説明

ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート及びその製造方法

【課題】 式(I)で表されるナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートを提供する。


(式(I)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、X,Yは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基のいずれかを示す。)
【解決手段】 ナフトヒドロキノンと酸ハライドとを、無機塩基の存在下で反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート及びその製造方法に関する。
【0002】
なお、本発明では、特に断り書きのない限り、1,4−ジヒドロキシナフタレンを「ナフトヒドロキノン」と称する。
【0003】
また、本発明では、特に断り書きのない限り、「アクリレート」及び「メタクリレート」を「(メタ)アクリレート」と総称し、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」を「(メタ)アクリル酸」と総称する。これらの誘導体についても同様とする。
【背景技術】
【0004】
近年、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フルネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、光ディスク、光ファイバー、光導波路等の分野では軽量で高屈折なプラスチック材料が使用されている。有機化合物の屈折率を高くする方法としては、分子構造中にハロゲン原子や、硫黄化合物を導入することが有用であることは既によく知られているが、対光性が低下したり、高比重であったり硫黄特有の不快臭が生じる可能性があった(特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
また、有機化合物の屈折率を高くするもう一つの方法として、芳香環族を導入することが知られている。しかしながら、通常、芳香族環を多く有する高屈折率樹脂組成物をガラス基板等にスピンコート法等により塗布した場合、高屈折率樹脂組成物と基板とのなじみが低下する傾向があった。従って、これらの課題を解決できる高屈折率樹脂組成物向けの化合物の提供が望まれている。
【0006】
一方、ヒドロキノンが有する水酸基の一方のみがアクリル酸でエステル化された化合物(ヒドロキノンモノアクリレート)については、その合成方法が知られている(非特許文献1、非特許文献2等参照)。これらヒドロキノンモノアクリレートは、高分子液晶モノマー、抗生物質原料等に用いられることが知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平05−170702号公報
【特許文献2】特開2002−20433号公報
【非特許文献1】Indian Journal of Chemistry Section B, 1999, 38(11), 1237−1241
【非特許文献2】Journal of Agricultural and Food Chemistry, 2004, 52, 7480−7483
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ナフトヒドロキノン化合物のモノ(メタ)アクリレートの合成方法については、これまで知られていなかった。このナフトヒドロキノン化合物のモノ(メタ)アクリレートは、高分子液晶モノマーや抗生物質原料に用いることができ、本化合物を効率良く製造する方法について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、ナフトヒドロキノン化合物のモノ(メタ)アクリレート及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ナフトヒドロキノンと酸ハライドとを無機塩基の存在下で反応させることにより、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの合成が可能となるのを見出し、本発明に至った。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、下記式(I)で表わされることを特徴とする、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートに存する(請求項1)。
【化1】

(式(I)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、X,Yは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基のいずれかを示す。)
【0012】
また、本発明の別の要旨は、上述のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートを製造する方法であって、ナフトヒドロキノンと酸ハライドとを無機塩基の存在下で反応させる工程を有することを特徴とする、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法に存する(請求項2)。
【0013】
ここで、ナフトヒドロキノンに対する酸ハライドのモル比が2未満であることが好ましい(請求項3)。
【0014】
また、酸ハライドとして(メタ)アクリル酸ハライドを用いることが好ましい(請求項4)。
【0015】
また、酸ハライドとして少なくとも3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドを用いることも好ましい(請求項5)。この場合、ナフトヒドロキノンモノアクリレートが得られる。
【0016】
また、酸ハライドとして少なくとも3−ハロゲン化−2−メチルプロピオン酸クロライドを用いることも好ましい(請求項6)。この場合、ナフトヒドロキノンモノメタクリレートが得られる。
【0017】
また、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なうことが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、その合成方法がこれまで知られていなかった、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートを得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
【0020】
[I.ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート]
本発明のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートは、下記式(I)で表わされる構造の化合物である。
【化2】

(式(I)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、X,Yは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基のいずれかを示す。)
【0021】
即ち、本発明のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートは、具体的には、下記の式(Ia)又は式(Ib)で表わされる構造の化合物である。
【化3】

【化4】

(式(Ia)及び式(Ib)において、X,Yは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基のいずれかを示す。)
【0022】
式(I)(即ち、式(Ia)及び式(Ib))においてX、Yとして表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基などが挙げられる。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基などが挙げられる。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、o−トリルチオ基、m−トリルチオ基、p−トリルチオ基、p−ヒドロキシフェニルチオ基などが挙げられる。
【0023】
構造式(I)(即ち、式(Ia)及び式(Ib))で表される化合物としてはたとえば次のものが挙げられる。すなわち、4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、3−メチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、3−メチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、3−エチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、3−エチル−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、3−クロロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、3−クロロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、3−ブロモ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、3−ブロモ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、3−メトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、3−メトキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、3−メチルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、3−メチルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、2−フェニルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、3−フェニルチオ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート、7−クロロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、7−ニトロ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート、7−カルボキシ−4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート等である。代表的な化合物構造式を下記に示す。
【0024】
【化5】

【0025】
以下の記載では、上記式(Ia)で表わされる構造の化合物を、ナフトヒドロキノンモノアクリレート、或いは、ナフタレンジオールモノ(メタ)アクリレートという場合がある。
また、上記式(Ib)で表わされる構造の化合物を、ナフトヒドロキノンモノメタクリレート、或いは、1,4−ジヒドロキシナフタレンモノ(メタ)アクリレートという場合がある。
【0026】
[II.ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法]
本発明のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法(以下「本発明の製造方法」と略称する場合がある。)は、上記式(I)で表わされるナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートを製造する方法であって、少なくとも、ナフトヒドロキノンと酸ハライドとを無機塩基の存在下で反応させる工程を有する。
【0027】
本発明の製造方法の主な態様としては、以下の2つが挙げられる。
・酸ハライドとして(メタ)アクリル酸ハライドを用いる態様(これを以下「(メタ)ア
クリル酸ハライド法」或いは「第1の態様」という場合がある。)。
・酸ハライドとして3−ハロゲン化プロピオン酸ハライド或いは3−ハロゲン化−2−メチルプロピオン酸ハライドを用い、ナフトヒドロキノンモノアクリレート或いはナフトヒドロキノンモノメタクリレートを得る態様(これを以下「ハロゲン化プロピオン酸ハライド法」或いは「第2の態様」という場合がある。)。
【0028】
以下の説明では、まず、第1の態様((メタ)アクリル酸ハライド法)について説明する。次いで、第2の態様(ハロゲン化プロピオン酸ハライド法)について、第1の態様との相違点に的を絞って説明するものとする。
【0029】
〔IIα.第1の態様〕
<IIα−1.原料>
第1の態様では、原料としてナフトヒドロキノン及び(メタ)アクリル酸ハライドを使用する。
【0030】
(i)ナフトヒドロキノン:
ナフトヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシナフタレン)は、下記式(i)に示す構造の化合物である。なお、式(i)中、X及びYは、式(I)で説明したX及びYと同様である。
【化6】

