説明

ナビゲーションシステム、経路探索サーバおよびプログラム

【課題】 道路交通情報通信システムが測定した道路ネットワークのリンクコストを時刻別の複数の道路ネットワークデータとして経路探索する車載用のナビゲーションシステムにおいて、道路ネットワークデータの切り換えなしに経路探索を行うことができるようにする。
【解決手段】 ネットワークデータ組み換え手段23は、時刻別のネットワークデータについて、ネットワークデータ毎に、全てのリンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降のネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用のネットワークデータを作成してネットワークデータ記憶手段27に記憶する。経路探索手段24は、ネットワークデータ記憶手段27に記憶したネットワークデータを用いて出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い最適な案内経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のナビゲーションシステム、経路探索サーバおよびプログラムに関するものであり、特に、渋滞を考慮して過去の統計に基づく道路ネットワークデータ(リンクコストデータ)を用いて経路探索する車載用のナビゲーションシステムにおいて、道路ネットワークデータの切り換えなしに、経路探索を行うことができるようにしたナビゲーションシステム、経路探索サーバおよびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車の運転者に出発地から目的地までの最適な経路を案内する車載用のナビゲーション装置が提供されている。従来のナビゲーション装置は、地図データを記録したCD−ROM又はICカード等の地図データ記憶装置と、ディスプレイ装置と、ジャイロ、GPS(Global Positioning System)及び車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する車両移動検出装置等を有し、車両の現在位置を含む地図データを地図データ記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をディスプレイ装置上に描画すると共に、車両位置マーク(ロケーション)をディスプレイ画面に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
通常、このような車載用ナビゲーション装置には、運転者が所望の目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるようにした経路案内機能が搭載されている。この経路誘導機能によれば、地図データを用いて出発地から目的地までを結ぶ最もコストが小さい経路をダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って経路探索し、その探索した経路を案内経路として記憶しておき、走行中、地図画像上に案内経路を他の道路とは色を変えて太く描画して画面表示したり、車両が案内経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離内に近づいたときに、地図画像上の進路を変更すべき交差点に進路を示す矢印を描画して画面表示したりすることで目的地までの最適な経路を運転者が簡単に把握できるようにしている。
【0004】
上記の車載用のナビゲーション装置は、経路探索機能や地図データを持つスタンドアロン型のナビゲーション装置であるが、このようなナビゲーション装置はナビゲーションに必要な全ての機能を備えている必要があり、装置が大型化し価格も高いものとなっていた。近年の通信、情報処理技術の発展により車載用のナビゲーション装置にネットワークを介した通信機能を付加し経路探索サーバとデータ通信して案内経路データや地図データを取得するいわゆる通信型のナビゲーションシステムも普及してきている。更には、歩行者用のナビゲーションシステムとして携帯電話をナビゲーション端末としたシステムも実用化されている。
【0005】
ところで、車載用のナビゲーションシステムで経路探索に使用されるリンクコストはそのリンクを通過する標準的な速度に基づいて算出した所要時間を採用するのが一般的である。このようなリンクコストを用いた経路探索においては、実際に自動車で走行している時に遭遇する渋滞の状況が経路探索に反映されることはない。従って、運転者は別途ラジオ等により交通情報センターからアナウンスされる道路情報、渋滞情報を聴取してナビゲーションシステムから案内された案内経路から別の経路に走行経路を変更し、あるいは、到着予定時刻の遅れを把握したりする必要があった。
【0006】
しかしながら、車載用のナビゲーションシステムにおいても、前述のような通信型のナビゲーションシステムが普及しつつあり、また、道路交通情報通信システム(VICS)においては、例えば5分間隔でVICSリンクの所要時間コストが測定されているのでこれを、道路別、時間帯別、曜日別などに統計処理して実際のリンクコストを道路ネットワークデータとして蓄積し、経路探索サーバにこれらの過去の実績データに基づくネットワークデータを蓄積して経路探索に利用することができる環境が整ってきている。
【0007】
このような背景から交通渋滞を加味したナビゲーションを行う試みもなされており、例えば、下記の特許文献1(特開平10−19593号公報)に開示された車載用ナビゲーション装置が知られている。この特許文献1に開示された車載用ナビゲーション装置は、図6に示すように、マイクロコンピュータにより構成されたナビゲーション装置本体1は、液晶モニタ(ディスプレイ装置)2、地図データを記憶したCD−ROM3、車両方位、車両速度等を衛星航法により検出するGPS受信器4、ビーコン受信器5、FM多重受信ユニット6、車両の回転角度を検出するジャイロ7、車速パルス検出部8、交通情報データ用メモリ9を備えている。
【0008】
ナビゲーション装置本体1は、液晶モニタ2に車両の現在位置の近傍の地図を表示し、出発地から目的地までの誘導経路や車両位置マーク及びその他の案内情報を表示する。また、CD−ROM3には、縮尺別の道路レイヤ、背景レイヤ、文字・記号レイヤなどから構成された地図データが記憶されている。ビーコン受信器5、FM多重受信ユニット6は、交通情報を受信する受信器であり、ビーコン受信器に比較的狭いエリアの交通情報を、FM放送に多重化された比較的広いエリアに関する交通情報を受信する。受信した交通情報は交通情報データ用メモリ9に記憶され、過去の交通情報データとなる。このデータは、例えば、過去4週間分のリンクコストの平均値が10分毎に分けて記憶されている。
【0009】
そしてナビゲーション装置本体1は、CD−ROM3に格納されている地図データや、ビーコン受信器5又はFM多重受信ユニット6を介して取得した交通情報を基に、ユーザが指定する出発地から目的地までの最もコストが小さい経路を探索して案内経路とし、CD−ROM3に格納されている地図データを用いてモニタ2に車両の現在位置近傍の地図画像を表示するとともに、車両位置マーク及び誘導経路を地図画像に合わせて表示し、更に車両の移動に合わせて各種案内情報をユーザに提供する。
【0010】
