説明

ハニカム構造体の検査方法、及び、ハニカム構造体の製造方法

【課題】測定条件の影響が少なく、かつ、短時間で正確にハニカム構造体の長手方向の形状を計測することができるハニカム構造体の検査方法を提供する。
【解決手段】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体からなるハニカム構造体の検査方法であって、基準面と、上記基準面に垂直に設けられたレール、及び、上記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、上記基準面に上記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、上記測定子を上記基準面に近づける方向に移動せしめて上記ハニカム構造体の他方の端面に上記探針を接触させることにより、上記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の検査方法及びハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたセラミックフィルタが種々提案されている。
【0003】
図5は、このようなハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、そのA−A線断面図である。
【0004】
ハニカム構造体130では、図6(a)及び(b)に示すようなハニカム焼成体140がシール材層(接着剤層)131を介して複数個結束されてセラミックブロック133を構成し、さらに、このセラミックブロック133の外周にシール材層(コート層)132が形成されている。
また、ハニカム焼成体140は、図6(a)及び(b)に示すように、長手方向に多数のセル141が並設され、セル141同士を隔てるセル壁143がフィルタとして機能するようになっている。
【0005】
すなわち、ハニカム焼成体140に形成されたセル141は、図6(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封口材層142により目封じされ、一のセル141に流入した排ガスは、必ずセル141を隔てるセル壁143を通過した後、他のセル141から流出するようになっており、排ガスがこのセル壁143を通過する際、パティキュレートがセル壁143部分で捕捉され、排ガスが浄化される。
【0006】
従来、このようなハニカム構造体130を製造する際には、例えば、まず、セラミック粉末とバインダと分散媒液等とを混合して湿潤混合物を調製する。そして、この湿潤混合物をダイスにより連続的に押出成形し、押し出された成形体を所定の長さに切断することにより、角柱形状のハニカム成形体を作製する。
【0007】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させ、その後、所定のセルに目封じを施し、セルのいずれかの端部が封口材層により封止された状態とした後、脱脂処理及び焼成処理を施し、ハニカム焼成体を製造する。
【0008】
この後、ハニカム焼成体の側面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体同士を接着させることにより、シール材層(接着剤層)を介してハニカム焼成体が多数結束した状態のハニカム焼成体の集合体を作製する。次に、得られたハニカム焼成体の集合体に、切削機等を用いて円柱、楕円柱等の所定の形状に切削加工を施してセラミックブロックを形成し、最後に、セラミックブロックの外周にシール材ペーストを塗布してシール材層(コート層)を形成することにより、ハニカム構造体の製造を終了する。
【0009】
なお、本明細書において、ハニカム成形体、ハニカム焼成体、ハニカム構造体のいずれの形態においても、それぞれの外形状をなす面のうち、セルが露出している面を端面といい、端面以外の面を側面という。
【0010】
上記のようなハニカム構造体(セラミックフィルタや触媒担持体)は、通常、ケーシング内に収納されて使用される。そのため、ハニカム構造体をケーシング内に収納する前に、製造したハニカム構造体が、上記ケーシングに適合するような所定の形状を有しているか否かを検査する必要がある。
【0011】
ここで、製造したハニカム構造体の形状を検査する方法としては、例えば、ハニカム構造体の外形状(端面)を撮像して原画像を取得し、この原画像に画像処理を施しハニカム構造体の外形状を測定する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】特開2002−267427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1の方法では、画像変換処理を行なった画像において、形状の変化に応じた輝度の変化を求めることによりハニカム構造体の形状を検査している。上記輝度の変化を求めるためには、撮像した原画像に対して1画素ごとに画像変換処理等を行なう必要があり、照明条件や振動等の測定条件がわずかでも変化すると、測定結果において大きな誤差が生じてしまう。この測定誤差を最小限に抑えるには測定条件を厳密に設定する必要があり、そのために多大なコストや時間を要していた。また、特許文献1の方法では、端面の半径方向の形状のみを測定対象としており、ハニカム構造体の長手方向の形状は測定対象としていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ない、ハニカム構造体の長手方向の形状を計測し、そのハニカム構造体が規格に合致しているか否かについて、短時間で正確に判断することができ、かつ、計測条件の影響が少ないハニカム構造体の検査方法、及び、このような検査方法をとり入れたハニカム構造体の製造方法を見出した。
【0015】
すなわち、本発明のハニカム構造体の検査方法は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体からなるハニカム構造体の検査方法であって、
基準面と、上記基準面に垂直に設けられたレール、及び、上記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、上記基準面に上記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、上記測定子を上記基準面に近づける方向に移動せしめて上記ハニカム構造体の他方の端面に上記探針を接触させることにより、上記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測することを特徴とする。
【0016】
上記検査方法において、検査の対象となるハニカム構造体は、複数の上記ハニカム焼成体が接着剤層を介して結束されてなるものであることが望ましく、検査の対象となるハニカム構造体は、1つの上記ハニカム焼成体からなることが望ましい。
また、上記検査方法において、上記ハニカム構造体の長手方向の形状に関する検査項目は、長手方向の長さ、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つであることが望ましい。
上記接触式計測機は、複数の測定子を備えていることが望ましい。
【0017】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を製造し、これを焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体とした後、形状を検査する形状検査工程を行なうハニカム構造体の製造方法であって、
