説明

ナビゲーションシステム、センタサーバ、車載装置

【課題】「不達」や「遅刻」のリスクを考慮した運行ルートの作成を支援するナビゲーションシステムを提案する。
【解決手段】センタサーバにて作成した複数の運行ルートの候補について、不達のリスクと遅刻のリスクとを算出する。算出した各候補のリスクと各候補で走行する距離とを車載装置へ提供する。車載装置の表示部27にリスク設定画面50を表示し、許容リスク線52を設定させる。設定された許容リスク線に基づいて、複数の運行ルートの候補の中から業務に利用する運行ルートを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーションシステムと、それに用いるセンタサーバおよび車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駆動用のバッテリの電池残量が目的地に到達するための必要量に満たないとき、車両の周辺にあってすぐに利用できる充電器の情報を提供する充電スタンド情報提供装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−262525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車に代表される充電可能な駆動用のバッテリを備える車両を運送業などの業務に用いる場合、業務運行中におけるバッテリの充電が必要不可欠である。バッテリの充電はガソリン補給と異なり時間を要するため、一度に行う充電量や充電回数を熟慮して運行ルートを立案する必要がある。すなわち、バッテリの電池残量が不足して配送先に到達できない「不達」や、バッテリを過剰に充電し過ぎて配送時刻に遅れる「遅刻」などのリスクについて考慮して運行ルートを立案する必要がある。
【0005】
しかし、運行ルートの立案には、渋滞などの道路状態のように、完全に予測することが困難であり、かつ時々刻々と変化する動的要素がかかわっているため、「不達」や「遅刻」のリスクを考慮した運行ルートを作成することは運転者や業務管理者にとって負担が大きかった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みて「不達」や「遅刻」のリスクを考慮した運行ルートの作成を支援するナビゲーションシステムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるナビゲーションシステムは、充電可能な駆動用のバッテリを有する車両に備えられる車載装置と、車載装置と通信可能なセンタサーバとを備えるナビゲーションシステムにおいて、センタサーバは、通過すべき経由地を予め1以上定めた運行計画において、経由可能な1または複数の充電スタンドを検索するスタンド検索手段と、1以上の経由地を経由し、スタンド検索手段により検索された充電スタンドのいずれか少なくとも一つを経由するまたは一つも経由しない運行ルートを複数通り探索するルート探索手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、1以上の経由地に不達となる不達リスクを算出する不達リスク算出手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、1以上の業務上経由地に遅刻する遅刻リスクを算出する遅刻リスク算出手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々の距離を算出する走行距離算出手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートと、複数の運行ルートのそれぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を送信するルート候補送信手段と、不達リスクおよび遅刻リスクの合計の許容値を車載装置から受信する許容リスク受信手段と、不達リスクおよび遅刻リスクの合計が許容値以下である運行ルートの中から、いずれかの運行ルートを車載装置へ送信する運行ルート送信手段と、を備え、車載装置は、センタサーバから複数の運行ルートと、それぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を受信するルート候補受信手段と、不達リスクおよび遅刻リスクの合計の許容値を設定する許容リスク設定手段と、許容リスク設定手段により設定された不達リスクおよび遅刻リスクの合計の許容値をセンタサーバへ送信する許容リスク送信手段と、を備えることを特徴とする。
また、別の一態様であるセンタサーバは、充電可能な駆動用のバッテリを有する車両に備えられる車載装置と通信可能なセンタサーバにおいて、通過すべき経由地を予め1以上定めた運行計画において、経由可能な1または複数の充電スタンドを検索するスタンド検索手段と、1以上の経由地を経由し、スタンド検索手段により検索された充電スタンドのいずれか少なくとも一つを経由するまたは一つも経由しない運行ルートを複数通り探索するルート探索手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、1以上の経由地に不達となる不達リスクを算出する不達リスク算出手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、1以上の業務上経由地に遅刻する遅刻リスクを算出する遅刻リスク算出手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々の距離を算出する走行距離算出手段と、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートと、複数の運行ルートのそれぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を送信するルート候補送信手段と、不達リスクおよび遅刻リスクの合計の許容値を車載装置から受信する許容リスク受信手段と、不達リスクおよび遅刻リスクの合計が許容値以下である運行ルートの中から、いずれかの運行ルートを車載装置へ送信する運行ルート送信手段と、を備えることを特徴とする。
