バネ部材
【課題】皿バネを用い、全体の構成が十分に簡略かつコンパクトでローコストでありながら圧縮力と引張力の双方に対応し得る有効適切なバネ部材を提供するとともに、容易に引張側と圧縮側のバネ剛性を調節することが可能なバネ部材を提供する。
【解決手段】シリンダー要素1と、シリンダー要素1に対して軸O1方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素4と、ロッド要素4の先端部に組み付けられてシリンダー要素1内に収容されたバネ要素11により構成し、ロッド要素4の先端部側の一方の押板12aと一方の蓋体14aの内面の間に弾性体15を介設するようにした。
【解決手段】シリンダー要素1と、シリンダー要素1に対して軸O1方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素4と、ロッド要素4の先端部に組み付けられてシリンダー要素1内に収容されたバネ要素11により構成し、ロッド要素4の先端部側の一方の押板12aと一方の蓋体14aの内面の間に弾性体15を介設するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿バネを用いて構成されるバネ部材、特に簡易な構成でありながら引張力及び圧縮力の双方に対応し得るバネ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように皿バネはコンパクトに大きな耐荷重性能を持つバネ部材として種々の機器に使用されている。特に、特許文献1に示されるように複数の皿バネを直列あるいは並列に組み合わせて用いることで変形性能や耐荷重を増すことができることから、コイルバネよりコンパクトでローコストに所定の性能が得られるメリットがある。
【0003】
一方、皿バネ単体では圧縮力にしか対応できないので、圧縮力のみならず引張力にも対応できるバネ要素とするためには、例えば特許文献2に示されるように、圧縮力に対応するための皿バネ群と引張力に対応するための皿バネ群を組み合わせて用いる必要がある。
【0004】
図9は、そのようなバネ部材の一例を示すもので、シリンダー1内に両方向に変位可能なピストン2を配設し、(a)に示すような皿バネ3を(b)に示すようにピストン2の両側にそれぞれ多数(図示例では8枚づつ)直列に重ねた2組の皿バネ群3A、3Bとして収容して構成したものである。
【0005】
そして、このバネ部材では、ピストン2に連結したロッド4とシリンダー1の一端に設けたクレビス5との間に生じる圧縮力に対しては、一方(図示例ではピストン2の右側)の皿バネ群3A全体をピストン2により一方向(図示例では右方)に押圧して弾性的に圧縮することで対応し、引張力に対しては、他方(同、左側)の皿バネ群3B全体をピストン2により逆方向(同、左方)に押圧して弾性的に圧縮させることで対応することができる。反面、このように2組の皿バネ群3A、3Bを組み合わせて圧縮力と引張力の双方に対応するように構成したバネ部材では、多数の皿バネ3を必要とし、バネ部材の全体構成の簡略化、コンパクト化、ローコスト化に限界があった。
【0006】
一方、本願の出願人は、全体の構成が十分に簡略かつコンパクトでローコストでありながら圧縮力と引張力の双方に対応し得るバネ部材の発明に関する出願を既に行っている(特願2011−022631)。このバネ部材10は、図10に示すように、1組の皿バネ群3Aの両端側にそれぞれ押板12(12a、12b)を配設したバネ要素の全体に対し、ロッド4を軸O1方向に相対変位可能に挿通するとともに、ロッド4の各押板12a、12bの外側の位置にそれぞれストッパー13(13a、13b)としての加力ボルトを螺着して構成されている。
【0007】
また、このバネ部材10は、図10及び図11に示すように、各押板12a、12bがそれぞれシリンダー1の両端部に設けた環状の蓋体14(14a、14b)の内面に対して押圧可能な状態で、バネ要素全体をシリンダー1内に収容して構成されている。そして、引張力が作用した際には、図11(a)に示すように、シリンダー1の奥側(図示右側)の押板12aがシリンダー1内に引き込まれて皿バネ群3Aの全体が弾性的に圧縮される。逆に圧縮力が作用した際には、図11(b)に示すように、シリンダー1の手前側(図示左側)の押板12bがシリンダー1内に引き込まれて皿バネ群3Aの全体が弾性的に圧縮される。これにより、引張時及び圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群3Aで対応可能であるから、皿バネ3の所要枚数を減らし、簡略化とコンパクト化及びローコスト化を図ることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−38228号公報
【特許文献2】特開2000−243424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、図10及び図11に示したバネ部材10を用い、荷重−変形関係を確認する実験を行った結果を図12に示す。なお、図12の縦軸の荷重は、正が引張、負が圧縮であり、図中の一点鎖線は、皿バネのみから計算した剛性(理論剛性)を示している。また、実験では、隣り合う皿バネ3の隙間をなくすため、予圧縮荷重10kNを加えており、これに伴い、図12に示されるように原点近傍で荷重方向に予圧縮荷重分の10kN程度のスリップが生じた。
【0010】
そして、この図12の結果から、バネ部材10の剛性は、圧縮側でほぼ理論通りとなるのに対し、引張側で15%程度小さくなる(圧縮側の0.85倍に低下する)ことが確認された。これは、引張側ではロッド4とシリンダー1の引張ひずみ(伸び変形)が加算されることによるものであり、このように引張側と圧縮側でバネ剛性が異なって線形バネの理論から外れてしまう。このため、引張側と圧縮側のバネ剛性を揃え、線形条件を満足できるようにすることが望まれ、この点で改善の余地が残されていた。
【0011】
なお、図12に示す通り、皿バネ3を用いたバネ部材10は、その特徴として、加力時と除荷時で勾配が異なるヒステリシス特性をもつが、この原点指向型の履歴特性は、吸収エネルギーが小さく残留変位も生じないため、大きな問題とはならない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、皿バネを用い、全体の構成が十分に簡略かつコンパクトでローコストでありながら圧縮力と引張力の双方に対応し得る有効適切なバネ部材を提供するとともに、容易に引張側と圧縮側のバネ剛性を調節することが可能なバネ部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0014】
