ハウジング
【課題】工具を用いずに継手部材に嵌めることができ、装置の部品等を損傷することなく継手部材から容易に取外すことのできる継手形成装置用のハウジングを提供する。
【解決手段】2個の部材間に継手を形成するための継手形成装置用ハウジングは、当該継手形成装置のカム部品(24)を収容するためのスリーブ(22)を有している。このスリーブ(22)は、継手の締付中、スリーブ内に収容された前記カム部品の動きに応じて矢印(46)で示されるように前記スリーブの外周の外方へ移動でき、スリーブが嵌め込まれる継手部材のうちの一方の凹部の壁を押圧するようになっている少なくとも一つの可動部を有している。
【解決手段】2個の部材間に継手を形成するための継手形成装置用ハウジングは、当該継手形成装置のカム部品(24)を収容するためのスリーブ(22)を有している。このスリーブ(22)は、継手の締付中、スリーブ内に収容された前記カム部品の動きに応じて矢印(46)で示されるように前記スリーブの外周の外方へ移動でき、スリーブが嵌め込まれる継手部材のうちの一方の凹部の壁を押圧するようになっている少なくとも一つの可動部を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は継手形成装置に関し、特に、そのような継手形成装置用のハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
2個の部材間に継手(joint)を形成するための既知の継手形成装置は、継手部材の一方に、当該継手部材の表面に挿入して先端を当該継手部材から突出させることのできる細長いピンの形をした締結部品と、他方の継手部材の凹部に配置され、当該ピンの頭部を収容するように構成された回転可能なカム部品の形をした締付部品とを備えている。2個の部材間の継手は、前記頭部を掴持して前記ピンを自身の内部へ引き込むカム部品を回転させて、両部材を引き寄せることにより形成することができる。このような継手形成装置は、英国特許公報第2241299B号、英国特許公報第224682B号、及び英国特許公開公報第227793A号、並びに英国特許出願第9326352.3号に開示されている。
【特許文献1】英国特許公報第2241299B号明細書
【特許文献2】英国特許公報第224682B号明細書
【特許文献3】英国特許公開公報第227793A号明細書
【特許文献4】英国特許出願第9326352.3号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、カム部品用の凹部は一方の継手部材の主要面に形成されており、ピンは、当該部材の一つの縁から延びてこの凹部へ開口する内腔を通じて接近するようになっている。カム部品を収容する継手部材の加工工数削減のため、カム部品用の凹部を、図1に示すように継手部材の縁に形成することが知られている。この場合、カム部材10は、スリーブ12内に収容される。このスリーブ12には、ピンの頭部をカム部品に挿入できるように、スロット14が設けられている。上記の凹部は、その中へスリーブが圧入されるように形成されており、このスリーブには凹部の壁18を把持(グリップ)するためのフォーメーション(成形部)16が設けられている。
【0004】
通常はプラスチック材料から製造される既知のスリーブには、二つの欠点がある。第一に、継手組立者が、通常、木槌を用いてスリーブを凹部へ打ち込む必要があることであり、第二に、何らかの理由でスリーブが凹部へ正しく嵌め込まれなかった場合、継手部材及び/又はスリーブを傷つけずにスリーブを取り外すことが殆ど不可能となることである。このような継手形成装置が広く利用される組立式家具業界においては、工具を用いずに継手部材に嵌めることができ、また継手形成装置の部品又は継手部材を損傷することなく継手部材から容易に取外すことのできる装置を提供することが望ましい。
【0005】
上述の問題点の少なくとも一部を解決するのが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、2個の部材間に継手を形成するための継手形成装置用のハウジングであって、この継手形成装置のカム部品を収容するためのスリーブを備え、使用時において、前記継手の締付中に、スリーブに収容された前記カム部品の移動に応じて前記スリーブの外周の外方へ移動して、スリーブが嵌合される前記部材の一方の凹部の壁と押圧係合できるようになっている少なくとも一つの可動部を有するハウジングを提供する。
【0007】
前記又は前記各可動部は、カム部品の前記移動に応じて弾性的に撓むことができるようになっていても良い。
【0008】
前記又は前記各可動部は、前記スリーブに設けられた一つ以上のスロットによってスリーブの他の部分から部分的に分離した前記スリーブの一体部分であっても良い。
【0009】
前記又は前記各可動部は、ほぼL字形のスロットによってスリーブの他の部分から部分的に分離されていても良い。
【0010】
前記可動部、又は前記可動部の少なくとも一つは、スリーブに収容された締付部品と協働して、少なくとも部分的に前記又は前記各可動部の外方への移動を生じさせることが可能なカム手段を備えていても良い。
【0011】
前記ハウジング手段は、カム部品のフォーメーション(成形部)と協働して継手形成装置のロッキングを容易にすることができるフォーメーション(成形部)を備えていても良い。
【0012】
前記ハウジングのフォーメーションは、カム部品を収容するための凹部を画定するスリーブの面内にほぼ等間隔に配置された窪みを備えるものであっても良い。
【0013】
このハウジングは更に、継手形成装置の細長い締結部品が上記のスリーブに収容されたカム部品と係合可能なようにこの締結部品の少なくとも膨張部を収容するためのブッシュであって、このスリーブと一体又は着脱可能となっているブッシュを備えていても良い。
【0014】
本発明には更に、2個の部材間の継手形成に用いるための装置であって、前記部材の一方の凹部に嵌め込まれたハウジングと、このハウジングに収容された締付部品と、縦軸を有し継手部材の他方に嵌合されるようになっている細長い締結部品とを備え、締付部品が締結部品の対応する係合面と係合して協働しうるようになっていて、これにより、締付部品の移動によって締結部品を軸方向に移動させて、当該装置により両部材間に形成された継手を締め付けるようになっている少なくとも一つのアーチ形カム面を有しており、前記ハウジングは、締付部品を収容するためのスリーブを備えており、このハウジングは、使用時に、スリーブ中に収容された締付部品の移動による継手の締付けに応じてスリーブ外周の外方へ移動して、スリーブが嵌合される凹部の壁と押圧係合できるようになっている少なくとも一つの可動部を有している装置も含まれる。
【0015】
上記の可動部の少なくとも一つは、少なくとも部分的に前記又は前記各可動部の前記外方運動を生じさせるように、上記のスリーブに収容された締付部品と協働しうるカム手段を備えていても良い。
【0016】
上記のハウジングには、継手形成装置のロッキングを容易にするように、締付部品のフォーメーション(成形部)と係合して協働しうるようになっているフォーメーション(成形部)が設けられていても良い。
【0017】
このハウジングのフォーメーションは、締付部品を収容するための凹部を画定するスリーブの表面に周方向に間隔を空けて配設された窪みを備えていても良く、締付部品のフォーメーションは、締付部品の外面上に複数の突起を備えていても良い。
【0018】
この締付部品は、前記又は前記各可動部を動作させるためのカム手段を備えていても良い。
【0019】
前記ハウジングは更に、締付部品の回転によって前記又は前記各カム面が前記細長い締結部品の対応する係合面と係合しうるように、少なくとも締結部品の膨張部を収容するためのブッシュであってスリーブと一体又は着脱可能となっているブッシュを備えていても良い。
【0020】
このブッシュは、弾性手段によってスリーブに接続されているか、又は接続可能となっていても良い。
【0021】
この弾性手段は、複数の軟質隔膜を備えるものであっても良い。
【0022】
また、上記のブッシュは、スリーブと着脱可能になっていても良く、ここで、このブッシュは、その端部から延びる軟質隔膜手段を有し、スリーブは、軟質隔膜手段を収容するための凹部を画定していると良い。
【0023】
上記のブッシュはスリーブと一体であっても良く、ここで、スリーブ及びブッシュは第1の本体部分及び第2の本体部分を有し、これらの両部分は相互にスナップ嵌合可能となっていると良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を良く理解できるように、以下では、添付図面を参照しながら幾つかの実施形態を説明する。なお、この実施形態は、単に例として挙げたものに過ぎない。