さらに本発明の別の一態様である車載装置は、充電可能な駆動用のバッテリを有する業務用車両に備えられ、センタサーバと通信可能な車載装置において、センタサーバから複数の運行ルートと、それぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を受信するルート候補受信手段と、不達リスクおよび遅刻リスクの合計の許容値を設定する許容リスク設定手段と、許容リスク設定手段により設定された不達リスクおよび遅刻リスクの合計の許容値をセンタサーバへ送信する許容リスク送信手段と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
「不達」や「遅刻」のリスクを考慮した運行ルートの作成を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】運行計画について説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態による業務用ナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による業務用ナビゲーションシステムで用いられるセンタサーバの機能ブロックの一例である。
【図4】本発明の一実施形態による業務用ナビゲーションシステムで用いられる車載装置の機能ブロックの一例である。
【図5】リスク設定画面の一表示例である。
【図6】運行ルートの決定方法に関するフローチャートの一例である。
【図7】運行ルートの決定方法に関するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による業務用ナビゲーションシステムは、たとえば、充電可能な駆動用バッテリを備える電気自動車などの車両を利用した運送業や、バスやタクシーによる送迎サービスに利用することができる。以降では、本発明の一実施の形態として、運送業用の業務用ナビゲーションシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態の説明に用いる運送業の運行ルートの一例を示す。本実施の形態の運送業にあっては、出発地と、帰還地と、複数の配送先と、それらの各配送先に到達すべき時刻(以降、到着依頼時刻と称する)とを含む運行計画が予め定められている。図1の例における運行計画は、業務用の車両200は出発地Sを出発して、配送先Aに11:00までに到着し、配送先Bに12:30までに到着し、配送先Cに14:00までに到着し、および配送先Dに15:00までに到着し、帰還地Hへ帰る計画となっている。業務用の車両200は、充電可能な駆動用のバッテリを備える電気自動車などの電動輸送機器であって、運行中にバッテリの充電のために充電スタンドに立ち寄ることが必要となる場合がある。図1の例では、前述の運行計画に含まれる配送先A〜Dとを経由し、さらに1以上の充電スタンドを経由する運行ルートR1〜R3が複数示されている。運行ルートR1は、配送先Cと配送先Dとの間にある充電スタンドES3を経由する。運行ルートR2は、配送先Bと配送先Cとの間にある充電スタンドES2を経由する。運行ルートR3は、充電スタンドES3と、配送先Aと配送先Bとの間にある充電スタンドES1とを経由する。なお、図1では、充電スタンドを1以上通過する運行ルートしか例示しなかったが、充電スタンドを経由しない運行ルートを立ててもよい。また、出発地Sと帰還地Hとは、同じ場所でもよい。
【0012】
運行ルートR1は、充電スタンドES3まで車両200のバッテリの充電を行わないため、充電スタンドES3に到達するころにはバッテリの電池残量が極めて少ない。充電スタンドES3までの道中で渋滞などのトラブルが発生すると、バッテリの電池残量が不足して充電スタンドES3と配送先Dに不達となるおそれがある。運行ルートR3は、充電スタンドES1と充電スタンドES3で充電するため不達となる可能性は低い。しかし、電気自動車等のバッテリの充電はガソリン給油と比べて時間がかかるため渋滞などのトラブルが発生すると、各到着依頼時刻に遅刻するおそれがある。運行ルートR2は、運行ルートR1よりも早く充電するため、不達のリスクは運行ルートR1よりも小さく運行ルートR3よりは大きい。また、遅刻のリスクに関しては、運行ルートR2は運行ルートR3より小さい。
【0013】
図2は、本発明の一実施の形態による業務用ナビゲーションシステムの一構成例を示すブロック図である。図2の業務用ナビゲーションシステムは、運送業者の配送センタ100などに備えられるセンタサーバ1と、センタサーバ1と通信可能な複数の車載装置2とからなる。複数の車載装置2の各々は、車載ナビゲーション装置や本システム専用の端末などであって、バッテリ201を備える車両200に搭載され、通信端末202(携帯電話やPDAなど)を介してセンタサーバ1と接続することができる。通信端末202と、センタサーバ1とは、インターネット回線や携帯電話網などの通信回線網3を介して接続されている。車載装置2は、車両200からバッテリ201の電池残量に関する情報を取得している。
【0014】
