ハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラム
【課題】 従来、ハイブリッド溶接装置における画像処理は十分なものとは言えず、高精度の溶接制御を行うことが困難であった。
【解決手段】 第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置であって、被溶接材の画像を取り込む画像取り込み手段3,41と、該画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理する画像処理手段42と、該画像処理手段により処理された画像に従って、前記第1の溶接および前記第2の溶接を制御する溶接制御手段と、を備えるように構成する。
【解決手段】 第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置であって、被溶接材の画像を取り込む画像取り込み手段3,41と、該画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理する画像処理手段42と、該画像処理手段により処理された画像に従って、前記第1の溶接および前記第2の溶接を制御する溶接制御手段と、を備えるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムに関し、特に、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせて、レーザ溶接の高エネルギーによる溶け込み深さおよび高速性、並びに、アーク溶接(供給するフィラーワイヤ)による十分な溶着量といった両者の長所を取り入れたハイブリッド溶接が研究・開発されている。
【0003】
ここで、ハイブリッド溶接は、主としてレーザ溶接およびアーク溶接を組み合わせるものであるが、これに限定されず、本発明は、例えば、電子ビーム溶接や誘導加熱溶接等の他の方式の溶接を組み合わせたハイブリッド溶接にも適用することが可能である。また、実際の厚板(例えば、パイプ)等の溶接において、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接を行った後、アーク溶接を行うというように、本発明に係るハイブリッド溶接に加えて、さらに、他の方式の溶接を行うこともあり得る。
【0004】
ところで、従来、レーザ溶接とMIG(Metal Inert Gas)溶接を組み合わせたハイブリッド溶接において、高速域の溶接において溶接ビードが不安定になるのを防止するために、溶接時に被溶接物に形成された溶融池を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像した画像に基づいてレーザ光の照射点から溶融池の輪郭までの距離を求める距離算出手段と、距離算出手段で求めた距離に基づいて、照射点と溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)の供給ノズルの相対的な位置を変化させる移動手段を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、従来、開先幅を高精度で測定し、開先幅の変動に応じて必要溶着量を適正に制御するアーク溶接の自動溶着量制御方法が提案されている。すなわち、本件の発明者達により、基準溶接では初層から最終層2層前までの基準溶融池幅を計測し、初層平滑化溶融池幅と基準溶融池幅データとの比および予め設定された2層目基準溶接速度を基に2層目目標溶接速度を算出し、この速度で2層目溶接を行なうと共に溶融池幅を計測し、同様に次の3層目から最終層1層前までの溶接を行い、最終層溶接は最終層2層前平滑化溶融池幅データと基準溶融池幅データとの比および予め設定された最終層基準溶接速度を基に算出した目標溶接速度により行なう狭開先多層盛りアーク溶接の自動溶着量制御方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、従来、輝度レベルが異なる溶接電極、溶融池、開先壁および溶接ワイヤを撮像画像から安定して分離、検出でき、画像計測値を基に安定して制御を行うことができるTIG(Tungsten Inert Gas)アーク溶接の自動制御方法も提案されている。すなわち、本発明者達により、溶接電極、溶融池、開先壁、溶接ワイヤを含む領域を撮像した輝度画像において、溶接電極と溶融池との輝度差、溶融池と開先壁との輝度差、溶接ワイヤと溶融池との輝度差がそれぞれ相対的に大きくなるような露光時間で撮像した溶接電極、開先壁、溶融池、および、溶接ワイヤの輝度画像の計測値を基に溶接電極の中心線倣い制御、揺動幅制御、および、溶接ワイヤ挿入位置制御を行うTIGアーク溶接の自動制御方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−181664号公報
【特許文献2】特開2005−081418号公報
【特許文献3】特開2005−081419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来、レーザ溶接とMIG溶接を組み合わせたハイブリッド溶接において、撮像手段により被溶接物に形成された溶融池を撮像し、距離算出手段によりその画像を画像処理して溶融池の輪郭とレーザ光の照射点を検出し、さらに、レーザ光の照射点から溶融池の輪郭までの距離を求め、そして、移動手段により距離算出手段で求めた距離に基づいて、レーザ光の照射点と溶加材ワイヤの供給ノズルの相対的な位置を変化させるものが提案されている。
【0009】
すなわち、被溶接物の板厚により決定される溶接速度に対して、レーザ光の照射点と供給ノズル(溶接ワイヤ)の間隔を最適に制御して照射点を溶融池内に位置させることにより、溶接速度の大小に左右されることなく常に安定した溶接ビードを形成し、高品質の溶接部を得るようにしたハイブリッド溶接技術が提案されている。
【0010】
しかしながら、例えば、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接装置において、溶融部の画像処理を行ってレーザ溶接およびアーク溶接のそれぞれを適切に制御するようにしたものは実用化されていない。
【0011】
ところで、例えば、アーク溶接と、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接との大きな違い(狭開先多層盛溶接初層の場合)は、溶け込み深さと溶接速度である。特に、溶接速度は、アーク溶接では20cm/min前後であるのに対して、ハイブリッド溶接では2m/min前後が可能である。従って、ハイブリッド溶接における制御速度は、アーク溶接に比べてかなり高速であることが必要となる。
【0012】
図1は関連技術としてのハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。図1において、参照符号10はレーザ照射点(レーザ加工点発光)、20は溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)、そして、100は溶融池を示している。
【0013】
まず、アーク溶接トーチ(溶接ワイヤ20)が揺動している場合、揺動端における画像計測が必要となる。すなわち、溶接トーチの揺動幅は、左右1対の画像計測により算出することができ、例えば、揺動周波数が30Hzの場合、左端から右端までは16.7msであるが、外部トリガによるシャッターの場合は33.3ms以上間隔を空ける必要がある。そのため、溶接トーチの左右端計測間隔MPは、1周期遅らせて50msとなり、計測サイクルは20回/秒となる。さらに、アーク変動の影響を避けるためには、例えば、最低3フレーム程度の積算平滑化処理が必要となり、その結果、計測サイクルは6.7回/秒となる。
【0014】
さらに、このようにして得た計測値を溶接の制御に使用するには、誤検知の影響を排除しなければならず、例えば、5点(5回)の計測値を使用して中央値処理等の平滑化処理を行う必要があり、その結果、制御サイクルは1秒前後となってしまう。ここで、アーク溶接の溶接長は、例えば、1秒間で約3mm程度であるが、ハイブリッド溶接の溶接長は、例えば、1秒間で約30mm程度であるため、1秒程度の制御サイクルではハイブリッド溶接の制御を行うことは困難である。
【0015】
さらに、図1に示されるように、例えば、溶接トーチが左端に移動しているときの画像L1,L2およびL3の3つの画像を積算平滑化処理して左端平滑画像LA0とし、また、溶接トーチが右端に移動しているときの画像R1,R2およびR3の3つの画像を積算平滑化処理して右端平滑画像RA0とする。
【0016】
このとき、右端平滑画像RA0に関して、例えば、積算平滑化処理に使用した3つの画像R1,R2,R3が正常(適正露出)だった場合、右端平滑画像RA0も正常となる。しかしながら、左端平滑画像LA0に関して、例えば、画像L2だけが正常で画像L1およびL3はアーク光量過大時(オーバー露出)だった場合、左端平滑画像LA0ではワイヤ先端部分が不鮮明になり、溶接の制御を高精度で行うことが困難となる。
【0017】
本発明は、高精度の溶接制御を行うことのできるハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の形態によれば、第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置であって、被溶接材の画像を取り込む画像取り込み手段と、該画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理する画像処理手段と、該画像処理手段により処理された画像に従って、前記第1の溶接および前記第2の溶接を制御する溶接制御手段と、を備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置が提供される。
【0019】
本発明の第2の形態によれば、第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理方法であって、被溶接材の複数の画像を取り込み、該取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理して、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法が提供される。
【0020】
本発明の第3の形態によれば、第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムであって、コンピュータに、被溶接材の複数の画像を取り込ませ、該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムが提供される。
【0021】
本発明の第4の形態によれば、コンピュータによって実行させるプログラムを記録した媒体であって、該プログラムは、前記コンピュータに、被溶接材の複数の画像を取り込ませ、該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムを記録した媒体が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高精度の溶接制御を行うことのできるハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。
【実施例】
【0024】
図2は本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCMOSカメラの画像の一例を示す図である。図2において、参照符号10はレーザ照射点(レーザ加工点発光)、20は溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)、そして、100は溶融池を示している。
【0025】
ここで、CMOSカメラは、後に詳述するように、例えば、被溶接材にレーザ光を照射して行うレーザ溶接部(溶融池)の画像を、照射されるレーザ光に対して同軸上に設けられている。
【0026】
図2に示されるように、本発明に係るハイブリッド溶接装置のCMOSカメラにより取り込まれた画像における検知項目としては、レーザ加工点位置(X座標)LX、レーザ加工点位置(Y座標)LY、溶融池両端位置(X座標)PL,PRおよび溶融池中心PXC(=(PL+PR)/2)、溶接ワイヤ突込位置(Y座標)WY、並びに、溶接ワイヤ位置(X座標)WXL、WXRおよび揺動中心WXC(=(WXR+WXL)/2)である。
【0027】
図3は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を模式的に示す図である。図3において、参照符号1はレーザヘッド、11はレーザ光、2は溶接トーチ、20は溶接ワイヤ、そして、3はCMOSカメラを示している。なお、図3における溶接方向は、レーザ溶接部(レーザヘッド1)およびアーク溶接部(溶接トーチ2)が設けられたハイブリッド溶接装置と被溶接材(母材)との相対的な移動方向を示し、例えば、被溶接材が固定されている場合には、ハイブリッド溶接装置が図3において左奥から右手前方向へ移動する。
【0028】
