続いて、工程c)において、NH基は、−NR3’H基[式中、R3’は、Rに関して指定された水素とは異なる意味を有する]に転換され得る。
【0086】
工程b)のために必要な反応条件は、文献において広汎に記述されている(例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第3版、J.Wiley & Sons,New York,1985,p.1183及びこの中で引用される文献参照)、芳香族ニトロ基を還元するための慣例的条件に一致する。
【0087】
還元は、例えば酸性反応条件下で、すなわち発生期水素を使用して、又は、好ましくはNiCl(P(フェニル)又はCoClなどのニッケル又はコバルトの遷移金属化合物の存在下に(Onoら、Chem.Ind.(London),1983 p.480参照)、水素化アルミニウムリチウム又は水素化ホウ素ナトリウムなどの複合水素化物を使用して、又はNaBHを使用して(Lalancetteら、Can.J.Chem.49,1971,p.2990参照)、ニトロ化合物VIIを鉄、亜鉛又はスズなどの金属と反応させることによって達成され、所与の試薬に依存して、これらの還元を物質中で若しくは溶媒又は希釈液中で実施することが可能である。また、VIからIIへの還元は、遷移金属触媒の存在下で水素によって、例えば白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウム又はロジウムに基づく触媒の存在下で水素を使用して、実施することができる。触媒は、元素形態又は遷移金属の錯化合物、塩又は酸化物の形態の遷移金属を含むことができ、活性を修飾するために、慣例的なコリガンド、例えばトリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン又はトリ−n−ブチルホスフィン又はホスファイトなどの有機ホスフィン化合物、を使用することが可能である。触媒は、慣例的に触媒金属として計算して化合物VIのモル当り0.001から1モルの量で使用される。好ましい変法では、還元は、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters;2002,12(15),p.1917−1919及びJ.Med.Chem.2002,45(21),p.4679−4688に述べられている方法と同様にして塩化スズ(II)を用いて実施される。塩化スズ(II)とVIの反応は、好ましくは不活性有機溶媒中で、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノールなどのアルコール中で実施される。
【0088】
VIの還元は、Rが水素である化合物IIを生成する。次に、慣例的な方法を使用して、これらの化合物をアルキル化剤R3’−X[式中、R3’はC−C−アルキルであり、Xは求核置換可能な脱離基(例えば塩素、臭素又はヨウ素などのハロゲン)である]と反応させ、R=アルキルである化合物IIを生成することができる(工程c)。このために必要な反応条件は、例えば国際公開公報第WO02/83652号、Tetrahedron 2000,56(38)p.7553−7560及びSynlett.2000(4),p.475−480に開示されている。
【0089】
化合物Iはまた、スキーム3に示す経路によっても製造することができる。
【0090】
スキーム3:
【0091】
【化24】

【0092】
スキーム3において、n、R、R、R、Ar及びQは、先に述べた意味を有する。Yは、求核置換可能な脱離基、特にハロゲン原子、例えば塩素又は臭素、又はアルキルスルホニル基、例えばメチルスルホニルである。スキーム3に示す、VIIとVIIIの反応は、スキーム2、工程a)に関して指定された反応条件下で起こる。一般式VII及びVIIIの化合物は公知であるか又は文献から公知の方法と同様にして製造できる。化合物又はRがN−R又は酸素原子である式VIIIは、有機化学の標準的方法に従って(例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第3版、John Wiley & Sons,New York,1985 p.444及びこの中で引用される文献参照)、スルホニルハロゲン化物、特に式Z−SO−Ar[式中、Zはハロゲン、特に塩素又は臭素である]のスルホニル塩化物による、対応するアミノ化合物X−Q−NHRのアミド化(又は対応するヒドロキシ化合物X−Q−OHのエステル化)によって製造できる。
【0093】
がアリル基である一般式Iの化合物は、スキーム4に示す合成経路を用いて、異なるR置換基を有する化合物に転換することができる。
【0094】
スキーム4:
【0095】
【化25】

【0096】
スキーム4において、n、R、R、Ar及びQは、先に述べた意味を有する。スキーム4の工程a)に示すような、アリル基の除去は、例えば文献から公知の方法を用いて(メルカプト安息香酸の存在下でのN−アリルの除去に関しては、国際公開公報第WO94/24088号参照;1,3−ジメチルバルビツル酸の存在下での除去に関しては、J.Am.Chem.Soc.2001,123(28),p.6801−6808及びJ.Org.Chem 2002,67(11)p.3718−3723参照)、好都合にはホスフィンリガンド、例えばトリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン、トリブチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン、及びトリシクロヘキシルホスフィンなどのシクロアルキルホスフィン、及び特に2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル又は1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどのホスフィンキレートリガンドと組み合わせて、触媒量のパラジウム(0)化合物又は反応条件下でパラジウム(0)化合物を形成することができるパラジウム化合物、例えば二塩化パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)の存在下に、I[R=アリル]をメルカプト安息香酸又は1,3−ジメチルバルビツル酸などのアリル捕捉剤と反応させることによって、達成される。また、スキーム4の工程a)に示すような、N−アリルの除去はまた、文献から公知の方法を用いて(J.Chem.Soc.,Perkin Transaction l: Organic and Bio−Organic Chemistry 1999 (21)p.3089−3104及びTetrahedron Asymmetry 1997,8(20),p.3387−3391参照)、トリス(トリフェニルホスフィン)クロロロジウム(I)などのロジウム化合物の存在下で反応させることによっても実施できる。
【0097】
生じたピペラジン化合物I[R=H]を、次に、アルキル化という意味で、公知のように化合物R−Xと反応させることができる。この化合物において、Rは、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又はC−C−シクロアルキル−C−C−アルキルであり、Xは、求核置換可能な脱離基、例えばハロゲン、トリフルオロアセテート、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、硫酸アルキル等である。工程b)におけるアルキル化のために必要な反応条件は、例えばBioorganic and Medicinal Chemistry Lett.2002,12(7),p.2443−2446及び2002,12(5),p.1917−1919において適切に開示されている。
【0098】
工程a)で得たピペラジン化合物I[R=H]の、スキーム4、工程b)に示すような転換はまた、還元的アミノ化という意味で、還元剤の存在下で、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム又は水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムなどのホウ水素化物の存在下で、I[R=H]を適切なケトン又はアルデヒドと反応させることによっても達成できる。当業者は、例えばBioorganic and Medicinal Chemistry Lett.2002,12(5),p.795−798及び12(7)p.1269−1273から、還元的アミノ化のために必要な反応条件に精通する。
【0099】
工程a)で得たピペラジン化合物I[R=H]の、スキーム4、工程b)に示すような転換はまた、スキーム4aに示す方法を用いて、連続的アシル化及びこのアシル化生成物の続く還元によっても実施できる。
【0100】
スキーム4a:
【0101】
【化26】

【0102】
スキーム4aにおいて、n、R、R、Ar及びQは、先に述べた意味を有する。工程a)のアシル化及び工程b)の還元は、例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第3版、J.Wiley & Sons,New York,1985,p.370及び373(アシル化)及びp.1099 f.及びこの中で引用される文献(アシル化に関しては、Synth.Commun.1986,16,p.267も参照のこと、及び還元に関してはJ.Heterocycl.Chem.1979,16,p.1525も参照のこと)に述べられているように有機化学の標準的方法を用いて実施する。
【0103】
芳香族基Ar上にハロゲン原子、特に臭素又はヨウ素を担持する一般式Iの化合物では、それ自体公知である方法を用いて、このハロゲン原子をアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アルキニル又はシクロアルキルアルキル基に転換することができる。前記転換は、例えばTetrahedron Lett.2002,43,p.6987−6990;Chem.Rev.1995,95,p.2457−2483及びJ.Org. Chem.66(21)(2001),p.7124−7128に述べられている、鈴木カップリングの反応条件下でハロ化合物Iをアルキル−、アルケニル−、アルキニル−、シクロアルキル−又はシクロアルキルアルキル−ホウ酸にカップリングすることによって達成される。
【0104】
RがCR3a3bである式Iの化合物も、スキーム5に示す合成経路によって製造することができる:
【0105】
【化27】

【0106】
スキーム5において、n、R、R、Q、R3a、R3b及びArは上記で定義したとおりである。Lは、求核置換可能な脱離基、特に塩素又は臭素などのハロゲン原子、又はスルホネート基、例えばメタンスルホネートなどのC−C−アルキルスルホネート若しくはベンゼンスルホネート又はトシレート(トルエンスルホネート)などのアリールスルホネートである。Lはまた、R3a、R3bが水素とは異なるとき、OHであってもよい。スキーム5の最初の工程に示す反応は、例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第3版、John Wiley & Sons,New York,1985 p.360−362及びこの中で引用される文献に述べられている、アリールスルフィド化合物を製造するために慣例的な反応条件下で起こる。
【0107】
スキーム5の2番目の工程では、最初の工程で得たスルフィドXを、アリールスルホン化合物を対応するアリールスルフィドから製造するために慣例的であり、例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第3版、John Wiley & Sons,New York,1985 p.1089 f.及びこの中で引用される文献に述べられている反応条件下で、対応するスルホンI(R=CR3a3b)に酸化する。
【0108】
式IXの化合物は、当技術分野において公知であるか又はスキーム6に示す方法に従って製造することができる。
【0109】
【化28】