経路探索に際して、ナビゲーション装置本体1は、ビーコン受信器5又はFM多重受信ユニット6を介して受信した最新の交通情報を基に目的地までの所要時間を計算し、例えば1時間以下の場合は最新の交通情報を使用して誘導経路を探索し、1時間を超える場合は、1時間を超える分の案内経路について、交通情報データ用メモリ9に記憶しているデータを使用して誘導経路を探索する。すなわち、このナビゲーション装置は、最新の交通情報に基づくリンクコストのデータベースを用いて探索した案内経路の所要時間を算出し、時間が1時間を超える経路探索には過去のリンクコストのデータベースに切り換え、同時間におけるリンクコストを使用して案内経路を求めるようにして渋滞を考慮した経路案内を行うように構成している。
【0011】
また、下記の特許文献2(特開平11−325937号公報)には、位置検出手段と、地図、道路データが格納された記憶再生手段と、渋滞情報取得手段とを備えた車載用ナビゲータにおいて、渋滞状況の変化を考慮したルート探索を行って、より精度の高いルート探索結果を得ることができるようにした車載用ナビゲータが開示されている。この車載用ナビゲータは、渋滞情報取得手段で取得された渋滞情報に基づいて時間軸に対して道路コストを予測する関数(予想道路コストを時間の関数で表現したもの)を求め、この関数と地図、道路データとに基づいて次のようにルート探索を行う。すなわち、出発地点から目標地点までの間の複数の未確定地点について、前記複数の未確定地点のうち、出発地点からの前記関数に基づく経路長が最小である地点を選択して確定地点に設定する確定処理と、前記確定処理で設定された第1の確定地点を経由した場合の、該確定地点に接続された第1の未確定地点から出発地点までの第1の経路長に対して行う経路長更新処理とを、目標地点が前記確定地点に設定されるまで繰り返して実行するようにしたものである。
【0012】
【特許文献1】特開平10−19593号公報(図1)
【特許文献2】特開平11−325937号公報(図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ナビゲーションシステムにおける渋滞を考慮した経路探索の難しい点は、出発地から経路探索を進めるうちに、渋滞の状態が変化する点にある。例えば、過去の統計に基づく道路ネットワークデータ(リンクコストデータ)を用いたとしても、そのネットワークデータ自体はある特定の時刻におけるネットワークデータであり、目的地まで経路探索が進んだ時にナビゲーション装置が位置するであろう道路位置が渋滞の発生時刻になっていることもある。逆に、渋滞中に出発したが、そのうちに渋滞が解消しており、出発時点を同じくする過去の渋滞状態におけるネットワークを用いて経路探索すると、到着予測が実際の予定時刻に対して遅くなりすぎる案内経路を探索してしまうことになるといった問題点があった。
【0014】
このような問題点に対して、上記特許文献1に開示された車載用ナビゲーション装置は、所定時間経路探索が進んだ(案内経路のリンクコストが1時間になった)ところで、過去のリンクネットワークのうち、同じ時間帯の過去のリンクネットワークデータにデータベースを切り換えてそれ以降の経路探索を行うものである。しかしながら、特許文献1の車載用ナビゲーション装置においては、案内経路のリンクコストが1時間経過したところでデータベースを切り換えており、1時間経過した時にはその地点の渋滞が急激に進んでいるということもあり得るので、渋滞を考慮した最適な経路が探索できる確率が低いという問題点があった。これを回避するためには、データベース切り換えの間隔を短くすれば良いのであるが、それでは探索中に頻繁に探索のためのネットワークデータの入れ換えを行わなければならず、経路探索サーバの処理負荷が大きくなってしまうという問題点が存在する。
【0015】
また、上記特許文献2に開示された車載用ナビゲータは、経路探索サーバが関数演算するための処理負荷が増大してしまう。すなわち、経路探索サーバが、例えば、ダイクストラ法で経路探索を行う場合、ダイクストラ法で拡散していくリンクの1本毎に時間の関数でリンクコストを演算して求めていかなければならず、経路探索サーバの処理負荷が大きくなってしまうという問題点がある。
【0016】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、道路交通情報通信システム(VICS)が測定した道路交通データを利用し、例えば、5分間隔でVICSが測定した全リンクのリンクコスト(所要時間)を用いて作成した時刻別(例えば5分間隔)のネットワークデータをデータベースに蓄積しておき、各時刻別の道路ネットワークデータにおける全てのリンクコスト(所要時間)を調べ、前記所定の時間間隔を超えるリンクがあったら、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータに組み換えた経路探索用のネットワークデータを経路探索に用いることで、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明は、前記の問題点を解消することを課題とし、渋滞を考慮して過去の統計に基づく道路ネットワークデータ(リンクコストデータ)を用いて経路探索する車載用のナビゲーションシステムにおいて、道路ネットワークデータの切り換えなしに、経路探索を行うことができるようにしたナビゲーションシステム、経路探索サーバおよびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、経路探索サーバとナビゲーション装置がネットワークを介して通信するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備え、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項2にかかる発明は、経路探索サーバとナビゲーション装置がネットワークを介して通信するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備え、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのうち、その第1のリンクと、第1のリンクの接続先ノードを経由して次につながる第2のリンクの合計コストを調べ、合計コストが所定の時間以上である場合、第1のリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明において、前記所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差であることを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明において、前記経路探索手段が、前記経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する際、永久ラベルが確定したノードに該当するそれ以外の階層の時刻別の道路ネットワークに属するノードからは、経路探索が拡散しないように、該ノードに対して拡散禁止処理を行うことを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項5にかかる発明は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項6にかかる発明は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのうち、その第1のリンクと、第1のリンクの接続先ノードを経由して次につながる第2のリンクの合計コストを調べ、合計コストが所定の時間以上である場合、第1のリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項5または6にかかる発明において、前記所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差であることを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項5または6にかかる発明において、前記経路探索手段が、前記経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する際、永久ラベルが確定したノードに該当するそれ以外の階層の時刻別の道路ネットワークに属するノードからは、経路探索が拡散しないように、該ノードに対して拡散禁止処理を行うことを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項9にかかる発明は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備えた経路探索サーバを構成するコンピュータに、
