説明

ハイブリッド超硬合金を含む土木掘削ビット部品及びその製造方法

例えばビット本体、ローラーコーン、又はマッドノズルのような土木掘削ビット部品は、ハイブリッド超硬合金複合体を含む。ハイブリッド超硬合金は、超硬合金分散相及び超硬合金連続相を含む。製造方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、ハイブリッド超硬合金複合体を含む土木掘削ビット用の部品、及びハイブリッド超硬合金複合体を含む土木掘削ビット用の部品の製造方法に関する。本発明の範囲内に含まれる土木掘削ビット用の部品の例としては、土木掘削ビット本体、ローラーコーン、及びマッドノズルが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]石油及びガスのさく井のために用いる土木掘削ビットは、固定又は可動の切削部材を有する可能性がある。固定カッター土木掘削ビットは、通常は、ソリッドホルダー又はビット本体に取り付けられている多結晶ダイアモンド成形体(PDC)を含む。ローラーコーン土木掘削ビットは、通常は、ビットの部品を形成する複数の回転可能な円錐形ホルダーに取り付けられている超硬合金切削インサートを含む。回転可能な円錐形ホルダーは、当該技術において「ローラーコーン」、「インサートローラーコーン」、又は単純に「コーン」と様々に呼ばれている。土木掘削ビットは、通常は、ドリルストリングの末端に固定されていて、地表から、或いはドリルストリング上のビットの直上に配置されているマッドモーターによって回転させられる。掘削流体又は泥水を、ビット本体内に形成されている中空ドリルストリング及び「マッドノズル」を通して下方にポンプで移送する。ビットの回転中に掘削流体又は泥水によって、ビットが冷却及び潤滑され、また、ビットによって切削された物質が地表に送られる。
【0003】
[0003]土木掘削ビットのビット本体及び他の部品は、それらを厳しい坑井環境内で操作している間に多くの形態の摩耗に曝される。通常の形態の摩耗は、摩耗性の岩石層と接触することによって引き起こされる摩損である。更に、岩石切削物を含んだ切削泥水はビットに対する浸食摩耗を引き起こす。土木掘削ビットの耐用寿命は、切削部材(例えば、PDC、超硬合金切削インサート、又は歯切りされた切削刃)の摩耗特性の関数であるだけでなく、ビット本体(フィックスドカッタービットの場合)又はローラーコーン(ローラーコーンビットの場合)の摩耗特性の関数でもある。土木掘削ビットの耐用寿命を増加させる1つの方法は、強度、靱性、及び耐摩耗/浸食(摩損)性の向上した組合せを有する材料から製造されているビット本体又はローラーコーンを用いることである。
【0004】
[0004]図1は、石油及びガスのさく井のために用いる通常のローラーコーン土木掘削ビットを示す。ローラーコーン土木掘削ビット10は、ビット本体12、及び3つの回転可能な円錐形カッター又は「ローラーコーン」14を含む。ビット本体12及びローラーコーン14は、通常は合金鋼から製造されている。それぞれのローラーコーン14の外周の周りに超硬合金切削インサート16が取り付けられている。或いは、ローラーコーン14に、炭化タングステンで耐摩耗加工が施されている歯切りされた切削刃を含ませて耐摩耗性を向上させることができる。ドリルストリングを回転させることによって、ローラーコーン14がドリル孔の底部に沿って回転し、切削インサート16が孔の底部内の岩石に連続して接触してそれを破砕する。流体孔又は「マッドノズル」18を通してポンプ移送される流体の高速度噴流によって、破砕された岩石が底部領域からドリル孔を通して上方に掃去される。切削インサート16又は刃は、通常は、ローラーコーン14が回転するにつれてある程度噛合し、この噛合作用は岩石をビット本体12の切削面から除去するのを助ける。接続領域19は、ねじ切りすることができ、及び/又はビット10をドリルストリングの端に接続するができるように構成されている他の構造を含ませることができる。
【0005】
[0005]図2は、通常のフィックスドカッター土木掘削ビット本体を示す。ビット本体20は通常は合金鋼から製造されている。1つの最近の展開によれば、より高い度合いの耐摩耗及び耐浸食性が所望の場合には、ビット本体20を鋳造金属−マトリクス複合体から形成することができる。複合体には、例えば、青銅、真鍮、又は比較的低い融点を有することを特徴とする他の好適な合金によって結合したタングステンの炭化物を含ませることができる。幾つかのPDCカッター(図示せず)が、切削性能を最適にするように予め定められた位置に配置されているポケット28内でビット本体に固定されている。ビット本体20は、通常は、それによってドリルストリングの遠位端においてビットが坑井モーターのドライブシャフト又はドリルカラーに固定されるねじ切りされているピン接続を含む鋼材製シャンク(図示せず)に固定される。
【0006】
[0008]鋼材製のビットは、通常は、円形の原材料から輪郭及び内部の構造を有する所望の形状に機械加工される。耐摩耗加工技術を用いて、耐摩耗材料をビット本体の切削面及びビット本体の表面の他の重要な領域に施すことができる。
【0007】
[0009]硬質粒子及びバインダーからビット本体を製造する通常の方法においては、成形型を歯切り加工又は機械加工してビット本体の外表面の構造を画定する。また、ビット本体の輪郭構造を形成するか又は改良するためには、更なる手作業による歯切り加工又は粘土による加工も必要である可能性がある。成形型が完成したら、予め形成した鋼材製のビット素材を成形型の空洞部内に配置して、ビット本体を内部補強し、製造した際にピン接続マトリクスを与えることができる。他の砂、黒鉛、又は遷移金属若しくは耐熱金属をベースとするインサート、例えば内部流体流路、切削部材用のポケット、リッジ、平坦部、ノズル代替物、排泥溝、及び/又はビット本体の他の内部又は輪郭構造を画定するインサートを成形型の空洞部中に挿入することもできる。最終ビット内での切削部材、ノズル、排泥溝等の適切な配置を確保するためには、用いる全てのインサートを正確な位置に配置しなければならない。次に、所望の硬質粒子を成形型内に配置して所望の密度に圧縮することができる。次に硬質粒子に溶融バインダーを浸潤させ、これを凝固させて、バインダーの連続相内に埋封されている硬質粒子の不連続相を含むソリッドビット本体を形成する。
【0008】
[0010]最近になって、標準的な粉末冶金手順(粉末を固化し、次に素地成形体又は予備焼結した粉末成形体を成形加工又は機械加工し、高温焼結する)を用いて、フィックスドカッタービット本体を超硬合金から製造することができることが見出された。共に係属している米国特許出願10/848,437及び11/116,752においては土木掘削ビット用のビット本体において超硬合金複合体を用いることが開示されており、かかる出願のそれぞれはその全部を参照として本明細書中に包含する。
【0009】
[0011]一般に、超硬合金は、鋼材又は銅ベースのバインダーを湿潤した炭化物と比較して強度、靱性、及び耐摩耗/浸食性の非常に優れた組合せを与えるので、超硬合金をベースとするビット本体は、通常は鋼材又は湿潤処理炭化物から機械加工される従来技術のビット本体を凌ぐ大きな有利性を与える。
【0010】
[0012]再び図2を参照すると、PDCベースの土木掘削ビットを製造するために用いることができる通常は緻密な一体型超硬合金ビット本体20が示されている。認めることができるように、ビット本体20は、それを通して泥水をポンプ移送することができる孔24を有する中央部分22、及びその中にPDCカッターが取り付けられるポケット28を有するアーム又はブレード26から実質的に構成される。図2のビット本体20は粉末金属技術によって製造することができる。通常は、かかるビット本体を製造するためには、バインダー金属及び炭化物の両方を含む粉末を成形型に充填する。次に、成形型を圧縮して粉末を緻密化し、素地成形体を形成する。焼結した超硬合金の強度及び硬度のために、ビット本体は通常は素地成形体の形態において機械加工する。素地成形体を機械加工して、最終ビット本体において所望の任意の構造を含ませることができる。次に、素地成形体を焼結して完全又はほぼ完全な密度を達成することができる。
【0011】
[0013]超硬合金を用いて製造されるビット本体及びホルダーは従来の材料から製造されるビット本体及びホルダーと比較して増加した耐用寿命を示すことができるが、これらの用途において超硬合金を用いる際には制限が未だ存在する。ビット本体及びホルダーにおいて用いるのに好適な超硬合金グレードは制限される。土木掘削作業中に遭遇する高い衝撃力に耐えるためには高い靱性レベルが必要であるが、一般に、より高い靱性グレードは低い硬度及び劣った耐摩耗性を示すことを特徴とする。したがって、ビット本体及びホルダーにおいて用いるために通常選択される超硬合金グレードは、通常は、20重量%以上のような比較的高いバインダー含量、及び少なくとも4〜5ミクロンの平均粒径を有する粗い硬質粒子粒径を含む。かかるグレードは、通常、比較的限定された耐摩耗及び耐浸食性のレベルを示す。したがって、かかる超硬合金グレードをベースとするビット本体及びホルダーの耐用寿命は、通常は、真鍮、青銅、及び鋼材ベースの本体及びホルダーのものよりも大きいが、土木掘削用途のために好適な超硬合金グレードの特性によって耐用寿命の増加が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願10/848,437
【特許文献2】米国特許出願11/116,752
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
[0014]したがって、耐摩耗性、強度、及び靱性の有利な組合せを有する土木掘削ビット用のビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の部品に関する必要性が継続して存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[0015]本発明は、ハイブリッド超硬合金複合体を含むビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の土木掘削ビット部品から選択される製造品、並びにかかる製造品の製造方法を提供することによって上記の必要性に対処するものである。本発明による物品に含まれるハイブリッド超硬合金複合体は、超硬合金分散相及び超硬合金連続相を含む。本発明による1つの非限定的な態様においては、製造品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率は0.48以下である。本発明による他の非限定的な態様においては、製造品のハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率は0.4未満である。本発明による更に他の非限定的な態様においては、製造品のハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率は0.2未満である。