【0110】
スキーム6において、n、R、R、Q、R3a、R3b及びArは上記で定義したとおりである。Halは、ハロゲン、特に塩素、臭素又はヨウ素である。スキーム6の工程(a)では、ハロゲン化合物XIを最初に金属化、すなわち有機化学の標準的方法によって対応するリチウム化合物又はマグネシウム化合物に転換し、このようにして得た金属化合物をアルデヒド又はケトンと反応させて、アルコールXIIを得る(例えはTetrahedron 2003,59(24),4303−4308参照)。工程(b)では、XIIのOH基を、次に、適切な脱離基に、例えばSOClなどのチオニルハロゲン化物又はPOClなどのホスホリルハロゲン化物との反応によってハロゲン原子に、若しくはメタンスルホニルクロリドなどのアルキルスルホニルハロゲン化物又はトルエンスルホニルクロリドなどのアリールスルホニルハロゲン化物との反応によってアルキルスルホネート又はアリールスルホネートに転換する(例えばJ.Med.Chem.1985,28(12),1790−1796参照)。
また、ハロゲン化合物XIをカルボニル化合物XIIIに転換し(工程c、例えばJ.Med.Chem.1987,30(8),1494−1497参照)、次にこれを還元するか(R3b=H)又はアルキルグリニャール試薬R3b−Mg−X(X=ハロゲン、例えば塩素又は臭素)と反応させて、アルコールXIIを得る(工程(d)、例えばJ.Org.Chem.2003,68(9),3736−3738参照)。
【0111】
特に異なる指示がない限り、前述した反応は、一般に室温から使用する溶媒の煮沸温度までの間の温度で、溶媒中で実施する。また、一部が、特に遷移金属によって触媒される反応の場合に、有用であることが証明されている、マイクロ波を使用して、反応のために必要な活性化エネルギーを反応混合物に導入することができる(マイクロ波を使用する反応に関しては、Tetrahedron 2001,57,p.9199 ff.p. 9225ff.及びまた、一般的には、「Microwaves in Organic Synthesis」,Andre Loupy(編集),Wiley−VCH 2002参照)。
【0112】
使用できる溶媒の例は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル又はテトラヒドロフランなどのエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン及びアセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン、ジクロロメタン、トリクロロメタン及びジクロロエタンなどのハロ炭化水素、酢酸エチル及び酪酸メチルなどのエステル、酢酸又はプロピオン酸などのカルボン酸、及びメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びブタノールなどのアルコールである。
【0113】
所望する場合は、反応において放出されるプロトン類を中和するために塩基が存在することも可能である。適切な塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムなどの無機塩基、及び、これに加えて、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシドなどのアルコキシド、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、及びまた、ブチルリチウム化合物又はアルキルマグネシウム化合物などの有機金属化合物、若しくはトリエチルアミン又はピリジンなどの有機窒素塩基を含む。後者の化合物は同時に溶媒として使用できる。
【0114】
粗生成物は、慣例的に、例えば溶媒をろ過する、蒸留除去する、又は反応混合物から抽出すること等によって単離される。生じた化合物は、慣例的に、例えば溶媒から再結晶化することによって、クロマトグラフィーによって又は酸付加塩に転換することによって、精製することができる。
【0115】
酸付加塩は、適宜に有機溶媒中の、例えばメタノール、エタノール又はプロパノールなどの低級アルコール、メチルtert−ブチルエーテル又はジイソプロピルエーテルなどのエーテル、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン、酢酸エチルなどのエステル中の溶液において、遊離塩基を対応する酸と混合することによって製造される。
【0116】
式Iの本発明に従った化合物は、D受容体、D受容体、α1−アドレナリン作用性及び/又はα2−アドレナリン作用性受容体、ムスカリン作用性受容体、ヒスタミン受容体、アヘン剤受容体、及び特にドーパミンD受容体などの他の受容体に対するこれらの低い親和性の故に、D受容体アンタゴニストである古典的神経弛緩薬よりも副作用を生じさせることが少ない、高度選択的ドーパミンD受容体リガンドである。
【0117】
本発明に従った化合物のD受容体に対する高い親和性は、一般に100nM(nmol/l)未満、特に50nM未満、特に10nM未満という非常に低いインビトロK値に反映される。[125I]ヨードスルプリドの置換は、例えばD受容体に対する結合親和性を測定するための受容体結合試験において使用できる。
【0118】
本発明に従った化合物の選択性、K(D)/K(D)は、一般に少なくとも10、好ましくは少なくとも30、さらには少なくとも50、特に好都合には少なくとも100である。[H]SCH23390、[125I]ヨードスルプリド又は[125I]スピペロンの置換は、例えばD、D及びD受容体に関する受容体結合試験を実施するために使用できる。
【0119】
これらの結合プロフィールの故に、前記化合物は、ドーパミンDリガンドに応答する疾患を治療するために使用できる、すなわちこれらは、ドーパミンD受容体に影響を及ぼすこと(調節すること)が臨床像の改善又は疾患の治癒を導く障害又は疾患を治療するために有効である。これらの疾患の例は、中枢神経系の障害又は疾患である。
【0120】
中枢神経系の障害又は疾患は、脊髄及び、特に脳に影響を及ぼす障害を意味すると理解される。本発明の意味の範囲内で、「障害」という用語は、一般に病的状態又は機能とみなされ、特定徴候、症状及び/又は機能不全の形態で現われ得る異常を意味する。本発明に従った治療は、個々の障害、すなわち異常又は病的状態を対象とし得るが、互いに因果関係的に連鎖し得るいくつかの異常を、本発明に従って治療することができるパターン、すなわち症候群に組み合わせることも可能である。
【0121】
本発明に従って治療できる障害は、特に精神医学的及び神経学的障害である。これらの障害は、特に、急性外因性反応型の精神病若しくは、例えば代謝障害、感染及び内分泌障害に関連する、器質性又は外因性原因の随伴性(attendant)精神病などの症候性障害を含む、器質性障害;統合失調症及び統合失調型及び妄想性障害などの内因性精神病;うつ病、躁病及び/又は躁うつ状態などの情動障害;及びまた、前述した障害の混合型;神経及び身体表現性障害及びまたストレスに関連する障害;解離性障害、例えば意識喪失、意識混濁、二重意識及び人格障害;この発症が小児期及び青年期にある行動障害及び情動障害などの注意及び覚醒/睡眠行動の障害、例えば小児における多動、知的欠陥、特に注意障害(注意欠陥障害)、記憶障害及び認知障害、例えば学習及び記憶障害(認知機能障害)、痴呆、ナルコレプシー及び睡眠障害、例えば不穏下肢症候群;発育障害;不安状態、せん妄;性生活障害、例えば男性における不能症;摂食障害、例えば食欲不振又は過食症;嗜癖;及び他の分類不能の精神障害を含む。
【0122】
本発明に従って治療できる障害はまた、パーキンソン病及びてんかん及び、特にこれらに関係する情動障害を含む。
【0123】
嗜癖疾患は、薬剤又は麻薬などの向精神性物質の乱用によって引き起こされる精神的障害及び行動障害、及びまた、ゲームへの嗜癖(他のどこにも分類されない衝動制御障害)などの他の嗜癖疾患を含む。中毒性物質の例は:オピオイド(例えばモルヒネ、ヘロイン及びコデイン)、コカイン;ニコチン;アルコール;GABA塩化物チャネル複合体と相互作用する物質、鎮静薬、催眠薬及び精神安定薬、例えばベンゾジアゼピン;LSD;カンナビノイド;3,4−メチレンジオキシ−N−メチルアンフェタミン(エクスタシー)などの精神運動刺激薬;アンフェタミン及びメチルフェニデートなどのアンフェタミン様物質及びカフェインを含む他の刺激物質である。特に考慮される中毒性物質は、オピオイド、コカイン、アンフェタミン又はアンフェタミン様物質、ニコチン及びアルコールである。
【0124】
嗜癖疾患の治療に関しては、それ自体がいかなる向精神性作用も有していない、本発明に従った式Iの化合物が特に好ましい。これはまた、本発明に従って使用できる化合物を投与した後、向精神性物質、例えばコカインの自己投与を低減する、ラットを用いた試験においても観察できる。
【0125】
本発明のもう1つの側面によれば、本発明に従った化合物は、この原因が少なくとも一部はドーパミンD受容体の異常活性に帰せられる障害を治療するのに適する。
【0126】
本発明のもう1つの側面によれば、治療は、特に、適切な医学的治療という意味の範囲内で、好ましくは外部から投与した結合パートナー(リガンド)のドーパミンD受容体への結合によって影響され得る障害を対象とする。
【0127】
本発明に従った化合物で治療できる疾患は、しばしば進行性発現、すなわち時間の経過に伴う前述した状態の変化によって特徴付けられ、一般に、おそらく重症度の上昇及び状態が互いに合併する又は既に存在する状態に加えて他の状態が発現すると考えられる。
【0128】
