説明

ネットワーク広告表示システム

【課題】ポータルサイト等のサーバから広告情報をダウンロードして、パーソナルコンピュータ等の通信端末器に効果的に表示し、かつ、パーソナルコンピュータのOSへのログインで確実にユーザを認証する。
【解決手段】通信端末器1を、準備記憶したOSを起動させる端末器本体11と、この端末器本体に接続された電子装置12とで構成し、端末器本体11がOSを起動させている間に、電子装置12によって、少なくとも、サーバ2aから広告情報30aをダウンロードして所定の認証画面30に含ませて表示させ、かつ、ユーザの生体認証を開始し、その後、起動したOSによって、生体認証が終了するまでは、認証画面30のままOSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるソフトウェアを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告情報を準備記憶しているサーバから広告情報をダウンロードして通信端末器に表示させるネットワーク広告表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今時、パーソナルコンピュータは家庭の中に浸透しており、インターネットにより様々なホームページを閲覧することが一般的になっている。そのような事情から、ニュースの提供、ホームページ検索機能、掲示板、WEBメールなどのサービスなどをホームページとしてユーザに無償で提供する一方、そのホームページに契約事業者の広告バナーを表示して、広告収入を得るポータルサイトも多数運営されている。そのようなポータルサイトとしては、Yahoo!Japan(商標登録)、MSN(商標登録)などが有名で、WEBブラウザのスタートページに設定しているユーザも多い。
【0003】
このようなポータルサイトでは、ユーザを囲い込むために、予め個人情報を登録したユーザに対してのみメール等の特定サービス提供するが、その際には、専用のログインページ等にユーザIDやパスワード等を入力させることでユーザ認証をしている。更に、ポータルサイトがネットオークションや、ショッピングモール等を運営している場合には、そのようなユーザ認証を受けたユーザだけが、それらを利用できる仕組みになっている。
【0004】
なお、携帯電話等のネットワークシステムで広告を配信する技術として、次の特許文献1には、情報提供サーバは、無線基地局を介して、様々な内容のコンテンツに広告情報を含めて定期的に配信する一方、利用者管理サーバは、各無線端末器の広告情報に対する視聴時間を管理し、その視聴時間に応じて、その無線端末器の通信料金を割引くことが記載されている。
【特許文献1】特開2001−216263号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のような従来のポータルサイトでは、ホームページに表示させる広告バナーをユーザ毎にカスタマイズする方法が実現されていないため、各ユーザに対して、広告をより効果的に表示する仕組みが求められていた。
【0006】
また、昨今のWEBブラウザは、ログイン画面等で入力すべきユーザIDやパスワードを記憶し、再現する機能を有しているので、この機能が有効になったパーソナルコンピュータでは、たとえ別人であっても、一旦そのパーソナルコンピュータのOSにログインさえできれば、ポータルサイトにアクセスし、ユーザIDやパスワードを入力しなくても、ユーザ認証を通過できるという問題があった。
【0007】
なお、Windows(登録商標)等のOSには、ユーザIDとパスワードを要求する認証機能が備えられているが、その機能を利用していないユーザも多い。また、パーソナルコンピュータのOSへのログインをUSBキー等などで自動化する方法もあるが、USBキーの導入には費用がかかるため、広く普及してはいない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明は、ポータルサイト等のサーバから広告情報をダウンロードして、パーソナルコンピュータ等の通信端末器に効果的に表示し、かつ、パーソナルコンピュータのOSへのログインで確実にユーザを認証する仕組みを提供することを目的として、次のような方法、システムを提案する。
【0009】
