説明

ハイブリッド自動車用表示装置

【課題】追加して出力可能な走行用動力を把握することができるハイブリッド自動車用表示装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド自動車用表示装置であるメータECU1は、モータ及びエンジンにおける走行用動力の現在出力量の合計値を表示する第1表示器20と、モータ及びエンジンにおける走行用動力の出力可能量の合計値を表示する第2表示器30と、を備えているので、第1表示器20に表示される走行用動力の現在出力量の合計値と第2表示器30に表示されている走行用動力の出力可能量の合計値との差分値から、追加して出力可能な走行用動力を把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、モータ及びエンジンなど複数の動力機を備えたハイブリッド自動車に搭載されるハイブリッド自動車用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車は、例えば、電池及び化石燃料(ガソリンや軽油など)などのエネルギー源により動作するモータ及びエンジン等の複数の動力機を備えており、これら複数の動力機が生ずる走行用動力によって走行する自動車である。このようなハイブリッド自動車においては、走行用バッテリ残量(蓄電残量)やガソリン残量(燃料残量)又は走行モードなどに応じて、モータのみ、エンジンのみ、又は、モータ及びエンジンの両方、から走行用動力を得て走行するので、現在、どの動力機においてどの程度走行用動力が出力されているかを乗員に認識させるための表示装置が搭載される。
【0003】
例えば、図7に示すように、特許文献1に提示されている表示装置710は、パワーメータ720と、E/Mパワーメータ730と、を備えている。パワーメータ720は、モータが現在出力している走行用動力の出力量(電動パワーの現在出力量)と、エンジンが現在出力している走行用動力の出力量(エンジンパワーの現在出力量)と、を加算した合計値を表示する指針メータである。E/Mパワーメータ730は、上記パワーメータ720に設けられた円弧状の指標721a、721c(文字及び目盛)の外縁に沿って円弧状のバーグラフ732を表示するグラフメータであり、このバーグラフ732は、それぞれ色分けされた、上記電動パワーの現在出力量に応じて長さが決定される円弧状の表示部分733と、上記エンジンパワーの現在出力量に応じて長さが決定される円弧状の表示部分734と、を互いに連接して構成されている。
【0004】
パワーメータ720とE/Mパワーメータ730とは、ともに共通の指標721a、721cとに基づいて表示を行うように構成され、且つ、パワーメータ720の表示とE/Mパワーメータ730の表示とが並列するように構成される。このため、パワーメータ720とE/Mパワーメータ730は、指針722の先端とバーグラフ732の先端とが一致するように表示を行う。
【0005】
このような表示装置710によれば、パワーメータ720によってモータ及びエンジンにおける走行用動力の現在出力量の合計値を表示し、同時に、E/Mパワーメータ730によってこの現在出力量の合計値に占めるモータ及びエンジンにおける走行量動力の現在出力量を表示するので、モータ及びエンジンにおいてどの程度走行用動力が出力されているかを運転者等に認識させることができ、これによりハイブリッド自動車の走行状態を認識させることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−237970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなハイブリッド自動車では、モータとエンジンとの両方から走行用動力を得たときに走行用動力の最大値が出力されるようになっており、例えば、蓄電残量が少なく又はゼロになることによってモータから走行用動力を十分に得られなくなったとき、又は、燃料残量がゼロになることによってエンジンから走行用動力を得られなくなったとき、など、走行用動力の最大値が出力できないときがある。そして、上記特許文献1の表示装置に表示される、各動力機から現在出力されている走行用動力の出力量(現在出力量)又はそれら合計値だけでは、その時点でさらにどのくらいの走行用動力を追加して出力できるのかを把握することができないので、例えば、モータから走行用動力を十分に得られなくなったときに、運転者がそのことに気づかずに走行用動力の最大値を出力しようと思ってアクセルを踏み込んだ場合、運転者が思っている走行用動力が出力されないため期待通りの加速が得られず、運転に違和感が生じるとともに、高速道路での追い越しや合流など加速が必要な場面で危険が生じるおそれがあるという問題があった。燃料残量がゼロになったときも同様の問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、追加して出力可能な走行用動力を把握することができるハイブリッド自動車用表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、複数の動力機が生ずる走行用動力によって駆動されるハイブリッド自動車に搭載されるハイブリッド自動車用表示装置であって、前記複数の動力機における前記走行用動力の現在出力量の合計値を表示する第1表示器と、前記複数の動力機における前記走行用動力の出力可能量の合計値を表示する第2表示器と、を備えていることを特徴とするハイブリッド自動車用表示装置である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記現在出力量及び前記出力可能量を共通に示す指標が設けられた指標部を備え、前記第1表示器が、前記現在出力量の合計値に応じた前記指標を指示する第1指示部を備え、前記第2表示器が、前記出力可能量の合計値に応じた前記指標を指示する第2指示部を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記指標部は、前記指標が円弧状に設けられた文字板であり、前記第1指示部が、指針部と、前記指針部が前記現在出力量の合計値に応じた前記指標を指示するように前記指針部を前記指標の円弧中心を軸に回動させる指針駆動部と、を備え、前記第2指示部が、前記指標に沿って並設された、前記出力可能量の合計値に応じた前記指標を先端で指示するように長さが決定される円弧状図形を表示する、図形表示部を備えている、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記円弧状図形が、互いに色分けされた、前記複数の動力機のそれぞれにおける前記出力可能量に応じて長さが決定される、複数の円弧状図形部分を互いに連接してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、複数の動力機における現在出力している走行用動