説明

バスバーおよびコネクタ

【課題】板状のバスバーに比べて歩留まりを高くし得るバスバーを用いて、容易に電気接続をする。
【解決手段】バスバー20の先端部の凸型形状、すなわち、突出部21A、22B、23C、24D、25E、および26Fと、コネクタ30の凹型形状、すなわち、円筒部43A、窪み部31B、円筒部42C、窪み部31D、円筒部41E、および、窪み部31Fと、がかみ合うことで、バスバー20とコネクタ30とが電気接続できる。すなわち、コネクタ30にバスバー20を差し込むだけで電気接続が可能であり、端子を例えばネジで締結する必要がない。したがって、バスバー20とコネクタ30との接続が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続に用いるバスバーおよびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりバスバーが電気接続に用いられる。高圧大電流を使用するモータなどに用いられるバスバーには、放熱のため、また、高周波の電気抵抗を抑制するため、表面積の大きい板状のバスバーを用いている。
【0003】
この板状のバスバーは、銅板やアルミニウム板など金属板の抜き打ち加工や曲げ加工により製造される。また、バスバー両端の端子をネジ止めなどによって接続している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平06―060924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の金属板の打ち抜き加工によるバスバーの製造は、一般的に金属材料の歩留まりが低い(材料の無駄になる部分が多い)という問題がある。
またバスバーを用いた機械の製造時や点検、修理時に、バスバーの端子のネジ止めを行う必要があるが、この作業工数が多いという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、板状のバスバーに比べて金属材料の歩留まりを高くしうるバスバーを用いて、容易に電気接続ができるバスバーおよびコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るバスバーおよびコネクタは、インバータ制御の三相交流モータにおいて、インバータとモータとを電気接続するバスバーおよびコネクタであって、前記バスバーは、軸方向を有する中心部のバスバー中心導体と、前記バスバー中心導体の外周側に設けられ筒状に形成された、バスバー導体および複数のバスバー絶縁体と、を備え、前記バスバー絶縁体および前記バスバー導体は、径方向内側から外側に向かう方向において交互に配置され、前記バスバーの末端部は、前記バスバー導体と前記バスバー絶縁体とが、径方向内側の部材ほど軸方向外側に長く突出した凸型形状とされ、前記コネクタは、前記バスバー中心導体および前記バスバー導体に対して接触する複数のコネクタ導体と、コネクタ絶縁体と、を備え、前記バスバーの凸型形状とかみあう凹型形状とされていることを特徴としている。
【0008】
このバスバーおよびコネクタでは、バスバーの凸型形状とコネクタの凹型形状とがかみ合うことで電気接続できる。すなわち、コネクタにバスバーを差し込むだけで電気接続が可能である。そして、端子を例えばネジで締結する必要がない。したがって、バスバーとコネクタとの接続が容易である。そして、この接続に要する作業工数を削減できる。
また、このバスバーおよびコネクタでは、バスバーの凸型形状が、コネクタの凹型形状とかみ合い、覆われる。すなわち、バスバーを構成する導体とコネクタ導体との接続部分はコネクタの内側に配置される。したがって、この接続部分と、バスバーおよびコネクタの外部と、を確実に絶縁できる。
また、このバスバーでは、バスバー中心導体、バスバー絶縁体、および、バスバー導体は同軸に設けられる。このようなバスバーは、金属板の打ち抜き加工により製造される板状のバスバーに比べ、製造時の材料の無駄を抑制できる。したがって、バスバーの金属材料の歩留まりが高く、バスバーの材料の原料コストを削減しうる。
【0009】
第2の発明に係るバスバーおよびコネクタは、第1の発明に係るバスバーおよびコネクタにおいて、前記バスバーの末端部が差し込まれた前記コネクタを、当該コネクタの径方向外側から径方向内側へ向かって押圧することにより、当該バスバーと当該コネクタとが接続されることを特徴としている。
【0010】
このバスバーおよびコネクタでは、コネクタを押圧する。よって、バスバー中心導体およびバスバー導体とコネクタ導体とが確実に接触する。したがって、バスバーとコネクタとを確実に電気接続できる。
【0011】
第3の発明に係るバスバーおよびコネクタは、第1または第2の発明に係るバスバーおよびコネクタにおいて、前記バスバーを構成する導体、および、前記コネクタ導体は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなり(これらが主要な材料であるものを含む)、前記バスバー絶縁体および前記コネクタ絶縁体は、有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなることを特徴としている。
【0012】
このバスバーおよびコネクタでは、バスバーを構成する導体およびコネクタ導体は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる。このアルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかは、固有抵抗値が低く、加工性に優れる。すなわち、バスバーを構成する導体およびコネクタ導体には、導体として適した材料が用いられる。したがって、バスバーおよびコネクタの電気接続をより確実にしうる。
また、このバスバーおよびコネクタでは、絶縁体は有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなる。一般に、高分子化合物などの有機材料やシリカなどの無機材料の多くは、絶縁破壊電圧が10kV/mmを越えることが知られている(例えば、「プラスチックス」、工業調査会、vol.52、No.4、158〜163頁に記載)。このため使用される電圧が数kV程度であれば、たとえ絶縁体の厚さが1mm程度であっても十分に絶縁できる。すなわち、バスバー絶縁体およびコネクタ絶縁体には、絶縁体として適した材料が用いられる。したがって、バスバーおよびコネクタの絶縁をより確実にしうる。
さらに、有機材料と無機材料との混合物を絶縁体に適用した場合は、次の効果を奏する。一般に、有機材料の線膨張係数は、金属材料や無機材料に比べて大きい。このため、有機材料と無機材料との混合物を絶縁体に適用することで、導体と絶縁体との線膨張係数差を小さくすることができ、ひいてはバスバーおよびコネクタの耐久性をなお一層向上することができる。
【0013】
第4の発明に係るバスバーおよびコネクタは、第1〜第3のいずれか1つの発明に係るバスバーおよびコネクタにおいて、前記バスバー絶縁体の圧縮弾性率は、前記コネクタ絶縁体の圧縮弾性率よりも大きいことを特徴としている。
【0014】
このバスバーおよびコネクタでは、コネクタを押圧する場合、コネクタがバスバーよりも変形しやすい。したがって、バスバー絶縁体の弾性圧縮率がコネクタ絶縁体の圧縮弾性率よりも大きくない場合に比べ、バスバーを構成する導体とコネクタ導体とが、より確実に接触する。したがって、バスバーとコネクタとをより確実に電気接続できる。
【0015】
第5の発明に係るバスバーおよびコネクタは、第1〜第4のいずれか1つの発明に係るバスバーおよびコネクタにおいて、前記バスバーを構成する導体と、前記コネクタ導体との接触面がめっき処理されていることを特徴としている。
【0016】
このバスバーおよびコネクタでは、バスバーを構成する導体とコネクタ導体との接触面は、絶縁体で被覆されていない。この被覆されていない接触面にめっき処理がされている。したがって、このめっき処理がされていない場合に比べ、防錆性や耐磨耗性が高い。
また、バスバーを構成する導体とコネクタ導体との接触面が、めっき処理により平滑化される。よって、めっき処理をしない場合に比べ、これらの導体の接触面積が大きくなり、電気抵抗を低くできる。
したがって、防錆性、耐磨耗性および低電気抵抗の効果により、バスバーを構成する導体とコネクタ導体とをより確実に電気接続できる。
【0017】
第6の発明に係るバスバーおよびコネクタは、第1〜第5のいずれか1つの発明に係るバスバーおよびコネクタにおいて、前記複数のコネクタ導体は、それぞれ円筒部と帯板部とを有し、複数の前記円筒部は、それぞれ前記バスバーを構成する導体と接触するように、前記コネクタの軸方向にずらして配置され、前記コネクタは、前記複数のコネクタ導体の間の隙間が前記コネクタ絶縁体で埋められて一体化されていることを特徴としている。