上記形状検査工程では、基準面と、上記基準面に垂直に設けられたレール、及び、上記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、上記基準面に上記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、上記測定子を上記基準面に近づける方向に移動せしめて上記ハニカム構造体の他方の端面に上記探針を接触させることにより、上記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測することを特徴とする。
【0018】
本発明のハニカム構造体の製造方法において、検査の対象となるハニカム構造体は、複数の上記ハニカム焼成体が接着剤層を介して結束されてなるものであることが望ましく、検査の対象となるハニカム構造体は、1つの上記ハニカム焼成体からなることが望ましい。
また、本製造方法において、上記ハニカム構造体の長手方向の形状に関する検査項目は、長手方向の長さ、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つであることが望ましい。
さらに、本製造方法において使用する接触式計測機は、複数の測定子を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のハニカム構造体の検査方法によれば、形状を計測するには、測定子を構成する探針をハニカム構造体の端面に接触させるだけであるので、測定結果に及ぼす測定条件の影響が少なく、従って、測定誤差を小さくすることができる。さらに、ハニカム構造体の長手方向に沿った形状を正確かつ簡便に、短時間で評価することができるので、ハニカム構造体の検査に必要な時間を短縮させることができ、これにより、製品規格に合致するハニカム構造体のみを短時間で正確に判断することができる。
【0020】
また、本発明のハニカム構造体の検査方法では、ハニカム構造体の長手方向の形状を多点計測することから種々の検査項目を求めることができ、ハニカム構造体の製品規格の評価として多面的な評価を行なうことができる。
【0021】
上記効果に加えて、測定子を複数備えた接触式計測機では、ハニカム構造体の長手方向の形状を一回の測定で多点計測することができるので、検査時間をさらに短縮することができる。
【0022】
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記検査方法によりハニカム構造体の形状を検査するので、ハニカム構造体の長手方向の形状の情報を短時間でかつ正確に得ることができ、製造したハニカム構造体が製品規格に合格しているか否かについても短時間でかつ正確に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
まず、本発明のハニカム構造体の検査方法について図面を参照しながら説明する。
本発明のハニカム構造体の検査方法は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体からなるハニカム構造体の検査方法であって、
基準面と、上記基準面に垂直に設けられたレール、及び、上記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、上記基準面に上記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、上記測定子を上記基準面に近づける方向に移動せしめて上記ハニカム構造体の他方の端面に上記探針を接触させることにより、上記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測することを特徴とする。
【0024】
本発明の検査方法では、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体からなるハニカム構造体を検査対象とする。
上記ハニカム構造体としては、例えば、既に図5、6(a)及び(b)を参照しながら説明したような、複数のハニカム焼成体140がシール材層(接着剤層)131を介して結束され、外周にシール材層(コート層)132が形成された構成を有するハニカム構造体130(以下、集合型ハニカム構造体ともいう)や、図7に示したような、円柱形状のセラミックブロック55が1つのハニカム焼成体から構成されているハニカム構造体50(以下、一体型ハニカム構造体ともいう)等が挙げられる。上記いずれのハニカム構造体であっても、好適に、本発明の検査方法による長手方向の形状の計測の対象とすることができる。なお、図7中、51はセル、53はセル壁、54はシール材層(コート層)である。
【0025】
なお、ハニカム構造体の長手方向とは、セルが形成されている方向と平行な方向である。従って、セルが形成されている方向に沿ったハニカム構造体の長さの値と比較して、端面の直径の値の方が大きくても、セルが形成されている方向と平行な方向をハニカム構造体の長手方向という。
【0026】
なお、本明細書において、ハニカム成形体、ハニカム焼成体、ハニカム構造体のいずれの形態においても、それぞれの外形状をなす面のうち、セルが露出している面を端面といい、端面以外の面を側面という。
【0027】
図1(a)〜(c)は、一の測定子を備えた接触式計測機を用いる場合の本発明の計測原理を示す測定方法における一工程を示す模式図であり、図2(a)〜(c)は、一の測定子を備えた接触式計測機を用いる場合の本発明の計測原理を示す測定方法における他の一工程を示す模式図であり、図3(a)〜(c)は、複数の測定子を備えた接触式計測機を用いる場合の本発明の計測原理を示す模式図である。なお、各図のそれぞれに対して鉛直上方を正とする座標軸を設けている。
【0028】
図1(a)に示すように、本発明のハニカム構造体の検査方法で用いる接触式計測機10は、基準面2と、基準面2の上方に設けられた測定子3とを備えており、測定子3は、基準面2に垂直に設けられたレール3a、及び、レール3aに沿って移動する探針3bで構成されている。従って、探針3bの移動方向も基準面2に対して垂直である。なお、接触式計測機10の0点調整をする際に使用する標準サンプルSについては後述する。
【0029】
なお、接触式計測機には、測定子3を基準面2に対して垂直に支持し移動させることができる測定子支持板と、この測定子支持板を移動させるためのボールネジ等の支持部材と、測定子3の移動量を測定するための変位計とが取り付けられていてもよい。これらの部材については後述する。さらに、測定子3には、探針3bの移動量を測定するためのスケールや検出器が適宜取り付けられていてもよい。
【0030】
次に、本発明のハニカム構造体の検査方法の手順について、図面を参照しながら説明する。
第1に、ハニカム構造体の長手方向の形状を計測する前に、接触式計測機10の0点調整を行なう。ここで、0点調整とは、基準面と測定子とを含む計測系において、基準面に対する測定子の原点位置、及び、レールに対する探針の原点位置を決定する手順である。本発明のハニカム構造体の検査方法では、0点調整で決定した原点位置からの測定子及び/又は探針の相対的な移動量を検出し、検出した移動量から計測系における座標位置を求めることによりサンプルの形状等を計測する。
【0031】
具体的には、次のように0点調整を行なう。
図1(a)に示すように、標準サンプルSの一方の端面を基準面2に接触させる。標準サンプルSの端面同士は平行であり、かつ、端面間の長さ(高さ)がLであるように校正されている。これにより、図1(a)に示す状態にある標準サンプルSの上面のどの点において長さを計測しても、上記上面と基準面2との間の長さは全てLとなる。
【0032】
次いで、測定子3を基準面2に近づける方向に移動せしめて、標準サンプルSの他方の端面に探針3bを図1(a)に示すように接触させる。このときの基準面2に対する測定子3の位置、及び、レール3aに対する探針3bの位置をそれぞれの原点位置として記録することで、接触式計測機10の0点調整を行なう。ここで、探針3bの先端と基準面2との長さはLである。