力の出力量(即ち、現在出力量)の合計値を表示する第1表示器と、複数の動力機における出力可能な走行用動力の出力量(即ち、出力可能量)の合計値を表示する第2表示器と、を備えているので、第1表示器に表示された走行用動力の現在出力量の合計値と第2表示器に表示された走行用動力の出力可能量の合計値との差分値から、追加して出力可能な走行用動力を把握することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、現在出力量及び出力可能量を共通に示す指標が設けられた指標部を備え、第1表示器が、現在出力量の合計値に応じた前記指標を指示する第1指示部を備え、第2表示器が、出力可能量の合計値に応じた前記指標を指示する第2指示部を備えているので、第1表示器が備える第1指示部と第2表示器が備える第2指示部とが、共通の指標を指示することにより現在出力量の合計値と出力可能量の合計値とを表示し、そのため、第1指示部と第2指示部とがそれぞれ指示する2つの指標の距離(間隔)が現在出力量の合計値と出力可能量の合計値との差分値を表し、したがって、追加して出力可能な走行用動力を視覚的に容易に把握することができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、指標部は、指標が円弧状に設けられた文字板であり、第1指示部が、指針部と、該指針部が現在出力量の合計値に応じた前記指標を指示するように前記指針部を前記指標の円弧中心を軸に回動させる指針駆動部と、を備え、第2指示部が、前記指標に沿って並設された、出力可能量の合計値に応じた前記指標を先端で指示するように長さが決定される円弧状図形を表示する、図形表示部を備えている、ので、指針部によって走行用動力の現在出力量の合計値を示し、円弧状図形によって走行用動力の出力可能量の合計値を示し、そのため、円弧状図形が並列に表示されている指標の範囲を、指針部の回動可能範囲として認識でき、したがって、追加して出力可能な走行用動力を視覚的にさらに容易に把握することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、円弧状図形が、互いに色分けされた、複数の動力機のそれぞれにおける出力可能量に応じて長さが決定される、複数の円弧状図形部分を互いに連接してなるので、円弧状図形によって示される走行用動力の出力可能量の合計値に占める各動力機における走行用動力の出力可能量の割合を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のハイブリッド自動車用表示装置の一実施形態であるメータECUの正面図である。
【図2】図1のK−K線に沿う断面図である。
【図3】図1のメータECUの概略構成を示す図である。
【図4】図1のメータECUが備えるCPUにおける本発明に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】(a)〜(f)は、図1のメータECUにおける表示例を説明する図である。
【図6】図1のメータECUの変形例を示す図であって、(a)は、棒グラフ表示を行う第1表示器及び第2表示器を備えた構成の正面図であり、(b)は、数値表示を行う第1表示器及び第2表示器を備えた構成の正面図である。
【図7】従来のハイブリッド自動車用表示装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るハイブリッド自動車用表示装置の一実施形態について説明する。
【0019】
まず、本発明に係るハイブリッド自動車用表示装置が搭載されるハイブリッド自動車の一例について説明する。
【0020】
ハイブリッド自動車は、周知のようにモータ及びエンジンの二つの動力源を備えており、そして、これら動力源から出力される走行用動力を統合(足し合わせ)する動力統合機構を備えている。この動力統合機構によって、それぞれの動力源から出力される各走行用動力を統合することによって、適切な走行用動力を得ている。
【0021】
例えば、エンジン単体が出力できる走行用動力の出力量(エンジンの出力可能量)の最大値が70kWであり、モータ単体が出力できる走行用動力の出力量(モータの出力可能量)の最大値が70kWであったとき、これらを単純に統合した走行用動力を出力できるようにすると、それぞれの動力源を単体で用いた場合に比べて出力量が大きくなりすぎてしまい、運転に支障がでるおそれがある。そのため、動力統合機構によって、モータとエンジンとの両方から走行用動力を得た場合でも、それら動力源から出力される走行用動力の出力量の合計値が運転に支障が出ない程度に予め定められた最大出力可能量(例えば、100kW)を超えないように、走行用動力の出力量調整が行われる。また、燃費向上等のために、モータから出力される走行用動力を優先して出力する。
【0022】
また、ハイブリッド自動車が備えるエンジンは、燃料タンクから供給される燃料(ガソリン)によって走行用動力を出力し、モータは、走行用バッテリから供給される電力によって走行用動力を出力する。そして、エンジンについては、燃料残量があれば、その単体での出力可能量の最大値(70kW)が出力できるものの、モータについては、走行用バッテリの蓄電残量が減少すると電圧の低下や内部抵抗の増加などによって取り出せる電力が低下してしまい、その単体での出力可能量の最大値(70kW)が出力できなくなる。そのため、蓄電残量が少なく又はゼロになることによってモータから走行用動力を十分に得られなくなると、走行用動力の出力可能量の合計値が低下して、最大出力可能量(100kW)に満たなくなる。また、燃料残量が無くなくなっても、同様に、最大出力可能量に満たなくなる。
【0023】
次に、本発明に係るハイブリッド自動車用表示装置の一実施形態であるメータECUを、図1〜図6を参照して説明する。
【0024】
メータECU(図中、符号1で示す)は、図1、図2に示すように、見返し板2と、文字板4と、モータ及びエンジンが現在出力している走行用動力の出力量の合計値(現在出力量合計値PS)を表示する第1表示器20と、モータ及びエンジンが出力できる走行用動力の出力量の合計値(出力可能量合計値QS)を表示する第2表示器30と、走行用動力を出力可能な動力機の種別を表示する種別表示灯32、33と、走行用動力の出力可能量合計値QSの低下度合いを示すパワーダウン警告灯34と、を備えており、それらを図示しない表ガラスで覆った状態で車両の運転席の前方に配置されている。
【0025】
見返し板2は、遮光性を有する黒色の合成樹脂などからなり、正面形状が略矩形状に形成されている。見返し板2には、文字板4が内側に配置される円形開口2aが設けられており、さらに、この円形開口2aの外縁に沿って、第2表示器30が配置される円弧状開口2bが設けられている。また、見返し板2には、円弧状開口2bの周方向両端部近傍に、種別表示灯32、33が配置される長方形状の矩形開口2c、2dが設けられている。