図3に示されるように、CMOSカメラ3は、レーザヘッド1から被溶接材へ照射されるレーザ光11と同軸上に配置されている。なお、CMOSカメラ3には、アーク光の影響を排除して溶融池輻射光およびレーザ加工点発光をより良く捉えるために干渉フィルタ(透過主波長955nm)が設けられており、溶融池全体、溶接ワイヤ20およびレーザ照射点(レーザ加工点)10を高速に(例えば、毎秒2000コマ)撮像することができるようになっている。
【0029】
図4は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を概略的に示すブロック図である。図4において、参照符号4は制御用コンピュータ(制御PC)、42は画像処理ボード、そして、43はシリアルインターフェース(シリアルI/F)を示している。
【0030】
図4に示されるように、CMOSカメラ3の映像は、画像処理ボード42に入力される。また、非同期シャッター用トリガは、レーザヘッド左右軸サーボコントローラ(揺動制御部)から出力されて画像処理ボード42に入力され、CMOSカメラ3へのシャッタートリガは画像処理ボード42から出力される。そして、画像処理ボード42で処理された画像データは、シリアルインターフェース43(例えば、RS−232C)を介して制御装置へ出力される。
【0031】
図5は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【0032】
図5に示されるように、レーザ溶接線中心倣いは、CMOSカメラ3で捉えた溶接部画像内のレーザ加工点10の中心LXと溶接線の中心PXC(すなわち、開先中心=溶融池100の中心)が一致するように加工点位置を制御する。なお、本実施例のハイブリッド溶接装置では、レーザ光11と同軸上に設けられたCMOSカメラ3はレーザヘッド1と連動しているため(図3参照)レーザ加工点10の方が静止し、溶融池100(開先)が移動しているように見える。そして、溶融池100の中心PXCとレーザ加工点10の中心LXの差δXを求め、これが零となるようにレーザヘッド1の位置を制御する。
【0033】
δX=LX−PXC=LX−(PR−PL)/2
ここで、計測サイクル時間をΔt、制御遅れ時間をtdとすると、本実施例では、Δt>tdであるが、対象ワーク(被溶接材)が直線であるため倣い制御としては十分である。
【0034】
この中心位置ずれ量δXに水平方向画素分解能(mm/画素)を掛けたものをレーザ加工点の位置制御量として送信する。なお、水平方向分解能は、例えば、0.015mm/画素であり、10画素程度のばらつきを見積もると、精度は±0.15mmとなる。
【0035】
図6は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるアーク溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【0036】
まず、アーク溶接線中心倣い制御は、CMOSカメラ3で撮像した溶融池100(溶接ワイヤ20)の画像を用いたレーザヘッド1の制御とは独立した制御である。
【0037】
図6に示されるように、アーク溶接線中心倣い制御は、揺動左端時画像(図6(a)参照)から溶接ワイヤ突込位置WXL、右端時画像(図6(b)参照)からWXRを計測し、これらから溶接ワイヤ20(アーク溶接トーチ)の揺動中心位置WXCを算出する。
【0038】
WXC=(WXL+WXR)/2
これと同時に溶融池100の中心PXC(揺動左端、右端時における溶融池中心の平均値)も算出し、揺動中心位置WXCと溶融池中心PXCの差分値すなわちアーク溶接線中心倣いずれ量δXを求める。
δX=PXC−WXC
【0039】
図7は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ・アーク間距離制御を説明するための図である。
【0040】
図7に示されるように、レーザ・アーク間距離制御は、CMOSカメラ3で撮像した画像を用いてレーザ溶接とアーク溶接との間の距離を一定に保つために、アーク溶接トーチ(溶接ワイヤ20)の位置制御を行う必要がある。揺動左端時に撮像した画像(図7(a)参照)からワイヤ突込位置WYLを計測し、揺動左端時のレーザ・アーク間距離δLA-Lを算出する(レーザ溶接先行時)。
【0041】
δLA-L=LY−WYL
次に、揺動右端時に撮像した画像(図7(b)参照)からワイヤ突込位置WYRを計測し、揺動左端時のレーザ・アーク間距離δLA-Rを算出する。
【0042】
δLA-R=LY−WYR
そして、揺動左端時、右端時に算出したレーザ〜アーク間距離の平均δLAが所望の値となる。
【0043】
δLA=(δLA-L+δLA-R)/2
ここで、基準のレーザ・アーク間距離をLAstdとし、溶接トーチが前進する方向(レーザ加工点に近づく方向)を+とすると、制御量ΔLは、
ΔL=δLA−LAstd
となる。なお、ΔLが負(−)ならば、溶接トーチ2(溶接ワイヤ20)をレーザ加工点10から後退させることになる。
【0044】
図8は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例における揺動幅制御を説明するための図であり、図8(a)は基準溶融池幅および揺動幅を示し、図8(b)は現在溶融池幅および揺動幅を示している。
【0045】
揺動幅制御は、開先幅(ルートギャップ)の変動に応じた揺動幅となるように制御し、予め基準開先で溶接したときの溶融池幅PWstd(=PRstd−PLstd:図8(a)参照)と溶接ワイヤ揺動幅EWstd(=WXRstd−WXLstd:図8(b)参照)との差分値を記録しておく。そして、実際の溶融池幅をPWcur(=PRcur−PLcur)とすると共に、実際の揺動幅をEWcurとすると、
ΔW=(PWcur−EWcur)−(PWstd−EWstd)
となるΔWを揺動幅増減値として制御装置に送信する。
【0046】
本発明のハイブリッド溶接装置の画像処理方法では、例えば、高速度CMOSカメラ3を用いて溶融池100の画像を撮影(撮像)するが、アーク溶接トーチ2の揺動中心および揺動幅の計測を行うために、揺動端における溶融池画像(溶接ワイヤ画像)が必要となる。さらに、高速度CMOSカメラ3で撮像した揺動端近傍での複数フレームの画像を積算平滑化処理するために、例えば、積算開始を知らせるトリガを揺動軸(左右軸)サーボコントーラよりワイヤ揺動端手前1.5msの位置で出力する。
【0047】
図9は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像積算平滑化処理の一例を説明するための図である。
【0048】
図9に示されるように、例えば、CMOSカメラ3により撮像された原画像I-1〜I-nは、カメラの撮像タイミングによってアーク光200やレーザプルーム光等の影響により溶接ワイヤ20の画像が不鮮明となったり、或いは、アーク短絡により画像全体の輝度が低下して溶接ワイヤ20の判別が困難となる場合がある。そこで、本発明のハイブリッド溶接装置の画像処理方法では、加算器401により複数の画像を輝度積算(例えば、3つの画像を積算)し、さらに、ビットシフト回路402でビットシフトして平滑化処理を行い、3つの画像を積算平滑化処理した画像I-Aを生成する。
【0049】
図9から明らかなように、この積算平滑化処理した画像I-Aにおいては、溶融池100および溶接ワイヤ20等を明確に認識でき、この積算平滑化処理した画像I-Aを使用することにより前述したレーザ溶接およびアーク溶接の各制御を正確に行うことが可能になる。
【0050】
図10は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法におけるアーク光量の変化の例を説明するための図であり、図10(a)はアーク光量適正時の画像、図10(b)はアーク光量過大時の画像、そして、図10(c)はアーク光量過小時の画像を示している。
【0051】
まず、図10(a)に示されるように、アーク光量適正時の画像は、アーク光量および溶融池輻射光が適正な場合のものであり、発光が開先内に均一に拡がっていて、レーザ加工点発光(レーザ照射点)10、溶接ワイヤ20および溶融池輻射光(溶融池100)が明瞭に識別できる。これに対して、図10(b)に示されるように、アーク光量過大時の画像は、アーク光200が偏ったり、溶接ワイヤ20の端部を塞いだりすることがあり、また、図10(c)に示されるように、アーク光量過小時の画像は、発光が弱すぎて溶接ワイヤ20および開先壁が不明瞭となる。
【0052】
そこで、本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法(ハイブリッド溶接装置)では、複数の画像を積算平滑化処理してレーザ溶接およびアーク溶接の制御に用いる画像を生成する。
【0053】
図11は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。
【0054】
上述したように、本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法は、複数の画像を積算平滑化処理してレーザ溶接およびアーク溶接の制御に用いる画像を生成する。
【0055】
しかしながら、例えば、アーク光量の大小によって積算する画像の多数が不明瞭である場合(例えば、積算する3画面のうち2画面が暗くワイヤ画像が不明瞭である等)には、積算平滑化処理を行っても画質改善の効果が得られない。そこで、図11に示されるように、例えば、溶接トーチ2(溶接ワイヤ20)の揺動端の前後±1.5msにおいて0.5ms毎に7つの画面L11〜L17を取り込み、適正な明るさの3画面L12,L14,L17のみを積算平滑化処理を行って左端平滑画像LAを生成する。同様に、右端平滑画像RAも、適正な明るさの画面のみを積算平滑化処理して生成する。
【0056】
なお、図11において、画面L11およびL13はアーク光量過小時(アーク短絡時:NG1)のものであり、また、画面L15およびL16はアーク光量過大時(NG2)のものであり、これらの画面L11,L13,L15,L16は、積算平滑化処理には使用しない。
【0057】
ここで、アーク変動が十分速いものとすれば、高速取り込みが可能なカメラ(CMOSカメラ等)を使用することで、揺動端近傍(±1.5ms)において0.5ms程度の間隔で画像を取り込んで積算平滑化処理を行えば、例えば、アーク溶接トーチ2が30Hzで揺動している場合、計測サイクルは30回/秒(左右1対)となる。ここで、計測サイクルは揺動周期で律せられ、揺動幅2mm、揺動振幅30Hzのとき左右揺動端から±1.5msにおける溶接ワイヤ20の位置は、±0.04mm程度となり、ワイヤ径を1.2mmとすると±3.3%のずれに過ぎず、積算平滑化処理には十分であることが分かる。
【0058】
なお、計測値を制御に使うためには、誤検知の影響を排除するために5〜10(或いは、2〜5)点の計測値から中央値処理等の平滑化処理が必要であり、制御サイクルは0.17〜0.33(或いは、0.07〜0.17)秒程度となる。また、積算平滑化処理に不適な画像(アーク光量が過小または過大)を輝度積算値の大きさで除外することにより、良好な平滑化処理画像が得られる。さらに、平滑化処理画像の画質が向上するため、誤検知の影響を低減するための中央値処理点数を減らすことができ、制御サイクルを短くすることが可能である。
【0059】
以上において、積算平滑化処理に使用する画像(画面)は、溶接ワイヤ20の揺動端前後の画像であるが、揺動端の前後±1.5msの画像に限定されるものではなく、また、積算平滑化処理に使用する画像の枚数も3枚に限定されるものではない。
【0060】
図12は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像輝度積算値による適正画像判定の例を説明するための図である。
【0061】
図12に示されるように、適正な明るさを決定するには、画像内の設定矩形範囲における輝度積算値SUM-Pが予め設定してあるしきい値Th1およびTh2に対して、
Th1<SUM-P<Th2
を満たしているかどうかを判断する処理が必要である。
【0062】
すなわち、矩形領域(Xs,Ys)〜(Xe,Ye)内の輝度積算値を算出し、その値が予め設定されたしきい値Th1〜Th2の範囲内にあれば有効画像とし、平滑化データ生成に用いる。なお、矩形領域(Xs,Ys)〜(Xe,Ye)内の輝度積算値がしきい値Th1未満またはTh2を越えた場合は無効画像とする。
【0063】
すなわち、CMOSカメラ3により撮影された複数の画像のうち、その画像において溶融池100の両端および溶接ワイヤ20の画像を含み、且つ、レーザ照射点(レーザ加工発光点)10の画像を含まない矩形領域内の輝度積算値SUM-Pを算出する。そして、算出された輝度積算値SUM-Pが予め定められた範囲内(Th1<SUM-P<Th2)にある画像を積算平滑化処理に使用する。
【0064】
そして、矩形領域内の輝度積算値Pが予め定められた範囲内にある画像を積算平滑化処理して生成された画像に基づいて、レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、レーザ溶接のレーザ照射点とアーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、並びに、溶接ワイヤの揺動幅制御等を行うことになる。