前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶するネットワークデータ組み換え手段としての処理と、
前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索する経路探索手段としての処理と、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0027】
また、本願の請求項10にかかる発明は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備えた経路探索サーバを構成するコンピュータに、
前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのうち、その第1のリンクと、第1のリンクの接続先ノードを経由して次につながる第2のリンクの合計コストを調べ、合計コストが所定の時間以上である場合、第1のリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶するネットワークデータ組み換え手段としての処理と、
前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索する経路探索手段としての処理と、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0028】
また、本願の請求項11にかかる発明は、請求項9または10にかかる発明において、前記所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差であることを特徴とするプログラムである。
【0029】
また、本願の請求項12にかかる発明は、請求項9または10にかかる発明において、前記コンピュータに、更に、前記経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する際、永久ラベルが確定したノードに該当するそれ以外の階層の時刻別の道路ネットワークに属するノードからは、経路探索が拡散しないように、該ノードに対して拡散禁止処理を行う経路探索手段としての処理を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0030】
請求項1にかかる発明においては、ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成する。そして、経路探索手段がこの経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する。
従って、経路探索サーバは時刻別のネットワークデータの切り換えを必要としない。また、経路探索上、特殊な処理は必要としない。また、実質的に所定の時間単位で時刻別ネットワークデータを切り換えたと同じ様な細かい経路探索が自動的に可能になるので、過去の渋滞状況をより反映した経路探索が可能になり、渋滞予測を交えた最適な案内経路を探索できる確率が高くなる。
【0031】
請求項2にかかる発明においては、ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのうち、その第1のリンクと、第1のリンクの接続先ノードを経由して次につながる第2のリンクの合計コストを調べ、合計コストが所定の時間以上である場合、第1のリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成する。そして、経路探索手段がこの経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する。
従って、経路探索サーバは時刻別のネットワークデータの切り換えを必要としない。また、経路探索上、特殊な処理は必要としない。また、実質的に所定の時間単位で時刻別ネットワークデータを切り換えたと同じ様な細かい経路探索が自動的に可能になるので、過去の渋滞状況をより反映した経路探索が可能になり、渋滞予測を交えた最適な案内経路を探索できる確率が高くなる。また、次のノードを経由する第2リンクまでのリンクコストを考慮して組み換えているため、該当する第1のリンクが下の階層(時刻)のノードに組み換えられているため、経路探索における拡散時に、上の階層での拡散を少なくすることができ、経路探索の時間を増大させることがない。
【0032】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または2のナビゲーションシステムにおいて、所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差である。従って、この時間差を適宜選択することによって、過去の交通情報に基づく実際のリンクコストをきめ細かく反映させ、あるいは、大まかに反映させた経路探索ができるようになる。
【0033】
請求項4にかかる発明においては、請求項1または2のナビゲーションシステムにおいて、経路探索手段が、前記経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する際、永久ラベルが確定したノードに該当するそれ以外の階層の時刻別の道路ネットワークに属するノードからは、経路探索が拡散しないように、該ノードに対して拡散禁止処理を行う。従って、経路探索手段が経路探索をすすめるに従って、経路探索用の道路ネットワークデータの中からノードをどんどん減らしていくため、経路探索スピードは従来のネットワークデータを用いた経路探索に比べて遅くなることはない。
【0034】
請求項5ないし8にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし4にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになる。従って、経路探索サーバは時刻別のネットワークデータの切り換えを必要としない。また、経路探索上、特殊な処理は必要としない。また、実質的に所定の時間単位で時刻別ネットワークデータを切り換えたと同じ様な細かい経路探索が自動的に可能になるので、過去の渋滞状況をより反映した経路探索が可能になり、渋滞予測を交えた最適な案内経路を探索できる確率が高くなる。
【0035】
請求項9ないし12にかかる発明においては、それぞれ請求項5ないし8にかかる経路探索サーバを実現するためのプログラムを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明において使用される道路ネットワークデータの概念を示す模式図である。図2は、図1に示すネットワークデータの模式図の一部を拡大した図であり、図3は、本発明の実施例におけるネットワークデータの組み換えの概念を説明するための模式図である。
