説明

ナースコールシステム

【課題】ナースコール親機若しくは携帯端末で通話機能付き子機からの呼出か通話機能無し子機からの呼出かを識別する。
【解決手段】ナースコール親機(1)と通話機能付き子機(3)及び通話機能無し子機(4)とを備え、ナースコール親機にはナースコール親機に接続される子機が通話機能付き子機又は通話機能無し子機であるかを識別するための通話検出回路(24)と、通話機能付き子機又は通話機能無し子機からの呼出を報知するための親機呼出報知部(11、20)と、通話検出回路にて識別される通話機能付き子機又は通話機能無し子機の呼出元の種別情報に対応させて呼出報知部での報知パターンを変化させるための親機制御部(15)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに係わり、特に子機の通話機能の有無を検出できるナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からナースコールシステムでは被看護者(入院患者)が看護者を呼び出すための子機が備えられているが、この子機には被看護者と看護者が通話できる通話機能付き子機と握りボタンの押下等により被看護者が看護者を呼び出す通話機能無し子機とがある。
【0003】
このような通話機能付き子機と通話機能無し子機とがシステム内に混在しているのは、例えば、トイレや風呂など緊急を要し、また通話機能があったとしても音声が聞き取りにくい場所からの呼出や多床室での代表呼出(部屋単位の呼出)のように他の被看護者に会話の内容を聞かれたくないような場合の呼出には通話機能無し子機を用い、一方、被看護者が看護者と会話により意志を伝えたい時には通話機能付き子機を用いるというように状況に応じて使い分けるようにするためである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
その他に、通話機能付き子機と通話機能無し子機とをシステム内に混在させた方が導入コストを低減できるという利点もある。
【0005】
【特許文献1】特開2007−6929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の従来のナースコールシステムでは、被看護者から看護者への呼出が通話機能付き子機からの呼出か通話機能無し子機からの呼出かが識別できなかった。
【0007】
即ち、例えば被看護者が点滴の終了を看護者に連絡したい場合、もし通話機能無しの子機の場合には看護者が病室の被看護者のところまで行って初めて点滴終了を確認し、その後の措置を準備することになるが、通話機能付きの子機の場合には被看護者と看護者との間で点滴終了の会話ができるので、被看護者は病室へ行く前に次の対応が準備できる。
【0008】
このように、通話機能付き子機からの呼出か通話機能無し子機からの呼出かが識別できない場合には、被看護者が看護者に対してどのような要求を出しているのかの判断に時間がかかり、対応が遅くなるという問題があった。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決したものであり、ナースコール親機若しくは携帯端末で通話機能付き子機からの呼出か通話機能無し子機からの呼出かを識別して、その後の措置を迅速に行うことができるナースコールシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のナースコールシステムの第1の態様は、被看護者が看護者を呼び出すためベッド、トイレ、風呂等の各所に設けられ、被看護者が看護者との間で通話を成立させるための通話機能を有する通話機能付き子機及び通話機能を有しない通話機能無し子機の何れか一方と、伝送路を経由して通話機能付き子機及び通話機能無し子機の両者に接続可能で、子機からの呼び出しが報知され、通話機能付き子機が接続されている場合、呼び出しに応答して通話を成立させるためのナースコール親機を備え、子機には、ナースコール親機から伝送路を経由して電源が供給され、ナースコール親機には、伝送路の電流・電圧変化をもとに当該ナースコール親機に接続される子機が通話機能付き子機又は通話機能無し子機であるかを識別するための通話検出回路と、通話機能付き子機又は通話機能無し子機からの呼び出しを報知するための親機呼出報知部と、通話検出回路にて識別される通話機能付き子機又は通話機能無し子機の呼出元の種別情報に対応させて呼出報知部での