説明

ナット把持治具

【課題】ロボットの移動動作によってナットの把持を確実に行うことができるナット把持治具を提供すること。
【解決手段】ナット9を載置するための下治具2と、ロボット8のアーム81に接続される上治具3とよりなる。下治具2は、載置台部と、ナット9の外周面の周方向位置を規制するための外周規制部とを有し、外周規制部は、載置台部に対して軸方向に相対移動可能に配設され、規制位置に向けて付勢されている。上治具3は、アームに接続される基部30と、基部30に対して相対移動可能であると共に付勢力に抗して上記縮小位置に向けて移動した場合にナットのねじ込み方向に回転するよう構成された回転部31と、回転部31に固定され、ナット9を収容可能な把持凹部と、把持凹部に収容されたナット9を保持する保持部とを備えた把持ヘッド部35とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの移動動作によって容易にナットを把持することができるナット把持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
機械製品を組み立てる際のナットの締め付け作業は、手作業で行うこともあるが、量産品においてはロボット等の自動装置を用いて人手作業を機械に置き換えて自動化することが能率向上につながる。
ナットの締め付けあるいは仮締め作業そのものは、ロボットが正確にナットを把持することができれば、比較的容易に行うことができる。しかしながら、外周形状が多角形のナットを、周方向の位置を正確に合致させて機械で自動的に把持することは、実際には容易ではない。
【0003】
従来、ナットの把持装置としては、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。これは、ナットを載置するプレートの表面を凹凸形状として、プレートとナット下面との摩擦を大きくし、回転しにくい状態としたものである。この場合には、ナットを把持するためのボックスビッドが回転しながらナットに当接した際に、ナットの回転を抑制することによってボックスビットの凹部内にスムーズにナットを挿入することができるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−267980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のナット把持装置では、単にプレート表面を凹凸形状としただけのため、ナットの回転防止効果が不安定であり、上手く把持できない場合も起こりうる。このような確実性の低い構成では、自動装置で取り扱うことは困難である。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ロボットの移動動作によってナットの把持を確実に行うことができるナット把持治具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、取り扱うべきナットを載置するための下治具と、
ロボットのアームに接続され、該アームの移動に伴って移動可能であると共に、該アームの下降動作に伴って上記下治具上の上記ナットを把持することが可能な上治具とよりなり、
上記下治具は、上記ナットの軸方向端面を支持する載置面を備えた載置台部と、
該載置台部の外周側において上記ナットの外周面の周方向位置を規制するための外周規制部とを有し、
該外周規制部は、上記載置台部に対して軸方向に相対移動可能に配設され、上記ナットの外周面に対面する規制位置と、上記ナットの外周面に対面しないように軸方向にずれた後退位置との間において移動可能であると共に、第1付勢部材によって上記規制位置に向けて付勢されており、
上記上治具は、上記アームに接続される基部と、
該基部に対して軸方向に伸びた伸長位置と軸方向に縮んだ縮小位置との間で相対移動可能であると共に、第2付勢部材によって上記伸長位置に向けて付勢され、付勢力に抗して上記縮小位置に向けて移動した場合に上記ナットのねじ込み方向に回転するよう構成された回転部と、
上記回転部に固定され、上記ナットの外周面の周方向位置が所定位置に合致した場合に上記ナットを収容可能な把持凹部と、該把持凹部に収容された上記ナットを保持する保持部とを備えた把持ヘッド部とを有し、
上記下治具の上記載置面に上記ナットを載置すると共に上記外周規制部によって上記ナットの外周面の周方向位置を規制した状態で、上記アームに接続された上記上治具を移動させ、該上治具の軸心と上記下治具の軸心とを合致させると共に上記上治具を上記下治具に向けて下降させることにより、上記上治具の上記把持ヘッド部と上記下治具の上記外周規制部とが当接し、該外周規制部を押圧しながら上記把持ヘッド部がさらに下降し、上記把持ヘッド部が上記ナットの上面に干渉した際に上記把持ヘッド部の下降が停止して、上記回転部が上記伸長位置から上記縮小位置に向けて相対移動すると共に回転し、該回転部の回転に伴って上記把持ヘッド部が回転し、該把持ヘッド部の上記把持凹部が上記ナットの外周位置と合致した際に上記回転部の上記伸長位置から上記縮小位置に向けた相対移動が停止すると共に回転が停止して、上記回転部が上記アームの移動に伴って前進することにより上記把持ヘッド部の上記把持凹部内に上記ナットを収容すると共に保持できるよう構成されていることを特徴とするナット把持治具にある(請求項1)。