【0015】
[0016]本発明による物品の1つの非限定的な態様によれば、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体の分散相の硬度は、ハイブリッド超硬合金複合体の連続相の硬度よりも大きい。他の非限定的な態様においては、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体は第1の超硬合金分散相及び第2の超硬合金分散相を含み、第2の超硬合金分散相の組成及び物理特性の少なくとも1つは、第1の超硬合金分散相のものと異なる。幾つかの非限定的な態様においては、物理特性は、硬度、パームクイスト靱性、及び耐摩耗性から選択される。
【0016】
[0017]本発明による物品の1つの代表的な非限定的態様においては、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相は、ハイブリッド超硬合金の2〜50体積%である。物品の他の非限定的な態様においては、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相は、ハイブリッド超硬合金の2〜25体積%である。
【0017】
[0018]本発明による製造品の幾つかの非限定的な態様によれば、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相の硬度は、少なくとも88HRAで95HRA以下である。物品の他の非限定的な態様においては、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金連続相のパームクイスト靱性は10MPa・m1/2より大きい。物品の更に他の非限定的な態様においては、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金連続相の硬度は少なくとも78HRAで91HRA以下である。
【0018】
[0019]ここで開示する製造品の非限定的な態様としては、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相及び超硬合金連続相が、独立して、少なくとも1種類の、周期律表第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、並びにコバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダーを含むものが挙げられる。ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相及び超硬合金連続相の少なくとも1つのバインダーには、場合によって、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムから選択される少なくとも1種類の合金化剤を更に含ませることができる。本発明による製造品の1つの非限定的な態様においては、合金化剤は、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金のバインダーの20重量%以下の濃度で存在する。
【0019】
[0020]本発明による物品の幾つかの非限定的な態様によれば、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金の分散相のバインダー濃度は分散相の2〜15重量%であり、連続相のバインダー濃度は連続相の6〜30重量%である。更に他の非限定的な態様によれば、物品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相及び超硬合金連続相は、両方とも炭化タングステン及びコバルトを含む。
【0020】
[0021]本発明の幾つかの形態は、ハイブリッド超硬合金を含む土木掘削ビット部品を含む。非限定的な態様においては、ハイブリッド超硬合金は、超硬合金分散相(ここで、分散相の体積割合はハイブリッド超硬合金複合体の50体積%未満である);及び超硬合金連続相;を含む。超硬合金分散相及び超硬合金連続相の物理特性は異なり、超硬合金分散相は、ハイブリッド超硬合金中の超硬合金分散相の体積割合の1.5倍未満の接触率を有する。
【0021】
[0022]ここで開示する土木掘削ビット部品の非限定的な態様においては、超硬合金分散相及び超硬合金連続相は、それぞれ独立して、少なくとも1種類の、チタン、クロム、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種類の遷移金属の炭化物;並びに、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー;を含む。本発明による土木掘削ビット部品の他の非限定的な態様においては、バインダーは、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムから選択される少なくとも1種類の合金化剤を更に含む。
【0022】
[0023]本発明による1つの代表的な非限定的態様においては、土木掘削ビット部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体は、0.7mm−3より大きい耐摩耗性及び10MPa・m1/2より大きいパームクイスト靱性を有する。幾つかの非限定的な態様においては、土木掘削ビット部品は、ビット本体、ローラーコーン、及びマッドノズルの1つである。
【0023】
[0024]本発明の一形態によれば、土木掘削ビット部品用の部品の製造方法は、第1グレードの超硬合金粉末の一部及び第2グレードの超硬合金粉末の一部を混合して粉末ブレンドを与え;粉末ブレンドの少なくとも一部を素地成形体に固化し(ここで、第1グレードの超硬合金粉末は素地成形体の分散相であり、第2グレードの超硬合金粉末は素地成形体の連続相である);素地成形体を部分的か又は完全に焼結して、超硬合金分散相及び超硬合金連続相を含むハイブリッド超硬合金複合体を含む緻密化成形体を形成する;ことを含む。非限定的な態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率は0.48以下である。他の非限定的な態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率は0.4未満である。更に他の非限定的な態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率は0.2未満である。
【0024】
[0025]ここで開示する土木掘削ビット用の部品の製造方法の他の非限定的な態様は、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体の分散相がハイブリッド超硬合金複合体の連続相の硬度よりも大きい硬度を有するように粉末ブレンドのための第1及び第2の超硬合金粉末を選択することを含む。更に他の非限定的な態様においては、第3の超硬合金粉末を第1及び第2の超硬合金粉末と混合して粉末ブレンドを与えて、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体が、超硬合金連続相、連続相中に懸濁している第1の超硬合金分散相、及び連続相中に懸濁している第2の超硬合金分散相を含むようにする。1つの非限定的な態様によれば、ハイブリッド超硬合金の第1の超硬合金分散相の組成及び特性の少なくとも1つは第2の超硬合金分散相と異なる。幾つかの非限定的な態様においては、異なる特性は、硬度、パームクイスト靱性、及び耐摩耗性から選択される。
【0025】
[0026]本発明による土木掘削ビット部品の製造方法の1つの非限定的な態様においては、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相は、ハイブリッド超硬合金複合体の2〜50体積%である。他の非限定的な方法の態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相は、ハイブリッド超硬合金複合体の2〜25体積%である。また、幾つかの非限定的な態様においては、超硬合金グレードは、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相の硬度が少なくとも88HRAで95HRA以下となるように選択する。他の非限定的な態様においては、ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金連続相のパームクイスト靱性は10MPa・m1/2より大きい。土木掘削ビット部品を製造するための他の非限定的な方法においては、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金連続相の硬度は少なくとも78HRAで91HRA以下である。
【0026】
[0027]本発明による土木掘削ビット部品の製造方法の1つの非限定的な態様によれば、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相及び超硬合金連続相は独立して選択され、それぞれ、少なくとも1種類の、周期律表第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物、並びにコバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダーを含む。非限定的な態様においては、超硬合金分散相及び超硬合金連続相の少なくとも1つの連続相(バインダー)は、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムから選択される少なくとも1種類の合金化剤を含む。幾つかの非限定的な態様によれば、合金化剤はバインダーの20重量%以下の濃度で含まれる。
【0027】
[0028]ここで開示する土木掘削ビット部品の製造方法の1つの非限定的な態様は、ハイブリッド超硬合金の分散相のバインダー濃度が分散相の2〜15重量%であり、ハイブリッド超硬合金の連続相のバインダー濃度が連続相の6〜30重量%であるハイブリッド超硬合金を部品中に与えることを含む。