報知パターンを変化させるための親機制御部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のナースコールシステムの第2の態様は、被看護者が看護者を呼び出すためベッド、トイレ、風呂等の各所に設けられ、被看護者が看護者との間で通話を成立させるための通話機能を有する通話機能付き子機及び通話機能を有しない通話機能無し子機の何れか一方と、伝送路を経由して通話機能付き子機及び通話機能無し子機の両者に接続可能で、子機からの呼び出しが報知され、呼び出しに応答して通話を成立させるためのナースコール親機と、ナースコール親機により制御され子機からの呼び出しが報知され、通話機能付き子機が接続されている場合、呼び出しに応答して通話を成立させるための看護者により携行される携帯端末を備え、携帯端末には、通話機能付き子機又は通話機能無し子機からの呼び出しを報知するための携帯端末呼出報知部と、子機には、ナースコール親機から伝送路を経由して電源が供給され、ナースコール親機には、伝送路の電流・電圧変化をもとに当該ナースコール親機に接続される子機が通話機能付き子機又は通話機能無し子機であるかを識別するための通話検出回路と、通話検出回路にて識別される通話機能付き子機又は通話機能無し子機の呼出元の種別情報に対応させて携帯端末の呼出報知部での報知パターンを変化させるための親機制御部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のナースコールシステムによれば、看護者が被看護者からの呼出に対してナースコール親機又は携帯端末で通話機能付き子機からの呼出か通話機能無し子機からの呼出かが即座に識別できるので、呼出後の措置について迅速に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明によるナースコールシステムの実施の形態を図に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明によるナースコールシステムのブロック図の一例である。
【0015】
図1において、本発明のナースコールシステムは、病院等において被看護者からの呼出しを看護者に知らせるナースコール親機1と、被看護者が看護者を呼出すために操作する通話機能無し子機4、4、・・・と、被看護者が看護者を呼出し通話するために操作する通話機能付き子機3、3、・・・と、被看護者からの呼出を回診中のためにナースステーションから離れた場所にいる看護者にも知らせるための看護者の携帯する携帯端末53と、この携帯端末へ呼出情報を着信させるための交換機51、基地局52とからなる。
【0016】
このようなナースコールシステムは、ナースコール親機1と、通話機能無し子機4、4、・・・と、通話機能付き子機3、3、・・・がそれぞれ子機ラインL1、L2を介して、また交換機51、基地局52が交換機ラインLXを介して接続されている。
【0017】
ここで、ナースコール親機1には、子機からの呼出を検出する呼出検出回路17と、この呼出検出回路17と接続され、呼出があったことを親機表示回路12を介して表示する親機呼出報知部の一つである親機表示灯11が備えられており、また呼出があった場合この呼出が通話機能付き子機からのものか通話機能無し子機からのものかを識別する通話検出回路24と、この通話検出回路24と接続され呼出が通話機能無し子機からのものである場合に通話表示回路23を介して点灯表示する通話表示灯22が備えられている。
【0018】
さらにナースコール親機1には、看護者が被看護者と通話を開始するための選局スイッチ13が子機との通話を可能にする通話切替回路14と接続されており、この通話切替回路14と接続され、呼出音の発生や看護者と被看護者とを通話状態にさせる親機音声回路16が備えられている。
【0019】
そして親機音声回路16には呼出音の鳴動や被看護者からの音声を報音するための親機スピーカアンプ18及び親機呼出報知部の一つである親機スピーカ20、看護者が被看護者に通話するための親機マイクアンプ19及び親機マイク21が接続されており、さらに親機音声回路16と接続されて呼出情報を交換機51及び基地局52を介して携帯端末53へ伝送するための交換機インターフェイス回路25が備えられている。
【0020】
またナースコール親機1内において各構成機器の動作を制御するための親機制御回路15が備えられている。
【0021】