【0031】
ナフトヒドロキノンは、市販の試薬をそのまま、或いは適宜精製して用いることが可能である。また工業製品としても流通している。
【0032】
(ii)(メタ)アクリル酸ハライド:
アクリル酸ハライドは下記式(iia)に示す構造の化合物であり、メタクリル酸ハライドは下記式(iib)に示す構造の化合物である。
【化7】

【化8】

【0033】
上記の式(iia)及び式(iib)において、X’は、ハロゲン原子を表わす。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、製造の容易さの面から塩素原子が特に好ましい。即ち、アクリル酸ハライドとしてはアクリル酸クロライドが特に好ましく、メタクリル酸ハライドとしてはメタクリル酸クロライドが特に好ましい。
【0034】
原料としてアクリル酸ハライドを使用すれば、ナフトヒドロキノンモノアクリレートが得られる。一方、原料としてメタクリル酸ハライドを使用すれば、ナフトヒドロキノンモノメタクリレートが得られる。よって、目的とするナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの種類に応じて、原料となる(メタ)アクリル酸ハライドを選択すればよい。
【0035】
なお、単一種の(メタ)アクリル酸ハライドのみを用いてもよいが、異なるハロゲン原子を有する二種以上の(メタ)アクリル酸ハライドを併用してもよい。また、アクリル酸ハライドとメタクリル酸ハライドとを併用すれば、ナフトヒドロキノンモノアクリレートとナフトヒドロキノンモノメタアクリレートとの混合物が得られる。
【0036】
(メタ)アクリル酸ハライドは、市販の試薬をそのまま、或いは適宜精製して用いることが可能である。
また、ナフトヒドロキノンのモノエステル化反応に先立って、いわゆるin situ法によるモノエステル化を目的として、(メタ)アクリル酸とハロゲン化チオニルから(メタ)アクリル酸ハライドを合成し、これを単離することなくエステル化反応に用いることも可能である。この反応については後述する。
【0037】
(iii)ナフトヒドロキノンと(メタ)アクリル酸ハライドとの比率:
ナフトヒドロキノンと(メタ)アクリル酸ハライドとの使用比率は、特に制限されるものではないが、ナフトヒドロキノンに対する(メタ)アクリル酸ハライドのモル比で、通常0.5以上、中でも0.8以上、また、通常2未満、中でも1.5以下の範囲とすることが好ましい。(メタ)アクリル酸ハライドの比率が低過ぎると、未反応ナフトヒドロキノンの量が多くなり、原料回収等の処理が必要となる場合がある。一方、(メタ)アクリル酸ハライドの比率が高過ぎると、ジエステルの副生量が増加する傾向がある。
【0038】
<IIα−2.無機塩基>
無機塩基の種類は特に制限されない。例としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)等が挙げられる。中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。これらの無機塩基は何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0039】
無機塩基の使用比率は、特に制限されるものではないが、ナフトヒドロキノンに対する無機塩基の当量比で、通常1.0当量以上、中でも1.2当量以上、また、通常3.0当量以下、中でも2.0当量以下の範囲とすることが好ましい。無機塩基の比率が低過ぎると、酸ハライドの滴下中に水層のpHが酸性になり、選択率が著しく低下する場合がある。一方、無機塩基の比率が高過ぎると、酸ハライドの分解が増える場合がある。
【0040】
<IIα−3.反応溶媒>
ナフトヒドロキノンと(メタ)アクリル酸ハライドとの反応は、通常は反応溶媒の存在下で行なう。
反応溶媒の種類は特に制限されないが、通常は水、有機溶媒等が用いられる。
反応溶媒の使用形態としては、水相のみからなる一相系、有機相のみからなる一相系、水相及び有機相からなる二相系等が挙げられる。中でも、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なうことが好ましい。
【0041】
水相からなる一相系で反応を行なう場合、反応溶媒としては、通常は水を単独で用いる。水の他に、水と混和し得る一種又は二種以上の有機溶媒を含有していてもよいが、その場合でも、水相全体に対する有機溶媒の比率を通常10容量%以下、好ましくは5容量%以下とすることが好ましい。
【0042】
水相からなる一相系で反応を行なう場合、反応溶媒(水相)に対するナフトヒドロキノンの濃度を、通常0.01g/ml以上、中でも0.04g/ml以上、また、通常0.5g/ml以下、中でも0.3g/ml以下の範囲とすることが好ましい。ナフトヒドロキノンの濃度が少な過ぎると、生産効率が低下する場合がある。一方、ナフトヒドロキノンの濃度が多過ぎると、析出固体によるスラリー溶液の攪拌が困難になる場合がある。
【0043】
有機相からなる一相系で反応を行なう場合、反応溶媒としては、一種又は二種以上の有機溶媒を用いる。有機溶媒の種類は特に制限されないが、無機塩を溶解し得るものが好ましい。この様な有機溶媒の具体例としては、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。中でも、反応成績及び後処理の簡便さから考えて、アセトニトリルが特に好ましい。
【0044】
有機相からなる一相系で反応を行なう場合、反応溶媒(有機相)に対するナフトヒドロキノンの濃度を、通常0.02g/ml以上、中でも0.05g/ml以上、また、通常0.5g/ml以下、中でも0.3g/ml以下の範囲とすることが好ましい。ナフトヒドロキノンの濃度が少な過ぎると、生産効率が低下する場合がある。一方、ナフトヒドロキノンの濃度が多過ぎると、析出固体によるスラリー溶液の攪拌が困難になる場合がある。また、選択率が低下する場合がある。
【0045】
水相及び有機相からなる二相系で反応を行なう場合、通常は反応溶媒として、水と、有機相を形成する一又は二以上の有機溶媒とを併用する。
有機相を形成する有機溶媒の種類は特に制限されないが、比較的低い極性を示し、水に対して混和性を示さない有機溶媒を用いることが好ましい。このような有機溶媒の例としては、トルエン、キシレン、デカリン等の芳香族炭化水素溶媒;ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して用いてもよい。中でも、トルエン、キシレン、ヘプタンが好ましく、トルエンを単独で、或いはヘプタンと混合して用いることが特に好ましい。
【0046】
水相と有機相との比率は、特に制限されるものではないが、水相及び有機相の合計量に対する水相の容積比率が、通常50%以上、中でも75%以上、また、通常95%以下、中でも90%以下の範囲であることが好ましい。水相の割合が少な過ぎても多過ぎても、モノエステルの選択性が低下する傾向がある。
【0047】
水相及び有機相の合計量に対するナフトヒドロキノンの濃度は、通常0.005g/ml以上、中でも0.03g/ml以上、また、通常0.5g/ml以下、中でも0.3g/ml以下の範囲とすることが好ましい。ナフトヒドロキノンの濃度が少な過ぎると、生産効率が低下する場合がある。一方、ナフトヒドロキノンの濃度が多過ぎると、選択率が低下する場合がある。また析出固体によるスラリー溶液の攪拌が困難になる場合がある。
【0048】
<IIα−4.反応手順・反応条件等>
第1の態様におけるナフトヒドロキノンのエステル化反応の手順、条件等の詳細は以下の通りである。
【0049】
反応の方式は、制限されるものではないが、通常はバッチ方式で反応を行なう。
ナフトヒドロキノンは酸化され易いため、空気中の酸素等に曝されると、酸化されてキノン構造になり着色する場合がある。よって、通常は不活性雰囲気下で反応を行なう。
具体的には、密閉可能な反応容器を使用し、反応容器内を不活性気体(窒素、アルゴン等)で置換した状態で、反応を行なうことが好ましい。
【0050】
反応の手法も、制限されるものではないが、通常は反応溶媒中、ナフトヒドロキノンと(メタ)アクリル酸ハライドとを、無機塩基の存在下で接触させることにより反応を行なう。
反応温度の制御および選択率向上の観点から、(メタ)アクリル酸ハライドを滴下する方法が好ましい。
特に、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なう場合には、ナフトヒドロキノンを水相及び有機相の二相系溶媒に溶解させ、容器中で攪拌等の手法により混合しながら、(メタ)アクリル酸ハライドを滴下して反応させることが好ましい。
【0051】
反応系の温度は、制限されるものではないが、反応系を冷却しながら反応を行なうことが好ましい。具体的には、反応系の温度を通常10℃以下、中でも5℃以下とすることが好ましい。反応時の温度が高過ぎると、選択率が低下する傾向があり、また、反応生成物であるエステル(ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート)の加水分解が生じる場合がある。一方、反応温度の下限は、水相が凝固する温度よりも高い温度であれば、特に制限されない。
反応時の圧力も制限されず、常圧でも加圧でも減圧でもよいが、通常は常圧条件下で反応を行なう。
【0052】
(メタ)アクリル酸ハライドの滴下速度は制限されないが、上述した適切な反応温度(5〜10℃以下)を保つように、滴下速度を調節することが望ましい。滴下時間も制限されないが、通常1時間から2時間程度である。(メタ)アクリル酸ハライドの滴下速度が遅過ぎると、反応時間がかかり過ぎて生産性が低下する場合がある。一方、(メタ)アクリル酸ハライドの滴下速度が速過ぎると、反応温度が高くなり、選択率低下をもたらす場合がある。
【0053】
反応時間も、制限されるものではないが、通常30分以上、中でも60分以上、また、通常5時間以下、中でも2時間以下の範囲が好ましい。
特に、上述の様に二相条件下、(メタ)アクリル酸ハライドを滴下しながら反応を行なう場合には、(メタ)アクリル酸ハライドの終了時点でほぼ反応は終点に達しているが、滴下終了後にも一定時間(例えば20〜30分程度)、冷却しながら攪拌を続けてもよい。
但し、反応時間が長過ぎると、生成物(エステル)の加水分解が起こる場合があり、また、得られる生成物に着色が生じる場合もある。
よって、上述の反応時間の経過後は、できるだけ早く反応をクエンチする(即ち、希塩酸等を加えて反応系を酸性にする)ことが好ましい。
【0054】
なお、反応の終了は、例えば、有機相をガスクロマトグラフィー(以下「GC」という場合がある。)で分析し、生成物の量を調べることにより、確認することが可能である。勿論、反応時間が既知である場合等は、この手順は不要である。
【0055】
<IIα−5.後処理>
反応終了後、必要に応じて、反応のクエンチ(停止)、粗精製、再結晶精製等の後処理を行なってもよい。
【0056】
反応のクエンチ(停止)は、例えば、反応系(水相)に希塩酸(1〜3N程度)、希硫酸(1〜3N程度)等の酸を加えて酸性にすることにより行なう。
【0057】
反応生成物の粗精製は、例えば、以下の手順により行なうことができる。
例えば、反応系に酢酸エチル等の抽出溶媒を加えて混合し、二層分離を行なう。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)等の乾燥剤を加えて乾燥した上で、溶媒を留去することにより、粗精製物を得ることができる。
【0058】
粗精製物の再結晶精製は、例えば、粗精製物を再結晶用の溶媒に加えて加熱溶解させた後、放冷して再結晶させることにより行なう。
再結晶用の溶媒としては、例えば、トルエン、トルエンと酢酸エチルとの混合溶媒、トルエンとエタノールとの混合溶媒等を使用することができる。
【0059】
〔IIβ.第2の態様〕
<IIβ−1.原料>
第2の態様では、原料としてナフトヒドロキノンと、3−ハロゲン化プロピオン酸ハライド又は3−ハロゲン化−2−メチルプロピオン酸ハライド(これらを以下「3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライド」と総称する。)とを使用する。
【0060】
(i)ナフトヒドロキノン:
ナフトヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシナフタレン)については、第1の態様と同様であり、その詳細は、上記〔IIα.第1の態様〕の<IIα−1.原料>中、「(i)ナフトヒドロキノン」の欄において説明した通りである。
【0061】
(ii)3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライド:
3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドは下記式(iic)に示す構造の化合物であり、3−ハロゲン化−2−メチルプロピオン酸ハライドは下記式(iid)に示す構造の化合物である。
【化9】

