説明

ナースコールの握り押ボタン用のアタッチメント

【課題】本発明は、親指を使用しなくても握り押ボタン式子機を弱い把持力で操作することを可能にする握り押ボタン用のアタッチメントを提供する。
【解決手段】アタッチメント1は、ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機100に装着されて押ボタン101の操作を介助する。このアタッチメント1は、把持部10とレバー部20とを備える。把持部10は、握り押ボタン式子機100の胴部102の外面から離れて配置され、押ボタン101の押し込み方向Pに対して交差する方向Gへ可撓性を有する。レバー部20は、押ボタン101を挟む両側に一対に、押ボタン101の押し込み方向Pと反対の方向へ延びた把持部10に設けられる支持部15に、押ボタン101を越えて保持され、把持部10を押ボタン101の押し込み方向Pと交差する方向Gへ接近させることで、押ボタン101を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機に装着される握り押ボタン用のアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機は、必要に応じて看護者を呼び出せるように入院者に個別に割り当てられている。握り押ボタン式子機は、掌に納まる胴部と、この胴部の端部に設けられた押ボタンとを有している。したがって、握り押ボタン式子機を片手で操作する場合、押ボタンは、親指で操作される。
【0003】
ところで、把持力が弱い入院者のために、握り押ボタン式子機を掌の中に保持しておくためのナースコールホルダが特許文献1に開示されている。このナースコールホルダを装着した握り押ボタン式子機は、親指で押ボタンを操作するように構成されている。
【特許文献1】特開2005−58455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、入院者の把持力が弱い場合には、親指の筋力も相対的に低下していることが多いので、親指で押ボタンを押すことが困難になってしまうという問題点があった。特に、握り押ボタン式子機は、親指で操作することが前提となって造られているものが多い。したがって、他の4本の指に十分な筋力があっても、操作しづらくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、親指を使用しなくても握り押ボタン式子機を弱い把持力で操作することを可能にする握り押ボタン用のアタッチメントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る握り押ボタン用のアタッチメントは、ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機に装着されて押ボタンの操作を介助する。このアタッチメントは、把持部とレバー部とを備える。把持部は、握り押ボタン式子機の胴部の外面から離れて配置され、押ボタンの押し込み方向に対して交差する方向へ可撓性を有する。レバー部は、押ボタンを挟む両側に一対に、押ボタンの押し込み方向と反対の方向へ延びた把持部に設けられる支持部に、押ボタンを越えて保持され、押ボタンの押し込み方向と交差する方向へ把持部を胴部に向けて接近させることで、押ボタンを押圧する。
【0007】
また、本発明の他の態様によれば、レバー部は、支持部から押ボタンに向けて直線的に延びて、支持部を中心に回動する一対のアームで構成され、このアームが、互に抜脱可能に連結されている。
【0008】
また、本発明の他の態様によれば、支持部に案内部を有し、レバー部に当接部と摺接部とを有する。案内部は、押ボタンの押し込み方向に向かって胴部から離れる方向へ傾斜している。当接部は、押ボタンに当接し、摺接部は、支持部が互に接近することで押ボタンを押し込む方向へ当接部を付勢する。また、レバー部は、押ボタンの押し込み方向と反対方向へ支持部よりも突出した補助部を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、把持部を握ることで把持部が互に接近すると、レバー部が押ボタンを押し込む方向へ付勢されるので、押ボタンを操作することができる。したがって、親指を使わなくても押ボタンを押すことができる。
【0010】
また、本発明の他の態様によれば、アームが互いに抜脱可能に連結されているので、アームを抜脱した状態で握り押ボタン式子機を容易に着脱することができる。
【0011】
また、本発明の他の態様によれば、把持部を握ることにより押ボタンを操作できることに加え、案内部により押ボタンの押し込み方向へ案内されるレバー部に設けた補助部を押すことによっても当接部により押ボタンが操作されるので、押ボタンを親指で操作することもできる。これにより、アタッチメントを装着したままでも親指による操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る第1の実施形態のアタッチメント1について、図1から図4を参照して説明する。図1に示すアタッチメント1は、握り押ボタン式子機100に装着される。ここで、握り押ボタン式子機100は、ナースコール装置に接続される子機の一形態である。また、握り押ボタン式子機100は、押ボタン101と胴部102とコード103とを備えており、胴部102は、基部102aと先端部102bとを備えている。
【0013】
胴部102は、利用者が握りやすいように、かつ、清拭性を考慮して、滑らかな外形を有している。押ボタン101は、コード103が延びる基部102aに対して反対側の先端部102bに表面を露出している。ここで、押ボタン101は、先端部102bから基部102aに向かって押ボタン101を押し込むことにより操作可能である。また、押ボタン101を押し込んでいない状態では、押ボタン101の取付位置に設けたバネなどにより押ボタン101は、元の位置に戻るようになっている。
【0014】
