説明

ネットワークシステム及び対応接続関係の特定方法

【課題】ノード装置とユーザ機器との対応接続関係を簡便に特定する。
【解決手段】ネットワークシステム100は、要求電文を受信したときに要求電文に対する応答電文を返信する、複数のユーザ機器120,120,…と、ユーザ機器120,120,…にそれぞれ有線により接続され、ユーザ機器120からの応答電文を送信するときにはID情報を付加するように構成された、複数のノード装置110,110,…とを備えている。基地局ノード装置110Aは、送信先ユーザ機器120Bを特定した要求電文を他の子ノード装置110B,110B,…へ送信先となるノード装置を特定することなく送信し、要求電文に対する応答電文を受信すると、送信先ユーザ機器120Bが接続された子ノード装置110Bを応答電文に付加されたID情報に基づいて割り出し、ユーザ機器120Bと子ノード装置110Bとの対応接続関係を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノード装置を備えたネットワークシステム、及び当該ネットワークシステムに用いられるノード装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のノード装置を備えたアドホックネットワークシステムが知られている。例えば、特許文献1には、センサ同士を無線で接続し、複数のセンサが自律的に中継処理することでネットワークを構築するセンサネットワークシステムが開示されている。このネットワークシステムの各ノードには、他のノードとの通信を可能とする無線通信部が設けられている。無線通信部は、当該ノード内のセンサ部と通信可能に接続されており、センサ部からの受信信号を他のノードと無線通信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−253359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々なユーザ機器をこのようなネットワークシステムに接続したいという要求がある。この要求を実現するためには、特許文献1に係るネットワークシステムにおいて、無線通信部とセンサ部とを切り離し可能に構成する必要がある。すなわち、互いにネットワークを構築する複数のノード装置を設け、ノード装置のそれぞれにユーザ機器を接続可能に構成する必要がある。この構成によれば、ノード装置に接続するユーザ機器を変えることによって、様々なユーザ機器をネットワークシステムに接続することができる。
【0005】
かかる構成においては、一のユーザ機器から他のユーザ機器への電文を送信する際に、無線通信を行うのはノード装置同士である。そのため、特定のユーザ機器がどのノード装置に接続されているのかという対応接続関係をノード装置が把握しておくことは有益である。例えば、送信先となるノード装置を特定して電文を送信する、所謂ユニキャストを行う場合には、前記対応接続関係を把握しておく必要がある。
【0006】
しかしながら、ノード装置とユーザ機器との対応接続関係を手動で設定していくことは、煩雑である。特に、ユーザ機器の台数が多いときには、煩雑であり、時間も要する。
【0007】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノード装置とユーザ機器との対応接続関係を簡便に特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示されたネットワークシステムは、要求電文を受信したときに該要求電文に対する応答電文を返信する、複数のユーザ機器と、該ユーザ機器にそれぞれ有線により接続され、ユーザ機器からの応答電文を送信するときにはID情報を付加するように構成された、複数のノード装置とを備え、該ノード装置間で無線通信を行う。そして、前記ノード装置は、送信先ユーザ機器を特定した要求電文を他のノード装置へ送信先となるノード装置を特定することなく送信し、該要求電文に対する前記応答電文を受信すると、該送信先ユーザ機器が接続されたノード装置を該応答電文に付加された前記ID情報に基づいて割り出し、該ユーザ機器と該ユーザ機器に接続された該ノード装置との対応接続関係を特定するものとする。
【0009】
前記の構成によれば、前記ノード装置は、送信先ユーザ機器を特定した要求電文をブロードキャストする。該要求電文はいずれ、送信先ユーザ機器に接続されたノード装置に受信される。それに対し、送信先ユーザ機器は、該ノード装置から要求電文を受け取り、応答電文を返信する。このとき、送信先ユーザ機器が接続されたノード装置は、応答電文を送信する際に自身のID情報を付加する。こうすることで、最終的に応答電文を受け取ったノード装置は、応答電文に付加されたID情報を読み出すことにより送信先ユーザ機器が接続されたノード装置を特定することができ、前記対応接続関係を設定することができる。
【0010】
このように、ノード装置から要求電文をブロードキャストして、返ってきた応答電文に付加されたID情報を調べることによって、ユーザ機器と該ユーザ機器に接続されたノード装置との対応接続関係を簡便に特定することができる。
【0011】
また、ここに開示された対応接続関係の特定方法は、複数のユーザ機器と、該ユーザ機器にそれぞれ有線により接続される複数のノード装置とを備え、該ノード装置間で無線通信を行うネットワークシステムにおいて、該ユーザ機器と該ユーザ機器に接続された該ノード装置との対応接続関係を特定する。そして、この対応接続関係の特定方法は、前記ノード装置が、送信先ユーザ機器を特定した要求電文を他のノード装置へ送信先となるノード装置を特定することなく送信する送信工程と、前記送信先ユーザ機器に接続されたノード装置が、該要求電文を受信する受信工程と、前記送信先ユーザ機器が、該要求電文に対する応答電文を生成する生成工程と、前記送信先ユーザ機器に接続されたノード装置が、該送信先ユーザ機器からの前記応答電文にID情報を付加して送信する返信工程と、前記要求電文を送信した前記ノード装置が、該応答電文を受信して、前記送信先ユーザ機器に接続されたノード装置を該応答電文に付加された前記ID情報に基づいて特定し、前記対応接続関係を特定する特定工程とを含むものとする。
【0012】
前記の構成によれば、前記ノード装置は、送信先ユーザ機器を特定した要求電文をブロードキャストする。該要求電文はいずれ、送信先ユーザ機器に接続されたノード装置に受信される。それに対し、送信先ユーザ機器は、該ノード装置から要求電文を受け取り、応答電文を返信する。このとき、送信先ユーザ機器が接続されたノード装置は、応答電文を送信する際に自身のID情報を付加する。こうすることで、最終的に応答電文を受け取ったノード装置は、応答電文に付加されたID情報を読み出すことにより送信先ユーザ機器が接続されたノード装置を特定することができ、前記対応接続関係を設定することができる。
【0013】
このように、ノード装置から要求電文をブロードキャストして、返ってきた応答電文に付加されたID情報を調べることによって、ユーザ機器と該ユーザ機器に接続されたノード装置との対応接続関係を簡便に特定することができる。
【発明の効果】
【0014】
前記ネットワークシステムによれば、ノード装置から、送信先ユーザ機器を特定した要求電文をブロードキャストし、返ってきた応答電文に付加されたID情報を調べることによって、ユーザ機器と該ユーザ機器に接続されたノード装置との対応接続関係を簡便に特定することができる。
【0015】