【0033】
図1(a)〜(c)では、説明の便宜上、測定子3の上辺を測定子3の原点位置とし、レール3a上に示された「0」の位置を探針3bの原点位置としているが、これらに限定されず、任意の位置において原点位置を決定してもよい。
【0034】
第2に、図1(b)に示すように、0点調整後、計測対象であるハニカム構造体1の長手方向の形状を計測するために、基準面2にハニカム構造体1の一方の端面を接触させる。ここで、標準サンプルSの長さは、ハニカム構造体1の長手方向の長さより長くてもよく、短くてもよいが、長い方が望ましい。標準サンプルSの長さがハニカム構造体1の長手方向の長さより長いと、計測の際には、0点調整後の測定子3の原点位置から測定子3を基準面2に近づける方向の一方向にのみ移動させるだけでよいからである。
【0035】
そして、図1(c)に示すように、第3に、測定子3を基準面2に近づける方向に移動せしめて、ハニカム構造体1の他方の端面に探針3bを接触させることにより、ハニカム構造体1の長手方向の形状を計測する。
【0036】
測定子3の移動に際しては、計測対象であるハニカム構造体1の長手方向の長さをLとし、ハニカム構造体の長手方向の長さLから標準サンプルSの長さLを減じて得た値(L−L)の分だけ測定子3を基準面2に近づける方向に移動せしめる。
【0037】
上記値(L−L)は負の数であって、計測系に適用した座標軸は鉛直上方が正の方向であるので、測定子3を移動させる方向としては、座標軸における負の方向、すなわち鉛直下方に移動させることになり、測定子3の移動量としては、(L−L)の絶対値の分だけ移動することになる。
【0038】
なお、上記ハニカム構造体の長手方向の長さLは、計測の際に接触式計測機10に入力する設定値であり、実測値ではない。すなわち、例えば、ハニカム構造体の長手方向の長さLが100mmであるというとき、この100mmという値は実測値ではなく、製品規格値のようなハニカム構造体に要求される長さの値、又は、この長さから所定の分だけ増減させた値である。この値に基づいて接触式計測機10における測定子3の移動量が決められ、計測時に測定子3が決められた移動量の分だけ移動する。
【0039】
以下、説明を簡明にするために、計測の際の上記ハニカム構造体の長手方向の長さL(設定値)として、ハニカム構造体に要求される長さそのものの値を採用した場合について説明する。
【0040】
上述のように、ハニカム構造体1の長手方向の長さをLとすると、測定子3の移動量は(L−L)である。そして、値(L−L)の分だけ測定子3を基準面2に近づける方向に移動せしめた際の探針3bの先端の位置は、基準面2からLだけ離れた位置にある。ここで、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さがLである場合には、測定子3が値(L−L)の分だけ移動すると、探針3bとハニカム構造体1の上側の端面とがちょうど接触することになる。従って、この場合は、レール3aに対する探針3bの原点位置からの変位は0であり、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さがLであることが確認される(図1(c)参照)。
【0041】
一方、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さが(L+Z)である場合について、図22(a)〜(c)を参照しつつ計測方法を説明する。
まず、上述した手順に従って0点調節を行う(図2(a)参照)。
そして、基準面2に、標準サンプルSに代えてハニカム構造体1の一方の端面を接触させて載置する(図2(b)参照)。
ここで、ハニカム構造体1に要求される長さがLであるとして、接触式計測機10に設定値をLと入力すると、測定子3は値(L−L)の絶対値の分だけ基準面2に近づく方向(鉛直下方)に移動する。このとき、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さがLであるならば、探針3bの先端は基準面2から距離Lの位置にあり、探針3bとハニカム構造体1の上側の端面とがちょうど接触する。従って、レール3aに対する探針3bの原点位置からの変位は0を示すことになり、長さの実測値としてLであると確認されるはずである。
【0042】
しかし、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さはLではなくL+Zであるので、レール3aが値(L−L)の分だけ移動しても、探針3bはZの分だけ押し戻される(移動することができない)ことになる。この場合には、レール3aに対する探針3bの原点位置からの探針3bの変位はZ(正の数)を示し、従って、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さは、設定値であるLにZを加えた値(L+Z)であると確認される(図2(c)参照)。言い換えると、図2(b)、(c)に示すハニカム構造体1は、ハニカム構造体に要求される長さL(例えば、製品規格等)からZの分だけ大きい値(すなわち、ばらつき)を含む長手方向の長さを有する。
【0043】
本発明のハニカム構造体の検査方法では、例えば、ハニカム構造体の長手方向の長さとして、ハニカム構造体に要求される長さLではなく、そこから所定の長さdだけ短い長さ(L−d)等を設定値として接触式計測機に入力してもよい。この設定値を使用して、長手方向の実際の長さが(L+Z)であり、要求される長さがLであるハニカム構造体を計測する場合について簡単に説明する。
【0044】
上記の場合には、測定子3は(L−d−L)の分だけ移動することになり、それに応じてレール3aは(L−d−L)の分だけ移動する。このとき、ハニカム構造体の長手方向の長さがLであるとすると、探針3bは、長さdの分だけ押し戻され(移動することができず)、さらに、ハニカム構造体の長手方向の実際の長さは(L+Z)であるので、長さZの分だけ押し戻される(移動することができない)。
従って、レール3aに対する探針3bの原点位置からの変位は(d+Z)(正の数)を示すことから、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さは、設定値である(L−d)に(d+Z)を加えた値(L+Z)であると確認される。
【0045】
また、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さが(L−Z)である場合についても、上記計測手順と同様にハニカム構造体1の長手方向の長さを計測することができる。例えば、接触式計測機10に設定値Lを入力すると、測定子3は(L−L)の分だけ基準面2に近づくように移動する。移動後の状態では、探針3bの先端と基準面2との間の距離はLであるのに対し、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さは(L−Z)であるので、探針3bとハニカム構造体1の上側の端面とはいまだ接触していない(このとき、レール3aに対する探針3bの原点位置からの変位は0)。ここから探針3bがレール3aに沿って鉛直下方にZの分だけ移動する(レール3aに沿って−Zの分だけ移動する)ことにより、探針3bとハニカム構造体1の上側の端面とが接触する。このとき、レール3aに対する探針3bの原点位置からの変位は−Zを示すことから、ハニカム構造体1の長手方向の実際の長さは、設定値であるLに−Zを加えた値(L−Z)であると確認される。
【0046】
以上のようにして、本発明のハニカム構造体の検査方法では、ハニカム構造体1の長手方向の長さ)を計測することができる。計測の手順としては、上記に例示した手順に限定されず、同様の結果を得ることができる計測手順も本発明に含まれる。
