説明

バスバーモジュール

【課題】組電池用のバスバーモジュールにおいて、バスバーの過剰な高温化を防止できること。
【解決手段】バスバー10、囲い部21及び蓋部材70における複数のバスバー収容部20の中空部各々を取り囲む部分に、予め定められた空冷方向R1における上流側から下流側へ連通する空気の流路を形成する第一通気孔11及び第二通気孔73が形成されている。空冷方向R1が、電池セルから電極が伸び出た方向である場合、第一通気孔11は、バスバー10各々における隣り合う電池セルの隙間に位置する部分に形成され、第二通気孔73は、蓋部材70に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池に含まれる隣り合う2つの電池セルの電極及びそれらを電気的に接続するバスバーを収容する複数のバスバー収容部を備えたバスバーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車及びハイブリッド自動車などの電動車両には、複数の電池セルを含む組電池が搭載されている。組電池は、正電極と負電極とが隣り合うように配列された複数の電池セルを備え、隣り合う2つの電池セルの正電極及び負電極は、銅部材などの導体からなるバスバーによって連結される。これにより、電池セルは電気的に直列に接続され、出力電圧の大きな組電池が構成される。
【0003】
また、特許文献1に示されるように、組電池においては、複数のバスバーは、組電池における各電池セルの電極にセット可能に配列された状態で非導電性の保持具によって一体に保持されることが多い。保持具は、バスバーごとに設けられた複数のバスバー収容部を有する。バスバー収容部は、バスバーを支持する支持部と、バスバーの周囲に起立して形成された囲い部とを有する非導電性の部材、例えば、樹脂の成形部材からなる。
【0004】
以下、組電池用の複数のバスバーとそれら複数のバスバーを保持する非導電性の保持具との組合せをバスバーモジュールと称する。バスバーモジュールにおいて、保持具は、複数のバスバー相互間を電気的に絶縁する機能と、複数のバスバーを一体化して取り扱いを容易化する機能とを併せ持つ。
【0005】
特許文献1に示されるように、組電池用バスバーは、通常、導体からなる平板状の部材であり、電池セルの電極が挿入される2つの孔が形成されている。また、組電池用バスバーの長さは、概ね、組電池における各電池セルの電極のピッチに応じて定まる。一方、組電池用バスバーの幅及び厚みは、バスバーによって伝送される電力の大きさに応じて、過剰な発熱が生じない程度の断面積が確保されるように定められる。
【0006】
昨今、電気自動車及びハイブリッド自動車などの車両に搭載される組電池においては、出力電力の増大に伴い、バスバーの過剰な発熱を防止するため、厚み及び幅の大きなバスバーが採用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−149909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の組電池用のバスバーモジュールにおいては、バスバーが、バスバー収容部の囲い部及び蓋部材によって囲まれているため、バスバーから発生した熱がバスバー収容部内にこもりやすい。そのため、従来のバスバーモジュールは、バスバーが高温になりやすいという問題点を有している。バスバーが過剰に高温化すると、組電池の性能に悪影響を及ぼす。
【0009】
本発明は、組電池用のバスバーモジュールにおいて、バスバーの過剰な高温化を防止できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るバスバーモジュールは、以下の(1)から(3)に示される各構成要素を備え、さらに、(4)に示される構成を備える。
(1)第1の構成要素は、複数の電池セルを含む組電池における隣り合う2つの電池セルの電極を電気的に接続する複数のバスバーである。
(2)第2の構成要素は、バスバーごとに設けられ、電極及びバスバーが配置される中空部の周囲において電池セルから電極が伸び出た方向に沿って筒状に形成された囲い部とその囲い部が形成する第一開口に位置するバスバーを支持する支持部とを有し、電極の列に沿って配列される複数のバスバー収容部である。
(3)第3の構成要素は、複数のバスバー収容部各々の囲い部が形成する第二開口各々を塞ぐ蓋部材である。