本発明に従った化合物は、中枢神経系の障害および、特に前述した状態に関連する数多くの徴候、症状及び/又は機能不全を治療するために使用できる。これらの徴候、症状及び/又は機能不全は、例えば現実との関係障害、慣例的な社会基準又は生活する上での必要性に対処するための洞察及び能力の欠如、気質の変化、空腹、睡眠、渇き等のような個人的欲求及び気分の変化、観察し、組み合わせる能力の障害、人格の変化、特に情緒不安定性、幻覚、自我障害、注意散漫、両価性(アンビヴァレンス)、自閉症、離人症及び誤知覚、妄想性観念、単調な話し方(chanting speech)、連合運動の欠如、短い歩幅の歩行、体幹及び四肢の屈曲した体位、振せん、表情の乏しさ、一本調子の話し方、うつ病、無関心、自発性及び意思決定性障害、連想能力の貧困、不安、神経性興奮(nervous agitation)、どもり、社会恐怖症、恐慌性障害、依存に関連する引きこもり症状、マニフォーム症候群(maniform syndrome)、興奮及び錯乱状態、不快気分、ジスキネジー症候群及びチック障害、例えばハンチントン舞踏病及びジル・ド・ラ・ツレット症候群、めまい症候群、例えば末梢頭位性、回転性及び振動性めまい、メランコリー、ヒステリー、心気症等を含む。
【0129】
本発明の意味の範囲内で、治療はまた、特に再発予防又は病相予防としての、予防的治療(予防)、並びに急性又は慢性徴候、症状及び/又は機能不全の治療も含む。治療は対症療法的に、例えば症状の抑制として、適応させることができる。短期間で実施するか、中間程度の期間に適応させるか又は、例えば維持療法の範囲内で、長期的な治療であり得る。
【0130】
本発明に従った化合物は、中枢神経系の疾患を治療するため、特に情動障害;神経障害、ストレス障害及び身体表現性障害及び精神病を治療するため、及び特に、統合失調症及びうつ病を治療するのに特に適する。D受容体に関するこれらの高い選択性の故に、本発明に従った化合物Iはまた、腎機能の障害、特に糖尿病によって引き起こされる腎機能障害(国際公開公報第WO00/67847号参照)、特に糖尿病性ネフロパシーを治療するのにも適する。
【0131】
治療の範囲内で、前記化合物の本発明に従った使用は1つの方法を含む。この方法では、一般に薬学及び獣医学の慣例に従って製剤される、有効量の1又はそれ以上の化合物を、治療する個体、好ましくは哺乳動物、特にヒト、生産動物又は家畜に投与する。このような治療が指示されるかどうか、及びこれがどのような形態で行われるべきかは個々の場合に依存し、存在する徴候、症状及び/又は機能不全、特定の徴候、症状及び/又は機能不全を発現する危険度及び他の因子を考慮に入れた医学的評価(診断)によって決定される。
【0132】
一般に、前記治療は、単回又は毎日の反復投与によって、適宜に他の活性化合物又は活性化合物含有製剤と共に又は交互に、経口投与の場合は、好ましくは約0.1から1000mg/kg体重の一日用量、又は非経口投与の場合は、約0.1から100mg/kg体重の一日用量が治療する個体に供給されるように実施される。
【0133】
本発明はまた、個体、好ましくは哺乳動物、特にヒト、生産動物又は家畜を治療するための医薬組成物の生産に関する。例えば、前記リガンドは、通例、本発明に従った少なくとも1つのリガンド及び、適宜に他の活性化合物と共に医薬適合性の賦形剤を含有する医薬組成物の形態で投与される。これらの組成物は、例えば経口的、直腸経路、経皮的、皮下、静脈内、筋肉内又は鼻内経路で投与することができる。
【0134】
適切な医薬製剤の例は、粉末、顆粒、錠剤、特にフィルム錠剤、ロゼンジ、小袋、カシェ剤、糖衣錠、ハードゼラチンカプセル及びソフトゼラチンカプセルなどのカプセル、坐薬又は膣医薬形態などの固体医薬形態、軟膏、クリーム、ヒドロゲル、ペースト又は硬膏剤などの半固体医薬形態、及びまた溶液、乳剤、特に水中油型乳剤、懸濁液、例えばローション、注射剤及び注入製剤、及び点眼液及び点耳液などの液体医薬形態である。移植放出装置も、本発明に従った阻害薬を投与するために使用できる。加えて、リポソーム又はミクロスフェアを使用することも可能である。組成物を生産するとき、本発明に従った阻害薬は通常、賦形剤と混合されるか又は賦形剤で希釈される。賦形剤は、活性化合物のための媒体、担体又は媒質として働く固体、半固体又は液体材料であり得る。
【0135】
適切な賦形剤は専門家医薬モノグラフ(specialist medicinal monographs)にリストされている。加えて、前記製剤は、医薬適合性の担体又は慣用補助物質、例えば流動促進剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;防腐剤;抗酸化剤;刺激緩和剤;キレート化剤;被覆補助剤;乳化安定剤;薄膜形成剤;ゲル形成剤;臭気マスキング剤;矯味剤;樹脂;親水コロイド;溶媒;可溶化剤;中和剤;分散促進剤;色素;第四級アンモニウム化合物;refatting及びoverfatting agent;軟膏、クリーム又はオイルのための原材料;シリコーン誘導体;展着補助剤;安定剤;滅菌剤;坐薬基剤;結合剤、充填剤、流動促進剤、崩壊剤又は剤皮などの錠剤補助物質;推進薬;乾燥剤;乳白剤;増粘剤;ろう;可塑剤及び流動パラフィン(白色鉱油)を含み得る。これに関する製剤は、例えばFiedler,H.P.,Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie,Kos−metik und angrenzende Gebiete[Encyclopedia of auxiliary substances for pharmacy,cosmetics and related fields],第4版、Aulendorf:ECV−Editio−Kantor−Verlag,1996に述べられているような専門的知識に基づく。
【0136】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明を説明するものである。
【0137】
核磁気共鳴スペクトル特性(NMR)は、百万分量単位中の絶対数(ppm)で表わした化学シフト(δ)を指す。H NMRスペクトルにおけるシフトの相対面積は、分子中の特定機能型についての水素原子の数に対応する。シフトの性質は、多重度に関して、一重項(s)、広い一重項(s.br.)、二重項(d)、広い二重項(d.br.)、三重項(t)、広い三重項(t.br.)、四重項(q)、五重項(quint.)及び多重項(m)として示す。
【0138】
製造実施例
【実施例1】
【0139】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
1.1 1−アリル−4−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジン
2−クロロ−5−ニトロピリジン2.0g(12.61mmol)をジメチルホルムアミド8mlに溶解し、炭酸カリウム3.49g(25.23mmol)を加えた。この後、ジメチルホルムアミド2ml中のN−アリルピペラジン1.75g(13.88mmol)の溶液を反応混合物に緩やかに滴下した(発熱反応)。次に反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を濃縮乾固した後、生じた残留物をヘプタン100ml中で攪拌した。残った沈殿物を吸引ろ取した。ろ液を濃縮して、表題化合物720mgを得た。吸引ろ取した沈殿物を水150mlで処理し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒をろ過し、濃縮乾固した後、さらなる表題化合物2.24gを単離した。1−アリル−4−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジンの総収量は2.96g(理論値の95%)であった。
【0140】
MS[m+1]:249。
【0141】
1.2 6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−アミン
実施例1.1からの1−アリル−4−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジン2.2g(8.86mmol)をメタノール150mlに溶解し、この後、塩化スズ(II)二水和物18g(79.75mmol)を加えて、この混合物を70℃で4時間攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、残留物に水を加えた。前記水性反応混合物を希水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にし、次に酢酸エチルで抽出した。沈殿した固体をろ取した。この後、相を分離し、水相を酢酸エチルとジクロロメタンで各々2回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去し、溶媒を蒸発乾固した後、表題化合物1.74g(理論値の90%)を得た。
【0142】
MS[m+1]:219。
【0143】
1.3 N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
実施例1.2からの6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イルアミン1.4g(7.97mmol)及び4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリド1.74g(7.97mmol)を室温でテトラヒドロフラン30mlに溶解し、次にこの混合物にトリエチルアミン3.3ml(23.91mmol)を加えた。この後、前記反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、残留物に水を加えた。水性反応混合物を1N塩酸で酸性にして、ジエチルエーテルで2回抽出した。この後、水相を1N水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性(pH9−10)にして、次にジエチルエーテルで2回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取して、溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物を、シクロヘキサン/酢酸エチル(45:55%から100%酢酸エチル)を用いてシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけた。ろ液を蒸発乾固した。生じた残留物をヘプタン10ml中で十分に攪拌し、吸引ろ取して乾燥し、表題化合物1.93g(理論値の61%)を得た。
【0144】
【化29】

