説明

ナビゲーション装置、および周辺施設の検索方法

【課題】 少ない操作回数で目的地を設定すること。
【解決手段】 あらかじめ検索対象として選択したジャンル、およびチェーン名称に基づいて周辺施設を検索し(ステップS40)、検索した周辺施設をモニタに一覧表示する(ステップS50)。一覧表示した周辺施設の中から任意の1つが使用者によって選択された場合には、その周辺施設を目的地として目的地までの経路を探索する(ステップS70)。その後、経路誘導を開始する(ステップS90)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置、およびナビゲーション装置において周辺施設を検索する周辺施設の検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周辺施設を検索して目的地として設定できるナビゲーション装置が非特許文献1によって知られている。
【0003】
【非特許文献1】PRESAGE U31型系車 新型車解説書(平成15年6月 日産自動車株式会社発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置においては、周辺施設を検索して目的地として設定する場合、周辺施設の属するジャンルを指定して周辺施設を絞り込んだ後、該当するジャンルの周辺施設を一覧から選択する必要があるため、目的地設定が完了するまでの操作が煩雑になるという問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、入力手段を介して使用者によって周辺施設の検索の実行が指示された場合に、複数のジャンルに分類されて地図データに格納された施設の中から、自車両の現在位置から所定の範囲以内に存在する周辺施設を、その属するジャンルを複数含むように検索し、検索した周辺施設を目的地候補としてモニタに一覧表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、周辺施設を検索するに当たって、複数のジャンルにまたがる施設を一覧表示して目的地候補として使用者に提供することとした。これによって、目的地設定を行う際に、使用者が毎回ジャンル選択を行う必要がなくなり、少ない操作回数で目的地の設定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本実施の形態におけるナビゲーション装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は車両に搭載され、自車両の車速を検出する車速センサ101と、GPS衛星からのGPS信号を受信して自車両の現在位置を検出するGPSユニット102と、自車両の進行方向を検出するジャイロセンサ103と、使用者の発話音声を入力するマイク104と、切り替えスイッチ105と、地図データを格納する地図ディスク106aを読み取るディスク読取装置106と、制御装置107と、音声を出力するスピーカー108と、地図やメニュー画面を表示するモニタ109とを備えている。モニタ109は、画面上に表示された項目を使用者が指先で押圧することにより項目の選択が可能なタッチパネル109aを備えている。
【0008】
本実施の形態におけるナビゲーション装置100は、タッチパネル109aにより操作することも可能であり、マイク104を介した音声入力により操作することも可能である。使用者がこれらのいずれを使用して操作するかは切り替えスイッチ105で切り替えることができる。なお、本実施の形態においては、使用者はタッチパネル109aを操作して目的地の設定操作を行うものとして以下説明する。
【0009】
ナビゲーション装置100は、使用者によって設定された目的地までの経路演算を行い、経路演算結果に基づいて目的地までの経路誘導を行う。本実施の形態においては、自車両の現在位置から所定の範囲内、例えば半径2km以内に存在する周辺施設、例えばコンビニエンスストアやガソリンスタンドなどを検索して一覧表示し、一覧から選択された施設を目的地として設定する場合について説明する。
【0010】
本実施の形態におけるナビゲーション装置100では、周辺施設を検索するに当たって、あらかじめ選択されたジャンルの施設のみを検索する。したがって、使用者は図2により後述するように、あらかじめ検索対象とする周辺施設のジャンルを選択しておく必要がある。なお、工場出荷時や設定リセット直後のような設定値が初期値のままである場合には、全てのジャンル、および後述するチェーン系列が選択されており、この状態のまま周辺施設の検索を行うと、全てのジャンルに属する周辺施設が検索される。
【0011】
図2は、使用者が検索対象となる周辺施設のジャンルを選択する際にモニタ109に表示されるジャンル選択画面の具体例を示した図である。図2(a)に示す画面おいて、使用者はメニュー項目の中から「各種設定」2aを指先で押圧することにより選択し、「各種選択」項目の下層メニューが表示されたら「ジャンル選択」2bを選択すると、図2(b)に示すジャンル選択画面が表示される。ジャンル選択画面においては、上矢印2fおよび下矢印2gを押圧して画面を上下にスクロールすることによって、登録されている全てのジャンルを見ることができる。
【0012】
使用者はこのジャンル選択画面において、周辺施設の検索時に検索対象とするジャンルを選択する。すなわち、周辺施設の検索時に検索対象としたいジャンルに対応した「設定」2cを設定状態にする。なお、「設定」2cは、使用者が1回押圧するごとに、設定、非設定が切り替わる。図2(b)に示す選択状況によれば、周辺施設の検索時に「ガソリンスタンド」、「ファーストフード」、および「コンビニエンスストア」が検索対象となり、自車両周辺に存在するこれらのジャンルに属する施設が検索され、図3にて後述するようにモニタ109にその一覧が表示される。
