説明

ネガ型レジスト組成物及びパターン形成方法

【課題】パターン形成時にブリッジが発生しにくく、高い解像性を与えることができるネガ型レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、(A)アルカリ可溶性であり、酸の作用によりアルカリ不溶性となるベースポリマー、(B)酸発生剤、(C)塩基性成分を含有するネガ型レジスト組成物であって、前記ベースポリマーは、少なくとも、フェノール性水酸基を側鎖に有するアクリレート単位及びエポキシシクロヘキシル基を有するアクリレートの繰り返し単位を含み、ポリマー間で酸架橋性を有する重量平均分子量が1,000〜10,000である高分子化合物を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型レジスト組成物、及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の高集積化に伴い、より微細なパターン形成が求められ、特に、0.2μm以下のレジストパターンを得る場合、常法として、高感度、高解像度が得ることのできる、光発生酸を触媒とする化学増幅型レジスト組成物が用いられている。また、この際の露光源として紫外線、遠紫外線、EB等の高エネルギー線が用いられるが、特に現在検討中のものとして最も微細なパターンが期待できるEBやEUVによる露光法が注目されている。
【0003】
レジスト組成物には露光部が溶解するポジ型と露光部がパターンとして残るネガ型があり、それらは必要とするレジストパターンに応じて使いやすい方のものが選択される。化学増幅ネガ型レジスト組成物は、通常、アルカリ可溶性であり、酸の作用によりアルカリ不溶性となる高分子化合物と、露光光により分解して酸を発生する酸発生剤を含有しており、更に通常露光で発生した酸の拡散を制御するための塩基性化合物が加えられる。
【0004】
上記水性アルカリ性現像液に溶解する高分子化合物を構成するアルカリ可溶性単位として、フェノール単位を使用するタイプのネガ型レジスト組成物は、特にKrFエキシマレーザー光による露光用として多数が開発された。これらは、露光光が150〜220nmの波長である場合、フェノール単位が光の透過性を持たないため、ArFエキシマレーザー光用のものとしては使用されなかったが、近年、より微細なパターンを得るための露光方法である、EB、EUV露光用のネガ型レジスト組成物として再び注目されており、特許文献1、特許文献2、特許文献3が報告されている。
【0005】
しかし、要求されるパターンがより微細化するに従い、前記フェノール単位の代表構造であるヒドロキシスチレン単位を使用するタイプのネガ型レジスト組成物には、多くの改良が加えられてきたが、パターン寸法が0.1μm以下というように、非常に微細になるに従い、微細パターンにおいてパターン間に細い糸状のレジスト層が残ってしまう、いわゆるブリッジ問題が発生し易いことに対し、また、基板界面においてアンダーカットが発生し、パターンが倒壊しやすいことに対して、従来の材料では解決できなくなってきた。
【0006】
また、被加工基板の材料によって、基板近傍で形状が変化する、いわゆるパターンの基板依存性の問題は、目的とするパターンの微細化に伴い、小さな形状変化も問題となるようになってきた。特にフォトマスクブランクを加工する際、フォトマスクブランクの最表面の材料であるクロム酸化窒化物上で化学増幅ネガ型レジストを用いてパターン形成を行うと、基板接触部でパターンに切れ込みが入ってしまう、いわゆるアンダーカットが発生し、従来材料では十分な解決に至らなかった。
【0007】
また、上述のようなレジストの開発において、レジスト組成物に要求される特性としては、レジストの基本的性能である高解像性のみならず、より高いエッチング耐性に対する要求もある。これは、パターンがより微細化するに従ってレジスト膜を薄くしていく必要があるためである。この高いエッチング耐性を得るための一つの方法として、インデンやアセナフチレンのような、芳香環と非芳香環を含む多環状の化合物で、非芳香環に芳香環に共役する炭素−炭素二重結合を持つ化合物をヒドロキシスチレン単位を持つポリマーの副成分として導入してやる方法が知られており、特許文献3にも開示されている。
【0008】
また、ポジ型レジスト用のポリマーとしては、特許文献4のような、インデン骨格のみを持つポリマーを使用することが提案され、また特許文献5では、アセナフチレン骨格を持つ単位をヒドロキシスチレン誘導体と組み合わせて使用する方法も提案されている。
【0009】
特許文献3では、スチレン誘導体単位として、ヒドロキシスチレン単位と、クロルスチレン単位を含有した高分子化合物を使用しているが、酸発生剤としては、トリフェニルスルフォニウム−2,5−ジメチルベンゼンスルフォン酸とトリフェニルスルフォニウム−2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフォン酸の混合系であった。この材料は、酸を触媒として高分子化合物間に架橋を形成して高分子化合物を現像液に不溶化させる架橋剤を含有しているが、60nmのアンダーカットの小さい、そしてブリッジの発生がないライン&スペースパターンが得られている。しかし、ブリッジ発生のため、50nm以下のパターン形成は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−201532号公報
【特許文献2】特開2006−215180号公報
【特許文献3】特開2008−249762号公報
【特許文献4】特開2004−1149756号公報
【特許文献5】特開2006−169302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、パターン形成時にブリッジが発生しにくく、従来のレジスト組成物に比べ高い解像性を与えることができ、パターン倒れを有効に抑制することができるネガ型レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明によれば、少なくとも、
(A)アルカリ可溶性であり、酸の作用によりアルカリ不溶性となるベースポリマー、
(B)酸発生剤、
(C)塩基性成分
を含有するネガ型レジスト組成物であって、
前記ベースポリマーは、少なくとも、下記一般式(1)及び下記一般式(2)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、sは0又は1を表す。tは0〜2の整数を表す。Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。B、Bはそれぞれ独立に単結合、又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を表す。)で示される繰り返し単位を含み、重量平均分子量が1,000〜10,000である高分子化合物を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物を提供する。
【0013】
このようなネガ型レジスト組成物を用いることで、パターン形成時にブリッジが発生しにくく、高い解像性を与えることができるレジスト膜を得ることができ、50nm以下の微細なパターンが解像できる。更に、上記一般式(2)のオキシラン環は基板界面との密着性を改善するため、パターン倒壊を抑制する効果がある。
【0014】
また、前記(C)塩基性成分は、少なくとも、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物を1種以上含有することが好ましい。
【0015】
この塩基性成分を用いることにより、アンダーカットの発生が防止され、好ましいパターン形状を得ることができる。
【0016】
前記高分子化合物が、更に、下記一般式(3)及び/又は下記一般式(4)
【化2】

(式中、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換可ヒドロキシ基、アルコキシ基、及びアルキル基のいずれかを表し、uおよびvは0〜5の整数である。)で示される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0017】
この単位を含むことにより、高いエッチング耐性が得られ、レジスト膜の薄膜化が可能となると共に、ポリマーに与えられる剛直性により、解像性の改善が可能となる。
【0018】
前記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物は、下記一般式(5)〜(7)
【化3】