MS[m+1]:401。
【実施例2】
【0145】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−プロピルベンゼンスルホンアミド
4−n−プロピルベンゼンスルホニルクロリドから出発して、実施例1.3で述べたのと同様にして表題化合物373mgを得た。
【0146】
【化30】

MS[m+1]:401。
【実施例3】
【0147】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−ブチルベンゼンスルホンアミド
4−n−ブチルベンゼンスルホニルクロリドから出発して、実施例1.3で述べたのと同様にして表題化合物405mgを得た。
【0148】
【化31】

MS[m+1]:415。
【実施例4】
【0149】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド
4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドから出発して、実施例1.3で述べたのと同様にして表題化合物500mgを得た。
【0150】
【化32】

MS[m+1]:427。
【実施例5】
【0151】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−エチルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリドの代わりに4−エチルベンゼンスルホニルクロリドを用いて実施例1.3を繰り返した。生じた反応生成物をエーテル塩酸で塩酸塩に転換して、表題化合物480mg(please complete)を得た。
【0152】
【化33】

MS[m+1]:387(遊離塩基)。
【実施例6】
【0153】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−ビニルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリドの代わりに4−ビニルベンゼンスルホニルクロリドを用いて実施例1.3を繰り返した。生じた反応生成物をエーテル塩酸で塩酸塩に転換して、表題化合物300mgを得た。
【0154】
【化34】

MS[m+1]:385(遊離塩基)。
【実施例7】
【0155】
4−イソプロピル−N−(6−ピペラジン−1−イルピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド
トリス−(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)95mg(0.1mmol)及び1,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン44mg(0.1mmol)をアルゴン雰囲気下でテトラヒドロフラン10mlに溶解した。次に、テトラヒドロフラン3ml中の、実施例1.3からのN−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド1.1g(2.75mmol)から成る溶液を前記反応混合物に滴下した。この後、テトラヒドロフラン2ml中の2−メルカプト安息香酸386mg(2.5mmol)の溶液を前記反応混合物に滴下し、この混合物を室温で90分間攪拌した。次に、さらなるテトラヒドロフラン2ml中の2−メルカプト安息香酸386mg(2.5mmol)の溶液を前記反応混合物に滴下した。この反応混合物を室温で一晩攪拌し、この後、溶媒を蒸発乾固した。生じた残留物に水150mlを加え、この後混合物を1N塩酸水溶液で酸性にして、ジエチルエーテルで3回抽出した。次に、水相を1N水酸化ナトリウム水溶液でpH>11のアルカリ性にして、ジクロロメタンで3回抽出した。この後、水相をpH8−9に調整し、塩化ナトリウム水溶液で飽和して、この後、ジクロロメタンで数回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をろ過して蒸発乾固した後、表題化合物840mg(理論値の82%)を得た。
【0156】
【化35】

MS[m+1]:361。
【実施例8】
【0157】
N−{6−[4−(シクロヘキシルメチル)ピペラジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
実施例7からの4−イソプロピル−N−(6−ピペラジン−1−イルピリジン−3−イル)ベンゼンスルホンアミド150mg(0.42mmol)及びシクロヘキサンアルデヒド51mg(0.46mmol)を窒素雰囲気下でジクロロメタン5ml及び氷酢酸40μl(0.62mmol)に溶解した。次にトリスアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム133mg(0.63mmol)を加えた。この混合物を室温で90分間攪拌し、この後、溶媒を蒸発乾固した。生じた残留物を水中に取り、この混合物を1N水酸化ナトリウム水溶液でpH>11にした。この後、水性反応混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をろ過して蒸発乾固した後、生じた残留物をエーテル塩酸で塩酸塩に転換し、表題化合物156mg(理論値の76%)を得た。
【0158】
【化36】

MS[m+1]:457(遊離塩基)。
【0159】
実施例9から12の化合物を同様にして製造した。
【実施例9】
【0160】
N−[6−(4−イソブチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0161】
【化37】

MS[m+1]:417(遊離塩基)。
【実施例10】
【0162】
4−イソプロピル−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド
【0163】
【化38】

MS[m+1]:375。
【実施例11】
【0164】
N−[6−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0165】
【化39】

MS[m+1]:389(遊離塩基)。
【実施例12】
【0166】
N−{6−[4−(シクロプロピルメチル)ピペラジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0167】
【化40】

MS[m+1]:415(遊離塩基)。
【実施例13】
【0168】
N−[6−(4−アリル−3−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
13.1 3−メチル−1−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジン
炭酸カリウム872mg(6.31mmol)を、ジメチルホルムアミド7ml中の2−クロロ−5−ニトロピリジン500mg(3.15mmol)の溶液に加えた。この後、ジメチルホルムアミド3ml中の2−メチルピペラジン350mg(3.32mmol)の溶液を、氷で冷却しながら前記反応混合物に緩やかに滴下した(発熱反応)。この反応混合物を氷で冷却しながら1時間攪拌し、この後室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、残留物を水中に取り、この反応混合物をジエチルエーテルで3回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、蒸発乾固し、3−メチル−1−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジン(収量:650mg、理論値の89%)を得た。
【0169】
【化41】

【0170】
13.2 1−アリル−2−メチル−4−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジン
実施例13.1からの3−メチル−1−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジン630mg(2.72mmol)及び臭化アリル267μl(3.09mmol)をジメチルホルムアミド10mlに溶解した。次にトリエチルアミン1.2ml(8.4mmol)をこの溶液に滴下した。混合物を室温で1時間攪拌した後、さらなる臭化アリル65μl(0.75mmol)を反応混合物に滴下し、さらに1時間攪拌した。この後、さらなる臭化アリル65μl(0.75mmol)及びトリエチルアミン0.5ml(3.6mmol)を滴下した。次に、この混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物を水中に取り、この溶液を、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性にした。この後、水性反応混合物をジエチルエーテルで3回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、蒸発乾固し、表題化合物707mg(理論値の90%)を得た。
【0171】
MS[m+1]:263。
【0172】
13.3 6−(4−アリル−3−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−アミン
塩化スズ(II)二水和物4.975g(22.05mmol)を、メタノール50ml中の実施例13.2からの1−アリル−2−メチル−4−(5−ニトロピリジン−2−イル)ピペラジン707mg(2.45mmol)に加え、生じた混合物を70℃で90分間攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物に水を加え、この混合物を、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性にした。この後、水性反応混合物を酢酸エチルで抽出した。沈殿した固体を吸引ろ取し、相を分離した。水相をジクロロメタンで抽出した。この後、混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、蒸発乾固した。生じた表題化合物を、さらなる精製を行わずに次の工程で使用した。
【0173】
MS[m+1]:233。
【0174】
13.4 N−[6−(4−アリル−3−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
実施例13.3からの6−(4−アリル−3−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イルアミン305mg(1.31mmol)及び4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリド301mg(1.38mmol)を室温でテトラヒドロフラン10mlに溶解し、この後トリエチルアミン0.55ml(3.94mmol)を滴下した。この後、反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物を水で処理し、この混合物を1N塩酸で酸性にして、ジエチルエーテルで2回抽出した。水相を、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH9−10のアルカリ性にして、次にジエチルエーテルで2回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をろ過して、蒸発乾固した後、生じた残留物をカラムクロマトグラフィー(50:50から20:80のシクロヘキサン/酢酸エチル)によって精製した。この後、ろ液を蒸発乾固した。生じた残留物を、エーテル塩酸を用いて塩酸塩に転換し、表題化合物417mg(理論値の74%)を得た。
【0175】
【化42】

MS[m+1]:415(遊離塩基)。
【0176】
実施例13a:N−{6−[4−アリル−(3S)−メチルピペラジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド(遊離塩基としてのS鏡像異性体)
ラセミ2−メチルピペラジンの代わりに、工程13.1において鏡像異性的に純粋な(2S)−メチルピペラジンを使用して、前記ラセミ化合物の製造と同様にして製造を実施した。
【0177】
【化43】

