説明

ヌクレオシド・テトラフォスフェート・アナローグ類の製造方法

本発明は、アデノシン-リボフラノシド・テトラフォスフェート化合物を製造するための化合物及びその製造方法を提供する。当該化合物は、P2Y受容体に活性を有するもので、嚢胞性線維症や上部呼吸器疾患などの医学上の疾患を処置るることに使用されてよいものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年2月15日に出願された米国特許仮出願第61/029,074号明細書の優先権の利益を主張するもので、この米国特許仮出願の内容は、ここに参照によって本出願の開示に含められるものである。
【0002】
本発明は、アデノシン・テトラフォスフェート化合物を製造するための化合物類並びにその製造方法を提供するものである。特には、本発明は、アデノシン-リボフラノシド・テトラフォスフェート化合物を製造するための組成物類並びにその製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
P2Y2受容体は、肺、眼、気道上部、口、膣道や胃腸管を包含する体の粘膜の表面上に存在し、また、網膜色素表皮(retinal pigment epithelium: RPE)などの非粘膜の表面にも存在している。該P2Y2受容体は、下部気道や消化管の上部における粘膜線毛のクリアランスのメカニズムの全体を調整する働きを行っている。このプロセスは、これらの受容体に結合し且つそれを活性化せしめる分子を局所的に送達せしめることにより、治療において制御せしめることができる。
【0004】
P2Y2受容体は、気道の内部を覆っている三種の主要な細胞タイプ、すなわち、線毛上皮細胞(ciliated epithelial cell)、杯細胞(goblet cell)、II型肺胞細胞(Type II alveolar cell)のそれぞれにおいて見出されている。線毛上皮細胞で該P2Y2受容体が活性化されると、該細胞から塩や水が放出され、粘液排出物が水和化されて、線毛の動く速さが増大化せしめられる。杯細胞で該P2Y2受容体が活性化されると、ムチン(mucin)の放出が調節せしめられることになる。そして、II型肺胞細胞で該P2Y2受容体が活性化せしめられると、界面活性のある物質が放出され、最も小さな末梢気道の表面の張力を維持せしめ、それらが虚脱化するのを防ぐ。
【0005】
P2Y2モジュレーターを介しての肺や上部気道における粘液の水和作用や粘膜線毛のクリアランス作用を活性化することは、嚢胞性線維症(cystic fibrosis)や上部呼吸器疾患のような病気、そして、充血、圧迫や鼻腔閉塞のような鼻における症状を含めた病気の処置のチャンスを提供する。こうした上部呼吸器疾患としては、鼻副鼻腔炎(rhinosinusitis)、アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)、そして、一般的な風邪やインフルエンザのような上部呼吸器感染症が挙げられる。また、肺における粘膜線毛のクリアランス作用を増加せしめることで、肺から粘液のサンプルで、それは肺がんの診断に価値のあるものといえるものを非侵襲的に収集することを可能にする。
【0006】
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)は、肺における粘液分泌作用が滞留することにより、時間をかけて進行性の肺の機能不全に至ることを特徴としている。COPDと診断される多くの患者は、慢性気管支炎(chronic bronchitis: CB)と言われる疾患を有している。嚢胞性線維症や原発性線毛運動機能不全症(Primary Ciliary Dyskinesia: PCD)は、COPDと同様な臨床プロファイルを有している肺疾患の他の例である。原発性線毛運動機能不全症あるいは二次性線毛運動機能不全症は、分泌物滞留を起こすことになり、それは咳きをすることによってのみ除くことができる。COPDである患者の大部分は、欠陥のある粘膜線毛クリアランス作用のため、咳きをすることによって分泌物滞留を取り除くことを助けている。
【0007】
副鼻腔炎(Sinusitis)とは、また、滞留した粘液分泌物が溜ることにより特徴付けられるもので、典型的には上部呼吸器感染を伴っている副鼻腔の炎症である。この症状は、米国内の多くの人々に影響を及ぼしている。
【0008】
中耳炎(Otitis media: OM)とは、中耳のウイルス又は細菌感染症で、主に3歳より下の小児に罹患するものである。鼻咽頭やエウスターキオ管(eustachian tube)を介して中耳の中に拡がっていく上部呼吸器感染により通常進行していく。抗生物質での治療に続いて、中耳の溜まっている液体は、聴力障害を起こすことになり、言語能力や認知機能の発達を遅らせる。中耳の分泌物を取り除くのを改善すると、中耳炎の重大な後遺症を減少せしめたり、無くすこととなる。
【0009】
肺炎(Pneumonia)とは、滞留した分泌物に関連している呼吸器系の疾病である。本疾病は、毎年多くの人々を苦しめるもので、慢性的に病気にある患者では一番の死因となっている。肺炎が進行するというリスクを持った患者の間にあっては、固定化されている患者は、一般的には、病状が進行するという高いリスクを有している。
【0010】
時には、涙分泌システムの排液を増大させることは治療の観点からは望ましい。というのは、涙排出システムの機能が適切でないと、過剰に涙が流れたり〔流涙症(epiphora)〕、粘液膿が出たり、及び/又は、再発性涙嚢炎(recurrent dacryocystitis)となる。鼻腔涙管閉塞症の現在の治療法は、侵襲性の外科的な処置であり、望ましくないものである。涙の分泌は、P2Y2及び/又はP2Y4 プリン作動性受容体仲介メカニズムを通して、気道上皮を水和化するものと同様に、涙液付属の組織から刺激されることができる。ドライアイ(角膜乾燥症)とは、涙液の産生量の低下、あるいは、涙層の蒸発量の増加、その結果として生ずる眼球表面の病気を伴うものにより特徴付けられている角膜前涙液層の異常により生ずる徴候に対しての一般的な用語である。ドライアイの現在の薬物治療は、しばしば、人工涙液(塩の溶液)点眼して一時的に目に水分を与えることに限られている。この処置は一般的には短時間の緩和を与えるのみで、頻繁な投与処置が必要とされるものである。
【0011】
普通、粘液分泌物は、粘膜線毛のクリアランス(mucociliary clearance: MCC)システムを介して取り除かれる。MCCは、次の三つのコンポネント、すなわち、1)杯細胞や粘膜下腺による粘液の分泌; 2)管腔表面を横切るように粘液を移動せしめるようにする上皮細胞上にある線毛の運動; そして3)粘液中への水の流れを付随してコントロールする管腔の上皮細胞の中へ及びその外へのイオンの輸送、の組合わさった作用に依存するものである。また、子宮粘膜細胞、頸部粘膜細胞や膣粘膜細胞の分泌機能は、生殖管の機能や健康に大きな影響を与えるものである。例えば、頸部粘液の特性と量は、月経周期を通して変化し、そうした変化は受胎能力に劇的な影響を与える。エストロジェン量が上昇するという影響の下では、頸部粘液は薄まり、精子が通るのを可能にする。月経周期の後、プロゲステロン量が増加するにつれ、粘液は濃いものとなり、精子が侵入していくのを難しくし、それにより受胎可能性を閉止する。頚部の粘液がそのように濃化することは、プロゲスチンのみの避妊薬についての避妊作用の重要度の高いモードの一つと考えられるものである。
【0012】
したがって、P2Y受容体、例えば、P2Y1受容体又はP2Y2受容体に作用する化合物を製造するための新しくて改良された方法を開発する必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2008/060632号パンフレット(PCT/US2007/24150)
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991
【非特許文献2】T. W. Greene, P. G. M. Wuts, "Protective Groups In Organic Synthesis," (J. Wiley & Sons, 1993)
【非特許文献3】Silverman, R. B. The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc.: San Diego, Calif., 1992, pp.19-23
【非特許文献4】U. Niedballa, H. Vorbruggen, Angew. Chem. Int. Ed. 1970, 9, 461; Vorbruggen et al., Ber. 1981, 114, 1234
【非特許文献5】H. Vorbruggen et al. Ber. 1981, 114, 1256
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一つの態様は、有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Aの化合物と一般式II-Aの化合物とを混合して一般式III-Aの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式I-Aは、次式:
【化1】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属;あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもので;そして
xは、0、1又は2である
で表されるもので、一般式II-Aは、次式:
【化2】


式中、
R1及びR3は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの;
R2は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの;
yは、0、1又は2であり、但し、xとyの和は、2である;
で表されるもので、一般式III-Aは、次式:
【化3】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0016】
ある種の態様では、R2は、H、Na又はKである。
【0017】
ある種の態様では、一般式I-Aの化合物は、次式:
【化4】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものである。
【0018】
ある種の態様では、一般式II-Aの化合物は、次式:
【化5】



式中、
R1及びR3は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもので;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものである。
【0019】
ある種の態様では、一般式III-Aの化合物は、次式:
【化6】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものである。
【0020】
ある種の態様では、式I-Aの化合物は、次式:
【化7】



で表されるものである。
【0021】
ある種の態様では、式II-Aの化合物は、次式:
【化8】



で表されるものである。
【0022】
ある種の態様では、式III-Aの化合物は、次式:
【化9】



で表されるものである。
【0023】
ある種の態様では、当該方法は、さらに、ルイス酸を混合せしめることを含むことを特徴としている。
【0024】
ある種の態様では、該ルイス酸は、MnX2(式中、Xはハロゲンである)である。
【0025】
ある種の態様では、該ルイス酸は、MnCl2, NiCl2, ZnCl2又はMgCl2である。
【0026】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式III-Aの化合物とアルキル化剤とを混合して一般式IV-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式IV-Aは、次式:
【化10】



式中、
R1及びR3は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0027】
ある種の態様では、式IV-Aの化合物は、次式:
【化11】



で表されるものである。
【0028】
ある種の態様では、該アルキル化剤は、R-Xであり、ここで、Rは、メチル基で、Xは、臭素、ヨード、メシレート、トシレート、又は、トリフレートである。
【0029】
ある種の態様では、一般式I-Aの化合物は、次式:
【化12】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0030】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式V-Aの化合物とR’O-P(O)(OR’)-O-P(O)(OR’)2とフォスフェートカップリング剤とを混合して一般式I-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここでR’は、H又はアルカリ金属で、一般式V-Aは、次式:
【化13】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0031】
ある種の態様では、一般式V-Aの化合物は、次式:
【化14】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0032】
ある種の態様では、式V-Aの化合物は、次式:
【化15】



