説明

ナビゲーション用経路案内画面表示装置

【課題】ナビ用モニタに、助手席等の搭乗者がDVD等の各種AV機器の画像を表示し視聴している時、誘導経路案内を行う地点で突然に経路案内画面に切替わって、AV機器の視聴者に迷惑をかけないようにした「ナビゲーション用経路案内画面表示装置」とする。
【解決手段】誘導経路の案内画像を表示すると共に、AV機器の出力画像を表示するモニタに、AV機器の出力画像を表示している時、通常はAV機器の画像のみを表示し、右左折交差点等の特定の案内出力時には、音声案内のみ、或いは交差点の右左折方向等を簡易小型画面に表示し、或いは大小に分割した画面の小さい画面に交差点案内図を表示し、或いはAV機器出力画像を半透明化処理して誘導経路画面上に重ねて表示する等の、誘導経路画面に制限を加えて表示する。但し、目的地に近く、誘導経路から所定距離以上離脱し、或いは走行予測時間よりも大きく遅れている時には、AV出力表示を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載するナビゲーション装置において、助手席等の搭乗者がモニタにDVD再生やテレビの画像を表示して視聴している時、ナビゲーション用の案内画面に急に切替えられて、視聴を一時的に妨害することを防止可能としたナビゲーション用経路案内画面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両にはナビゲーション装置が広く普及しており、現在地から目的地まで安全でわかりやすく案内が行われるようになっている。また、ナビゲーションのために地図等を表示するモニタには、案内のための各種の情報も表示可能であり、特に誘導経路における右左折交差点等の、特定の案内を行う地点では、通常の地図画面とは別に、分割画面等によって交差点拡大図や、走行すべきレーン、交差点までの距離等をわかりやすく表示するようにもしている。また、その際には、例えば「200m先の交差点を右折です。」のような音声案内も同時に行っている。
【0003】
上記のようなナビゲーション装置のモニタは、ナビゲーション用の画像ばかりでなく、例えばテレビ受信器からの出力画像も表示可能であり、また車両にDVDプレーヤを備えている時には、その出力画像を表示することも可能である。更に、近年は小型ハードディスクや大容量化したメモリカード等を備えた携帯型AV(Audio Visual)機器が広く用いられるようになっており、このような機器を、車両用オーディオ機能を備えると共に前記のようなナビゲーション機能を備えたヘッドユニットに接続し、モニタに画像を表示すると共に音声を車内のオーディオ装置で聴くことも行われている。
【0004】
車両に搭載している前記のようなナビゲーション装置のモニタは、多くの場合運転席と助手席の間の前面に配置されており、運転者が運転しながら車両の現在位置等をモニタに表示した地図画面について、一見してわかるようにしている。しかしながら運転者は安全運転のため通常走行中は前方注意義務があり、道路交通法上では、車内の画像を表示する機器の画面を「注視」してはならない、と規定されている。
【0005】
そのため車両メーカーにおいては、工場出荷時には車両の走行中は、モニタにはナビゲーション用の画面以外の前記のような各種AV機器の画像の表示を行うことができないように設定し、自主規制を行っている。
【0006】
但し、前記のように、本来は運転者が運転中にモニタの画面を「注視」しなければ良いのであり、車両の移動中でもモニタに前記のような各種AV機器の画像を出力して表示すること自体は違法ではない。特に車両に搭載している本来はナビゲーションの画像表示用のモニタであっても、DVDやテレビの画像を表示できるため、運転者以外の搭乗者にとっては車内が退屈であることが多く、そのモニタによって好みのDVDを見たいと思うことがあり、また、野球の実況中継等のTVを見たいと思うことがある。
【0007】
特に例えば助手席に子供が乗っており、退屈そうなので子供のお気に入りのDVDを見せてやりたいと思った時、或いは現在テレビで実況中継中の野球を見せてやりたいと思った時、そのようなDVDを再生し、或いはテレビをつけることとなる。このような時には運転者はそのような画面を「注視」することなく、安全に気を付けて運転する。
【0008】
そのため、一般の車両関連部品の販売店では、車両の走行中でも各種AV機器が見られるようにするための装置が広く販売されており、これを購入して車両に取り付けてもらうことも行われている。このような機器は各社から種々の装置が販売されており、それぞれ特有の機能を備えたものも存在するが、基本的には車両走行中にはナビゲーション装置のみ出力可能となっているモニタへの画像表示機能部分に、その機能を解除し、走行中でも利用者が指示したAV機器の画像を表示できるようにしている。