【0025】
図2から図8に示されるように、2個の部材間に継手を形成する継手形成装置用のハウジング20は、継手形成装置の締付あるいはカム部品24を収容するためのスリーブ22と、少なくともこの装置の細長い締結部品30の膨張部28を収容するためのブッシュ26とを備えている。ハウジング20、締付部品24及び締結部品30は、組み合わせた状態において、2個の部材(組立式家具の一アイテムの2枚のパネル等)の間に継手を形成するための継手形成装置を構成している。
【0026】
図2には、ハウジング20が、以下でより詳細に説明するように一体型の割りプラスチック成形品として製造することができるような開いた状態で示されている。また、閉じた使用状態のハウジングは、図3に示されている。
【0027】
スリーブには、ほぼ平板状のキャップ(蓋)32が設けられており、このキャップは、締付部品が収容される略円形断面の凹部をスリーブの内面34と協同して画定している。キャップ32には貫通穴36が設けられており、この貫通穴を通して締付部品のドライバースロット38への接近が可能になっている。
【0028】
ハウジングは、対向配置された可動部40、42を備えている。これらの可動部40、42は、スリーブ22に収容された締付部品24の継手締付方向への移動に応じて、矢印46(図3を参照)の向きに沿ってスリーブの外周のほぼ径方向外向きに移動できるようになっている。この移動によって、スリーブは少なくとも部分的に径方向外向きに膨張(拡径)して、使用時にスリーブが嵌め込まれる凹部の壁をグリップするようになっている。
【0029】
図2に最もよく示されるように、各可動部40、42は、スリーブ22と一体の部分であって、ほぼL字形のスロット44によって残りの部分から部分的に分離されている。
【0030】
スロット44は、スリーブの外周とスリーブの内面34との間に延在している。各可動部は、対応するスロット44によって画定される自由端48を有している。
【0031】
可動部42には、カム手段が設けられている。このカム手段は、リブ50を備えており、このリブ50は、スリーブ内に配置されて、締付部品のカム手段52との協働作用により可動部40、42をほぼ径方向外向きに動かすようになっている。リブ50は、可動部42の長手方向に延びており、その内面34上の高さは徐々に増加して、可動部42の自由端48に隣接するリブ終端において最高になる。
【0032】
ハウジング20は更に、窪み54のように図示されるフォーメーション(形成部)を備えている。このフォーメーションは、突起56のように図示される締付部品24のフォーメーションと協働できるようになっていて、継手形成装置のロッキングを容易にしている。なお、図3においては、図面を明瞭にするため、隠れた詳細を描写するときに通例用いられる破線によって窪み54及び突起56を図示することはしていない。
【0033】
これらの窪みは、スリーブの内面34の長手方向に沿ってほぼ等間隔に配置されている。図5に最も良く示されるように、突起56は締付部品の周面58上に配置されている。これらの突起は、180度隔てた二つのグループをなすように配置されており、そのうちの一つのグループが図5に示されている。使用時に、スリーブ内に収容された締付部品を回転させると、突起と窪みとの協働可能な係合はラチェットのような効果を発揮して、継手形成装置の複数のロック位置を定める。
【0034】
ブッシュ26は貫通通路60を有する略円筒形の部品であり、この貫通通路60はスリーブ22から遠い端部を有しており、このスリーブ22は締結部品30の膨張部28に応じた形状をしている。このブッシュは、長手方向に延びる対向した複数のスロット64を備えており、これらのスロット64は、使用時において、ブッシュが略径方向外向きに容易に膨張できるようにして、ブッシュが嵌め込まれる凹部の壁との押圧係合を設けるようにしている。
【0035】
スリーブ22及びブッシュ26は、対向する複数の軟質隔膜66という形の弾性手段によって接続されている。これらの隔膜66はその長手方向に沿ってアーチ形であり、ブッシュの略方形の前端部68の対向する両側からスリーブ22の対向する両コーナー部70まで延びている。
【0036】
スリーブ及びブッシュには、スリーブ/ブッシュが膨張してこれらに対応する凹部124、132の壁を押圧するときにこの壁を把持するための外部フォーメーション(成形部)が設けられている。スリーブのフォーメーションは、少なくとも部分的にスリーブの周方向に延びる細長いリブ72から構成されている。このリブ72、キャッチ部品86の領域で連続していない。また、ブッシュのフォーメーションは、両スロット64間に延在する複数のとげ(barbs)73から構成されている。
【0037】
スリーブ22、ブッシュ26及び軟質隔膜66は一体であって、上記のように一体型の割りプラスチック成形品として製造することができる。具体的には、この成形品は、それぞれハウジングの半分ずつを画定する第1の本体部分74及び第2の本体部分76を備えており、特に、両本体部分74、76は、それぞれブッシュ及びスリーブの半分と、両者間に延在する一つの軟質隔膜とを画定している。ブッシュの各半分を画定する両本体部分74、76の各端は、ヒンジ部78で接続されている。両本体部分は、ヒンジ部78を中心として重ね合わせて、図3に最も良く示される閉じた使用状態とすることができる。これらの本体部分は、互いにスナップ嵌合できるようになっている。また、これらの本体部分としては、第1の本体部分74に1個の突起80が設けられ、この突起80が第2本体部分76に形成されたスピゴット84中の内腔82にスナップ嵌め込みできるようになっているものが図示されている。ブッシュから遠いスリーブ22の端において、第2の本体部分76にはキャッチ部品86が設けられており、このキャッチ部品86は、第1の本体部品74において符号88で示される凹部とスナップ嵌合するように、スリーブのほぼ円周方向に延びている。
【0038】
上記のように、可動部40、42を画定するスロット44は、スリーブの外周と内面34との間に延在している。プラスチック成形工程の効率改善と、特に工具の摩耗低減のためには、プラスチック材料からなる薄い隔膜を表面34に隣接させて残し、スロット44がスリーブ部の内部まで延びないようにする。この隔膜の厚さを1mm程度にすれば、この隔膜が可動部40、42の外方への動きを妨げるようなことはないものと思われる。
【0039】
締付部品24は開口90を有する略ドラム状の部品から構成されており、締結部品30の頭部92は、この開口を通して締付部品を中空内部へ挿入するようになっている。スロット94は、開口90から締付部品の周方向に部分的に延びており、図4に示すように、締結部品の首部96を収容できるようになっている。
【0040】
締付部品は更に、2つのアーチ形カム面98を備えており、これらのカム面は締結部品の分離した対応係合面100と係合できるようになっており、これにより、締付部品が(図3で見て)時計回りに回転することで、締結部品が締付部品の回転軸101に向かって軸方向に動くようになっている。
【0041】
締付部品は、2つのアーチ形カム面98に加えて、締結部品の締結状態からの解放が容易になるように、締付部品が反時計回りに回転したとき締結部品を回転軸101から離れる方向へ軸方向に移動させるための内部カム手段102を備えている。この内部カム手段は、隆起部(ridge)104を画定する面102を備えており、この隆起部104は、回転軸101にほぼ平行に延びて、締結部品の先端103と係合するようになっている。
【0042】
締付部品の(図4で見た)下端における締付部品24の外周面58は、カム手段52を画定するような輪郭を有している。図5に最も良く示されるように、締付部品は、半径Rで定められる略円形の輪郭(profile)を有している。カム手段52は、約90度の角度範囲θを有する下端外周面の一区域を含んでおり、この角度範囲θは、Rよりも小さな変動半径範囲RLを有している。カム手段52の半径範囲RLの減少率は、角度θで定義される区域の時計回りの方向に沿って徐々に増加する。従って、カム手段52は、半径Rを有する部分と、その角度範囲にわたって半径Rより徐々に小さくなる半径範囲RLを有する逃げ部θとを備えている。逃げ部θの輪郭は、可動部42とカム手段52の逃げ区域(relievedsection)θとの接触がほぼ連続的となるように、リブ50の輪郭を相補しうるようなものとなっている。
