説明

ネットワーク中継装置およびネットワーク中継方法

【課題】レイヤ2ネットワークを冗長化することができる技術を提供する。
【解決手段】ネットワーク中継装置100は、物理回線P1および物理回線P2の一方を、通信に使用する物理回線に選定することによって、コンピュータネットワーク10を物理回線単位で冗長化するアップリンク・リダンダント部122と、アップリンク・リダンダント部122と協働して、物理回線P1および物理回線P3の両方に共通する論理回線のうち、一方の物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、コンピュータネットワーク10を論理回線単位で冗長化するグループ管理部123とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レイヤ2ネットワークを冗長化するネットワーク中継装置およびネットワーク中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レイヤ2ネットワークを冗長化する手法としては、IEEE802.1dとして標準化されているスパニングツリープロトコル(Spanning Tree Protocol)が知られている。スパニングツリープロトコルでは、BPDU(Bridge Protocol Data Unit)と呼ばれる制御フレームをネットワーク中継装置同士で定期的にやり取りして経路計算を実施することによって、経路のループ構成を論理的に排除したレイヤ2ネットワークを構築した上でレイヤ2ネットワークの冗長化を実現することが可能である。
【0003】
レイヤ2ネットワークを冗長化する他の手法としては、アップリンク・リダンダント(Uplink Redundant、以下「ULR」とも呼ぶ)が知られている(非特許文献1を参照)。アップリンク・リダンダントでは、一対の物理回線をアップリンクに割り当て、一方の物理回線をアクティブポートとして通信に使用し、他方の物理回線をスタンバイポートとして待機させ、アクティブポートに障害が発生した場合、スタンバイポートをアクティブポートに切り替えて通信に使用する。一般的に、アップリンク・リダンダントを適用する一対の物理回線に、バーチャル・ローカルエリアネットワーク(Virtual Local Area Network、以下「VLAN」と呼ぶ)を構築する論理回線を設定する場合、障害発生前後を通じて同じ論理回線による通信を維持するために、アクティブポートおよびスタンバイポートには共通の論理回線が設定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「AX3600S ソフトウェアマニュアル コンフィグレーションガイド Vol.2 Ver.11.4対応」、アラクサラネットワークス株式会社、2010年4月、第389〜404頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のアップリンク・リダンダントでは、スパニングツリープロトコルと比較して、冗長化に要する処理の簡略化および高速化を図ることができるが、アクティブポートおよびスタンバイポートの各物理回線に設定される論理回線について十分な考慮がなされていなかった。例えば、従来のアップリンク・リダンダントでは、アクティブポートおよびスタンバイポートに共通の論理回線が設定され、スタンバイポートを待機させてアクティブポートのみが通信に使用されるが、ネットワーク構成によっては、スタンバイポートの方がネットワーク経路の短縮を図ることができる論理回線や、逆に、障害発生時のポート切り替えに伴ってネットワーク経路が複雑化してしまう論理回線が存在する場合がある。このように、従来のアップリンク・リダンダントでは、レイヤ2ネットワーク全体のデータ転送効率を考慮して論理回線を設定することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した課題を踏まえ、レイヤ2ネットワークを冗長化することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1] 適用例1のネットワーク中継装置は、レイヤ2ネットワークにおいて通信データを中継するネットワーク中継装置であって、第1物理回線に接続する第1物理ポートと、第2物理回線に接続する第2物理ポートと、前記第1物理回線および前記第2物理回線の一方を、通信に使用する物理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを物理回線単位で冗長化する第1冗長化部と、第3物理回線に接続する第3物理ポートと、前記第1冗長化部と協働して、前記第1物理回線および前記第3物理回線の両方に共通する論理回線のうち、一方の物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを論理回線単位で冗長化する第2冗長化部とを備えることを特徴とする。適用例1のネットワーク中継装置によれば、第1物理回線と第2物理回線との物理回線単位の冗長化に合わせて、第1物理回線に設定された論理回線について第3物理回線を用いて論理回線単位の冗長化を実施することができる。これによって、レイヤ2ネットワーク全体のデータ転送効率を考慮して論理回線を設定しつつ、レイヤ2ネットワークを冗長化することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1のネットワーク中継装置において、前記第1物理回線に設定された論理回線の一つは、前記第3物理回線に設定された論理回線に共通すると共に、前記第2物理回線に設定された論理回線のいずれとも異なっても良い。適用例2のネットワーク中継装置によれば、第1物理回線に設定された論理回線のうち、第2物理回線ではデータ転送効率の面から不都合な論理回線を、第2物理回線に設定することなく、第3物理回線に設定することによって、データ転送効率の低下を避けつつ、レイヤ2ネットワークの冗長化を図ることができる。
【0010】
[適用例3] 適用例1または適用例2のネットワーク中継装置において、前記第1冗長化部は、通信に使用中の一方の物理回線とは異なる他方の物理回線が障害から回復した場合であっても、前記一方の物理回線の選定を維持しても良い。適用例3のネットワーク中継装置によれば、第1物理回線と第2物理回線との間で、通信に使用する物理回線の頻繁な切り替えを抑制し、物理回線の切り替えに伴うデータ中継の遅延を防止することができる。
【0011】
[適用例4] 適用例1ないし適用例3のいずれかのネットワーク中継装置において、前記第2冗長化部は、通信に使用中の一方の論理回線とは異なる他方の論理回線が障害から回復した場合であっても、前記一方の論理回線の選定を維持しても良い。適用例4のネットワーク中継装置によれば、第1物理回線と第3物理回線との間で、通信に使用する論理回線の頻繁な切り替えを抑制し、論理回線の切り替えに伴うデータ中継の遅延を防止することができる。
【0012】
[適用例5] 適用例1ないし適用例4のいずれかのネットワーク中継装置は、更に、第4物理回線に接続する第4物理ポートと、前記第1冗長化部と協働して、前記第2物理回線および前記第4物理回線の両方に共通する論理回線のうち、一方の物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを論理回線単位で冗長化する第3冗長化部とを備えても良い。適用例5のネットワーク中継装置によれば、第1物理回線と第2物理回線との物理回線単位の冗長化に合わせて、第1物理回線に設定された論理回線については第3物理回線を用いて、第2物理回線に設定された論理回線については第4物理回線を用いて、それぞれ論理回線単位の冗長化を実施することができる。
【0013】
[適用例6] 適用例5のネットワーク中継装置において、前記第1物理回線に設定された論理回線の一つは、前記第3物理に設定された論理回線に共通すると共に、前記第2物理回線および第4物理回線にそれぞれ設定された論理回線のいずれとも異なっても良い。適用例6のネットワーク中継装置によれば、第1物理回線に設定された論理回線のうち、第2物理回線および第4物理回線ではデータ転送効率の面から不都合な論理回線を、第2物理回線および第4物理回線に設定することなく、第3物理回線に設定することによって、データ転送効率の低下を避けつつ、レイヤ2ネットワークの冗長化を図ることができる。
【0014】
[適用例7] 適用例5または適用例6のネットワーク中継装置において、前記第3冗長化部は、通信に使用中の一方の論理回線とは異なる他方の論理回線が障害から回復した場合であっても、前記一方の論理回線の選定を維持しても良い。適用例7のネットワーク中継装置によれば、第2物理回線と第4物理回線との間で、通信に使用する論理回線の頻繁な切り替えを抑制し、論理回線の切り替えに伴うデータ中継の遅延を防止することができる。
【0015】