アタッチメント1は、特に、握力が低下した入院者が握り押ボタン式子機100に設けられる押ボタン101を操作することを介助するためのものである。アタッチメント1は、把持部10とレバー部20とを備える。
【0015】
把持部10は、基部102a側で握り押ボタン式子機100に固定され、押ボタン101側まで隙間を有したまま胴部102に沿って基部102aから一対に延びている。把持部10は、握り押ボタン式子機100の押ボタン101を押し込む方向Pに対して交差する胴部102へ向かう方向Gへ十分な可撓性を有している。また、把持部10の外面には、滑り止めのための凹部11が複数設けられている。
【0016】
また、把持部10の基部102a側には、握り押ボタン式子機100をアタッチメント1に固定する固定端12が設けられている。把持部10の固定端12の内部は、図2に示すように握り押ボタン式子機100の外形に沿ってすり鉢形状に形成されている。また、把持部10の間を通るスリット13が固定端12に設けられている。このスリット13は、握り押ボタン式子機100をアタッチメント1に着脱する際に、コード103を通すためのものである。
【0017】
レバー部20は、押ボタン101に対して押し込む方向Pと反対の方向へ一対に延びた把持部10の可撓端14に設けられる支持部15で把持部10と一体に成形されている。また、レバー部20は、押ボタン101を越える位置に保持され、図2に示すように中央部が押ボタン101に当接している。レバー部20は、第1のアーム21と第2のアーム22とで構成されている。
【0018】
第1のアーム21と第2のアーム22とは、それぞれ支持部15を中心に押ボタン101に向かって回動可能であり、図4に示すように中央部で抜脱可能に連結される。図2乃至図4に示すように、第1のアーム21の回動端にメス型嵌合部21aが形成され、第2のアーム22の回動端にオス型嵌合部22aが形成されている。
【0019】
また、第1のアーム21と第2のアーム22とは、それぞれ支持部15から直線的に押ボタン101に向かって延びている。ここで、第1のアーム21と第2のアーム22とが連結された結合部20aは、第1のアーム21および第2のアーム22がそれぞれ回動する中心軸と平行な軸を中心に屈曲することが可能である。この結合部20aは、図2に示すように、支持部15を結ぶ線分Aよりも押ボタン101側に偏った位置に配置される。
【0020】
以上のように構成されたアタッチメント1の把持部10を図1に示すように外側から握り、把持部10を押ボタン101の押し込む方向Pと交差する胴部102へ向かう方向Gへ接近させることで、レバー部20の第1のアーム21と第2のアーム22とが互に突っ張りあい、結合部20aは、押ボタン101を押し込む方向Pへ付勢される。
【0021】
したがって、握り押ボタン式子機100にこのアタッチメント1が装着されていれば、握力が低下し、特に親指を十分に動かし難い入院者は、把持部10を握ることで、押ボタン101を親指で押すのと同じように操作することができる。また、本実施形態のアタッチメント1は、構造も簡単であり、安価に製造することができる。
【0022】
さらに、このアタッチメント1は、部品点数が少ない。図4に示すように、レバー部20の第1のアーム21と第2のアーム22との結合部20aを外すことで、アタッチメント1は、簡単に握り押ボタン式子機100に取り付け、取り外しすることができる。したがって、汚れが付着した場合にも、直ぐにはずして洗浄することができる。
【0023】
アタッチメント1の材料としては、第1のアーム21および第2のアーム22が支持部15を支点に繰り返し折曲げられること、把持部10が十分な可撓性を維持できることを考慮した材料、かつ、アルコールで溶解することなく、薬品によって劣化し難い材料が望ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニル等が良い。
【0024】
また、上記したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニル等の材料に蓄光性を持つ材料を混ぜることで、アタッチメント1を夜間でも視認可能とすることができる。
【0025】
次に、本発明に係る第2の実施形態のアタッチメントについて、図5を参照して説明する。このアタッチメント1Aは、第1の実施形態に記載のアタッチメント1と比べて、レバー部20Aの構造が異なる。第1の実施形態のアタッチメント1と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】
レバー部20Aは、中央部でやや薄くなるよう形成された一続きのプレートであり、両方の端部23が、把持部10の可撓端14に形成された支持部15Aに回動可能に連結されている。レバー部20Aは、支持部15Aを結ぶ線分Aよりも押ボタン101側に湾曲しており、中央部が押ボタン101に当接している。
【0027】
把持部10を握ると支持部15Aが互に押ボタン101を押し込む方向Pと交差する方向Gへ接近する。その結果、レバー部20Aは、撓んで、押ボタン101を付勢する方向Pへさらに曲げられる。特に、中央部がやや薄く形成されているので曲がりやすい。
【0028】
このように、把持部10を軽く握ることで、第1の実施形態と同様にレバー部20Aが押ボタン101を押圧する。握力が弱く、親指に十分な力が入らない場合でも、このアタッチメント1Aは、押ボタン101を操作する動作を介助するので、握り押ボタン式子機100を軽い力で簡単に操作することができる。
【0029】
レバー部20Aは、両方の端部23ともに取外し可能に連結する代わりに、どちらか一方が取外し可能で、他方が第1の実施形態と同様に支持部15で把持部10と一続きに成形されていても良い。
【0030】
次に、本発明に係る第3の実施形態のアタッチメント1Bについて、図6を参照して説明する。このアタッチメント1Bは、第1の実施形態のアタッチメント1および第2の実施形態のアタッチメント1Aと比べて、レバー部20Bの構造が異なる。第1の実施形態のアタッチメント1と同じ機能を有する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