【0018】
このバスバーおよびコネクタでは、バスバーを構成する複数の導体の形状は軸方向を有する形状(円柱形状や筒状など)または筒状である。そして、これらの円周に沿うように、コネクタ導体の円筒部を配置できる。よって、バスバーを構成する導体とコネクタ導体とが接触しやすい。したがって、バスバーとコネクタとをより確実に電気接続できる。
また、複数のコネクタ導体の円筒部は、コネクタの軸方向にずらして配置される。したがって、これらをコネクタの軸方向にずらして配置しない場合に比べ、コネクタ導体どうしをより絶縁できる。
また、複数のコネクタ導体の間の隙間がコネクタ絶縁体で埋められている。したがって、コネクタ導体どうしを絶縁できる。
また、コネクタは一体化されている。したがって、一体化されていない場合に比べ、コネクタの取り扱いが容易である。
【0019】
第7の発明に係るバスバーおよびコネクタは、第1〜第6のいずれか1つの発明に係るバスバーおよびコネクタにおいて、前記コネクタ絶縁体は、主コネクタ絶縁体と、当該主コネクタ絶縁体よりも圧縮弾性率の小さい埋め込み体と、を有し、前記埋め込み体は、主コネクタ絶縁体の軸方向に沿う切り欠きに埋め込まれていることを特徴としている。
【0020】
このバスバーおよびコネクタでは、切り欠きに埋め込まれた埋め込み体は主コネクタ絶縁体よりも圧縮弾性率が小さい。よって、コネクタ絶縁体が主コネクタ絶縁体のみで構成される場合に比べ、コネクタを押圧しやすい。したがって、バスバーとコネクタとをより確実に電気接続できる。
また、コネクタの切り欠きに埋め込み体を埋める。したがって、埋め込み体を切り欠きに埋めない場合に比べ、コネクタとコネクタの外部とをより絶縁できる。
【0021】
第8の発明に係るバスバーおよびコネクタでは、第1〜第7のいずれか1つの発明に係るバスバーおよびコネクタにおいて、前記複数のバスバー絶縁体は誘電率がそれぞれ等しく、前記複数のバスバー絶縁体のうち、径方向内側から数えてn番目に配置した前記バスバー絶縁体の径方向の厚さをdとし、前記バスバーを構成する複数の導体のうち径方向内側から数えてn番目に配置した前記導体の外周の表面積と、n+1番目に配置した前記導体の内周の表面積と、の平均値をSとし、前記バスバー絶縁体の個数をmとしたとき、n<mを満たすいずれのnでもS/dが一定となるように、前記バスバーを構成する前記導体および前記バスバー絶縁体が形成されていることを特徴としている。
【0022】
このバスバーおよびコネクタでは、次の理由により、相間の変位電流を等しくし得る。まず、複数のバスバー絶縁体の誘電率をそれぞれεとする。このとき、バスバーを構成する導体のうち径方向内側からn番目に配置した導体と、n+1番目に配置した導体と、複数のバスバー絶縁体のうち径方向内側からn番目に配置したバスバー絶縁体と、で構成される擬似コンデンサの静電容量Cは、C=ε×S/dで表される。このバスバーおよびコネクタではいずれのnでもS/dは一定なので、Cは一定である。ここで、径方向内側からn番目に配置した導体とn+1番目に配置した導体とに電圧Vをかけたときの変位電流Iは、I=jωCVで表される。いずれのnでもCが一定であるので、いずれのnでも変位電流Iは等しい。すなわち、バスバーを構成する複数の導体のうち径方向内側からn番目に配置した導体とn+1番目に配置した導体との間に生じる変位電流は、m>nを満たすいずれのnでも等しい。言い換えれば、バスバーを構成する複数の導体の相間で変位電流が等しい。したがって、安定した電気接続ができる。
【0023】
第9の発明は、第1〜第8のいずれか1つの発明に係るバスバーおよびコネクタであって、前記バスバー導体の径方向内側に隣接する前記バスバー絶縁体は、当該バスバー導体よりも軸方向外側に長く突出した部分の外周の直径が、当該バスバー導体の外周の直径より大きい。
【0024】
このバスバーおよびコネクタでは、バスバーおよびコネクタの軸方向長さを長くしなくても(バスバーおよびコネクタを大きくしなくても)、バスバー導体とコネクタ導体との接続部分同士の沿面距離(絶縁体の表面に沿った最短距離)が大きくなる。したがって、バスバーおよびコネクタを大きくしなくても、各相間の電気絶縁性をより確実に確保できる。
【0025】
第10の発明は、第1〜第9のいずれか1つの発明に係るバスバーおよびコネクタであって、筒状に形成された前記バスバー中心導体と、前記バスバー中心導体の内周部に接触可能に形成された前記コネクタ導体と、を備えている。
【0026】
このバスバーおよびコネクタでは、バスバー中心導体をバスバー絶縁体から軸方向外側に長く突出させなくても、バスバー中心導体とコネクタ導体とを電気接続できる。したがって、バスバー中心導体をバスバー絶縁体から軸方向外側に長く突出させる場合に比べ、バスバーの全長を短くできる。また、このバスバーとかみあうコネクタの全長も短くできる。
【発明の効果】
【0027】
以上の説明に述べたように、特に、バスバーの上記の凸型形状と、コネクタの上記の凹型形状とがかみあう構成により、バスバーとコネクタとを容易に接続でき、接続に要する作業工数を削減できる。また、バスバーを構成する導体とコネクタ導体との接続部分と、バスバーおよびコネクタの外部と、を確実に絶縁できる。また、バスバーの材料の原料コストを削減しうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】バスバーとコネクタ(コネクタ絶縁体を除く)とを示す斜視図である。
【図2】バスバーとコネクタと締付部とを示す斜視図である。
【図3】図1に示すバスバーとコネクタとの断面図である。
【図4】図3に示すバスバーの断面図である。
【図5】図3に示すコネクタの断面図である。
【図6】変形例1のバスバーとコネクタ(絶縁体を除く)とを示す斜視図である。
【図7】図6に示すバスバーとコネクタとの断面図である。
【図8】図7に示すコネクタの断面図である。
【図9】変形例2のバスバー中心導体、バスバー導体を示す図である。
【図10】第2実施形態のバスバーを示す断面図である。
【図11】第3実施形態の図3相当図である。
【図12】第3実施形態の変形例1の図3相当図である。
【図13】第3実施形態の変形例2の図3相当図である。
【図14】第4実施形態の図3相当図である。
【図15】第4実施形態の変形例の図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るバスバーおよびコネクタの実施形態について図面を参照して説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1はバスバーとコネクタ(コネクタ絶縁体を除く)とを示す斜視図であり、バスバーがコネクタに差し込まれた状態を示す。図2は図1に示すバスバーとコネクタ(絶縁部を含む)と、コネクタの外側に設けた締付部と、を示す斜視図である。図3は、図1に示すバスバーとコネクタ(コネクタ絶縁体を含む)との断面図である。図4は図3に示すバスバーの断面図である。図5は図3に示すコネクタの断面図である。以下、図1〜図5を参照してバスバーおよびコネクタ1の構成について詳細に説明する。
【0031】
(バスバーおよびコネクタの概要)
バスバーおよびコネクタ1は、インバータ制御の三相交流モータにおいて、インバータとモータとの電気接続(図示なし)に用いるものである。
【0032】
このバスバーおよびコネクタ1は、図1および図3に示すように、バスバー20およびコネクタ30により構成される。バスバー20は棒状であり、軸方向末端部(図1、図3における上端部)が凸型形状である。コネクタ30は有底筒状の凹型形状である。そして、バスバー20の凸型形状とコネクタ30の凹型形状とがかみ合う(図1および図3では、このかみ合った状態を示す)。また、コネクタ30は、図2に示すように、コネクタ30の外側に設けた締付部10により押圧される。
【0033】
締付部10は、図2に示すように、コネクタ30を押圧して電気接続を確実にするため設ける。すなわち、バスバー20の末端部が差し込まれたコネクタ30を、コネクタ30の径方向外側から径方向内側に向かって押圧するため設ける。この締付部10は、コネクタの外周に取り付ける筒部11、および、筒部から延びる2枚の平板を有する平板部12から構成される。
【0034】
筒部11は、コネクタ30を押圧する部分である。この筒部11は次のように設ける。全体としてほぼ筒状であり、この筒の周方向の一部が開いた形状である(すなわちこの筒の軸方向から見たとき「C」の字の形状である)。コネクタ30の軸方向において、コネクタ30の両端と揃うよう配置する。コネクタ30の外周に沿うよう設ける。すなわち内径は、コネクタ30の外径と同じ大きさである。
【0035】