MS[m+1]:415(遊離塩基)。
【実施例14】
【0178】
4−イソプロピル−N−[6−(3−メチル−4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
実施例13.4からのN−[6−(4−アリル−3−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド100mg(0.24mmol)を酢酸エチル10mlに溶解し、この後活性炭上パラジウム(10%)10mgを加えて、この混合物を水素雰囲気下に室温で一晩攪拌した。この後、触媒をろ取し、ろ液を蒸発乾固した。生じた残留物にジクロロメタン1mlを加えた後、溶液が混濁するまでジエチルエーテルを緩やかに滴下した。この反応混合物30分間攪拌し、形成した沈殿物を吸引ろ取した。ろ液を蒸発乾固し、この後残留物をジクロロメタンとジエチルエーテルの1:1混合物に溶解して、エーテル塩酸を加えて塩酸塩に転換した。表題化合物71mg(理論値の63%)を得た。
【0179】
【化44】

MS[m+1]:417(遊離塩基)。
【0180】
実施例14a:遊離塩基としての4−イソプロピル−N−{6−[(3S)−メチル−4−プロピルピペラジン−1−イル]ピリジン−3−イル}ベンゼンスルホンアミド(S鏡像異性体)
ラセミ2−メチルピペラジンの代わりに、鏡像異性的に純粋な(2S)−メチルピペラジンを使用して、前記ラセミ化合物の製造と同様にして製造を実施した。
【0181】
【化45】

MS[m+1]:417(遊離塩基)。
【実施例15】
【0182】
N−[5−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
15.1 1−アリル−4−(6−ニトロピリジン−3−イル)ピペラジン
N−アリルピペラジン315mg(2.5mmol)をアルゴン雰囲気下でトルエン5mlに溶解した。次に、トリス−(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pddba)93mg(0.1mmol)、2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)126mg(0.2mmol)、炭酸セシウム1.14g(3.5mmol)及び5−ブロモ−2−ニトロピリジン515mg(2.54mmol)を加え、この混合物をマイクロ波オーブンにおいて120℃で4時間攪拌した。反応混合物が室温に冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。この後、水性反応混合物を各々酢酸エチル50mlで3回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取して、溶媒を蒸発乾固した後、残留物を、酢酸エチル/メタノール(4:1)を用いてシリカゲルを通したクロマトグラフィーにかけ、表題化合物304mg(理論値の46%)を得た。
【0183】
【化46】

MS[m+1]:249。
【0184】
15.2 5−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−アミン
実施例15.1からの1−アリル−4−(6−ニトロピリジン−3−イル)ピペラジン300mg(1.21mmol)をメタノール20mlに溶解し、この後塩化スズ(II)二水和物2.18g(9.67mmol)を加えて、この混合物を70℃で2時間攪拌した。溶媒を蒸発乾固し、生じた残留物を水で処理して、この混合物を、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性にし、酢酸エチルで抽出した。沈殿した固体を吸引ろ取した。次に、相を分離し、水相を酢酸エチルで3回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、蒸発乾固し、表題化合物183mg(理論値の69%)を得た。
【0185】
MS[m+1]:219。
【0186】
15.3 N−[5−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
5−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イルアミン520mg(2.38mmol)及び4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリド495mg(2.26mmol)を室温でテトラヒドロフラン5mlに溶解し、この後トリエチルアミン1.0ml(7.15mmol)を滴下して、この混合物を40−50℃で6時間攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物を水で処理し、この混合物を、1N塩酸水溶液を用いて酸性にして、ジエチルエーテルで2回抽出した。水相を、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH9−10のアルカリ性にして、次に酢酸エチルで2回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取して、溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物を、酢酸エチルを用いてシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけた。溶媒を除去した後、生じた残留物を、ジクロロメタン中の少量のジエチルエーテルを用いて溶液にし、この後エーテル塩酸を用いて塩酸塩に転換した。表題化合物415mg(理論値の44%)を得た。
【0187】
【化47】

MS[m+1]:401。
【実施例16】
【0188】
N−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリミジン−5−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
16.1 2−(4−アリルピペラジン−1−イル)−5−ニトロピリミジン
50%水素化ナトリウム114mg(2.38mmol)を、窒素雰囲気下に氷で冷却しながら、ジメチルホルムアミド5ml中のN−アリルピペラジン273mg(2.17mmol)の溶液に加えた。30分後、ジメチルホルムアミド5ml中の2−(メチルスルホン)−5−ニトロピリミジン440mg(2.17mmol)の溶液を前記反応混合物に滴下した。10分後、水70mlを加え、この反応混合物を各々酢酸エチル50mlで2回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取して、溶媒を蒸発乾固した後、表題化合物535mg(理論値の99%)を得た。
【0189】
【化48】

MS[m+1]:250。
【0190】
16.2 2−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリミジン−5−アミン
塩化スズ(II)二水和物3.84g(17.0mmol)を、メタノール20ml中の実施例16.1からの2−(4−アリルピペラジン−1−イル)−5−ニトロピリミジン530mg(2.13mmol)の溶液に加え、この後、前記反応混合物を還流で1時間加熱した。溶媒を蒸発乾固した後、残留物を飽和塩化ナトリウム水溶液で処理し、次に希水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にした。この後、水性反応混合物を酢酸エチルで抽出した。沈殿した固体を吸引ろ取した。この後、相を分離し、水相を酢酸エチルとジクロロメタンで各々2回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ取して、溶媒を蒸発乾固した後、表題化合物220mg(理論値の46%)を得た。
【0191】
16.3 N−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリミジン−5−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
実施例16.2からの2−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリミジン−5−イルアミン216mg(0.98mmol)及び4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリド215mg(0.98mmol)を室温でテトラヒドロフラン20mlに溶解し、この後トリエチルアミン0.4ml(3.0mmol)を滴下して、この混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物に水を加えた。水性反応混合物を、1N塩酸水溶液を用いて酸性にして、ジエチルエーテルで2回抽出した。水相を、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH9−10のアルカリ性にし、次にジエチルエーテルで3回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ取し、溶媒を蒸発乾固した後に得た残留物を、ヘプタンとジエチルエーテルから成る混合物と十分に攪拌し、吸引ろ取して、乾燥し、表題化合物71mg(理論値の18%)を得た。
【0192】
【化49】

MS[m+1]:402。
【実施例17】
【0193】
4−イソプロピル−N−[2−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリミジン−5−イル]ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
実施例16.3からのN−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリミジン−5−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド70mg(0.17mmol)を酢酸エチル30mlに溶解し、この後活性炭上パラジウム(10%)10mgを加えて、この混合物を水素雰囲気下に室温で2時間攪拌した。次に触媒をろ取し、ろ液を蒸発によって濃縮した。この残留物を、ジエチルエーテル25mlを用いて溶液にし、エーテル塩酸で塩酸塩に転換して、表題化合物58mg(理論値の76%)を得た。
【0194】
【化50】

MS[m+1]:404(遊離塩基)。
【実施例18】
【0195】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
18.1 N−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
イソプロピルベンゼンスルホンアミド996mg(5.0mmol)をジメチルスルホキシド20mlに溶解し、この後50%水素化ナトリウム288mg(6.0mmol)を加えて、この混合物を室温で30分間攪拌した。次に、4,6−ジクロロピリミジン819mg(5.5mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。続いて、前記混合物を90℃で3時間加熱し、この後、マイクロ波オーブンにおいて120℃で30分間攪拌した。反応混合物が室温に冷却した後、水150mlで希釈し、クエン酸で中和して、ジエチルエーテルで3回抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した後に得た残留物をジエチルエーテル100mlに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出した。水相を酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を乾燥し、ろ過して、蒸発乾固し、表題化合物440mg(理論値の28%)を得た。
【0196】
MS[m+1]:312。
【0197】
18.2 N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド
実施例18.1からのN−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド430mg(1.38mmol)をジメチルスルホキシド3mlに溶解し、この後N−アリルピペラジン1.74g(13.79mmol)を加えて、この混合物を一晩攪拌した。続いて、前記反応混合物をマイクロ波オーブンにおいて100℃で45分間攪拌した。反応混合物が室温に冷却した後、水50mlで希釈した。この後、水性反応混合物を酢酸エチル50mlで抽出し、沈殿物を吸引ろ取して、表題化合物190mg(理論値の34%)を得た。
【0198】
【化51】

MS[m+1]:402。
【実施例19】
【0199】
N−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−5−イル]−4−ブロモベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリドの代わりに4−ブロモベンゼンスルホニルクロリドを使用して、実施例1.3と同様にして製造を実施した。得られた反応生成物を、エーテル塩酸を用いて塩酸塩に転換し、表題化合物398mgを得た。
【0200】
MS[m+1]:436/438。
【実施例20】
【0201】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−シクロプロピルベンゼンスルホンアミド
実施例19からのN−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−ブロモベンゼンスルホンアミド398mg(0.84mmol)、シクロプロピルボロン酸101mg(1.18mmol)、KPO676mg(3.19mmol)及びトリシクロヘキシルホスフィン26mg(0.09mmol)を、窒素雰囲気下でトルエン4ml及び水0.2mlに溶解した。次に酢酸パラジウム(II)10mg(0.04mmol)を加え、この混合物をマイクロ波オーブンにおいて100℃で1時間攪拌した。溶媒を蒸発乾固した後、生じた残留物を水で処理し、次にこの混合物を酢酸エチルで抽出した。相が良好に分離しなかったので、微細に分割された固体をろ取した。水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をろ過して、蒸発乾固した後、生じた残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0202】
MS[m+1]:399。
【0203】
【化52】