【0028】
[0029]本発明による土木掘削ビット部品の製造方法の非限定的な態様によれば、部品は、ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相の体積割合がハイブリッド超硬合金の50体積%未満であり、ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相が、ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相の体積割合の1.5倍未満の接触率を有するハイブリッド超硬合金を含む。
【0029】
[0030]本発明による土木掘削ビット部品の製造方法の1つの非限定的な態様においては、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体は、0.7mm−3より大きい耐摩耗性及び10MPa・m1/2より大きいパームクイスト靱性を有する。
【0030】
[0031]土木掘削ビット部品の製造方法の1つの非限定的な態様によれば、この方法は、第1グレードの超硬合金粉末の一部、及び第2グレードの超硬合金粉末の一部を混合して粉末ブレンドを与え;粉末ブレンドの少なくとも一部を素地成形体に固化し(ここで、第1グレードの超硬合金粉末は素地成形体の分散相であり、第2グレードの超硬合金粉末は素地成形体の連続相である);素地成形体を予備焼結して脱脂成形体を形成し;そして脱脂成形体を焼結して、超硬合金分散相及び超硬合金連続相を含むハイブリッド超硬合金複合体を含む緻密化成形体を形成する;ことを含む。非限定的な態様においては、脱脂成形体を焼結する前に、脱脂成形体を機械加工する。本方法の他の非限定的な態様においては、脱脂成形体を機械加工することは、脱脂成形体中に少なくとも1つのカッターインサートポケットを機械加工することを含む。更に他の非限定的な態様においては、素地成形体を予備焼結する前に、素地成形体を機械加工する。更に他の態様においては、素地成形体を機械加工することは、素地成形体中に少なくとも1つのカッターインサートポケットを機械することを含む。
【0031】
[0032]上記の方法の幾つかの非限定的な態様によれば、粉末ブレンドの少なくとも一部を固化することは、粉末ブレンドの少なくとも一部を圧縮することを含む。更に他の非限定的な態様においては、粉末ブレンドの少なくとも一部を圧縮することは、粉末ブレンドの少なくとも一部を等方圧プレスすることを含む。
【0032】
[0033]上記の方法の幾つかの非限定的な態様によれば、粉末ブレンドを形成するために混合する第1グレードの超硬合金粉末及び第2グレードの超硬合金粉末は、それぞれ独立して、炭化チタン、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化タンタル、炭化モリブデン、炭化ニオブ、及び炭化タングステンからなる群から選択される遷移金属炭化物を含む。
【0033】
[0034]上記の方法の幾つかの非限定的な態様によれば、脱脂成形体を焼結して緻密化成形体を形成することは、脱脂成形体を液相温度において焼結することを含む。本方法の他の非限定的な態様は、脱脂成形体を300〜2000psiの圧力及び1350℃〜1500℃の温度において焼結することを含む。
【0034】
[0035]1つの非限定的な方法によれば、本発明による土木掘削ビット部品中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体は、第1のハイブリッド超硬合金複合体組成を有する第1の領域、及び第2のハイブリッド超硬合金複合体組成を有する第2の領域を含む。上記の方法の1つの非限定的な態様においては、この方法は、粉末ブレンドの少なくとも一部を素地成形体に固化する前に、第1のハイブリッド超硬合金複合体組成を形成するための第1の粉末ブレンドの少なくとも一部を成形型の空洞部の第1の領域中に配置し;第2の超硬合金複合体組成を形成するための第2の粉末ブレンドの少なくとも一部を成形型の空洞部の第2の領域中に配置し;成形型の空洞部内で粉末ブレンドを圧縮することによって成形型の空洞部中に配置された粉末ブレンドを固化して、それによって素地成形体を与える;ことを含む。
【0035】
[0036]限定することを意図しない一態様においては、本発明による土木掘削ビット部品の製造方法は、300ksiより大きい抗折力を有するハイブリッド超硬合金を含むフィックスドカッタービット本体を形成することを含む。他の非限定的な態様においては、成形されたフィックスドカッタービット本体中のハイブリッド超硬合金は55,000,000psiより大きいヤング弾性率を有する。
【0036】
[0037]ここで記載する物品及び方法の特徴及び有利性は、添付の図面を参照することによってより良好に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】[0038]図1は、通常のローラーコーン土木掘削ビットの斜視図である。
【図2】[0039]図2は、通常のフィックスドカッター土木掘削ビットの斜視図である。
【図3】[0040]図3は、土木掘削ビットのビット本体の一態様の断面図である。
【図4】[0041]図4は、本発明による土木掘削ビットの1つの非限定的な態様におけるハイブリッド超硬合金複合体の微細構造の顕微鏡写真である。
【図5】[0042]図5は、ハイブリッド超硬合金複合体の接触率の値を求める方法を図示する。
【図6】[0043]図6は、相対耐摩耗性の関数としての破壊靱性のグラフであり、従来のシングルグレードの超硬合金複合体と比較して向上した、本発明の非限定的な態様において有用なハイブリッド超硬合金複合体の耐摩耗性を示す。
【図7】[0044]図7Aは、0.48より大きい接触率を有するハイブリッド超硬合金複合体の顕微鏡写真である。 [0045]図7Bは、0.48以下の接触率を有するハイブリッド超硬合金複合体の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[0046]本発明による幾つかの非限定的な態様の以下の詳細な記載を考察することによって、上記の詳細及び他の事項が認識されるであろう。
【0039】
[0047]実施例又は他に示されている箇所以外の非限定的な態様の記載において、量又は特性を表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」で修飾されているものと理解すべきである。したがって、反対に示されていない限りにおいては、以下の記載において示される全ての数値パラメーターは、本発明による部品及び方法において得ようとする所望の特性によって変化する可能性がある近似値である。最後に、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限することは意図しないが、本明細書において記載されるそれぞれの数値パラメーターは、少なくとも、報告されている有効桁数の数を考慮し且つ通常の丸め法を適用することによって解釈すべきである。
【0040】
[0048]参照として本明細書中に包含されると記載されている全ての特許、公報、又は他の開示資料は、完全か又は部分的に、包含する資料が既存の定義、記述事項、又は本明細書中に示されている他の開示資料と対立しない程度にのみ本明細書中に包含される。このように、且つ必要な範囲で、本明細書中に示す開示事項は、参照として本明細書中に包含される全ての対立する資料に優先する。参照として本明細書中に包含されると記載されているが、既存の定義、記述事項、又は本明細書中に示されている他の開示資料と対立する全ての資料又はその一部は、包含する資料と既存の開示資料との間に対立が生じない程度にのみ包含される。
【0041】
[0049]本発明による幾つかの態様は、新規な土木掘削ビット用の部品に関する。かかる部品としては、例えば土木掘削ビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及びローラーコーン土木掘削ビット用の刃が挙げられる。本発明による幾つかの態様はまた、ここに記載する新規な土木掘削ビット用の部品の製造方法にも関する。本明細書はやむを得ず限定された数の土木掘削ビット用の部品のみに言及しているが、本発明はここで議論する新規なデザイン及び/又は新規な製造方法の利益を享受する任意の土木掘削ビット部品を包含するのに十分に広範であると理解される。
【0042】
[0050]本発明による土木掘削ビット本体部品の幾つかの態様は、ハイブリッド超硬合金複合体、又は簡単に「ハイブリッド超硬合金」を含む。当業者に公知なように、超硬合金は、通常は連続バインダー相全体にわたって分散し且つその中に埋封されている硬質金属炭化物粒子の不連続相を含む複合体材料である。これも当業者に公知なように、ハイブリッド超硬合金は、第2の超硬合金グレードの連続バインダー相全体にわたって分散し且つその中に埋封されている第1の超硬合金グレードの硬質粒子の不連続相を含んでいてよい複合体である。このように、ハイブリッド超硬合金は超硬合金の複合体であってよい。
【0043】
[0051]ハイブリッド超硬合金のそれぞれの超硬合金の硬質金属炭化物相は、通常は、周期律表第IVB、VB、及びVIB族において見られる元素である1種類以上の遷移金属の炭化物を含む。超硬合金において通常適用される遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、及びタングステンが挙げられる。金属炭化物細粒を結合又は「接合」する連続バインダー相は、通常は、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金から選択される。更に、例えばタングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムのような1種類以上の合金化剤元素を加えて、複合体の特定の特性を向上させることができる。本発明によるビット本体、ローラーコーン、及びマッドノズルから選択される土木掘削ビット部品の1つの非限定的な態様においては、部品は、ハイブリッド超硬合金の分散相のバインダー濃度が分散相の2〜15重量%であり、ハイブリッド超硬合金の連続バインダー相のバインダー濃度が連続バインダー相の6〜30重量%であるハイブリッド超硬合金から製造される。
【0044】