[適用例8] 適用例8のネットワーク中継方法は、レイヤ2ネットワークにおいて通信データを中継するネットワーク中継方法であって、第1物理回線および第2物理回線に論理回線をそれぞれ設定し、前記第1物理回線および前記第2物理回線の一方を、通信に使用する物理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを物理回線単位で冗長化する第1冗長化を実行し、第3物理回線に前記第1物理回線に共通する論理回線を設定し、前記第1冗長化と共に、前記第1物理回線および前記第3物理回線の両方に共通する論理回線のうち、一方の物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを論理回線単位で冗長化する第2冗長化を実行することを特徴とする。適用例8のネットワーク中継方法によれば、第1物理回線と第2物理回線との物理回線単位の冗長化に合わせて、第1物理回線に設定された論理回線について第3物理回線を用いて論理回線単位の冗長化を実施することができる。これによって、レイヤ2ネットワーク全体のデータ転送効率を考慮して論理回線を設定しつつ、レイヤ2ネットワークを冗長化することができる。
【0016】
本発明の形態は、ネットワーク中継装置およびネットワーク中継方法に限るものではなく、例えば、複数のネットワーク中継装置を備えるネットワークシステム、ネットワーク中継装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムなどの他の形態に適用することもできる。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンピュータネットワークの構成を示す説明図である。
【図2】ネットワーク中継装置の構成を示す説明図である。
【図3】ネットワーク中継装置の制御部の詳細構成を示す説明図である。
【図4】初期設定時におけるネットワーク中継装置の物理回線および論理回線を示す説明図である。
【図5】初期設定時におけるネットワーク中継装置の回線管理データベースを示す説明図である。
【図6】初期設定時におけるネットワーク経路を示す説明図である。
【図7】ネットワーク中継装置の制御部が実行する回線設定処理を示すフローチャートである。
【図8】ネットワーク中継装置の制御部が実行するスタンバイポート設定処理を示すフローチャートである。
【図9】ネットワーク中継装置の制御部が実行する物理回線ダウン処理を示すフローチャートである。
【図10】第1遷移状態におけるネットワーク中継装置の物理回線および論理回線を示す説明図である。
【図11】第1遷移状態におけるネットワーク中継装置の回線管理データベースを示す説明図である。
【図12】第1遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。
【図13】第2遷移状態におけるネットワーク中継装置の物理回線および論理回線を示す説明図である。
【図14】第2遷移状態におけるネットワーク中継装置の回線管理データベースを示す説明図である。
【図15】第3遷移状態におけるネットワーク中継装置の物理回線および論理回線を示す説明図である。
【図16】第3遷移状態におけるネットワーク中継装置の回線管理データベースを示す説明図である。
【図17】第3遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。
【図18】第4遷移状態におけるネットワーク中継装置の物理回線および論理回線を示す説明図である。
【図19】第4遷移状態におけるネットワーク中継装置の回線管理データベースを示す説明図である。
【図20】第5遷移状態におけるネットワーク中継装置の物理回線および論理回線を示す説明図である。
【図21】第5遷移状態におけるネットワーク中継装置の回線管理データベースを示す説明図である。
【図22】第5遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。
【図23】第6遷移状態におけるネットワーク中継装置の物理回線および論理回線を示す説明図である。
【図24】第6遷移状態におけるネットワーク中継装置の回線管理データベースを示す説明図である。
【図25】第6遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用したコンピュータネットワークについて説明する。
【0019】
A.実施例:
A1.コンピュータネットワークの構成:
図1は、コンピュータネットワーク10の構成を示す説明図である。コンピュータネットワーク10は、ネットワーク中継装置100と、端末装置200と、サーバ300とを備える。本実施例では、コンピュータネットワーク10は、インターネットを始めとする広域ネットワーク400に接続されている。図1に示すネットワーク中継装置100、端末装置200、サーバ300および広域ネットワーク400の各個数は、例示に過ぎず、他の実施形態において、各個数をそれぞれ増減することができる。
【0020】
コンピュータネットワーク10の端末装置200は、ネットワーク中継装置100を通じて、他の端末装置200、サーバ300および広域ネットワーク400とデータをやり取りするコンピュータである。本実施例の説明では、端末装置を一般的に示す場合には、「200」の符号を用い、特定の端末装置を示す場合には、「200」の後に英文字を付した符号を用いる。図1では、三つの端末装置を例示し、それぞれに「200a」、「200b」および「200c」の符号を用いる。
【0021】
コンピュータネットワーク10のサーバ300は、ネットワーク中継装置100を通じて端末装置200とデータをやり取りするコンピュータである。本実施例の説明では、サーバを一般的に示す場合には、「300」の符号を用い、特定のサーバを示す場合には、「300」の後に英文字を付した符号を用いる。図1では、二つのサーバを例示し、それぞれに「300a」および「300b」の符号を用いる。
【0022】
コンピュータネットワーク10のネットワーク中継装置100は、OSI(Open System Interconnection)参照モデルにおけるデータリンク層のプロトコルであるレイヤ2に準拠した転送方式を実現するレイヤ2スイッチであり、端末装置200、サーバ300および広域ネットワーク400を相互に接続してレイヤ2ネットワークを構築する。本実施例の説明では、ネットワーク中継装置を一般的に示す場合には、「100」の符号を用い、特定のネットワーク中継装置を示す場合には、「100」の後に英文字を付した符号を用いる。図1では、五つのネットワーク中継装置を例示し、それぞれに「100a」、「100b」、「100c」、「100d」および「100e」の符号を用いる。
【0023】
ネットワーク中継装置100は、レイヤ2に準拠したデータフレームをやり取りする物理ポートを備える。本実施例の説明では、ネットワーク中継装置100の五つの物理ポートを一般的に示す場合には、それぞれ「11」、「12」、「13」、「14」および「15」の符号を用い、特定の物理ポートを示す場合には、そのネットワーク中継装置100の符号に付された英文字を数字の後に付した符号を用いる。例えば、ネットワーク中継装置100aが備える五つの物理ポートには、それぞれ「11a」、「12a」、「13a」、「14a」および「15a」の符号を用いる。
【0024】
ネットワーク中継装置100aの物理ポート11a,13aは、ネットワーク中継装置100bに接続され、物理ポート12a,14aは、ネットワーク中継装置100cに接続されている。ネットワーク中継装置100aの物理ポート15aには、三つの端末装置200a,200b,200cが接続されている。
【0025】
ネットワーク中継装置100aにおいて物理ポート11a,12aにアップリンク・リダンダントを適用することによって、コンピュータネットワーク10は、物理ポート11a,12aに接続されている物理回線単位で冗長化されている。本実施例では、物理ポート11aはプライマリポートに設定され、物理ポート12aはセカンダリポートに設定されている。図1の状態では、物理ポート11aはアクティブポートに設定され、物理ポート12aはスタンバイポートに設定されている。
【0026】
ネットワーク中継装置100aにおいて物理ポート11a,13aをグループ化して一つのグループインタフェースを構成すると共に、物理ポート12a,14aをグループ化して一つのグループインタフェースを構成することによって、コンピュータネットワーク10は、物理ポート11a,12a,13a,14aにおける各物理回線に設定されている論理回線単位で冗長化されている。グループインタフェースおよび論理回線単位の冗長化についての詳細は後述する。
【0027】
ネットワーク中継装置100bの物理ポート11b,15bは、ネットワーク中継装置100aに接続され、物理ポート14bは、サーバ300aに接続されている。ネットワーク中継装置100bの物理ポート12bは、ネットワーク中継装置100eに接続され、物理ポート13bは、ネットワーク中継装置100dに接続されている。物理ポート12b,13bにはアップリンク・リダンダントが適用され、図1の状態では、物理ポート13bはアクティブポートに設定され、物理ポート12bはスタンバイポートに設定されている。