平板部12は、ボルト14を挿入するため設ける。この平板部12は2枚の直方体の板であり、次のように設ける。長手方向はそれぞれ筒部11の軸方向に沿う。筒部11の軸方向において、平板部12の両端は、筒部11の両端と揃う。筒部11の周方向の端部から、筒部11の径方向外側に延びる。この平板部12の、筒部11径方向の幅(短手方向の長さ)は、例えば筒部11の直径の約半分とする。筒部11周方向の長さ(厚さ)は、例えば筒部11の厚さと同一とする。
この平板部12は、それぞれ中央部に補強部13を有する。また、平板部12の孔にボルト14を通す。
【0036】
補強部13は、平板部12を凸成形する(膨らませる)ことで、平板部12を補強するために設ける。この補強部13は楕円形状である。この楕円の中心は平板部12の中心であり、楕円の長辺は平板部12の長手方向に沿い、楕円の短辺は平板部12の短手方向に沿う。また、この楕円の中心にはボルト14を通す孔を設ける。
【0037】
ボルト14は、2枚の平板部12間を締め付けるため設ける。この締め付けにより、2枚の平板部12の間隔を狭くして、筒部11の径を小さくし、これによりコネクタ30を押圧する。なお2枚の平板部12の締め付けは、例えば図示しないナットをボルト14に締結することで行う。
【0038】
(バスバー)
バスバー20を、図4(図1、図3)に示す。このバスバー20は棒状である。なお、図1、図3、および図4ではバスバー20の両端のうち一方の端部のみ示している。バスバー20に接続する電動機、発電機や電源部の位置に応じて、直線状に形成することも、曲線状に形成することもできる。軸方向(すなわち長手方向。なお、バスバー20が曲がっている場合でもこの方向を「軸方向」という)の長さは例えば320mmである。
このバスバー20は、径方向内側から順に、バスバー中心導体21、バスバー絶縁体22、バスバー導体23、バスバー絶縁体24、バスバー導体25、および、バスバー絶縁体26を有する。これらの部材はそれぞれ筒状であり、同軸である。すなわち、導体と絶縁体とが、径方向内側から外側に向かう方向において交互に配置されている。言い換えれば、同心円状に導体と絶縁体とが交互に積層された、三重構造となっている。
また、このバスバー20の末端部(図4における上端部)は、凸型形状である。バスバー20の径方向内側の部材ほど、バスバー20の軸方向外側(図4における上側)に長く突出している。すなわち突出部21A、22B、23C、24D、25E、および26Fのうち、径方向内側にある突出部21Aが最も長くバスバー20の軸方向外側に突出し、以下突出部22B、23C、24D、25E、26Fの順で長く突出している。以下、このバスバー20を構成する各部材について説明する。
【0039】
バスバー中心導体21は、バスバー20の径方向の最も内側に設ける筒状の導体である。このバスバー中心導体21の軸方向(長手方向)の長さは、例えば320mmである。また、このバスバー中心導体21は、被覆のない突出部21Aと、バスバー絶縁体22により被覆された被覆部21hとに分けられる。
【0040】
突出部21Aは、図1および図3に示すように、バスバー20とコネクタ30とを接続したとき、外周部がコネクタ導体43の円筒部43Aと接する部分である。この突出部21Aは、図4に示すように、次のように設ける。外周をバスバー絶縁体22で被覆しない。バスバー絶縁体22よりバスバー20の軸方向外側(図4における上側)に長く突出している。軸方向の長さは例えば約15mmである。また、表面をめっき処理する。
【0041】
バスバー絶縁体22は、筒状の絶縁体であり、次のように設ける。バスバー中心導体21に対し、外周側に、接して、固定して設ける。また、このバスバー絶縁体22は、被覆のない突出部22Bと、バスバー導体23に被覆される被覆部22hとに分けられる。
【0042】
突出部22Bは、図1および図3に示すように、バスバー20とコネクタ30とを接続したとき、外周部が窪み部31Bと接する部分である。この突出部22Bは、図4に示すように、次のように設ける。外周がバスバー導体23で被覆されていない。また、バスバー導体23よりバスバー20の軸方向外側(図4における上側)に長く突出している。軸方向の長さは例えば約15mmとする。
【0043】
バスバー導体23、バスバー絶縁体24、バスバー導体25、および、バスバー絶縁体26は、バスバー中心導体21やバスバー絶縁体22と同様に設ける。すなわち、それぞれ筒状の導体または絶縁体である。厚さ(径方向の幅)は、例えばそれぞれ同一である。バスバー導体23は突出部23Cを、バスバー絶縁体24は突出部24Dを、バスバー導体25は突出部25Eを、バスバー絶縁体26は突出部26F(バスバー絶縁体26の端部)を、それぞれ有する。図1および図3に示すように、バスバー20とコネクタ30とを接続したとき、突出部23Cは円筒部42Cと、突出部24Dは窪み部31Dと、突出部25Eは円筒部41Eと、突出部26Fは窪み部31Fと、それぞれ外周が接する部分である。図4に示すように、突出部23C、24D、および25Eの軸方向の長さは、例えば突出部21Aの軸方向の長さと同じであり、例えば約15mmである。突出部23C、突出部25Eの表面にはめっき処理を施す。
【0044】
バスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および、バスバー導体25)は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる導体である(これらが主要な材料であるものを含む)。アルミニウムとしては例えば1060(純アルミニウム)などが適用できる。導体に1060(純アルミニウム)を用いればより一層導電性に優れる。アルミニウム合金としては例えば6061(アルミニウムに微量のマンガンおよび珪素を添加したもの)などが適用できる。導体にアルミニウム合金を用いればより一層強度に優れる。銅としては例えば、無酸素銅(OFC)、タフピッチ銅などがある。また、銅合金としては例えば、銅に微量の鉄および燐を添加した析出型の銅合金、具体的には例えば「KFC」(登録商標)がある。この「KFC」(登録商標)をバスバー20を構成する導体として用いれば、バスバー20を構成する導体と、バスバー絶縁体22、24、および26と、の密着性を高く、はがれにくくし得る(界面剥離強度を高くし得る)。
バスバー絶縁体(バスバー絶縁体22、バスバー絶縁体24、バスバー絶縁体26)は、有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなる。この有機材料は例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびゴムから選ばれる1種または複数種からなる。また、この無機材料は例えば、結晶性シリカ粉末、溶融シリカ粉末、ガラス繊維、タルク粉末、マイカ粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化硼素粉末、窒化珪素粉末、および、炭化珪素粉末、から選ばれる1種または複数種からなる。そして、バスバー絶縁体の製造方法に応じて任意の材料を選択する。
【0045】
バスバー20はどのような方法で製造しても良い。例えば以下の2つの方法がある。
一つの方法は次の方法である。金型中に金属製パイプ材(製造後における、バスバー中心導体21、バスバー導体23、および、バスバー導体25)を一定の間隔を保持して固定する。そして射出成形や真空注型、加圧注型などの方法により、金型中に無機材料を混合した有機材料(有機材料と無機材料との混合物)、または有機材料を充填する。その後この材料を固化する。材料が熱可塑性樹脂の場合、冷却により固化する。材料が熱硬化性樹脂の場合、加熱により三次元架橋する。材料がゴムの場合、加硫による三次元架橋などにより固化する。固化した材料は、バスバー絶縁体22、24および26となる。
もう一つの方法は次の方法である。金属管(製造後における、バスバー中心導体21、バスバー導体23、および、バスバー導体25)と、無機材料を混合した有機材料(有機材料と無機材料との混合物)または有機材料の管(例えばゴム管。製造後におけるバスバー絶縁体22、24および26)とを互い違いに挿入した積層管を用意する。この積層管の最も内側の金属管(製造後におけるバスバー中心導体21)の内側から加圧して、この積層管を拡管する。または、最外層(製造後のバスバー絶縁体26)の外側より内側に加圧して縮管する。これにより積層管を固定化する。
【0046】
(コネクタ)
コネクタ30は、図1および図3に示すように、バスバー20の末端部を差し込み、電気接続するための部材であり、図示しない電動機、発電機、および、電源部に取り付ける。このコネクタ30は、バスバー20の末端部の凸型形状とかみ合う凹型形状であり、有底筒状である。ここで、軸方向両端部のうち、バスバー20が差し込まれる側の端部(図1および図3における下端)を端部30b、その逆側の端部(同図における上端)を端部30tとする(以下、コネクタ30の軸方向において、端部30b側を「下側」、端部30t側を「上側」などという。なお、このコネクタ30は、端部30tを上に、端部30bを下にして使用する必要はない)。
