説明

ハンドリング装置及びそれを用いたハンドリング方法

【課題】大気中での保持から真空中での保持に移行した場合にも、ハンドリング対象物の離反動作が円滑に行えるハンドリング装置を提供すること。
【解決手段】互いに異なる電圧を印加することが可能な電極要素103a、103bがハンドリング対象物104に向けて露出して隣接して配設されており、電極要素103a、103bに異なる電圧を印加させることにより、高抵抗性のハンドリング対象物104を保持面102aに静電気吸引力により吸引して接触的に保持し、電圧の印加を遮断して接地することにより静電気吸引力を解除してハンドリング対象物104を保持面102aから離反させるハンドリング装置である。静電吸引力が働く位置までハンドリング対象物104を引き寄せる機械的引き寄せ装置106を備えていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静電気吸引力を用いて高抵抗性材料をハンドリング対象物として保持するハンドリング装置及びそれを用いたハンドリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図4に示すようなハンドリング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このハンドリング装置において、符号101は電極(静電電極)103を取り付けるベース部材であり、電極103は、複数の電極要素103aと複数の電極要素103bとからなる電極要素群により構成されている。それぞれの電極要素103a及び103bはそれぞれ絶縁材102に覆われてベース部材101の一面に交互に互いに隣接して固定されている。
【0003】
これらの電極103は制御部105に接続され、この制御部105はスイッチSW(不図示)に接続されている。制御部105は各電極要素103a及び電極要素103bに所定の電圧を供給したり遮断したりするオン・オフ操作(例えば、電極要素103aには+Vボルト、電極要素103bには−Vボルトを出力し、オフ時には、これらの電圧を遮断する操作)が行える。
【0004】
これにより、スイッチSWがオン時に電極103とハンドリング対象物104との間に静電気吸引力が誘起されてハンドリング対象物104が静電気吸引力で絶縁材102の保持面102aに吸引されて保持され、スイッチSWをオフ時には、電極103は接地されて、これらの静電気吸引力は解消される。これにより、導体、半導体又は高抵抗体などのハンドリング対象物を静電気吸引力により吸引して、静電チャックとして機能される。
【0005】
このようなハンドリング装置では、ハンドリング対象物として高抵抗性材料、導電体など広くハンドリングを行え、また、ハンドリング対象物として薄板材料を用いても、反りを抑えて保持できる。
【特許文献1】特開2003−282671号公報(第2頁右欄及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、液晶表示装置の急速な大型化に従って、ガラス基板の大型化も進んでいる。このようなガラス基板は厚みが薄く(例えば、0.7mm)で且つ大型(例えば幅1800mm、長さ2100mm)であるので、液晶表示装置の組立工程においては反りの発生しないハンドリング装置が望まれている。
【0007】
また、ガラス基板の大型化に伴い、従来、真空室内のみで行われていた組立工程の一部を大気中から真空中へ移行することが検討され始めた。
【0008】
すなわち、大気中でハンドリング対象物を保持した状態で、減圧装置付きの室内に配設された組立装置(ステージ)で、室内の環境を真空として組立作業を行うことである。
【0009】
しかしながら、従来提案されているハンドリング装置を用いて大気中での保持から真空中への保持へ移行する実験では、何らかの条件の変動により、電圧オフ時に対応してハンドリング対象物としてのガラス基板の離反が円滑に行えない場合が生じた。
【0010】
そこで、この発明の目的は、大気中での保持から真空中での保持に移行した場合にも、ハンドリング対象物の離反動作が円滑に行えるハンドリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明者らは、従来のハンドリング装置において、電源オフ時に離反動作が円滑に行えなくなる原因について検討したところ、電圧を遮断した後に保持面102aに多量の静電気が残存する場合があることを認め、これが離反動作を阻害しているのではないかと考えた。
【0012】
すなわち、元来、ハンドリング対象物面104a及び保持面102aの双方は、ほぼ平滑であるが、それぞれ又は一方にミクロの凹凸があったり、また、ハンドリング対象物の僅かな反りなどに起因してこれらの界面にはμオーダの僅かな隙間が発生する箇所が生じている。
【0013】
