説明

ハイドロフルオロエーテル化合物類並びにそれらの調製方法及び使用方法

ハイドロフルオロエーテル化合物は、独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してアルコキシ又はフルオロアルコキシ置換フルオロメチレン部分(−CF(OR)−)へと結合する介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、前記末端基のそれぞれが、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を所望により含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第11/567,643号(2006年12月6日出願)の利益を主張し、その開示内容全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、部分フッ素化エーテル化合物に関する。他の態様では、本発明は、更に部分フッ素化エーテル化合物の製造方法及びそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハイドロフルオロエーテル化合物類(HFEs)は、商業的に有用な化合物類の部類を含む。多数の用途において、ハイドロフルオロエーテルは、クロロフルオロカーボン類(CFCs)が環境に対して有すると考えられている悪影響故に、現時点で回避し規制されているCFCsの代用品として有用であることが判明した。CFCsとは異なり、フッ素を唯一のハロゲンとして含有するハイドロフルオロエーテル化合物類は、地球のオゾン層に対して実質的に影響を与えない。したがって、このようなハイドロフルオロエーテル化合物類は、「オゾン層の破壊可能性」がゼロであると言われている。加えて、このようなHFEsは、典型的には、地球環境内にてより容易に分解され、地球温暖化の原因となる可能性は低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイドロフルオロエーテル化合物類は、例えば、ペルフルオロ化酸フルオライド類のアルキル化、(電気化学的フッ素化又は直接フッ素化により調製される)、ペルフルオロ化ケトン類のアルキル化(ペルフルオロ化酸フルオライド類及び過フッ素化オレフィン類の反応によって調製される)、並びにテトラフルオロエチレン(TFE)の光酸化(続いて還元性安定化)を含む、各種の異なった方法により調製されてきた。そのような方法には、各種の利点と欠点がある。例えば、後者の方法では、比較的有害な試薬(TFE)を取り扱う必要があり、更に、大がかりな精製が通常必要となる、様々なものを含む生成物混合物が提供される。一般的に、そのような方法はまた、(ある種の分枝状ペルフルオロケトン類のアルキル化が困難であるため)幾つかの部類の分枝状HFEsを製造するには好適ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
環境適合性化合物に対して増大する需要の観点から(好ましくは、オゾン層破壊潜在力がゼロである及び/又は地球温暖化潜在力が低い化合物類)、本発明者らは、各種の異なった用途に対する要求性能を満足させることができるHFEsに対する要求(例えば、沸点が150℃以上)が、それらの調製のための効率的でかつ費用効率が高い方法に対するのと同様に、現在でも引き続き存在すると考える。好ましくは、このような方法は、必要に応じて調整する構造及び物理的性質を有するハイドロフルオロエーテル化合物類を、幅広い生成物混合物を生成することなく、柔軟にかつ管理して、製造することができる。
【0006】
要約すると、一態様では、本発明は、独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してアルコキシ又はフルオロアルコキシ置換フルオロメチレン部分(−CF(OR)−)へと結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、末端基のそれぞれが所望により、少なくとも1つの鎖中で連結された(即ち、鎖になっている)へテロ原子を含む、ハイドロフルオロエーテル化合物を提供する。好ましくは、フルオロメチレン部分は、アルコキシ置換されており、末端基は、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を所望により含有するペルフルオロアルキル基から独立して選択される。
【0007】
多目的の新しい部類のハイドロフルオロエーテル化合物類は、良好な収率で、フルオロケミカル酸フルオライド(a fluorochemical acid fluoride)とフルオロ−又はペルフルオロビニルエーテルとが反応して分枝状フルオロケミカルケトンを形成する反応で、引き続いて、分枝状フルオロケミカルケトンが無水アルカリ金属フルオライド又は無水銀フルオライド(好ましくは、無水の極性、非プロトン性溶剤)とが反応して、次にアルキル化(例えば、ジアルキルサルフェート類を使用する)されるフルオロケミカルアルコキシドを形成する反応からなる単純なプロセスで製造できることが判明した。出発物質たるフルオロケミカル酸フルオライド及びフルオロ−又はペルフルオロビニルエーテルの構造を変化させることにより、必要に応じて調整する構造及び物理的性質を有するHFEsを制御可能に得ることができる。
【0008】
意外にも、フルオロケミカルケトンが、そのカルボニル基の両面(及び隣接部)に分岐部分を含む場合であっても(即ち、フルオロケミカルケトンが、そのテトラフルオロエチリデン部分に加えて、分枝状末端基を含有する場合であっても)、アルキル化反応は容易である。これは、同一フルオロケミカル酸フルオライドを、(フルオロ−又はペルフルオロビニルエーテルではなくむしろ)対応するペルフルオロオレフィンと反応させることによって得られた対応するフルオロケミカルケトン類と著しい対照をなす。このようなフルオロケミカルケトン類のアルキル化で唯一困難な点は、相対的に非常に低い収率でのみアルキル化することができることである。
【0009】
本発明のHFEsは、例えば、コーティング付着の溶剤、洗浄用又は乾燥用流体、ドライクリーニング用流体、重合媒質、文献保存媒質、熱伝導剤、泡吹き付けに用いるためのセルサイズレギュレータ、気相半田付けに用いるための熱伝導剤、並びに金属類の切断及び形成における金属加工剤としての使用を含む、多数の異なった用途にて使用可能である。HFEsの少なくとも幾つかは、予想外に高い熱安定性を示し、それらを高温用途にて特に有用なものとする。HFEsの少なくとも幾つかを100℃超で煮沸した場合もまた、意外にも、良好な低温粘性特性を示す。このため、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、上述した、各種の異なった用途に対する要求性能を満足させることができるHFEsに対する現在の必要性を(それらの調製のための効率的かつ費用効率が高い方法に対する必要性と同様に)満足させる。
【0010】
別の態様では、本発明はまた、本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類の調製において有用なフルオロケミカルケトン化合物類を提供する。このようなフルオロケミカルケトン化合物類は、独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してカルボニル基へと結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、少なくとも1つの末端基は、少なくとも1つの鎖中で連結された(即ち、鎖になっている)窒素原子を含む。好ましくは、末端基の少なくとも1つは、少なくとも1つのペルフルオロモルホリノ部分を含む。
【0011】
別の態様では、本発明は更に、(a)少なくとも1つのフルオロケミカル(好ましくは、ペルフルオロ化)酸フルオライドと、少なくとも1つのフルオロ−又はペルフルオロビニル(好ましくは、ペルフルオロビニル)エーテルとを反応させて、独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してカルボニル基に結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、末端基のそれぞれは所望により、少なくとも1つの鎖中で連結される(即ち、鎖になっている)へテロ原子を含む、少なくとも1つのフルオロケミカルケトン(好ましくは、ペルフルオロケトン)を形成する工程、(b)フルオロケミカルケトン化合物と、少なくとも1つのフルオライド供給源とを反応させて、少なくとも1つのフルオロケミカル(好ましくは、ペルフルオロ化)アルコキシドを形成する工程、及び(b)フルオロケミカルアルコキシドと、少なくとも1つのアルキル化剤とを反応させて、少なくとも1つのハイドロフルオロエーテル化合物を形成する工程を含む、ハイドロフルオロエーテル化合物類の調製方法を提供する。
【0012】
更に他の態様では、本発明は、本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類を使用するための以下の方法を提供する。
【0013】
物品を、少なくとも1種の本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含む組成物と接触させる工程を含む、汚染物質(例えば、油若しくはグリース、微粒子、又は水)の物品からの除去方法。
【0014】
少なくとも1つの発泡性ポリマー又は少なくとも1つの発泡性ポリマーの前駆体の存在下で、発泡剤混合物を蒸発させることを含む発泡プラスチックの調製方法であって、前記発泡剤混合物が、少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含む、調製方法。
【0015】
少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含むフッ素化液体蒸気体中にて、半田を含む少なくとも1つの構成要素を浸漬することによって、半田を融解させる工程を含む、気相半田付け法。
【0016】
少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含む熱伝導剤の使用によって、熱源とヒートシンクとの間で熱を伝達させる工程を含む、熱伝達方法。
【0017】
基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に、(a)少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテルを含む溶媒組成物と、(b)溶媒組成物にて溶解性又は分散性である少なくとも1つのコーティング材料(例えば、フッ素化ポリエーテル又は書類保存材料)とを含む組成物を適用することを含む、基材上にコーティングを付着させる方法。
【0018】
加工流体を金属、サーメット、又はコンポジット部品及び道具に、適用する工程を含む、金属、サーメット、又はコンポジットの加工方法であって、加工流体が、少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物及び少なくとも1つの潤滑性添加剤を含む。
【0019】
少なくとも1つの重合開始剤及び少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物の存在下で、少なくとも1つのモノマー(好ましくは、フッ素含有モノマー)を重合させる工程を含む、重合方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本特許出願で使用するとき、
「鎖中で連結されたヘテロ原子」とは、炭素−ヘテロ原子−炭素の連鎖を形成するようにカーボン連鎖において炭素原子に結合している炭素以外の原子(例えば、酸素、窒素、又は硫黄)を意味し、
「フルオロ−」(例えば、「フルオロアルキレン」又は「フルオロアルキル」又は「フルオロカーボン」などの基又は部分に関して)又は「フッ素化された」とは、炭素に結合した水素原子が少なくとも1つはあるように、部分的にのみフッ素化されていることを意味し、
「フルオロケミカル」は、フッ素化又はペルフルオロ化を意味し、そして
「ペルフルオロ−」(例えば、「ペルフルオロアルキレン」若しくは「ペルフルオロアルキル」若しくは「ペルフルオロカーボン」などの基又は部分に関して)又は「ペルフルオロ化された」とは、別段に規定されている場合を除いて、炭素に結合した水素原子(フッ素で置き換え可能)がないように完全にフッ素化されていることを意味する。
【0021】
ハイドロフルオロエーテル化合物類
本発明の新規化合物類は、独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してアルコキシ又はフルオロアルコキシ置換フルオロメチレン部分(−CF(OR)−)へと結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、末端基のそれぞれが所望により、少なくとも1つの鎖中に連結された(即ち、鎖になっている)へテロ原子を含み、好ましくは、フルオロメチレン部分は、アルコキシ置換されており、末端基は、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を所望により含有するペルフルオロアルキル基から独立して選択される。
【0022】
本発明の化合物類の部類は、次の一般式(I)で表すことができるものである。
【0023】
−CFX−O−CF(CF)−CF(OR)−CFX−R (I)
(式中、Rはそれぞれ独立して、フッ素原子又は直鎖、分岐鎖、環状、若しくはそれらの組み合わせのペルフルオロアルキル基であり、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を所望により含有し、−CFH、−CFHCF、及び−CFOCHから選択される末端部分を所望により含み、Xは、それぞれ独立して、フッ素原子又は直鎖、分岐鎖、環状、若しくはそれらの組み合わせのペルフルオロアルキル基であり、1個〜約6個の炭素原子を有し、Rは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基又はフルオロアルキル基であり、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を所望により含有する。)好ましくは、Rはそれぞれ独立して、フッ素原子又は直鎖若しくは分枝鎖のペルフルオロアルキル基であり、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を所望により含有し、1個〜約8個の炭素原子(より好ましくは、1個〜約4個の炭素原子)を有し、Xはそれぞれ独立して、フッ素原子又は直鎖若しくは分枝鎖のペルフルオロアルキル基であり、1個〜約3個の炭素原子(より好ましくは、フッ素原子又はペルフルオロメチル基)を有し、Rは、直鎖又は分枝鎖のアルキル基又はフルオロアルキル基であり、1個〜約8個の炭素原子(より好ましくは、1個〜約4個の炭素原子を有するアルキル基、最も好ましくは、エチル基又はメチル基)を有する。
【0024】
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類の代表例としては、以下のもの(式中、Rは、CH、C、C、C、CHCF、及びCHCFCFHから選択される)が挙げられる。
【0025】
CFOCF(CF)CF(OR)CF、CFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCF(CF)CF(OR)C、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCF
CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC、CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFOCF(CF)CF(OR)CFCFH、CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
【0026】
【化1】

