説明

バッテリー接続構造

【課題】組み付け性に優れ、簡単かつ安価な製造方法により製造できるバッテリー接続構造を提供する。
【解決手段】バッテリー接続構造11は、柔軟性を有するシート状のベース体18と、隣接するバッテリーセル13の電極14同士を接続するための複数のバスバー15と、を備える。そして、バスバー15を、ベース体18に並べて固定している。このように、ベース体18を、柔軟性を有するシート材とすることにより、バッテリー接続構造11の自在な屈曲を実現できる。バッテリー接続構造11全体を屈曲可能とすることにより寸法公差を吸収することができるので、当該バッテリー接続構造11を容易に組み付けることができる。また、ベース体18を形成するために大型の金型等を必要としないので、製造コストを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーセルの電極同士を接続するためのバスバーを複数個まとめて一体化したバッテリー接続構造の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等が備える高出力電源としてのバッテリーは、複数のバッテリーセルを直列で接続して構成されている。近年、バッテリーの小型化が要求されており、バッテリーセルの集合化技術が重要となってきている。
【0003】
例えば特許文献1は、並べて配置された複数のバッテリーセルの電極同士を、バッテリー接続プレートによって接続する構成を開示している。このバッテリー接続プレートは、合成樹脂製のハウジング(特許文献1でいうところの基板部)と、複数のバスバーから構成されている。ハウジングには、複数のバスバー収容部が、横一列に並んで形成されている。そして、このバスバー収容部に、前記バスバーが埋設されている。
【0004】
また特許文献1は、前記ハウジングにピッチ調整手段を設けた構成を開示している。特許文献1は、バッテリー集合体の電極間のピッチの僅かな違いは、ピッチ調整手段により吸収され、組み付けが容易になるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−149909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1が開示するバッテリー接続プレートのハウジングは樹脂製であるため、金型を用いて成形されるものと考えられる。ところが、このハウジングはバッテリーセルが並ぶ方向に長く形成されるため、当該ハウジングを成形するために非常に大きな金型が必要となる。従って、特許文献1に記載のバッテリー接続プレートは、製造コストが上昇するという問題がある。
【0007】
また、このハウジングは長い部品であるため、予想以上の反りが発生して組み付け性が著しく低下することが考えられる。反りが発生したハウジングをバッテリーに対して無理に装着すると、ピッチ調整手段に割れが発生するおそれがある。これ以外にも、樹脂成形条件の変化や使用環境条件等によっては、ピッチ調整手段が脆弱化して破損する可能性がある。このようにピッチ調整手段が破損してしまうと、リサイクル時の解体作業工数が増加するという問題もある。
【0008】
また特許文献1は、バスバーをインサート成形によってハウジングに埋設する構成としている。しかし、このようにバスバーをインサート成形する構成の場合は、樹脂成形用の金型にバスバーを配置する工程が必要になるなど、ハウジングの成形工程が複雑化する。この結果、バッテリー接続プレートの製造コストが更に増大するという問題がある。また、バスバーをハウジングにインサート成形してしまうと、リサイクル時などにバスバーを分離することができないという問題もある。
【0009】
なお、特許文献1は、ハウジングに形成されたバスバー収容部に対して、バスバーを嵌着により固定する構成も開示している。この構成の場合は、ハウジングに対してバスバーが完全に嵌着されているかどうかの検査が必要であり、手間がかかるという問題がある。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、組み付け性に優れ、簡単かつ安価な製造方法により製造できるバッテリー接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、並べて配置された複数のバッテリーセルを直列で接続するためのバッテリー接続構造において、以下の構成が提供される。即ち、このバッテリー接続構造は、柔軟性を有するシート状のベース体と、隣接する前記バッテリーセルの電極同士を接続するための複数のバスバーと、を備える。そして、前記複数のバスバーを、前記ベース体に並べて固定している。
【0013】
