説明

バルクフィーダ、ケースチェンジャ及びチップマウンタ

【課題】ケース交換を自動で行うのに適したバルクフィーダを提供する。
【解決手段】バルクフィーダ20は、ケース取付通路21aの前端口に部品収納済みケース25を挿入し後方移動させることによって、ケース取付通路21aの所定保持位置で保持されているケース25を所定排出位置に強制的に押し込んでケース排出孔21cを通じて落下させることできると共に、部品収納済みケース25をケース取付通路21aの所定保持位置で保持させることできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品収納用のケースを着脱自在に備えたバルクフィーダと、該バルクフィーダのケースを自動的に交換するためのケースチェンジャと、前記バルクフィーダ用のケースチェンジャを備えたチップマウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはバルクフィーダとして、回転自在なロータと、着脱自在な部品収納用のケースとを備えたものが開示されている。ロータは、ロータ回転時に所定円軌道で移動する永久磁石を有している。一方、ケースは、多数の部品をバルク状態(バラ状態)で収納するための収納室と、該収納室の側壁内面に前記所定円軌道に沿うように形成された円弧状の案内溝と、該案内溝と連続して前記所定円軌道に沿うように形成された円弧状の供給通路と、該供給通路の端部に設けられた上面開口の取出口とを有している。
【0003】
このバルクフィーダは、部品収納済みケースをその案内溝及び供給通路が前記所定円軌道で移動する永久磁石と向き合うように取り付けてロータを回転させることにより、永久磁石の磁力によって収納室内の部品を案内溝に吸引し、吸引された部品を案内溝内に収容して移動させ、案内溝内を移動する部品を供給通路内に取り込んで移動させ、供給通路内を移動する部品を取出口に供給する機能を発揮する。
【0004】
前記バルクフィーダは、フィーダテーブル上に並設された複数のフィーダ(部品供給機)から必要部品をノズルヘッドによって選択的に取り出して基板等の部品搭載対象に搭載するチップマウンタ(部品搭載装置)に極めて有用である。即ち、前記フィーダの少なくとも1つとして前記バルクフィーダとして用いれば、部品残数が零或いは少数になったバルクフィーダに対してケースのみを部品収納済みケースと交換することによって所期の部品補充を極めて簡単に行うことができる。
【0005】
ところで、前記ケース交換は手動と自動の何れかになるが、自動の場合にはケース交換をタイムリ且つ迅速に行えるため、手動の場合に比してケース交換に伴う時間ロスを回避してコスト削減が図れる。即ち、前記ケース交換を自動で行うのに適したバルクフィーダが得られ、該バルクフィーダのケース交換を自動で行うのに適したケースチェンジャが得られれば、チップマウンタのフィーダテーブル上に設置されたバルクフィーダのケース交換をタイムリ且つ迅速に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4610674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ケース交換を自動で行うのに適したバルクフィーダと、該バルクフィーダのケース交換を自動で行うのに適したケースチェンジャと、フィーダテーブル上に設置されたバルクフィーダのケース交換をタイムリ且つ迅速に行えるチップマウンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に依るバルクフィーダは、回転自在なロータと、着脱自在な部品収納用のケースとを備え、(a1)前記ロータは、ロータ回転時に所定円軌道で移動する少なくとも1個の永久磁石を有し、(a2)前記ケースは、多数の部品をバルク状態で収納するための収納室と、該収納室の側壁内面に前記所定円軌道に沿うように形成された円弧状の案内溝と、該案内溝と連続して前記所定円軌道に沿うように形成された円弧状の供給通路と、該供給通路の端部に設けられた上面開口の取出口とを有している、バルクフィーダであって、該バルクフィーダは、ケース取付通路と、ケース