で表されるものである。
【0033】
ある種の態様では、該フォスフェートカップリング剤は、1,1′-カルボニルジイミダゾールである。
【0034】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VI-Aの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式V-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VI-Aは、次式:
【化16】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものである。
【0035】
ある種の態様では、上記式VI-Aの化合物は、次式:
【化17】



で表されるものである。
【0036】
ある種の態様では、該フォスフォリル化剤は、P(O)(O-アルキル)3である。
【0037】
ある種の態様では、該方法は、さらに、P(O)X3(式中、Xは、ハロゲン)を混合することを含むものである。
【0038】
ある種の態様では、該方法は、さらに、P(O)Cl3を混合することを含むものである。
【0039】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VII-Aの化合物とアシル脱保護化剤とを混合して一般式VI-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VII-Aは、次式:
【化18】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものである。
【0040】
ある種の態様では、式VII-Aの化合物は、次式:
【化19】



で表されるものである。
【0041】
ある種の態様では、該アシル脱保護化剤は、塩基とC1-C6のアルコールとの混合物である。
【0042】
ある種の態様では、該アシル脱保護化剤は、NH3とMeOHとの混合物である。
【0043】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VIII-Aの化合物、アルコキシフェノール、そしてルイス酸を混合して一般式VII-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VIII-Aは、次式:
【化20】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものである。
【0044】
ある種の態様では、式VIII-Aの化合物は、次式:
【化21】



で表されるものである。
【0045】
ある種の態様では、該ルイス酸は、SnCl4又はTiCl4である。
【0046】
ある種の態様では、式I-Aの化合物は、次式:
【化22】



で表されるものである。
【0047】
ある種の態様では、式II-Aの化合物は、次式:
【化23】



で表されるものである。
【0048】
ある種の態様では、一般式I-Aの化合物は、次式:
【化24】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0049】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VI-Aの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式I-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VI-Aは、次式:
【化25】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものである。
【0050】
ある種の態様では、式VI-Aの化合物は、次式:
【化26】



で表されるものである。
【0051】
ある種の態様では、該フォスフォリル化剤は、P(O)(O-アルキル)3である。
【0052】
ある種の態様では、該方法は、さらに、P(O)X3(式中、Xは、ハロゲン)を混合することを含むものである。
【0053】
ある種の態様では、当該方法は、さらに、P(O)Cl3を混合することを含むものである。
【0054】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VII-Aの化合物とアシル脱保護化剤とを混合して一般式VI-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VII-Aは、次式:
【化27】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものである。
【0055】
ある種の態様では、式VII-Aの化合物は、次式:
【化28】



で表されるものである。
【0056】
ある種の態様では、該アシル脱保護化剤は、塩基とC1-C6のアルコールとの混合物である。
【0057】
ある種の態様では、該アシル脱保護化剤は、NH3とMeOHとの混合物である。
【0058】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VIII-Aの化合物、アルコキシフェノール、そしてルイス酸を混合して一般式VII-Aの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VIII-Aは、次式:
【化29】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものである。
【0059】
ある種の態様では、式VIII-Aの化合物は、次式:
【化30】



で表されるものである。
【0060】
ある種の態様では、該ルイス酸は、SnCl4、TiCl4、ZnCl2、AlCl3、CuCl2、FeCl3又はBF3・Et2Oである。
【0061】
ある種の態様では、該ルイス酸は、SnCl4又はTiCl4である。
【0062】
本発明の別の一つの態様は、有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Cの化合物と一般式II-Cの化合物とを混合して一般式III-Cの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式I-Cは、次式:
【化31】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの;
R3及びR4は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの;そして
xは、0又は1である
で表されるもので、一般式II-Cは、次式:
【化32】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの;
yは、1又は2であり、但し、xとyの和は、2である
で表されるもので、一般式III-Cは、次式:
【化33】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0063】
ある種の態様では、R2は、H、Na又はKである。
【0064】
ある種の態様では、一般式I-Cの化合物は、次式:
【化34】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属;そして
R3及びR4は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの
で表されるものである。
【0065】
ある種の態様では、一般式II-Cの化合物は、次式:
【化35】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものである。
【0066】
ある種の態様では、一般式III-Cの化合物は、次式:
【化36】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものである。
【0067】
ある種の態様では、式I-Cの化合物は、次式:
【化37】



で表されるものである。
【0068】
ある種の態様では、一般式II-Cの化合物は、次式:
【化38】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はNaである
で表されるものである。
【0069】
ある種の態様では、式III-Cの化合物は、次式:
【化39】



で表されるものである。
【0070】
ある種の態様では、該方法は、さらに、ルイス酸を混合せしめることを含むことを特徴としている。
【0071】
ある種の態様では、該ルイス酸は、MnCl2である。
【0072】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式III-Cの化合物とアルキル化剤とを混合して一般式IV-Cの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式IV-Cは、次式:
【化40】



式中、
R1及びR3は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものである。
【0073】
ある種の態様では、式IV-Cの化合物は、次式:
【化41】



で表されるものである。
【0074】
ある種の態様では、該アルキル化剤は、R-X(式中、Rは、メチル基で、Xは、臭素、ヨード、メシレート、トシレート又はトリフレート)である。
【0075】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式V-Cの化合物、モルホリン、カルボジイミドカップリング剤を混合して一般式I-Cの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式V-Cは、次式:
【化42】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているものである
で表されるもので、そのN(R3)4塩(式中、R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C4アルキル基である)を包含するものである。
【0076】
ある種の態様では、一般式V-Cの化合物は、次式:
【化43】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているものである
で表されるもので、そのN(R3)4塩(式中、R3 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C4アルキル基である)を包含するものである。
【0077】
ある種の態様では、式V-Cの化合物は、次式:
【化44】



で表されるものである。
【0078】
ある種の態様では、該カルボジイミドカップリング剤は、N,N′-ジシクロヘキシルカルボジイミドである。
【0079】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VI-Cの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式V-Cの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VI-Cは、次式:
【化45】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものである。
【0080】
ある種の態様では、式VI-Cの化合物は、次式:
【化46】



で表されるものである。
【0081】
ある種の態様では、該フォスフォリル化剤は、P(O)(O-アルキル)3である。
【0082】
ある種の態様では、該方法は、さらに、P(O)X3(式中、Xは、ハロゲン)を混合することを含むものである。
【0083】
ある種の態様では、該方法は、さらに、P(O)Cl3を混合することを含むものである。
【0084】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式VII-Cの化合物とアシル脱保護化剤とを混合して一般式VI-Cの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VII-Cは、次式:
【化47】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものである。
【0085】
ある種の態様では、式VII-Cの化合物は、次式:
【化48】



で表されるものである。
【0086】
ある種の態様では、該アシル脱保護化剤は、塩基とC1-C6のアルコールとの混合物である。
【0087】
ある種の態様では、該アシル脱保護化剤は、NH3とMeOHとの混合物である。
【0088】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式VIII-Cの化合物、アルコキシフェノール、そしてルイス酸を混合して一般式VII-Cの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VIII-Cは、次式:
【化49】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものである。
【0089】
ある種の態様では、式VIII-Cの化合物は、次式:
【化50】



で表されるものである。
【0090】
ある種の態様では、該ルイス酸は、BF3・OEt2である。
【0091】
本発明の別の一つの態様は、有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Dの化合物と一般式II-Dの化合物とを混合して一般式III-Dの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式I-Dは、次式:
【化51】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R4)4;そして
R4は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式II-Dは、次式:
【化52】



式中、
R2は、C1-C4アルキル基で;
R3 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R4)4;そして
R4 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式III-Dは、次式:
【化53】



式中、
R1及びR2は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;
R3 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R4)4;そして
R4 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるものである。
【0092】
ある種の態様では、該ルイス酸は、ZnX2(式中、Xは、ハロゲン)である。
【0093】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式IV-Dの化合物とアルキル化剤とを混合して上記一般式II-Dの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式IV-Dは、次式:
【化54】



式中、
R3 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものである。
【0094】
ある種の態様では、該アルキル化剤は、SO2(OR’)2(式中、R’は、C1-C4アルキル基)である。
【0095】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式V-Dの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して上記一般式I-Dの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式V-Dは、次式:
【化55】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものである。
【0096】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式V-D化合物とP(O)(OR’)3とを混合して、次に(OR’’)2P(O)OP(O)(OR’’)2を混合せしめることを含むことを特徴とし、ここでR’は、C1-C4アルキル基で、R’’は、H又はN(R’’’)4で、そしてR’’’は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C4アルキル基である。
【0097】
ある種の態様では、該方法は、さらに、P(O)X3(式中、Xは、ハロゲン)を混合することを含むものである。
【0098】
ある種の態様では、該方法は、さらに、P(O)Cl3を混合することを含むものである。
【0099】
ある種の態様では、本方法は、さらに、一般式VI-Dの化合物を加水分解せしめ、一般式V-Dの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式VI-Dは、次式:
【化56】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R4 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものである。
【0100】
ある種の態様では、当該方法は、塩基とC1-C6 のアルコールとを混合することを含むものである。
【0101】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式VII-Dの化合物、一般式VIII-Dの化合物、そしてルイス酸を混合し、上記一般式VI-Dの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式VII-Dは、次式:
【化57】



式中、
R4 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるもので、一般式VIII-Dは、次式:
【化58】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものである。
【0102】
本発明の別の一つの態様は、有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Eの化合物、一般式II-Eの化合物、そして酸化剤を混合して、一般式III-Eの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式I-Eは、次式:
【化59】



式中、
R1 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルで;
R2は、C1-C4アルキル基で;
R3 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R5)4で;そして
R5 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式II-Eは、次式:
【化60】