このような状況下で、急速に周囲の空気を排出すると、この僅かな隙間を通過して空気が急速に排出されることがある。このような場合には、電極103とハンドリング対象物104との隙間に面するそれぞれの表面(保持面102a及びハンドリング対象物面104a)と排出空気との間で空気摩擦が発生し、これにより、保持面102a及び/又はハンドリング対象物面104aが空気との摩擦により帯電する。
【0014】
ここで、従来のハンドリング装置では、電極要素103a、103bを覆う絶縁材料は高抵抗性材料であるので、保持面102aに帯電された電荷はスイッチを遮断して接地しても即座には除去されずに保持面102aに残存する。これにより、帯電した静電荷に基づく静電気力によりハンドリング対象物104は保持面102aへの吸引が継続され、離反動作が円滑に行えなくなっていると推定した。
【0015】
ここで、ハンドリング対象物104として高抵抗性材料を選択する場合には、電極要素103aと電極要素103bとがハンドリング対象物104と接触しても相互に短絡することがないので、電極103を被覆していた絶縁材料102を取り除くことが可能である。そこで、絶縁材102を取り除いたハンドリング装置を用いて同様な実験を行ったところ、ハンドリング対象物104の離反動作が改善された。これは、保持面102aは絶縁材料が被覆されずに導電性の電極103が露出しているので、オフ操作で接地すれば、保持面102aに帯電した静電荷が速やかに除去されるためと考えられた。
【0016】
しかしながら、このような絶縁材102を設けないハンドリング装置によれば、絶縁材を設けない点、互いに隣接する電極103a、103b間に異なる過大な電圧を印加すると、電極要素103a、103b間での放電が発生するという新たな課題が発生する。例えば、各電極要素103a及び103b間の距離が1mm程度の場合には、真空への移行に伴って、ハンドリング対象物やハンドリング装置から放出される化学汚染物質(アウトガス)の影響を受けて電位差が400V以下でリーク(放電)する。これにより、絶縁層を無くすことにより印加電圧は制限され、電界強度を高めることができず、従来のハンドリング装置に比べて比較的離れているハンドリング対象物を引き寄せられるだけの静電吸引力を有するハンドリング装置が得られないという新たな課題が発生する。
【0017】
そこで、本発明者らは、絶縁層を設けない静電チャックの静電吸引力が働く位置までハンドリング対象物を補助的に移動させることを考えた。
【0018】
すなわち第1の発明は、互いに異なる電圧を印加することが可能な電極要素がハンドリング対象物に向けて露出して隣接して配設されており、該電極要素に異なる電圧を印加させることにより、高抵抗性のハンドリング対象物を前記電極要素の表面に静電気吸引力により吸引して接触的に保持すると共に、該電圧の印加を遮断して接地することにより前記静電気吸引力を解除してハンドリング対象物を前記電極要素の表面から離反させることを特徴とするハンドリング装置である。
【0019】
このようなハンドリング装置によれば、大気中での保持から真空中での保持に移行した場合にも、ハンドリング対象物の離反動作が円滑に行える。
【0020】
また、印加電圧を高めることができないため、必然的に電界強度も弱まり、ハンドリング対象物の裏面に形成される半導体パターンに与える影響が少ないという副次的な効果を発揮する。これにより、本発明に係るハンドリング装置は、裏面又は内部に半導体パターン又は電子回路のある電子材料の搬送、処理などのハンドリングに用いることにより、特有の作用効果を発揮する。
【0021】
また、第2の発明は、上述のハンドリング装置において、静電吸引力が働く位置までハンドリング対象物を引き寄せる引き寄せ装置を備えていることを特徴とするハンドリング装置である。
【0022】
このようなハンドリング装置によればハンドリング対象物が比較的離れていても、引き寄せ装置によりハンドリング対象物を静電気吸引力により吸引して接触的に保持できるまで近接させることができるので、静電吸引力によりハンドリング対象物を保持させることができる。
【0023】
ここで、この引き寄せ装置は、ハンドリング対象物に向けて進退可能に固定される吸着装置、機械的な引き寄せ装置が例示される。また、吸着装置としては、真空チャックまたは静電チャックが例示される。この静電チャックの保持面には絶縁層が付与されている。
【0024】
また、例えば、ハンドリング対象物が載置されている載置台そのものが昇降手段を有しているなどの、ハンドリング装置の電極面に向けてハンドリング対象物を送り出す送出装置と第1の発明のハンドリング装置とを併用すれば、上述の引き寄せ装置は不要となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、大気中での保持から真空中での保持に移行した場合にも、ハンドリング対象物の離反動作が円滑に行えるハンドリング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態に係るハンドリング装置につき図面に基づき説明する。なお、従来技術と同一乃至均等な部位部材は同一番号を付して詳細な説明は省略することがある。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係るハンドリング装置の概念を説明する概念図であり、ハンドリング装置を電極面に対して直交する中心を通る断面により切断した場合の断面図が示されている。