このコネクタ30の凹型形状は、図5に示すように、以下のような形状である。コネクタ30の端部30bから端部30t側へ向かって順に、窪み部31F、円筒部41E、窪み部31D、円筒部42C、窪み部31B、および、円筒部43Aを有する。これらの部分はそれぞれ同軸であり、円柱形状の空間を有する。そしてこれらの部分のうち、端部30bから遠い部分ほど、半径が小さい。言い換えれば、端部30bからの深さは、径方向内側が最も深く、径方向外側ほど浅くなっている。そして、図1および図3に示すように、このコネクタ30にバスバー20を差し込んだとき、窪み部31Fと突出部26Fとが、円筒部41Eと突出部25Eとが、窪み部31Dと突出部24Dとが、円筒部42Cと突出部23Cとが、窪み部31Bと突出部22Bとが、円筒部43Aと突出部21Aとが、それぞれ接する。以下このコネクタ30を構成する各部材や部分について説明する。
このコネクタ30は、図5に示すように、有底筒状のコネクタ絶縁体31、および、それぞれコネクタ絶縁体31に埋め込まれたコネクタ導体41とコネクタ導体42とコネクタ導体43とを有する。
【0047】
コネクタ絶縁体31は、有底筒状であり、コネクタ導体41、42、43の間を絶縁するために設ける。また、コネクタ導体41、42、43の間の隙間を埋めて一体化するために設ける。このコネクタ絶縁体31は無機材料を混合した有機材料、または、有機材料からなる(具体的な材料は上述したバスバー絶縁体と同様である)。そして、このコネクタ絶縁体31は、図2に示すように、ほぼ有底筒状の主コネクタ絶縁体32、および、切り欠きに埋め込まれる埋め込み体34から構成される。なお、コネクタ絶縁体31内部の形状の詳細は後述する。
【0048】
主コネクタ絶縁体32は、コネクタ絶縁体31の大部分を占める部分である。ほぼ有底筒状であり、切り欠き33を有する。
【0049】
切り欠き33は、埋め込み体34を埋め込み、締付部10でのコネクタ30の押圧を容易にするため設ける。この切り欠き33は次のように設ける。主コネクタ絶縁体32の軸方向から見て、主コネクタ絶縁体32の円の中心と外周上の一点を通る直線32rと、この円の中心を中心として、この直線を回転(図2では右に約20度回転)した位置の直線32sと、で挟まれた扇形部分を考える。この扇形部分を主コネクタ絶縁体32の軸方向に沿って、上端から下端までに渡って切り欠く。これが切り欠き33である。
【0050】
埋め込み体34は、コネクタ30内外部間を絶縁するため、また、コネクタ30の押圧を容易にするため設ける。この埋め込み体は次のように設ける。切り欠き33を設ける前と、切り欠き33に埋め込み体34を埋め込んだ後と、でコネクタ絶縁体31の形状が同一になるよう埋め込む。すなわち、切り欠き33と同じ形状である。また、主コネクタ絶縁体32よりも、圧縮弾性率の小さい無機材料を混合した有機材料、または、有機材料からなる。
【0051】
次にコネクタ絶縁体31内部の形状を説明する。このコネクタ絶縁体31は、図5に示すように、コネクタ30の端部30bから端部30t側へ向かって(下から上に向かって)順に、窪み部31F、円筒部接触部35、窪み部31D、円筒部接触部36、窪み部31B、円筒部接触部37、および、上蓋部接触部38を有する。
【0052】
窪み部31Fは、図1および図3に示すように、バスバー20とコネクタ30とを接続したとき、内周がバスバー絶縁体26の突出部26Fと接する部分である。この窪み部31Fは、図5に示すように、次のように設ける。コネクタ絶縁体31から、コネクタ絶縁体31と同軸の円柱形状を取り除くことでできた窪みがこの窪み部31Fである。(図1および図3に示すように、直径は突出部26Fの外周の直径と同じ大きさである。なお、厳密には、この窪み部31Fの直径は次のようになる。締付部10(図2参照)によりコネクタ30を押圧する前は、突出部26F(図1および図3参照)の外径よりやや大きい。すなわち図3に示すような状態である。押圧後には、この窪み部31Fの直径は小さくなり、突出部26Fの外径と同じ大きさになる。これは以下で述べる窪み部31Dおよび窪み部31Bの直径についても同様である。なお、窪み部31Fの軸方向の長さは、例えば、バスバー20の導体の突出部21A、23C、および25Eの軸方向の長さより長く、バスバー20の絶縁体の突出部22Bおよび24Dの軸方向の長さより短い。
【0053】
円筒部接触部35は、図5に示すように、コネクタ導体41の円筒部41Eが嵌め込まれる部分であり、円柱形状の空間を有する。この円筒部接触部35は次のように設ける。コネクタ絶縁体31の軸方向において、窪み部31Fより端部30t側(図5における上側)に設ける。同方向において、円筒部41Eの軸方向の長さと同じ長さである。内径は、円筒部41Eの外径と同じ大きさである。またこの内径は、窪み部31Fの内径よりやや大きい。これによりコネクタ導体41の円筒部41Eが端部30b側(下側)にずれにくい。
【0054】
窪み部31Dは、図1および図3に示すように、バスバー20とコネクタ30とを接続したとき、バスバー絶縁体24の突出部24Dが接する部分である。この窪み部31Dは窪み部31Fと同様に次のように設ける。図5に示すように、円筒部接触部35の上側に設ける。軸方向および径方向において、突出部24Dの同方向における長さと同じ長さである。内径は、窪み部31Fより小さく、突出部24Dの外径と同じ大きさである。
【0055】
円筒部接触部36は、図5に示すように、コネクタ導体42の円筒部42Cが嵌め込まれる部分であり、円柱形状の空間を有する。この円筒部接触部36は、円筒部接触部35と同様に次のように設ける。窪み部31Dの上側に設ける。軸方向および径方向において、円筒部42Cの同方向における長さと同じ長さである。内径は、円筒部42Cの外径と同じ大きさであり、窪み部31Dの内径よりやや大きい。
【0056】
窪み部31Bは、図1および図3に示すように、バスバー20とコネクタ30とを接続したとき、バスバー絶縁体22の突出部22Bが接する部分である。この窪み部31Bは窪み部31Dと同様に次のように設ける。図5に示すように、円筒部接触部36の上側に設ける。軸方向および径方向において、突出部22Bの同方向における長さと同じ長さである。内径は、窪み部31Dより小さく、突出部22Bの外径と同じ大きさである。
【0057】
円筒部接触部37は、図5に示すように、コネクタ導体43の円筒部43Aが嵌め込まれる部分であり、円柱形状の空間を有する。この円筒部接触部37は、円筒部接触部36と同様に次のように設ける。窪み部31Bの上側に設ける。軸方向および径方向において、円筒部43Aの同方向における長さと同じ長さである。内径は、円筒部43Aの外径と同じ大きさであり、窪み部31Bの内径よりやや大きい。
【0058】
上蓋部接触部38は、コネクタ導体43の上蓋部43v(図5および図1参照)が嵌め込まれる部分であり、円筒部接触部37の上端を閉じる部分である。
【0059】
コネクタ導体41、42、43は、それぞれ円筒部41E、42C、43Aを有する。これらの円筒部41E、42C、43Aは、図1および図3に示すように、バスバー20の突出部25E、23C、21Aを差し込めるよう配置される。すなわち、複数の円筒部41E、42C、43Aは、それぞれバスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、25)と接触するように、コネクタ30の軸方向にずらして配置する。
【0060】
コネクタ導体41は、バスバー導体25の突出部25Eと、コネクタ30とを電気接続するため設ける。このコネクタ導体41は、図1および図5に示すように、円筒部41E、円筒部41Eから径方向外側に延びる連結部41r、および、円筒部41Eの軸方向に延びる帯板部41qを有する。
【0061】
円筒部41Eは、図1および図3に示すように、バスバー20とコネクタ30とを接続したとき、バスバー絶縁体26の突出部26Fが差し込まれる部分である。この円筒部41Eは、図1および図5に示すように、次のように設ける。軸方向の長さは突出部25E(図1参照)の軸方向の長さと同じ長さである。内径は突出部25Eの外径と同じ長さである。突出部25Eと接する部分には、めっき処理を施す。なお、厳密には、この円筒部41Eの直径は次のようになる。締付部10(図2参照)によりコネクタ30を押圧する前は、突出部25Eの外周の直径よりやや大きい。押圧後には、この直径は小さくなり、突出部25Eの外周の直径と同じ大きさになる。これは以下で述べる円筒部42Cおよび円筒部43Aの直径についても同様である。また、図1に示すように、この円筒部41Eの周方向の一部には隙間41sがある。
【0062】
隙間41sは、締付部10によりコネクタ30を押圧したとき、円筒部41Eが径方向の中心に向かって小さくなり易いようにするため設ける。この隙間の、円筒部41Eの周方向における大きさは、コネクタ30を押圧したとき、円筒部41Eの周方向端部が接触しない程度とする。
