説明

バイオチップキットおよびバイオ試料の検査方法

【課題】信頼性あるバイオ試料の結合の可否を検査できるバイオチップキットを提供する。
【解決手段】バイオチップキット10はハウジング110、ハウジング内に配置され、多数のプローブを含むバイオチップ、およびハウジングを開閉するようにハウジングに連結設置されているリード120を含み、前記リードは前記ハウジングを閉鎖して前記バイオチップをカバーし、前記ハウジングを開放して前記バイオチップの上面を露出し、さらに前記リードは、スライド方式、フォルダ方式、またはスピン方式によって所定範囲で前記ハウジングを開閉するように前記ハウジングに連結設置されているバイオチップキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオチップキットおよびバイオ試料の検査方法に関し、より詳細にはバイオチップが配置されたハウジングを含むバイオチップキットおよびこれを利用したバイオ試料の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になってゲノムプロジェクトが発展し多様な有機体のゲノムヌクレオチド配列が明らかになるに伴いバイオチップに対する関心が高まっており、多様な種類のバイオチップがキット形態で製作され、多様なバイオ試料を検査するために適用されている。現在広く使用されるバイオチップキットは密閉された一体型ハウジングとその中に配置されたバイオチップを含む。ハウジングはバイオチップの汚染および棄損を防ぐ役割をする。
【0003】
バイオチップキットを利用したバイオ試料の検査の代表的な方法はバイオチップに蛍光物質で標識された対象試料を供給し、バイオチップのプローブと反応させて、その後バイオチップに光を照射し、蛍光物質による光の放出の可否を分析するものである。最近ではデザインルールが減少しており、蛍光物質から発光される光を十分に集光するために光検出用レンズをバイオチップにさらに近接させることが要求されている。
【0004】
しかし、現在主に適用されるバイオチップキットの場合、ハウジング自体の厚さのために光検出用レンズの接近距離に限界がある。さらには、ハウジング内部で放出された光をハウジング外部で検出しなければならないため、ハウジングの少なくとも一部は透明な材質のガラスなどから成されるが、このようなガラスは光の光路を変更したり放出される光の波長を変化させる。したがって、十分な光量の確保および信頼性ある波長検出が難しい。
【特許文献1】日本公開特許2003−337114号公報(図面4、7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は信頼性あるバイオ試料の結合の可否を検査することができるバイオチップキットを提供しようとするものである。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は前記したようなバイオチップキットを利用して、バイオ試料を検査する方法を提供しようとするものである。
【0007】
本発明の技術的課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は次の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するための本発明の一実施形態によるバイオチップキットは、ハウジング、前記ハウジング内に配置され、多数のプローブを含むバイオチップ、および前記ハウジングを開閉するように前記ハウジングに連結設置されているリードを含む。
【0009】
前記他の課題を達成するための本発明の一実施形態によるバイオ試料の検査方法はハウジング、前記ハウジング内に配置され、多数のプローブを含むバイオチップ、および前記ハウジングを開閉するように前記ハウジングに連結設置されているリードを含むバイオチップキットを提供し、前記プローブとバイオ試料の結合反応を遂行して、前記リードを作動させて前記ハウジングを開放し、前記バイオチップの上面を露出させて前記露出したバイオチップ上に検出部を近接配置して、前記プローブと前記バイオ試料の結合の可否を検査することを含む。
【0010】