【0028】
ネットワーク中継装置100cの物理ポート11c,15cは、ネットワーク中継装置100aに接続され、物理ポート14cは、サーバ300bに接続されている。ネットワーク中継装置100cの物理ポート12cは、ネットワーク中継装置100dに接続され、物理ポート13cは、ネットワーク中継装置100eに接続されている。物理ポート12c,13cにはアップリンク・リダンダントが適用され、図1の状態では、物理ポート12cはアクティブポートに設定され、物理ポート13cはスタンバイポートに設定されている。
【0029】
ネットワーク中継装置100dの物理ポート11dは、ネットワーク中継装置100bに接続され、物理ポート12dは、広域ネットワーク400に接続されている。ネットワーク中継装置100dの物理ポート13dは、ネットワーク中継装置100eに接続され、物理ポート14dは、ネットワーク中継装置100cに接続されている。
【0030】
ネットワーク中継装置100eの物理ポート11eは、ネットワーク中継装置100cに接続され、物理ポート12eは、広域ネットワーク400に接続されている。ネットワーク中継装置100eの物理ポート13eは、ネットワーク中継装置100dに接続され、物理ポート14eは、ネットワーク中継装置100bに接続されている。
【0031】
コンピュータネットワーク10には、複数の論理ネットワーク500a,500b,500c,500zがVLANとして設定されている。論理ネットワーク500aには、ネットワーク中継装置100a,100b、端末装置200a,200b、およびサーバ300aが所属する。論理ネットワーク500bには、ネットワーク中継装置100a,100c、端末装置200b,200c、およびサーバ300bが所属する。論理ネットワーク500cには、論理ネットワーク500a,500bに所属するノードの全てが所属する。論理ネットワーク500zには、五つのネットワーク中継装置100a〜100e、および三つの端末装置200a〜200cが所属する。
【0032】
図2は、ネットワーク中継装置100の構成を示す説明図である。ネットワーク中継装置100は、制御部110と、転送部150と、インタフェース部180とを備える。ネットワーク中継装置100の制御部110は、転送部150およびインタフェース部180の動作を制御する。ネットワーク中継装置100の転送部150は、インタフェース部180で受信されたデータフレームを他のノードに転送するための処理を実施する。ネットワーク中継装置100のインタフェース部180は、レイヤ2に準拠したツイストペアケーブルや光ファイバなどの物理回線に接続される複数の物理ポートを備える。
【0033】
図3は、ネットワーク中継装置100の制御部110の詳細構成を示す説明図である。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)120と、記憶部130とを備える。制御部110のCPU120は、記憶部130に記憶されている制御プログラム131に基づいて種々の処理を実行する。制御部110は、制御プログラム131に基づいてCPU120が動作することによって実現される機能として、物理回線監視部121と、アップリンク・リダンダント部122と、グループ管理部123とを備える。他の実施形態において、物理回線監視部121、アップリンク・リダンダント部122、およびグループ管理部123の少なくとも一部の機能を、コンピュータプログラムによって実現するのではなく、制御部110が電気回路構成に基づいて動作することによって実現しても良い。
【0034】
制御部110の物理回線監視部121は、インタフェース部180における各物理ポートに接続された物理回線の状態を監視する。本実施例では、物理回線監視部121は、転送部150からの情報に基づいて、物理回線における障害の発生および障害からの復旧を検知する。
【0035】
制御部110のアップリンク・リダンダント部122は、アップリンク・リダンダントを実現する第1冗長化部である。アップリンク・リダンダント部122は、インタフェース部180における物理回線に接続された一対の物理回線の一方を、通信に使用する物理回線に選定することによって、コンピュータネットワーク10を物理回線単位で冗長化する。本実施例の説明では、アップリンク・リダンダント部122によってアップリンク・リダンダントが適用される物理回線を「ULR物理回線」とも呼ぶ。
【0036】
制御部110のグループ管理部123は、アップリンク・リダンダント部122と協働してコンピュータネットワーク10の冗長化を実現する第2冗長化部および第3冗長化部である。グループ管理部123は、一対のULR物理回線の一方と、ULR物理回線とは異なる物理回線とを、グループインタフェースとしてグループ化して管理する。本実施例の説明では、グループ管理部123によってグループ化される物理回線を「グループ物理回線」とも呼ぶ。グループ管理部123は、グループ化された一対のグループ物理回線の両方に共通する論理回線のうち、一方のグループ物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、コンピュータネットワーク10を論理回線単位で冗長化する。
【0037】
制御部110は、アップリンク・リダンダント部122およびグループ管理部123の動作に基づいて、通信が推進される論理回線と、通信が阻止される論理回線を決定する。本実施例の説明では、通信が推進される論理回線の状態を「フォワーディング(forwarding)状態」と呼び、通信が阻止される論理回線の状態を「ブロッキング(Blocking)状態」と呼ぶ。
【0038】
制御部110の記憶部130には、制御プログラム131の他、設定情報132および回線管理データベース140が記憶されている。記憶部130の設定情報132は、ネットワーク中継装置100の管理者によって設定される種々の情報であり、制御部110は、設定情報132に基づいて動作する。記憶部130の回線管理データベース140は、インタフェース部180における物理回線および論理回線を管理する情報であり、制御部110は、アップリンク・リダンダント部122およびグループ管理部123の動作に基づいて、回線管理データベース140を整備すると共に、回線管理データベース140に基づいて転送部150およびインタフェース部180の動作を制御する。
【0039】
図4は、初期設定時におけるネットワーク中継装置100aの物理回線および論理回線を示す説明図である。ネットワーク中継装置100aの物理ポート11a,12a,13a,14a,15aには、物理ポートを識別する物理ポート識別子「0/25」,「0/26」,「0/1」,「0/2」,「0/10」がそれぞれ割り当てられている。
【0040】
ネットワーク中継装置100aの物理ポート11aには、ネットワーク中継装置100bに配線された第1物理回線である物理回線P1が接続され、その物理回線P1には、論理回線L11a,L12c,L13zが設定されている。論理回線L11aは、論理ネットワーク500aを構築し、論理回線L12cは、論理ネットワーク500cを構築し、論理回線L13zは、論理ネットワーク500zを構築する。
【0041】
ネットワーク中継装置100aの物理ポート12aには、ネットワーク中継装置100cに配線された第2物理回線である物理回線P2が接続され、その物理回線P2には、論理回線L21b,L22c,L23zが設定されている。論理回線L21bは、論理ネットワーク500bを構築し、論理回線L22cは、論理ネットワーク500cを構築し、論理回線L23zは、論理ネットワーク500zを構築する。
【0042】
ネットワーク中継装置100aの物理ポート13aには、ネットワーク中継装置100bに配線された第3物理回線である物理回線P3が接続され、その物理回線P3には、論理回線L31a,L32cが設定されている。論理回線L31aは、物理ポート11aに設定された論理回線L11aに共通する論理回線であり、論理ネットワーク500aを構築する。論理回線L32cは、物理ポート11aに設定された論理回線L12cに共通する論理回線であり、論理ネットワーク500cを構築する。
【0043】
ネットワーク中継装置100aの物理ポート14aには、ネットワーク中継装置100cに配線された第4物理回線である物理回線P4が接続され、その物理回線P4には、論理回線L41b,L42cが設定されている。論理回線L41bは、物理ポート12aに設定された論理回線L21bに共通する論理回線であり、論理ネットワーク500bを構築する。論理回線L42cは、物理ポート12aに設定された論理回線L22cに共通する論理回線であり、論理ネットワーク500cを構築する。
【0044】
ネットワーク中継装置100aの物理ポート15aには、複数の端末装置200に配線された物理回線P5が接続され、論理回線L51a,L52b,L53c,L54zが設定されている。論理回線L51aは、論理ネットワーク500aを構築し、論理回線L52bは、論理ネットワーク500bを構築する。論理回線L53cは、論理ネットワーク500cを構築し、論理回線L54zは、論理ネットワーク500zを構築する。