このように、ベース体を、柔軟性を有するシート材とすることにより、バッテリー接続構造の自在な屈曲を実現できる。バッテリー接続構造全体を屈曲可能とすることにより寸法公差を吸収できるので、当該バッテリー接続構造を容易に組み付けることができる。従って、特許文献1のようなピッチ調整手段をベース体に形成する必要がなく、当該ピッチ調整手段が破損するという問題もない。また、ベース体を形成するために大型の金型等を必要としないので、製造コストを抑えることができる。
【0014】
上記のバッテリー接続構造は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記ベース体は2枚のシート材からなり、前記バスバーが前記2枚のシート材の間に挟み込まれている。そして、前記シート材同士が接着することにより、前記バスバーがベース体に固定されている。
【0015】
これにより、ベース体に対してバスバーを確実に固定することができる。
【0016】
上記のバッテリー接続構造においては、前記バスバーが、粘着材によって前記ベース体の表面に貼り付けられるように構成することもできる。
【0017】
これにより、ベース体に対してバスバーを簡単に固定することができる。
【0018】
上記のバッテリー接続構造は、以下のように構成することもできる。即ち、前記ベース体は、前記バスバーを収容可能なポケットを複数有する。前記バスバーは、前記ポケットに収容されることにより、前記ベース体に固定されている。
【0019】
これにより、ラミネート加工や接着等の手段を用いることなく、バスバーをベース体に固定することができる。またこの構成によれば、バスバーをポケットから取り出すことにより、バスバーとベース体を容易に分離することができるので、リサイクル時などに分別を簡単に行うことができる。
【0020】
上記のバッテリー接続構造は、以下のように構成することもできる。即ち、このバッテリー接続構造は、フレキシブルプリント基板として構成されている。そして、前記バスバーは、前記フレキシブルプリント基板のパッドとして構成されている。
【0021】
フレキシブルプリント基板は薄くてシート状に形成され、しかも柔軟性を備えているので、本発明のバッテリー接続構造として利用することができる。また、フレキシブルプリント基板のパッド部をバスバーとして利用することにより、バスバーを簡単に構成することができる。
【0022】
上記のバッテリー接続構造においては、前記フレキシブルプリント基板上に、各バスバーの通電の良否を確認するための通電チェック回路パターンが形成されていることが好ましい。
【0023】
即ち、バッテリー接続構造をフレキシブルプリント基板によって構成した場合、当該フレキシブルプリント基板に回路パターンを形成することが容易である。そこで、バスバーの通電をチェックするための回路を形成することにより、簡単にバスバーの通電チェックを行うことができる。
【0024】
上記のバッテリー接続構造は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記ベース体はテープ状に構成されている。前記バスバーは、前記テープ状のベース体の長手方向に並んで配置されている。そして、前記バスバーが配置された状態の前記ベース体が、芯体に巻き取られている。
【0025】
このように、テープ状に構成したバッテリー接続構造を、芯材に巻き取っておくことにより、バッテリー接続構造をコンパクトにまとめて収納することができる。これにより、バッテリー接続構造の搬送時などにコストを削減することができる。
【0026】
上記のバッテリー接続構造は、以下のように構成することもできる。即ち、前記バスバーは、当該バスバーが並ぶ方向とは直交する方向に延びて形成されている。前記ベース体は、前記バスバーが並ぶ方向とは直交する方向への押し出し成形により成形される。
【0027】
このように、ベース体を押し出し成形とすることにより、バッテリー接続構造を安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】バッテリー接続構造の使用状態を示す分解斜視図。
【図2】第1実施形態のバッテリー接続構造の平面図。
【図3】バスバーが2枚のシート材に挟み込まれる様子を示す斜視図。
【図4】バッテリー接続構造がリールに巻き取られた様子を示す斜視図。
【図5】第1実施形態の変形例に係るバッテリー接続構造の平面図。
【図6】第3実施形態に係るバッテリー接続構造の斜視図。
【図7】第4実施形態に係るバッテリー接続構造の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0030】
まず、本実施形態に係るバッテリー接続構造の使用状態について説明する。図1に示すのは、本実施形態のバッテリー接続構造11を用いた電気自動車用バッテリー10の分解斜視図である。このバッテリー10は、本実施形態のバッテリー接続構造11と、バッテリー本体12と、から主に構成されている。
【0031】