【0043】
図8に示されるように、締結部品30は、略方形、好ましくは正方形の横断面を有する前端部104と、膨張部28とを備える細長いピン部材である。前端部104は、頭部92及び首部96からなる。この首部は、締結部品の縦軸106を横断して延びる複数の対向スロットによって画定されている。締結部品の複数の係合面100は、それぞれ首部96を画定する複数のスロットのうちの対応する一個の壁によって画定されており、縦軸106を横断する長さを有している。
【0044】
この締結部品には、2個の本体部分74、76がスナップ嵌合によって一体にされるとき突起80及びスピゴット84が収容される貫通穴108が設けられている。
【0045】
膨張部28は略円形の横断面を有しており、複数のテーパ部110を備えている。膨張部28の機能とブッシュ26との相互作用は、以下で詳細に説明する。
【0046】
必須条件ではないが、ハウジング20、締付部品24及び締結部品30から成る継手形成装置は、図3に示すように組立てた状態で供給されることが想定されている。この形成装置を組み立てるには先ず、図2に示すように、ハウジング20を開いた状態で取り、次にスリーブ22の片方の半分において内面34によって画定された凹部へ締付部品24を挿入する。締結部品30の挿入を可能にするために、締付部品の開口90は、ブッシュ26の貫通通路60に面するように配置されている。締結部品は、突起80又はスピゴット84が締結部品の貫通穴108内へ延びた状態で、2個の本体部分74、76のどちらに締結部品や締付部品が挿入されるかに応じて、膨張部28をブッシュの対応する半分へ挿入することによりハウジングに嵌め込まれる。この状態で、締結部品の頭部92は、締付部品の内部に位置しており、締付部品を時計回りに回転させるとカム面98が締結部品の対応する係合面100と係合するようになっている。この装置の組立ては、突起80と内腔82、並びにキャッチ部品86と凹部88とがスナップ嵌合するように2個の本体部分を引き合わせることによって行われる。この組立状態では、継手形成用の2個の部材と嵌合させる準備のできた一体の継手形成装置が提供される。
【0047】
図4に示されるように、2個の部材120、122間に継手を形成するには、ブッシュ26が継手部材120の縁126を越えて延びた状態で、スリーブ22を部材120内の凹部124に嵌め込む。凹部124は、部材120の主要面128内に形成されており、第2のハウジングが縁120を越えて延びることができるようにするためには、この凹部124を縁126で開口するように配置しても良い。この他には、凹部124及び縁126間に延在する凹部を更に設けてもよい。凹部124の寸法は、キャップ32を上から軽く押さえるだけでスリーブが中に挿入されるような寸法とするのが良い。キャップ32は、スリーブ用の深さストッパの役割を果たし、また、凹部124の形成によって部材120の表面128に形成された傷を覆うようになっている。
【0048】
スリーブ22がこのように凹部124に取り付けられた状態では、継手の組立は、ブッシュ26が継手部材122の主要面134の凹部132へ入るように、部材122を縁126の方へ動かすことによって完了する。部材122の主要面134が縁126に当接すれば、組立は完了である。凹部132の寸法は、2個の継手部材を引き合わせて主要面134が縁126に当接する状態にするのにほとんど力が必要とならないように、ブッシュと狭いすきま嵌めを形成するような寸法であるのが好ましい。以下でより詳細に説明するように、ブッシュ及びスリーブ間を可撓接続することの利点を示すため、2個の部材間に隙間が示されている。
【0049】
このようにして組立てられた継手は、ドライバースロット38からドライバー(ねじ廻し)を挿入し、締付部品24を時計回りに回すことによって緊締される。最初に締付部品を90度回転させると、開口90が貫通通路60との整列から外れるように移動し、カム面の対応する前端136が、図7に示す位置の対応する係合面100と係合する位置に来る。このような最初の90度程度の回転中、カム手段52の逃げ区域θは、カム手段52のうち半径Rを有する部分がリブ50に接触するように貫通通路60に沿って移動する。締付部品が回転するにつれて、逃げ区域θとの接触が全半径R部分との接触に置き換わるので、可動部42は矢印46の方向に沿って径方向外向きに次第に撓む。可動部40に作用するカム手段52の半径は、締付部品の回転によって増加することはないが、凹部124の寸法が正しければ、可動部42は、凹部124の壁138に接触する前はある程度外方へ動くことしかできず、このため、可動部40の外方移動によって第1のハウジングは更に膨張する。更に詳しく説明すると、締付部品の回転による最初の効果は、可動部42が、壁138と押圧係合してそれ以上動けなくなるまでリブ50とカム手段52との相互作用によって外方へ動かされることである。締付部品を回転させてカム手段52とリブ50との相互作用を継続させると、締付部品をスリーブ部内で可動部40の方向へ動かす力が生じるようになり、可動部40はこれによりスリーブ部の外周の外方へ動かされ、壁138と押圧係合する位置に達する。このように、締付部品の最初の90度程度の回転によって締付部品は略径方向外向きに膨張し、締付部品が嵌め込まれる凹部124の壁138を押圧するようになっている。
【0050】
図1に示す位置を越えて締付部品22を引き続き時計回りに回転させると、締結部品の対応する係合面100と係合しているカム面98は、締結部品を締付部品の回転軸101に向けて軸方向に動かす。この移動による最初の効果は、テーパ部110を貫通通路60の対応するテーパ部へ引き込み、ブッシュ26を径方向外向きに膨張させて、凹部132の壁140を押圧させることである。スリーブ及びブッシュが一旦膨張されてそれぞれの凹部の壁を押圧すれば、締付部品を更に回転させることにより継手部材120、122に圧縮力が加わり、緊密な継手が確実に形成される。
【0051】
第1及び第2ハウジングがそれぞれの対応する凹部に押し込まれる箇所を越えて締付部品を引き続き時計回りに回転させることによって、更に二つの効果が得られる。第1に、締付部品が第1のハウジング内で継手部材の縁126に向かってわずかに動く傾向を有することである。この動きは、第1のハウジングの両半分を強制的に分離することによって第1のハウジングを更に膨張させる。このようにして、スリーブ部の外周と凹部124の壁138との間の押圧係合が強化される。締付部品を回転させることにより、二つのカム作用、すなわち、第1に、カム手段52とリブ50との相互作用、第2に、締付部品の第2のハウジングへの直線移動が生じることになる。
【0052】
上述の第2の効果とは、2個の継手部材間の隙間を閉じることである。凹部124、132の寸法が正しく(すなわち所定の許容差内にあり)かつ主要面134及び縁126が平坦であれば、ふたつの継手部材を、上述のように手で隙間なく引き合わせることができるはずである。このような場合、締付工程における引き締めは不要である。しかし、このような理想的な状態は、常に得られるとは限らず、図4に示すように最初に隙間ができることも考えられる。軟質隔膜66が弾性(レジリエンス)を有しているので、継手形成装置は必要なときに引き締め動作を起こすことができる。更に詳細に説明すると、2個のハウジングが膨張されて対応する凹部の壁と押圧係合するときに両部材間に隙間がある場合、アーチ形カム面98によって発生し締結部品を回転軸101の方向へ引き寄せる引っ張り力によって、軟質隔膜66がほぼスリーブ22の方向へ内向きに撓み、部材122がブッシュ26を介して部材120へ引き寄せられて、隙間を閉じるようになっている。一旦隙間が閉じられれば、引き続き締付部品を回転させることにより、継手部材に圧縮力が加わり、堅い継手が確実に形成されるようになる。
【0053】
この継手は上記の締付け工程を逆に行うことによって容易に分解することができる。締付部品を反時計回りに回転させると、弾性撓み可能な可動部は締付部品の外周方向へ動いてスリーブを非膨張状態に戻し、締結部品は面102と締結部品の前端103との接触によって回転軸から押し離される。締付部品が、開口90が貫通通路60と一列になる位置を越えて反時計回りに回転させられると、締結部品の前端103に隆起部104が接触する。隆起部104の形状は、締結部品を実質的に回転軸101から遠ざかるように移動させ、そのことによって膨張部28を貫通通路60のテーパ部との膨張係合がはずれるように移動させるようなものとなっている。隆起部104によって締結部品が動かされると、膨張部28は、ブッシュを凹部132から容易に取り外すことができるように、ブッシュが非膨張状態へ戻ることのできる位置へ確実に動かされる。