【0045】
本実施例の説明では、ネットワーク中継装置100aに設定された複数の論理回線のうち、符号の英文字が共通する論理回線同士は、同じ論理ネットワーク500を構築する共通の論理回線である。例えば、論理回線L12c,L22c,L32c,L42c,L53cは、同じ論理ネットワーク500cを構築する共通の論理回線である。
【0046】
図5は、初期設定時におけるネットワーク中継装置100aの回線管理データベース140を示す説明図である。回線管理データベース140は、各種の情報を格納するフィールド141,142,143,144,145,146,147を備える。
【0047】
回線管理データベース140のフィールド141に格納される情報は、グループ管理部123によってグループ化されたグループインタフェースを識別する識別子を示す。回線管理データベース140のフィールド142に格納される情報は、インタフェース部180における物理ポートを識別する識別子を示す。
【0048】
回線管理データベース140のフィールド143に格納される情報は、物理ポートに接続されている物理回線を識別する識別子を示す。回線管理データベース140のフィールド144に格納される情報は、物理回線の状態を示す情報を示し、本実施例では、物理回線の状態として、正常に動作することを示す「アップ(Up)」状態と、障害により正常に動作しないことを示す「ダウン(Down)」状態とを示す。
【0049】
回線管理データベース140のフィールド145に格納される情報は、物理回線に設定された論理回線を識別する識別子を示し、本実施例では、VLANを識別する識別子を含む。回線管理データベース140のフィールド146に格納される情報は、論理回線の状態を示す情報を示し、本実施例では、「フォワーディング」状態および「ブロッキング」状態に加え、物理回線のダウンに伴い正常に動作しないことを示す「ダウン」状態を示す。
【0050】
回線管理データベース140のフィールド147に格納される情報は、論理回線がブロッキング状態になっている要因であるブロッキング要因を示す。本実施例では、ブロッキング要因「ULR」は、アップリンク・リダンダント部122によるブロッキングであるULRブロッキングを示す。ブロッキング要因「G1」および「G2」は、グループ管理部123によるブロッキングであるグループ・ブロッキングを示し、特に、ブロッキング要因「G1」は、グループインタフェースG1に起因するグループ・ブロッキングを示し、ブロッキング要因「G2」は、グループインタフェースG2に起因するグループ・ブロッキングを示す。
【0051】
図5に示すように、本実施例では、物理ポート識別子「0/25」で特定される物理ポート11aは、アップリンク・リダンダントのプライマリポートであり、物理ポート識別子「0/26」で特定される物理ポート12aは、アップリンク・リダンダントのセカンダリポートである。図4および図5に示す初期設定時では、物理回線P1が接続された物理ポート11aは、アクティブポートであるため、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12c,L13zはフォワーディング状態に設定されている。図4および図5に示す初期設定時では、物理回線P2が接続されている物理ポート12aは、スタンバイポートであるため、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22c,L23zはブロッキング状態に設定されている。
【0052】
図4および図5に示すように、本実施例では、物理回線P3は、ULR物理回線である物理回線P1と共にグループインタフェースG1を構成し、物理回線P3に設定された論理回線L31a,L32cは、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12cに共通する論理回線である。図4および図5に示す初期設定時では、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12cがフォワーディング状態に設定されているため、物理回線P3に設定された論理回線L31a,L32cはブロッキング状態に設定されている。
【0053】
図4および図5に示すように、本実施例では、物理回線P4は、ULR物理回線である物理回線P2と共にグループインタフェースG2を構成し、物理回線P4に設定された論理回線L41b,L42cは、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22cに共通する論理回線である。図4および図5に示す初期設定時では、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22cがブロッキング状態に設定されているため、物理回線P4に設定された論理回線L41b,L42cはフォワーディング状態に設定されている。
【0054】
図6は、初期設定時におけるネットワーク経路を示す説明図である。図4および図5で説明した初期設定時では、図6に示すようにネットワーク経路が形成される。論理ネットワーク500aにおける端末装置200a,200bとサーバ300aとの間に形成されるネットワーク経路Raは、ネットワーク中継装置100aの物理ポート11aに接続された物理回線P1を利用することによって、二つのネットワーク中継装置100a,100bを経由する経路となる。論理ネットワーク500bにおける端末装置200b,200cとサーバ300bとの間に形成されるネットワーク経路Rbは、ネットワーク中継装置100aの物理ポート14aに接続された物理回線P4を利用することによって、二つのネットワーク中継装置100a,100cを経由する経路となる。論理ネットワーク500zにおける端末装置200a,200b,200cと広域ネットワーク400との間に形成されるネットワーク経路Rzは、ネットワーク中継装置100aの物理ポート11aに接続された物理回線P1を利用することによって、三つのネットワーク中継装置100a,100b,100dを経由する経路となる。
【0055】
A2.コンピュータネットワークの動作:
A2−1.回線設定処理:
図7は、ネットワーク中継装置100の制御部110が実行する回線設定処理(ステップS100)を示すフローチャートである。回線設定処理(ステップS100)は、アクティブポートのULR物理回線や、ULR物理回線の対となるグループ物理回線を設定する処理である。本実施例では、回線設定処理(ステップS100)は、制御部110のCPU120が制御プログラム131に基づいて動作することによって実現される。ネットワーク中継装置100の制御部110は、ULR物理回線が接続された物理ポートをアクティブポートに設定する場合や、新設されるグループ物理回線、および障害から復旧させるグループ物理回線を設定する場合に、回線設定処理(ステップS100)を開始する。
【0056】
ネットワーク中継装置100の制御部110は、回線設定処理(ステップS100)を開始すると、対象回線特定処理(ステップS110)を実行する。対象回線特定処理(ステップS110)において、制御部110は、アップリンク・リダンダント部122およびグループ管理部123として動作することによって、回線設定処理(ステップS100)の処理対象となる物理回線である対象物理回線を特定する。回線設定処理(ステップS100)の対象物理回線は、接続された物理ポートがアクティブポートに設定されるULR物理回線、新設されるグループ物理回線、および障害から復旧させるグループ物理回線である。
【0057】
対象回線特定処理(ステップS110)の後、制御部110は、物理回線監視部121として動作することによって、対象回線特定処理(ステップS110)で特定された対象物理回線と同じグループインタフェースに所属する他のグループ物理回線の状態を判断する(ステップS120)。
【0058】
対象物理回線の対となる他のグループ物理回線がダウン状態である場合(ステップS120:「DOWN」)、制御部110は、グループ管理部123として動作することによって、対象物理回線に設定された論理回線の全てをフォワーディング状態に設定する(ステップS170)。その後、制御部110は、回線設定処理(ステップS100)を終了する。
【0059】
対象物理回線の対となる他のグループ物理回線がアップ状態である場合(ステップS120:「UP」)、制御部110は、対象物理回線に設定された論理回線のうちの一つを特定論理回線として特定する(ステップS130)。その後、制御部110は、対象物理回線の対となる他のグループ物理回線に、特定論理回線と共通の論理ネットワークを構築する論理回線である共通論理回線が設定されているか否かを判断する(ステップS141)。他のグループ物理回線に共通論理回線が設定されている場合(ステップS141:「YES」)、制御部110は、その共通論理回線の状態を判断する(ステップS142)。
【0060】