式中、
R4は、C1-C4アルキル基で;
R3 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R5)4で;そして
R5 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式III-Eは、次式:
【化61】



式中、
R1 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである;
R2及びR4は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;
R3 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R5)4で;そして
R5 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるものである。
【0103】
ある種の態様では、該方法は、さらに、ルイス酸を混合せしめることを含むものである。
【0104】
ある種の態様では、該ルイス酸は、ZnCl2である。
【0105】
ある種の態様では、該方法は、さらに、アシル脱保護化剤と上記一般式III-Eの化合物とを混合せしめることを含むものである。
【0106】
ある種の態様では、該アシル脱保護化剤は、塩基とC1-C6のアルコールである。
【0107】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式IV-Eの化合物と酸化剤を混合して、一般式I-Eの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式IV-Eは、次式:
【化62】



式中、
R1は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである;
R2は、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R5)4で;そして
R5は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるものである。
【0108】
ある種の態様では、該酸化剤は、ヨウ素である。
【0109】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式V-Eの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式IV-Eの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式V-Eは、次式:
【化63】



式中、
R1は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである;
R2は、C1-C4アルキル基で;そして
R5及びR6は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基又はアラルキル基であるか、あるいは、R5とR6はそれらの結合しているアリール基と一緒になって縮合芳香族基を形成している
で表されるものである。
【0110】
ある種の態様では、該フォスフォリル化剤は、ピロリン酸塩である。
【0111】
ある種の態様では、該方法は、さらに、一般式VI-Eの化合物と一般式VII-Eの化合物とを混合し、一般式V-Eの化合物を形成せしめることを含むことを特徴とし、ここで一般式VI-Eは、次式:
【化64】



式中、
R1は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール又は-C(O)アラルキルで;そして
R2は、C1-C4アルキル基である
で表されるもので、一般式VII-Eは、次式:
【化65】



式中、
R5及びR6は、互いに独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基又はアラルキル基であるか、あるいは、R5とR6はそれらの結合しているアリール基と一緒になって縮合芳香族基を形成している
で表されるものである。
【0112】
ある種の態様では、該方法は、一般式VIII-Eの化合物とアルキル化剤を混合して一般式VI-Eの化合物を形成することを含むことを特徴とするもので、ここで一般式VIII-Eは、次式:
【化66】



式中、
R1 は、H、-C(O)CH3又は-C(O)CH2-フェニルである
で表されるものである。
【0113】
ある種の態様では、アルキル化剤は、ヨウ化メチルである。
【0114】
本発明の別の一つの態様は、次式:
【化67】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表される化合物を提供するものである。
【0115】
本発明の別の一つの態様は、次式:
【化68】