【0054】
スリーブ22及びブッシュ26が非膨張状態へ戻ったときに各ハウジングを対応する凹部124、132から外すことによって、継手を分解することができる。スリーブ及びブッシュは、弾性変形によって膨張状態をとることができるので、継手形成装置は再使用することができる。
【0055】
スリーブ及びブッシュ間の接続手段に関して言えば、これらの手段が弾性を有することは好ましいが、このことは必須ではない。この接続は、剛性手段によって行うこともできる。しかし、剛性接続の場合、上記の引き締め作用は発生せず、従って、この継手形成装置は、場合によっては、堅く締付けても継手部材間に隙間のある継手をもたらすことがある。
【0056】
また、スリーブ、ブッシュ、及びこれらの接続手段が一体であることは必須ではない。この代わりに、図9に示すように、スリーブとブッシュとは接続手段によって離脱可能に接続することができる。
【0057】
図9において、スリーブ及びブッシュの構成は図3に示した継手形成装置とほぼ同じであり、従って、類似の部品を説明するときは同一の参照符号を使用する。図示のように、スリーブ22及びブッシュ26は、図3の実施形態のように分割状態ではなく、一体の部品として形成されていてもよい。スリーブ22は、可動部40、42及び平板状のキャップ32を備えている。このスリーブは、ブッシュ26に向かって延びるアーチ形延長アーム142を備えている。延長アーム142及びキャップ32は、凹部144を画定している。
【0058】
ブッシュ26の一端には軟質隔膜66が配接されている。この隔膜66は開口部を備えていて、この開口部を通って締結部品の頭部92が突出し、締付部品24のカム面と係合するようになっており、さらに、隔膜66は、第2のハウジングの反対側から延びる対応部分を有している。
【0059】
スリーブとブッシュとを接続するには、軟質隔膜66を凹部144へ挿入する。隔膜66及び延長アーム142は、両者間の相互作用によってスリーブ及び延長アーム間の接続を維持する力を生み出すように構成されている。このようにして、図9の継手形成装置は、一体の継手形成装置として、組立て済みの状態で顧客に供給することができる。
【0060】
図9の形成装置を用いた継手の組立てと締付工程は、図2乃至図8に示した形成装置について説明したものと一致する。
【0061】
ここで、第1のハウジングと第2のハウジングとを接続するための他の手段を示す継手形成装置の更に別の実施形態を、図10乃至図12を参照しつつ説明する。
【0062】
図10において、締付部品152を収容しているスリーブ150は、コイルばね156という形態の弾性接続手段によってブッシュ154に接続されている。スリーブ150、ブッシュ154及びコイルばね156は一体であり、一体型のプラスチック成形品として製造することができる。この成形品は、最初に説明した実施形態のように分割されてはおらず、第1のハウジングに、締付部品の回転によってこのハウジングを径方向外向きに膨張させる可動部158が設けられている。2個の部材間の継手の形成、締付け、及び分解は、図2乃至図8の継手形成装置に関して説明したものと同様に行うことができる。
【0063】
図11及び図12において、締付部品162を収容しているスリーブ160は、一体の弾性接続手段によってブッシュ164に接続されている。この接続手段は対向するペアのストラット168、170に接続されたリング部品166から成る。スリーブ160から延びる両ストラット168は、ブッシュ164から延びる両ストラット170に対して半径方向に90度ずれている。図10の実施形態のように、スリーブ160、ブッシュ164、及び弾性接続手段166、168、170は一体であって、一体型のプラスチック成形品として製造することができる。この成形品は、必要ならば割り成形品とすることもできる。
【0064】
スリーブ22、150、160はそれ自体、図1に示したものと同様に締付部品を収容するのに用いることができ、締結部品と協働的に係合するようになっている。ここで、この締結部品は、自身が嵌め込まれる継手部材へねじ込むことができるようになっている。ブッシュ26、154、164に接続されていない、あるいは接続することができないスリーブ22、154、164は、図1に示した既知のスリーブより優れた利点、すなわち、軽い圧入で工具を必要とすることなく継手部材と嵌合させることができ、必要に応じて継手部材から取り外して再使用することができるという利点を有している。
【0065】
上記の実施形態において、スリーブの可動部はスリーブ壁に設けられたスロットによって少なくとも部分的に画定されているが、このことに限定されるものではない。一又は複数の可動部は、スリーブ壁を選択的に薄くすることによって形成することができ、これにより壁の所定部分が、スリーブが嵌め込まれる凹部の壁を押圧するように外方へ膨めるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】使用時のカム部品用の既知のハウジングの斜視図である。
【図2】本発明に係るハウジングの側面図であり、ここに収容されるべき締結部品及び締付部品を挿入する前の開いた状態を示している。
【図3】図2のハウジングの部分断面平面図であり、締結部品及び締付部品を収容した閉じた状態を示している。
【図4】図3のIV-IV線に沿った断面図であり、継手の2個の部材を嵌合したハウジングを示している。
【図5】締付部品の側面図である。
【図6】図5のVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】締付部品が図3に示した位置から約90度時計回りに回転した状態で図3のスリーブ及び締付部品を示す拡大図である。
【図8】締結部品の側面図である。
【図9】スリーブとブッシュとが着脱可能に接続されている継手形成装置の部分断面平面図である。
【図10】別の継手形成装置の部分断面平面図である。
【図11】更に別の継手形成装置の部分断面平面図である。
【図12】図11のXII-XII線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0067】
20…ハウジング、22…スリーブ、24…締付部品、26…ブッシュ、28…膨張部、30…締結部品、32…キャップ、34…内面、36…貫通穴、38…ドライバースロット、40、42…可動部、44…スロット、46…矢印、48…自由端、50…リブ、52…カム手段、54…窪み、56…突起、58…周面、60…貫通通路、64…スロット、66…軟質隔膜、68…前端部、70…コーナー部、124、132…凹部、72…リブ、73…とげ、74、76…本体部分、78…ヒンジ部、80…突起、82…穴、84…スピゴット、86…キャッチ部品、88…凹部、90…開口、92…頭部、94…スロット、96…首部、98…カム面、100…係合面、101…回転軸、102…内部カム手段、103…前端、104…隆起部、106…縦軸、108…貫通穴、110…テーパ部、120、122…部材、126…縁、128、134…主要面、136…前端、138、140…壁、142…延長アーム、144…凹部、150…スリーブ、152…締付部品、154…ブッシュ、156…コイルばね、158…可動部、160…スリーブ、162…締付部品、164…ブッシュ、166…リング部品、168、170…ストラット。
【技術分野】
【0001】
本発明は継手形成装置に関し、特に、そのような継手形成装置用のハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
2個の部材間に継手(joint)を形成するための既知の継手形成装置は、継手部材の一方に、当該継手部材の表面に挿入して先端を当該継手部材から突出させることのできる細長いピンの形をした締結部品と、他方の継手部材の凹部に配置され、当該ピンの頭部を収容するように構成された回転可能なカム部品の形をした締付部品とを備えている。2個の部材間の継手は、前記頭部を掴持して前記ピンを自身の内部へ引き込むカム部品を回転させて、両部材を引き寄せることにより形成することができる。このような継手形成装置は、英国特許公報第2241299B号、英国特許公報第224682B号、及び英国特許公開公報第227793A号、並びに英国特許出願第9326352.3号に開示されている。
【特許文献1】英国特許公報第2241299B号明細書