【0027】
OCF(CF)CF(OR)CF、COCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、COCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CF(OR)C、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF、COCF(CF)CF(OR)CFCF
OCF(CF)CF(OR)CFCFOCH、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0028】
【化2】

【0029】
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
【0030】
【化3】

【0031】
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0032】
【化4】

【0033】
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0034】
【化5】

【0035】
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCFCFOCF
【0036】
【化6】

【0037】
11OCF(CF)CF(OR)CF、C11OCF(CF)CF(OR)CFCF
11OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF
11OCF(CF)CF(OR)C、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
11OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF、C11OCF(CF)CF(OR)CFCF
11OCF(CF)CF(OR)CFCFOCH、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0038】
【化7】

【0039】
【化8】

【0040】
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFOCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CFOCF(CF)(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCF(CF)OC
【0041】
【化9】

【0042】
HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFH HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
HCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCFCF
【0043】
【化10】

【0044】
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF;CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCH
CHOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCFCFOCH
【0045】
【化11】

【0046】
等、及びこれらの混合物。
【0047】
好ましいハイドロフルオロエーテル化合物類としては、以下のもの(式中、RはCH、C、C、及びC)が挙げられる。
【0048】
CFOCF(CF)CF(OR)CF、CFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCF(CF)CF(OR)C、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCF
CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC、CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
【0049】
【化12】

【0050】
OCF(CF)CF(OR)CF、COCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、COCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CF(OR)C、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0051】
【化13】

【0052】
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
【0053】
【化14】

【0054】
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0055】
【化15】

【0056】
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0057】
【化16】

【0058】
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCFCFOCF
【0059】
【化17】

【0060】
11OCF(CF)CF(OR)CF、C11OCF(CF)CF(OR)CFCF
11OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF
11OCF(CF)CF(OR)C、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
11OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0061】
【化18】

【0062】
【化19】

【0063】
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFOCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CFOCF(CF)(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCF(CF)OC
【0064】
【化20】

【0065】
及びこれらの混合物。
【0066】
より好ましい化合物類としては、以下のものが挙げられ、
式中、RはCH及びCH5から選択される。
【0067】
CFOCF(CF)CF(OR)CF、CFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCF(CF)CF(OR)C、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCF
CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC、CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
【0068】
【化21】

【0069】
OCF(CF)CF(OR)CF、COCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、COCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CF(OR)C、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0070】
【化22】

【0071】
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
【0072】
【化23】

【0073】
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0074】
【化24】

【0075】
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0076】
【化25】

【0077】
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCFCFOCF
【0078】
【化26】

【0079】
11OCF(CF)CF(OR)CF、C11OCF(CF)CF(OR)CFCF
11OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF
11OCF(CF)CF(OR)C、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
11OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【0080】
【化27】

【0081】
【化28】

【0082】
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFOCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CFOCF(CF)(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCF(CF)OC
【0083】
【化29】

【0084】
並びにこれらの混合物。
【0085】
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類は、疎水性であり、それらのペルフルオロエーテル類似化合物よりもより疎油性が小さく、相対的に化学的非反応性であり、熱的に安定であり、非水溶性であり、それらは本発明に従って、高収率、高純度で、幅広い分子量にて製造可能である。それらの炭素−水素・共有結合は、一般に、大気光酸化によって分解可能であり、これにより、環境的に許容可能な又は適合性のあるハイドロフルオロエーテル化合物類を生じる。
【0086】
ハイドロフルオロエーテル化合物類の調製
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類(HFEs)は、フルオロケミカルケトン(より具体的には、独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してカルボニル基に結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分を含むフルオロケミカルケトンで、末端基のそれぞれが所望により少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を含む)と無水フッ化アルカリ金属(例えば、フッ化カリウム又はフッ化セシウム)又は無水フッ化銀(好ましくは、無水極性非プロトン性溶媒中にて)との反応により調製されたフルオロケミカルアルコキシド類のアルキル化により調製することができる。例えば、フランス特許公報第2,287,432号及びドイツ特許公報第1,294,949号に記載されている調製方法、加えて米国特許第5,750,797号(ヴィトカック(Vitcak)ら)に記載されている方法を参照のこと。
【0087】
フルオロケミカルケトン類は、対応するフルオロケミカル酸フルオライド類から、少なくとも1つの無水フルオライド供給源(例えば、無水フッ化カリウム)と少なくとも1つの無水極性非プロトン性溶媒(例えば、ジグリム(即ち、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はビス(2−メトキシ)エチルエーテル))との存在下で、少なくとも1種のフルオロケミカル酸フルオライドを、少なくとも1つのフルオロ−又はペルフルオロビニルエーテル(例えば、COCF=CF)と組み合わせることにより調製可能である。所望する場合、相間移動触媒を利用することができる。
【0088】
例えば、フルオロケミカル酸フルオライド、無水フルオライド供給源(一般には、触媒量)、溶媒、及び所望により相間移動触媒(一般には、触媒量)を任意の順序で任意の好適な反応器(例えば、金属反応器、好ましくは圧力反応器)中にて混合させることができ、これを次に密閉し、そして、自己圧力下にて所望の反応温度(例えば、約75℃)まで加熱することができる。次に、少なくとも化学量論量(100%以上の化学量論的過剰まで)のフルオロ−及び/又はペルフルオロビニルエーテルを、反応器の内容物を概ねかき混ぜながら又は攪拌しながら、そして、好ましくは、温度を制御しながら、反応器に添加することができる(若しくは連続的に又は少しずつ分けて添加することができる)。
【0089】
フルオロ−若しくは/又はペルフルオロビニルエーテルの添加完了後、又は反応完結後に、反応器を冷却し、ガス抜きし、内容物を任意の好適な分離方法によって精製することができる。例えば、得られた反応混合物を、濾過し(例えば、フルオライド供給源を除去するために)、相分離し(例えば、溶媒及び触媒を除去するために)、洗浄溶媒により洗浄し(例えば、残留溶媒及び残留触媒を除去するためにアセトンで洗浄し)、相分離し(例えば、洗浄溶媒を除去するために)、そして回転蒸発及び/又は蒸留を行う(例えば、任意の残留揮発性物質を除去するため及び得られたフルオロケミカルケトン生成物を精製するために)ことができる。
【0090】
フルオロケミカル酸フルオライド類(フルオロケミカルケトン類を調製するために使用される)は、例えば、対応する炭化水素酸フルオライド類若しくは酸塩化物類(後者は市販されている)、又は特定のラクトン酸類、無水物類、若しくはジメチルエステル類を、無水フッ化水素中の電気化学的フッ素化又はフッ素原子を使用する直接フッ素化することによって調製できる。好適なフルオロケミカル酸フルオライド類としては、カルボニル部分に隣接した炭素原子に結合した水素原子を有しないようなものが挙げられる。このようなフルオロケミカル酸フルオライド類の代表例としては、
CFC(O)F、CFCFC(O)F、CFCFCFC(O)F、(CFCFC(O)F、CC(O)F、
CFOCFCFC(O)F、COCF(CF)C(O)F、HCFCFC(O)F、CHOCFCFC(O)F、
【0091】
【化30】

【0092】
CFCFOCF(CF)C(O)F、COCF(CF)C(O)F、COCF(CF)C(O)F、
11OCF(CF)C(O)F、CFOCFCFCFOCF(CF)C(O)F、
OCF(CF)CFOCF(CF)C(O)F、HCFCFCFOCF(CF)C(O)F、
CHOCFCFCFOCF(CF)C(O)F、
【0093】
【化31】

【0094】
など、及びこれらの混合物が挙げられる。コスト及び入手性の観点からは、ペルフルオロ化酸フルオライド類が、一般的には好ましい。
【0095】
本発明の調製プロセスの実施において有用なフルオロ−及びペルフルオロビニルエーテル類としては、末端ペルフルオロビニル基を有するようなものが挙げられる。このようなフルオロ−及びペルフルオロビニルエーテル出発化合物(所望により、1つ以上の鎖中で連結されたヘテロ原子を(フルオロ−及びペルフルオロビニルエーテル類のエーテル酸素に加えて)更に含有することができる)は、中間体である分岐酸フルオライド付加化合物を形成するための、フルオロケミカル酸フルオライド又はフルオロケミカルケトンと、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)との反応により調製することができる。次に、本付加化合物を塩基と反応させて、中間体であるカルボン酸塩を形成することができ、次に高温にて(所望により、不活性溶媒の存在下で)カルボキシル基を除去することができる。幾つかのペルフルオロビニルエーテル類(例えば、COCF=CF、COCF(CF)CFOCF=CF、及びCFOCF=CFなどのペルフルオロビニルエーテル類)もまた、(例えば、シンクエスト社(Synquest)又はアポロ・サイエンティフィック社(Apollo Scientific, Ltd.)から)市販されている。
【0096】
ハイドロフルオロエーテル化合物を調製するのに有用なフルオロ−及びペルフルオロビニルエーテル類には、COCF=CF
OCF(CF)CFOCF=CF、CFOCF=CF、COCF=CF、CFOCOCF=CF
OCF=CF、(CFCFCFOCF=CF、C11OCF=CF
HCFCFCFOCF=CF、CHOCFCFCFOCF=CF、CFCFHCFCFOCF=CF
【0097】
【化32】