【0026】
文字板4は、例えば、透明又は半透明の合成樹脂などからなる、略円板状に形成された部材である。文字板4は、見返し板2に設けられた円形開口2aの内側に嵌め込まれて配置される。文字板4には、遮光インクが印刷された遮光領域41と、文字や目盛の形状に沿って遮光インクを抜いて(遮光インクを印刷しないようにして)形成された透光性意匠としての数値指標42、目盛指標43、単位指標44が設けられている。
【0027】
目盛指標43は、文字板4の外縁に沿い円弧状に等間隔で配列されている。そして、数値指標42は、目盛指標43に対して1つ置きに且つ時計回りに「0」〜「12」まで順次数値が大きくなるように円弧状に等間隔で配列されている。単位指標44は、走行量動力の出力量の単位(kW)を示し、数値指標42の「0」近傍に配置されている。また、文字板4の中央付近には、パワーダウン警告灯34が配置される長方形状の矩形開口4aが設けられている。
【0028】
見返し板2と文字板4とは、正面形状が見返し板2の外形と略同一の箱状に形成されたケース5の前面側(図2上方側)に重ねて配置される。また、このケース5の裏面側(図2下方側)には、配線板6が重ねて配置される。ケース5には、配線板6の前面6aに配置された発光ダイオードからなる照明用光源61の光を導いて、文字板4を裏面側から照らす導光板9が収容されている。文字板4に設けられた各指標42、43、44は、導光板9に導かれた光によって発光する。
【0029】
第1表示器20は、回動内機7と、指針部材8と、を備えている。
【0030】
回動内機7は、図2に示すように、本体部71と、本体部71に回動可能に軸支された指針軸としての回動軸72と、を備えており、駆動信号として入力されるパルス信号(パルス個数等)に応じて回動軸72を回動させる、周知のステッピングモータである。回動内機7は、回動軸72が配線板6を貫通した状態で、本体部71が配線板6の裏面6bに重ねて取り付けられている。さらに、回動軸72は、ケース5及び文字板4を貫通して、その先端を文字板4の前面側に突出している。また、回動軸72は、数値指標42及び目盛指標43の円弧中心に配置されている。
【0031】
指針部材8は、平たい円柱状に形成された基部81と、基部81の外周面の法線方向に延びるように連接された棒状の針部82、を備えている。指針部材8は、その基部81の中心が、回動内機7の回動軸72の先端に固着されており、回動軸72の回動に伴って、該回動軸を中心として針部82が回動される。針部82は、回動されることにより、文字板4上に設けられた数値指標42及び目盛指標43を指示して、これら数値指標42及び目盛指標43と協働して現在出力量合計値PSを表示する。指針部材8は、請求項中の指針部に相当し、回動内機7は、請求項中の指針駆動部に相当し、そして、これらにより請求項中の第1指示部が構成されている。
【0032】
第2表示器30は、複数の発光ダイオード62と、複数の収容空間53と、円弧状カバー31と、を備えている。
【0033】
複数の発光ダイオード62は、例えば、青色の光を発する素子と、緑色の光を発する素子と、を両方備えた周知の二色発光ダイオードである。複数の発光ダイオード62は、配線板6の前面6aに、目盛指標43の円弧外縁に沿ってその一端から他端まで、各目盛指標43に対応して等間隔に円弧状に並べて配設されている。または、青色の光を発する素子を備えた青色発光ダイオードと緑色の光を発する素子を備えた緑色発光ダイオードとを1組として、即ち、発光色の異なる2つの単色発光ダイオードを1組として、1つの二色発光ダイオードに代えて用いてもよい。
【0034】
複数の収容空間53は、ケース5に設けられたひとつ1つが略角筒状の小空間であって、目盛指標43の間隔と同一幅に形成されるとともにその幅方向に互いに連接されて、目盛指標43の円弧外縁に沿ってその一端から他端まで、各目盛指標43に対応して等間隔に円弧状に並べて配設されている。また、ケース5に見返し板2が重ねられたときに、複数の収容空間53のそれぞれにおける見返し板2寄りの開口が円弧状開口2bと重なるように、複数の収容空間53のそれぞれが形成されている。つまり、複数の収容空間53が連なった平面視形状と、円弧状開口2bと、が同一形状に設けられている。また、ケース5が配線板6に重ねられたとき、複数の収容空間53のそれぞれに上述した複数の発光ダイオード62が一つずつ収容されるように、複数の収容空間53及び複数の発光ダイオード62が配置されている。収容空間53は、その見返し板2寄りの開口に向けて発光ダイオード62が発する光を導く。
【0035】
円弧状カバー31は、例えば、白色の半透光性の合成樹脂など用いて、見返し板2の円弧状開口2bと同形の円弧状に形成されている。円弧状カバー31は、見返し板2の円弧状開口2b及び複数の収容空間53に重ねて配置される。円弧状カバー31におけるケース5と相対する裏面全体には、例えば、シボ加工などの光を拡散させる表面処理が施されている。また、円弧状カバー31の表面には、目盛指標43に合わせて等間隔に区切線が引かれて複数の区画に分けられている。
【0036】
複数の発光ダイオード62は、複数の収容空間53に互いに仕切られて収容されているので、例えば、1つの収容空間に収容された発光ダイオード62が青く点灯して円弧状カバー31の裏面が照らされると、当該発光ダイオード62の光が拡散して、当該収容空間53に重ねられた円弧状カバー31の部分(一区画)が均一に青く表示される。また、発光ダイオード62が緑に点灯した場合も、同様に緑に表示される。
【0037】
即ち、任意の収容空間53に収容された発光ダイオード62が点灯すると、それに対応する円弧状カバー31の一区画が青く又は緑に点灯(表示)され、消灯すると、該一区画が消灯(消去)される。そして、円弧状カバー31の区画を1又は複数連続して同色に点灯させることで、該円弧状カバー31、即ち、第2表示器30に、モータが出力できる走行用動力の出力量(モータ出力可能量QM)に応じた長さの第1円弧状図形部分G1、エンジンが出力できる走行用動力の出力量(エンジン出力可能量QE)に応じた長さの第2円弧状図形部分G2、又は、これら両方、を表示し、また、円弧状カバー31の区画を消灯させることで、各円弧状図形部分G1、G2、又は、これら両方を消去する。即ち、複数の発光ダイオード62と、複数の収容空間53と、円弧状カバー31と、により、請求項中の第2指示部及び図形表示部が構成されている。
【0038】
第1円弧状図形部分G1は、発光ダイオード62を青く点灯することにより、青色で表示され、第2円弧状図形部分G2は、発光ダイオード62を緑に点灯することにより、緑色で表示される。また、第1円弧状図形部分G1、第2円弧状図形部分G2、又は、これら両方、によって円弧状図形Gが構成されて、第2表示器30に表示される。
【0039】