【実施例1】
【0037】
はじめに、本発明の実施例における道路ネットワークデータ(以下、単にネットワークデータという)について説明する。通常の車載用のナビゲーションシステムで経路探索に使用される道路ネットワークのデータは、道路の端点、交差点、屈曲点などの位置に定義されるノード(各ノードにはユニークな識別番号であるノード番号が付される)と、各ノードを連結するリンク(道路リンク:各リンクにもユニークな識別番号であるリンク番号が付される)と、各リンクのコストデータ(リンクの距離、または、リンクを移動する際の所要時間)から構成されている。
【0038】
道路は一般的には上りと下りがあるため、各リンクは方向を持った有向リンクであり、自動車(ナビゲーション端末)の走行方向に沿った有向リンクを経路探索に使用して道路の上り、下りを区別した探索が可能である。経路探索は、一般的にはラベル確定法の1つであるダイクストラ法を用いて、出発地から順次目的地までのノードとリンクをたどり、リンクコストを累積していき、その累積値が最小となる経路を探索し、最適な案内経路を得るものである。すなわち、出発地のノードから出リンクを探索して到達したノードから新たにたどろうとする出リンク(これを拡散するリンクと称することとする)が存在するかを判定する。拡散するリンクが存在すれば、これまでのリンクコストの累積値に拡散するリンクのコストを加え、累積したリンクコストが最小になるノード、リンクを決定する。このようにして決定されたノードを確定したラベル(永久ラベル)という。
【0039】
リンクコストをリンクの長さ(距離)で表した場合、ネットワークデータは単一である。同様にリンクコストを所要時間で表す場合であっても、リンクの距離を自動車の平均速度(法定速度あるいは実際の走行時の平均値)で除して所要時間を定め、リンクコストとすればネットワークデータは単一である。通常のナビゲーションシステムはこのネットワークデータに基づいて経路探索を行う。しかしながら、本実施例においては、渋滞の状況を加味した経路探索を行うため、過去の実際の交通情報から統計処理して作成したネットワークデータを蓄積して経路探索に使用する。
【0040】
すなわち、本実施例においては、道路交通情報通信システム(VICS)が測定した道路交通データを統計処理して複数の時刻別のネットワークデータを作成してネットワークデータDB(データベース)に蓄積しておく。すなわち、上記VICSには、例えば5分間隔でVICSリンクの所要時間コストが測定されているので、これを用いて、5分間隔で各時刻における全リンクの実際の所要時間をリンクコストのデータとしたネットワークデータを作成してデータベースに蓄積しておく。
【0041】
図1は、このネットワークデータの概念を示す模式図である。本実施例におけるネットワークデータは、先に述べたようにある1日を5分間隔で時刻を区切り、各時刻毎の全リンクの実際の所要時間をリンクコストとした時刻別ネットワークデータからなる。図1はこれを層状に表しただけで、各道路ネットワークは独立したものである。ただし、1日あるいは数日など短い期間内において道路網が変化することはないので、1日を通してノードには変化がなく、道路ネットワークは模式的には同じ形状のネットワークが重なっているように見える。図1では0時00分から23時55分までの道路ネットワークを概念的に示している。図1においてノードはN1、N2のように参照符号Nで示され、リンクはL1のように参照符号Lで示されている。時刻を縦軸方向に並べて各時刻別ネットワークデータを並べて示すと図1のようになり、ノードN1について見ると縦方向に同一のノードN1が並ぶことになる。リンクLについても同様である。
【0042】
図1の0時00分のネットワークデータにおける各リンクLのコストは、過去の同時刻において測定された実際の所要時間である。同様に、0時05分のネットワークデータのリンクコストは、同時刻において測定された各リンクの実際の所要時間である。従って、0時00分のリンクコスト、0時05分のリンクコストは一定でなく、あるリンクで渋滞があれば、そのリンクのコストは時間の経過とともに徐々に大きな値になり、渋滞が解消に向かえば、そのリンクのコストは時間の経過とともに徐々に小さな値になる。図2は、図1に示すネットワークデータの模式図の一部を拡大した図であり、代表的にノードN100、ノードN101を連結する有向のリンクL2、リンクL3のみ参照符号を付してある。
【0043】
リンクL2、L3に付随した表記してある数字はそのリンクのそれぞれの時刻におけるリンクコスト(分)である。17:00以降の時刻別のネットワークにおいて、渋滞の影響で同じリンクL2、L3のリンクコストが徐々に増大している様子がわかる。例えば、17:00のネットワークデータにおいて、リンクL2、L3のリンクコストはそれぞれ4分であったが、17:05のネットワークデータでリンクL3のリンクコストが5分に、17:10のネットワークデータでは、リンクL2のリンクコストが5分に、リンクL3のリンクコストが6分に増大している。従って、渋滞状況を考慮した最適な案内経路の探索確率を向上するためには、経路探索の進行にともなって時刻別のネットワークデータを逐次切り換えて経路探索を進める必要があり、経路探索サーバの処理負荷が増大する。
【0044】
本実施例においては、ネットワークデータの切り換えなしに、1つのネットワークデータを用いて経路探索を行えるようにするため、次のように時刻別のネットワークデータの組み換えを行う。すなわち、ある条件下の1日分の時刻別のネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全てのリンクコストを調べ、所定の時間を超える(時刻別のネットワークデータの時間間隔を超える)リンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータに組み換えた経路探索用のネットワークデータを作成する。そしてこのようにして組み換えたネットワークデータを用いて経路探索するようにしたものである。
【0045】
この概念を図3に示す模式図で説明する。すなわち、図3は、本実施例におけるネットワークデータの組み換えの概念を説明するための模式図である。図3の模式図において、時刻毎のネットワークデータのノード番号Nは、例えば、ノードN100−1705のように表記されている。Nに続く数字「100」はノードの追番を、ハイフンの次の数字「1705」は17:05のネットワークデータにおけるノードN100であることを示している。そして、先ず、17:00のネットワークデータにおける全てのリンクのリンクコストを調べる。
【0046】
調べたリンクコストのなかに、所定の時間(ここでは、時刻別のネットワークデータを用意してある時間間隔である5分)以上のリンクコストを持つリンクがあったら、そのリンクの接続先のノードを、次の時刻別のネットワークデータの該当するノードに組み換える。図3の17:05のネットワークデータにおいては、ノードN100−1705への入りリンクL3のリンクコストが5分(図2参照)であるから、リンクL3の接続先のノードN100−1705を次の時刻17:10のネットワークデータの該当ノードN100−1710に組み換える処理を行う。図3のリンクL3の太線(実線)がこの様子を模式的に示している。
【0047】