【0063】
連結部41rは、図1および図5に示すように、円筒部41Eと帯板部41qとを連結する部分である。この連結部41rは次のように設ける。円筒部41Eの周方向端部(すなわち隙間41sに隣接する端部)のうち一方から、円筒部41Eの径方向外側に延びる。同方向における長さは、例えば円筒部41Eの厚さと同じ長さである。円筒部41Eと軸方向において上下端が揃う。円筒部41E周方向の長さ(厚さ)は、例えば円筒部41Eの厚さと同じである。すなわち、円筒部41Eおよび連結部41rは、平板を円形に曲げた部分を円筒部41Eとし、この平板の長手方向の端部の一方を折り曲げた部分を連結部41rとした形状である。
【0064】
帯板部41qは、バスバー20(図1参照)からの電流を、円筒部41Eおよび連結部41rを介して、コネクタ30の外部へ導くため設ける。この帯板部41qは直方体の板であり、次のように設ける。長手方向は円筒部41Eの軸方向に沿う。長手方向の下端は連結部41rの下端と揃い、連結部41rと連結される。長手方向の上端はコネクタ30の端部30t(図1、図5における上端)を通過して、コネクタ30の外部へ出ている。図1に示すように、短手方向は円筒部41Eの径方向と直交する方向である。短手方向の長さは、例えば円筒部41Eの軸方向の幅と同じ長さにする。厚さは、図1および図5に示すように、例えば円筒部41Eの厚さと同じである。
【0065】
コネクタ導体42は、図1および図3に示すように、バスバー導体23の突出部23Cと、コネクタ30とを電気接続するため設ける。このコネクタ導体42は、図1および図5に示すように、円筒部42C、連結部42r、および、帯板部42qを有する。これらは、図1に示すように、突出部23Cに対応する位置、寸法として設ける。その他の位置、寸法や機能については、コネクタ導体41における円筒部42C、連結部42r、および、帯板部42qの関係と原則同様であるが、次の点が異なる。円筒部42Cの隙間42sの位置は、コネクタ30の軸を中心として、円筒部41Eの隙間41sの位置の反対側(180度回転した位置)に対応する位置である。連結部42rの位置も、コネクタ30の軸を中心として、連結部41rの反対側に対応する位置である。帯板部42qの短手方向は帯板部41qの短手方向と平行である。
【0066】
コネクタ導体43は、図1および図3に示すように、バスバー中心導体21の突出部21Aと、コネクタ30とを電気接続するため設ける。このコネクタ導体43は、図1および図5に示すように、円筒部43A、連結部43r(図1参照)、帯板部43q、および、上蓋部43vを有する。図1に示すように、円筒部43A、連結部43r、および帯板部43qについては、突出部21Aに対応する位置、寸法として設ける。その他の位置、寸法や機能については、コネクタ導体42における円筒部42C、連結部42r、および、帯板部42qの関係と原則同様であるが、次の点が異なる。円筒部43Aの隙間43sの位置は、コネクタ30の軸を中心として、コネクタ30軸方向の端部30t側(上側)から見て、隙間41sを右に90度回転した位置(隙間42sを左に90度回転した位置)に対応する位置にある。連結部43rも、連結部41rを右に90度(連結部42rを左に90度)回転した位置に対応する位置にある。帯板部43qの短手方向は、円筒部43Aの径方向に沿う方向である。この短手方向は帯板部41q、42qの短手方向と平行である。
すなわち、コネクタ30軸方向の端部30t側(上側)から見て、コネクタ30の軸を中心として、帯板部43qを通る直線を基準(0度)としたとき、帯板部42qは右に90度の位置、帯板部41qは左に90度の位置にある。これにより、帯板部41q、42q、および43q間の絶縁距離を確保できる。また、帯板部41q、42q、および43qそれぞれの短手方向は、間隔を開けて平行に並ぶ。これにより、帯板部41q、42q、43qとコネクタを設ける機器(例えば、電動機、発電機、電源部など)とを接続しやすい。
【0067】
上蓋部43vは、円板形状であり、バスバー中心導体21の突出部21Aの上端と、コネクタ30とを電気接続するため設ける。この上蓋部43vは、図1および図5に示すように、次のように設ける。円筒部43Aの上部を覆うように設ける。厚さ(軸方向の幅)は円筒部43Aの厚さ(径方向の幅)と同じである。突出部21Aと接する部分には、めっき処理を施す。また、この上蓋部43vは、図1に示すように隙間43wを有する。
【0068】
隙間43wは締付部10によるコネクタ30の押圧を容易にするため設ける。この隙間43wは次のように設ける。上蓋部43vの軸方向から見て、円筒部43Aの隙間43sと一致する位置に設ける。さらにこの位置から、上蓋部43vの中心まで延びるように隙間43wを設ける。
【0069】
このコネクタ30は、例えば次のように製造する。バスバーと同様に、複数のコネクタ導体を間隔を開けて金型中に入れ、金型中に有機材料を射出成形や真空注型、加圧注型などにより充填した後、有機材料を固化する。また、コネクタ導体41、42、43は、例えばアルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる(これらが主要な材料であるものを含む)。
【0070】
(第1実施形態の変形例1)
図6および図7に変形例1に係るバスバーおよびコネクタ101を示す。図8に、図6および図7に示したコネクタ130を示す。
【0071】
上述したバスバーおよびコネクタ1では、図1に示すように、帯板部41q、42q、43qがコネクタ30の端部30t側から上へ出ていた。しかし、帯板部の配置はこれに限らない。図6〜図8に示すように、コネクタ導体141、142、および143の、帯板部141q、142q、および143qは、コネクタ130の径方向外側に延びる。
【0072】
帯板部141qは、図6および図8に示すように、次のように設ける。帯板部141qと円筒部41Eとはコネクタ130の軸方向において端部が揃う。円筒部41Eの周方向端部(すなわち隙間41sに隣接する二つの端部)の一方から、コネクタ130の径方向外側に、コネクタ130の外周より外側まで延びる。厚さは例えば円筒部41Eの厚さと同一である。すなわち、一枚の平板の長手方向端部を、円形に曲げることで、コネクタ導体141が形成できる。
また、帯板部142q、および143qも、帯板部141qと同様に設ける。帯板部141q、142q、および143qは、コネクタ130の外周において、軸方向に沿う直線上に間隔を開けて配置する。すなわち、それぞれの長手方向が同一平面上に平行に並ぶよう配置される。これにより、帯板部141q、142q、および143qと、コネクタ130を設ける機器(例えば図示しない電動機、発電機、電源部)とを接続しやすい。
【0073】
(第1実施形態の変形例2)
図9に変形例2に係るバスバー中心導体221(バスバー導体223、225)を示す。
【0074】
バスバー中心導体221は筒状である。この筒状は図9(b)に示す平板221aをらせん状に巻くことで形成される(図9(a)参照)。これにより、バスバー中心導体221は、平板221aをらせん状に巻いたものでない筒状部材に比べ、曲げ易い。
【0075】
バスバー導体223、225も、図9に示すように、バスバー中心導体221と同様に形成する。すなわち、平板223a、225aをらせん状に巻くことで形成する。これにより、バスバー導体223、225を容易に形成できる。例えば、バスバー中心導体221(または21)の外側にバスバー絶縁体22を設け、その外周に平板223aをらせん状に巻いていくのみで、バスバー導体223が形成できる。またその外周にバスバー絶縁体24を設け、その外周に平板225aをらせん状に巻いていくのみで、バスバー導体225が形成できる。
【0076】
(第1実施形態のバスバーおよびコネクタの特徴)
第1実施形態のバスバーおよびコネクタ1、101には以下の特徴がある。
【0077】
図1および図3に示すように、バスバー20の先端部の凸型形状、すなわち、突出部21A、22B、23C、24D、25E、および26Fと、コネクタ30(コネクタ130も同様。以下同様)の凹型形状、すなわち、円筒部43A、窪み部31B、円筒部42C、窪み部31D、円筒部41E、および、窪み部31Fと、がかみ合うことで、バスバー20とコネクタ30とが電気接続できる。すなわち、コネクタ30にバスバー20を差し込むだけで電気接続が可能である。そして、端子を例えばネジで締結する必要がない。したがって、バスバー20とコネクタ30との接続が容易である。そして、この接続に要する作業工数を削減できる。