種別表示灯32は、モータによって走行用動力を出力可能なときに点灯(表示)されるランプである。種別表示灯32は、例えば、白色の半透光性の合成樹脂などを用いて見返し板2の矩形開口2cと同形の長方形板状に形成された、該矩形開口2cに嵌め込まれて配置される、種別指標カバー32aと、この種別指標カバー32aを裏面側から照らす図示しない青色発光ダイオードを備えている。種別指標カバー32aには、モータを示す文字「MOTOR」が、黒色インクで印刷されている。種別表示灯32は、青色発光ダイオードが点灯すると、種別指標カバー32aが青く点灯(表示)され、青色発光ダイオードが消灯すると、消灯(消去)される。
【0040】
種別表示灯33は、エンジンによって走行用動力を出力可能なときに点灯(表示)されるランプである。種別表示灯33は、上記種別表示灯32と同様に、例えば、白色の半透光性の合成樹脂などを用いて見返し板の矩形開口2dと同形の長方形板状に形成された、該矩形開口2dに嵌め込まれて配置される、種別指標カバー33aと、この種別指標カバー33aを裏面側から照らす図示しない緑色発光ダイオードを備えている。種別指標カバー33aには、エンジンを示す文字「ENGINE」が、黒色インクで印刷されている。種別表示灯33は、緑色発光ダイオードが点灯すると、種別指標カバー33aが緑に点灯(表示)され、緑色発光ダイオードが消灯すると、消灯(消去)される。
【0041】
パワーダウン警告灯34は、表示色によって出力可能量合計値QSの低下度合いを示すランプである。パワーダウン警告灯34は、例えば、白色の半透光性の合成樹脂などを用いて文字板4の矩形開口4aと同形の長方形板状に形成された、該矩形開口4aに嵌め込まれて配置される、警告灯カバー34aと、この警告灯カバー34aを裏面側から照らす図示しない三色発光ダイオードを備えている。この三色発光ダイオードは、赤色、緑色、青色に発光する素子を備え、これらを単体で又は組み合わせて点灯させることにより、青色、黄色、紫色、赤色、に発光する。または、赤色に発光する素子を備えた赤色発光ダイオードと緑色の光を発する素子を備えた緑色発光ダイオードと青色の光を発する素子を備えた青色発光ダイオードとを1組として、即ち、発光色の異なる3つの単色発光ダイオードを1組として、1つの三色発光ダイオードに代えて用いてもよい。
【0042】
パワーダウン警告灯34は、三色発光ダイオードが点灯すると、警告灯カバー34aが発光色に応じた色に点灯(表示)される。パワーダウン警告灯34は、その表示される色に応じて、出力可能量合計値QSの低下度合いを示し、青色はレベル0(低下無し、85<QS≦100kW)、黄色はレベル1(低下量小、75<QS≦85kW)、紫色はレベル2(低下量中、65<QS≦75kW)、赤色はレベル3(低下量大、QS≦65kW)、を示す。
【0043】
メータECU1は、図3に示すように、それぞれ周知である、中央演算処理装置(CPU)11と、読み出し専用メモリ(ROM)12と、ランダムに読み書き可能なメモリ(RAM)13と、電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリ(EEPROM)14と、通信部15と、を有している。
【0044】
CPU11は、メータECU1全体の制御を司り、ROM12に記憶されているプログラムに従った制御を行う。CPU11は、電源回路11jを介して車両電源から供給される電力によって動作する。CPU11は、インタフェース(I/F)11iを介して車両のイグニッションスイッチ(IGN+)のOFF状態からON状態への変化(即ち、電源投入)に応じて起動し、IGN+のON状態からOFF状態への変化に応じて動作を終了する。
【0045】
ROM12は、現在出力量合計値表示制御手段、出力可能量合計値表示制御、種別表示制御手段、パワーダウン警告表示制御手段、などの各種手段としてCPU11を機能させるための制御プログラム等を記憶している。そして、CPU11は、ROM12に記憶された制御プログラムを実行することで、上記各種手段等として機能することになる。RAM13は、各種のデータを格納するとともにCPU11の処理作業に必要なエリアを有している。
【0046】
EEPROM14は、電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリであり、CPU11に電気的に接続されている。EEPROM14は、(1)モータが現在出力している走行用動力の出力量(モータ現在出力量PM)をモータ回転数やモータ電流値等から換算する換算テーブルT1、(2)エンジンが現在出力している走行用動力の出力量(エンジン現在出力量PE)をエンジン回転数や燃料消費量等から換算する換算テーブルT2、(3)モータが出力できる走行量動力の出力量(モータ出力可能量QM)を走行用バッテリの蓄電残量から換算する換算テーブルT3、(4)燃料残量があるときにエンジンが現在出力できる走行用動力の出力量(エンジン出力可能量QEs(固定値:70kW))、(5)モータ及びエンジンの両方から走行用動力を得たときに出力できる最大値である最大出力可能量QSmax(固定値:100kW)、等のメータECU1の制御に必要な各種情報が記憶されている。
【0047】
通信部15は、車両に構築されているCAN等の図示しない車載ネットワークにI/F11iを介して通信可能に接続され、CAN等の通信プロトコルで車載ネットワークに接続された他の電子機器と通信を行う。
【0048】
CPU11は、I/F11iを介して、図示しないセンサからそれぞれ出力された、エンジン回転数に比例したパルス信号(エンジン回転数信号)と、モータ回転数に比例したパルス信号(モータ回転数信号)と、が入力される。CPU11は、エンジン回転数信号が入力されると、その信号が示すエンジン回転数をエンジン回転数情報として取得する。また、CPU11は、モータ回転数信号が入力されると、その信号が示すモータ回転数をモータ回転数情報として取得する。
【0049】
また、CPU11は、I/F11iを介して、図示しないセンサからそれぞれ出力された、モータに流れるモータ電流値を示す信号(モータ電流値信号)と、エンジンが消費する単位時間当たりの燃料消費量を示す信号(燃料消費量信号)と、が入力される。CPU11は、モータ電流値信号が入力されると、その信号が示すモータ電流値をモータ電流値情報として取得する。また、CPU11は、燃料消費量信号が入力されると、その信号が示す燃料消費量を燃料消費量情報として取得する。なお、本実施形態において、CPU11は、モータ回転数情報、エンジン回転数情報、モータ電流値情報、及び、燃料消費量情報を、I/F11iを介して入力される各信号によって取得するものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、モータ及びエンジンを制御する駆動系電子制御装置(即ち、他の電子機器)から、通信部15を介してこれら各種情報を取得するようにしてもよい。
【0050】