(式中、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、及び炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR、Rの2個が結合して環構造を形成してもよい。Rは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基、及びハロゲン基のいずれかである。Rは、単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、及び炭素数6〜20のアリーレン基のいずれかである。)
【化4】

(式中、R、R、R、Rは前述の通りである。)
【化5】

(式中、R10は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の置換可アルキレン基であり、アルキレン基の炭素−炭素間にカルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。また、R11は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、及び炭素数6〜20のアリーレン基のいずれかである。)
で表わされる化合物のうち1種以上を含有することが好ましい。
【0019】
このように、前記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物の化学構造例としては、上記一般式(5)〜(7)を挙げることができる。
【0020】
前記(C)塩基性成分は、前記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物に加え、更に、下記一般式(8)及び下記一般式(9)
【化6】

(式中、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、及び炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR12、R13、R14の2個が結合して環構造もしくは芳香族環を形成してもよい。)
で示されるアミン化合物のうち、少なくとも1種以上を含有するものとすることができる。
【0021】
このように、前記(C)成分の塩基性成分は、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物に加え、更に、上記一般式(8)及び(9)で示されるアミン化合物のうち、少なくとも1種以上を含ませることができる。
【0022】
また、リソグラフィーによりレジストパターンを形成する方法であって、少なくとも、前記ネガ型レジスト組成物を用いて被加工基板上にレジスト膜を成膜し、該レジスト膜に高エネルギー線を露光し、その後水性アルカリ性現像液を用いて現像してレジストパターンを得ることを特徴とするレジストパターンの形成方法を提供する。
【0023】
このような本発明のレジストパターンの形成方法を用いることにより、50nm以下のラインアンドスペースを形成した場合にも、スペース部でのブリッジ発生を防止することができ、更に、パターン倒れを抑制することができる。
【0024】
前記レジスト膜の膜厚は10nm以上100nm未満であることが好ましい。
【0025】
特に、レジスト膜の膜厚が10nm以上100nm未満である場合、従来材料では安定的に得にくかった50nm以下の線幅を持つパターンを、より確実にパターン倒れを抑制して得ることができる。
【0026】
前記被加工基板として、フォトマスクブランクを用いることができる。更に、前記フォトマスクブランクは、最表層上に、クロム化合物膜が成膜されているものとすることができる。
【0027】
本発明のレジストパターンの形成方法を特に有用に用いることができる基板として、フォトマスクブランク基板を挙げることができる。また、このフォトマスクブランクの最表層が、クロム化合物膜である場合、特に有用である。1枚のフォトマスクは、それを用いて製造した半導体全ての性能に影響するため、小さいLERが要求される。これに対し、特にクロム化合物膜である場合には、他の窒素含有膜以上に強くアンダーカットが生じ、またパターン倒れが生じやすい。そこで、本発明のレジストパターンの形成方法を用いることで、パターン倒れを抑制し、高解像性で良好なパターン形状を持つパターンが得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のネガ型レジスト組成物を用いることにより、50nm以下のラインアンドスペースパターンを形成した場合にも、スペース部でのブリッジ発生を防止することができ、更にパターン倒れが抑制される。更に、塩基性成分として、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物を併用してやることにより、クロム化合物のようなアンダーカットを発生し易い被加工基板上でもアンダーカットが防止され、好ましい形状を持つ最小線幅が50nm以下のパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
ネガ型レジスト用ポリマーとして、主にヒドロキシスチレン単位と電子吸引基が置換されたスチレン単位を繰り返し単位として含むベースポリマーを用い、アルカリ現像液に対して可溶性であるが、酸と反応した際には架橋反応を生じ、ポリマーを上記現像液に難溶性とする方法は、最先端の紫外線によるリソグラフィー方法がArFにシフトした後も、電子線露光用や極短紫外線露光用のレジストポリマーとして用いられてきており、例えば前記特許文献3のように、電子線によるパターン露光で240nmのレジスト膜厚で80nmといった良好な形状を持つ微細なパターン形成に成功している。
しかし、上記のような高解像性を達成した化学増幅型レジスト組成物を用いて最小線幅50nm以下のパターン形成を試みたところ、微細なパターンが倒壊するか、あるいはパターン間にブリッジを生じ、高解像性が達成できないという問題が生じた。
従って、パターン形成時にブリッジが発生しにくく、高い解像性を与えることができ、パターン倒れを抑制することができるネガ型レジスト組成物が求められていた。
【0031】
本発明者らは、この高解像性を阻む原因は、上記のようなレジストに使用されたレジスト膜のアルカリ現像液による現像時の機械的強度不足によるものであり、ブリッジの発生原因が、架橋反応のコントラスト(高分子化合物と架橋剤の反応性)が小さいためであるという作業仮説を立てた。そして、高分子材料の構成単位に反応性の高いオキシラン環を有するユニットを用いて、ポリマー間の反応活性部位を増加させることでコントラストを向上させる試みを計画した。
【0032】
ここで、脂環構造中に求電子反応に高い活性を有するオキシラン環を持つユニットは熱硬化性樹脂用ユニット(特開平8−41150号公報)や、レジストへの応用(特開2001−226430号公報)が図られたが、実用化には至らなかったものである。
本発明者らは、高分子材料の構成単位に、このような特定の脂環構造中にオキシラン環を有するユニットを用いて、ポリマー間の反応活性部位を増加させると、高分子材料のアルカリ溶解速度を大きく変化させずに架橋効率を増加させることができ、このため、ブリッジが発生しにくく、50nm以下の微細なパターンを、パターン倒れを抑制しつつ解像できることを偶然に見出し、本発明をなすに至った。
【0033】
即ち、本発明者らは、種々の可能性について思考錯誤を行ったところ、下記一般式(1)で示されるフェノール基を有するユニットと下記一般式(2)で表されるオキシラン環を有するユニット
【化7】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、sは0又は1を表す。tは0〜2の整数を表す。Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。B、Bはそれぞれ独立に単結合、又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を表す。)
で示される繰り返し単位を含み、重量平均分子量が1,000〜10,000である高分子化合物を含有するベースポリマーを用いれば、架橋効率が上がり、パターン形成時のブリッジの発生およびパターン倒れが抑制され、高い解像性を与えるレジスト膜を得ることができることを見出した。
【0034】
上記一般式(1)で現される分子中に極性を有する単位は、極性の強さにもよるが、一般的には、ベースポリマーの全モノマー単位に対し、30モル%より多く含有すれば、アルカリ現像液に対する溶解度が小さくなって現像欠陥の要因となり得る恐れがないため、好ましい。より好ましくは40モル%以上、特に50モル%以上含有することで、アルカリ現像液に対する十分な溶解度を得ることができるため、好ましい。
【0035】
また、上記一般式(2)で表されるオキシラン環を有する単位は、アルカリ現像液に対する溶解阻害効果にもよるが、一般的にはより好ましくは60モル%以下、特に50モル%以下とすることで、ベースポリマーのアルカリ溶解度を最適化できる。基板との密着性改善、架橋効率向上のためには多い方が良いが、60モル%以下、特に50モル%以下とすることで、アルカリ現像液に対する溶解度が低下しすぎる恐れがないため好ましい。ベースポリマーを架橋するためには、レジスト感度にもよるが、5モル%以上含有することが好ましい。5モル%以上であると、レジスト感度が低感度になりすぎる恐れがないため、好ましい。
【0036】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位のうち、リンカー(−CO−O−B−)のない繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン単位に代表される水酸基が置換された芳香環にα位置換あるいは非置換のビニル基が結合されたモノマーに由来する単位であるが、好ましい具体例としては、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、5−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン等を挙げることができる。
【0037】
リンカー(−CO−O−B−)を有する場合の単位は、(メタ)アクリル酸エステルに代表される、カルボニル基が置換したビニルモノマーに由来する単位である。
リンカー(−CO−O−B−)を持つ場合の好ましい上記一般式(1)の繰り返し単位の具体例を以下に示す。
【0038】
【化8】