保持手段と、ケース露出口と、ケース排出口とをさらに備え、(a3)前記ケース取付通路は、その一端口から所定向きで挿入された前記ケースを同向きのままその他端に向かって移動できる態様を有し、(a4)前記ケース保持手段は、前記案内溝及び供給通路が前記所定円軌道で移動する永久磁石と向き合うように前記ケースを前記ケース取付通路内の所定保持位置で保持するものであり、(a5)前記ケース露出口は、前記所定保持位置で保持された前記ケースの取出口を露出させるために前記ケース取付通路の上面に形成され、(a6)前記ケース排出口は、前記所定保持位置から強制的に所定排出位置に押し込まれた前記ケースを落下させるために前記ケース取付通路の所定保持位置よりも後端側の下面に形成されている、ことをその特徴とする。
【0009】
また、本発明に依るケースチェンジャは、前記バルクフィーダのケース取付通路内に保持されているケースを部品収納済みケースと交換するためのケースチェンジャであって、該ケースチェンジャは、ケースストッカと、ケース搬送機と、挿入ガイドと、ケース挿入機とを備え、(b1)前記ケースストッカは、複数の前記部品収納済みケースを貯蔵するものであり、(b2)前記ケース搬送機は、前記ケースストッカ内に貯蔵されている部品収納済みケースの1つを所定向きで所定挿入待機位置に搬送するための機構を有し、(b3)前記挿入ガイドは、前記所定挿入待機位置に搬送された部品収納済みケースを前記所定向きのまま該所定挿入待機位置からその一端口に向かって案内するものであり、(b4)前記ケース挿入機は、前記所定挿入待機位置に搬送された部品収納済みケースを前記挿入ガイドに沿ってその一端口から外部に押し出すための機構を有しており、前記ケースチェンジャは、前記挿入ガイドの一端口から押し出された所定向きの部品収納済みケースが前記バルクフィーダのケース取付通路の一端口に挿入できるように、前記挿入ガイドの一端口が前記ケース取付通路の一端口に対峙した状態で用いられる、ことをその特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に依るチップマウンタは、フィーダテーブル上に設置された複数のフィーダから必要部品をノズルヘッドによって選択的に取り出して基板等の部品搭載対象に搭載するチップマウンタであって、前記フィーダの少なくとも1つとして請求項1に記載のバルクフィーダが用いられていると共に、該バルクフィーダに対応して請求項2に記載のケースチェンジャがその挿入ガイドの一端口が前記バルクフィーダのケース取付通路の一端口に対峙した状態で設置されており、該チップマウンタは、(c1)前記バルクフィーダの部品残数を管理する手段と、(c2)前記バルクフィーダの部品残数が零或いは予め定めた下限値になったときに前記ケースチェンジャに所定のケース交換動作を行わせて、該ケースチェンジャの挿入ガイドの一端口から押し出された所定向きの部品収納済みケースを前記バルクフィーダのケース取付通路の一端口に挿入して該ケース取付通路の所定保持位置で保持されているケースを所定排出位置に強制的に押し込んでケース排出孔を通じて落下させると共に部品収納済みケースをケース取付通路の所定保持位置で保持させる手段とを備えている、ことをその特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依るバルクフィーダによれば、ケース取付通路の一端口に部品収納済みケースを挿入し他端に向かって移動させることによって、ケース取付通路の所定保持位置で保持されているケースを所定排出位置に強制的に押し込んでケース排出孔を通じて落下させることできると共に、部品収納済みケースをケース取付通路の所定保持位置で保持させることできる。即ち、ケース取付通路の一端口に部品収納済みケースを所定向きで挿入するだけの簡単な操作で、部品残数が零或いは少数になったケースを部品収納済みケースに交換し且つ回収できるため、ケース交換を自動で行うのに極めて適している。
【0012】