【特許文献2】英国特許公報第224682B号明細書
【特許文献3】英国特許公開公報第227793A号明細書
【特許文献4】英国特許出願第9326352.3号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、カム部品用の凹部は一方の継手部材の主要面に形成されており、ピンは、当該部材の一つの縁から延びてこの凹部へ開口する内腔を通じて接近するようになっている。カム部品を収容する継手部材の加工工数削減のため、カム部品用の凹部を、図1に示すように継手部材の縁に形成することが知られている。この場合、カム部材10は、スリーブ12内に収容される。このスリーブ12には、ピンの頭部をカム部品に挿入できるように、スロット14が設けられている。上記の凹部は、その中へスリーブが圧入されるように形成されており、このスリーブには凹部の壁18を把持(グリップ)するためのフォーメーション(成形部)16が設けられている。
【0004】
通常はプラスチック材料から製造される既知のスリーブには、二つの欠点がある。第一に、継手組立者が、通常、木槌を用いてスリーブを凹部へ打ち込む必要があることであり、第二に、何らかの理由でスリーブが凹部へ正しく嵌め込まれなかった場合、継手部材及び/又はスリーブを傷つけずにスリーブを取り外すことが殆ど不可能となることである。このような継手形成装置が広く利用される組立式家具業界においては、工具を用いずに継手部材に嵌めることができ、また継手形成装置の部品又は継手部材を損傷することなく継手部材から容易に取外すことのできる装置を提供することが望ましい。
【0005】
上述の問題点の少なくとも一部を解決するのが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、2個の部材間に継手を形成するための継手形成装置用のハウジングであって、この継手形成装置のカム部品を収容するためのスリーブを備え、使用時において、前記継手の締付中に、スリーブに収容された前記カム部品の移動に応じて前記スリーブの外周の外方へ移動して、スリーブが嵌合される前記部材の一方の凹部の壁と押圧係合できるようになっている少なくとも一つの可動部を有するハウジングを提供する。
【0007】
前記又は前記各可動部は、カム部品の前記移動に応じて弾性的に撓むことができるようになっていても良い。
【0008】
前記又は前記各可動部は、前記スリーブに設けられた一つ以上のスロットによってスリーブの他の部分から部分的に分離した前記スリーブの一体部分であっても良い。
【0009】
前記又は前記各可動部は、ほぼL字形のスロットによってスリーブの他の部分から部分的に分離されていても良い。
【0010】
前記可動部、又は前記可動部の少なくとも一つは、スリーブに収容された締付部品と協働して、少なくとも部分的に前記又は前記各可動部の外方への移動を生じさせることが可能なカム手段を備えていても良い。
【0011】
前記ハウジング手段は、カム部品のフォーメーション(成形部)と協働して継手形成装置のロッキングを容易にすることができるフォーメーション(成形部)を備えていても良い。
【0012】
前記ハウジングのフォーメーションは、カム部品を収容するための凹部を画定するスリーブの面内にほぼ等間隔に配置された窪みを備えるものであっても良い。
【0013】
このハウジングは更に、継手形成装置の細長い締結部品が上記のスリーブに収容されたカム部品と係合可能なようにこの締結部品の少なくとも膨張部を収容するためのブッシュであって、このスリーブと一体又は着脱可能となっているブッシュを備えていても良い。
【0014】
本発明には更に、2個の部材間の継手形成に用いるための装置であって、前記部材の一方の凹部に嵌め込まれたハウジングと、このハウジングに収容された締付部品と、縦軸を有し継手部材の他方に嵌合されるようになっている細長い締結部品とを備え、締付部品が締結部品の対応する係合面と係合して協働しうるようになっていて、これにより、締付部品の移動によって締結部品を軸方向に移動させて、当該装置により両部材間に形成された継手を締め付けるようになっている少なくとも一つのアーチ形カム面を有しており、前記ハウジングは、締付部品を収容するためのスリーブを備えており、このハウジングは、使用時に、スリーブ中に収容された締付部品の移動による継手の締付けに応じてスリーブ外周の外方へ移動して、スリーブが嵌合される凹部の壁と押圧係合できるようになっている少なくとも一つの可動部を有している装置も含まれる。
【0015】
上記の可動部の少なくとも一つは、少なくとも部分的に前記又は前記各可動部の前記外方運動を生じさせるように、上記のスリーブに収容された締付部品と協働しうるカム手段を備えていても良い。
【0016】
上記のハウジングには、継手形成装置のロッキングを容易にするように、締付部品のフォーメーション(成形部)と係合して協働しうるようになっているフォーメーション(成形部)が設けられていても良い。
【0017】
このハウジングのフォーメーションは、締付部品を収容するための凹部を画定するスリーブの表面に周方向に間隔を空けて配設された窪みを備えていても良く、締付部品のフォーメーションは、締付部品の外面上に複数の突起を備えていても良い。
【0018】
この締付部品は、前記又は前記各可動部を動作させるためのカム手段を備えていても良い。
【0019】
前記ハウジングは更に、締付部品の回転によって前記又は前記各カム面が前記細長い締結部品の対応する係合面と係合しうるように、少なくとも締結部品の膨張部を収容するためのブッシュであってスリーブと一体又は着脱可能となっているブッシュを備えていても良い。
【0020】
このブッシュは、弾性手段によってスリーブに接続されているか、又は接続可能となっていても良い。
【0021】
この弾性手段は、複数の軟質隔膜を備えるものであっても良い。
【0022】
また、上記のブッシュは、スリーブと着脱可能になっていても良く、ここで、このブッシュは、その端部から延びる軟質隔膜手段を有し、スリーブは、軟質隔膜手段を収容するための凹部を画定していると良い。
【0023】
上記のブッシュはスリーブと一体であっても良く、ここで、スリーブ及びブッシュは第1の本体部分及び第2の本体部分を有し、これらの両部分は相互にスナップ嵌合可能となっていると良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を良く理解できるように、以下では、添付図面を参照しながら幾つかの実施形態を説明する。なお、この実施形態は、単に例として挙げたものに過ぎない。
【0025】
図2から図8に示されるように、2個の部材間に継手を形成する継手形成装置用のハウジング20は、継手形成装置の締付あるいはカム部品24を収容するためのスリーブ22と、少なくともこの装置の細長い締結部品30の膨張部28を収容するためのブッシュ26とを備えている。ハウジング20、締付部品24及び締結部品30は、組み合わせた状態において、2個の部材(組立式家具の一アイテムの2枚のパネル等)の間に継手を形成するための継手形成装置を構成している。
【0026】
図2には、ハウジング20が、以下でより詳細に説明するように一体型の割りプラスチック成形品として製造することができるような開いた状態で示されている。また、閉じた使用状態のハウジングは、図3に示されている。
【0027】
スリーブには、ほぼ平板状のキャップ(蓋)32が設けられており、このキャップは、締付部品が収容される略円形断面の凹部をスリーブの内面34と協同して画定している。キャップ32には貫通穴36が設けられており、この貫通穴を通して締付部品のドライバースロット38への接近が可能になっている。
【0028】
ハウジングは、対向配置された可動部40、42を備えている。これらの可動部40、42は、スリーブ22に収容された締付部品24の継手締付方向への移動に応じて、矢印46(図3を参照)の向きに沿ってスリーブの外周のほぼ径方向外向きに移動できるようになっている。この移動によって、スリーブは少なくとも部分的に径方向外向きに膨張(拡径)して、使用時にスリーブが嵌め込まれる凹部の壁をグリップするようになっている。
【0029】
図2に最もよく示されるように、各可動部40、42は、スリーブ22と一体の部分であって、ほぼL字形のスロット44によって残りの部分から部分的に分離されている。
【0030】
スロット44は、スリーブの外周とスリーブの内面34との間に延在している。各可動部は、対応するスロット44によって画定される自由端48を有している。
【0031】