【0007】
本発明のナット把持治具は、上記構成の下治具と上治具とよりなり、下治具に予め載置されたナットを、ロボットに接続された上治具によって把持するよう構成したものである。これらの下治具及び上治具の組合せにより、自動装置であるロボットの移動動作によって、確実かつ容易に上治具によってナットを把持することができる。そして、ナットを把持した上治具を、当該ナットを取り付けるべき雄ネジ部の存在する位置に移動させて軸方向に押圧することによって、上記回転部の回転に伴う上記把持ヘッド部の回転によってナットを締め付けまたは仮締めすることができる。
【0008】
したがって、ロボットアームが移動する領域内に、ナットを締め付けるべき相手方のワークと、ナットをセットした下治具とを供給すれば、ロボットのアームの本来の移動機能を使うだけで、アームに接続された上記上治具によって下治具からのナットの把持と、ワークへのナットの締め付けまたは仮締めを容易かつ確実に実施することができる。
すなわち、本発明によれば、ロボットの移動動作によってナットの把持を確実に行うことができるナット把持治具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のナット把持治具においては、上記下治具の上記外周規制部の上面、又は上記上治具の上記把持ヘッド部の下面には、両者が互いに当接して相対回転する際の抵抗を軽減するための低摩擦部材が配設されていることが好ましい(請求項2)。この場合には、上記把持ヘッド部が上記回転部と共に回転する際の相対回転をスムーズに行わせることができ、ナット把持動作の安定性を高めることができる。
【0010】
また、上記低摩擦部材はベアリングであることが好ましい(請求項3)。回転抵抗を低減する上でベアリング(転がり軸受け)の採用は最も効果が高く最適である。ベアリングとしては、各種のスラストベアリングを採用可能である。
なお、ベアリングを採用せずに、当接面の表面に摩擦係数の小さい材料を配設して、摺動抵抗を低減する手法を用いることも可能である。
【0011】
また、上記下治具の上記載置台部は、上記載置面に載置される上記ナットの内周穴に挿入されるよう上記載置面から上方に突出した突出部を有し、
上記上治具の上記把持ヘッド部の中央部には、該把持ヘッド部から軸方向に伸びた前進位置と軸方向に縮んだ縮小位置との間で相対移動可能であると共に、第3付勢部材によって上記前進位置に向けて付勢されたインナーブロック部を有し、
該インナーブロック部の先端部と、上記突出部の上端部とは、軸方向に相対移動して当接した際に径方向の位置決めをするための嵌め合い構造を有していることが好ましい(請求項4)。この場合には、下治具と上治具とを軸方向に相対移動させる際に軸心の微小のずれがあった場合でも、上記インナーブロック部の先端部と上記突出部の上端部との嵌め合い構造によって確実な位置決めを行うことができるので、さらに安定したナット把持動作を得ることができる。
【0012】
また、上記インナーブロック部の先端部と上記突出部の上端部とは、一方がテーパ状の外周面を備えた突部を有し、他方が上記テーパ状の内周面を備えた窪み部を有し、上記突部と上記凹部が嵌合可能に設けられていることが好ましい(請求項5)。このようなテーパ面の組合せによって、容易に位置決め効果を得ることができる。
【0013】
また、上記把持ヘッド部の上記把持凹部は、上記ナットの外形状に対応する多角形状の内壁面を有しており、上記保持部は、上記内壁面から内方に突出するよう配設された複数のボールプランジャよりなることが好ましい(請求項6)。ボールプランジャは、筒状のハウジング内の開口先端部にボールが配置され、このボールをハウジング内のスプリングで外方に付勢した構造のものであり、先端のボールがスプリングの付勢力に抗して後退可能となっているものである。このボールプランジャのボールを上記把持凹部の内壁面から突出させておくことにより、ナットを把持凹部に挿入した際にボールが縮んだ分だけスプリングの付勢力によって保持力を発揮させることができ、保持機能を容易に得ることができる。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
本発明の実施例に係るナット把持治具につき、図1〜図11を用いて説明する。
本例のナット把持治具1は、図1に示すごとく、取り扱うべきナット9を載置するための下治具2と、ロボット8のアーム81に接続され、該アーム81の移動に伴って移動可能であると共に、該アーム81の下降動作に伴って下治具2上のナット9を把持することが可能な上治具3とよりなる。
以下、これを詳説する。
【0015】