【0028】
図1において符号100はハンドリング装置であり、ベース部材101の一面に固定されて電極103が形成されている。この電極103は、二群の電極要素103a,103bから構成され、互いに交互に隣接してその表面が平面を形成するように配設されている。以下、この電極要素103a、103bの表面はハンドリング対象物104を保持する面となるので、保持面102aと呼称する。
【0029】
各電極要素103a、103bには、スイッチSW(不図示)と連動して印加電圧を制御するコントローラ105(印加電圧制御部)が接続されている。このコントローラ105は、スイッチSWがオンされると、電極要素103aには+Vボルトを印加し、電極要素103bには−Vボルトが印加する。また、スイッチSWをオフとすることにより、両電極要素103a及び電極要素103bはそれぞれ接地される。
【0030】
次にこのようなハンドリング装置100を用いたハンドリング対象物104のロード及びアンロードについて説明する。
【0031】
保持面102aにハンドリング対象物104を接触させた状態で、スイッチSWを切断(オフ)状態から印加(オン)状態とする。コントローラ105の出力1から正の電圧である+V1ボルトが電極要素103aに印加され、また、出力2から出力1とは逆極性の負の電圧−V1ボルトが電極要素103bに出力される。これにより、電極103の表面とハンドリング対象物104との間に静電気吸引力が誘起されて、ハンドリング対象物104が静電気吸引力により保持面102aに吸引されてハンドリング対象物を保持することができる(ロード)。
【0032】
ここで、実験によれば、例えば、ハンドリング対象物としてガラス基板を用い、保持対象面との距離が5μmである場合には、70V程度の印加電圧でハンドリング対象物を保持させることができる。ここで、静電気吸引力は距離の二乗に反比例するので、このような絶縁層の無い本発明に係るハンドリング装置によれば、従来のハンドリング装置の印加電圧に比べて、例えば、1/10程度の印加電圧でハンドリング対象物をハンドリングすることが可能となる。
【0033】
ついで、このハンドリング対象物104を保持した状態では、ハンドリング対象物104は、面吸着であるので、反りもなく確実に保持面102aに保持される。このハンドリング対象物104の保持力は、全体を真空に高速で吸引しても殆ど変化はなく、確実に保持できる。
【0034】
次に、スイッチSWをオフ(off)とすると、各出力1及び出力2からの出力がゼロボルトとなり、各電極要素103a、103bはそれぞれ接地される。これにより、ハンドリング対象物104は、静電気吸引力が消滅してハンドリング対象物104は自重により落下する。これにより、ハンドリング対象物104のリリースが行える(アンロード)。
【0035】
なお、ロード状態で、全体を真空に高速で吸引すると、保持面102aとハンドリング対象物面104aとの間にある僅かな隙間を空気が高速で通り抜けることによりこれらの界面に電荷が蓄積されることがあると思われるが、本発明に係るハンドリング装置では、このアンロード工程では、いずれも速やかにハンドリング対象物をリリースすることができた。
【0036】
これにより、ハンドリング対象物104は、たわむことなく、搬送及び/又は保持され、精度が要求される組立工程、パッキング工程、移載工程などに有効に利用が可能となる。
【0037】
また、印加する電圧が低いので、保持面102aに接する面の高抵抗性が維持されていれば、半導体などの電子部品の組立工程、パッキング工程、搬送工程などに有効に利用できると推定された。
【変形例1】
【0038】
図2は、本発明の実施の形態に係るハンドリング装置の概念を説明する概念図であり、ハンドリング装置を電極面に対して直交する中心を通る断面により切断した場合の断面図が示されている。図1のハンドリング装置と同一乃至は均等な部位部材は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
図2のハンドリング装置100においては、ベース部材101の周辺に適宜の間隔を開けて固定された機械的引き寄せ装置106の複数個が固定されている。この機械的引き寄せ装置106は、保持面102aに平行にハンドリング対象物104に向けて進退可能に移動する把持爪106b及び把持爪106bがハンドリング対象物104を保持した状態で保持面102aに向けて進退可能な進退機構106aとから構成されている。
【0040】
このような構成のハンドリング装置によれば、ハンドリング対象物104が少し離反している場合には、把持爪106bを後退させた状態で進退機構106aを前進させる。ついで、把持爪106bを把持爪106bの先端がハンドリング対象物104の下面に配置されるまで前進させる。
