説明

バタフライバルブ

【課題】主に補修弁として好適に使用され、部品点数の増加がなく、また、高さ方向の寸法を大きくすることなく、配管ライン内の流体を取り出したり、圧力や温度などの流体の情報を得ることができるバタフライバルブを提供する。
【解決手段】内部に流路4が形成された弁本体1と、弁本体1の流路4内部に、流路4の軸線に対して略直角方向に支承された弁軸12により回動自在に軸支され、外周にシートリング11が嵌着された円板状の弁体10とを有するバタフライバルブにおいて、弁本体1外周面から、弁体10の上流側および/または下流側の流路4内に連通する連通孔7,8を少なくとも1つ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水、農水、海水、薬液等の流体輸送配管ラインに使用されるバタフライバルブに関し、さらに詳しくは、主として空気弁と連結して使用される補修弁に好適なバタフライバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流体輸送用の配管ラインで使用される空気弁は、配管ラインに設けられた分岐パイプ端のフランジ部に補修弁を介して取り付けられている。そして、空気弁のメンテナンスを行う場合、この補修弁を閉状態にすることによって、配管ラインからの流体の流れを一時的に止めてメンテナンスを行うことができるようになっている。この補修弁の一例として、従来では主にバタフライバルブやボールバルブが使用されている。このような配管ラインでは、流れを閉止する補修弁の付近の流路から流体を取り出したり、圧力や温度などの流体の情報を得ることができるような構成に設けられることがある。その一例として、図10に示すように、空気弁と補修弁の間に水抜栓を取り付ける構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その構成は、パイプライン101を構成するパイプ102から分岐されて立ち上がったパイプ103の末端に配置され、パイプ103に流入する水や空気などの流体の流れを開閉するボール補修弁105と、流入する水によりフロートを浮遊させ、空気孔を開閉させて空気の吸気または排気を行う空気弁本体104と、ボール補修弁105と空気弁本体104との間に挟持されて設けられたフランジ型水抜栓106とからなり、このフランジ型水抜栓106は、中央に開口を有するフランジ部材で構成され、開口部からフランジ部材を貫通する水抜きパイプと、水抜きパイプ先端に水抜弁107を設けたものであり、空気弁本体104中に滞留する水をフランジ型水抜栓106から水抜弁107を開放することにより排出できるようにしたものであった。なお、この従来例におけるボール補修弁105に変えて、バタフライ補修弁を使用しても同様の作用を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3112576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記のようなパイプライン101に使用されている空気弁に接続された補修弁においては、ボール補修弁105を閉止した後、内部に滞留した水を外部に排出するために、ボール補修弁105と空気弁本体104との間にフランジ型水抜栓106を設けなくてはならず、また、各々の部材の間にパッキンを介さなくてはならないため、シール箇所が増えて流体漏れが起こり易くなるという問題や、空気弁本体104を設置するための配管の部品点数が増加し、配管の施工時間が長くなるという問題があった。
【0006】
また、フランジ部材から突出した水抜弁107がボール補修弁105のハンドルの操作範囲内に配置されると、互いに干渉してハンドル操作の妨げになるため、水抜弁107の設置方向に注意が必要であり、フランジ型水抜栓106の配管施工時に水抜弁107の方向の施工ミスが起こりやすいという問題や、従来の配管構造では、空気弁本体104を配管ライン101から取り外して交換やメンテナンスをするときに、フランジ型水抜栓106まで外さなければ空気弁本体104を外すことができないなど、手間や時間がかかるという問題があった。
【0007】
また、ボール補修弁105と空気弁本体104との間に、従来のフランジ型水抜栓106のようなフランジや、短管などを介在させると、パイプ102から分岐されて立ち上がったパイプ103から空気弁本体104の上面までの高さが高くなってしまうという問題があった。