その他実施形態の具体的な事項は詳細な説明および図に含まれている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によるバイオチップキットによれば、リードがハウジングを開閉するように設置されているため、必要によってハウジングに配置されたバイオチップをカバーしたり直接露出することができる。したがって、リードの作動でバイオチップをカバーすることによって、バイオチップを外部汚染および衝撃などから保護することができるだけでなく、バイオチップを外部に露出することによって、検出部が最大限近接配置され、十分な集光および正確な波長検出が可能であるため、検査の信頼度が改善され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は添付される図面と共に詳細に後述される実施形態を参照すれば明確になるものである。しかし本発明は以下で開示される実施形態に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現され得るものであり、単に本実施形態は本発明の開示が完全なようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されたものであり、本発明は請求項の範囲によってのみ定義される。
【0013】
空間的に相対的な用語の「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」等は図面に図示されているように一つの素子または構成要素と異なる素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は図に図示されている方向に加えて、使用時または動作時に素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。明細書全体にかけて、同一参照符号は同一構成要素を指称する。
【0014】
以下、添付された図面を参考として、本発明の実施形態によるバイオチップキットを説明する。
【0015】
図1は本発明のある実施形態によるバイオチップキットの斜視図であって、リードによってハウジングが閉鎖されている状態を示す。図2は図1のII−II’線に沿って切った断面図である。
【0016】
図1および図2を参照すれば、本発明のある実施形態によるバイオチップキット10はハウジング110、ハウジング110内に配置されたバイオチップ130、およびハウジング110と連結設置されたリード120を含む。
【0017】
ハウジング110はバイオチップ130が配置される場所を提供すると同時にバイオチップ130を保護する。ハウジング110は例えばポリマー、ガラス、または鋼鉄やステンレスなどのような金属でなされ得る。外部衝撃に対してバイオチップ130を十分に保護するためには剛性材質から成されるのが好ましいが、これに制限されるものではない。
【0018】
バイオチップ130はリード120の開閉動作と関係がなくハウジングに固定配置され得る。前記固定手段として接着剤などが例示され得る。
【0019】
また、バイオチップ130は例えば、遺伝子発現分析(expression profiling)、遺伝子型分析(genotyping)、SNPのような突然変異(mutation)および多形(polymorphism)の検出、蛋白質およびペプチド分析、潜在的な薬のスクリーニング、新薬開発および製造などに適用され得る。具体的な例として、DNAチップや蛋白質チップなどを挙げることができる。バイオチップに対するより一層詳細な説明は後述される。
【0020】
リード120はハウジング110を開閉することができるようにハウジング110に連結設置されている。すなわち、リード120はハウジング110に固定されているものではなく、所定範囲で開閉動作を遂行するように設置される。図1および図2に図示されたようにリード120がハウジング110を閉鎖する場合、リード120はバイオチップ130をカバーする。したがって、リード120はハウジング110と共にバイオチップ130を保護する役割をするようになる。
【0021】
リード120はハウジング110と同様にポリマー、ガラス、または鋼鉄やステンレスなどのような金属から成ることができ、さらにハウジング110と同一な物質から成され得る。また、リード120はフレキシブルな材質、例をあげれば、合成繊維や不織布、軟性ポリマー等から成され得る。
【0022】
リード120がハウジング110を閉鎖する場合、リード120の底面はバイオチップ130の上面に密着し得る。リード120によるバイオチップ130への接触を避ける必要性がある場合、リード120の底面がバイオチップ130の上面につかないように離隔させるスペーサ(未図示)が具備され得る。スペーサはリード120および/またはハウジング110から由来したり、リード120および/またはハウジング110に付着されたものであり得る。
【0023】
この時、4面すべてに側壁が形成されるが、これらが同一な高さを有し、連続するように形成されると、ハウジング110とリード120の間の空間が密閉され得る。
【0024】
