説明

ネガ型感光性樹脂組成物、それから形成された透明硬化膜、および硬化膜を有する素子

【課題】有機電界発光素子や液晶表示素子などにおけるTFT基板用平坦化膜や半導体素子の絶縁膜、光導波路のコアやクラッド材などの光学材料などとして透明性、耐熱性に優れた硬化膜、および感度に優れたパターン硬化膜形成が可能なネガ型感光性樹脂組成物を得ること。
【解決手段】(a)シロキサンポリマー、(b)露光により酸または塩基を発生し、(a)のシロキサンポリマーを架橋させる化合物する化合物、(c)熱処理により気化する、および/または光退色反応する増感剤を含有する組成物の硬化膜が、膜厚1μmあたりの波長400nmでの光透過率が98%以上であり、パターン形成に必要な最低露光量が10〜1000J/m(波長365nmでの露光量換算)を有するネガ感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子や液晶表示素子などの薄膜トランジスタ(TFT)基板用平坦化膜、あるいは半導体素子の層間絶縁膜、光通信分野での光学素子における光導波路のコアやクラッド材などの光学材料を形成するためのネガ型感光性樹脂組成物、それから形成された硬化膜、およびその硬化膜を有する素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイに代表される表示素子が数多く開発され、実用に供している。液晶ディスプレイの場合、さらなる高精細・高解像度を実現するのための試みがなされており、その一つとして液晶表示装置の開口率を向上させる技術がある(特許文献1参照)。透明ポリマー膜をTFT(薄膜トランジスタ)アレイの上部に層間絶縁膜として設けることによって、データラインと画素電極をオーバーラップさせることが可能となり、従来技術に比べ開口率を向上させて高精細化を実現させようとする技術である。従来は、ノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレン等のフェノール系樹脂とキノンジアジド系感光剤の組み合わせ(特許文献2、3参照)、あるいはアクリル系樹脂とキノンジアジド系感光剤の組み合わせ(特許文献4、5参照)が知られており、広く用いられている。このような層間絶縁膜を基板上に形成した後、透明画素電極や液晶配向膜の形成工程を行うこととなり、層間絶縁膜はこれら工程において高温に加熱されることとなる。従来知られている層間絶縁膜用材料は耐熱性が不十分であるため、これら工程において黄色あるいは褐色に着色し、無色透明性が著しく低下することとなり、白表示が黄変するというように色再現性が損なわれる現象が生じる。さらに、製造上の生産性(タクトタイム)の観点から、従来にも増して、必要最低露光量の少ない(高感度)材料が求められている。
【0003】
以上のことから、透明耐熱材料のシロキサンポリマーが注目されており、たとえば、3官能シランモノマーからなるシロキサンポリマーに光酸発生剤を組み合わせた感光性シロキサン技術が開示されている(特許文献6参照)。この技術の場合、1μmあたりの光透過率が98%と高透明性を有しているが、必要最低露光量が2500J/mと多く(低感度)、さらに、露光後に加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)が必要であり、低感度で工程数が多くなるという問題がある。また、高感度化の観点から光酸発生剤に増感剤として、アントラセン系化合物を用いるフォトレジストの技術が開示されている(特許文献7参照)。しかしながら、形成した薄膜についての物性、たとえば、可視光領域(400〜750nm)での透明性が低く、耐熱性が200℃以下等、が絶縁膜として用いうる程度の範囲にない。
【0004】
また、光通信分野での光導波路のコアやクラッド材などの光学材料や、半導体素子の平坦化膜や層間絶縁膜に、非感光性のシロキサン材料が使用されているが、製造上の工程数の削減やタクトタイムの削減のために高感度な感光性シロキサン材料が求められている。
【特許文献1】特開平9−152625号公報(第15〜16段落)
【特許文献2】特開平7−98502号公報(請求項1及び2)
【特許文献3】特開平7−140648号公報(請求項1)
【特許文献4】特許第3003064号公報(請求項1)
【特許文献5】特開2001−281861号公報(請求項1)
【特許文献6】特開2004−107562号公報(第94段落)
【特許文献7】特開平5−249680号公報(第35段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に上記表示などの素子において用いられる平坦化膜や層間絶縁膜において、高耐熱性および高透明性を有するとともに、高感度なネガ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、以下の(a)〜(c)を含有する感光性樹脂組成物であって、当該組成物の硬化膜の膜厚1μmあたりの波長400nmでの光透過率が98%以上であり、パターン形成に必要な最低露光量が10〜1000J/m2(超高圧水銀灯による波長365nmでの露光量換算)であることを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物である。
【0007】
(a)シロキサンポリマー
(b)露光により酸または塩基を発生し、(a)のシロキサンポリマーを架橋させる化合物
(c)熱処理により気化する、および/または、光により退色反応する増感剤
【発明の効果】
【0008】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、耐熱性、透明性、かつ、高感度で、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク)を行うことなく良好なパターン樹脂膜を形成することができ、光学材料や表示素子や半導体素子に用いられる透明硬化膜等として提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、(a)シロキサンポリマー、(b)露光により酸または塩基を発生し、(a)のシロキサンポリマーを架橋させる化合物、(c)熱処理により気化する、および/または光退色反応する増感剤を含有するネガ感光性樹脂組成物の硬化膜が、膜厚1μmあたりの波長400nmでの光透過率が98%以上であり、パターン形成に必要な最低露光量が10〜1000J/m(波長365nmでの露光量換算)である。
【0010】
本発明におけるパターン形成に必要な最低露光量とは、超高圧水銀灯(365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)混合線)での露光で、10〜1000J/m、好ましくは20〜1000J/m(波長365nmでの露光量換算)を所望のマスクを介して露光し、(現像後膜厚/プリベーク膜厚)×100が90以上(すなわち残膜率が90%以上)となるのに必要な最低露光量(波長365nmでの露光量換算)とする。製造上のタクトタイム短縮の観点から露光量が少ないことが好ましいが、露光量が上記範囲より少ないとパターン樹脂膜が形成できない。
【0011】
また、波長400nmでの膜厚1μmあたりの光透過率は98%以上が必要である。さらに99%以上であることが好ましい。液晶表示素子における色再現性に必要なTFT用平坦化膜の透明性の観点から、平坦化膜の光透過率が98%以上であると、液晶表示素子の色再現性が良好で、白色の黄色みを抑制できるためである。それに対して、光透過率が98%より低いと、液晶表示素子のTFT基板用平坦化膜として用いた場合、バックライトが通過する際に色変化が起こり、白色が黄色味を帯びる。