また、本発明に依るケースチェンジャによれば、ケースストッカに貯蔵されている部品収納済みケースをケース搬送機によって挿入待機位置に搬送し、該部品収納済みケースをケース挿入機によって挿入ガイドの一端口から所定向きで押し出すことができる。即ち、ケースチェンジャをその挿入ガイドの一端口が前記バルクフィーダのケース取付通路の一端口に対峙した状態で配置すれば、挿入ガイドの一端口から押し出された所定向きの部品収納済みケースを該バルクフィーダのケース取付通路の一端口に挿入できるため、前記バルクフィーダのケース交換を自動で行うのに極めて適している。
【0013】
さらに、本発明に依るチップマウンタによれば、フィーダテーブル上に設置された前記バルクフィーダの部品残数をチェックし、部品残数が零或いは予め定めた下限値になったバルクフィーダに対して前記ケースチェンジャを利用してケース交換を行うことができる。即ち、フィーダテーブル上に設置されたバルクフィーダのケース交換をタイムリ且つ迅速に行うことができる。
【0014】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、チップマウンタの一部省略の上面図である。
【図2】図2は、図1に示したチップマウンタの制御システムのブロック図である。
【図3】図3は、図1に示したバルクフィーダの拡大上面図である。
【図4】図4は、図3のS1−S1線に沿う縦断面図である。
【図5】図5は、図4からケースを除外したバルクフィーダの左面図である。
【図6】図6は、図3及び図5に示したロータの左面図である。
【図7】図7は、図3に示したケースの左面図である。
【図8】図8は、図3に示したケースの右面図である。
【図9】図9は、図3に示したケースの上面図である。
【図10】図10は、図9のS2−S2線に沿う縦断面図である。
【図11】図11は、図3に示したケースを構成する一方のプレートの右面図である。
【図12】図12は、図3に示したケースを構成する他方のプレートの左面図である。
【図13】図13(A)〜図13(C)は、バルクフィーダで供給可能な部品の形状を示す図である。
【図14】図14(A)〜図14(D)は、他方のプレートの円弧溝と図13に示した部品との寸法関係を示す図である。
【図15】図15は、バルクフィーダの動作説明図である。
【図16】図16は、バルクフィーダの動作説明図である。
【図17】図17は、バルクフィーダの動作説明図である。
【図18】図18は、バルクフィーダの動作説明図である。
【図19】図19は、図1に示したケースチェンジャの拡大左面図である。
【図20】図20は、準備プロセスのフローチャートである。
【図21】図21は、搭載プロセスのフローチャートである。
【図22】図22は、交換プロセスのフローチャートである。
【図23】図23は、準備プロセスに係るケースチェンジャの動作説明図である。
【図24】図24は、準備プロセスに係るケースチェンジャの動作説明図である。
【図25】図25は、準備プロセスに係るケースチェンジャの動作説明図である。
【図26】図26は、交換プロセスに係るケースチェンジャの動作説明図である。
【図27】図27は、交換プロセスに係るケースチェンジャの動作説明図である。
【図28】図28は、交換プロセスに係るケースチェンジャの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、説明の便宜上、図1の左、右、下、上、手前、奥をそれぞれ前、後、左、右、上、下と称し、他の図のこれらに相当する方向を同様に称する。
【0017】
《チップマウンタの構成》
図1に示したように、チップマウンタ10は、メインテーブル11と、メインテーブル11上に設けられた基板搬出入用のコンベア12と、吸着ノズル(図示省略)を有する部品搭載用のノズルヘッド13と、ノズルヘッド13を少なくとも前後左右に移動させるためのノズルヘッド駆動機構(図示省略)と、フィーダテーブル14とを備えており、フィーダテーブル14上には計13台のバルクフィーダ20が並設され、フィーダテーブル14とメインテーブル11との間に各バルクフィーダ20に対応する計13台のケースチェンジャ30が並設されている。また、フィーダテーブル14には、バルクフィーダ20の設置位置に合わせてケース排出口21c(図3〜図5を参照)の前後寸法よりも僅かに大きな前後寸法を有するケース落下口14aが形成されている。SUは部品搭載対象となる基板であり、コンベア12によって搬出入される。