【0009】
またそのような機器においては多くの場合、ナビゲーションの作動中でもナビゲーションの画面に優先して利用者の指示したAV機器の画像を表示すると、ナビゲーション装置で誘導経路に沿って走行している時には、その案内が出力されないため、本来右左折しなければならない交差点で直進してしまう等の問題が発生することが多くなる。したがってその対策として、ナビゲーション機能で誘導経路を走行している時、前記のような右左折交差点等の、運転者に案内を行う必要がある特定の案内出力状態では、AV機器の表示画面からナビゲーションの経路案内画面に切替えるようにしている機器も多い。
【0010】
なお、経路誘導が終了した後、車両が道に迷っていると推定される場合には、経路誘導を自動的に再開するようにしたナビゲーション装置は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−58025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のように、車両走行中でも車両に搭載している、或いは車両に持ち込んだ各種AV(Audio Visual)機器の画像を、誘導経路に沿って走行しているナビゲーションの画面に替えて表示している時、ナビゲーション機能によって右左折交差点に近付く等により運転者に重要な情報を提供しなければならないと判断される時には、AV機器の出力画面からナビゲーションの経路案内画面に切替えることが行われているが、その際には下記のような問題が発生することがある。
【0013】
即ち、例えば助手席に子供が座っており、長時間の車内に飽きてしまい、次第に機嫌が悪くなった時等において子供の好きな機動戦士のDVDでも見せておこうと思って、それを再生し、ナビゲーション用の経路案内画面表示に替えて、例えば図8(a)に示すようなDVDの画像を見せている時、前記のようにナビゲーション機能にとって重要な右左折交差点等の特定の案内を行うべき地点にさしかかると、同図(c)に示すように通常のナビゲーションの右左折交差点案内と、周辺地図を表示する画面に一気に切替わってしまう。その時にはせっかくお気に入りのDVDを見ていて静かになっていた子供が一番盛り上がっている時なのに、突然DVDの画面が消えて地図画面になってしまい、大騒ぎとなってしまうことがある。
【0014】
同様に例えば図8(b)に示すように、助手席の子供等のためにテレビの高校野球中継を見せている時、前記のようにナビゲーション機能にとって重要な右左折交差点等の特定の案内を行うべき地点にさしかかると、同図(c)に示すように通常のナビゲーションの右左折交差点案内と、周辺地図を表示する画面に一気に切替わってしまう。このときも、現在ちょうどこの1球が試合の大きな分かれ目になる、という時に地図画面に切替わるような時にも、子供等が大騒ぎになってしまうことがある。
【0015】
したがって本発明は、ナビゲーションのために地図画面等を表示しているモニタに、助手席等の搭乗者が各種AV機器の画像を切替えて表示して視聴している時、右左折交差点等のナビゲーション用の案内を行うことが好ましい特定地点でナビゲーション用地図画面に切替わることにより、AV機器の視聴者に迷惑をかけることをできる限り防止しながら、簡易な案内を行うことができるようにしたナビゲーション用経路案内画面表示装置を提供っすることを主たる目的とする。
【0016】
また、そのような機器を付けた装置において、運転者にとってナビゲーションによる案内が特に必要と推定される場合には、簡易な誘導経路の案内は行わず、通常の全画面による誘導経路の案内を行うことができるようにすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記課題を解決するため、目的地への誘導経路を演算する誘導経路演算手段と、前記誘導経路演算手段で演算した誘導経路の案内画像を表示すると共に、AV機器の出力画像を表示するモニタと、前記モニタに前記AV機器の出力画像を表示している時、誘導経路の案内画像の出力を制限するAV出力優先指示手段とを備え、前記AV出力優先指示手段では、誘導経路の特定の案内出力時以外の時は誘導経路の案内画像の出力を停止し、誘導経路の特定の案内出力時には、誘導経路の案内出力に所定の制限を加えて案内する指示を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記AV出力優先指示手段で行う特定の制限は、誘導経路のモニタへの案内画像の出力を停止し、音声のみの案内を行うものであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記AV出力優先指示手段で行う所定の制限は、AV出力画像を表示しているモニタの画面内に簡易小型画面を形成し、当該簡易小型画面内に案内表示を行うものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【0020】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記AV出力優先指示手段で行う所定の制限は、モニタの画面を大小区別を付けて分割し、小さい分割画面に誘導経路の案内画面を出力し、大きい分割画面にAV機器の出力画像を表示するものであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記AV出力優先指示手段で行う所定の制限は、AV画像を半透明化して、誘導経路画面に重ねて表示するものであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記AV出力を中止し、全画面に誘導経路を表示する特定の条件になっているか否かの判別を行うAV出力中止判別手段を備え、前記AV出力中止判別手段でAV出力を中止する判別を行った時には、モニタの全画面に誘導経路の画面を表示することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記特定の条件は、誘導経路を所定距離以上逸脱していることであることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記特定の条件は、地図データから得られた誘導経路を走行するために必要とする時間に対して、実際に走行を開始した時からの時間が所定時間以上遅延している遅延時間であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る他のナビゲーション用経路案内画面表示装置は、前記ナビゲーション用経路案内画面表示装置において、前記特定の条件には、目的地に所定距離以内であることを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上記のように構成したので、ナビゲーションのために地図画面等を表示するモニタに、助手席等の搭乗者が各種AV機器の画像を切替えて表示して視聴している時、右左折交差点案内等のナビゲーション用の特定の案内を行う地点でナビゲーション用地図画面に切替わることにより、AV機器の視聴者に迷惑をかけることをできる限り防止しながら、誘導経路の簡易な案内を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例において誘導経路案内表示処理を行う作動フロー図である。
【図3】図2のステップS3の、目的地周辺でのAV出力中止判定処理の作動フロー図である。
【図4】AV出力画像表示中に、経路案内用の簡易小型画面を表示する前と後の画像例を示す図である。
【図5】(a)はAV出力画像表示中に、経路案内用の分割画面を表示した例を示す図であり、(b)は誘導経路の案内画面は表示せず、音声案内のみを行う状態を示す図である。
【図6】AV出力優先モード設定画面例を示す図である。
【図7】AV出力画像表示中に、全画面で誘導経路案内を表示する時の確認画面表示例を示す図である。
【図8】従来AV出力画面表示中に、特定の案内出力地点で、全画面に誘導経路案内を表示することになった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0028】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明を各種の態様で実施することができるようにした例を示している。したがって本発明は、これらの機能ブロックの内、任意のものを選択して、各種の態様で実施することができる。なお、同図において各機能を行う機能部は、各機能を行う手段と言うこともできる。
【0029】
図1には従来から用いられているナビゲーション装置の各種機能部と、本発明において作動する機能部、及びモニタ20に出力するAV出力機器関連機能部を示している。図1の例においては、ナビゲーション装置として機能するため、また、ナビゲーション機能と関連してAV機器の画像出力及び音声出力の作動と関連した作動を行うため、プロクラムを記録したROM、それらのプログラムを実行するために演算処理等を行うCPU、各種演算処理等に際して一時データを記憶するRAM等からなるシステム制御部10に各機能部が接続し、所定の作動を行うことができるようにしている。
【0030】
図示のナビゲーション装置においては、このシステム制御部10に対して車両位置検出部13を接続し、GPS受信器11の位置データを入力するとともに、更に必要に応じて車速センサや角度センサによる走行距離・方位検出部12からの車両の移動データを入力することによって、車両の現在位置を正確に検出している。また、VICS情報入力部14では、FM電波やビーコン等を受信して交通情報を取り込み、特に渋滞情報を入力することができる。
