説明

ハイブリッド車駆動装置の制御方法、および、当該制御方法に対応する装置

本発明のハイブリッド車用の駆動装置の制御方法は、車輪を電動機に接続するモードと該車輪を内燃機関に接続するモードとである2つのモード、すなわち、電気的な支援無しで該内燃機関が該車輪を直接駆動するパラレルモードと、該電動機が該車輪を駆動し、バッテリーを規則的に再充電するために該内燃機関を最適な作動点でのみ間欠的に使用するシリーズモードとを用いる。一方のモードから他方のモードへの切換は、パラレルモードにおける内燃機関の消費量と、シリーズモードの電気系統の作動に起因する損失を該内燃機関の最適な消費量に加算したものとを比較するステップによって決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の関連分野は、車両駆動技術の分野である。より詳細には本発明は、電気機械的系統と内燃機関とを有するハイブリッド方式と称される駆動技術に関する。さらに具体的には本発明は、ハイブリッド車の制御方法と、当該制御方法に対応する装置とに関する。
【0002】
炭化水素の埋蔵量がますます減少していくにつれて、ここ数年間では、陸用車の駆動用の新たな手段が研究されている。この新たな手段の中では、ハイブリッド駆動方式が有望視されている。
【0003】
このような駆動システムがハイブリッドと称されるのは、2つの異なるエネルギー源から構成されるからである。これらのエネルギー源はたとえば、内燃機関(ICE)型のユニットおよび電動推進ユニットとするのが最も一般的であり、この電動推進ユニットは通常、電気エネルギーを蓄積するためのシステム(SSEE)、たとえばバッテリーまたはスーパーキャパシタを含む。以下、内燃機関を表す略称として「ICE機関」との用語を使用し、電気エネルギー蓄積システムを表す略称として「SSEE」との用語を使用する。
【0004】
このような組み合わせにより、適切に選定すれば、性能および快適性が変わらない場合、消費量におけるハイブリッド車の効率を従来の車両の効率の最大2倍にすることができる。ハイブリッドシステムは、内燃機関型の従来の駆動装置を備えた車両と同等の一充電走行距離を有し、かつ、有害物質排出量や消費量を低減する。以下では具体例として、機械的系統(ICE機関+トランスミッション)と、組み込まれた電気機械的系統とを備えた車両ハイブリッド複合システムについて考察する。
【0005】
この電気機械的系統の基本的な構成要素は、モータまたはジェネレータとして制御される電気機械から構成されており、この電気機械は、SSEEによって複数の電気的変換器を介して接続されており、これにより、該電気機械を制御することができる。これらの電気的変換器は、電気機械に組み込んでもよいし、または組み込まなくてもよい。簡略化のため、電気機械をモータモードまたはジェネレータモードで駆動する電気的変換器を1つの物と見なし、これを単純に電気機械と称する。
【0006】
従来技術では、現在のハイブリッド車は構成上、3つの大きなグループに分けられる。以下、図1〜3を参酌してこれら3つのグループを説明する。図1〜3中、2重線は機械的な動力伝達路を表し、単線は電力伝達経路を表す。
【0007】
第1の構成では、内燃機関(ICE)1は、発電を行うジェネレータ2に接続されている。この第1の構成は「シリーズ」方式と称される(図1参照)。このジェネレータ2の電気エネルギーはSSEE 3に蓄積され、その後、1つまたは複数の電気機械4を駆動するために使用される。この電気機械4は車両を推進するために、差動装置6を介して、車輪5の駆動に必要な動力を出力する。
【0008】
このシリーズ方式の構成では、機械的な動力を電力に変換するための多くの段階により、効率損失が発生して累積していく。しかしこの構成により、内燃機関(ICE)の作動の有効な制御ストラテジーや最適化を実現することができる。このことによって通常は、「市街地走行」タイプの走行時のシステム全体の効率が改善される。種々の走行タイプをカバーするためには、SSEE 3の一充電走行距離を増大させなければならない。もちろん、SSEE 3の蓄積容量が大きいほどSSEE 3は高重量かつ高コストになる。単なる参考として述べておくと、電動モードだけで50kmの一充電走行距離を実現するためには、重量が約70kgであるバッテリー3を搭載しなければならない。
【0009】
「パラレル方式」(図2参照)と称される第2の構成では、ICE機関1にトランスミッション7と電気機械4とが設けられており、このICE機関1は差動装置6を介してハイブリッド車の車輪5に機械的に接続されている。このようにして電気機械的系統は、加速とエネルギーの回生とに寄与し、またオプションとして、坂道や始動時に寄与する。モータモード時に電気機械4によって出力される付加的なトルクが、ICE機関1の最適領域(エンジンの回転数、トルク)に相当する場合、このようなパラレル方式のハイブリッドシステムは良好な効率を実現することが多い。この最適エンジン回転数領域外になると、パラレル方式ハイブリッドシステムのエネルギー効率は最適でなくなる。特に、車両の車輪5は複数の種々の機械的な減速ギア段を介してICE機関1に接続されており、トランスミッションによって実現される複数の変速段の中からエンジン回転数の調整を最適化することは不可能である。
【0010】
しかし、このパラレル方式の構成がシリーズ方式の構成よりも有利である点は、電動モードがエネルギー効率を増大させることがない場合に電動モードを遮断できることである。このことは通常、車速が高い場合に当てはまる。