【0047】
ここで、基準面2は、図1(a)に示すように水平方向に設置されていてもよく、また、鉛直方向に設置されていてもよく、傾斜して設置されていてもよい。本発明のハニカム構造体の検査方法では、ハニカム構造体を標準サンプルSのように基準面2と測定子3との間に配置し、基準面2と測定子3とで挟むようにして長手方向の形状を計測するので、ハニカム構造体を確実に固定して配置することができるのであれば、基準面2の設置方向はいずれの方向であってもよい。例えば、図1(a)に示す水平方向とは異なり、基準面2を鉛直方向に設置し、ハニカム構造体の端面を基準面2に接触させ、測定子を基準面2に垂直な方向、すなわち水平方向に移動させる等してハニカム構造体の長手方向の形状を計測してもよい。
【0048】
また、レール3a及び探針3bの構成としては、図1(a)に示す構成に限定されず、例えば、筒状のレール3aとその内部をスライド可能なように取り付けられた探針3bという構成等であってもよい。レール3aが基準面2に垂直に設けられ、かつ、探針3bがレール3aに沿って移動することができる限り、測定子3の構成要素としての役割を果たすことができる。
【0049】
ハニカム構造体の端面と接触する側の探針3bの先端形状は、特に限定されないが、丸みを帯びた形状や尖った形状ではなく、探針3bの先端をレール3aの長さ方向に対して垂直な平面で切断して得られる面形状であることが望ましい。
探針3bの先端形状が丸みを帯びた形状や尖った形状である場合に、先端形状のうち最も突出した部分がセル壁に接触したときは、その接触位置はハニカム構造体1の端面の位置に相当するので計測した結果に誤差は生じない。しかし、先端形状のうち最も突出した部分がセル壁に接触しなかったときには、探針3bの位置は、ハニカム構造体の端面の位置ではなく、さらに基準面に近づいた方向に探針3bが移動することになるので、計測した結果に誤差が生じるおそれがある。探針3bの先端の形状がレール3aに垂直な面を有する面形状であると、上記のようなおそれがなく、ハニカム構造体の長手方向の形状を正確に計測することができる。
【0050】
探針3bの先端形状が上記面形状である場合に、その面の形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、六角形等の任意の形状が挙げられる。このとき、その面の大きさは、少なくともセルの大きさより大きければよい。
【0051】
計測の際に、測定子3を基準面2に近づける方向に移動せしめる際の測定子3の移動速度は、特に限定されず、5〜50cm/sの範囲であればよい。
測定子3の移動速度が上記範囲であると、探針3bとハニカム構造体の端面との接触の際にセル壁の破損等が生じることなく、効率よくハニカム構造体の長手方向の長さを計測することができる。
【0052】
ハニカム構造体の端面において探針3bが接触する位置は、特に限定されず、例えば、ハニカム焼成体の端面、シール材層(接着剤層)、シール材層(コート材層)等、端面上のいずれの位置であってもよい。検査の対象が、ハニカム構造体の長手方向の形状に関する項目である限り、対象とする形状に応じて端面と探針3bとの接触位置を調整すればよい。通常、探針3bが接触する位置は、ハニカム焼成体の端面であることが多い。
【0053】
上述のように、本発明のハニカム構造体の検査方法において、検査対象であるハニカム構造体は、集合型ハニカム構造体であっても、一体型ハニカム構造体であってもよく、いずれのハニカム構造体であっても好適に検査の対象とすることができる。このうち、特に、検査の対象となるハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体が接着剤層を介して結束されてなるもの(すなわち、集合型ハニカム構造体)であることが望ましい。
【0054】
検査対象が集合型ハニカム構造体である場合には、複数のハニカム焼成体からなることに起因して、その長手方向の形状が一体型ハニカム構造体と比して複雑であることが多い。例えば、構成要素であるハニカム焼成体の長手方向の長さにばらつきが生じていたり、複数のハニカム焼成体を結束させる際に、互いに結束させる位置が長手方向に沿ってずれていたりすると、図3(b)、(c)に示すハニカム構造体11のように、集合型ハニカム構造体の端面では上記ばらつきにより凹凸が生じる。
【0055】
このような形状を有するハニカム構造体の形状を検査するには、従来の検査方法では複雑な作業や処理を経る必要があった。しかし、本発明のハニカム構造体の検査方法では、測定子を基準面に近づける方向に相対的に移動せしめるだけで、上記凹凸のようなハニカム構造体の長手方向の形状を簡便かつ正確に計測することができる。従って、複雑な端面構造を有する集合型ハニカム構造体であっても好適に検査の対象とすることができる。
【0056】
集合型ハニカム構造体の長手方向の形状を計測するには、ハニカム構造体の端面全体のうち一のハニカム焼成体が占める領域ごとに探針を接触させて計測するという工程を繰り返すことにより行なうことができる。なお、一の計測点から他の計測点へと測定子3及び/又はハニカム構造体1を移動させるには、対象を水平方向で移動させることができるx−yステージや多軸ステージ等の周知の移動手段をさらに組み合わせればよい。
【0057】
ハニカム構造体の長手方向の形状に関する検査項目は、長手方向の長さ、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体の検査方法では、長手方向の形状に関する検査項目は特に限定されないが、長手方向の形状に関する上記検査項目であっても短時間で、かつ、正確に計測することができる。
【0058】
この理由は、検査対象として集合型ハニカム構造体が望ましいことの説明において記載したように、従来の検査方法では、集合型ハニカム構造体の端面では凹凸が存在することがあり、長手方向の長さも含めた長手方向の形状を計測することが困難であるが、本発明のハニカム構造体の検査方法では好適に検査することができるからである。
【0059】
ここで、長手方向の長さとは、ハニカム構造体の端面全体のうち一のハニカム焼成体の端面が占める領域ごとに計測した長手方向の長さのそれぞれの値をいう。
平行度及び位置度は、JIS B 0621に基づいており、詳細には、平行度とは、探針が接触する側の各ハニカム焼成体の端面の全てが基準面に平行な二平面の間に存在するように挟んだときの、上記二平面の間隔をいい、位置度とは、基準面と平行な基準平面であって、基準面から所定値(例えば、長手方向の長さを複数計測したときのそれらの平均値等)の分だけ離れた位置にある基準平面を設定したとき、この基準平面に対して対称な平行二平面の間に、探針が接触する側の各ハニカム焼成体の端面の全てが存在するように挟んだときの、平行二平面の間隔をいう。
【0060】
上記検査項目の定義は、いずれも集合型ハニカム構造体に対して適用することを前提としているが、一体型ハニカム構造体に対しても適用することができる。すなわち、上記定義においてハニカム焼成体の端面が1つである場合とし、この端面に対して一点又は多点計測して上記検査項目を計測してもよい。
また、例えば、集合型ハニカム構造体を構成する各ハニカム焼成体における、規格長さ(設計値)と実際の測定値との差等も上記長手方向の形状に関する検査項目とすることができる。
【0061】
本発明のハニカム構造体の検査方法では、ハニカム構造体の長手方向の形状を検査の対象としているが、複数の接触式計測機を組み合わせることにより、長手方向に加えて、長手方向に垂直な方向での計測を補助的に行なうこともできる。
【0062】
本発明のハニカム構造体の検査方法では、接触式計測機は、複数の測定子を備えていることが望ましい。