バッテリー本体12は、複数のバッテリーセル13から構成されている。各バッテリーセル13は、前面側と背面側にそれぞれ電極14を有している。各バッテリーセル13が有する2つの電極14のうち、一方はプラスの電極であり、他方はマイナスの電極である。各電極14は、前面側又は背面側に向けて突出する金属製の棒状部材として形成されており、その周囲にはネジが切られている。後述するように、この電極14には、ナット17を締め付けることが可能である。
【0032】
バッテリーセル13は、左右に並べて配置されている。また、隣接するバッテリーセル13同士で、電極14のプラスとマイナスが逆になるように配置されている。即ち、プラスの電極とマイナスの電極が交互に並ぶように、バッテリーセル13が配置されている。
【0033】
バッテリー接続構造11は、バッテリー本体12の前面側と背面側にそれぞれ1つずつ配置される。このバッテリー接続構造11は、複数のバッテリーセル13を直列で接続するためのものである。これにより、複数のバッテリーセル13をまとめて1つのバッテリー10として利用することができる。
【0034】
次に、バッテリー接続構造11の構成について説明する。
【0035】
バッテリー接続構造11は、複数のバスバー15を備えている。バスバー15は、隣接する2つのバッテリーセル13の電極14同士を接続するための部材であり、金属板から構成されている。図2及び図3に示すように、各バスバー15には、挿通孔16が2つ形成されている。この2つの挿通孔16の中心同士の間隔は、隣接する2つのバッテリーセル13の電極14の軸中心同士の間隔と略一致させて形成されている。
【0036】
バスバー15に形成された挿通孔16には、隣接する2つのバッテリーセル13の電極14がそれぞれ挿入される。そして、挿通孔16を挿通した電極14に対して図1のようにナット17を締め付けることにより、電極14に対してバスバー15をネジ止めする。これにより、バスバー15と電極14が、物理的及び電気的に接続される。なお、図1では1つの電極14に対してナット17を締め付ける様子のみを図示しているが、実際には、全ての電極14に対してバスバー15がネジ止めされる。
【0037】
バッテリー接続構造11は、ベース体18を備えている。このベース体18は、柔軟性を有する(可撓性を有する)シート状の部材として構成されている。なお、本明細書において「シート状」とは、全体的に略一定の厚みで形成され、肉厚部やリブ部などの補強部分を有さない形状をいう。ベース体18の素材は絶縁性と柔軟性を備えていれば特に限定されないが、本実施形態では合成樹脂製のフィルムシートによりベース体を構成している。
【0038】
図3に示すように、本実施形態のベース体18は、柔軟性を有する2枚のシート材18a,18bを重ね合わせて構成されている。2枚のシート材18a,18bの間には、複数のバスバー15が配置されている。このようにしてバスバー15を2枚のシート材18a,18bの間に挟みこんだ状態で、前記シート材18a,18b同士を貼り合わせる(接着する)ことにより、バスバー15がベース体18に固定される。2枚のシート材18a,18bを貼り合わせる方法は特に限定されないが、例えばヒートシール、接着剤などの適宜の手段による公知のラミネート法を利用することができる。ラミネート加工等は全自動で行うことが可能であるため、バッテリー接続構造11を安価に大量生産することが可能である。なお、ベース体18を構成する2枚のシート材18a,18bの素材は同一でも良いし、異なる素材からなっていても良い。
【0039】
図2及び図4に示すように、本実施形態のベース体18は、テープ状(細長い帯状)に形成されている(つまり、ベース体18はラミネートテープとなっており、各バスバー15はラミネートテープに挟み込まれて固定されているということができる)。複数のバスバー15は、ベース体18の長手方向に沿って、所定間隔で並べて配置される。ここでいう所定間隔とは、各バスバー15の挿通孔16の中心位置同士の間隔が、並べて配置されたバッテリーセル13の電極14の軸中心同士の間隔と略一致するような間隔のことをいう。ただし、これよりも若干広い間隔又は狭い間隔でバスバー15が配置されていても良い。これにより、バスバー15が適切な間隔でベース体18に固定され、バッテリー接続構造11自体がテープ状に構成されている。
【0040】
このテープ状のバッテリー接続構造11は、図4に示すように、リール19等の芯体に巻き付けておくことができる。バッテリー接続構造11を上記のようにリール巻きすることで、当該バッテリー接続構造11をコンパクトに収容、搬送することができる。バッテリー10を組み立てる際には、リール19から必要な長さのバッテリー接続構造11を引き出して、所定の長さに切断する。これにより、バッテリー10を組み立てるために必要な長さのバッテリー接続構造11を得ることができる。
【0041】