【0065】
図13は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池端部検知処理の一例を説明するための図である。
【0066】
図13に示されるように、溶融池100の中心を求めるには、溶融池100の左右端を、開先が計測ラインを横切るように設定しておいて、そのライン上の輝度変化を調べることにより検知する。ここで、計測ラインは、DL1〜DL3の3本設定し、各ラインDL1〜DL3で検知されたX座標3点のうち中央値を溶融池100の端部とする。
【0067】
また、左側端点の場合、計測ラインDL1〜DL3上の輝度データに対して溶融池100の外側から中央に向かって1次微分および2次微分を行う。そして、1次微分値が予め設定されたしきい値Th10を初めて越え、且つ、その直後で2次微分値が零クロス(+→−)する点を検知し、これを溶融池100の左端点とする。ただし、零クロス点における1次微分値がしきい値Th10以上であることが必要である。なお、検索点が設定範囲を超えたら検出エラーとする。また、右側端点の場合も、同様に溶融池100の外側から中央に向かって処理を行う。
【0068】
なお、レーザ加工点(レーザ照射点)は、CMOSカメラ3により同軸上で見ているため、画像内ではその位置は固定であり、溶接前に予めその座標を知ることができる。
【0069】
このようにして、レーザ溶接線中心倣いに必要な同軸カメラ(CMOSカメラ3)の画像における溶融池端部およびレーザ加工点を検知することができる。
【0070】
図14は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶接ワイヤ検知処理の一例を説明するための図である。
【0071】
溶接ワイヤ20の位置検知は、アーク溶接線中心倣い制御および揺動幅倣い制御に必要である。まず、溶接ワイヤ突込位置を検知するための計測ラインを設定する。
【0072】
図14に示されるように、溶接ワイヤ20の位置検知には、図13を参照して説明した溶融池100の左右端を検知するために使用した計測ラインDL1〜DL3を利用し、溶接ワイヤ20のX方向(進行方向に垂直)の位置を検知する。
【0073】
計測ラインDL1の輝度データを移動平均処理し、溶融池100の左右端の内側範囲内の最小値を求め、これを溶接ワイヤ20のX座標候補とする。さらに、残り2本の計測ラインDL2およびDL3においても同様の処理を実行し、得られたX座標値のうち中央値を取るものを溶接ワイヤ20のX座標WXL(揺動左端時)とする。また、そのときの輝度値をP(WXL)なお、揺動右端時の溶接ワイヤ20のX座標はWXRとし、そのときの輝度値をP(WXR))とする。
【0074】
このX座標をワイヤ突込位置計測ラインDL4として設定し、画像の下側からレーザ加工点方向へ輝度データを調べ、その値が設定しきい値(=P(WXL)*α)を越えた点をワイヤ突込位置候補WYL(またはWYR)とする。さらに、ワイヤ突込位置WYは、WYLとWYRの平均値[(WYL+WYR)/2]とする。また、揺動幅EWは、EW=WYR−WYLである。
【0075】
図15および図16は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図15および図16のフローチャートは、計測値から誤検知の影響を排除して溶接の制御に使用するために5点(5回:M=5)の計測値を使用して中央値処理等の平滑化処理を行い、且つ、溶接トーチ2(溶接ワイヤ20)の揺動端の前後±1.5msにおいて0.5ms毎に画面を取り込む場合を例として示している。
【0076】
まず、ハイブリッド溶接装置の画像処理が開始すると、ステップST1において、計測回数M=1とし、ステップST2へ進んで、溶接トーチ2が揺動端の1.5ms前であるかどうかを判別する。ステップST2において、揺動端の1.5ms前であると判別されると、さらに、ステップST3へ進んで、揺動右端側かどうかを判別し、また、揺動端の1.5ms前ではないと判別されると、ステップST2に戻って、揺動端の1.5ms前であると判別されるまで処理を繰り返す。
【0077】
ステップST3において、揺動右端側であると判別されると、ステップST4へ進んで、1画面を取り込み、さらに、ステップST5へ進み、また、揺動右端側ではないと判別されると、ステップST9へ進んで、1画面を取り込み、さらに、ステップST10へ進む。
【0078】
ステップST5では、図12を参照して説明したように、ステップST4で取り込まれた画面の輝度積算値が設定範囲内かどうかを判別し、輝度積算値が設定範囲内であると判別されると、ステップST6へ進んで、画像積算・平滑化処理を行い、さらに、ステップST7へ進む。同様に、ステップST10でも、ステップST9で取り込まれた画面の輝度積算値が設定範囲内かどうかを判別し、輝度積算値が設定範囲内であると判別されると、ステップST11へ進んで、画像積算・平滑化処理を行い、さらに、ステップST12へ進む。
【0079】
ステップST7では、揺動端1.5ms後かどうかを判別し、揺動端1.5ms後であると判別されると、ステップST14へ進み、また、揺動端1.5ms後ではないと判別されると、ステップST8へ進んで、0.5ms遅延してステップST4へ戻り、ステップST7で揺動端1.5ms後であると判別されるまで同様の処理を繰り返す。同様に、ステップST12では、揺動端1.5ms後かどうかを判別し、揺動端1.5ms後であると判別されると、ステップST14へ進み、また、揺動端1.5ms後ではないと判別されると、ステップST13へ進んで、0.5ms遅延してステップST9へ戻り、ステップST12で揺動端1.5ms後であると判別されるまで同様の処理を繰り返す。
【0080】
ステップST14では、揺動端の左右でM組のペアがあるかどうかを判別し、M組のペアがあると判別されると、ステップST15へ進み、また、M組のペアがないと判別されると、ステップST2へ戻って、M組のペアがあると判別されるまで同様の処理を繰り返す。
【0081】
ステップST15では、前述したような、M組目の溶融池中心、溶融池幅、揺動幅、ワイヤ突込位置とレーザ加工点との間の距離等を算出し、ステップST16へ進む。ステップST16では、Mが5以上(M≧5)であるかどうかを判別し、Mが5以上ではない(M=1,2,3,4)と判別されると、ステップST17へ進んで、M=M+1としてステップST2へ戻り、また、Mが5以上である(M=5)と判別されると、ステップST18へ進む。
【0082】
ステップST18では、溶融池中心、溶融池幅、揺動幅、ワイヤ突込位置とレーザ加工点との間の距離等の算出値の平滑化処理(算出値5組の平均:積算平滑化処理)を行って、ステップST19へ進む。ステップST19では、ステップST18で複数の画像を積算平滑化処理した画像に従って、各制御量を算出および送信し、ステップST20に進んで、処理を終了するかどうかを判別し、処理を終了すると判別されるまで、上述したステップST1からの処理を繰り返す。
【0083】
なお、ステップST19における各制御量とは、例えば、レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、レーザ照射点と前記アーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、および、溶接ワイヤの揺動幅制御等に使用する制御量である。
【0084】
ここで、計測値から誤検知の影響を排除するために行う計測回数(M)は5回に限定されるものではなく、また、画面と取り込むタイミングも揺動端前後±1.5msにおいて0.5ms毎に取り込むのに限定されないのはもちろんである。
【0085】
図17は本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を模式的に示す図である。
図17と前述した図3との比較から明らかなように、本実施例のハイブリッド溶接装置は、図3に示すハイブリッド溶接装置に対して、さらに、CCDカメラ5を設けたものに相当する。
【0086】
CCDカメラ5は、溶接方向斜め前(例えば45°前後の角度)に配置され、CMOSカメラ3と同様の干渉フィルタ(透過主波長が955nm)が設けられていて、レーザ加工点位置を計測する。
【0087】
図18は本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を概略的に示すブロック図である。図18において、参照符号4は制御用コンピュータ(制御PC)、42は画像処理ボード、そして、43はシリアルインターフェース(シリアルI/F)を示している。
【0088】
図18に示されるように、CMOSカメラ3の映像は、画像処理ボード42のCH1に入力され、また、CCDカメラ5の映像は、画像処理ボード42のCH0に入力されている。非同期シャッター用トリガは、レーザヘッド左右軸サーボコントローラから出力されて画像処理ボード42に入力される。CMOSカメラ3へのシャッタートリガは、画像処理ボード42から出力される。
【0089】
図19は本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCCDカメラの画像の一例を示す図である。
【0090】
図19に示されるように、本発明に係るハイブリッド溶接装置のCCDカメラ5により取り込まれた画像における検知項目としては、レーザ加工点位置(X座標)lx、および、レーザ加工点位置(Y座標)lyである。
【0091】
図20は本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例におけるレーザヘッド高さ倣い制御を説明するための図である。
【0092】
図20に示されるように、レーザヘッド高さ倣い制御は、CCDカメラ5で捉えた溶接部画像内のレーザ加工点中心座標ly画像計測し、基準座標値lystdからの差分値δlyにより、レーザヘッド高さ変動値△dを算出する。
【0093】
y−resを画像分解能とすると、
△d=δly*cosθ*yres
=(lystd−ly)*cosθ*yres
ここで、画像分解能yresは0.03mm/画素であり、θを45°とすると、高さ検知分解能は,0.04mm/画素となる。
【0094】
このように、CCDカメラ5を設けることにより、レーザヘッド高さ倣い制御を行うことが可能になる。
【0095】
図21は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における水平・垂直投影処理の一例を説明するための図である。
【0096】
CCDカメラ5によるレーザ加工点検知処理は、CCDカメラ5の画像におけるレーザ加工点位置は、高さ計測に使用する。近赤外波長である955nm干渉フィルタを通した画像においてレーザ加工点発光はアーク光よりも明るく撮像されるため、二値化処理を行うことで検知が可能である。ただし、場合によってはアーク発光が強いときがあるため、同軸カメラ(CMOSカメラ3)と同様に画像を複数枚積算平滑化処理することでアーク光の影響を低減することができる。
【0097】
図21に示されるように、位置検出は、水平方向投影処理(プロジェクション)を利用する。この処理は、水平方向の1ライン上における輝度値を積算するものである。これを垂直方向に順に行うと投影値の垂直方向分布ΣP(i,Y)が分かる。図21から明らかなように、例えば、水平方向に明るい部分が長い個所は、輝度の積算値(濃淡値投影データ)が大きく現れ、この投影データが最大となる点がレーザ加工点の垂直方向座標である。
【0098】
同様に、垂直方向投影処理は、垂直方向の1ライン上における輝度値を積算するものであり、この垂直方向投影処理を垂直方向に順に行うと投影値の水平方向分布ΣP(X,j)が分かり、投影データが最大となる点がレーザ加工点の水平方向座標である。
【0099】
以上により、レーザ加工点の垂直・水平方向座標(X座標:lx、および、Y座標:ly)を検出することができる。
【0100】
図22は本発明に係るレーザ溶接部の品質判定プログラムを記録した媒体の例を説明するための図である。図22において、参照符号310は処理装置、320はプログラム(データ)提供者、そして、330は可搬型記憶媒体を示している。
【0101】
上述した本発明に係るレーザ溶接部の品質判定方法は、例えば、図22に示すような処理装置310に対するプログラム(データ)として与えられ、処理装置310により実行される。処理装置310は、プロセッサを含む演算処理装置本体311、および、演算処理装置本体311に対してプログラム(データ)を与えたり或いは処理された結果を格納する処理装置側メモリ(例えば、RAM(Random Access Memory)やハードディスク)312等を備える。処理装置310に提供されたプログラム(データ)は、ローディングされて処理装置310のメインメモリ上で実行される。
【0102】