[0052]ここで記載する土木掘削ビット部品の幾つかの非限定的な態様のハイブリッド超硬合金は、比較的低い接触率を有し、これによりハイブリッド超硬合金の特定の特性が他の超硬合金に対して向上する。本発明による土木掘削ビット部品の幾つかの態様において用いることができるハイブリッド超硬合金の非限定的な例は、米国特許7,384,443(その全部を参照として本明細書中に包含する)において見られる。
【0045】
[0053]図3の断面図において、フィックスドカッター土木掘削ビット本体30の断面を示し、これは本発明による土木掘削ビット本体の1つの非限定的な例として与える。一般に、ビット本体30には、ビット本体30に取り付けられているシャンク34上の接合手段32(図3においてはねじが示されている)を含ませることができる。ここに開示する幾つかの非限定的な態様においては、シャンク34及び接合手段32は、それぞれ独立して、鋼材、他の合金、不連続硬質相と連続バインダー相の複合体、又はハイブリッド超硬合金から製造することができる。シャンク34は、ろう付け、ねじ接合、ピン、キー溝、収縮嵌め、接着剤、拡散結合、締まり嵌め、又は任意の他の好適な機械的又は化学的接続など(しかしながらこれらに限定されない)の任意の方法によってビット本体30に取り付けることができる。
【0046】
[0054]ビット本体30は、少なくとも1つの領域がハイブリッド超硬合金を含む種々の領域を含むように構成することができる。1つの非限定的な態様においては、ビット本体30の1つの領域中に含まれるハイブリッド超硬合金複合体は0.48以下の接触率を有する。他の非限定的な態様においては、ビット本体30の幾つかの領域のそれぞれがハイブリッド超硬合金を含み、それぞれのかかるハイブリッド超硬合金はビット本体30中の他のハイブリッド超硬合金と同じであっても異なっていてもよい。1つの非限定的な態様においては、ビット本体30のそれぞれの領域中のハイブリッド超硬合金は、ビット本体30中の他のハイブリッド超硬合金と、組成及び特性の少なくとも1つに関して異なる。ビット本体30中のハイブリッド超硬合金における相違は、ハイブリッド超硬合金の不連続相及び/又は連続相中の金属炭化物粒子の濃度、寸法、及び/又は組成の相違から生じさせることができる。ビット本体30内のハイブリッド超硬合金における相違はまた、ハイブリッド超硬合金の不連続相及び/又は連続相中のバインダーにおける相違からも生じさせることができる。また、ビット本体30内のハイブリッド超硬合金における相違は、第2の超硬合金連続相全体に分散している(即ち不連続)1つの超硬合金グレードの濃度における相違の結果であってもよい。土木掘削用途のために好適な特性を有するハイブリッド超硬合金を与える硬質粒子の寸法及びバインダーの任意の組合せを用いることは、本発明の範囲内である。本発明は、部品の1つの領域の少なくとも一部が超硬合金連続相中に分散及び埋封されている超硬合金分散相を含むハイブリッド超硬合金から構成される任意の可能な土木掘削ビット部品を包含する。1つの非限定的な態様においては、ビット本体、ローラーコーン、又はマッドノズルの少なくとも一部は、0.48以下である分散相の接触率を有するハイブリッド超硬合金複合体を含む。ビット本体中の異なる複数の領域又は複数の領域の複数の部分中に異なるハイブリッド超硬合金を与えることによって、特定の複数の領域又は領域の複数の部分における特性を、土木掘削操作中における領域又は部分に対する特定の物理的要求に対処するように調整することができる。このように、本発明によって、土木掘削ビット本体又は他の部品を、複数の領域又は領域の複数の部分の特性又は組成が異なる複数の領域又は部分の間で突然か又はより徐々に変化するように設計することができる。
【0047】
[0055]ビット本体、ローラーコーン、又はマッドノズルの非限定的な態様においては、ハイブリッド超硬合金の分散相は全ハイブリッド超硬合金の2〜50体積%を含む。
【0048】
[0056]本発明によるビット本体の1つの非限定的な態様においては、図3のビット本体30は、3つの別個の領域:頂部領域36、中央部領域38、及び底部領域40;を含む。1つの非限定的な態様においては、頂部領域36、中央部領域38、及び底部領域40のそれぞれは、ハイブリッド超硬合金複合体から製造される。領域36、38、及び40のそれぞれの中のハイブリッド超硬合金は、全て、同等の超硬合金グレードから構成される分散相及び連続相を有するハイブリッド超硬合金を含む同じ組成のものであってよい。他の非限定的な態様においては、領域36、38、及び40はそれぞれ、異なるハイブリッド超硬合金を含む。領域36、38、及び40中のハイブリッド超硬合金の間の変動は、例えば、ハイブリッド超硬合金中の分散相及び連続相の濃度を変化させること;ハイブリッド超硬合金の分散相及び/又は連続相を形成するのに用いる超硬合金の素材を変化させること;及びハイブリッド超硬合金の不連続相を形成する超硬合金粒子の形態(例えば寸法及び/又は形状)を変化させること;の1以上によって達成することができると理解される。幾つかの非限定的な態様においては、ビット本体30の少なくとも1つの領域中のハイブリッド超硬合金は、0.48以下の接触率を有する分散相を含む。図3は代表的なフィックスドカッター土木掘削ビットを示しているが、ビット本体30中の複数の領域及び領域の複数の部分の間の変動に関するここでの議論は、本発明に包含される全ての土木掘削ビット部品に等しく適用されることが注目される。
【0049】
[0057]本発明による土木掘削ビット部品の他の非限定的な態様においては、土木掘削ビット本体、ローラーコーン、又はマッドノズルは、ハイブリッド超硬合金から構成される少なくとも1つの領域を含み、本体、コーン、又はノズルの他の領域は、他の通常の材料から製造される。かかる通常の材料としては、例えば鋼材、又は例えば真鍮、青銅のような銅含有合金、コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、又は鉄合金中に分散している硬質粒子を含む複合体が挙げられる。例えば、図3を参照すると、頂部領域36にはタングステン及び/又は炭化タングステン粒子の不連続硬質相を含ませることができ、中央部領域38には、鋳造炭化物、炭化タングステン、及び/又は焼結超硬合金粒子の不連続硬質相を含ませることができ、底部領域40には超硬合金複合体を含ませることができる。1つの非限定的な態様においては、底部領域40中のハイブリッド超硬合金の分散相の接触率は0.48以下である。部品の領域又は領域の部分がハイブリッド超硬合金を含む限りにおいて、土木掘削ビット部品の材料の任意の配置はここで示す態様の範囲内である。
【0050】
[0058]再び図3を参照すると、ビット本体30には、底部領域40の周縁部分に沿って配置されている一連の切削インサートポケット42を含ませることができ、切削インサートをポケット内に固定することができる。ポケット42は、ビット本体30中に直接成形することができ、或いはビット本体30の製造中に中間体として形成される素地成形体又は脱脂成形体中に機械加工することができる。多結晶ダイアモンド成形体(PCD)など(しかしながらこれらに限定されない)の切削インサートを、例えば上記に記載のようなろう付け又は他の接合方法によってポケット中に取り付けることができる。ビット本体30にはまた、内部流体流路、リッジ、平坦部、ノズル、排泥溝、及び土木掘削ビット本体の他の通常の輪郭構造を含ませることもできる。場合によっては、これらの輪郭構造は、その製造中にビット本体30中に予め成形したインサートを導入することによって与えることができる。1つの例は、インサートポケットを画定し、ビット本体30を形成するのに用いる成形型内にインサート44を適切に配置することによってビット本体30上の周囲部分に配置及び固定されているインサート44である。幾つかの非限定的な態様によれば、例えばビット本体30のインサート44のようなインサートは、ハイブリッド超硬合金から構成される。幾つかの非限定的な態様においては、ビット本体30中に含まれるハイブリッド超硬合金、例えばインサート44中に含まれるハイブリッド超硬合金の分散相の接触率は0.48以下である。インサートの使用及び構造の上記の記載はビット本体30のインサート44に関して与えられているが、ハイブリッド超硬合金又は他の材料から構成され、所望の構造を有するインサートを、本発明による任意の土木掘削ビット部品中に含ませることができると理解される。
【0051】
[0059]0.48以下である分散相の接触率を有するハイブリッド超硬合金複合体を形成する方法の幾つかの態様が、米国特許7,384,443(その全部を参照として本明細書中に包含する)において見られる。図4は、ここに開示する、本発明において有用で0.26に等しい分散相接触率を有するハイブリッド超硬合金の1つの非限定的な態様の顕微鏡写真である。図4における明色の材料のマトリクスは超硬合金連続バインダー相であり、材料の暗色の島部はハイブリッド超硬合金の分散相のバインダー相内に分散し埋封されている超硬合金粒子である。以下において、ハイブリッド超硬合金複合体の接触率を測定するための方法を簡単に議論する。また、土木掘削ビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の土木掘削ビット部品において用いるためのハイブリッド超硬合金を製造する方法の複数の非限定的な例も下記に与える。
【0052】
[0060]複合体構造における分散相の連続性の度合いは、「接触率」(C)として特徴付けることができる。Cは、Underwood, Quantitative Stereology, pp.25-103 (1970)(参照として本明細書中に包含する)に記載されている定量金相法を用いて求めることができる。この方法は、材料の顕微鏡写真の微細構造の上に配置される公知の長さのランダムに配向された線が特定の構造的特徴を形成する交点の数を求めることから構成される。線(L)と分散相/分散相界面(αα)との交点の全数を計数し、NLααと呼ぶ。線(L)と分散相/連続相界面(αβ)との交点の全数を計数し、NLαβと呼ぶ。図5は、それによってNLαα及びNLαβを得る手順を図示する。図5において、複合体50は連続相54(β相)中に分散相粒子52(α相)を含む。図5における一番上の線は1つのαα界面及び2つのαβ界面と交差し、それよりも下の線は2つのαβ界面と交差する。接触率Cは、等式:C=2NLαα/(NLαβ+2NLαα)によって算出される。
【0053】
[0061]接触率は、他の分散相粒子と接触している分散相粒子の表面積の平均割合の指標である。接触率は、分散粒子の分布が完全に分散した構造(即ち粒子−粒子接触がない)から完全に凝集した構造へ動くにつれて0から1へ変化し、1に接近してよい。接触率は、分散相領域の体積割合又は寸法とは関係なく分散相の連続性の度合いを示す。しかしながら、通常は、分散相のより高い体積割合に関しては、分散相の接触率もより高い。