可動部42には、カム手段が設けられている。このカム手段は、リブ50を備えており、このリブ50は、スリーブ内に配置されて、締付部品のカム手段52との協働作用により可動部40、42をほぼ径方向外向きに動かすようになっている。リブ50は、可動部42の長手方向に延びており、その内面34上の高さは徐々に増加して、可動部42の自由端48に隣接するリブ終端において最高になる。
【0032】
ハウジング20は更に、窪み54のように図示されるフォーメーション(形成部)を備えている。このフォーメーションは、突起56のように図示される締付部品24のフォーメーションと協働できるようになっていて、継手形成装置のロッキングを容易にしている。なお、図3においては、図面を明瞭にするため、隠れた詳細を描写するときに通例用いられる破線によって窪み54及び突起56を図示することはしていない。
【0033】
これらの窪みは、スリーブの内面34の長手方向に沿ってほぼ等間隔に配置されている。図5に最も良く示されるように、突起56は締付部品の周面58上に配置されている。これらの突起は、180度隔てた二つのグループをなすように配置されており、そのうちの一つのグループが図5に示されている。使用時に、スリーブ内に収容された締付部品を回転させると、突起と窪みとの協働可能な係合はラチェットのような効果を発揮して、継手形成装置の複数のロック位置を定める。
【0034】
ブッシュ26は貫通通路60を有する略円筒形の部品であり、この貫通通路60はスリーブ22から遠い端部を有しており、このスリーブ22は締結部品30の膨張部28に応じた形状をしている。このブッシュは、長手方向に延びる対向した複数のスロット64を備えており、これらのスロット64は、使用時において、ブッシュが略径方向外向きに容易に膨張できるようにして、ブッシュが嵌め込まれる凹部の壁との押圧係合を設けるようにしている。
【0035】
スリーブ22及びブッシュ26は、対向する複数の軟質隔膜66という形の弾性手段によって接続されている。これらの隔膜66はその長手方向に沿ってアーチ形であり、ブッシュの略方形の前端部68の対向する両側からスリーブ22の対向する両コーナー部70まで延びている。
【0036】
スリーブ及びブッシュには、スリーブ/ブッシュが膨張してこれらに対応する凹部124、132の壁を押圧するときにこの壁を把持するための外部フォーメーション(成形部)が設けられている。スリーブのフォーメーションは、少なくとも部分的にスリーブの周方向に延びる細長いリブ72から構成されている。このリブ72、キャッチ部品86の領域で連続していない。また、ブッシュのフォーメーションは、両スロット64間に延在する複数のとげ(barbs)73から構成されている。
【0037】
スリーブ22、ブッシュ26及び軟質隔膜66は一体であって、上記のように一体型の割りプラスチック成形品として製造することができる。具体的には、この成形品は、それぞれハウジングの半分ずつを画定する第1の本体部分74及び第2の本体部分76を備えており、特に、両本体部分74、76は、それぞれブッシュ及びスリーブの半分と、両者間に延在する一つの軟質隔膜とを画定している。ブッシュの各半分を画定する両本体部分74、76の各端は、ヒンジ部78で接続されている。両本体部分は、ヒンジ部78を中心として重ね合わせて、図3に最も良く示される閉じた使用状態とすることができる。これらの本体部分は、互いにスナップ嵌合できるようになっている。また、これらの本体部分としては、第1の本体部分74に1個の突起80が設けられ、この突起80が第2本体部分76に形成されたスピゴット84中の内腔82にスナップ嵌め込みできるようになっているものが図示されている。ブッシュから遠いスリーブ22の端において、第2の本体部分76にはキャッチ部品86が設けられており、このキャッチ部品86は、第1の本体部品74において符号88で示される凹部とスナップ嵌合するように、スリーブのほぼ円周方向に延びている。
【0038】
上記のように、可動部40、42を画定するスロット44は、スリーブの外周と内面34との間に延在している。プラスチック成形工程の効率改善と、特に工具の摩耗低減のためには、プラスチック材料からなる薄い隔膜を表面34に隣接させて残し、スロット44がスリーブ部の内部まで延びないようにする。この隔膜の厚さを1mm程度にすれば、この隔膜が可動部40、42の外方への動きを妨げるようなことはないものと思われる。
【0039】
締付部品24は開口90を有する略ドラム状の部品から構成されており、締結部品30の頭部92は、この開口を通して締付部品を中空内部へ挿入するようになっている。スロット94は、開口90から締付部品の周方向に部分的に延びており、図4に示すように、締結部品の首部96を収容できるようになっている。
【0040】
締付部品は更に、2つのアーチ形カム面98を備えており、これらのカム面は締結部品の分離した対応係合面100と係合できるようになっており、これにより、締付部品が(図3で見て)時計回りに回転することで、締結部品が締付部品の回転軸101に向かって軸方向に動くようになっている。
【0041】
締付部品は、2つのアーチ形カム面98に加えて、締結部品の締結状態からの解放が容易になるように、締付部品が反時計回りに回転したとき締結部品を回転軸101から離れる方向へ軸方向に移動させるための内部カム手段102を備えている。この内部カム手段は、隆起部(ridge)104を画定する面102を備えており、この隆起部104は、回転軸101にほぼ平行に延びて、締結部品の先端103と係合するようになっている。
【0042】
締付部品の(図4で見た)下端における締付部品24の外周面58は、カム手段52を画定するような輪郭を有している。図5に最も良く示されるように、締付部品は、半径Rで定められる略円形の輪郭(profile)を有している。カム手段52は、約90度の角度範囲θを有する下端外周面の一区域を含んでおり、この角度範囲θは、Rよりも小さな変動半径範囲RLを有している。カム手段52の半径範囲RLの減少率は、角度θで定義される区域の時計回りの方向に沿って徐々に増加する。従って、カム手段52は、半径Rを有する部分と、その角度範囲にわたって半径Rより徐々に小さくなる半径範囲RLを有する逃げ部θとを備えている。逃げ部θの輪郭は、可動部42とカム手段52の逃げ区域(relievedsection)θとの接触がほぼ連続的となるように、リブ50の輪郭を相補しうるようなものとなっている。
【0043】
図8に示されるように、締結部品30は、略方形、好ましくは正方形の横断面を有する前端部104と、膨張部28とを備える細長いピン部材である。前端部104は、頭部92及び首部96からなる。この首部は、締結部品の縦軸106を横断して延びる複数の対向スロットによって画定されている。締結部品の複数の係合面100は、それぞれ首部96を画定する複数のスロットのうちの対応する一個の壁によって画定されており、縦軸106を横断する長さを有している。
【0044】
この締結部品には、2個の本体部分74、76がスナップ嵌合によって一体にされるとき突起80及びスピゴット84が収容される貫通穴108が設けられている。
【0045】
膨張部28は略円形の横断面を有しており、複数のテーパ部110を備えている。膨張部28の機能とブッシュ26との相互作用は、以下で詳細に説明する。
【0046】
必須条件ではないが、ハウジング20、締付部品24及び締結部品30から成る継手形成装置は、図3に示すように組立てた状態で供給されることが想定されている。この形成装置を組み立てるには先ず、図2に示すように、ハウジング20を開いた状態で取り、次にスリーブ22の片方の半分において内面34によって画定された凹部へ締付部品24を挿入する。締結部品30の挿入を可能にするために、締付部品の開口90は、ブッシュ26の貫通通路60に面するように配置されている。締結部品は、突起80又はスピゴット84が締結部品の貫通穴108内へ延びた状態で、2個の本体部分74、76のどちらに締結部品や締付部品が挿入されるかに応じて、膨張部28をブッシュの対応する半分へ挿入することによりハウジングに嵌め込まれる。この状態で、締結部品の頭部92は、締付部品の内部に位置しており、締付部品を時計回りに回転させるとカム面98が締結部品の対応する係合面100と係合するようになっている。この装置の組立ては、突起80と内腔82、並びにキャッチ部品86と凹部88とがスナップ嵌合するように2個の本体部分を引き合わせることによって行われる。この組立状態では、継手形成用の2個の部材と嵌合させる準備のできた一体の継手形成装置が提供される。
【0047】