本発明のバネ部材は、互いに離接する方向に相対変位可能な二部材間に介装されて、前記二部材間に生じる相対変位によって弾性的に伸縮するバネ部材であって、シリンダー要素と、該シリンダー要素に対して軸方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素と、該ロッド要素の先端部に組み付けられて前記シリンダー要素内に収容されたバネ要素により構成されて、前記ロッド要素の基端部および前記シリンダー要素に対して前記二部材がそれぞれ連結可能とされ、前記バネ要素は複数枚の皿バネを直列および/または並列に重ねてなる1組の皿バネ群の両端側に押板がそれぞれ配設され、前記ロッド要素は前記バネ要素の全体に対して軸方向に相対変位可能に挿通せしめられているとともに、該ロッド要素には前記各押板の外側の位置にそれぞれストッパーが設けられていて、該ストッパーの間において前記バネ要素の全体が前記ロッド要素の軸方向両側に弾性的に変位可能な状態で組み付けられ、前記ロッド要素の基端部が前記シリンダー要素から外方に延出せしめられた状態で該ロッド要素の先端部が前記シリンダー要素内に挿入されて、前記各押板がそれぞれ前記シリンダー要素の両端部に設けられた蓋体の内面に対して押圧可能な状態で前記バネ要素の全体が前記シリンダー要素内に収容されるとともに、前記ロッド要素の先端部側の一方の押板と一方の蓋体の内面の間に弾性体が介設されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のバネ部材においては、一対のストッパー間のロッド要素の剛性をkn、前記シリンダー要素の軸剛性をks、前記弾性体の軸方向の剛性をkeとしたとき、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように前記弾性体の剛性keが設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のバネ部材においては、バネ部材の圧縮時に、ロッド要素がシリンダー要素に対して軸方向の一方の側に相対変位し、一方の押板が一方の蓋体側に押圧され、一方の押板と一方の蓋体の間に挟まれて弾性体が弾性変形するとともに、他方の押板がストッパーによりシリンダー要素の内側に向かって押圧されてバネ要素の全体が弾性的に圧縮する。また、バネ部材の引張時には、ロッド要素がシリンダー要素に対して軸方向の他方の側に相対変位し、他方の押板が他方の蓋体に押圧されるとともに一方の押板がストッパーによりシリンダー要素の内側に向かって押圧されてバネ要素の全体が弾性的に圧縮する。
【0017】
これにより、引張時および圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群が圧縮されて一定のバネ剛性を有するバネ部材として機能するから、従来のバネ部材のように2組の皿バネ群を必要とせず、したがって従来と同等のバネ剛性を持つものであっても皿バネの所要枚数を半減できるし、バネ部材全体の所要長さも半減でき、その結果、構成の十分な簡略化と小形化および低価格化を実現し得るものである。
【0018】
また、バネ部材の圧縮時には、一方の押板と一方の蓋体の間に挟まれて弾性体が弾性変形して弾性力が発生するため、弾性体の剛性を大小調節することによって、圧縮に対するバネ部材全体の剛性を変化させることができる。よって、引張側のバネ剛性を自由に変化させることができ、容易に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃えるように調節することも可能になる。
【0019】
さらに、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように弾性体の剛性keを設定することによって、引張時と圧縮時にバネ部材全体として同じ剛性を得ることが可能になる。よって、確実に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃え、線形条件を満足するバネ部材にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るバネ部材を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバネ部材に引張力、圧縮力が作用した際の作動状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るバネ部材が具備する皿バネ単体の形状例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るバネ部材が具備する皿バネ群の構成例(皿バネの組み合わせパターンの例)を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るバネ部材における荷重−変形特性の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るバネ部材の変形例を示す図である。
【図7】荷重−変形特性の設計例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るバネ部材を制振機構に適用する場合の一例を示す図である。
【図9】従来のバネ部材を示す図である。
【図10】従来のバネ部材を示す図である。
【図11】図10に示したバネ部材に引張力、圧縮力が作用した際の作動状態を示す図である。
【図12】図10に示したバネ部材における荷重−変形特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係るバネ部材について説明する。なお、本実施形態では、図10及び図11に示した従来のバネ部材10と同様の構成に対し同一符号を付して説明を行う。
【0022】
本実施形態のバネ部材Aは、図1及び図2に示すように、シリンダー要素1(以下では単にシリンダー1と略す)と、シリンダー1に対して軸O1方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素4(以下では単にロッド4と略す)と、ロッド4の先端部に組み付けられてシリンダー1内に収容されたバネ要素11とを備えて構成されている。
【0023】
バネ要素11は、複数枚(図示例では8枚)の皿バネ3が直列に重ねられた1組の皿バネ群3Aの両端側に押板12(12a、12b)がそれぞれ配設されたものである。また、バネ要素11の全体に対してロッド4が軸O1方向に相対変位可能に挿通せしめられており、そのロッド4には各押板12の外側の位置にそれぞれストッパー13(13a、13b)としての加力ボルトが螺着され、これらストッパー13の間においてバネ要素11の全体がロッド4の軸O1方向両側に弾性的に変位可能な状態で組み付けられている。
【0024】
そして、ロッド4の基端部がシリンダー1から外方(図示例では左方)に延出せしめられた状態でその先端部がシリンダー2内に挿入されることにより、各押板12がそれぞれシリンダー1の両端部に設けられた環状の蓋体14(14a、14b)の内面に対して押圧可能な状態で配設され、バネ要素11の全体がシリンダー1内に収容されている。
【0025】
さらに、本実施形態のバネ部材Aにおいては、シリンダー1の奥側の一方の押板12a(図示右側の押板)と、シリンダー1の奥側の一方の蓋体14aの内面の間に、ゴムなどの弾性体15が介設されている。すなわち、このバネ部材Aは、シリンダー1の手前側の他方の押板12b(図示左側の押板)が手前側の他方の蓋体14bに直接的に押圧可能に設けられているのに対し、奥側の一方の押板12aが奥側の一方の蓋体14aに、弾性体15を介して間接的に押圧可能に設けられている。また、弾性体15は、環状に形成され、且つその内孔が奥側の一方のストッパー13aである加力ナットの外径よりも大きな内径で形成されている。これにより、バネ部材Aは、一方のストッパー13aが弾性体15の内孔を通じて一方の押板12aの外面に当接するように構成されている。また、本実施形態の弾性体15は、一方の押板12aに一体に固着して設けられている。