バッテリー接続構造11をバッテリー本体12に組み付ける際には、図1に示すように、バッテリー接続構造11の長手方向(バスバー15が並んでいる方向)と、バッテリーセル13が並んでいる方向と、が平行になるようにしつつ、バスバー15の挿通孔16に電極14を挿通していく。前述のように、バッテリー接続構造11は、挿通孔16の間隔と電極14の間隔が略一致するように構成されているので、複数のバスバー15に対して複数の電極14を簡単に挿通させていくことができる。以上のように、複数のバスバー15をまとめて1つのバッテリー接続構造11とすることにより、複数のバスバー15をまとめてバッテリー本体12に組み付けることができる。これにより、バッテリー10の組み立て作業を効率的に行うことができる。
【0042】
図2及び図3に示すように、ベース体18を構成するシート材18a,18bには、各バスバー15の挿通孔16の位置と対応した位置に、開口孔20が形成されている。これにより、バッテリーセル13の電極14が、ベース体18を貫通することができる。また、この開口孔20は、バスバー15に形成されている挿通孔16よりも大きく形成されている。従って、2枚のシート材の間に挟まれたバスバー15の一部が、開口孔20を介して外部に露出している。このように、ベース体18からバスバー15が露出しているので、バスバー15と電極14とをナット17によりネジ止めした際に、バスバー15と、ナット17又は電極14と、の接触面積を確保することができる。
【0043】
次に、本実施形態のバッテリー接続構造11による効果について詳しく説明する。
【0044】
前述のように、樹脂製のハウジングにバスバーを保持させる特許文献1の構成では、前記ハウジングを成形するために大きな金型が必要となるためコストがかかるという問題があった。この点、本実施形態のバッテリー接続構造11は、特許文献1のようなハウジングを用いることなく、シート状のベース体18に複数のバスバー15を並べて固定した構成である。従って、本実施形態のバッテリー接続構造11を製造するためには、ハウジングを成形するための金型等が不要となるので、バッテリー接続構造11を安価に構成することができる。また、市販のシート材(フィルムテープ等)をベース体18に流用することも可能であり、この場合もコストを削減することができる。
【0045】
また、特許文献1のように大型のハウジングを樹脂成形する場合、ハウジングに予想以上の反りが発生して組み付け性が著しく低下することがある。この点、本実施形態のバッテリー接続構造11のベース体18はシート状に形成されているので、反りなどの変形が発生しにくい。また、仮にベース体18に何らかの変形が生じたとしても、ベース体18自体の柔軟性により、当該変形を吸収することができる。このように、本実施形態のバッテリー接続構造11では、ベース体18が変形して組付性が悪化するということがないので、当該バッテリー接続構造11をバッテリー本体12に対して容易に組み付けることができる。
【0046】
また本実施形態のバッテリー接続構造11では、ベース体18自体が柔軟性を有しているので、当該ベース体18全体を柔軟に変形させることができる。この柔軟性により、バッテリーセル13の寸法公差を吸収することができるので、バッテリー接続構造11を電極14に対して容易に取り付けることができる。また、ベース体18が変形することにより、車体走行時等に受ける振動などを吸収することができる。このように、本実施形態のバッテリー接続構造11ではベース体18全体が柔軟に変形して、累積公差や振動などを吸収できるので、特許文献1のようなピッチ調整手段を設ける必要がない。従って、ピッチ調整手段が脆弱化して破損するという特許文献1の構成が抱えていた問題が発生することがない。
【0047】
また特許文献1は、ハウジングに対してバスバーを嵌着により固定する構成を開示しているが、この場合、バスバーが完全に嵌着されているかどうかの検査が必要である。仮にバスバーがハウジングから浮き上がっていると、当該バスバーと電極とを適切に接続することができないためである。この点、本実施形態のバッテリー接続構造11においては、バスバー15は2枚のシート材18a,18bの間に挟まれ、ラミネート加工等によって固定されているので、バスバー15がベース体18から浮き上がってしまうという心配はない。従って、上記のような検査は不要となる。
【0048】
以上で説明したように、本実施形態のバッテリー接続構造11は、複数のバッテリーセル13を直列で接続するためのものであって、以下のように構成されている。即ち、このバッテリー接続構造11は、柔軟性を有するシート状のベース体18と、隣接するバッテリーセル13の電極14同士を接続するための複数のバスバー15と、を備える。そして、複数のバスバー15を、ベース体18に並べて固定している。
【0049】