【0031】
指示信号入力部17では、リモコン15により、或いは音声を認識して利用者の指示信号とし、更にはモニタ20のタッチパネル操作等によって各種の指示信号を入力可能としている。データ取込部19においては、DVD−ROM、或いはハードディスク、メモリカード等の地図・情報データ記録媒体18から必要な地図データ、施設情報等を取り込み、更にそのデータ記録媒体がハードディスクやメモリカードのように容易にデータの書き込みができるような場合には、外部から取り込んだデータや、他の機能部で処理したデータを読み取って利用することができるように、そのデータ記録媒体に記録も可能としている。
【0032】
画像出力部21ではナビゲーション装置が利用者に対して案内する各種の画像をモニタ20に出力するものであり、そのほかこのナビゲーション機能を行う機器が例えばヘッドユニットのような場合、ヘッドユニット自体に、或いは車両に搭載しているDVDプレーヤ、或いはテレビ受信器と接続し、それらの画像もナビゲーションの経路案内画面に切替えて表示することができるようにしている。音声出力部23では、誘導経路の案内等、各種案内、及び前記のようなAV機器の音声をスピーカ22から出力する。
【0033】
誘導経路演算部24においては、車両位置検出部13で検出した車両の現在位置を取り込み、また、画面に表示されるカーソルやタッチパネルの操作による地図のスクロールにより、或いは住所を入力することによって、更には電話番号を入力する等の種々の手法により設定された経由地及び最終目的地を取り込み、最短所要時間、最短距離、一般道路優先等の種々の条件において最適の誘導経路を演算して提示する。誘導経路記憶部25においては、誘導経路演算部24で演算して提示した誘導経路について、利用者が選択指示した誘導経路を記憶する。
【0034】
誘導経路案内処理部26では、誘導経路記憶部25に記憶した誘導経路について、車両位置検出部13で検出した現在位置に対応した案内を行うものであり、特定誘導経路案内位置接近検出部33では、予め定めた右左折交差点等に所定距離以内に接近したことを検出する。また、誘導経路案内情報形成部34では、前記のように特定誘導経路案内位置接近検出部33で案内位置に所定距離内に接近したことを検出した時、その地点特有の状況を加味して、案内すべき情報を形成する。これらは従来から用いられているナビゲーション機能部と同様である。
【0035】
AV出力優先モード設定部27では、本発明において車両のナビゲーション用の地図画面等を表示するモニタに、同図中でAV出力機器51として示すような各種機器のAV出力を行う時、誘導経路の画像による案内出力に優先して出力させる時の各種モードを設定する。その時には、例えば図6に示すようにして設定を行うことができる。
【0036】
図6に示すAV出力優先モード設定画面の例では、同図(a)に示すように、このナビゲーション機能の初期設定画面において、各種設定の中から「再生優先」を選択し、その設定の中で「する」を選択することにより、この機能を利用可能とする。図6の例ではこの「再生優先」において「する」を選択した時、同図(b)に示すようなその詳細設定を行う画面を表示し、その中に「音声案内のみ」「簡易小型画面表示」「交差点案内表示のみ」「AV画像半透明化処理」の項目を選択可能にした例を示している。図示の例ではその内、「簡易小型画面表示」を選択し、これについて「する」を選択した例を示している。
【0037】
上記のような設定例を図1にも示しており、AV出力優先モード設定部27における「誘導経路音声のみ案内」28を選択した時には、AV機器の画像をモニタ20に出力して表示いる際、右左折交差点等の特定の案内を行う地点になった場合、誘導経路を音声のみで案内する。この状態波図5(b)に示している。それに対して「簡易小型画面に交差点案内表示」29を選択した時には、例えば図4(b)に示すように、画面の運転者側上部等の運転者に見やすい位置の一部に、簡易小型画面を形成して、右左折方向や交差点までの距離等を表示する。
【0038】
また、「分割画面内交差点案内表示」30を選択した時には、例えば図5(a)に示すように、画面を大小区別を付けて2分割し、運転者側の小さい方の分割画面は最低限交差点部分の案内を行うことができる程度の大きさとし、同図のように交差点の拡大案内表示を行う。図示の例では残りの大画面側にはDVD画面をそれに合わせて縮小して全体を表示した例を示している。但し、交差点案内表示が充分に小さくて良い時には、通常のDVD画像の一部に重ねて同図を表示するようにしても良い。
【0039】
更に「AV画像半透明化処理」31を選択した時には、例えば図4(a)に示すようなDVD画像を半透明化処理し、図8(c)に示すようなナビゲーションの交差点案内画面に重ねて表示する。そのほかナビゲーションの案内画面を半透明化処理してAV出力画面に重ねて表示しても良い。更に透明度を任意に設定して、表示の重要と思われる側を濃く表示する等、各種の態様で設定を可能としても良い。
