説明

ネマティック液晶材料の物理特性決定装置及び負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性決定方法

【課題】 正及び負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性を決定することができるネマティック液晶材料の決定装置を提供すること。
【解決手段】 垂直配向を施した基板で負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセル14に一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加する電圧印加手段11と、液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加し、前記液晶テストセルに流れる過渡電流波形を測定する測定手段16〜18と、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加したときに流れる過渡電流波形を理論的に計算する計算手段20と、両過渡電流波形が整合したときの物理特性を前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性と決定する決定手段20と、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネマティック液晶材料の物理特性決定装置及び負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶ディスプレイはフラットテレビ、コンピュータのモニタなどのアプリケーションで広く使用されている。この液晶ディスプレイに使用される液晶材料には、大きく分けて正の誘電率異方性(Δε>0)、負の誘電率異方性(Δε<0)の2種類ある。特に、TVアプリケーションには負の誘電率異方性を持つ液晶材料が使用される。そして、液晶材料の応答性を良くするために、液晶材料の回転粘性率を小さくすることが重要な課題となっている。
【0003】
なお、誘電率異方性が正あるいは負の液晶材料の回転粘性率を回転磁場法に決定することが知られている(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】回転磁場法 [F.J. Bock, H. Kneppe, F. Schneider, Liquid Crystals 1 (1986), 239]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、回転磁場法を用いた実験設備は、相対的に構造が複雑で、回転粘性率を測定するのに測定に時間がかかるばかりか、大量の液晶が測定に必要であるといった問題があった。
【0005】
さらに磁化率異方性Δχが正の異方性を持つ液晶材料の回転粘性率のみの測定である。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁化率異方性の極性にかかわらず、正及び負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性を決定することができるネマティック液晶材料の決定装置および磁化率異方性の極性にかかわらず、正及び負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性を決定することができるネマティック液晶材料の物理特性決定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、垂直配向を施した基板で負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセルと、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加する電圧印加手段と、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加し、前記液晶テストセルに流れる過渡電流波形を測定する測定手段と、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加したときに流れる過渡電流波形を理論的に計算する計算手段と、前記測定手段で測定された過渡電流波形と、前記計算手段で計算された理論的な過渡電流波形とを前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性を変えながら整合させ、両過渡電流波形が整合したときの物理特性を前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性と決定する決定手段と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記決定手段は、液晶材料の物理特性である回転粘性率γ1を決定することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の前記決定手段は、液晶材料の物理特性であるずり粘度η2を決定することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の前記決定手段は、液晶材料の物理特性であるプレチルト角θ0を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、垂直配向を施した負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料からなる液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加する電圧印加工程と、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加し、前記液晶テストセルに流れる過渡電流波形を測定する測定工程と、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加したときに流れる過渡電流波形を理論的に計算する計算工程と、前記測定手段で測定された過渡電流波形と、前記計算手段で計算された理論的な過渡電流波形とを前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