【0026】
なお、シリンダー1内にバネ要素11を収容する際には、シリンダー1内にバネ要素11を収容してからシリンダー1に対して蓋体14を装着してボルト締結すれば良いが、あるいはシリンダー1を円周方向に2分割(ないしさらに多分割)しておいてそれらをバネ要素11の外側に装着して一体に連結するか、もしくはシリンダー1を長さ方向に2分割しておいてそれらの内側にバネ要素11を収容してから一体に連結すれば良い。
【0027】
いずれにしても、図示例のように押板12に当接する皿バネ3は大径側(図3に示す大径寸法Dの面)が押板12に面する向きに配置されていることが好ましい。
また、ロッド4は各皿バネ3の変形や変位をガイドする部材として機能するので、そのロッド4の硬度はHRC55以上とし、皿バネ3と接触する周面は平滑な円筒面とすることが好ましい。
【0028】
そして、本実施形態のバネ部材Aは、通常のバネ部材と同様に互いに離接する方向に相対変位可能な二部材(図示せず)の間に介装されて、例えば制振機構の構成要素としてのバネ要素として機能するものであって、それら二部材の一方がロッド4の基端部に対して連結され、他方がシリンダー1に設けられているクレビス5に対して連結されるようになっている。そして、上記の二部材の間に相対変位ないし相対振動が生じた際には、上記のバネ要素11の全体が両方向に弾性的に圧縮されることにより、このバネ部材A全体が所定のバネ剛性をもって軸O1方向両側に弾性的に伸縮するようになっている。
【0029】
すなわち、このバネ部材Aが図1に示す状態で二部材間に介装されている状態から、二部材どうしが離間する方向に相対変位を生じて図2(a)に示すようにバネ部材Aの両端に対して引張力が作用した際には、ロッド4がシリンダー1から抜き出る方向に変位してバネ部材A全体が伸張する。その際、奥側のストッパー13aによって奥側の押板12aがシリンダー1内に引き込まれて皿バネ群3Aの全体がその押板12aにより一方向(図示左方向)に変位する。また、これとともに、手前側の押板12bが手前側の蓋体14bに対して押圧され、これにより、バネ要素11全体が弾性的に圧縮される。
【0030】
逆に、二部材どうしが接近する方向に相対変位を生じて図2(b)に示すようにバネ部材Aの両端に対して圧縮力が作用した際には、ロッド4がシリンダー1に対して押し込まれる方向に変位してバネ部材A全体が縮退する。その際、手前側のストッパー13bによって手前側の押板12bがシリンダー1内に押し込まれて皿バネ群3Aの全体がその押板12bにより逆方向(図示右方向)に変位する。そして、奥側の押板12aによって弾性体15が押圧され、この弾性体15が弾性変形するとともに奥側の押板12aが奥側の蓋体14aに対して押圧され、これにより、バネ要素11全体が弾性的に圧縮される。
【0031】
このように、本実施形態のバネ部材Aによれば、引張時および圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群3Aが圧縮されて引張力および圧縮力の双方に対応可能であるから、図9に示した従来のバネ部材のように2組の皿バネ群3A、3Bを必要とせず、したがって従来と同等のバネ剛性を持つものであっても皿バネ3の所要枚数を半減できるし、バネ部材A全体としての所要長さも半減でき、その結果、構成の十分な簡略化と小形化およびローコスト化を実現し得るものである。
【0032】
勿論、皿バネ3単体としてのバネ剛性や、それらの枚数を調整することで、任意の変形性能や耐力に幅広く対応できる。そのためには、皿バネ3単体の形状および寸法(図3に示す大径寸法D、小径寸法d、全高H、ライズh、板厚t)を、その素材である鋼材の弾性特性に応じて任意に設定すれば良い。
【0033】
また、皿バネ3の枚数や配列パターンは、皿バネ群3A全体として所望のバネ剛性が得られるように、例えば図4に示すような様々なパターンで任意に設計すれば良い。その場合、皿バネ3を同じ向きに重ねる並列配列とすれば耐力(荷重)を増大させることができ、逆向きに重ねる直列配列とすれば変形性能を増大させることができるから、バネ部材A全体として所定の荷重に必要な枚数を並列とし、所定の変形に必要な枚数を直列にすれば良い。
【0034】
なお、いずれにしても、皿バネ単体の変形性能δは皿バネ単体のライズhに対して、δ≦0.75hとすると良い。また、皿バネ単体の耐力pは変形がδのときの反力とすると良く、それにより荷重F−変形(たわみ)δの関係を線形に近づけることができる。具体的には、バネ部材A全体の変形量x、負担力Fとして、直列枚数≧x/δ、並列枚数≧F/pとなるようにすると良い。
【0035】
一方、本実施形態のバネ部材Aにおいては、図2(b)に示すように、圧縮力が作用した際に、奥側の押板12aによって弾性体15が押圧され、この弾性体15が弾性変形するとともに、弾性体15を介して奥側の蓋体14aに圧縮力が伝達される。
【0036】
このように弾性体15を備え、圧縮時のみ、弾性体15が縮むように構成したことで、バネ部材A全体の変位量δが、引張時には、全長ロッド変位+皿バネ変位+シリンダー変位+接合部材変位(クレビス5等の変位)で表され、圧縮時には、他方のストッパーから内側(図示左側)の変位+皿バネ変位+弾性体変位+接合部材変位で表される。
【0037】
このため、引張時と圧縮時の力Pが同じ場合には、剛性が引張と圧縮で同じであるとすると、引張時と圧縮時の変位量の差分が0(左右の両ストッパーの間のロッド変位+シリンダー変位−弾性体変位=0)となる。これにより、左右のストッパー間のロッド剛性をkn、シリンダー軸剛性をks、弾性体の軸方向の剛性をkeとすると、P/kn+P/ks−P/ke=0より、ke=1/(1/kn+1/ks)となる。
【0038】
よって、本実施形態のバネ部材Aにおいては、弾性体15の剛性keを大小調節することによって、圧縮に対するバネ部材A全体の剛性が変化する。そして、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように弾性体15の剛性keを設定すると、図5に示すように、引張時と圧縮時にバネ部材A全体として同じ剛性が得られ、確実に引張側と圧縮側のバネ剛性が揃い、線形条件を満足するバネ部材Aとなる。
【0039】
したがって、本実施形態のバネ部材Aにおいては、バネ部材Aの圧縮時に、ロッド要素4がシリンダー要素1に対して軸O1方向の一方の側に相対変位し、一方の押板12aが一方の蓋体14a側に押圧され、一方の押板12aと一方の蓋体14aの間に挟まれて弾性体15が弾性変形するとともに、他方の押板12bがストッパー13bによりシリンダー要素1の内側に向かって押圧されてバネ要素11の全体が弾性的に圧縮する。また、バネ部材Aの引張時には、ロッド要素4がシリンダー要素1に対して軸O1方向の他方の側に相対変位し、他方の押板12bが他方の蓋体14bに押圧されるとともに一方の押板12aがストッパー13aによりシリンダー要素1の内側に向かって押圧されてバネ要素11の全体が弾性的に圧縮する。
【0040】
これにより、引張時および圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群3Aが圧縮されて一定のバネ剛性を有するバネ部材Aとして機能するから、従来のバネ部材のように2組の皿バネ群3A、3Bを必要とせず、したがって従来と同等のバネ剛性を持つものであっても皿バネ3の所要枚数を半減できるし、バネ部材A全体の所要長さも半減でき、その結果、構成の十分な簡略化と小形化および低価格化を実現し得るものである。