式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表される化合物を提供するものである。
【0116】
本発明の別の一つの態様は、次式:
【化69】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属;そして
R3及びR4は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの
で表される化合物を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0117】
本発明は、アデノシン・テトラフォスフェート化合物製造のための化合物及び方法を提供するものである。該有機フォスフェート化合物は、P2Y受容体活性を調節することができ、それにより患者に対して治療上の利点を提供するものである。
定義
【0118】
便宜上から、本発明についてさらに説明記載する前に、本明細書、実施例、添付の特許請求の範囲の請求項において使用されているある種の用語について此処でまとめて示す。ここで示す定義は、本明細書の開示の他の部分に照らしてみて読まれ、そして当該分野の当業者により理解されるようにして解釈されるべきものである。他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語や科学用語は当該分野の当業者により普通に理解されるような意味と同じ意味を有するものである。
【0119】
原文の英文の冠詞“a”や“an”は、当該ものが文法的に一つのものあるいは一つ以上のもの(少なくとも一つのもの)であることを示している。例を挙げると、エレメント(“an element”)とは、一つのエレメント又は一つ以上のエレメントを意味するものである。
【0120】
用語「が挙げられる」、「含有する」又は「包含する」とは、「が挙げられが、それに限定されるものでない」ことを意味するものとして使用されている。「が挙げられる」、「含有する」又は「包含する」や「が挙げられが、それに限定されるものでない」は、互いに交換可能なものとして使用されている。
【0121】
「P2Y 受容体モジュレーター」又は「P2Yモジュレーター」としては、P2Y 受容体、例えば、P2Y1、P2Y2、P2Y4又はP2Y6、などにおいて作用効果を有している化合物が挙げられ、特にはP2Y2において主として調節の作用効果(増加又は増強又は減少又は低減)を有している化合物が挙げられる。
【0122】
用語「ルイス酸」とは、当該分野で認識されているもので、一般的には完全な原子価殻を有するためには二個の電子が不足しているという元素を含有している化合物又は錯体を指している。適しているルイス酸としては、金属、主としてそのハロゲン化物やアルキル金属ハロゲン化物を包含する非プロトン酸が挙げられるが、それに限定されるものではない。例としては、塩化マンガン(II)、塩化スズ、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、三フッ化ホウ素、五塩化ニオブ、そしてイッテルビウム(III)トリフレートなどのランタニドトリフレートが挙げられる。代表的なアルキル金属ハロゲン化物としては、MRX(式中、Rはアルキル基で、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基で、Mは周期表第II族を包含するが、それには限定されるものでない金属、そしてXはハライド)が挙げられる。好ましい具体的な例では、ルイス酸としては、SnCl4, TiCl4, ZnCl2, AlCl3, CuCl2, FeCl3又はBF3・Et2Oが挙げられる。ある種の具体的な例では、次なるルイス酸が好ましい: MnCl2, NiCl2, ZnCl2又はMgCl2
【0123】
本明細書において使用される用語「保護基」は、望ましくない化学変化から潜在的な可能性として反応性の官能基を保護する一時的な置換基を意味するものである。そうした保護基の例としては、カルボン酸のエステル類、アルコールのシリルエーテル類、アルデヒドやケトンのアセタール類やケタール類が挙げられる。保護基の化学の分野を参照できる(非特許文献1)。
【0124】
「脱保護化剤」とは、保護基を、ヒドロキシ基、アミノ基又はその他の官能基から除去するための試薬である。ヒドロキシ保護基は、当該分野で知られている各種の「脱保護化剤」を使用してそれを除去されてよい。そうした脱保護化剤としては、非特許文献2に記載されたものが挙げられる。脱保護化剤の例としては、アルコール類、水酸化物、酸類、塩基類、そしてアミン類が挙げられるが、それに限定されるものではない。アセチルなどのアルカノイル保護基に関しては、好ましい脱保護化剤の例としては、n-プロピルアミンなどの第一級アミンが挙げられるが、それに限定されるものではない。ベンジルなどのアリールアルキル保護基に関しては、好ましい脱保護化剤の例としては、H2 Pd/Cを使用する水素化処理; Na/t-BuOH;トリフルオロメタンスルフォン酸又はTFAと任意にPhSMeとの組合せ; BF3OEt2;又はヨウ化トリメチルシリル(TMSI)が挙げられるが、それに限定されるものではない。水、メタノール、エタノール又はそれらの組合せなどの溶媒も、脱保護化剤として使用することができる。用語「アシル脱保護化」剤とは、アシル基をヒドロキシル基(水酸基)に変換することのできる脱保護化剤を意味するものである。
【0125】
用語「脱離基」とは、結合開裂に際して電子対を伴って離れていく機能性状やものを指している。普通、良好な脱離基は、弱塩基などの基体から追い出されていくような部分である。例えば、スルフェート類、スルフォネート類、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、フォスフェート類などは、良好な離脱基である。さらに、ある種の部分は、ルイス酸でもってプロトン化されたり、コンプレックス形成されると、良好な離脱基となりうる。例えば、アルコキサイドイオン類は、一般的には、劣っている離脱基であるが、アルコール類は良好な離脱基である。環に歪みがあると、ある場合には、エポキシド類、アジリジン類などの場合のように、むしろ劣っている離脱基を追い出していくことを許容することには留意すべきである。
【0126】
「アルキル」としては、飽和の脂肪族基が挙げられ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの直鎖アルキル基;分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、イソブチルなど);シクロアルキル(脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクトヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど);低級アルキル置換シクロアルキル基;シクロアルキル置換アルキル基などが挙げられる。ある具体的な態様では、脂環式環は、架橋環を含有するものでない。
【0127】
また、「アルキル」基は、任意に、ヘテロ原子を含有していてよい。すなわち、「アルキル」基は、炭化水素骨格の炭素原子の一個又はそれ以上が酸素、窒素、硫黄又はリンの原子で置き換えられているものであってよく、特には、その置換が、その結果として得られる化合物の作用効果や効能に悪影響を及ぼさないようなものが挙げられる。
【0128】
直鎖又は分岐鎖のアルキル基は、それらの骨格に6個又はそれより少ない炭素原子を有するものであってよいもので(例えば、直鎖のものではC1-C6、分岐鎖のものではC3-C6)、より好ましくは4個又はそれより少ない炭素原子を有するものであってよいものである。好ましいシクロアルキル基は、それらの環構造の中に3〜8個の炭素原子を有しているもので、より好ましくはその環構造の中に5又は6個の炭素を有しているものである。「C1-C6」は、1〜6個の炭素原子を含有しているアルキル基を包含するものである。
【0129】
「置換されたアルキル」とは、その炭化水素骨格の一個又はそれ以上の炭素の上にある水素に置き換わっている置換基を有しているアルキル部分を指しているものである。そうした置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル(水酸基)、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、フォスフェート、フォスフォナト、フォスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、チオカルボキシレート、スルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォナミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、又は複素環基が挙げられる。
【0130】
用語「アリール」は、当該分野で認識されるもので、5-, 6-又は7-員の単環式の芳香族基を挙げることができ、その芳香族基は、0〜4個のヘテロ原子を含有していてよく、また、少なくとも一個の芳香族環を有する縮合系(多環式システム)を含有していてよい。アリール基の例としては、ベンゼン、フェニル、トリルなどが挙げられる。多環式アリール基としては、三環式又は二環式のものが挙げられ、例えば、ナフタレン、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、インドリジン、テトラリン、メチレンジオキシフェニルなどが挙げられる。該芳香族環は、環の一箇所又はそれ以上の箇所において置換されていてよく、その置換基としては、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、フォスフォネート、フォスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルフォニル、スルフォナミド、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環基、芳香族部分又はヘテロ芳香族部分、-CF3, -CNなどが挙げられる。
【0131】
また、環構造中にヘテロ原子を有しているアリール基は、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」と呼ばれうるものでよく、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどである。該芳香族環は、環の一箇所又はそれ以上の箇所において置換されていることができ、その置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、フォスフェート、フォスフォナト、フォスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォナミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環基、アルキルアリール、あるいは、芳香族部分又はヘテロ芳香族部分など挙げられる。
【0132】
「アルキルアリール」又は「アラルキル」部分は、アリール基で置換されているアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル)など)である。
【0133】
「アルケニル」としては、上記したアルキルと同様な鎖の長さや置換基を有していてよい一方で、少なくとも一個の二重結合を有している不飽和の脂肪族基が挙げられる。例えば、用語「アルケニル」は、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなど)、分岐鎖アルケニル基、例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどのシクロアルケニル基、アルキル又はアルケニル置換シクロアルケニル基、シクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルケニル基などを包含する。
【0134】
「アルケニル」基は、また、任意に、ヘテロ原子を含有していてよい。すなわち、「アルケニル」基は、炭化水素骨格の炭素原子の一個又はそれ以上が酸素、窒素、硫黄又はリンの原子で置き換えられているものであってよく、特には、その置換が、その結果として得られる化合物の作用効果や効能に悪影響を及ぼさないようなものが挙げられる。
【0135】
直鎖又は分岐鎖のアルケニル基は、それらの骨格に6個又はそれより少ない炭素原子を有するものであってよいものである(例えば、直鎖のものではC2-C6、分岐鎖のものではC3-C6)。好ましいシクロアルケニル基は、それらの環構造の中に3〜8個の炭素原子を有しているもので、より好ましくはその環構造の中に5又は6個の炭素を有しているものである。用語「C2-C6」は、2〜6個の炭素原子を含有しているアルケニル基を包含するものである。
【0136】
「置換されたアルケニル」とは、その炭化水素骨格の一個又はそれ以上の炭素の上にある水素に置き換わっている置換基を有しているアルケニル部分を指しているものである。そうした置換基としては、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン類、ヒドロキシル、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、フォスフェート、フォスフォナト、フォスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォナミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、又は複素環基などが挙げられることができる。
【0137】
「アルキニル」としては、上記したアルキルと同様な鎖の長さや置換基を有していてよい一方で、少なくとも一個の三重結合を有している不飽和の脂肪族基が挙げられる。例えば、用語「アルキニル」は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分岐鎖アルキニル基、シクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルキニル基などを包含する。
【0138】
「アルキニル」基も、また、任意に、ヘテロ原子を含有していてよい。すなわち、「アルキニル」基は、炭化水素骨格の炭素原子の一個又はそれ以上が酸素、窒素、硫黄又はリンの原子で置き換えられているものであってよく、特には、その置換が、その結果として得られる化合物の作用効果や効能に悪影響を及ぼさないようなものが挙げられる。
【0139】
直鎖又は分岐鎖のアルキニル基は、それらの骨格に6個又はそれより少ない炭素原子を有するものであってよいものである(例えば、直鎖のものではC2-C6、分岐鎖のものではC3-C6)。用語「C2-C6」は、2〜6個の炭素原子を含有しているアルキニル基を包含するものである。
【0140】
「置換されたアルキニル」とは、その炭化水素骨格の一個又はそれ以上の炭素の上にある水素に置き換わっている置換基を有しているアルキニル部分を指しているものである。そうした置換基としては、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン類、ヒドロキシル、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、フォスフェート、フォスフォナト、フォスフィナト、シアノ、アミノ(これにはアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノなどが包含される)、アシルアミノ(これにはアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、ウレイドなどが包含される)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォナミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、又は複素環基などが挙げられることができる。
【0141】
炭素の数については、他に特に具体的に規定しない限り、「低級アルキル」としては、上記したようなアルキル基であるが、その骨格構造中に1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有しているアルキル基が挙げられる。「低級アルケニル」や「低級アルキニル」とは、対応する鎖の長さ、例えば、2〜5個の炭素原子を有しているものである。
【0142】
「アシル」としては、アシル基(CH3CO-)又はカルボニル基を有している化合物又は部分を挙げることができる。「置換アシル」としては、その水素原子の一つ又はそれ以上が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン類、ヒドロキシル、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、フォスフェート、フォスフォナト、フォスフィナト、シアノ、アミノ(これにはアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノなどが包含される)、アシルアミノ(これにはアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、ウレイドなどが包含される)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォナミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環基、アルキルアリール、あるいは、芳香族部分又はヘテロ芳香族部分などにより置き換えられているアシル基が挙げられる。
【0143】
用語「オキソ」とは、「O=」置換基をしめすものである。例えば、シクロハキサノンとは、オキソ基を備えているシクロヘキサンである。
【0144】
「アシルアミノ」としては、アシル部分がアミノ基に結合しているものが挙げられる。例えば、当該用語は、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、ウレイドなどの基を包含する。「アルキルアミノ」は、アルキル部分がアミノ基に結合しているものを包含するものである。「ジアルキルアミノ」、「アリールアミノ」、「ジアリールアミノ」、そして「アルキルアリールアミノ」についても、同様のものとしてそれを挙げることができる。
【0145】
「アルコキシアルキル」としては、アルコキシ基がアルキル基に結合しているものが挙げられる。「アルコキシアリール」、「チオアルコキシアリール」、「アルキルアミノアルキル」、そして「アルキルチオアルキル」についても、同様のものとしてそれを挙げることができる。
【0146】
「アルコキシ」としては、酸素原子に共有結合で結合しているアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が挙げられる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピロキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基などが挙げられる。「置換アルコキシ」基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。
置換アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、フォスフェート、フォスフォナト、フォスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォナミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、又は複素環の置換基を含有していることができる。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなどが挙げられる。好ましい具体例においては、該「アルコキシ」基は、酸素原子に共有結合で結合しているアルキル基である。
【0147】
用語「複素環」又は「複素環基」は、一個又はそれ以上のヘテロ原子を含有している閉環構造を含有しており、例えば、一個又はそれ以上のヘテロ原子を含有している3〜10員の、あるいは4〜7員の環を含有している。複素環基は、飽和のものあるいは不飽和のものであってよく、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、ラクトン類、アゼチジノン類、ピロリジノン類などのラクタム類、スルタム類、スルトン類などを包含する。
【0148】
複素環の環は、上記したような置換基でもって一個又はそれ以上の位置において置換されていてもよく、そうした置換基基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、フォスフェート、フォスフォナト、フォスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート類、スルフォナト、スルファモイル、スルフォナミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環基、芳香族部分又はヘテロ芳香族部分などが挙げられる。ある具体的な態様では、複素環式環は、架橋環を含有するものでない。
【0149】
用語「チオカルボニル」又は「チオカルボキシ」は、硫黄原子に二重結合でもって結合している炭素を含有している化合物又はその一部を包含するものである。
【0150】
用語「エーテル」は、二個の異なる炭素原子又はヘテロ原子に結合する酸素を含有している化合物又はその一部を包含するものである。例えば、該用語は、一つのアルキル基に共有結合で結合している酸素原子に共有結合で結合している、それとは別のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を指している「アルコキシアルキル」を包含するものである。
【0151】
用語「エステル」は、カルボニル基の炭素に結合する酸素原子に結合している炭素又はヘテロ原子を含有している化合物又はその一部を包含するものである。該「エステル」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのアルコキシカルボキシ基が挙げられる。
そのアルキル基、アルケニル基やアルキニル基は、上記で定義したようなものである。
【0152】
用語「チオエーテル」は、二個の異なる炭素原子又はヘテロ原子に結合する硫黄原子を含有している化合物又はその一部を包含するものである。チオエーテルの例としては、アルクチオアルキル類、アルクチオアルケニル類、アルクチオアルキニル類が挙げられるが、それに限定されるものではない。用語「アルクチオアルキル類」は、アルキル基に結合している硫黄原子に結合しているアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を持つ化合物を包含するものである。同様に、用語「アルクチオアルケニル類」や「アルクチオアルキニル類」は、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合で結合している硫黄原子に結合しているといった化合物又はその一部を指しているものである。
【0153】
用語「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、当該分野で認識されているもので、-OHを指しているものである。
【0154】
用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを包含するものである。用語「パーハロゲン化」とは、すべての水素がハロゲン原子により置き換えられている基を一般的には指し示すものである。
【0155】
用語「アミン」や「アミノ」は、当該分野で認識されているもので、非置換アミン類や置換アミン類の双方を示しているもので、例えば、次式:
【化70】



式中、R50、R51及びR52は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、-(CH2)m-R61又はR50とR51はそれらの結合するN原子と一緒になって環構造のうちに4〜8個の原子を有している複素環を形成するもので、; R61 は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環又は多環式環で; そしてmは、0又は1 to 8の範囲にある整数である
で表されるものでよい基を示している。
【0156】
用語「イミノ」は、当該分野で認識されているもので、次式:
【化71】