(4)バスバー、囲い部及び蓋部材における複数の収容部の中空部各々を取り囲む部分に、予め定められた空冷方向における上流側から下流側へ連通する空気の流路を形成する複数の通気用貫通孔が形成されている。
【0011】
例えば、空冷方向が、電池セルから電極が伸び出た方向である場合、通気用貫通孔は、バスバー各々における隣り合う電池セルの隙間に位置する部分と、蓋部材と、の各々に形成されている。
【0012】
また、空冷方向が複数の電極の配列方向である場合、通気用貫通孔は、複数のバスバー収容部各々の囲い部における空冷方向の上流側の部分と下流側の部分との各々に形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るバスバーモジュールにおいては、バスバー及びバスバー収容部における、バスバーが配置される中空部を取り囲む部分に、通気用の貫通孔が形成され、これによって予め定められた空冷方向における上流側から下流側へ連通する空気の流路が形成されている。そのため、バスバー収容部の通気性が良くなり、バスバーが冷却される。その結果、バスバーの過剰な高温化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバスバーモジュール1の主要部の分解斜視図である。
【図2】バスバーモジュール1の主要部の平面図である。
【図3】バスバーモジュール1の主要部における通気用貫通孔の位置を示す平面図である。
【図4】組電池に取り付けられた蓋部材以外のバスバーモジュール1の平面図である。
【図5】組電池に取り付けられたバスバーモジュール1の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るバスバーモジュール2の主要部の分解斜視図である。
【図7】バスバーモジュール1の正面図である。
【図8】組電池に取り付けられたバスバーモジュール2の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0016】
<第1実施形態>
まず、図1から図5を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るバスバーモジュール1の構成について説明する。なお、便宜上、図1〜図3において、バスバーモジュール1を構成する各部材において開口が形成されている部分には、網目状のハッチングが記されている。
【0017】
図4及び図5に示されるように、バスバーモジュール1は、複数の電池セル8を含む組電池9に取り付けられる。なお、図4においては、バスバーモジュール1を構成する蓋部材70の記載は省略されている。
【0018】
また、組電池9は、強制空冷によって冷却される。図5において矢印により示される方向R1は、バスバーモジュール1が取り付けられる対象となる組電池9に対して吹き付けられる冷却用の空気の送風方向を示す。
【0019】
バスバーモジュール1の取り付け対象となる組電池9の空冷方向R1は、電池セル8におけるバスバーモジュール1が取り付けられる電極面に対する反対側の面から電極面へ向かう方向である。換言すると、空冷方向R1は、組電池9に含まれる各電池セル8における電極81が伸び出た方向である。従って、組電池9に吹き付けられた冷却用空気は、電池セル8相互間の隙間82を通ってバスバーモジュール1に到達する。
【0020】
図1及び図2に示されるように、バスバーモジュール1は、複数のバスバー10と、バスバー10ごとに設けられた複数のバスバー保持具50と、複数の電圧検出用ハーネス60と、蓋部材70とを備えている。バスバーモジュール1は、ハイブリッド自動車又は電気自動車などの電動車両に搭載され、複数の電池セル8を含む組電池9に取り付けられる(図4参照)。なお、図2においては、バスバーモジュール1を構成する蓋部材70の記載が省略されている。
【0021】
<バスバー>
バスバー10は、組電池9に含まれる複数の電池セル8のうちの隣り合う2つの電池セル8の2つの電極81(正電極及び負電極)各々に連結され、それら2つの電極81を電気的に接続する組電池用のバスバーである。バスバー10は、銅などの金属からなる導電体の部材である。また、バスバー10の表層には、すずメッキなどのメッキが施されている場合もある。組電池9における複数の電池セル8は、複数のバスバー10によって電気的に直列に接続される。
【0022】