【0039】
上記オキシラン環を有する繰り返し単位(2)式は、高エネルギー線の照射を受けた際、レジスト組成物中の酸発生剤より発生する酸を触媒として、オキシラン環が容易に開環して、ポリマー間で架橋反応を生じ、ベースポリマーをアルカリ現像液に不溶とする構成単位である。また、オキシラン環は、基板界面との密着性を改善するため、パターン倒壊を抑制する効果がある。Bは単結合、又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示すが、単結合またはメチレン基、あるいはエチレン基であれば、ポリマーの剛直性、エッチング耐性を損なう恐れがないため、好ましい。エッチング耐性からは、Bが単結合の場合が好ましい構造であるが、反応性との兼ね合いから最適な構造が選択される。
【0040】
また、ベースポリマーとして用いる高分子化合物を構成する主たる上記一般式(1)式及び一般式(2)式のモノマー単位に加え、下記一般式(3)及び/又は一般式(4)に示されるインデン単位やアセナフチレン単位を使用することにより、より剛直なベースポリマーとすることができる。
【化9】

(式中、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換可ヒドロキシ基、アルコキシ基、及びアルキル基のいずれかを表し、uおよびvは0〜5の整数である。)
【0041】
この剛直なベースポリマーは単位体積当たりの炭素密度が高いため、エッチング耐性にも優れるので、レジスト膜を薄膜で使用できる利点があるが、さらに高解像性パターン形成に有利であることも判明した。
【0042】
上記一般式(3)で表わされるインデン誘導体や上記一般式(4)で表わされるアセナフチレン誘導体の導入による効果は、ベースポリマーの全モノマー単位に対し、5モル%以上加えると、その効果が明らかに現れる。また、上限は置換基RやRに依存し、置換基RやRがヒドロキシ基である場合、上記一般式(1)との合計がベースポリマーの全モノマー単位に対して40モル%以上になるよう設計することが好ましく、より好ましくは50モル%以上である。一方、置換基がヒドロキシ基でない場合には、上記一般式(1)と一般式(2)で表わされるモノマー単位の必要量が満たされる範囲以下であるが、好ましくは40モル%以下であり、このように比が高すぎない場合には現像時の残渣発生の原因になる恐れがないため好ましい。
【0043】
ところで、上述のインデン誘導体やアセナフチレン誘導体のような重合によってポリマー主鎖に環構造を導入できるモノマーの使用はエッチング耐性の向上に有力なものであったが、インデン誘導体を共重合する際、重合に用いるインデン誘導体のモノマー添加量に対し、重合で得られるポリマーに含まれるインデン誘導体由来の単位は非常に少ない。そこで、インデン誘導体を導入する際にはヒドロキシ基を置換基として持つものであっても、安定した重合結果を得るために、ベースポリマーの全モノマー単位に対して40モル%以下、より好ましくは30モル以下であることが好ましい。
【0044】
一方、アセナフチレン誘導体を共重合する場合には、重合に用いるアセナフチレン誘導体のモノマー添加量と、重合で得られる高分子化合物に含まれるアセナフチレン誘導体由来の単位はほぼ同じであり、上記範囲内で自由に配合できると共に、得られる高分子化合物のばらつきが少ないため、高分子化合物の品質管理からアセナフチレン誘導体は好ましい。
そこで、本発明者らは、一般式(1)のフェノール性水酸基を有する単位と、一般式(2)の反応性の高いオキシラン環を有する単位に加え、一般式(4)のアセナフチレン単位を構成成分として含有するモノマー混合物を共重合して高分子化合物とし、ネガ型レジスト用のベースポリマーとしてネガ型レジスト組成物を調製したところ、更に高い解像性を持ち、ブリッジ問題を引き起こさないレジスト膜が得ることができることを発見した。
【0045】
上記高分子化合物は、相当するモノマーを公知のラジカル重合(例えば特許文献3)等により容易に合成することができる。また、上述のように、重合時には上記フェノール性水酸基をアルカリ加水分解できるような保護基であるアシル基や、酸加水分解できるようなアセタールや3級アルキル基で保護した状態で重合した後、脱保護を行なう方法でも良い。
更に、逆にフェノール性水酸基を有するモノマーを用いて重合した後、溶解速度を調整するためにアシル化等の修飾反応を行なって最終的に用いる高分子化合物としても良い。
【0046】
上記本発明の(A)成分中の高分子化合物は、重量平均分子量(測定はポリスチレンを標準サンプルとしたゲルパーミエションクロマトグラフィー:HLC−8120GPC東ソー(株)によるもの)が1,000から10,000である必要がある。
重量平均分子量が1、000未満であればレジスト材料の耐熱性が不十分となり、熱変形が起きやすくなってしまう場合があり、10,000より大きいと、現像後レジストパターンの解像性の低下や、ブリッジが発生し易くなり欠陥を生じやすくなる欠点がある。ラインエッジラフネスを小さくするためには重量平均分子量は8,000以下が好ましいが、より好ましくは7,000以下である。
【0047】
さらに、本発明のネガ型レジスト組成物に使用する高分子化合物の分子量分布(Mw/Mn)が狭い場合、低分子量や高分子量のポリマーが存在することが原因となって露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする恐れが少ない。パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0から2.5、特に1.0から1.8と分散度が低いことが好ましい。
【0048】
なお、本発明のネガ型レジスト組成物を調整する場合、期待される性能を得るためには、上述の高分子化合物単体、あるいは上述の高分子化合物同士のブレンドのみでレジスト組成物のベースポリマー成分を構成することが好ましいが、特許文献3に記述されているような、すでに公知の化学増幅型ネガ型レジスト組成物に用いられるポリマーを、ベースポリマー中の全ポリマーの30%程度であれば加えることができる。しかし、この場合、上記一般式(2)で表わされる単位の全ポリマーに含まれるモノマー単位に対する比が、5モル%以上になるよう調整することが好ましい。
【0049】
本発明のネガ型レジスト組成物はベースポリマー中の高分子化合物にエポキシ基を持つ単位を有するため、架橋剤を必要としないが、架橋剤を添加することも可能である。一般的には、下記のような架橋剤を別に添加できる。
架橋剤は、酸発生剤(B)より発生した酸を触媒として、上記ポリマーと反応して、ポリマー内及びポリマー間に架橋を形成し、ベースポリマーをアルカリ不溶性とするものである。これは、通常上記ポリマーの構成単位に含まれる芳香環あるいは水酸基に対して求電子的に反応して結合を形成する複数の官能基を有する化合物であり、すでに多数の化合物が公知である。
【0050】
本発明のネガ型レジスト組成物が含有する架橋剤としては、基本的には公知の架橋剤の何れもが適用可能であるが、好適な架橋剤としてはアルコキシメチルグリコールウリル類、アルコキシメチルメラミン類を挙げることができ、具体的には、アルコキシメチルグリコールウリル類として、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレアが挙げられる。また、アルコキシメチルメラミン類として、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミンが挙げられる。
【0051】
本発明のネガ型レジスト組成物における架橋剤の添加量としては、レジスト材料中の固形分(ベースポリマーと酸発生剤)100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。上記架橋剤は単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0052】
本発明に用いる(B)成分である酸発生剤は、基本的には化学増幅型レジストに用いることができる公知の酸発生剤(例えば特許文献3等に記載されたもの)を使用することができる。
【0053】
好適な光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤等があり、それらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、上記塩あるいは化合物より発生するスルホン酸の持つ好適なカウンターアニオンは、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン等を挙げることができる。
【0054】
本発明のネガ型レジスト組成物における(B)成分である酸発生剤の添加量は特に制限されないが、(A)成分であるベースポリマー100質量部に対して好ましくは0.4〜20質量部、更に0.8〜15質量部添加することが好ましい。酸発生剤添加量と後述する塩基性成分の添加量を同時に増加させることで感度の確保と解像性の向上が期待できるが、一般に20質量部以下であれば、感度向上効果が効率良く得られ、不経済となる恐れがない。また、0.4質量部以上である場合、要求感度を満たすために塩基性物質量を低く抑えなければならなくなる恐れがなく、形成されるレジストパターンの解像性が低下する恐れがないため、好ましい。特に放射線照射用や電子線照射用のレジスト膜とする場合には、酸発生剤の添加による膜中での照射線のエネルギー減衰が問題にならない一方、高感度が得難いため、酸発生剤の添加量はエキシマレーザー光を使用する場合に比べて高濃度に添加され、2.0〜20質量部程度加えられることが好ましい。
【0055】
上記酸発生剤のうち、下記一般式で示されるトリフェニルスルフォニウムベンゼンスルフォン酸系酸発生剤が本発明のネガ型レジスト組成物として好ましい。
【化10】

