説明

ナノスケールの有機固体粒子の製造方法

原材料として、1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有する粒子の形の、対応する昇華可能な有機固体から出発し、この粒子をキャリアガス中に分散させて分散体を得て、この分散体を膨張室が後続する収縮するノズル中で放圧し、生成物出口開口部を有するこの膨張室の壁部中に、この膨張室の中心軸を中心として回転対称に開口部が設けられていて、この開口部を通して、不活性ガスキャリアと、その中に分子分散された、原材料とは異なり、かつ生成物の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分子、イオン又はナノスケールの粒子を含む二次ガス流が吹き込まれる、ナノスケールの有機固体粒子の製造方法が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収縮するノズル中で放圧による昇華/凝固(Sublimation/Desublimation)によるナノスケールの有機固体粒子の製造方法に関する。
【0002】
ナノスケールとは、一般に、平均粒径がサブミクロン領域にある、つまり1μm未満、又は0.5μm(500nm)未満の固体粒子を表す。この寸法に関して、ナノ粒子は、部分的に、あまり微細に分配されていない形のそれぞれの同じ物質の特性とは基本的に異なる特性を有する。
【0003】
ナノスケールの有機固体は、多様な方法、特に粉砕、気相中での反応、火炎内での反応、晶析、沈殿、ゾルゲル法、又は昇華/凝固により製造することができる。
【0004】
この場合、ナノスケールの有機固体粒子の製造のための出発物質を分子分散した形で含む不活性ガス噴流の急速な放圧による凝固(Desublimation)は収縮するノズル中で実施され、このノズルの最も狭い横断面は、固体粒子を分子分散した形で含有する不活性ガスがマッハ1以上の速度に加速されるように構成されることは公知である。有利に、これはいわゆるラバールノズルであり、つまり収縮した入口部分に拡大した出口部分が後続くノズル形状である。
【0005】
Streletzky著Journal of Chemical Physics, Vol. 116, No. 10, 2002, p. 4058 - 4061には、超音波ノズル中での制御された核形成及びナノスケール滴の制御された成長が記載されていて、ここでは核形成区域を成長区域から分離することが試みられている。自由噴流のノズルから特別な膨張室中への放圧並びにその冷却は述べられていない。
【0006】
Michael Tuerkは、その「超臨界流体を用いた有機ナノクリスタルの製造(Erzeugung von organischen Nanopartikeln mit ueberkritischen Fluiden)」、TU Karlsruhe、2001、第40頁〜第43頁並びに第46頁〜第51頁の教授資格取得論文において、超臨界溶液の急速な膨張による有機ナノ粒子の製造方法(RESS法)を記載している。50μmの範囲内の直径を有するノズルが記載され、この放圧は膨張室中へ行われる。この文献は、粒子寸法形状の制御のために逆流領域の影響に関して示唆を含んでいない。
【0007】
Sane et al.は、The Royal Society of Chemistry, 2003, 2720-2721において、RESS法(Rapid Expansion of Supercritical Solutions)によるポルフィリンの製造を記載している。このRESS法の場合に、物質を溶解する圧縮ガスの特徴を利用する。大抵は、このために二酸化炭素を使用する。この使用されたノズルは、50μmの直径及び1:4の直径対長さ比を有する。この文献は、膨張室及びその中の逆流領域の影響について示唆していない。
【0008】
Koddeの学位論文(ハノーバー大学、1996)(VDI-Fortschrittsberichte, 3列, No. 451 , 1996)において、第22頁〜第25頁並びに第84頁〜第85頁に、異種凝固(heterogenen Desublimation)する研究が記載されていて、この場合、空気及びコハク酸からなる温度調節されたガス混合物をパイプ輸送中で冷たい空気と混合することにより冷却される。この冷却のために、コハク酸は冷空気中に含まれるサブミクロン粒子上に凝固する。この論文の継続において、Wagner(Chemie Ingenieur Technik, Vol. 71, 1999, p. 598 - 601参照)は、キャリアガスとコハク酸蒸気とからの混合物を核を有するガス流と混合した。この凝固は、引き続く毛管を備えたノズル中で、混合物の放圧によって開始される。この異種凝結は、既に存在する核上で行われる。この論文は、膨張室中での膨張及び膨張室内での逆流領域の影響を記載していない。
【0009】