前述したようにリード120はハウジング110を閉鎖するだけでなく、所定範囲で動作しハウジング110を開放する。ハウジング110を開放するための多様な方式が図3ないし図5Bに図示されている。図3はフォルダ方式で開閉されるバイオチップキットを説明するための斜視図であって、リードの動作でハウジングが開放された状態を図示する。図4Aはスライド方式で開閉されるバイオチップキットを説明するための斜視図であって、リードの動作でハウジングが開放された状態を図示する。図4Bは図4Aのリードの底面の斜視図である。図5Aはスピン方式で開閉されるバイオチップキットを説明するための斜視図であって、リードの動作でハウジングが開放された状態を図示する。図5Bは図5AのA領域を説明するための断面図である。
【0025】
本発明のある実施形態によるバイオチップキット100はハウジング110がフォルダ方式で開閉される。すなわち、図3に図示されたように、リード120は一側サイドがハウジング110に結合された状態で上側に開かれるように設置される。このようなフォルダ方式のリード120の動作を具現するためにバイオチップキット100はリード120の一側サイドとハウジング110の一側サイドを結合する一側結合部材140を具備し得る。一側結合部材140はワイヤー、テープや接着剤などが例示されることができ、その他にフォルダの動作を具現するのに適合したすべての部材を含み得る。
【0026】
また、本発明の他のある実施形態によるバイオチップキット100aはハウジング110aがスライド方式で開閉される。すなわち、図4Aに図示されたように、リード120aは一側にスライドできるように設置される。このようなスライド方式のリード120aの動作を具現するためにハウジング110aは上面サイドにスライド溝142を具備し得る。それに対応して、リード120aは図4Aに図示されたようにスライド溝142に沿ってスライドできるように突出して形成されたスライドライン144を含み得る。図示されない本発明の変形例として、ハウジングにスライドラインが具備され、リードにスライド溝が具備され得る。
【0027】
また、本発明のまた他のある実施形態によるバイオチップキット100bはハウジング110bがスピン方式で開閉される。すなわち、図5Aに図示されたように、リード120bは一側端が固定された状態で回転できるように設置される。このようなスピン方式のリード120bの動作を具現するためにハウジング110bは図5Bに図示されたように上面の一側端に回転溝146を具備し得る。それに対応して、リード120bは図5Bに図示されたように回転溝146にしたがい回転できる回転突起148または回転シャフトを含み得る。図示されていない本発明の変形例として、ハウジングに回転突起または回転シャフトが具備され、リードに回転溝が具備され得る。
【0028】
前記したようなフォルダ方式、スライド方式、スピン方式などのリード120、120a、120bの動作でハウジング110、110a、110bが開放されれば、ハウジング110、110a、110b内に配置されたバイオチップ130の上面が外部に直接露出する。このようにバイオチップ130の上面が外部に直接露出すれば、バイオチップ130の上面に検出部(未図示)を最大限近接配置させられるという利点がある。
【0029】
図6は本発明の他のある実施形態によるバイオチップキットの斜視図である。図7は図6のVII−VII’線に沿って切った断面図である。図8は本発明のまた他のある実施形態によるバイオチップキットの斜視図である。図9は図8のIX−IX’線に沿って切った断面図である。
【0030】
図6ないし図9を参照すれば、本実施形態によるバイオチップキット101、102はリード121、122によるハウジング111、112の閉鎖時、リード121、122の底面がバイオチップ130の上面に密着せず所定間隔離隔されており、リード121、122とバイオチップ130の間に所定の反応空間160が提供されている点で前述した実施形態と差異がある。このために図6および図7に図示されたようにハウジング111が側壁を含み、図8および図9に図示されたようにリード122が側壁を含む。側壁の高さは反応空間160の大きさを決定するものであって、反応条件、反応空間内に投入される試料の量などを考慮して適切に選択され得る。
【0031】
反応空間160はバイオ試料とバイオチップ130のプローブ間の結合反応、例えばハイブリダイゼーション(hybridization)反応が成され得る空間を提供する。結合反応時、外部汚染を防止し、反応条件を容易に制御するために反応空間160は密閉されることもあり得る。言い換えると、リード121、122がハウジング111、112を閉鎖する場合、リード121、122とハウジング111、112で囲まれた内部は密閉され得る。
【0032】