【0011】
「シリーズパラレル方式」(図3参照)と称される第3の構成は、一方のモード(パラレルまたはシリーズ)から他方のモードに連続的または非連続的に切り換えることを可能にする、特殊な構成のハイブリッドシステムである。このシリーズパラレル方式の構成では、ICE機関1は機械的エネルギー配分装置8および差動装置6を介して車輪5を駆動するように構成されている。前記機械的エネルギー配分装置8自体はジェネレータ2に接続されており、該ジェネレータ2はICE機関1の機械的エネルギーの一部を電気エネルギーに変換し、該電気エネルギーはSSEE 3に蓄積される。1つまたは複数の電動機4も、差動装置6を介して車輪5を駆動する。
【0012】
機械的エネルギー配分装置8は遊星歯車装置を用いて、機械的な動力を2つの流れに任意に分配する。機械的動力の一部は車輪5を直接駆動するのに使用され、残りの機械的動力はジェネレータ2によって電気に変換され、電動機4の給電に用いられるかまたはSSEE 3の充電に用いられる。遊星歯車装置を有するこの構成は、動力の流れを適切に配分することによりトルクおよびエンジン回転数を制御できるという利点を有するが、これら2つの変数が完全に独立することはできない。遊星歯車装置の3つのシャフトのトルク‐回転数の依存関係により、ICEの完全に最適な作動点に相当するトルクおよびエンジン回転数を選択することができない。
【0013】
換言するとこのシステムは、運転状況に依存してICE機関1の良好な効率を実現するように2つの駆動源1,4を制御する。
【0014】
このようにして、低速では、シリーズパラレル構成の性能がシリーズハイブリッド車に匹敵するようになり、高速ではパラレルハイブリッド車に匹敵するようになる。
【0015】
この動力配分構造はとりわけ、現在最も広く市販されているハイブリッド車において見られる。
【0016】
上述のシステムは、構成および制御が複雑であるという欠点の他に、ICE機関1が作動している場合、電気機械的系統の実質的に一定の負荷が生じるという欠点も有する。その結果、システム(ICE 1+ジェネレータ2+SSEE 3+エンジン4+遊星歯車装置8)の効率が低下し、このシステムの低下は20%のオーダに及ぶこともある。
【0017】
特に、エネルギー配分装置8の遊星歯車装置の連続的な伝動機能に起因して、該遊星歯車装置では、電気機械変換系統に流れるパワーの割合を相当大きくしなければならないので、このことがこの構成の効率に悪影響を与える。
【0018】
このような効率の損失は、ユーザが車両を選ぶときの基本的な基準に最近なりつつある燃料消費量の観点で、車両の性能に悪影響を及ぼすことが明らかである。
【0019】
したがって本発明の課題は、上述の問題すなわち燃料消費量の低減に対応する装置を提供することである。本発明の課題はさらに、構成を簡略化かつ低コストにすることである。
【0020】
上述の課題に対し、本発明の対象であるハイブリッド陸用車両の駆動装置は、第1の電気機械に接続された内燃機関を含む第1の機械的動力伝達系統と、該ハイブリッド陸用車両の車輪を回転させるように構成された第2の電気機械を含む第2の機械的動力伝達系統とを有し、前記第1の電気機械および前記第2の電気機械は、モータまたはジェネレータとして制御されるように構成されており、両電気機械は、電気エネルギーを蓄積するための電気エネルギー蓄積システムに接続されており、該駆動装置はさらに、
・前記第1の機械的動力伝達系統と前記第2の機械的動力伝達系統とを結合/結合解除するための「オン・オフ」結合/結合解除システムと、
・コンピュータに接続された、前記種々の構成要素を制御するための手段と、
・パラレルモード時の前記内燃機関の消費量と、シリーズモードの電気系統の作動に起因する損失に前記内燃機関の最適な消費量を加算したものに基づいて計算された等価の消費量とを比較するための手段と
を有し、
前記パラレルモードとは、前記結合装置を介して両機械的伝達系統が相互に接続され、該内燃機関のシャフトが機械的伝動装置の複数の異なる部材を介して車輪を駆動するモードであり、すなわち、前記パラレルモードの内燃機関の消費量とは、電気的な支援が無いときの所与の時点での消費量であり、
前記シリーズモードは、両機械的伝達系統が前記結合装置によって分離され、前記ハイブリッド陸用車両の駆動が前記第2の電気機械のみによって実現され、前記車輪が必要とする連続的なパワーを満たすために前記電気エネルギー蓄積システムを規則的に再充電するため、前記内燃機関を間欠的に使用するモードである。
【0021】
オン・オフ結合/結合解除システムは、両機械的動力伝達系統を機械的に完全に分離することができるクラッチ形式の装置であると解することができる。必要な場合には、この結合/結合解除システムを、ギアボックスに設けられた従来のクラッチに置き換えることもできる。
【0022】
有利には、前記駆動装置はさらに、前記機械的動力伝達系統のうち1つに配置されたギアボックスを有することもできる。このギアボックスに、該ギアボックス専用の従来のクラッチシステムを配属させるか、または、該ギアボックスは前記結合/結合解除システムをギアボックスクラッチとして用いることができる。
【0023】
このような構成により、通常は、車両の複数の速度において、内燃機関を最適な作動点で用いることができるようになる。
【0024】
有利には、両電気機械は10〜30kWのオーダの公称パワーで構成される。
【0025】