プログラム(データ)提供者320は、プログラム(データ)を格納する手段(回線先メモリ:例えば、DASD(Direct Access Storage Device))321を有し、例えば、インターネット等の回線を介してプログラム(データ)を処理装置310に提供したり、或いは、CD−ROMや光ディスクまたはフロッピィディスク等の可搬型記憶媒体330を介して処理装置310に提供する。本発明に係るレーザ溶接部の品質判定プログラムを記録した媒体は、上記の処理装置側メモリ312、回線先メモリ321、および、可搬型記憶媒体330等の様々なものを含むのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、主としてレーザ溶接およびアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接に適用されるが、これに限定されず、様々な方式の溶接を組み合わせたハイブリッド溶接に対して適用することができる。また、本発明が適用されるハイブリッド溶接は、従来から知られている他の方式の溶接と併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】関連技術としてのハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。
【図2】本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCMOSカメラの画像の一例を示す図である。
【図3】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【図6】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるアーク溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【図7】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ・アーク間距離制御を説明するための図である。
【図8】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例における揺動幅制御を説明するための図である。
【図9】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像積算平滑化処理の一例を説明するための図である。
【図10】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法におけるアーク光量の変化の例を説明するための図である。
【図11】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。
【図12】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像輝度積算値による適正画像判定の例を説明するための図である。
【図13】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池端部検知処理の一例を説明するための図である。
【図14】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶接ワイヤ検知処理の一例を説明するための図である。
【図15】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理の一例を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図16】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理の一例を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図17】本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を模式的に示す図である。
【図18】本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を概略的に示すブロック図である。
【図19】本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCCDカメラの画像の一例を示す図である。
【図20】本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例におけるレーザヘッド高さ倣い制御を説明するための図である。
【図21】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における水平・垂直投影処理の一例を説明するための図である。
【図22】本発明に係るレーザ溶接部の品質判定プログラムを記録した媒体の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0105】
1 レーザヘッド
2 溶接トーチ
3 CMOSカメラ
4 制御コンピュータ
5 CCDカメラ
10 レーザ照射点(レーザ加工点)
11 レーザ光
20 溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)
42 画像処理ボード
43 シリアルインターフェース
100 溶融池
310 処理装置
311 演算処理装置本体
312 処理装置側メモリ
320 プログラム(データ)提供者
330 可搬型記憶媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムに関し、特に、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせて、レーザ溶接の高エネルギーによる溶け込み深さおよび高速性、並びに、アーク溶接(供給するフィラーワイヤ)による十分な溶着量といった両者の長所を取り入れたハイブリッド溶接が研究・開発されている。
【0003】
ここで、ハイブリッド溶接は、主としてレーザ溶接およびアーク溶接を組み合わせるものであるが、これに限定されず、本発明は、例えば、電子ビーム溶接や誘導加熱溶接等の他の方式の溶接を組み合わせたハイブリッド溶接にも適用することが可能である。また、実際の厚板(例えば、パイプ)等の溶接において、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接を行った後、アーク溶接を行うというように、本発明に係るハイブリッド溶接に加えて、さらに、他の方式の溶接を行うこともあり得る。
【0004】
ところで、従来、レーザ溶接とMIG(Metal Inert Gas)溶接を組み合わせたハイブリッド溶接において、高速域の溶接において溶接ビードが不安定になるのを防止するために、溶接時に被溶接物に形成された溶融池を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像した画像に基づいてレーザ光の照射点から溶融池の輪郭までの距離を求める距離算出手段と、距離算出手段で求めた距離に基づいて、照射点と溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)の供給ノズルの相対的な位置を変化させる移動手段を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、従来、開先幅を高精度で測定し、開先幅の変動に応じて必要溶着量を適正に制御するアーク溶接の自動溶着量制御方法が提案されている。すなわち、本件の発明者達により、基準溶接では初層から最終層2層前までの基準溶融池幅を計測し、初層平滑化溶融池幅と基準溶融池幅データとの比および予め設定された2層目基準溶接速度を基に2層目目標溶接速度を算出し、この速度で2層目溶接を行なうと共に溶融池幅を計測し、同様に次の3層目から最終層1層前までの溶接を行い、最終層溶接は最終層2層前平滑化溶融池幅データと基準溶融池幅データとの比および予め設定された最終層基準溶接速度を基に算出した目標溶接速度により行なう狭開先多層盛りアーク溶接の自動溶着量制御方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、従来、輝度レベルが異なる溶接電極、溶融池、開先壁および溶接ワイヤを撮像画像から安定して分離、検出でき、画像計測値を基に安定して制御を行うことができるTIG(Tungsten Inert Gas)アーク溶接の自動制御方法も提案されている。すなわち、本発明者達により、溶接電極、溶融池、開先壁、溶接ワイヤを含む領域を撮像した輝度画像において、溶接電極と溶融池との輝度差、溶融池と開先壁との輝度差、溶接ワイヤと溶融池との輝度差がそれぞれ相対的に大きくなるような露光時間で撮像した溶接電極、開先壁、溶融池、および、溶接ワイヤの輝度画像の計測値を基に溶接電極の中心線倣い制御、揺動幅制御、および、溶接ワイヤ挿入位置制御を行うTIGアーク溶接の自動制御方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−181664号公報
【特許文献2】特開2005−081418号公報
【特許文献3】特開2005−081419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来、レーザ溶接とMIG溶接を組み合わせたハイブリッド溶接において、撮像手段により被溶接物に形成された溶融池を撮像し、距離算出手段によりその画像を画像処理して溶融池の輪郭とレーザ光の照射点を検出し、さらに、レーザ光の照射点から溶融池の輪郭までの距離を求め、そして、移動手段により距離算出手段で求めた距離に基づいて、レーザ光の照射点と溶加材ワイヤの供給ノズルの相対的な位置を変化させるものが提案されている。
【0009】
すなわち、被溶接物の板厚により決定される溶接速度に対して、レーザ光の照射点と供給ノズル(溶接ワイヤ)の間隔を最適に制御して照射点を溶融池内に位置させることにより、溶接速度の大小に左右されることなく常に安定した溶接ビードを形成し、高品質の溶接部を得るようにしたハイブリッド溶接技術が提案されている。
【0010】
しかしながら、例えば、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接装置において、溶融部の画像処理を行ってレーザ溶接およびアーク溶接のそれぞれを適切に制御するようにしたものは実用化されていない。
【0011】
ところで、例えば、アーク溶接と、レーザ溶接とアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接との大きな違い(狭開先多層盛溶接初層の場合)は、溶け込み深さと溶接速度である。特に、溶接速度は、アーク溶接では20cm/min前後であるのに対して、ハイブリッド溶接では2m/min前後が可能である。従って、ハイブリッド溶接における制御速度は、アーク溶接に比べてかなり高速であることが必要となる。
【0012】
図1は関連技術としてのハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。図1において、参照符号10はレーザ照射点(レーザ加工点発光)、20は溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)、そして、100は溶融池を示している。
【0013】
まず、アーク溶接トーチ(溶接ワイヤ20)が揺動している場合、揺動端における画像計測が必要となる。すなわち、溶接トーチの揺動幅は、左右1対の画像計測により算出することができ、例えば、揺動周波数が30Hzの場合、左端から右端までは16.7msであるが、外部トリガによるシャッターの場合は33.3ms以上間隔を空ける必要がある。そのため、溶接トーチの左右端計測間隔MPは、1周期遅らせて50msとなり、計測サイクルは20回/秒となる。さらに、アーク変動の影響を避けるためには、例えば、最低3フレーム程度の積算平滑化処理が必要となり、その結果、計測サイクルは6.7回/秒となる。
【0014】
さらに、このようにして得た計測値を溶接の制御に使用するには、誤検知の影響を排除しなければならず、例えば、5点(5回)の計測値を使用して中央値処理等の平滑化処理を行う必要があり、その結果、制御サイクルは1秒前後となってしまう。ここで、アーク溶接の溶接長は、例えば、1秒間で約3mm程度であるが、ハイブリッド溶接の溶接長は、例えば、1秒間で約30mm程度であるため、1秒程度の制御サイクルではハイブリッド溶接の制御を行うことは困難である。
【0015】
さらに、図1に示されるように、例えば、溶接トーチが左端に移動しているときの画像L1,L2およびL3の3つの画像を積算平滑化処理して左端平滑画像LA0とし、また、溶接トーチが右端に移動しているときの画像R1,R2およびR3の3つの画像を積算平滑化処理して右端平滑画像RA0とする。
【0016】
このとき、右端平滑画像RA0に関して、例えば、積算平滑化処理に使用した3つの画像R1,R2,R3が正常(適正露出)だった場合、右端平滑画像RA0も正常となる。しかしながら、左端平滑画像LA0に関して、例えば、画像L2だけが正常で画像L1およびL3はアーク光量過大時(オーバー露出)だった場合、左端平滑画像LA0ではワイヤ先端部分が不鮮明になり、溶接の制御を高精度で行うことが困難となる。
【0017】