すなわち、請求項1では、広告情報を準備記憶したサーバと、そのサーバから広告情報をダウンロードして画面表示する通信端末器とを用いる広告表示方法において、通信端末器を、準備記憶したOSを起動させる端末器本体と、この端末器本体に接続された電子装置とで構成し、端末器本体がOSを起動させている間に、電子装置によって、少なくとも、サーバから広告情報をダウンロードして所定の認証画面に含ませて表示させ、かつ、ユーザの生体認証を開始し、その後、起動したOSによって、生体認証が終了するまでは、認証画面のままOSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるソフトウェアを実行する。
【0010】
請求項2では、請求項1の方法を採用したシステムを提案する。すなわち、広告情報を準備記憶したサーバと、そのサーバから広告情報をダウンロードして画面表示する通信端末器とで構成されるネットワーク広告表示システムにおいて、通信端末器は、ネットワーク通信手段と、表示手段と、拡張用機器を着脱自在に接続する機器接続部とを有し、準備記憶したOSを起動させる端末器本体と、機器接続部に接続された携帯型電子装置とで構成され、携帯型電子装置は、認証用データを予め登録した生体認証手段と、端末器本体が電源投入され、OSを起動させている間に、少なくとも、ネットワーク通信手段と、表示手段とを独自に制御することにより、サーバから広告情報をダウンロードして所定の認証画面に含ませて表示させ、かつ、ユーザの生体認証を開始する端末器制御手段と、OSが起動直後に実行し、生体認証が終了するまでは、認証画面のまま上記OSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるログイン制御ソフトウェアを記憶した記憶手段とを備える。
【0011】
請求項3では、請求項2において、端末器本体は、操作手段を更に有し、端末器制御手段は、認証画面に含まれる広告情報のいずれかが操作手段によって選択されたときには、選択された広告情報を記憶し、ログイン制御ソフトウェアは、生体認証したユーザがOSにログインしたあと、選択された広告情報に関連するホームページを所定のブラウザよって表示させる。
【0012】
請求項4では、請求項1または2において、端末器制御手段は、サーバから広告情報をダウンロードする際に、ユーザ毎に異なる識別情報を通知し、サーバは、広告情報をジャンル毎に準備記憶し、かつ各ユーザが予め選択したジャンルを識別情報に対応させて保存しており、通知された識別情報に基づいて、そのユーザが予め選択したジャンルの広告情報をダウンロードさせる。ここで、識別情報には、携帯型電子装置の製品ID、サーバに対するユーザID等を用いることができる。
【0013】
請求項5では、サーバは、ユーザが予め選択したジャンルの広告情報をダウンロードさせる動作を許可/禁止する設定を、各ユーザに対して予め設定記憶している。
【0014】
請求項6では、上記端末器本体と電子装置とが一体として構成され、通信端末器は、ネットワーク通信手段と、表示手段と、記憶手段とを有し、この記憶手段には、生体認証手段と、通信端末器が電源投入されたあと、ネットワーク通信手段と、表示手段とを制御することにより、サーバから広告情報をダウンロードして所定の認証画面に含ませて表示させ、かつ、ユーザの生体認証を開始させてから、通信端末器のOSを起動させる端末器制御ソフトウェアと、OSが起動直後に実行し、生体認証が終了するまでは、認証画面のままOSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるログイン制御ソフトウェアを記憶している。
【発明の効果】
【0015】
請求項1によれば、携帯型電子装置は、端末器本体であるパーソナルコンピュータ等が準備記憶しているOSを起動させる動作をしている間に、そのネットワーク通信手段や表示手段を独自に制御して、ポータルサイト等のサーバから広告情報をダウンロードし、所定の認証画面に含ませて表示し、その認証画面に従ってユーザが認証を受ければ、そのユーザをOSにログインさせている。従来、OSを起動させる動作の間は、ユーザはただ待っているだけであったので、そのときに広告情報を表示すれば、ユーザの関心を確実に引くことができる。また、その間にユーザ認証も実行しているので、OSが起動すれば、ユーザIDやパスワードを入力すること無しに直ちにログインでき、ユーザの手間も省くことができる。更に、このユーザの生体認証は、OSが起動する前に実行されるので、フィッシング等の不正アクセスに対しても強靱である。
【0016】
そして、ユーザの関心を引くことで広告効果が高くなれば、ポータルサイトの収入も上がることが予測されるが、そうなれば、ポータルサイトでは、この携帯型電子装置のコストの一部ないし全部を負担して登録ユーザに配布するサービスも可能になる。パーソナルコンピュータでOSの認証を自動化するUSBキーが市販されていることからも想像がつくように、ログインを自動化する認証装置に対する潜在的な要望は高く、このようなサービスの提供は、ユーザの囲い込みにも大いに役立つ。