CPU11には、モータドライバ16が電気的に接続されており、モータドライバ16には、第1表示器20の回動内機7が電気的に接続されており、そして、回動内機7は、CPU11の制御により駆動される。CPU11は、EEPROM14に記憶された各変換テーブル等を用い、モータ回転数情報、エンジン回転数情報、モータ電流値情報、及び、燃料消費量情報に基づいてモータ現在出力量PM及びエンジン現在出力量PEを算出するとともに、これらの合計値(現在出力量合計値PS)を算出する。そして、CPU11は、モータドライバ16を介して、上記現在出力量合計値PSに応じた駆動信号を第1表示器20(即ち、回動内機7)に送ることで、回動内機7が、指針部材8を該駆動信号に応じた指示位置まで回動させ、文字板4の数値指標42及び目盛指標43と協働して現在出力量合計値PSを表示する。
【0051】
また、CPU11は、I/F11iを介して、走行用バッテリの蓄電残量を検出するための図示しない蓄電残量検出センサからの信号(蓄電残量信号)と、燃料タンクの燃料残量を検出するための図示しない燃料残量検出センサからの信号(燃料残量信号)と、が入力される。
【0052】
蓄電残量検出センサは、例えば、走行用バッテリに充電した電気量と放電された電気量とを各々積算した値に基づいて蓄電残量を検出するもの、又は、通常動作時に放電中の電池電圧値を検出して予め決められた電圧値と比較して蓄電残量を検出するものなどが用いられる。そして、蓄電残量検出センサは、このように検出した蓄電残量に応じた蓄電残量信号をCPU11に向けて出力する。
【0053】
燃料残量検出センサは、例えば、燃料液面上に浮かぶフロートの位置に応じて抵抗体上を摺動する接点を有し、抵抗体の両端に印加した電圧を分圧した電圧を接点に出力するものなど、燃料タンク内の燃料の液位(即ち、液面高さ)を、燃料残量として検出するものなどが用いられる。そして、燃料残量検出センサは、このように検出した燃料残量に応じた燃料残量信号をCPU11に向けて出力する。
【0054】
CPU11には、発光ダイオード(LED)ドライバ18が電気的に接続されており、そして、LEDドライバ18には、第2表示器30と、種別表示灯32、33と、パワーダウン警告灯34と、が電気的に接続されている。CPU11は、EEPROM14に記憶された各変換テーブル等を用い、モータ出力可能量QM及びエンジン出力可能量QEを算出及び取得し、そして、これらモータ出力可能量QM及びエンジン出力可能量QEに基づき、LEDドライバ18を介して、第2表示器30(即ち、複数の発光ダイオード62)、種別表示灯32、33(即ち、青色、緑色発光ダイオード)、及び、パワーダウン警告灯34(即ち、三色発光ダイオード)を駆動制御する。
【0055】
詳細には、第2表示器30は、CPU11による駆動制御に基づいて、第1円弧状図形部分G1を、数値指標42の「0」の位置からモータ出力可能量QMに応じた長さで表示し、この第1円弧状図形部分G1に続けて(連接して)、第2円弧状図形部分G2をエンジン出力可能量QEに応じた長さで表示する。つまり、第2表示器30は、モータ出力可能量QMを示す第1円弧状図形部分G1と、エンジン出力可能量QEを示す第2円弧状図形部分G2と、とを順次積み上げて、円弧状図形Gを表示するとともに、この円弧状図形Gの先端で数値指標42及び目盛指標43を指示することにより、数値指標42及び目盛指標43と協働して、モータ出力可能量QM及びエンジン出力可能量QEの合計値である出力可能量合計値QSを表示する。
【0056】
また、種別表示灯32は、CPU11による駆動制御に基づいて、第1円弧状図形部分G1の表示とともに表示され、第1円弧状図形部分G1の消去とともに消去される。同様に、種別表示灯33は、CPU11による駆動制御に基づいて、第2円弧状図形部分G2の表示とともに表示され、第2円弧状図形部分G2の消去とともに消去される。
【0057】
また、パワーダウン警告灯34は、CPU11による駆動制御に基づいて、上記出力可能量合計値QSの値に応じた色で表示される。
【0058】
上述したメータECU1が備えるCPU11における本発明に係る動作(走行用動力表示制御処理)の一例を、図4のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0059】
メータECU1は、ハイブリッド自動車のイグニッションスイッチがONにされて、車両電源から電力の供給が開始されると、所定の初期化処理を実行したのち、ステップS110に進む。
【0060】
ステップS110では、モータ出力可能量QM、エンジン出力可能量QE、及び、出力可能量合計値QSを算出する。具体的には、CPU11に入力された蓄電残量信号に示される蓄電残量を、EEPROM14に格納された変換テーブルT3に当てはめて、モータ出力可能量QMを取得する。また、CPU11に入力された燃料残量信号に示される燃料残量がゼロか否かを判定して、燃料残量がゼロであれば、エンジン出力可能量QEをゼロとし、燃料残量がゼロでなければ、エンジン出力可能量QEをEEPROM14に格納されたエンジン出力可能量QEsとする。そして、モータ出力可能量QMとエンジン出力可能量QEとを、モータ出力可能量QMを優先するとともに最大出力可能量QSmaxを超えないように加算して、出力可能量合計値QSを算出する。そして、ステップS120に進む。
【0061】
ステップS120では、モータ現在出力量PM、エンジン現在出力量PE、及び、現在出力量合計値PSを算出する。具体的には、CPU11に入力されたモータ回転数信号に示されるモータ回転数情報及びモータ電流値信号に示されるモータ電流値情報を、EEPROM14に格納された換算テーブルT1に当てはめて、モータ現在出力量PMを取得する。また、同様にして、CPU11に入力されたエンジン回転数信号に示されるエンジン回転数情報及び燃料消費量信号に示される燃料消費量情報を、EEPROM14に格納された換算テーブルT2に当てはめて、エンジン現在出力量PEを取得する。そして、モータ現在出力量PMとエンジン現在出力量PEとを加算して、現在出力量合計値PSを算出する。そして、ステップS130に進む。
【0062】
ステップS130では、第2表示器30に、出力可能量合計値QSを示す円弧状図形Gを表示する。具体的には、第1円弧状図形部分G1を、数値指標42の「0」の位置から、ステップS110で取得したモータ出力可能量QMに応じた長さで表示する。ここで、モータ出力可能量QMがゼロのときは、第1円弧状図形部分G1は表示されない(即ち、消去)。そして、第2円弧状図形部分G2を、第1円弧状図形部分G1の先端に連接して又は第1円弧状図形部分G1が表示されないときには数値指標42の「0」の位置から、ステップS110で取得したエンジン出力可能量QEに応じた長さで表示する。ここで、エンジン出力可能量QEがゼロのときは、第2円弧状図形部分G2は表示されない(即ち、消去)。そして、第1円弧状図形部分G1、第2円弧状図形部分G2、又は、これら両方、を表示することにより、円弧状図形Gが表示される。このとき円弧状図形Gの先端は、出力可能量合計値QSを示す数値指標42及び目盛指標43を指示する。そして、ステップS140に進む。