他のグループ物理回線に設定された共通論理回線がフォワーディング状態である場合(ステップS142:「フォワーディング」)、制御部110は、グループ管理部123として動作することによって、対象物理回線に設定された特定論理回線をブロッキング状態に設定する(ステップS151)。この場合のブロッキング要因は、グループ管理部123によるグループ・ブロッキングである。
【0061】
他のグループ物理回線に共通論理回線が設定されていない場合や(ステップS141:「NO」)、他のグループ物理回線に設定された共通論理回線がブロッキング状態である場合(ステップS142:「ブロッキング」)、制御部110は、グループ管理部123として動作することによって、対象物理回線に設定された特定論理回線をフォワーディング状態に設定する(ステップS152)。
【0062】
制御部110は、対象物理回線に設定された論理回線の全てを特定論理回線として処理した後(ステップS160:「YES」)、回線設定処理(ステップS100)を終了する。
【0063】
A2−2.スタンバイポート設定処理:
図8は、ネットワーク中継装置100の制御部110が実行するスタンバイポート設定処理(ステップS200)を示すフローチャートである。スタンバイポート設定処理(ステップS200)は、スタンバイポートのULR物理回線を設定する処理である。本実施例では、スタンバイポート設定処理(ステップS200)は、制御部110のCPU120が制御プログラム131に基づいて動作することによって実現される。ネットワーク中継装置100の制御部110は、ULR物理回線が接続された物理ポートをスタンバイポートに設定する場合に、スタンバイポート設定処理(ステップS200)を開始する。
【0064】
ネットワーク中継装置100の制御部110は、スタンバイポート設定処理(ステップS200)を開始すると、対象回線特定処理(ステップS210)を実行する。対象回線特定処理(ステップS210)において、制御部110は、アップリンク・リダンダント部122として動作することによって、スタンバイポート設定処理(ステップS200)の処理対象となる物理回線である対象物理回線を特定する。スタンバイポート設定処理(ステップS200)の対象物理回線は、接続された物理ポートがスタンバイポートに設定されるULR物理回線である。
【0065】
対象回線特定処理(ステップS210)の後、制御部110は、物理回線監視部121として動作することによって、対象回線特定処理(ステップS210)で特定された対象物理回線と同じグループインタフェースに所属する他のグループ物理回線の状態を判断する(ステップS220)。
【0066】
対象物理回線の対となる他のグループ物理回線がダウン状態である場合(ステップS220:「DOWN」)、制御部110は、アップリンク・リダンダント部122として動作することによって、対象物理回線に設定された論理回線の全てをブロッキング状態に設定する(ステップS270)。この場合のブロッキング要因は、アップリンク・リダンダント部122によるULR・ブロッキングである。その後、制御部110は、スタンバイポート設定処理(ステップS200)を終了する。
【0067】
対象物理回線の対となる他のグループ物理回線がアップ状態である場合(ステップS220:「UP」)、制御部110は、対象物理回線に設定された論理回線のうちの一つを特定論理回線として特定する(ステップS230)。その後、制御部110は、対象物理回線の対となる他のグループ物理回線に、特定論理回線と共通の論理ネットワークを構築する論理回線である共通論理回線が設定されているか否かを判断する(ステップS241)。他のグループ物理回線に共通論理回線が設定されている場合(ステップS241:「YES」)、制御部110は、その共通論理回線の状態を判断する(ステップS242)。
【0068】
他のグループ物理回線に共通論理回線が設定されていない場合や(ステップS241:「NO」)、他のグループ物理回線に設定された共通論理回線がフォワーディング状態である場合(ステップS242:「フォワーディング」)、制御部110は、アップリンク・リダンダント部122として動作することによって、対象物理回線に設定された特定論理回線をブロッキング状態に設定する(ステップS257)。この場合のブロッキング要因は、アップリンク・リダンダント部122によるULR・ブロッキングである。
【0069】
他のグループ物理回線に設定された共通論理回線がブロッキング状態である場合(ステップS242:「ブロッキング」)、制御部110は、特定論理回線のブロッキング設定(ステップS257)に併せて、グループ管理部123として動作することによって、他のグループ物理回線に設定された共通論理回線をフォワーディングに設定する(ステップS255)。
【0070】
制御部110は、対象物理回線に設定された論理回線の全てを特定論理回線として処理した後(ステップS260:「YES」)、スタンバイポート設定処理(ステップS200)を終了する。
【0071】
A2−3.物理回線ダウン処理:
図9は、ネットワーク中継装置100の制御部110が実行する物理回線ダウン処理(ステップS300)を示すフローチャートである。物理回線ダウン処理(ステップS300)は、物理回線のダウンに合わせて論理回線を設定する処理である。本実施例では、物理回線ダウン処理(ステップS300)は、制御部110のCPU120が制御プログラム131に基づいて動作することによって実現される。ネットワーク中継装置100の制御部110は、インタフェース部180の物理ポートに接続された物理回線がダウンした場合に、物理回線ダウン処理(ステップS300)を開始する。
【0072】
ネットワーク中継装置100の制御部110は、物理回線ダウン処理(ステップS300)を開始すると、ダウン回線特定処理(ステップS310)を実行する。ダウン回線特定処理(ステップS310)において、制御部110は、物理回線監視部121として動作することによって、ダウンした物理回線であるダウン物理回線を特定する。
【0073】
物理回線ダウン処理(ステップS310)の後、制御部110は、物理回線監視部121として動作することによって、ダウン回線特定処理(ステップS310)で特定されたダウン物理回線と同じグループインタフェースに所属する他のグループ物理回線の状態を判断する(ステップS320)。
【0074】
ダウン物理回線の対となる他のグループ物理回線がダウン状態である場合(ステップS320:「DOWN」)、制御部110は、ダウン物理回線に設定された論理回線の全てをダウン状態に設定する(ステップS370)。その後、制御部110は、物理回線ダウン処理(ステップS300)を終了する。
【0075】
ダウン物理回線の対となる他のグループ物理回線がアップ状態である場合(ステップS320:「UP」)、制御部110は、ダウン物理回線に設定された論理回線のうちの一つを特定論理回線として特定する(ステップS330)。その後、制御部110は、ダウン物理回線の対となる他のグループ物理回線に、特定論理回線と共通の論理ネットワークを構築する論理回線である共通論理回線が設定されているか否かを判断する(ステップS341)。他のグループ物理回線に共通論理回線が設定されている場合(ステップS341:「YES」)、制御部110は、その共通論理回線の状態を判断する(ステップS342)。他のグループ物理回線に設定された共通論理回線がブロッキング状態である場合(ステップS342:「ブロッキング」)、制御部110は、そのブロッキング要因を判断する(ステップS343)。
【0076】
他のグループ物理回線に共通論理回線が設定されていない場合や(ステップS341:「NO」)、他のグループ物理回線に設定された共通論理回線がフォワーディング状態である場合(ステップS342:「フォワーディング」)、他のグループ物理回線に設定された共通論理回線のブロッキング要因がULRブロッキングである場合(ステップS343:「ULR」)、制御部110は、ダウン物理回線に設定された特定論理回線をダウン状態に設定する(ステップS358)。
【0077】
他のグループ物理回線に設定された共通論理回線のブロッキング要因がグループ・ブロッキングである場合(ステップS343:「グループ」)、制御部110は、特定論理回線のダウン設定(ステップS358)に併せて、グループ管理部123として動作することによって、他のグループ物理回線に設定された共通論理回線をフォワーディングに設定する(ステップS355)。
【0078】
制御部110は、ダウン物理回線に設定された論理回線の全てを特定論理回線として処理した後(ステップS360:「YES」)、物理回線ダウン処理(ステップS300)を終了する。
【0079】
A2−4.動作例:
<第1遷移状態>
図10は、第1遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの物理回線および論理回線を示す説明図である。図11は、第1遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの回線管理データベース140を示す説明図である。図12は、第1遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。図10、図11および図12に示す第1遷移状態は、図4、図5および図6に示した初期設定時の状態から、物理回線P1の障害発生に応じて遷移した状態を示す。