【化10】

【0062】
上記の式(iic)及び(iid)において、X”は、ハロゲン原子を表わす。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。即ち、アクリル酸ハライドとしてはアクリル酸クロライドが特に好ましく、メタクリル酸ハライドとしてはメタクリル酸クロライドが特に好ましい。なお、二つのX”は、同一であっても異なっていてもよいが、化合物の入手容易性の観点から、同一であることが好ましい。
【0063】
原料として3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドを使用すれば、ナフトヒドロキノンモノアクリレートが得られる。一方、原料として3−ハロゲン化−2−メチルプロピオン酸ハライドを使用すれば、ナフトヒドロキノンモノメタクリレートが得られる。よって、目的とするナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの種類に応じて、原料となる3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドを選択すればよい。
【0064】
なお、ナフトヒドロキノンモノアクリレートを製造する場合、原料として3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドのみを単独で使用してもよいが、3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドとアクリル酸ハライドとを任意の比率で組み合わせて使用してもよい。
また、同様に、ナフトヒドロキノンモノメタクリレートを製造する場合、原料として3−ハロゲン化−2−メチルプロピオン酸ハライドのみを単独で使用してもよいが、3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドとメタクリル酸ハライドとを任意の比率で組み合わせて使用してもよい。
【0065】
3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドは、市販の試薬をそのまま、或いは適宜精製して用いることが可能である。
【0066】
また、(メタ)アクリル酸とハロゲン化チオニルとを反応させることにより、3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドと(メタ)アクリル酸ハライドとの混合物を合成し、これを単離することなくそのままモノエステル化反応に用いることも可能である(いわゆるin situ法)。ここで「ハロゲン化チオニル」とは、一般式SOX”で表わされる化合物(但し、X”は上記(iic)及び(iid)におけるX”と同義である。)であり、例としては塩化チオニル(SOCl)が挙げられる。
【0067】
(メタ)アクリル酸とハロゲン化チオニルとの反応式を以下に示す。
【化11】