性を変えながら整合させ、両過渡電流波形が整合したときの物理特性を前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性と決定する決定工程と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の前記決定工程は、液晶材料の物理特性である回転粘性率γ1を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5あるいは請求項6記載の前記決定工程は、液晶材料の物理特性であるずり粘度η2を決定することを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項5ないし請求項7のうちいずれか一項に記載の前記決定工程は、液晶材料の物理特性であるプレチルト角θ0を決定することを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項5〜請求項8のうちいずれか一項に記載の前記決定工程は、液晶材料の物理特性であるLeslieの粘性係数α〜αのうちの少なくとも一つを決定することを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、水平配向を施した基板で正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセルと、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加する電圧印加手段と、前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加し、前記液晶テストセルに流れる過渡電流波形を測定する測定手段と、前記測定手段で測定された過渡電流波形のピーク値に基づいて正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の回転粘性率γ1を演算する演算手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1乃至4記載の発明によれば、負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の
回転粘性率γ1、ずり粘度η2、プレチルト角θ0を決定することができる。
【0018】
請求項5乃至9記載の発明によれば、負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の
回転粘性率γ1、ずり粘度η2、プレチルト角θ0を決定することができる。
【0019】
請求項10記載の発明によれば、正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の
回転粘性率γ1を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面、数式を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を参照して負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性を決定することができるネマティック液晶材料の決定装置について説明する。
【0021】
図1において、11はブロック内に記載されたような一つの単発パルス電圧を発生するファンクションジェネレータである。このファンションジェネレータ11から出力される単発パルスはアダプティブ・ローパスフィルタ12、アンプ13を介して液晶テストセル14の一端に供給される。アダプティブ・ローパスフィルタ12は、周波数帯域を時間で可変できるローパスフィルタで、極性反転が起きる時間は高周波帯域のローパスフィルタになり、パルス電圧が変化しない時間はほぼDC帯域のローパスフィルタになる。この機能を利用して、安定したパルス電圧をサンプルに供給することが出来る。
【0022】
ファンクションジェネレータ11から出力される上記単発パルス電圧に同期したTTL信号は上記アダプティブ・ローパスフィルタ12及び切替スイッチ15に入力される。アダプティブ・ローパスフィルタ12は、ファンクションジェネレータ11から出力されるTTL信号に応じて周波数帯域が切替えられる。
【0023】
上記切替スイッチ15のa接点は電流電圧変換部16に接続される。この電流電圧変換部16は、入力される電流を電圧に変換する。この切替スイッチ15のb点は、パルス電圧の極性反転時に発生するファンクションジェネレータ11からの突入電流が電流電圧変換部16に流入して電流電圧変換部16を破壊することを未然に防止するために設けられている。つまり、上記突入電流はb接点を介してグランドに流される。
【0024】
この電流電圧変換部17から出力される電圧信号はアンプ17を介して増幅され、ローパスフィルタ(LPF)18を介してA/Dコンバータ19に入力される。このA/Dコンバータ19から出力される電圧信号Eは、液晶テストセル14に流れる過渡電流に相当する電圧信号である。
【0025】
上記電圧信号Eは制御部20に入力される。この制御部20は本装置を統括して制御するもので、CPU、ROM、RAM等により構成されている。また、このROMには、理論的な過渡電流波形とを前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性を変えながら整合させ、両過渡電流波形が整合したときの物理特性を前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性と決定する決定機能手段を有するプログラムが格納されている。
【0026】
なお、A/Dコンバータ19の接地ライン21に接続されている。この接地ライン21には、上記ファンクションジェネレータ11の他端、上記切替スイッチ15のb接点、アンプ17の一入力端子に接続される。
【0027】
ここで、22は制御部20に接続される表示部である。
【0028】
まず、水平配向を施した基板で正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセル14に単発パルス電圧を印加したときに流れるピーク電流Iから回転粘性率γを計算する手法を説明する。
【0029】
式(1)(2)を用いて回転粘性率を計算する。
【数1】