【0018】
尚、図面ではバルクフィーダ20の台数を13としてあるが、その台数に特段の制限はない。また、フィーダテーブル14上にバルクフィーダ20のみを設置してあるが、他のフィーダ、例えば周知のテープフィーダと一緒にフィーダテーブル14上に設置されていても良く、この場合にはバルクフィーダ20の台数を1としても良い。さらに、部品搭載対象として基板SUを示したが、部品搭載対象は基板SU以外のものであっても良い。
【0019】
このチップマウンタ10は図2に示した制御システムを有している。入力機器はキーボード及びディスプレイ等から成り、各種データを制御回路のメモリに登録するためのものである。コンベア駆動回路は、制御回路からの制御信号に基づいてコンベア駆動機構のアクチュエータに駆動信号を送出する。搬出入検出回路は、コンベア駆動機構からの動作信号に基づいて基板SUの搬入と搬出を検出し、該検出信号を制御回路に送出する。ノズルヘッド駆動回路は、制御回路からの制御信号に基づいてノズルヘッド駆動機構のアクチュエータに駆動信号を送出する。搭載検出回路は、ノズルヘッド駆動機構からの動作信号に基づいて搭載完了を検出し、該検出信号を制御回路に送出する。フィーダ駆動回路は、制御回路からの制御信号に基づいてフィーダ駆動機構のアクチュエータ(後記モータ23、図3〜図5を参照)に駆動信号を送出する。チェンジャ駆動回路は、制御回路からの制御信号に基づいてチェンジャ駆動機構のアクチュエータ(後記モータ33a及び34a、図19を参照)に駆動信号を送出する。交換検出回路は、チェンジャ駆動機構からの動作信号に基づいて後記ケース25(図7〜図10を参照)の交換完了を検出し、該検出信号を制御回路に送出する。
【0020】
《バルクフィーダの構成及び動作》
図3〜図5に示したように、バルクフィーダ20は、フレーム21と、ロータ22と、モータ23と、無端ベルト24と、ケース25とを備えている。因みに、図3〜図5に記した+印は、ロータ22の回転中心またはケース25における該回転中心に対応する位置を示す(図6〜図28についても同様である)。
【0021】
フレーム21は、ケース取付通路21aと、ケース露出口21bと、ケース排出口21cと、ケース保持突起21dと、ロータ配置穴21eと、ロータ軸支孔21fと、フレーム21をフィーダテーブル14に固着するためのロック機構(図示省略)とを有している。
【0022】
ケース取付通路21aの左右寸法はケース25の左右寸法よりも僅かに大きく、上下寸法はケース25の上下寸法よりも僅かに大きい。また、ケース取付通路21aの左面上辺と左面下辺にはケース取付通路21a内からケース25が左側に抜け落ちることを防止するための帯状板21a1及び21a2が設けられていて、両帯状板21a1及び21a2の間にはケース取付通路21a内を確認するための開口(符号無し)が該ケース取付通路21aに沿って存在する。さらに、ケース取付通路21aの左端口はケース挿入口として利用されるものであり、その上面及び下面の前端には、ケース取付通路21a内へのケース25の挿入を案内するための斜面21a3及び21a4が設けられている。即ち、ケース取付通路21aは、その左端口から所定向きで挿入されたケース25を同向きのままその右端に向かって移動できる態様を有している。
【0023】
ケース露出口21bは、ケース取付通路21aの所定保持位置に保持されたケース25の取出口25gとロータ22の外周面一部を露出させるためのものであり、ケース取付通路21aの上面に貫通形成されている。
【0024】
ケース排出口21cは、所定保持位置から強制的に所定排出位置に押し込まれたケース25を落下させるためのものであり、ケース取付通路21aの下面における所定保持位置よりも後側に貫通形成されている。このケース排出口21cの左右寸法はケース取付通路21aの左右寸法と同じであり、前後寸法はケース25の前後寸法よりも僅かに大きい。
【0025】