このように、ベース体18を、柔軟性を有するシート材とすることにより、バッテリー接続構造11の自在な屈曲を実現できる。バッテリー接続構造11全体を屈曲可能とすることにより寸法公差を吸収することができるので、当該バッテリー接続構造11を容易に組み付けることができる。従って、特許文献1のようなピッチ調整手段をベース体18に形成する必要がなく、当該ピッチ調整手段が破損するという問題もない。また、ベース体18を形成するために大型の金型等を必要としないので、製造コストを抑えることができる。
【0050】
また本実施形態のバッテリー接続構造11は、以下のように構成されている。即ち、ベース体18は2枚のシート材18a,18bからなり、バスバー15が2枚のシート材18a,18bの間に挟み込まれている。そして、シート材18a,18b同士が接着することにより、バスバー15がベース体18に固定されている。
【0051】
これにより、ベース体18に対してバスバー15を確実に固定することができる。
【0052】
また本実施形態のバッテリー接続構造11は、以下のように構成されている。即ち、ベース体18はテープ状に構成されている。バスバー15は、テープ状のベース体18の長手方向に並んで配置されている。そして、バスバー15が配置された状態のベース体18が、リール19に巻き取られている。
【0053】
このように、テープ状に構成したバッテリー接続構造11を、リール19に巻き取っておくことにより、バッテリー接続構造11をコンパクトにまとめて収納することができる。これにより、バッテリー接続構造11の搬送時などにコストを削減することができる。
【0054】
次に、上記実施形態の変形例について、図5を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似する構成については、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
この変形例のバッテリー接続構造31は、第1実施形態のバッテリー接続構造11と同じく、2枚のシート材からなるベース体18の間にバスバー15挟み込んで構成したものである。ただしこの変形例においては、バスバー15を、当該バスバー15が並ぶ方向(図5の左右方向)とは直交する方向(図5の上下方向。以下、延伸方向と呼ぶ)に延伸して形成している。これにより、ベース体18を押し出し成形により形成することができる。
【0056】
具体的には以下のとおりである。即ち、延伸方向に延伸して形成されたバスバー15を、当該延伸方向とは直交する方向(図5の左右方向)に所定間隔で並べて配置する。そして、このバスバー15を2枚のシート材によって挟み込むようにして、押し出しラミネート成形によりベース体18を形成する。押し出し方向は、前記延伸方向と平行な方向とする。これにより、延伸方向で連続的にバッテリー接続構造31を形成することができる。バッテリー10を組み立てる際には、本変形例のバッテリー接続構造31を、バスバー15が並ぶ方向と平行な直線(図5に符号32で示す直線)で裁断することにより、必要な形状のバッテリー接続構造31aを得ることができる。このように、バッテリー接続構造31を押し出し成形品として製造することにより、当該バッテリー接続構造31の製造コストを低減することができる。
【0057】
以上のように、本変形例のバッテリー接続構造31において、バスバー15は、当該バスバーが並ぶ方向とは直交する方向に延びて形成されている。そして、ベース体18は、バスバー15が並ぶ方向とは直交する方向への押し出し成形により成形される。
【0058】
このように、ベース体18を押し出し成形とすることにより、バッテリー接続構造31を安価に形成することができる。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記の実施形態と同一又は類似の構成については、上記実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
この第2実施形態は、ベース体18に対するバスバー15の固定方法を、第1実施形態とは異ならせたものである。即ち、本実施形態においては、ベース体18を、柔軟性を有する1枚のシート材により構成する。そして、このベース体の表面に、粘着材によってバスバー15を固定する。粘着材は特に限定されないが、例えば接着剤を用いてもよいし、両面テープを用いても良い。このように、ベース体18に対してバスバー15を固定する方法は、2枚のシート材によってバスバー15を挟み込むという第1実施形態の方法に限らず、適宜の手段を用いることができる。
【0061】
この第2実施形態の構成によれば、第1実施形態のように2枚のシートでバスバー15を挟み込む構成と比べて、バスバー15をベース体18に対してより簡単に固定することができる。またこの構成であれば、バスバー15を2枚のシート材によって挟み込んでいないので、バスバー15の片側の面は完全に露出している。従って、当該バスバー15と、電極14又はナット17と、を確実に接触させることができる。これにより、バスバー15によるバッテリーセル13同士の電気接続の信頼性を向上させることができる。