【0017】
また、端末器本体にノート型パーソナルコンピュータ等(モバイル型端末器)を利用している場合には、端末器本体が紛失、または盗難される可能性がある。しかし、本発明によれば、ユーザ本人だけしか携帯型電子装置で生体認証されず、OSにログインできないので、端末器本体に保存している個人情報等が他人に漏洩する虞がない。なお、(のOSには、特定のユーザのファイルを暗号化する機能があり、ユーザがログインしない限り、例えハードディスクを取り外して解析しても、その暗号化を解除できないようにする機能を有しているので、この機能も併用すれば、更に安全性が高くなる。
【0018】
請求項2によれば、請求項1の方法を採用したシステムなので、同様の効果が期待できる。また、特に請求項3によれば、認証画面に含まれる広告情報のいずれかが、マウス等の操作手段によって選択されたときには、ユーザがOSにログインしたあと、選択された広告情報に関連するホームページを所定のWEBブラウザよって自動的に表示させるので、ユーザはその広告情報について直ちに詳細な情報を得ることができ、その一方、広告情報に関連するホームページを表示させるというポータルサイト側の目的も同時に達成される。
【0019】
特に請求項4、5によれば、ユーザの指向に合ったジャンルの広告情報が表示されるので、広告効果が一層高くなる。このように、本発明は、ユーザ、ポータルサイトのいずれにも利益がある。
【0020】
請求項6によれば、通信端末器に生体認証手段を一体的に備えたので、端末器本体、携帯型電子装置をそれぞれ別体に構成した場合よりも、製造コストを下げることができる。また、通信端末器が紛失、または盗難されても、ユーザ本人だけしか携帯型電子装置では生体認証されないため、保存している個人情報等が他人に漏洩する虞もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここに、本発明を実施するための最良の形態を図に従って説明する。
図1は、本発明によるネットワーク広告表示システムSの基本構成を示すブロック図である。
【0022】
このシステムSは、ユーザが所有する通信端末器1と、この通信端末器1に広告情報30aをダウンロードさせる広告サーバ2aを有したポータルサイト2とを、インターネット等のネットワークNで接続した基本構成を有し、ポータルサイト2は、広告サーバ2a以外にも、Webサーバ2bや、アプリケーションサービスサーバ2c等を有している。
【0023】
通信端末器1は、端末器本体11として、Windows(登録商標)に対応したパーソナルコンピュータに、以下で説明する携帯型電子装置12を接続したものを例示しているが、端末器本体11としては、別のOS、例えば、Macintosh(商標登録)、Linux(商標登録)、それらの各国版OSで動作するパーソナルコンピュータ、または、PDA、携帯電話機などを採用してもよい。
【0024】
図示した端末器本体11は、デスクトップ型パーソナルコンピュータを例として示しており、ほぼ規格化された基本構成になっている。すなわち、ソフトウェアを実行するCPU11aと、CPUコントローラ11bと、主記憶であるRAM11cと、内部バスBを制御するバスコントローラ11dと、バイオスプログラム等を格納したROM11eと、USB規格等に対応し、外部機器接続部T1を有する拡張インタフェース11fと、OSや、その他ソフトウェアを格納したハードディスク11gを付加したストレージコントローラ11hと、キーボード11iやマウス11j等で構成される操作手段を付加したI/Oコントローラ11kと、液晶表示装置11l等で構成される表示手段を付加し、ビデオメモリ11mを有するビデオコントローラ11nと、スピーカSPやマイクMC等で構成される音声手段を付加したサウンドコントローラ11pと、ネットワーク通信手段としてネットワークNに接続するネットワークコントローラ11qとを備えている。なお、バスコントローラ11dは、バスBに接続している各コントローラがバスマスタになれるDMAをサポートしている。
【0025】