図3は、センタサーバ1の機能を示す機能ブロック図である。図3に示すセンタサーバ1は、制御部11と、記憶部12と、送受信部13とを備える。制御部11は、マイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成され、ルート候補探索処理111と、不達リスク算出処理112と、遅刻リスク算出処理113と、走行距離算出処理114と、リスク設定画面作成処理115と、運行ルート決定処理116とを含む各種処理を実行する。各処理の詳細については後述する。記憶部12は、ハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体であって、運行計画が記憶される運行計画DB(Data Base)121と、充電スタンドの位置情報(緯度・経度)や充電速度、利用状況などを記憶する充電スタンドDB122と、送受信部13を介して受信したVICS情報などの道路交通情報を記憶する交通情報DB123と、車両200の運転者の設定情報(後述)を記憶する個人設定情報保存DB124と、車両200が走行する運行ルートを記憶する運行ルートDB125と、地図データを記憶する地図DB126とを記憶している。地図データには、道路地図上の地点を表すノードの情報と、ノード間の道路を表すリンクの情報とが存在する。リンクの情報には、経路探索時に用いるリンクコストとして旅行時間が設定されており、さらに道路の長さを表すリンク長と、リンクが表す道路上を走行したときに消費するバッテリ201の電池残量を表す消費電力量が設定されている。
【0015】
ルート候補探索処理111の処理について説明する。ルート候補探索処理111では、最初に制御部11は、送受信部13を介して車載装置2から車両200のバッテリ201の電池残量に関する情報を取得する。次に、制御部11は、運行計画DB121に記憶された運行計画から、出発地と、帰還地と、複数の配送先と、各配送先の到着依頼時刻とを読み込む。たとえば、図1の例の場合、出発地Sと、帰還地Hと、配送先A〜Dとについて読み込まれる。
【0016】
次に、制御部11は、読み込んだすべての配送先を経由地として出発地から帰還地までの経路を、公知なダイクストラ法などにより探索する。探索された経路には、出発地と最初に立ち寄る配送先(図1の場合配送先A)との間の部分経路と、配送先とその次の配送先との間(配送先Aと配送先Bとの間)の部分経路と、最後の配送先(配送先D)と帰還地との間の部分経路にわけられる。制御部11は、各部分経路についてそれぞれ、最も当該部分経路に近い充電スタンドを充電スタンドDB122から検索する。図1の例では、配送先Aと配送先Bとの間の部分経路については充電スタンドES1が検索されている。そして、制御部11は、検索された複数の充電スタンドのすべての組合せについて、各組み合わせに含まれた充電スタンドと各配送先とを経由地とし経路を探索する。制御部11は、探索された経路に含まれる各リンクに設定された消費電力量の総和と車両200のバッテリ201の電池残量とに基づいて、探索した経路の中から経由する充電スタンドで満充電になるまで充電したとしてもバッテリ201の電池残量が途中で所定の値(たとえば満充電の20%)未満になるような経路を削除する。次に、制御部11は、探索された経路に含まれる旅行時間の総和と各配送先への到着依頼時刻とに基づいて、経由する充電スタンドで満充電まで充電しても配送先への到着時間が所定時間(たとえば30分)以上はやく到着したり、充電しなくても所定時間(たとえば5分)以上遅れる経路についても削除する。
【0017】
次に、制御部11は、削除されずに残った経路について、経由する充電スタンドにおける充電時間を決定する。まず、充電スタンドDB122から各充電スタンドにおける充電速度を読み込む。そして、当該充電スタンドでバッテリ201を満充電まで充電するのに要する時間を算出し、その充電スタンドで充電した後に向かう配送先に到着する時刻を算出し、到着依頼時刻の所定時間(たとえば、5分や、3分、10分)前に到着するか否かを判定する。到着依頼時刻の5分前に到達できない場合は、到着依頼時刻の所定時間前に到着できるように当該充電スタンドでの充電時間を減ずる。制御部11は、充電時間を算出した経路を運行ルートの候補として、不達リスク算出処理112と、遅刻リスク算出処理113と、走行距離算出処理114と、リスク設定画面作成処理115とに出力する。これにより、ルート候補探索処理111が終了する。
【0018】
次に、不達リスク算出処理112の処理について説明する。不達リスク算出処理112は、ルート候補探索処理111が運行ルートの候補を出力したら制御部11が処理を開始する。制御部11は、各候補で立ち寄る充電スタンドにおいて充電する前のバッテリ201の電池残量を算出する。この電池残量は、出発地から当該充電スタンドまでのルート上にあるリンクに設定された消費電力量の総和を、出発時点での電池残量または、その出発時点での電池残量に途中の充電スタンドで充電した充電量を加算した電池残量から減ずることにより算出できる。制御部11は、算出した各運行ルートで立ち寄る充電スタンドにおいて充電する前のバッテリ201の電池残量に基づいて、不達のリスクの値を算出する。不達のリスクの値は、充電する前のバッテリ201の電池残量が少なければ少ないほど高い値となる。たとえば、当該電池残量を満充電を100%とした百分率で算出し、百分率表示した当該電池残量を100%から減じた値を不達のリスクの値とすればよい。制御部11は、各運行ルートの候補について不達のリスクを算出したら、各不達のリスクの値に関する情報をリスク設定画面作成処理115へ出力する。これにより、不達リスク算出処理112が終了する。
【0019】
次に、遅刻リスク算出処理113の処理について説明する。遅刻リスク算出処理113では、ルート候補探索処理111が運行ルートの候補を出力したら制御部11が処理を開始する。制御部11は、各運行ルートの候補の各配送先について、当該候補に沿って走行した場合に到着する予定時刻から到着依頼時刻を差し引いて時間的な余裕を算出し、その余裕が最もないものを抽出し、その余裕の値が小さいほど各候補の遅刻リスクを大きい値となるように算出する。たとえば、5分遅刻から0分(余裕なし)の場合は、遅刻のリスクの値を100とし、5分の余裕で遅刻のリスクの値を60、10分の余裕で遅刻のリスクの値を30、15分の余裕で遅刻のリスクの値を10とすればよい。制御部11は、各運行ルートの候補について遅刻のリスクを算出したら、各遅刻のリスクの値に関する情報をリスク設定画面作成処理115へ出力する。これにより、遅刻リスク算出処理113が終了する。
【0020】