【0041】
また、バネ部材Aの圧縮時には、一方の押板12aと一方の蓋体14aの間に挟まれて弾性体15が弾性変形し、弾性力が発生するため、弾性体15の剛性keを大小調節することによって、圧縮に対するバネ部材A全体の剛性を変化させることができる。よって、容易に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃えるように調節することが可能になる。
【0042】
さらに、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように弾性体15の剛性keを設定することによって、引張時と圧縮時にバネ部材A全体として同じ剛性を得ることが可能になる。よって、確実に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃え、線形条件を満足するバネ部材Aにすることが可能になる。
【0043】
以上、本発明に係るバネ部材の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0044】
例えば、図6に示すように、本発明にかかる弾性体15として、皿バネを適用してもよい。また、弾性体15として皿バネを用いる場合には、図示例のように弾性体15としての皿バネは大径側(図3に示す大径寸法Dの面)が蓋体14aの内面側を向くように配置されていることが好ましい。
【0045】
また、本発明に係るバネ部材は、図7(a)に示すような線形の荷重−変形特性とすることが好ましく、そのためには通常時において皿バネ3と押板12a、12bとが当接しており、且つ押板12bと蓋体14b、押板12aと弾性体15、弾性体15と蓋体14aが当接している状態として、これらの間に隙間がなくかつ皿バネ群3Aに予圧縮荷重がない状態としてバネ部材Aを組み立てれば良い。そして、そのためには各構成部品の各部の寸法や厚みを予め厳密に加工しておけば良いが、必要に応じてそれらの間に適宜厚さのスペーサを介装して微調整すれば良い。
【0046】
但し、皿バネ3と押板12a、12b、押板12bと蓋体14b、押板12aと弾性体15、弾性体15と蓋体14aの間に、敢えて隙間を確保しておいたり、バネ要素11に対して予め予圧縮荷重を付与しておくことにより、本発明のバネ部材Aに非線形の特性を持たせることも可能である。
すなわち、バネ要素11に対して上記のような隙間δ0を確保しておけばその特性は図7(b)に示すようなスリップ型となり、また、バネ要素11に予圧縮力F0を付与しておけばその特性は図7(c)に示すような特性となるから、バネ部材Aの用途や使用目的に応じて最適な特性となるような設計とすれば良い。
【0047】
また、本実施形態のバネ部材Aでは、相対変位可能な二部材に対してロッド4およびクレビス5を連結するものとしたが、クレビス5を省略してシリンダー1自体を部材に対して直接連結することでも良い。
【0048】
さらに、本実施形態では、ロッド要素を単なるロッド4とし、シリンダー要素を単なるシリンダー1として構成したが、本発明のロッド要素とは「皿バネ3の内側にあって皿バネ群3A両端で押板12外側のストッパー13と一体化したもの」であれば良く、シリンダー要素とは「皿バネ群3A、弾性体15で発生した弾性力を支持するもの」であればよく、その限りにおいてシリンダー要素およびロッド要素の形態は任意である。
【0049】
また、本発明のバネ部材Aは様々な用途、目的のバネ要素として広く適用可能であるが、特に建物等の構造物を対象とする制振機構の構成要素として好適に適用可能であり、その一例を図8に示す。
これは、建物における柱20と梁21(21a、21b)により構成される架構フレーム内に設置されて層間変形を制御するためのもので、上階の梁21aに対して固定したV型ブレース22の下端部を接合治具23を介して下階の梁21bに対して面内相対変位可能に支持し、その接合治具23と下階の梁21bとの間に慣性質量ダンパー24と本発明のバネ部材Aとを直列に接続し、さらに接合治具23と下階の梁21bに固定したダンパー取り付け治具25との間にオイルダンパー26を接続したもので、それら慣性質量ダンパー24と本発明のバネ部材Aとオイルダンパー26とによって同調型制振機構を構成したものである。
【0050】
このような制振機構において、バネ要素として従来一般のコイルバネや図9に示したような2組の皿バネ群3A、3Bによる従来一般のバネ部材を用いる場合には、その寸法が長大になって納まりが困難になる場合があるが、それに代えて上記のように本発明のバネ部材Aを用いることによりバネ要素としての所要長さを十分に短縮し得て支障なく納めることが可能である。
【0051】
さらに、上記の制振機構において、本発明のバネ部材Aとオイルダンパー26とを一体化することも考えられる。すなわち、本発明のバネ部材Aにおけるシリンダー1とオイルダンパー26のシリンダーとを一体化し、本発明のバネ部材Aにおけるロッド4とオイルダンパー26におけるロッドとを一体化すれば、バネ要素と減衰要素とをコンパクトに一体化させることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 シリンダー(シリンダー要素)
2 ピストン
3 皿バネ
3A 皿バネ群
3B 皿バネ群
4 ロッド(ロッド要素)
5 クレビス
10 従来のバネ部材
11 バネ要素
12 押板
12a 一方の押板
12b 他方の押板
13 ストッパー
13a 一方のストッパー
13b 他方のストッパー
14 蓋体
14a 一方の蓋体
14b 他方の蓋体
15 弾性体
20 柱
21 梁
22 V型ブレース
23 接続治具
24 慣性質量ダンパー
25 ダンパー取り付け治具
26 オイルダンパー
A バネ部材
O1 軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿バネを用いて構成されるバネ部材、特に簡易な構成でありながら引張力及び圧縮力の双方に対応し得るバネ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように皿バネはコンパクトに大きな耐荷重性能を持つバネ部材として種々の機器に使用されている。特に、特許文献1に示されるように複数の皿バネを直列あるいは並列に組み合わせて用いることで変形性能や耐荷重を増すことができることから、コイルバネよりコンパクトでローコストに所定の性能が得られるメリットがある。
【0003】
一方、皿バネ単体では圧縮力にしか対応できないので、圧縮力のみならず引張力にも対応できるバネ要素とするためには、例えば特許文献2に示されるように、圧縮力に対応するための皿バネ群と引張力に対応するための皿バネ群を組み合わせて用いる必要がある。
【0004】
図9は、そのようなバネ部材の一例を示すもので、シリンダー1内に両方向に変位可能なピストン2を配設し、(a)に示すような皿バネ3を(b)に示すようにピストン2の両側にそれぞれ多数(図示例では8枚づつ)直列に重ねた2組の皿バネ群3A、3Bとして収容して構成したものである。
【0005】