【0030】
【数2】

【0031】
ここでγ1は液晶の回転粘性率、Sは液晶セルの電極面積、Δεは液晶の誘電率異方性、Ipは測定したピーク電流値、Lは液晶セルのギャップ、Vは印加電圧、V0は液晶材料のしきい値電圧、K11は液晶のスプレイ弾性定数である。
【0032】
次に、このファンションジェネレータ11から出力される単発パルス電圧を負の誘電率異方性を持つ液晶材料を持つ液晶テストセル14に印加したときにその液晶テストセル14に流れる過渡電流を理論的に計算する手法について説明する。
【0033】
フロー効果を考慮したネマティック液晶の力学的振舞はEricksenとLeslieにより定式化されており、質量保存則、運動方程式および角運動量方程式によって記述される。質量保存の式は式(3)で表される。
【数3】

【0034】
ここでvは流体の流速である。
【0035】
運動方程式は式(4)で表される。
【数4】

【0036】
ここでρは密度、i、jはx、yまたはz座標、コンマは空間座標による偏微分および頭につけたドットは時間による全微分を表す。また繰り返し出てくる指標については和を取る。σijは応力テンソルであり式(5)で与えられる。
【数5】

【0037】
ここでpは圧力、nはネマティック液晶のダイレクタnのi成分、
ij=(νi,j+νj,i)/2、数6およびαi (i=1〜6) はLeslieの粘性係数である。fは電界Eを印加した際のネマティック液晶の自由エネルギー密度であり式(6)で与えられる。
【数6】

【0038】
【数7】

【0039】
ここでK11、K22およびK33はそれぞれネマティック液晶のスプレイ弾性定数、ツイスト弾性定数およびベンド弾性定数であり、Dは電束密度である。
【0040】
角運動量方程式は式(7)で表される。
【数8】

【0041】
ここでρ1は単位体積あたりの慣性モーメント、γ=α−αは回転粘性率、γ=α+αである。hは分子場であり式(8)で与えられる。
【数9】

【0042】
垂直配向ネマティック液晶セルに対して基板に垂直方向に電界Eを印加した際の条件を式(3)〜(8)に代入すると、この条件における運動方程式および角運動量方程式はそれぞれ式(9)、(10)のように導かれる。
【数10】

【0043】
【数11】

【0044】
ここでθはダイレクタと基板に垂直な軸とがなす角度、vはダイレクタの回転面内における基板に平行方向の流速、σは積分定数、εoは真空中の誘電率、Δεは液晶の誘電率異方性である。a、bはそれぞれ式(11)、(12)で与えられる。
【数12】

【0045】
【数13】

【0046】
式(9)、(10)を用いて垂直配向ネマティック液晶セルに電界を印加した際に流れる過渡電流の解析解を導出する。液晶セルの配向状態は強アンカリング状態でありダイレクタは基板上で常にθ=θoで固定されていると仮定する。ここでθがプレチルト角である。このとき式(9)右辺の積分定数σは基板表面で発生するずれ応力とみなせる。いまσ=0と仮定する。これは液晶分子が基板表面で自由に動くことを示している。さらに電界応答過程において液晶セルのバルク領域におけるダイレクタのチルト角θbは一様に回転し、またバルク領域における電界Ebは時間に依存せず常に一定であると仮定する。このとき式(9)、(10)は解析的に解くことができ、式(13)、式(14)が導かれる。
【数14】

【0047】
【数15】

【0048】
ここで、β=α+γ+2α(α+α+α)、
β=γ+γ−2γ(α+α+α
β=α−α−α、β=α+2α+α+α
β=γ+α(α+α+α)、β=αγ+γ
β=α+α+α+α
である。
【0049】
式(13)を導く条件としてα1≠0、β1>0、式(14)を導く条件としてα1≠0、β1<0仮定しているが、これは多くの液晶材料について一般に成り立つ条件である。また過渡電流Iは次式のように導かれる。
【数16】

【0050】
ここでSは電極面積である。式(13)、(14)(βの符号に依存)、および式(15)を連立させ実験結果とのフィッティング(図5)をおこなうことにより、負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料のLeslieの粘性係数およびθoを見積もることができる。
【0051】
さらに、負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料のLeslieの粘性係数から回転粘性率(γ1)及び ずり粘度(η2)を見積もることができる。
【0052】
液晶材料のずり粘度(η2)を決定するためのこの仮定は、この測定法の大きな利点である。なぜなら今までは古典的なフローの実験によって幾つかの液晶材料の決定をしていたからである[例えば H. Kneppe, F. Schneider, Molecular Crystals and Liquid Crystals, 65 (1981), 23] 。
【0053】
近年、液晶の光学応答の時間依存性を測定する(ディケイフローを観測)ことが提案されている[S. V. Pasechnik, V.G. Chigrinov, D.V. Shmeliova, V.A. Tsvetkov, A.N. Voronov, Liquid Crystals 31(4), 2004, 585]。しかし、この方法は確度が低く、屈折率異方性が0.2以下の液晶材料では特に確度が低くなる。そのため、この方法は液晶ディスプレイに使用される屈折率異方性が0.15以下の液晶材料の測定には適さない。
【0054】
(実験結果)
表1に負の誘電率異方性を持つ3種類の液晶材料の回転粘性率の測定結果を示す。測定温度は20℃で、垂直配向膜としてSE-1211(日産化学)を用いた。測定に用いたテストセルのギャップは約22umで、印加電圧は90V、100Vの2種類である。
【表1】

