説明

バッグインボックス

【課題】 液体注出口に対するキャップ又はホースの着脱作業を容易にする。
【解決手段】 胴部12を形成する4つの側板と、2重構造の天部14を形成する天板と、2重構造の底部16を形成する底板と、を含んで構成される略直方体形状の外箱18に、キャップ又はホースが着脱可能に螺合される液体注出口が一体化された内袋が収容されるバッグインボックス10において、2重構造の内側に位置する天板に連接される側板の上端から所定距離Dだけ隔てた位置を折曲線20として、ここから天板方向へと先端が延びる略コ字形状の切り込みを内側に折り曲げると共に、切り込みに囲まれる部分の折曲線20から先端に向けて、液体注出口を嵌合固定するための固定穴22と、作業者が指を挿入可能な長穴24と、をこの順で開設する一方、2重構造の外側に位置する天板に、固定穴22及び長穴24を臨む部分を切り取り可能なミシン目26を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンボール製の外箱に液体注出口付内袋を収容したバッグインボックスにおいて、液体注出口に着脱可能に螺合されるキャップ又はホースの着脱作業を容易にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を収容する容器として、登録実用新案第3065167号公報(特許文献1)に記載されるように、液体注出口付内袋を外箱に収容したバッグインボックスが広く使用されている。このようなバッグインボックスの一例として、略直方体形状をなす外箱の一側面上部から上面にかけて形成した略コ字形状の切り込みを内側に折り曲げ、ここに液体注出口を嵌合固定したものがある。また、液体注出口には、液体への異物混入を防止する目的で、キャップが着脱可能に螺合されると共に、液体を注出し易くする目的で、中間部に蛇腹が形成されたホースが着脱可能に螺合される。
【特許文献1】登録実用新案第3065167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、内袋の液体注出口は、外箱の一部を内側に折り曲げた部分に嵌合固定されているため、外箱に対していわゆる片持ち状態で固定されている。このため、液体注出口にキャップ又はホースを着脱するとき、液体注出口が外箱内側へと押し込まれて陥没し、その着脱作業が困難となるおそれがあった。
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、液体注出口が嵌合固定される部分の近傍に、作業者が指を挿入可能な長穴を形成することで、片持ち状態の外箱の一部を天部と一緒に把持可能とし、液体注出口の陥没を防止したバッグインボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、請求項1記載の発明では、胴部を形成する4つの側板と、2重構造の天部を形成する天板と、2重構造の底部を形成する底板と、を含んで構成される略直方体形状の外箱に対して、キャップ又はホースが着脱可能に螺合される液体注出口が一体化された内袋が収容されるバッグインボックスにおいて、2重構造の内側に位置する天板に連接される側板の上端から所定距離隔てた位置を折曲線として、該折曲線から天板方向へと先端が延びる略コ字形状の切り込みを内側に折り曲げると共に、該切り込みに囲まれる部分の折曲線から先端に向けて、前記液体注出口を嵌合固定するための固定穴と、指を挿入可能な長穴と、をこの順で開設する一方、2重構造の外側に位置する天板に、前記固定穴及び長穴を臨む部分を切り取り可能なミシン目を形成したことを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明では、前記所定距離は、前記キャップの高さより大に設定されたことを特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記液体注出口の基部は、前記固定穴より大径に形成されたことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、2重構造の外側に位置する天板に、略弓形形状をなす取手の両端部を嵌合固定する一対の取付穴が開設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、バッグインボックスを初めて使用するときには、2重構造の外側に位置する天板に形成されたミシン目を破り、固定穴及び長穴を臨む部分を切り取る。そして、長穴から指先を差し込み、2重構造の天部を形成する天板と液体注出口が嵌合固定された部分とを一緒に把持しつつ、液体注出口に対してキャップ又はホースを着脱する。このようにすれば、液体注出口を外箱内部へと押し込む外力が作用しても、これが天部と一体化されているので陥没せず、キャップ又はホースの着脱作業を容易にすることができる。また、バッグインボックスを使用する前には、2重構造の外側に位置する天板により固定穴及び長穴が隠れているので、未使用であることを容易に認識させることができる。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、液体注出口に螺合されたキャップは、折曲線と内側に位置する天板との間に収納されるため、キャップが外箱の上面から上方に突出せず、例えば、バッグインボックスを積み重ねて保管することができる。