また、バスバー20の凸型形状が、コネクタ30の凹型形状とかみ合い、覆われる。すなわち、バスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、およびバスバー導体25)とコネクタ導体41、42、および43との接続部分はコネクタ30の内側(有底筒状のコネクタ30の筒の内部)に配置される。したがって、この接続部分と、バスバーおよびコネクタ1(101)の外部と、を確実に絶縁できる。
また、このバスバー20では、バスバー中心導体21、バスバー導体23、25、バスバー絶縁体22、24、および26、は同軸に設けられる。このようなバスバー20は、金属板の打ち抜き加工により製造される板状のバスバーに比べ、製造時の材料の無駄を抑制できる。したがって、バスバー20の歩留まりが高く、バスバー20の材料の原料コストを削減しうる。
また、このバスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および25)は筒状である。よって、断面積を一定とした場合、棒状や円柱状の場合に比べ、表面積が大きい。したがって高周波での電気抵抗の抑制や、放熱性に優れている。
【0078】
図2に示すように、コネクタ30を、締付部10で押圧する。よって、バスバー20の凸型形状とコネクタ30の凹型形状とが確実にかみ合う。すなわち、図1および図3に示すように、バスバー中心導体21、バスバー導体23、およびバスバー導体25と、コネクタ導体41、42、および43とが確実に接触する。すなわち次のようになる。押圧により、円筒部41E、42C、および43A、それぞれの半径が小さくなる。そして円筒部41E、42C、および43Aが、突出部25E、突出部23C、突出部21Aに確実に接触する。したがって、バスバー20とコネクタ30とを確実に電気接続できる。
【0079】
図1および図3に示す、バスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および25)、および、コネクタ導体41、42、および43は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる。このアルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかは、固有抵抗値が低く、加工性に優れる。すなわち、バスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および25)、および、コネクタ導体41、42、および43には、導体として適した材料が用いられている。したがってバスバー20およびコネクタ30の電気接続をより確実にしうる。また、アルミニウムまたは銅は銀などに比べ安価である。よって、導体としてアルミニウムまたは銅を用いた場合、安価にバスバー20およびコネクタ30を製造できる。
また、バスバー絶縁体22、24、26、およびコネクタ絶縁体31は有機材料と無機材料との混合物、または有機材料からなる。一般に、高分子化合物などの有機材料やシリカなどの無機材料の多くは、絶縁破壊電圧が10kV/mmを越えることが知られている。このため使用される電圧が数kV程度であれば、たとえ絶縁体の厚さが1mm程度であっても十分に絶縁できる。すなわち、バスバー絶縁体22、24、26、およびコネクタ絶縁体31には、絶縁体として適した材料が用いられている。したがってバスバー20およびコネクタ30の絶縁をより確実にしうる。
さらに、有機材料と無機材料との混合物を絶縁体(バスバー絶縁体22、24、26、およびコネクタ絶縁体31)に適用した場合は、次の効果を奏する。一般に、有機材料の線膨張係数は、金属材料や無機材料に比べて大きい。このため、有機材料と無機材料との混合物を絶縁体に適用することで、導体と絶縁体との線膨張係数差を小さくすることができ、ひいてはバスバー20およびコネクタ30の耐久性をなお一層向上することができる。
【0080】
バスバー絶縁体22、24、および26の圧縮弾性率は、コネクタ絶縁体31の圧縮弾性率よりも大きい。よって、コネクタ30を締付部10(図2参照)で押圧する場合、コネクタ30がバスバー20よりも変形しやすい。したがって、バスバー絶縁体22、24、および26の弾性圧縮率がコネクタ絶縁体31の圧縮弾性率よりも大きくない場合に比べ、バスバーを構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および25)とコネクタ導体41、42、および43とが、より確実に接触する。
【0081】
バスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および25)とコネクタ導体41、42、43との接触面、すなわち突出部21A、23C、25E、円筒部43A、42C、および41Eは、絶縁体で被覆されていない。この被覆されていない接触面に、めっき処理がされている。したがって、このめっき処理がされていない場合に比べ、防錆性や耐磨耗性が高い。
また、バスバー20を構成する導体とコネクタ導体41、42、43との接触面が、めっき処理により平滑化される。よって、めっき処理をしない場合に比べ、これらの導体の接触面積が大きくなり、電気抵抗を低くできる。
したがって、防錆性、耐磨耗性および低電気抵抗の効果により、バスバー20を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および25)とコネクタ導体41、42、43とをより確実に電気接続できる。
【0082】
バスバー20を構成する複数の導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23、および25)の形状は円筒である(なお、バスバー中心導体21の形状は円柱(棒状、針金状)でも良い)。そして、これらの円周に沿うように、コネクタ導体41、42、および43の円筒部41E、42C、および43Aを配置できる。よって、バスバー20を構成する導体とコネクタ導体41、42、43とが接触しやすい。したがって、バスバーとコネクタとをより確実に電気接続できる。
また、複数のコネクタ導体の円筒部41E、42C、および43Aは、コネクタ30の軸方向にずらして配置される。したがって、これらをコネクタ30の軸方向にずらして配置しない場合に比べ、コネクタ導体41、42、および43どうしをより絶縁できる。
また、複数のコネクタ導体41、42、および43の間の隙間がコネクタ絶縁体31で埋められている。したがって、コネクタ導体41、42、および43間を絶縁できる。
また、コネクタ30は一体化されている。したがって、一体化されていない場合に比べ、コネクタ30の取り扱いが容易である。
【0083】
図2に示すように、コネクタ絶縁体31の主コネクタ絶縁体32に切り欠き33を設け、ここに埋め込み体34を埋め込んでいる。そして、埋め込み体34は主コネクタ絶縁体32よりも圧縮弾性率が小さい。よって、コネクタ絶縁体31が主コネクタ絶縁体32のみで構成される場合に比べ、コネクタ30を押圧しやすい。したがって、バスバー20とコネクタ30とをより確実に電気接続できる。
また、コネクタ30の切り欠き33に埋め込み体34を埋める。したがって、埋め込み体34を切り欠き33に埋めない場合に比べ、コネクタ30とコネクタ30の外部とをより絶縁できる。
【0084】
(第2実施形態)
図10に第2実施形態に係るバスバーおよびコネクタの、バスバー320を軸方向から見た(図4の符号F10を参照)断面図を示す。なお、図10では、バスバー絶縁体322、324、および26にハッチングを記していない。上述した第1実施形態と第2実施形態とで異なる点は、バスバー中心導体の形状、および、バスバー絶縁体の径方向の厚さである。以下、それぞれについて説明する。なお、その他の部分については第1実施形態と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
バスバー中心導体321は、図10に示すように円柱状(針金状、棒状)である。すなわち、筒状のバスバー中心導体21(図1、図3等参照)と異なり、径方向中央に空洞がない。
【0086】
バスバー絶縁体322、324、バスバー中心導体321、バスバー導体23、および25は、相間の変位電流を等しくするために、次の条件を満たすように形成される。バスバー絶縁体322(すなわち、径方向内側から数えて1番目に配置したバスバー絶縁体)の径方向の厚さを厚さd1とする。バスバー絶縁体324(すなわち、径方向内側から数えて2番目に配置したバスバー絶縁体)の径方向の厚さを厚さd2とする。これらバスバー絶縁体322およびバスバー絶縁体324の誘電率εは等しい。そして、バスバー中心導体321(すなわち、径方向内側から数えて1番目に配置した導体)の外周321oの表面積と、バスバー導体23(すなわち、径方向内側から数えて2番目に配置した導体)の内周23iの表面積と、の平均値をSとする。言い換えれば、バスバー320の径方向において、バスバー絶縁体322と隣接する2つの導体(バスバー中心導体321およびバスバー導体23)の、バスバー絶縁体322と隣接する二面(外周321oおよび内周23i)の表面積の平均値をSとする。またこれと同様に、バスバー導体23の外周23oの表面積と、バスバー導体25(すなわち、径方向内側から数えて3番目に配置した導体)の内周25iの表面積と、の平均値をSとする。このとき、S/d1とS/d2とは同じ値である。この関係が成り立つように、バスバー絶縁体322、324、バスバー中心導体321、バスバー導体23および25が形成される。