この場合、配管ライン101が地中に埋設されるときには、空気弁本体104の上面が地面から一定の距離に埋まるように埋設されるので、パイプ102から空気弁本体104の上面までの高さが高くなると、空気弁本体104などを収納するマンホールやパイプ102の埋設深度を大きくしなくてはならないため、掘削にかかる時間や工期が長くなり、掘削費用も高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、主に補修弁として好適に使用され、部品点数の増加がなく、また、高さ方向の寸法を大きくすることなく、配管ライン内の流体を取り出したり、圧力や温度などの流体の情報を得ることができるバタフライバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の構成を図1乃至図9に基づいて説明すると、内部に流路4が形成された弁本体1と、弁本体1の流路4内部に、流路4の軸線に対して略直角方向に支承された弁軸12により回動自在に軸支され、外周にシートリング11が嵌着された円板状の弁体10とを有するバタフライバルブにおいて、弁本体1外周面から、弁体10の上流側および/または下流側の流路4内に連通する連通孔7,8が少なくとも1つ設けられていることを第一の特徴とする。
【0010】
前記連通孔7,8が、前記弁本体1の両端に一体的に形成されたフランジ部2,3外周面に設けられていることを第二の特徴とする。
【0011】
前記一方のフランジ部3の肉厚が、他方のフランジ部2の肉厚より厚肉に設けられていることを第三の特徴とする。
【0012】
前記厚肉のフランジ部3と弁本体胴部5との間が曲面状に形成されていることを第四の特徴とする。
【0013】
内部に形成された貫通孔7,8の一方の開口部の内周に雌ネジ部9が設けられ、また、他方の開口部の外周に前記連通孔7,8内周に締結される雄ネジ部16が設けられ、かつ、前記弁本体1より剛性の高い材質で形成された連結部材13が、該弁本体1の該連通孔7,8内周と水密状態で螺合されていることを第五の特徴とする。
【0014】
前記フランジ部2,3外周面に端面が平面となるように突出させた座43が一体的に形成され、前記連通孔7,8が該座43に設けられていることを第六の特徴とする。
【0015】
前記フランジ部2,3外周面に端面が平面となるように面取りを施して座45を形成し、前記連通孔7,8が該座45に設けられていることを第七の特徴とする。
【0016】
圧力計、温度計、開閉弁または各種センサーが前記連通孔7,8または連結部材13に装着されていることを第八の特徴とする。
【0017】
前記弁軸12が前記弁本体1の中央より流路軸線方向に偏った位置に配置されていることを第九の特徴とする。
【0018】
前記弁体10が手動式、電動式及び空動式のいずれか1つの駆動によって回動されることを第十の特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以上のような構造をしており、以下の優れた効果が得られる。
(1)配管ラインに設置されたバタフライバルブから流体を取り出したり、圧力や温度などの流体の情報を測定することができる。
(2)圧力計、温度計、各種センサーや開閉弁などを取り付ける時に、配管ラインに短管やフランジを介在させる必要がなく、配管の部品点数が増加せずに必要最低限で済むため、施工が容易になり、施工時間を短縮でき施工における労力やコストを低減することができる。
(3)配管の部品点数が必要最低限で済むため、パッキンを介してシールする箇所も少なくなり、漏水の心配箇所が減少する。
(4)空気弁の補修弁として使用すると、パイプから空気弁本体の上面までの高さを低くすることができ、また、この配管ラインを埋設する時の埋設深度を小さくすることができるため、施工期間を短縮したり、掘削費用を低減することができる。
(5)バタフライバルブに直接圧力計や開閉弁などを取り付けることができるため、配管ラインから空気弁のみの着脱がし易くなり、施工性やメンテナンス性が向上する。
【0020】
本発明において、バタフライバルブ31の駆動部は、弁本体1から突出した弁軸12の一端部に直接ハンドル21を取り付けた手動式の他には、モーターなどによる電気駆動式、空気圧による空気駆動式(図示せず)などがあり、駆動方式はいずれでも良く特に限定されない。手動式の場合、ハンドル21による駆動以外にも、弁軸12の一端部にギアボックスを介して操作ハンドルを取り付けても良い(図示せず)。電気駆動式の場合、図9に示すように、バタフライバルブのハンドル21の代わりに内部にモーターが設置された電動式駆動部41が、また空気駆動式の場合も同様に、空気圧によって動作する機構を有する空動式駆動部(図示せず)が、それぞれ弁軸12の一端部に係合され、トップフランジ20に固定されて自動式バタフライバルブが形成される。
【0021】
また、本発明において、弁本体の材質は、ポリジシクロペンタジエン(以下、PDCPDと記す)、ポリ塩化ビニル(以下、PVCと記す)、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂、鉄、銅合金、アルミニウム、ステンレス、チタンなどの金属のいずれでも良く、特に限定されないが、樹脂製であると、金属製の場合に比べ格段に軽量となり施工性に優れ、更に耐腐食性にも優れているため好適である。
【0022】