接触式計測機が複数の測定子を備えていると、ハニカム構造体の端面における計測点数が複数の場合に、計測回数を少なくすることができ、計測を多数回行なうことにより生じる誤差を小さくすることができる。また、接触式計測機が計測点数と同数の測定子を備えていると、1回の計測を行なうだけでハニカム構造体の長手方向の形状を計測することができるので、検査工程に要する時間を短くすることができ、計測の正確さも向上させることができる。
【0063】
接触式計測機が複数の測定子を備えている場合の本発明の実施形態を図3(a)〜(c)並びに図4(a)及び(b)を参照しつつ説明する。
図4(a)は、複数の測定子を備えた接触式計測機を用いる本発明の実施形態の具体例の一工程を模式的に示す正面図であり、(b)は、複数の測定子を備えた接触式計測機を用いる本発明の実施形態の具体例の他の一工程を模式的に示す正面図である。
【0064】
図3(a)〜(c)に示す接触式計測機20は、基準面2と、2つの測定子31及び32とを備えている。そして、測定子31は、レール31aと探針31bとを備え、測定子32はレール32aと探針32bとを備えている。
また、基準面2とハニカム構造体11の一方の端面とが接触し、ハニカム構造体11の他方の端面には探針31b及び32bが接触している。なお、図3(b)、(c)に示すハニカム構造体11は、集合型ハニカム構造体である。
【0065】
このような集合型ハニカム構造体11の長手方向の長さを計測する方法を、図3(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
まず、上述した手順に従って0点調整を行う(図3(a)参照)。
そして、基準面2に、標準サンプルSに代えてハニカム構造体11の一方の端面を接触させて載置する(図3(b)参照)。
図3(c)は、ハニカム構造体11の長手方向の形状(図では長さ)を計測した後の状態を示しており、測定子31において、レール31aに対する探針31bの原点位置からの変位はZを示しており、測定子32において、レール32aに対する探針32bの原点位置からの変位はZを示している。従って、測定子31及び32により計測したハニカム構造体の長手方向の長さは、それぞれ(L+Z)、(L+Z)である。
【0066】
図3(b)、(c)に示すハニカム構造体11では、複数のハニカム焼成体のいくつかにおいて、互いに結束されている鉛直位置が長手方向にずれている(すなわち、基準面2に対して鉛直上方にZ及びZの分だけずれている)。このようなずれが存在するために、接触式計測機20によりハニカム構造体11の長手方向の長さを計測すると、測定子31及び32において、それぞれ(L+Z)、(L+Z)という計測結果が示されることになる(図3(c)参照)。
【0067】
このように、複数の測定子を備えた接触式計測機により、ハニカム構造体の端面に対して多点計測を同時に行なうことができ、種々の検査項目を1回の計測で調べることができる。
次に、ハニカム構造体の端面において、一のハニカム焼成体の端面が占める領域ごとに一の測定子を接触させることができるように構成された接触式計測機を用いて、ハニカム構造体の長手方向の形状を計測する実施形態を図4(a)及び(b)を参照しつつ説明する。
【0068】
図4(a)に示す接触式計測機30は、基準面2と、基準面2に垂直に取り付けられた二つの支持部材5と、これらの二つの支持部材5間に基準面2と平行に懸けられた測定子支持板4と、この測定子支持板4に支持された複数の測定子3を備えている。上記測定子支持板4は、ボールネジ等の支持部材5に沿って基準面との平行を保ったまま昇降可能に構成されている。また、複数の測定子3は、測定子支持板4を貫通するように取り付けられている。
【0069】
図4(a)に示す接触式計測機30には、上記部材の他、接触式計測機30の0点調整に使用される標準サンプルSが設置されており、従って、図4(a)に示す接触式計測機30は、0点調整を行なっている状態にある。
【0070】
ハニカム構造体の長手方向の形状を計測するために、接触式計測機30の0点調整後、まず、検査対象であるハニカム構造体1の一方の端面を基準面2に接触させる。次いで、ボールネジ等の支持部材5を回転させる等して、測定子支持板4を基準面2に近づける方向に移動(下降)させる。この測定子支持板4の下降により、複数の測定子3も基準面2に近づく方向に移動する。そして、図4(b)に示すように、ハニカム構造体の他方の端面に全ての探針が接触するまで測定子支持板4を下降させて計測を完了する。
【0071】
図4(b)に示す実施形態の接触式計測機30を使用すると、ハニカム構造体の端面において一のハニカム焼成体の端面が占める領域ごとに測定子3が接触するので、各種検査項目に必要なデータを1回の計測で得ることができ、ハニカム構造体の長手方向の形状を正確にかつ短時間で検査することができる。
【0072】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を製造し、これを焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体とした後、形状を検査する形状検査工程を行なうハニカム構造体の製造方法であって、
上記形状検査工程では、基準面と、上記基準面に垂直に設けられたレール、及び、上記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、上記基準面に上記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、上記測定子を上記基準面に近づける方向に移動せしめて上記ハニカム構造体の他方の端面に上記探針を接触させることにより、上記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測することを特徴とする。
【0073】
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について、工程順に説明する。
ここでは、構成材料の主成分が炭化ケイ素のハニカム構造体を製造する場合を例に、セラミック原料である炭化ケイ素粉末を使用した場合のハニカム構造体の製造方法について説明する。
勿論、ハニカム構造体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、ケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらのなかでは、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
【0074】
まず、セラミック原料として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末等の無機粉末と有機バインダとを乾式混合して混合粉末を調製するとともに、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合して混合液体を調製し、続いて、上記混合粉末と上記混合液体とを湿式混合機を用いて混合することにより、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
【0075】
上記炭化ケイ素粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
ハニカム焼成体の気孔径等を調節するためには、焼成温度を調節する必要があるが、無機粉末の粒径を調節することにより、気孔径を調節することができる。
【0076】
上記有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコールが挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。