【化12】

【0068】
(メタ)アクリル酸とハロゲン化チオニルとの反応によって、100%に近い純度の3−ハロゲン化(2−メチル)プロピオン酸ハライドを得ることは困難だが、3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドとアクリル酸ハライドとの混合物、或いは、3−ハロゲン化−2−メチル−プロピオン酸ハライドとメタクリル酸ハライドとの混合物を得ることが可能である。上述の様に、これらの原料の組み合わせによっても、それぞれナフトヒドロキノンモノアクリレート及びナフトヒドロキノンモノメタクリレートが得られるので、本発明においては差し支えない。
【0069】
なお、(メタ)アクリル酸とハロゲン化チオニルとの反応による酸ハライド(3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドと(メタ)アクリル酸ハライドとの混合物)の合成は、例えば、Helv. Chim. Acta, 42, 1653 (1959)、又は、Compt. Rend., C, 269, 1325 (1969)等を参考にして行なうことができる。
【0070】
(iii)ナフトヒドロキノンと3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドとの比率:
ナフトヒドロキノンと3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドとの使用比率は、特に制限されるものではないが、ナフトヒドロキノンに対する3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドのモル比で、通常0.5以上、中でも0.8以上、また、通常2未満、中でも1.5以下の範囲とすることが好ましい。3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドの比率が低過ぎると、未反応ナフトヒドロキノンの量が多くなり、原料回収等の処理が必要になる場合がある。一方、3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドの比率が高過ぎると、ジエステルの副生量が増加する傾向がある。
【0071】
なお、3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドとアクリル酸ハライドとを組み合わせて用いる場合、及び、3−ハロゲン化−2−メチル−プロピオン酸ハライドとメタクリル酸ハライドとを組み合わせて用いる場合には、組み合わせて使用する原料の合計量が上記範囲を満たすようにする。
【0072】
<IIβ−2.無機塩基>
無機塩基の種類については、第1の態様の場合と同様であり、その詳細は、上記〔IIα.第1の態様〕の<IIα−2.無機塩基>の欄において説明した通りである。
【0073】
無機塩基の使用比率は、制限されるものではないが、ナフトヒドロキノンに対する無機塩基の当量比で、通常1.2当量以上、中でも1.4当量以上、また、通常3.0当量以下、中でも2.0当量以下の範囲とすることが好ましい。
無機塩基の比率が低過ぎると、酸ハライドの滴下中に水相のpHが酸性になり、選択率が著しく低下する場合がある。この傾向は、酸ハライドとして(メタ)アクリル酸ハライドを用いる場合(第1の態様)よりも顕著になる。これは、3−ハロゲン化(メチル)プロピオン酸ハライドがナフトヒドロキノンと反応する前後において、脱塩化水素がある程度起こり、無機塩基の消費量が増えるためである。
一方、無機塩基の比率が高過ぎると、酸ハライドの分解が増える場合がある。
【0074】
<IIβ−3.反応溶媒>
反応溶媒については、第1の態様の場合と同様であり、その詳細は、上記〔IIα.第1の態様〕の<IIα−3.反応溶媒>の欄において説明した通りである。
【0075】
<IIβ−4.反応手順・反応条件等>
ナフトヒドロキノンのエステル化反応の手順、条件等の詳細についても、第1の態様の場合と同様であり、その詳細は、上記〔IIα.第1の態様〕の<IIα−4.反応手順・反応条件等>の欄において説明した通りである。
【0076】
<IIβ−5.後処理>
第2の態様においては、ナフトヒドロキノンのエステル化反応の後に、通常は脱塩化水素処理を実施する。その好ましい手順は、例えば以下の通りである。
即ち、エステル化反応により得られた粗精製物を、アセトニトリル等の溶媒に溶解させる。この溶液に、原料のナフトヒドロキノンに対して1等量以下の炭酸カリウムを加え、窒素等の不活性雰囲気下、室温で1時間程度攪拌する。
【0077】
その他の後処理(反応のクエンチ(停止)、粗精製、再結晶精製等)については、第1の態様の場合と同様であり、その詳細は、上記〔IIα.第1の態様〕の<IIα−5.後処理>の欄において説明した通りである。
【0078】
〔IIγ.その他〕
以上説明した本発明の製造方法によれば、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートを高収率、高選択率、高純度で得ることが出来る。
なお、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの収率、選択率、及び純度は、ガスクロマトグラフィーにより得られたスペクトルのピーク面積の百分率に基づいて近似することができる。但し、結晶として単離した場合には、その重量を用いて収率を求めることができる。
【0079】
具体的に、本発明の製造方法により得られるナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの原料(ナフトヒドロキノン)からの収率は、制限されるものではないが、エステル化反応後の粗生成物の段階で、通常30%以上、好ましくは60%以上であり、再結晶化による精製後の段階では、通常30%以上、好ましくは50%以上である。
【0080】
また、本発明の製造方法で得られるナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの選択率は、制限されるものではないが、通常50%以上、好ましくは70%以上である。
【0081】
また、本発明の製造方法により得られるナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの純度は、制限されるものではないが、再結晶化による精製後の段階で、通常90%以上、好ましくは95%以上である。
本発明のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートは、熱重合開始剤及び/もしくは光重合開始剤を含有させることにより、重合性組成物を与える。このとき、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体を配合することも可能である。これら、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート及び熱重合開始剤及び/もしくは光重合開始剤を含有する重合性組成物、もしくはさらにエチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体を配合する重合性組成物は、熱もしくは光により重合させることが出来る。得られた重合物は高屈折率材料として有用である。
【0082】
エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の側鎖アルキル置換スチレン、ビニルトルエン等の核アルキル置換スチレン、ブロモスチレン、クロルスチレン等のハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン等をあげることができる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、α−クロロアクリロニトリル等をあげることができる。(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピレンメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等を挙げることが出来る。またコーティング用の多官能アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート等が挙げられる。
【0083】
熱重合開始剤としては有機過酸化物やアゾ系化合物等のどちらでも使用可能である。有機過酸化物としては、例えばt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート類等のパーオキシエステル類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類等を挙げることができる。またアゾ系化合物の開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビ(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾニトリル類を挙げることができる
【0084】
次に、光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−イソプロピルチオキサントン、2−t−ブチルアントラキノン等が挙げられる。実際の工業製品としてはチバスペシャリティ社製のイルガキュア651、イルガキュア184、ダロキュア1173、イルガキュア907、イルガキュア369、ダロキュアTPO、イルガキュア819が挙げられる。
【0085】
4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体の組成比は、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体が多い方を上と表現して「以上」及び「以下」との用語を使い分けた場合、重量比で通常100:1以上、好ましくは5:1以上、より好ましくは2:1以上、また、通常1:100以下、好ましくは1:5以下、より好ましくは1:4以下である。エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体の組成比が多すぎると、得られたポリマーの屈折率が高くならず、また、少なすぎると塗布性が低下する傾向がある。
重合開始剤の4−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート化合物とエチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体の合計に対する使用量は通常0.1%以上、好ましくは0.3%以上、また、通常5%以下、好ましくは2%以下である。
【0086】
重合は、フィルム状で行うことも出来るし、塊状で行うことも可能である。フィルム状で硬化させる場合は、たとえばガラス基板に光硬化性組成物をバーコーター用いて塗布し、ついで光照射する。用いる光源としては高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、紫外線LED、青色LED、白色LED、フュージョン社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等が挙げられる。太陽光の使用も可能である。光照射は酸素非存在下で実施することが望ましい。酸素存在下では酸素阻害のため塗布物表面のべたつきがなかなか取れず、開始剤が大量に必要となることがある。酸素非存在下での硬化方法としては、窒素ガス、ヘリウムガス等の雰囲気で行うことが挙げられる。また、酸素非過性の膜をかぶせて光硬化させる方法も有効である。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載中「部」という記載は全て「重量部」を表わす。