また、本発明において、連結部材の材質は、弁本体の材質より強度のある材質であれば良く、主に鉄、銅合金、アルミニウム、ステンレス、チタンなどの金属が好適に用いられ、必要な強度を満たしていれば、PDCPD、PVC、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂を用いても良い。連通孔に連結部材を装着することによって、その雌ネジ部に圧力計などを過剰に締め付けたり、該圧力計などの取り付けと取り外しを繰り返しても破損しにくくなり、仮に該雌ネジ部が破損したとしても容易に交換できるので好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明が本実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0024】
図1は本発明の第一の実施形態を示すバタフライバルブの縦断面図である。図2は図1のバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。図3は図1のバタフライバルブの使用例を示す全開時の縦断面図である。図4は同図3の全閉時の縦断面図である。図5は図1のバタフライバルブの他の使用例を示す縦断面図である。図6は本発明の第二の実施形態を示すバタフライバルブの縦断面図である。図7は本発明の第三の実施形態を示すバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。図8は本発明の第四の実施形態を示すバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。図9は電動式の駆動によるバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。
【0025】
以下、図1乃至図4に基づいて本発明の第一の実施形態であるバタフライバルブについて説明する。
【0026】
1はPDCPD製の中空円筒状の弁本体であり、内部に流路4が形成されている。弁本体1の両端には第一フランジ部2及び第二フランジ部3が一体的に形成され、第一フランジ部2と第二フランジ部3の間には弁本体胴部5が形成されている。第二フランジ部3は、肉厚が第一フランジ部2の1.3倍となるように厚肉に設けられており、また、第二フランジ部3と弁本体胴部5の間は、第二フランジ部3の弁本体胴部5側の稜線6から弁本体胴部5の中腹までが曲面状に形成されている。また、第二フランジ部3には、立ち上がりパイプ33の連結フランジ34(図3参照)と配管するための埋め込み金具19が設けられている。また、弁本体1側面の中央より流路軸線方向に偏った位置、すなわち第二フランジ部3側に偏った位置には、後記弁軸12が貫通するための貫通孔が形成され、弁本体1外周の貫通孔周縁に、貫通孔の径方向に突出した略円盤状のトップフランジ20が設けられている。第一フランジ部2の外周面からは、後記弁体10の二次側の流路(図1では流路4の上側)に連通する第一連通孔7が設けられており、第二フランジ部3の外周面からは、後記弁体10の一次側の流路(図1では流路4の下側)に連通する第二連通孔8が設けられている。該連通孔はいずれか一方だけに設けても良く適宜設定することができる。また、第一、第二連通孔7,8の流路側の内周面には後記連結部材13が螺合される雌ネジ部9が設けられている。
【0027】
なお、第一、第二連通孔7,8は、弁本体1外周面に対してはバルブを開閉する時にハンドル21の操作に干渉しない位置に開口させる必要があり、第一、第二フランジ部2,3の外周面に設けると、該連通孔に連結される圧力計、温度計、各種センサーや開閉弁などの設置や、これらの操作が容易となるので好適である。また、流路4の内周面に対しては後記弁体10の開閉時の作動やシールに影響しない位置に開口させる必要がある。また、弁本体1の外形は本実施形態に限定されず、フランジ部のない円筒状に形成されたものでも良い。
【0028】
10はPVC製の円板状の弁体であり、その外周にはエチレンプロピレンゴム(以下、EPDMと記す)製のシートリング11が嵌着され、弁本体1内部の前記位置に配置されている。この弁体10を貫通した弁軸孔が弁体10中央に設けられ、後記弁軸12を弁軸孔に回動不能に貫通させることにより弁体10は支承されており、後記弁軸12の回動に伴って弁本体1内で回動して、流路4を開閉する作用をしている。なお、シートリング11は、弁本体1の流路4内周面をシール可能であれば、その形状や材質は特に限定されず、弁体10に嵌着される以外にも、接着したり、一体成形などで形成しても良い。
【0029】
12はSUS403製の弁軸であり、弁本体1に設けられた貫通孔に装着されることにより弁本体1に支持されている。また、弁軸12中央部は、弁本体1に回動可能な状態で弁体10に密着貫通されている。また、弁軸12の上端部は、弁本体1の上部に設けられたトップフランジ20中央から突出して配置され、ハンドル21が取り付けられている。
【0030】