【0054】
[0062]硬質超硬合金分散相を有するハイブリッド超硬合金の場合においては、より低い接触率は、複合体中の亀裂が接触している硬質相領域を通して伝搬する危険性がより低いことに対応することが観察された。この亀裂プロセスは、累積効果を有する反復プロセスであり、ハイブリッド超硬合金物品、例えばここで記載する土木掘削ビット本体、ローラーコーン、又はマッドノズルの全靱性の低下を引き起こす可能性がある。
【0055】
[0063]ビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及びここで開示する他の土木掘削ビット部品の幾つかの非限定的な態様においては、かかる部品中に含まれるハイブリッド超硬合金には、約2〜約40体積%のハイブリッド超硬合金の連続バインダー相を形成する超硬合金グレードを含ませることができる。他の態様においては、ハイブリッド超硬合金には、約2〜約30体積%のハイブリッド超硬合金の連続バインダー相を形成する超硬合金グレードを含ませることができる。幾つかの用途においては、ハイブリッド超硬合金中に、6〜25体積%のハイブリッド超硬合金の連続バインダー相を形成する超硬合金グレードを含ませることが望ましい可能性がある。
【0056】
[0064]図6は、炭化タングステン及びコバルトを含む従来の超硬合金グレードにおける破壊靱性と耐摩耗性との間に存在する関係を示す。特定の従来の超硬合金グレードの破壊靱性及び耐摩耗性は、通常は、示されている実線の傾向線60を取り囲む狭い帯域内に含まれる。
【0057】
[0065]図6が示すように、従来の超硬合金は、一般に少なくとも2つの群:(i)領域Iにおいて示される比較的靱性の高いグレード;及び(ii)領域IIにおいて示される比較的耐摩耗性の高いグレード;に分類することができる。一般に、領域II内に含まれる耐摩耗性のグレードは、比較的小さい金属炭化物細粒の寸法(通常は約2μm及びそれ以下)、並びに約3重量%乃至約15重量%以下の範囲のバインダー含量に基づく。領域II内のもののようなグレードは、鋭利な刃先を保持するそれらの能力及びそれらの比較的高いレベルの耐摩耗性のために、金属を切削及び形成するための工具として最もよく用いられている。逆に、領域I内に含まれる比較的靱性の高いグレードは、一般に、比較的粗い金属炭化物細粒(通常は約3μm及びそれ以上)、並びに約6重量%乃至約30重量%以下の範囲のバインダー含量に基づく。粗い金属炭化物細粒に基づくグレードは、材料が衝撃及び打撃にかけられ、摩損及び熱疲労を受ける用途における広範囲の使用が見出されている。粗粒超硬合金グレードに関する通常の用途としては、採鉱及び土木切削、金属の圧延、及び金属の衝撃成形(例えば冷間圧造)のための工具が挙げられる。
【0058】
[0066]上記で議論したように、ハイブリッド超硬合金は超硬合金の複合体と定義することができる。ハイブリッド超硬合金の非限定的な例には、図6の領域Iから選択される超硬合金グレード及び領域IIから選択される超硬合金グレードを含ませることができる。かかる場合においては、1つの超硬合金グレードが分散相として存在し、第2の超硬合金グレードの連続相内に埋封される。本発明による土木掘削ビット部品中に含ませることができるハイブリッド超硬合金の幾つかの非限定的な態様は、超硬合金分散相及び超硬合金連続相を含み、ここで超硬合金連続相は超硬合金分散相のものと異なる少なくとも1つの特性、例えば強度、耐摩耗性、又は靱性などを有する。1つの非限定的な態様においては、本発明によるビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の土木掘削ビット部品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相の硬度は、少なくとも88HRAで95HRA以下である。他の非限定的な態様においては、本発明による土木掘削ビット部品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金連続相のパームクイスト靱性は、10MPa・m1/2より大きい。更に他の非限定的な態様においては、本発明によるビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の土木掘削ビット部品中に含まれるハイブリッド超硬合金の超硬合金連続相の硬度は、少なくとも78HRAで91HRA以下である。
【0059】
[0067]非限定的な態様においては、ビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の土木掘削ビット部品において用いるハイブリッド超硬合金には、第1の超硬合金分散相のものと異なる組成及び特性の少なくとも1つを有する第2の超硬合金分散相を含ませることができる。2つの分散相の特性の相違としては、硬度、パームクイスト靱性、及び耐摩耗性を挙げることができるが、これらに限定されない。他の可能な態様においては、2より多い異なる超硬合金分散相を単一のハイブリッド超硬合金中に含ませる。
【0060】
[0068]本発明による部品において有用な幾つかのハイブリッド超硬合金の非限定的な例を図7A及び7Bに示す。公知のハイブリッド超硬合金材料70を図7Aの顕微鏡写真において示す。材料70は、ATI Firth Sterling, Madison, Alabamaからグレード2055超硬合金として商業的に入手できる超硬合金グレードの連続相71を含む。当業者によく知られているように、Firth Sterlingグレード2055超硬合金は粉末形態で販売されており、粉末から超硬合金複合体材料を形成するために通常の圧縮−焼結技術を用いて処理しなければならない(本発明は、それから最終超硬合金複合体材料が製造される粉末材料を議論する場合には超硬合金「粉末」に関することができる)。グレード2055超硬合金は、中程度の硬度の耐摩耗性の超硬合金であり、不連続相として4〜6μmの平均粒径を有する90重量%の炭化タングステン粒子、並びに連続バインダー相として10重量%のコバルトを含む。グレード2055超硬合金の特性としては、87.3HRAの硬度、0.93mm−3の耐摩耗性、及び17.4MPa・m1/2のパームクイスト靱性が挙げられる。再び図7Aを参照すると、ハイブリッド超硬合金70は、比較的高い耐摩耗性を有する比較的硬質の超硬合金であるFirth SterlingグレードFK10F超硬合金として商業的に入手できる超硬合金の分散相72も含む。グレードFK10F超硬合金は、不連続相として約0.8μmの平均粒径を有する94重量%の炭化タングステン粒子、並びに6重量%のコバルトバインダーを含む。Firth SterlingグレードFK10F超硬合金の特性としては、93HRAの硬度、6.6mm−3の耐摩耗性、及び9.5MPa・m1/2のパームクイスト靱性が挙げられる。
【0061】
[0069]ハイブリッド超硬合金70は、分散相を形成する30体積%のグレードFK10F超硬合金粉末の未焼結又は「素地」細粒を、連続相を形成する70体積%のグレード2055超硬合金粉末の未焼結又は「素地」細粒とブレンドすることによって製造した。ブレンドした超硬合金粉末によって粉末ブレンドを形成した。ブレンドの一部を圧縮などによって固化して素地成形体を製造した。次に、通常の手段を用いて素地成形体を焼結して、材料を更に緻密化し、粉末粒子を融合させた。得られたハイブリッド超硬合金70は、0.5の硬質不連続相接触率及び12.8MPa・m1/2のパームクイスト靱性を有していた。図7Aにおいて見ることができるように、分散相の未焼結細粒が粉末ブレンドの圧縮中の圧力の印加方向に崩壊して、これによって分散相72になった粉末グレードの以前は結合していなかった領域の間に物理的結合が形成された。固化中に分散相超硬合金粉末の領域の間に形成された結合のために、焼結によって製造されたハイブリッド超硬合金は約0.5の比較的高い不連続相接触率を有していた。例えば、図7Aの材料における分散相領域70の間の物理的接触によって、亀裂が1つの分散相領域において始まって、硬質分散相を通る連続経路に沿ってより靱性の大きい連続相74に遭遇することなく進むことによってより容易に伝搬する。したがって、ハイブリッド超硬合金70は幾つかの従来の(即ち非ハイブリッド)超硬合金に対して若干の靱性の向上を示すことができるが、ハイブリッド複合体70はより靱性の大きい連続相71よりも硬質の分散相72に近い靱性を有する傾向を有する。
【0062】
[0070]本発明による土木掘削用のビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の部品において用いるために、図5Bに示すハイブリッド超硬合金75を製造した。ハイブリッド超硬合金75は、比較的靱性で耐亀裂性の連続超硬合金相76、及び比較的硬質で耐摩耗性の分散超硬合金相77を含む。ハイブリッド超硬合金75の分散相及び連続相を形成する2種類の超硬合金グレードの組成及び体積比は、図7Aのハイブリッド超硬合金と同じであった。しかしながら、ハイブリッド超硬合金75を製造する方法はハイブリッド超硬合金70を製造する方法と異なり、これによって異なる複合体微細構造及び大きく異なる特性が与えられた。具体的には、分散相77を形成した超硬合金粉末は、連続相になった超硬合金粉末と混合する前に焼結した。分散相77になった焼結細粒は粉末ブレンドの固化によって大きくは崩壊せず、これによりハイブリッド超硬合金75の分散相に関する0.31の非常により低い接触率が得られた。減少した接触率は、ハイブリッド超硬合金のバルク特性に対して大きな影響を与える可能性がある。図7Bに示すハイブリッド超硬合金75の硬度は15.2MPa・m1/2と測定され、これは図7Aに示すハイブリッド超硬合金70に関して測定された硬度よりも18%超大きかった。ハイブリッド材料75の相対的に増加した硬度は、材料中の分散相領域の間の相互結合の頻度がより少ないことの結果であると考えられた。このように、任意の硬質分散相領域77において始まり、ハイブリッド材料75を通して伝搬する亀裂は、亀裂の更なる伝搬に対してより抵抗性であるより靱性の高い連続相76に遭遇することがより起こり得る。
【0063】
[0071]本発明による物品において用いることができるハイブリッド超硬合金を製造するための粉末ブレンドの非限定的な例を下記に記載する。やむを得ず限られた数の可能な粉末ブレンドのみをここで示しており、かかるブレンドは本発明において有用なハイブリッド超硬合金を製造するために用いることができる可能なブレンドを網羅するものではないことが理解されるであろう。