【0080】
初期設定時の状態で物理回線P1に障害が発生すると、物理回線P1は、アップ状態からダウン状態になり、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、物理回線ダウン処理(図9のステップS300)を実行する。第1遷移状態の物理回線ダウン処理(図9のステップS300)では、制御部110は、物理回線P1をダウン物理回線として特定し(図9のステップS310)、物理回線P3を他のグループ物理回線として特定する(図9のステップS320)。
【0081】
物理回線P3はアップ状態であり(図9のステップS320:「UP」)、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12cの共通論理回線である論理回線L31a,L32cはグループ・ブロッキングによるブロッキング状態であるため(図9のステップS343:「グループ」)、制御部110は、物理回線P3に設定された論理回線L31a,L32cをブロッキング状態からフォワーディング状態に切り替える(図9のステップS355)。なお、物理回線P1に設定された論理回線L13zについては物理回線P3に共通論理回線が存在しないため(図9のステップS341:「NO」)、制御部110は、物理回線P1の論理回線L13zに関連して物理回線P3の設定を変更する必要はない。物理回線P3に関する設定に併せて、制御部110は、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12c,L13zをフォワーディング状態からダウン状態に切り替える(図9のステップS358)。
【0082】
アクティブポートのULR物理回線であった物理回線P1をダウン状態に設定したことに伴って、物理回線P2が接続された物理ポート12aをスタンバイポートからアクティブポートに切り替えるために、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、回線設定処理(図7のステップS100)を実行する。第1遷移状態の回線設定処理(図7のステップS100)では、制御部110は、物理回線P2を対象物理回線として特定し(図7のステップS110)、物理回線P4を他のグループ物理回線として特定する(図7のステップS120)。
【0083】
物理回線P4はアップ状態であり(図7のステップS120:「UP」)、その共通論理回線である論理回線L41b,L42cはフォワーディング状態であるため(図7のステップS142:「フォワーディング」)、制御部110は、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22cを、ULRブロッキングによるブロッキング状態から、グループ・ブロッキングによるブロッキング状態に切り替える(図7のステップS151)。物理回線P2に設定された論理回線L23zに関しては、物理回線P4に共通論理回線が設定されていないため(図7のステップS141:「NO」)、制御部110は、論理回線L23zをブロッキング状態からフォワーディング状態に切り替える(図7のステップS152)。
【0084】
第1遷移状態では、図6に示した初期設定時のネットワーク経路から、図12に示すネットワーク経路に切り替わる。第1遷移状態におけるネットワーク経路Raは、二つのネットワーク中継装置100a,100bを経由する点で図6の初期設定時と同様であるが、ネットワーク中継装置100aの物理ポート13aに接続された物理回線P3を利用する点で異なる。第1遷移状態におけるネットワーク経路Rbは、図6の初期設定時と同様である。第1遷移状態におけるネットワーク経路Rzは、図6の初期設定時と異なり、ネットワーク中継装置100aの物理ポート12aに接続された物理回線P2を利用することによって、三つのネットワーク中継装置100a,100c,100dを経由する経路となる。
【0085】
<第2遷移状態>
図13は、第2遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの物理回線および論理回線を示す説明図である。図14は、第2遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの回線管理データベース140を示す説明図である。図13および図14に示す第2遷移状態は、図10、図11および図12に示した第1遷移状態から、物理回線P1の復旧に応じて遷移した状態を示す。第2遷移状態におけるネットワーク経路は、図12に示した第1遷移状態と同様である。
【0086】
第1遷移状態において物理回線P1が障害から復旧すると、物理回線P1は、ダウン状態からアップ状態になり、物理回線P1をスタンバイポートに設定するために、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、スタンバイポート設定処理(図8のステップS200)を実行する。第2遷移状態のスタンバイポート設定処理(図8のステップS200)では、制御部110は、物理回線P1を対象物理回線として特定し(図8のステップS210)、物理回線P3を他のグループ物理回線として特定する(図8のステップS220)。
【0087】
物理回線P3はアップ状態であり(図8のステップS220:「UP」)、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12cの共通論理回線である論理回線L31a,L32cはフォワーディング状態であるため(図8のステップS242:「フォワーディング」)、制御部110は、物理回線P3の論理回線L31a,L32cのフォワーディング状態を維持する。なお、物理回線P1に設定された論理回線L13zについては物理回線P3に共通論理回線が存在しないため(図8のステップS241:「NO」)、制御部110は、物理回線P1の論理回線L13zに関連して物理回線P3の設定を変更する必要はない。物理回線P3に関する設定に併せて、制御部110は、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12c,L13zを、ダウン状態から、ULRブロッキングによるブロッキング状態に切り替える(図8のステップS257)。
【0088】
<第3遷移状態>
図15は、第3遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの物理回線および論理回線を示す説明図である。図16は、第3遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの回線管理データベース140を示す説明図である。図17は、第3遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。図15、図16および図17に示す第3遷移状態は、図13および図14に示した第2遷移状態から、物理回線P4の障害発生に応じて遷移した状態を示す。
【0089】
第2遷移状態で物理回線P4に障害が発生すると、物理回線P4は、アップ状態からダウン状態になり、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、物理回線ダウン処理(図9のステップS300)を実行する。第3遷移状態の物理回線ダウン処理(図9のステップS300)では、制御部110は、物理回線P4をダウン物理回線として特定し(図9のステップS310)、物理回線P2を他のグループ物理回線として特定する(図9のステップS320)。
【0090】
物理回線P2はアップ状態であり(図9のステップS320:「UP」)、その共通論理回線である論理回線L21b,L22cはグループ・ブロッキングによるブロッキング状態であるため(図9のステップS343:「グループ」)、制御部110は、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22cをブロッキング状態からフォワーディング状態に切り替える(図9のステップS355)。これに併せて、制御部110は、物理回線P4に設定された論理回線L41b,L42cをフォワーディング状態からダウン状態に切り替える(図9のステップS358)。
【0091】
第3遷移状態では、図12に示した第1遷移状態と同様である第2遷移状態のネットワーク経路から、図17に示すネットワーク経路に切り替わる。第3遷移状態におけるネットワーク経路Raおよびネットワーク経路Rzは、第2遷移状態と同様である。第3遷移状態におけるネットワーク経路Rbは、二つのネットワーク中継装置100a,100cを経由する点で第2遷移状態と同様であるが、ネットワーク中継装置100aの物理ポート12aに接続された物理回線P2を利用する点で異なる。
【0092】
<第4遷移状態>