【0013】
また、図2(b)の画面上に表示された各ジャンルにおいて、各ジャンルに含まれる施設が属するグループ(チェーン系列)ごとに周辺施設検索時に検索対象とするか否かを選択することもできる。チェーン系列ごとに検索対象とするか否かの選択を行う場合には、各ジャンルに対応した「詳細」2dを押圧する。例えば、「コンビニエンスストア」に対して詳細な選択を行う場合には、「コンビニエンスストア」に対応した「詳細」2dを押圧すると、図2(c)に示す詳細選択画面が表示される。すなわち、著名なコンビニエンスストアのチェーン名が一覧表示される。なお、詳細選択画面においても、上述したジャンル選択画面と同様に上矢印2fおよび下矢印2gを押圧して画面を上下にスクロールすることができる。
【0014】
使用者は、表示された著名なコンビニエンスストアのチェーン名の中から周辺施設検索時に検索対象としたいチェーン名を選択する。すなわち、図2(b)と同様に、使用者は各チェーン名に対応した「設定」項目2cを押圧することによって、設定、非設定を切り替え、検索対象としたいチェーン名の「設定」2cを設定状態にする。図2(c)に示す選択状況によれば、周辺施設の検索時に「コンビニエンスストア」の中から「エブンイレブン」、「ファミリーマーク」、および「スピー」のみが検索され、モニタ109に一覧表示される。
【0015】
なお、図2(b)においてその他のジャンルを選択した場合にも、図2(c)に示す画面に選択したジャンルに属する著名なチェーン名等のグループが表示され、これらの中から周辺施設検索時の検索対象とするチェーン名を選択することが可能になる。
【0016】
次に、選択された検索対象に基づいて、周辺施設の検索を行って目的地候補としてモニタ109に一覧表示し、一覧の中から選択された周辺施設を目的地として設定する処理について説明する。図3は、本実施の形態において目的地設定を行う場合の画面遷移の具体例を示した図である。図3(a)に示すメニュー画面で、使用者が目的地の設定を開始するために「行き先を決める」を押圧すると、図3(b)に示す目的地設定メニューが表示される。
【0017】
目的地設定メニューにおいて、周辺施設を検索して一覧表示するための「周辺施設」を押圧すると、自車両の現在位置から所定の範囲内に存在する周辺施設のうち、上述したようにあらかじめ選択したジャンル、およびチェーン系列の周辺施設を検索し、図3(c)に示す周辺施設選択画面にその検索結果を一覧表示する。なお、ここで一覧に表示する検索結果の表示順は、自車両からの距離が近いものから順に表示するものとし、一覧への表示件数は、あらかじめ設定された表示件数、例えば10件としてもよく、検索結果全てを表示するようにしてもよい。
【0018】
図3(c)において、使用者が目的地として設定したい周辺施設を選択して、当該周辺施設名称を押圧すると、その周辺施設が目的地として設定され、図3(d)に示すルート検索画面へ遷移する。そして検索した目的地までの経路誘導が開始される。
【0019】
図4は、本実施の形態におけるナビゲーション装置100の動作を示すフローチャートである。図4に示す処理は、不図示のイグニションスイッチがオンされると起動するプログラムとして制御装置107により実行される。ステップS10において、使用者によって目的地設定の開始が指示されたか、すなわち、図3(a)に示す画面で「行き先を決める」が押圧されたか否かを判断する。使用者によって目的地設定の開始が指示されたと判断した場合には、ステップS20へ進む。
【0020】
ステップS20では、図3(b)に示した目的地設定メニューを表示してステップS30へ進む。ステップS30では、「周辺施設」が押圧されたか否かを判断する。「周辺施設」が押圧されないと判断した場合にはステップS41へ進み、使用者によって押圧されたメニュー項目に従って処理を実行し、目的地の設定を行う。一方、「周辺施設」が押圧されたと判断した場合には、ステップS40へ進む。ステップS40では、上述したようにあらかじめ検索対象として選択したジャンル、およびチェーン系列に基づいて、自車両から所定範囲に存在する周辺施設の検索を行う。その後、ステップS50へ進み、検索した周辺施設をモニタ109に一覧表示して、ステップS60へ進む。
【0021】
ステップS60では、一覧表示した周辺施設の中から任意の1つが使用者によって選択されたか否かを判断する。使用者によって任意の周辺施設が目的地として選択されたと判断した場合には、ステップS70へ進み、現在位置から選択された目的地までの経路を探索する。その後、ステップS80へ進み、使用者によって経路誘導の開始が指示されたか否かを判断し、経路誘導の開始が指示されたと判断した場合には、ステップS90へ進む。
【0022】
ステップS90では、探索した誘導経路に基づいて経路誘導を開始する。すなわち、モニタ109に誘導経路、および自車両の現在位置を表示し、スピーカー108から誘導音声を出力する。その後、ステップS100へ進み、自車両が目的地へ到着したか否かを判断する。自車両が目的地へ到着しないと判断した場合には、目的地へ到着するまで経路誘導を続行する。一方、自車両が目的地へ到着したと判断した場合には、ステップS110へ進み、経路誘導を終了した後、処理を終了する。
【0023】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)目的地設定を行う際の目的地候補となる周辺施設を検索するに当たって、周辺施設をあらかじめ選択したジャンル、およびチェーン系列で絞り込んで一覧表示することとした。これによって、目的地設定を行う際に、使用者が毎回ジャンル選択を行う必要がなくなり、少ない操作回数で目的地の設定を行うことができる。