【0098】
など、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましいビニルエーテル類としては、COCF=CF、COCF=CF、CFOCOCF=CF、CFOCF=CF、COCF(CF)CFOCF=CF、及びこれらの混合物が挙げられる。COCF=CF、COCF=CF、及びこれらの混合物が、より好ましい。(所望する場合、出発化合物の混合物を使用することが可能であるが、精製が必要となり得る生成物の混合物が結果として製造されるために、混合物は一般に、より好ましくない。)
好適な無水フルオライド供給源としては、解離してフルオライドイオンの無水供給源を提供することができる無水フッ素含有化合物が挙げられる。そのような化合物としては、金属フルオライド(例えば、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、など、及びこれらの混合物)、金属酸性フルオライド、四級アンモニウムフルオライド、四級ホスホニウム(phophonium)フルオライド等、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい無水フルオライド供給源としては、フッ化カリウム、フッ化セシウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、フッ化カリウムがより好ましい。
【0099】
好適な溶媒としては、グリコールエーテル溶媒(例えば、グリム、ジグリム、トリグリム、テトラグリムなど、及びこれらの混合物)などの無水極性非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリルなど、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、グリム、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ジメチルホルムアミド、及びこれらの混合物が挙げられ、グリム、ジグリム、ジメチルホルムアミド、及びこれらの混合物がより好ましく、ジグリムが最も好ましい。
【0100】
好適な相間移動触媒としては、四級アンモニウム塩類、四級ホスホニウム塩類、クラウンエーテル類、クリプタンド類など、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい塩対イオン類としては、市販されているようなもの(例えば、塩化物)、加えてモノアルキルサルフェート類、モノアルキルスルホネート類など、及びこれらの混合物のようなものが挙げられる。有用なクラウンエーテル類としては、4’−アミノベンジル−15−クラウン−5、1−アザ−12−クラウン−5、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−5、ビス[(ベンゾ−15−クラウン−5)−15−イルメチル]ピメラート、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、4’−ホルミルベンゾ−15−クラウン−5、2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン−5、4’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5、ポリ[(ジベンゾ−18−クラウン−6)−コ−ホルムアルデヒド]、など、及びこれらの混合物が挙げられる。有用な市販のクリプタンド類としては、クリプトフィックス(KRYPTOFIX)21、211、222、及び222b(シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手可能)が挙げられる。好ましい触媒は、四級アンモニウム塩類であるが、それはそれらが比較的大量に存在し、コストパフォーマンスが高いためである。有用な市販の四級アンモニウム塩類としては、アドゲン(ADOGEN)464(シグマ−アルドリッチケミカル社から入手可能なメチルトリアルキル(C〜C10)塩化アンモニウム)が挙げられる。その他の好ましい相間移動触媒は、(C17CHOSOCHこれはトリオクチルアミンとジメチルサルフェートとの反応によって調製でき、及び(CCHOSOCHである。利用する場合、相間移動触媒は典型的には、反応混合物の約0.001モルパーセント〜約5.0モルパーセントを構成する濃度にて添加した。
【0101】
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類の調製では、フルオロケミカルケトン、無水フルオライド供給源(一般に、化学量論的過剰)、アルキル化剤(一般に、化学量論的過剰)、溶媒、及び所望により、相間移動触媒(一般に、触媒量)を、任意の順序で、任意の好適な反応器(例えば、金属反応器、好ましくは圧力反応器)内にて混ぜ合わせることができる。次に、反応器を密閉し、所望の反応温度(例えば、約30℃〜50℃)まで、自己圧力下にて、所望の水準の転化率に達するのに十分な期間(例えば、約16時間〜72時間)、一般に、反応器内容物を撹拌又はかき混ぜながら、好ましくは温度制御しながら加熱できる。
【0102】
反応完了後、反応器を冷却し、通気させ、内容物を任意の好適な分離方法にて精製させることができる。例えば、得られた反応混合物を、濾過し(例えば、フルオライド供給源を除去するために)、相分離し(例えば、溶媒及び触媒を除去するために)、洗浄溶媒により洗浄し(例えば、残留溶媒及び残留触媒を除去するためにアセトンで洗浄し)、相分離し(例えば、洗浄溶媒を除去するために)、そして回転蒸発及び/又は蒸留を行う(例えば任意の残留揮発性物質を除去するため及び得られたHFE生成物を精製するために)ことができる。
【0103】
あるいは、反応器を冷却後、反応器の内容物を含水水酸化カリウムで処理し、続いて追加の加熱期間(例えば、60℃で約1〜3時間)にて、過剰なアルキル化剤と反応させ、過剰なアルキル化剤を除去する。次に、得られた反応混合物を前述したように精製することができ、あるいは、得られた留出物の得られた下層にあるフルオロケミカル相を分離して蒸気蒸留し、更に、例えば、分別蒸留によって、精製することができる。
【0104】
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類の調製に用いられる、好適な(かつ好ましい)無水フルオライド供給源及び相間移動触媒としては、上記のようなものが挙げられる。好適なフルオロケミカルケトン化合物類としては、
CFOCF(CF)COCF、CFOCF(CF)COC
CFOCF(CF)COCFCFCF、CFOCF(CF)COCF(CF
CFOCF(CF)COC、CFOCF(CF)COCF(CF)OCF
CFOCF(CF)COCF(CF)OC、CFOCF(CF)COCFCFOCF
CFOCF(CF)COCFCFH CFOCF(CF)COCFCFOCH
【0105】
【化33】

【0106】
OCF(CF)COCF、COCF(CF)COC
OCF(CF)COCFCFCF、COCF(CF)COCF(CF
OCF(CF)COC、COCF(CF)COCF(CF)OC
OCF(CF)COCFCFOCF、COCF(CF)COCFCF
OCF(CF)COCFCFOCH、COCF(CF)COCF(CF)OC
【0107】
【化34】

【0108】
CFCFCFOCF(CF)COCF、CFCFCFOCF(CF)COC
CFCFCFOCF(CF)COCFCFCF、CFCFCFOCF(CF)COCF(CF
CFCFCFOCF(CF)COC、CFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC
CFCFCFOCF(CF)COCFCFOCF、CFCFCFOCF(CF)COCFCF
CFCFCFOCF(CF)COCFCFOCH
【0109】
【化35】

【0110】
CFCFCFCFOCF(CF)COCF、CFCFCFCFOCF(CF)COCFCF
CFCFCFCFOCF(CF)COCFCFCF
CFCFCFCFOCF(CF)COCF(CF、CFCFCFCFOCF(CF)COC
CFCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC、CFCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCF
CFCFCFCFOCF(CF)COCFCF
CFCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCH
CFCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC
【0111】
【化36】

【0112】
(CFCFCFOCF(CF)COCF、(CFCFCFOCF(CF)COCFCF
(CFCFCFOCF(CF)COCFCFCF、(CFCFCFOCF(CF)COCF(CF
(CFCFCFOCF(CF)COC
(CFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC
(CFCFCFOCF(CF)COCFCFOCF、(CFCFCFOCF(CF)COCFCF
(CFCFCFOCF(CF)COCFCFOCH
(CFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC
【0113】
【化37】

【0114】
CFOCFCFCFOCF(CF)COCF
CFOCFCFCFOCF(CF)COCFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)COCFCFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)COCF(CF
CFOCFCFCFOCF(CF)COC
CFOCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC
CFOCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCF
CFOCFCFCFOCF(CF)COCFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCH
CFOCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OCFCFCFOCF
【0115】
【化38】

【0116】
11OCF(CF)COCF、C11OCF(CF)COCFCF
11OCF(CF)COCFCFCF、C11OCF(CF)COCF(CF
11OCF(CF)COC、C11OCF(CF)COCF(CF)OC
11OCF(CF)COCFCFOCF、C11OCF(CF)COCFCF
11OCF(CF)COCFCFOCH、C11OCF(CF)COCF(CF)OC
【0117】
【化39】

【0118】
【化40】

【0119】
OCF(CF)CFOCF(CF)COCF、COCF(CF)CFOCF(CF)COC
OCF(CF)CFOCF(CF)COCFCFCF
OCF(CF)CFOCF(CF)COCF(CF
OCF(CF)OCF(CF)(CF)COC
OCF(CF)CFOCF(CF)COCF(CF)OC
OCF(CF)CFOCF(CF)COCFCFOCF
OCF(CF)CFOCF(CF)COCFCF
OCF(CF)CFOCF(CF)COCFCFOCH
OCF(CF)CFOCF(CF)COCF(CF)OCFCF(CF)OC
【0120】
【化41】

【0121】
HCFCFCFOCF(CF)COCF、HCFCFCFOCF(CF)COCFCF
HCFCFCFOCF(CF)COCFCFCF、HCFCFCFOCF(CF)COCF(CF
HCFCFCFOCF(CF)COC
HCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC
HCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCF
HCFCFCFOCF(CF)COCFCFH、HCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCH
HCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OCFCFCF
【0122】
【化42】

【0123】
CHOCFCFCFOCF(CF)COCF、CHOCFCFCFOCF(CF)COCFCF
CHOCFCFCFOCF(CF)COCFCFCF
CHOCFCFCFOCF(CF)COCF(CF
CHOCFCFCFOCF(CF)COC
CHOCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OC
CHOCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCF
CHOCFCFCFOCF(CF)COCFCF
CHOCFCFCFOCF(CF)COCFCFOCH
CHOCFCFCFOCF(CF)COCF(CF)OCFCFCFOCH
【0124】
【化43】