接続先の組み換えが行われたノードN100−1710については、そのノードからの出リンク(L3)をたどり、リンクコストを調べ、5分を超えるリンクコストを持つリンクがあれば、同様にして順次、次の時刻のネットワークデータのリンク接続先ノードへの組み換えを行う。図3においては、ノードN100−1710からの出リンクL2のリンクコストが5分であるから、このリンクL2の接続先ノードをN100−1710から17:15のネットワークデータのノードN100−1715に組み換える。同様に、ノードN101−1710からの出リンクL3のリンクコストは6分であるから17:15のネットワークデータのノードN100−1715に接続先を組み換える。もちろん、リンクコストが10分のリンクであれば、10分先の時刻別のネットワークデータの該当ノードに接続先を組み換える。
【0048】
なお、1つのリンクに注目していると、短いリンクなどは組み替えがなかなか発生しないことがある。そこで、あるリンクが到達したノードからの次の出リンクまでを総合的に考えて、次の出リンクの何れのリンクを通っても前記所定の時間以上となる場合は、1本目のリンク(該ノードに到達したリンク)についてその接続先を、次の時刻別ネットワークの該当するノードに組み換えを行うとしても良い。図4は、この例を説明するための模式図である。例えば、ノードN100−1700からノードN101−1700へのリンクは5分未満であるが、ノードN101−1700を経由すると、どの出リンクを経由しても次のノードまで5分以上になる。この場合は、ノードN100−1700からノードN101−1700へのリンクの接続先を、17:00以降の次の時刻別のネットワークデータ、すなわち、17:05のネットワークデータの該当するノードN101−1705に接続するように組み換えを行う。
【0049】
図3に戻って、17:00のネットワークデータについて、同様の組み換えを更に説明する。ノードN100−1700からノードN102−1700を経由してノードN103−1700に至るリンクについて見ると、ノードN100−1700からノードN102−1700に至るリンクのリンクコストが2分、ノードN102−1700からノードN103−1700に至るリンクのリンクコストが3分である。この場合、ノードN102−1700を経由するとその先は累計5分以上のリンクコストになるので、ノードN100−1700からの出リンク(コスト2分のリンク)の接続先ノード(N102−1700)を次の時刻別ネットワークデータの該当する(同じ)ノード(N102−1705)に組み換える。
【0050】
そして、図3において、ノードN102−1700からの出リンク(リンクコスト3分)について見ると、このリンクからリンクコストを調査すると、その接続先のノードN103−1700を経由するとその先は、ノードN103−1700からの出リンクのリンクコストが2分であり、累計5分以上のリンクコストになるので、ノードN102−1700からの出リンク(リンクコスト3分)の接続先をノードN103−1700ではなく、次の時刻別のネットワークの同じノードN103−1705に組み換える。
【0051】
以上のような組み換え処理は、経路探索とは関係無しに、事前(例えば、1日の初め午前0時)に行っておく。その際、各時刻別のネットワークデータにおけるリンクの1本ごとに、そのリンクから拡散するリンクについてもリンクコストを調査して組み換えを行うものである。このような時刻別の道路ネットワークでは、リンクはなるべく下の階層(時刻)のノードに接続されているほうが、経路探索における拡散時に、上の階層での拡散を少なくすることが期待できる。かといって、下向きのリンク(下の階層(時刻)のノードに接続されているリンク)を安易に増やしてしまうと、ネットワークの時間遷移が進みすぎてしまい、本来の経路探索結果が得られなくなる恐れがある。このため、上記のように累計のリンクコストが所定の時間を超える場合には、1本目のリンクの接続先を次の時刻別ネットワークデータの該当するノードに組み換えるというルールで組み換え処理を行うようにされている。
【0052】
このようにして組み換えたネットワークデータは、図3、図4に示すように概念的には立体的なネットワークデータになる。このネットワークデータのデータ量は、特定の1時刻におけるネットワークデータのデータ量に比べて多くなる。しかしながら、データの組としては1つであり、経路探索において、「何時何分のネットワークを使う」というデータの動的な入れ換え作業がなくなる。具体的には、ファイルのオープンという作業の頻度がなくなるということである。立体的なネットワークデータといっても、それは可視的に考えた場合であって、経路ネットワークとしてはリンクとノードの集合でしかない。従ってネットワークデータ記憶サイズは大きいが、ダイクストラ法で経路探索する上では、拡散していく先端のノードまでのリンクの累積リンクコストだけが作業用メモリ(ヒープメモリ)に登録されているので、処理能力が高いマイクロプロセッサでなくても十分に処理が可能である。
【0053】
以上のように、時刻別のネットワークデータの組み換えを行って作成した経路探索のためのネットワークデータは経路探索サーバの一時記憶装置であるネットワークデータ記憶手段に記憶し、経路探索においてはこのネットワークデータを使用する。本実施例において組み換えられたネットワークデータは、図3に示すように、リンクの接続先が異なる時刻のノードが存在するため、概念的には平面的なネットワークデータではなく、時刻毎の階層に分けられた立体的なネットワークデータと見ることができる。このような立体的なネットワークデータを用いて経路探索する場合、経路探索の開始点は、出発時刻に対応する階層のノードから行うことになる。
【0054】
例えば、17:05にノードN100から出発する場合は17:05のネットワークデータの階層におけるノードN100−1705から経路探索を開始することになる。この結果、過去の実際のリンクコストのうち、出発時刻以降の5分毎のリンクコストの変化を反映した経路探索が行えるようになる。
【0055】
このように出発時刻に対応する階層のノードから経路探索を行うと、リンクコストが5分のリンクをたどって、ダイクストラ法による経路探索によるリンクの拡散(リンクの拡散:前述のように、経路探索によって順次到達したノードからの出リンクを拡散するリンクあるいはリンクが拡散するという)が進行した場合、拡散するリンクが5分以上のリンクコストを持つ場合、そのリンクが到達するノードが自然に、あたかも、次の時刻別のネットワークデータ上に切り換えられたように出現することになる。しかしながら、本実施例によれば、ネットワークデータの切り換えを行ったわけでもなく、組み換えによって作成された1つのネットワークデータを用いており、経路探索サーバは時刻別のネットワークデータの切り換えを必要としない。また、経路探索上、特殊な処理は必要としない。
【0056】
特に、経路探索サーバの動作として、ナビゲーション端末(ユーザ)毎にネットワークを切り換えると、その負荷はより大きくなる。本実施例のように経路探索用のネットワークデータ自体は1つにしておいて、経路探索だけ、ナビゲーション端末(ユーザ)毎に行うほうが総合的に見て経路探索サーバに負荷が軽くなる。また、上記特許文献1の車載用ナビゲーション装置においては、経路探索が進んで1時間になった時刻で、その時刻のネットワークデータに切り換えているが、本実施例においては、例えば、実質的に5分、10分という単位でネットワークを切り換えたと同様な細かい経路探索が自動的に可能になるので、過去の渋滞状況をより反映した経路探索が可能になり、渋滞予測を交えた最適な案内経路を探索できる確率が高くなる。
【0057】