【0204】
以下の実施例21から40の化合物を同様にして製造した。
【実施例21】
【0205】
4−イソプロピル−N−[2−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:403(遊離塩基)。
【実施例22】
【0206】
4−イソプロピル−N−[2−(3,5−ジメチル−4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドトリフルオロアセテート
MS[m+1]:431(遊離塩基)。
【実施例23】
【0207】
N−[2−(4−アリル−3−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:441(遊離塩基)。
【実施例24】
【0208】
N−[6−(4−アリル−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:429(遊離塩基)。
【実施例25】
【0209】
N−[6−(4−アリル−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:455(遊離塩基)。
【実施例26】
【0210】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド
MS[m+1]:427。
【実施例27】
【0211】
4−ブロモ−N−[6−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミド
MS[m+1]:439/441。
【実施例28】
【0212】
4−クロロ−N−[6−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミド
MS[m+1]:395。
【実施例29】
【0213】
4−イソプロピル−N−[6−(5−プロピル−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:415(遊離塩基)。
【実施例30】
【0214】
N−[6−(5−アリル−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:413(遊離塩基)。
【実施例31】
【0215】
N−[6−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−ビニルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:387(遊離塩基)。
【実施例32】
【0216】
N−{6−[4−(3−フルオロプロピル)ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:421(遊離塩基)。
【実施例33】
【0217】
4−イソプロピル−N−[6−(4−プロパ−2−イン−1−イルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:399(遊離塩基)。
【実施例34】
【0218】
4−エチル−N−[6−(4−プロプルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:389(遊離塩基)。
【実施例35】
【0219】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−クロロベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:393(遊離塩基)。
【実施例36】
【0220】
4−イソプロピル−N−(4−メチル−6−ピペラジン−1−イルピリジン−3−イル)−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:375(遊離塩基)。
【実施例37】
【0221】
N−[6−(4−アリルピペラジン−1−イル)−4−メチルピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:415(遊離塩基)。
【実施例38】
【0222】
4−イソプロピル−N−[4−メチル−6−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:417(遊離塩基)。
【実施例39】
【0223】
N−[4−メチル−6−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−ビニルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:401(遊離塩基)。
【実施例40】
【0224】
N−[6−(4−ブチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:417(遊離塩基)。
【実施例41】
【0225】
N−{6−[(3S)−4−エチル−3−メチルピペラジン−1−イル]ピリジン−3−イル}−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
MS[m+1]:403(遊離塩基)。
【実施例42】
【0226】
N−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)ピリジン−5−イル]−4−(N−ピロリジニル)ベンゼンスルホンアミドフマレート
ピリジンとジクロロメタン(1:2)の混合物10ml中の、6−(4−アリルピペラジン−1−イル)−2−メチルピリジン−3−アミン0.300g(1.29mmol)と4−イソプロピルベンゼン−1−スルホニルクロリド0.282g(1.29mmol)の反応により、表題化合物0.465g(87%)を白色固体として得た。表題化合物を、フマル酸の添加によってメタノール中のフマル酸塩に転換した。
【0227】
MS[m+1]:415。
【0228】
【化53】

【実施例43】
【0229】
4−イソプロピル−[N−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)−6−メチルピリジン−5−イル]−4−(N−ピロリジニル)ベンゼンスルホンアミドフマレート
ピリジン/ジクロロメタン(1:2)の混合物10ml中の、6−(4−アリルピペラジン−1−イル)−2−メチルピリジン−3−アミン0.300g(1.29mmol)と4−イソプロピルベンゼン−1−スルホニルクロリド0.282g(1.29mmol)の反応により、表題化合物0.465g(87%)を白色固体として得た。表題化合物を、フマル酸の添加によってメタノール中のフマル酸塩に転換した。
【0230】
MS[m+1]:415。
【0231】
【化54】

【実施例44】
【0232】
4−tert−ブチル−[N−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)−6−メチルピリジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミドフマレート
ピリジン/ジクロロメタン(1:2)の混合物10ml中の、6−(4−アリルピペラジン−1−イル)−2−メチルピリジン−3−アミン0.300g(1.29mmol)と4−tert−ブチルベンゼン−1−スルホニルクロリド0.300g(1.29mmol)の反応により、表題化合物0.525g(95%)を白色固体として得た。表題化合物を、フマル酸の添加によってメタノール中のフマル酸塩に転換した。
【0233】
MS[m+1]:429。
【0234】
【化55】

【実施例45】
【0235】
4−tert−ペンチル−[N−[2−(4−アリルピペラジン−1−イル)−6−メチルピリジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミドフマレート
ピリジン−ジクロロメタン(1:2)の混合物10ml中の、6−(4−アリルピペラジン−1−イル)−2−メチルピリジン−3−アミン0.300g(1.29mmol)と4−tert−ペンチルベンゼン−1−スルホニルクロリド0.318g(1.29mmol)の反応により、表題化合物0.564g(99%)を白色固体として得た。表題化合物を、フマル酸の添加によってメタノール中のフマル酸塩に転換した。
【0236】
MS[m+1]:443。
【0237】
【化56】

【0238】
実施例46から の化合物を同様にして製造した。
【実施例46】
【0239】
4−エチル−N−[6−((S)−3−メチル−4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0240】
【化57】

MS[m+1]:403。
【実施例47】
【0241】
N−[6−((S)−3−メチル−4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−4−ビニルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0242】
【化58】

MS[m+1]:401。
【実施例48】
【0243】
N−[6−((S)−4−アリル−3−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−ピリジン−3−イル]−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0244】
【化59】

MS[m+1]:445。
【実施例49】
【0245】
4−イソプロピル−N−[2−メトキシ−6−((S)−3−メチル−4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0246】
【化60】

MS[m+1]:447。
【実施例50】
【0247】
N−[6−((S)−4−アリル−3−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0248】
【化61】

MS[m+1]:429。
【実施例51】
【0249】
N−[6−((S)−3−エチル−4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0250】
【化62】

MS[m+1]:431。
【実施例52】
【0251】
4−イソプロピル−N−(2−ピペラジン−1−イル−ピリミジン−5−イル)−ベンゼンスルホンアミド
【0252】
【化63】

MS[m+1]:362。
【実施例53】
【0253】
N−[2−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリミジン−5−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0254】
【化64】

MS[m+1]:390。
【実施例54】
【0255】
N−[2−((S)−4−エチル−3−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリミジン−5−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0256】
【化65】

MS[m+1]:404。
【実施例55】
【0257】
N−[2−((S)−4−アリル−3−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリミジン−5−イル]−4−イソプロピルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0258】
【化66】

MS[m+1]:416。
【実施例56】
【0259】
4−イソプロピル−N−[2−((S)−3−メチル−4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリミジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0260】
【化67】

MS[m+1]:418。
【実施例57】
【0261】
4−エチル−N−[2−((S)−3−メチル−4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリミジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0262】
【化68】

MS[m+1]:404。
【実施例58】
【0263】
N−[2−((S)−3−メチル−4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリミジン−5−イル]−4−ビニルベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
【0264】
【化69】

MS[m+1]:402。
【実施例59】
【0265】
4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−(4−アリル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イルエステル
59.1 4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−クロロ−ピリジン−3−イルエステル
無水テトラヒドロフラン(10ml)中の6−クロロピリジン−3−オール500mg(3.86mmol)及び4−イソプロピル−ベンゼンスルホニルクロリド844mg(0.20mmol)を含む反応フラスコにNを流した。トリエチルアミン1.6mlを加え、この反応混合物を室温で2時間攪拌した。これにより、4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−クロロピリジン−3−イルエステルを98%収率で得た。
【0266】
MS[m+1]:312。
【0267】
【化70】

【0268】
59.2 4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−(4−アリル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イルエステル
無水トルエン(15mL)中の酢酸パラジウム(II)45mg(0.2mmol)、BINAP126mg(0.20mmol)及びtert−酪酸ナトリウム0.233mgを含むフラスコに窒素を流し、1−アリルピペラジン1.275g(10mmol)を加えて、この反応混合物を50℃に加熱した。4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−クロロピリジン−3−イルエステル630mg(2.0mmol)をトルエンに溶解し、この溶液を、攪拌しながら10分間かけて緩やかに前記反応混合物に加えた。この混合物を、攪拌しながら還流で7時間加熱した。これにより、4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−(4−アリル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イルエステルを21%収率で得た。
【0269】
MS[m+1]:402。
【0270】
【化71】