【0125】
など、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0126】
好適なアルキル化剤としては、ジアルキルサルフェート類(例えば、硫酸ジメチル);ハロゲン化アルキル類(例えば、ヨウ化メチル);アルキル−p−トルエンスルホネート類(例えば、メチル−p−トルエンスルホネート);アルキルペルフルオロアルカンスルホネート類(例えば、メチルペルフルオロメタンスルホネート);フルオロアルキルペルフルオロアルカンスルホネート類(例えば、2,2,2−トリフルオロエチルペルフルオロブタンスルホネート);ジ−トシレート類(例えば、1,3−プロパンジオール−ジ−p−トルエンスルホネート)、ジ−メシレート類(例えば、1,4−ブタンジオールビス(メタンスルホネート))、及びビス(ペルフルオロアルカンスルホネート類)(例えば、1,3−プロパンジオールビス(ノナフルオロブタンスルホネート)を含む二官能性アルキル化剤など、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましいアルキル化剤としては、ジアルキルサルフェート類及びこれらの混合物が挙げられる。
【0127】
好適な(かつ好ましい)極性非プロトン性溶媒としては、上記のようなもの、並びに非環式エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、及びジエチレングリコールジメチルエーテル;カルボン酸エステル類、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、及び酢酸メチル;炭酸エステル類、例えば、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、及びエチレンカーボネート;亜硝酸アルキル類、例えば、アセトニトリル;アルキルアミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、及びN−メチルピロリドン;アルキルスルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド;アルキルスルホン類、例えば、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、及びその他のスルホラン類;オキサゾリドン類、例えば、N−メチル−2−オキサゾリドン;など、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0128】
ハイドロフルオロエーテル化合物類の使用
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類(又は通常は、それを含み、それからなり、若しくは基本的にそれからなる液体組成物である)は、様々な用途で使用することが可能である。例えば、前記化合物は、ディスク又は回路基板のような電子物品の精密洗浄又は金属洗浄のための溶剤として;熱伝導剤(例えば、ハイブリッド車両の冷却用、若しくは半導体産業における集積回路装置の冷却又は加熱用であって、その装置には、ドライエッチャー、集積回路テスター、ホトリソグラフィ露光装置(ステッパー)、アッシャー、化学蒸着装置、自動化テスト装置(プローバー)、及び物理蒸着装置(スパッター)が含まれる。)として;発泡断熱材(例えば、ポリウレタン、フェノール樹脂、及び熱可塑性樹脂の発砲体)の製造におけるセルサイズ調節剤として;書類保存材料及び潤滑剤用のキャリア流体又はキャリア溶媒として;ヒートポンプのような動力サイクル加工流体として;ランキンサイクルエンジンの熱回収流体として;重合反応のための不活性媒体として;金属のような研磨表面からバフ研磨化合物を除去するためのバフ研磨剤として;宝石類又は金属部品からなどの水を除去するための置換乾燥剤として;塩素系現像剤を含む通常の回路製造技術におけるレジスト現像剤として;並びに、例えば、1,1,1−トリクロロエタン又はトリクロロエチレンなどの塩化炭化水素と併用する場合のフォトレジスト剥離剤として;使用できる。
【0129】
ハイドロフルオロエーテル化合物類は、典型的には、大きな絶縁耐力(例えば、約10オーム−cmより大きい)を示し、それらを半導体産業での使用に大変都合の良いものとする。予想外に高い熱安定性を示すハイドロフルオロエーテル化合物類は、熱伝達用途、半導体産業及びフラットスクリーンパネル製造などの高温用途において特に有用であり得え、100℃超の沸点、加えて良好な低温粘性特性を有するハイドロフルオロエーテル化合物類は、高温ヒートシンク及び低温ヒートシンク間のサイクルが必要な用途にて特に有用である。
【0130】
ハイドロフルオロエーテル化合物類は、単独で若しくは互いの混合物にて又はその他の一般的に使用される溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、アルカン類、アルケン類、ペルフルオロカーボン類、ペルフルオロ化三級アミン類、ペルフルオロエーテル類、シクロアルカン類、エステル類、ケトン類、芳香族類、シロキサン類、ヒドロクロロカーボン類、ヒドロクロロフルオロカーボン類、ヒドロフルオロカーボン類、など、及びこれらの混合物)と共に使用可能である。このような共溶媒は、特定の用途のために、組成物の特性を改質し又は高めるように選択することができ、得られた組成物が好ましくは引火点を持たないような(共溶媒(類)対ハイドロフルオロエーテル(類)の)比にて、利用することができる。所望する場合、ハイドロフルオロエーテル化合物類は、特定用途に対して性質が極めて類似したその他の化合物類(例えば、その他のハイドロフルオロエーテル化合物類)と組み合わせて、本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類から「基本的になる」組成物を形成するために使用することが可能である。
【0131】
少量の任意構成成分類を前記化合物類に加えて、特定用途のための特定の所望の特性を付与することができる。有用な組成物類は、例えば、界面活性剤、染色剤、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、など及びこれらの混合物といった従来型添加剤を含むことができる。
【0132】
ハイドロフルオロエーテル化合物類は、洗浄及び乾燥用途のための溶剤として有用であり、例えば、米国特許第5,125,089号(フリン(Flynn)ら)、米国特許第3,903,012号(ブランドレス(Brandreth))、米国特許第4,169,807号(ズベール(Zuber))、及び米国特許第5,925,611号(フリン(Flynn)ら)に記載されているものがある。有機及び無機の基材双方は、それらを少なくとも1つの本発明のHFEを含む組成物と接触させることで洗浄できる。炭化水素汚染物質、フルオロカーボン汚染物質、微粒子、及び水を含む、ほとんどの汚染物質は、除去することができる。
【0133】
(回路基板などの)物品表面からの水の乾燥又はそこからの水の置換のための化合物の使用において、例えば、米国特許第5,125,978号(フリン(Flynn)ら)に記載されている乾燥又は水置換のプロセスを使用することが可能である。概括的に、このようなプロセスは、少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を、好ましくは非イオン性フルオロ脂肪族界面活性剤との混合体で含む液体組成物に物品表面を接触させることからなる。濡れた物品を液体組成物中に浸漬させ、その中で攪拌し、置換した水を液体組成物から分離し、得られた水を含まない物品は液体組成物から除去する。方法の更なる説明及び処理可能な物品は、前記米国特許第5,125,978号中に見出すことができる。
【0134】
本発明の化合物類を気相半田付けにて使用する場合、例えば、米国特許第5,104,034号(ハンセン(Hansen))に記載されているプロセスを使用することが可能である。要約すると、このようなプロセスは、少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含む蒸気本体中にて半田付けをする構成要素を浸漬して、半田を溶解することからなる。このようなプロセスの実施において、ハイドロフルオロエーテル組成物の液溜を沸騰するまでタンク内で加熱して、沸騰液体と凝縮手段との間の空間に飽和蒸気を形成し、半田付けする部品を蒸気中に浸漬させ、そこで蒸気は部品表面上に凝縮して、半田を溶融しリフローし、次に半田付けした部品を、蒸気を含む空間から取り除く。
【0135】
本発明の化合物類を、(発泡ポリウレタンなどの)プラスチックフォームの調製においてセルサイズ調節剤として使用する場合、例えば、米国特許第5,210,106号(ダムス(Dams)ら)及び米国特許第5,539,008号(ダムス(Dams)ら)に記載されているプロセス反応物質及び反応条件を使用することが可能である。このような1プロセスは、少なくとも1種の発泡性ポリマー又は少なくとも1つの発泡性ポリマーの前駆体の存在下で、発泡剤混合物を蒸発させることを含み、発泡剤混合物は、少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含む。
【0136】
本発明の化合物類を熱伝導剤として使用する場合、例えば、米国再発行特許第37,119 E(シェルウッド(Sherwood))及び米国特許第6,374,907 B1号(トウシグナント(Tousignant)ら)に記載されているプロセスを使用することが可能である。このようなプロセスの実施において、少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含む熱伝導剤を使用することによって、熱源(例えば、シリコンウェーハ又はフラットパネルディスプレイの構成要素)とヒートシンクとの間で熱を移動させる。熱伝導剤として使用されている幾つかのHFEsとは異なり、本発明のHFEsは、幅広く異なった分子量の構成成分の混合物ではない。むしろ、HFEsは一般に、単分散(即ち、単一の分子量)である。これは、それらの物理的性質が、時間が経過しても比較的一定したままであることを意味し、それによってはっきりした伝熱性能の劣化を避ける。加えて、本発明のHFEsは一般に、広い液体領域、その領域に対して有用な粘度、最終用途温度での比較的高い熱安定性を示し、それらを伝熱流体としての使用に大変都合の良いものとする。
【0137】
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物をコーティング用途又は書類保存用途における付着溶媒として使用する場合、例えば、米国特許第5,925,611号(フリン(Flynn)等)、及び米国特許第6,080,448号(レイナー(Leiner)等)に記載されているプロセスが使用できる。基材(例えば、磁気記録媒体又はセルロース系材料)上にコーティングを付着させるためのこのような方法は、基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に、(a)少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物を含む溶媒組成物、及び(b)当該溶媒組成物中に溶解可能又は分散可能な少なくとも1つのコーティング材料を含む組成物を塗布することを含む。前記プロセスによって堆積可能なコーティング材料としては、顔料、潤滑剤、安定剤、接着剤、酸化防止剤、染料、ポリマー、医薬品、遊離剤、無機酸化物、書類保存材料(例えば、紙の脱酸にて使用するアルカリ性材料)など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい材料としては、ペルフルオロポリエーテル、炭化水素、及びシリコーン潤滑剤;テトラフルオロエチレンの非晶質コポリマー;ポリテトラフルオロエチレン;書類保存材料;及びこれらの組み合わせが挙げられる。最も好ましくは、前記材料は、ペルフルオロポリエーテル潤滑剤又は書類保存材料である。
【0138】
切削又は研磨加工作業にて本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類を使用する場合、例えば、米国特許第6,759,374号(ミルブラス(Milbrath)ら)に記載される方法が使用できる。金属、サーメット、又はコンポジットの加工方法は、金属、サーメット、又はコンポジット部品及び装置へ加工流体を適用することからなり、当該加工流体は、少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物及び少なくとも1つの潤滑性添加剤を含む。前記加工流体は、1つ以上の従来型添加剤(例えば、腐食防止剤、酸化防止剤、消泡剤、染料、殺菌剤、凝固点降下剤、金属不活性化剤、共溶媒、など、及びこれらの混合物)を更に含むことができる。
【0139】
本発明のハイドロフルオロエーテル化合物類を重合媒体として又は連鎖移動剤として使用する場合、例えば、「研究開示(Research Disclosures)」第40576号、81頁(1998年1月)及び米国特許第5,182,342号(フェイリン(Feiring)ら)及び米国特許第6,399,729号(ファーナム(Farnham)ら)に記載されている方法を使用することが可能である。このような方法は、少なくとも1つのモノマー(好ましくは、少なくとも1つのフッ素含有モノマー)を、少なくとも1つの重合開始剤及び少なくとも1つの本発明のハイドロフルオロエーテル化合物の存在下で、重合することからなる。
【実施例】
【0140】
本発明の目的及び利点は、下記の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。これらの実施例は、単に例示のためのものに過ぎず、添付の請求項の範囲を限定することを意図するものではない。
【0141】
実施例及び明細書の他の箇所における全ての部、パーセント、比等は、他に記載がない限りにおいて、重量当たりである。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス))より入手した。
【0142】
以下の化合物調製において、ジアステレオマー混合物は、分子内の2つ(又はそれ以上)の光学中心の存在によって得られた。これらのジアステレオマーは、お互いに非常に近い沸点を有し、したがってジアステレオマーは蒸留によって分離されなかった。しかし、場合によっては、このようなジアステレオマーはガスクロマトグラフィによって容易に分離することができる。
【0143】
試験方法
核磁気共鳴(NMR)
バリアン社製ユニティプラス(UNITYplus)400・フーリエ変換NMRスペクトロメータ(バリアンNMRインスツルメンツ社(Varian NMR Instruments)(カルフォルニア州パロアルト)から入手可能)にて、H&19F・NMRスペクトルを測定した。
【0144】
ガスクロマトグラフィ/質量分析(GCMS)
GCMS試料を、例えば、フィニガン(Finnigan)社製TSQ7000質量分析計(サーモ・エレクトロン社(Thermo Electron Corporation)(マサチューセッツ州ウォルサム)から入手可能)にて測定した。
【0145】
ガスクロマトグラフィ(GC)
ヒューレット・パッカード社(Hewlett Packard)6890シリーズガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー社(カリフォルニア州パロアルト)から入手可能)にて、GC試料を測定した。
【0146】
赤外線(IR)分光法
IRスペクトルは、サーモニコレー社(Thermo-Nicolet)製・アヴァター(Avatar 370)370・フーリエ変換赤外線(FTIR)スペクトロメータ(サーモ・エレクトロン社(Thermo Electron Corporation)(マサチューセッツ州ウォルサム)から入手可能)にて測定した。
【0147】
【表1】