【0012】
本発明は、上記にある光透過率と露光量を満たしていれば良く、その組成は特に限定されないが、好ましくは以下に説明するようなネガ型感光性樹脂組成物が好ましい。
【0013】
本発明で用いる(a)シロキサンポリマーは特に制限されないが、好ましくは一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を混合、反応させることによって得られるシロキサンポリマー、あるいは、一般式(2)で表される直鎖状ポリシロキサンの1種以上とを混合、反応させることによって得られるシロキサンポリマー、あるいは一般式(1)で表されるオルガノシランを1種以上と一般式(2)で表される直鎖状ポリシロキサンの1種以上とを混合、反応させることによって得られるシロキサンポリマーが挙げられる。
【0014】
【化1】

【0015】
は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。
【0016】
【化2】

【0017】
、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。mは1から1000の範囲を表す。)
一般式(1)のオルガノシランにおいて、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。
【0018】
一般式(1)のRは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アシル基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
【0019】
一般式(1)のnは0から3の整数を表す。n=0の場合は4官能性シラン、n=1の場合は3官能性シラン、n=2の場合は2官能性シラン、n=3の場合は1官能性シランである。
【0020】
一般式(1)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシランジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどの2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。
【0021】
これらのオルガノシランのうち、硬化膜の耐クラック性と硬度の点から3官能性シランが好ましく用いられる。また、これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
一般式(2)の直鎖状ポリシロキサンにおいて、R、R、R、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。
【0023】
一般式(2)のR、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。これらのアルキル基、アシル基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
【0024】
一般式(2)のmは1から1000の範囲であり、好ましくは2〜100の範囲、さらに好ましくは3〜50の範囲である。mが1000より大きいと、膜が白濁し、透明性が低下する。
【0025】
一般式(2)で表される直鎖状ポリシロキサンの具体例として、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、下記に示すゲレスト社製シラノール末端ポリジメチルシロキサン(商品名)“DMS−S12”(分子量400〜700)、“DMS−S15”(分子量1500〜2000)、“DMS−S21”(分子量4200)、“DMS−S27”(分子量18000)、“DMS−S31”(分子量26000)、“DMS−S32”(分子量36000)、“DMS−S33”(分子量43500)、“DMS−S35”(分子量49000)、“DMS−S38”(分子量58000)、“DMS−S42”(分子量77000)、下記に示すゲレスト社製シラノール末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー“PSD−0332”(分子量35000、ジフェニルシロキサンを2.5−3.5モル%共重合している)、“PDS−1615”(分子量900〜1000、ジフェニルシロキサンを14〜18モル%共重合している)、ゲレスト社製シラノール末端ポリジフェニルシロキサン“PDS−9931”(分子量1000〜1400)が挙げられる。
【0026】
これらの直鎖状ポリシロキサンは、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
直鎖状ポリシロキサンを用いることで、貯蔵安定性、耐クラック性、耐熱性、透明性、低誘電率性、高硬度のすべてにおいて優れた効果を有する。特に、貯蔵安定性について、直鎖状ポリシロキサンは重要な働きをしている。これは、直鎖状ポリシロキサンとオルガノシランとの部分縮合物において、直鎖状ポリシロキサンが橋かけ的に存在するため、貯蔵中の未反応シラノール基の縮合反応が抑制されたためと示唆される。
【0027】
一般式(1)で表されるオルガノシランと、一般式(2)で表される直鎖状ポリシロキサンを混合して用いる場合の混合比率は特に制限されないが、好ましくはSi原子モル数でオルガノシラン/直鎖状ポリシロキサン=100/0〜50/50である。
【0028】
また、本発明で用いるシロキサンポリマーの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、好ましくはGPCで測定されるポリスチレン換算で1000〜100000、さらに好ましくは2000〜50000である。Mwが1000より小さいと塗膜性が悪くなり、100000より大きいとパターン形成時の現像液への溶解性が悪くなる。
【0029】
また、シロキサンポリマー中において、膜の耐クラック性と硬度を両立させる観点から、シロキサンポリマー中にあるフェニル基の含有率は5〜60モル%が好ましく、さらに好ましくは10〜45モル%である。フェニル基の含有率が60モル%より多いと硬度が低下し、フェニル基含有率が5モル%より少ないと耐クラック性が低下する。フェニル基の含有率は、例えば、シロキサンポリマーの29Si−核磁気共鳴スペクトルを測定し、そのフェニル基が結合したSiのピーク面積とフェニル基が結合していないSiのピーク面積の比から求めることができる。
本発明のシロキサンポリマーは、上述のオルガノシランと直鎖状ポリシロキサンの混合物を加水分解および部分縮合させることにより得られる。加水分解および部分縮合には一般的な方法を用いることができる。例えば、混合物に溶媒、水、必要に応じて触媒を添加し、50〜150℃で0.5〜100時間程度加熱攪拌する。なお、攪拌中、必要に応じて蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)を留去してもよい。また加水分解反応に用いる水の添加量は、加水分解性基1モルに対して0.5〜2モルが好ましい。
反応時の溶剤溶媒は、組成物中の溶剤としても兼用でき、特に制限は無いが、ここで用いられる溶剤は有機溶剤が好ましく、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどの高沸点アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができるが、シロキサンポリマーの溶解性と塗布性の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸ブチルが好ましい。
溶媒の添加量はオルガノシランと直鎖状ポリシロキサンの混合物1重量%に対して0.1〜10重量%が好ましい。
必要に応じて添加される触媒に特に制限はないが、酸触媒、塩基触媒が好ましく用いられる。酸触媒の具体例としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂が挙げられる。塩基触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシランが挙げられる。触媒の添加量はオルガノシランと直鎖状ポリシロキサンの混合物1重量部に対して0.0001〜0.1重量%が好ましい。
【0030】
また、塗膜性、貯蔵安定性の観点から、加水分解、部分縮合後のシロキサンポリマー溶液には副生成物のアルコールや水、触媒が含まれないことが好ましい。よって必要に応じてこれらの除去を行ってもよい。除去方法としては特に制限は無いが、好ましくは以下の方法で除去を行う。アルコールや水の除去方法としては、シロキサンポリマー溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法を用いることができる。また、触媒の除去方法としては、上記の水洗浄に加えて、あるいは単独に、イオン交換樹脂で処理する方法を用いることができる。
【0031】
本発明で用いる(b)露光によって酸を発生する光酸発生剤、または露光によって塩基を発生する光塩基発生剤は、放射線を照射すると光酸発生剤または光塩基発生剤から酸または塩基が発生するものである。ここでの露光とは、活性化学線(放射線)の照射のことであり、たとえば、可視光線、紫外線、電子線、X線などの照射が挙げられるが、一般的に液晶ディスプレイ部材等で使用されている光源であるという観点から、可視光線や紫外線の照射が可能な、例えば、高圧水銀灯光源が好ましく、さらに好ましくは波長365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)の混合線の照射であることが好ましい。
【0032】
露光により、上記(b)化合物の発生した酸または塩基を、シロキサンポリマーにおける残存シラノールの縮合促進触媒として使用し、シロキサンポリマーを硬化させることで、現像液に対して実質的に不溶化させることができる。従って、感光性樹脂組成物を塗布、プリベークすることで現像液に可溶なプリベーク膜を作製し、マスクを介してプリベーク膜に活性化学線を照射すると、露光部のみが不溶化するので、未露光部を現像液で除去し、ネガ型のパターンを形成することができる。このとき、環境面から、有機現像よりもアルカリ水溶液で現像することが望ましい。またシロキサン中のシラノールの残量は、仕込みシラン化合物組成、反応触媒、触媒量、反応時間、反応温度によって制御することができる。
【0033】
ネガ型のパターンを形成する光酸発生剤としては、イオン性化合物と非イオン性化合物がある。イオン性化合物としては、重金属、ハロゲンイオンを含まないものがよく、トリオルガノスルホニウム塩系化合物が好ましい。具体的には、トリフェニルスルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、や1−ジメチルチオナフタレンのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、1−ジメチルチオ−4−ヒドロキシナフタレンの、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、1−ジメチルチオ−4、7−ジヒドロキシナフタレンの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ジフェニルヨードニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0034】
非イオン性の光酸発生剤としては、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、スルホンベンゾトリアゾール化合物等を用いることができる。
【0035】
ハロゲン含有化合物の具体例としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物等が挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物としては、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0036】
ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(ベンゾイル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0037】
スルホン化合物の具体例としては、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物、ジアリールジスルホン化合物等が挙げられる。好ましいスルホン化合物としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−クロロフェニル―4―メチルフェニルジスルホン化合物等が挙げられる。
【0038】
スルホン酸エステル化合物の具体例としては、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等が挙げられる。好ましい具体例として、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2,6−ジニトロベンジルベンゼンスルホネート等が挙げられる。
【0039】
イミノスルホネートの具体例として、ベンジルモノオキシムトシレート、ベンジルモノオキシム−p−ドデシルベンゼンスルホネート、ベンジルモノオキシムヘキサデカンスルホネート、4−ニトロアセトフェノンオキシムトシレート、4,4’−ジメチルベンジルモノオキシムトシレート、4,4’−ジメチルベンジルモノオキシム−p−ドデシルベンゼンスルホネート、ジベンジルケトンオキシムトシレート、エチル−α−トリルオキシイミノ−シアノアセテート、フリルモノオキシム−4−アセトアミドベンゼンスルホネート、アセトンオキシム−p−ベンゾイルベンゼンスルホネート、3−ベンジルスルホニルオキシイミノ−アセチルアセトン、ビス(ベンジルモノオキサイド)ジオクチルナフタレンジスルホネート、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド(PAI−101(みどり化学(株)製))、α−(カンファー−10−スルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド(PAI−106(みどり化学(株)製))、(5−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(CGI−1311(チバスペシャリティケミカルズ(株)製))が挙げられる。
【0040】
カルボン酸エステル化合物としては、カルボン酸o−ニトロベンジルエステルが挙げられる。
【0041】
スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ペンタフルオロエチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプタフルオロプロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(エチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(プロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ペンチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘキシルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(オクチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、等が挙げられる。
【0042】
ジアゾケトン化合物の具体例としては、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等が挙げられる。好ましいジアゾケトン化合物は、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとのエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとのエステル等が挙げられる。
【0043】
これらの光酸発生剤のなかで、溶解性やコーティング膜の絶縁性能の観点から、イオン性化合物よりも非イオン性化合物であることが好ましい。さらに、シロキサンポリマーにおける残存シラノールの縮合促進触媒として有効に作用するという点から、発生する酸は、カルボン酸、スルホン酸、リン酸であることが好ましい。また発生する酸の強さの点で、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、リン酸が発生するものが好ましい。また、露光波長365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)の混合線に対する量子収率が高く、高感度を実現できるという点と硬化後のコーティング膜の可視光線に対する透明性が高いという点から、スルホン酸エステル化合物が好ましく、さらに好ましくは、スルホンイミド化合物やイミノスルホネート化合物が好ましい。
【0044】
露光により発生する塩基の種類としては有機、無機の塩基のいずれの場合も好ましく用いることができるが、放射線露光による発生効率、シロキサンポリマーのポリマー化における触媒効果、シロキサンポリマー溶液への溶解性などの点から有機アミン類が特に好ましい。発生する有機アミン類の種類としては脂肪族、芳香族のいずれでも良く、また、1官能でも多官能でも良い。放射線露光により発生するアミン類の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、デシルアミン、セチルアミン、ヒドラジン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ベンジルアミン、アニリン、ナフチルアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチルテトラミン、ピペリジン、ピペラジンなどを列記することができる。
【0045】
好ましい光塩基発生剤の具体例として、遷移金属錯体、オルトニトロベンジルカルバメート類、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類、アシルオキシイミノ類の化合物を挙げることができる。
【0046】
遷移金属錯体としては、ブロモペンタアンモニアコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタプロピルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサアンモニアコバルト過塩素酸塩、ヘキサメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサプロピルアミンコバルト過塩素酸塩などがあげられる。
オルトニトロベンジルカルバメート類としては、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどがあげられる。
【0047】
α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類としては、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボ
ニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどがあげられる。
【0048】
アシルオキシイミノ類としては、プロピオニルアセトフェノンオキシム、プロピオニルベンゾフェノンオキシム、プロピオニルアセトンオキシム、ブチリルアセトフェノンオキシム、ブチリルベンゾフェノンオキシム、ブチリルアセトンオキシム、アジポイルアセトフェノンオキシム、アジポイルベンゾフェノンオキシム、アジポイルアセトンオキシム、アクロイルアセトフェノンオキシム、アクロイルベンゾフェノンオキシム、アクロイルアセトンオキシムなどがあげられる。上記の光塩基発生剤の中でも特に好ましいものとしては、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミンがあげられる。
【0049】
光酸発生剤または光塩基発生剤の添加量は、シロキサンポリマーに対して、0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜10重量%がさらに好ましい。0.001重量%より少ないと架橋不足でパターン形成膜が得られず、20重量%を超えると、発生した酸または塩基が拡散してしまい、解像度が低下する。
【0050】
また、本発明の硬化膜は可視光領域(400〜750nm)で透明であることが好ましいため、本発明の樹脂組成物に用いる光酸発生剤または光塩基発生剤は400nm以上に吸収がないことが好ましい。さらに、光酸発生剤または光塩基発生剤は、下記に述べるアントラセン系増感剤との組み合わせることが透明性と高感度化を両立させる点から好ましい。アントラセン系増感剤の1励起重項エネルギーが約3.3eVであるため、この増感剤から効率よく光増感作用(電子移動)をうけるには、励起1重項エネルギーが3.1−3.7ev(吸収波長:335〜400nmに相当)を有する必要がある。したがって、アントラセン系増感剤を用いる場合の光酸発生剤または光塩基発生剤は波長335nm以上400nm未満に吸収があることが好ましい。
【0051】
本発明では、(c)熱処理により気化する、および/または、光により退色反応する増感剤を用いる。増感剤は一般に、幅広い波長の放射線のエネルギーを吸収し、そのエネルギーを他の物質に移動させる化合物であり、幅広い波長の光に吸収を持たせるために種々の置換基を導入しているが、可視光に吸収があったり、熱処理によって分解、着色したりし、高透明性が必要とされる分野で使用することは困難であった。特に、露光波長365nm(i線)、405nm(g線)、436nm(h線)の混合線に対して、可視光に吸収を持たない増感剤はさらなる高感度化が期待できず、可視光領域に吸収を有する増感剤は高感度が期待できるが、可視光領域の無色透明性が低下する傾向がある。しかしながら本発明では、熱処理で気化して増感剤による着色を生じさせない、または、樹脂膜に残存した場合においても、光退色反応で着色を生じさせない思想で、熱処理により気化する、および/または、光退色反応する増感剤を用いることで、高透明性を維持しつつ、高感度化を達成できる。また、増感剤が露光後、熱処理によらず分解、昇華、蒸発したり、増感剤自身の化学的な変化若しくは他の物質との化学反応によって、着色を生じさせない増感剤を用いても良い。