【0040】
確認表示出力部32においては、後述するように、例えばAV出力中止判別部42で本来はナビゲーションの案内画面に優先してAV機器の画像を表示する機能を行う時でも、AV出力を中止する必要があると判別された時、本当にAV出力を中止しても良いかの確認表示を行う等、各種の確認表示を行うことができる。
【0041】
AV出力優先案内指示部35においては、後述するようにAV出力機器51の内のいずれかの機器を選択して作動させ、モニタに画像を表示し、スピーカから音声を出力する作動を行っていることを、図示の例ではAV出力制御部54の信号をAV出力検出部36で取り込む。また、前記AV出力優先モード設定部27でいずれのモードを選択しているかを、AV出力優先モード選択取込部37で取り込む。それにより、誘導経路案内画面表示処理部38に対して、ナビゲーションの誘導経路案内画面をどのように表示処理するかの指示を行う。
【0042】
誘導経路案内画面表示処理部38では、前記のようにAV出力優先指示部35の指示に従ったナビゲーションの案内画面を形成し、また、後述するAV出力中止判別部42の判別にしたがって、また誘導経路案内情報形成部35で形成した案内情報を用いて処理を行う。その中の全画面誘導経路案内図表示39では、AV機器の出力がない状態と同様のナビゲーションの案内図を表示するものであり、特にAV出力中止判別部42で、本来はAV出力優先で案内を行う時でも、例えば目的地に近いにも関わらず誘導経路から大きくずれている時、或いは最初の予定時間よりも大きく遅れている時のような場合には、運転者が迷っている可能性が高いものとして、AV出力優先案内を行う状態ではないと判断し、以降は常時全画面に誘導経路案内を表示する時にも作動する。
【0043】
分割画面内交差点案内表示40においては、前記図5(a)に示すような分割画面に交差点の拡大案内図を表示する処理を行う。また、簡易小型画面表示41においては、前記図4(b)のように、小型画面の簡易的な交差点の右左折案内図等を、運転者の見やすい位置に表示する。
【0044】
AV出力中止判別部42では前記のように、本来はAV出力優先で案内を行う時でも、目的地に近いにも関わらず誘導経路から大きくずれている時、或いは最初の予定時間よりも大きく遅れている時のような場合には、運転者が迷っている可能性が高いものとして、AV出力優先案内を行う状態ではないと判断するための作動を行う。
【0045】
その中の目的地所定距離内検出部43では、車両位置検出部13で検出した車両の位置が、誘導経路記憶部25で記憶している目的地に、例えば5km等の予め定めた距離以内、或いは全体の行程の10%内の距離等の所定距離L1以内になっていることを検出する。誘導経路逸脱距離演算部44では、現在位置が誘導経路から逸脱している距離を演算する。逸脱距離可否判別部45では、誘導経路逸脱距離演算部44で演算した逸脱距離が、例えば1.5km以上、或いは前記所定距離L1の30%以上等の所定距離L2以上逸脱しているか否かを判別する。それにより、現在運転者は本来の道から大きくずれて走行しており、道に迷っている可能性が高いものと判断する。
【0046】
走行遅延時間演算部46では、誘導経路記憶部25に記憶している誘導経路について、道路リンクの走行コスト等のデータに基づいて計算した、誘導経路を目的地から現在の車両位置迄走行するために必要とされる走行予測時間T1を演算し、走行を開始してからの走行時間T2が、走行予測時間T1よりもどれだけ遅延しているかの遅延時間T3(=T2−T1)を演算する。
【0047】
遅延時間可否判別部47では、前記のように走行遅延時間演算部46で演算した遅延時間が例えば1時間以上、或いは誘導経路を出発地から現在位置まで走行する時に必要と予測される走行時間の30%以上等の基準の遅延時間以上であるか否かを判別する。上記のような処理によって、現在は出発時の予想時間よりも大きく遅れているので、これからはナビゲーションの案内にしたがって確実に走行する必要があると判断し、或いは道に迷ったことにより現在は予定時間より大きく遅れており、これからはナビゲーションの案内に従って確実に走行する方が好ましいと判断する。
【0048】
図1のAV中止判別部42では前記のように、目的地に所定距離以内に接近している時の作動として、誘導経路から所定距離以上逸脱していると判断した時と、予定時間よりかなり遅れていると判断した時に、前記のようなAV出力の優先案内で音声案内のみを行っい、或いは簡易小画面で右左折方向の案内を行い、更には分割画面で交差点の拡大案内表示を行い、また、AV画面を透明化処理して表示する処理を行っている時でも、前記のような各場合のいずれかの場合には、そのAV出力を中止して全画面で案内表示を行うようにすることができる。