13はSUS304製の中空円筒状の連結部材である。連結部材13の内部には貫通孔が形成され、一方の開口部の内周には測定機器などが連結されるための雌ネジ部14が設けられ、その外周には径方向に突出した六角形状の鍔部15が形成されている。また、他方の開口部の外周には弁本体1の第一、第二連通孔7,8内周に形成された雌ネジ部9に螺合される雄ネジ部16が設けられている。連結部材13の中央外周には環状溝17が設けられ、環状溝17には後記シールリング18が装着されており、第一、第二連通孔7,8内周と連結部材13とが水密状態で保持される。連結部材13は外周に形成された雄ネジ部16と弁本体1の第一、第二連通孔7,8内周に形成された雌ネジ部9とを螺合することにより、弁本体1に締結されている。
【0031】
連結部材13は、弁本体1内部に圧力が加わったり、流体温度が変化したりしたときに、連結部材13が弁本体1から外れず、弁本体1との水密状態が維持されるものであればよく、例えば、両端部に雄ネジ部を形成した連結部材13を第一、第二連通孔7,8に貫通させ、第一、第二連通孔7,8から露出した両方の雄ネジ部にナットを螺合させて連結部材13を弁本体1に挟持固定するものなどでもよいが、本実施形態のような連結部材13を用いると弁本体1への着脱が容易で組み立て易く、弁本体1に螺合されている連結部材13が外力によって緩んでも水密状態が保持されるので好適である。
【0032】
連結部材13に設けられるシールリング18は、弁本体1と連結部材13を水密状態に維持できるものであればよく、ゴムパッキンやゴムシートやシールテープなどが挙げられるが、汎用性の高いOリングが好適である。また、シールリング18による水密性をより高めるために複数箇所にシールリングを装着してもよい。なお、本実施形態ではシールリング18が連結部材13に装着されているが、弁本体1にシールリング18を装着しても良く、連結部材13と弁本体1が雄ネジ部16をテーパーネジで形成するなどの水密性のある方法で連結されている場合は、シールリング18を設けなくても良い。
【0033】
なお、連結部材13の前記連通孔7,8への装着方法は上記螺合に限定されず、融着やインサート成形などの方法を用いても良い。
【0034】
次に、本実施形態のバタフライバルブが空気弁の補修弁として用いられた使用例について図3に基づいて説明する。
【0035】
空気弁22は、弁箱23と、弁箱23内側に取り付けられるフロートガイド24と、フロートガイド24の中に収納されるフロート25と、フロート25の浮遊により小空気孔26および大空気孔27を開閉させる遊動弁体28と、弁箱23の上側に取り付けられる蓋体29と、蓋体29の上側に取り付けられるカバー30とから形成されている。弁箱23の下端には後記バタフライバルブ31と連結するためのボルトが締結される埋め込み金具(図示せず)が設けられている。
【0036】
本実施形態のバタフライバルブ31は、空気弁22と立ち上がりパイプ33とで挟持固定されており、空気弁22の保守、点検を行うときに、空気弁22内への水の流入を遮断する補修弁として使用されている。バタフライバルブ31の第一連通孔には孔を塞ぐためのプラグ36が開口部に螺着されており、第二連通孔には圧力計35が開口部に螺着されている。
【0037】
パイプ32は農水の配管ラインを構成し、パイプ32からは立ち上がりパイプ33が分岐しており、立ち上がりパイプ33の端部には、バタフライバルブ31と連結するための連結フランジ34が設けられている。
【0038】
配管ラインの立ち上がりパイプ33とバタフライバルブ31と空気弁22との接続は、以下のようにして行われる。まず、立ち上がりパイプ33の連結フランジ34の端面である座面37と、バタフライバルブ31の第二フランジ部3の端面とがパッキンを介して当接され、ボルト(図示せず)を連結フランジ34のフランジ穴を貫通させて、第二フランジ部3の埋め込み金具19に締結することで、立ち上がりパイプ33の上方にバタフライバルブ31が固定される。次に、バタフライバルブ31の第一フランジ部2の端面に、空気弁22の下端面がパッキンを介して当接され、ボルト(図示せず)を第一フランジ部2のフランジ穴を貫通させて、空気弁22の埋め込み金具に締結することで、バタフライバルブ31の上方に空気弁22が固定される。
【0039】
バタフライバルブ31には第一、第二連通孔7,8が設けられ、バタフライバルブ31に直接圧力計35などを取り付けることができるようになっているため、立ち上がりパイプ33からバタフライバルブ31と空気弁22以外の部品(短管やフランジなど)を介在させる必要がなく、高さ方向に寸法をとらずにパイプ32から空気弁22の上面までの高さを低くできる。従って、マンホールに空気弁22を収納する場合には、空気弁22やパイプ32の埋設深度も小さくすることができるため、施工期間が短縮され、掘削費用を低くすることができる。また、立ち上がりパイプ33にかかる重量も軽減できる。また、配管の部品が少なくて済むので配管の施工が容易に短時間で行うことができ、部品間のシール箇所が少なくなり、漏水の心配箇所が減少する。
【0040】