【0052】
上記で用いる増感剤の好ましい例として、3,3´−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン、9,10−アントラキノンなどのアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、ベンズアルデヒド、などの芳香族ケトン、ビフェニル、1,4−ジメチルナフタレン、9−フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9−メトキシアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(4−メトキシフェニル)アントラセン、9,10−ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペンタオキシアントラセン、2―t−ブチル−9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセンなどの縮合芳香族などが挙げられる。
【0053】
本発明では、熱によって気化するか、あるいは光によって退色反応を示す機能のいずれかの特性を有する増感剤であれば良く、その両方の機能を有する増感剤であっても良い。
【0054】
増感剤の気化する温度が低いとプリベーク中に気化し、露光プロセス中に存在しなくなること、気化する温度が高すぎるとシロキサンポリマーが分解することから、増感剤の気化温度は130℃〜400℃が好ましく、さらに好ましくは150℃〜250℃である。プリベーク中の気化を極力抑えるためには、増感剤の気化温度は150℃以上が好ましい。一方、増感剤の気化温度が400℃より高いと、増感剤が熱硬化時に気化せず硬化膜中に残存して、無色透明性が低下する。また、熱硬化時に完全に気化させるためには、増感剤の気化温度は250℃以下が好ましい。
【0055】
熱処理による気化が昇華、揮発、熱分解による熱分解物の昇華または揮発であることが好ましい。熱分解物が樹脂膜に残存し、着色の原因になることは好ましくない。
【0056】
光退色反応する増感剤は、透明性の観点から可視光領域における吸収が退色反応する増感剤が好ましい。また、さらに好ましい光退色反応する化合物は、光二量化反応する化合物である。光二量化することによって、分子量が増大して不溶化するので、耐薬品性向上、耐熱性向上、透明硬化膜からの抽出物の低減という効果が得られる。
【0057】
また、増感剤は高感度を達成できるという点、光照射による二量化による光退色という点からアントラセン系化合物が好ましく、さらに、9,10位が水素であるアントラセン系化合物は熱に不安定であるので、9,10−二置換アントラセン系化合物であることが好ましい。さらに、増感剤の溶解性の向上と光二量化反応の反応性の観点から一般式(3)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン系化合物であることが好ましい。
【0058】
【化3】

【0059】
、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エチニル基、アリール基、アシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。R17、R18は炭素数1〜20のアルコキシ基およびそれらが置換された有機基を表す。
【0060】
一般式(3)のR、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。化合物の気化性、光二量化の反応性の点から、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は水素、または炭素数は1〜6までの有機基であることが好ましい。さらに好ましくは、R、R12、R13、R16は水素であることが好ましい。
【0061】
一般式(3)のR17、R18は炭素数1〜20のアルコキシ基、およびそれらが置換された有機基を表す。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられるが、化合物の溶解性と光二量化による退色反応の点から、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
【0062】
増感剤を用いる場合、シロキサンポリマーに対して0.01〜5重量%の範囲で添加するのが好ましい。この範囲を外れると、無色透明性が低下したり、感度が低下したりするで注意を要する。
【0063】
本発明の感光性樹脂組成物においては、酸クエンチャーを添加することができる。酸クエンチャーは、露光により(b)成分の光酸発生剤から発生した酸が組成物塗膜中に拡散することを制御し、未露光部領域での硬化反応を抑制する作用がある。酸クエンチャーを添加することにより、パターン解像度に優れた感光性樹脂組成物が得られる。このような酸クエンチャーとして、例えば、含窒素化合物を挙げることができる。具体例として、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物、不飽和環状含窒素化合物等が挙げられる。
【0064】
1級アミン化合物の具体例としては、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、アニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0065】
2級アミン化合物の具体例としては、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−s−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、N−ベンジルイソプロピルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。
【0066】
3級アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−i−ブチルアミン、トリ−s−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、メチルジ−n−ブチルアミン、メチルジ−n−ペンチルアミン、メチルジ−n−ヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジ−n−ヘプチルアミン、メチルジ−n−オクチルアミン、メチルジ−n−ノニルアミン、メチルジ−n−デシルアミン、エチルジ−n−ブチルアミン、エチルジ−n−ペンチルアミン、エチルジ−n−ヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、エチルジ−n−ヘプチルアミン、エチルジ−n−オクチルアミン、エチルジ−n−ノニルアミン、エチルジ−n−デシルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジメチル−n−ペンチルアミン、ジメチル−n−ヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチル−n−ヘプチルアミン、ジメチル−n−オクチルアミン、ジメチル−n−ノニルアミン、ジメチル−n−デシルアミン、ジメチル−n−ヘキサデシルアミン、ジエチル−n−ブチルアミン、ジエチル−n−ペンチルアミン、ジエチル−n−ヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ジエチル−n−ヘプチルアミン、ジエチル−n−オクチルアミン、ジエチル−n−ノニルアミン、ジエチル−n−デシルアミン、ジエチル−n−ヘキサデシルアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−プロピルアニリン、N,N−ジ−i−プロピルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジメチル−3−アミノフェノール、N,N−ジメチル−4−アミノフェノール、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−2−ナフチルアミン、N,N−ジエチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジエチル−2−ナフチルアミン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0067】