このパワーは一般的に、従来技術にて使用される電気機械のパワーの半分になるので、燃料消費量において相応の低減を実現できる。
【0026】
有利な実施形態では、前記電気エネルギー蓄積システムは高速充放電タイプである。
【0027】
本発明はさらに、上述のハイブリッド車駆動用装置の制御方法にも関する。本発明の制御方法は、
・両機械的伝達系統が前記結合装置を介して接続され、機械的伝動装置の複数の異なる部材を介して、前記内燃機関のシャフトが前記車輪を駆動する、パラレルモードと、
・両機械的伝達系統が前記結合装置によって分離され、第2の電気機械によってのみハイブリッド車が駆動され、該ハイブリッド車における連続的な所要パワーを満たすために前記電気エネルギー蓄積システムを規則的に再充電するため、前記内燃機関を間欠的に使用する(始動、停止)するシリーズモードと
を含む、少なくとも2つの異なる構成モードを用いる。
【0028】
前記ICEによって間欠的に行われる前記SSEEの再充電は、前記第1の電気機械を介して行われる。
【0029】
この場合、有利な実施形態では、パラレルモード時の内燃機関の消費量(すなわち、電気的な支援が無い場合の所与の時点での該内燃機関の消費量)と、前記シリーズモードの電気系統の作動に起因する損失に該内燃機関の最適な消費量を加算したものに基づいて計算された等価の消費量とを比較するステップにより、一方のモードから他方のモードへの切換が決定される。
【0030】
本発明の方法の複数の種々の実施形態では、
・低パワー駆動の車両の構成では、前記コンピュータは、内燃機関を間欠的に用いるシリーズモードを使用する。この場合には前記コンピュータは、内燃機関を間欠的に使用できるように、前記電気機械的系統の複数の異なる部材を制御する。
・公称パワーでの車両の駆動構成では、前記コンピュータはパラレルモードを使用し、前記内燃機関を車輪の駆動のためだけに用いる。
・高パワーでの車両の駆動構成では、たとえば大きな加速の場合、コンピュータはパラレルモードを使用し、かつ、内燃機関と連携して車輪を駆動するためにトランスミッションシャフトに付加的なトルクを出力する駆動モードにおいて、前記2つの電気機械のうち1つまたは双方を用いる。
【0031】
本発明は、従来公知のシリーズパラレルシステムの制御方法を最適化するためのものであり、ICE機関と車輪とを直接接続するか、または、ICE機関と車輪とを間接的に接続することを可能にすると解される。
・ICE機関と車輪との直接接続では、大抵、電気系統に負荷がかかることがなく、該直接接続はパラレルモードに相当する。この構成は、電気系統を駆動させながらICE機関を作動させる(シリーズモード)よりもICE機関を単独で用いるのが(消費量の点で)有利である作動状態で作動されるので、システム全体の効率の低下が防止される。
・ICE機関と前記車輪との間接的な接続はシリーズモードに対応し、この間接的な接続では電気系統に負荷がかかる。この構成は、前記ICE機関と該車輪とが直接接続されないと該ICE機関が最適化されない作動状態において作動される。
【0032】
この第2の構成では、ICE機関は最適な動作点において、すなわち、(モータモードで用いられる)第2の電気機械が、ドライバによって要求された出力を車輪へ出力する間の最良(すなわち最小)の燃料消費量に相当する作動点(エンジン回転数、トルク)において、第1の電気機械(ジェネレータモードで用いられる)を介してICE機関はSSEEの充電を行う。この作動モードでは必ず、ICE機関の作動(ICEの最適な作動点においてSSEEの充電を行う)期間と、ICEを停止させる(SSEEの放電)期間とが、短時間で交互に切り換えられる。もちろん、どのICE機関でも最適な作動点は1つだけではなく、燃料消費量が最小になる領域に相当する最適作動領域を成す複数の作動点のセット(トルク、エンジン回転数)が存在する。
【0033】
したがって上述の思想は、ICE機関の最適な作動領域において、すなわち最小燃料消費量に相当する作動領域において、該ICE機関を間欠的に(「オン・オフ」作動モードで)用いることである。
【0034】
このことは、従来技術のシリーズパラレルハイブリッド構成と比較してサイズが縮小した電気機械とSSEEとを用いても実現できる。特に、ICE機関は最適な作動点に近い作動点でのみ用いられ、また、ICEの始動期間および停止期間の頻度がICEの平均消費量に与える悪影響は僅かであるかまたは全く無いので、効率に悪影響を与えることなく、ICEは「オン・オフ」スロットにおいて格段に高い頻度でパワーを出力し、このことにより、大型のSSEEを再充電する必要が無くなる。したがって、上述の新規の構成は非常に経済的であり、さらに、既存の構成より格段に軽量になる。
【0035】
一般的に、電気系統を用いることにより生じる損失量を考慮してもICE機関を全体的により高い効率レベルで作動させることができる場合のみ、(燃料消費を削減するための)電気的な支援は有利であると解される。「電気系統」に負荷をかけるまたは負荷をかけないことの価値に関して、常に考慮すべきである。この比較にしたがった車輪の駆動管理が、本発明の目的である。
【0036】
特定の実施形態についての記載および図面を参酌すれば、本発明の対象および利点がより明らかとなる。この特定の実施形態は単なる一例であり、本発明を特定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(上記にてすでに説明した):シリーズハイブリッドシステムのエネルギー回路図である。
【図2】(上記にてすでに説明した):パラレルハイブリッドシステムのエネルギー回路図である。