一方、前述した結合反応を容易に遂行するために、ハウジング111、112はバイオ試料、洗浄液やフッ素ガスなどのような流体を供給および排出する流入/流出口(inlet/oulet)150をさらに含み得る。一つの流入/流出口150は同時に流体の供給および排出を行なうように構成されることができ、2以上の流入/流出口150のうち少なくとも一つが流体の供給のみを行い、少なくとも他の一つが流体の排出のみを行なう構造を有することもできる。さらに本発明の変形実施形態は前述したような流入/流出口がリードに具備されたり、ハウジングとリードの双方に具備される場合を含み得る。
【0033】
以上で説明した図6ないし図9のバイオチップキットの場合にも、図3ないし図5Bを参照して説明したように、リードがフォルダ方式、スライド方式またはスピン方式で開閉されることがあり、したがって、バイオチップの上面に検出部を最大限近接配置させられる長所があるのはもちろんである。
【0034】
以下、本発明の多様な実施形態によるバイオチップキットに適用され得るバイオチップに対して詳細に説明する。
【0035】
図10ないし図14は本発明の実施形態によるバイオチップキットに含まれているバイオチップの例示的な断面図である。図10ないし図14を参照すれば、バイオチップ130_1、130_2、130_3、130_4、130_5は基板132、基板132上に位置し、多数のプローブ138が固定される活性領域134を含む。
【0036】
基板132は可撓性(flexible)または剛性(rigid)基板であり得る。適用される可撓性基板の例としてはナイロン、ニトロセルロースなどのメンブレインまたはプラスチックフィルムなどを挙げることができる。剛性基板としては半導体基板、ソーダ石灰ガラスから成る透明ガラス基板などが例示され得る。本発明の実施形態によるバイオチップキットでバイオチップ130_1、130_2、130_3、130_4、130_5の検査はバイオチップ130_1、130_2、130_3、130_4、130_5の上面側で直接成されるため、基板132として半導体基板やメンブレインまたはプラスチックフィルムなどのような不透明な基板を適用しても容易なバイオチップ(130_1、130_2、130_3、130_4、130_5)検査が可能である。特に、基板132として半導体基板を適用する場合、半導体素子の製造工程がすでに安定的に確立されており、適用される多様な薄膜の製造工程および写真エッチング工程などをそのまま適用することができるという長所がある。
【0037】
基板132の上には活性領域134が形成されている。活性領域134はハイブリダイゼーション分析条件、例えばpH6−9の燐酸(phosphate)またはTRISバッファと接触時に加水分解されず実質的に安定した物質で形成されるのが好ましい。例えば、活性領域134はPE−TEOS膜、HDP酸化膜、P−SiH4酸化膜、熱酸化膜などのシリコン酸化膜、ハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケートなどのシリケート、シリコン酸窒化膜、ハフニウム酸窒化膜、ジルコニウム酸窒化膜などの金属酸窒化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、アルミニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜、ジルコニウム酸化膜、ITOなどの金属酸化膜、ポリイミド、ポリアミン、金、銀、銅、パラジウムなどの金属、またはポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリビニルなどのポリマーで形成され得る。
【0038】
活性領域134はプローブセル分離領域135によって多数個に分離されている。活性領域134とプローブセル分離領域135の区分は上部にプローブ138が固定されるのかの可否による。
【0039】
活性領域134の上には多数のプローブ138がカップリングされている。具体的に各活性領域134には同一な多数のプローブ138がカップリングされているが、分離している互いに異なる活性領域134には互いに異なるプローブ138がカップリングされていてよい。プローブ138は検査対象バイオ試料によって多様に変形可能である。一例としてプローブ138はオリゴヌクレオチドプローブであり得る。
【0040】
活性領域134とプローブ138のカップリングはその間に介在したリンカー136によって媒介され得る。
【0041】
本発明のある実施形態によるバイオチップ130_1では図10に例示的に図示されたように活性領域134がパターニングされている。図10で活性領域134が除去された空間での基板の上面がプローブセル分離領域135になる。
【0042】
本発明の他のある実施形態によるバイオチップ130_2では図11に例示的に図示されたように活性領域134が互いに物理的にパターニングされてはいないが、一定領域ごとに非活性化された137リンカー136だけがカップリングされており、プローブ138がカップリングされていないプローブセル分離領域135によって互いに分離されている。