図1に示されるように、バスバー10は、隣り合う電池セル8の2つの電極81各々が挿入される2つの電極用孔12が形成された平板状の部分である。また、バスバー10には、貫通孔である第一通気孔11が形成されている。
【0023】
図3は、組電池9の電池セル8に取り付けられたバスバーモジュール1の一部の平面図である。図3において、蓋部材70の裏側に隠れた位置に配置されているバスバー10、バスバー収容部20及び電線保持部40は、破線で示されている。図3に示されるように、本実施形態においては、第一通気孔11は、バスバー10における隣り合う電池セル8の隙間82に位置する部分に形成されている。
【0024】
電池セル8の電極81には、ねじ山が形成されており、バスバー10の電極用孔12に通された電極81に不図示のナットが装着されることにより、バスバー10は、電極81に対して接続される。
【0025】
<電圧検出用ハーネス>
電圧検出用ハーネス60は、組電池9の各電池セル8の電極81における電圧を検出するために、各電池セル8の電極81に対して電気的に接続されるワイヤハーネスである。電圧検出用ハーネス60は、電池セル8の電極81に接続される端子61と、端子61に接続された電線64とを含む。また、端子61の中央部には、電池セル8の電極81が挿入される孔62が形成されている。また、端子61の縁部には、電線64の末端が固定され、電線64の心線と電気的に接続される圧着部63が形成されている。
【0026】
図2に示されるように、電圧検出用ハーネス60の端子61は、バスバー10と重ねられて電池セル8の電極81に対して接続される。即ち、電圧検出用ハーネス60における端子61は、その孔62の位置が、バスバー10における一方の電極用孔12の位置と合致するように、バスバー10に対して重ねられる。また、電圧検出用ハーネス60の電線64は、バスバー収容部20から引き出されて配線される。
【0027】
<バスバー保持具>
バスバー保持具50は、バスバー10ごとに設けられ、バスバー10各々を個別に収容するバスバー収容部20が形成されたバスバー10の保護具である。バスバー保持具50は、バスバー収容部20と、連結機構30と、電線保持部40とが形成された非導電性の部材である。
【0028】
バスバー保持具50は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの非導電性の樹脂からなる一体成型部材である。従って、バスバー収容部20、連結機構30及び電線保持部40は、全て非導電性の部材である。なお、バスバー保持具50は、非導電性の部材ではないことも考えられる。例えば、バスバー保持具50が、導電性の部材の表面に絶縁被覆が施された部材であることなども考えられる。
【0029】
バスバー収容部20は、バスバー10を支持する支持部22と、支持部22に支持されたバスバー10の周囲に起立して形成された囲い部21とを有する。囲い部21は、電池セル8の電極81及びバスバー10が配置される中空部の周囲において、電池セル8から電極81が伸び出た方向に沿って筒状に形成されている。そして、囲い部21は、電池セル8の電極81の挿入口である第一開口23と、バスバー10の入口である第二開口24とを形成している。
【0030】
支持部22は、囲い部21の内側の面から突出し、第一開口23の周りを囲んで形成されている。従って、支持部22は、第一開口23に位置するバスバー10の縁部を支える。バスバー10は、支持部22により、囲い部21の第一開口23を塞ぐ状態で保持される。
【0031】
また、囲い部21の内側の面には、支持部22に載置されたバスバー10の縁部に引っ掛かるバスバー係止部25が突出して形成されている。バスバー係止部25は、支持部22に載置されたバスバー10における、支持部22に支持される下面と反対側の上面の縁部に当接する。これにより、バスバー係止部25は、バスバー10が支持部22から浮き上がることを防止する。
【0032】
また、囲い部21の内側の面には、後述する蓋部材70の一部に引っ掛かる蓋係止部27も形成されている。この蓋係止部27は、第二開口24を塞ぐ状態の蓋部材70を保持する。
【0033】
また、囲い部21には、バスバー収容部20の内側から外側へ連通する欠け部26が形成されている。この欠け部26は、囲い部21の内側から外側へ引き出される電圧検出用ハーネス60の電線64の配線経路の一部を形成する。