なお、バスバー絶縁体(バスバー絶縁体322、324、および26)の個数は3である。そして、径方向内側から数えて3番目(バスバー絶縁体の個数と等しい「3」番目)に配置したバスバー絶縁体26は、外側にバスバー導体が存在しない。そこで、このバスバー絶縁体26の径方向の厚さには、上述したような条件を設けていない。言い換えれば、径方向内側から数えて2番目および1番目(3番目未満)に配置したバスバー絶縁体にのみ上述した条件を設けている。
また、この関係は、図4に示す、突出部21A、22B、23C、24D、25Eの部分では成り立たない。言い換えれば、バスバー320(図10参照)の軸方向において、バスバー絶縁体26の両端部に挟まれた部分で成り立つ。また、この関係は少なくともバスバー320の直線部分で成り立つ。
【0087】
コネクタ30(またはコネクタ130)は、上述した実施形態(図1、図3など参照)と同様に、コネクタ30(またはコネクタ130)の凹部がバスバー320(図10参照)の凸部とかみ合うように形成する。
【0088】
(第2実施形態のバスバーおよびコネクタの特徴)
第2実施形態のバスバーおよびコネクタ301では、次の理由により、相間の変位電流を等しくし得る。まず、バスバー絶縁体322およびバスバー絶縁体324の誘電率をそれぞれεとする。また、上述したように、バスバーを構成する導体のうち径方向内側から1番目に配置したバスバー中心導体321の外周321oの表面積と、同2番目に配置したバスバー導体23の内周23iの表面積と、の平均値をSとする。このとき、バスバー中心導体321と、バスバー絶縁体322と、バスバー導体23と、で構成される擬似コンデンサの静電容量Cは、C=ε×S/dで表される。
また、上述したように、バスバーを構成する導体のうち径方向内側から2番目に配置したバスバー導体23の外周23oの表面積と、同3番目に配置したバスバー導体25の内周25iの表面積と、の平均値をSとする。このとき、バスバー導体25と、バスバー絶縁体324と、バスバー導体25と、で構成される擬似コンデンサの静電容量Cは、C=ε×S/dで表される。
上述したように、本実施形態に係るバスバーおよびコネクタ301ではS/dとS/dとは同じ値である。よって、CとCとは同じ値である。ここで、バスバー中心導体321(径方向内側から1番目に配置した導体)と、バスバー導体23(径方向内側から2番目に配置した導体)とに電圧Vをかけたときの変位電流Iは、I=jωC1Vで表される。同様に、バスバー導体23(径方向内側から2番目に配置した導体)と、バスバー導体25(径方向内側から3番目に配置した導体)とに電圧Vをかけたときの変位電流Iは、I=jωCVで表される。上述したようにCとCとは同じ値であるので、変位電流IとIとは等しい。すなわち、バスバーを構成する複数の導体のうち径方向内側から1番目に配置したバスバー中心導体321と、同2番目に配置したバスバー導体23と、の間に生じる変位電流Iと、同2番目に配置したバスバー導体323と、同3番目に配置したバスバー導体25と、の間に生じる変位電流Iと、は等しい。言い換えれば、バスバーを構成する複数の導体の相間で変位電流が等しい。したがってバスバーおよびコネクタ301では安定した電気接続ができる。
【0089】
(第3実施形態)
図11に第3実施形態に係るバスバーおよびコネクタ401の断面図を示す。このバスバーおよびコネクタ401の第1実施形態との相違点は、バスバー絶縁体22及び24の突出部422B及び424Dの形状と、コネクタ絶縁体31の窪み部431B及び431Dの形状である。なおその他の構成は第1実施形態と同一であり、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0090】
突出部422Bの外周の直径は、バスバー導体23の外周の直径より大きい。さらに詳しくは、バスバー導体23の径方向内側に隣接するバスバー絶縁体22は、バスバー導体23よりも軸方向外側に長く突出した部分(すなわち突出部422B)の外周の直径が、バスバー導体23の外周の直径より大きい。言い換えれば、突出部422Bがバスバー導体23よりも径方向外側に突出している。
なお、突出部422Bの外周の直径は、バスバー絶縁体26の外周の直径以下とすることが好ましい。この場合、バスバー20全体としての外周の直径は実施形態1に係るバスバー20(図3参照)と同一である。よって、コネクタ30を大きくする必要がない。
また、突出部422Bは外周の直径が一定である。言い換えれば、突出部422Bはバスバー20の中心軸を中心として長方形断面を回転させた形状である。
【0091】
突出部424Dの外周の直径は、バスバー導体25の外周の直径より大きい。さらに詳しくは、バスバー導体25の径方向内側に隣接するバスバー絶縁体24は、バスバー導体25よりも軸方向外側に長く突出した部分(すなわち突出部424D)の外周の直径が、バスバー導体25の外周の直径より大きい。なお、突出部424Dの外周の直径は、バスバー絶縁体26の外周の直径以下とすることが好ましい。
【0092】
窪み部431Bは、突出部422Bとかみ合うように形成される。すなわち、突出部422Bがバスバー導体23よりも径方向外側に突出するのに対応して、窪み部431Bが円筒部42Cよりも径方向外側に窪む。
また窪み部431Dも、突出部424Dとかみ合うように形成される。
【0093】
(第3実施形態のバスバーおよびコネクタの特徴)
図3に示す突出部24Dの軸方向長さを大きくすれば、突出部25Eと突出部23Cとの沿面距離(絶縁体の表面に沿った最短距離)を大きくできる。また突出部22Bの軸方向長さを大きくすれば、突出部23Cと突出部21Aとの沿面距離を大きくできる。しかしながらこの場合はバスバーおよびコネクタ1が大きくなる。
一方で図11に示すバスバーおよびコネクタ401では、バスバーおよびコネクタ401の軸方向長さを長くしなくても(バスバー20やコネクタ30を大きくしなくても)、上記の沿面距離が大きくなる。したがって、バスバーおよびコネクタ401を大きくしなくても、各相間の電気絶縁性をより確実に確保できる。
【0094】
(第3実施形態の変形例1)
図12に第3実施形態の変形例1に係るバスバーおよびコネクタ501を示す。図11に示す突出部422B及び突出部424Dは次のように変形できる。
【0095】
突出部522B及び524Dは、図12に示すように、軸方向中央部で径方向外側に外周が突出した形状である。すなわち、軸方向両端部よりも同中央部で外周の直径が大きい。この突出した部分の断面は半円状または半楕円状である。
【0096】
窪み部531B及び531Dは、突出部522B及び524Dとかみ合う形状である。すなわち軸方向中央部で径方向外側に凹む形状であり、凹んだ部分の断面は半円状または半楕円状である。
【0097】
なお、バスバー絶縁体26の突出部526Fは、先端部の断面が丸くなるように形成される。さらに詳しくは、突出部526Fの先端部は、先端に向かうほど外周の直径が小さくなるよう形成される。この場合、窪み部531Fも突出部526Fとかみ合うように、断面が丸く凹むように形成される。
【0098】
(第3実施形態の変形例2)
図13に第3実施形態の変形例2に係るバスバーおよびコネクタ601を示す。図11に示す突出部422B及び突出部424Dは次のように変形できる。
【0099】
突出部622B及び624Dは、図13に示すように、軸方向中央部で径方向内側に外周が凹んだ形状である。すなわち、軸方向両端部よりも同中央部で外周の直径が小さい。この凹んだ部分の断面は、半楕円状または半円状である。
【0100】
窪み部631B及び631Dは、突出部622B及び624Dとかみ合う形状である。すなわち軸方向中央部で径方向内側に突出した形状である。
【0101】
(第4実施形態)
図14に第4実施形態に係るバスバーおよびコネクタ701を示す。このバスバーおよびコネクタ701と第1実施形態に係るバスバーおよびコネクタ1(図3参照)との主な相違点は、バスバー中心導体21の長さと、コネクタ導体43の形状である。なお第1実施形態と同一の部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0102】
バスバー中心導体21は上述したように筒状である。このバスバー中心導体21の先端は、バスバー絶縁体22の先端と軸方向に揃う。すなわち、図3に示す突出部21Aが、図14に示すバスバー中心導体21にはない。