【0043】
本発明のまた他のある実施形態によるバイオチップ130_3では図12に例示的に図示されたように基板132上にカップリングブロッキング膜135aが形成されており、カップリングブロッキング膜135a上に活性領域134が物理的にパターニングされている。カップリングブロッキング膜135aは例えばフルオロシラン膜のようにフッ素基を含むフッ化物で成され得る。図12でプローブセル分離領域135は活性領域134が除去されたカップリングブロッキング膜135a上面となる。
【0044】
本発明のまた他のある実施形態によるバイオチップ130_4では図13に例示的に図示されたように活性領域134が図9の場合のようにパターニングされており、活性領域134が除去された空間にブロッキング充填材135bが充填されている。ブロッキング充填材135bはカップリングブロッキング特性を有しつつも、ギャップフィリング特性が良い膜、例えばフルオロシランやポリシリコンで形成し得る。図13でプローブセル分離領域135はブロッキング充填材135b上面となる。
【0045】
本発明のまた他のいくつかの実施形態によるバイオチップ130_5では図14に例示的に図示されたように活性領域134が図12と実質的に同一な構造を有するが、活性領域134が除去された空間に充填されたブロッキング充填材135b上にカップリングブロッキング膜135aが形成されている。したがって、図14でプローブセル分離領域135はカップリングブロッキング膜(135a)上面となる。
【0046】
図10ないし図14に例示的に図示されているバイオチップ130_1、130_2、130_3、130_4、130_5は各々図1ないし図9のバイオチップキット100、100a、100b、101、102に含まれたバイオチップ130に置換され適用され得る。
【0047】
それでは、前記したようなバイオチップキットを利用した本発明の実施形態によるバイオ試料を検査する方法に対して説明する。
【0048】
図15は本発明の一実施形態によるバイオ試料の検査方法を示す順序図である。本実施形態は図1ないし図5Bの実施形態のように反応空間を別に具備しないバイオチップキットを利用したバイオ試料の検査方法に関係する。
【0049】
図1ないし図5Bおよび図15を参照すれば、リード120、120a、120bによって、ハウジング110、110a、110bが閉鎖されているバイオチップキット10、100、100a、100bを反応チャンバ(未図示)内に投入する(S11)。反応チャンバは結合反応が遂行される反応空間を提供する。したがって、反応チャンバはバイオ試料などの流体が出入する流入/流出口(未図示)を含み得る。一方、反応チャンバ内への投入までバイオチップ130はリード120、120a、120bによって、ハウジング110、110a、110bが閉鎖されており、それによってバイオチップ130がカバーされているため、バイオチップ130は外部汚染および衝撃などから保護される。
【0050】
続いて、反応チャンバ内でリード120、120a、120bを作動させ、ハウジング110、110a、110bの少なくとも一部を開放する(S12)。すなわち、フォルダ方式、スライド方式、スピン方式などのリード120、120a、120bの作動でハウジング110、110a、110bの少なくとも一部を開放することによって、前記開放部からバイオチップ130の上面までの空間的通路を形成する。反応チャンバの汚染防止処理に信頼性がある場合、リード120、120a、120bはバイオチップ130の上面が外部に直接露出する時までハウジング110、110a、110bを開放し得る。
【0051】
続いて、反応チャンバ内にバイオ試料を提供し、プローブと結合反応を遂行する(S13)。
【0052】
反応チャンバにバイオ試料を提供すれば、バイオ試料は前記した一部開放された開放部からバイオチップ上面までの空間的通路を通してバイオチップ130の上面に提供される。バイオ試料は検査対象試料であって、例をあげればDNAを含むこともあり得る。一本鎖DNAの一端には蛍光物質が付着されていることもあり得る。
【0053】
次に、反応条件を調節し、プローブと対象バイオ試料の結合反応を遂行する。プローブがオリゴヌクレオチドプローブであり、バイオ試料が一本鎖DNAを含む場合、前記した結合反応はハイブリダイゼーション(hybridization)反応であり得る。一方、供給されたバイオ試料が一本鎖DNAを含むが、DNAに蛍光物質が付着されていない場合、反応チェンバ内に蛍光物質染色液を供給し結合反応、例えばハイブリダイゼーション反応が生じたプローブに蛍光物質染色液を付着させる段階をさらに含み得る。