図4に示されるように、2個の部材120、122間に継手を形成するには、ブッシュ26が継手部材120の縁126を越えて延びた状態で、スリーブ22を部材120内の凹部124に嵌め込む。凹部124は、部材120の主要面128内に形成されており、第2のハウジングが縁120を越えて延びることができるようにするためには、この凹部124を縁126で開口するように配置しても良い。この他には、凹部124及び縁126間に延在する凹部を更に設けてもよい。凹部124の寸法は、キャップ32を上から軽く押さえるだけでスリーブが中に挿入されるような寸法とするのが良い。キャップ32は、スリーブ用の深さストッパの役割を果たし、また、凹部124の形成によって部材120の表面128に形成された傷を覆うようになっている。
【0048】
スリーブ22がこのように凹部124に取り付けられた状態では、継手の組立は、ブッシュ26が継手部材122の主要面134の凹部132へ入るように、部材122を縁126の方へ動かすことによって完了する。部材122の主要面134が縁126に当接すれば、組立は完了である。凹部132の寸法は、2個の継手部材を引き合わせて主要面134が縁126に当接する状態にするのにほとんど力が必要とならないように、ブッシュと狭いすきま嵌めを形成するような寸法であるのが好ましい。以下でより詳細に説明するように、ブッシュ及びスリーブ間を可撓接続することの利点を示すため、2個の部材間に隙間が示されている。
【0049】
このようにして組立てられた継手は、ドライバースロット38からドライバー(ねじ廻し)を挿入し、締付部品24を時計回りに回すことによって緊締される。最初に締付部品を90度回転させると、開口90が貫通通路60との整列から外れるように移動し、カム面の対応する前端136が、図7に示す位置の対応する係合面100と係合する位置に来る。このような最初の90度程度の回転中、カム手段52の逃げ区域θは、カム手段52のうち半径Rを有する部分がリブ50に接触するように貫通通路60に沿って移動する。締付部品が回転するにつれて、逃げ区域θとの接触が全半径R部分との接触に置き換わるので、可動部42は矢印46の方向に沿って径方向外向きに次第に撓む。可動部40に作用するカム手段52の半径は、締付部品の回転によって増加することはないが、凹部124の寸法が正しければ、可動部42は、凹部124の壁138に接触する前はある程度外方へ動くことしかできず、このため、可動部40の外方移動によって第1のハウジングは更に膨張する。更に詳しく説明すると、締付部品の回転による最初の効果は、可動部42が、壁138と押圧係合してそれ以上動けなくなるまでリブ50とカム手段52との相互作用によって外方へ動かされることである。締付部品を回転させてカム手段52とリブ50との相互作用を継続させると、締付部品をスリーブ部内で可動部40の方向へ動かす力が生じるようになり、可動部40はこれによりスリーブ部の外周の外方へ動かされ、壁138と押圧係合する位置に達する。このように、締付部品の最初の90度程度の回転によって締付部品は略径方向外向きに膨張し、締付部品が嵌め込まれる凹部124の壁138を押圧するようになっている。
【0050】
図1に示す位置を越えて締付部品22を引き続き時計回りに回転させると、締結部品の対応する係合面100と係合しているカム面98は、締結部品を締付部品の回転軸101に向けて軸方向に動かす。この移動による最初の効果は、テーパ部110を貫通通路60の対応するテーパ部へ引き込み、ブッシュ26を径方向外向きに膨張させて、凹部132の壁140を押圧させることである。スリーブ及びブッシュが一旦膨張されてそれぞれの凹部の壁を押圧すれば、締付部品を更に回転させることにより継手部材120、122に圧縮力が加わり、緊密な継手が確実に形成される。
【0051】
第1及び第2ハウジングがそれぞれの対応する凹部に押し込まれる箇所を越えて締付部品を引き続き時計回りに回転させることによって、更に二つの効果が得られる。第1に、締付部品が第1のハウジング内で継手部材の縁126に向かってわずかに動く傾向を有することである。この動きは、第1のハウジングの両半分を強制的に分離することによって第1のハウジングを更に膨張させる。このようにして、スリーブ部の外周と凹部124の壁138との間の押圧係合が強化される。締付部品を回転させることにより、二つのカム作用、すなわち、第1に、カム手段52とリブ50との相互作用、第2に、締付部品の第2のハウジングへの直線移動が生じることになる。
【0052】
上述の第2の効果とは、2個の継手部材間の隙間を閉じることである。凹部124、132の寸法が正しく(すなわち所定の許容差内にあり)かつ主要面134及び縁126が平坦であれば、ふたつの継手部材を、上述のように手で隙間なく引き合わせることができるはずである。このような場合、締付工程における引き締めは不要である。しかし、このような理想的な状態は、常に得られるとは限らず、図4に示すように最初に隙間ができることも考えられる。軟質隔膜66が弾性(レジリエンス)を有しているので、継手形成装置は必要なときに引き締め動作を起こすことができる。更に詳細に説明すると、2個のハウジングが膨張されて対応する凹部の壁と押圧係合するときに両部材間に隙間がある場合、アーチ形カム面98によって発生し締結部品を回転軸101の方向へ引き寄せる引っ張り力によって、軟質隔膜66がほぼスリーブ22の方向へ内向きに撓み、部材122がブッシュ26を介して部材120へ引き寄せられて、隙間を閉じるようになっている。一旦隙間が閉じられれば、引き続き締付部品を回転させることにより、継手部材に圧縮力が加わり、堅い継手が確実に形成されるようになる。
【0053】
この継手は上記の締付け工程を逆に行うことによって容易に分解することができる。締付部品を反時計回りに回転させると、弾性撓み可能な可動部は締付部品の外周方向へ動いてスリーブを非膨張状態に戻し、締結部品は面102と締結部品の前端103との接触によって回転軸から押し離される。締付部品が、開口90が貫通通路60と一列になる位置を越えて反時計回りに回転させられると、締結部品の前端103に隆起部104が接触する。隆起部104の形状は、締結部品を実質的に回転軸101から遠ざかるように移動させ、そのことによって膨張部28を貫通通路60のテーパ部との膨張係合がはずれるように移動させるようなものとなっている。隆起部104によって締結部品が動かされると、膨張部28は、ブッシュを凹部132から容易に取り外すことができるように、ブッシュが非膨張状態へ戻ることのできる位置へ確実に動かされる。
【0054】
スリーブ22及びブッシュ26が非膨張状態へ戻ったときに各ハウジングを対応する凹部124、132から外すことによって、継手を分解することができる。スリーブ及びブッシュは、弾性変形によって膨張状態をとることができるので、継手形成装置は再使用することができる。
【0055】
スリーブ及びブッシュ間の接続手段に関して言えば、これらの手段が弾性を有することは好ましいが、このことは必須ではない。この接続は、剛性手段によって行うこともできる。しかし、剛性接続の場合、上記の引き締め作用は発生せず、従って、この継手形成装置は、場合によっては、堅く締付けても継手部材間に隙間のある継手をもたらすことがある。
【0056】
また、スリーブ、ブッシュ、及びこれらの接続手段が一体であることは必須ではない。この代わりに、図9に示すように、スリーブとブッシュとは接続手段によって離脱可能に接続することができる。
【0057】
図9において、スリーブ及びブッシュの構成は図3に示した継手形成装置とほぼ同じであり、従って、類似の部品を説明するときは同一の参照符号を使用する。図示のように、スリーブ22及びブッシュ26は、図3の実施形態のように分割状態ではなく、一体の部品として形成されていてもよい。スリーブ22は、可動部40、42及び平板状のキャップ32を備えている。このスリーブは、ブッシュ26に向かって延びるアーチ形延長アーム142を備えている。延長アーム142及びキャップ32は、凹部144を画定している。
【0058】
ブッシュ26の一端には軟質隔膜66が配接されている。この隔膜66は開口部を備えていて、この開口部を通って締結部品の頭部92が突出し、締付部品24のカム面と係合するようになっており、さらに、隔膜66は、第2のハウジングの反対側から延びる対応部分を有している。
【0059】
スリーブとブッシュとを接続するには、軟質隔膜66を凹部144へ挿入する。隔膜66及び延長アーム142は、両者間の相互作用によってスリーブ及び延長アーム間の接続を維持する力を生み出すように構成されている。このようにして、図9の継手形成装置は、一体の継手形成装置として、組立て済みの状態で顧客に供給することができる。