そして、このバネ部材では、ピストン2に連結したロッド4とシリンダー1の一端に設けたクレビス5との間に生じる圧縮力に対しては、一方(図示例ではピストン2の右側)の皿バネ群3A全体をピストン2により一方向(図示例では右方)に押圧して弾性的に圧縮することで対応し、引張力に対しては、他方(同、左側)の皿バネ群3B全体をピストン2により逆方向(同、左方)に押圧して弾性的に圧縮させることで対応することができる。反面、このように2組の皿バネ群3A、3Bを組み合わせて圧縮力と引張力の双方に対応するように構成したバネ部材では、多数の皿バネ3を必要とし、バネ部材の全体構成の簡略化、コンパクト化、ローコスト化に限界があった。
【0006】
一方、本願の出願人は、全体の構成が十分に簡略かつコンパクトでローコストでありながら圧縮力と引張力の双方に対応し得るバネ部材の発明に関する出願を既に行っている(特願2011−022631)。このバネ部材10は、図10に示すように、1組の皿バネ群3Aの両端側にそれぞれ押板12(12a、12b)を配設したバネ要素の全体に対し、ロッド4を軸O1方向に相対変位可能に挿通するとともに、ロッド4の各押板12a、12bの外側の位置にそれぞれストッパー13(13a、13b)としての加力ボルトを螺着して構成されている。
【0007】
また、このバネ部材10は、図10及び図11に示すように、各押板12a、12bがそれぞれシリンダー1の両端部に設けた環状の蓋体14(14a、14b)の内面に対して押圧可能な状態で、バネ要素全体をシリンダー1内に収容して構成されている。そして、引張力が作用した際には、図11(a)に示すように、シリンダー1の奥側(図示右側)の押板12aがシリンダー1内に引き込まれて皿バネ群3Aの全体が弾性的に圧縮される。逆に圧縮力が作用した際には、図11(b)に示すように、シリンダー1の手前側(図示左側)の押板12bがシリンダー1内に引き込まれて皿バネ群3Aの全体が弾性的に圧縮される。これにより、引張時及び圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群3Aで対応可能であるから、皿バネ3の所要枚数を減らし、簡略化とコンパクト化及びローコスト化を図ることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−38228号公報
【特許文献2】特開2000−243424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、図10及び図11に示したバネ部材10を用い、荷重−変形関係を確認する実験を行った結果を図12に示す。なお、図12の縦軸の荷重は、正が引張、負が圧縮であり、図中の一点鎖線は、皿バネのみから計算した剛性(理論剛性)を示している。また、実験では、隣り合う皿バネ3の隙間をなくすため、予圧縮荷重10kNを加えており、これに伴い、図12に示されるように原点近傍で荷重方向に予圧縮荷重分の10kN程度のスリップが生じた。
【0010】
そして、この図12の結果から、バネ部材10の剛性は、圧縮側でほぼ理論通りとなるのに対し、引張側で15%程度小さくなる(圧縮側の0.85倍に低下する)ことが確認された。これは、引張側ではロッド4とシリンダー1の引張ひずみ(伸び変形)が加算されることによるものであり、このように引張側と圧縮側でバネ剛性が異なって線形バネの理論から外れてしまう。このため、引張側と圧縮側のバネ剛性を揃え、線形条件を満足できるようにすることが望まれ、この点で改善の余地が残されていた。
【0011】
なお、図12に示す通り、皿バネ3を用いたバネ部材10は、その特徴として、加力時と除荷時で勾配が異なるヒステリシス特性をもつが、この原点指向型の履歴特性は、吸収エネルギーが小さく残留変位も生じないため、大きな問題とはならない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、皿バネを用い、全体の構成が十分に簡略かつコンパクトでローコストでありながら圧縮力と引張力の双方に対応し得る有効適切なバネ部材を提供するとともに、容易に引張側と圧縮側のバネ剛性を調節することが可能なバネ部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0014】
本発明のバネ部材は、互いに離接する方向に相対変位可能な二部材間に介装されて、前記二部材間に生じる相対変位によって弾性的に伸縮するバネ部材であって、シリンダー要素と、該シリンダー要素に対して軸方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素と、該ロッド要素の先端部に組み付けられて前記シリンダー要素内に収容されたバネ要素により構成されて、前記ロッド要素の基端部および前記シリンダー要素に対して前記二部材がそれぞれ連結可能とされ、前記バネ要素は複数枚の皿バネを直列および/または並列に重ねてなる1組の皿バネ群の両端側に押板がそれぞれ配設され、前記ロッド要素は前記バネ要素の全体に対して軸方向に相対変位可能に挿通せしめられているとともに、該ロッド要素には前記各押板の外側の位置にそれぞれストッパーが設けられていて、該ストッパーの間において前記バネ要素の全体が前記ロッド要素の軸方向両側に弾性的に変位可能な状態で組み付けられ、前記ロッド要素の基端部が前記シリンダー要素から外方に延出せしめられた状態で該ロッド要素の先端部が前記シリンダー要素内に挿入されて、前記各押板がそれぞれ前記シリンダー要素の両端部に設けられた蓋体の内面に対して押圧可能な状態で前記バネ要素の全体が前記シリンダー要素内に収容されるとともに、前記ロッド要素の先端部側の一方の押板と一方の蓋体の内面の間に弾性体が介設されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のバネ部材においては、一対のストッパー間のロッド要素の剛性をkn、前記シリンダー要素の軸剛性をks、前記弾性体の軸方向の剛性をkeとしたとき、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように前記弾性体の剛性keが設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のバネ部材においては、バネ部材の圧縮時に、ロッド要素がシリンダー要素に対して軸方向の一方の側に相対変位し、一方の押板が一方の蓋体側に押圧され、一方の押板と一方の蓋体の間に挟まれて弾性体が弾性変形するとともに、他方の押板がストッパーによりシリンダー要素の内側に向かって押圧されてバネ要素の全体が弾性的に圧縮する。また、バネ部材の引張時には、ロッド要素がシリンダー要素に対して軸方向の他方の側に相対変位し、他方の押板が他方の蓋体に押圧されるとともに一方の押板がストッパーによりシリンダー要素の内側に向かって押圧されてバネ要素の全体が弾性的に圧縮する。
【0017】
これにより、引張時および圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群が圧縮されて一定のバネ剛性を有するバネ部材として機能するから、従来のバネ部材のように2組の皿バネ群を必要とせず、したがって従来と同等のバネ剛性を持つものであっても皿バネの所要枚数を半減できるし、バネ部材全体の所要長さも半減でき、その結果、構成の十分な簡略化と小形化および低価格化を実現し得るものである。
【0018】