【0054】
結合反応が終われば、供給された対象バイオ試料を反応チェンバ外部に排出する。
【0055】
次に、選択的に、バイオチップキット10、100、100a、100bに残留する液状バイオ試料を完全に除去するために反応チャンバ内に洗浄液を投入し得る。
【0056】
また、必須的なことではないが、バイオチップ130の上面を乾燥するために反応チャンバ内に乾燥ガスを供給し得る。乾燥ガスとしてはフッ素ガスなどが使用され得る。
【0057】
続いて、リード120、120a、120bを作動させ、ハウジング110、110a、110bを閉鎖する(S14)。ハウジング110、110a、110bの閉鎖で結合反応が進行されたバイオチップ130はリード120、120a、120bによって、カバーされて、保護される。
【0058】
次に、反応チャンバからバイオチップキット10、100、100a、100bを回収し、検出部(未図示)に移動する(S15)。前記のようにバイオチップ130はリード120、120a、120bによってカバーされ、保護されるため検出部への移動段階で外部汚染などの問題が発生しない。
【0059】
次に、リード120、120a、120bを作動させ、ハウジング110、110a、110bを開放し、バイオチップ130の上面を露出する(S16)。リード120、120a、120bの作動は前述したようにフォルダ方式、スライド方式、スピン方式であり得る。本段階ではバイオチップ130の上面が完全に露出する時までリード120、120a、120bを作動させハウジング110、110a、110bを開放する。
【0060】
一方、前述した工程チャンバから検出部までの移動が汚染源や衝撃源から保護され得る閉鎖されたチェンバ内で成される場合、S14段階のハウジング閉鎖およびS16段階のハウジング開放は省略され得る。
【0061】
続いて、検出部をバイオチップ130の上面に近接させ、プローブとバイオ試料の結合の可否を検査する(S17)。
【0062】
検出部は光検出手段を含み得る。光検出手段は対象バイオ試料が蛍光物質を含んだり、蛍光物質染色液が提供された場合にバイオ試料とプローブの結合の可否を容易に検査し得る。例えば、バイオチップ130の上面に第1波長の光を照射すると、ハイブリダイゼーション反応などのような結合反応が生じバイオチップ130内に蛍光物質が残留する場合には第1波長の光が蛍光物質を発光させ、第1波長とは異なる波長の第2波長の光が放出される。結合反応が遂行されず、蛍光物質が残留しなければ、第1波長と異なる波長の光が放出されない。したがって、検出部の光検出手段によって第2波長の光を検出することによって、結合反応の可否を容易に検査し得る。
【0063】
光検出手段は例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(CMOS Image Sensor)等を含み得る。CCDまたはCISのレンズは放出された光を集光し、これを電気的信号に変換することによって、放出される光の量および波長を分析することに利用される。一方、蛍光物質から発光される第2波長の光は原則的に無作為的な光路を有する。したがって、より多くの光を集光するためには検出部、具体的に検出部に含まれたCCDやCISのレンズまたはこれと連係された対物レンズが発光源に最大限近接配置されるのが好ましい。特に、デザインルールが減少するほど近接配置の必要性はより一層倍加される。また、発光源とレンズの間に他の媒質が介在すれば、スネルの法則(Snell’s Law)によって光路が変わるようになり、特に媒質の境界面が不規則な場合、光路の不規則性が深刻化する。さらには、光は互いに異なる媒質を進行する場合、波長が変わるため正確な波長検出が難しい。
【0064】
しかし、本発明の実施形態によるバイオチップキット10、100、100a、100bではリード120、120a、120bが作動し、ハウジング110、110a、110bを開放することによって、バイオチップ130の上面が外部に完全に露出され得る。したがって、空気以外の他の媒質の介在なしにCCDやCISのレンズまたはそれに連係した対物レンズなどが直接近接配置され得る。したがって、十分な集光が成され得るだけでなく、正確な波長検出が可能なため、検査信頼度が改善され得る。本段階でバイオチップ130の上面が露出されたとしても、本検査段階ではすでに結合反応などが終わった状態であるため汚染の可否は大きく問題視されない。
【0065】
図16は本発明の他の実施形態によるバイオ試料の検査方法を示す順序図である。本実施形態は図6ないし図9の実施形態のように反応空間を具備するバイオチップキットを利用したバイオ試料の検査方法に関係する。以下の実施形態で図15の実施形態と重複する部分に対しては説明を省略したり簡略化し、差異点を中心に説明する。