次に、走行距離算出処理114の処理について説明する。走行距離算出処理114では、ルート候補探索処理111が運行ルートの候補を出力したら制御部11が処理を開始する。制御部11は、各候補に含まれるリンクのリンク長を加算して走行距離を算出する。制御部11は、各運行ルートの候補について走行距離を算出したら、各走行距離の値に関する情報をリスク設定画面作成処理115へ出力する。これにより、走行距離算出処理114が終了する。
【0021】
次に、リスク設定画面作成処理115について説明する。リスク設定画面作成処理115は、ルート候補探索処理111と、不達リスク算出処理112と、遅刻リスク算出処理113と、走行距離算出処理114とから、それぞれ運行ルートの候補、各候補の不達のリスクの値に関する情報、各候補の遅刻のリスクの値に関する情報、各候補の走行距離に関する情報を入力されると、後述するリスク設定画面を表示するための情報を作成し、送受信部13を介して車載装置2へ送信する。
【0022】
次に、運行ルート決定処理116について説明する。運行ルート決定処理116では、制御部11は、リスク設定画面作成処理115で作成したリスク設定画面を用いて後述するように許容リスクの設定がなされたとき、送受信部13を介して許容リスクの設定に関する情報を受信し、個人設定情報保存DB124へ記憶する。さらに、制御部11は、ルート候補探索処理111により出力された運行ルートの候補の中から後述する方法で運行ルートを決定し、運行ルートDB125へ決定した運行ルートを記憶する。そして、制御部11は、その運行ルートを送受信部13を介して車載装置2へ送信する。
【0023】
図4は、車載装置2が備える機能を示す機能ブロックである。図4に示す車載装置2は、制御部21と、送受信部22と、入力部23と、バッテリ管理部24と、位置検出部25と、記憶部26と、表示部27とを備える。制御部21は、マイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成され、他の構成要素を制御して、表示部27へ各種画面を表示する処理や周知のルート案内処理を実行する。送受信部22は、通信端末202と介してセンタサーバ1と通信する。入力部23は、タッチパネルや、キーボード、各種スイッチ類などであって、車両200の運転者や業務管理人による車載装置2への情報の入力を受けつける。バッテリ管理部24は、車両200のバッテリ201の電池残量を取得し、送受信部22を介してセンタサーバ1へ送信する。位置検出部25は、GPS衛星から受信したGPS信号などに基づいて、車両200の位置(緯度・経度)を算出する。記憶部26は、ハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体であって、送受信部22を介して送受信した情報の履歴や地図画面を表示するための地図データなどを記憶している。表示部27は、液晶ディスプレイなどであって、制御部21の制御によりリスク設定画面や、運行ルートを付した地図画面などを表示することができる。
【0024】
図5は、表示部27に表示されたリスク設定画面の一例である。図5に示すリスク設定画面50を表示するための情報は、センタサーバ1の制御部11がリスク設定画面作成処理115を実行することにより作成され、送受信部13を介して車載装置2へ送信される。そして、車載装置2は、送受信部22を介してリスク設定画面を表示するための情報を受信し、車載装置2の表示部27に表示する。図5のリスク設定画面50には、リスク表示グラフ51と、その上に描画された許容リスク線52と、絞り込み設定部53と、リスク表示設定部54と、リスク表示設定プリセットボタン55と、表示切替ボタン56と、リスク線設定ボタン57とを有する。
【0025】
リスク表示グラフ51は、センタサーバ1のルート候補探索処理111によって探索された運行ルートの各候補に関する表示を行ったものである。リスク表示グラフ51の横軸は、走行距離算出処理114で算出された走行距離である。リスク表示グラフ51の縦軸は、運行ルートの各候補のリスクを表す。各候補のリスクは、不達リスク算出処理112で算出された不達のリスクの大きさを表す値と遅刻リスク算出処理113で算出されたと遅刻のリスクの大きさを表す値との合計に基づいた棒グラフとして表示される。走行距離が同一の候補については、棒グラフの高さが低く表示されるものが優先して表示される。
【0026】
絞り込み設定部53は、リスク表示グラフ51に表示する運行ルートの候補を絞りこむために、配送先に到着する時刻の制限や、バッテリの電池残量の下限値などを設定することができる。リスク表示設定部54では、不達のリスクを表す値および遅刻のリスクを表す値への補正値を設定する。図5の例では、不達のリスクを表す値と遅刻のリスクを表す値とをそれぞれ50%ずつに補正し、その合計に基づいてリスク表示グラフ51に表示している。リスク表示設定部54への入力は、車載装置2の入力部23を用いて行う。リスク表示設定プリセットボタン55は、リスク表示設定部54に入力する値がプリセットされたものである。たとえば、不達リスク優先ボタン55aを入力部23を介して選択した場合は、リスク表示設定部54の表示が「不達リスク優先:遅刻リスク優先=75:25」などのようになる。表示切替ボタン56は、地図表示や時間軸表示などの画面に切り替えるためのボタンである。時間軸表示では、横軸が走行時間で縦軸がバッテリ201の電池残量のグラフに各候補を表示する。距離表示では、横軸が走行距離で縦軸がバッテリ201の電池残量のグラフに各候補を表示する。地図表示では、各候補を地図上に表示する。
【0027】