携帯型電子装置12は、ポータルサイト2を運営する事業者がユーザに提供するもので、USB等の接続端子T2を有し、端末器本体11の拡張インタフェース11fと通信するインタフェース12aと、フラッシュROM等の書換可能な不揮発性メモリで構成されたプログラムメモリ12bと、ユーザを生体認証する生体認証手段12cと、LED等により状態を表示する表示部12dと、生体認証手段12cや表示部12dを制御するMCU12eと、ワークエリアとなるRAM12fとを備えている。なお、インタフェース12aは、独自規格の通信手順により、端末器本体11と通信するようにしてもよいが、そのためには、端末器本体11の拡張インタフェース11fを、その独自規格に対応させておく必要がある。
【0026】
図2(a)、(b)は、それぞれ携帯型電子装置12の2通りの形状を示す外観図で、このうち(a)は、接続端子T2が、本体部からケーブルWによって導出されたものを示し、(b)は、接続端子T2が、本体部先端に一体的に形成されており、接続端子T2を保護するキーホルダー状のカバー12gを有したものを示している。どちらのものにも、本体部上面には、生体認証手段12cのセンサ部と、表示部12dのLED等で構成された表示ランプとが設けられている。
【0027】
プログラムメモリ12bには、携帯型電子装置12を、端末器本体11が電源投入され、準備記憶しているOSを起動させている間、インタフェース12aを通じて、少なくとも、ネットワークコントローラ11qと、ビデオコントローラ11nとを制御する端末器制御手段として動作させるための端末器制御ソフトウェアや、所定の認証画面データ、生体認証データ、製品ID、ユーザID等が記憶されている。
【0028】
端末器制御手段としての動作は、端末器本体11の電源投入後、拡張インタフェース11fの初期化を監視し、それを検出したときに開始され、インタフェース12aを通じて、端末器本体11のネットワークコントローラ11qやビデオコントローラ11n等を、拡張インタフェース11fによって直接制御する。そのためには、拡張インタフェース11fをバスマスタとして機能させる必要がある。そして、その直接制御によって、広告サーバ2aから広告情報30aをダウンロードし、その広告情報30aを含ませた所定の認証画面30を表示させる。また、それと同時に、生体認証手段12cを起動してユーザの生体認証も開始させる。その後は、起動させられたOSによる拡張インタフェース11fの初期化を監視し、その初期化を検出したときには、端末器制御手段としての動作を終了する。
【0029】
プログラムメモリ12bには、OSが起動直後に実行し、基本動作として、生体認証が終了するまでは、認証画面30のままOSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるログイン制御ソフトウェアも更に記憶されている。すなわち、ログイン制御ソフトウェアは、OSのログイン画面を、スクリーンセーバのように、認証画面30で覆い隠した状態で、定期的に携帯型電子装置12から生体認証の結果を読み出し、成功の認証結果を取得したときには、ユーザをOSにログインさせる。このソフトウェアを自動実行させるには、携帯型電子装置12は、OSによって外部記憶装置として認識される必要があり、かつ、認識されたドライブには、ログイン制御ソフトウェアが、正しく設定された自動実行設定ファイル(autorun.inf等)と共に適切に配置されていなければならない。
【0030】
上記端末器制御手段、ログイン制御ソフトウェアの動作の別例を更に説明する。
端末制御手段としての動作では、更に、I/Oコントローラ11kを直接制御して、認証画面30に含まれる広告情報30aのいずれかがマウス11jによって選択されたときには、その選択を検出してRAM12fに記憶しておく。一方、ログイン制御ソフトウェアは、ユーザをOSにログインさせた直後に、その選択の記憶を参照し、規定のWEBブラウザを起動させて、その広告情報30aに関連するホームページを表示させる。そのためには、広告情報30aに、関連するホームページのURLを含めておく必要がある。
【0031】
また、更に別例として、広告サーバ2aから広告情報30aをダウンロードする際に、ユーザ毎に異なる識別情報を通知するようにすることも考えられる。この場合、広告サーバ2aでは、広告情報30aを様々なジャンル毎に準備記憶し、かつ、各ユーザがポータルサイト2の所定の会員登録ページにおいて、予め選択したジャンルを、所定の識別情報、例えば、ユーザに提供した携帯型電子装置12の製品IDや、ポータルサイト2がユーザ毎に割当てたユーザIDなどに対応させて保存しておく。そして、広告情報30aをダウンロードさせる際には、通知された識別情報に基づいて、そのユーザが予め選択したジャンルの広告情報30aを検索し、ユーザの指向にあった広告情報30aを提供する。