【図3】(上記にてすでに説明した):シリーズパラレルハイブリッドシステムのエネルギー回路図である。
【図4】ガソリン方式の内燃機関(ICE)の消費量の特性マップである。
【図5】本発明のシリーズパラレルハイブリッド装置の概略図である。
【0038】
図5に、本発明の駆動装置の各要素を簡略的に示す。この構成は、ハイブリッド駆動方式を用いる自動車等である陸上用車両において採用される。
【0039】
まず、前記駆動装置は内燃機関1を含む。本発明を限定しないこの実施例では、この内燃機関1はガソリン方式である。このICE機関1は周知であるから、ここでは詳細に説明しない。
【0040】
前記駆動装置はさらに第1の電気機械9を含む。この第1の電気機械は第1の機械的動力伝達系統12に配置されており、ICE機関1に接続されている。前記第1の電気機械9の機能は、以下の通りである:
・前記第1の電気機械9がモータモードで用いられる場合、ICE機関1を始動させるように作動し、あるいは車両の著しい加速期間中にはICE機関1を支援する。
・前記第1の電気機械9がジェネレータモードで用いられる場合、ICE機関1から複数のスロットでエネルギーを電気エネルギー蓄積システム(以下、簡略化のために「SSEE」と称する)へ伝送し、あるいは該ICE機関を停止させる際に該ICE機関を迅速に減速させ、あるいは減速期間中に車両の回生可能な運動エネルギーの一部を回生させる。
【0041】
前記駆動装置はさらに第2の電気機械4も有し、該第2の電気機械4もまた、SSEE 3に接続されている。
【0042】
前記第2の電気機械4の機能は、以下の通りである:
・前記第2の電気機械4がモータモードで用いられる場合、シリーズモードでは、要求されたパワーのすべてを車輪5へ伝達し、パラレルモードでは、車両の著しい加速期間中に要求されたパワーの一部を負担し、
・前記第2の電気機械4がジェネレータモードで用いられる場合、使用されているモードがシリーズモードであるかパラレルモードであるかにかかわらず、減速期間中には車両の回生可能な運動エネルギーのうちすべてまたは一部を回生する。
【0043】
本発明の目的はICE機関1と電気的なジェネレータモータ4,9との間でのパワーの配分ではなく、必要な場合にはオプションとしてこれらのモータにより一時的に電気的な支援を行うことにより、ICE機関1を最適に利用することであり、前記2つのジェネレータモータ4,9を比較的低パワーの容量にすることができ、たとえば10〜30kWの容量にすることができる。このことは、50kWの電動機および30kWのジェネレータを用いるのが典型的である従来技術との相違点である。
【0044】
第2の電気機械4は第2の機械的伝達系統13を用いて車両の車輪5に接続されている。この第2の機械的伝達系統13は、ギアボックスと、オプションとしてのギアボックスクラッチ装置と、差動装置6とから成るトランスミッション装置11を含む。
【0045】
前記ギアボックスの機能は、ICE機関1と第2の電気機械4との双方が、最適な作動領域に相当する、満足できるトルクおよびエンジン回転数で作動できるようにすることである。前記ギアボックスは、当業者に知られている形式のものである。
【0046】
前記駆動装置ではさらに、ICE機関1の機械的動力伝達系統において、第1の電気機械9にクラッチ型の装置10が後置され、かつ、第2の電気機械4に前置されている。このクラッチ型装置10により、前記機械的動力伝達系統の2つの部分12,13が結合/結合解除される。このクラッチ10が、シリーズモードとパラレルモードとの切り換えを行うための手段である。前記クラッチは、当業者に知られている形式のものである。
【0047】
すでに述べたように、SSEE 3は2つの電気機械4,9に接続されている。シリーズモードではSSEE 3はバッファ段として機能し、すなわち、ICE機関1が作動期間中に、最適点で作動している場合には、該SSEE 3は、該ICE機関1によって供給されたエネルギーを高速で蓄積し、他方では、SSEE 3は、車輪5が必要とする連続的なパワーを車輪5に対して出力する。
【0048】
シリーズモードまたはパラレルモードにおいて、SSEE 3により、減速期間中の車両の運動エネルギーの一部を回生することができる。
【0049】
最後に、パラレルモードでは、SSEEは加速期間中に追加的なエネルギーを供給することができる。
【0050】
ここで重要なのは、ICE機関1が2つの作動期間の間でクールダウンする時間が無いくらいに、非常に高速でSSEE 3の充電および放電を実施できることである。それゆえ、SSEE 3は従来技術と比較して小容量(数十Wh)でなければならない。このことは、コストと搭載重量との点で非常に有利である。
【0051】
前記駆動装置はさらにコンピュータ14を有する。このコンピュータ14は、上述の駆動用の主要な要素に接続されており、特に、前記2つの電気機械4,9と、SSEE 3と、ICE機関1と、結合/結合解除システム10と、トランスミッション装置11とに接続されている。
【0052】
図5に示されたような駆動装置は、従来技術のハイブリッド構成に対して幾つかの相違点を有し、特に以下の相違点を有する:
a)機械的接続部の2つの部分12,13の結合/結合解除を行うためのクラッチ10
b)2つの低パワーの電気機械4,9
c)低容量のSSEE 3
d)ギアボックスと、オプションとしてのギアボックスクラッチ装置とを含む、トランスミッション装置11