また、前記対応接続関係の特定方法によれば、ノード装置から、送信先ユーザ機器を特定した要求電文をブロードキャストし、返ってきた応答電文に付加されたID情報を調べることによって、ユーザ機器と該ユーザ機器に接続されたノード装置との対応接続関係を簡便に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るネットワークシステムの概略図である。
【図2】ノード装置のブロック図である。
【図3】対応接続テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
−システムの概要−
図1は、本発明の例示的実施形態を用いたネットワークシステム100の概略図である。システム100は、無線アドホックネットワークである。このシステム100は、近接する小型無線端末が自律的にネットワークを構築するよう構成される。システム100は、複数のノード装置110,110,…と、ユーザ機器120,120,…とを備えている。各ノード装置110には、ユーザ機器120が接続されている。ユーザ機器としては、PC(パーソナルコンピュータ)120A、計測機器120B等が含まれる(以下、各ユーザ機器を区別しないときには、単に、「ユーザ機器120」と称する)。
【0019】
複数のユーザ機器においては、PC120Aがマスタ機器として機能し、それ以外の計測機器120B,120B,…がスレーブ機器として機能する。つまり、PC120Aが、計測機器120B,120B,…を一方的に制御する。以下、PC120Aをマスタユーザ機器120Aと、計測機器120Bをスレーブユーザ機器120Bとも称する。また、マスタユーザ機器120Aに接続されたノード装置110を基地局ノード装置110Aと、スレーブユーザ機器120Bに接続されたノード装置110を子ノード装置110Bとも称する。尚、各ノード装置を区別しないときには、単に、「ノード装置110」と称する。
【0020】
各ノード装置110は、固有のノードIDを有している。基地局ノード装置110AのノードIDは、「0」であり、子ノード装置110BのノードIDは、「0」以外の数字である。また、各計測機器120Bも、固有の機器IDを有している。
【0021】
複数のノード装置110,110間は、無線で結合される。このノード装置110,110間の無線リンクは、例えば、2.4GHz帯を用いたIEEE802.15.4に準拠する短距離無線ネットワークであり得る。このIEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)又はWPAN(Wireless Personal Area Network)と呼ばれる無線通信規格の一つであり、低コスト・低消費電力で、高い信頼性とセキュリティを持つ。また、無線リンクは、上述の特定の無線ネットワークに限定されず、典型的にはパケットの形で情報をやりとりできる任意の適切なネットワークであり得る。
【0022】
また、ノード装置110は、自動中継機能を有し、通信環境を察知して自律的にネットワークを構成し得る。例示的なネットワークは、真メッシュであり、ホップ数も実質的に無制限である。換言すれば本発明の実施形態は、マルチホップの無線ネットワークを使用可能である。こうして、一対のノード装置110とユーザ機器120とを1つの無線端末として、無線アドホックネットワークが構築される。
【0023】
ノード装置110は、基板上に取り付けられた、半導体素子を含む回路要素群によって典型的には実現され得る。典型的には、ノード装置110は、ユーザ機器からのアナログ信号、及び無線ネットワークのための高周波信号を扱うアナログ回路と、MCUを主要素とするデジタル回路との組み合わせによって実現され得る。
【0024】
ノード装置110の制御は、典型的にはソフトウェアによって実現され得る。すなわち、ノード装置110の制御は、典型的にはコンピュータで読み取り可能な媒体に記憶されたソフトウェアによって実現され得る。コンピュータで読み取り可能な媒体には、ハードディスクドライブ、半導体メモリ等がある。代替として、ノード装置110の制御は、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ、又はハードウェアのみによって実現され得る。
【0025】
計測機器120Bは、各種の物理量(温度、湿度、電流、電圧、電力等)を計測・検出するものであって、任意の適切な計測機器であり得る。例えば、計測機器120Bは、電力量計であり得る。また、計測機器120Bは、PC120Aからの電文を受け取って、該電文に応じた様々な処理を実行する。例えば、計測機器120Bは、要求電文を受け取ったときには、該要求電文に応じた応答電文を返信するように構成されている。
【0026】
計測機器120Bは、子ノード装置110Bに有線で結合される。子ノード装置110B及び計測機器120Bは、共通の通信規格(本実施形態では、RS485)のインタフェースを有している。すなわち、計測機器120Bは、RS485ケーブルを介して子ノード装置110Bに接続されている。尚、通信規格は、RS485に限られるものではなく、RS422、RS232C、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等であってもよい。
【0027】
尚、PC120Aは、計測機器120Bの通信規格に対応させるべく、基地局ノード装置110Aと、USB−RS485コンバータを介して有線で接続される。尚、基地局ノード装置110Aに接続されるユーザ機器120が、他のユーザ機器120と共通の通信規格を本来的に有する場合には、USB−RS485コンバータのような変換装置をユーザ機器120に設ける必要はない。
【0028】
また、一つの無線ネットワークを構築しているノード装置110,110,…に接続されたPC120A及び計測機器120B,120B,…は、共通のプロトコルを有している。そのため、PC120A及び計測機器120B,120B,…は、互いに電文のやりとりを行うことができる。
【0029】
詳しくは、PC120Aは、計測機器120Bに対する種々の電文を出力する。PC120Aからの電文は、ノード装置110,110,…で構築された無線ネットワークを介して、計測機器120Bへ送信される。また、PC120Aは、ノード装置110,110,…で構築された無線ネットワークを介して、計測機器120Bからの応答電文を受信する。
【0030】
ノード装置110は、電文を送信するときには、該電文を含むパケットを生成し、該パケットを変調して送信する。また、ノード装置110は、パケットを受信したときには、該パケットを復調して、該パケットから電文を読み出す。ノード装置110の無線信号の符号化及び変調・復調のための方式には様々なものがある。本実施形態では、上述のIEEE802.15.4に準拠した方式が用いられる。
【0031】
PC120Aは、例えば、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)を備えるソフトウェアを用いて、計測機器120Bから受け取られたデータを視覚的に表示したり、統計的に処理したりできる。そのようなソフトウェアは、例えば通信状態の確認、データの数値表示、グラフ表示、値の分布カラーマッピング、データの記録、データのエクスポート、端末設定の変更等を行うことができる。
【0032】
−ノード装置のハードウェア構成−
図2は、本発明の例示的実施形態のために用いられるノード装置110のブロック図である。
【0033】