【0032】
なお、広告サーバ2aでは、そのような広告情報30aを検索してダウンロードさせる動作に対する許可/禁止の設定を、各ユーザに対して予め設定記憶しておいてもよい。そうすると、所望のジャンルを選択登録しているユーザには、そのジャンルの広告情報30aをダウンロードさせる一方、そうでないユーザには、ランダムに選択したジャンルの広告情報30aをダウンロードさせるというような動作も可能になる。
【0033】
更に別例として、予備の広告情報をプログラムメモリ12bに準備しておき、最初に表示する認証画面30には、その予備の広告情報を用い、その後、広告サーバ2aから広告情報30aが無事にダウンロードできたときには、その広告情報30aを含む認証画面30に更新するようにしてもよい。このようにすれば、広告サーバ2aが稼働していない場合でも、予備の広告情報だけは表示できる。
【0034】
図3は、ポータルサイト2の構成の一例を示すブロック図である。このポータルサイト2は、互いに連携して動作する広告サーバ2aや、Webサーバ2bや、アプリケーションサーバ2c等が互いにLANで接続され、ゲートウェイ2dを通じて、ネットワークNと接続した基本構成になっている。
【0035】
広告サーバ2aは、広告主である契約事業者が提出した広告情報30aを蓄積する広告情報データベースDBを備え、その広告情報30aをダウンロードさせる配信サーバソフトウェア(S1)を稼働させている。Webサーバ2bでは、ポータルサイト2のコンテンツとなるホームページを提供するHTTPD(S2)等が稼働しており、そのホームページには、ユーザの個人情報等を登録する会員登録ページも含まれている。また、アプリケーションサーバ2cでは、ポータルサイト2の検索機能等を実現するための検索ソフトウェア(S3)や、メールサーバ(S4)等のアプリケーションソフトウェアが稼働している。なお、Webサーバ2bは、提携事業者向けのサービスホームページを更に提供し、それを通じて、広告情報30aをアップロードさせてもよい。
【0036】
上記会員登録ページにおけるユーザ登録を説明すると、住所、氏名等の個人情報を登録したユーザには、ポータルサイト2の運営事業者が携帯型電子装置12に、導入用ソフトウェアを記録したCD等のメディアを添付して送付する。ユーザがその導入用ソフトウェアを端末器本体11で実行すると、指紋登録画面が表示されるので、携帯型電子装置12を端末器本体11に接続し、指紋登録画面のガイドに従って、指紋を登録する。登録した生体認証データ(指紋)は、携帯型電子装置12に送信され、プログラムメモリ12bに記憶される。また、このとき、端末器本体11のOSに対するユーザIDや、パスワード等の認証データも、携帯型電子装置12に登録する。このような登録が完了すると、この携帯型電子装置12の製品IDが、ポータルサイト2に対するユーザIDと共にポータルサイト2に送信され、図示しない登録ユーザデータベースに保存されているそのユーザの個人情報に付加される。なお、CD等のメディアで導入ソフトウェアを配布する替わりに、会員登録ページ上で、同様の処理を実行できるようにしてもよい。その際には、ホームページから、アクティブX等で記述された実行プログラムをダウンロードさせ、登録処理を実行させることができる。
【0037】
次いで、このシステムSの基本的な広告表示動作を図に従って説明する。
図4(a)は、通信端末器1と広告サーバ2aの連携した動作を説明するフロー図、図4(b)は、認証画面30の例を示す図である。このフロー図では、端末器本体11と、携帯型電子装置12と、広告サーバ2aを区分して、上から下に時系列的にそれぞれの動作を示している。
【0038】
このフロー図では、端末器本体11は電源投入されると、通常通りにOSを読み込んで、そのOSを起動させているが、OSを読み込む途中で、携帯型電子装置12に制御され、広告サーバ2aをアクセスして、広告情報30aをダウンロードし、また、その広告情報30aを含んだ認証画面30を表示している(ステップ101〜104、109,110)。
【0039】
そして、起動されたOSは、携帯型電子装置12からログイン制御ソフトウェアを読み込んで実行し、そのログイン制御ソフトウェアは、成功した認証結果を受信すると、認証画面30の表示を中止させて、ユーザをOSにログインさせている。このとき、OSには、ログインに必要なユーザIDとパスワードがログイン制御ソフトウェアを通じて渡されている(ステップ105〜108)。
【0040】