【0063】
ステップS140では、種別表示灯32、33を表示/消去する。具体的には、ステップS130での第1円弧状図形部分G1の表示及び消去にあわせて、種別表示灯32を表示及び消去し、また、ステップS130での第2円弧状図形部分G2の表示及び消去に合わせて、種別表示灯33を表示及び消去する。そして、ステップS150に進む。
【0064】
ステップS150では、第1表示器20に、現在出力量合計値PSを表示する。具体的には、ステップS120で算出した現在出力量合計値PSに応じた駆動信号を、モータドライバ16を介して、第1表示器20が備える回動内機7に送る。回動内機7は、指針部材8を該駆動信号に応じた指示位置まで回動させ、指針部材8は、現在出力量合計値PSを示す数値指標42及び目盛指標43を指示する。そして、ステップS160に進む。
【0065】
ステップS160では、パワーダウン警告灯を点灯させる。具体的には、ステップS110で算出した出力可能量合計値QSを判定して、(1)85<QS≦100kWのとき、青色に点灯し、(2)75<QS≦85kWのとき、黄色に点灯し、(3)65<QS≦75kWのとき、紫色に点灯し、(4)QS<65kWのとき、赤色に点灯する。そして、ステップS110に戻る。以降、上記ステップS110〜S160までの処理を繰り返す。
【0066】
上述したメータECU1における本発明に係る動作の一例について説明する。
【0067】
ハイブリッド自動車が走行を開始すると、蓄電残量及び燃料残量に基づいてモータ出力可能量QM、エンジン出力可能量QE、出力可能量合計値QSを算出し(S110)、モータ回転数、エンジン回転数、モータ電流値、及び、燃料消費量に基づいてモータ現在出力量PM、エンジン現在出力量PE、現在出力量合計値PSを算出する(S120)。そして、算出した値に応じて、第2表示器30に、モータ出力可能量QMを示す第1円弧状図形部分G1、エンジン出力可能量QEを示す第2円弧状図形部分G2、及び、出力可能量合計値QSを示す円弧状図形Gを表示し(S130)、そして、第1表示器20に、現在出力量合計値PSを表示する(S150)。また、第1円弧状図形部分G1及び第2円弧状図形部分G2の表示及び消去に伴い、種別表示灯32(MOTOR)及び種別表示灯33(ENGINE)を表示及び消去する(S140)。また、パワーダウン警告灯34を、出力可能量合計値QSの値に応じた色で表示する(S160)。
【0068】
例えば、モータ出力可能量QMが70kW、エンジン出力可能量QEが70kW、のとき、これらを、モータ出力可能量QMを優先するとともに最大出力可能量QSmaxを超えないように加算して、出力可能量合計値QSが100kWとなり、また、モータ現在出力量PMとエンジン現在出力量PEとを加算して、現在出力量合計値PSが60kWとなったとする。このとき、図5(a)に示すように、第2表示器30に、第1円弧状図形部分G1を、数値指標42の「0」〜「7」の位置まで表示し、第2円弧状図形部分G2を、数値指標42の「7」〜「10」の位置まで表示し、これにより、円弧状図形Gの先端が数値指標42の「10」を指示する。また、第1表示器20の指針部材8が数値指標42の「6」を指示する。そして、第1円弧状図形部分G1の表示に伴い、種別表示灯32を表示し、第2円弧状図形部分G2の表示に伴い、種別表示灯33を表示する。そして、パワーダウン警告灯34を、出力可能量合計値QSの値に応じて、青く表示する。このときの、第1表示器20が現在出力量合計値PSとして表示する60kWと、第2表示器30が出力可能量合計値QSとして表示する100kWと、の差分値から、走行用動力を40kW追加して出力可能なことが判る。
【0069】
また、例えば、モータ出力可能量QMが30kW、エンジン出力可能量QEが70kW、のとき、これらを加算して、出力可能量合計値QSが100kWとなり、また、モータ現在出力量PMとエンジン現在出力量PEとを加算して、現在出力量合計値PSが100kWとなったとする。このとき、図5(b)に示すように、第2表示器30に、第1円弧状図形部分G1を、数値指標42の「0」〜「3」の位置まで表示し、第2円弧状図形部分G2を、数値指標42の「3」〜「10」の位置まで表示し、これにより、円弧状図形Gの先端が数値指標42の「10」を指示する。また、第1表示器20の指針部材8が数値指標42の「10」を指示する。そして、第1円弧状図形部分G1の表示に伴い、種別表示灯32を表示し、第2円弧状図形部分G2の表示に伴い、種別表示灯33を表示する。そして、パワーダウン警告灯34を、出力可能量合計値QSの値に応じて、青く表示する。このときの、第1表示器20が現在出力量合計値PSとして表示する100kWと、第2表示器30が出力可能量合計値QSとして表示する100kWと、の差分値から、走行用動力をさらに追加して出力できないことが判る。
【0070】
また、例えば、モータ出力可能量QMが10kW、エンジン出力可能量QEが70kW、のとき、これらを加算して、出力可能量合計値QSが80kWとなり、また、モータ現在出力量PMとエンジン現在出力量PEとを加算して、現在出力量合計値PSが50kWとなったとする。このとき、図5(c)に示すように、第2表示器30に、第1円弧状図形部分G1を、数値指標42の「0」〜「1」の位置まで表示し、第2円弧状図形部分G2を、数値指標42の「1」〜「8」の位置まで表示し、これにより、円弧状図形Gの先端が数値指標42の「8」を指示する。また、第1表示器20の指針部材8が数値指標42の「5」を指示する。そして、第1円弧状図形部分G1の表示に伴い、種別表示灯32を表示し、第2円弧状図形部分G2の表示に伴い、種別表示灯33を表示する。そして、パワーダウン警告灯34を、出力可能量合計値QSの値に応じて、黄色に表示する。このときの、第1表示器20が現在出力量合計値PSとして表示する50kWと、第2表示器30が出力可能量合計値QSとして表示する80kWと、の差分値から、走行用動力を30kW追加して出力可能なことが判る。
【0071】
また、例えば、モータ出力可能量QMが0kW、エンジン出力可能量QEが70kW、のとき、これらを加算して、出力可能量合計値QSが70kWとなり、また、モータ現在出力量PMとエンジン現在出力量PEとを加算して、現在出力量合計値PSが50kWとなったとする。このとき、図5(d)に示すように、第2表示器30に、第1円弧状図形部分G1を表示せず(消去)、第2円弧状図形部分G2を、数値指標42の「0」〜「7」の位置まで表示し、これにより、円弧状図形Gの先端が数値指標42の「7」を指示する。また、第1表示器20の指針部材8が数値指標42の「5」を指示する。そして、第1円弧状図形部分G1の消去に伴い、種別表示灯32を消去(図中点線で示す)し、第2円弧状図形部分G2の表示に伴い、種別表示灯33を表示する。そして、パワーダウン警告灯34を、出力可能量合計値QSの値に応じて、紫色に表示する。このとき、第1表示器20が現在出力量合計値PSとして表示する50kWと、第2表示器30が出力可能量合計値QSとして表示する70kWと、の差分値から、走行用動力を20kW追加して出力可能なことが判る。