式中、R50は、H、アルキル、アリール又はアラルキルである
で表されるものでよい基を示している。
【0157】
「ヘテロ原子」としては、炭素及び水素以外の原子であれば如何なるものも包含される。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄そしてリンが挙げられる。
【0158】
「少なくとも一部が芳香族であり二環式環系」とは、該二環式の環を構成する環のいずれか又は両方が芳香族のものである二環式環系(システム)を意味するものである。
【0159】
本発明の化合物のうちのいくつかのものの構造は、非対称炭素原子(不斉炭素原子)を含有していることに留意されよう。したがって、そうした非対称性から生ずる異性体(例えば、エナンチオマーやジアステレオマーのすべて)は、他に指定されない限り、本発明の範囲内に含まれることは理解されるべきである。そうした異性体は、古典的な分離技術によって、そして立体化学的にコントロールされた合成法によって、実質的に純粋な形態でそれを得ることができる。さらにまた、本出願で論議しているその構造及びその他の化合物やその一部は、その互変異性体のすべてを含むものである。アルケン類は、それが適したものであれば、E-又はZ-配位のいずれをも包含していることができる。
【0160】
「選択的」とは、ある化合物が、少なくとも一つの他の受容体類と比較して、好ましくはP2Y受容体と同じクラス(例えば、P2Y受容体のすべて)の他の受容体のすべてと比較して、それぞれ、より大きな親和性(アフィニティ)又は効力(ポテンシー)を伴って、ある種のP2Y受容体に結合する又はその受容体を阻害することを意味するものである。
ある具体的な例では、本発明の化合物は、P2Y2に対して、その他のP2Y受容体の如何なるものよりも、結合選択性又は阻害選択性を有している。選択性とは、少なくとも約10-倍、少なくとも約20-倍、少なくとも約50-倍、少なくとも約100-倍、少なくとも約200-倍、少なくとも約500-倍、あるいは、少なくとも約1000-倍であることができる。結合親和性や阻害能力は、当該分野で通常採用される手法に従ってそれを測定することができる。
【0161】
本明細書で使用する「陰イオン基」とは、生理的なpHで陰性の(マイナスの)電荷となっている基をしめすものである。好ましい陰イオン基としては、カルボキシレート、スルフェート、スルフォネート、スルフィネート、スルファメート、テトラゾリル、フォスフェート、フォスフォネート、フォスフィネート、又は、フォスフォロチオエート、あるいは、それらの官能的に均等なものなどが挙げられる。陰イオン基の「官能的に均等なもの」とは、バイオアイソスター類、例えば、カルボキシレート基のバイオアイソスター類などが包含されるものである。バイオアイソスター類は、古典的なバイオアイソスター均等物や非古典的バイオアイソスター均等物の両方を包含するものである。古典的なバイオアイソスター類や非古典的バイオアイソスター類は、当該分野で知られている(例えば、非特許文献3を参照)。
【0162】
用語「複素環式基」とは、環に存在する原子の一個又はそれ以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、又は酸素、あるいは硫黄である閉環型の構造を含有していることを意図したものである。複素環式基は、飽和のものあるいは非飽和のものであることができ、ピロール、フランなどのように複素環式基は、芳香族性のものであることができる。それらは、キノリン、イソキノリンなどのように縮合環構造を含むものもある。複素環式基の他の例としては、ピリジン、プリンなどが挙げられる。また、複素環式基は、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボニル、ニトロ、ヒドロキシル、-CF3、-CNなどによりそれを構成する原子の一個又はそれ以上の箇所で置換されていることができる。

P2Y受容体モジュレーターの製造方法
【0163】
本発明は、次式A、B、C又はD:
【化72】



上式中、R1は、H、C1-C4アルキル基又はシクロアルキル基で、R2 は、H又はC1-C4 アルキル基である
【化73】



【化74】



【化75】



で表される化合物並びにその塩を包含するものなどの有機フォスフェート化合物の製造方法を提供するものである。

方法-I
【0164】
式Aの有機フォスフェート化合物は、下記に概要が示されている合成プロセスに基づいて製造されることができる。中間体Bの合成(スキームI)は、4段階の一連の工程により行うことができる。本一連工程のために適した出発物質としては、1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノースと4-メトキシフェノールが挙げられ、留意すべきは、リボース糖のヒドロキシル基は当該分野で知られた各種の保護基を使用して保護せしめられていることである。本合成は、該アルコキシフェノールを該リボフラノースとルイス酸の存在下に反応させることにより始められる。次のステップで、該リボース部のヒドロキシ基は、塩基性加水分解により、あるいは別の適当な脱保護化剤により、脱保護せしめられる。脱保護処理に続いて、4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシドをフォスフェート供与体(フォスフェートドナー)と反応せしめて当該フォスフェート基を該リボース環のC5の位置に導入して、中間体Eを形成する。最後に、該有機モノフォスフェート化合物をピロリン酸と反応させ、化合物Bを形成させる。
【化76】


【0165】
中間体Fの合成は、スキームIIに示されているように、一段階の反応工程で行うことができる。アデノシン-5’-モノフォスフェートを塩基の存在下、イミダゾールと反応させ、アデノシン-5’-フォスフォルイミダゾレート(中間体F)を形成せしめる。
【化77】


【0166】
当該合成の次の段階では、ルイス酸の存在下に、中間体Bと中間体Fをカップリング反応せしめて化合物Cを形成せしめることを含むものである。次に、スキームIIIに示されているように、化合物Cをアルキル化剤で処理して、化合物Dを形成せしめる。
【化78】




方法-II
【0167】
式Aの有機フォスフェート化合物は、下記に概要が示されている別の合成プロセスに基づいて製造されることができる。本一連工程のために適した出発物質としては、1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノースと4-メトキシフェノールが挙げられる。方法-Iと同様、該有機モノフォスフェート化合物(中間体E)の合成は、スキームIVに従って行われる。ルイス酸の存在下、4-メトキシフェノールを該リボース糖に結合せしめる。その次なるステップでは、該リボース部のヒドロキシ基は、塩基性加水分解により、あるいは別の適当な脱保護化剤により、脱保護せしめられる。脱保護処理に続いて、4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシドをフォスフェート供与体と反応せしめて当該フォスフェート基を該リボース環のC5の位置に導入して、中間体Eを形成する。
【化79】


【0168】
次に、塩基の存在下にATPをイミダゾールで処理してATP-イミダソレートを製造する。
【化80】


【0169】
最後に、中間体Eと該ATP-イミダゾレートを、ルイス酸の存在下にカップリング反応せしめ、化合物Cを形成せしめる。
次に、スキームVIに示すように、化合物Cをアルキル化剤で処理し、化合物Dを形成せしめる。
【化81】




方法-III
【0170】
式Aの有機フォスフェート化合物は、下記に概要が示されている別の合成プロセスに基づいて製造されることができる。前述した方法と同様に、スキームVIIに示されたように、一連の反応をして中間体Eを製造する。本一連工程のために適した出発物質としては、1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノースと4-メトキシフェノールが挙げられ、留意すべきは、該リボース糖のヒドロキシル基は他の保護基を使用して保護せしめられていることである。本合成は、該アルコキシフェノールを該リボフラノースとルイス酸の存在下に反応させることにより始められる。次のステップで、該リボース部のヒドロキシ基は、塩基性加水分解により、あるいは別の適当な脱保護化剤により、脱保護せしめられる。脱保護処理に続いて、4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシドをフォスフェート供与体と反応せしめて当該フォスフェート基を該リボース環のC5の位置に導入して、中間体Eを形成する。
【化82】


【0171】
本合成の次段階は、スキームVIIIに示すように、モルホリン基を中間体Eに結合せしめて、中間体Gを形成することを含むものである。
【化83】


【0172】
最後に、スキームIXに示すように、中間体GとATP二ナトリウムとをルイス酸の存在下にカップリング反応せしめ、化合物Cを形成せしめる。次に、化合物Cを沃化メチルなどのアルキル化剤で処理し、化合物Dを形成せしめる。
【化84】




方法-IV
【0173】
式Aの有機フォスフェート化合物は、下記に概要が示されている更なる別の合成プロセスに基づいて製造されることができる。本方法に従うと、有機フォスフェート中間体Hは、スキームXに示されているように、一連のの工程により行うことができる。
本一連工程のために適した出発物質としては、(2S,3R,4R,5R)-2-アセトキシ-5-(ベンゾイロキシメチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジイルジベンゾエートと4-メトキシフェノールが挙げられ、留意すべきは、該リボース糖のヒドロキシル基は他の保護基を使用して保護せしめられていることである。本合成は、ルイス酸の存在下に反応を行うことを意味として含むVorbruggen条件の下で、該保護されたテトラヒドロフランを該アルコキシフェノールと反応させることにより始められる。Vorbruggen条件を使用してカップリング反応を行うためのさらなる手法は、非特許文献4, そして非特許文献5のうちに示されており、それらのものはそれぞれ、それを参照することにより本明細書の開示に含められる。次なるステップでは、該リボース部のヒドロキシ基は、塩基性加水分解により、あるいは別の適当な脱保護化剤により、脱保護せしめられる。脱保護処理に続いて、4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシドをフォスフェート供与体と反応せしめて当該フォスフェート基を該リボース環のC5の位置に導入して、中間体Hを形成する。
【化85】


【0174】
次なる段階で、5’-アデノシンモノフォスフェートを、メチル化剤と反応させ、酸性条件下に中間体Jを形成させる。適切なメチル化剤の一つとして、ジメチルサルフェートが挙げられる。
【化86】


【0175】
最後に、スキームXIIに示すように、中間体Jと中間体Hとを、ルイス酸の存在下にカップリング反応せしめて、化合物Dを形成せしめる。該カップリング反応の生成物は、陽イオン(カチオン)交換クロマトグラフィーを使用して精製処理されてよい。さらに、該生成物は、逆相高速クロマトグラフィーを使用して精製処理されてよい。もちろん、当該分野の当業者は、当該化合物を精製処理するその他の適切な方法を適用できよう。
【化87】




方法-V
【0176】
式Aの有機フォスフェート化合物は、下記に概要が示されている別の合成プロセスに基づいて製造されることができる。その第一段階では、上述の方法と同様に、中間体Eは、リボースから製造される。その次の段階では、中間体Iは、スキームXIIIに示されている一連の反応により製造される。(2R,3R,4R,5R)-2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-(ヒドロキシメチル) テトラヒドロフラン-3,4-ジイルジアセテートをヨウ化メチルなどのアルキル化剤によりメチル化せしめる。次に、当該アルキル化された生成物を、サリシルクロロフォスフィットと反応せしめる。該サリシルフォスフェート基は、該リボース糖のC5の炭素に結合する。さらに、本化合物は、ピロフォスフェートの存在下にフォスホリル化せしめられる。次に、該ホスフォリル化された化合物は、ヨウ素で処理されて、中間体Iを形成せしめる。
【化88】