(2)周辺施設を一覧表示する場合に、あらかじめ使用者が検索対象に含めたいと考えたジャンル、およびチェーン名のみを表示するため、使用者が表示を望まないジャンル、および周辺施設を一覧から除外することができ、使用者が必要な情報のみを提供することができる。
【0024】
なお、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、使用者はタッチパネル109aの操作により目的地の設定操作を行う例を示したが、例えばジョイスティックなどのその他の入力装置を備え、当該入力装置により目的地の設定操作を行ってもよい。
(2)また、マイク104を介した音声入力により目的地の設定操作を行ってもよい。この場合、マイク104を介して入力された使用者の発話内容を、音声認識用の音声データとマッチング処理することによって音声認識を行い、認識した使用者の発話内容、すなわちボイスコマンドにしたがって処理を実行する。
(3)上述した実施の形態では、目的地を設定するに当たって、周辺施設を検索して一覧表示する場合に本発明を適用する例を示したが、周辺施設だけでなく、地図ディスク106aに格納される全ての施設を検索して目的地を設定する場合にも適用することができる。また、目的地を設定する場合に限らず、施設情報を見るために任意の施設を検索する場合にも適用することができる。
【0025】
特許請求の範囲の構成要素と実施の形態との対応関係について説明する。マイク104、およびタッチパネル109aは入力手段に、マイク104は音声入力手段に、タッチパネル109aは選択手段、および手動入力手段に、制御装置107は検索手段、および音声認識手段に相当する。モニタ109は表示手段に、タッチパネル109aは手動入力手段に相当する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態におけるナビゲーション装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】ジャンル選択画面の具体例を示した図である。
【図3】目的地設定を行う場合の画面遷移の具体例を示した図である。
【図4】本実施の形態におけるナビゲーション装置100の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0027】
100 ナビゲーション装置
101 車速センサ
102 GPSユニット
103 ジャイロセンサ
104 マイク
105 切り替えスイッチ
106 ディスク読取装置
106a 地図ディスク
107 制御装置
108 スピーカー
109 モニタ
109a タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によって操作される入力手段と、
前記入力手段を介して使用者によって周辺施設の検索の実行が指示された場合に、複数のジャンルに分類されて地図データに格納された施設の中から、自車両の現在位置から所定の範囲以内に存在する周辺施設を、その属するジャンルを複数含むように検索する検索手段と、
前記検索手段で検索された前記周辺施設を目的地候補としてモニタに一覧表示する表示手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記複数のジャンルの中から前記検索手段による検索対象となる少なくとも1つのジャンルを選択する選択手段をさらに備え、
前記検索手段は、前記選択手段で検索対象としてあらかじめ選択されたジャンルに属する前記周辺施設を検索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記施設は、各施設が属するチェーン系列ごとにさらに分類され、
前記検索手段は、検索対象としてあらかじめ選択された前記ジャンルに属し、かつ検索対象としてあらかじめ選択された前記チェーン系列に属する前記周辺施設を検索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記入力手段は、使用者が手動で操作する手動入力手段であり、
前記検索手段は、前記手動入力手段からの出力に基づいて、前記周辺施設の検索実行指示を判断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記入力手段は、使用者の発話音声を入力する音声入力手段であり、
前記音声入力手段を介して入力された音声を音声認識する音声認識手段をさらに有し、
前記検索手段は、前記音声認識手段による認識結果に基づいて、前記周辺施設の検索実行指示を判断することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記モニタに表示された目的地候補の一覧の中から、任意の1つの目的地候補が選択された場合に、当該目的地候補を目的地として自車両の現在位置から前記目的地までの経路演算を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
使用者によって周辺施設の検索の実行が指示された場合に、複数のジャンルに分類されて地図データに格納された施設の中から、自車両の現在位置から所定の範囲以内に存在する周辺施設を、その属するジャンルを複数含むように検索し、
検索された前記周辺施設を目的地候補としてモニタに一覧表示することを特徴とする周辺施設の検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−47192(P2006−47192A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230885(P2004−230885)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】