図2、図3に示すごとく、下治具2は、上記ナット9の軸方向端面を支持する載置面211を備えた載置台部21と、該載置台部21の外周側においてナット9の外周面の周方向位置を規制するための外周規制部22とを有する。
上記載置台部21は、ベース板20上に固定されており、その上面の上記載置面211は、六角形の外周形状と円形の内周形状とに囲まれた面形状を有している。この形状は、ナット9の軸方向端面(下端面)92を、内外に若干の余裕を持って載置できる大きさに設定してある。また、載置台部21の側面には上記外周規制部22が後述するごとく相対移動する際の上限を規定する上限規制部214が径方向に突出するように設けられている。
【0016】
また、載置台部21の載置面211には、該載置面211に載置される上記ナット9の内周穴95に挿入されるよう載置面211から上方に突出した突出部215を有している。この突出部215は、筒状形状を有しており、その先端(上端)内周角部を軸方向に対して傾斜したテーパ面を設けてなる。そのため、載置台部21の突出部215の上端部には、テーパ状内周面216を備えた窪み部が形成された状態となっている。
【0017】
なお、本例で取り扱うナット9は、一方の軸方向端面(上端面)91の内周部に軸方向に突出した筒状の突出リング部93を備えた特殊な形状である。もちろん、このナット9に代えて、突出リング部93を備えていない通常の形状のナットに適用することも可能である。
【0018】
上記外周規制部22は、載置台部21に対して軸方向に相対移動可能に配設され、その内周面221が上記ナット9の外周面90に対面する規制位置(図2)と、内周面221がナット9の外周面90に対面しないように軸方向にずれた後退位置(図10)との間において移動可能であると共に、第1付勢部材29によって上記規制位置に向けて付勢されている。図2に示すごとく、第1付勢部材29はスプリングよりなり、上記ベース板20と外周規制部22との間に介在させてある。
【0019】
また、上記外周規制部22の上面には、後述する上治具3の把持ヘッド部35の下面359に当接して相対回転する際の抵抗を軽減するための低摩擦部材28として、スラストベアリングが配設されている。
【0020】
上記上治具3は、図1に示すごとく、ロボット8のアーム81に接続される基部30と、基部30に対して軸方向に伸びた伸長位置と軸方向に縮んだ縮小位置との間で相対移動可能である回転部31とを有する。回転部31は、第2付勢部材(図示略)によって上記伸長位置に向けて付勢され、付勢力に抗して上記縮小位置に向けて移動した場合にナット9のねじ込み方向に回転するよう構成されている。この軸方向の相対移動と回転とを生み出す機構部分は、図1に示すごとく、基部30と回転部31との間にある大径部32内に収められている。具体的には、大径部32から下方に突出した伸縮軸部325の基端側外周側面に設けられピンが、大径部32の内周面に設けられたねじ部に係合しており、伸縮軸部325が軸方向に縮小する方向に相対移動すると所定方向に回転し、逆方向に相対移動するときは逆方向に回転しながら移動するようになっている。そして、この逆方向の相対移動、つまり上記縮小位置から上記伸長位置への移動は、上記第2付勢部材の付勢力によって実現される。また、伸縮軸部325の先端が、上記回転部31と一体的に繋がっている。
【0021】
また、上治具3は、回転部31に固定された把持ヘッド部35を有している。把持ヘッド部35は、図2に示すごとく、ナット9の外周面90の周方向位置が所定位置に合致した場合にナット9を収容可能な把持凹部350と、該把持凹部350に収容されたナット9を保持する保持部351とを備えている。
把持ヘッド部35の把持凹部350は、ナット9の外形状に対応する六角形状の内壁面352を有しており、保持部351は、内壁面352から内方に突出するよう配設された6つのボールプランジャよりなる。ボールプランジャ351は、筒状のハウジング内の開口先端部にボール353が配置され、このボール353をハウジング内のスプリングで外方に付勢した構造のものである。
【0022】
また、把持ヘッド部35の中央部には、インナーブロック部36を設けてある。インナーブロック部36は、把持ヘッド部35から軸方向に伸びた前進位置と軸方向に縮んだ縮小位置との間で相対移動可能であると共に、第3付勢部材369によって上記前進位置に向けて付勢されている。
インナーブロック部36の先端部365は、テーパ状外周面366を備えた突部となっている。これは、上述した下治具2の載置台部21の突出部215のテーパ状内周面216を備えた窪み部と嵌合可能に設けられている。
【0023】
次に、上記下治具2と上治具3とを用いて、ナット把持作業を行う手順について説明する。
まず、図2に示すごとく、下治具2の載置面211にナット9を載置する。そして、この下治具2を図示しない搬送手段によってロボット8の作業領域内に配置する。また、ナットを締め付けるべき相手方のワーク(図示略)も図示しない搬送手段によってロボット8の作業領域内に配置する。