また、空気弁22の内部には落ち葉やゴミ、泥などが溜まりやすく、定期的なメンテナンスが必要であるが、圧力計35はバタフライバルブ31に直接取り付けられているので、空気弁22のみを取り外すことができ、空気弁22を再度取り付けるときに、圧力計35がバタフライバルブ31のハンドル21の操作の妨げになるように設置するなどの施工ミスが起こらないため、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0041】
また、農水の配管ラインにおいては、立ち上がりパイプ33の連結フランジ34には、ボルト穴の内周側の接合面に平らな座面37が突出して形成されている。そのため、バタフライバルブ31の第二フランジ部3と連結フランジ34とをボルト締結により連結したときに、バタフライバルブ31の弁本体胴部5と第二フランジ部3との境目に応力が集中するが、第二フランジ部3が通常の肉厚である第一フランジ部2より厚肉に設けられているため第二フランジ部3は強度的に問題はない。また、第二フランジ部3と弁本体胴部5との間が曲面状に形成されているので、第二フランジ部3と連結フランジ34を連結したときに発生する応力が曲面状に形成された部分に分散されるため、第二フランジ部3の破損や変形を防止できる。
【0042】
なお、該曲面状になる部分は大きくとると良く、第二フランジ部3の弁本体胴部5側の稜線6と弁本体胴部5の中腹との間が曲面状に形成されることが望ましい。このとき、第二フランジ部3と連結フランジ34を連結したときに発生する応力は、第二フランジ部3の稜線6から弁本体胴部5の中腹にかけて広い範囲に分散され、破損や変形を防止できる。また、第二フランジ部3の弁本体胴部5側と弁本体胴部5の間にリブを設けても良い。
【0043】
また、弁本体1の弁軸12が貫通する貫通孔を、弁本体1側面の中央より流路軸線方向に偏った位置、すなわち第二フランジ部3側に偏った位置に設けると、弁軸12が第二フランジ部3を補強して第二フランジ部3の強度を増加させることができる。また、弁本体1の貫通孔が第二フランジ部3側に偏った位置に設けられると、トップフランジ20などの、弁本体胴部5から突出する部分が第二フランジ部3付近または第二フランジ部3と一体的に形成されるので、第一フランジ部2と第二フランジ部3の間に該フランジ部のボルト締めの妨げになる部分がなくなるため、第一フランジ部2と空気弁22とを連結するときに必要となる工具などを挿入するための空間を確保しつつ、該フランジ部間の距離を短く形成することができる。また、厚肉の第二フランジ部3付近に弁軸12が位置するので、弁体10が流路4内周面とシールする箇所も第二フランジ部3付近となり、内圧に対しても厚肉の第二フランジ部3によって強度が増すため、弁本体1の膨張が抑えられ、シール性が向上する。
【0044】
ここで、図1に基づいて説明すると、第二フランジ部3の肉厚Bは、第一フランジ部2の肉厚の1.1〜2.0倍に設けるのが良く、1.2〜1.4倍がより望ましい。バタフライバルブ31の面間寸法Aが一定であるときに、第二フランジ部3のボルト締結に対する強度を増加させ、弁本体1の中央より流路軸線方向に偏った位置に設けられた弁軸12を固定するための強度を増加させ、埋め込み金具19(図2参照)を強固に固定するためには、第二フランジ部3の肉厚は第一フランジ部2の肉厚の1.1倍以上にすることが良く、成形が困難になるほど厚肉にならず、バタフライバルブの重量を必要以上に増加させないためには、第二フランジ部3の肉厚は第一フランジ部2の肉厚の2.0倍以下にすることが良い。
【0045】
また、バタフライバルブ31の面間寸法Aと第二フランジ部3の肉厚Bとの関係は、1.5B<0.5Aであることが望ましい。さらに、弁軸12が貫通する貫通孔の位置は、弁本体1の中央より流路軸線方向に偏った位置であり、且つ第二フランジ部3の弁本体胴部5側の端面の位置を基準として、弁本体胴部5側へ0.5Bまでと、第二フランジ部3側へ0.5Bまでの範囲内の位置に設けられているのが良く、さらには弁本体胴部5側へ0.2Bまでと、第二フランジ部3側へ0.2Bまでの範囲内の位置に設けられているのがより望ましい。弁軸12が貫通するトップフランジ20など弁本体胴部5から突出する部分が第二フランジ部3付近または第二フランジ部3と一体的に形成されることで補強されると共に、弁本体胴部5の第一フランジ部2と第二フランジ部3の間に該フランジ部のボルト締めの妨げになる部分をなくし、第一フランジ部2と空気弁22とを連結するときに必要となる工具などを挿入するための空間を確保しつつ、該フランジ部間の距離を短く形成するために弁本体胴部5側へ0.5Bまでの範囲が良く、第二フランジ部3に形成された第二連通孔8を、シートリング11が弁本体1の流路4内周面とシールする妨げにならない位置に設けるために、第二フランジ部3側へ0.5Bまでの範囲内が良い。
【0046】
次に、本使用例における本実施形態の動作および作用について、図2乃至図5に基づいて説明する。