リスク線設定ボタン57は、リスク表示グラフ51上に表示された許容リスク線52を移動させるためのボタンである。リスク線設定ボタン57内の「up」ボタンを入力部23を用いて選択すると、許容リスク線52が上に移動する。リスク線設定ボタン57内の「down」ボタンを選択すると、許容リスク線52が下に移動する。リスク線設定ボタン57内の「left」ボタンを選択すると、許容リスク線52が左回転し傾きが変化する。リスク線設定ボタン57内の「right」ボタンを選択すると、許容リスク線52が右回転し傾きが変化する。リスク線設定ボタン57により動かされる許容リスク線52は、リスク表示グラフ51に表示された棒グラフの表示値の閾値を設定するものである。図5には、図1に示す運行ルートR1、R2、R3が運行ルートの各候補であった場合の不達と遅刻のリスクの値の合計に基づく棒グラフ51a、51b、51cが表示されている。図5の例では、棒グラフ51cが示すリスクの値は許容リスク線52の線よりも上にある。これは、運行ルートR3を利用して運送業を行うことは、車両200の運転者または業務管理者にとって許容できないことを示す。
【0028】
リスク設定画面に表示されたリスク表示グラフ51上で許容リスク線52を設定し、リスクの設定が完了すると、設定された許容リスク線52や、絞り込み設定部53、リスク表示設定部54などの設定値を記憶部26へ記憶する。そして、それらの設定値を送受信部22を介してセンタサーバ1へ送信する。センタサーバ1は、送受信部13を介して設定された許容リスク線52や、絞り込み設定部53、リスク表示設定部54などの設定値を受信し、個人設定情報保存DB124に記憶する。そして、運行ルート決定処理116では、「棒グラフの高さが許容リスク線52よりも下にあったものの中で走行距離が最も短いもの」(図5の例の場合、棒グラフ51aが選択される)や、「棒グラフの高さが許容リスク線52より下であって、許容リスク線52と棒グラフの高さとの差が最大のもの」(図5の例の場合、棒グラフ51bが選択される)などの条件に基づいて、運行ルートを決定する。
【0029】
図6は、本発明の一実施の形態による車載ナビゲーションシステムにおける配送ルートの決定方法を示すフローチャートである。図6の処理は、車載装置2の電源がオンになったときに実行される。ステップS601では、車載装置2の制御部21は、位置検出部25が算出した車両200の位置情報とバッテリ管理部24が取得したバッテリ201の電池残量の情報を、送受信部22を介してセンタサーバ1に送信する。一方、センタサーバ1の制御部11は、車載装置2から送信されるバッテリ201の電池残量に関する情報と車両200の位置情報とを、送受信部13を介して受信する。
【0030】
ステップS602では、センタサーバ1の制御部11は、運行計画DB121から車両200の運行計画を読み込み、充電スタンドDB122から充電スタンドに関する情報を読み込み、交通情報DB123から道路交通情報を読み込み、地図DB126から地図データを読み込む。ステップS603では、センタサーバ1の制御部11は、ルート候補探索処理111を実行して運行ルートの候補を作成する。ステップS604では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS603において運行ルートの候補が1以上作成されたか否かを判定する。運行ルートの候補が作成されていればステップS605に進み、作成されていなければ、運行計画の見直しを進めるメッセージを車載装置2に送信し、処理を終了する。車両200の運転者は、運行計画の見直しが行われた後、再度図6の処理を実行する。
【0031】
ステップS605では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS603で作成された運行ルートの候補のそれぞれについて、不達リスク算出処理112と遅刻リスク算出処理113と走行距離算出処理114とを実行し、不達のリスクの値に関する情報と遅刻のリスクの値に関する情報と走行距離に関する情報とを算出する。ステップS606では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS605で算出した各候補に対する不達のリスクの値と、遅刻のリスクの値と、走行距離とに関する情報に基づいて、リスク設定画面作成処理115を実行し、リスク設定画面(たとえば、図5)を表示するための情報を作成する。
【0032】
ステップS607では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS606で作成したリスク設定画面を表示するための情報を送受信部13を介して車載装置2へ送信する。車載装置2の制御部21は、センタサーバ1から送信されたリスク設定画面を表示するための情報を送受信部22を介して受信する。ステップS608では、車載装置2の制御部21は、ステップS607で受信したリスク設定画面を表示するための情報に基づいて、リスク設定画面を表示部27に表示する。ステップS609では、車載装置2の制御部21は、車両200の運転者が行う表示部27に表示したリスク設定画面と、入力部23を用いた許容リスク線52の設定入力を受け付ける。
【0033】
ステップS610では、車載装置2の制御部21は、送受信部22を介して、許容リスク線52に関する設定値など、リスク設定画面に入力された設定値に関する情報をセンタサーバ1へ送信する。センタサーバ1の制御部11は、送受信部13を介して、車載装置2から送信された許容リスク線52に関する設定値などのリスク設定画面に入力された設定値に関する情報を受信し、個人設定情報保存DB124に記憶する。ステップS611では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS610で受信した許容リスク線52に関する設定値などのリスク設定画面に入力された設定値に関する情報を運行ルート決定処理116に入力して、運行ルートを決定する。そして、決定した運行ルートに関する情報を運行ルートDB125に記憶し、送受信部13を介して車載装置2へ送信する。車載装置2の制御部21は、送受信部22を介して運行ルートに関する情報を受信し、記憶部26に記憶する。記憶部26に運行ルートが記憶されると図6の処理を終了する。その後、車載装置2の制御部21は、運行ルートに基づいて、周知のルート案内処理を実行する。
【0034】