【0066】
図6ないし図9および図16を参照すれば、リード121、122によって、ハウジング111、112が閉鎖されているバイオチップキット101、102の流入/流出口150を通してバイオ試料を提供し、プローブと結合反応を遂行する(S21)。すなわち、本実施形態によるバイオ試料の検査方法は図15のような反応チャンバの導入なくバイオチップキット101、102に含まれている反応空間160内で成されるという点が図15の実施形態と異なる。バイオ試料の提供は流入/流出口150を通して成されるため、本段階でリード121、122の作動は不必要である。
【0067】
続いて、バイオチップキット101、102を検出部(未図示)に移動する(S22)。本段階でバイオチップキット101、102はリード121、122によってハウジング111、112が閉鎖されており、内部のバイオチップ130の上面がカバーされているのは図15のS15段階と実質的に同一である。
【0068】
次に、リード121、122を作動させハウジング111、112を開放し、バイオチップ130の上面を露出する(S23)。本段階は図15のS16段階と実質的に同一である。
【0069】
次に、検出部をバイオチップ130の上面に近接させてプローブとバイオ試料の結合の可否を検査する(S24)。本段階は図15のS17段階と実質的に同一である。
【0070】
本実施形態によるバイオ試料の検査方法は、反応チャンバの導入なくバイオチップキット101、102内に具備される反応空間160で結合反応が直接生じるため、より一層単純な方法で信頼性ある検査を遂行し得る。
【0071】
以上添付された図面を参照し本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施され得るということを理解できるものである。したがって以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に適用される素子は高集積回路半導体素子、プロセッサ、MEM’s(Micro Electro Mechanical)素子、光電子(optoelectronic)素子、ディスプレイ素子(display device)等が使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明のある実施形態によるバイオチップキットの斜視図である。
【図2】図1のII−II’線に沿って切った断面図である。
【図3】フォルダ方式で開閉されるバイオチップキットを説明するための斜視図である。
【図4A】スライド方式で開閉されるバイオチップキットを説明するための斜視図である。
【図4B】図4Aのリードの底面斜視図である。
【図5A】スピン方式で開閉されるバイオチップキットを説明するための斜視図である。
【図5B】図4AのA領域を説明するための断面図である。
【図6】本発明の他のある実施形態によるバイオチップキットの斜視図である。
【図7】図6のVII−VII’線に沿って切った断面図である。
【図8】本発明のまた他のある実施形態によるバイオチップキットの斜視図である。
【図9】図8のIX−IX’線に沿って切った断面図である。
【図10】本発明の多様な実施形態によるバイオチップキットに含まれているバイオチップの例示的な断面図である。
【図11】本発明の多様な実施形態によるバイオチップキットに含まれているバイオチップの例示的な断面図である。
【図12】本発明の多様な実施形態によるバイオチップキットに含まれているバイオチップの例示的な断面図である。
【図13】本発明の多様な実施形態によるバイオチップキットに含まれているバイオチップの例示的な断面図である。
【図14】本発明の多様な実施形態によるバイオチップキットに含まれているバイオチップの例示的な断面図である。
【図15】本発明の一実施形態によるバイオ試料の検査方法を示す順序図である。
【図16】本発明の他の実施形態によるバイオ試料の検査方法を示す順序図である。
【符号の説明】
【0074】
10 バイオチップキット
110 ハウジング
120 リード
130 バイオチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオチップを保護するためのハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、少なくとも一つのプローブを含むバイオチップ、および
所定範囲で前記ハウジングを開閉するように前記ハウジングに連結設置されているリードを含むバイオ試料を検査するためのバイオチップキット。
【請求項2】
前記リードは前記ハウジングを閉鎖して前記バイオチップをカバーし、