【0148】
材料
ペルフルオロモルホリノアセチルフルオライド:主として米国特許第2,713,593号(ブライス(Brice)ら)及び「有機フッ素化合物の調製、性質及び工業用用途(Preparation, Properties and Industrial Applications of Organofluorine Compounds)」(R.E.バンクス(Banks)著、19〜43ページ、ハルステッド・プレス(Halsted Press)(ニューヨーク、1982年))に記載されているようなタイプのシモンズ(Simons)ECFセル内で、電気化学的フッ素処理(ECF)によってメチルモルホリノアセテートを調製した。
【0149】
フッ化カリウム:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手噴霧乾燥し、125℃オーブン内で保存し、使用直前に乳鉢及び乳棒を使用して粉砕した。
【0150】
無水ジグリム(無水ジエチレングリコールジメチルエーテル):シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0151】
メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート:硫酸ジメチルとトリブチルアミンの反応によって調製される;48.6%ジグリム溶液。
【0152】
ジエチルサルフェート:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0153】
ペルフルオロブチリルフルオライド:ペルフルオロブチリルフルオライド、CFCFCFCOFは、無水イソ酪酸の電気化学的フッ素化によって調製した。セルからのガス状生成物を、2つの別個の分別蒸留によって更に精製し、98.5%のペルフルオロ−n−ブチリルフルオライドを得た。本材料は、更に精製することなく、後続反応にて使用した。
【0154】
アドゲン(Adogen)(商標)464相間移動触媒(メチルトリアルキル(C〜C10)塩化アンモニウム、49パーセント(%)無水ジグリム溶液):シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手一般的に、アドゲン(Adogen)(商標)464含有ジグリム溶液として使用し、イソプロピルアルコールを除去するために分別蒸留で精製。
【0155】
ヘキサフルオロプロペン(HFP):ダイネオン(ミネソタ州、セントポール)から入手。
【0156】
ジエチルサルフェート:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0157】
ジプロピルサルフェート:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0158】
水酸化カリウム:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0159】
硫酸マグネシウム:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0160】
1,2−ジメトキシエタン:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0161】
ジ−n−プロピルサルフェート:TCIアメリカ(オレゴン州ポートランド)から入手。
【0162】
1,3−プロパンジオール−ジ−p−トシレート:シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company)(ミズーリ州セントルイス)から入手。
【0163】
ジメチルメチルサクシネート:ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)社から入手。
【0164】
ノベック(Novec)(商標)HFE−7100流体(ハイドロフルオロエーテル):3M社(ミネソタ州、セントポール)から入手。
【0165】
実施例1:
【0166】
【化44】