【0062】
以上で説明したように、本実施形態のバッテリー接続構造においては、バスバー15が、粘着材によってベース体18の表面に貼り付けられている。
【0063】
これにより、ベース体18に対してバスバー15を簡単に固定することができる。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態について、図6を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一又は類似の構成については、上記実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
この第3実施形態のバッテリー接続構造33は、ベース体34を、公知のエンボステープにより構成したものである。エンボステープ34は薄く柔軟性を有する素材によって形成されているため、本発明のベース体として利用することができるのである。このエンボステープ34には、バスバー15を収容可能なポケット35が、当該エンボステープ34の長手方向に沿って多数形成されている。このポケットにバスバー15を収容することにより、ベース体(エンボステープ)34に対してバスバー15が固定される。このポケット35は、所定の間隔で形成されている。即ち、ポケット35に収容されたバスバー15の挿通孔16の中心同士の間隔が、バッテリーセル13の電極14の軸中心同士の間隔と略一致するように、当該ポケット35が形成されている。従って、バスバー15をポケット35に収容していくことにより、当該バスバー15を適切な間隔で配置することができる。
【0066】
このように、本実施形態のバッテリー接続構造33において、ベース体34は、バスバー15を収容可能なポケット35を複数有する。そして、バスバー15は、ポケット35に収容されることにより、ベース体34に固定されている。
【0067】
これにより、ラミネート加工や接着等の手段を用いることなく、バスバー15をベース体34に固定することができる。またこの構成によれば、バスバー15をポケット35から取り出すことにより、バスバー15とベース体34を容易に分離することができるので、リサイクル時などに分別を簡単に行うことができる。
【0068】
また図6に示すように、エンボステープ34は、ポケット35にバスバー15を収容した状態で、リール19に巻き取ることができる。このように、バッテリー接続構造33をリール巻きすることにより、当該バッテリー接続構造33をコンパクトに収容することができる。このバッテリー接続構造33を利用する際には、第1実施形態と同様にリール19から必要な長さを引き出して、所定の長さに切断すれば良い。
【0069】
次に、本発明の第4実施形態について、図7を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同一又は類似の構成については、上記実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
この第4実施形態は、バッテリー接続構造36全体をフレキシブルプリント基板により構成したものである。具体的には、フレキシブルプリント基板のベースフィルムにより、本実施形態のベース体18が構成されている。即ち、フレキシブルプリント基板のベースフィルムは、柔軟性を有するシート状の部材であるため、本発明のベース体として利用することができる。そして、このフレキシブルプリント基板に形成されているパッドを、バスバー15として利用する。このように、フレキシブルプリント基板を利用すれば、柔軟性を有するバッテリー接続構造36を容易に構成することができる。
【0071】
また本実施形態において、ベース体(フレキシブルプリント基板のベースフィルム)18の上には、通電チェック回路パターン37が形成されている。この通電チェック回路パターン37は、各バスバー15と、各バスバー15の通電をチェックするための通電チェック部(図略)と、を接続するように形成されている。通電チェック部は、通電の有無を表示するためのLED等のインジケータを、ベース体18上に実装することにで形成することができる。ただしこれに限らず、ベース体18とは別に通電チェック部を設けても良い。このように、バッテリー接続構造36をフレキシブルプリント基板として構成することにより、当該バッテリー接続構造36に回路パターンを形成して各種の機能を持たせることが容易になる。
【0072】
以上で説明したように、本実施形態のバッテリー接続構造36は、フレキシブルプリント基板として構成されている。そして、バスバー15は、前記フレキシブルプリント基板のパッドとして構成されている。
【0073】
フレキシブルプリント基板は薄くてシート状に形成され、しかも柔軟性を備えているので、バッテリー接続構造36として利用することができる。また、フレキシブルプリント基板のパッド部をバスバー15として利用することにより、バスバー15を簡単に構成することができる。