以上、説明した組み換えの処理は、リンクを削除したわけではないので、リンクの総本数に変化はない。リンクの接続先を操作しただけなので、行き先のないリンクができてしまうこともない。さらに、有向リンクをその後の時刻の道路ネットワークに接続しているので、遅い時刻の道路ネットワークからそれ以前の時刻の道路ネットワークに拡散が及ぶことはない。また、1日のネットワークデータの終わりからは翌日のネットワークデータに接続するようにしておけば、特に1日の切れ目を気にする必要もない。このように時刻別の道路ネットワークデータを立体的に組み換えることで、渋滞などの影響を自動的に反映した経路探索が可能となる。
【0058】
次に、以上のようにして組み換えられた経路探索用のネットワークデータを使用して経路探索するナビゲーションシステムについて、図5のブロック図を参照して説明する。本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10は、図5に示すようにネットワークを介して通信する経路探索サーバ20とナビゲーション装置30とから構成されている。ナビゲーション装置30は出発地と目的地を含む経路探索要求を経路探索サーバ20に送り、経路探索サーバ20は、ナビゲーション装置30から受信した経路探索要求に基づいて、道路ネットワークデータを参照して最適な経路を探索し、探索の結果により得た最適経路を案内経路データとしてナビゲーション装置30に配信する。
【0059】
道路のネットワークデータは、前述したように、道路の端点、分岐点、屈曲点などをノードとし、各ノードを結ぶ線(道路)リンクとし、各リンクの距離やリンクを走行する場合の所要時間をリンクコストとして蓄積したデータである。道路は一般的には上りと下りがあるため、各リンクは方向を持った有向リンクであり、自動車(ナビゲーション装置30)の走行方向に沿った有向リンクを経路探索に使用して道路の上り、下りを区別した探索が可能である。経路探索においては、出発地からノード、リンクを順次たどり目的地に到達するまでのリンクコストの累積が最小となる経路を求めることによって最適経路を求める。この探索方法としては、例えば、周知のダイクストラ法と呼ばれる手法が用いられるのが一般的である。
【0060】
ナビゲーション装置30は、GPS処理手段31、通信手段32、操作/表示手段33、経路探索要求処理手段34、記憶手段35から構成されている。GPS処理手段31はGPS衛星信号を受信、処理してナビゲーション端末30の現在位置(緯度・経度)を測位する。車載用のナビゲーション端末の場合、図示していないが、山間部、トンネル内などGPS衛星信号を受信できない場所での測位を補完するため、車両に搭載された加速度センサや舵角センサなどの信号を受信して移動速度、移動方向を検出して位置を算出する手段を備えている場合もある。
【0061】
通信手段32は無線通信ユニットを含み、経路探索サーバ20と通信するためのものである。操作/表示手段33は、キー、ダイヤル、液晶表示装置等からなりナビゲーション装置30を操作するための入力、出発地、目的地などの入力、経路探索サーバ20から配信された案内経路、地図の表示に使用されるものである。経路探索要求処理手段34は、操作/表示手段33を使用して入力された出発地、目的地、あるいは、GPS処理手段31で測位したナビゲーション装置30の現在位置を出発地として、これらの情報に基づいて、経路探索サーバ20に送信する経路探索要求を作成するものである。
【0062】
記憶手段35は、経路探索サーバ20から配信された経路探索結果である案内経路データ、地図データなどを記憶するものであり、これらのデータは必要に応じて記憶手段35から読み出され、操作/表示手段33に表示される。一般的には、GPS処理手段31で測位したナビゲーション装置30の現在位置を含む一定の縮尺、一定の範囲の地図に、案内経路と、ナビゲーション装置30の現在位置を示すマークを重ね合わせて該現在位置マークが表示画面の中心になるように表示する。測位した位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が案内経路からずれている場合には現在位置を案内経路上に補正するルートマッチング処理が行われる。また、経路探索サーバ20から配信される案内経路データに音声ガイド(例えば、「この先、300m交差点です。左折して下さい」などの音声メッセージ)のデータが付加されている場合は、スピーカを介して音声メッセージを再生出力して運転者をガイドする。
【0063】
一方、経路探索サーバ20は、主制御部21、案内経路データ配信手段22、ネットワークデータ組み換え手段23、経路探索手段24、案内経路データ作成手段25、通信手段26、ネットワークデータ記憶手段27、ネットワークデータDB(データベース)28を備えている。主制御部21は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMなどの記憶手段を備えており、これらの記憶手段に蓄積されたプログラムによって各部を制御する。通信手段26は、ナビゲーション装置30からの経路探索要求を受信し、また、経路探索の結果である案内経路データをナビゲーション装置30に配信するための通信手段である。
【0064】
ネットワークデータDB28には、経路探索のための地図データ、ネットワークデータが蓄積されるものであるが、本実施例においては、道路交通情報通信システム(VICS)から収集した過去の統計に基づく時刻別のネットワークデータ(図2参照)が複数蓄積されており、経路探索手段24は、この複数のネットワークデータから作成された1つの経路探索用のネットワークデータを参照して前述したダイクストラ法などの探索手法によって目的地までの最適経路を探索する。本実施例における経路探索用のネットワークデータは、図3、図4を参照して説明した概念的には立体的なネットワークデータである。
【0065】
この経路探索用のネットワークデータは、ネットワーク組み換え手段23によってネットワークデータDB28に蓄積された時刻別のネットワークデータを用いて作成される。すなわち、図3、図4を参照して説明したように、ある条件下の1日分の時刻別のネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全てのリンクコストを調べ、所定の時間を超える(時刻別のネットワークデータの時間間隔を超える)リンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータに組み換えたものである。この組み換えられた経路探索用のネットワークデータは、ネットワークデータ記憶手段27に記憶される。
【0066】
経路探索手段24は、ナビゲーション装置30から送られた経路探索要求に基づいて、ネットワークデータ記憶手段27に記憶された経路探索用のネットワークデータを用いて最適な案内経路を探索する。経路探索要求には、出発地と目的地と出発時刻が含まれる。経路探索手段24は、経路探索用のネットワークデータにおける出発時刻の階層の出発地に該当するノードを起点にダイクストラ法による経路探索を行う。例えば、図3において、17:05にノードN100から出発する場合は17:05のネットワークデータの階層におけるノードN100−1705から経路探索を開始する。なお、出発地と出発時刻は、ナビゲーション装置30がGPS衛星信号を処理して測位した現在位置を出発地とし、現在時刻を出発時刻とするようにしてもよい。
【0067】