携帯型電子装置12は、端末器本体11が電源投入されると、接続端子T2から電源を受けて起動し、端末器本体11の拡張インタフェース11fが初期化されるの監視する。そして、その初期化を検出すると、端末器制御手段として次のような動作を開始する。すなわち、端末器本体11のネットワークコントローラ11qを制御して広告サーバ2aに接続させ、そこからダウンロードした広告情報30aを組み込んだ認証画面30を生成し、ビデオコントローラ11nを制御して、その認証画面30を液晶表示装置11lに表示させる(ステップ201〜207)。また、認証画面30の表示と同時に、生体認証手段12cを起動して生体認証を開始させる(ステップ208)。このような端末器制御手段としての動作は、端末器本体11が読み込んだOSによる拡張インタフェース11fの初期化を検出したときに終了する。
【0041】
広告サーバ2aは、通信端末器1の接続要求を受付けると、広告情報30aを検索してダウンロードさせる(ステップ301,302)。
【0042】
なお、ポータルサイト2では、通信端末器1の接続要求を受付けたときに、そのユーザのログインが完了しているので、OSが起動したあと、ユーザがポータルサイト2に接続してきたときには、メール等のサービスを直ちに利用できる状態にしておくことも可能である。
【0043】
なお、携帯型電子装置12は、認証画面30を表示させているときに、生体認証しないまま所定時間が経過すると、認証画面30からスクリーンセーバ画面に切替えるようにしてもよい。更に、そのスクリーンセーバ画面で、ユーザが特定の広告情報をマウス11j等によって選択したときには、認証画面30に戻すと共に、その選択を記憶しておき、生体認証したユーザをOSにログインさせ、その直後にWEBブラウザを起動させて、その広告情報30aに関連するホームページを表示させてもよい。
【0044】
なお、近時、生体認証手段を備えたノート型パーソナルコンピュータも市販されるようになってきたが、本発明は、そのようなパーソナルコンピュータや、PDA、携帯電話などにも適用できる。すなわち、端末器本体11と携帯型電子装置12を一体として構成して、適所に生体認証手段12cのセンサ部を設ければよい。このとき、通信端末器1のバイオスプログラム等を格納したROM11eを、本発明のための記憶手段として利用して、端末器制御ソフトウェア、ログイン制御ソフトウェア、認証画面データ、生体認証データ、製品ID等を記憶させ、更に、CPU11aが、バスBを通じて生体認証手段12cを直接制御するような構成が望ましい。通常、ROM11eは、バイオスプログラムをアップデートさせるため、書換え可能なフラッシュROMで構成されているので、ユーザの指紋登録を行う導入ソフトウェアによって、認証用の生体データや、OSへのログインに必要なユーザIDとパスワード等を記憶させることもできる。その上、ハードディスク11gのようにクラッシュすることもないため、それらのデータを確実に保持できる。
【0045】
このような構成では、端末器制御ソフトウェアは、通信端末器1が電源投入されたあと、CPU11aによって実行され、ネットワークコントローラ11qや、ビデオコントローラ11nを制御して、広告サーバ2aから広告情報30aをダウンロードして認証画面30に含ませて表示させ、かつ、生体認証手段12cを起動してユーザの生体認証を開始させてから、OSを起動させる。そして、起動したOSによって、生体認証が終了するまでは、認証画面30のままOSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるログイン制御ソフトウェアが実行される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるネットワーク広告表示システムの基本構成を示すブロック図。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ、携帯型電子装置の2通りの形状を示す外観図。
【図3】ポータルサイト2の構成の一例を示すブロック図。
【図4】(a)は通信端末器と広告サーバの連携した動作を説明するフロー図、(b)は認証画面の例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
1 通信端末器
11 端末器本体
12 携帯型電子装置
12a インタフェース
12c 生体認証手段
12e MCU
2a 広告サーバ
30 認証画面
30a 広告情報
S ネットワーク広告表示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告情報を準備記憶したサーバと、そのサーバから広告情報をダウンロードして画面表示する通信端末器とを用いる広告表示方法において、