【0055】
なお、表1中の「γmag」は、“Merck Liquid Crystals”, Physical Properties of Liquid Crystals, Stat. Nov. 1997, Merck KGaAに記載された回転磁界中の液晶のトルクを計測することにより決定された値との比較するためのものである。
【0056】
次に、実際に負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の回転粘性率γ1を決定する動作について説明する。
【0057】
まず、垂直配向を施した基板で負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセル14を図1に示すように設置する。この際、液晶テストセル14は垂直配向されている。つまり、図3に示すように、液晶テストセル14の液晶分子が垂直配向されている。ところで、液晶テストセル14に電界がかけられると、図4に示すように液晶テストセル14の液晶分子が配向される。
【0058】
次に、制御部20からの制御信号によりファンクションジェネレータ11は動作を開始する。つまり、ファンクションジェネレータ11は一つの単発パルス電圧を出力する。
【0059】
負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料からなる液晶テストセル14に単発パルス電圧を印加したときには図2に示すような過渡電流Iが流れる。
【0060】
そして、この過渡電流Iは、電流電圧変換部16、アンプ17、A/Dコンバータ19を介して過渡電流Iに相当する電圧信号に変換されて制御部20に入力される。そして、表示部22に図5の実線で示したように過渡電流Iが表示される。図5の表示例は、実際に測定された過渡電流Iの波形と、式(13)〜(15)のように理論的に計算された過渡電流I´とが整合された状態を示している。
【0061】
つまり、制御部10は式(15)中に存在する物理特性(α〜α、γ、γ等)を変化させながら、実際に測定された過渡電流Iの波形と、式(13)〜(15)のように理論的に計算された過渡電流I´をマッチングする機能を有している。
【0062】
そして、マッチングがとれた時の物理特性のうち、回転粘性率(γ1)とずり粘度(η2)が求められる。
【0063】
また、このマッチングによりプレチルト角θも求められる。
【0064】
次に、実際に正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の回転粘性率γ1を決定する動作について説明する。
【0065】
まず、水平配向を施した基板で正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセル14を図1に示すように設置する。この際、液晶テストセル14は水平配向されている。つまり、図7に示すように、液晶テストセル14の液晶分子が水平配向されている。ところで、液晶テストセル14に電界がかけられると、図8に示すように液晶テストセル14の液晶分子が配向される。
【0066】
次に、制御部20からの制御信号によりファンクションジェネレータ11は動作を開始する。つまり、ファンクションジェネレータ11は一つの単発パルス電圧を出力する。
【0067】
正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料からなる液晶テストセル14に単発パルス電圧を印加したときには図6に示すような過渡電流Iが流れる。
【0068】
そして、この過渡電流Iは、電流電圧変換部16、アンプ17、A/Dコンバータ19を介して過渡電流Iに相当する電圧信号に変換されて制御部20に入力される。
【0069】
そして、制御部20において過渡電流Iのピーク電流Iが求められる。
【0070】
このピーク電流Iを式(1)に代入することにより、正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の回転粘性率γ1が決定される。
【0071】
なお、上記した実施の形態では、ファンクションジェネレータ11から単発パルス電圧を出力するようにしたが、2以上の単発パルス電圧を出力するようにしても良い。
【0072】
さらに、上記実施の形態では、ROMにプログラムを記憶させておいたが、ハードディスク装置やその他の記録媒体に記憶させておくようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施の形態に係るネマティック液晶材料の決定装置の構成を示すシステム構成図。
【図2】同実施の形態に係る負の誘電率異方性を持つ液晶材料からなる液晶テストセルに単発パルス電圧を印加したときに流れる過渡電流波形図。
【図3】同実施の形態に係る垂直配向を施した負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料からなる液晶テストセルを垂直配向を施した状態を示す図。
【図4】同実施の形態に係る液晶テストセルに電界をかけた液晶テストセルの状態の変化を示す図。
【図5】同実施の形態に係る理論的に算出した同液晶テストセルに流れる過渡電流と実際に測定された過渡電流をマッチングした状態を示す図。
【図6】同実施の形態に係る正の誘電率異方性を持つ液晶材料からなる液晶テストセルに単発パルス電圧を印加したときに流れる過渡電流波形図。
【図7】同実施の形態に係る正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料からなる液晶テストセルを水平配向を施した状態を示す図。
【図8】同実施の形態に係る液晶テストセルに電界をかけた液晶テストセルの状態の変化を示す図。
【符号の説明】
【0074】
11…ファンクションジェネレータ、12…アダプティブ・ローパスフィルタ、
13…アンプ、14…液晶テストセル、15…切替スイッチ、16…電流電圧変換部、
17…アンプ、18…ローパスフィルタ、19…A/Dコンパレータ、