【0177】
次のステップでは、中間体Iと中間体Eを、ルイス酸及び酸化剤の存在下にカップリング反応せしめ、テトラフォスフェート化合物を形成せしめる。次に、スキームXIVに示されているように、該テトラフォスフェート生成物を、アシル脱保護化剤で処理して、アシル基を除去し、化合物Dとする。該脱保護化反応で得られた生成物は、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して精製処理されてよい。さらに、該生成物は、逆相高速クロマトグラフィーを使用して精製処理されてよい。もちろん、当該分野の当業者は、当該化合物を精製処理するその他の適切な方法を適用できよう。
【化89】


【0178】
上記した方法は、本発明を説明するためになされているものであり、本発明の範囲やその精神を限定することを意図するものではない。さらには、さらなる化合物及び合成方法は、特許文献1に記載されており、それは参照することでそのすべてが本明細書の開示に含められる。
【実施例】
【0179】
こうして記載された本発明は以下の実施例を参照することにより一層容易に理解されよう。そしてその実施例は、単に、本発明のある種の態様や具体的な態様を説明するためになされているものであって、本発明を限定する意図はない。
【0180】
実施例1
4-メトキシフェニル (トリ-O-アセチル-α,β-D-リボフラノシド)の製造
【化90】



1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノース(2.2 g, 7 mmol)を、30 mL CH2Cl2に溶解した。その溶液を、0℃で3 mL CH2CI2中のSnCl4 (850 μL,7 mmol)でもって処理した。15分後、乾燥された4-メトキシフェノール(1 g, 8 mmol)を添加し、該懸濁液を、その混合物が均一となるまで、超音波浴中でおおよそ1分間処理した。その混合物を10分間0℃で攪拌した。冷却用浴を除去し、攪拌を40分間継続し、 その混合物を室温にまでにした。攪拌をさらに1時間継続した。その反応混合物をNaHCO3の飽和溶液(40 ml, 0℃)中に注ぎいれ、CHCl3 (2 x 50 ml)で抽出処理した。一緒にされた有機抽出物(白色エマルジョン)をエタノール(3 x 100 ml)と共にエバポレーション処理して、乾固せしめた。黄色残留物をCHCI3 中に懸濁せしめ、シリカゲルカラムにかけた。CHCI3-EtOH、グラジエント(98:2 to 90:10)で溶出し、相当する画分をエバポレーション処理し、表題化合物のアノマー混合物を黄色油状物(1.1 g, 2.9 mmol, 41%)として得た。
【0181】
実施例 2
4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシドの製造
【化91】



4-メトキシフェニル (トリ-O-アセチル-α,β-D-リボフラノシド) (1 g, 2.65 mmol)を20 mlメタノールに溶解し、NH3 (25%, 5 ml)の溶液で処理した。室温で24時間した後、残留物を水(2 x 50 ml)及びエタノール(2 x 50 ml)と共にエバポレーション処理した。その得られた黄色油状物を20 mlのトルエン-メタノール(4:1)に溶解し、シリカゲルカラムにかけ、その生成物をトルエン-メタノール(4:1)で溶出した。生成物の画分をエバポレーション処理し、該4-メトキシフェニル-α, β-D-リボフラノシドを白色固体(510 mg)として得た。本物質はTLCで単一のスポットを与えるものであった。そのα及びβアノマー体は、調製用RP-HPLCにより分離せしめられ、380 mg (1.48 mmol, 56%)の4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシドと95 mg (0.37 mmol)の4-メトキシフェニル-α-D-リボフラノシドを与えた。MS (ESI): m/z 279.2 (M+23)+
【0182】
実施例 3
4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5'-モノフォスフェートの製造
【化92】



4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド(890 mg, 3.47 mmol)をアルゴン雰囲気下で18 ml トリメチルフォスフェートに溶解した。その溶液を0℃にまで冷却し、10分間して後、412 μl (4.52 mmol)のオキシ塩化リンを注意深く添加した。4.5時間して後、過剰のPOCl3を10分間以内で真空下除去処理した。次に、30 mlの1M重炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(pH 7.5)を0℃で添加することにより、その最初に形成される中間体ジクロロフォスフェートの残留する溶液の反応を止めた。イオン交換クロマトグラフィーにより精製処理し、その生成物(0.8 mmol, 24%)をトリエチルアンモニウム塩として取得し、さらにそれを精製処理することなく次なる工程で使用した。MS (ES) m/z 335 [M - H]-
【0183】
実施例 4
4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5'-トリフォスフェートの製造
【化93】



4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5'-モノフォスフェート、トリエチルアンモニウム塩(0.8 mmol)をメタノール (20 ml)に溶解し、トリ-n-ブチルアミン(850μl, 2.4 mmol)でもって処理した。その溶液をエバポレーション処理して、乾固せしめ、メタノールに溶解し、再度のエバポレーション処理を2回行った。その後、オイルポンプを使用して無水DMF (15 ml)でもってこの処理を3回繰り返した。その残留物を12 mlの無水DMFに溶解し、N,N'-カルボニルジイミダゾール(CDI) (1.3 g, 8 mmol)を添加し、その混合物を室温で1.5時間攪拌した。乾燥メタノール(526 μl, 13 mmol)を添加して過剰量のCDIを分解せしめた後、乾燥DMF (10 ml)中のピロリン酸、トリ-n-ブチルアンモニウム塩(5.5 mmol)を添加し、得られた懸濁液を室温で攪拌した。反応の進行程度はHPLCでモニターせしめた。4日後、その反応混合物を2000 mlにまで希釈せしめ、そのpHを7.5にした。イオン交換クロマトグラフィーで精製処理し、その生成物をトリエチルアンモニウム塩として取得し、それは次にナトリウム塩(180 mg, 0.32 mmol, 40%)として沈殿処理された。MS (ES): m/z 495 [M - H]-, 598 [M + C6H15N]+
【0184】
実施例 5
アデノシン-5'-フォスホロイミダゾレートの製造
【化94】



アデノシン-5'-モノフォスフェート、遊離酸(6 mmol)をメタノールと水の1:1混合物(100 ml)に溶解し、得られた溶液をトリ-n-ブチルアミン(7.2 ml, 30 mmol)でもって処理した。その溶液をエバポレーション処理して、乾固せしめ、メタノールに溶解し、再度のエバポレーション処理を2回行った。その後、オイルポンプを使用して無水DMF (50 ml)でもってこの処理を2回繰り返した。その残留物を30 mlの無水DMFに溶解し、イミダゾール(4.1 g, 60 mmol)、2,2'-ジチオピリジン(10.6 g, 48 mmol)及びトリフェニルフォスフィン(12.6 g, 48 mmol)を添加し、その溶液を室温で2時間攪拌した。その溶液を10 mlの1 M過塩素酸ナトリウムのアセトン溶液及び30 mlのアセトンで処理せしめた。アデノシン-5'-フォスホロイミダゾレートのナトリウム塩を白色沈殿物として取得し、それを遠心処理して収集し、アセトン(5 x 30 ml)で洗浄し、デシケーター中で乾燥せしめた。その生成物(2.25 g, 5.3 mmol, 88%)をさらなる精製処理することなく次なるステップで使用した。
【0185】
実施例 6
中間体Cの製造
【化95】



4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5'-トリフォスフェート、ナトリウム塩 (478 mg, 0.85 mmol)を水(3 ml)に溶解し、MnCl2 x 2H2O (688 mg, 4.25 mmol)を添加した。その得られた溶液をゆっくり0.2 MのN-エチルモルフォリン-HCl緩衝液pH 7.0 (7 ml)中のアデノシン-5'-フォスフォロイミダゾレート(1.8 g, 4.25 mmol)の溶液に添加した。その懸濁液(pH 4.5)を、沈殿がほとんど完全に溶解するまで(pH 2.8)、2 M HCl溶液で注意しながら処理した。その反応混合物を室温で一晩中攪拌した。次に、その反応混合物をその懸濁液が澄むまで1 M バーセノール(versenol)溶液でもって処理した。その後、2000 mlにまで希釈せしめ、そのpHを7.5にし、その溶液をイオン交換クロマトグラフィーカラムにかけた。その生成物を含有している画分をプールし、該生成物をトリエチルアンモニウム塩(335 mg, 0.28 mmol, 33%)として単離せしめ、それはさらに精製処理することなく次なるステップで使用した。MS (ES) m/z 824 [M - H]-
【0186】
実施例 7
化合物Dの製造
【化96】



化合物C、トリエチルアンモニウム塩(335 mg, 0.28 mmol)をメタノール(5 ml)に溶解し、トリ-n-ブチルアミン(2 ml, 8.4 mmol)で処理した。その溶液をエバポレーション処理して、乾固せしめ、メタノールに溶解し、再度のエバポレーション処理を2回行った。その後、オイルポンプを使用して無水DMF (20 ml)でもってこの処理を3回繰り返した。その残留物を12 mlの無水DMFに溶解し、ヨードメタン(50 ml, 803 mmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で2時間攪拌せしめた。その溶液をエバポレーション処理して、乾固せしめ、その残留物を水(250 ml)に溶解し、その溶液のpHを1.2〜7.5に1M 重炭酸トリエチルアンモニウム液pH 11.0で調整した。イオン交換クロマトグラフィーによる精製処理でその生成物 (105 mg)及びメチル化されていない化合物(240 mg)をトリエチルアンモニウム塩として得た。該生成物は、その後、RP HPLCにより精製され、そのナトリウム塩 (32 mg, 0.035 mmol, 12.6%)として沈殿せしめられた。MS (ES): m/z 838 [M - H]-, 941 [M + C6H15N]+, 1042 [M + 2 x C6H15N]+
【0187】
実施例 8
アデノシン-5'-トリフォスフォロイミダゾレートの製造
【化97】