【0088】
また、以下に記す収率、選択率、及び純度は、ガスクロマトグラフィーにより得られたスペクトルのピーク面積の百分率に基づいて求めた値である。但し、結晶として単離した場合には、その重量を用いて収率を求めた。
【0089】
[実施例1]
反応容器に、水5.0ml、トルエン5.0ml、及び水酸化ナトリウム250mgを仕込んだ。反応容器内を窒素ガスで置換した後、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら、ナフトヒドロキノン1.0gを反応容器内に加え、次いで5℃以下に氷冷した。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品のアクリル酸クロライド550mg(6.1mmol)を注射器に取り、反応容器内の混合物に15分間かけて滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。
滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に45分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性に調整し、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、暗褐色固体状の生成物1.5gを得た。
【0090】
得られた生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン22.0%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート50.9%、ナフトヒドロキノンジアクリレート24.9%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は65.3%であった。
【0091】
[実施例2]
実施例1の手順において、水酸化ナトリウム250mgの代わりに炭酸ナトリウム(NaCO)663mgを使用した他は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、暗褐色の固体生成物1.0gを得た。
【0092】
得られた生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン57.2%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート27.9%、ナフトヒドロキノンジアクリレート14.8%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は65.2%であった。
【0093】
[実施例3]
実施例1の手順において、水5.0ml及びトルエン5.0mlの代わりにアセトニトリル10.0mlを使用し、水酸化ナトリウム250mgの代わりに炭酸カリウム(KCO)863mgを使用した他は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、暗褐色の油状生成物1.0gを得た。
【0094】
得られた生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン30.8%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート40.2%、ナフトヒドロキノンジアクリレート29.1%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は58.1%であった。
【0095】
[実施例4]
実施例1の手順において、トルエン5.0mlの代わりに酢酸エチル5.0mlを用いた他は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、赤褐色の固体生成物1.0gを得た。
【0096】
得られた生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン29.9%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート40.2%、ナフトヒドロキノンジアクリレート30.5%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は56.7%であった。
【0097】
[実施例5]
実施例1の手順において、トルエン5.0mlの代わりにヘプタン5.0mlを使用した他は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、赤褐色の固体生成物1.3gを得た。
【0098】
得られた生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン35.7%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート30.8%、ナフトヒドロキノンジアクリレート33.2%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は47.9%であった。
【0099】
[実施例6]
実施例1の手順において、トルエン5.0mlの代わりにアセトニトリル5.0mlを使用した他は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、有機相に生成物を回収した。
【0100】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン31.9%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート27.9%、ナフトヒドロキノンジアクリレート40.0%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は41.0%であった。
【0101】
[実施例7]
実施例1の手順において、水の使用量を5.0mlから10.0mlに変更し、水酸化ナトリウムの使用量を250mgから625mgに変更した他は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、有機相に生成物を回収した。
【0102】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン42.4%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート48.7%、ナフトヒドロキノンジアクリレート7.6%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は84.5%であった。
【0103】
[比較例1]
実施例1と同様の手順により、反応容器に、アセトニトリル10.0ml、トリエチルアミン1.0g、及びナフトヒドロキノン1.0gを仕込んだ。
次に、窒素ガス流通下、冷却及び攪拌しながら、市販品のアクリル酸クロライド660mg(7.3mmol)を注射器に取り、反応容器内の混合物に42分間かけて滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。
滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に30分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。
【0104】
得られた有機相をGCで分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン31.7%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート13.5%、ナフトヒドロキノンジアクリレート55.0%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノアクリレートの選択率は19.8%であった。
【0105】
[実施例8]
実施例1と同様の手順により、反応容器に、水5.0ml、トルエン5.0ml、水酸化ナトリウム250mg、ナフトヒドロキノン1.0gを仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品を再蒸留したメタクリル酸クロライド635mgを注射器に取り、反応容器内の混合物に15分間かけて滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。
滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に45分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性に調整し、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、有機相に生成物を回収した。
【0106】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン17.4%、ナフトヒドロキノンモノメタクリレート62.6%、ナフトヒドロキノンジメタクリレート16.7%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノメタクリレートの選択率は75.8%であった。
【0107】
[実施例9]
実施例1と同様の手順により、反応容器に水30.0ml、水酸化ナトリウム800mg及びナフトヒドロキノン2.0gを仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品を再蒸留したメタクリル酸クロライド1.4g(13.1mmol)を注射器に取り、反応容器内の混合物に20分間かけて滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。滴下の途中から、多量の結晶の析出が認められた。
滴下終了後、反応容器の内温を5℃以下に保ちながら、更に10分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。
【0108】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン15.3%、ナフトヒドロキノンモノメタクリレート65.6%、ナフトヒドロキノンジメタクリレート19.1%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノメタクリレートの選択率は77.4%であった。
【0109】
[実施例10]
実施例8の手順において、トルエン5.0mlの代わりにヘプタン及びトルエンの混合溶媒(ヘプタン/トルエンの容量比=1/3)5.0mlを使用し、水酸化ナトリウムの使用量を250mgから400mgに変更し、メタクリル酸クロライドの使用量を635mgから917mgに変更した他は、実施例8と同様の操作を行なうことにより、有機相に生成物を回収した。