ケース保持突起21dは、ケース25をケース取付通路21aの所定保持位置に保持するためのものであり、ケース取付通路21aの下面における所定保持位置に対応して2個設けられている。各ケース保持突起21dは半球状上端を有するピンが上方にバネ付勢された構造を有しており、ケース25の2個の位置決め穴25hにそれぞれ嵌合することによって該ケース25をケース取付通路21aの所定保持位置で保持する役目を果たす。
【0026】
ロータ配置穴21eは、ケース取付通路21aの底面(右面)に形成されており、その直径はロータ22の直径よりも僅かに大きく、深さ(左右寸法)はロータ22の厚さ(左右寸法)よりも僅かに大きい。
【0027】
ロータ軸支孔21fは、ロータ軸22aを回転自在に支えるものであり、ロータ配置穴21eの底面の中心に貫通形成されている。図示を省略したが、ロータ軸支孔21fにはベアリングやブッシュ等の回転ガイドが同軸上に設けられている。
【0028】
ロータ22は、図6に示したように、所定の直径及び厚さ(左右寸法)を有する円盤から成り、右面中心にはロータ軸22aが設けられている。また、ロータ22の左面外周部分には、円柱形状を成す計8個の永久磁石22bが、各々の中心がロータ軸22aと同軸の仮想円VC上に位置するように且つ各々の左面がロータ22の左面と略面一状態で露出するように所定角度間隔で埋設されている。因みに、永久磁石22bには2000〜4000ガウスの表面磁力を有するものが好ましく使用される。
【0029】
尚、図面では永久磁石22bの個数を8としてあるが、その個数を9以上としても7以下としても良いし、ロータ22の回転速度が速い場合には1としても良い。また、各永久磁石22bの左面側の極性は同じであっても交互に異なっていてもランダムに異なっていても良く、その配置間隔は必ずしも等角度間隔である必要は無い。さらに、各永久磁石22bをロータ22の左面外周部分に埋設したものを示したが、該各永久磁石22bをロータ22の右面外周部分に埋設してロータ22の左面において露出させないようにしても良い。
【0030】
このロータ22はフレーム21のロータ配置穴21e内に配置されると共にそのロータ軸22aをフレーム21のロータ軸支孔21fに挿入されており、ロータ軸22aの軸線を回転中心として回転できる。ロータ配置穴21e内に配置されたロータ22の左面がケース取付通路21aの底面(右面)よりも突出していると、ケース取付通路21a内に挿入されるケース25が引っかかってしまうため、ロータ配置穴21e内に配置されたロータ22の左面はケース取付通路21aの底面(右面)よりも僅かに引っ込んでいる。
【0031】
モータ23はフレーム21の右面に固着されていて、そのモータ軸23aとロータ22のロータ軸22aの右側突出部分には無端ベルト24が巻き付けられている。即ち、モータ23のモータ軸23aを回転させることにより、ロータ22を回転させて永久磁石22bを所定円軌道(仮想円VCに準ずる円軌道)で移動させることができる。
【0032】
尚、図面ではモータ軸23aとロータ軸22aに無端ベルト24を直接巻き付けてあるが、モータ軸23aとロータ軸22aのそれぞれにプーリを固着して該プーリに無端ベルト24を巻き付けても良い。
【0033】
ケース25は、図7〜図10に示したように、互いに結合された2枚のプレート25a及び25bとストッパ棒25cとから構成されていて、所定の左右寸法、前後寸法及び上下寸法を有する略直方体形状を成している。
【0034】
このケース25は、多数の部品(形状については図13を参照)をバルク状態(バラ状態)で収納するための収納室25dと、該収納室25dの右壁左面に前記永久磁石22bの所定円軌道に沿うように下から上に向かって約150度角で形成された円弧状の案内溝25eと、該案内溝25eと連続して前記永久磁石22bの所定円軌道に沿うように下から上に向かって約30度角で形成された円弧状の供給通路25fと、該供給通路25fの端部(前端分)に設けられた上面開口の取出口25gと、フレーム21の各ケース保持突起21dがそれぞれ嵌合する2個の位置決め穴25hを有している。また、図示を省略したが、ケース25の左面には収納室25dに通じる部品投入口が形成されていて、該部品投入口は収納室25d内に部品を収納した後に蓋やシール等によって塞がれる。
【0035】