【0072】
また、例えば、モータ出力可能量QMが70kW、エンジン出力可能量QEが0kW、のとき、これらを加算して、出力可能量合計値QSが70kWとなり、また、モータ現在出力量PMとエンジン現在出力量PEとを加算して、現在出力量合計値PSが50kWとなったとする。このとき、図5(e)に示すように、第2表示器30に、第1円弧状図形部分G1を、数値指標42の「0」〜「7」の位置まで表示し、第2円弧状図形部分G2を、表示せず(消去)、これにより、円弧状図形Gの先端が数値指標42の「7」を指示する。また、第1表示器20の指針部材8が数値指標42の「5」を指示する。そして、第1円弧状図形部分G1の表示に伴い、種別表示灯32を表示し、第2円弧状図形部分G2の消去に伴い、種別表示灯33を消去(図中点線で示す)する。そして、パワーダウン警告灯34を、出力可能量合計値QSの値に応じて、紫色に表示する。このときの、第1表示器20が現在出力量合計値PSとして表示する50kWと、第2表示器30が出力可能量合計値QSとして表示する70kWと、の差分値から、走行用動力を20kW追加して出力可能なことが判る。
【0073】
また、例えば、モータ出力可能量QMが60kW、エンジン出力可能量QEが0kW、のとき、これらを加算して、出力可能量合計値QSが60kWとなり、また、モータ現在出力量PMとエンジン現在出力量PEとを加算して、現在出力量合計値PSが50kWとなったとする。このとき、図5(f)に示すように、第2表示器30に、第1円弧状図形部分G1を、数値指標42の「0」〜「6」の位置まで表示し、第2円弧状図形部分G2を、表示せず(消去)、これにより、円弧状図形Gの先端が数値指標42の「6」を指示する。また、第1表示器20の指針部材8が数値指標42の「5」を指示する。そして、第1円弧状図形部分G1の表示に伴い、種別表示灯32を表示し、第2円弧状図形部分G2の消去に伴い、種別表示灯33を消去(図中点線で示す)する。そして、パワーダウン警告灯34を、出力可能量合計値QSの値に応じて、赤く表示する。このときの、第1表示器20が現在出力量合計値PSとして表示する50kWと、第2表示器30が出力可能量合計値QSとして表示する60kWと、の差分値から、走行用動力を10kW追加して出力可能なことが判る。
【0074】
上述した図5(a)〜(f)に示す各状態において、第1表示器20は、現在出力量合計値PSに応じて、第2表示器30に表示される円弧状図形Gで示される出力可能量合計値QSの範囲にある数値指標42及び目盛指標43を指示し、この範囲を超えてこれら指標を指示することはない。つまり、円弧状図形Gで示される範囲は、第1表示器20の指針部材8の回動可能範囲を表している。
【0075】
また、上述した図5(a)〜(f)に示す各状態において、種別表示灯32、33の表示状態(即ち、第1円弧状図形部分G1及び第2円弧状図形部分の表示状態)から、ハイブリッド自動車が、モータ及びエンジンの両方(図5(a)〜(c))、エンジンのみ(図5(d))、又は、モータのみ(図5(e)、(f))、で走行していることが判る。
【0076】
以上より、本発明によれば、モータ及びエンジンにおける走行用動力の現在出力量合計値PSを表示する第1表示器20と、モータ及びエンジンにおける走行用動力の出力可能量合計値QSを表示する第2表示器30と、を備えているので、第1表示器20に表示された走行用動力の現在出力量合計値PSと第2表示器30に表示された走行用動力の出力可能量合計値QSとの差分値から、追加して出力可能な走行用動力を把握することができる。
【0077】
また、走行用動力の現在出力量及び出力可能量を共通に示す数値指標42及び目盛指標43が設けられた指標部としての文字板4を備え、第1表示器20が、現在出力量合計値PSに応じて数値指標42及び目盛指標43指示し、第2表示器30が、出力可能量合計値QSに応じて数値指標42及び目盛指標43を指示するので、第1表示器20と第2表示器30とが、共通の数値指標42及び目盛指標43を指示することにより現在出力量合計値PSと出力可能量合計値QSとを表示し、そのため、第1表示器20と第2表示器30とがそれぞれ指示する2つの指標の距離(間隔)が現在出力量合計値PSと出力可能量合計値QSとの差分値を表し、したがって、追加して出力可能な走行用動力を視覚的に容易に把握することができる。
【0078】
また、数値指標42及び目盛指標43が円弧状に設けられた文字板4を備え、第1表示器20(即ち、第1指示部)が、指針部材8と、指針部材8が現在出力量合計値PSに応じた数値指標42及び目盛指標43を指示するように指針部材8をこれら指標の円弧中心を軸に回動させる回動内機7と、を備え、第2表示器30(即ち、第2指示部)が、数値指標42及び目盛指標43に沿って並設された、出力可能量合計値QSに応じた数値指標42及び目盛指標43を先端で指示するように長さが決定される円弧状図形Gを表示するので、指針部材8によって走行用動力の現在出力量合計値PSを示し、円弧状図形Gによって走行用動力の出力可能量合計値QSを示し、そのため、円弧状図形Gが並列に表示されている数値指標42及び目盛指標43の範囲を、指針部材8の回動可能範囲として認識でき、したがって、追加して出力可能な走行用動力を視覚的にさらに容易に把握することができる。
【0079】
また、円弧状図形Gが、互いに色分けされた、モータ及びエンジンのそれぞれにおける出力可能量に応じて長さが決定される、第1円弧状図形部分G1及び第2円弧状図形部分G2を互いに連接してなるので、円弧状図形Gによって示される走行用動力の出力可能量合計値QSに占めるモータ又はエンジンにおける走行用動力の出力可能量QM、QEの割合を容易に把握することができる。
【0080】
また、ハイブリッド自動車においてモータから出力される走行用動力を優先して出力する走行モード等に設定されている場合は、当該ハイブリッド自動車は、第1表示器20によって表示される現在出力量合計値PSが、第2表示器30によって表示される第1円弧状図形部分G1(即ち、モータの出力可能量)の範囲にあるときはモータのみで走行し、第2円弧状図形部分G2の範囲にあるときはモータとエンジンとの両方で走行するので、走行用動力の出力量と、走行に用いられる動力機(モータ及びエンジン)との、関係、つまり、エンジンが動作又は停止する走行用動力の出力量を視覚的に把握することができ、そのため、運転状況などに応じて、モータのみの走行、又は、モータとエンジンとの両方での走行を的確に選択することができる。
【0081】