また、バネ部材の圧縮時には、一方の押板と一方の蓋体の間に挟まれて弾性体が弾性変形して弾性力が発生するため、弾性体の剛性を大小調節することによって、圧縮に対するバネ部材全体の剛性を変化させることができる。よって、引張側のバネ剛性を自由に変化させることができ、容易に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃えるように調節することも可能になる。
【0019】
さらに、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように弾性体の剛性keを設定することによって、引張時と圧縮時にバネ部材全体として同じ剛性を得ることが可能になる。よって、確実に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃え、線形条件を満足するバネ部材にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るバネ部材を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバネ部材に引張力、圧縮力が作用した際の作動状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るバネ部材が具備する皿バネ単体の形状例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るバネ部材が具備する皿バネ群の構成例(皿バネの組み合わせパターンの例)を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るバネ部材における荷重−変形特性の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るバネ部材の変形例を示す図である。
【図7】荷重−変形特性の設計例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るバネ部材を制振機構に適用する場合の一例を示す図である。
【図9】従来のバネ部材を示す図である。
【図10】従来のバネ部材を示す図である。
【図11】図10に示したバネ部材に引張力、圧縮力が作用した際の作動状態を示す図である。
【図12】図10に示したバネ部材における荷重−変形特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係るバネ部材について説明する。なお、本実施形態では、図10及び図11に示した従来のバネ部材10と同様の構成に対し同一符号を付して説明を行う。
【0022】
本実施形態のバネ部材Aは、図1及び図2に示すように、シリンダー要素1(以下では単にシリンダー1と略す)と、シリンダー1に対して軸O1方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素4(以下では単にロッド4と略す)と、ロッド4の先端部に組み付けられてシリンダー1内に収容されたバネ要素11とを備えて構成されている。
【0023】
バネ要素11は、複数枚(図示例では8枚)の皿バネ3が直列に重ねられた1組の皿バネ群3Aの両端側に押板12(12a、12b)がそれぞれ配設されたものである。また、バネ要素11の全体に対してロッド4が軸O1方向に相対変位可能に挿通せしめられており、そのロッド4には各押板12の外側の位置にそれぞれストッパー13(13a、13b)としての加力ボルトが螺着され、これらストッパー13の間においてバネ要素11の全体がロッド4の軸O1方向両側に弾性的に変位可能な状態で組み付けられている。
【0024】
そして、ロッド4の基端部がシリンダー1から外方(図示例では左方)に延出せしめられた状態でその先端部がシリンダー2内に挿入されることにより、各押板12がそれぞれシリンダー1の両端部に設けられた環状の蓋体14(14a、14b)の内面に対して押圧可能な状態で配設され、バネ要素11の全体がシリンダー1内に収容されている。
【0025】
さらに、本実施形態のバネ部材Aにおいては、シリンダー1の奥側の一方の押板12a(図示右側の押板)と、シリンダー1の奥側の一方の蓋体14aの内面の間に、ゴムなどの弾性体15が介設されている。すなわち、このバネ部材Aは、シリンダー1の手前側の他方の押板12b(図示左側の押板)が手前側の他方の蓋体14bに直接的に押圧可能に設けられているのに対し、奥側の一方の押板12aが奥側の一方の蓋体14aに、弾性体15を介して間接的に押圧可能に設けられている。また、弾性体15は、環状に形成され、且つその内孔が奥側の一方のストッパー13aである加力ナットの外径よりも大きな内径で形成されている。これにより、バネ部材Aは、一方のストッパー13aが弾性体15の内孔を通じて一方の押板12aの外面に当接するように構成されている。また、本実施形態の弾性体15は、一方の押板12aに一体に固着して設けられている。
【0026】
なお、シリンダー1内にバネ要素11を収容する際には、シリンダー1内にバネ要素11を収容してからシリンダー1に対して蓋体14を装着してボルト締結すれば良いが、あるいはシリンダー1を円周方向に2分割(ないしさらに多分割)しておいてそれらをバネ要素11の外側に装着して一体に連結するか、もしくはシリンダー1を長さ方向に2分割しておいてそれらの内側にバネ要素11を収容してから一体に連結すれば良い。
【0027】
いずれにしても、図示例のように押板12に当接する皿バネ3は大径側(図3に示す大径寸法Dの面)が押板12に面する向きに配置されていることが好ましい。
また、ロッド4は各皿バネ3の変形や変位をガイドする部材として機能するので、そのロッド4の硬度はHRC55以上とし、皿バネ3と接触する周面は平滑な円筒面とすることが好ましい。
【0028】
そして、本実施形態のバネ部材Aは、通常のバネ部材と同様に互いに離接する方向に相対変位可能な二部材(図示せず)の間に介装されて、例えば制振機構の構成要素としてのバネ要素として機能するものであって、それら二部材の一方がロッド4の基端部に対して連結され、他方がシリンダー1に設けられているクレビス5に対して連結されるようになっている。そして、上記の二部材の間に相対変位ないし相対振動が生じた際には、上記のバネ要素11の全体が両方向に弾性的に圧縮されることにより、このバネ部材A全体が所定のバネ剛性をもって軸O1方向両側に弾性的に伸縮するようになっている。
【0029】
すなわち、このバネ部材Aが図1に示す状態で二部材間に介装されている状態から、二部材どうしが離間する方向に相対変位を生じて図2(a)に示すようにバネ部材Aの両端に対して引張力が作用した際には、ロッド4がシリンダー1から抜き出る方向に変位してバネ部材A全体が伸張する。その際、奥側のストッパー13aによって奥側の押板12aがシリンダー1内に引き込まれて皿バネ群3Aの全体がその押板12aにより一方向(図示左方向)に変位する。また、これとともに、手前側の押板12bが手前側の蓋体14bに対して押圧され、これにより、バネ要素11全体が弾性的に圧縮される。
【0030】
逆に、二部材どうしが接近する方向に相対変位を生じて図2(b)に示すようにバネ部材Aの両端に対して圧縮力が作用した際には、ロッド4がシリンダー1に対して押し込まれる方向に変位してバネ部材A全体が縮退する。その際、手前側のストッパー13bによって手前側の押板12bがシリンダー1内に押し込まれて皿バネ群3Aの全体がその押板12bにより逆方向(図示右方向)に変位する。そして、奥側の押板12aによって弾性体15が押圧され、この弾性体15が弾性変形するとともに奥側の押板12aが奥側の蓋体14aに対して押圧され、これにより、バネ要素11全体が弾性的に圧縮される。