【0024】
同図に示すごとく、下治具2の初期状態においては、外周規制部22が第1付勢部材29の付勢力によって上端まで上昇しており、その内周面221がナット9の外周面90の周方向位置を規制した状態となっている。この状態で、ロボット8のアーム81を動かして、アーム81に接続された上治具3を移動させ、上治具3の軸心と下治具2の軸心とを合致させると共に上治具3を下治具2に向けて下降させる。
【0025】
この上治具3の下降が続くことにより、まず、図5に示すごとく、上治具2のインナーブロック部36の先端部365のテーパ状外周面366が、下治具2の載置台部21の突出部215のテーパ状内周面216に嵌合した状態となり、上治具3と下治具2の軸方向位置の僅かなずれも修正される。本例では、これと同時に、上治具2の把持ヘッド部35と下治具2の外周規制部211とが当接する。
【0026】
さらに上治具3の下降が続くことにより、外周規制部22を押圧しながら把持ヘッド部35がさらに下降する。そして、図6に示すごとく、把持ヘッド部35がナット9の上面に干渉した際に、把持ヘッド部35の下降が停止して、ここではじめて回転部31が上記伸長位置から上記縮小位置に向けて相対移動を開始する。そして、この相対移動と共に回転部31及び把持ヘッド部35の回転も開始する。なお、ナット9は、下治具の外周規制部22に周方向位置が規制されているので回転しない。
【0027】
そして、図7に示すごとく、把持ヘッド部35の把持凹部350がナット9の外周位置と合致した際に、図8〜図10に示すごとく、回転部31の上記伸長位置から上記縮小位置に向けた相対移動が停止すると共に回転が停止する。そして、これにより、回転部31はアーム81の移動に伴って前進(下降)する。図8に示す状態は、保持部351であるボールプランジャのボール353が後退し始めた状態であり、図9に示す状態は、保持部351であるボールプランジャのボール353の後退が完了した状態であり、図10に示す状態は、把持ヘッド35の下降が完了した状態である。図10に示す状態において把持凹部350内へのナット9収容が完了し、保持部351であるボールプランジャによってナット9が保持される。また、ロボット8のアーム81の移動もこの時点で停止させる。
なお、上述した図6に示すような把持ヘッド部35とナット9の上面との干渉が起こらずに、最初から図7に示した位置関係になる場合も起こりうるが、そのときは、回転部31の相対的な縮小移動及び回転が起こることなく図8〜図10の状態が進むこととなる。
【0028】
次に、図11に示すごとく、ロボット8のアーム81を上昇させることにより、これに伴って上治具3の把持ヘッド35がナット9を把持した状態で上昇する。
その後、ロボット8のアーム81を動かすことによって、ナット9を把持した上治具3を、当該ナット9を取り付けるべき雄ネジ部の存在するワークの位置に移動させて軸方向に押圧することによって、上記回転部31の回転に伴う把持ヘッド部35の回転によってナット9を仮締めすることができる。
【0029】
このように、本例では、ロボット8のアーム81が移動可能な領域内に、ナット9を締め付けるべき相手方のワークと、ナット9をセットした下治具2とを供給すれば、ロボット8のアーム81の本来の移動機能を使うだけで、アーム81に接続された上治具3によって下治具2からのナット9の把持と、ワークへのナット9の締め付けまたは仮締めを容易かつ確実に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1における、下治具及びロボットに取り付けた上治具の全体を示す説明図。
【図2】実施例1における、ナットを載置した下治具に対して上治具を軸方向に沿って接近させている状態を示す説明図。
【図3】実施例1における、下治具を上方から見た説明図。
【図4】実施例1における、上治具の把持ヘッド部を下方から見た説明図。
【図5】実施例1における、下治具に対して上治具が当接した直後の状態を示す説明図。
【図6】実施例1における、下治具上のナットの上面に把持ヘッド部が干渉している状態を示す説明図。
【図7】実施例1における、下治具上のナットの外周位置と把持凹部とが合致した状態を示す説明図。
【図8】実施例1における、下治具上のナットの外周位置と把持凹部とが合致した状態で把持ヘッド部が下降し、ボールプランジャのボールが後退し始めた状態を示す説明図。
【図9】実施例1における、下治具上のナットの外周位置と把持凹部とが合致した状態で把持ヘッド部がさらに下降し、ボールプランジャのボールの後退が完了した状態を示す説明図。
【図10】実施例1における、下治具上のナットの外周位置と把持凹部とが合致した状態での把持ヘッド部の下降が完了した状態を示す説明図。
【図11】実施例1における、ナットを把持した把持ヘッド部を下治具から話して上昇させた状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0031】
1 ナット把持治具