【0049】
またそれ以外に、前記のように誘導経路から所定距離以上逸脱していると判断した時と、予定時間よりかなり遅れていると判断した時の各場合には、誘導経路の案内出力を行う時以外に、前記各場合のいずれかの状態になっていることを検出した時以降は、誘導経路に沿った走行を確実に行わせるために、特定の案内出力を行う時のほか、常にAV出力を完全に中止するように設定することもできる。
【0050】
更に前記の例においては、目的地に所定距離以上近付いた時に、前記のようなAV出力中止処理を行った例を示したが、まだ目的地には所定距離以内になっていないと判別した時でも、逸脱距離が更に大きい時、或いは遅延時間が更に大きい時等には、前記と同様にAV出力中止を行う等、各種の態様で実施することができる。
【0051】
誘導経路案内出力部48では、前記のように誘導経路案内処理部26で処理された画像及び音声を出力するものであり、画像出力部49ではAV機器の画像が出力されていない時には通常の処理を行うと共に、AV機器の画像出力が行われている時において、特定の誘導経路案内を行う状態では、AV出力優先が設定されている場合には、選択設定したモードによって誘導経路の画像の出力を行う。また音声出力部50では、原則として常に誘導経路の案内出力を行う。
【0052】
図1の例では通常はナビゲーションの案内画面を表示するモニタ20に、各種AV機器51の画像を出力する例として、DVDプレーヤ52、AVデータを圧縮して記録しているメモリカード53、テレビ受信器54の例を示している。但し、それ以外にAVデータを記録している、或いはAVデータダウンロードサイトから取り込んだAVデータを出力可能な多機能携帯電話、携帯情報端末等の機器を接続することもできる。
【0053】
AV出力制御部55においては、前記のような各種AV出力機器51からの画像及び音声信号を取込み、前記誘導経路案内処理部26の各種機能部の作動と関連して、各種のAV出力制御を行う。その際に出力ONOFF制御部56では、特に出力画像について、AV出力中止判別部42の判別結果によって、AV画像の出力を停止する。また、画面サイズ調整部57においては、例えば図5(a)のように誘導経路案内の交差点案内を分割画面に表示する時、その残りの分割画面内にAV画像が収まるようにサイズ調整を行う。
【0054】
半透明調整部58において、前記のようにAV出力優先モード設定部27でAV画像半透明化処理31を行う旨選択設定している場合に、AV出力優先指示部35の指示に従って、AV出力の画像について半透明化処理を行う。その画像はAV出力部60のAV画像出力部61からモニタ20に出力する時、誘導経路案内出力部49の画像に重ねて、両画像が共に見えるように表示される。この時の両画面を重ねる処理は、画像出力部21で行う。
【0055】
音量調整部59では、AV機器の音声出力について、例えば誘導経路の特定の案内を行う状態では原則として案内音声は常に出力され、運転者にとってモニタを見ることなく案内を受けることができる重要なものであるので、例えばDVDやテレビの音声で消されてしまわないように、音量を下げる、等の調整を行う。
【0056】
AV出力部60では、前記のようにAV出力制御部55で各種の調整をした画像を、画像出力部61から出力しモニタ20に表示し、同様に適宜調整された音声を音声出力部62から出力し、スピーカ22から車内に出力する。なお、AV出力の音声については、例えばヘッドユニット等にイヤホン出力部が存在する時には、そのイヤホンジャックにイヤホンやヘッドホンを接続した時、AV音声のみはイヤホン等に出力を切替えるように設定しても良い。
【0057】
上記のような機能ブロックからなる本発明においては、例えば図2の作動フローにしたがって順に作動することにより実施することができる。図2には誘導経路案内処理の例を示しており、最初に誘導経路を設定して走行しているか否かの判別を行う(ステップS1)。ここで誘導経路を設定していないと判別した時には、ステップS8に進んで目的地に到着したか否かを判別し、未だ目的地に到着していないと判別した時には再びステップS1に戻って、その後誘導経路を設定したか確認し、そのような状態で目的地に到着した時にはこの作動フローを終了する(ステップS9)。
【0058】
ステップS1で誘導経路を設定して走行中であると判別した時には、モニタにAV機器の画像を出力しているか否かを判別する(ステップS2)。ここでAV機器の画像出力を行っていないと判別した時にはステップS7に進んで、全画面に誘導経路の案内を表示し音声案内を出力する。その後ステップS8に進み、前記と同様に目的地に到着したか否かを判別し、未だ目的地に到着していないと判別した時にはステップS1に戻って設定していた誘導経路を解除或いは変更したかを確認する。