本発明は、高精度の溶接制御を行うことのできるハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の形態によれば、第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置であって、被溶接材の画像を取り込む画像取り込み手段と、該画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理する画像処理手段と、該画像処理手段により処理された画像に従って、前記第1の溶接および前記第2の溶接を制御する溶接制御手段と、を備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置が提供される。
【0019】
本発明の第2の形態によれば、第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理方法であって、被溶接材の複数の画像を取り込み、該取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理して、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法が提供される。
【0020】
本発明の第3の形態によれば、第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムであって、コンピュータに、被溶接材の複数の画像を取り込ませ、該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムが提供される。
【0021】
本発明の第4の形態によれば、コンピュータによって実行させるプログラムを記録した媒体であって、該プログラムは、前記コンピュータに、被溶接材の複数の画像を取り込ませ、該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムを記録した媒体が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高精度の溶接制御を行うことのできるハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。
【実施例】
【0024】
図2は本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCMOSカメラの画像の一例を示す図である。図2において、参照符号10はレーザ照射点(レーザ加工点発光)、20は溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)、そして、100は溶融池を示している。
【0025】
ここで、CMOSカメラは、後に詳述するように、例えば、被溶接材にレーザ光を照射して行うレーザ溶接部(溶融池)の画像を、照射されるレーザ光に対して同軸上に設けられている。
【0026】
図2に示されるように、本発明に係るハイブリッド溶接装置のCMOSカメラにより取り込まれた画像における検知項目としては、レーザ加工点位置(X座標)LX、レーザ加工点位置(Y座標)LY、溶融池両端位置(X座標)PL,PRおよび溶融池中心PXC(=(PL+PR)/2)、溶接ワイヤ突込位置(Y座標)WY、並びに、溶接ワイヤ位置(X座標)WXL、WXRおよび揺動中心WXC(=(WXR+WXL)/2)である。
【0027】
図3は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を模式的に示す図である。図3において、参照符号1はレーザヘッド、11はレーザ光、2は溶接トーチ、20は溶接ワイヤ、そして、3はCMOSカメラを示している。なお、図3における溶接方向は、レーザ溶接部(レーザヘッド1)およびアーク溶接部(溶接トーチ2)が設けられたハイブリッド溶接装置と被溶接材(母材)との相対的な移動方向を示し、例えば、被溶接材が固定されている場合には、ハイブリッド溶接装置が図3において左奥から右手前方向へ移動する。
【0028】
図3に示されるように、CMOSカメラ3は、レーザヘッド1から被溶接材へ照射されるレーザ光11と同軸上に配置されている。なお、CMOSカメラ3には、アーク光の影響を排除して溶融池輻射光およびレーザ加工点発光をより良く捉えるために干渉フィルタ(透過主波長955nm)が設けられており、溶融池全体、溶接ワイヤ20およびレーザ照射点(レーザ加工点)10を高速に(例えば、毎秒2000コマ)撮像することができるようになっている。
【0029】
図4は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を概略的に示すブロック図である。図4において、参照符号4は制御用コンピュータ(制御PC)、42は画像処理ボード、そして、43はシリアルインターフェース(シリアルI/F)を示している。
【0030】
図4に示されるように、CMOSカメラ3の映像は、画像処理ボード42に入力される。また、非同期シャッター用トリガは、レーザヘッド左右軸サーボコントローラ(揺動制御部)から出力されて画像処理ボード42に入力され、CMOSカメラ3へのシャッタートリガは画像処理ボード42から出力される。そして、画像処理ボード42で処理された画像データは、シリアルインターフェース43(例えば、RS−232C)を介して制御装置へ出力される。
【0031】
図5は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【0032】
図5に示されるように、レーザ溶接線中心倣いは、CMOSカメラ3で捉えた溶接部画像内のレーザ加工点10の中心LXと溶接線の中心PXC(すなわち、開先中心=溶融池100の中心)が一致するように加工点位置を制御する。なお、本実施例のハイブリッド溶接装置では、レーザ光11と同軸上に設けられたCMOSカメラ3はレーザヘッド1と連動しているため(図3参照)レーザ加工点10の方が静止し、溶融池100(開先)が移動しているように見える。そして、溶融池100の中心PXCとレーザ加工点10の中心LXの差δXを求め、これが零となるようにレーザヘッド1の位置を制御する。
【0033】
δX=LX−PXC=LX−(PR−PL)/2
ここで、計測サイクル時間をΔt、制御遅れ時間をtdとすると、本実施例では、Δt>tdであるが、対象ワーク(被溶接材)が直線であるため倣い制御としては十分である。
【0034】
この中心位置ずれ量δXに水平方向画素分解能(mm/画素)を掛けたものをレーザ加工点の位置制御量として送信する。なお、水平方向分解能は、例えば、0.015mm/画素であり、10画素程度のばらつきを見積もると、精度は±0.15mmとなる。
【0035】
図6は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるアーク溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【0036】
まず、アーク溶接線中心倣い制御は、CMOSカメラ3で撮像した溶融池100(溶接ワイヤ20)の画像を用いたレーザヘッド1の制御とは独立した制御である。
【0037】
図6に示されるように、アーク溶接線中心倣い制御は、揺動左端時画像(図6(a)参照)から溶接ワイヤ突込位置WXL、右端時画像(図6(b)参照)からWXRを計測し、これらから溶接ワイヤ20(アーク溶接トーチ)の揺動中心位置WXCを算出する。
【0038】
WXC=(WXL+WXR)/2
これと同時に溶融池100の中心PXC(揺動左端、右端時における溶融池中心の平均値)も算出し、揺動中心位置WXCと溶融池中心PXCの差分値すなわちアーク溶接線中心倣いずれ量δXを求める。
δX=PXC−WXC
【0039】
図7は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ・アーク間距離制御を説明するための図である。
【0040】
図7に示されるように、レーザ・アーク間距離制御は、CMOSカメラ3で撮像した画像を用いてレーザ溶接とアーク溶接との間の距離を一定に保つために、アーク溶接トーチ(溶接ワイヤ20)の位置制御を行う必要がある。揺動左端時に撮像した画像(図7(a)参照)からワイヤ突込位置WYLを計測し、揺動左端時のレーザ・アーク間距離δLA-Lを算出する(レーザ溶接先行時)。
【0041】
δLA-L=LY−WYL
次に、揺動右端時に撮像した画像(図7(b)参照)からワイヤ突込位置WYRを計測し、揺動左端時のレーザ・アーク間距離δLA-Rを算出する。
【0042】
δLA-R=LY−WYR
そして、揺動左端時、右端時に算出したレーザ〜アーク間距離の平均δLAが所望の値となる。
【0043】
δLA=(δLA-L+δLA-R)/2
ここで、基準のレーザ・アーク間距離をLAstdとし、溶接トーチが前進する方向(レーザ加工点に近づく方向)を+とすると、制御量ΔLは、
ΔL=δLA−LAstd
となる。なお、ΔLが負(−)ならば、溶接トーチ2(溶接ワイヤ20)をレーザ加工点10から後退させることになる。
【0044】
図8は本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例における揺動幅制御を説明するための図であり、図8(a)は基準溶融池幅および揺動幅を示し、図8(b)は現在溶融池幅および揺動幅を示している。
【0045】
揺動幅制御は、開先幅(ルートギャップ)の変動に応じた揺動幅となるように制御し、予め基準開先で溶接したときの溶融池幅PWstd(=PRstd−PLstd:図8(a)参照)と溶接ワイヤ揺動幅EWstd(=WXRstd−WXLstd:図8(b)参照)との差分値を記録しておく。そして、実際の溶融池幅をPWcur(=PRcur−PLcur)とすると共に、実際の揺動幅をEWcurとすると、
ΔW=(PWcur−EWcur)−(PWstd−EWstd)
となるΔWを揺動幅増減値として制御装置に送信する。
【0046】
本発明のハイブリッド溶接装置の画像処理方法では、例えば、高速度CMOSカメラ3を用いて溶融池100の画像を撮影(撮像)するが、アーク溶接トーチ2の揺動中心および揺動幅の計測を行うために、揺動端における溶融池画像(溶接ワイヤ画像)が必要となる。さらに、高速度CMOSカメラ3で撮像した揺動端近傍での複数フレームの画像を積算平滑化処理するために、例えば、積算開始を知らせるトリガを揺動軸(左右軸)サーボコントーラよりワイヤ揺動端手前1.5msの位置で出力する。
【0047】
図9は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像積算平滑化処理の一例を説明するための図である。
【0048】
図9に示されるように、例えば、CMOSカメラ3により撮像された原画像I-1〜I-nは、カメラの撮像タイミングによってアーク光200やレーザプルーム光等の影響により溶接ワイヤ20の画像が不鮮明となったり、或いは、アーク短絡により画像全体の輝度が低下して溶接ワイヤ20の判別が困難となる場合がある。そこで、本発明のハイブリッド溶接装置の画像処理方法では、加算器401により複数の画像を輝度積算(例えば、3つの画像を積算)し、さらに、ビットシフト回路402でビットシフトして平滑化処理を行い、3つの画像を積算平滑化処理した画像I-Aを生成する。
【0049】
図9から明らかなように、この積算平滑化処理した画像I-Aにおいては、溶融池100および溶接ワイヤ20等を明確に認識でき、この積算平滑化処理した画像I-Aを使用することにより前述したレーザ溶接およびアーク溶接の各制御を正確に行うことが可能になる。
【0050】
図10は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法におけるアーク光量の変化の例を説明するための図であり、図10(a)はアーク光量適正時の画像、図10(b)はアーク光量過大時の画像、そして、図10(c)はアーク光量過小時の画像を示している。
【0051】
まず、図10(a)に示されるように、アーク光量適正時の画像は、アーク光量および溶融池輻射光が適正な場合のものであり、発光が開先内に均一に拡がっていて、レーザ加工点発光(レーザ照射点)10、溶接ワイヤ20および溶融池輻射光(溶融池100)が明瞭に識別できる。これに対して、図10(b)に示されるように、アーク光量過大時の画像は、アーク光200が偏ったり、溶接ワイヤ20の端部を塞いだりすることがあり、また、図10(c)に示されるように、アーク光量過小時の画像は、発光が弱すぎて溶接ワイヤ20および開先壁が不明瞭となる。
【0052】
そこで、本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法(ハイブリッド溶接装置)では、複数の画像を積算平滑化処理してレーザ溶接およびアーク溶接の制御に用いる画像を生成する。
【0053】
図11は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。
【0054】
上述したように、本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法は、複数の画像を積算平滑化処理してレーザ溶接およびアーク溶接の制御に用いる画像を生成する。
【0055】