【実施例】
【0064】
実施例1:
[0072]以下の粉末グレード:85重量%のATI Firth SterlingグレードFL30粉末(ハイブリッド超硬合金の連続相を形成する)及び15重量%のATI Firth SterlingグレードHU6C粉末(分散相を形成する);を混合することによって、本発明において有用なハイブリッド超硬合金を製造するために用いることができる粉末ブレンドを調製した。連続相粉末グレード(FL30粉末)は、初めは、噴霧乾燥したままの状態(「素地」粉末状態とも呼ばれる)の比較的球状の粉末細粒の形態であった。また、分散相粉末グレード(HU6C粉末)も、初めは噴霧乾燥したままの状態であったが、素地細粒をブレンドする前に約800℃において真空雰囲気中で熱処理(予備焼結)した。V−ブレンダー内において、素地FL30粉末細粒を予備焼結したHU6C粉末細粒と約45分間ブレンドした。2種類の粉末の組成及び特性を表1に列記する。ここで、TRSは抗折力である。
【0065】
【表1】

【0066】
実施例2:
[0073]以下の粉末グレード:80重量%のATI Firth SterlingグレードFL25粉末(連続相を形成する)及び20重量%のATI Firth SterlingグレードP40粉末(分散相を形成する);を混合することによって、本発明において有用なハイブリッド超硬合金を製造するために用いることができる更なる粉末ブレンドを調製した。連続相粉末グレード(FL25粉末)は、初めは、噴霧乾燥したままの(素地粉末)状態の比較的球状の粉末細粒の形態であった。また、分散相粉末グレード(P40粉末)も、初めは噴霧乾燥したままの状態であった。ダブルコーンブレンダー内において、素地FL25粉末を素地HU6C粉末細粒と約60分間ブレンドした。2種類の粉末グレードの組成及び特性を表2に列記する。
【0067】
【表2】

【0068】
実施例3:
[0074]以下の粉末グレード:90重量%のATI Firth SterlingグレードH20粉末(連続相を形成する)及び10重量%のATI Firth SterlingグレードH17粉末(分散相を形成する);を混合することによって、本発明において有用なハイブリッド超硬合金を製造するために用いることができる更なる粉末ブレンドを調製した。連続相粉末グレード(H20粉末)は、初めは、噴霧乾燥したままの(素地粉末)状態の比較的球状の粉末細粒の形態であった。また、分散相粉末グレード(H17粉末)も、初めは噴霧乾燥したままの状態であったが、ブレンドする前に粉末細粒を約1000℃において真空中で熱処理(予備焼結)した。V−ブレンダー内において、素地H20粉末細粒を予備焼結した粉末H17細粒と約45分間ブレンドした。2種類の粉末グレードの組成及び特性を表3に列記する。
【0069】
【表3】

【0070】
実施例4:
[0075]以下の粉末グレード:80重量%のATI Firth SterlingグレードND30粉末(連続相を形成する)、10重量%のATI Firth SterlingグレードHU6C粉末(第1の分散相を形成する)、及び10重量%のATI Firth SterlingグレードAF63粉末(第2の分散相を形成する);を混合することによって、本発明において有用なハイブリッド超硬合金を製造するために用いることができる更に他の粉末ブレンドを調製した。連続相粉末グレード(ND30粉末)は、初めは、噴霧乾燥したままの「素地」状態の比較的球状の粉末細粒の形態であった。また、分散相粉末グレード(HU6C及びAF63粉末)も、初めは噴霧乾燥したままの状態であった。しかしながら、HU6C粉末細粒は、ブレンドする前に約800℃において真空中で熱処理(予備焼結)した。Turbulaブレンダー内において、素地ND30粉末細粒を予備焼結したHU6C及び素地AF63粉末細粒と約30分間ブレンドした。3種類の粉末グレードの特性を表4に列記する。
【0071】
【表4】

【0072】
[0076]本発明の一形態によれば、土木掘削ビット部品の製造方法は、ハイブリッド材料がハイブリッド材料中の分散相の体積割合の1.5倍未満である接触率を有するハイブリッド超硬合金を部品中に与えることを含む。幾つかの土木掘削ビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、及び他の関連する部品においては、部品中に含まれるハイブリッド超硬合金の接触率をハイブリッド超硬合金内の分散相の体積割合の1.2倍未満に更に限定することが有利である可能性がある。接触率は、例えば不連続相として含ませる超硬合金粉末を部分的か又は全体的に予備焼結することによって低下させることができる。或いは、接触率は、連続超硬合金相の粉末とブレンドして粉末ブレンドを調製する前に分散相として粉末混合物中に含ませる粉末を予備焼結するか又はしないで、ハイブリッド材料内の分散超硬合金相の体積割合を減少させることによって低下させることができる。
【0073】
[0077]ここに開示する複数の態様は、向上した特性を有するハイブリッド超硬合金複合体を製造する方法に関し、また部品の少なくとも一領域又は領域の一部分中にハイブリッド超硬合金を導入した土木掘削ビット部品にも関する。土木掘削ビット部品において有用なハイブリッド超硬合金を製造する1つの非限定的な方法は、ハイブリッド材料の分散相を形成する素地未焼結超硬合金グレードを、ハイブリッド材料の連続相を形成する素地未焼結超硬合金グレードとブレンドすることを含む。他の非限定的な態様においては、土木掘削ビット部品において有用なハイブリッド超硬合金の製造方法は、ハイブリッド材料の分散相を形成する所定量の超硬合金グレードの部分的焼結細粒及び完全焼結細粒の少なくとも一方を、ハイブリッド材料の連続相を形成する所定量の超硬合金グレードの素地細粒及び未焼結細粒の少なくとも一方と混合することによって粉末ブレンドを形成することを含む。粉末ブレンドの少なくとも一部を固化して素地成形体を形成し、通常の焼結手段を用いて素地成形体を焼結する。分散相を形成する超硬合金の細粒を部分的か又は完全に焼結することによって、これらの細粒が(未焼結又は「素地」細粒と比較して)強化され、強化された細粒は粉末ブレンドの固化中において向上した崩壊に対する抵抗性を有し、それにより最終ハイブリッド材料における接触率が減少する。分散相の細粒は、ハイブリッド超硬合金において所望の最終分散相の強度によって約400℃〜約1300℃の範囲の温度において部分的か又は完全に焼結することができる。超硬合金粉末細粒は、水素焼結及び真空焼結など(しかしながらこれらに限定されない)の当該技術において公知の任意の種々の手段を用いて焼結することができる。細粒を焼結することによって、潤滑剤の除去、酸化物の減少、緻密化、及び微細構造の発達を引き起こすことができる。
【0074】
[0078]ハイブリッド材料の不連続相を形成する超硬合金粉末細粒の予備焼結を含む土木掘削ビット部品のためのハイブリッド超硬合金の製造方法の複数の態様によって、図7Bに示すハイブリッド材料のような比較的低い分散相接触率を有するハイブリッド超硬合金を形成することが可能になる。少なくとも1種類の超硬合金の細粒を、他の粉末と混合して粉末ブレンドを形成する前に部分的か又は全体的に予備焼結するので、焼結した細粒は粉末ブレンドの固化中において図7Aに示されるようには崩壊しにくく、得られるハイブリッド超硬合金の接触率は比較的低い。一般的に言えば、分散相超硬合金の粒径がより大きく、連続超硬合金相の粒径がより小さいと、硬質不連続相グレードの任意の体積割合における接触率はより低い。例えば図7Bに示されるハイブリッド超硬合金75は、まず分散相超硬合金グレード粉末細粒を約1000℃において予備焼結することによって製造した。
【0075】
[0079]本発明によるハイブリッド超硬合金を含む土木掘削ビット部品の製造方法の1つの非限定的な態様においては、所定量の第1グレードの超硬合金粉末を、所定量の第2グレードの超硬合金粉末と混合して粉末ブレンドを与える。ここで用いる超硬合金粉末の「グレード」とは、特定の硬質金属炭化物粒子組成及び寸法分布を、特定のバインダー組成及び体積パーセントと共に有する超硬合金粉末を指す。当業者であれば、異なるグレードの超硬合金粉末を用いて、焼結超硬合金部品に対して硬度及び靱性のような所望のレベルの異なる特性を与えることを認識する。本方法の1つの非限定的な態様においては、第1グレードの超硬合金を、第2グレードの超硬合金粉末と混合して粉末ブレンドを形成する前に部分的か又は全体的に予備焼結する。好適に構成された成形型の空洞部内などにおいて、粉末ブレンドの少なくとも一部を固化して、所望の構造及び寸法の素地成形体を形成する。固化は、例えば剛性ダイ内での機械又は水圧プレス、及びウェットバッグ又はドライバッグ等方圧プレス技術のような通常の技術を用いて行うことができる。
【0076】
[0080]素地成形体を予備焼結又は完全に焼結して、粉末を更に固化及び緻密化することができる。予備焼結の効果は最終焼結操作において用いる温度よりも低い温度で生起し、成形体の部分的のみの固化及び緻密化が得られる。素地成形体を予備焼結して、予備焼結又は「脱脂」成形体を与えることができる。脱脂成形体は、最終の完全に焼結した物品と比べて比較的低い硬度及び強度を有するが、素地成形体よりも相当に高い強度及び硬度を有する。製造中に、素地成形体、脱脂成形体、及び/又は完全に焼結した物品を機械加工して、成形体又は物品の形状を更に変化させ、最終土木掘削ビット部品を与えることができる。通常は、素地又は脱脂成形体は、完全に焼結した物品よりも機械加工するのが実質的により容易である。素地又は脱脂成形体を機械加工することは、完全に焼結した部品が機械加工するのが困難であるか、及び/又は所望の最終寸法の最終許容差を満足するためには研磨が必要である場合に有利である可能性がある。例えば、粉末混合物に加工剤を加えて成形体内の気孔を塞ぐことなどの素地又は脱脂成形体の機械加工性を向上させる他の手段を用いることもできる。1つの通常の加工剤はポリマーである。幾つかの非限定的な態様においては、焼結は、通常の真空炉内で液相温度において、或いはSinterHIPタイプの炉内で高圧で行うことができる。例えば、本発明方法の1つの非限定的な態様においては、成形体を、300〜2000psi及び1350〜1500℃において過圧焼結する。成形体の予備焼結及び焼結によって、潤滑剤が除去され、酸化物除去、緻密化、及び微細構造の発達が得られる。焼結の後は、得られるハイブリッド超硬合金複合体において、粉末ブレンド内に含まれる第1グレードの超硬合金粉末が超硬合金分散相を形成し、第2グレードの超硬合金粉末が超硬合金連続相を形成する。上述したように、焼結の後、得られる部品は焼結したままで用いることができ、或いは更に適当に機械加工又は研磨して、ハイブリッド超硬合金を含むビット本体、ローラーコーン、マッドノズル、又は他の土木掘削ビット部品の最終構造を形成することができる。