不飽和環状含窒素化合物の具体例としては、ピリジン、4−メチルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、キノリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、インドール、プリン、ビピリジン等が挙げられる。これらのアミン化合物の中でも、シラノールの縮合触媒として作用しにくいという点から炭素数が多く嵩高い3級アミン化合物が好ましいが、酸クエンチャーとして作用するために炭素数は少ない方がよく、炭素数が12〜60までの3級アミンが好ましく用いられる。
【0068】
これらのアミン化合物は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。アミン化合物の添加量は、シロキサンポリマーに対して0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。0.01重量%より少ないと解像度向上に対する効果が小さく、10重量%より多いとプリベークで組成物が硬化してしまう。なお、アミン化合物の含有量は、ガスクロマトグラフィーやプロトンNMRなどの一般的な分析方法によって特定することが可能である。
【0069】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いた硬化膜、およびパターン形成方法を順に説明する。本発明の感光性樹脂組成物をスピンナー、ディッピング、スリットなどの公知の方法によってシリコンウエハー、ガラス板、セラミックス板などの基板上に塗布し、プリベークする。プリベークは、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間行い、プリべーク後の膜厚は、0.1〜15μmとするのが好ましい。
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナー(PLA)などの紫外可視露光機を用い露光することが好ましい。
【0070】
本発明の露光後の樹脂膜は露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク)を行うことなく良好なパターン樹脂膜を得ることができるが、必要に応じ、行ってもよい。ポストエクスポージャーベークを行うことによって、露光によって発生した酸または塩基性化合物の作用により露光部の高分子量化が未露光部より進行し、未露光部との現像液溶解度差が広がり、解像コントラストが向上する。ポストエクスポージャーベークは工程数が増えるため、省略できることが望ましいが、ポストエクスポージャーベークを行う場合は50〜150℃の範囲で、30秒〜30分間行うのが好ましい。
次に、現像を行うが、露光によって発生した酸または塩基性化合物の作用により露光部の高分子量化を促進するために、露光と現像の間に放置時間をおくことが好ましい。放置時間は30秒〜1時間が好ましく、製造上のタクトタイム短縮の観点から、好ましくは30秒〜10分がよく、さらに好ましくは30秒から5分が好ましい。現像方法としては、現像液に10秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、有機溶剤、アルカリ性水溶液などを用いることができる。具体的には、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの有機溶剤;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液が挙げられる。
【0071】
現像後、水あるいは一般有機溶剤でリンスすることが好ましく,つづいて乾燥することによりパターン樹脂膜が形成される。
【0072】
さらに、このパターン樹脂膜をホットプレート、またはオーブンにより、加熱、硬化させることで、パターン透明硬化膜を得ることができる。この透明硬化膜を用いることで、表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子におけるバッファコート、平坦化膜、層間絶縁膜、あるいは光導波路におけるコアやクラッド材、位相シフター用材料といった用途に使用できる。
【0073】
硬化温度としては、200〜400℃、好ましくは220〜350℃の範囲にあることが好ましい。硬化後の膜厚としては、0.5〜20μmであることが、層間絶縁膜、バッファーコート、平坦化膜、導波路形成材料などとして用いるために好ましい。
【0074】
液晶表示素子におけるTFT用平坦化膜は上部に透明導電膜および液晶配向膜が形成されるが、その液晶配向膜のラビング耐性の観点から、硬化膜の鉛筆硬度は3H以上であることが好ましい。
【0075】
さらに、本発明に用いられる塗布液には、必要に応じて、粘度調整剤、界面活性剤、安定化剤、着色剤、ガラス質形成剤などを添加することができる。
【0076】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、膜の絶縁性能の観点から、重金属、ハロゲンイオンの濃度が少ないことが好ましい。具体的には、感光性樹脂組成物の100ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下、より好ましくは、0.1ppm以下である。なお、重金属は、感光性樹脂組成物を電気炉で灰化処理後、フッ化水素酸で珪素を除去後、希硝酸溶液を調整し、IPC発光分析装置OPTIM4300DV(パーキンエルマー社製)および原子吸光分析装置AA−6200((株)島津製作所製)で測定できる。ハロゲンイオン濃度は、感光性樹脂組成物を試料燃焼装置9F−02(三菱化成(株)製)で燃焼抽出後、イオンクロマト装置IC−7000(横川電気(株)製)で測定できる。
【0077】
本発明の素子は、上述のような高透明性、高耐熱性、低誘電率性の硬化膜を有する表示素子、半導体素子、あるいは光導波路のコアやクラッド材を指し、特に、TFT用平坦化膜として有する液晶、ならびに有機EL表示素子は、本発明の硬化膜が画面の明るさと信頼性に優れる点において、有効に用いられる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における樹脂組成物の各評価は、次のようにして測定したものである。
【0079】
(1)重量減少率