しかしながら、例えば、アーク光量の大小によって積算する画像の多数が不明瞭である場合(例えば、積算する3画面のうち2画面が暗くワイヤ画像が不明瞭である等)には、積算平滑化処理を行っても画質改善の効果が得られない。そこで、図11に示されるように、例えば、溶接トーチ2(溶接ワイヤ20)の揺動端の前後±1.5msにおいて0.5ms毎に7つの画面L11〜L17を取り込み、適正な明るさの3画面L12,L14,L17のみを積算平滑化処理を行って左端平滑画像LAを生成する。同様に、右端平滑画像RAも、適正な明るさの画面のみを積算平滑化処理して生成する。
【0056】
なお、図11において、画面L11およびL13はアーク光量過小時(アーク短絡時:NG1)のものであり、また、画面L15およびL16はアーク光量過大時(NG2)のものであり、これらの画面L11,L13,L15,L16は、積算平滑化処理には使用しない。
【0057】
ここで、アーク変動が十分速いものとすれば、高速取り込みが可能なカメラ(CMOSカメラ等)を使用することで、揺動端近傍(±1.5ms)において0.5ms程度の間隔で画像を取り込んで積算平滑化処理を行えば、例えば、アーク溶接トーチ2が30Hzで揺動している場合、計測サイクルは30回/秒(左右1対)となる。ここで、計測サイクルは揺動周期で律せられ、揺動幅2mm、揺動振幅30Hzのとき左右揺動端から±1.5msにおける溶接ワイヤ20の位置は、±0.04mm程度となり、ワイヤ径を1.2mmとすると±3.3%のずれに過ぎず、積算平滑化処理には十分であることが分かる。
【0058】
なお、計測値を制御に使うためには、誤検知の影響を排除するために5〜10(或いは、2〜5)点の計測値から中央値処理等の平滑化処理が必要であり、制御サイクルは0.17〜0.33(或いは、0.07〜0.17)秒程度となる。また、積算平滑化処理に不適な画像(アーク光量が過小または過大)を輝度積算値の大きさで除外することにより、良好な平滑化処理画像が得られる。さらに、平滑化処理画像の画質が向上するため、誤検知の影響を低減するための中央値処理点数を減らすことができ、制御サイクルを短くすることが可能である。
【0059】
以上において、積算平滑化処理に使用する画像(画面)は、溶接ワイヤ20の揺動端前後の画像であるが、揺動端の前後±1.5msの画像に限定されるものではなく、また、積算平滑化処理に使用する画像の枚数も3枚に限定されるものではない。
【0060】
図12は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像輝度積算値による適正画像判定の例を説明するための図である。
【0061】
図12に示されるように、適正な明るさを決定するには、画像内の設定矩形範囲における輝度積算値SUM-Pが予め設定してあるしきい値Th1およびTh2に対して、
Th1<SUM-P<Th2
を満たしているかどうかを判断する処理が必要である。
【0062】
すなわち、矩形領域(Xs,Ys)〜(Xe,Ye)内の輝度積算値を算出し、その値が予め設定されたしきい値Th1〜Th2の範囲内にあれば有効画像とし、平滑化データ生成に用いる。なお、矩形領域(Xs,Ys)〜(Xe,Ye)内の輝度積算値がしきい値Th1未満またはTh2を越えた場合は無効画像とする。
【0063】
すなわち、CMOSカメラ3により撮影された複数の画像のうち、その画像において溶融池100の両端および溶接ワイヤ20の画像を含み、且つ、レーザ照射点(レーザ加工発光点)10の画像を含まない矩形領域内の輝度積算値SUM-Pを算出する。そして、算出された輝度積算値SUM-Pが予め定められた範囲内(Th1<SUM-P<Th2)にある画像を積算平滑化処理に使用する。
【0064】
そして、矩形領域内の輝度積算値Pが予め定められた範囲内にある画像を積算平滑化処理して生成された画像に基づいて、レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、レーザ溶接のレーザ照射点とアーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、並びに、溶接ワイヤの揺動幅制御等を行うことになる。
【0065】
図13は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池端部検知処理の一例を説明するための図である。
【0066】
図13に示されるように、溶融池100の中心を求めるには、溶融池100の左右端を、開先が計測ラインを横切るように設定しておいて、そのライン上の輝度変化を調べることにより検知する。ここで、計測ラインは、DL1〜DL3の3本設定し、各ラインDL1〜DL3で検知されたX座標3点のうち中央値を溶融池100の端部とする。
【0067】
また、左側端点の場合、計測ラインDL1〜DL3上の輝度データに対して溶融池100の外側から中央に向かって1次微分および2次微分を行う。そして、1次微分値が予め設定されたしきい値Th10を初めて越え、且つ、その直後で2次微分値が零クロス(+→−)する点を検知し、これを溶融池100の左端点とする。ただし、零クロス点における1次微分値がしきい値Th10以上であることが必要である。なお、検索点が設定範囲を超えたら検出エラーとする。また、右側端点の場合も、同様に溶融池100の外側から中央に向かって処理を行う。
【0068】
なお、レーザ加工点(レーザ照射点)は、CMOSカメラ3により同軸上で見ているため、画像内ではその位置は固定であり、溶接前に予めその座標を知ることができる。
【0069】
このようにして、レーザ溶接線中心倣いに必要な同軸カメラ(CMOSカメラ3)の画像における溶融池端部およびレーザ加工点を検知することができる。
【0070】
図14は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶接ワイヤ検知処理の一例を説明するための図である。
【0071】
溶接ワイヤ20の位置検知は、アーク溶接線中心倣い制御および揺動幅倣い制御に必要である。まず、溶接ワイヤ突込位置を検知するための計測ラインを設定する。
【0072】
図14に示されるように、溶接ワイヤ20の位置検知には、図13を参照して説明した溶融池100の左右端を検知するために使用した計測ラインDL1〜DL3を利用し、溶接ワイヤ20のX方向(進行方向に垂直)の位置を検知する。
【0073】
計測ラインDL1の輝度データを移動平均処理し、溶融池100の左右端の内側範囲内の最小値を求め、これを溶接ワイヤ20のX座標候補とする。さらに、残り2本の計測ラインDL2およびDL3においても同様の処理を実行し、得られたX座標値のうち中央値を取るものを溶接ワイヤ20のX座標WXL(揺動左端時)とする。また、そのときの輝度値をP(WXL)なお、揺動右端時の溶接ワイヤ20のX座標はWXRとし、そのときの輝度値をP(WXR))とする。
【0074】
このX座標をワイヤ突込位置計測ラインDL4として設定し、画像の下側からレーザ加工点方向へ輝度データを調べ、その値が設定しきい値(=P(WXL)*α)を越えた点をワイヤ突込位置候補WYL(またはWYR)とする。さらに、ワイヤ突込位置WYは、WYLとWYRの平均値[(WYL+WYR)/2]とする。また、揺動幅EWは、EW=WYR−WYLである。
【0075】
図15および図16は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図15および図16のフローチャートは、計測値から誤検知の影響を排除して溶接の制御に使用するために5点(5回:M=5)の計測値を使用して中央値処理等の平滑化処理を行い、且つ、溶接トーチ2(溶接ワイヤ20)の揺動端の前後±1.5msにおいて0.5ms毎に画面を取り込む場合を例として示している。
【0076】
まず、ハイブリッド溶接装置の画像処理が開始すると、ステップST1において、計測回数M=1とし、ステップST2へ進んで、溶接トーチ2が揺動端の1.5ms前であるかどうかを判別する。ステップST2において、揺動端の1.5ms前であると判別されると、さらに、ステップST3へ進んで、揺動右端側かどうかを判別し、また、揺動端の1.5ms前ではないと判別されると、ステップST2に戻って、揺動端の1.5ms前であると判別されるまで処理を繰り返す。
【0077】
ステップST3において、揺動右端側であると判別されると、ステップST4へ進んで、1画面を取り込み、さらに、ステップST5へ進み、また、揺動右端側ではないと判別されると、ステップST9へ進んで、1画面を取り込み、さらに、ステップST10へ進む。
【0078】
ステップST5では、図12を参照して説明したように、ステップST4で取り込まれた画面の輝度積算値が設定範囲内かどうかを判別し、輝度積算値が設定範囲内であると判別されると、ステップST6へ進んで、画像積算・平滑化処理を行い、さらに、ステップST7へ進む。同様に、ステップST10でも、ステップST9で取り込まれた画面の輝度積算値が設定範囲内かどうかを判別し、輝度積算値が設定範囲内であると判別されると、ステップST11へ進んで、画像積算・平滑化処理を行い、さらに、ステップST12へ進む。
【0079】
ステップST7では、揺動端1.5ms後かどうかを判別し、揺動端1.5ms後であると判別されると、ステップST14へ進み、また、揺動端1.5ms後ではないと判別されると、ステップST8へ進んで、0.5ms遅延してステップST4へ戻り、ステップST7で揺動端1.5ms後であると判別されるまで同様の処理を繰り返す。同様に、ステップST12では、揺動端1.5ms後かどうかを判別し、揺動端1.5ms後であると判別されると、ステップST14へ進み、また、揺動端1.5ms後ではないと判別されると、ステップST13へ進んで、0.5ms遅延してステップST9へ戻り、ステップST12で揺動端1.5ms後であると判別されるまで同様の処理を繰り返す。
【0080】
ステップST14では、揺動端の左右でM組のペアがあるかどうかを判別し、M組のペアがあると判別されると、ステップST15へ進み、また、M組のペアがないと判別されると、ステップST2へ戻って、M組のペアがあると判別されるまで同様の処理を繰り返す。
【0081】
ステップST15では、前述したような、M組目の溶融池中心、溶融池幅、揺動幅、ワイヤ突込位置とレーザ加工点との間の距離等を算出し、ステップST16へ進む。ステップST16では、Mが5以上(M≧5)であるかどうかを判別し、Mが5以上ではない(M=1,2,3,4)と判別されると、ステップST17へ進んで、M=M+1としてステップST2へ戻り、また、Mが5以上である(M=5)と判別されると、ステップST18へ進む。
【0082】
ステップST18では、溶融池中心、溶融池幅、揺動幅、ワイヤ突込位置とレーザ加工点との間の距離等の算出値の平滑化処理(算出値5組の平均:積算平滑化処理)を行って、ステップST19へ進む。ステップST19では、ステップST18で複数の画像を積算平滑化処理した画像に従って、各制御量を算出および送信し、ステップST20に進んで、処理を終了するかどうかを判別し、処理を終了すると判別されるまで、上述したステップST1からの処理を繰り返す。
【0083】
なお、ステップST19における各制御量とは、例えば、レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、レーザ照射点と前記アーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、および、溶接ワイヤの揺動幅制御等に使用する制御量である。
【0084】
ここで、計測値から誤検知の影響を排除するために行う計測回数(M)は5回に限定されるものではなく、また、画面と取り込むタイミングも揺動端前後±1.5msにおいて0.5ms毎に取り込むのに限定されないのはもちろんである。
【0085】
図17は本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を模式的に示す図である。
図17と前述した図3との比較から明らかなように、本実施例のハイブリッド溶接装置は、図3に示すハイブリッド溶接装置に対して、さらに、CCDカメラ5を設けたものに相当する。
【0086】
CCDカメラ5は、溶接方向斜め前(例えば45°前後の角度)に配置され、CMOSカメラ3と同様の干渉フィルタ(透過主波長が955nm)が設けられていて、レーザ加工点位置を計測する。
【0087】
図18は本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を概略的に示すブロック図である。図18において、参照符号4は制御用コンピュータ(制御PC)、42は画像処理ボード、そして、43はシリアルインターフェース(シリアルI/F)を示している。
【0088】
図18に示されるように、CMOSカメラ3の映像は、画像処理ボード42のCH1に入力され、また、CCDカメラ5の映像は、画像処理ボード42のCH0に入力されている。非同期シャッター用トリガは、レーザヘッド左右軸サーボコントローラから出力されて画像処理ボード42に入力される。CMOSカメラ3へのシャッタートリガは、画像処理ボード42から出力される。
【0089】
図19は本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCCDカメラの画像の一例を示す図である。