請求項3記載の発明によれば、バッグインボックスの繰り返し使用により、液体注出口周囲が破れたときには、長穴から差し込んだ指先で液体注出口の基部を支えれば、液体注出口を外箱内部へと押し込む外力が作用しても、これが陥没することを防止できる。
【0008】
請求項4記載の発明によれば、一対の取付穴に取手の両端部を嵌合固定すれば、外箱の保持が容易になり、液体の注出に要する労力を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明を具現化したバッグインボックスの外箱の斜視図を示す。
バッグインボックス10は、胴部12を形成する4つの側板と、2重構造の天部14を形成する天板と、2重構造の底部16を形成する底板と、を含んで構成される略直方体形状の外箱18に対して、キャップ又はホースが着脱可能に螺合される液体注出口が一体化された内袋(図示せず)が収容されたものである。2重構造の内側に位置する天板に連接される側板の上端から所定距離Dだけ隔てた位置を折曲線20として、ここから天板方向へと先端が延びる略コ字形状の切り込みが内側に折り曲げられると共に、その切り込みに囲まれる部分の折曲線20から先端に向けて、液体注出口を嵌合固定するための固定穴22と、作業者が指を挿入可能な長穴24と、がこの順で開設される。また、2重構造の外側に位置する天板には、固定穴22及び長穴24を臨む部分を切り取り可能なミシン目26が形成される。
【0010】
外箱18の具体的構成は、図2に示す展開図のように、隣接する端部同士が連接された4つの側板12A〜12Dの上端及び下端に、対向する一対で2重構造の内側及び外側に位置する天板及び底板を形成すべく、4つの天板部材14A〜14D及び底板部材16A〜16Dが夫々連接されたものである。そして、2重構造の内側に位置する天板を形成する1つの天板部材14Cに連接される側板12Cの上端から所定距離Dだけ隔てた位置には折曲線20が形成され、ここから天板部材14Cの方向へと先端が延びる略コ字形状の切り込み28が形成される。ここで、所定距離Dは、外箱18を図1のように組み立てたときに、液体注出口に螺合されたキャップが折曲線20と天板部材14Cとの間に収納されるべく、キャップの高さより大に設定することが望ましい。また、略コ字形状の切り込み28により囲まれた部分には、折曲線20からその先端に向けて、液体注入口を嵌合固定するための固定穴22、及び、作業者が指を挿入可能な長穴24がこの順で開設される。さらに、2重構造の外側に位置する天板を形成する天板部材14B及び14Dには、外箱18を組み立てたときに、固定穴22及び長穴24を臨む部分を切り取り可能なミシン目26、及び、略弓形形状をなす取手の両端部を嵌合固定するための一対の取付穴30が夫々形成される。その他、2重構造の外側に位置する底板を形成する1つの底板部材16Aには、外箱18の底部を保持し易くする目的で、作業者が指先を引っ掛けるための矩形穴32が開設される。
【0011】
なお、図中最右方に位置する側板12Dに連接された略台形形状の部材34は、側板同士を連結するための貼り付け代である。
次に、かかる構成からなるバッグインボックス10の作用について説明する。
バックインボックス10に収容された液体を注出するときには、2重構造の外側に位置する天板部材14B及び14Dに形成されたミシン目26を破り、固定穴22及び長穴24を臨む部分を切り取る。また、図3に示すように、天板部材14B及び14Dに開設された取付穴30に、取手36の両端部を嵌合固定する。このようにすると、内袋に一体化された液体注出口に螺合されたキャップ38及び長穴24を外部に露出させることができる。なお、この作業は、バッグインボックス10の使用を開始するときに、1回だけ行なえばよい。このとき、バッグインボックス10の使用前には、2重構造の外側に位置する天板部材14B及び14Dによりキャップ38及び長穴24が隠れているので、未使用であることを容易に認識させることができる。
【0012】