上述にて説明した、図3の「シリーズパラレル」ハイブリッド構成と比較すると、最初は、本発明の駆動装置のクラッチ10+電気機械9のユニットは、従来技術のハイブリッド構成のエネルギー配分装置8+発電機2のユニットと似ているように見えるが、実際はそうではない。
【0053】
第一に、従来技術の2つのジェネレータモータの公称パワーは、ICE機関に対して追加的なパワー(使用可能な全パワーの30%〜50%)を供給するために設定されている。この追加的なパワーは、ICE 1の容量を低減できるという重要な意義を有する。
【0054】
このために、従来の車両をハイブリッド化するには該車両の構成を全面的に変更することになる。
【0055】
第二に、従来技術では、エネルギー配分装置8の遊星歯車装置では、機械エネルギーの一部を発電系統へ伝送して行われる配分を完全に行うことは決してできず、この遊星歯車装置は常に、最大20%にも及ぶ効率損失を生じさせる。
【0056】
したがって、上述の制御方法により実現される制御が非常に簡略的であることと、車両のハイブリッド化のために電気機械的系統を組み込むためになされる変更が比較的小さいこととにより、本発明の装置において、クラッチ10と、低パワーの2つの電気機械4,9から成る群とを選択することに着想が及ぶことになる。
【0057】
本発明の装置において占める割合としては、ICE機関のパワー低減は生じないかまたは小さく抑えられるので、同等の従来技術の車両のパワーと同じにすることができる。
【0058】
さらに、電気機械的系統の構成要素(電気機械、SSEE、変換器等)の適正な作動のために必要な放熱部材の寸法は、これらの構成要素が伝えるべき公称パワーに比例するので、結果として、放熱部材の寸法は格段に縮小される。
【0059】
車載電気機械の出力が低くても、燃料の経済性は非常に高い。
【0060】
本発明の重要な目的は、電気機械4,9によって実現される電気的な支援を適切に利用できるようにすることである。このことによって、要するに本発明のハイブリッドシステムの制御方法は、「パラレル」モードと称される第1のモードと、「間欠シリーズ」モードと称される第2のモードとの2つのモードを用いることである。
【0061】
クラッチ10が係合位置にある場合、パラレルモードが実現される。ICE機関1と車輪5とは、トランスミッション装置の複数の種々の減速歯車部材を介して機械的に接続される。パラレルモードであるこの第1のモードでは、電気機械4および/または9の電気的な支援を利用して(電気的な支援は、著しい加速が行われる期間に限られる)、またはこの電気的な支援無しで、ICE機関1は車輪5を駆動する。この場合には、ICE機関1はSSEE 3の充電を行うために使用されないことに留意すべきである。前記2つの電気機械4および/または9は、減速期間中に車両の回生可能な運動エネルギーを回生することができる(ジェネレータモード)。
【0062】
間欠シリーズモードでは、クラッチ10は非係合位置にある。それゆえ、ICE機関1と車輪5との間の機械的接続は解除される。
【0063】
間欠シリーズモードであるこの第2のモードでは、車輪は第2の電気機械4によって駆動され、ICE機関1は間欠的に用いられる。
【0064】
この間欠シリーズモードではコンピュータ14は、前記2つの電気機械の制御に同期して、ICE機関の噴射システムの停止期間と始動期間とを制御する。これら2つの電気機械は異なる機能を有する。まず第一に、ICE機関が作動する作動期間では、第1の電気機械9は該ICE機関を始動させるようにICE機関を駆動する(モータモード)。このようにしてICE機関が始動すると、ICEが最適な作動領域(エンジン回転数、トルク)になるように、該ICEに燃料を噴射するシステムをコンピュータ14が制御し、該コンピュータ14は、電気機械9がジェネレータモードになるように制御し、このことにより、ICE機関1からSSEEへエネルギーが伝送され、該SSEEは充電される。最後に、SSEEが十分に充電されると、コンピュータ14はICE機関の燃料噴射システムを停止するように制御し、未だジェネレータモードである電気機械9は、該ICE機関の可動部分から運動エネルギーの一部を回生することにより、該ICE機関の減速に寄与する。ICE機関が非作動状態である期間では(ICE機関が完全に停止した状態になる期間)、電気機械9も停止される。それと同時に、車輪において必要とされる所要パワーはすべて、SSEEによってまかなわれ、第2の電気機械4を介してSSEEの放電が行われる。この場合、第2の電気機械4はモータモードで動作するか(車両の駆動)、またはジェネレータモードで動作する(車両の減速)。
【0065】
本発明の制御方法によって、パラレルモードおよび間欠シリーズモードである2つのモードで動作できるようにすることにより、大きな加速時に車輪5を2つの電気的なモータジェネレータ4,9が支援する機能(公知の「ブースト」機能)と、制動時に両モータジェネレータ4,9によってエネルギーを回生する機能と、車両が停車する毎にICE機関1を自動的に停止する機能(公知の「ストップアンドスタート」機能または「ストップアンドゴー」機能)という標準的なハイブリッド機能を実現することもできる。
【0066】
一方のモードから他方のモードに切り換えるために、本発明の方法は、パラレルモード時のICE機関1の消費量(すなわち、電気的な支援が無い場合の所与の時点でのICE機関1の消費量)と、シリーズモードの電気系統の作動に起因する損失をICE機関1の最適な消費量に加算したものとを比較するステップを含む。