ナノ粒子の有機固体は、多様な分野で使用される。この場合、頻繁に、所定の粒度、粒度分布又は粒子形状を維持する必要がある。これは、大抵は、放圧過程で形成される一次粒子によって保証することはできない。
【0010】
従って、本発明の課題は、所定の仕様に応じるために、音速又は超音速に加速する際に放圧により得られたナノスケールの有機固体粒子の寸法形状、特に粒径、粒径分布、粒子形状及び場合により結晶構造を制御することである。
【0011】
この解決策は、
− 原材料として、1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有する粒子の形の、
− 対応する昇華可能な有機固体から出発し、
− 前記粒子をキャリアガス中に分散させて、連続相としてのキャリアガス中に分散相として昇華可能な固体の粒子を含有する分散体を得て、
− 前記分散体の前記固体粒子を、分解温度を下回る温度に熱を導入しながら、分子分散した形で昇華させて、分子分散した形で前記原材料で飽和された又は飽和に達していないキャリアガス流を得て、
− 前記原材料を分子分散した形で含有するキャリアガス流を収縮するノズルに供給し、前記ノズルの最も狭い横断面は、前記原材料を含有するキャリアガス流が前記収縮するノズル中で、マッハ1〜マッハ3の範囲内の速度に加速されかつ引き続き長く延びる膨張室内へ収縮するノズルから出口開口部を介して自由噴流として過飽和のキャリアガス流を得ながら放圧されるように構成されていて、それにより生成物のナノスケールの有機固体粒子が凝固し、
− 前記膨張室は、前記収縮するノズルの延長部分で、前記収縮するノズルの縦軸を中心として回転対称に配置され、かつ前記膨張室の一端の前記収縮するノズルからの出口開口部と、前記膨張室の他端の生成物出口開口部とを除いて全ての面が閉鎖されていて、前記膨張室の長さL対直径Dの比率は15〜20の範囲内にあり、
− 前記自由噴流と前記膨張室の内壁との間に逆流領域が形成され、前記逆流領域中で前記キャリアガス流は自由噴流とは反対方向に変向されかつ前記自由噴流により新たに引き寄せられるナノスケールの有機固体粒子の製造方法において、
前記生成物出口開口部を有する膨張室の壁部中に、前記膨張室の中心軸を中心として回転対称に複数の開口部が設けられていて、前記開口部を通して、ガスキャリアとその中に分子分散して含有される、前記原材料とは異なりかつ前記生成物の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分子、イオン又はナノスケールの粒子を有する二次ガス流を吹き込むことを特徴とする、ナノスケールの有機固体粒子の製造方法にある。
【0012】
有利に、このキャリアガスは不活性ガスである。
【0013】
本発明の場合に、従って、収縮するノズルからマッハ1〜マッハ3の範囲内の速度で噴出する自由噴流を取り囲みかつ膨張室の内壁により区切られる逆流領域の影響によって、凝固により得られたナノスケールの有機固体粒子の生成物特性、特にサイズ、サイズ分布、形状及び場合により結晶構造を制御する方法を提供することである。
【0014】
このために、この逆流領域中へは本発明の場合に、原材料とは異なりかつ生成物の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する二次ガス流が吹き込まれる。
【0015】
この本発明による方法は、原材料として、1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有する粒子の形の、生成物に対応する昇華可能な有機固体から出発する。
【0016】
有利に、1μm〜1mm、又は1μm〜10μmの範囲内の平均粒径を有する原材料の粒子から出発することができる。
【0017】
最初の方法段階では、連続相としての不活性ガス中の分散相としての原材料の粒子の分散体を得ながら、この原材料を不活性ガス流中に分散させる。10μm未満の平均粒径の場合には、この得られる分散体は通常エアロゾルといわれる。
【0018】
この原材料は、不活性ガス中で、有利に加圧下で、特に1.5〜10bar絶対の範囲内の圧力下で、更に有利に1.5〜3bar絶対の範囲内の圧力下で分散される。
【0019】
この原材料が分散される不活性ガス、並びに二次ガス流のための不活性ガスキャリアは、有利に窒素である。
【0020】
次の方法段階で、この分散体又はエアロゾルは、熱導入によりこの原材料の分解温度を下回る温度で分子分散した形で昇華させる。有利に、この場合、300〜800℃の範囲内の温度に加熱される。この場合、分子分散された形の原材料で飽和された又は飽和されていない不活性ガス流が得られる。
【0021】
ここから、有利に、原材料と一緒に不活性ガス流内へ持ち込まれた昇華可能でない固体の不純物は、分離器中で、有利に熱ガスフィルタ、サイクロン又は電気集塵機中で分離される。
【0022】
分子分散された形で原材料を含有する不活性ガス流(場合によりそこから昇華可能でない固体の不純物を分離した)は、有利に混合室中に供給され、その中で横断面の拡大によりこの流れが均一化される。この混合室は、有利に縦型に配置されている。