(式中R’、R’、R’は水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、同じでも異なってもよい。R’、R’、R’は炭素数3〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、同じでも異なってもよい。)
【0056】
酸発生剤のカウンターアニオンであるベンゼンスルフォン酸部は、ベンゼン核に導入されるアルキル基により、酸の拡散制御の目的とパターン形状制御の間で適宜調整される。メチル基<エチル基<イソプロピル基の順に拡散が抑制されるが、この時同時にレジストの感度は低下する。基本的には酸の拡散を抑制したほうが解像性は向上する傾向にあるが、反応性は低下する場合がある。
また、アンダーカットを低減させるためには拡散を抑えた方が良いことがわかっているが、反応性が悪くなるため架橋密度を上げにくい欠点がある。このため、拡散の大きい2,4−ジメチルベンゼンスルフォン酸を有する酸発生剤と拡散を抑えた2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフォン酸を有する酸発生剤を混合して使用することが一般的であった。
【0057】
しかし、一般式(2)に示すオキシラン環を有する単位を使用した本発明のベースポリマーは架橋効率が高いため、拡散の小さい酸を発生する酸発生剤も有効である。好ましい酸発生剤としては2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフォン酸、2,4,6−トリプロピルベンゼンスルフォン酸、2,4,6−トリブチルベンゼンスルフォン酸、2,4,6−トリターシャリーブチルベンゼンスルフォン酸、2,4,6−トリアミルベンゼンスルフォン酸、2,4,6−トリイソアミルベンゼンスルフォン酸があげられる。
弱酸を発生する酸発生剤は酸が基板側に拡散しにくいため、アンダーカットの小さいパターンが形成できるが、架橋効率との関係から、使用する酸発生剤はポリマーの構造にあわせて最適なものが選択される。
【0058】
トリフェニルスルフォニウムカチオン部のベンゼン核にアルキル基を導入するとレジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下することがわかっているので、酸発生剤によりレジスト膜のアルカリ溶解性を制御することが出来る。ベースポリマーの溶解速度が高い場合にはアルキル基が導入されたトリフェニルスルフォニウム系酸発生剤が有効である。
【0059】
エポキシ基は基板との密着性に優れるため、本発明で用いるベースポリマーは拡散の大きな酸を発生する酸発生剤を使用した場合でも微細パターンの倒壊が抑制される利点がある。強い酸を発生する好ましい酸発生剤としてはトリフェニルスルフォニウムナノフルオロー1−ブタンスルフォネート、トリス(4−ターシャリブチルフェニル)スルフォニウムナノフルオロー1−ブタンスルフォネート、トリフェニルスルフォニウムパーフルオロメタンスルフォネートなどフッ素含有酸発生剤があげられる。フッ素含有酸発生剤はレジストの感度を大幅に高めることができる。
【0060】
本発明のネガ型レジスト組成物には、他の化学増幅型レジスト組成物と同様、上記(C)成分として塩基性成分が配合される。塩基性成分はレジスト膜中で酸発生剤より発生した酸の拡散距離を制御して高解像性を与えるものであり、ここでは、基本的には公知の塩基性成分(例えば特許文献3等)が何れも使用可能である。
【0061】
しかし、塩基性成分としてカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物を用いた場合には、基板付近のパターン端部に未反応部が発生(いわゆるアンダーカット)する問題の解消を可能にすることから、特に有利な材料である。このようなアンダーカットを発生し易い基板としては、TiN、SiN、SiON等の窒素化材料基板等があるが、特に表面が金属クロムや窒素および/または酸素を含有するクロム化合物の場合には極めて発生し易く、上記塩基性化合物は、その解消に強い効果を示す。
【0062】
前記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物の具体的な化学構造例としては、好ましいものとしては、下記一般式(5)〜(7)
【化11】