【0067】
パラレルモード時のICE機関1の消費量が、「シリーズモード時のICE(最適値)+電気系統の損失」の組合せの等価の消費量より小さい場合、パラレルモードが作動され、ICE機関1がそれ自体で作動する。
【0068】
それに対し、パラレルモード時のICE機関1の消費量が、「シリーズモード時のICE(最適値)+電気系統の損失」の組合せの等価の消費量より大きい場合、ICE機関1は間欠的にシリーズモードで作動する。すなわち、ICE機関1は最適な作動点でSSEE 3の充電を行うために作動するか、または停止される。間欠的シリーズモードに相当するこれら2つのケースでは、第2の電気機械5だけでパワーが車輪へ出力される。
【0069】
従来の推進方式の車両の場合(ハイブリッド車ではなくICE機関のみを有する車両の場合)、燃料消費量(またはエネルギー効率)と車両の各所与の作動点とを関連づけること、すなわち、燃料消費量(またはエネルギー効率)とエンジンシャフトの回転数(単位rpm)および該エンジンシャフトにおけるトルク(単位Nm)と燃料消費量とを関連づけることが知られている。
【0070】
図4にこの機能を示すグラフが示されており、同図中、x座標軸はエンジン回転数を単位rpmで示し、y座標軸はエンジントルク(単位Nm)を示す。ここで、閉じられた曲線ICはエンジンの等しい消費量を繋いだ線を表し、単なる一例であるこの例では、250g/kWh〜550g/kWhの間に含まれている。換言すると、同じ消費量に相当するすべての作動点を繋げると、ICE機関の平面内(エンジン回転数‐トルク)に「等消費量線」が形成される。ここで分かるように、ICE機関の最適な作動領域は、閉じられた曲線 IC250内に含まれる領域であり、消費量が250g/kWhに等しくなるICE機関の作動点を含む。このグラフはまた、高い所にある曲線LFにより、内燃機関の作動領域の限界も示している。
【0071】
実質的に相互に平行である複数の曲線Pの第2の群はそれぞれ、各トルクおよび各回転数でエンジンによって供給される電力に相当し、この電力は単位kWで表されている。曲線Pはこの実施例では、10〜160kWに及ぶ。曲線P30は30kWの値に相当し、この例では破線で示されている。
【0072】
一方のモードから他方のモードに切り換える意義を理解するため、パラレルモードまたはシリーズモードのうちいずれかを用いてICE機関の複数の異なる作動点を考察する。
【0073】
たとえば、車輪にかかる負荷が、250g/kWhに等しい消費量の作動点に相当すると仮定する(図4中のポイントF1)。すなわち、当該のICE機関の最良の消費量に等しい消費量の作動点に相当し、第1の電気機械4の公称パワーに相当すると仮定する。
【0074】
パラレルモードでは、この消費量点の平均は250g/kWhに留まる。というのも、電気機械的系統は作動されず、効率に悪影響を与える電気系統の損失が無いからである。
【0075】
車輪にかかる負荷が同じである場合にシリーズモードを用いると、ICE機関の作動点は、電気機械的系統を用いることによって生じる損失に影響を受けてしまう。すなわち、20%近くになる。この損失を補償するためのICE機関のパワーは、ICE機関1の等価の消費量が約300g/kWhになる程度だけ上昇させなければならない。
【0076】
それゆえ、ICE機関1のこの作動点F1において電気機械的系統に負荷をかける意義はない。したがって、車両のICE機関1と車輪5とを直接結合し、消費量が最小となるポイントF1においてICE機関1を作動させるのが有利である。
【0077】
ICE機関1が理想的な消費量点近くで回転する場合、たとえば280g/kWhで回転する場合にも(ポイントF2)、同様のことが当てはまる。特に、エンジンを250g/kWhで強制的に回転させて(ポイントF1)電気機械的系統に負荷をかける意義はない。というのもこの作動点は、等価の平均消費量である300g/kWhに相当し、開始点(280g/kWh)の消費量より高いからである。それゆえ、このポイントではパラレルモードに維持すること、すなわちICE機関1によって車輪5を直接駆動するのが有利である。
【0078】
他方、ICE機関1の作動点が360g/kWhの消費量に相当する場合(図4中のポイントF3)、すなわち250g/kWhの最適な消費量(ポイントF1)から離れている場合、間欠的シリーズモードに切り換えるのが有利となる。このようにして、ICE機関の等価の平均消費量は、最適点の消費量とシリーズ結合部の損失とを加算したもの、すなわち300g/kWhとなるが(ポイントF1)、開始消費量(360g/kWh)を下回った状態に留まる。
【0079】
ICE機関1の消費量には限界があり、この限界を超えると間欠的シリーズモードに切り換えるのが有利となる。この限界点は実施例では、約300g/kWhに設定されている。
【0080】
したがって、このポイントF3において間欠的シリーズモードに切り換えるのが有利であるということになる。
【0081】
このシリーズモードでは、車輪5は第2の電気機械4によって駆動される。小容量のSSEE 3が過充電にならないようにするためにはICE機関1を停止する必要があるが、この停止は、ICE機関1が過度にクールダウンしないように短時間でなければならない。ICE機関1が過度にクールダウンすると、ICE機関の燃焼品質が劣化し、有害物質のエミッション率の増加に繋がってしまう。
【0082】