ノード装置110は、RFユニット410及びアンテナ430を備える。RFユニット410には、ユーザ機器120からのデータが入力される。RFユニット410は、ユーザ機器120が出力した計測データを無線信号に変換して、アンテナ430から他のノード装置110、例えば上流ノード(基地局ノード装置110A等)へ送信する。
【0034】
RFユニット410は、インタフェース440、DC(直流)電源445、MCU(Micro Controller Unit)450、ROM(読み出し専用メモリ)452、RAM(ランダムアクセスメモリ)454、タイマ456、無線送受信部458、RFインタフェース460、及び切替スイッチ470を有する。インタフェース440は、ユーザ機器120によって出力された信号をMCU450が処理できる適当な信号(例えば10ビットデジタル信号)に変換する。このインタフェース440は、ユーザ機器120の通信規格と共通のインタフェースであり、本実施形態では、RS485インタフェースである。DC電源445は、RFユニット410の各機能ブロックに直流電源を供給する。DC電源445は、例えば直流3Vを供給するリチウム電池であり得る。
【0035】
MCU450は、ノード装置110の機能を実現するのに用いられるマイクロプロセッサである。MCU450は、ノード装置110の機能を実現するのに必要なプログラム及びデータをROM452又はRAM454に記憶する。タイマ456は、例えば電源をオフにするタイミングを計測し、所定時間が経過したときに、DC電源445からの電源供給を断つようMCU450をトリガする。MCU450は、ROM452、RAM454、及びタイマ456などの周辺素子をその中に含んでもよい。この場合、ROMなどを独立した部品として搭載する場合に比べて、システム構築のためのコストを抑えることができる。
【0036】
無線送受信部458は、MCU450からのデータを他のノード装置110へ送る応答パケットに変換したり、他のノード装置110から受け取られた要求パケットをデータに変換したりする。RFインタフェース460は、無線送受信部458から出力されたパケットをRF信号に変換し、アンテナに出力したり、アンテナで受け取られたRF信号からパケットを再生し、無線送受信部458に出力したりする。
【0037】
切替スイッチ470は、ノード装置110のノードIDを設定するためのダイヤル式のスイッチである。ノードIDを「0」に設定されたノード装置110が基地局ノード装置として機能する。一方、ノードIDが「0」以外に設定されたノード装置110は、子ノード装置として機能する。
【0038】
尚、機能ブロック群の一部又は全ては、適宜、結合されることによって一体化されて実現されてもよい。例えば、RFユニット410は、ハイブリッドIC(集積回路)として実現されてもよい。さらには、RFユニット410及びアンテナ430を一つの基板に一体化して実現されてもよい。
【0039】
−ネットワークの構築−
ノード装置110は、上述の如く、自律的にネットワークを構築する。詳しくは、子ノード装置110Bは、電源がオンされると、ルーティングを開始する。ノード装置110は、隣接するノード装置110にビーコンメッセージ(ルーティングパケットとも呼ばれる)を送信する等して、通信状態が良好なノード装置110との間で通信経路を構築する。各ノード装置110は、それ自身と通信経路を構築する上流側と下流側のノード装置110とを記憶している。本実施形態では、PC120A側を上流とし、PC120Aとは反対側を下流としている。さらに、各ノード装置110は、下流側に接続される全てのノード装置110と該ノード装置110のそれぞれへパケットを伝達するために次に中継すべきノード装置110とを記憶している。ノード装置110は、電源をオンにした直後だけでなく、前記ビーコンメッセージを定期的に送信して、通信状態が良好な通信経路を更新している。
【0040】
ノード装置110は、上述の如く、自律的にネットワークを構築する。詳しくは、各ノード装置110は、隣接するノード装置110に定期的にビーコンメッセージ(ルーティングパケットとも呼ばれる)を送信する等して、通信状態が良好なノード装置110との間で通信経路を構築している。各ノード装置110は、それ自身と通信経路を構築する上流側と下流側のノード装置110のノードIDを記憶している。本実施形態では、計測機器120Bの計測データをPC120Aによって収集するため、PC120A側を上流とし、PC120Aとは反対側を下流としている。さらに、各ノード装置110は、下流側に接続されるノード装置110のノードIDと該ノード装置110へパケットを伝達するために次に中継すべきノード装置110のノードIDとを記憶している。
【0041】
−パラメータの設定−
ノード装置110は、ネットワーク設定(例えば、通信仕様やプロトコル仕様)を適宜設定することによって、様々な種類のユーザ機器120,120,…に対応可能(即ち、接続可能且つ通信可能)に構成されている。つまり、ユーザ機器120は、ノード装置110と通信規格が共通である必要があるが、通信規格が共通であってもネットワーク設定が異なるものは数多く存在する。例えば、RS485に対応したユーザ機器120であっても、その詳細なネットワーク設定は様々であり、必ずしも共通ではない。そのため、ある種類のユーザ機器120,120,…をノード装置110,110,…を介してネットワークシステムに接続する場合には、各ノード装置110のネットワーク設定をユーザ機器120に対応させる必要がある。換言すれば、ノード装置110は、ネットワーク設定を適宜変更可能であるため、各種のユーザ機器120,120,…に対応可能であって、汎用的に構成されている。
【0042】
具体的には、ノード装置110は、各種の設定パラメータを有しており、これらの設定パラメータを変更することによって、各種のユーザ機器120と通信が可能となるように構成されている。設定パラメータには、ユーザ機器120の通信仕様に関する通信パラメータと、ユーザ機器120のプロトコル仕様に関するプロトコルパラメータとが含まれる。通信パラメータには、ボーレート(4800bps/9600bps/19200bps/…)、データビット(8ビット/7ビット)、パリティ(なし/奇数/偶数)、ストップビット(1ビット/2ビット)等が含まれる。プロトコルパラメータには、スタートコード(01〜FF)、エンドコード(01〜FF)、エンドコードからパケット終端までのオフセット(0〜9)、先頭から送信先アドレスまでのオフセット(1〜99)、送信先アドレスの長さ(0〜6)、送信先アドレスの表現形式(10進ASCII/16進ASCII/LEバイナリ/BEバイナリ)等が含まれる。
【0043】
以下に、設定パラメータの設定方法について説明する。
【0044】
まず、ユーザは、基地局ノード装置110Aに接続されたPCを介して、基地局ノード装置110Aに設定パラメータを入力する。この設定パラメータの入力用のPCは、前記PC120Aでもよいし、PC120Aとは別のPCでもよい。入力用のPCは、例えば、GUIを備えるソフトウェアを用いて、ユーザに設定パラメータの入力を促し、ユーザからの入力を受け入れ、入力に応じた信号を基地局ノード装置110Aに出力する。基地局ノード装置110Aは、PCからの入力に応じて設定パラメータを設定する。
【0045】