図18は、第4遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの物理回線および論理回線を示す説明図である。図19は、第4遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの回線管理データベース140を示す説明図である。図18および図19に示す第4遷移状態は、図15、図16および図17に示した第3遷移状態から、物理回線P4の復旧に応じて遷移した状態を示す。第4遷移状態におけるネットワーク経路は、図17に示した第3遷移状態と同様である。
【0093】
第4遷移状態において物理回線P4が障害から復旧すると、物理回線P4は、ダウン状態からアップ状態になり、物理回線P4をグループ物理回線に設定するために、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、回線設定処理(図7のステップS100)を実行する。第4遷移状態の回線設定処理(図7のステップS100)では、制御部110は、物理回線P4を対象物理回線として特定し(図7のステップS110)、物理回線P2を他のグループ物理回線として特定する(図7のステップS120)。
【0094】
物理回線P2はアップ状態であり(図7のステップS120:「UP」)、その共通論理回線である論理回線L21b,L22cはフォワーディング状態であるため(図7のステップS142:「フォワーディング」)、制御部110は、物理回線P4に設定された論理回線L41b,L42cを、ダウン状態から、グループ・ブロッキングによるブロッキング状態に切り替える(図7のステップS151)。
【0095】
<第5遷移状態>
図20は、第5遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの物理回線および論理回線を示す説明図である。図21は、第5遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの回線管理データベース140を示す説明図である。図22は、第5遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。図20、図21および図22に示す第5遷移状態は、図18および図19に示した第4遷移状態から、ネットワーク中継装置100aの管理者による指示に基づいてアップリンク・リダンダントのアクティブポートを物理ポート12aから物理ポート11aに切り替えることによって遷移した状態を示す。
【0096】
第4遷移状態における物理ポート11aに接続された物理回線P1をスタンバイポートからアクティブポートに切り替えるために、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、回線設定処理(図7のステップS100)を実行する。第5遷移状態の回線設定処理(図7のステップS100)では、制御部110は、物理回線P1を対象物理回線として特定し(図7のステップS110)、物理回線P3を他のグループ物理回線として特定する(図7のステップS120)。
【0097】
物理回線P3はアップ状態であり(図7のステップS120:「UP」)、その共通論理回線である論理回線L31a,L32cはフォワーディング状態であるため(図7のステップS142:「フォワーディング」)、制御部110は、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12cを、ULRブロッキングによるブロッキング状態から、グループ・ブロッキングによるブロッキング状態に切り替える(図7のステップS151)。物理回線P1に設定された論理回線L13zに関しては、物理回線P3に共通論理回線が設定されていないため(図7のステップS141:「NO」)、制御部110は、論理回線L13zをブロッキング状態からフォワーディング状態に切り替える(図7のステップS152)。
【0098】
第4遷移状態における物理ポート12aに接続された物理回線P2をアクティブポートからスタンバイポートに切り替えるために、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、スタンバイポート設定処理(図8のステップS200)を実行する。第5遷移状態のスタンバイポート設定処理(図8のステップS200)では、制御部110は、物理回線P2を対象物理回線として特定し(図8のステップS210)、物理回線P4を他のグループ物理回線として特定する(図8のステップS220)。
【0099】
物理回線P4はアップ状態であり(図8のステップS220:「UP」)、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22cの共通論理回線である論理回線L41b,L42cはブロッキング状態であるため(図8のステップS242:「ブロッキング」)、制御部110は、物理回線P4の論理回線L41b,L42cをフォワーディング状態に切り替える(図8のステップS255)。なお、物理回線P2に設定された論理回線L23zについては物理回線P4に共通論理回線が存在しないため(図8のステップS241:「NO」)、制御部110は、物理回線P2の論理回線L23zに関連して物理回線P4の設定を変更する必要はない。物理回線P4に関する設定に併せて、制御部110は、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22c,L23zを、フォワーディング状態から、ULRブロッキングによるブロッキング状態に切り替える(図8のステップS257)。
【0100】
第5遷移状態では、図17に示した第3遷移状態と同様である第4遷移状態のネットワーク経路から、図22に示すネットワーク経路に切り替わる。第5遷移状態におけるネットワーク経路Raは、第4遷移状態と同様である。第5遷移状態におけるネットワーク経路Rbは、二つのネットワーク中継装置100a,100cを経由する点で第4遷移状態と同様であるが、ネットワーク中継装置100aの物理ポート14aに接続された物理回線P4を利用する点で異なる。第5遷移状態におけるネットワーク経路Rzは、図6に示した初期設定時の状態と同様に、ネットワーク中継装置100aの物理ポート11aに接続された物理回線P1を利用することによって、三つのネットワーク中継装置100a,100b,100dを経由する経路となる。
【0101】
<第6遷移状態>
図23は、第6遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの物理回線および論理回線を示す説明図である。図24は、第6遷移状態におけるネットワーク中継装置100aの回線管理データベース140を示す説明図である。図25は、第6遷移状態におけるネットワーク経路を示す説明図である。図23、図24および図25に示す第6遷移状態は、図20、図21および図22に示した第5遷移状態から、物理回線P1および物理回線P2の障害発生に応じて遷移した状態を示す。
【0102】
第5遷移状態で物理回線P1および物理回線P2に障害が発生すると、物理回線P1および物理回線P2は、アップ状態からダウン状態になり、ネットワーク中継装置100aの制御部110は、物理回線P1および物理回線P2の各々について物理回線ダウン処理(図9のステップS300)を実行する。
【0103】
制御部110は、物理回線P1について物理回線ダウン処理(図9のステップS300)を開始すると、物理回線P1をダウン物理回線として特定し(図9のステップS310)、物理回線P3を他のグループ物理回線として特定する(図9のステップS320)。物理回線P3はアップ状態であり(図9のステップS320:「UP」)、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12cの共通論理回線である論理回線L31a,L32cはフォワーディング状態であるため(図9のステップS342:「フォワーディング」)、制御部110は、物理回線P3に設定された論理回線L31a,L32cのフォワーディング状態を維持する。なお、物理回線P1に設定された論理回線L13zについては物理回線P3に共通論理回線が存在しないため(図9のステップS341:「NO」)、制御部110は、物理回線P1の論理回線L13zに関連して物理回線P3の設定を変更する必要はない。物理回線P3に関する設定に併せて、制御部110は、物理回線P1に設定された論理回線L11a,L12c,L13zをフォワーディング状態からダウン状態に切り替える(図9のステップS358)。
【0104】
制御部110は、物理回線P2について物理回線ダウン処理(図9のステップS300)を開始すると、物理回線P2をダウン物理回線として特定し(図9のステップS310)、物理回線P4を他のグループ物理回線として特定する(図9のステップS320)。物理回線P4はアップ状態であり(図9のステップS320:「UP」)、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22cの共通論理回線である論理回線L41b,L42cはフォワーディング状態であるため(図9のステップS342:「フォワーディング」)、制御部110は、物理回線P4に設定された論理回線L41b,L42cのフォワーディング状態を維持する。なお、物理回線P2に設定された論理回線L23zについては物理回線P4に共通論理回線が存在しないため(図9のステップS341:「NO」)、制御部110は、物理回線P2の論理回線L23zに関連して物理回線P4の設定を変更する必要はない。物理回線P3に関する設定に併せて、制御部110は、物理回線P2に設定された論理回線L21b,L22c,L23zをブロッキング状態からダウン状態に切り替える(図9のステップS358)。