【0031】
このように、本実施形態のバネ部材Aによれば、引張時および圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群3Aが圧縮されて引張力および圧縮力の双方に対応可能であるから、図9に示した従来のバネ部材のように2組の皿バネ群3A、3Bを必要とせず、したがって従来と同等のバネ剛性を持つものであっても皿バネ3の所要枚数を半減できるし、バネ部材A全体としての所要長さも半減でき、その結果、構成の十分な簡略化と小形化およびローコスト化を実現し得るものである。
【0032】
勿論、皿バネ3単体としてのバネ剛性や、それらの枚数を調整することで、任意の変形性能や耐力に幅広く対応できる。そのためには、皿バネ3単体の形状および寸法(図3に示す大径寸法D、小径寸法d、全高H、ライズh、板厚t)を、その素材である鋼材の弾性特性に応じて任意に設定すれば良い。
【0033】
また、皿バネ3の枚数や配列パターンは、皿バネ群3A全体として所望のバネ剛性が得られるように、例えば図4に示すような様々なパターンで任意に設計すれば良い。その場合、皿バネ3を同じ向きに重ねる並列配列とすれば耐力(荷重)を増大させることができ、逆向きに重ねる直列配列とすれば変形性能を増大させることができるから、バネ部材A全体として所定の荷重に必要な枚数を並列とし、所定の変形に必要な枚数を直列にすれば良い。
【0034】
なお、いずれにしても、皿バネ単体の変形性能δは皿バネ単体のライズhに対して、δ≦0.75hとすると良い。また、皿バネ単体の耐力pは変形がδのときの反力とすると良く、それにより荷重F−変形(たわみ)δの関係を線形に近づけることができる。具体的には、バネ部材A全体の変形量x、負担力Fとして、直列枚数≧x/δ、並列枚数≧F/pとなるようにすると良い。
【0035】
一方、本実施形態のバネ部材Aにおいては、図2(b)に示すように、圧縮力が作用した際に、奥側の押板12aによって弾性体15が押圧され、この弾性体15が弾性変形するとともに、弾性体15を介して奥側の蓋体14aに圧縮力が伝達される。
【0036】
このように弾性体15を備え、圧縮時のみ、弾性体15が縮むように構成したことで、バネ部材A全体の変位量δが、引張時には、全長ロッド変位+皿バネ変位+シリンダー変位+接合部材変位(クレビス5等の変位)で表され、圧縮時には、他方のストッパーから内側(図示左側)の変位+皿バネ変位+弾性体変位+接合部材変位で表される。
【0037】
このため、引張時と圧縮時の力Pが同じ場合には、剛性が引張と圧縮で同じであるとすると、引張時と圧縮時の変位量の差分が0(左右の両ストッパーの間のロッド変位+シリンダー変位−弾性体変位=0)となる。これにより、左右のストッパー間のロッド剛性をkn、シリンダー軸剛性をks、弾性体の軸方向の剛性をkeとすると、P/kn+P/ks−P/ke=0より、ke=1/(1/kn+1/ks)となる。
【0038】
よって、本実施形態のバネ部材Aにおいては、弾性体15の剛性keを大小調節することによって、圧縮に対するバネ部材A全体の剛性が変化する。そして、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように弾性体15の剛性keを設定すると、図5に示すように、引張時と圧縮時にバネ部材A全体として同じ剛性が得られ、確実に引張側と圧縮側のバネ剛性が揃い、線形条件を満足するバネ部材Aとなる。
【0039】
したがって、本実施形態のバネ部材Aにおいては、バネ部材Aの圧縮時に、ロッド要素4がシリンダー要素1に対して軸O1方向の一方の側に相対変位し、一方の押板12aが一方の蓋体14a側に押圧され、一方の押板12aと一方の蓋体14aの間に挟まれて弾性体15が弾性変形するとともに、他方の押板12bがストッパー13bによりシリンダー要素1の内側に向かって押圧されてバネ要素11の全体が弾性的に圧縮する。また、バネ部材Aの引張時には、ロッド要素4がシリンダー要素1に対して軸O1方向の他方の側に相対変位し、他方の押板12bが他方の蓋体14bに押圧されるとともに一方の押板12aがストッパー13aによりシリンダー要素1の内側に向かって押圧されてバネ要素11の全体が弾性的に圧縮する。
【0040】
これにより、引張時および圧縮時のいずれにおいても1組の皿バネ群3Aが圧縮されて一定のバネ剛性を有するバネ部材Aとして機能するから、従来のバネ部材のように2組の皿バネ群3A、3Bを必要とせず、したがって従来と同等のバネ剛性を持つものであっても皿バネ3の所要枚数を半減できるし、バネ部材A全体の所要長さも半減でき、その結果、構成の十分な簡略化と小形化および低価格化を実現し得るものである。
【0041】
また、バネ部材Aの圧縮時には、一方の押板12aと一方の蓋体14aの間に挟まれて弾性体15が弾性変形し、弾性力が発生するため、弾性体15の剛性keを大小調節することによって、圧縮に対するバネ部材A全体の剛性を変化させることができる。よって、容易に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃えるように調節することが可能になる。
【0042】
さらに、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように弾性体15の剛性keを設定することによって、引張時と圧縮時にバネ部材A全体として同じ剛性を得ることが可能になる。よって、確実に引張側と圧縮側のバネ剛性を揃え、線形条件を満足するバネ部材Aにすることが可能になる。
【0043】
以上、本発明に係るバネ部材の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0044】
例えば、図6に示すように、本発明にかかる弾性体15として、皿バネを適用してもよい。また、弾性体15として皿バネを用いる場合には、図示例のように弾性体15としての皿バネは大径側(図3に示す大径寸法Dの面)が蓋体14aの内面側を向くように配置されていることが好ましい。
【0045】
また、本発明に係るバネ部材は、図7(a)に示すような線形の荷重−変形特性とすることが好ましく、そのためには通常時において皿バネ3と押板12a、12bとが当接しており、且つ押板12bと蓋体14b、押板12aと弾性体15、弾性体15と蓋体14aが当接している状態として、これらの間に隙間がなくかつ皿バネ群3Aに予圧縮荷重がない状態としてバネ部材Aを組み立てれば良い。そして、そのためには各構成部品の各部の寸法や厚みを予め厳密に加工しておけば良いが、必要に応じてそれらの間に適宜厚さのスペーサを介装して微調整すれば良い。
【0046】
但し、皿バネ3と押板12a、12b、押板12bと蓋体14b、押板12aと弾性体15、弾性体15と蓋体14aの間に、敢えて隙間を確保しておいたり、バネ要素11に対して予め予圧縮荷重を付与しておくことにより、本発明のバネ部材Aに非線形の特性を持たせることも可能である。
すなわち、バネ要素11に対して上記のような隙間δ0を確保しておけばその特性は図7(b)に示すようなスリップ型となり、また、バネ要素11に予圧縮力F0を付与しておけばその特性は図7(c)に示すような特性となるから、バネ部材Aの用途や使用目的に応じて最適な特性となるような設計とすれば良い。