【化12】

【化13】

(式中、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、及び炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR、Rの2個が結合して環構造を形成してもよい。Rは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基、及びハロゲン基のいずれかである。Rは、単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、及び炭素数6〜20のアリーレン基のいずれかである。R10は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の置換可アルキレン基であり、アルキレン基の炭素−炭素間にカルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。また、R11は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、及び炭素数6〜20のアリーレン基のいずれかである。)
のアミン化合物を挙げることができるが、これに限られない。
【0063】
上記構造式中、炭素数6〜20のアリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ナフタセニル基、フルオレニル基を、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、デカヒドロナフタレニル基を、炭素数7〜20のアラルキル基として具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、アントラセニルメチル基を、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基としては具体的には、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基を、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基として具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、t−アミロキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、シクロペンチルオキシメチル基を、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基として具体的には、ホルミルオキシメチル基、アセトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、シクロヘキサンカルボニルオキシメチル基、デカノイルオキシメチル基を、炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基として具体的には、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、プロピルチオメチル基、イソプロピルチオメチル基、ブチルチオメチル基、イソブチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、t−アミルチオメチル基、デシルチオメチル基、シクロヘキシルチオメチル基を、炭素数1〜20のアルキレン基として具体的には、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、ジメチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、デカニル基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、メチレンシクロヘキシレン基、デカヒドロナフタレニレン基を、炭素数6〜20のアリーレン基として具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、ナフタセニレン基、フルオレニレン基をそれぞれ例示できるが、これらに限定されない。
【0064】
一般式(5)で示されるアミン化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、これらに限定されない。
o−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、m−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、p−ジプロピルアミノ安息香酸、p−ジイソプロピルアミノ安息香酸、p−ジブチルアミノ安息香酸、p−ジペンチルアミノ安息香酸、p−ジヘキシルアミノ安息香酸、p−ジエタノールアミノ安息香酸、p−ジイソプロパノールアミノ安息香酸、p−ジメタノールアミノ安息香酸、2−メチル−4−ジエチルアミノ安息香酸、2−メトキシ−4−ジエチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ−2−ナフタレン酸、3−ジエチルアミノ−2−ナフタレン酸、2−ジメチルアミノ−5−ブロモ安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−クロロ安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−ヨード安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ安息香酸、
4−ジメチルアミノフェニル酢酸、4−ジメチルアミノフェニルプロピオン酸、4−ジメチルアミノフェニル酪酸、4−ジメチルアミノフェニルリンゴ酸、4−ジメチルアミノフェニルピルビン酸、4−ジメチルアミノフェニル乳酸、2−(4−ジメチルアミノフェニル)安息香酸、2−(4−(ジブチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸
【0065】
一般式(6)で示されるアミン化合物の好ましい具体例としては、上記一般式(5)の具体的に例示されたアミン化合物を酸化したものを挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
一般式(7)で示されるアミン化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、これらに限定されない。
1−ピペリジンプロピオン酸、1−ピペリジン酪酸、1−ピペリジンリンゴ酸、1−ピペリジンピルビン酸、1−ピペリジン乳酸
【0067】
一般式(6)で示されるアミンオキサイド構造を有するアミン化合物は、化合物の構造に応じた最適な方法を選択して製造される。例として、窒素含有化合物の酸化剤を使用した酸化反応を用いる方法、あるいは含窒素化合物の過酸化水素水希釈溶液中での酸化反応を用いる方法を例示できるが、これらに限定されない。以下、詳しく説明する。
【0068】
窒素含有アルコール化合物のエステル化反応による製造法は、例えば下記に示すとおりであり、一般式(6)で示される化合物の合成へも適用可能である。
【化14】

上記式中、本反応は酸化剤(m−クロロ過安息香酸)を用いたアミンの酸化反応であり、酸化反応の常法となる他の酸化剤を用いて反応を行うこともできる。反応後は、反応混合物を必要に応じて蒸留、クロマトグラフフィー、再結晶などの常法により精製することができる。
【0069】
これらの分子内にカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物においては、窒素原子に置換された官能基の存在により発生酸の速やかな捕捉を実現せしめ、一方カルボキシル基が基板側に配列され発生酸が基板へ拡散して失活することを防止すると予想され、これらの結果としてカルボキシル基を有するアミン化合物を添加したフォトレジストにおけるより優れた高解像性と基板界面での垂直性に優れたパターン形状を達成可能にするものと考えられる。そこで、上記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物を、揮発性、塩基性度、酸の捕捉速度、レジスト中での拡散速度などの物性に従い、用いるベースポリマー及び酸発生剤の組み合わせに応じて適当に調節することで、より好ましいパターン形状を得ることができる。
【0070】
カルボキシル基を有し、第1級アミンのように塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有するアミン化合物を用いることもできるが、上記の様にカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物であれば、上記基板に対するアンダーカットの改善効果が得られるため、効果を最大限発揮するには塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含まない第3級アミンが好ましい。
また、弱塩基である2−キノリンカルボン酸やニコチン酸のような塩基性中心が芳香環に含まれる窒素であるアミン化合物を用いることもできるが、うまくカルボキシル基が基板側に配列すると考えられ、発生酸が基板へ拡散して失活することを防止すると考えられる塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含まない第3級アミンが好ましい。
【0071】
なお、上記塩基性成分の効果は、膜厚には無関係に得られ、100nm以上の膜厚のレジスト膜用のポリマーとして3級アルキル基保護のものを使用する場合にも有利な効果を与える。
【0072】
また、上記分子内にカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物のアンダーカット形状抑制効果は、上述のように、カルボキシル基によって基板付近により偏在するようにしたものであることから、その効果を得るためには、(C)塩基性成分全てが分子内にカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物である必要は必ずしもなく、上述の分子内にカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物ではない常用される塩基性成分と組み合わせて用いることができる。
【0073】
即ち、(C)塩基性成分は、前記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物に加え、更に、下記一般式(8)及び下記一般式(9)
【化15】