【0167】
a− 中間体ケトンの調製:
【0168】
【化45】

【0169】
ペルフルオロモルホリノアセチルフルオライド(94.6グラム、65パーセント純度、0.19モル)、COCF=CF(50グラム、0.19モル)、無水ジグリム(75グラム)、フッ化カリウム(2.2グラム、0.04モル、125℃のオーブン内で保存し、使用直前に乳鉢及び乳棒を使用して粉砕した)及び相間移動触媒・メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート(1.2グラム、48%ジグリム溶液)を600mLパール(Parr)社製反応器内で混ぜ合わせた。容器を密閉し、82℃まで加熱し、当該温度にて16時間維持した。冷却後、容器を通気し、フッ化カリウム固形分を濾過し、得られた二相反応混合物の相を分離した。得られたケトンを蒸留(沸点=145〜146℃)によって92%純度まで精製した。IRスペクトルは、1790.4cm−1にてCO吸光度を示した。
【0170】
b− 中間体ケトンからのエチルエーテルの調製:
上記からの中間体ケトン(21.3グラム、0.036モル)、無水ジグリム(100グラム)、フッ化カリウム(4.2グラム、0.072モル)、メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート(5.4グラム)、及びジエチルサルフェート(11.0グラム、0.072モル)を500mLフラスコ内で混ぜ合わせ、撹拌しながら52℃まで16時間加熱した。この時間の終わりに、水酸化カリウム(4.7グラム、75グラムの水中に溶解させた)を添加し、ディーン・スターク・トラップを使用して得られた混合物を共沸蒸留し、そこから、得られた下層にあるフルオロケミカル相を蒸留中に分離した。得られた生成物を蒸留した(沸点=205℃、92パーセント純度)。その構造は、IR及びGCMSによって確認した。
【0171】
実施例2:
CFOCOCF(CF)CF(OC)CF(CF)OCの調製
a− 中間体ケトン、CFOCOCF(CF)COCF(CF)OCの調製:
CFOCOCF(CF)COF(75グラム、0.19モル;基本的に、下記実施例6aにあるようにして調製され、引き続いて基本的に、下記実施例5にて記載の通りヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)と反応させた)、COCF=CF(50グラム、0.19モル)、無水ジグリム(75グラム)、フッ化カリウム(2.2グラム、0.04モル)、及び相間移動触媒・メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート(6.6グラム)を600mLパール(Parr)社製反応器内で混ぜ合わせ、当該容器を密封して、75℃まで16時間加熱した。冷却後、容器を通気し、フッ化カリウム固形分を濾過し、得られた二相反応溶液の相を分離した。得られたケトンを蒸留(沸点=120〜140℃、88パーセント純度まで)によって精製した。IRスペクトルは、1783.6cm−1にてCO吸光度を示した。
【0172】
b− 中間体ケトンからのエチルエーテルの調製:
上記からの中間体ケトン(62.2グラム、0.094モル)、無水ジグリム(150mL)、フッ化カリウム(10.9グラム、0.19モル)、メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート(8.5グラム)、及びジエチルサルフェート(28.9グラム、0.19モル)を500mLフラスコ内で混ぜ合わせ、撹拌しながら52℃まで16時間加熱した。この時間の最後に、水酸化カリウム(12.4グラム、75グラムの水中に溶解させた)を添加し、得られた混合物を65℃まで約45分間加熱し、次に、ディーン・スターク・トラップを使用して共沸蒸留し、そこから、得られた下層にあるフルオロケミカル相を蒸留中に分離した。これにより、2種のジアステレオマーが60.9グラム、70.9パーセント純度で得られ(GCによる)、このGCデータによれば71パーセントの収率であった。得られた生成物は、約93パーセント純度まで、ジアステレオマーの混合物として、蒸溜(沸点=204℃)した。生成物の構造は、IR及びGCMSによって確認した。
【0173】
実施例3:
CFOCOCF(CF)CF(OCH)CF(CF)OCの調製
ケトン・CFOCOCF(CF)COCF(CF)OC(24.8グラム、0.037モル、基本的に上記実施例2のようにして調製した)、無水ジグリム(75mL)、フッ化カリウム(4.3グラム、0.075モル)、メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート(6.5グラム)、及び硫酸ジメチル(10.4グラム、0.082モル)を500mLフラスコ内で混ぜ合わせ、撹拌しながら32℃まで16時間加熱した。この時間の最後に、水酸化カリウム(5.4グラム、75グラムの水中に溶解させた)を添加し、混合物を65℃まで約45分間加熱し、次に、ディーン・スターク・トラップを使用して共沸蒸留し、そこから、得られた下層にあるフルオロケミカル相を蒸留中に分離した。ジアステレオマーの混合物として約95パーセントの純度になるまで、得られた生成物を蒸溜(沸点=196℃)した。生成物の構造は、IR及びGCMSによって確認した。
【0174】
実施例4:
OCF(CF)CF(OC)Cの調製
a− 中間体ケトン、COCF(CF)COCの調製
n−CCOF(56.1グラム、0.26モル)、COCF=CF(69.1グラム、0.26モル)、無水ジグリム(75グラム)、フッ化カリウム(3.0グラム、0.05モル)、及び相間移動触媒・メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート(1.7グラム)を600mLパール(Parr)社製反応器内で混ぜ合わせ、当該容器を密封して、75℃まで16時間加熱した。冷却後、容器を通気し、フッ化カリウム固形分を濾過し、得られた二相反応溶液の相を分離した。得られた生成物ケトンは、低沸点不純物(lower boiling impurities)を95パーセント純度まで蒸留することによって精製した。IRスペクトルは、1784.7cm−1にてCO吸光度を示した。
【0175】
b− 中間体ケトンからのプロピルエーテルの調製:
中間体ケトン・COCF(CF)COC(35グラム、0.074モル)、無水ジグリム(150mL)、フッ化カリウム(8.4グラム、0.15モル)、メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート(5.4グラム)、及びジプロピルサルフェート(26.4グラム、0.15モル)を500mLフラスコ内で混ぜ合わせ、撹拌しながら52℃まで16時間加熱した。この時間の最後に、水酸化カリウム(9.6グラム、100グラムの水中に溶解させた)を添加し、得られた混合物を65℃まで約45分間加熱し、次に、ディーン・スターク・トラップを使用して共沸蒸留し、そこから、得られた下層にあるフルオロケミカル相を蒸留中に分離した。ジアステレオマーの混合物として約96パーセントの純度になるまで、得られた生成物を蒸溜(沸点=173〜175℃)した。生成物の構造は、IR及びGCMSによって確認した。
【0176】
実施例5:
1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6−ドデカフルオロ−2−ペルフルオロブトキシ−3−エトキシヘキサン、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OCHCH)CFCFCFの調製
a− 1,1,1,2−テトラフルオロ−2−ペルフルオロブトキシプロピオニルフルオライド、CFCFCFCFOCF(CF)C(O)Fの調製
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(6.0グラム、0.10モル)及び無水ジグリム(100グラム)を充填した。前記反応器は、密封し、かつドライアイスアセトン浴によって冷却し、ペルフルオロブチリルフルオライド(345グラム、1.57モル)を充填し、−7℃まで攪拌しながら温めた。ヘキサフルオロプロペンオキシド(308.7グラム、1.86モル)を、25時間かけて徐々に、温度を−7℃〜−20℃に保持しながら、添加した。得られた混合物を室温まで暖めて、大気圧へと通気し、得られた二相混合物を分離した。得られた下層にあるフルオロケミカル相を分析し、メタノールを添加することによるメチルエステルへ転換後、76パーセントの生成物・アシルフルオライドを含有することを見出した。粗1,1,1,2−テトラフルオロ−2−ペルフルオロブトキシプロピオニルフルオライドを、10穿孔プレート内部ベローズカラムを使用して精製し、320グラムの生成物を98.7パーセント純度で得た。
【0177】
b− ペルフルオロブチルトリフルオロビニルエーテル、CFCFCFCFOCF=CFの調製
500mL、丸底型、一口、温度計用ウェル付きフラスコに、電磁攪拌器、加熱マントル、フラスコとカラム双方の最上部温度のための熱電対温度表示器、液相ヘッドスプリッター付き10穿孔プレート銀コーティング真空ジャケット付き蒸留カラム、水冷コンデンサ、及び窒素バブラーを取り付けた。フラスコに、炭酸ナトリウム(47グラム、0.44モル、125℃オーブン内に保存)及び無水ジグリム(207グラム)を充填した。本系は、還流比7−1及び最終カラム最上部温度158℃を使用して、ジグリム95グラムを蒸留させることによって乾燥させた。フラスコを周囲条件まで冷却し、1,1,1,2−テトラフルオロ−2−ペルフルオロブトキシプロピオニルフルオライド(96.9グラム、0.25モル)を当該フラスコに充填した。フラスコをゆっくり加熱し、カラム最上部温度が150℃になるまで、得られた留出物を収集した。蒸留して得た73.9グラムの粗製材料は、GCによれば、88.7パーセントの所望のペルフルオロブチルトリフルオロビニルエーテルを含んでいた。
【0178】
c− 1つの反応槽内での、1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6−ドデカフルオロ−2−ペルフルオロブトキシ−3−エトキシヘキサンの調製
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(5.0グラム、0.086モル)、無水ジグリム(100グラム)、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート(11.0グラム、0.017モル)、及びペルフルオロブチルトリフルオロビニルエーテル(73.9グラム、0.207モル)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴にて冷却し、ペルフルオロブチリルフルオライド(81.0グラム、0.367モル)を充填した。次に、反応器を85℃まで加熱し、24時間攪拌しながら保持した。反応器は、ドライアイスアセトン浴によって0℃未満に冷却し、通気させ、その攪拌を停止させ、開放し、次に噴霧乾燥フッ化カリウム(26.0グラム、0.45モル、125℃オーブン内にて保存し、乳鉢及び乳棒を使用して使用直前に粉砕した)及びジエチルサルフェート(78.0グラム、0.51モル)を直ちに充填した。次に、反応器を密閉し、52℃まで攪拌しながら加熱し、24時間保持した。水(50グラム)及び45パーセントKOH(80グラム、0.64モル)は、これらの充填物を含有する150mLシリンダー充填用ボンベ(charge bomb)を使用して、反応器に添加し、移動を促進するために窒素を用いて、6.8気圧(689.5kPa(100psig)まで加圧した。反応器を65℃まで加熱し、4時間保持して、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物は、蒸気蒸留により分離し、同重量の水で1回洗浄し、69.4パーセント純度(GC分析によって決定)の生成物153.4グラムを得た。大気圧で同心円管カラムを使用して分別蒸留することによって、精製99.8パーセントが得られた。生成物構造は、GCMS及び19F NMRによって確認した。
【0179】
実施例6:
3−エトキシ−1,1,1,2,3,4,4,5,5−ノナフルオロ−2−ノナフルオロブチルオキシ−5−トリフルオロメトキシペンタン、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OCHCH)CFCFOCFの調製
a− 3−トリフルオロメトキシテトラフルオロプロピオニルフルオライド、CFOCFCFCOFの調製:
3−トリフルオロメトキシテトラフルオロプロピオニルフルオライドは、メチル−3−メトキシ−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオネート、CHOCFCFCOCHの電気化学的フッ素化によって調製した。セルからのガス状生成物は、分別蒸留によって更に精製して、ほぼ100パーセント純度の3−トリフルオロメトキシテトラフルオロプロピオニルフルオライドを得た。本材料は、更に精製することなく、後続反応にて使用した。本発明で使用する場合、用語「3−トリフルオロメトキシテトラフルオロプロピオニルフルオライド」とは、本材料を意味する。
【0180】
b− エチルエーテル生成物の調製:
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(4.7グラム、0.081モル)、無水ジグリム(228グラム)、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート(10.5グラム、0.016モル)、フッ化セシウム(0.6グラム、0.004モル)、及びペルフルオロブトキシトリフルオロビニルエーテル(基本的には実施例5の通りに調製、130.6グラム、0.333モル)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴で冷却し、3−トリフルオロメトキシテトラフルオロプロピオニルフルオライド(97.4グラム、0.42モル)を充填し、87℃まで加熱し、攪拌しながら27時間保持した。反応器を0℃未満までドライアイスアセトン浴にて冷却し、通気し、その攪拌を停止させ、開放し、次に直ちに噴霧乾燥フッ化カリウム(24.8グラム、0.43モル)及びジエチルサルフェート(89.2グラム、0.580モル)を充填した。反応器を密閉し、52℃まで攪拌しながら加熱し、65時間保持した。水(50グラム)及び45パーセントKOH(80グラム、0.64モル)は、150mLシリンダー充填用ボンベを使用して、反応器に添加した。反応器を65℃まで加熱し、4時間保持して、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物は、蒸気蒸留により分離し、同重量の水で2回洗浄し、75.2パーセント純度(GC分析によって決定)の生成物227.3グラムを得た。大気圧で同心円管カラムを使用して分別蒸留することによって、精製99.8パーセントが得られた。生成物構造は、GCMS及び19F NMRによって確認した。
【0181】
実施例7:
3−エトキシ−1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6−ドデカフルオロ−2−(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−トリフルオロメトキシプロポキシ)ヘキサン、CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OCHCH)CFCFCFの調製
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(4.4グラム、0.076モル)、無水ジグリム(208グラム)、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート(10グラム、0.016モル)、及び3−トリフルオロメトキシ−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(118.9グラム、0.33モル)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴で冷却し、ペルフルオロブチリルフルオライド(87.7グラム、0.40モル)を充填し、87℃まで加熱し、攪拌しながら40時間保持した。反応器を周囲条件まで冷却し、通気させ、その攪拌を停止させ、開放し、次に直ちに噴霧乾燥フッ化カリウム(23.6グラム、0.406モル)及びジエチルサルフェート(84.9グラム、0.551モル)を充填した。反応器を密閉し、52℃まで攪拌しながら加熱し、20時間保持した。水(50グラム)及び45パーセントKOH(80グラム、0.64モル)は、150mLシリンダー充填用ボンベを使用して、反応器に添加した。反応器を65℃まで加熱し、4時間保持して、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物は、蒸気蒸留により分離し、同重量の水で1回洗浄し、72.1パーセント純度(GC分析によって決定)の生成物183グラムを得た。大気圧で同心円管カラムを使用して分別蒸留することによって、精製99パーセント超が得られた。生成物構造は、GCMS及び19F NMRによって確認した。
【0182】
実施例8:
2−[(2−エトキシ−1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−トリフルオロメチル−ブトキシ)−ジフルオロ−メチル]−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロテトラヒドロフランの調製
c−(CO)CFOCF(CF)CF(OC)CFCF
a− ペルフルオロテトラヒドロ−2−フロイルフルオライドの調製、c−(CO)COF:
ペルフルオロテトラヒドロ−2−フロイルフルオライドは、2−フロイルクロライド電気化学的フッ素化によって調製した。セルからのガス状生成物は、分別蒸留によって更に精製して、95パーセント・ペルフルオロテトラヒドロ−2−フロイルフルオライドを得た。本材料は、更に精製することなく、後続反応にて使用した。本発明で使用する場合、用語「ペルフルオロテトラヒドロ−2−フロイルフルオライド」とは、本材料を意味する。
【0183】
b− ペルフルオロプロピオニルフルオライド、CFCFCOFの調製:
ペルフルオロプロピオニルフルオライドは、無水プロピオン酸の電気化学的フッ素化によって調製した。セルからのガス状生成物は、分別蒸留によって更に精製して、ほぼ100パーセント純度のペルフルオロプロピオニルフルオライドを得た。本材料は、更に精製することなく、後続反応にて使用した。本発明で使用する場合、用語「ペルフルオロプロピオニルフルオライド」とは、本材料を意味する。
【0184】
c− 2−[ジフルオロ−(2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−メトキシ]−2,3,3,3−テトラフルオロ−プロピオニルフルオライドの調製、c−(CO)CFOCF(CF)COF:
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(6.3グラム、0.11モル)、フッ化セシウム(1.0グラム、0.007モル)、及び無水ジグリム(52.5グラム)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴で冷却し、ペルフルオロテトラヒドロ−2−フロイルフルオライド(158.6グラム、0.62モル)を充填し、攪拌しながら−20℃にて保持した。ゆっくりと8時間かけ、温度を0℃〜−20℃に保持しつつ、ヘキサフルオロプロペンオキシド(106グラム、0.64モル)を添加した。得られた混合物を室温まで暖め、259グラムの80.4パーセント所望物質を単段蒸留により回収した。