【0103】
コネクタ導体43は、筒状であるバスバー中心導体21の内周に接触可能である。さらに詳しくは、コネクタ導体43は、円筒部43A(図3参照)を備えず、図14に示す例えば棒状の接続部743Aを備える。そして、バスバー中心導体21の内周部721Aにコネクタ導体43の接続部743Aが接触する。これによりバスバー中心導体21とコネクタ導体43とが電気接続される。
【0104】
(本実施形態のバスバーおよびコネクタの特徴)
このバスバーおよびコネクタ701では、バスバー中心導体21をバスバー絶縁体22から軸方向外側に長く突出させなくても(図3に示す突出部21Aを設けなくても)、バスバー中心導体21とコネクタ導体43とを電気接続できる。したがって、バスバー中心導体21をバスバー絶縁体22から軸方向外側に長く突出させる場合(図3に示す突出部21Aを設ける場合)に比べ、バスバー20の全長を短くできる。また、このバスバー20とかみあうコネクタ30の全長も短くできる。
【0105】
(第4実施形態の変形例)
図15に第4実施形態の変形例に係るバスバーおよびコネクタ701を示す。バスバー中心導体21及びコネクタ導体43を、第1実施形態(図3参照)と第4実施形態(図14参照)とを組み合わせたような構成としても良い。
さらに詳しくは、バスバー中心導体21は内周部721Aを備えるとともに突出部21Aを備える。また、コネクタ導体43は、接続部743Aを備えるとともに円筒部43Aを備える。そして接続部743Aと円筒部43Aとで突出部21Aを挟むように、バスバー中心導体21とコネクタ導体43とが接続される。
【0106】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0107】
例えば、前記実施形態では、図1などに示すように、バスバー20の導体の数は3であった(バスバー中心導体21、バスバー導体23、およびバスバー導体25の3つ)。しかしながら、この数は2以上であればいくつでも本発明を適用できる。
【0108】
また、前記実施形態に係るバスバーおよびコネクタ1は、三相交流モータにおけるインバータとモータとの電気接続に用いるものであったが、他の機器の電気接続にも当然適用できる。
【0109】
また、前記実施形態では、図2に示すように、コネクタ30を締付部10により押圧したが、他の方法で押圧しても良い。例えば、コネクタ30の外周部にバネやゴムなどの弾性体を取り付けて加圧しても、本発明を適用できる。
【0110】
また、前記実施形態では、埋め込み体34の径方向外側かつ周方向外側に、締付部10の2枚の平板部12を配置している。しかしながら、締付部10の配置はこの配置でなくても適用できる。例えば、締付部10の筒部11で、埋め込み体34を覆うように、締付部10を配置しても良い。この場合、押圧時に埋め込み体34が筒部11により径方向内側に押し付けられるので、径方向外側に膨らみにくい。よって締付部10でのコネクタ30の押圧がしやすく、バスバー20とコネクタ30との電気接続をより確実にできる。
【0111】
また例えば、第1及び第3実施形態の筒状のバスバー中心導体21(図3、図11参照)を、第2実施形態の円柱状(棒状、針金状)のバスバー中心導体321(図10参照)に変えても本発明を適用できる。また、第2実施形態の円柱状(棒状、針金状)のバスバー中心導体321を、第1実施形態等の筒状のバスバー中心導体21(図3、図11等参照)に変えても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0112】
1、101、301、401、501、601、701 バスバーおよびコネクタ
20 バスバー
21、221、321 バスバー中心導体(バスバーを構成する導体)
22、24、26 バスバー絶縁体
23、25、223、225 バスバー導体(バスバーを構成する導体)
23o、321o 外周
23i、25i 内周
30 コネクタ
31 コネクタ絶縁体
32 主コネクタ絶縁体
34 埋め込み体
33 切り欠き
41、42、43、141、142、143 コネクタ導体
d1、d2 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ制御の三相交流モータにおいて、インバータとモータとを電気接続するバスバーおよびコネクタであって、
前記バスバーは、
軸方向を有する中心部のバスバー中心導体と、
前記バスバー中心導体の外周側に設けられ筒状に形成された、バスバー導体および複数のバスバー絶縁体と、
を備え、
前記バスバー絶縁体および前記バスバー導体は、径方向内側から外側に向かう方向において交互に配置され、
前記バスバーの末端部は、前記バスバー導体と前記バスバー絶縁体とが、径方向内側の部材ほど軸方向外側に長く突出した凸型形状とされ、
前記コネクタは、前記バスバー中心導体および前記バスバー導体に対して接触する複数のコネクタ導体と、コネクタ絶縁体と、を備え、前記バスバーの凸型形状とかみあう凹型形状とされていることを特徴とする、バスバーおよびコネクタ。
【請求項2】
前記バスバーの末端部が差し込まれた前記コネクタを、当該コネクタの径方向外側から径方向内側へ向かって押圧することにより、当該バスバーと当該コネクタとが接続されることを特徴とする、請求項1に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項3】
前記バスバーを構成する導体、および、前記コネクタ導体は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなり、
前記バスバー絶縁体および前記コネクタ絶縁体は、有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなることを特徴とする、請求項1または2に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項4】
前記バスバー絶縁体の圧縮弾性率は、前記コネクタ絶縁体の圧縮弾性率よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項5】
前記バスバーを構成する導体と、前記コネクタ導体との接触面がめっき処理されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項6】
前記複数のコネクタ導体は、それぞれ円筒部と帯板部とを有し、
複数の前記円筒部は、それぞれ前記バスバーを構成する導体と接触するように、前記コネクタの軸方向にずらして配置され、
前記コネクタは、前記複数のコネクタ導体の間の隙間が前記コネクタ絶縁体で埋められて一体化されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項7】
前記コネクタ絶縁体は、主コネクタ絶縁体と、当該主コネクタ絶縁体よりも圧縮弾性率の小さい埋め込み体と、を有し、
前記埋め込み体は、主コネクタ絶縁体の軸方向に沿う切り欠きに埋め込まれていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項8】
前記複数のバスバー絶縁体は誘電率がそれぞれ等しく、
前記複数のバスバー絶縁体のうち、径方向内側から数えてn番目に配置した前記バスバー絶縁体の径方向の厚さをdとし、
前記バスバーを構成する複数の導体のうち径方向内側から数えてn番目に配置した前記導体の外周の表面積と、n+1番目に配置した前記導体の内周の表面積と、の平均値をSとし、
前記バスバー絶縁体の個数をmとしたとき、
n<mを満たすいずれのnでもS/dが一定となるように、前記バスバーを構成する前記導体および前記バスバー絶縁体が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項9】
前記バスバー導体の径方向内側に隣接する前記バスバー絶縁体は、当該バスバー導体よりも軸方向外側に長く突出した部分の外周の直径が、当該バスバー導体の外周の直径より大きいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項10】
筒状に形成された前記バスバー中心導体と、
前記バスバー中心導体の内周部に接触可能に形成された前記コネクタ導体と、を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−19385(P2011−19385A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513(P2010−513)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【特許番号】特許第4580036号(P4580036)
【特許公報発行日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】