(式中、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、及び炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR12、R13、R14の2個が結合して環構造もしくは芳香族環を形成してもよい。)
で示されるアミン化合物のうち、少なくとも1種以上を含有するものとすることができる。
【0074】
(C)成分である塩基性成分の添加は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、ベースポリマー100質量部に対して0.01〜2質量部、特に0.01〜1質量部を混合したものが好適である。少なすぎると、配合効果がなく、配合量が2質量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0075】
上述のようにカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物と常用のカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物でないアミンを混合して用いる場合、上述のカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物と、その他のアミン化合物の配合比(質量比)は100:0〜10:90の範囲であることが好ましい。
【0076】
本発明のネガ型レジスト組成物の調整に使用される有機溶剤としては、ベースポリマー、酸発生剤、塩基性成分、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0077】
有機溶剤の使用量は、ベースポリマー100質量部に対して1,000〜10,000質量部、特に2000〜9700質量部が好適である。このような濃度に調整することにより、回転塗布法を用い、膜厚が10nm以上100nm以下の薄膜のレジスト膜の場合も安定して平坦度良くレジスト膜を得ることができる。
【0078】
また、本発明のネガ型レジスト組成物には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤(D)を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0079】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352((株)ジェムコ製),メガファックF171,F172,F173,R08,R30、R90、R94(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430,FC−431,FC−4430,FC−4432(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−381,S−382,S−386,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106,サーフィノールE1004,KH−10,KH−20,KH−30,KH−40(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X−70−092,X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられる。また、フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤は添加量が変化してもレジストの塗布性への影響が小さい利点があり、好ましく用いられる。たとえば、PF−636(オムノバ社製)がある。
【0080】
これらの界面活性剤は単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
本発明のネガ型レジスト組成物中の界面活性剤の添加量としては、ネガ型レジスト組成物中のベースポリマー(A)100質量部に対し2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
【0081】
本発明のネガ型レジスト組成物を使用した被加工基板上へのレジスト膜の形成は、被加工基板上へのレジスト組成物の塗付工程、ついでプリベーク工程を経て行うが、これらはいずれも公知の方法を用い、目的に応じた膜厚のレジスト膜を形成することができる。
特に、本発明のパターン形成方法によれば、レジスト膜の膜厚が10nm以上100nm未満である場合、従来材料では安定的に得にくかった50nm以下の線幅を持つパターンを、パターン倒れをより確実に抑制して得ることができるため、好ましい。
【0082】
塗付工程は、スピンコーティング以外にもいくつかの方法が知られているが、上記のようにレジスト膜厚が10nm以上100nm未満である薄い膜を形成する場合には、均一な膜厚を得るためはスピンコーティングを用いることが好ましい。
【0083】
被加工基板が半導体ウエハである場合、スピンコーティング時の塗布条件はウエハの大きさ、目標の膜厚、レジスト組成物の組成等により条件を調整する必要があるが、8インチウエハ(直径200mm)を用いて、レジスト膜厚が、例えば100nm程度のものを得る場合には、ネガ型レジスト組成物をウエハ上にキャストした後、回転数4000〜5000rpmで40秒間回転させることで、均一性の高いレジスト膜が得られる。ここで、レジスト組成物を調製する際に使用する溶剤の使用量は、ベースポリマー100質量部に対して1,400〜1,600質量部である。
【0084】
さらに、上記の方法で得られたレジスト膜は、膜中に残存する過剰の溶剤を除去するため、プリベークが行われる。プリベークの条件は、ホットプレート上で行った場合、通常80〜130℃で1〜10分間、より好ましくは90〜110℃で3〜5分間行われる。
【0085】
また、被加工基板がフォトマスクブランクである場合、同様に塗布条件はブランクの大きさ、目標の膜厚、レジスト組成物の組成等により条件を調整する必要があるが、15.2cmx15.2cmの角型ブランク上でレジスト膜厚が100nm程度のものを得る場合には、レジスト組成物をブランク上にキャストした後、回転数1000〜3000rpmで2秒間、その後800rpm以下で30秒間回転させることで均一性の高い膜が得られる。ここで、レジスト組成物を調製する際に使用する溶剤の使用量は、ベースポリマー100質量部に対して2000〜9,700質量部である。
【0086】
さらに、上記の方法で得られたレジスト膜は、膜中に残存する過剰の溶剤を除去するため、プリベークが行われる。プリベークの条件は、ホットプレート上で行った場合、通常80〜130℃で4〜20分間、より好ましくは90〜110℃で8〜12分間行われる。
【0087】
次いで上記で得たレジスト膜に対し、目的のパターンを形成するためにパターン露光を行う。露光方法としては、半導体加工を行う場合には、目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線、電子線等の高エネルギー線を露光量1〜100μC/cm、好ましくは10〜100μC/cmとなるように照射する。露光は通常の露光法の他、必要に応じて投影レンズとレジストの間を液浸するImmersion法を用いることも可能である。
【0088】
また、フォトマスクブランクの加工を行う場合には、加工によって同一のものを多数製造するものではないため、通常ビーム露光によってパターン露光が行われる。使用される高エネルギー線は一般的には電子線であるが、上述のその他の光源をビームとしたものも同様に使用可能である。
【0089】
通常露光後に、酸を拡散させて化学増幅反応を行うため、例えばホットプレート上で、60〜150℃、4〜20分間、好ましくは80〜140℃、8〜12分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは、2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。また必要に応じて現像後に更に加熱処理を行ってパターンサイズの調整を行うこと(thermal flow)も可能である。なお、本発明のネガ型レジスト組成物は、特に高エネルギー線の中でも250〜120nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、極短紫外線、X線及び電子線による微細パターニングに最適である。
【0090】
本発明のネガ型レジスト組成物を用いたパターンの形成方法を適用するリソグラフィーの対象となる被加工基板は、例えば半導体ウエハーや半導体製造中間体基板、フォトマスク基板等のフォトレジストによるリソグラフィーを用いるものであれば何れでも良いが、特に金属化合物をスパッタリング等の方法で成膜した基板においては本発明の効果を有利に得ることができる。中でも最表面に遮光膜あるいはエッチングマスク膜としてクロム化合物膜を成膜したフォトマスクブランクでは、レジストパターンの基板界面における形状制御が難しく、本発明の効果が特に有用である。上記本発明が有用に適用される基板最表面材料のクロム化合物の例としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化炭化クロム、窒化炭化クロム、酸化窒化炭化クロム等が挙げられる。
【実施例】
【0091】
以下、合成例、比較合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0092】
(合成例1)
3Lのフラスコに4−アセトキシスチレン238.0g、下記構造モノマー(Z−1)33.1g、インデン189.4g、溶媒としてトルエンを675g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬製)を40.5g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後、更に20時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール15.0L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体311gを得た。
このポリマーをメタノール488g、テトラヒドロフラン540gに再度溶解し、トリエチルアミン162g、水32gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。分画工程として反応溶液を濃縮後、メタノール548gとアセトン112gの混合溶媒に溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を取り出し、濃縮した。更に再び濃縮されたポリマーをメタノール548gとアセトン112gの混合溶媒に溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル870gに溶解し、水250gと酢酸98gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水225gとピリジン75gで1回、水225gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン250gに溶解し、水15Lに沈殿させ、濾過、50℃、40時間の真空乾燥を行い、白色重合体187gを得た。
【0093】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:(Z−1):インデン=76.7:12.5:10.8
重量平均分子量(Mw)=4200
分子量分布(Mw/Mn)=1.59
これを(polymer−1)とする。
【化16】