【0047】
バタフライバルブ31が全閉状態(図4の状態)のとき、パイプ32内を流れる水はパイプ32内の水圧によって立ち上がりパイプ33に流入するが、バタフライバルブ31の弁体10が閉止されているため止水されている。このとき、バタフライバルブ31の弁体10の一次側の流路(図3の流路4の下側)にかかる水圧を、第二フランジ部3の第二連通孔8に取り付けられた圧力計35によって、パイプ32を流れる水の圧力値を読み取ることができる。
【0048】
また、バタフライバルブ31が全閉状態(図4の状態)からハンドル21を90度回動させると、それに伴い弁軸12及び弁体10も回動し、バタフライバルブは全開状態(図3の状態)となり、パイプ32内の水圧によってバタフライバルブ31の二次側の流路(図3の流路4の上側)および空気弁22内に水が流入し、バタフライバルブ31および空気弁22内の空気は空気弁22から排出される。すなわち、空気弁22内に流入した水は水面を上昇させ、徐々にフロート25を押し上げて、遊動弁体28を上昇させる。空気弁22への充水が進むにつれ、空気弁22内の空気は大空気孔27から外部へと排出され、排出が完了する。該排出が完了すると、大空気孔27および小空気孔26は流入した水によって押し上げられた遊動弁体28およびフロート25によって閉塞され、空気弁22は水密状態に保たれる。このとき、バタフライバルブ31の弁体10の一次側の流路(図3の流路4の下側)にかかる水圧を、第二フランジ部3の第二連通孔8に取り付けられた圧力計35によって測定することができ、従って空気弁22が水密状態になったときの、空気弁22にかかる水圧を確認することができる。
【0049】
次に、メンテナンスのために配管ラインから空気弁22を取り外すときや、パイプ32内の落水が完了したときは、バタフライバルブ31のハンドル21を全開の状態から逆方向に90度回動させ、それに伴い弁軸12及び弁体10も回動し、弁体10の外周縁に設けられたシートリング11が弁本体1の内周面に圧接させることによりバタフライバルブ31を全閉状態(図4の状態)にする。このとき、圧力計35に圧力値が表示されているということはバタフライバルブ31の一次側が充水されているということであるため、メンテナンスされた空気弁22をバタフライバルブ31に再度取り付けた後でバタフライバルブを開けて空気弁を作動させる前に、パイプ32内に流体が流れているかどうかを確認することができる。
【0050】
ここで、本実施形態では圧力計35は、第二フランジ部3に設けられているが、第一フランジ部2に取り付けても良い(図示せず)。このとき、バタフライバルブ31が全開状態のときは、圧力計35を第二フランジ部3に取り付けたときと同様に、水密状態にある空気弁22内の圧力値を読み取ることができる。また、バタフライバルブ31が全閉状態のときは、バタフライバルブ31の二次側の圧力値を読み取ることができ、空気弁22内の残圧の有無を確認することができるため、メンテナンスのために空気弁22をバタフライバルブ31から取り外すときなど、より安全に空気弁22を取り外すことができる。
【0051】
なお、圧力計35は、第一フランジ部2および第二フランジ部3の両方に取り付けてもよく(図示せず)、バタフライバルブ31の一次側および二次側の差圧を確認することができ、例えば、シートリング11の損傷などによりバタフライバルブ31を全閉状態にすることができないなどの不具合を早期に見つけることができるため、バタフライバルブ31の保守管理が容易になる。圧力計35の代わりに温度計や各種センサーを設けて(図示せず)、配管ラインを流れる流体の温度や各種流体情報を測定できるようにしても良い。
【0052】
また、図5に示すように、圧力計35の代わりに開閉弁38を設けても良い。第一フランジ部2に開閉弁38を設けると、バタフライバルブ31を全閉状態にした後、開閉弁38を開けることで空気弁22内の残圧を開放し、空気弁22内に残っている水を抜くことができ、メンテナンスのために空気弁22をバタフライバルブ31から取り外すときに、安全性や作業性を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態では、第一および第二フランジ部2,3に第一、第二連通孔7,8が各1個設けられているが、いずれか一方だけに連通孔を設けても良く、また、必要に応じ各々のフランジ部に複数個設けても良い。空気弁22やバタフライバルブ31が設置される状況や目的に応じて圧力計35、温度計、各種センサー、開閉弁38を組み合わせて併用しても良い。本実施形態のように、あらかじめ第一および第二フランジ部2,3に各々第一、第二連通孔7,8を設け、使用しない連通孔にはプラグ36を水密状態で螺合して止水しておくと、配管施工現場などにおいて、新たに加工などの手を加えることなく用途に応じた配管ラインの形成が可能となる。
【0054】