なお、この経路探索用のネットワークデータを用いた経路探索では、時刻別の各層にリンクの拡散が広がるため、一見、演算量が大きくなりすぎるように思われがちであるが、以下の処理が有効である。すなわち、ダイクストラ法において永久ラベルを確定した際に、永久ラベルが付いたノードに該当するそれ以外の階層のネットワークデータのノードからは、経路探索が拡散しないこととする処理を行う。つまり、実際に拡散が到達して、ヒープソートによって選ばれた最小ポテンシャルが確定したノードからのみ次の拡散が可能なのであって、他の時刻別の階層のネットワークデータにおいて永久ラベルが確定したノードからは新たな拡散があってはならない。従って、永久ラベルが付いたノードは、直ちに他の時刻別の階層のネットワークデータの該当ノードをマスキングする処理を行う。
具体的には、(1)他の時刻別の階層のネットワークデータの該当ノードを削除する。(2)各ノードに拡散禁止フラグを対応付けしておき、そのフラグを有効にしておく。などの方法がある。
【0068】
これは、時刻の過去と未来、すなわち図3を参照すると、上下方向すべてのノードに対して串刺しで経路探索が実行されるので、経路探索が進むにつれて永久ラベルが付いたノードの垂直方向のノード全てをマスキングするという意味であり、経路探索対象のノードは減ってゆく。従って、立体構造のネットワークデータから直感的に想像される演算量よりは、実際の演算量ははるかに少なくなる。実際に経路探索がたどり着いたノードは永久ラベルになる。その垂直方向「上下のノード」は「永久ラベル」とは意味が違って、発芽しないノードに変化する(永久ラベルからは次の発芽がある)。
【0069】
このようにして、立体ネットワークデータの中からノードをどんどん減らしていくため、経路探索スピードは従来のネットワークデータを用いた経路探索に比べて遅くなることはない。この経路探索の様子を、コンピュータCGで見たとすれば、出発地を頂点にした円錐のような形で経路探索が拡散していくと見ればよい。出発地の近くから永久ラベルが決まり始めるので、その下のノードは、順次使われなくなっていく。あるいは逆に、渋滞が解消に向かうような局面では、下層の探索が早く進み、上のノードより先に永久ラベルとして確定する場合もある。これも実際の交通状況に近い経路探索の結果ということができる。
【0070】
経路探索手段24によって探索された最適の案内経路に基づいて、案内経路データ作成手段は、ナビゲーション装置30に配信する案内データを作成し、案内経路データは、案内経路データ配信手段22により、通信手段26を介してナビゲーション装置30に配信される。
【0071】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ある条件下の1日分の時刻別のネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全てのリンクコストを調べる。そして、所定の時間を超える(時刻別のネットワークデータの時間間隔を超える)リンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の時刻別のネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って作成した1つの経路探索用のネットワークデータを用いて経路探索を行う。このネットワークデータを用いた経路探索の開始点は、出発時刻に対応する階層のノードから行う。
【0072】
例えば、リンクコストが5分のリンクをたどって、ダイクストラ法による経路探索によるリンクの拡散が進行した場合、拡散するリンクが5分以上のリンクコストを持つ場合、そのリンクが到達するノードが自然に、あたかも、次の時刻別のネットワークデータ上に切り換えられたように出現することになる。従って、本発明によれば、ネットワークデータの切り換えを行うことなく、経路探索を行うことができ、経路探索上、特殊な処理は必要としない。
【0073】
特に、経路探索サーバの動作として、ナビゲーション端末(ユーザ)毎にネットワークを切り換えると、その負荷はより大きくなる。本発明のように経路探索用のネットワークデータ自体は1つにしておいて、経路探索だけ、ナビゲーション端末(ユーザ)毎に行うほうが総合的に見て経路探索サーバに負荷が軽くなる。また、本発明においては、例えば、実質的に5分、10分という単位でネットワークを切り換えたと同様な細かい経路探索が自動的に可能になるので、過去の渋滞状況をより反映した経路探索が可能になり、渋滞予測を交えた最適な経路が探索できる確率を向上することができる。
【0074】
また、組み換えを行うリンクコストの基準となる所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差である。従って、この時間差を適宜選択することによって、過去の交通情報に基づく実際のリンクコストをきめ細かく反映させ、あるいは、大まかに反映させた経路探索ができるようになる。
【0075】
なお、上記実施例の説明においては、出発時刻と出発地から目的地までの推定所要時間をもとに時刻別ネットワークデータから特定のネットワークデータを選択する例を説明したが、目的地への到着予定時刻(到着希望時刻)を基準に経路探索サーバに経路探索要求する場合がある。この場合は、到着予定時刻の階層に相当する時刻のネットワークデータにおける目的地であるノードから、出発地にいたるリンクを逆にたどる経路探索を行えばよい。
【0076】
また、以上説明した実施例においては、時刻別のネットワークデータとしてある条件下の1日分のネットワークデータ(5分毎のネットワークデータ)に基づいて組み換えを行って経路探索用のネットワークデータを作成する例を説明したが、時刻別のネットワークデータを日、曜日、月末日などの統計種別に分け、経路探索の時点がどの統計種別に該当するかによって、その統計種別における時刻別のネットワークデータを組み換えて経路探索用のネットワークデータを作成するように構成してもよい。
【0077】
例えば、曜日(平日/休日)、祝祭日、天候、や月末、五十日(ごとおび)、連休明け、年末年始、お盆等の特異日などの条件(統計種別)を定めて統計処理し、統計種別毎の時刻別ネットワークデータを作成してネットワークデータDB28に蓄積しておく。経路探索サーバ20は、経路探索当日の月日、天候状況等から経路探索用にネットワークデータの組み換えを行う時刻別のネットワークデータの統計種別を決定する。例えば、経路探索サーバ20は、先ず、カレンダー機能等を用いて当日の月日を特定する。次いで、当日の曜日を特定し、祝祭日、休日の識別を行う。次に、五十日(ごとおび)、連休明け、年末年始、お盆等などの特異日にあたるか否かを特定する。この特異日はネットワークデータの統計処理において採用した特異日の一覧データを作成しておくことにより容易に特定できる。これらの要素を特定し、該当する統計種別の時刻別ネットワークデータを決定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかる立体ネットワークデータを用いた経路探索手法は、地図データをCD−ROMやDVDに記憶したスタンドアロンのナビゲーション装置よりは、十分なリソースと処理能力がある通信ナビゲーションシステムの経路探索サーバに適用するのが適している。これによって、過去のデータから推測される渋滞を考慮した経路探索が可能となる。また、このような道路ネットワークを記憶しておくと、特定時間帯に通行止めになるリンク(歩行者天国、スクールゾーン、道路工事、一方通行規制など)のコストを無限大に設定することで、経路探索ソフトウエアを変更することなしに、状況に応じた経路探索も可能になる。随時変更が可能なので、これも通信ナビゲーションシステムに適している。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明において使用される道路ネットワークデータの概念を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示すネットワークデータの模式図の一部を拡大した図である。