図11を引用して一方のプレート25aについて説明すれば、プレート25aの右面には収納室25dを形成するための窪みCPが形成されている。この窪みCPは、所定曲率半径の第1円弧面CPaと、第1円弧面CPaよりも曲率半径が小さい第2円弧面CPbと、第1円弧面CPaの下端と第2円弧面CPbの下端とを結ぶ第1平坦面CPcと、第1円弧面CPaの上端と第2円弧面CPbの上端とを結ぶ第2平坦面CPdと、底面(左面)CPeとを有している。因みに、先に述べた部品投入口は窪みCPの底面に形成されている。
【0036】
図12を引用して他方のプレート25bについて説明すれば、プレート25bの左面には案内溝25e及び供給通路25fを形成するための約180度角の円弧溝GRが形成され、該円弧溝GRの前端に前後方向の直線溝(符号無し)が連続形成されており、円柱状或いは角柱状のストッパ棒25cは該直線溝に嵌め込まれている。因みに、円弧溝GRの幅方向中心の曲率半径は、図6に示した仮想円VCの半径に略一致している。また、プレート25bの上面には取出口25gを形成するための左右方向の切り欠きCRが円弧溝GRに達するように形成されており、該切り欠きCRによって開放された円弧溝GRの上面部分(ストッパ棒25cの後端を除く)が実質的な取出口25gとなっている。因みに、図中のGRaは円弧溝GRの外側円弧面、GRbは円弧溝GRの内側円弧面であり、外側円弧面GRaの曲率半径は図11に示した窪みCPの第1円弧面CPaの曲率半径よりも小さい。
【0037】
一方のプレート25aと他方のプレート25bとの結合は接着剤、ネジ止め、凹凸嵌合等の各種手段によって行われ、該結合によって一方のプレート25aの右面と他方のプレート25bの左面とが面接触或いはこれに近い状態となる。詳しくは、図10に示したように、プレート25aの窪みCPの開口はプレート25bの左面によって覆われて収納室25dとなる。また、プレート25bの円弧溝GRの上側部分はその開口をプレート25aの右面によって覆われて入口23f1を有する供給通路25fとなり、覆われない部分が案内溝25eとなる。さらに、ストッパ棒25cが嵌め込まれた直線溝の開口はプレート25aの右面によって覆われてその抜け落ちが防止される。さらに、プレート25bの切り欠きCRの左面開口はプレート25aの右面によって覆われる。さらに、図11に示した窪みCPの第1円弧面CPaの曲率半径が図12に示した円弧溝GRの外側円弧面GRaの曲率半径よりも大きいため、案内溝25eの外側と内側には他方のプレート25bの左面の一部である平坦面FP1及びFP2が存在するようになる。
【0038】
ここで、図13を引用してバルクフィーダ20で供給可能な部品の形状を説明し、続いて、図14を引用して他方のプレート25bの円弧溝GRと図13に示した部品との寸法関係を説明し、続いて、図15〜図18を引用してバルクフィーダ20の部品供給動作を説明する。
【0039】
図13(A)に示した部品PA1は長さL1>幅W1=高さH1の寸法関係を有する略直方体形状を成し、図13(B)に示した部品PA2は長さL2>幅W2>高さH2の寸法関係を有する略直方体形状を成し、図13(C)に示した部品PA3は長さL3>直径R3の寸法関係を有する略円柱形状を成す。
【0040】
これら部品PA1〜PA3の代表例は長さL1〜L3が1.6mm、1.0mm、0.6mm、0.4mm等といった小型のチップコンデンサやチップレジスタ等の電子部品であり、これら電子部品は一般に強磁性体に属する材料を含む外部電極を有する他、種類によっては強磁性体に属する材料を含む内部導体を有していることから、ロータ22の永久磁石22bの磁力による吸引が可能である。
【0041】
尚、永久磁石22bの磁力による吸引が可能な同形状の部品であれば、電子部品以外の部品も供給対象とすることができるし、図13(A)〜図13(C)に示した形状に類似する形状を成す部品や球形を成す部品等も供給対象とすることができる。
【0042】
図14(A)に示した円弧溝GRは部品PA1に対応するもので、該円弧溝GRの幅Wg及び深さDgは部品PA1の幅W1或いは高さH1よりも僅かに大きく且つ端面対角寸法D1及び長さL1よりも小さい。この円弧溝GRは、破線で示したように、部品PA1を幅或いは高さの面が略揃った長さ向きで移動可能に収容できる。