【0060】
図9の形成装置を用いた継手の組立てと締付工程は、図2乃至図8に示した形成装置について説明したものと一致する。
【0061】
ここで、第1のハウジングと第2のハウジングとを接続するための他の手段を示す継手形成装置の更に別の実施形態を、図10乃至図12を参照しつつ説明する。
【0062】
図10において、締付部品152を収容しているスリーブ150は、コイルばね156という形態の弾性接続手段によってブッシュ154に接続されている。スリーブ150、ブッシュ154及びコイルばね156は一体であり、一体型のプラスチック成形品として製造することができる。この成形品は、最初に説明した実施形態のように分割されてはおらず、第1のハウジングに、締付部品の回転によってこのハウジングを径方向外向きに膨張させる可動部158が設けられている。2個の部材間の継手の形成、締付け、及び分解は、図2乃至図8の継手形成装置に関して説明したものと同様に行うことができる。
【0063】
図11及び図12において、締付部品162を収容しているスリーブ160は、一体の弾性接続手段によってブッシュ164に接続されている。この接続手段は対向するペアのストラット168、170に接続されたリング部品166から成る。スリーブ160から延びる両ストラット168は、ブッシュ164から延びる両ストラット170に対して半径方向に90度ずれている。図10の実施形態のように、スリーブ160、ブッシュ164、及び弾性接続手段166、168、170は一体であって、一体型のプラスチック成形品として製造することができる。この成形品は、必要ならば割り成形品とすることもできる。
【0064】
スリーブ22、150、160はそれ自体、図1に示したものと同様に締付部品を収容するのに用いることができ、締結部品と協働的に係合するようになっている。ここで、この締結部品は、自身が嵌め込まれる継手部材へねじ込むことができるようになっている。ブッシュ26、154、164に接続されていない、あるいは接続することができないスリーブ22、154、164は、図1に示した既知のスリーブより優れた利点、すなわち、軽い圧入で工具を必要とすることなく継手部材と嵌合させることができ、必要に応じて継手部材から取り外して再使用することができるという利点を有している。
【0065】
上記の実施形態において、スリーブの可動部はスリーブ壁に設けられたスロットによって少なくとも部分的に画定されているが、このことに限定されるものではない。一又は複数の可動部は、スリーブ壁を選択的に薄くすることによって形成することができ、これにより壁の所定部分が、スリーブが嵌め込まれる凹部の壁を押圧するように外方へ膨めるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】使用時のカム部品用の既知のハウジングの斜視図である。
【図2】本発明に係るハウジングの側面図であり、ここに収容されるべき締結部品及び締付部品を挿入する前の開いた状態を示している。
【図3】図2のハウジングの部分断面平面図であり、締結部品及び締付部品を収容した閉じた状態を示している。
【図4】図3のIV-IV線に沿った断面図であり、継手の2個の部材を嵌合したハウジングを示している。
【図5】締付部品の側面図である。
【図6】図5のVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】締付部品が図3に示した位置から約90度時計回りに回転した状態で図3のスリーブ及び締付部品を示す拡大図である。
【図8】締結部品の側面図である。
【図9】スリーブとブッシュとが着脱可能に接続されている継手形成装置の部分断面平面図である。
【図10】別の継手形成装置の部分断面平面図である。
【図11】更に別の継手形成装置の部分断面平面図である。
【図12】図11のXII-XII線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0067】
20…ハウジング、22…スリーブ、24…締付部品、26…ブッシュ、28…膨張部、30…締結部品、32…キャップ、34…内面、36…貫通穴、38…ドライバースロット、40、42…可動部、44…スロット、46…矢印、48…自由端、50…リブ、52…カム手段、54…窪み、56…突起、58…周面、60…貫通通路、64…スロット、66…軟質隔膜、68…前端部、70…コーナー部、124、132…凹部、72…リブ、73…とげ、74、76…本体部分、78…ヒンジ部、80…突起、82…穴、84…スピゴット、86…キャッチ部品、88…凹部、90…開口、92…頭部、94…スロット、96…首部、98…カム面、100…係合面、101…回転軸、102…内部カム手段、103…前端、104…隆起部、106…縦軸、108…貫通穴、110…テーパ部、120、122…部材、126…縁、128、134…主要面、136…前端、138、140…壁、142…延長アーム、144…凹部、150…スリーブ、152…締付部品、154…ブッシュ、156…コイルばね、158…可動部、160…スリーブ、162…締付部品、164…ブッシュ、166…リング部品、168、170…ストラット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の部材間に継手を形成するための継手形成装置用のハウジングであって、前記継手形成装置は締付部品と締結部品とを備えるものであり、前記部材の一方に嵌合可能であり前記締付部品を収容するためのスリーブを備え、使用時において、前記継手の締付中に、前記スリーブに収容された前記締付部品の移動に応じて前記スリーブの外周の外方へ移動して、前記スリーブが嵌合される前記2個の部材の前記一方の凹部の壁と押圧係合できるようになっている少なくとも一つの可動部を有し、前記継手形成装置のロッキングを容易にするように前記締付部品に設けられたフォーメーションと協働して係合することができるフォーメーションを備えているハウジング。
【請求項1】
2個の部材間に継手を形成するための継手形成装置用のハウジングであって、前記継手形成装置は締付部品と締結部品とを備えるものであり、前記部材の一方に嵌合可能であり前記締付部品を収容するためのスリーブを備え、使用時において、前記継手の締付中に、前記スリーブに収容された前記締付部品の移動に応じて前記スリーブの外周の外方へ移動して、前記スリーブが嵌合される前記2個の部材の前記一方の凹部の壁と押圧係合できるようになっている少なくとも一つの可動部を有し、前記継手形成装置のロッキングを容易にするように前記締付部品に設けられたフォーメーションと協働して係合することができるフォーメーションを備えているハウジング。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−232218(P2007−232218A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97726(P2007−97726)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【分割の表示】特願平8−138908の分割
【原出願日】平成8年5月31日(1996.5.31)
【出願人】(596077570)タイタス インターナショナル ピーエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】Titus International PLC
【住所又は居所原語表記】Ridgeway Industrial Estate, Iver, Buckinghamshire, England, SL09HW
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【分割の表示】特願平8−138908の分割
【原出願日】平成8年5月31日(1996.5.31)
【出願人】(596077570)タイタス インターナショナル ピーエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】Titus International PLC
【住所又は居所原語表記】Ridgeway Industrial Estate, Iver, Buckinghamshire, England, SL09HW
【Fターム(参考)】
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