【実施例60】
【0271】
4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−(4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イルエステルヒドロクロリド
反応フラスコにおいて活性炭上パラジウム5mgを、無水酢酸エチル(5ml)中の実施例59からの4−イソプロピルベンゼンスルホン酸6−(4−アリル−ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イルエステル50mg(0.12mmol)に加えた。次に空気中に水素ガスを充填し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。これにより、4−イソプロピル−ベンゼンスルホン酸6−(4−プロピル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イルエステルを58%収率で得た。前記化合物をエーテル中のHClの添加によってこの塩酸塩に転換した。
【0272】
MS[m+1]:404。
【0273】
【化72】

【0274】
生薬投与形態の例
A)錠剤
以下の組成の錠剤を慣例的方法によって錠剤成形圧縮機で圧縮する。
【0275】
実施例2からの物質40mg
トウモロコシデンプン120mg
ゼラチン13.5mg
ラクトース45mg
Aerosil(登録商標)2.25mg
(超顕微鏡的微細分散中の化学的に純粋なケイ酸)
ジャガイモデンプン6.75mg(6%ペーストとして)
B)糖衣錠
実施例2からの物質20mg
コア組成物60mg
糖化組成物70mg
コア組成物は、トウモロコシデンプン9、ラクトース3及び60:40のビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー1の割合から成る。糖化組成物は、サトウキビ糖5、トウモロコシデンプン2、炭酸カルシウム2及び滑石1の割合から成る。このようにして製造した糖衣錠に、続いて胃液抵抗性剤皮を施す。
【0276】
生物学的検討−受容体結合試験:
試験する物質をメタノール/Chremophor(登録商標)(BASF−AG)又はジメチルスルホキシドのいずれかに溶解し、次いで水で所望濃度に希釈した。
【0277】
ドーパミンD受容体:
アッセイ混合物(0.250ml)は、安定に発現されたヒトドーパミンD受容体を有する〜10HEK−293細胞由来の膜、0.1nM[125I]−ヨードスルプリド及びインキュベーション緩衝液(全結合)又は、これに加えて、被験物質(阻害曲線)又は1μMスピペロン(非特異的結合)から成った。各々のアッセイ混合物を3回試験した。
【0278】
インキュベーション緩衝液は、50mMトリス、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、2mM MgCl及び0.1%ウシ血清アルブミン、10μM
キノロン及び0.1%アスコルビン酸(毎日新鮮調製)を含んだ。この緩衝液をHClでpH7.4に調整した。
【0279】
ドーパミンD2L受容体
アッセイ混合物(1ml)は、安定に発現されたヒトドーパミンD2L受容体(長いアイソフォーム)を有する〜10HEK−293細胞からの膜及び0.01nM[125I]−ヨードスピペロン及びインキュベーション緩衝液(全結合)又は、これに加えて、被験物質(阻害曲線)又は1μMハロペリドール(非特異的結合)から成った。各々のアッセイ混合物を3回試験した。
【0280】
インキュベーション緩衝液は、50mMトリス、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、2mM MgCl及び0.1%ウシ血清アルブミンを含んだ。この緩衝液をHClでpH7.4に調整した。
【0281】
測定及び分析:
25℃で60分間インキュベートした後、アッセイ混合物を、細胞収集装置を用いて真空下にWhatman GF/Bガラス繊維でろ過した。フィルターを、フィルタートランスファーシステムを用いてシンチレーションバイアルに移した。Ultima Gold(登録商標)(Packard)4mlを加えた後、試料を1時間振とうし、次にBeta−Counter(Packard,Tricarb 2000又は2200CA)で放射能を計数した。標準クエンチシリーズ及び装置に属するプログラムを用いてcpm値をdpmに変換した。
【0282】
MunsonとRodbardによって述べられている「LIGAND」プログラムに類似した統計分析システム(Statistical Analysis System,SAS)を用いて反復非線形回帰分析によって阻害曲線を分析した。
【0283】
これらの試験において、本発明に従った化合物は、D受容体に非常に良好な親和性を示し(<100nM、しばしば<50nM)、D受容体に選択的に結合する。結合試験の結果を表1に示す。
【0284】
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物:4−メチル−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド及び4−クロロ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミドを除く、一般式I:
【化1】

[式中、
Rは、酸素、N−R基又はCR3a3b基であり、
Qは、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、互いに独立してハロゲン、CN、NO、CO、COR、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される1又は2個の置換基Rを担持する、二価の6員へテロ芳香族基であり、
Arは、フェニル又は、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、ハロゲン、NO、CN、CO、COR、NH、NHR、NR、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cシクロアルキル−C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持し、Arの隣接炭素原子に結合した2個のR基が一緒にC−C−アルキレンであることも可能である、6員へテロ芳香族基であり、
nは0、1又は2であり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルキニルであり、
は、C−C−アルキルであるか又は、Rと共に、C−C−アルキレンであるか又はn=2の場合は、2個のR基が一緒にC−C−アルキレンであってもよく、
は、水素又はC−C−アルキルであり、
3a、R3bは、互いに独立して、水素又はC−C−アルキルであり、
は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニルC−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルであり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニルC−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルであり、
、Rは、互いに独立して、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキルから選択されるか又はこれらが結合している窒素と共に、付加的に環成員として酸素原子又は付加的な窒素原子を含んでいてもよく、及び1、2、3又は4個のC−C−アルキル基を担持してもよい、飽和3、4、5又は6員へテロ環を形成する]
のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの化合物の生理的に許容される酸付加塩。
【請求項2】
RがN−Rであり、RがH又はC−C−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項2】
式中、
Qが、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、互いに独立してハロゲン、CN、NO、CO、COR、C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持する、二価の6員へテロ芳香族基であり、
Arが、フェニル又は、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、ハロゲン、NO、CN、CO、COR、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持し、Arの隣接炭素原子に結合した2個のRが一緒にC−C−アルキレンであることも可能である、6員へテロ芳香族基である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項3】
ピペラジン環が、R−SO−Ar基に対してパラ位でヘテロ芳香族基Qに結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Qが、式:
【化2】

[式中、A、A及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、A、A及びAの1又は2個はC−Rであってもよく、k=0又は1であり、Rは、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択され、但しA、A及びAは同時にNではないか又は同時にCH及びC−Rから選択されない]
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が窒素であり、AがCHであり、AがN又はCHであって、ピペラジン基が2位に位置する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Qが、2位にピペラジン基を担持するピリジン−2,5−ジイルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Qが、式:
【化3】

[式中、
及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、Rは、C−C−アルコキシ、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される]
である、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
がN又はCHであり、AがCHであって、ピペラジン基が2位に位置する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Arが、各々の場合にスルホンアミド基の結合部位に基づいて、パラ位に置換基R及び、適宜に、メタ位又はオルト位にさらなる置換基Rを担持する、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、適宜に1又は2個のR置換基を有する、フェニル又はピリジルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が水素及びメチルとは異なる、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
一般式Ia:
【化4】

[式中、
n、R、R、R、R及びRは、請求項1で与えられる意味を有し、A、A及びAのいずれかは、互いに独立して、N又はCHであり、A、A及びAの1又は2個はC−Rであってもよく、但しA、A及びAは同時にNではないか又は同時にCH及びC−Rから選択されることはなく、
X及びYは、CH、C−R及びNから選択され、ここでRは、ハロゲン、メチル、CN、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり、但しX及びYは同時にNではないか又は同時にC−Rではなく、
kは0又は1である]
の、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式中、k=0であり、A、A及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、A、A及びAは同時にNではないか又は同時にCHではない、請求項12に記載の式Iaの化合物。
【請求項14】
がCH又はNであり、AがCHであり、AがNである、請求項13に記載の式Iaの化合物。
【請求項15】
kが1であり、AがCH又はNであり、AがCHであり、AがNであり、及びRが、C−C−アルコキシ、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択され、RがAに隣接する炭素原子に結合している、請求項12に記載の式Iaの化合物。
【請求項16】
nが0又は1であり、n=1である場合、Rが、R−N基に隣接するピペラジン環の炭素原子に結合しており、S立体配値を有するメチル基である、請求項12から15のいずれか一項に記載の式Iaの化合物。
【請求項17】
Arが、パラ位に置換基R及び、適宜に、各々の場合にスルホンアミド基の結合部位に基づいて、メタ位又はオルト位にさらなる置換基Rを担持する、請求項12から16のいずれか一項に記載の式Ia化合物。
【請求項18】
Arが、この基が適宜に1又は2個のR置換基を有する、フェニル又はピリジルである、請求項12から17のいずれか一項に記載の式Iaの化合物。
【請求項19】
が水素及びメチルとは異なる、請求項12から18のいずれか一項に記載の式Iaの化合物。
【請求項20】
一般式Ia.1:
【化5】