なお、ナースコール親機1内には商用電源から電源を受電し、ナースコール親機1内の各構成機器及び通話機能付き子機3、通話機能無し子機4に電源を供給するための電源部26が備えられている。
【0022】
一方、通話機能付き子機3には、被看護者が看護者に対して通話を開始するための呼出ボタン32、呼出があったことを被看護者に知らせるための子機呼出表示灯31、被看護者が看護者との間で通話を可能にするための子機音声回路34が備えられており、これらの各構成機器は通話機能付き子機3内の動作を制御する子機制御回路33に接続されている。そして、子機音声回路34には子機マイク35、子機スピーカ36が接続されている。
【0023】
また、通話機能無し子機4には、被看護者が看護者に対して呼出を行うための呼出ボタン42、呼出があったことを被看護者に知らせるための子機呼出表示灯41が備えられており、これらの構成機器は通話機能無し子機4内の動作を制御する子機制御回路43に接続されている。
【0024】
次に、このように構成されたナースコールシステムにおける通話機能付き子機からの呼出か通話機能無し子機からの呼出かを識別する動作について説明する。
【0025】
まず、被看護者が通話機能無し子機4の呼出ボタン42を押すと、通話機能無し子機4の子機制御回路43は呼出を被看護者に知らせるための子機呼出表示灯41を点灯させると共に、子機ラインL1を介してナースコール親機1へ呼出を知らせる。
【0026】
ナースコール親機1では、呼出検出回路17にて呼出を検出し、親機表示回路12を介して親機表示灯11を点灯させる。このとき、通話機能無し子機4は通話機能が無いため、伝送路の電流・電圧変化をもとに通話検出回路24が通話機能無し子機からの呼出であることを検出し、親機制御回路15は、親機音声回路16から呼出音を発生させ親機スピーカアンプ18を介して親機スピーカ20より通話機能無し子機からの呼出であることを示す報知パターンによる呼出音を鳴動させることで看護者に対し被看護者からの呼出を報知する。
【0027】
また、通話表示回路23を介して通話表示灯22を点灯させることで看護者に通話機能無し子機からの呼出である旨を伝え、その後の取るべき処置に関して迅速な対応を促す。
【0028】
同時に、親機制御回路15は交換機インターフェイス25を介して、交換機51へ呼出情報を伝送する。交換機51は基地局52より無線信号で携帯端末53へ呼出情報を着信させる。
【0029】
携帯端末53は、図2に示すように携帯端末呼出報知部の一つである呼出先表示532(例えば、3階トイレの2番目)と通話不可表示533(例えば、通話不可の場合×印)の呼出情報を表示画面531に表示させることで看護者に被看護者の現在の場所及び通話機能無し子機からの呼出である旨を伝え、その後の取るべき処置に関して迅速な対応を促す。なお、携帯端末53には、携帯端末呼出報知部として呼出先表示532の他に携帯端末スピーカ530も備えられている。
【0030】
一方、被看護者が通話機能付き子機3の呼出ボタン32を押すと、子機制御回路33は呼出を被看護者に知らせるための子機呼出表示灯31を点灯させると共に、子機ラインL2を介してナースコール親機1へ呼出を知らせる。
【0031】
ナースコール親機1では、呼出検出回路17にて呼出を検出し、親機表示回路12を介して親機表示灯11を点灯させる。このとき、通話機能付き子機3は通話機能が有るため、伝送路の電流・電圧変化をもとに通話検出回路24は通話機能付き子機からの呼出であるため通話機能無し子機からの呼出を検出せず、親機制御回路15は、親機音声回路16から呼出音を発生させ親機スピーカアンプ18を介して親機スピーカ20より通話機能付き子機からの呼出であることを示す報知パターンによる呼出音を鳴動させることで看護者に対し被看護者からの呼出を報知する。また、通話表示灯22は点灯しない。
【0032】
看護者が被看護者からの呼出が通話機能付き子機からのものであると判断した場合は、看護者は被看護者との通話をするためにナースコール親機1の選局スイッチ13を操作する。選局スイッチ13の操作が行われると通話切替回路14が子機ラインL2と親機音声回路16を接続し、親機スピーカアンプ18及び親機マイクアンプ19を介して親機スピーカ20及び親機マイク21を通話状態にする。
【0033】
一方、通話機能付き子機3では、子機制御回路33が子機ラインL2と子機音声回路34を接続し、子機マイク35と子機スピーカ36を使用可能にすることで、ナースコール親機1との間で通話を成立させる。