【0059】
ステップS2においてモニタにAV機器の画像を出力中であると判別した時には、図3に示すような目的地周辺でのAV出力中止判定処理を行う(ステップS3)。即ち、図3に示す目的地周辺でのAV出力中止判定処理の例においては、前記図2のステップS2においてモニタにAV機器の画像を出力中であると判別した後の処理として、現在位置は目的地の周辺か否かの判別を行っている(ステップS11)。この処理は図1のAV出力中止判別部42における目的地所定距離内検出部43で前記のように行っている。
【0060】
ステップS11で現在位置が目的地周辺であると判別した時には、AV出力優先モードに設定しているか否かを判別する(ステップS12)。ここで前記のように出力中のAV画像がナビゲーションの案内画面に突然に切り替わってAV画像が見られなくならないようにするための、AV出力の優先モードを行うための設定をしていないと判別したきには、ステップS21に進んで右左折交差点等の特定の案内出力状態になったか否かを判別する。
【0061】
ステップS21において未だ特定案内出力状態にはなっていないと判別した時にはステップS12に戻って、その後AV優先モードの設定を行っていないかをチェックし、前記作動を繰り返す。ステップS21で特定案内出力状態になったと判別した時にはステップS19に進み、図2のステップS7において全画面に誘導経路の案内を表示し音声案内の出力を行う。
【0062】
図3のステップS12においてAV出力優先モードに設定していると判別した時には、図3の例においては誘導経路からの逸脱距離を演算する(ステップS13)。次いで逸脱距離は所定距離よりも大きいか否かを判別し(ステップS14)、ここで逸脱距離は所定距離よりも大きくないと判別した時には、到着予想時間に対する遅延時間を演算する(ステップS15)。
【0063】
その後その遅延時間は所定時間より大きいか否かを判別し(ステップS16)、所定より大きいと判別した時にはステップS17においてAV出力を中断するかどうかの確認メッセージを表示する。その際には例えば図7に示す例においては、AV画像の出力表示中に、「詳細地図に切り替えますか」のメッセージと、「はい」と「いいえ」の選択画面を表示する例を示している。この表示に際しては、確認画面を半透明化処理しても良い。
【0064】
次いでAV出力中断を選択したか否かを判別し(ステップS18)、前記のようなメッセージ表示画面で「はい」を選択した時にはステップS19において図2のステップS7に進み、全画面に誘導経路の案内を表示し音声案内も行う。それにより、AV出力優先モードにしている場合でも、運転者は現在道に迷っている、或いは予定よりも大幅に遅れていると判断し、ナビゲーションの案内に注意をしながら運転に専念できるようにする。これらの処理は図1のAV出力中止判別部42の各機能部で前記のようにして行っている。
【0065】
それに対して、ステップS11で現在位置は目的地周辺ではないと判別した時、及びステップS14で逸脱距離は所定距離よりも大きくないと判別した後の処理として行っているステップS16で、遅延時間は所定時間より大きくはないと判別した時には、ステップS20において図2のステップS4に進む。
【0066】
なお、図3に示す例においては、ステップS12でAV出力優先モードに設定していると判別した時には、特定の案内出力状態になっているか否かにかかわらず、常に逸脱距離が所定距離以上であるか、遅延時間が所定時間より大きい時には、確認メッセ維持を表示した後常に全画面に誘導経路の案内画面を表示する例を示しているが、ナビゲーションの特定の案内出力状態になった時のみ、図2のステップS7に進んで全画面に誘導経路の案内を表示するようにしても良い。
【0067】
図3のステップS20で図2のステップS4に進むときには、図2に示すように特定の案内出力状態になったか否かを判別し、特に右左折交差点等の特定の案内出力状態になったと判別した時にはAV出力優先モードに設定しているか否かを判別し(ステップS5)、AV出力優先モードになっていると判別した時にはステップS6において予め設定したAV出力優先モードを作動する。その際には図1のAV出力優先モード設定部27に示す各モードを、図2のステップS8にA〜Dとして示すようないずれかのモードを選択して作動することとなる。図2においてこれらの処理を行った後は、ステップS8に進み、目的地に到着したか否かを判別し、未だ到着していない時にはステップS1に戻って前記作動を繰り返す。またステップS8において目的地に到着したと判別した時には、ステップS9に進んでこの作動フローの一連の処理をを終了する。
【符号の説明】
【0068】
10 システム制御部
11 GPS受信器
12 走行距離・方位検出部
13 車両位置検出部
14 VICS情報入力部