【0023】
場合により混合室中で均一化された不活性ガスは、その中に分子分散された形で含まれる固体粒子と共に、引き続き収縮するノズルに供給され、このノズルの最も狭い横断面は、原材料を分子分散された形で含有する不活性ガス流がマッハ1〜マッハ3の範囲内の速度で加速されるように構成される。この場合、熱い不活性ガス流は突然放圧され、この場合に著しく冷却され、その際に極めて高い過飽和が生じる。この過程は極端に短いため、これを近似的に断熱性とみなすことができる。
【0024】
この収縮するノズルに、有利に他の拡大するノズル部分が後続することができるため、このノズルは全体としてラバールノズルと呼ぶことができ、つまり、入口領域において収縮した部分を有しかつ出口領域において拡大された領域を有し、かつこれらの領域は最も狭い横断面の領域で相互に結合されているノズル形状を有し、かつマッハ1〜マッハ3の範囲内の速度にガス流を加速するように構成されている。
【0025】
このマッハ数は、公知のように、速度の物理的及び無次元の特性値である。このマッハ数は、慣性力対圧縮力の比率を挙げ、例えば周囲の流体中での固体又は流体の速度Vの大きさ対音速cの比率に限定される(Wikipediaからのマッハ数を参照)。
【0026】
この収縮するノズル又は有利にラバールノズルは、出口開口部を介して自由噴流として長く延びる膨張室中に開口していて、この長さL対直径Dの比率は5〜20の範囲内にある。
【0027】
収縮するノズル又はラバールノズル及び後続する膨張室中で、冷却及びそれに伴う過飽和により凝固が生じる。この過飽和の程度は、特に収縮するノズル又は収縮−拡大するノズル(ラバールノズル)の前での不活性ガス中で分子分散した形の原材料の質量濃度、並びに原材料の固有の蒸気圧曲線に依存する。特に、高分子量の物質の場合に、この低い蒸気圧に基づき、粒子形成は膨張室の方向にずれる。それにより、膨張室中での、つまり自由噴流中の並びに逆流領域中での滞留時間は、粒子形成のため及び粒子成長のために重要な意味がある。この滞留時間に関する影響を用いることによって、粒子特性、特にサイズ、サイズ分布、形状並びに場合により結晶構造を制御することができる。本発明による方法によって、特に、膨張室中の滞留時間は延長され、及び/又は原材料とは異なる、分子分散して含まれる分子、イオン又はナノスケールの粒子を有する二次ガス流の導入により粒子形成を引き起こし、それにより粒子特性が制御される。
【0028】
自由噴流とは、ノズルから壁部による制限のない自由な環境内へ噴出される噴流をいう。このノズルから噴出される流体及び周囲の流体は異なる速度を有する。この自由噴流を取り囲む流体は引き寄せられかつ連行される。
【0029】
それに対して、逆流領域とは、ここでは、自由噴流と膨張室の内壁との間のこの自由噴流を取り囲む領域をいい、その領域中で不活性ガス流が膨張する自由噴流とは反対の方向に変更され、この自由噴流により新たに吸い寄せられる。この逆流領域中の流動速度は、自由噴流よりも明らかに遅い。この逆流を説明するための理論的なアプローチは、拡張されたプラントル境界層理論に基づく。
【0030】
本発明の場合に、不活性ガスキャリアとその中に分子分散して含まれる、原材料とは異なる分子、イオン又はナノ粒子とを有する二次ガス流を吹き込むことにより、いわゆる種粒子又は核生成剤により異種凝固が引き起こされる。
【0031】
この二次ガス流は、本発明により、複数の開口を介して導入され、この開口は、生成物出口開口部を有しかつ収縮するノズル又は収縮−拡大するノズルからの出口開口部とは反対側の膨張室の壁部に、膨張室の中心軸を中心に回転対称に配置されている。
【0032】
この膨張室の中心軸を中心に回転対称に配置された開口部は、互いにリングスリットとして結合していてもよい。
【0033】
この核生成及び粒子成長のための滞留時間を制御するために、収縮するノズル又はラバールノズルからの出口開口部の直径d対膨張室の直径Dの比率が、有利に5〜100の範囲内に構成される。収縮するノズル又はラバールノズルからの出口開口部の直径d対膨張室の直径Dの比率によって、核生成及び凝固により得られた生成物の粒子成長は制御される。
【0034】
逆流領域の影響は、有利に、更に膨張室の壁部の冷却により行うことができる。
【0035】
この冷却は、実施態様の場合に、冷媒を流通させる二重ジャケットを用いて行うことができる。
【0036】
更に、冷却のために冷却用リブが設けられていて、この冷却用リブは膨張室の壁部から膨張室の室内の方向に突出する。
【0037】
他の実施態様の場合に、付加的な二次ガス流を、膨張室のジャケットの、有利に対称に配置されている2つ以上の開口部を介して吹き込むか又は吸い込むことができる。膨張室のジャケットの2つ以上の開口を介して導入されるこの二次ガス流は、不活性ガスキャリアと、その中に分子分散して含まれ、原材料とは異なりかつ生成物の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分子、イオン又はナノスケールの粒子とを有する。