アデノシン-5'-トリフォスフェート、ナトリウム塩 (18.1 mmol)を水(40 ml)に溶解し、その溶液をピリジニウム型のDowex 50WX8 (200 ml)にかけ、水-メタノールの混合物 (1:1, 500 ml)で溶出した。その溶出液を直接に、100 mlメタノール中のトリ-n-ブチルアミン (37.7 ml, 158.4 mmol)の冷却した(氷水)攪拌溶液に滴下して加えた。その溶液をエバポレーション処理して、乾固せしめ、オイルポンプを使用してメタノールでもってそして最後に無水DMF (200 ml)でもって再度のエバポレーション処理を2回行った。その残留したものを200 mlの無水DMFに溶解し、イミダゾール(12.2 g, 180 mmol)、2,2'-ジチオピリジン(31.6 g, 144 mmol)及びトリフェニルフォスフィン(37.7 g, 144 mmol)を添加し、得られた溶液を4時間室温で攪拌した。その溶液をアセトン中の1 M 過塩素酸ナトリウム溶液100 mlと30 mlのアセトンで処理した。アデノシン-5'-トリフォスフォロイミダゾレートのナトリウム塩を白色沈殿物として取得し、それを遠心処理して収集し、アセトン(5 x 200 ml)で洗浄し、デシケーター中で乾燥せしめた。その生成物(10.5 g, 17.4 mmol, 96%)をさらなる精製処理することなく次なるステップで使用した。
【0188】
実施例 9
化合物Cの製造
【化98】



4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5'-モノフォスフェート、ナトリウム塩(2.61 mmol)を水(3 ml)に溶解し、MnCl2 x 2H2O (1.26 g, 7.83 mmol)を添加した。その得られた溶液を、ゆっくりと、0.2 M N-エチルモルフォリン-HCl緩衝液pH 7.0 (7 ml)中のアデノシン-5'-トリフォスフォロイミダゾレート の溶液(4.8 g, 7.8 mmol)に添加した。その懸濁液(pH 4.5)を、沈殿物がほとんど完全に溶解する(pH 2.0)まで、注意して2 M HCl溶液で処理した。その反応混合物を室温で一晩中攪拌せしめた。その反応混合物をその懸濁液が澄むまで1 M バーセノール溶液でもって処理した。その後、2000 mlにまで希釈せしめ、そのpHを7.5にし、その溶液をイオン交換クロマトグラフィーカラムにかけた。その生成物を含有している画分をプールし、該生成物をトリエチルアンモニウム塩(136 mg, 0.11 mmol, 4%)として単離せしめ、それはさらに精製処理することなく次なるステップで使用した。MS (ES) m/z 824 [M - H]-
【0189】
実施例 10
4-メトキシフェニル(トリ-O-アセチル-α,β-D-リボフラノシド) の製造
【化99】



-78℃の120 mLのジクロロメタン中の1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノース(9 g, 28 mmol)の溶液に、3.52 mlの三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート(28 mmol, 1当量)を滴下して加えた。その得られた混合物を-78℃で30分間攪拌し、3.48 gの4-メトキシフェノール(28 mmol, 1 当量)を添加した。その混合物をゆっくりと室温(RT)にまで温め、一晩攪拌した。300 mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加した。その有機層を分離した。その水の層を2回ジクロロメタン(250 ml)で抽出処理した。その一緒にされた有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥せしめた。減圧下にその溶媒を除去せしめ、粗製物質をヘキサン/酢酸エチル(30%)から再結晶せしめて、6.9 gのβ-異性体(isomer)の生成物(64%)を得た。
【0190】
実施例 11
4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシドの製造
【化100】



4-メトキシフェニル(トリ-O-アセチル-β-D-リボフラノース(6.78 g , 17.75 mmol)と120 mlのメタノール中の28%水酸化アンモニウム溶液の40 mlとの混合物を72時間攪拌処理した。減圧下にその溶媒を除去せしめた。その残留物につき再度のエバポレーション処理を2回エタノール(50 ml)と共に行った。その残留物を、10%メタノール/クロロフォルムを使用してのフラッシュカラムにより精製処理し、4.54 gの生成物(100%)を得た。
【0191】
実施例 12
4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5'-モノフォスフェートのトエメチルアンモニウム塩の製造
【化101】



該トリオール体(0.45g, 1.758 mmol)を9 mlのトリメチルフォスフェートに0℃で溶解せしめた。0.22 mlのオキシ塩化リン(V)(2.4 mmol, 1.35当量)を0℃で添加した。その混合物を0℃で5時間攪拌処理した。10 mlの水を加えた。その混合物を一晩室温(RT)で攪拌処理した。次に、その混合物をHPLCにより精製処理し、650 mgの目的物のトリエチルアンモニウム塩 (84%)を得た。2-5 gのスケールで同じ手法を行い、80-90%の収率を得た。
【0192】
実施例 13
中間体Eのモルフォリノ誘導体の製造
【化102】



15 mlの2-プロパノール中のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.03 g, 5 mmol)の溶液を、20 mlのプロパノール中の4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5’-モノフォスフェート・トリエチルアンモニウム塩(437 mg, 1.07 mmol)とモルフォリン(435 mg, 5 mmol)との還流中の混合物液に30分間かけて滴下して加えた。得られた混合物は、一晩、還流処理した。減圧下にその溶媒を除去処理した。30 mlの水を加え、粗製の物質をろ過処理して白色固体を取り除いた。そのろ液を酢酸エチル(3 x 20 ml)で抽出処理した。その一緒にした有機層を減圧下に濃縮処理した。その残留物を、共沸混合物としてトルエン(3 x 15 ml)と共に3回蒸留処理せしめ、次に、高真空下で乾燥処理し、500 mgのその粗製生成物を得て、それを直接次なるカップリングにおいて使用した。
【0193】
実施例 14
化合物Cの製造
【化103】



4-メトキシフェニル-β-D-リボフラノシド-5’-モノフォスホルモルフォリン (粗製500 mg, 約107 mmol)、ATP二ナトリウム(606.2 mg, 1.1 mmol)、硫酸マグネシウム(168 mg, 1.4 mmol)、7 mlの0.2 M MnCl2 (塩化マンガン(II)・四水和物)のフォルムアミド溶液の混合物を、室温で週末中攪拌処理した。そのLC/Massでは、該モノ-フォスフェートが完全に消費されていることが示されていた。3 mlの1 M バーセノール溶液を添加した。その混合物をHPLCにより精製処理し、430 mgのトリエチルアンモニウム塩の形態の目的生成物を得た。
援用
【0194】
本願の親出願のドキュメント及び本明細書中で参照するように示されている科学技術論文のそれぞれの開示のすべては、すべての目的に関し、それを参照することにより本開示内容に含められるものである。
均等な範囲
【0195】
本発明は、その精神又は必須の特徴から逸脱することなくその他の特定の形態でそれを具体化されるものであってよい。それ故に、上述してきた具体的な態様や例は、すべての点で、本明細書で記載されている本発明を限定するというよりは説明するためのものであるとされるべきである。かくして、本発明の範囲は、上述した明細書の記載によるというよりは、添付の特許請求の範囲の請求項によって示されるものであって、該請求項の意味するところやその範囲と均等なものの範囲内にある変形・改変はすべて、本権利の範囲内であることが意図されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Aの化合物と一般式II-Aの化合物とを混合して一般式III-Aの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式I-Aは、次式:
【化1】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもので;そして
xは、0、1又は2である
で表されるもので、一般式II-Aは、次式:
【化2】



式中、
R1及びR3は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの;
yは、0、1又は2であり、但し、xとyの和は、2である;
で表されるもので、一般式III-Aは、次式:
【化3】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする方法。
【請求項2】
R2が、H、Na又はKであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記一般式I-Aの化合物が、次式:
【化4】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記一般式II-Aの化合物が、次式:
【化5】



式中、
R1及びR3は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記一般式III-Aの化合物が、次式:
【化6】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記式I-Aの化合物が、次式:
【化7】



で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記式II-Aの化合物が、次式:
【化8】



で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記式III-Aの化合物が、次式:
【化9】



で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、さらに、ルイス酸を混合せしめることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該ルイス酸が、MnX2(式中、Xはハロゲンである)であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、一般式III-Aの化合物とアルキル化剤とを混合して一般式IV-Aの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式IV-Aは、次式:
【化10】



式中、
R1及びR3は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記式IV-Aの化合物が、次式:
【化11】



で表されるものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該アルキル化剤は、R-Xであり、ここで、Rは、メチル基で、Xは、臭素、ヨード、メシレート、トシレート、又は、トリフレートであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記一般式I-Aの化合物が、次式:
【化12】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
さらに、一般式V-Aの化合物とR’O-P(O)(OR’)-O-P(O)(OR’)2とフォスフェートカップリング剤とを混合して一般式I-Aの化合物を形成せしめることを含むもので、ここでR’は、H又はアルカリ金属で、一般式V-Aは、次式:
【化13】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記一般式V-Aの化合物が、次式:
【化14】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式V-Aの化合物が、次式:
【化15】



で表されるものであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
該フォスフェートカップリング剤が、1,1′-カルボニルジイミダゾールであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
さらに、一般式VI-Aの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式V-Aの化合物を形成せしめることを含むものであり、ここで一般式VI-Aは、次式:
【化16】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
上記式VI-Aの化合物が、次式:
【化17】



で表されるものであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該フォスフォリル化剤が、P(O)(O-アルキル)3であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
さらに、一般式VII-Aの化合物とアシル脱保護化剤とを混合して一般式VI-Aの化合物を形成せしめることを含むものであり、ここで一般式VII-Aは、次式:
【化18】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
上記式VII-Aの化合物が、次式:
【化19】



で表されるものであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
該アシル脱保護化剤が、塩基とC1-C6のアルコールとの混合物であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
該アシル脱保護化剤が、NH3とMeOHとの混合物であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
さらに、一般式VIII-Aの化合物、アルコキシフェノール、そしてルイス酸を混合して一般式VII-Aの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VIII-Aは、次式:
【化20】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
上記式VIII-Aの化合物が、次式:
【化21】