図7は、本発明の一実施の形態による車載ナビゲーションシステムにおける配送ルートの再決定方法を示すフローチャートである。図7の処理は、図6の処理が終了し、車載装置2の制御部21によるルート案内処理が開始された後に、車両200の運転者から要請された場合や、センタサーバ1が渋滞等の道路情報に関する道路交通情報を新たに受信したときに実行される。ステップS701では、車載装置2の制御部21は、位置検出部25が算出した車両200の位置情報とバッテリ管理部24が取得したバッテリ201の電池残量の情報を、送受信部22を介してセンタサーバ1に送信する。一方、センタサーバ1の制御部11は、車載装置2から送信されるバッテリ201の電池残量に関する情報と車両200の位置情報とを、送受信部13を介して受信する。
【0035】
ステップS702では、センタサーバ1の制御部11は、運行計画DB121から車両200の運行計画を読み込み、充電スタンドDB122から充電スタンドに関する情報を読み込み、交通情報DB123から道路交通情報を読み込み、個人設定情報保存DB124から許容リスク線52に関する設定値などのリスク設定画面に入力された設定値に関する情報を読み込み、運行ルートDB125から運行ルートに関する情報を読み込み、地図DB126から地図データを読み込む。
【0036】
ステップS703では、センタサーバ1の制御部11は、ルート候補探索処理111を実行して運行ルートの候補を作成する。ステップS704では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS703で作成された運行ルートの候補のそれぞれについて、不達リスク算出処理112と遅刻リスク算出処理113と走行距離算出処理114とを実行し、不達のリスクの値に関する情報と遅刻のリスクの値に関する情報と走行距離に関する情報とを算出する。そして、ステップS705では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS704で作成された情報と、ステップS702で読み込まれた許容リスク線52に関する設定値などのリスク設定画面に入力された設定値に関する情報とに基づいて、運行ルートを得る。
【0037】
ステップS706では、センタサーバ1の制御部11は、ステップS702で読み込んだ運行ルートと、ステップS705で得た運行ルートとは、異なるか否かを判定する。二つの運行ルートが異なるものであった場合は、ステップS707に進みステップS705で得た運行ルートを新たに運行ルートDB125に記憶し、送受信部13を介して車載装置2へ送信する。車載装置2の制御部21は、送受信部22を介して運行ルートに関する情報を受信し、記憶部26に記憶する。記憶部26に運行ルートが記憶されると図7の処理を終了する。その後、車載装置2の制御部21は、運行ルートに基づいて、周知のルート案内処理を実行する。
【0038】
以上説明した各実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
本実施の形態による業務用ナビゲーションシステムは、充電可能な駆動用のバッテリ201を有する車両200に備えられる車載装置2と、車載装置2と通信可能なセンタサーバ1とを備える。センタサーバ1は、ルート候補探索処理111を実行することにより、業務のために通過すべき配送先を予め1以上定めた運行計画において、経由可能な充電スタンドを検索し、すべての配送先を経由し、スタンド検索手段により検索された充電スタンドの各々を0以上経由する運行ルートの候補を探索する。さらに、センタサーバ1は、不達リスク算出処理112を実行して複数の運行ルートの候補の各々について、配送先に不達となる不達リスクを算出する。また、センタサーバ1は、遅刻リスク算出処理113を実行することにより、複数の運行ルートの候補の各々に遅刻する遅刻リスクを算出する。また、センタサーバ1は、走行距離算出処理114を実行して複数の運行ルートの候補の走行距離を算出する。センタサーバ1は、ルート探索手段により探索された複数の運行ルートを、リスク設定画面に関する情報として、各候補の不達リスクと、遅刻リスクと、走行距離と共に送受信部13を介して送信する。また、センタサーバ1は、車載装置2から許容リスク線に関する情報などを受信し、運行ルート決定処理116を実行することにより、複数の運行ルートの中から業務に用いる運行ルートを決定し、車載装置2へ送信することができる。車載装置2は、センタサーバ1から複数の運行ルートと、それぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの走行距離とを含むリスク設定画面に関する情報を送受信部22を介して受信し、走行距離と不達リスクおよび遅刻リスクの合計の許容値との間の関係を許容リスク線52として設定する。設定された許容リスク線に関する情報などは、センタサーバ1へ送信される。このようにすることにより、「不達」や「遅刻」のリスクを考慮した運行ルートの作成を支援することができる。
【0039】
以上の各実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
〔1〕上記の実施の形態では、運行ルートの決定をセンタサーバ1だけが実行したが、許容リスク線を設定後、車載装置2が運行ルートを決定し、リスク設定画面に入力した情報とともに、その運行ルートをセンタサーバ1へ送信することにしてもよい。
【0040】
〔2〕上記の実施の形態では、許容リスク線の設定を車載装置2で実行したが、センタサーバ1で実行することにしてもよい。センタサーバ1に表示モニタや入力装置を設け、リスク設定画面を表示し、許容リスク線の設定を行うことにしてもよい。
【0041】