【0185】
d− 2−(ペルフルオロテトラヒドロフリル)トリフルオロビニルエーテルの調製、c−(CO)CFOCF=CF
1L、丸底型、一口、温度計用ウェル付きフラスコに、電磁攪拌器、加熱マントル、フラスコとカラム双方の最上部温度のための熱電対温度表示器、液相ヘッドスプリッター付き10穿孔プレート銀コーティング真空ジャケット付き蒸留カラム、水冷コンデンサ、及び窒素バブラーを取り付けた。フラスコに炭酸ナトリウム(107グラム、1.01モル、125℃オーブン内で保存)及び無水ジグリム(500グラム)を充填した。本系は、還流比7−1を使用してジグリム250グラムを蒸留させることによって乾燥させた。フラスコを周囲条件まで冷却し、2−[ジフルオロ−(2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−メトキシ]−2,3,3,3−テトラフルオロ−プロピオニルフルオライド(259グラム、0.485モル)をフラスコに充填した。カラム最上部温度150℃まで留出物を収集しながら、フラスコをゆっくりと加熱した。得られた粗生成物173.2グラムは、77.0パーセント所望生成物(GCによって決定)を含有した。
【0186】
e− エチルエーテル生成物の調製:
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(4.8グラム、0.083モル)、無水ジグリム(225グラム)、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート(10.8グラム、0.017モル)、及び2−ペルフルオロテトラヒドロフリルトリフルオロビニルエーテル(148.8グラム、0.33モル)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴で冷却し、ペルフルオロプロピオニルフルオライド(80.5グラム、0.485モル)を充填し、87℃まで加熱し、攪拌しながら23時間保持した。反応器を周囲条件まで冷却し、通気させ、その攪拌を停止させ、開放し、次に直ちに噴霧乾燥フッ化カリウム(29.1グラム、0.500モル)及びジエチルサルフェート(98.8グラム、0.641モル)を充填した。反応器を密閉し、52℃まで攪拌しながら加熱し、65時間保持した。水(50グラム)及び45パーセントKOH(80グラム、0.64モル)は、150mLシリンダー充填用ボンベを使用して、反応器に添加した。反応器を65℃まで加熱し、4時間保持して、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物は、蒸気蒸留により分離し、同重量の水で1回洗浄し、77.9パーセント純度(GC分析によって決定)の粗生成物209.7グラムを得た。99.0パーセントまでの精製は、同心円管カラムを使用した大気圧分別蒸留によって行った。生成物構造は、GCMS及び19F NMRによって確認した。
【0187】
実施例9:
1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−ペルフルオロブトキシ−3−プロポキシペンタン・CFCFCFCFOCF(CF)CF(OCHCH)CFCFCFの調製
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(3.3グラム、0.057モル)、無水ジグリム(142グラム)、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート(7.4グラム、0.012モル)、及びペルフルオロブチルトリフルオロビニルエーテル(92グラム、0.234モル)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴で冷却し、ペルフルオロプロピオニルフルオライド(49.0グラム、0.30モル)を充填し、87℃まで加熱し、攪拌しながら50時間保持した。反応器を−30℃未満までドライアイスアセトン浴にて冷却し、通気し、その攪拌を停止させ、開放し、次に直ちに噴霧乾燥フッ化カリウム(17.4グラム、0.299モル)及びジプロピルサルフェート(74.1グラム、0.41モル)を充填した。反応器を密閉し、52℃まで攪拌しながら加熱し、48時間保持した。水(50グラム)及び45パーセントKOH(80グラム、0.64モル)は、150mLシリンダー充填用ボンベを使用して、反応器に添加した。反応器を65℃まで加熱し、4時間保持して、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物は、蒸気蒸留により分離し、同重量の水で1回洗浄し、70パーセント純度(GC分析によって決定)の生成物123.7グラムを得た。96パーセントまでの精製は、同心円管カラムを使用した大気圧分別蒸留によって行った。生成物構造は、GCMS及び19F NMRによって確認した。
【0188】
実施例10:
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OC)Cの調製:
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(10.0グラム、0.17モル)、無水ジグリム(129グラム)、及びアドゲン(Adogen)(商標)464相間移動触媒(2.2グラム)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴で冷却し、排気し、ペルフルオロプロピオニルフルオライド(70.0グラム、0.42モル)及びCOCF(CF)CFOCF=CF(170グラム、0.39モル)を充填した。反応器を85℃まで加熱し、攪拌しながら16時間保持し、室温まで冷却した。得られた中間体ケトン含有反応混合物(出発物質たるビニルエーテルを基準にして0.39モル)を更に精製することなく使用し、追加量の無水ジグリム(1000グラム)、フッ化カリウム(35.7グラム、0.62モル)、触媒(28グラム、56パーセントジグリム溶液)、及びジエチルサルフェート(121.2グラム、0.79モル)を、3Lフラスコ内で混ぜ合わせた。攪拌しながら、フラスコを52℃まで16時間加熱した。この時間の終わりに、水酸化カリウム(52グラム、300グラムの水中に溶解させた)を添加し、得られた混合物を65℃まで加熱し、次にディーン・スターク・トラップを使用して共沸蒸留し、そこから、得られた下層にあるフルオロケミカル相を蒸留中に分離した。得られた生成物を92パーセント純度まで蒸溜した(沸点=189〜191℃)。生成物構造は、IR及びGCMSによって確認した。
【0189】
実施例11:
OCF(CF)CF(OC)Cの調製
ペルフルオロバレリルフルオライド・CC(O)Fは、HCFCFCFCFCHOHの電気化学的フッ素化によって調製した。セルからのフッ化アシルは、分別蒸留によって精製し、ペルフルオロバレリルフルオライドを91.4パーセントで得た。本材料は、更に精製することなく、後続反応にて使用した。本発明で使用する場合、用語「ペルフルオロバレリルフルオライド」とは、本材料を意味する。
【0190】
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(8.4グラム、0.14モル)、無水ジグリム(128グラム)、及びアドゲン(Adogen)(商標)464相間移動触媒(2.2グラム)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴にて冷却し、排気し、ペルフルオロバレリルフルオライド(130.0グラム、0.49モル)及びCOCF=CF(125.0グラム、0.47モル)を充填した。次に、反応器を85℃まで加熱し、20時間攪拌しながら保持した。ドライアイスアセトン浴にて反応器を0℃未満に冷却し、通気させた。反応器の内容物を、機械的撹拌機、加熱マントル、温度プローブ、及び水コンデンサを装着した清浄な乾燥した2L丸底フラスコに添加した。フラスコに、噴霧乾燥フッ化カリウム(16.0グラム、0.28モル)、ジエチルサルフェート(61.0グラム、0.40モル)、無水ジグリム(48グラム)、及び触媒(2.5グラム)を充填した。フラスコの内容物を攪拌し、52℃まで加熱し、20時間保持した。フラスコを周囲温度まで冷却し、水(35グラム)及び45パーセントKOH(75グラム、0.60モル)を添加した。フラスコを65℃まで加熱し、4時間保持して、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物を蒸気蒸留により分離し、同重量の水によって1回洗浄し、分別蒸留して91.0グラムの99.3パーセント純度生成物・COCF(CF)CF(OC)Cを得た。本生成物の沸点は、178℃であり、その構造は、GCMSによって確認した。生成物の粘度は、7.3×10−5/秒(73センチストークス)(−50℃にて、キャノン・フェンスケ粘度計及びウェスキャン(Wescan)221型粘度タイマーを使用して測定)であった。
【0191】
実施例12:
OCF(CF)CF(OC)CF(CF)OCの調製
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(7.5グラム、0.13モル)及び無水ジグリム(105グラム)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴にて冷却し、排気し、ペルフルオロプロピオニルフルオライド(191.0グラム、1.15モル)を充填した。反応器を−15℃まで加熱し、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(109グラム、0.66モル)を、温度を0℃未満に維持しつつ、1.25時間かけて添加した。反応器は、更に30分間、−10℃にて保持し、次に温度を40℃までゆっくりと上昇させながら、過剰なペルフルオロプロピオニルフルオライドをメタノールスクラバーを通して通気した。反応器を5℃まで冷却し、開放し、COCF=CF(220グラム、0.83モル)、無水ジグリム(12グラム)、アドゲン(Adogen)(商標)相間移動触媒(4.5グラム)を充填した。次に、反応器を85℃まで加熱し、22時間攪拌しながら保持した。反応器を室温まで冷却し、通気させた。反応器の内容物を、機械的撹拌機、加熱マントル、温度プローブ、及び水コンデンサを装着した清浄な乾燥した2L丸底フラスコに添加した。フラスコに、噴霧乾燥フッ化カリウム(58.7グラム、1.01モル)、ジエチルサルフェート(172.0グラム、1.11モル)、無水ジグリム(100グラム)、及び触媒(5.8グラム)を充填した。フラスコ内容物を攪拌し、52℃まで加熱し、112時間保持した。フラスコを周囲温度まで冷却し、水(262グラム)及び45パーセントKOH(210グラム、1.68モル)を添加した。フラスコを65℃まで加熱し、4時間保持して、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物は、蒸気蒸留により分離し、同重量の水で1回洗浄し、35.1パーセント純度(GC分析によって決定)の生成物441.1グラムを得た。本GC分析に基づく生成物収率は、ヘキサフルオロプロペンオキシドの限定試薬と同様に、36.6パーセントであった。生成物を分別蒸留して、99.7パーセント純度生成物・COCF(CF)CF(OC)CF(CF)OC、52.3グラムを得た。本生成物の沸点は、190℃であり、その構造は、GCMSによって確認した。本生成物の粘度は、12.0×10−5/秒(120センチストークス)(−50℃にて、キャノン・フェンスケ粘度計及びウェスキャン(Wescan)221型粘度タイマーを使用して測定)であった。
【0192】
実施例13:
CFOCCF(CF)CF(OC)COCFの調製:
テトラフルオロ−3−トリフルオロメトキシプロピオニルフルオライド、CFOCC(O)Fは、CHOCFCFC(O)OCHの電気化学的フッ素化によって調製した。セルからのフッ化アシルは、分別蒸留によって精製し、85.0パーセント・テトラフルオロ−3−トリフルオロメトキシプロピオニルフルオライドを得た。本材料は、更に精製することなく、後続反応にて使用した。本発明で使用する場合、用語「テトラフルオロ−3−トリフルオロメトキシプロピオニルフルオライド」とは、本材料を意味する。
【0193】
清浄な乾燥させた600mLステンレス鋼のパール社(Parr)圧力反応器に、噴霧乾燥フッ化カリウム(12.0グラム、0.20モル)、無水ジグリム(130グラム)、及びアドゲン(Adogen)(商標)464相間移動触媒(4.7グラム)を充填した。反応器を密閉し、ドライアイスアセトン浴で冷却し、排気し、CFOCC(O)F(110グラム、0.47モル)及びCFOCOCF=CF(130.0グラム、93パーセント純度、0.39モル)を充填した。次に、反応器を85℃まで加熱し、29時間攪拌しながら保持した。反応器を室温まで冷却し、通気させた。反応器の内容物を、機械的撹拌機、加熱マントル、温度プローブ、及び水コンデンサを装着した清浄な乾燥した2L丸底フラスコに添加した。フラスコに、噴霧乾燥フッ化カリウム(34.4グラム、0.59モル)、ジエチルサルフェート(100.7グラム、0.65モル)、無水ジグリム(105グラム)、及び触媒(6.4グラム)を充填した。フラスコ内容物を攪拌し、52℃まで加熱し、40時間保持した。フラスコを周囲温度まで冷却し、水(150グラム)及び45パーセントKOH(120グラム、0.96モル)を添加した。フラスコを65℃まで、4時間加熱し、過剰なジエチルサルフェートを中和した。得られた粗生成物は、蒸気蒸留により分離し、同重量の水で1回洗浄し、65.3パーセント純度(GC分析によって決定)の生成物230.0グラムを得た。生成物を分別蒸留して、99.5パーセント純度生成物・CFOCCF(CF)CF(OC)COCF、136.0グラムを得た。本生成物の沸点は、181℃であり、その構造は、GCMSによって確認した。本生成物の粘度は、3.4×10−5/秒(34センチストークス)(−50℃にて、キャノン・フェンスケ粘度計及びウェスキャン(Wescan)221型粘度タイマーを使用して測定)であった。
【0194】
比較実施例A
(CFCFCF(OC)CF(CFの調製
96.0パーセントの(CFCFC(O)CF(CFと4.0パーセントのCFCFCFC(O)CF(CFとのケトン混合物302グラム(0.83モル)、無水1,2−ジメトキシエタン300mL、フッ化カリウム59.5グラム(1.02モル)、アドゲン(Adogen)(商標)464・11.1グラム、及びジエチルサルフェート・174グラム(1.12モル)を2Lフラスコ内で混ぜ合わせ、89時間52℃まで撹拌しながら加熱した。89時間の終わりに、フラスコを室温まで冷却し、45パーセント水酸化カリウム230グラム及び水95グラムを添加した。ディーン・スターク・トラップを使用して得られた混合物を共沸蒸留し、そこから得られた下層にあるフルオロケミカル相を蒸留中に分離した。フルオロケミカル相は、等容積の水で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。材料53.0グラムは、純度37.6パーセントの(CFCFCF(OC)CF(CF(収率6.1パーセント;構造はGCMSにて確認)で得られた。
【0195】
本明細書において、特許、特許文献、及び出版物に含まれる引用された説明は、その全体があたかも単独で組み込まれるかのように、参考として組み込まれる。本発明への様々な予測し難い改良及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに実施できることは、当業者には明らかである。本発明は、本明細書に開示した例示的実施形態及び実施例によって不当に制限されることを意図したものではなく、そのような実施例及び実施形態は実例だけの目的で表示され、発明の範囲は本明細書に添付した特許請求の範囲によってのみ制限されることを意図したものであることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してアルコキシ置換又はフルオロアルコキシ置換フルオロメチレン部分(−CF(OR)−)に結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、前記末端基のそれぞれが所望により少なくとも1つの鎖中で連結されたヘテロ原子を含む、ハイドロフルオロエーテル化合物。
【請求項2】
前記フルオロメチレン部分がアルコキシ置換されており、かつ前記末端基が、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を所望により含有するペルフルオロアルキル基から独立して選択される、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物。
【請求項3】
前記化合物が次の一般式(I)で表される部類の1つである、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物。
−CFX−O−CF(CF)−CF(OR)−CFX−R (I)
(式中、Rが、それぞれ独立して、フッ素原子又は直鎖、分岐鎖、環状、若しくはそれらの組み合わせのペルフルオロアルキル基であり、所望により、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を含有し、所望により、−CFH、−CFHCF、及び−CFOCHから選択される末端部分を含み、Xが、それぞれ独立して、フッ素原子又は直鎖、分岐鎖、環状、若しくはそれらの組み合わせのペルフルオロアルキル基であり、1個〜約6個の炭素原子を有し、Rが、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせのアルキル基又はフルオロアルキル基であり、所望により、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を含有する。)
【請求項4】
前記Rが、それぞれ独立してフッ素原子又は直鎖若しくは分枝鎖のペルフルオロアルキル基であり、所望により、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を含有し、1個〜約8個の炭素原子を有し、前記Xが、それぞれ独立してフッ素原子又は直鎖若しくは分枝鎖のペルフルオロアルキル基であり、1個〜約3個の炭素原子を有し、前記Rが、直鎖又は分枝鎖のアルキル基又はフルオロアルキル基であり、1個〜約8個の炭素原子を有する、請求項3に記載のハイドロフルオロエーテル化合物。
【請求項5】
前記Rが、それぞれ独立してフッ素原子又は直鎖若しくは分枝鎖のペルフルオロアルキル基であり,所望により、少なくとも1つの鎖中で連結されたへテロ原子を含有し、1個〜約4個の炭素原子を有し、前記Xが、それぞれ独立して、フッ素原子又はペルフルオロメチル基であり、かつ前記Rが、1個〜約4個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項4に記載のハイドロフルオロエーテル化合物。
【請求項6】
前記Rがエチル基又はメチル基である、請求項5に記載のハイドロフルオロエーテル化合物。
【請求項7】
前記化合物が次のもの並びにこれらの混合物から選択され、式中、RがCH及びCから選択される、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物。
CFOCF(CF)CF(OR)CF、CFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCF(CF)CF(OR)C、CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCF
CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC、CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
【化1】