で表されるものであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
該ルイス酸が、SnCl4又はTiCl4であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
上記式I-Aの化合物が、次式:
【化22】



で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項30】
上記式II-Aの化合物が、次式:
【化23】



で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
上記一般式I-Aの化合物が、次式:
【化24】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項32】
さらに、一般式VI-Aの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式I-Aの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VI-Aは、次式:
【化25】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
上記式VI-Aの化合物が、次式:
【化26】



で表されるものであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該フォスフォリル化剤が、P(O)(O-アルキル)3であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
さらに、一般式VII-Aの化合物とアシル脱保護化剤とを混合して一般式VI-Aの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VII-Aは、次式:
【化27】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
上記式VII-Aの化合物が、次式:
【化28】



で表されるものであることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
該アシル脱保護化剤が、塩基とC1-C6のアルコールとの混合物であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項38】
該アシル脱保護化剤が、NH3とMeOHとの混合物であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項39】
さらに、一般式VIII-Aの化合物、アルコキシフェノール、そしてルイス酸を混合して一般式VII-Aの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VIII-Aは、次式:
【化29】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものであることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項40】
上記式VIII-Aの化合物が、次式:
【化30】



で表されるものであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
該ルイス酸が、SnCl4又はTiCl4であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項42】
有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Cの化合物と一般式II-Cの化合物とを混合して一般式III-Cの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式I-Cは、次式:
【化31】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの;
R3及びR4は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの;そして
xは、0又は1である
で表されるもので、一般式II-Cは、次式:
【化32】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの;
yは、1又は2であり、但し、xとyの和は、2である
で表されるもので、一般式III-Cは、次式:
【化33】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする方法。
【請求項43】
R2が、H、Na又はKであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
上記一般式I-Cの化合物が、次式:
【化34】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; そして
R3及びR4は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
上記一般式II-Cの化合物が、次式:
【化35】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項46】
上記一般式III-Cの化合物が、次式:
【化36】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項47】
上記式I-Cの化合物が、次式:
【化37】



で表されるものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項48】
上記一般式II-Cの化合物が、次式:
【化38】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はNaである
で表されるものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項49】
上記式III-Cの化合物が、次式:
【化39】



で表されるものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項50】
さらに、ルイス酸を混合せしめることを含むものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項51】
該ルイス酸が、MnCl2であることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
さらに、一般式III-Cの化合物とアルキル化剤とを混合して一般式IV-Cの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式IV-Cは、次式:
【化40】



式中、
R1及びR3は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項53】
上記式IV-Cの化合物が、次式:
【化41】



で表されるものであることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
該アルキル化剤が、R-X(式中、Rは、メチル基で、Xは、臭素、ヨード、メシレート、トシレート又はトリフレート)であることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項55】
さらに、一般式V-Cの化合物、モルホリン、カルボジイミドカップリング剤を混合して一般式I-Cの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式V-Cは、次式:
【化42】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているものである
で表されるもので、そのN(R3)4塩(式中、R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C4アルキル基である)を包含するものであることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項56】
上記一般式V-Cの化合物が、次式:
【化43】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているものである
で表されるもので、そのN(R3)4塩(式中、R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C4アルキル基である)を包含するものであることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
上記式V-Cの化合物が、次式:
【化44】



で表されるものであることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項58】
該カルボジイミドカップリング剤が、N,N′-ジシクロヘキシルカルボジイミドであることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項59】
さらに、一般式VI-Cの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式V-Cの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VI-Cは、次式:
【化45】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項60】
上記式VI-Cの化合物が、次式:
【化46】



で表されるものであることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
該フォスフォリル化剤が、P(O)(O-アルキル)3であることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項62】
さらに、一般式VII-Cの化合物とアシル脱保護化剤とを混合して一般式VI-Cの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VII-Cは、次式:
【化47】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものであることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項63】
上記式VII-Cの化合物が、次式:
【化48】



で表されるものであることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
該アシル脱保護化剤が、塩基とC1-C6のアルコールとの混合物であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項65】
該アシル脱保護化剤が、NH3とMeOHとの混合物であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項66】
さらに、一般式VIII-Cの化合物、アルコキシフェノール、そしてルイス酸を混合して一般式VII-Cの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VIII-Cは、次式:
【化49】



式中、
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものであることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項67】
上記式VIII-Cの化合物が、次式:
【化50】



で表されるものであることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
該ルイス酸が、BF3・OEt2であることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項69】
有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Dの化合物と一般式II-Dの化合物とを混合して一般式III-Dの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式I-Dは、次式:
【化51】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、アルカリ金属又はN(R4)4;そして
R4は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式II-Dは、次式:
【化52】



式中、
R2は、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H, アルカリ金属又はN(R4)4;そして
R4は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式III-Dは、次式:
【化53】



式中、
R1及びR2は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H, アルカリ金属又はN(R4)4;そして
R4は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする方法。
【請求項70】
さらに、ルイス酸を混合することを含むものであることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
該ルイス酸が、ZnX2(式中、Xは、ハロゲン)であることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項72】
さらに、一般式IV-Dの化合物とアルキル化剤とを混合して上記一般式II-Dの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式IV-Dは、次式:
【化54】



式中、
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものであることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項73】
該アルキル化剤が、SO2(OR’)2(式中、R’は、C1-C4アルキル基)であることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
さらに、一般式V-Dの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して上記一般式I-Dの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式V-Dは、次式:
【化55】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項75】
一般式V-Dの化合物とP(O)(OR’)3とを混合して、次に(OR’’)2P(O)OP(O)(OR’’)2を混合せしめることを含むもので、ここでR’は、C1-C4アルキル基で、R’’は、H又はN(R’’’)4で、そしてR’’’は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C4アルキル基であることを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
さらに、一般式VI-Dの化合物を加水分解せしめ、一般式V-Dの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式VI-Dは、次式:
【化56】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R4 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである
で表されるものであることを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項77】
さらに、一般式VII-Dの化合物、一般式VIII-Dの化合物、そしてルイス酸を混合し、上記一般式VI-Dの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式VII-Dは、次式:
【化57】



式中、
R4 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである;
で表されるもので、一般式VIII-Dは、次式:
【化58】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
有機フォスフェート化合物を製造する方法であって、該方法は、一般式I-Eの化合物、一般式II-Eの化合物、そして酸化剤を混合して、一般式III-Eの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式I-Eは、次式:
【化59】



式中、
R1は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである;
R2は、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H, アルカリ金属又はN(R5)4;そして
R5は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式II-Eは、次式:
【化60】



式中、
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H, アルカリ金属又はN(R5)4;
R4は、C1-C4アルキル基で;そして
R5 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるもので、一般式III-Eは、次式:
【化61】



式中、
R1は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである;
R2及びR4は、それぞれ独立に、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H, アルカリ金属又はN(R5)4;そして
R5は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする方法。
【請求項79】
さらに、ルイス酸を混合せしめることを含むものであることを特徴とする請求項78に記載の方法。
【請求項80】
該ルイス酸が、ZnCl2であることを特徴とする請求項79に記載の方法。
【請求項81】
さらに、アシル脱保護化剤と上記一般式III-Eの化合物とを混合せしめることを含むものであることを特徴とする請求項78に記載の方法。
【請求項82】
該アシル脱保護化剤が、塩基とC1-C6のアルコールであることを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項83】
さらに、一般式IV-Eの化合物と酸化剤を混合して、一般式I-Eの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式IV-Eは、次式:
【化62】



式中、
R1は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルで;
R2は、C1-C4アルキル基で;
R3は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H, アルカリ金属又はN(R5)4;そして
R5は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はC1-C6アルキル基である
で表されるものであることを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項84】
該酸化剤が、ヨウ素であることを特徴とする請求項83に記載の方法。
【請求項85】
さらに、一般式V-Eの化合物とフォスフォリル化剤とを混合して一般式IV-Eの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式V-Eは、次式:
【化63】



式中、
R1は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルで;
R2は、C1-C4アルキル基で;そして
R5及びR6は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基又はアラルキル基であるか、あるいは、R5とR6はそれらの結合しているアリール基と一緒になって縮合芳香族基を形成している
で表されるものであることを特徴とする請求項83に記載の方法。
【請求項86】
該フォスフォリル化剤が、ピロリン酸塩であることを特徴とする請求項85に記載の方法。
【請求項87】
さらに、一般式VI-Eの化合物と一般式VII-Eの化合物とを混合し、一般式V-Eの化合物を形成せしめることを含むもので、ここで一般式VI-Eは、次式:
【化64】



式中、
R1は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、又は、-C(O)アラルキルである;そして
R2は、C1-C4アルキル基である
で表されるもので、一般式VII-Eは、次式:
【化65】



式中、
R5及びR6は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基又はアラルキル基であるか、あるいは、R5とR6はそれらの結合しているアリール基と一緒になって縮合芳香族基を形成している
で表されるものであることを特徴とする請求項85に記載の方法。
【請求項88】
さらに、一般式VIII-Eの化合物とアルキル化剤を混合して一般式VI-Eの化合物を形成することを含むもので、ここで一般式VIII-Eは、次式:
【化66】



式中、
R1は、H、-C(O)CH3又は-C(O)CH2-フェニルである
で表されるものであることを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項89】
該アルキル化剤が、ヨウ化メチルであることを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項90】
次式:
【化67】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属である
で表されるものであることを特徴とする化合物。
【請求項91】
次式:
【化68】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;そして
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属; あるいは、二個の存在するR2が一緒になりアルカリ土類金属を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする化合物。
【請求項92】
次式:
【化69】



式中、
R1は、C1-C4アルキル基で;
R2 は、それぞれ互いに独立に存在するもので、H又はアルカリ金属で;そして
R3及びR4は、それらの結合している窒素原子と一緒になり、3〜6員複素環式基を形成しているもの
で表されるものであることを特徴とする化合物。

【公表番号】特表2011−525170(P2011−525170A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546913(P2010−546913)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/034018
【国際公開番号】WO2009/102928
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(500566682)マイクロドース セラピューテクス,インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】