得られた感光性樹脂組成物をアルミセルに約100mg入れ、熱重量測定装置TGA−50(島津製作所(株)製)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で300℃まで加熱し、そのまま1時間加熱硬化させ、その後昇温速度10℃/分で400℃までで昇温した時の、重量減少率を測定した。300℃に到達したときの重量を測定し、さらに400℃に到達した時の重量を測定し、300℃時の重量との差を求め、減少した重量分を重量減少率として求めた。
【0080】
(2)光透過率
テンパックスガラス基板(旭グラス(株)製)に、得られた感光性樹脂組成物を塗布、プリベーク、露光、現像、硬化処理し、感光性樹脂組成物の薄膜を形成した。MultiSpec−1500((株)島津製作所)を用いて、テンパックスガラス基板のみを用いてシングルビームで測定し、リファレンスとした。次いで得られた薄膜の紫外可視吸収スペクトルを測定し、400nmの可視光線における膜厚1μmあたりの光透過率を求めた。
【0081】
(3)硬度の測定
下記、実施例1に記載の要領で作製した、硬化処理後の感光性樹脂組成物のパターン化された薄膜を、鉛筆硬度の硬いものから軟らかい順に紙ヤスリで鉛筆の芯をとがらせて引っ掻き、その膜が削れなかった最も硬い鉛筆硬度をその膜の鉛筆硬度とした。
【0082】
(4)膜厚測定
膜厚計(Lambda、STM602(大日本スクリーン製造(株)製))を用い測定した。(設定屈折率は1.50とした)
(5)誘電率の測定
アルミ基板に、得られた感光性樹脂組成物を塗布、プリベーク、露光、硬化処理し、感光性樹脂組成物の薄膜を形成した。その後この薄膜上部にアルミ電極を形成し、1kHzにおける静電容量を横川ヒューレットパッカード(株)製のLCRメーター4284Aを用いて測定し、下記式により誘電率(ε)を求めた。なお現像処理はしていない。
【0083】
ε=C・d/ε・S
但し、Cは静電容量、dは試料膜厚、εは真空中の誘電率、Sは上部電極面積である。
【0084】
(6)必要最低露光量(感度)の測定
(現像後膜厚/プリベーク膜厚)×100が90以上となるのに必要な最低露光量(i線センサーでの露光量(波長365nmでの露光量換算))を必要最低露光量とした。
【0085】
(7)フェニル基の含有率
得られたシロキサンポリマーを重クロロホルム(CDCl)に溶解し、ブルカー社製DRX−500を用いて29Si−核磁気共鳴スペクトルを測定し、フェニル基が結合したSiに帰属するピーク面積とフェニル基が結合していないSiのピーク面積を用い下記式からフェニル基含有率(モル%)を算出した。また、フェニル基が結合したSiを同定するために、H−29SiHMBCスペクトル(2次元)を測定した(上記装置で測定)。
フェニル基含有率=(フェニル基が結合したSiのピーク面積)/(フェニル基が結合したSiのピーク面積+フェニル基が結合していないSiのピーク面積)。
【0086】
(8)最小解像度の評価方法
現像後、ライン・アンド・スペースパターン(1L/1S)を1対1の幅に形成する最小のパターンを最小解像度とした。
【0087】
合成例1 シロキサンポリマー溶液(a)の作製
メチルトリメトキシシラン88.53g(0.65モル)、フェニルトリメトキシシラン69.41g(0.35モル)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)138.87gを三口フラスコに仕込み、攪拌しながら水54g、リン酸0.158g(仕込みシラン化合物に対して0.1重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。得られた溶液をバス温115℃で3時間加熱し(内温は100℃まで上昇)、副生成物であるメタノール、水からなる成分120gを留出せしめた。得られたシロキサンポリマーのPGEE溶液に、イオン交換水200g、イソブチルケトン(MIBK)200gを加えて振とうし、静置後、水層を分離除去した。得られた有機層を濃縮して、シロキサンポリマーを得た。ポリマー濃度が35重量%、溶剤組成がPGEE/MIBK/ジイソブチルケトン(DIBK)=4/4/2となるように溶媒を加えてシロキサンポリマー溶液(a)を得た。なお、シロキサンポリマー中のSi原子に対するフェニル基含有率は35モル%であった。
【0088】
合成例2 シロキサンポリマー溶液(b)の作製
メチルトリメトキシシラン68.1g(0.5モル(Si原子モル数0.5モル))、フェニルトリメトキシシラン59.49g(0.3モル(Si原子モル数0.3モル))、14.83gのDMS−S12(Si原子モル数0.2モル)、PGEE130.73gを三口フラスコに仕込み、攪拌しながら水43.2g、リン酸0.142g(仕込みシラン化合物に対して0.1重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分かけて添加した。得られた溶液をバス温115℃で4時間加熱し(内温は100℃まで上昇)、副生成物であるメタノール、水からなる成分98gを留出せしめた。得られたシロキサンポリマーのPGEE溶液に、イオン交換水200g、MIBK200gを加えて振とうし、静置後、水層を分離除去した。得られた有機層を濃縮して、シロキサンポリマーを得た。ポリマー濃度38重量%、溶剤組成がPGEE/MIBK/ジイソブチルケトン(DIBK)=4/4/2となるように溶媒を加えてシロキサンポリマー溶液(b)を得た。シロキサンポリマー中のSi原子に対するフェニル基含有率は30モル%であった。
【0089】
実施例1
合成例1で得られたシロキサンポリマー溶液(a)10gに、光酸発生剤α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド(PAI−101(みどり化学(株)製))をシロキサンポリマーに対して2重量%、9,10−ジブトキシアントラセン(川崎化成工業(株)製)をシロキサンポリマーに対して0.6重量%、トリ−n−オクチルアミンをシロキサンポリマーに対して0.1重量%になるように添加し溶解させ、ネガ型感光性樹脂組成物を得た。
【0090】
この感光性樹脂組成物を4インチシリコンウエハーにスピンコーター(1H−360S(ミカサ(株)製))を用いて塗布し、ホットプレート(SCW+−636(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、100℃で3分プリベークした。このとき膜厚は4.5μmであった。その後、感度測定用のグレースケールマスクを介して、超高圧水銀灯光源のPLA(PLA−501F(キヤノン(株)製)365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)混合線(フィルター未使用))を用いて露光した。その後、2分経ってから、自動現像装置(滝沢産業(株)製)を用いて2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であるELM−D(三菱ガス化学(株)製)で80秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。必要最低露光量は400J/mであった。ラインアンドスペースのパターンは最少3μmの良好なパターンが得られた。その後、オーブン(IHPS−222((株)タバイ製))を用い、250℃空気中で1時間硬化したところ、膜厚4μmでクラックは発生しなかった。
【0091】
また、得られた硬化膜の波長400nmの可視光線における膜厚1μmあたりの光透過率は99.5%であった。また、硬度は4Hであり、十分な硬度を有していた。誘電率は3.1であった。なお、本実施例はポストエクスポージャーベークを行わなかった。
【0092】
実施例2〜7、比較例1〜3