次に、子ノード装置110Bは、設定パラメータを要求する要求パケットを基地局ノード装置110Aに送信する。詳しくは、子ノード装置110Bは、電源がオンされた後に、ネットワークが構築されたことを確認すると、要求パケットを基地局ノード装置110Aへ送信する。基地局ノード装置110Aは、要求パケットを受信すると、設定パラメータを子ノード装置110Bへ送信する。子ノード装置110Bは、基地局ノード装置110Aからの設定パラメータを受信すると、該設定パラメータをそれ自身の設定パラメータとして設定する。尚、子ノード装置110Bは、基地局ノード装置110Aからの応答が無い場合には、所定時間経過後に要求パケットを再度送信する。このように、子ノード装置110Bは、ユーザから直接、設定パラメータが入力されるのではなく、基地局ノード装置110Aから設定済みの設定パラメータを読み込んで、自らの設定パラメータとして設定する。こうして、基地局ノード装置110Aと子ノード装置110Bとの設定パラメータが同一に設定される。
【0046】
各ノード装置110は、前述の如く、基地局ノード装置として機能するか、子ノード装置として機能するかが切替スイッチ470によって切り替えられる。つまり、基地局ノード装置として設定されたノード装置110は、ユーザからの入力を受けて設定パラメータを設定する入力モードとなる。一方、子ノード装置として設定されたノード装置110は、基地局ノード装置110Aの設定パラメータを読み込んで該設定パラメータを自らの設定パラメータとして設定する読込モードとなる。すなわち、切替スイッチ470によってノードIDが0に設定されたノード装置110は、入力モードとなり、ユーザからの設定パラメータの入力を待機する。切替スイッチ470によってノードIDが0以外に設定されたノード装置110は、読込モードとなり、ネットワークの構築を確認した後に、基地局ノード装置110へ要求パケットを送信する。このノード装置110のモードの設定は、基本的には、ノード装置110がユーザ機器120に接続される前など、ノード装置110,110,…がネットワークを構築する前に行われる。
【0047】
尚、子ノード装置110Bは、読込モードであっても、ユーザからの入力を受付可能な状態となっている。つまり、子ノード装置110Bは、基本的には、基地局ノード装置110Aの設定パラメータを自律的に読み込むが、ユーザが設定パラメータを直接、入力することもできる。設定パラメータがユーザから設定された子ノード装置110Bは、それ以降は、基地局ノード装置110Aの設定パラメータの読み込みを行わないようになる。例えば、該子ノード装置110Bは、設定パラメータがユーザから入力されることによって、読込モードから入力モードへ切り替わる。
【0048】
このように、ノード装置110は、そのインタフェース440と共通の通信規格を有するユーザ機器120であれば、当該通信規格を前提とした通信仕様やプロトコル仕様等の詳細なネットワーク設定を適宜設定することによって、通信可能に接続することができる。つまり、ノード装置110を汎用的に構成して、様々なユーザ機器をネットワークシステムに接続することができる。
【0049】
そして、このようなノード装置110,110,…を用いてネットワークシステムを構成する際には、複数のノード装置110のうちの基地局ノード装置110Aに、ユーザ機器120に対応した設定パラメータを設定すれば、あとは、子ノード装置110B,110B,…が自律的に基地局ノード装置110Aから設定パラメータを読み込んで、自らの設定パラメータとして設定していく。つまり、複数のノード装置110の全てに対して、設定パラメータを設定する必要がなく、ノード装置110,110,…の設定を簡便に行うことができる。よって、ノード装置110を各種のユーザ機器120,120,…に対応可能に汎用的に構成しつつ、そのノード装置110,110,…を用いてネットワークシステムを構成する場合であっても、汎用的であるが故に必要な、ノード装置110のネットワーク設定を簡便に行うことができる。
【0050】
−対応接続関係の特定−
また、基地局ノード装置110Aは、子ノード装置110B,110B,…と、子ノード装置110B,110B,…のそれぞれに接続された計測機器120B,120B,…との対応接続関係を表す対応接続テーブルを、例えば、RAM454に記憶している。
【0051】
ただし、基地局ノード装置110Aは、対応接続テーブルを始めから有しているわけではない。基地局ノード装置110Aは、PC120Aから計測機器120Bへの要求電文を受信したときに、対応接続テーブルにおいて該計測機器120Bとそれに接続される子ノード装置110Bとの対応接続関係が不明であれば、以下に示す、対応接続関係の特定処理を行う。
【0052】
詳しくは、PC120Aは、所定の取得タイミングにおいて、計測機器120Bの計測データを取得すべく、該計測機器120Bを送信先として特定した要求電文を生成し、基地局ノード装置110Aへ出力する。このとき、PC120Aは、1つの計測機器120Bの計測データだけでなく、全ての計測機器120B,120B,…の計測データを取得する。そのため、PC120Aは、順次、要求電文において送信先として特定する計測機器を変更して、該要求電文を出力する。例えば、PC120Aは、まず、機器IDが「1」の計測機器120Bを送信先計測機器とする。以下、特定の機器Dの計測機器120Bについて言及するときには、符号「120B」,「120」の後に機器Dを括弧書きで付す。例えば、計測機器120Bの機器IDが「1」の場合は、計測機器120B(1)のように表す。同様に、特定のノードIDのノード装置110について言及するときには、符号「110A」,「110B」,「110」の後にノードIDを括弧書きで付す。
【0053】
基地局ノード装置110Aは、該要求電文が含まれる要求パケットを生成する。この要求パケットでは、送信先となる子ノード装置110Bが特定されていない。つまり、基地局ノード装置110Aは、該要求パケットを送信先となる子ノード装置110Bを特定することなく送信、即ち、ブロードキャストする(送信工程)。
【0054】
該要求パケットは何れかの子ノード装置110Bに受信される。該要求パケットを受信した子ノード装置110Bは、要求パケットに含まれる要求電文を該子ノード装置110Bに接続された計測機器120Bへ送信する。要求電文を受信した計測機器120Bは、該要求電文の送信先アドレスと自身の機器IDとを比較する。送信先アドレスと機器IDとが一致している場合は、計測機器120Bは、応答電文を生成し(生成工程)、子ノード装置110Bへ送信する。送信先アドレスと機器IDとが一致しない場合には、計測機器120Bは、応答しない。計測機器120Bからの応答がない場合には、子ノード装置110Bは、中継ノードとして機能し、該要求パケットを他の子ノード装置110Bへブロードキャストする。前述の例では、子ノード装置110B(10)は、それに接続された計測機器120B(10)に要求電文を送信する。計測機器120B(10)は、要求電文の送信先アドレスと自身の機器IDとを比較するが、両者は一致しないので、何の応答も返さない。その結果、子ノード装置110B(10)は、要求パケットをブロードキャストする。
【0055】
こうして、子ノード装置110Bによる要求パケットの受信及びブロードキャストが繰り返され、該要求パケットはいずれ、送信先計測機器として特定された計測機器120Bが接続された子ノード装置110Bに受信される(受信工程)。前述の例では、基地局ノード装置110Aから送信された要求パケットは、子ノード装置110B(10)及び子ノード装置110B(9)を介して、計測機器120B(1)が接続された子ノード装置110B(1)に到達する。そして、子ノード装置110B(1)は、それに接続された計測機器120B(1),120B(2),120B(3)に要求電文を送信する。それらのうち、計測機器120B(2),120B(3)は、要求電文の送信先アドレスと自身の機器IDとが一致しないので、何の応答も返さない。一方、計測機器120B(1)は、要求電文の送信先アドレスと自身の機器IDとが一致するので、応答電文を生成し(生成工程)、該応答電文を子ノード装置110B(1)へ返信する。