【0034】
ところで、携帯端末53の呼出情報は通話可能表示(例えば、○印)を表示させてもよく、また通話不可表示又は通話可能表示を子機からの呼出に応じて切替て表示させるようにしてもよい。
【0035】
以上のように本発明のナースコールシステムでは、看護者が被看護者からの呼出に対して通話機能付き子機からのものであるか通話機能無し子機からのものであるかを即座に判断することができるので、被看護者に対して迅速かつ配慮の行き届いた対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のナースコールシステムのブロック図の一例である。
【図2】本発明のナースコールシステムの携帯端末の表示画面の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ナースコール親機
3 通話機能付き子機
4 通話機能無し子機
11 親機表示灯
12 親機表示回路
15 親機制御回路
20 親機スピーカ
24 通話検出回路
53 携帯端末
530 携帯端末スピーカ
532 呼出先表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被看護者が看護者を呼び出すためベッド、トイレ、風呂等の各所に設けられ、前記被看護者が前記看護者との間で通話を成立させるための通話機能を有する通話機能付き子機(3)及び前記通話機能を有しない通話機能無し子機(4)の何れか一方と、伝送路(L1、L2)を経由して前記通話機能付き子機及び前記通話機能無し子機の両者に接続可能で、前記子機からの呼び出しが報知され、前記通話機能付き子機が接続されている場合、前記呼び出しに応答して通話を成立させるためのナースコール親機(1)を備え、
前記子機には、前記ナースコール親機から前記伝送路を経由して電源が供給され、前記ナースコール親機には、前記伝送路の電流・電圧変化をもとに当該ナースコール親機に接続される子機が前記通話機能付き子機又は前記通話機能無し子機であるかを識別するための通話検出回路(24)と、前記通話機能付き子機又は前記通話機能無し子機からの呼び出しを報知するための親機呼出報知部(11、20)と、前記通話検出回路にて識別される前記通話機能付き子機又は前記通話機能無し子機の呼出元の種別情報に対応させて前記呼出報知部での報知パターンを変化させるための親機制御部(15)を備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
被看護者が看護者を呼び出すためベッド、トイレ、風呂等の各所に設けられ、前記被看護者が前記看護者との間で通話を成立させるための通話機能を有する通話機能付き子機(3)及び前記通話機能を有しない通話機能無し子機(4)の何れか一方と、伝送路(L1、L2)を経由して前記通話機能付き子機及び前記通話機能無し子機の両者に接続可能で、前記子機からの呼び出しが報知され、前記呼び出しに応答して通話を成立させるためのナースコール親機(1)と、前記ナースコール親機により制御され前記子機からの呼び出しが報知され、前記通話機能付き子機が接続されている場合、前記呼び出しに応答して通話を成立させるための前記看護者により携行される携帯端末(53)を備え、
前記携帯端末には、通話機能付き子機又は前記通話機能無し子機からの呼び出しを報知するための携帯端末呼出報知部(530、532)と、
前記子機には、前記ナースコール親機から前記伝送路を経由して電源が供給され、前記ナースコール親機には、前記伝送路の電流・電圧変化をもとに当該ナースコール親機に接続される子機が前記通話機能付き子機又は前記通話機能無し子機であるかを識別するための通話検出回路(24)と、前記通話検出回路にて識別される前記通話機能付き子機又は前記通話機能無し子機の呼出元の種別情報に対応させて前記携帯端末の前記呼出報知部での報知パターンを変化させるための親機制御部(15)を備えたことを特徴とするナースコールシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−55531(P2009−55531A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222482(P2007−222482)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】