【0038】
膨張室のジャケットの2つ以上の開口部に対して付加的に又はこれとは別に、収縮するノズルからの出口開口部を有する膨張室の壁部に、二次ガス流を供給するための2つ以上の開口部が設けられていて、この二次ガス流は不活性ガスキャリアと、その中に分子分散して含まれ、原材料とは異なりかつ生成物の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分子、イオン又はナノスケールの粒子を有する。
【0039】
他の実施態様の場合に、更に又はこれとは別に、膨張室中の逆流領域中に案内羽根が設けられていて、この案内羽根は有利に冷却されている。
【0040】
有利に、逆流領域中に設けられた案内羽根と膨張室の内壁との間に電圧を印加することができる。
【0041】
本発明による方法を用いて製造された粒子の有利な適用範囲は、有機半導体、例えば光学ディスプレー、太陽電池又はガス検知器である。光学ディスプレー及び半導体素子、例えばOLED及びOFEDの場合にはまさに、この製品特性のために小さな粒度及び狭い粒度分布が基本的に重要である。この種の半導体素子のために、例えばフタロシアニンが使用される。
【0042】
他の有利な適用範囲は、導体路印刷である。特別な適用目的、例えば電子新聞、又は熱電型電流センサのために、極端に薄層の導体路を必要とする。これは、特別な印刷法によってプリント基板上に設けることができる。このためには、しかしながらインキ分散液中に含まれる粒子が、サイズ及び形状に関する特別な要求、大抵は極めて狭く分配された分散相及び場合により特別な結晶相に関する特別な要求を満たさなければならない。例えば、銅フタロシアニンのベータ相は熱的に極めて安定であり、良好な半導体特性を有する。
【0043】
本発明による方法の更に有利な使用分野は、塗料用の有機ナノ顔料、例えばBASF SE社のナノ結合剤(Nanobindemittel COL.9(登録商標))、ロータス効果を有する塗料、光学的機能層、触媒、自浄性表面、透明な耐引掻性被覆、化粧品又は生体適合性表面である。
【0044】
本発明を次に図につき詳説する:
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による方法の有利な実施態様の実施のための装置の略図を表す。
【0046】
不活性ガス及び原材料としての昇華可能な有機固体粒子を有する供給流1を、ブラシ型供給機(Buerstendosierer)Bを介して案内され、その際、昇華可能な有機固体粒子は不活性ガス中に分散される。この場合に得られる分散液2を、加熱炉H中で、この原材料の有機固体粒子が昇華するが、その分解温度よりも低い温度に加熱する。この場合、分子分散した形の原材料で飽和された又は飽和に達していない不活性ガス流3が得られ、この不活性ガス流3は、流1からの昇華可能でない固体粒子をまだ含むことができる。この除去のために、流3を、例えば熱ガスフィルタFを通過するように案内する。この濾過された流は、熱処理のための他の加熱装置H、及び引き続き有利に収縮−拡大するノズルDに供給することができる。前記ノズルDの出口開口部に膨張室EKが続き、この膨張室EKは冷却された壁部(図中では壁部冷却なしの実施態様が図示されている)及び有利な実施態様の場合に案内羽根Lを有することができる。膨張室中で、収縮/拡大するノズルからの出口開口部に対して反対の端部にある膨張室EKの出口開口部から、ナノスケールの有機固体粒子を含む生成物ガス流の流4が取り出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料として、1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有する粒子の形の、対応する昇華可能な有機固体から出発し、
前記粒子をキャリアガス中に分散させて、連続相としてのキャリアガス中に分散相として昇華可能な有機固体の粒子を含有する分散体を得て、
前記分散体の前記固体粒子を、分解温度を下回る温度に熱を導入しながら、分子分散した形で昇華させて、分子分散した形で前記原材料で飽和された又は飽和に達していないキャリアガス流を得て、
前記原材料を分子分散した形で含有するキャリアガス流を収縮するノズルに供給し、前記ノズルの最も狭い横断面は、前記原材料を含有するキャリアガス流が前記収縮するノズル中で、マッハ1〜マッハ3の範囲内の速度に加速されかつ引き続き長く延びる膨張室内へ収縮するノズルから出口開口部を介して自由噴流として過飽和のキャリアガス流を得ながら放圧するように構成されていて、それにより生成物のナノスケールの有機固体粒子が凝固し、
前記膨張室は、前記収縮するノズルの延長部分で、前記収縮するノズルの縦軸を中心として回転対称に配置され、かつ前記膨張室の一端の前記収縮するノズルからの搬出開口部と、前記膨張室の他端の生成物搬出開口部とを除いて全ての面が閉鎖されていて、長さL対直径Dの比率は5〜20の範囲内にあり、