【0110】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン5.9%、ナフトヒドロキノンモノメタクリレート66.7%、ナフトヒドロキノンジメタクリレート23.8%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノメタクリレートの選択率は70.8%であった。
【0111】
この有機相をロータリーエバポレーターで濃縮したところ、濃縮途中で結晶が多量析出した。これを濾取し、真空乾燥することによって、灰白色結晶410mgを得た。この結晶をGCにより分析したところ、純度91.3%のモノメタクリレート体であることが確認された。
【0112】
[実施例11]
実施例1と同様の手順により、反応容器に、水75.0ml、トルエン15.0ml、水酸化ナトリウム1.2g、及びナフトヒドロキノン5.0gを仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品を再蒸留したメタクリル酸クロライド3.5g(33.0mmol)を、滴下漏斗を用いて、反応容器内の混合物に85分間かけて滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。滴下の途中から、多量の結晶の析出が認められた。
滴下終了後、反応容器の内温を5℃以下に保ちながら、更に30分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、黒色固体状の粗精製物7.4gを得た。
【0113】
この粗精製物についてGCによる分析を行なったところ、その組成は、ナフトヒドロキノンモノメタクリート87.8%、ナフトヒドロキノンジメタクリレート6.7%であった。
【0114】
この粗精製物にトルエン23.0mlを加え、90〜100℃の油浴上で攪拌しながら加熱し、溶解させた。次いで放冷し、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、灰白色の結晶6.0gを得た。この結晶をGCにより分析したところ、純度93.4%のナフトヒドロキノンモノメタクリレートであることが確認された。
【0115】
得られた結晶を、トルエンを用いて同様の手順により再結晶化させたところ、灰白色の結晶5.3gを得た。この結晶をGCにより分析したところ、純度97.5%のナフトヒドロキノンモノメタクリレートであることが確認された。
なお、本実施例を通じてのナフトヒドロキノンモノメタクリレートの収率(原料のナフトヒドロキノンからの収率)は74.0%であった。
【0116】
[比較例2]
比較例1の手順において、市販品のアクリル酸クロライド660mgの代わりに市販品を再蒸留したメタクリル酸クロライド680mgを使用した他は、比較例1と同様の操作を行なうことにより、反応生成物を含有する有機相を得た。
【0117】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン27.8%、ナフトヒドロキノンモノメタクリレート17.2%、ナフトヒドロキノンジメタクリレート55.0%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノメタクリレートの選択率は23.8%であった。
【0118】
[実施例12]
実施例1と同様の手順により、反応容器に、水5.0ml、トルエン5.0ml、水酸化ナトリウム520mg(13.1mmol)、及びナフトヒドロキノン1.0g(6.2mmol)を仕込んだ。
次に、窒素ガス流通下、冷却及び攪拌しながら、注射器に取った市販の3−クロロプロピオン酸クロライド790mgを35分かけて滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。
滴下終了後、反応容器の内温を5℃以下に保ちながら、更に2時間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチル10mlを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。
【0119】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、ナフトヒドロキノン12.4%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート59.0%、ナフトヒドロキノンモノ(3−クロロプロピオネート)3.4%、ナフトヒドロキノンの三種のジエステル体{ジアクリレート体、アクリレート−(3−クロロプロピオネート)混合エステル体、ジ(3−クロロプロピオネート)体}の合計25.2%であった。なお、ナフトヒドロキノンのモノエステル体{モノアクリレート体とモノ(3−クロロプロピオネート)体}の合計は62.4%であり、これに基づくナフトヒドロキノンのモノエステル体の選択率は71.2%であった。
【0120】
[実施例13]
実施例12の手順において、水の使用量を5.0mlから15.0mlに変更した他は、実施例12と同様の操作を行なうことにより、反応生成物を含有する有機相を得た。
【0121】
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン11.8%、ナフトヒドロキノンのモノエステル体{モノアクリレート体及びモノ(3−クロロプロピオネート)体}の合計71.1%、ナフトヒドロキノンのジエステル体{ジアクリレート体、アクリレート−(3−クロロプロピオネート)混合エステル体、ジ(3−クロロプロピオネート)体}の合計17.1%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンのモノエステル体の選択率は80.6%であった。
【0122】
[実施例14]
〔エステル化処理〕
実施例1と同様の手順により、反応容器に、水45.0ml、トルエン15.0ml、水酸化ナトリウム1.2g(30.0mmol)、及びナフトヒドロキノン3.0g(18.7mmol)を仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品の3−クロロプロピオン酸クロライド2.7g(21.5mmol)を、滴下漏斗を用いて、反応容器内の混合物に85分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。
滴下終了後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、濃褐色液体状の粗精製物5.1gを得た。
【0123】
この粗精製物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、ナフトヒドロキノンのモノアクリレート体37.8%、モノ(3−クロロプロピオネート)体42.7%、三種のジエステル体{ジアクリレート体、アクリレート−(3−クロロプロピオネート)混合エステル体、ジ(3−クロロプロピオネート)体}の合計16.7%であった。
【0124】
〔脱塩酸処理〕
この粗精製物5.1gをアセトニトリル20mlに溶解させ、得られた溶液に、炭酸カリウム2.1g(15.2mmol)を加え、窒素ガスを流通させながら、室温で1時間攪拌した。その後、希塩酸を加えて反応系を酸性にし、反応を停止した。
【0125】
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、濃紫色液体状の粗精製物4.2gを得た。この粗精製物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度79.5%のナフトヒドロキノンモノアクリレートであることが確認された。
【0126】
〔再結晶精製処理〕
この粗精製物4.2gにトルエン10.0mlを加え、90〜100℃の油浴上で攪拌しながら加熱して溶解させた。次いで放冷し、析出した結晶を吸引濾過し、乾燥することにより、淡褐色結晶1.8gを得た。この結晶をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度98.0%のナフトヒドロキノンモノアクリレートであることが確認された。
【0127】
なお、本実施例を通じてのナフトヒドロキノンモノアクリレートの収率(原料のナフトヒドロキノンからの収率)は44.1%であった。
【0128】
[実施例15]
〔酸クロライド合成〕
窒素ガス気流下で、アクリル酸4.0g(55.8mmol)、塩化チオニル6.6g(55.8mmol)、ジメチルホルムアミド87μl、及びトルエン12.0mlを反応器に仕込み、33〜36℃で80分間攪拌した。次いで、反応液の温度が5℃以下となるように冷却し、反応器内に窒素ガスを吹き込んでガス成分(塩化水素及び二酸化硫黄)を追い出し、アルカリ水で捕集した。アルカリ水の温度上昇が無くなった時点で、反応液をH NMRにより分析したところ、その組成は、アクリル酸クロライド36.9mmol、3−クロロプロピオン酸クロライド17.5mmolであった。
【0129】
〔エステル化反応〕
別の反応容器に、実施例1と同様の手順により、水100ml、トルエン21.0ml、水酸化ナトリウム2.7g及びナフトヒドロキノン6.7g(41.8mmol)を仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、上記手順で得られたアクリル酸クロライド及び3−クロロプロピオン酸クロライドのトルエン溶液を、注射器を用いて上記の混合物に50分かけて滴下した。この間、反応温度を5℃以下に保った。
滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に10分間攪拌を続けた。次いで、希塩酸を加えて反応系を酸性にし、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、褐色液体状の粗精製物10.1gを得た。
【0130】
この粗精製物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、ナフトヒドロキノン2.6%、ナフトヒドロキノンのモノアクリレート体67.9%、モノ(3−クロロプロピオネート)体10.9%、ジメタクリレート体10.3%、アクリレート−(3−クロロプロピオネート)混合エステル体6.6%、ジ(3−クロロプロピオネート)体0.3%であった。
【0131】
〔脱塩化水素工程〕
この粗精製物10.1gをアセトニトリル50.0mlに溶解させ、得られた溶液に、炭酸カリウム1.7g(12.5mmol)を加え、窒素ガス雰囲気下、室温で80分間攪拌した。その後、希塩酸を加えて反応系を酸性にし、反応を停止した。続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、褐色液体状の粗精製物9.1gを得た。得られた粗精製物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度78.0%のナフトヒドロキノンモノアクリレートであることが確認された。
【0132】
〔再結晶精製処理〕
この粗精製物9.1gにヘキサン及びトルエンの混合溶媒(ヘキサン/トルエンの容量比=3/7)15.0mlを加え、ナフトヒドロキノンモノアクリレートの種結晶を加えて室温で約1時間攪拌した。攪拌の途中で、次第に結晶が析出してきた。攪拌終了後に5℃以下の環境で放置し、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、淡褐色の結晶5.1gを得た。この結晶をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度98.7%のナフトヒドロキノンモノアクリレートであることが確認された。