【0105】
第6遷移状態では、図22に示した第5遷移状態のネットワーク経路から、図25に示すネットワーク経路に切り替わる。第6遷移状態では、物理回線P1および物理回線P2における多重障害の発生によって、ネットワーク経路Rzを確保することができないが、ネットワーク経路Raおよびネットワーク経路Rbは、第5遷移状態と同様に維持される。
【0106】
A3.効果:
以上説明したネットワーク中継装置100によれば、アップリンク・リダンダントにおける物理回線P1と物理回線P2との物理回線単位の冗長化に合わせて、物理回線P1に設定された論理回線についてはグループインタフェースG1における物理回線P3を用いて、物理回線P2に設定された論理回線についてはグループインタフェースG2における物理回線P4を用いて、それぞれ論理回線単位の冗長化を実施することができる。これによって、コンピュータネットワーク10全体のデータ転送効率を考慮して、論理ネットワーク500a,500b,500cを構築する論理回線を設定しつつ、コンピュータネットワーク10を冗長化することができる。
【0107】
また、物理回線P2および物理回線P4ではデータ転送効率の面から不都合な論理ネットワーク500aを構築する論理回線を、物理回線P2および物理回線P4に設定することなく、物理回線P3に設定することによって、データ転送効率の低下を避けつつ、コンピュータネットワーク10の冗長化を図ることができる。
【0108】
また、物理回線P1および物理回線P3ではデータ転送効率の面から不都合な論理ネットワーク500bを構築する論理回線を、物理回線P1および物理回線P3に設定することなく、物理回線P4に設定することによって、データ転送効率の低下を避けつつ、コンピュータネットワーク10の冗長化を図ることができる。
【0109】
また、アップリンク・リダンダントにおけるアクティブポートとは異なる他方の物理回線が障害から回復した場合であっても、そのままアクティブポートを維持するため(第2遷移状態)、二つのULR物理回線の間におけるアクティブポートの頻繁な切り替えを抑制し、アクティブポートの切り替えに伴うデータ中継の遅延を防止することができる。
【0110】
また、グループインタフェースにおけるグループ物理回線が障害から回復した場合であっても、そのまま論理回線のフォワーディング状態を維持するため(第4遷移状態)、二つのグループ物理回線の間におけるフォワーディング状態の頻繁な切り替えを抑制し、フォワーディング状態の切り替えに伴うデータ中継の遅延を防止することができる。
【0111】
B.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【0112】
例えば、本実施例では、物理回線が障害から回復した場合であっても、アップリンク・リダンダントにおけるアクティブポートの切り替えや、グループインタフェースにおけるフォワーディング状態の切り替えを実行しなかったが、他の実施形態において、物理回線が障害から回復した場合に、アップリンク・リダンダントにおけるアクティブポートの切り替えや、グループインタフェースにおけるフォワーディング状態の切り替えを実行しても良い。
【0113】
また、本実施例では、物理回線P1,P2,P3、P4を、それぞれ単一の物理ポートに接続された物理回線として構成したが、他の実施形態において、物理回線P1,P2,P3、P4の少なくとも一つを、複数の物理ポートに接続された物理回線として構成しても良い。
【0114】
また、本実施例では、回線管理データベース140を単一のデータベースとして構成したが、他の実施形態において、回線管理データベース140を複数のデータベースで構成しても良い。
【符号の説明】
【0115】
10…コンピュータネットワーク
11a〜15a…物理ポート
11b〜15b…物理ポート
11c〜15c…物理ポート
11d〜14d…物理ポート
11e〜14e…物理ポート
100,100a〜100e…ネットワーク中継装置
110…制御部
120…CPU
121…物理回線監視部
122…アップリンク・リダンダント部
123…グループ管理部
130…記憶部
131…制御プログラム
132…設定情報
140…回線管理データベース
141〜147…フィールド
150…転送部
180…インタフェース部
200,200a〜200c…端末装置
300,300a,300b…サーバ
400…広域ネットワーク
500,500a〜500c、500z…論理ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイヤ2ネットワークにおいて通信データを中継するネットワーク中継装置であって、
第1物理回線に接続する第1物理ポートと、
第2物理回線に接続する第2物理ポートと、
前記第1物理回線および前記第2物理回線の一方を、通信に使用する物理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを物理回線単位で冗長化する第1冗長化部と、
第3物理回線に接続する第3物理ポートと、
前記第1冗長化部と協働して、前記第1物理回線および前記第3物理回線の両方に共通する論理回線のうち、一方の物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを論理回線単位で冗長化する第2冗長化部と
を備えるネットワーク中継装置。
【請求項2】
前記第1物理回線に設定された論理回線の一つは、前記第3物理回線に設定された論理回線に共通すると共に、前記第2物理回線に設定された論理回線のいずれとも異なる、請求項1に記載のネットワーク中継装置。
【請求項3】
前記第1冗長化部は、通信に使用中の一方の物理回線とは異なる他方の物理回線が障害から回復した場合であっても、前記一方の物理回線の選定を維持する、請求項1または請求項2に記載のネットワーク中継装置。
【請求項4】
前記第2冗長化部は、通信に使用中の一方の論理回線とは異なる他方の論理回線が障害から回復した場合であっても、前記一方の論理回線の選定を維持する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のネットワーク中継装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のネットワーク中継装置であって、更に、
第4物理回線に接続する第4物理ポートと、
前記第1冗長化部と協働して、前記第2物理回線および前記第4物理回線の両方に共通する論理回線のうち、一方の物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを論理回線単位で冗長化する第3冗長化部と
を備えるネットワーク中継装置。
【請求項6】
前記第1物理回線に設定された論理回線の一つは、前記第3物理に設定された論理回線に共通すると共に、前記第2物理回線および第4物理回線にそれぞれ設定された論理回線のいずれとも異なる、請求項5に記載のネットワーク中継装置。
【請求項7】
前記第3冗長化部は、通信に使用中の一方の論理回線とは異なる他方の論理回線が障害から回復した場合であっても、前記一方の論理回線の選定を維持する、請求項5または請求項6に記載のネットワーク中継装置。
【請求項8】
レイヤ2ネットワークにおいて通信データを中継するネットワーク中継方法であって、
第1物理回線および第2物理回線に論理回線をそれぞれ設定し、
前記第1物理回線および前記第2物理回線の一方を、通信に使用する物理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを物理回線単位で冗長化する第1冗長化を実行し、
第3物理回線に前記第1物理回線に共通する論理回線を設定し、
前記第1冗長化と共に、前記第1物理回線および前記第3物理回線の両方に共通する論理回線のうち、一方の物理回線に設定された論理回線を、通信に使用する論理回線に選定することによって、前記レイヤ2ネットワークを論理回線単位で冗長化する第2冗長化を実行する、ネットワーク中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−49833(P2012−49833A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190234(P2010−190234)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(504411166)アラクサラネットワークス株式会社 (315)
【Fターム(参考)】