前記自由噴流と前記膨張室の内壁との間に逆流領域が形成され、前記逆流領域中で前記キャリアガス流は自由噴流とは反対方向に変向されかつ前記自由噴流により新たに吸収されるナノスケールの有機固体粒子の製造方法において、
前記生成物搬出開口部を有する膨張室の壁部中に、前記膨張室の中心軸を中心として回転対称に複数の開口部が設けられていて、前記開口部を通して、ガスキャリアとその中に分子分散して含有される、前記原材料とは異なりかつ前記生成物の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分子、イオン又はナノスケールの粒子を有する二次ガス流を吹き込むことを特徴とする、ナノスケールの有機固体粒子の製造方法。
【請求項2】
前記原材料を1μm〜1mmの範囲内の平均粒径を有する粒子の形で使用する特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記収縮するノズルが、前記ノズルの収縮する第1の領域に拡大する第2の領域が後続することにより、ラバールノズルの形に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記膨張室の中心軸を中心に回転対称に設けられた複数の開口部が相互に結合してリングスリットになっていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記原材料が分散されるキャリアガス並びに前記二次ガス流のガスキャリアは、不活性ガス、有利に窒素であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記原材料が不活性ガス中に、1.5〜10bar絶対の範囲内の圧力下で、有利に1.5〜3bar絶対の範囲内の圧力下で分散される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記原材料を分子分散した形で含む前記不活性ガス流から、前記原材料と一緒に持ち込まれた昇華可能でない固体不純物を、分離器、有利に熱ガスフィルタ、サイクロン、電気集塵機で分離することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記収縮するノズルからの出口開口部の直径d対前記膨張室の直径Dとの比率が5〜100の範囲内にあることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記膨張室の前記壁部が冷却されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記冷却が、冷却媒体を流通される二重ジャケットを用いて行われることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記冷却が、前記膨張室の壁部から前記膨張室の室内の方向に突出する冷却リブを用いて行われることを特徴とする、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記膨張室のジャケットに2つ以上の開口部が、有利に対称に設けられていて、前記開口部によって、不活性ガスキャリアと、その中に分子分散して含まれる、原材料とは異なりかつ生成物の平均粒径よりも小さな平均粒径を有する分子、イオン又はナノスケールの粒子を含む二次ガス流が吹き込まれるか又は吸い出されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記収縮するノズルからの出口開口部を有する、前記膨張室の壁部中に、不活性ガスキャリアと、この中に分子分散して含まれる、原材料とは異なりかつ生成物の平均粒径よりも小さな平均粒径を有する分子、イオン又はナノスケールの粒子を含む二次ガス流の供給のための2つ以上の開口部が設けられていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記膨張室中の逆流領域内に案内羽根が設けられていて、前記案内羽根は有利に冷却されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記逆流領域中に配置された案内羽根と前記膨張室の内壁との間に電圧が印加されることを特徴とする、請求項14記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−500106(P2012−500106A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522497(P2011−522497)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060354
【国際公開番号】WO2010/018155
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】