〔3〕上記の実施の形態では、リスク設定画面のリスク表示グラフ51において、走行距離が同じ運行ルートの候補が複数ある場合は、不達のリスクの値と遅刻のリスクの値の合計が最も小さいものを表示することとした。しかし、表示されなかった候補がある場合は、その旨がわかるように候補の表示態様を変更することにしてもよい。たとえば、棒グラフの表示色を変更したり、棒グラフを影付きのものにしたりすればよい。また、入力部23を用いて、表示されなかった候補がある走行距離に表示されている候補を選択したとき、時間軸表示や距離表示で複数の候補を表示するようにしてもよい。
【0042】
〔4〕上記の実施の形態では、センタサーバ1の制御部11がリスク設定画面を表示するための情報を作成したが、リスク設定画面を車載装置2側で作成してもよい。センタサーバ1から運行ルートの候補や、それらに関する不達のリスクに関する情報、遅刻のリスクに関する情報、走行距離に関する情報などを車載装置2へ送信し、車載装置2がリスク設定画面作成処理115を実行することにしてもよい。
【0043】
〔5〕不達のリスクおよび遅刻のリスクのほかのリスクについても考慮してもよい。たとえば、帰還地Hに帰還したときに残るバッテリ201の電池残量は無駄となり、経済的負担となる。このような経済的なリスクを低減するため、バッテリ201の充電量を制御することにしてもよい。
【0044】
〔6〕上記の実施の形態では、リスクに対する許容値を直線状の許容リスク線52を用いて設定したが、許容値の設定方法は他の方法でもよい。2以上の線分で表される許容リスク線を設定可能にしてもよいし、走行距離に関係なく一定の設定値を設定するような形でもよい。
【0045】
以上で説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0046】
1 センタサーバ
2 車載装置
11,21 制御部
12,26 記憶部
13,22 送受信部
23 入力部
24 バッテリ管理部
25 位置検出部
27 表示部
50 リスク設定画面
51 リスク表示グラフ
52 許容リスク線
100 配送センタ
200 車両
201 バッテリ
202 通信端末
111 ルート候補探索処理
112 不達リスク算出処理
113 遅刻リスク算出処理
114 走行距離算出処理
115 リスク設定画面作成処理
116 運行ルート決定処理
121 運行計画DB
122 充電スタンドDB
123 交通情報DB
124 個人設定情報保存DB
125 運行ルートDB
126 地図DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な駆動用のバッテリを有する車両に備えられる車載装置と、前記車載装置と通信可能なセンタサーバとを備えるナビゲーションシステムにおいて、
前記センタサーバは、
通過すべき経由地を予め1以上定めた運行計画において、経由可能な1または複数の充電スタンドを検索するスタンド検索手段と、
前記1以上の経由地を経由し、前記スタンド検索手段により検索された充電スタンドのいずれか少なくとも一つを経由するまたは一つも経由しない運行ルートを複数通り探索するルート探索手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の経由地に不達となる不達リスクを算出する不達リスク算出手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の業務上経由地に遅刻する遅刻リスクを算出する遅刻リスク算出手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々の距離を算出する走行距離算出手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートと、複数の運行ルートのそれぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を送信するルート候補送信手段と、
前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を前記車載装置から受信する許容リスク受信手段と、
前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計が前記許容値以下である運行ルートの中から、いずれかの運行ルートを前記車載装置へ送信する運行ルート送信手段と、
を備え、
前記車載装置は、
前記センタサーバから複数の運行ルートと、それぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を受信するルート候補受信手段と、
前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を設定する許容リスク設定手段と、
前記許容リスク設定手段により設定された前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を前記センタサーバへ送信する許容リスク送信手段と、
を備えることを特徴とする業務用ナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の業務用ナビゲーションシステムにおいて、
前記センタサーバは、
渋滞を含む道路状態に関する情報を受信する道路状態受信手段をさらに備え、
前記運行ルート送信手段により送信された運行ルート上の道路の道路状態が変化したとき、
前記ルート探索手段が変化後の道路状態を加味して複数通りの運行ルートを再探索し、
前記不達リスク算出手段が前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の経由地に不達となる不達リスクを算出し、
前記遅刻リスク算出手段が前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の経由地に遅刻する遅刻リスクを算出し、
前記走行距離算出手段が前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートの各々の距離を算出し、