【0043】
図14(B)に示した円弧溝GRは部品PA1に対応するもので、該円弧溝GRの幅Wg及び深さDgは部品PA1の端面対角寸法D1よりも僅かに大きく且つ長さL1よりも小さい。この円弧溝GRは、破線で示したように、部品PA1を幅及び高さの面の方向に拘わらずに長さ向きで移動可能に収容できる。
【0044】
図14(C)に示した円弧溝GRは部品PA2に対応するもので、該円弧溝GRの幅Wgは部品PA2の高さH2よりも僅かに大きく且つ幅W2よりも小さく、深さDgは幅W2よりも僅かに大きい。この円弧溝GRは、破線で示したように、部品PA2を幅及び高さの面が略揃った長さ向きで移動可能に収容できる。
【0045】
図14(D)に示した円弧溝GRは部品PA3に対応するもので、該円弧溝GRの幅Wg及び深さDgは部品PA3の直径R3よりも僅かに大きく且つ長さL3よりも小さい。この円弧溝GRは、破線で示したように、部品PA3を長さ向きで移動可能に収容できる。
【0046】
尚、図13(A)〜図13(C)に示した形状に類似する形状を成す部品や球形を成す部品等を供給対象とする場合には、これら部品を所定向きで移動可能に収容できる円弧溝GRを採用すれば良い。
【0047】
図15は、図13(A)に示した部品PA1を図14(A)に示した円弧溝GRを有する収納室25d内に多数個(3〜7万個)バルク状態で収納したケース25を、ケース取付通路21aの所定保持位置で保持した状態を示す。この状態ではケース25の右面にはロータ22の左面が僅かな隙間を介して略平行に向き合っており、該ロータ22の回転中心は円弧溝GR(案内溝25e及び供給通路25f)の幅方向中央の曲率半径の中心と略一致している。
【0048】
この状態でロータ22を図15中で反時計回り方向に所定速度で回転させると、図16に示したように、永久磁石22bが案内溝25e及び供給通路25fと向き合った状態のまま所定円軌道で移動し、該永久磁石22bの磁力によって収納室25d内の複数の部品PA1が案内溝25eに吸引され、吸引された複数の部品PA1が塊のまま案内溝15に沿って上方に移動して供給通路25fの入口25f1に達する。この過程では、移動に伴う部品微動も相俟って複数の部品PA1の少なくとも1つが案内溝25e内に長さ向きで収容される。
【0049】
そして、図17に示したように、案内溝25e内を長さ向きで移動する部品PA1が入口25f1を通じて供給通路25f内に取り込まれると共に、案内溝25e内に長さ向きで収容されていない部品PA1が図11に示した窪みCPの第2平坦面CPdに当接し、永久磁石22bが入口25f1の右側を通り過ぎて吸引力が低下したところで下方に落下する。
【0050】
そして、図18に示したように、供給通路25f内を長さ向きで移動する部品PA1がストッパ棒25cの後端に当接して取出口25gに供給される。ロータ22を連続して回転するものであるため、ストッパ棒25cの後端に当接した先頭の部品PA1の後側には複数の部品PA1が連なるような状態となる。
【0051】
尚、図13(A)に示した部品PA1を図14(A)に示した円弧溝GRを有するケース25内に収納した場合を例に挙げてバルクフィーダ20の部品供給動作を説明したが、図13(A)に示した部品PA1を図14(B)に示した円弧溝GRを有するケース25内に収納した場合、図13(B)に示した部品PA2を図14(C)に示した円弧溝GRを有するケース25内に収納した場合、図13(C)に示した部品PA3を図14(D)に示した円弧溝GRを有するケース25内に収納した場合、図13(A)〜図13(C)に示した形状に類似する形状を成す部品や球形を成す部品等(A)〜図1(C)に示した形状に類似する形状を成す部品や球形を成す部品等をこれら部品に適合した円弧溝GRを有するケース25内に収納した場合でも、同様の部品供給動作を実現できる。
【0052】
要するに、部品の大きさ及び形状に合わせて円弧溝GRの幅Wg及び深さDgを変えるだけで、各種部品共通の単一サイズ(左右寸法、前後寸法及び上下寸法)のケース25を得ることができる。また、ケース25はバルクフィーダ20に交換可能に取り付けられているので、該ケース25を別部品に対応したケース25に交換することによって、1つのバルクフィーダ10で種々の部品供給を前記同様に行うことができる。