【0056】
子ノード装置110Bは、計測機器120Bからの応答電文を受信すると、該応答電文を含む応答パケットを生成する。この応答パケットのヘッダには、該応答パケットを生成した該子ノード装置110BのノードIDと、基地局ノード装置110Aまでの通信経路において次の送信先(中継先)となるノード装置110のノードIDが含まれている。こうして、該子ノード装置110Bは、送信先となるノード装置110を特定して応答パケットを送信、即ち、ユニキャストする(返信工程)。前述の例では、子ノード装置110B(1)は、計測機器120B(1)からの応答電文を受信すると、応答パケットを生成する。該応答パケットのヘッダには、それ自身のノードID「1」と、次の送信先となる子ノード装置110B(9)のノードID「9」とが含まれている。
【0057】
こうして、子ノード装置110Bによる受信及びユニキャストが繰り返され、該応答パケットは最終的に、基地局ノード装置110Aまで到達する。基地局ノード装置110Aは、応答パケットから応答電文を読み出し、計測機器120B(1)の計測データを取得する。それと共に、基地局ノード装置110Aは、応答パケットから応答パケットを生成した子ノード装置110BのノードIDを読み出し、先にブロードキャストした際の送信先計測機器120Bの機器IDと該ノードIDとを対応付ける(特定工程)。基地局ノード装置110Aは、対応付けたと機器IDとノードIDを、図3に示すような、対応接続テーブルに記憶する。前述の例では、基地局ノード装置110Aは、応答パケットのヘッダから、該応答パケットを生成した子ノード装置110B(1)のノードID「1」を読み出す。そして、基地局ノード装置110Aは、先の要求電文で送信先とした計測機器120B(1)の機器ID「1」とノードID「1」とを対応付ける。
【0058】
このように、基地局ノード装置110Aは、要求パケットをブロードキャストするが、その要求パケットに対して応答パケットを返信するのは、該要求パケット中の要求電文において送信先として指定された計測機器120Bが接続された子ノード装置110Bだけである。そのため、応答パケットに基づいて、該応答パケットを生成した子ノード装置110Bを割り出すことによって、要求パケット中の送信先計測機器120Bが接続された子ノード装置110Bを特定することができる。
【0059】
こうして、計測機器120B(1)についての計測データの取得処理と対応接続関係の特定処理とが完了する。
【0060】
続いて、PC120Aは、次に計測データを取得する計測機器120Bとして、計測機器120B(2)を特定した要求電文を生成する。そして、PC120Aは、該要求電文を基地局ノード装置110Aに出力する。その後、前述の処理が実行される。
【0061】
このように、要求電文において特定する送信先計測機器を変更して、計測データの取得処理及び対応接続関係の特定処理とを繰り返すことによって、全ての計測機器120B,120B,…についての計測データの取得と対応接続関係の特定とが完了する。
【0062】
基地局ノード装置110Aは、始めは対応接続関係が不明であるので、通常は、PC120Aから各計測機器120Bへの要求電文を初めて受信したときに、前記対応接続関係の特定処理を実行する。詳しくは、基地局ノード装置110Aは、ノード装置110,110,…にユーザ機器120,120,…が接続され且つノード装置110,110,…の間で無線ネットワークが構築された後、PC120Aから計測機器120Bへ初めて要求電文が送信されるときに、該計測機器120Bの計測データの取得と併せて、該計測機器120Bに関する対応接続関係の特定処理を実行する。また、本実施形態のネットワークシステム100は、所定のタイミングにおいて複数の計測機器120B,120B,…の計測データを網羅的に収集するように構成されているため、PC120Aから各計測機器120Bへの要求電文の初めての送信は、複数の計測機器120B,120B,…のそれぞれについて、無線ネットワークの構築後、順次行われる。そのため、通常は、全ての計測機器120B,120B,…についての対応接続関係は、ノード装置110,110,…とユーザ機器120,120,…との接続後であって且つ無線ネットワークの構築後、所定のタイミングにおいて一時に特定される。
【0063】
こうして、各計測機器120Bと該計測機器120Bに接続された子ノード装置110Bとの対応接続関係が特定されると、後述する、電文を解析することによるユニキャストが実現できるようになる。
【0064】
−電文解析−
以下、ノード装置110による電文解析及びユニキャストについて説明する。
【0065】
ノード装置110は、ユーザ機器120に対応させて設定する設定パラメータとして、プロトコルパラメータを含んでいる。すなわち、ノード装置110は、接続されるユーザ機器120のプロトコルを適宜設定することによって、様々なユーザ機器120からの電文を解析することができる。例えば、ノード装置110は、接続されたユーザ機器120からの電文を解析して、該電文の送信先アドレスを割り出すように構成されている。そして、電文の送信先アドレスがわかると、ノード装置110は、該送信先アドレスに対応した特定のノード装置110に該電文を送信する。すなわち、ノード装置110は、該電文をブロードキャストではなく、ユニキャストする。
【0066】
以下に、図1に示すネットワークシステム100において、PC120Aから計測機器120B(3)へ計測データを要求する場合を例に説明する。
【0067】
計測機器120B(3)は、子ノード装置110B(1)に接続されている。基地局ノード装置110Aと子ノード装置110B(1)との間には、子ノード装置110B(10)と子ノード装置110B(9)とが中継ノードとして存在している。
【0068】
まず、PC120Aは、要求電文を生成し、該要求電文を基地局ノード装置110Aへ送信する。基地局ノード装置110Aは、PC120Aから要求電文を受信すると、設定されたプロトコルに基づいて該要求電文を解析して、送信先アドレス(即ち、送信先となる計測機器120Bの機器ID)を割り出す。
【0069】
ここで、基地局ノード装置110Aは、前述の如く、各計測機器120Bとそれに接続される子ノード装置110Bとの対応接続関係を示す対応接続テーブルを記憶している。基地局ノード装置110Aは、該対応接続テーブルと送信先アドレスとに基づいて、送信先計測機器120Bが接続された子ノード装置110Bを特定する。この例では、子ノード装置110B(1)が特定される。
【0070】
次に、基地局ノード装置110Aは、要求パケットを生成する。パケットは、少なくともヘッダとペイロードデータとを含んでいる。ペイロードデータには、要求電文が含まれている。ヘッダには、該パケットを生成したノード装置(以下、「生成ノード装置」ともいう)110のノードID、最終地点となるノード装置(以下、「最終ノード装置」ともいう)110のノードID、該パケットの送信元となるノード装置(以下、「送信元ノード装置」ともいう)110のノードID、該パケットの次の送信先(即ち、中継先)となる子ノード装置(以下、「送信先ノード装置」ともいう)110のノードIDが少なくとも含まれている。この例では、生成ノード装置110のノードIDは「0」であり、最終ノード装置110のノードIDは「1」であり、送信元ノード装置110のノードIDは「0」であり、送信先ノード装置110のノードIDは「10」である。