上記バインダの配合量は、通常、無機粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0077】
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、混合原料粉末に含まれていなくてもよい。
【0078】
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、上記分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0079】
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0080】
また、ここで調製した、炭化ケイ素粉末を用いた湿潤混合物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、有機バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、上記湿潤混合物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましく、水分の含有量は8.0〜20.0重量%であることが望ましい。
【0081】
上記湿潤混合物は、調製後搬送され、成形機に投入されることとなる。
搬送された湿潤混合物を押出成形機に投入した後は、押出成形により所定の形状のハニカム成形体とする。
次に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、乾燥させたハニカム成形体とする。
【0082】
ここで、切断装置を用いて作製したハニカム成形体の両端を切断する切断工程を行ない、ハニカム成形体を所定の長さに切断する。
【0083】
次いで、必要に応じて、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。このセルの目封じの際には、ハニカム成形体の端面(すなわち切断工程後の切断面)に目封じ用のマスクを当てて、目封じの必要なセルにのみ封止材ペーストを充填する。
【0084】
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、上記湿潤混合物と同様のものを用いることができる。
【0085】
上記封止材ペーストの充填は、必要に応じて行なえばよく、上記封止材ペーストを充填した場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体をセラミックフィルタとして好適に使用することができ、上記封止材ペーストを充填しなかった場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体を触媒担持体として好適に使用することができる。
【0086】
次に、上記封止材ペーストが充填されたハニカム成形体を、所定の条件で脱脂(例えば、200〜500℃)に次いで、焼成(例えば、1400〜2300℃)することにより、全体が一の焼成体から構成され、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、かつ、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体(図6(a)及び(b)参照)を製造することができる。
【0087】
上記ハニカム成形体の脱脂及び焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
また、本発明の検査方法により、脱脂後のハニカム成形体の形状についても好適に検査することができる。
【0088】
次に、ハニカム焼成体の側面に、シール材層(接着剤層)となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布してシール材ペースト層を形成し、このシール材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、所定の大きさのハニカム焼成体の集合体を作製する。
【0089】
上記シール材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等が挙げられる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0090】
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0091】
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
【0092】
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
【0093】
さらに、上記シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0094】
次に、このハニカム焼成体の集合体を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層(接着剤層)とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着されたハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱形状のセラミックブロックを作製する。
【0095】
そして、セラミックブロックの外周に上記シール材ペーストを用いてシール材層(コート材層)を形成することで、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着された円柱形状のセラミックブロックの外周部にシール材層(コート材層)が設けられたハニカム構造体とすることができる。
【0096】
本発明のハニカム構造体の製造方法では、以上のようにして作製したハニカム構造体について、その形状を検査する形状検査工程を行なう。
【0097】
上記形状検査工程では、基準面と、上記基準面に垂直に設けられたレール、及び、上記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、上記基準面に上記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、上記測定子を上記基準面に近づける方向に移動せしめて上記ハニカム構造体の他方の端面に上記探針を接触させることにより、上記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測する。本形状検査工程において行なう検査方法としては、既に説明した本発明のハニカム構造体の検査方法を好適に採用することができる。
【0098】
本発明のハニカム構造体の製造方法において、検査の対象となるハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体が接着剤層を介して結束されてなるもの(集合型ハニカム構造体)であることが望ましい。
この理由は、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造したハニカム構造体は、通常、ケーシング内に収納されて使用される。製造したハニカム構造体をケーシングに収納する際に、特に、ハニカム構造体の長手方向の形状が整っていないと、ケーシングに収納することができなかったり、破損が生じたりする場合がある。このような問題が生じることを防止するために形状検査を行なうのであるが、一体型ハニカム構造体と比して長手方向の形状が複雑である集合型ハニカム構造体であっても、本形状検査工程ではその長手方向の形状を正確かつ簡便に計測することができ、好適に検査の対象とすることができるからである。
【0099】