【図3】図3は、本発明の実施例におけるネットワークデータの組み換えの概念を説明するための模式図である。
【図4】図4は、図3のネットワークデータの組み換えの概念を更に説明するための模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、従来の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
10・・・・ナビゲーションシステム
20・・・・経路探索サーバ
21・・・・主制御部
22・・・・案内経路データ配信手段
23・・・・ネットワークデータ組み換え手段
24・・・・経路探索手段
25・・・・案内経路データ作成手段
26・・・・通信手段
27・・・・ネットワークデータ記憶手段
28・・・・ネットワークデータDB
30・・・・ナビゲーション装置
31・・・・GPS処理手段
32・・・・通信手段
33・・・・操作/表示手段
34・・・・経路探索要求処理手段
35・・・・記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索サーバとナビゲーション装置がネットワークを介して通信するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備え、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
経路探索サーバとナビゲーション装置がネットワークを介して通信するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備え、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのうち、その第1のリンクと、第1のリンクの接続先ノードを経由して次につながる第2のリンクの合計コストを調べ、合計コストが所定の時間以上である場合、第1のリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差であることを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記経路探索手段が、前記経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する際、永久ラベルが確定したノードに該当するそれ以外の階層の時刻別の道路ネットワークに属するノードからは、経路探索が拡散しないように、該ノードに対して拡散禁止処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項6】
少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備え、
ネットワークデータ組み換え手段は、前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのうち、その第1のリンクと、第1のリンクの接続先ノードを経由して次につながる第2のリンクの合計コストを調べ、合計コストが所定の時間以上である場合、第1のリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶し、
前記経路探索手段は、前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項7】
前記所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差であることを特徴とする請求項5または6に記載の経路探索サーバ。
【請求項8】
前記経路探索手段が、前記経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する際、永久ラベルが確定したノードに該当するそれ以外の階層の時刻別の道路ネットワークに属するノードからは、経路探索が拡散しないように、該ノードに対して拡散禁止処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の経路探索サーバ。
【請求項9】
少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備えた経路探索サーバを構成するコンピュータに、
前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのコストを調べ、所定の時間を超えるコストのリンクがあった場合、そのリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶するネットワークデータ組み換え手段としての処理と、
前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索する経路探索手段としての処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
少なくとも出発地、目的地、出発時刻または到着予定時刻を含む経路探索要求を経路探索サーバに送信する経路探索要求処理手段を備えたナビゲーション装置とネットワークを介して通信する経路探索サーバであって、過去の道路リンクコストのデータから所定の時刻毎の道路リンクコストを蓄積した時刻別の道路ネットワークデータを蓄積したネットワークデータDBと、経路探索手段と、ネットワークデータ組み換え手段と、ネットワークデータ組み換え手段によって組み換えたネットワークデータを記憶するネットワークデータ記憶手段と、を備えた経路探索サーバを構成するコンピュータに、
前記時刻別の道路ネットワークデータについて、各時刻別のネットワークデータ毎に、全ての有向リンクのうち、その第1のリンクと、第1のリンクの接続先ノードを経由して次につながる第2のリンクの合計コストを調べ、合計コストが所定の時間以上である場合、第1のリンクの接続先ノードを次の時刻以降の道路ネットワークデータの同じノードに組み換える処理を順次行って、1つの経路探索用の道路ネットワークデータを作成して前記ネットワークデータ記憶手段に記憶するネットワークデータ組み換え手段としての処理と、
前記ネットワークデータ記憶手段に記憶した道路ネットワークデータを参照し、出発時刻に対応する階層のノードを起点に経路探索を行い、最適な案内経路を探索する経路探索手段としての処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記所定の時間は、着目するリンクが属する階層の時刻別の道路ネットワークと、それ以降の階層の時刻別の道路ネットワークまでの時間差であることを特徴とする請求項9または10に記載のプログラム。
【請求項12】
請求項9または10に記載のコンピュータに、更に、前記経路探索用の道路ネットワークデータを用いて経路探索する際、永久ラベルが確定したノードに該当するそれ以外の階層の時刻別の道路ネットワークに属するノードからは、経路探索が拡散しないように、該ノードに対して拡散禁止処理を行う経路探索手段としての処理を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−71550(P2006−71550A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257334(P2004−257334)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】