OCF(CF)CF(OR)CF、COCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、COCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CF(OR)C、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF、COCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【化2】

CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C、CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
【化3】

CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF、CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【化4】

(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF、(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
(CFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【化5】

CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)C
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
CFOCFCFCFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCFCFOCF
【化6】

11OCF(CF)CF(OR)CF、C11OCF(CF)CF(OR)CFCF
11OCF(CF)CF(OR)CFCFCF、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF
11OCF(CF)CF(OR)C、C11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
11OCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
11OCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
【化7】

【化8】

OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFOCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF
OCF(CF)CFOCF(CF)(CF)CF(OR)C
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OC
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CFCFOCF
OCF(CF)CFOCF(CF)CF(OR)CF(CF)OCFCF(CF)OC
【化9】

【請求項8】
独立して、2つの末端のペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してアルコキシ置換フルオロメチレン部分(−CF(OR)−)に結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、前記末端基のそれぞれが所望により少なくとも1つの鎖中で連結されたヘテロ原子を含む、ハイドロフルオロエーテル化合物。
【請求項9】
(a)少なくとも1つのフルオロケミカル酸フッ化物と、少なくとも1つのフルオロ−又はペルフルオロビニルエーテルとを反応させることによって、独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基、及び中心炭素原子を介してカルボニル基に結合した介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含む、少なくとも1つのフルオロケミカルケトンを形成する工程であって、前記末端基のそれぞれは所望により、少なくとも1つの鎖中で連結されたヘテロ原子を含む、工程と、(b)前記フルオロケミカルケトン化合物と、少なくとも1つのフルオライド供給源とを反応させることにより、少なくとも1つのフルオロケミカルアルコキシドを形成する工程と、(b)該フルオロケミカルアルコキシドと、少なくとも1つのアルキル化剤とを反応させることにより、少なくとも1つのハイドロフルオロエーテル化合物を形成する工程とを含む、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物の調製方法。
【請求項10】
前記フルオロケミカル酸フッ化物、前記フルオロ−又はペルフルオロビニルエーテル、前記フルオロケミカルケトン、及び前記フルオロケミカルアルコキシドがおのおのペルフルオロ化されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
物品から汚染物を除去する方法であって、前記物品と、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物の少なくとも1つを含む組成物とを接触させる工程を含む、方法。
【請求項12】
少なくとも1つの発泡性ポリマー又は少なくとも1つの発泡性ポリマーの前駆体の存在下で、発泡剤混合物を蒸発させる工程を含む発泡プラスチックの調製方法であって、前記発泡剤混合物が、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物の少なくとも1つを含む、調製方法。
【請求項13】
請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物の少なくとも1つを含むフルオロケミカル液体蒸気体の中に半田を含む少なくとも1つの構成成分を浸漬して前記半田を融解させる工程を含む、気相半田付け方法。
【請求項14】
請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物の少なくとも1つを含む熱伝達剤の使用を介して、熱源とヒートシンクとの間で熱を伝達させる工程を含む、熱伝達方法。
【請求項15】
基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に、(a)請求項1に記載の少なくとも1つのハイドロフルオロエーテル化合物を含む溶媒組成物と、
(b)該溶媒組成物中に可溶性又は分散性である少なくとも1つのコーティング材料とを含む組成物を適用する工程を含む、前記基材上にコーティングを付着させる方法。
【請求項16】
金属、サーメット、又は複合材の加工部品及び工具に加工流体を適用する工程を含む切削又は研磨加工の方法であって、前記加工流体が、請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物の少なくとも1つ及び少なくとも1つの潤滑性添加剤を含む、方法。
【請求項17】
少なくとも1つの重合開始剤及び請求項1に記載のハイドロフルオロエーテル化合物の少なくとも1つの存在下で、少なくとも1つのモノマーを重合させる工程を含む、重合方法。
【請求項18】
独立して、2つの末端のフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキル基及び中心炭素原子を介してカルボニル基に結合する介在オキシテトラフルオロエチリデン部分(−OCF(CF)−)を含み、前記末端基の少なくとも1つが、少なくとも1つの鎖中で連結された窒素原子を含む、フルオロケミカルケトン化合物。
【請求項19】
前記末端基の少なくとも1つが、少なくとも1つのペルフルオロモルホリノ部分を含む、請求項18に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−512332(P2010−512332A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540404(P2009−540404)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/086239
【国際公開番号】WO2008/070606
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】