さらに、本実施形態では、第二フランジ部3に埋め込み金具19が設けられているため、第二フランジ部3と連結フランジ34とを連結するときに、第一フランジ部2側に取り付けられるボルト・ナットとフランジ間で互いに干渉しなくなり、配管施工が容易となる。また、バタフライバルブ31の面間を、第一フランジ部2側と第二フランジ部3側のボルト締結の干渉にならないように広くとる必要がないので、面間を必要最小限に縮小することができる。従って、バタフライバルブ31の面間を縮小することで配管設置された空気弁22の高さを低く設けることができる。なお、本実施形態では、第二フランジ部3に埋め込み金具19を設けているが、空気弁22と第一フランジ部2を連結するときに、空気弁22側からボルトを挿入できる場合、弁本体1の面間を更に小さくするために埋め込み金具を両方のフランジ部に設けても良い。また、弁本体1にボルト締結に対する充分な強度が得られるのであれば埋め込み金具19は不要である。
【0055】
次に、図6に基づいて本発明の第二の実施形態であるバタフライバルブについて説明する。本実施形態では、前記第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0056】
弁本体39はSUS304製であり、第一、第二フランジ部2,3の外周面の弁軸12方向と直交する位置には、流路4に連通する第一、第二連通孔7,8が設けられており、第一、第二連通孔7,8の外周側の開口部には各々雌ネジ部40が設けられている。弁本体39のその他の構成と、他の部品の構成、および本第二の実施形態の作用は前記第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0057】
本実施形態において、弁本体39は樹脂でなく十分な強度を有する金属で構成されているため、第一の実施形態における連結部材13は装着する必要がなく、雌ネジ部40に圧力計や開閉弁などを直接取り付けることができる。
【0058】
次に、図7に基づいて本発明の第三の実施形態であるバタフライバルブについて説明する。本実施形態では、前記第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0059】
弁本体42の第一、第二フランジ部2,3の外周面の弁軸12方向と直交する位置には、端面が平面となるように突出させた座43が一体的に形成されている。座43の端面には流路4に連通する第一、第二連通孔7,8が開口して設けられている。弁本体42のその他の構成と、他の部品の構成、および本第三の実施形態の作用は前記第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0060】
本実施形態において、第一、第二フランジ部2,3の外周面に端面が平面となる座43が形成されているため、第一、第二連通孔7,8を加工するときに連通孔および雌ネジ部9を座面に対して垂直に形成することができ、曲面がないので加工位置が滑ってずれることがなく、容易に加工することができる。また、座43を設けることにより該連通孔7,8の強度が得られ、各種センサーや開閉弁を取り付けることによる変形や破損を防止できる。
【0061】
また、該連通孔7,8は通常その中心軸が弁軸12方向と垂直となり、且つ流路線と交わる位置に設けられるが、バタフライバルブの口径や形状によってフランジ穴や埋め込み金具と連通孔が干渉する場合は、座43を大きく設けて連通孔がフランジ穴や埋め込み金具と干渉しないように位置をずらして連通孔を形成することができる。このため、各種センサーや開閉弁も取り付けやすくなる。
【0062】
次に、図8に基づいて本発明の第四の実施形態であるバラフライバルブについて説明する。本実施例では、前記第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0063】
弁本体44の第一、第二フランジ部2,3の外周面の弁軸12と直交する位置には、端面が平面となるように面取りを施して座45が形成されている。座45の端面には流路4に連通する第一、第二の連通孔7,8が開口して設けられている。弁本体44のその他の構成と、他の部品の構成、および本第四の実施形態の作用は前記第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0064】
本実施形態において、第一、第二フランジ部2,3の外周面に端面が平面となるように面取りを施して座45が形成されているため、第一、第二連通孔7,8を形成するときに連通孔及び雌ネジ部9を座面に対して垂直に形成することができ、曲面がないので加工位置が滑ってずれることがなく、容易に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すバタフライバルブの縦断面図である。
【図2】図1のバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。
【図3】図1のバタフライバルブの使用例を示す全開時の縦断面図である。
【図4】図1のバタフライバルブの使用例を示す全閉時の縦断面図である。