【0077】
[0081]ここで開示する態様は、複数の異なる領域又は単一の領域の複数の異なる部分中に少なくとも2種類の超硬合金を含むビット本体、ローラーコーン、又はマッドノズルなど(しかしながらこれらに限定されない)の土木掘削ビット部品を製造する方法を含む。2種類の超硬合金は異なる特性又は組成を有していてよい。かかる部品の製造方法の非限定的な態様は、所定量の第1のハイブリッド超硬合金粉末を成形型の空洞部の第1の領域中に配置し、そして第2のハイブリッド超硬合金粉末の一部を成形型の空洞部の第2の領域中に配置することを含む。成形型の空洞部は、部品の形状であってよい所望の形状を有するか、或いは好適な中間形状を有していてよい。本方法の幾つかの非限定的な態様においては、例えば成形型の空洞部内に紙、ワックス、又はポリマー材料のような物理的隔壁を配置して領域を分割することによって、成形型の空洞部を2以上の領域に分割することができる。他の非限定的な態様においては、第1及び第2のハイブリッド超硬合金の粉末を、物理的隔壁を有する成形型の別々の区域内に配置して、そのようにして接触させることができる。第1及び第2のハイブリッド超硬合金の組成は、固化及び焼結の後に、土木掘削ビット部品のそれぞれの領域に関して所望の特性を有するハイブリッド超硬合金複合体を与えるように選択することができる。
【0078】
[0082]また、例えば所定量の第1のハイブリッド超硬合金粉末ブレンドを成形型の空洞部の第1の領域内に配置することによって、特性又は組成の勾配を有する土木掘削ビット部品を形成することもできる。成形型空洞部の第2の領域に、第1のハイブリッド超硬合金粉末及び第2のハイブリッド超硬合金粉末ブレンドのブレンドを充填することができる。2種類の超硬合金粉末ブレンドをブレンドすることによって、第1のハイブリッド超硬合金粉末のみから形成される焼結材料のものと、第2の超硬合金粉末のみから形成される焼結材料のものの中間のレベルの特性を有する領域が形成される。所望の組成勾配又は組成構造が達成されるまでこのプロセスを成形型空洞部の別々の領域において繰り返すことができ、通常は成形型空洞部の領域に第2のハイブリッド超硬合金粉末単独を充填することによって終了する。この技術の複数の態様は、成形型空洞部内に物理的隔壁を用いるか又は用いないで行うこともできる。次に、成形型空洞部内の粉末を等方圧圧縮して、異なるハイブリッド超硬合金粉末領域を固化して素地成形体を形成することができる。成形体は、その後に焼結して粉末を更に緻密化し、異なるブレンドを加えることによって成形型内に形成される全ての領域の間に自生結合を形成することができる。
【0079】
[0083]本発明によるハイブリッド超硬合金を含む土木掘削ビット部品の製造方法の2つの非限定的な例を以下に記載する。やむを得ず限られた数のみの方法の例をここに示し、これは本発明による製造品を製造するのに用いることができる可能な方法の態様を網羅するものではないことが理解されるであろう。
【0080】
実施例5:
[0084]以下のようにしてハイブリッド超硬合金をベースとするフィックスドカッター土木掘削ビット本体を製造することができた。実施例1において上記に記載したようにしてハイブリッド超硬合金粉末ブレンドを調製した。25,000psiのプレス圧における冷間等方圧プレスによって、粉末ブレンドの少なくとも一部を固化して鋼片形状の「素地」粉末成形体を形成した。成形体を、水素雰囲気中700℃において予備焼結した。5軸フライス盤を用いて鋼片を機械加工して、例えば図2において一般的に示される完成フィックスドカッタービット本体の通常の形状特徴を導入した。1380℃の温度及び800psiの圧力における過圧焼結(「SinterHIP」とも呼ばれる)を用いて、機械加工した予備焼結部品を焼結して、ハイブリッド超硬合金から構成される最終ビット本体を製造した。
【0081】
実施例6:
[0085]以下のようにして、ハイブリッド超硬合金をベースとするローラーコーン土木掘削ビット用のローラーコーンを製造することができた。上記の実施例4に記載したようにしてハイブリッド超硬合金粉末ブレンドを調製した。30,000psiのプレス圧における冷間等方圧プレスによって、粉末ブレンドの少なくとも一部を固化して鋼片形状の「素地」成形体を形成した。鋼片を、水素雰囲気中700℃において予備焼結した。5軸フライス盤を用いて鋼片を機械加工して、例えば図1においてローラーコーン14として一般的に示される完成ローラーコーンの通常の形状特徴を導入した。1380℃の温度及び800psiの圧力における過圧焼結(SinterHIP)を用いて、機械加工した予備焼結部品を焼結して、ハイブリッド超硬合金から構成される最終ローラーコーンを製造した。
【0082】
[0086]本記載は本発明の明確な理解に適切な本発明の複数の形態を示すものであることが理解されるであろう。当業者に明らかであり、したがって本発明のより良好な理解を促進しない幾つかの形態は、本記載を簡単にするために示さなかった。ここではやむを得ずに限られた数の本発明の態様のみを記載したが、当業者であれば上記の記載を考察することによって、本発明の多くの修正及び変更を用いることができることを認識するであろう。本発明の全てのかかる変更及び修正は、上記の記載及び特許請求の範囲にカバーされると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超硬合金分散相;及び
超硬合金連続相;
を含むハイブリッド超硬合金複合体;
を含む、ビット本体、ローラーコーン、及びマッドノズルから選択される製造品。
【請求項2】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率が0.48以下である、請求項1に記載の製造品。
【請求項3】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率が0.4未満である、請求項1に記載の製造品。
【請求項4】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率が0.2未満である、請求項1に記載の製造品。
【請求項5】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の硬度がハイブリッド超硬合金複合体の連続相の硬度よりも大きい、請求項1に記載の製造品。
【請求項6】
ハイブリッド超硬合金複合体が第1の超硬合金分散相及び第2の超硬合金分散相を含み、第2の超硬合金分散相の組成及び物理特性の少なくとも1つが第1の超硬合金分散相と異なる、請求項1に記載の製造品。
【請求項7】
物理特性が、硬度、パームクイスト靱性、及び耐摩耗性からなる群から選択される、請求項6に記載の製造品。
【請求項8】
ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相がハイブリッド超硬合金の2〜50体積%である、請求項1に記載の製造品。
【請求項9】
ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相がハイブリッド超硬合金の2〜25体積%である、請求項1に記載の製造品。
【請求項10】
ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相の硬度が少なくとも88HRAで95HRA以下である、請求項1に記載の製造品。
【請求項11】
ハイブリッド超硬合金の超硬合金連続相のパームクイスト靱性が10MPa・m1/2より大きい、請求項10に記載の製造品。
【請求項12】
ハイブリッド超硬合金の超硬合金連続相の硬度が少なくとも78HRAで91HRA以下である、請求項10に記載の製造品。
【請求項13】
ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相及び超硬合金連続相が、独立して、
少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物;及び
コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー;
を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項14】
ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相及び超硬合金連続相の少なくとも1つのバインダーが、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムから選択される合金化剤を更に含む、請求項13に記載の製造品。
【請求項15】
合金化剤が20重量%以下のバインダーを含む、請求項14に記載の製造品。
【請求項16】
分散相のバインダー濃度が2重量%〜15重量%であり、連続相のバインダー濃度が6重量%〜30重量%である、請求項13に記載の製造品。
【請求項17】
超硬合金分散相及び超硬合金連続相の両方が炭化タングステン及びコバルトを含む、請求項13に記載の製造品。
【請求項18】
超硬合金分散相;ここで分散相の体積割合はハイブリッド超硬合金複合体の50体積%未満である;及び
超硬合金連続相;
を含み;
超硬合金分散相と超硬合金連続相の物理特性が異なり、超硬合金分散相が超硬合金分散相の体積割合の1.5倍未満の接触率を有するハイブリッド超硬合金複合体を含む土木掘削ビット部品。
【請求項19】
超硬合金分散相及び超硬合金連続相が、それぞれ独立して、
少なくとも1種類の、チタン、クロム、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種類の遷移金属の炭化物;及び
コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー;
を含む、請求項18に記載の土木掘削ビット部品。
【請求項20】
バインダーが、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムから選択される合金化剤を更に含む、請求項19に記載の土木掘削ビット部品。
【請求項21】
ハイブリッド超硬合金複合体が0.7mm−3より大きい耐摩耗性及び10MPa・m1/2より大きいパームクイスト靱性を有する、請求項19に記載の土木掘削ビット部品。