2 下治具
21 載置台部
211 載置面
215 突出部
216 テーパ状内周面
22 外周規制部
28 低摩擦部材
3 上治具
30 基部
31 回転部
35 把持ヘッド部
350 把持凹部
351 保持部
36 インナーブロック部
366 テーパ状外周面
8 ロボット
81 アーム
9 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り扱うべきナットを載置するための下治具と、
ロボットのアームに接続され、該アームの移動に伴って移動可能であると共に、該アームの下降動作に伴って上記下治具上の上記ナットを把持することが可能な上治具とよりなり、
上記下治具は、上記ナットの軸方向端面を支持する載置面を備えた載置台部と、
該載置台部の外周側において上記ナットの外周面の周方向位置を規制するための外周規制部とを有し、
該外周規制部は、上記載置台部に対して軸方向に相対移動可能に配設され、上記ナットの外周面に対面する規制位置と、上記ナットの外周面に対面しないように軸方向にずれた後退位置との間において移動可能であると共に、第1付勢部材によって上記規制位置に向けて付勢されており、
上記上治具は、上記アームに接続される基部と、
該基部に対して軸方向に伸びた伸長位置と軸方向に縮んだ縮小位置との間で相対移動可能であると共に、第2付勢部材によって上記伸長位置に向けて付勢され、付勢力に抗して上記縮小位置に向けて移動した場合に上記ナットのねじ込み方向に回転するよう構成された回転部と、
上記回転部に固定され、上記ナットの外周面の周方向位置が所定位置に合致した場合に上記ナットを収容可能な把持凹部と、該把持凹部に収容された上記ナットを保持する保持部とを備えた把持ヘッド部とを有し、
上記下治具の上記載置面に上記ナットを載置すると共に上記外周規制部によって上記ナットの外周面の周方向位置を規制した状態で、上記アームに接続された上記上治具を移動させ、該上治具の軸心と上記下治具の軸心とを合致させると共に上記上治具を上記下治具に向けて下降させることにより、上記上治具の上記把持ヘッド部と上記下治具の上記外周規制部とが当接し、該外周規制部を押圧しながら上記把持ヘッド部がさらに下降し、上記把持ヘッド部が上記ナットの上面に干渉した際に上記把持ヘッド部の下降が停止して、上記回転部が上記伸長位置から上記縮小位置に向けて相対移動すると共に回転し、該回転部の回転に伴って上記把持ヘッド部が回転し、該把持ヘッド部の上記把持凹部が上記ナットの外周位置と合致した際に上記回転部の上記伸長位置から上記縮小位置に向けた相対移動が停止すると共に回転が停止して、上記回転部が上記アームの移動に伴って前進することにより上記把持ヘッド部の上記把持凹部内に上記ナットを収容すると共に保持できるよう構成されていることを特徴とするナット把持治具。
【請求項2】
請求項1において、上記下治具の上記外周規制部の上面、又は上記上治具の上記把持ヘッド部の下面には、両者が互いに当接して相対回転する際の抵抗を軽減するための低摩擦部材が配設されていることを特徴とするナット把持治具。
【請求項3】
請求項2において、上記低摩擦部材はベアリングであることを特徴とするナット把持治具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、上記下治具の上記載置台部は、上記載置面に載置される上記ナットの内周穴に挿入されるよう上記載置面から上方に突出した突出部を有し、
上記上治具の上記把持ヘッド部の中央部には、該把持ヘッド部から軸方向に伸びた前進位置と軸方向に縮んだ縮小位置との間で相対移動可能であると共に、第3付勢部材によって上記前進位置に向けて付勢されたインナーブロック部を有し、
該インナーブロック部の先端部と、上記突出部の上端部とは、軸方向に相対移動して当接した際に径方向の位置決めをするための嵌め合い構造を有していることを特徴とするナット把持治具。
【請求項5】
請求項4において、上記インナーブロック部の先端部と上記突出部の上端部とは、一方がテーパ状の外周面を備えた突部を有し、他方が上記テーパ状の内周面を備えた窪み部を有し、上記突部と上記窪み部が嵌合可能に設けられていることを特徴とするナット把持治具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記把持ヘッド部の上記把持凹部は、上記ナットの外形状に対応する多角形状の内壁面を有しており、上記保持部は、上記内壁面から内方に突出するよう配設された複数のボールプランジャよりなることを特徴とするナット把持治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−64236(P2010−64236A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235802(P2008−235802)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】