【図5】図1のバタフライバルブの他の使用例を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態を示すバタフライバルブの縦断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態を示すバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。
【図8】本発明の第四の実施形態を示すバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。
【図9】電動式の駆動によるバタフライバルブの一部切り欠き斜視図である。
【図10】従来の補修弁が配置された配管ラインを示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 弁本体
2 第一フランジ部
3 第二フランジ部
4 流路
5 弁本体胴部
6 稜線
7 第一連通孔
8 第二連通孔
9 雌ネジ部
10 弁体
11 シートリング
12 弁軸
13 連結部材
14 雌ネジ部
15 鍔部
16 雄ネジ部
17 環状溝
18 シールリング
19 埋め込み金具
20 トップフランジ
21 ハンドル
22 空気弁本体
23 弁箱
24 フロートガイド
25 フロート
26 小空気孔
27 大空気孔
28 遊動弁体
29 蓋体
30 カバー
31 バタフライバルブ
32 パイプ
33 立ち上がり管
34 連結フランジ
35 圧力計
36 プラグ
37 座面
38 開閉弁
39 弁本体
40 雌ネジ部
41 電動式駆動部
42 弁本体
43 座
44 弁本体
45 座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路が形成された弁本体と、該弁本体の流路内部に、該流路の軸線に対して略直角方向に支承された弁軸により回動自在に軸支され、外周にシートリングが設けられた円板状の弁体とを有するバタフライバルブにおいて、該弁本体外周面から、該弁体の上流側および/または下流側の流路内に連通する連通孔が少なくとも1つ設けられていることを特徴とするバタフライバルブ。
【請求項2】
前記連通孔が、前記弁本体の両端に一体的に形成されたフランジ部外周面に設けられていることを特徴とする請求項1記載のバタフライバルブ。
【請求項3】
前記一方のフランジ部の肉厚が、他方のフランジ部の肉厚より厚肉に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバタフライバルブ。
【請求項4】
前記厚肉のフランジ部と弁本体胴部との間が曲面状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のバタフライバルブ。
【請求項5】
内部に形成された貫通孔の一方の開口部の内周に雌ネジ部が設けられ、また、他方の開口部の外周に前記連通孔内周に締結される雄ネジ部が設けられ、かつ、前記弁本体より剛性の高い材質で形成された連結部材が、該弁本体の該連通孔内周と水密状態で螺合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のバタフライバルブ。
【請求項6】
前記フランジ部外周面に端面が平面となるように突出させた座が一体的に形成され、前記連通孔が該座に設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のバタフライバルブ。
【請求項7】
前記フランジ部外周面に端面が平面となるように面取りを施して座を形成し、前記連通孔が該座に設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のバタフライバルブ。
【請求項8】
圧力計、温度計、開閉弁または各種センサーが前記連通孔または連結部材に装着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のバタフライバルブ。
【請求項9】
前記弁軸が前記弁本体の中央より流路軸線方向に偏った位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のバタフライバルブ。
【請求項10】
前記弁体が手動式、電動式及び空動式のいずれか1つの駆動によって回動されることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のバタフライバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−204157(P2009−204157A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306468(P2008−306468)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【Fターム(参考)】