[式中、n、X、Y、R、R、R、R及びRは、請求項12で与えられる意味を有し、qは0、1又は2である]
の、請求項12から19のいずれかに記載の式Iaの化合物。
【請求項21】
一般式Ia.2:
【化6】

[式中、n、X、Y、R、R、R、R及びRは、請求項12で与えられる意味を有し、qは0又は1である]
の、請求項12から19のいずれかに記載の式Iaの化合物。
【請求項22】
適宜に生理的に許容される担体及び/又は補助物質と共に、少なくとも1個の請求項1から21のいずれかに記載のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物及び/又は少なくとも1個のIの生理的に許容される酸付加塩及び/又はIのN−オキシドを含有する医薬組成物。
【請求項23】
ドーパミンD受容体アンタゴニスト又はドーパミンDアゴニストによる作用に応答する疾患を治療するための医薬組成物を生産するための、少なくとも1つの、式I:
【化7】

[式中、Q、Ar、n、R、R及びRは、前記で述べた意味を有する]
のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの生理的に許容される酸付加塩の使用。
【請求項24】
中枢神経系の疾患を治療するための、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
腎機能障害を治療するための、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
式I:
【化8】

[式中、Q、Ar、n、R、R及びRは、前記で述べた意味を有する]
の少なくとも1つの化合物、又はこれらのN−オキシド又はこれらの生理的に許容される酸付加塩の有効量を、この必要のある被験者に投与することを含む、ドーパミンD受容体アンタゴニスト又はドーパミンDアゴニストによる治療に感受性のある医学的障害を治療するための方法。
【請求項27】
医学的障害が中枢神経系の疾患である、請求項26に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物:4−メチル−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミド及び4−クロロ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル]ベンゼンスルホンアミドを除く、一般式I:
【化1】

[式中、
Rは、酸素、N−R基又はCR3a3b基であり、
Qは、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、互いに独立してハロゲン、CN、NO、CO、COR、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される1又は2個の置換基Rを担持する、二価の6員へテロ芳香族基であり、
Arは、フェニル又は、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、ハロゲン、NO、CN、CO、COR、NH、NHR、NR、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cシクロアルキル−C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持し、Arの隣接炭素原子に結合した2個のR基が一緒にC−C−アルキレンであることも可能である、6員へテロ芳香族基であり、
nは0、1又は2であり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルキニルであり、
は、C−C−アルキルであるか又は、Rと共に、C−C−アルキレンであるか又はn=2の場合は、2個のR基が一緒にC−C−アルキレンであってもよく、
は、水素又はC−C−アルキルであり、
3a、R3bは、互いに独立して、水素又はC−C−アルキルであり、
は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニルC−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルであり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニルC−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルであり、
、Rは、互いに独立して、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキルから選択されるか又はこれらが結合している窒素と共に、付加的に環成員として酸素原子又は付加的な窒素原子を含んでいてもよく、及び1、2、3又は4個のC−C−アルキル基を担持してもよい、飽和3、4、5又は6員へテロ環を形成する]
のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの化合物の生理的に許容される酸付加塩。
【請求項2】
RがN−Rであり、RがH又はC−C−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、
Qが、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、互いに独立してハロゲン、CN、NO、CO、COR、C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持する、二価の6員へテロ芳香族基であり、
Arが、フェニル又は、環成員として1又は2個の窒素原子を有し、場合により、ハロゲン、NO、CN、CO、COR、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル及びC−C−ハロアルキルから選択される1又は2個の置換基Rを担持し、Arの隣接炭素原子に結合した2個のRが一緒にC−C−アルキレンであることも可能である、6員へテロ芳香族基である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
ピペラジン環が、R−SO−Ar基に対してパラ位でヘテロ芳香族基Qに結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Qが、式:
【化2】

[式中、A、A及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、A、A及びAの1又は2個はC−Rであってもよく、k=0又は1であり、Rは、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択され、但しA、A及びAは同時にNではないか又は同時にCH及びC−Rから選択されない]
である、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が窒素であり、AがCHであり、AがN又はCHであって、ピペラジン基が2位に位置する、請求項に記載の化合物。
【請求項7】
Qが、2位にピペラジン基を担持するピリジン−2,5−ジイルである、請求項に記載の化合物。
【請求項8】
Qが、式:
【化3】

[式中、
及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、Rは、C−C−アルコキシ、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択される]
である、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
がN又はCHであり、AがCHであって、ピペラジン基が2位に位置する、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、各々の場合にスルホンアミド基の結合部位に基づいて、パラ位に置換基R及び、適宜に、メタ位又はオルト位にさらなる置換基Rを担持する、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Arが、適宜に1又は2個のR置換基を有する、フェニル又はピリジルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
が水素及びメチルとは異なる、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
一般式Ia:
【化4】

[式中、
n、R、R、R、R及びRは、請求項1で与えられる意味を有し、A、A及びAのいずれかは、互いに独立して、N又はCHであり、A、A及びAの1又は2個はC−Rであってもよく、但しA、A及びAは同時にNではないか又は同時にCH及びC−Rから選択されることはなく、
X及びYは、CH、C−R及びNから選択され、ここでRは、ハロゲン、メチル、CN、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり、但しX及びYは同時にNではないか又は同時にC−Rではなく、
kは0又は1である]
の、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
式中、k=0であり、A、A及びAは、互いに独立して、N又はCHであり、A、A及びAは同時にNではないか又は同時にCHではない、請求項13に記載の式Iaの化合物。
【請求項15】
がCH又はNであり、AがCHであり、AがNである、請求項14に記載の式Iaの化合物。
【請求項16】
kが1であり、AがCH又はNであり、AがCHであり、AがNであり、及びRが、C−C−アルコキシ、NH、NHR、NR及びC−C−ハロアルコキシから選択され、RがAに隣接する炭素原子に結合している、請求項13に記載の式Iaの化合物。
【請求項17】
nが0又は1であり、n=1である場合、Rが、R−N基に隣接するピペラジン環の炭素原子に結合しており、S立体配値を有するメチル基である、請求項13から16のいずれか一項に記載の式Iaの化合物。
【請求項18】
Arが、パラ位に置換基R及び、適宜に、各々の場合にスルホンアミド基の結合部位に基づいて、メタ位又はオルト位にさらなる置換基Rを担持する、請求項13から17のいずれか一項に記載の式Ia化合物。
【請求項19】
Arが、この基が適宜に1又は2個のR置換基を有する、フェニル又はピリジルである、請求項13から18のいずれか一項に記載の式Iaの化合物。
【請求項20】
が水素及びメチルとは異なる、請求項13から19のいずれか一項に記載の式Iaの化合物。
【請求項21】
一般式Ia.1:
【化5】

[式中、n、X、Y、R、R、R、R及びRは、請求項13で与えられる意味を有し、qは0、1又は2である]
の、請求項13から20のいずれかに記載の式Iaの化合物。
【請求項22】
一般式Ia.2:
【化6】

[式中、n、X、Y、R、R、R、R及びRは、請求項13で与えられる意味を有し、qは0又は1である]
の、請求項13から20のいずれかに記載の式Iaの化合物。
【請求項23】
適宜に生理的に許容される担体及び/又は補助物質と共に、少なくとも1個の請求項1から22のいずれかに記載のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物及び/又は少なくとも1個のIの生理的に許容される酸付加塩及び/又はIのN−オキシドを含有する医薬組成物。
【請求項24】
ドーパミンD受容体アンタゴニスト又はドーパミンDアゴニストによる作用に応答する疾患を治療するための医薬組成物を生産するための、少なくとも1つの、式I:
【化7】

[式中、Q、Ar、n、R、R及びRは、前記で述べた意味を有する]
のN−[(ピペラジニル)ヘタリール]アリールスルホンアミド化合物、これらのN−オキシド及びこれらの生理的に許容される酸付加塩の使用。
【請求項25】
中枢神経系の疾患を治療するための、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
腎機能障害を治療するための、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
式I:
【化8】

[式中、Q、Ar、n、R、R及びRは、前記で述べた意味を有する]
の少なくとも1つの化合物、又はこれらのN−オキシド又はこれらの生理的に許容される酸付加塩の有効量を、この必要のある被験者に投与することを含む、ドーパミンD受容体アンタゴニスト又はドーパミンDアゴニストによる治療に感受性のある医学的障害を治療するための方法。
【請求項28】
医学的障害が中枢神経系の疾患である、請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2006−522769(P2006−522769A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505100(P2006−505100)
【出願日】平成16年4月13日(2004.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003872
【国際公開番号】WO2004/089905
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504216103)アボツト・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー (5)
【Fターム(参考)】