表1に示したシロキサンポリマー、光酸発生剤、増感剤、酸クエンチャー以外は実施例1と同様に行った。ただし、比較例3についてはポストエクスポージャーベークを行った。その結果について、表2に示す。また、実施例1〜7の感光性樹脂組成物の塩素濃度を試料燃焼装置9F−02(三菱化成(株)製)で燃焼抽出後、イオンクロマト装置IC−7000(横川電気(株)製)で測定した。いずれも1ppm以下で低い値であった。
【0093】
比較例4
冷却管および攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5gおよびジエチレングリコールエチルメチルエーテル200gを仕込んだ。引き続きスチレン25g、メタクリル酸20g、メタクリル酸グリシジル45g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート(通称:ジシクペンタニルメタクリレート)10gを仕込み窒素置換した後、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は30.6重量%であった。
【0094】
この重合体溶液(共重合体100重量%に相当)と、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノール(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2モル)との縮合物(4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチリデン]フェニル]エチリデン]ジフェノールの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル)30重量%を混合し、固形分濃度が30重量%になるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルに溶解させた後、孔径0.2μmのミリポアフィルタで濾過してポジ型感光性樹脂組成物の溶液を調製した。この感光性樹脂組成物を4インチシリコンウエハーにスピンコーター(1H−360S(ミカサ(株)製))を用いて塗布し、ホットプレート(SCW+−636(大日本スクリーン製造(株)製)を用いて、90℃で2分プリベークした。このとき膜厚は1.2μmであった。その後、感度測定用のグレースケールマスクを介して、超高圧水銀灯光源のPLA(PLA−501F(キヤノン(株)製)i(365nm)、h(405nm)、g(436nm)線混合(フィルター未使用))を用いて露光した。その後、自動現像装置(滝沢産業(株)製)を用いて0.4wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であるELM−D(三菱ガス化学(株)製)で90秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。現像後膜厚は1.1μmであった。必要最低露光量は1500J/mであった。ラインアンドスペースのパターンは最少5μmのパターンが得られた。その後、オーブン(IHPS−222((株)タバイ製))を用いて、250℃空気中で1時間硬化したところ、膜厚1μmでクラックは発生しなかった。
【0095】
また、得られた硬化膜の波長400nmの可視光線における膜厚1μmあたりの光透過率は90.0%であった。また、硬度は4Hであり、十分な硬度を有していた。誘電率は3.4であった。なお、ポストエクスポージャーベークを行わなかった。
【0096】
その他の特性は実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(c)を含有する感光性樹脂組成物であって、当該組成物の硬化膜の膜厚1μmあたりの波長400nmでの光透過率が98%以上であり、パターン形成に必要な最低露光量が10〜1000J/m(超高圧水銀灯による波長365nmでの露光量換算)であることを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
(a)シロキサンポリマー
(b)露光により酸または塩基を発生し、(a)のシロキサンポリマーを架橋させる化合物
(c)熱処理により気化する、および/または、光により退色反応する増感剤
【請求項2】
(b)が非イオン性光酸発生剤であることを特徴とする請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(b)の吸収が波長400nm以上にないことを特徴とする請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(b)の吸収が波長335nm以上400nm未満にあることを特徴とする請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(b)がスルホン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
(c)の増感剤がアントラセン系化合物であることを特徴とする請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
(c)の増感剤が9,10−二置換アントラセン系化合物であることを特徴とする請求項6記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
(c)の増感剤が下記一般式(3)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン系化合物であることを特徴とする請求項6記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【化1】

(R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エチニル基、アリール基、アシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。R17、R18は炭素数1〜20のアルコキシ基およびそれらが置換された有機基を表す。)
【請求項9】
シロキサンポリマーが、一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上、および/または一般式(2)で表される直鎖状ポリシロキサンの1種以上とを混合、反応させることによって得られるシロキサンポリマーであることを特徴とする請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【化2】

(式中、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。)
【化3】

(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR、Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。mは1から1000の整数を表す。)
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載の感光性樹脂組成物から形成された硬化膜。
【請求項11】
請求項10記載の硬化膜を具備する素子。

【公開番号】特開2006−154037(P2006−154037A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341849(P2004−341849)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】