【0071】
基地局ノード装置110Aは、要求パケットを変調して、送信する。このように、基地局ノード装置110Aは、ヘッダにおいて送信先となるノード装置110を特定して要求パケットを送信する。すなわち、基地局ノード装置110Aは、要求パケットをユニキャストする。
【0072】
こうして送信された要求パケットは、子ノード装置110B,110B,…に受信される。要求パケットを受信した子ノード装置110Bは、要求パケットを復調し、ヘッダを確認する。そして、要求パケットのヘッダで特定された送信先ノード装置以外の子ノード装置110Bは、それ以上の処理を行わない。一方、要求パケットのヘッダにおいて送信先ノード装置として特定された子ノード装置110B(10)は、該要求パケットを受信すると、要求パケットのヘッダから最終ノード装置110B(1)のノードIDを読み出す。子ノード装置110B(10)は、前述の如く、下流側に接続されるノード装置110へパケットを伝達するために次に中継すべきノード装置110を記憶しているので、最終ノード装置110B(1)までの通信経路における次の中継先となる子ノード装置110BをRAM等の記憶装置から読み出す。この例では、次の中継先は、ノード装置110B(9)となる。そして、子ノード装置110B(10)は、受け取った要求パケットのヘッダ中の送信元ノード装置110BのノードIDを「10」に、送信先ノード装置110BのノードIDを「9」に更新して、該要求パケットをユニキャストする。
【0073】
続いて、該要求パケットは、子ノード装置110B(9)に受信される。子ノード装置110B(9)は、子ノード装置110B(10)と同様の処理を行う。すなわち、受け取った要求パケットのヘッダ中の送信元ノード装置110BのノードIDを「9」に、送信先ノード装置110BのノードIDを「1」に更新して、該要求パケットをユニキャストする。
【0074】
こうして、該要求パケットは、子ノード装置110B(1)に到達する。子ノード装置110B(1)は、要求パケットのヘッダから最終ノード装置110のノードIDを読み出し、自身が最終ノード装置110Bであることを認識する。すると、子ノード装置110B(1)は、パケットのペイロードデータの中から要求電文を読み出し、該要求電文を該子ノード装置110B(1)に接続された計測機器120B(1),120B(2),120B(3)に有線で送信する。すなわち、子ノード装置110B(1)から計測機器120B(1),120B(2),120B(3)へは、要求電文がブロードキャストされる。
【0075】
計測機器120B(1),120B(2),120B(3)は、要求電文中の送信先アドレスが自身の機器IDと一致するか否かを確認する。機器IDが送信先アドレスと一致しない計測機器120B(1),120B(2)は、何の応答も返さない。一方、機器IDが送信先アドレスと一致する計測機器120B(3)は、要求電文に応答して、計測データを電文形式の信号に符号化し、該応答電文を子ノード装置110B(1)へ返信する。
【0076】
子ノード装置110B(1)は、該応答電文を受信すると、応答パケットを生成する。応答パケットには、応答電文がペイロードデータとして含まれる。また、応答パケットのヘッダには、要求パケットと同様に、生成ノード装置110BのノードID「1」、最終ノード装置110のノードID「0」、送信元ノード装置110のノードID「1」、送信先ノード装置110のノードID「9」が少なくとも含まれている。
【0077】
応答パケットは、要求パケットとは逆の流れで、子ノード装置110B(9)と子ノード装置110B(10)とを経由して基地局ノード装置110Aまで送信される。
【0078】
基地局ノード装置110Aは、応答パケットのヘッダから自身が最終ノード装置110であることを認識する。すると、基地局ノード装置110Aは、応答パケットのペイロードデータの中から応答電文を読み出し、該応答電文をPC120Aに有線で送信する。
【0079】
PC120Aは、応答電文を受信すると、該応答電文を復号化して、計測データを得る。こうして、PC120Aから計測機器120B(3)へ計測データを要求する一連の処理が終了する。
【0080】
したがって、本実施形態によれば、ネットワークシステム100は、要求電文を受信したときに該要求電文に対する応答電文を返信する、複数のユーザ機器120,120,…と、該ユーザ機器120,120,…にそれぞれ有線により接続され、ユーザ機器120からの応答電文を送信するときにはID情報を付加するように構成された、複数のノード装置110,110,…とを備え、該ノード装置110,110,…の間で無線通信を行う。前記ノード装置110,110,…のうち基地局ノード装置110Aは、送信先ユーザ機器120を特定した要求電文を他の子ノード装置110B,110B,…へ送信先となる子ノード装置110Bを特定することなく送信し、該要求電文に対する前記応答電文を受信すると、該送信先ユーザ機器120が接続された子ノード装置110Bを該応答電文に付加された前記ID情報に基づいて割り出し、該ユーザ機器120と該ユーザ機器120に接続された該子ノード装置110Bとの対応接続関係を特定する。
【0081】
換言すると、本実施形態に係る対応接続関係の特定方法は、複数のユーザ機器120,120,…と、該ユーザ機器120,120,…にそれぞれ有線により接続される複数のノード装置110,110,…とを備え、該ノード装置110,110,…の間で無線通信を行うネットワークシステム100において、該ユーザ機器120と該ユーザ機器120に接続された該ノード装置110との対応接続関係を特定するものである。この対応接続関係の特定方法は、前記ノード装置110,110,…のうち基地局ノード装置110Aが、送信先ユーザ機器120を特定した要求電文を他の子ノード装置110B,110B,…へ送信先となる子ノード装置110Bを特定することなく送信する送信工程と、前記送信先ユーザ機器120に接続された子ノード装置110Bが、該要求電文を受信する受信工程と、前記送信先ユーザ機器120が、該要求電文に対する応答電文を生成する生成工程と、前記送信先ユーザ機器120に接続された子ノード装置110Bが、該送信先ユーザ機器120からの前記応答電文にID情報を付加して送信する返信工程と、前記要求電文を送信した前記基地局ノード装置110Aが、該応答電文を受信して、前記送信先ユーザ機器120に接続された子ノード装置110Bを該応答電文に付加された前記ID情報に基づいて特定し、前記対応接続関係を特定する特定工程とを含んでいる。
【0082】
つまり、子ノード装置110Bとユーザ機器120との対応接続関係を特定する際には、基地局ノード装置110Aは、送信先ユーザ機器を特定した要求電文をブロードキャストする。これにより、該要求電文は、複数のノード装置110,110,…に受信されることになるが、応答電文を返信するのは、該送信先ユーザ機器が接続されたノード装置110だけである。そして、返ってきた応答電文には、該応答電文を送信したノード装置110のID情報が付加されているため、該ID情報を割り出すことによって、ノード装置110とユーザ機器120との対応接続関係を特定することができる。
【0083】