【0090】
図19に示されるように、本発明に係るハイブリッド溶接装置のCCDカメラ5により取り込まれた画像における検知項目としては、レーザ加工点位置(X座標)lx、および、レーザ加工点位置(Y座標)lyである。
【0091】
図20は本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例におけるレーザヘッド高さ倣い制御を説明するための図である。
【0092】
図20に示されるように、レーザヘッド高さ倣い制御は、CCDカメラ5で捉えた溶接部画像内のレーザ加工点中心座標ly画像計測し、基準座標値lystdからの差分値δlyにより、レーザヘッド高さ変動値△dを算出する。
【0093】
y−resを画像分解能とすると、
△d=δly*cosθ*yres
=(lystd−ly)*cosθ*yres
ここで、画像分解能yresは0.03mm/画素であり、θを45°とすると、高さ検知分解能は,0.04mm/画素となる。
【0094】
このように、CCDカメラ5を設けることにより、レーザヘッド高さ倣い制御を行うことが可能になる。
【0095】
図21は本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における水平・垂直投影処理の一例を説明するための図である。
【0096】
CCDカメラ5によるレーザ加工点検知処理は、CCDカメラ5の画像におけるレーザ加工点位置は、高さ計測に使用する。近赤外波長である955nm干渉フィルタを通した画像においてレーザ加工点発光はアーク光よりも明るく撮像されるため、二値化処理を行うことで検知が可能である。ただし、場合によってはアーク発光が強いときがあるため、同軸カメラ(CMOSカメラ3)と同様に画像を複数枚積算平滑化処理することでアーク光の影響を低減することができる。
【0097】
図21に示されるように、位置検出は、水平方向投影処理(プロジェクション)を利用する。この処理は、水平方向の1ライン上における輝度値を積算するものである。これを垂直方向に順に行うと投影値の垂直方向分布ΣP(i,Y)が分かる。図21から明らかなように、例えば、水平方向に明るい部分が長い個所は、輝度の積算値(濃淡値投影データ)が大きく現れ、この投影データが最大となる点がレーザ加工点の垂直方向座標である。
【0098】
同様に、垂直方向投影処理は、垂直方向の1ライン上における輝度値を積算するものであり、この垂直方向投影処理を垂直方向に順に行うと投影値の水平方向分布ΣP(X,j)が分かり、投影データが最大となる点がレーザ加工点の水平方向座標である。
【0099】
以上により、レーザ加工点の垂直・水平方向座標(X座標:lx、および、Y座標:ly)を検出することができる。
【0100】
図22は本発明に係るレーザ溶接部の品質判定プログラムを記録した媒体の例を説明するための図である。図22において、参照符号310は処理装置、320はプログラム(データ)提供者、そして、330は可搬型記憶媒体を示している。
【0101】
上述した本発明に係るレーザ溶接部の品質判定方法は、例えば、図22に示すような処理装置310に対するプログラム(データ)として与えられ、処理装置310により実行される。処理装置310は、プロセッサを含む演算処理装置本体311、および、演算処理装置本体311に対してプログラム(データ)を与えたり或いは処理された結果を格納する処理装置側メモリ(例えば、RAM(Random Access Memory)やハードディスク)312等を備える。処理装置310に提供されたプログラム(データ)は、ローディングされて処理装置310のメインメモリ上で実行される。
【0102】
プログラム(データ)提供者320は、プログラム(データ)を格納する手段(回線先メモリ:例えば、DASD(Direct Access Storage Device))321を有し、例えば、インターネット等の回線を介してプログラム(データ)を処理装置310に提供したり、或いは、CD−ROMや光ディスクまたはフロッピィディスク等の可搬型記憶媒体330を介して処理装置310に提供する。本発明に係るレーザ溶接部の品質判定プログラムを記録した媒体は、上記の処理装置側メモリ312、回線先メモリ321、および、可搬型記憶媒体330等の様々なものを含むのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、主としてレーザ溶接およびアーク溶接を組み合わせたハイブリッド溶接に適用されるが、これに限定されず、様々な方式の溶接を組み合わせたハイブリッド溶接に対して適用することができる。また、本発明が適用されるハイブリッド溶接は、従来から知られている他の方式の溶接と併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】関連技術としてのハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。
【図2】本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCMOSカメラの画像の一例を示す図である。
【図3】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【図6】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるアーク溶接線中心倣い制御を説明するための図である。
【図7】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例におけるレーザ・アーク間距離制御を説明するための図である。
【図8】本発明に係るハイブリッド溶接装置の一実施例における揺動幅制御を説明するための図である。
【図9】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像積算平滑化処理の一例を説明するための図である。
【図10】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法におけるアーク光量の変化の例を説明するための図である。
【図11】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池画像取り込みタイミングの例を説明するための図である。
【図12】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における画像輝度積算値による適正画像判定の例を説明するための図である。
【図13】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶融池端部検知処理の一例を説明するための図である。
【図14】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における溶接ワイヤ検知処理の一例を説明するための図である。
【図15】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理の一例を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図16】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理の一例を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図17】本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を模式的に示す図である。
【図18】本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例を概略的に示すブロック図である。
【図19】本発明に係るハイブリッド溶接装置におけるCCDカメラの画像の一例を示す図である。
【図20】本発明に係るハイブリッド溶接装置の他の実施例におけるレーザヘッド高さ倣い制御を説明するための図である。
【図21】本発明に係るハイブリッド溶接装置の画像処理方法における水平・垂直投影処理の一例を説明するための図である。
【図22】本発明に係るレーザ溶接部の品質判定プログラムを記録した媒体の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0105】
1 レーザヘッド
2 溶接トーチ
3 CMOSカメラ
4 制御コンピュータ
5 CCDカメラ
10 レーザ照射点(レーザ加工点)
11 レーザ光
20 溶接ワイヤ(フィラーワイヤ)
42 画像処理ボード
43 シリアルインターフェース
100 溶融池
310 処理装置
311 演算処理装置本体
312 処理装置側メモリ
320 プログラム(データ)提供者
330 可搬型記憶媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置であって、
被溶接材の画像を取り込む画像取り込み手段と、
該画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理する画像処理手段と、
該画像処理手段により処理された画像に従って、前記第1の溶接および前記第2の溶接を制御する溶接制御手段と、を備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド溶接装置において、
前記第1の溶接はレーザ溶接であり、且つ、
前記第2の溶接はアーク溶接であることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記画像取り込み手段は、画像の高速撮影が可能なCMOSカメラを備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項4】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記CMOSカメラは、前記レーザ溶接において照射されるレーザ光に対して同軸上で前記被溶接材の画像を撮影する位置に設けられていることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項5】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記画像取り込み手段は、前記アーク溶接に使用する溶接ワイヤの揺動端前後の画像を取り込むことを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項6】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記画像処理手段は、前記画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像のうち、当該画像における所定領域内の輝度積算値を算出し、該算出された輝度積算値が予め定められた範囲内にある画像を前記積算平滑化処理に使用することを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項7】
請求項6に記載のハイブリッド溶接装置において、前記輝度積算値を算出する前記画像における所定領域は、溶融池の両端および溶接ワイヤの画像を含み、且つ、レーザ照射点の画像を含まない矩形領域であることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項8】
請求項7に記載のハイブリッド溶接装置において、前記溶接制御手段は、前記レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、該レーザ溶接のレーザ照射点と前記アーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、該アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、または、該溶接ワイヤの揺動幅制御を行うことを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項9】
請求項4に記載のハイブリッド溶接装置において、さらに、
前記被溶接材の表面に対して所定の角度で該被溶接材の画像を撮影するCCDカメラを備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項10】
請求項9に記載のハイブリッド溶接装置において、前記CCDカメラは、前記レーザ溶接によるレーザ加工点位置を計測することを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項11】
第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理方法であって、
被溶接材の複数の画像を取り込み、
該取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理して、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、
前記第1の溶接はレーザ溶接であり、且つ、