【0041】
ついで、進退機構106aを後退させてハンドリング対象物104が電極要素103a、103bの表面である保持面102aに接触させ、スイッチSWをオンとする。
【0042】
以下、図1と同様な操作によりハンドリング対象物104は保持面に静電吸引力により吸引され、真空系に移行されても静電吸着は維持される。
【0043】
ここで、ハンドリング対象物104が機械的引き寄せ装置106により保持されている状態では、ハンドリング対象物104は、自重により中央部が落下して「たわむ」こと場合があるが、スイッチSWがオンされた後は保持面102aの全体で吸引されるので、保持面102aの平滑さに準じて平滑に維持される。
【0044】
これにより、ハンドリング対象物104は、たわむことなく、搬送及び/又は保持され、精度が要求される組立工程、パッキング工程、移載工程などに有効に利用が可能となる。
【0045】
その他の構成及び作用効果は実施の形態のハンドリング装置の構成及び作用効果と実質的に同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
【変形例2】
【0046】
図3は、本発明の実施の形態に係るハンドリング装置の概念を説明する概念図であり、ハンドリング装置を電極面に対して直交する中心を通る断面により切断した場合の断面図が示されている。図1のハンドリング装置と同一乃至は均等な部位部材は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
図3のハンドリング装置100では、ベース部材101は適宜の間隔で貫通孔101aが設けられている。この貫通孔101aの上には吸着ハンド208の先端の吸着面208aをハンドリング対象物に向けて進退可能に支持する進退機構207が固定されている。
【0048】
この吸着ハンド208は、例えば、真空チャックや静電チャックである。吸着ハンド208が静電チャックである場合には、吸着面208aには絶縁体により被覆された電極が配置されていてもよい。
【0049】
このような構成のハンドリング装置100によれば、ハンドリング対象物104が少し離反している場合には、吸着ハンド208を作用させた状態で進退機構207を前進させる。これにより、吸着ハンド208の吸引力が作用されるまで、その吸着面208aが前進されると、吸着ハンド208はハンドリング対象物104を吸着させる。
【0050】
ついで、進退機構207を後退させてハンドリング対象物104が電極要素103a、103bの表面である保持面102aに接触させる。
【0051】
以下、図1と同様な操作によりハンドリング対象物104は保持面に静電吸引力により保持される。
【0052】
ここで、吸着ハンド208が真空チャックである場合には、真空系に移行された状態では、吸着ハンド208による吸着力は消滅するが、ハンドリング対象物104は、保持面102aに静電吸引力により保持されているので、ハンドリング対象物104を落下させることはない。
【0053】
また、吸着ハンド208が静電チャックである場合には、スイッチSWがオンされた後は、吸着ハンド208は不要となるので、さらに後退させる。これにより、吸着面208aとハンドリング対象物104との間に距離をとることができ、吸着面208a付近では空気摩擦による帯電は起こらない。
【0054】
以上のようなベース部材101に貫通孔101aを設ける構成の変形例2に係るハンドリング装置によれば、吸着ハンド208の配置をハンドリング対象物104に対して適切に配置させれば、ハンドリング対処物104の自重による「たわみ」も少なくできる。
【0055】
また、この変形例2に係るハンドリング装置によれば、ハンドリング対象物104の周囲を把持する変形例1のハンドリング装置に比べて、ハンドリング対象物104の中央部を吸着できるので、ハンドリング対象物104大きさが小さくなった場合の対応が可能であるという特徴を備えている。
【0056】
また、スイッチSWがオンされた後は保持面102aの全体で吸引されるので、保持面102aの平滑さに準じて平滑に維持される。これにより、ハンドリング対象物104は、たわむことなく、搬送及び/又は保持され、精度が要求される組立工程、パッキング工程、移載工程などに有効に利用が可能となる。
【0057】
その他の構成及び作用効果は実施の形態のハンドリング装置の構成及び作用効果と実質的に同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
【0058】
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【0059】
例えば、以上説明した本発明に係るハンドリング装置によれば、引き寄せ装置によりハンドリング対象物を保持面に向けて引き寄せていたが、ハンドリング対象物を載置台の上に載置させた状態で載置台を保持面に向けて送り出すような昇降機構によりハンドリング対象物に対する静電力が作用する位置まで送り出すように構成してもよい。