このアタッチメント1Bは、カム孔31(特許請求の範囲の案内部に該当する)が形成されて把持部10の可撓端14に取り付けられたカムピース30(特許請求の範囲の支持部に該当する)と、レバー部20Bとなる浮動子40とを有している。浮動子40は、押ボタン101に接する当接部41と、カム孔31に案内されるピン42と、カムピース30よりも押ボタン101の押し込む方向Pと反対方向へ膨出する補助部43とを備える。
【0032】
カム孔31は、押ボタン101の押し込む方向Pへ向かうにつれて握り押ボタン式子機100の胴部102から離れる方向へ傾斜している。浮動子40のピン42は、カムピース30が互に接近する方向Gへ移動することでテーパ面となるカム孔31と迫合い、押ボタン101を押し込む方向Pへ変位する。
【0033】
押ボタン101を押し込む方向Pと交差する胴部102に向かう方向Gへ把持部10を握り締めると、押ボタン101を押し込む方向Pへカム孔31がピン42を案内し、浮動子40が押ボタン101を押し込む方向Pへ変位する。この結果、当接部41は、押ボタン101を付勢する。このアタッチメント1Bは、浮動子40に補助部43を有しているので、把持部10を握ることにより押ボタン101を操作できることに加え、補助部43を直接押すことで当接部41が押ボタン101を付勢して、押ボタン101を操作することができる。これにより、アタッチメント1Bを装着したままでも親指による操作を行うことができる。
【0034】
なお、前述した実施形態では、把持部10とレバー部20とを一体的に形成しているが、これに限定されない。例えば、把持部とレバー部とを別体とし、ヒンジなどにより接続するようにしても良い。
【0035】
また、前述した実施形態では、把持部10を握ることで押ボタン101を操作しているが、これに限定されない。例えば、把持部10の一方の側面を壁面やベッドなどに固定し、他方の側面を掌や手の甲などで押すことで押ボタン101を操作するようにしても良い。
【0036】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明は尾sの制振、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のアタッチメントを握り押ボタン式子機に装着した状態を示す斜視図。
【図2】図1に示したアタッチメントの断面図。
【図3】図2に示したアタッチメントが操作された状態の断面図。
【図4】図1に示したアタッチメントを握り押ボタン式子機に装着する途中の斜視図。
【図5】本発明に係る第2の実施形態のアタッチメントのレバー部近傍を示す断面図。
【図6】本発明に係る第3の実施形態のアタッチメントのレバー部近傍を示す断面図。
【符号の説明】
【0038】
1,1A,1B…アタッチメント、10…把持部、15,15A…支持部、20,20A,20B…レバー部、100…握り押ボタン式子機、101…押ボタン、102…胴部、A…(支持部を結ぶ)線分、P…(押ボタンを押し込む)方向、G…(方向Pと交差する)方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機に装着されて押ボタンの操作を介助するアタッチメントであって、
前記握り押ボタン式子機の胴部の外面から離れて配置されて前記押ボタンの押し込み方向に対して交差する方向へ可撓性を有する把持部と、
前記押ボタンの押し込み方向と反対の方向に延びた前記把持部の前記押ボタンを挟む両側に設けられる一対の支持部に、前記押ボタンを越えて保持され、前記押ボタンの押し込み方向と交差する前記胴部に向かう方向へ前記把持部を接近させることで、前記押ボタンを押圧するレバー部と
を備えることを特徴とする握り押ボタン用のアタッチメント。
【請求項2】
前記握り押ボタン式子機がコードを接続した基部に対して先端側に前記押ボタンを備えたものである場合に、
前記把持部は、前記基部側で前記握り押ボタン式子機に固定され、前記押ボタン側まで前記胴部に対して隙間を有して延びている
ことを特徴とする請求項1に記載の握り押ボタン用のアタッチメント。
【請求項3】
前記レバー部は、前記支持部を結ぶ線分よりも前記押ボタン側に曲がることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の握り押ボタン用のアタッチメント。
【請求項4】
前記レバー部は、前記支持部から前記押ボタンに向けて直線的に延びて、前記支持部を中心に回動する一対のアームで構成され、
前記アームは、互に抜脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の握り押ボタン用のアタッチメント。
【請求項5】
前記支持部は、前記押ボタンの押し込み方向に向かって前記胴部から離れる方向へ傾斜する案内部を有し、
前記レバー部は、前記押ボタンに当接する当接部と、前記支持部が互に接近することで前記案内部に案内されて前記押ボタンを押し込む方向に前記当接部を付勢する摺接部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の握り押ボタン用のアタッチメント。
【請求項6】
前記レバー部は、前記押ボタンの押し込み方向と反対方向へ前記支持部よりも突出した補助部とを有することを特徴とする請求項1に記載の握り押ボタン用のアタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−167205(P2007−167205A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366620(P2005−366620)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】