例えば、図5(a)は、第1表示器20が、第1円弧状図形部分G1の範囲にある数値指標42及び目盛指標43(60kW)を指示している状態を示している。この表示から、現在ハイブリッド自動車はモータのみで走行しており、走行用動力を10kWを超えて追加することで、第1表示器20が、第2円弧状図形部分G2の範囲にある数値指標42及び目盛指標43(70kW〜100kW)を指示することになり、即ち、モータ及びエンジンの両方で走行することが判る。
【0082】
つまり、燃費を向上させたいと考えるのであれば、第1表示器20の指示する値が、第1円弧状図形部分G1の範囲に留まるようにハイブリッド自動車の操作を行えば良く、また、力強く走行したいと考えるのであれば、第1表示器20の指示する値が、第2円弧状図形部分G2の範囲に入るように操作を行えばよい。
【0083】
本実施形態において、第2表示器30(即ち、図形表示部)に表示される円弧状図形Gは、色分けされた第1円弧状図形部分G1及び第2円弧状図形部分G2を互いに連結してなるものであったが、これに限定されるものではなく、これら円弧状図形部分に色分けされてない、出力可能量合計値QSに応じた長さの1色の円弧状図形Gを表示するようにしても良い。
【0084】
また、本実施形態において、種別表示灯32、33及びパワーダウン警告灯34を備えるものであったが、これらを備えない構成であっても良い。
【0085】
また、本実施形態においては、第1表示器20が、文字板4の数値指標42及び目盛指標43を指針部材8によって指示することにより現在出力量合計値PSを表示し、第2表示器30が、文字板4の数値指標42及び目盛指標43を円弧状図形Gの先端で指示することにより出力可能量合計値QSを表示するものであったが、これに限定されるものではない。
【0086】
例えば、図6(a)に示すメータECU1Aのように、見返し板2に直線状に配列された数値指標及び目盛指標を備えた指標部4Aと、この指標部4Aを間に挟んで、現在出力量合計値PSに応じた長さの矩形状図形H1を表示する第1表示器20A及び出力可能量合計値QSに応じた長さの矩形状図形H2を表示する第2表示器30Aと、を備えた構成であってもよく、または、図6(b)に示すメータECU1Bのように、現在出力量合計値PS及び出力可能量合計値QSを、それぞれ数値で表示する第1表示器20B及び第2表示器30Bを備えた構成であってもよい。
【0087】
このような構成においても、第1表示器20A(20B)に表示される走行用動力の現在出力量合計値PSと第2表示器30A(30B)に表示されている走行用動力の出力可能量合計値QSとの差分値から、追加して出力可能な走行用動力を把握することができる。また、特に、図6(a)に示すメータECU1Aにおいては、第1表示器20Aと第2表示器30Aとが、共通の指標部4Aを指示することにより現在出力量合計値PSと出力可能量合計値QSとを表示し、そのため、第1表示器20Aと第2表示器30Aとがそれぞれ指示する2つの指標の距離(間隔)が現在出力量合計値PSと出力可能量合計値QSとの差分値を表し、したがって、追加して出力可能な走行用動力を視覚的に容易に把握することができる。
【0088】
また、モータ現在出力量PM、エンジン現在出力量PE、モータ出力可能量QM、及び、エンジン出力可能量QEについては、本実施形態に示した算出方法に限定されるものではなく、本発明の目的に反しない限り、ハイブリッド自動車の構成等に応じて任意である。
【0089】
また、本実施形態は、走行用動力の現在出力量及び出力可能量のみを表示する構成について記載するものであるが、例えば、車両速度やエンジン回転数などを表示する周知のコンビネーションメータに、本発明を含めてもよい。
【0090】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
1、1A、1B メータECU(ハイブリッド自動車用表示装置)
2 見返し板
20、20A、20B 第1表示器
30、30A、30B 第2表示器
31 円弧状カバー
32、33 種別表示灯
34 パワーダウン警告灯
4 文字板(指標部)
42 数値指標(指標)
43 目盛指標(指標)
5 ケース
53 収容空間
6 配線板
62 二色発光ダイオード
7 回動内機(指針駆動部)
8 指針部材(指針部)
G 円弧状図形
G1 第1円弧状図形部分(円弧状図形部分)
G2 第2円弧状図形部分(円弧状図形部分)
PM モータ現在出力量
PE エンジン現在出力量
PS 現在出力量合計値(走行用動力の現在出力量の合計値)
QM モータ出力可能量
QE エンジン出力可能量
QS 出力可能量合計値(走行用動力の出力可能量の合計値)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動力機が生ずる走行用動力によって駆動されるハイブリッド自動車に搭載されるハイブリッド自動車用表示装置であって、
前記複数の動力機における前記走行用動力の現在出力量の合計値を表示する第1表示器と、
前記複数の動力機における前記走行用動力の出力可能量の合計値を表示する第2表示器と、を備えている
ことを特徴とするハイブリッド自動車用表示装置。
【請求項2】
前記現在出力量及び前記出力可能量を共通に示す指標が設けられた指標部を備え、
前記第1表示器が、前記現在出力量の合計値に応じた前記指標を指示する第1指示部を備え、
前記第2表示器が、前記出力可能量の合計値に応じた前記指標を指示する第2指示部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車用表示装置。
【請求項3】
前記指標部は、前記指標が円弧状に設けられた文字板であり、
前記第1指示部が、指針部と、前記指針部が前記現在出力量の合計値に応じた前記指標を指示するように前記指針部を前記指標の円弧中心を軸に回動させる指針駆動部と、を備え、
前記第2指示部が、前記指標に沿って並設された、前記出力可能量の合計値に応じた前記指標を先端で指示するように長さが決定される円弧状図形を表示する、図形表示部を備えている
ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド自動車用表示装置。
【請求項4】
前記円弧状図形が、互いに色分けされた、前記複数の動力機のそれぞれにおける前記出力可能量に応じて長さが決定される、複数の円弧状図形部分を互いに連接してなることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド自動車用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−6436(P2012−6436A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142394(P2010−142394)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】