前記ハウジングを開放して前記バイオチップの上面を露出する請求項1に記載のバイオチップキット。
【請求項3】
前記リードは、スライド方式、フォルダ方式、またはスピン方式によって所定範囲で前記ハウジングを開閉するように前記ハウジングに連結設置されている請求項2に記載のバイオチップキット。
【請求項4】
前記リードは、前記ハウジングを閉鎖して前記ハウジングと共に反応空間を定義する請求項2に記載のバイオチップキット。
【請求項5】
前記ハウジングと前記リードのうち少なくとも一つは流入/流出口を含む請求項4に記載のバイオチップキット。
【請求項6】
前記バイオチップは、前記ハウジングに固定されている請求項2に記載のバイオチップキット。
【請求項7】
前記バイオチップは基板、および前記基板上に位置し、前記各プローブが固定される活性領域をさらに含む請求項2に記載のバイオチップキット。
【請求項8】
前記基板は、半導体基板、ガラス基板またはポリマー基板である請求項7に記載のバイオチップキット。
【請求項9】
前記各プローブは、リンカーを媒介して前記活性領域に固定される請求項7に記載のバイオチップキット。
【請求項10】
前記活性領域は、前記プローブが固定されないプローブセル分離領域によって多数個が分離されている請求項7に記載のバイオチップキット。
【請求項11】
前記プローブは、オリゴヌクレオチドプローブである請求項7に記載のバイオチップキット。
【請求項12】
ハウジング、前記ハウジング内に配置され、少なくとも一つのプローブを含むバイオチップ、および所定範囲で前記ハウジングを開閉するように前記ハウジングに連結設置されているリードを含むバイオチップキットを提供し、
前記プローブとバイオ試料の結合反応を遂行し、
前記リードを作動させ前記ハウジングを開放して前記バイオチップの上面を露出させ、
前記露出したバイオチップ上に検出部を近接配置して前記プローブと前記バイオ試料の結合の可否を検査することを含むバイオ試料の検査方法。
【請求項13】
前記リードはスライド方式、フォルダ方式、またはスピン方式によって所定範囲で前記ハウジングを開閉するように前記ハウジングに連結設置されている請求項12に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項14】
前記各プローブとバイオ試料の結合反応を遂行するのは、
前記リードを作動させ前記ハウジングの少なくとも一部を開放して前記バイオチップの上面の少なくとも一部を露出させ、
前記少なくとも一部が露出された前記バイオチップの上面に前記バイオ試料を提供することを含む請求項12に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項15】
前記各プローブとバイオ試料の結合反応を遂行するのは、
流入/流出口を含む反応チェンバ内で成される請求項14に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項16】
前記リードは、前記ハウジングを閉鎖して前記ハウジングと共に反応空間を定義する請求項12に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項17】
前記ハウジングと前記リードのうち、少なくとも一つは流入/流出口を含む請求項16に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項18】
前記各プローブとバイオ試料の結合反応を遂行するのは、
前記流体流入/流入口によって前記反応空間内に前記バイオ試料を提供し、
前記反応空間内で前記結合反応を遂行することを含む請求項17に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項19】
前記バイオ試料は、蛍光物質を含み、
前記プローブと前記バイオ試料の結合の可否を検査するのは前記蛍光物質から放出される光を検出することを含む請求項12に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項20】
前記検出部は、CCDまたはCISを含む請求項19に記載のバイオ試料の検査方法。
【請求項21】
前記各プローブは、オリゴヌクレオチドプローブであり、
前記結合反応はハイブリダイゼーション反応である請求項12に記載のバイオ試料の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−164610(P2008−164610A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337758(P2007−337758)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】