もちろんこのシリーズモードでは、車輪を駆動するために必要なパワーは、SSEE 3および第2の電気機械4の使用可能なパワーと両立しなければならない。さらに、ICE機関によるSSEEの充電期間と放電期間とを交互に実施できるようにするためには、SSEE の充電期間中に車輪において必要とされる平均パワーは、ICE機関によって供給されるピークパワー、すなわち実施例では30kWより下回らなければならない。
【0083】
換言すると、図4を参照すれば、間欠シリーズモード(クラッチ係合解除)により、この実施例ではICE機関1の効率点が300g/kWhを上回りかつ駆動パワーが30kWを下回るように、車両全体の消費量を改善することができる。
【0084】
本発明ではもちろん、電気系統に起因するパワー損失として定義する20%の値は、開示内容から逸脱することなく、本願発明の装置および方法の特性に応じて任意の別の値に変更することができる。
【0085】
したがって、伝送パワーが30kWである特定のケースを考察すると、該当するポイントは図4中では30kWの等パワー線を下回り、300g/kWhの等消費量線を下回る(すなわち250g/kWh+20%)。これらは図4において斜線によって示されており、本発明を限定しない単なる一例として開示された上述の例に相当する。これらのパワーレベル(この実施例では30kWを下回るレベル)では、エンジンの高回転数は有利には、トランスミッションの複数の異なる段の相互間の協働により、格段に低い回転数に低減され、このことにより図4の斜線領域は、比較的低い内燃機関回転数に制限される。
【0086】
この領域は、ICE機関が低負荷および低回転数で作動すること、すなわち、主に市街地を走行するときのICE機関の作動に相当する。この市街地走行は、自動車型の車両の主な使用例である。
【0087】
もちろん、コンピュータ14が規則的な間隔で上述の両消費量を比較し、使用される作動モードを決定する。このようにしてコンピュータ14は、クラッチ10の係合または係合解除を制御する。
【0088】
さらに、車両の構成に依存して、コンピュータ14は、モータモードまたはジェネレータモードで作動するように電気機械4,9を制御する。
【0089】
より詳細には、車両が低パワーで駆動されるように構成されている場合、コンピュータ14は間欠シリーズモード(クラッチ係合解除)を用い、ICE機関が最適作動領域にある場合には該ICE機関1をオンオフモードで使用してSSEE 3の充電を行い、車両5は第2の電気機械4によって駆動される。車両が通常のパワーで駆動されるように構成されている場合、コンピュータ14はパラレルモード(クラッチ係合)を使用し、トランスミッション装置を介して車輪5を直接駆動するためにICE機関1を連続的に使用する。ギアボックス11を設けることは、ICE機関の最適な作動の実現に有利である。車両が高パワーで駆動されるように構成されている場合、たとえば加速中には、コンピュータ14はパラレルモード(クラッチ係合)を使用し、車輪5を直接駆動するためにICE機関1を連続的に用いる。その際には、車輪5に与えられるパワーを増大させるために、2つの電気機械4,9もモータモードとして使用することもできる。中程度の減速構成では、コンピュータ14は現在用いられているモード(シリーズまたはパラレル)を維持する。車両の運動エネルギーの一部は、第2の電気機械4によってSSEEに回生されるか(シリーズモード)、または電気機械4,9の一方または双方によって回生される(パラレルモード)。その際には、前記電気機械はジェネレータとして用いられる。
【0090】
大きな減速度の構成では、必要な場合には、パラレルモードに切り換えてエンジンの制動により、さらなる減速度を得ることができる。
【0091】
上述の駆動装置および方法が複数の利点を有することは明らかである。
【0092】
第1の利点は、燃料消費量を、従来技術のシリーズパラレルハイブリッドシステムより大きく削減できることである。
【0093】
駆動装置に必要とされるバッテリーを小容量にすることができ、このことにより、車両におけるバッテリーのコストとスペースとにかかる要件が低くなる。
【0094】
同様に、本発明の駆動装置によって、比較的低パワーの電気機械を用いることができるようになる。というのも、電気的な支援は有利には低負荷でのみ必要とされるからである。それゆえ、これらの構成要素も低コストとすることができ、所要スペースを小さくすることができる。
【0095】
必要な場合には、結合/結合解除システム10を、トランスミッション装置に既存であるギアボックスクラッチシステムに置き換えることができる。
【0096】
複数の異なるモードでの調整および制御は簡単である。
【0097】
ICE機関の完全な設計において、非常に広範な作動領域にわたって最適化されるように内燃機関を設計する必要はない。というのも、内燃機関が低負荷点で作動することは想定されないからである。したがって本発明は、限られた領域ではこのような熱機関の効率を改善するが、該当のハイブリッド車のために新たな内燃機関ブロックを開発する必要なく、既存のエンジンおよびギアボックスを用いて本発明を実施することができる。このことにより、本発明を用いてハイブリッド車の開発コストが格段に削減され、従来の車両の電気機械的系統を組み込むことができる。
【0098】
本発明の範囲は、上述にて一例として説明した実施形態の詳細に限定されることはなく、むしろ本発明の範囲は、当業者の知識の範囲内の変更にまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上用のハイブリッド車用の駆動装置であって、