このように、送信先ユーザ機器を特定した要求電文のブロードキャスト、及び、応答電文のID情報の割り出しという簡便な処理によって、ノード装置110とユーザ機器120との対応接続関係を特定することができる。
【0084】
また、前記送信工程は、前記要求電文において特定する前記送信先ユーザ機器を変更して繰り返され、前記特定工程は、繰り返される前記送信工程に対応して、前記各ユーザ機器についての前記対応接続関係を順次特定する。すなわち、要求電文における送信先ユーザ機器の変更、該要求電文のブロードキャスト及び応答電文のID情報の割り出しを繰り返すことによって、複数のユーザ機器についての対応接続関係を簡便に特定することができる。
【0085】
また、前記送信工程は、前記基地局ノード装置110Aが該基地局ノード装置110Aに接続されたPC120Aから、前記対応接続関係が特定されていない、他のユーザ機器120に対する要求電文を受け取ったときに行われる。
【0086】
このように、前記送信工程から始まる対応接続関係の特定方法は、PC120Aからユーザ機器120に要求電文が送信されるときであって且つ該ユーザ機器120についての対応接続関係が特定されていないときに行われる。すなわち、対応接続関係の特定は、対応接続関係の特定だけが単独で行われるのではなく、対応接続関係が未だ特定されていないユーザ機器120に対してPC120Aから要求電文が送信される際に行われる。こうして、対応接続関係の特定を何らかの要求電文の送信と併せて行うことによって、処理を簡略化することができる。
【0087】
そして、基地局ノード装置110Aは、前記対応接続関係が特定されたユーザ機器120に電文を送信するときには、該ユーザ機器120が接続された子ノード装置110Bを送信先として特定して該電文を送信する。
【0088】
つまり、対応接続関係が特定された後は、基地局ノード装置110Aは、電文を送信先となる子ノード装置110Bを特定して送信、即ち、ユニキャストする。こうすることで、トラフィックを軽減することができる。その結果、電文の送受信に要する時間を短縮することができ、また、送受信率を向上させて、ネットワークシステム100の信頼性を向上させることができ、さらに、ネットワークシステム100に接続できるノード装置110の台数制限を緩和することができる。
【0089】
さらに、前記ネットワークシステム100においては、複数のユーザ機器120,120,…は、マスタ機として機能するPC120Aと、スレーブ機として機能する計測機器120B,120B,…とを含み、前記対応接続関係を記憶しているノード装置は、前記PC120Aが接続された基地局ノード装置110Aである。
【0090】
つまり、電文をマスタ機であるPC120Aからスレーブ機である計測機器120Bへ送信するときの起点となるのは基地局ノード装置110Aである。そのため、基地局ノード装置110Aに対応接続関係を記憶させておくことにより、無線ネットワークの最も上流側からユニキャストを行うことができるので、トラフィックを効率良く軽減することができる。ただし、計測機器120Bが接続された子ノード装置110Bが前記対応接続関係を記憶していてもよい。
【0091】
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0092】
前記ネットワークシステム100は、10台のノード装置110,110,…と、10台のユーザ機器120,120,…とを含んでいるが、これに限られるものではない。ノード装置やユーザ機器は、任意の個数とすることができる。また、各ノード装置110には、必ず、ユーザ機器120が接続されているが、これに限られるものではない。基地局ノード装置110Aと子ノード装置110Bとの間の無線通信を中継するためだけのノード装置110、即ち、には、ユーザ機器120が接続されていないノード装置110を設けてもよい。さらに、ネットワークシステム100は、無線ネットワークシステムの一部に、有線によるネットワークを含むものであってもよい。例えば、ネットワークシステム100は、いくつかの無線ネットワークシステムを有線で互いに接続した構成であってもよい。
【0093】
また、前記ノード装置110とユーザ機器120との接続関係は、1対1のものと、1対3のものとが存在するが、これに限られるものではない。すなわち、1つのノード装置110に接続されるユーザ機器120の台数は任意に設定され得る。
【0094】
前記ユーザ機器は、PC120A及び計測機器120Bを含んでいるが、これに限られるものではない。例えば、ユーザ機器120は、温度センサ、湿度センサ、加速度(衝撃)センサ、光センサ等のセンサであってもよい。
【0095】
また、前記の構成では、PC120Aがマスタ機として機能しているが、これに限られるものではない。マスタ機は、必ずしも、PCである必要はなく、計測機器の何れかであってもよく、PC以外のユーザ機器であってもよい。
【0096】
さらに、前記ネットワークシステム100においては、マスタスレーブ関係が成立しているが、これに限られるものではない。
【0097】
前記実施形態では、基地局ノード装置110Aが対応接続テーブルを記憶しているが、子ノード装置110B,110B,…が対応接続テーブルを記憶していてもよい。また、基地局ノード装置110Aで特定した対応接続関係をPC120Aが記憶するようにしてもよい。さらに、前記実施形態では、応答電文からの、ユーザ機器120に接続された子ノード装置110Bの特定を基地局ノード装置110Aが行っているが、該特定をPC120Aが行うように構成してもよい。
【0098】
また、前記実施形態では、対応接続関係の特定は、対応接続関係が未だ特定されていないユーザ機器120に対してPC120Aから要求電文が送信される際に行われるが、これに限られるものではない。例えば、ノード装置110,110,…の無線ネットワークが構築された後に、PC120Aが対応接続関係を特定するためだけの処理を実行してもよい。すなわち、PC120Aは、計測データの取得を目的とせず、対応接続テーブルの作成だけを目的として、無線ネットワークの構築後に、或る計測機器120Bを特定した要求電文を生成及び出力し、前述の方法により該計測機器120Bについての対応接続関係を特定する。そして、PC120Aは、要求電文において特定する計測機器120Bを変更しながら、前述の処理を繰り返して、全ての計測機器120B,120B,…についての対応接続関係を特定する。例えば、PC120Aは、ノード装置110,110,…とユーザ機器120,120,…との接続後に行われる接続確認と併せて、対応接続関係の特定を行ってもよい。すなわち、PC120Aは、接続確認として、計測機器120Bを送信先として特定した要求電文を基地局ノード装置110Aを介してブロードキャストする。そして、PC120Aは、それに対する応答電文の返信があることをもって該計測機器120Bが何れかの子ノード装置110Bに適切に接続されていると判定する。この接続確認の際に、前述の処理に従って、応答電文を生成した子ノード装置110Bを割り出すことによって、対応接続関係を特定することができる。
【0099】
また、前記実施形態では、全ての計測機器120B,120B,…についての対応接続関係は、所定のタイミングにおいて一時に特定されるが、これに限られるものではない。つまり、前記実施形態では、対応接続関係の特定が、全ての計測機器120B,120B,…からの計測データの取得時や、全ての計測機器120B,120B,…の接続確認時に行われている。しかし、全ての計測機器120B,120B,…についてではなく、個別の計測機器120Bについてのみの対応接続関係を特定してもよい。例えば、対応接続関係が特定されていたはずの計測機器120Bに関して要求電文のユニキャストを行った結果、応答電文の返信が無かったときには、該計測機器120Bについてのみ、対応接続関係の特定を行ってもよい。