前記運行ルート送信手段が、前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートのうち前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計が前記許容値以下である運行ルートの中から、いずれかの運行ルートの情報を前記車載装置へ再送信することを特徴とする業務用ナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の業務用ナビゲーションシステムにおいて、
前記許容リスク設定手段は、
前記ルート候補受信手段により受信した複数の運行ルートと、複数の運行ルートのそれぞれの距離と、それぞれの不達リスクにそれぞれの遅刻リスクを加算した合計との関係を表すグラフを表示し、
前記グラフ上に前記距離と前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値との間の関係を表す基準線を表示し、
前記基準線に基づいて、前記距離に応じた前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を設定することを特徴とする業務用ナビゲーションシステム。
【請求項4】
充電可能な駆動用のバッテリを有する車両に備えられる車載装置と通信可能なセンタサーバにおいて、
通過すべき経由地を予め1以上定めた運行計画において、経由可能な1または複数の充電スタンドを検索するスタンド検索手段と、
前記1以上の経由地を経由し、前記スタンド検索手段により検索された充電スタンドのいずれか少なくとも一つを経由するまたは一つも経由しない運行ルートを複数通り探索するルート探索手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の経由地に不達となる不達リスクを算出する不達リスク算出手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の業務上経由地に遅刻する遅刻リスクを算出する遅刻リスク算出手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートの各々の距離を算出する走行距離算出手段と、
前記ルート探索手段により探索された複数の運行ルートと、複数の運行ルートのそれぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を送信するルート候補送信手段と、
前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を前記車載装置から受信する許容リスク受信手段と、
前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計が前記許容値以下である運行ルートの中から、いずれかの運行ルートを前記車載装置へ送信する運行ルート送信手段と、
を備えることを特徴とするセンタサーバ。
【請求項5】
請求項4に記載のセンタサーバにおいて、
渋滞を含む道路状態に関する情報を受信する道路状態受信手段をさらに備え、
前記運行ルート送信手段により送信された運行ルート上の道路の道路状態が変化したとき、
前記ルート探索手段が変化後の道路状態を加味して複数通りの運行ルートを再探索し、
前記不達リスク算出手段が前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の経由地に不達となる不達リスクを算出し、
前記遅刻リスク算出手段が前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートの各々について、前記1以上の経由地に遅刻する遅刻リスクを算出し、
前記走行距離算出手段が前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートの各々の距離を算出し、
前記運行ルート送信手段が、前記ルート探索手段により再探索された複数の運行ルートのうち前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計が前記許容値以下である運行ルートの中から、いずれかの運行ルートの情報を前記車載装置へ再送信することを特徴とするセンタサーバ。
【請求項6】
充電可能な駆動用のバッテリを有する業務用車両に備えられ、センタサーバと通信可能な車載装置において、
前記センタサーバから複数の運行ルートと、それぞれの不達リスクと、それぞれの遅刻リスクと、それぞれの距離とを含む情報を受信するルート候補受信手段と、
前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を設定する許容リスク設定手段と、
前記許容リスク設定手段により設定された前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を前記センタサーバへ送信する許容リスク送信手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車載装置において、
前記許容リスク設定手段は、
前記ルート候補受信手段により受信した複数の運行ルートと、複数の運行ルートのそれぞれの距離と、それぞれの不達リスクにそれぞれの遅刻リスクを加算した合計との関係を表すグラフを表示し、
前記グラフ上に前記距離と前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値との間の関係を表す基準線を表示し、
前記基準線に基づいて、前記距離に応じた前記不達リスクおよび前記遅刻リスクの合計の許容値を設定することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−154781(P2012−154781A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13841(P2011−13841)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】