【0034】
バスバー保持具50における連結機構30は、当該バスバー保持具50を隣に配置される他のバスバー保持具50と連結する機構である。図1に示される例では、連結機構30は、先端に幅の広い抜け止め部が形成された棒状の突起部31と、その突起部31が嵌め込まれる溝が形成された受け部32とにより構成されている。突起部31は、バスバー保持具50の配列方向に伸びて形成されている。図2に示されるように、隣り合う2つのバスバー保持具50の一方の突起部31の軸部分が他方の受け部32の溝に嵌め込まれることにより、2つのバスバー保持具50が連結される。
【0035】
また、図4及び図5に示されるように、3つ以上のバスバー保持具50は、連結機構30によって順次連結されることにより、一列分の電極81を接続する3つ以上のバスバー保持具50全体が一体に連結される。また、電気的に直列接続される複数の電池セル8の電極81のうち、グランドレベルの電極と最大電位の電極とには、それら各々に対応する1つの孔が形成されたバスバーが保持されたシングル電極用のバスバー保持具501が取り付けられる。このバスバー保持具501は、バスバー保持具50の連結機構30と同じ機構を備え、連結された複数のバスバー保持具50の中で端に位置するものに連結される。
【0036】
また、突起部31は、受け部32の溝に嵌め込まれた状態において、突起部31の長手方向に沿って、即ち、バスバー保持具50の配列方向に沿って、受け部32の溝の中で摺動可能な長さで形成されている。この摺動機構により、組電池9における複数の電極81相互間の間隔とバスバー保持具50の寸法との誤差が吸収される。
【0037】
バスバー保持具50における電線保持部40は、バスバー収容部20から引き出された電圧検出用ハーネス60の電線64を保持する部分である。電線保持部40は、第一電線支持部41、第二電線支持部42、第一電線押さえ部43、第二電線押さえ部44及び連結部45を有している。
【0038】
第一電線支持部41は、バスバー収容部20における囲い部21の欠け部26の外側の位置に存在し、バスバー収容部20から、バスバー保持具50の配列方向に直交する方向へ引き出された電線64を支持する部分である。図2に示されるように、この第一電線支持部41は、1つの電圧検出用ハーネス60の電線64のみを支持する。
【0039】
また、第二電線支持部42は、第一電線支持部41から引き出された電線64を、バスバー保持具50の配列方向に沿って支持する部分である。図2及び図3に示されるように、連結機構30によって複数のバスバー保持具50が連結されることにより、それらバスバー保持具50が備える複数の第二電線支持部42は、連結された複数のバスバー保持具50に渡る範囲において、電線64の配線経路を形成する。そして、第二電線支持部42は、複数の電圧検出用ハーネス60各々から引き出された複数の電線64を支持する。
【0040】
また、第一電線押さえ部43は、第一電線支持部41に支持された電線64に対して上から引っ掛かる部分である。また、第二電線押さえ部44は、第二電線支持部42に支持された電線64に対して上から引っ掛かる部分である。これら第一電線押さえ部43及び第二電線押さえ部44は、電線64が支持部から外れることを防止する部分である。
【0041】
また、連結部45は、バスバー収容部20の囲い部21と第二電線支持部42とを連結する部分である。なお、第一電線支持部41も、囲い部21と第二電線支持部42とを連結する機能を果たす。
【0042】
<蓋部材>
蓋部材70は、電池セル8の電極81の列に沿って配列された複数のバスバー収容部20各々の囲い部21が形成する第二開口24各々と、バスバー保持具50の電線保持部40各々の上方の開放部とを一括して塞ぐ板状の部材である。
【0043】
蓋部材70は、バスバー保持具50と同様に、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの非導電性の樹脂からなる板状の一体成型部材である。従って、蓋部材70も非導電性の部材である。なお、蓋部材70は、非導電性の部材ではないことも考えられる。例えば、蓋部材70が、導電性の部材の表面に絶縁被覆が施された部材であることなども考えられる。
【0044】