【0060】
なお、本発明に係るハンドリング装置では、ロード側には、ハンドリング対象物を保持面向けて送り出す昇降機構などの補助機構が配設されるのが好ましいが、アンロード側では、これらの補助機構は不要となる。これにより、本発明に係るハンドリング装置を搬送装置として利用する場合には、アンロード側(リリース側)には、補助機構は不要となる。
【0061】
また、以上に説明した本発明に係るハンドリング装置によれば、大気中での保持から真空中での保持に移行した場合について説明したが、引き寄せ装置又は送出装置が機械的な機構により行われる場合や静電チャックを併用する場合には、このハンドリング装置は、離反動作が大気中で行われる場合、また、保持動作が真空中で行われる場合も同一原理により有効に用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のようなハンドリング装置は、ガラス基板などの各種の薄板材料を長時間に亘って保持したり、また、保持を解除(離反動作)が瞬時に行えるので、各種の搬送装置、組立装置の一部として利用することができる。
【0063】
それらは、例えば、ガラス基板などの薄膜又は薄板材料の搬送及び又は組立装置(例えば、液晶表示装置の組立工程)、半導体チップなどの各種電子部品を誘電体としての絶縁薄膜材料で包装するパッキング工程、としての応用も期待される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係るハンドリング装置の一例を断面により説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るハンドリング装置の一例を断面により説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るハンドリング装置の一例を断面により説明する図である。
【図4】従来のハンドリング装置の一例を断面により説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
100:ハンドリング装置
101:ベース部材
101a:貫通孔
102:絶縁材
102a:保持面
103:電極
103a:電極要素
103b:電極要素
104:ハンドリング対象物
104a:ハンドリング対象物面
105:制御部(コントローラ)
106:機械的引き寄せ装置
106a:進退機構
106b:把持爪
207:進退機構
208:吸着ハンド
208a:吸着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる電圧を印加することが可能な電極要素がハンドリング対象物に向けて露出して隣接して配設されており、
該電極要素に異なる電圧を印加させることにより、高抵抗性のハンドリング対象物を前記電極要素の表面に静電気吸引力により吸引して接触的に保持すると共に、該電圧の印加を遮断して接地することにより前記静電気吸引力を解除してハンドリング対象物を前記電極要素の表面から離反させることを特徴とするハンドリング装置。
【請求項2】
前記静電吸引力が働く位置まで前記ハンドリング対象物を引き寄せる引き寄せ装置を備えていることを特徴とする請求項1記載のハンドリング装置。
【請求項3】
前記引き寄せ装置は、機械的な引き寄せ装置であることを特徴とする請求項2記載のハンドリング装置。
【請求項4】
前記引き寄せ装置は、ハンドリング対象物に向けて進退可能に固定される吸着装置であることを特徴とする請求項2記載のハンドリング装置。
【請求項5】
前記吸着装置は、真空チャックであることを特徴とする請求項4記載のハンドリング装置。
【請求項6】
前記吸着装置は、絶縁層を保持面に有する静電チャックであることを特徴とする請求項4記載のハンドリング装置。
【請求項7】
請求項1記載のハンドリング装置及び該ハンドリング装置の保持面に向けてハンドリング対象物を送り出す送出装置とからなるハンドリング装置。
【請求項8】
前記ハンドリング対象物は誘電体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のハンドリング装置。
【請求項9】
前記ハンドリング対象物は裏面又は内部に電子回路又は半導体パターンを有する電子部品であり、該電子部品の表面側から請求項1乃至8のいずれかに記載のハンドリング装置によりハンドリング操作を行うハンドリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−52075(P2006−52075A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236103(P2004−236103)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(593115792)筑波精工株式会社 (10)
【Fターム(参考)】