また、ハニカム構造体の長手方向の形状に関する検査項目は、長手方向の長さ、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つであることが望ましい。さらに、接触式計測機は、複数の測定子を備えていることが望ましい。
これらの理由に関しても、本発明のハニカム構造体の検査方法の説明において記載した理由に加えて、最終製品としてのハニカム構造体の長手方向の形状を多面的に評価し、その機能性・安全性の担保を確実にするためである。
【0100】
このように、本形状検査工程においてハニカム構造体の長手方向の形状を検査することにより良品と不良品とを選別することができ、所望の形状を有するハニカム構造体を製造することができる。
【0101】
その後、必要に応じて、ハニカム構造体に触媒を担持させる。上記触媒の担持は集合体を作製する前のハニカム焼成体に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
【0102】
上記ハニカム構造体の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH(NO]HNO、白金濃度4.53重量%)等をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
【0103】
また、ここまで説明したハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して結束された構成を有する集合型ハニカム構造体であるが、本発明の製造方法により製造するハニカム構造体は、円柱形状のセラミックブロックが1つのハニカム焼成体から構成されている一体型ハニカム構造体であってもよい。ここで一体型ハニカム構造体の主な構成材料は、コージェライトやチタン酸アルミニウムであることが望ましい。
【0104】
このような一体型ハニカム構造体を製造する場合は、まず、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きい以外は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様の方法を用いて、ハニカム成形体を作製する。
【0105】
次に、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させる。
次いで、乾燥させたハニカム成形体の両端部を切断する切断工程を行なう。
【0106】
次に、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
その後、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、脱脂、焼成を行なうことによりセラミックブロックを製造し、必要に応じて、シール材層(コート材層)の形成を行なうことにより、一体型ハニカム構造体を製造することができる。また、上記一体型ハニカム構造体にも、上述した方法で触媒を担持させてもよい。
【0107】
以上、説明した本発明のハニカム構造体の製造方法では、作業効率よくハニカム構造体を製造することができる。
また、上述した方法によりハニカム構造体を製造する場合、ハニカム構造体の長手方向の形状を短時間でかつ正確に計測することができ、また、製造したハニカム構造体が製品規格に合格しているか否かについても短時間でかつ正確に判断することができ、従って、ハニカム構造体の製造工程全体の効率も向上させることができる。
なお、本明細書においては主にハニカム焼成体からなるハニカム構造体の検査方法について説明を行ったが、焼成前の乾燥後のハニカム成形体や脱脂後のハニカム成形体を検査する場合においても本発明と同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0108】
以下に実施例を掲げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0109】
本発明のハニカム構造体の製造方法の形状検査工程において、本発明のハニカム構造体の検査方法を採用して、製造した集合型ハニカム構造体の長手方向の形状を計測した。本形状検査工程における検査項目は、長手方向の長さ、平行度及び位置度であり、それぞれについて評価を行なった。
【0110】
(実施例1)
平均粒径10μmのα型炭化ケイ素粉末250kgと、平均粒径0.5μmのα型炭化ケイ素粉末100kgと、有機バインダ(メチルセルロース)と20kgとを混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水65kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と混合粉末とを湿式混合機を用いて混合し、湿潤混合物を調製した。
なお、ここで調製した湿潤混合物の水分含有量は、14重量%であった。
【0111】
次に、搬送装置を用いて、この湿潤混合物を押出成形機に搬送し、押出成形機の原料投入口に投入した。
なお、押出成形機投入直前の湿潤混合物の水分含有量は、13.5重量%であった。
そして、押出成形により、セルの端部が封止されていない以外は、図6に示した形状と同様の形状の成形体を作製した。
【0112】
次に、マイクロ波乾燥機等を用いて上記生成形体を乾燥させた後、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。
次いで、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行なうことにより、気孔率が40%、平均気孔径が12.5μm、その大きさが34.3mm×34.3mm×254mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm、セル壁の厚さが0.20mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を製造した。
【0113】
平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材ペーストを用いてハニカム焼成体を多数接着させ、さらに、120℃で乾燥させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、シール材層(接着剤層)の厚さ1mmの円柱状のセラミックブロックを作製した。
【0114】
次に、無機繊維としてシリカ−アルミナファイバ(平均繊維長100μm、平均繊維径10μm)23.3重量%、無機粒子として平均粒径0.3μmの炭化ケイ素粉末30.2重量%、無機バインダとしてシリカゾル(ゾル中のSiOの含有率:30重量%)7重量%、有機バインダとしてカルボキシメチルセルロース0.5重量%及び水39重量%を混合、混練してシール材ペーストを調製した。
【0115】
次に、上記シール材ペーストを用いて、ハニカムブロックの外周部に厚さ0.2mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にシール材層(コート層)が形成された直径143.8mm×長さ254mmの円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0116】
(ハニカム構造体の長手方向の形状の計測)
上記手順で作製したハニカム構造体について、本発明の検査方法を採用する形状検査工程を行ない、その長手方向の形状を計測した。具体的には、図4(a)及び(b)に示す接触式計測機30を用い、ハニカム構造体の端面において、一のハニカム焼成体の端面が占める領域ごとに一の測定子が割り当てられるようにして、5サンプルのハニカム構造体について、それぞれ長手方向の長さ、平行度及び位置度を計測した。従って、1サンプルのハニカム構造体の長手方向の形状を検査するに際して、1回の検査での計測点数は、図8に示すように12点であり、計測点数と同数の計測結果が得られる。