【請求項22】
土木掘削ビット部品が、ビット本体、ローラーコーン、及びマッドノズルから選択される、請求項18に記載の部品。
【請求項23】
第1グレードの超硬合金粉末の一部と第2グレードの超硬合金粉末の一部を混合して粉末ブレンドを与え;
粉末ブレンドの少なくとも一部を素地成形体に固化し;ここで第1グレードの超硬合金粉末は素地成形体の分散相であり、第2グレードの超硬合金粉末は素地成形体の連続相であり;そして
素地成形体を少なくとも部分的か又は完全に焼結して、超硬合金分散相及び超硬合金連続相を含むハイブリッド超硬合金複合体を含む緻密化成形体を形成する;
ことを含む、土木掘削ビット用部品の製造方法。
【請求項24】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率が0.48以下である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率が0.4未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の接触率が0.2未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
ハイブリッド超硬合金複合体の分散相の硬度がハイブリッド超硬合金複合体の連続相の硬度よりも大きい、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
第3グレードの超硬合金粉末を第1及び第2グレードの超硬合金粉末と混合して粉末ブレンドにし;
ハイブリッド超硬合金複合体が、超硬合金連続相、第1の超硬合金分散相、及び第2の超硬合金分散相を含み;そして
第1の超硬合金分散相の組成及び特性の少なくとも1つが第2の超硬合金分散相と異なる;
請求項23に記載の方法。
【請求項29】
特性が、硬度、パームクイスト靱性、及び耐摩耗性からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ハイブリッド超硬合金の超硬合金分散相がハイブリッド超硬合金複合体の2〜50体積%である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相がハイブリッド超硬合金複合体の2〜25体積%である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相の硬度が少なくとも88HRAで95HRA以下である、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金連続相のパームクイスト靱性が10MPa・m1/2より大きい、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金連続相の硬度が少なくとも78HRAで91HRA以下である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ハイブリッド超硬合金複合体の超硬合金分散相及び超硬合金連続相が、独立して、
少なくとも1種類の、周期律表の第IVB、VB、及びVIB族から選択される金属の炭化物;及び
コバルト、コバルト合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、及び鉄合金の少なくとも1つを含むバインダー;
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
バインダーが、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、アルミニウム、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ホウ素、炭素、ケイ素、及びルテニウムからなる群から選択される少なくとも1種類の合金化剤を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
合金化剤が20重量%以下のバインダーを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
分散相のバインダー濃度が2重量%〜15重量%であり、連続相のバインダー濃度が6重量%〜30重量%である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
超硬合金分散相が炭化タングステン及びコバルトを含み、超硬合金連続相が炭化タングステン及びコバルトを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
超硬合金分散相の体積割合がハイブリッド超硬合金複合体の50体積%未満であり;
超硬合金分散相が、ハイブリッド超硬合金複合体中の超硬合金分散相の体積割合の1.5倍未満の接触率を有する;
請求項23に記載の方法。
【請求項41】
ハイブリッド超硬合金複合体が0.7mm−3より大きい耐摩耗性及び10MPa・m1/2より大きいパームクイスト靱性を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項42】
土木掘削ビット用部品が、ビット本体、ローラーコーン、及びマッドノズルから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項43】
土木掘削ビット用部品が成形されたフィックスドカッタービット本体である、請求項23に記載の方法。
【請求項44】
成形されたフィックスドカッタービット本体によって画定されるポケット中に切削インサートを配置することを更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
素地成形体を部分的か又は完全に焼結することが、
素地成形体を予備焼結して脱脂成形体を形成し;そして
脱脂成形体を焼結する;
ことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項46】
脱脂成形体を焼結する前に脱脂成形体を機械加工することを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
脱脂成形体を機械加工することが、脱脂成形体中に少なくとも1つのカッターインサートポケットを機械加工することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項48】
素地成形体を予備焼結する前に素地成形体を機械加工することを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
素地成形体を機械加工することが、素地成形体中に少なくとも1つのカッターインサートポケットを機械加工することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
粉末ブレンドの少なくとも一部を固化することが、粉末ブレンドの少なくとも一部を圧縮することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項51】
粉末ブレンドの少なくとも一部を圧縮することが、粉末ブレンドの少なくとも一部を等方圧プレスすることを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
第1の超硬合金グレード及び第2の超硬合金グレードが、それぞれ独立して、炭化チタン、炭化クロム、炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化タンタル、炭化モリブデン、炭化ニオブ、及び炭化タングステンからなる群から選択される遷移金属炭化物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項53】
脱脂成形体を焼結することが、脱脂成形体を液相温度において焼結することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
脱脂成形体を焼結することが、脱脂成形体を300〜2000psiの圧力及び1350℃〜1500℃の温度において焼結することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
ハイブリッド超硬合金複合体が、第1のハイブリッド超硬合金複合体組成を有する第1の領域及び第2のハイブリッド超硬合金複合体組成を有する第2の領域を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項56】
固化の前に、
第1のハイブリッド超硬合金複合体組成を形成するための第1の粉末ブレンドの少なくとも一部を成形型の空洞部の第1の領域中に配置し;
第2の超硬合金複合体組成を形成するための第2の粉末ブレンドの少なくとも一部を成形型の空洞部の第2の領域中に配置する;
ことを更に含み;
粉末ブレンドの少なくとも一部を固化することが、成形型の空洞部内で粉末ブレンドを圧縮して素地成形体を与えることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
成形されたフィックスドカッタービット本体にシャンクを取り付けることを更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項58】
成形されたフィックスドカッタービット本体が300ksiより大きい抗折力を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項59】
成形されたフィックスドカッタービット本体が55,000,000psiより大きいヤング弾性率を有する、請求項58に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−500913(P2012−500913A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523845(P2011−523845)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/051116
【国際公開番号】WO2010/021801
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(500566936)ティーディーワイ・インダストリーズ・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】