上記通信端末器を、準備記憶したOSを起動させる端末器本体と、この端末器本体に接続された電子装置とで構成し、
上記端末器本体が上記OSを起動させている間に、上記電子装置によって、少なくとも、上記サーバから広告情報をダウンロードして所定の認証画面に含ませて表示させ、かつ、ユーザの生体認証を開始し、その後
起動した上記OSによって、上記生体認証が終了するまでは、上記認証画面のまま上記OSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるソフトウェアを実行することを特徴とする広告表示方法。
【請求項2】
広告情報を準備記憶したサーバと、そのサーバから広告情報をダウンロードして画面表示する通信端末器とで構成されるネットワーク広告表示システムにおいて、
上記通信端末器は、
ネットワーク通信手段と、表示手段と、拡張用機器を着脱自在に接続する機器接続部とを有し、準備記憶したOSを起動させる端末器本体と、
上記機器接続部に接続された携帯型電子装置とで構成され、
上記携帯型電子装置は、
認証用データを予め登録した生体認証手段と、
上記端末器本体が電源投入され、上記OSを起動させている間に、少なくとも、上記ネットワーク通信手段と、上記表示手段とを独自に制御することにより、上記サーバから広告情報をダウンロードして所定の認証画面に含ませて表示させ、かつ、ユーザの生体認証を開始する端末器制御手段と、
上記OSが起動直後に実行し、上記生体認証が終了するまでは、上記認証画面のまま上記OSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるログイン制御ソフトウェアを記憶した記憶手段とを備えることを特徴とするネットワーク広告表示システム。
【請求項3】
請求項2において、
上記端末器本体は、操作手段を更に有し、
上記端末器制御手段は、上記認証画面に含まれる広告情報のいずれかが上記操作手段によって選択されたときには、選択された広告情報を記憶し、
上記ログイン制御ソフトウェアは、生体認証したユーザが上記OSにログインしたあと、上記選択された広告情報に関連するホームページを所定のブラウザよって表示させることを特徴とするネットワーク広告表示システム。
【請求項4】
請求項2または3において、
上記端末器制御手段は、上記サーバから広告情報をダウンロードする際に、ユーザ毎に異なる識別情報を通知し、
上記サーバは、上記広告情報をジャンル毎に準備記憶し、かつ
各ユーザが予め選択したジャンルを上記識別情報に対応させて保存しており、
通知された上記識別情報に基づいて、そのユーザが予め選択したジャンルの広告情報をダウンロードさせることを特徴とするネットワーク広告表示システム。
【請求項5】
請求項4において、
上記サーバは、上記ユーザが予め選択したジャンルの広告情報をダウンロードさせる動作を許可/禁止する設定を、各ユーザに対して予め設定記憶していることを特徴とするネットワーク広告表示システム。
【請求項6】
広告情報を準備記憶したサーバと、そのサーバから広告情報をダウンロードして画面表示する通信端末器とで構成されるネットワーク広告表示システムにおいて、
上記通信端末器は、
ネットワーク通信手段と、表示手段と、生体認証手段と、記憶手段とを備え、
上記記憶手段には、
上記通信端末器が電源投入されたあと、上記ネットワーク通信手段と、上記表示手段とを制御することにより、上記サーバから広告情報をダウンロードして所定の認証画面に含ませて表示させ、かつ、ユーザの生体認証を開始させてから、上記通信端末器のOSを起動させる端末器制御ソフトウェアと、
上記OSが起動直後に実行し、上記生体認証が終了するまでは、上記認証画面のまま上記OSのログインを禁止し、生体認証したユーザをログインさせるログイン制御ソフトウェアを記憶していることを特徴とするネットワーク広告表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−178625(P2007−178625A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375738(P2005−375738)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(506002270)セキュリティーエレクトロニクス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】