【0074】
また本実施形態のバッテリー接続構造36においては、前記フレキシブルプリント基板上に、各バスバー15の通電の良否を確認するための通電チェック回路パターン37が形成されている。
【0075】
即ち、本実施形態ではバッテリー接続構造36をフレキシブルプリント基板によって構成しているので、当該フレキシブルプリント基板に回路パターンを形成することが容易である。そこで、バスバー15の通電をチェックするための回路を形成することにより、簡単にバスバー15の通電チェックを行うことができる。
【0076】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0077】
バスバーには2つの挿通孔が形成されるとしたが、図1の背面側のバッテリー接続構造の両端に配置されているバスバー15aのように、挿通孔が1つのバスバーが配置されていても良い。
【0078】
図3等においては、挿通孔16が形成された状態のバスバー15をベース体18に固定する様子が描かれているが、無孔のバスバー15をベース体18に固定し、その後で、当該バスバー15に挿通孔16を形成しても良い。
【0079】
リールで巻き取られたバッテリー接続構造や、押し出し成形によって成形されたバッテリー接続構造において、所定の位置で切断することにより必要な形状のバッテリー接続構造を得ることを説明した。しかしこの構成に限らず、バッテリー接続構造を最初から必要な形状に形成する(バスバーを固定する前に、ベース体を必要な形状に形成しておく)構成であっても良いことはもちろんである。
【0080】
本発明の構成は、電気自動車用のバッテリーに限らず、バッテリーセル同士を接続する用途に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 バッテリー
11 バッテリー接続構造
13 バッテリーセル
14 電極
15 バスバー
18 ベース体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並べて配置された複数のバッテリーセルを直列で接続するためのバッテリー接続構造において、
柔軟性を有するシート状のベース体と、
隣接する前記バッテリーセルの電極同士を接続するための複数のバスバーと、
を備え、
前記複数のバスバーが、前記ベース体に並べて固定されていることを特徴とするバッテリー接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリー接続構造であって、
前記ベース体は2枚のシート材からなり、
前記バスバーが前記2枚のシート材の間に挟み込まれており、
前記シート材同士が接着することにより、前記バスバーがベース体に固定されていることを特徴とするバッテリー接続構造。
【請求項3】
請求項1に記載のバッテリー接続構造であって、
前記バスバーは、粘着材によって前記ベース体の表面に貼り付けられていることを特徴とするバッテリー接続構造。
【請求項4】
請求項1に記載のバッテリー接続構造であって、
前記ベース体は、前記バスバーを収容可能なポケットを複数有し、
前記バスバーは、前記ポケットに収容されることにより、前記ベース体に固定されていることを特徴とするバッテリー接続構造。
【請求項5】
請求項1に記載のバッテリー接続構造であって、
フレキシブルプリント基板として構成されており、
前記バスバーが、前記フレキシブルプリント基板のパッドとして構成されていることを特徴とするバッテリー接続構造。
【請求項6】
請求項5に記載のバッテリー接続構造であって、
前記フレキシブルプリント基板上に、各バスバーの通電の良否を確認するための通電チェック回路パターンが形成されていることを特徴とするバッテリー接続構造。
【請求項7】
請求項1から4までの何れか一項に記載のバッテリー接続構造であって、
前記ベース体はテープ状に構成されており、
前記バスバーは、前記テープ状のベース体の長手方向に並んで配置されており、
前記バスバーが配置された状態の前記ベース体が、芯体に巻き取られていることを特徴とするバッテリー接続構造。
【請求項8】
請求項2に記載のバッテリー接続構造であって、
前記バスバーは、当該バスバーが並ぶ方向とは直交する方向に延びて形成されており、
前記ベース体は、前記バスバーが並ぶ方向とは直交する方向への押し出し成形により成形されていることを特徴とするバッテリー接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37777(P2013−37777A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170396(P2011−170396)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】