【0094】
(合成例2)
3Lのフラスコにアセトキシスチレン222.0g、(Z−1)モノマー47.7g、アセナフチレン30.0g、溶媒としてトルエンを675g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬製)を40.1g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後、更に20時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール15.0L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体299gを得た。
このポリマーをメタノール488g、テトラヒドロフラン540gに再度溶解し、トリエチルアミン162g、水32gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。分画工程として反応溶液を濃縮後、メタノール548gとアセトン112gの混合溶媒に溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を濃縮した。更に再び濃縮されたポリマーをメタノール548gとアセトン112gに溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル870gに溶解し、水250gと酢酸98gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水225gとピリジン75gで1回、水225gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン250gに溶解、水15Lに沈殿させ、濾過、50℃、40時間の真空乾燥を行い、白色重合体165gを得た。
【0095】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:(Z−1):アセナフチレン=77.0:12.5:10.5
重量平均分子量(Mw)=4700
分子量分布(Mw/Mn)=1.63
これを(polymer−2)とする。
【0096】
(合成例3)
3Lのフラスコに4−ヒドロキノンモノメタクリレート261.2g、(Z−1)モノマー33.1g、インデン189.4g、溶媒としてメチルエチルケトンを675g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬製)を40.5g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後、更に20時間反応させた。この反応溶液をヘキサン15.0L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体321gを得た。
【0097】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
4−ヒドロキノンモノメタクリレート:(Z−1):インデン=76.2:12.9:10.9
重量平均分子量(Mw)=5100
分子量分布(Mw/Mn)=1.51
これを(polymer−3)とする。
【0098】
(合成例4)
3Lのフラスコに4−ヒドロキノンモノメタクリレート243.0g、(Z−1)モノマー47.7g、アセナフチレン30.0g、溶媒としてメチルエチルケトンを675g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬製)を40.1g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後、更に20時間反応させた。この反応溶液をヘキサン15.0L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体235gを得た。
【0099】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
4−ヒドロキノンモノメタクリレート:(Z−1):アセナフチレン=76.0:13.1:10.9
重量平均分子量(Mw)=5600
分子量分布(Mw/Mn)=1.53
これを(polymer−4)とする。
【0100】
(合成例5)
3Lのフラスコにアセトキシスチレン354.4g、(Z−1)モノマー139.8g、溶媒としてトルエンを675g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬製)を40.1g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後、更に20時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール15.0L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体312gを得た。
このポリマーをメタノール488g、テトラヒドロフラン540gに再度溶解し、トリエチルアミン162g、水32gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。分画工程として反応溶液を濃縮後、メタノール548gとアセトン112gの混合溶媒に溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を濃縮した。更に再び濃縮されたポリマーをメタノール548gとアセトン112gに溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル870gに溶解し、水250gと酢酸98gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水225gとピリジン75gで1回、水225gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン250gに溶解、水15Lに沈殿させ、濾過、50℃、40時間の真空乾燥を行い、白色重合体265gを得た。
【0101】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:(Z−1)=77.0:23.0
重量平均分子量(Mw)=4800
分子量分布(Mw/Mn)=1.68
これを(polymer−5)とする。
【0102】
(合成例6)
3Lのフラスコに4−ヒドロキノンモノメタクリレート388.9g、(Z−1)モノマー139.8g、溶媒としてメチルエチルケトンを675g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬製)を40.1g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後、更に20時間反応させた。この反応溶液をヘキサン15.0L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体315gを得た。
【0103】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
4−ヒドロキノンモノメタクリレート:(Z−1)=76.6:23.4
重量平均分子量(Mw)=5200
分子量分布(Mw/Mn)=1.62
これを(polymer−6)とする。
【0104】
(比較合成例1)
3Lのフラスコにアセトキシスチレン238.0g、4−クロルスチレン22.6g、インデン189.4g、溶媒としてトルエンを675g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素フローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬製)を40.5g加え、45℃まで昇温後20時間反応させ、次に55℃まで昇温後、更に20時間反応させた。この反応溶液を1/2まで濃縮し、メタノール15.0L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体311gを得た。
このポリマーをメタノール488g、テトラヒドロフラン540gに再度溶解し、トリエチルアミン162g、水32gを加え、60℃で40時間脱保護反応を行った。分画工程として反応溶液を濃縮後、メタノール548gとアセトン112gの混合溶媒に溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを10分間かけて滴下投入した。この混合白濁溶液に対し静置分液を行い、下層(ポリマー層)を取り出し、濃縮した。更に再び濃縮されたポリマーをメタノール548gとアセトン112gの混合溶媒に溶解し、この溶解溶液にヘキサン990gを用いる分散、分液操作を行い、得られた下層(ポリマー層)を濃縮した。この濃縮液を酢酸エチル870gに溶解し、水250gと酢酸98gの混合液で中和分液洗浄を1回、更に水225gとピリジン75gで1回、水225gで4回の分液洗浄を行った。この後、上層の酢酸エチル溶液を濃縮し、アセトン250gに溶解し、水15Lに沈殿させ、濾過、50℃、40時間の真空乾燥を行い、白色重合体187gを得た。
【0105】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:4−クロルスチレン:インデン=76.0:6.5:17.5
重量平均分子量(Mw)=4200
分子量分布(Mw/Mn)=1.59
これを(polymer−7)とする。
【0106】
(実施例1から実施例6、比較例1)
以下のように、ベースポリマー、酸発生剤、塩基性成分、架橋剤、界面活性剤、及び溶剤を表1の割合で配合し、実施例及び比較例のネガ型レジスト組成物を調整した。
本発明の実施例で使用したレジスト組成物中のベースポリマーは上記合成例1から合成例6で得られたPolymer−1からPolymer−6である。比較例で使用したベースポリマーはPolymer−7である。
【0107】
また、以下実施例及び比較例で用いる酸発生剤は、
PAG−1がトリフェニルスルフォニウム−ナノフルオロー1−ブタンスルフォン酸
PAG−2がトリフェニルスルフォニウム−2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフォン酸
である。
【0108】
polymer−7に対して使用した架橋剤はテトラメトキシメチルグリコールウリルである。
【0109】
本発明で使用したレジスト組成物、溶剤を以下に示す。
溶剤(A)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
溶剤(B)乳酸エチル(EL)
【0110】
また、以下実施例、比較例で使用したカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を含有しないアミン化合物、又は、カルボキシル基を含有しない塩基性化合物(Quencher)は、以下の化合物である。

Quencher−1:p−ジエチルアミノベンゾイックアシッド
Quencher−2:p−ジブチルアミノベンゾイックアシッド
Quencher−3:p−ジブチルアミノベンゾイックアシッドの酸化物
Quencher−4:1−ピペリジンプロピオン酸
Quencher−5:トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミン
Quencher−6:トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミンの酸化物
Quencher−7:N−2−(アセトキシ)エチル−イミダゾール
【0111】
界面活性剤AはPF−636(オムノバ社製)である。
【0112】
【表1】