蓋部材70には、バスバー収容部20の蓋係止部27に引っ掛かる第一留め部71と、バスバー収容部20の一部に押し当てられる第二留め部72とが形成されている。第二留め部72の側面が囲い部21の内側面に押し当てられつつ、第一留め部71がバスバー収容部20の蓋係止部27に引っ掛かることにより、蓋部材70は、第二開口24を塞ぐ状態で、バスバー収容部20に保持される。なお、図1において、第二留め部72は、蓋部材70における内側面に形成された部分であり、隠れ線(破線)で示されている。
【0045】
また、蓋部材70には、複数のバスバー収容部20の囲い部21各々が囲う中空部、即ち、複数の電池セル8の電極81及び複数のバスバー10各々が配置される中空部に連通する貫通孔である第二通気孔73が形成されている。
【0046】
図3に示されるように、本実施形態においては、第二通気孔73は、空冷方向R1から見て重ならない位置に、1つのバスバー収容部20ごとに2つずつ設けられている。
【0047】
バスバーモジュール1において、バスバー10に形成された第一通気孔11と、蓋部材70に形成された第二通気孔73は、バスバー10、囲い部21及び蓋部材70における複数のバスバー収容部20の中空部各々を取り囲む部分に形成された通気用の貫通孔の一例である。これら第一通気孔11及び第二通気孔73は、バスバー収容部20各々において、予め定められた空冷方向R1における上流側から下流側へ連通する空気の流路を形成する。
【0048】
<効果>
バスバーモジュール1においては、第一通気孔11及び第二通気孔73が存在することにより、電池セル8の隙間82を通ってバスバーモジュール1に到達した冷却空気は、第一通気孔11を通ってバスバー収容部20内に入り、第二通気孔73を通ってバスバーモジュール1の外へ排出される。その結果、バスバー収容部20内の通気性が良くなり、バスバー10が効率的に冷却され、バスバー10の過剰な高温化を防止できる。
【0049】
特に、本実施形態において、第一通気孔11及び第二通気孔73は、空冷方向R1からみて重ならない位置に形成されている。そのため、第一通気孔11からバスバー収容部20内に浸入した空気は、バスバー収容部20内で循環しつつバスバー10と熱交換した後に第二通気孔73から排出される。その結果、バスバー10は、より効率的に冷却される。
【0050】
<第2実施形態>
次に、図6、図7及び図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るバスバーモジュール2について説明する。なお、便宜上、図6及び図7において、バスバーモジュール2を構成する各部材において開口が形成されている部分には、網目状のハッチングが記されている。また、図6においては、バスバーモジュール2を構成する蓋部材70の記載は省略されている。
【0051】
第2実施形態に係るバスバーモジュール2は、図1に示されたバスバーモジュール1と比較して、通気用の孔の位置のみが異なる構成を有している。図6〜図8において、図1から図5に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、バスバーモジュール2におけるバスバーモジュール1と異なる点についてのみ説明する。
【0052】
図8に示されるように、バスバーモジュール2は、複数の電池セル8を含む組電池9に取り付けられる。組電池9は、強制空冷によって冷却される。図8において矢印により示される方向R2は、バスバーモジュール2が取り付けられる対象となる組電池9に対して吹き付けられる冷却用の空気の送風方向を示す。
【0053】
バスバーモジュール2の取り付け対象となる組電池9の空冷方向R2は、複数のバスバー保持具50の配列方向、即ち、複数の電池セル8の電極81の配列方向である。従って、組電池9に吹き付けられた冷却用空気は、バスバーモジュール1全体の長手方向に沿って流れる。
【0054】
図6及び図7に示されるように、バスバーモジュール2においては、バスバー10の第一通気孔11及び蓋部材70の第二通気孔73は形成されていない。その代わりに、バスバーモジュール2においては、複数のバスバー収容部20各々の囲い部21における空冷方向R1の上流側の部分と下流側の部分との各々に、貫通孔である第三通気孔28及び第四通気孔29が形成されている。また、バスバーモジュール2の端部を構成するシングル電極用のバスバー保持具501にも、同じく第三通気孔28及び第四通気孔29が形成されている。
【0055】