そして、図4(A)に示すように、長穴24から指先を差し込んだ後、同図(B)に示すように、2重構造の天部を形成する天板部材14A〜14Dと液体注出口40が嵌合固定された部分とを一緒に把持しつつ、液体注出口40からキャップ38を取り外す。このとき、液体注出口40を外箱18の内部へと押し込む外力が作用しても、これが天部14と一体化されているので陥没せず、キャップ38の取り外し作業を容易に行なうことができる。キャップ38の取り外し作業が完了したならば、図5に示すように、同様な手順を経て、液体注出口40にホース42を螺合し、図6に示すように、取手36及び底板部材16Aに形成された矩形穴32を把持しつつ、外箱18を傾けて液体を注出する。一方、液体の注出作業が終了したならば、同様な手順により、ホース42の取り外し及びキャップ38の螺合を順次行なえばよい。
【0013】
従って、このようなバッグインボックス10によれば、長穴24から差し込んだ指で、2重構造の天部14及び液体注出口40が嵌合固定された部分を把持して一体化可能なため、キャップ38又はホース42の着脱作業時に、液体注出口40を外箱18の内側に押し付ける外力が作用しても、その陥没を防止することができる。このため、キャップ38又はホース42の着脱作業を容易にすることができる。
【0014】
また、図4に示すように、液体注出口40の基部を固定穴22より大径に形成するようにすれば、バックインボックス10の繰り返し使用により液体注出口40の周囲が破れたとき、長穴24から差し込んだ指先でその基部を支えることで、これが陥没することを防止できる。さらに、図4(A)に示すように、内側に位置する天板を形成する天板部材14A及び14Cと液体注出口が嵌合固定された部分との間に隙間があるため、ここに指先を差し込むことで、バッグインボックス10の運搬などを容易にすることができる。
【0015】
なお、外箱18は、図2に示す構成に限らず、天部14及び底部16が2重構造となる構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を具現化したバッグインボックスの外箱の斜視図
【図2】外箱の展開図
【図3】液体注出口周囲の詳細を示す部分斜視図
【図4】液体注出口からキャップを取り外す作業手順を示し、(A)及び(B)はその手順を夫々時系列的に示す説明図
【図5】液体注出口にホースを螺合する作業の説明図
【図6】液体注出作業の説明図
【符号の説明】
【0017】
10 バッグインボックス
12 胴部
12A〜12D 側板
14 天部
14A〜14D 天板部材
16 底部
16A〜16 底板部材
18 外箱
20 折曲線
22 固定穴
24 長穴
26 ミシン目
28 切り込み
30 取付穴
36 取手
38 キャップ
40 液体注出口
42 ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部を形成する4つの側板と、2重構造の天部を形成する天板と、2重構造の底部を形成する底板と、を含んで構成される略直方体形状の外箱に対して、キャップ又はホースが着脱可能に螺合される液体注出口が一体化された内袋が収容されるバッグインボックスにおいて、
2重構造の内側に位置する天板に連接される側板の上端から所定距離隔てた位置を折曲線として、該折曲線から天板方向へと先端が延びる略コ字形状の切り込みを内側に折り曲げると共に、該切り込みに囲まれる部分の折曲線から先端に向けて、前記液体注出口を嵌合固定するための固定穴と、指を挿入可能な長穴と、をこの順で開設する一方、
2重構造の外側に位置する天板に、前記固定穴及び長穴を臨む部分を切り取り可能なミシン目を形成したこと
を特徴とするバッグインボックス。
【請求項2】
前記所定距離は、前記キャップの高さより大に設定されたことを特徴とする請求項1記載のバッグインボックス。
【請求項3】
前記液体注出口の基部は、前記固定穴より大径に形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッグインボックス。
【請求項4】
2重構造の外側に位置する天板に、略弓形形状をなす取手の両端部を嵌合固定する一対の取付穴が開設されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のバッグインボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−347579(P2006−347579A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175093(P2005−175093)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】