【0047】
また、本実施形態のバネ部材Aでは、相対変位可能な二部材に対してロッド4およびクレビス5を連結するものとしたが、クレビス5を省略してシリンダー1自体を部材に対して直接連結することでも良い。
【0048】
さらに、本実施形態では、ロッド要素を単なるロッド4とし、シリンダー要素を単なるシリンダー1として構成したが、本発明のロッド要素とは「皿バネ3の内側にあって皿バネ群3A両端で押板12外側のストッパー13と一体化したもの」であれば良く、シリンダー要素とは「皿バネ群3A、弾性体15で発生した弾性力を支持するもの」であればよく、その限りにおいてシリンダー要素およびロッド要素の形態は任意である。
【0049】
また、本発明のバネ部材Aは様々な用途、目的のバネ要素として広く適用可能であるが、特に建物等の構造物を対象とする制振機構の構成要素として好適に適用可能であり、その一例を図8に示す。
これは、建物における柱20と梁21(21a、21b)により構成される架構フレーム内に設置されて層間変形を制御するためのもので、上階の梁21aに対して固定したV型ブレース22の下端部を接合治具23を介して下階の梁21bに対して面内相対変位可能に支持し、その接合治具23と下階の梁21bとの間に慣性質量ダンパー24と本発明のバネ部材Aとを直列に接続し、さらに接合治具23と下階の梁21bに固定したダンパー取り付け治具25との間にオイルダンパー26を接続したもので、それら慣性質量ダンパー24と本発明のバネ部材Aとオイルダンパー26とによって同調型制振機構を構成したものである。
【0050】
このような制振機構において、バネ要素として従来一般のコイルバネや図9に示したような2組の皿バネ群3A、3Bによる従来一般のバネ部材を用いる場合には、その寸法が長大になって納まりが困難になる場合があるが、それに代えて上記のように本発明のバネ部材Aを用いることによりバネ要素としての所要長さを十分に短縮し得て支障なく納めることが可能である。
【0051】
さらに、上記の制振機構において、本発明のバネ部材Aとオイルダンパー26とを一体化することも考えられる。すなわち、本発明のバネ部材Aにおけるシリンダー1とオイルダンパー26のシリンダーとを一体化し、本発明のバネ部材Aにおけるロッド4とオイルダンパー26におけるロッドとを一体化すれば、バネ要素と減衰要素とをコンパクトに一体化させることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 シリンダー(シリンダー要素)
2 ピストン
3 皿バネ
3A 皿バネ群
3B 皿バネ群
4 ロッド(ロッド要素)
5 クレビス
10 従来のバネ部材
11 バネ要素
12 押板
12a 一方の押板
12b 他方の押板
13 ストッパー
13a 一方のストッパー
13b 他方のストッパー
14 蓋体
14a 一方の蓋体
14b 他方の蓋体
15 弾性体
20 柱
21 梁
22 V型ブレース
23 接続治具
24 慣性質量ダンパー
25 ダンパー取り付け治具
26 オイルダンパー
A バネ部材
O1 軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離接する方向に相対変位可能な二部材間に介装されて、前記二部材間に生じる相対変位によって弾性的に伸縮するバネ部材であって、
シリンダー要素と、該シリンダー要素に対して軸方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素と、該ロッド要素の先端部に組み付けられて前記シリンダー要素内に収容されたバネ要素により構成されて、前記ロッド要素の基端部および前記シリンダー要素に対して前記二部材がそれぞれ連結可能とされ、
前記バネ要素は複数枚の皿バネを直列および/または並列に重ねてなる1組の皿バネ群の両端側に押板がそれぞれ配設され、
前記ロッド要素は前記バネ要素の全体に対して軸方向に相対変位可能に挿通せしめられているとともに、該ロッド要素には前記各押板の外側の位置にそれぞれストッパーが設けられていて、該ストッパーの間において前記バネ要素の全体が前記ロッド要素の軸方向両側に弾性的に変位可能な状態で組み付けられ、
前記ロッド要素の基端部が前記シリンダー要素から外方に延出せしめられた状態で該ロッド要素の先端部が前記シリンダー要素内に挿入されて、前記各押板がそれぞれ前記シリンダー要素の両端部に設けられた蓋体の内面に対して押圧可能な状態で前記バネ要素の全体が前記シリンダー要素内に収容されるとともに、
前記ロッド要素の先端部側の一方の押板と一方の蓋体の内面の間に弾性体が介設されていることを特徴とするバネ部材。
【請求項2】
請求項1記載のバネ部材において、
一対のストッパー間のロッド要素の剛性をkn、前記シリンダー要素の軸剛性をks、前記弾性体の軸方向の剛性をkeとしたとき、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように前記弾性体の剛性keが設定されていることを特徴とするバネ部材。
【請求項1】
互いに離接する方向に相対変位可能な二部材間に介装されて、前記二部材間に生じる相対変位によって弾性的に伸縮するバネ部材であって、
シリンダー要素と、該シリンダー要素に対して軸方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素と、該ロッド要素の先端部に組み付けられて前記シリンダー要素内に収容されたバネ要素により構成されて、前記ロッド要素の基端部および前記シリンダー要素に対して前記二部材がそれぞれ連結可能とされ、
前記バネ要素は複数枚の皿バネを直列および/または並列に重ねてなる1組の皿バネ群の両端側に押板がそれぞれ配設され、
前記ロッド要素は前記バネ要素の全体に対して軸方向に相対変位可能に挿通せしめられているとともに、該ロッド要素には前記各押板の外側の位置にそれぞれストッパーが設けられていて、該ストッパーの間において前記バネ要素の全体が前記ロッド要素の軸方向両側に弾性的に変位可能な状態で組み付けられ、
前記ロッド要素の基端部が前記シリンダー要素から外方に延出せしめられた状態で該ロッド要素の先端部が前記シリンダー要素内に挿入されて、前記各押板がそれぞれ前記シリンダー要素の両端部に設けられた蓋体の内面に対して押圧可能な状態で前記バネ要素の全体が前記シリンダー要素内に収容されるとともに、
前記ロッド要素の先端部側の一方の押板と一方の蓋体の内面の間に弾性体が介設されていることを特徴とするバネ部材。
【請求項2】
請求項1記載のバネ部材において、
一対のストッパー間のロッド要素の剛性をkn、前記シリンダー要素の軸剛性をks、前記弾性体の軸方向の剛性をkeとしたとき、ke=1/(1/kn+1/ks)となるように前記弾性体の剛性keが設定されていることを特徴とするバネ部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−2599(P2013−2599A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136484(P2011−136484)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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