図7は、空冷方向R2から見たバスバーモジュール2の正面図である。図7に示されるように、第三通気孔28及び第四通気孔29は、空冷方向R2からみて重なる位置に形成されている。
【0056】
シングル電極用のバスバー保持具501の第三通気孔28及び第四通気孔29と、バスバー保持具50の第三通気孔28及び第四通気孔29とは、バスバー収容部20各々において、予め定められた空冷方向R2における上流側から下流側へ連通する空気の流路を形成する。
【0057】
<効果>
バスバーモジュール2においては、第三通気孔28及び第四通気孔29が存在することにより、組電池9に吹き付けられた冷却空気は、バスバーモジュール1の一方の端部の第三通気孔28又は第四通気孔29からバスバーモジュール2内に浸入し、複数のバスバー収容部20各々の内部を順次通過した後、バスバーモジュール1の他方の端部の第四通気孔29又は第三通気孔28から排出される。その結果、各バスバー収容部20内の通気性が良くなり、バスバー10が効率的に冷却され、バスバー10の過剰な高温化を防止できる。
【0058】
<その他>
本発明に係るバスバーモジュールの取り付け対象の組電池9において、空冷方向が、電池セル8の電極81の配列方向に直交する方向である場合も考えられる。その場合、バスバー収容部20各々の囲い部21における、その空冷方向の上流側の部分及び下流側の部分と、電線保持部40各々における、その空冷方向の上流側の部分及び下流側の部分との各々に、相互に連通する貫通孔である通気孔が形成されればよい。
【符号の説明】
【0059】
1,2 バスバーモジュール
8 電池セル
9 組電池
10 バスバー
11 第一通気孔
12 電極用孔
20 バスバー収容部
21 バスバー収容部の囲い部
22 バスバー収容部の支持部
23 バスバー収容部の第一開口
24 バスバー収容部の第二開口
25 バスバー係止部
26 囲い部の欠け部
27 蓋係止部
28 第三通気孔
29 第四通気孔
30 連結機構
31 突起部
32 受け部
40 電線保持部
41 第一電線支持部
42 第二電線支持部
43 第一電線押さえ部
44 第二電線押さえ部
45 連結部
50 バスバー保持具
60 電圧検出用ハーネス
61 端子
62 孔
63 圧着部
64 電線
70 蓋部材
71 第一留め部
72 第二留め部
73 第二通気孔
81 電池セルの電極
82 電池セルの隙間
R1,R2 空冷方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む組電池における隣り合う2つの前記電池セルの電極を電気的に接続する複数のバスバーと、
前記バスバーごとに設けられ、前記電極及び前記バスバーが配置される中空部の周囲において前記電池セルから前記電極が伸び出た方向に沿って筒状に形成された囲い部と該囲い部が形成する第一開口に位置する前記バスバーを支持する支持部とを有し、前記電極の列に沿って配列される複数のバスバー収容部と、
複数の前記バスバー収容部各々の前記囲い部が形成する第二開口各々を塞ぐ蓋部材と、を備えるバスバーモジュールであって、
前記バスバー、前記囲い部及び前記蓋部材における複数の前記収容部の前記中空部各々を取り囲む部分に、予め定められた空冷方向における上流側から下流側へ連通する空気の流路を形成する複数の通気用貫通孔が形成されている、ことを特徴とするバスバーモジュール。
【請求項2】
前記空冷方向は、前記電池セルから前記電極が伸び出た方向であり、
前記通気用貫通孔は、
前記バスバー各々における隣り合う前記電池セルの隙間に位置する部分と、前記蓋部材と、の各々に形成されている、請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項3】
前記空冷方向は、複数の前記電極の配列方向であり、
前記通気用貫通孔は、複数の前記バスバー収容部各々の前記囲い部における前記空冷方向の上流側の部分と下流側の部分との各々に形成されている、請求項1に記載のバスバーモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−84318(P2012−84318A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228554(P2010−228554)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】