【0113】
得られたネガ型レジスト組成物を0.04μmのナイロンポリマー製フィルターで濾過した後、このレジスト液を152mm角の最表面が酸化窒化クロム膜であるマスクブランク上へ1700rpmの回転数でスピンコーティングし、厚さ90nmに塗布した。
【0114】
次いで、このマスクブランクを110℃のホットプレートで10分間ベークした。
膜厚の測定は光学式測定器ナノスペック(ナノメトリックス社製)を用いて行った。測定はブランク外周から10mm内側までの外縁部分を除くブランク基板の面内81ケ所で行い、膜厚平均値と膜厚範囲を算出した。
【0115】
更に、電子線露光装置(NuFLARE社製 EBM5000 加速電圧50keV)を用いて露光し、120℃で10分間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液でスプレー現像を行うと、ネガ型のパターン(実施例1〜6、比較例1)を得ることができた。
【0116】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
200nmのライン・アンド・スペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているライン・アンド・スペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。また、解像したレジストパターンの形状は、特に基板界面におけるアンダーカットの有無を走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面を観察した。結果を以下表2に示す。
【0117】
4−ヒドロキシスチレンユニットと4−クロルスチレンユニットとインデンユニットからなるベースポリマーを用いた比較例1は、60nmのパターンを解像できたが、ブリッジのため50nm以下のパターンは形成できなかった。また、クロルスチレンユニットは架橋効率がひくいため、感度が21μCと低かった。
実施例1から実施例6のオキシラン環を有するユニットからなるベースポリマーは架橋効率が高いため、感度が約10μCであった。また、いずれの実施例も50nm以下のパターンがアンダーカットもブリッジもなく解像できた。
アセナフチレンあるいはインデンユニットが導入されたベースポリマーを使用した実施例1から実施例4は導入されないベースポリマーの実施例5と実施例6より、より高解像性であり、40nmのパターンがアンダーカットもブリッジもなく解像できた。
アセナフチレンユニットやインデンユニットが導入されたベースポリマーは剛直性で現像時にパターン変形を起こさないと考えられる。
【0118】
【表2】

【0119】
(実施例7〜13)
本発明のネガ型レジスト組成物について、塩基性成分(C)として、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物、及び、カルボキシ基含有しないアミン化合物を下記表3に示す配合で調製し、実施例1〜6と同様にして、ネガ型パターンを形成した。その解像性及びパターン形状の評価を行った。
【0120】
【表3】

【0121】
カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物(Quencher−1〜Quencher−4)とカルボキシ基を含有しないアミン化合物(Quencher−5〜Quencher−7)の何れの組み合わせの実施例においても、アンダーカットの無い40nmのパターンが形成できた。
カルボキシ基を含有しないアミン化合物、Quencher−5を単独で使用した場合(実施例13)、アンダーカットのため40nmのパターンは倒壊したが、50nmのパターンが形成できた。オキシラン環の効果で50nmのパターンはアンダーカットがあってもパターンだおれがなかったと考えられる。
【0122】
(実施例14〜19)
本発明のネガ型レジスト組成物について、塩基性成分として、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物、及び、カルボキシ基含有しないアミン化合物を下記表4に示す配合で調製し、実施例1から6と同様にして、ネガ型パターンを形成した。その解像性及びパターン形状の評価を行った。
【0123】
【表4】

【0124】
アミン化合物(Quencher)が増加した場合、感度は低下するが、解像性を損なうことはない。いずれの実施例においてもアンダーカットの無い40nmのパターンが形成できた。電子線感度は表4に最下行に示した。プロセスで要求される感度をアミン化合物の量で調整できる。
【0125】
(実施例20〜実施例25、比較例2)
本発明のネガ型レジスト組成物について、酸発生剤としてPAG−1に代えてPAG−2を使用した下記表5に示すレジスト材料を調製し、実施例1から実施例6と同様にして、ネガ型パターンを形成した。その解像性及びパターン形状の評価を行った結果を下記表6に示す。
PAG−2は、PAG−1と比較して発生する酸の拡散が小さいため、架橋効率が低く実施例1から実施例6と比較して約10μC低感度であったが、いずれの実施例においてもアンダーカットもブリッジもない45nm以下のパターンが形成できた。比較例2は、ブリッジのため50nm以下の解像度を得ることができなかった。
【0126】
【表5】

【表6】

【0127】
(実施例26〜実施例31、比較例3)
本発明のネガ型レジスト組成物について、実施例1〜実施例6の溶媒量を増加させた下記表7に示すレジスト材料を調製し、実施例1から実施例6と同様にして、ネガ型パターンを形成した。膜厚は溶媒量が増加したため、同じ塗付条件で60nmであった。
その解像性及びパターン形状の評価を行った結果を下記表8に示す。
膜厚が薄くなったため、感度は1μC低感度となったが、解像性は向上した。いずれの実施例においてもアンダーカットもブリッジもない40nm以下のパターンが形成できた。比較例3は、ブリッジのため50nm以下の解像度を得ることができなかった。
【0128】
【表7】

【表8】

【0129】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
(A)アルカリ可溶性であり、酸の作用によりアルカリ不溶性となるベースポリマー、
(B)酸発生剤、
(C)塩基性成分
を含有するネガ型レジスト組成物であって、
前記ベースポリマーは、少なくとも、下記一般式(1)及び下記一般式(2)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、sは0又は1を表す。tは0〜2の整数を表す。Rは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。B、Bはそれぞれ独立に単結合、又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を表す。)
で示される繰り返し単位を含み、重量平均分子量が1,000〜10,000である高分子化合物を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物。
【請求項2】
前記(C)塩基性成分は、少なくとも、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項3】
前記高分子化合物が、更に、下記一般式(3)及び/又は下記一般式(4)
【化2】

(式中、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換可ヒドロキシ基、アルコキシ基、及びアルキル基のいずれかを表し、uおよびvは0〜5の整数である。)
で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項4】
前記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物は、下記一般式(5)〜(7)
【化3】

(式中、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、及び炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR、Rの2個が結合して環構造を形成してもよい。Rは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基、及びハロゲン基のいずれかである。Rは、単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、及び炭素数6〜20のアリーレン基のいずれかである。)
【化4】

(式中、R、R、R、Rは前述の通りである。)
【化5】

(式中、R10は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の置換可アルキレン基であり、アルキレン基の炭素−炭素間にカルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。また、R11は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、及び炭素数6〜20のアリーレン基のいずれかである。)
で表わされる化合物のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項5】
前記(C)塩基性成分は、前記カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素原子に共有結合で結合する水素を有しないアミン化合物に加え、更に、下記一般式(8)及び下記一般式(9)
【化6】

(式中、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数3〜10のアシルオキシアルキル基、及び炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR12、R13、R14の2個が結合して環構造もしくは芳香族環を形成してもよい。)
で示されるアミン化合物のうち、少なくとも1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項6】
リソグラフィーによりレジストパターンを形成する方法であって、少なくとも、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のネガ型レジスト組成物を用いて被加工基板上にレジスト膜を成膜し、該レジスト膜に高エネルギー線を露光し、その後水性アルカリ性現像液を用いて現像してレジストパターンを得ることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
前記レジスト膜の膜厚は10nm以上100nm未満であることを特徴とする請求項6に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
前記被加工基板として、フォトマスクブランクを用いることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項9】
前記フォトマスクブランクの最表層上に、クロム化合物膜が成膜されていることを特徴とする請求項8に記載のレジストパターンの形成方法。

【公開番号】特開2011−123225(P2011−123225A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280063(P2009−280063)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】