なお、図8は、ハニカム構造体の端面の長手方向の形状の計測の際に、一のハニカム焼成体の端面が占める領域ごとに一の測定子が割り当てられるようにしたときの計測点番号を示す模式図である。
【0117】
なお、各検査項目の値は、次のようにして求めた。
長手方向の長さは、探針が接触している端面と基準面との間の距離を計測することにより求めた。
平行度は、計測した長手方向の長さの値のうち、最大値と最小値との差を算出することにより求めた。
位置度は、長手方向の長さの平均値を算出し、この平均値と各長手方向の長さとの差の絶対値をそれぞれ算出し、これらの絶対値のうちの最大値に2を乗じることにより求めた。
それぞれの計測の結果を表1に示す。
【0118】
【表1】

【0119】
表1から明らかなように、各サンプルの長手方向の形状の検査項目について計測したところ、サンプルNo.4及びNo.5の平行度の値と位置度の値とが、サンプルNo.1〜3と比較して大きかったものの、全てのサンプルが製品として使用可能であることが確認された。
【0120】
このように、本発明のハニカム構造体の検査方法により、1回の計測により長手方向の形状に関するデータを多数得ることができる。さらに、これらのデータを解析することにより、長手方向の長さ、平行度及び位置度といった長手方向の形状を1回の計測のみで検査することができるので、形状検査工程に要する時間を短縮することができ、ハニカム構造体の製造工程全体の効率化を図ることができる。
【0121】
(比較例1)
ハニカム構造体を側面方向から撮影し、その画像を解析することにより、長手方向の形状を検査した。
その結果、実施例1で計測したようなばらつき等を検出することができないまま、全てのサンプルが製品として使用可能であることが確認されただけであった。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1(a)〜(c)は、一の測定子を備えた接触式計測機を用いる場合の本発明の計測原理を示す測定方法における一工程を示す模式図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、一の測定子を備えた接触式計測機を用いる場合の本発明の計測原理を示す測定方法における他の一工程を示す模式図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、複数の測定子を備えた接触式計測機を用いる場合の本発明の計測原理を示す模式図である。
【図4】図4(a)は、複数の測定子を備えた接触式計測機を用いる本発明の実施形態の具体例の一工程を模式的に示す正面図であり、図4(b)は、複数の測定子を備えた接触式計測機を用いる本発明の実施形態の具体例の他の一工程を模式的に示す正面図である。
【図5】図5は、ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図6】図6(a)は、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、そのA−A線断面図である。
【図7】図7は、ハニカム構造体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
【図8】図8は、ハニカム構造体の端面の長手方向の形状の計測の際に、一のハニカム焼成体の端面が占める領域ごとに一の測定子が割り当てられるようにしたときの計測点番号を示す模式図である。
【符号の説明】
【0123】
1、11 ハニカム構造体
2 基準面
3、31、32 測定子
3a、31a、32a レール
3b、31b、32b 探針
4 測定子支持板
5 支持部材
10、20、30 接触式計測機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体からなるハニカム構造体の検査方法であって、
基準面と、前記基準面に垂直に設けられたレール、及び、前記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、前記基準面に前記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、前記測定子を前記基準面に近づける方向に移動せしめて前記ハニカム構造体の他方の端面に前記探針を接触させることにより、前記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測することを特徴とするハニカム構造体の検査方法。
【請求項2】
検査の対象となるハニカム構造体は、複数の前記ハニカム焼成体が接着剤層を介して結束されてなるものである請求項1に記載のハニカム構造体の検査方法。
【請求項3】
検査の対象となるハニカム構造体は、1つの前記ハニカム焼成体からなる請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記ハニカム構造体の長手方向の形状に関する検査項目は、長手方向の長さ、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つである請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
【請求項5】
前記接触式計測機は、複数の測定子を備えている請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の検査方法。
【請求項6】
セラミック原料を成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を製造し、これを焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体とした後、形状を検査する形状検査工程を行うハニカム構造体の製造方法であって、
前記形状検査工程では、基準面と、前記基準面に垂直に設けられたレール、及び、前記レールに沿って移動する探針からなる測定子とを備えた接触式計測機を準備し、前記基準面に前記ハニカム構造体の一方の端面を接触させ、前記測定子を前記基準面に近づける方向に移動せしめて前記ハニカム構造体の他方の端面に前記探針を接触させることにより、前記ハニカム構造体の長手方向の形状を計測することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
検査の対象となるハニカム構造体は、複数の前記ハニカム焼成体が接着剤層を介して結束されてなるものである請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
検査の対象となるハニカム構造体は、1つの前記ハニカム焼成体からなる請求項6又は7に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記ハニカム構造体の長手方向の形状に関する検査項目は、長手方向の長さ、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つである請求項6〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
前記接触式計測機は、複数の測定子を備えている請求項6〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−256263(P2007−256263A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10590(P2007−10590)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】