前記第2の溶接はアーク溶接であることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項13】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記被溶接材の複数の画像は、画像の高速撮影が可能なCCDカメラを使用して取り込まれることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項14】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記CCDカメラは、前記レーザ溶接において照射されるレーザ光に対して同軸上で前記被溶接材の画像を撮影する位置に設けられていることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項15】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記被溶接材の複数の画像は、前記アーク溶接に使用する溶接ワイヤの揺動端前後の画像を含むことを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項16】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記レーザ溶接および前記アーク溶接の制御に用いる画像は、前記取り込まれた複数の画像のうち、当該画像における所定領域内の輝度積算値を算出し、該算出された輝度積算値が予め定められた範囲内にある画像を前記積算平滑化処理して生成することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項17】
請求項16に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記輝度積算値を算出する前記画像における所定領域は、溶融池の両端および溶接ワイヤの画像を含み、且つ、レーザ照射点の画像を含まない矩形領域であることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項18】
請求項17に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記レーザ溶接および前記アーク溶接の制御は、該レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、該レーザ溶接のレーザ照射点と該アーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、該アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、または、該溶接ワイヤの揺動幅制御を含むことを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項19】
請求項14に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、さらに、
前記被溶接材の表面に対して所定の角度に設けられたCCDカメラで撮影された該被溶接材の画像を取り込むことを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項20】
請求項19に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記CCDカメラで撮影された画像は、前記レーザ溶接によるレーザ加工点位置の計測に使用することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項21】
第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
被溶接材の複数の画像を取り込ませ、
該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラム。
【請求項22】
コンピュータによって実行させるプログラムを記録した媒体であって、該プログラムは、前記コンピュータに、
被溶接材の複数の画像を取り込ませ、
該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムを記録した媒体。
【請求項1】
第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置であって、
被溶接材の画像を取り込む画像取り込み手段と、
該画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理する画像処理手段と、
該画像処理手段により処理された画像に従って、前記第1の溶接および前記第2の溶接を制御する溶接制御手段と、を備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド溶接装置において、
前記第1の溶接はレーザ溶接であり、且つ、
前記第2の溶接はアーク溶接であることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記画像取り込み手段は、画像の高速撮影が可能なCMOSカメラを備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項4】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記CMOSカメラは、前記レーザ溶接において照射されるレーザ光に対して同軸上で前記被溶接材の画像を撮影する位置に設けられていることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項5】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記画像取り込み手段は、前記アーク溶接に使用する溶接ワイヤの揺動端前後の画像を取り込むことを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項6】
請求項2に記載のハイブリッド溶接装置において、前記画像処理手段は、前記画像取り込み手段により取り込まれた複数の画像のうち、当該画像における所定領域内の輝度積算値を算出し、該算出された輝度積算値が予め定められた範囲内にある画像を前記積算平滑化処理に使用することを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項7】
請求項6に記載のハイブリッド溶接装置において、前記輝度積算値を算出する前記画像における所定領域は、溶融池の両端および溶接ワイヤの画像を含み、且つ、レーザ照射点の画像を含まない矩形領域であることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項8】
請求項7に記載のハイブリッド溶接装置において、前記溶接制御手段は、前記レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、該レーザ溶接のレーザ照射点と前記アーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、該アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、または、該溶接ワイヤの揺動幅制御を行うことを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項9】
請求項4に記載のハイブリッド溶接装置において、さらに、
前記被溶接材の表面に対して所定の角度で該被溶接材の画像を撮影するCCDカメラを備えることを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項10】
請求項9に記載のハイブリッド溶接装置において、前記CCDカメラは、前記レーザ溶接によるレーザ加工点位置を計測することを特徴とするハイブリッド溶接装置。
【請求項11】
第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理方法であって、
被溶接材の複数の画像を取り込み、
該取り込まれた複数の画像を積算平滑化処理して、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、
前記第1の溶接はレーザ溶接であり、且つ、
前記第2の溶接はアーク溶接であることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項13】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記被溶接材の複数の画像は、画像の高速撮影が可能なCCDカメラを使用して取り込まれることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項14】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記CCDカメラは、前記レーザ溶接において照射されるレーザ光に対して同軸上で前記被溶接材の画像を撮影する位置に設けられていることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項15】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記被溶接材の複数の画像は、前記アーク溶接に使用する溶接ワイヤの揺動端前後の画像を含むことを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項16】
請求項12に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記レーザ溶接および前記アーク溶接の制御に用いる画像は、前記取り込まれた複数の画像のうち、当該画像における所定領域内の輝度積算値を算出し、該算出された輝度積算値が予め定められた範囲内にある画像を前記積算平滑化処理して生成することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項17】
請求項16に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記輝度積算値を算出する前記画像における所定領域は、溶融池の両端および溶接ワイヤの画像を含み、且つ、レーザ照射点の画像を含まない矩形領域であることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項18】
請求項17に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記レーザ溶接および前記アーク溶接の制御は、該レーザ溶接におけるレーザ溶接線の中心倣い制御、該レーザ溶接のレーザ照射点と該アーク溶接の溶接ワイヤ先端との距離の制御、該アーク溶接のアーク溶接線中心倣い制御、または、該溶接ワイヤの揺動幅制御を含むことを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項19】
請求項14に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、さらに、
前記被溶接材の表面に対して所定の角度に設けられたCCDカメラで撮影された該被溶接材の画像を取り込むことを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項20】
請求項19に記載のハイブリッド溶接装置の画像処理方法において、前記CCDカメラで撮影された画像は、前記レーザ溶接によるレーザ加工点位置の計測に使用することを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理方法。
【請求項21】
第1の溶接と第2の溶接を組み合わせて行うハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
被溶接材の複数の画像を取り込ませ、
該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラム。
【請求項22】
コンピュータによって実行させるプログラムを記録した媒体であって、該プログラムは、前記コンピュータに、
被溶接材の複数の画像を取り込ませ、
該取り込ませた複数の画像を積算平滑化処理させて、前記第1の溶接および前記第2の溶接の制御に用いる画像を生成させることを特徴とするハイブリッド溶接装置の画像処理プログラムを記録した媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−54879(P2007−54879A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245818(P2005−245818)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】
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