前記駆動装置は、
第1の電気機械(9)に接続された内燃機関(1)を含む第1の機械的動力伝達系統(12)と、
該ハイブリッド車の車輪(5)を回転させるように構成された第2の電気機械(4)を含む第2の機械的動力伝達系統(13)と
を有し、
両電気機械(9,4)は、モータまたはジェネレータとして制御されるように構成されており、
両電気機械は、電気エネルギーを蓄積するための電気エネルギー蓄積システム(3)に接続されており、
前記駆動装置はさらに、
・前記第1の機械的動力伝達系統(12)と前記第2の機械的動力伝達系統(13)とを結合/結合解除するための「オン・オフ」結合/結合解除システム(10)と、
・コンピュータ(14)に接続されている、前記種々の構成要素を制御するための手段と、
・パラレルモード時の前記内燃機関(1)の消費量、すなわち、電気的な支援が無いときの所与の時点での消費量と、シリーズモードの電気系統(3,4,9)の作動に起因する損失に前記内燃機関(1)の最適な消費量を加算したものに基づいて計算された等価の消費量とを比較するための手段と
を有し、
前記パラレルモードとは、前記結合装置(10)を介して両機械的動力伝達系統(12,13)が相互に接続され、該内燃機関(1)のシャフトが機械的伝動装置の複数の異なる部材を介して前記車輪(5)を駆動するモードであり、
前記シリーズモードは、両機械的動力伝達系統が前記結合装置(10)によって分離され、前記ハイブリッド車の駆動が前記第2の電気機械(4)のみによって実現され、前記車輪(5)が要求する連続的なパワーを満たすために前記電気エネルギー蓄積システム(3)を規則的に再充電できるように、最小燃料消費量の領域に相当する最適作動領域において前記内燃機関(1)を間欠的に使用するモードである
ことを特徴とする、駆動装置。
【請求項2】
前記両機械的動力伝達系統(12,13)のうち1つにギアボックス(11)が配置されている、
請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
両電気機械(4,9)は、10〜30kWのオーダのパワーの容量である、
請求項1または2記載の駆動装置。
【請求項4】
前記電気エネルギー蓄積システム(3)は高速充放電型である、
請求項1から3までのいずれか1項記載の駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のハイブリッド車用の駆動装置の制御方法であって、
・両機械的動力伝達系統(12,13)が前記結合装置(10)を介して接続され、機械的伝動装置の複数の異なる部材を介して、前記内燃機関(1)のシャフトが前記車輪(5)を駆動する、パラレルモードと、
・両機械的動力伝達系統は前記結合装置(10)によって相互に分離され、前記ハイブリッド車の駆動は前記第2の電気機械(4)によってのみ実現され、前記車輪(5)が必要とする連続的なパワーを満たすために前記電気エネルギー蓄積システム(3)に規則的に再充電できるように、最小燃料消費量の領域に相当する最適作動領域において前記内燃機関(1)を間欠的に使用するシリーズモードと
を含む、少なくとも2つの異なる構成モードを用いることを特徴とする、制御方法。
【請求項6】
パラレルモード時の前記内燃機関(1)の消費量、すなわち、電気的な支援が無い場合の所与の時点における該内燃機関(1)の消費量と、シリーズモードの電気系統(3,4,9)の作動に起因する損失を該内燃機関(1)の最適な消費量に加算したものに基づいて計算された等価の消費量とを比較するステップにより、一方のモードから他方のモードへの切換を決定する、
請求項5記載の制御方法。
【請求項7】
低パワーで前記ハイブリッド車を駆動する構成において、前記コンピュータ(14)は、前記内燃機関(1)を間欠的に使用するシリーズモードを用いる、
請求項5または6記載の制御方法。
【請求項8】
公称パワーで前記ハイブリッド車の駆動する構成において、前記コンピュータ(14)は前記パラレルモードを使用し、前記内燃機関(1)は前記車輪(5)を駆動するためだけに用いられる、
請求項5から7までのいずれか1項記載の制御方法。
【請求項9】
たとえば著しい加速時である、高パワーで前記ハイブリッド車を駆動する構成において、前記コンピュータ(14)は前記パラレルモードを使用し、かつ、前記内燃機関(1)と連携して前記車輪(5)を駆動するために両電気機械(4,9)が駆動モードで用いられる、
請求項5から8までのいずれか1項記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−513520(P2013−513520A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543488(P2012−543488)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006341
【国際公開番号】WO2011/072765
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(398050939)コンティネンタル オートモーティヴ フランス (60)
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive France
【住所又は居所原語表記】1, Avenue Paul Ourliac, F−31100 Toulouse, France
【Fターム(参考)】