15 リモコン
16 音声認識部
17 指示信号入力部
18 地図・情報データ記憶媒体
19 データ取込部
20 モニタ
21 画像出力部
22 スピーカ
23 音声出力部
24 誘導経路演算部
25 誘導経路記憶部
26 誘導経路案内処理部
27 AV出力優先モード設定部
28 誘導経路音声のみ案内
29 簡易小型画面に交差点案内表示
30 分割画面内交差点案内表示
31 AV画像半透明化処理
32 確認表示出力部
33 特定誘導経路案内位置接近検出部
34 誘導経路案内情報形成部
35 AV出力優先指示部
36 AV出力検出部
37 AV出力優先モード選択取込部
38 誘導経路案内画面表示処理部
39 全画面誘導経路案内図表示
40 分割画面内交差点案内表示
41 簡易小型画面表示
42 AV出力中止判別部
43 目的地所定距離内検出部
44 誘導経路逸脱距離演算部
45 逸脱距離可否判別部
46 走行遅延時間演算部
47 遅延時間可否判別部
48 誘導経路案内出力部
49 画像出力部
50 音声出力部
51 AV出力機器
52 DVDプレーヤ
53 メモリカード
54 テレビ受信器
55 AV出力制御部
56 出力ONOFF制御部
57 画面サイズ調整部
58 半透明調整部
59 音量調整部
60 AV出力部
61 AV画像出力部
62 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地への誘導経路を演算する誘導経路演算手段と、
前記誘導経路演算手段で演算した誘導経路の案内画像を表示すると共に、AV機器の出力画像を表示するモニタと、
前記モニタに前記AV機器の出力画像を表示している時、誘導経路の案内画像の出力を制限するAV出力優先指示手段とを備え、
前記AV出力優先指示手段では、誘導経路の特定の案内出力時以外の時は誘導経路の案内画像の出力を停止し、誘導経路の特定の案内出力時には、誘導経路の案内出力に所定の制限を加えて案内する指示を行うことを特徴とするナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項2】
前記AV出力優先指示手段で行う所定の制限は、誘導経路のモニタへの案内画像の出力を停止し、音声のみの案内を行う指示を行うものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項3】
前記AV出力優先指示手段で行う所定の制限は、AV出力画像を表示しているモニタの画面内に簡易小型画面を形成し、当該簡易小型画面内に案内表示を行うものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項4】
前記AV出力優先指示手段で行う所定の制限は、モニタの画面を大小区別を付けて分割し、小さい分割画面に誘導経路の案内画面を出力し、大きい分割画面にAV機器の出力画像を表示するものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項5】
前記AV出力優先指示手段で行う所定の制限は、AV画像を半透明化して、誘導経路画面に重ねて表示するものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項6】
前記AV出力を中止し、全画面に誘導経路を表示する特定の条件になっているか否かの判別を行うAV出力中止判別手段を備え、
前記AV出力中止判別手段でAV出力を中止する判別を行った時には、モニタの全画面に誘導経路の画面を表示することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項7】
前記特定の条件は、誘導経路を所定距離以上逸脱していることであることを特徴とする請求項6記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項8】
前記特定の条件は、地図データから得られた誘導経路を走行するために必要とする時間に対して、実際に走行を開始した時からの時間が所定時間以上遅延している遅延時間であることを特徴とする請求項6記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。
【請求項9】
前記特定の条件には、目的地に所定距離以内であることを含むことを特徴とする請求項6記載のナビゲーション用経路案内画面表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−78298(P2012−78298A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226112(P2010−226112)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】