【0100】
前記実施形態では、PC120Aからの電文を計測機器120Bへユニキャストする場合について説明しているが、これに限られるものではない。計測機器120Bで生成した電文を他の計測機器120B又はPC120Aに送信する場合であっても、該電文を生成した計測機器120Bが接続された子ノード装置110Bが電文解析を行って、ユニキャストを行ってもよい。
【0101】
また、ノード装置110には、1種類のプロトコルが設定されているが、これに限られるものではない。例えば、ノード装置110には、複数のプロトコルが設定されていてもよい。そして、ノード装置110は、電文を受信したときに、該電文に対応するプロトコルを保持しているプロトコルの中から選択し、該プロトコルに基づいて該電文から送信先アドレスを割り出すように構成されていてもよい。また、そのような場合には、1つのネットワークを構築するノード装置110,110,…に接続されるユーザ機器120,120,…のプロトコルは共通でなくてもよい。すなわち、プロトコルの異なるユーザ機器120,120,…が1つのネットワークに接続されていてもよい。
【0102】
また、基地局ノード装置110Aへの設定パラメータの設定は、PCからの入力に限られるものではない。基地局ノード装置110Aに設定パラメータを入力できる限り、任意の構成を採用することができる。さらに、前記実施形態では、基地局ノード装置110Aの設定パラメータをソフト的に入力しているが、ノード装置110に設けられたディップスイッチ等でハード的に設定する構成であってもよい。
【0103】
さらに、前記の構成では、ノード装置110の入力モードと読込モードとの切替を基地局ノード装置110Aか子ノード装置110Bかに基づいて行っているが、これに限られるものではない。例えば、読込モードのON/OFFを設定パラメータのユーザからの入力の有無で切り替えるように構成してもよい。具体的には、ノード装置110を、基本的には読込モードに設定しつつユーザからの設定パラメータの入力を受付可能な状態としておき、ユーザからの設定パラメータの入力があったときに、読込モードから入力モード(即ち、読込を行わないモード)に切り替わるように構成してもよい。
【0104】
また、前記の構成では、基地局ノード装置110Aに対して設定パラメータのユーザ設定が行われ、子ノード装置110B,110B,…は、基地局ノード装置110Aの設定パラメータを読み込んでいるが、これに限られるものではない。例えば、基地局ノード装置110A及び子ノード装置110B,110B,…が存在するネットワークにおいて、子ノード装置110B,110B,…の何れか1つの子ノード装置110Bに対して設定パラメータのユーザ設定が行われ、その設定パラメータをそれ以外の子ノード装置110B,110B,…及び基地局ノード装置110Aが読み込むように構成されていてもよい。
【0105】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0106】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上説明したように、本発明は、複数のノード装置を備えたネットワークシステム、及び、当該ネットワークシステムにおいてノード装置とユーザ機器との対応接続関係を特定する特定方法について有用である。
【符号の説明】
【0108】
100 ネットワークシステム
110 ノード装置
120 ユーザ機器
120A PC(マスタユーザ機器)
120B 計測機器(スレーブユーザ機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求電文を受信したときに該要求電文に対する応答電文を返信する、複数のユーザ機器と、該ユーザ機器にそれぞれ有線により接続され、ユーザ機器からの応答電文を送信するときにはID情報を付加するように構成された、複数のノード装置とを備え、該ノード装置間で無線通信を行うネットワークシステムであって、
前記ノード装置は、送信先ユーザ機器を特定した要求電文を他のノード装置へ送信先となるノード装置を特定することなく送信し、該要求電文に対する前記応答電文を受信すると、該送信先ユーザ機器が接続されたノード装置を該応答電文に付加された前記ID情報に基づいて割り出し、該ユーザ機器と該ユーザ機器に接続された該ノード装置との対応接続関係を特定するネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記ノード装置は、前記対応接続関係が特定された前記ユーザ機器に電文を送信するときには、該ユーザ機器が接続されたノード装置を送信先として特定して該電文を送信するネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記複数のユーザ機器は、マスタ機として機能するマスタユーザ機器と、スレーブ機として機能するスレーブユーザ機器とを含み、
前記対応接続関係を記憶しているノード装置は、前記マスタユーザ機器が接続されたノード装置であるネットワークシステム。
【請求項4】
複数のユーザ機器と、該ユーザ機器にそれぞれ有線により接続される複数のノード装置とを備え、該ノード装置間で無線通信を行うネットワークシステムにおいて、該ユーザ機器と該ユーザ機器に接続された該ノード装置との対応接続関係を特定する、対応接続関係の特定方法であって、
前記ノード装置が、送信先ユーザ機器を特定した要求電文を他のノード装置へ送信先となるノード装置を特定することなく送信する送信工程と、
前記送信先ユーザ機器に接続されたノード装置が、該要求電文を受信する受信工程と、
前記送信先ユーザ機器が、該要求電文に対する応答電文を生成する生成工程と、
前記送信先ユーザ機器に接続されたノード装置が、該送信先ユーザ機器からの前記応答電文にID情報を付加して送信する返信工程と、
前記要求電文を送信した前記ノード装置が、該応答電文を受信して、前記送信先ユーザ機器に接続されたノード装置を該応答電文に付加された前記ID情報に基づいて特定し、前記対応接続関係を特定する特定工程とを含む、対応接続関係の特定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の対応接続関係の特定方法において、
前記送信工程は、前記ノード装置が該ノード装置に接続された前記ユーザ機器から、前記対応接続関係が特定されていない、他のユーザ機器に対する要求電文を受け取ったときに行われる、対応接続関係の特定方法。
【請求項6】
請求項4に記載の対応接続関係の特定方法において、
前記送信工程は、前記要求電文において特定する前記送信先ユーザ機器を変更して繰り返され、
前記特定工程は、繰り返される前記送信工程に対応して、前記各ユーザ機器についての前記対応接続関係を順次特定する、対応接続関係の特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−74355(P2013−74355A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210139(P2011−210139)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】