20…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直配向を施した基板で負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセルと、
前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加する電圧印加手段と、
前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加し、前記液晶テストセルに流れる過渡電流波形を測定する測定手段と、
前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加したときに流れる過渡電流波形を理論的に計算する計算手段と、
前記測定手段で測定された過渡電流波形と、前記計算手段で計算された理論的な過渡電流波形とを前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性を変えながら整合させ、両過渡電流波形が整合したときの物理特性を前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性と決定する決定手段と、
を具備したことを特徴とするネマティック液晶材料の物理特性決定装置。
【請求項2】
前記決定手段は、液晶材料の物理特性である回転粘性率γ1を決定することを特徴とする請求項1記載のネマティック液晶材料の物理特性決定装置。
【請求項3】
前記決定手段は、液晶材料の物理特性であるずり粘度η2を決定することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のネマティック液晶材料の物理特性決定装置。
【請求項4】
前記決定手段は、液晶材料の物理特性であるプレチルト角θ0を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のネマティック液晶材料の物理特性決定装置。
【請求項5】
垂直配向を施した基板で負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加する電圧印加工程と、
前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加し、前記液晶テストセルに流れる過渡電流波形を測定する測定工程と、
前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加したときに流れる過渡電流波形を理論的に計算する計算工程と、
前記測定手段で測定された過渡電流波形と、前記計算手段で計算された理論的な過渡電流波形とを前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性を変えながら整合させ、両過渡電流波形が整合したときの物理特性を前記液晶テストセルの液晶材料の物理特性と決定する決定工程と、
を具備したことを特徴とする負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性決定方法。
【請求項6】
前記決定工程は、液晶材料の物理特性である回転粘性率γ1を決定することを特徴とする請求項5記載の負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性決定方法。
【請求項7】
前記決定工程は、液晶材料の物理特性であるずり粘度η2を決定することを特徴とする請求項5あるいは請求項6記載の負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性決定方法。
【請求項8】
前記決定工程は、液晶材料の物理特性であるプレチルト角θ0を決定することを特徴とする請求項5ないし請求項7のうちいずれか一項に記載の負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性決定方法。
【請求項9】
前記決定工程は、液晶材料の物理特性であるLeslieの粘性係数α〜αのうちの少なくとも一つを決定することを特徴とする請求項5〜請求項8のうちいずれか一項に記載の負の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の物理特性決定方法。
【請求項10】
水平配向を施した基板で正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料を狭持する液晶テストセルと、
前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加する電圧印加手段と、
前記液晶テストセルに一つあるいはそれ以上の単発パルス電圧を印加し、前記液晶テストセルに流れる過渡電流波形を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定された過渡電流波形のピーク値に基づいて正の誘電率異方性を持つネマティック液晶材料の回転粘性率γ1を演算する演算手段と、
を具備したことを特徴とするネマティック液晶材料の物理特性決定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−243638(P2006−243638A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62536(P2005−62536)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年9月26日(日)〜28日(火) 日本液晶学会主催の「2004年日本液晶学会討論会」において文書をもって発表
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【出願人】(592105859)株式会社東陽テクニカ (2)
【Fターム(参考)】