上記結晶5.1gに、ヘキサン及びトルエンの混合溶媒(ヘキサン/トルエンの容量比=3/7)に10容量%メタノールを加えた混合液6.0mlを加え、90〜100℃の油浴上で攪拌しながら加熱して溶解させた。放冷した後、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、淡褐色の結晶3.7gを得た。
【0133】
この結晶をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度99.5%のナフトヒドロキノンモノアクリレートであることが確認された。
なお、本実施例を通じてのナフトヒドロキノンモノアクリレートの単離収率(原料のナフトヒドロキノンからの収率)は41.2%であった。
【0134】
[実施例16]
〔酸クロライド合成〕
窒素ガス気流下で、メタクリル酸3.1g(35.4mmol)、塩化チオニル4.2g(35.4mmol)、ジメチルホルムアミド55μl及びトルエン14.0mlを反応器に仕込み、40〜45℃で70分間攪拌した。次いで、反応液の温度が5℃以下となるように冷却しながら反応器内に窒素ガスを吹き込み、ガス成分(塩化水素及び二酸化硫黄)を追い出し、アルカリ水で捕集した。アルカリ水の温度上昇が無くなった時点で、反応液をH NMRにより分析したところ、その組成は、メタクリル酸クロライド97.0mol%、3−クロロ−2−メチルプロピオン酸クロライド3.0mol%であった。
【0135】
〔エステル化反応〕
別の反応容器に、実施例1と同様の手順により、水75.0ml、トルエン11.0ml、水酸化ナトリウム2.0g及びナフトヒドロキノン5.0g(31.2mmol)を仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、上記手順で得られたメタクリル酸クロライド及び3−クロロ−2−メチルプロピオン酸クロライドのトルエン溶液を、注射器を用いて、反応容器内の混合物に80分かけて滴下した。この間、反応容器内の温度を5℃以下に保った。
滴下終了後、反応液の温度を5℃以下に保ちながら、更に40分間攪拌を続けた。次いで、希塩酸を加えて反応系を酸性にし、反応を停止させた。
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。更に、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、暗褐色固体状の粗精製物7.0gを得た。
【0136】
この粗精製物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、有機相に含有される反応生成物の組成は、ナフトヒドロキノンのモノメタクリレート体87.7%、モノ(3−クロロ−2−メチルプロピオネート)体1.3%、ジメタクリレート体3.9%、ジ(3−クロロ−2−メチルプロピオネート)体0.5%であった。
【0137】
〔再結晶精製処理〕
この粗精製物7.0gにトルエン20.0mlを加え、90〜100℃の油浴上で攪拌しながら加熱して溶解させた。放冷した後、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、淡褐色の結晶5.8gを得た。この結晶をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度93%のナフトヒドロキノンモノメタクリレートであることが確認された。
上記結晶5.8gにメタノール及びトルエンの混合液(メタノール/トルエンの容量比=1/9)19.0mlを加え、90〜100℃の油浴上で攪拌しながら加熱して溶解させた。放冷した後、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、灰白色の結晶3.0gを得た。
【0138】
この結晶をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度99.5%のナフトヒドロキノンモノメタクリレートであることが確認された。
なお、本実施例を通じてのナフトヒドロキノンモノメタクリレートの収率(原料のナフトヒドロキノンからの収率)は、41.7%であった。
【0139】
[実施例17]
実施例1と同様の手順により、反応容器に、水30.0ml、トルエン4.0ml、水酸化ナトリウム800mg(20.0mmol)、及びナフトヒドロキノン2.0g(12.5mmol)を仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品のアクリル酸クロライド1.4g(15.0mmol)を、注射器を用いて、反応容器内の混合物に60分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。この際、アクリル酸クロライドの滴下前と、アクリル酸クロライドを30%滴下した時点の2回に分けて、ナフトヒドロキノンモノアクリレートの種結晶を反応液に加えた。酸クロライドを約40%滴下した時点で、相当量の析出物が認められた。
滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に15分間攪拌を続けた。その後、希塩酸を加えて反応系(水相)のpHを酸性にし、反応を停止させた。
【0140】
続いて、抽出溶媒として酢酸エチルを加えて二層分離し、反応生成物を有機相に回収した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。
得られた有機相をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン5.5%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート70.2%、ナフトヒドロキノンジメタクリレート23.6%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノメタクリレートの選択率は74.3%であった。
【0141】
[実施例18]
実施例17の手順において、水酸化ナトリウムの使用量を800mg(20.0mmol)から700mg(17.5mmol)に変更した他は、実施例17と同様の操作を行なうことにより、濃褐色液体状の粗精製物2.8gを得た。
得られた粗精製物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、その組成は、残存原料であるナフトヒドロキノン3.4%、ナフトヒドロキノンモノアクリレート73.9%、ナフトヒドロキノンジメタクリレート21.8%であった。また、これらの値から求めたナフトヒドロキノンモノメタクリレートの選択率は76.5%であった。
この粗精製物にトルエン6.0mlを加え、90〜100℃の油浴上で攪拌しながら加熱して溶解させた。次いで放冷し、析出した結晶を濾取し、乾燥することにより、灰白色結晶1.2gを得た。
【0142】
この結晶をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度97.0%のナフトヒドロキノンモノアクリレートであることが確認された。
なお、本実施例を通じてのナフトヒドロキノンモノアクリレートの収率(原料のナフトヒドロキノンからの収率)は42.8%であった。
【0143】
[実施例19]
実施例1と同様の手順により、反応容器に、水30.0ml、トルエン10.0ml、水酸化ナトリウム800mg(20.0mmol)、及びナフトヒドロキノン2.0g(12.5mmol)を仕込んだ。
次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品を再蒸留したメタクリル酸クロライド1.4g(13.1mmol)を、滴下漏斗を用いて、反応容器内の混合物に48分間かけて滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。メタクリル酸クロライドを全量の約30%滴下した時点で、明らかな結晶析出が認められた。
滴下終了後、内温を5℃以下に保ちながら、更に30分間攪拌を続けた。その後、析出した結晶を濾取し、n−ヘキサンで洗浄してから乾燥することにより、白色の結晶1.6gを得た。
【0144】
得られた結晶をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、純度97.4%のナフトヒドロキノンモノメタクリレートであることが確認された。
なお、本実施例を通じてのナフトヒドロキノンモノメタクリレートの収率(原料のナフトヒドロキノンからの収率)は53.0%であった。
【0145】
[ナフトヒドロキノンモノアクリレートの物理化学的性質]
実施例15で得られたナフトヒドロキノンモノアクリレートの物理化学的性質を分析したところ、その結果は以下の通りであった。
融点:108.5−109.4℃
マススペクトル(EI):214(M)、160、55
H−NMR(CDCl、400MHz):
8.05(bd、1H)、7.74(bd、1H)、7.49(bdd、1H)、
7.4(bdd、1H)、6.97(d、1H)、6.73(bd、1H)、
6.48(dd、1H)、6.47(d、1H)、6.10(bd、1H)、
5.98(bs、1H)
IR(KBr):3260cm−1(OH)、1712cm−1(C=O)
【0146】
[ナフトヒドロキノンモノメタクリレートの物理化学的性質]
実施例11で得られたナフトヒドロキノンモノメタクリレートの物理化学的性質を分析したところ、その結果は以下の通りであった。
融点:151.0−151.7℃
マススペクトル(EI):228(M)、159、69
H−NMR(CDCl、400MHz):
8.04(bd、1H)、7.74(bd、1H)、7.49(bdd、1H)、
7.43(bdd、1H)、6.95(d、1H)、6.53(bs、1H)、
6.46(d、1H)、5.95(bs、1H)、5.86(bs、1H)、
2.16(bs、3H)
IR(KBr):3380cm−1(OH)、1705cm−1(C=O)
【0147】
[屈折率]
実施例1で得られた、ナフトヒドロキノンモノアクリレート(4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート)の屈折率(n)を測定した。結果を[表1]に示す。
【0148】
[比較例3]
比較例3として、通常市販されているアルキルアクリレート(具体例として、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いた。)の屈折率(n)を測定した。結果を[表1]に示す。
【0149】
[比較例4]
比較例4として、通常市販されている芳香族アクリレート(具体例として、2−フェノキシエチルアクリレートを用いた。)の屈折率(n)を測定した。結果を[表1]に示す。
【0150】
[実施例1]、[比較例3]、及び[比較例4]の屈折率(n)の結果を以下[表1]に示す。これらの結果より、合成実施例1で得られたナフトヒドロキノンモノアクリレートは、通常市販されているアルキルアクリレートや芳香族アクリレートに対して、高い屈折率を示していることがわかった。
【表1】

【0151】
[実施例20]
トリメチロールプロパントリアクリレート(以下「TMPTA」ということがある。)と4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレートの共重合
トリメチロールプロパン50重量部、4−ヒドロキシ−1−ナフチルアクリレート50重量部に、光重合開始剤としてチバ社製のイルガキュア819を1重量部加え、光硬化組成物とした。これを、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、膜厚100μm)上に、バーコーターを用いて膜厚12μmとなるよう塗布した。次いで窒素雰囲気下、紫外線LED(光中心波長395nm、照射強度3mw/cm)を30分照射した。その結果、フィルム状の塗布物はきれいに硬化したので、塗布面にナイフで1cm画の筋をいれ、粘着テープ(商品名:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を塗布物に貼り付けた後、粘着テープをはがし、フィルム状の塗布物が剥がれたか否かで塗布物の密着性を判定した。結果を[表2]に示す。
【0152】
[実施例21]
基板としてポリエステルフィルムの代わりにガラス基板を用いた以外は、実施例20と同様に光硬化試験し、その密着性を判定した。結果を[表2]に示す。
【0153】
[比較例5]
トリメチロールプロパントリアクリレートと4−メトキシ−1−ナフチルメタクリレートの共重合
トリメチロールプロパントリアクリレート50重量部、4−メトキシ−1−ナフチルアクリレート50重量部に、光重合開始剤としてチバ社製のイルガキュア819を1重量部加え、光硬化組成物とした。これを、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、膜厚100μm)上に、バーコーターを用いて膜厚12μmとなるよう塗布した。次いで窒素雰囲気下、紫外線LED(光中心波長395nm、照射強度3mw/cm)を30分照射した。その結果、フィルム状の塗布物はきれいに硬化したので、実施例20と同様にして密着性を判定した。結果を[表2]に示す。
【0154】
[比較例6]
基板としてポリエステルフィルムの代わりにガラス基板を用いた以外は比較例5と同様に光硬化試験し、その密着性を判定した。結果を[表2]に示す。
【0155】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートは、1分子中にナフタレン骨格、水酸基及び(メタ)アクリル基を有しており、モノマーとして利用しやすく、医薬やエンジニアリングプラスチックの原料として有望である。
特にナフタレン骨格を有することから、耐熱性樹脂、高屈折率樹脂、高硬度樹脂、疎水性樹脂等の原料となりうる他、光硬化して得られたフィルム状の塗布物の密着性は極めて高いなど、工業的に有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表わされる
ことを特徴とする、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート。
【化1】

(上記式(I)において、Rは、水素原子又はメチル基を表わし、X,Yは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基のいずれかを表す。)
【請求項2】
請求項1記載のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートを製造する方法であって
ナフトヒドロキノンと酸ハライドとを、無機塩基の存在下で反応させる工程を有する
ことを特徴とする、ナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項3】
ナフトヒドロキノンに対する酸ハライドのモル比が2未満である
ことを特徴とする、請求項2記載のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項4】
酸ハライドとして(メタ)アクリル酸ハライドを用いる
ことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項5】
酸ハライドとして少なくとも3−ハロゲン化プロピオン酸ハライドを用いることにより、ナフトヒドロキノンモノアクリレートを得る
ことを特徴とする、請求項2〜4の何れか一項に記載のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項6】
酸ハライドとして少なくとも3−ハロゲン化−2−メチルプロピオン酸ハライドを用いることにより、ナフトヒドロキノンモノメタクリレートを得る
ことを特徴とする、請求項2〜4の何れか一項に記載のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項7】
水相及び有機相からなる二相系で反応を行なう
ことを特徴とする、請求項2〜6の何れか一項に記載のナフトヒドロキノンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。

【公開番号】特開2009−29801(P2009−29801A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170927(P2008−170927)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】