【0053】
《ケースチェンジャの構成》
図19に示したように、ケースチェンジャ30は、ベースプレート31と、ケースストッカ32と、ケース搬送機33と、ケース挿入機34と、挿入ガイド35とを備えている。
【0054】
ベースプレート31は、ケース搬送機33用の上下方向のガイド孔31aと、ケース挿入機34用の前後方向のガイド孔31bとを有している。
【0055】
ケースストッカ32は、前後一対のストッカプレート32a及び32bを有している。各ストッカプレート32a及び32bは、第1板状部32a1及び32b1と、第1板状部32a1及び32b1の縁から約90度折り曲げられた第2板状部32a2及び32b2と、第2板状部32a2及び32b2の縁から約90度折り曲げられた第3板状部32a3及び32b3とを有しており、前後方向に間隔をおいて略線対称形となるように各々の第1板状部32a1及び32b1をベースプレート31の左面に固着されている。各ストッカプレート32a及び32bの第2板状部32a2及び32b2の内面の左右寸法はケース25の左右寸法よりも僅かに大きく、第2板状部32a2及び32b2の内面の間隔はケース25の前後寸法よりも僅かに大きい。また、後側のストッカプレート32aの上端位置は、挿入ガイド35のガイドローラ35bを配置するために、前側のストッカプレート32bの上端位置よりも低くなっている。即ち、両ストッカプレート32a及び32bの第2板状部32a2及び32b2の内面と、両ストッカプレート32a及び32bの第3板状部32a3及び32b3の内面と、ベースプレート31の左面によって、複数のケース25(ここでは部品収納済みのものを指す)を所定向きで且つ上下方向に移動可能な状態で積み重ねて貯蔵できる領域が画成されている。
【0056】
ケース搬送機33は、ベースプレート31の右面に固着されたモータ33aと、モータ軸33bに固着されたプーリ33cと、プーリ33cの上方に位置するようにベースプレート31の右面に回転自在に配置された第2のプーリ33dと、両プーリ33c及び33dに巻き付けられた無端ベルト33eと、ガイド孔31aを通じて無端ベルト33eに固着された搬送プッシャ33fとを有しており、搬送プッシャ33fはケースストッカ32のストッカプレート32a及び32bの間を上下方向に移動できるように配置されている。即ち、モータ33aのモータ軸33bを回転させて無端ベルト33eを回転させることにより、搬送プッシャ33fをガイド孔31aに沿って上下方向に移動させることができる。
【0057】
ケース挿入機34は、ベースプレート31の右面に固着されたモータ34aと、モータ軸34bに固着されたプーリ34cと、プーリ34cの後方に位置するようにベースプレート31の右面に回転自在に配置された第2のプーリ34dと、両プーリ34c及び34dに巻き付けられた無端ベルト34eと、ガイド孔31bを通じて無端ベルト34eに固着された挿入プッシャ34fとを有しており、挿入プッシャ34fは挿入ガイド35のガイドプレート35aとガイドローラ35bの間を前後方向に移動できるように配置されている。即ち、モータ34aのモータ軸34bを回転させて無端ベルト34eを回転させることにより、挿入プッシャ34fをガイド孔31bに沿って前後方向に移動させることができる。
【0058】
挿入ガイド35は、上側のガイドプレート35aと、下側のガイドローラ35aとを有している。ガイドプレート35aは、第1板状部35a1と、第1板状部35a1の縁から約90度折り曲げられた第2板状部35a2と、第2板状部35a2の縁から約90度折り曲げられた第3板状部35a3とを有しており、第1板状部35a1はガイドローラ35aと上下方向に間隔をおいてベースプレート31の左面に固着されている。ガイドローラ35aはベースプレート31の左面に回転自在に配置され前後方向に並ぶ計3個のローラから成る。ガイドプレート35aの第2板状部35a2の内面の左右寸法はケース25の左右寸法よりも僅かに大きく、第2板状部35a2の内面とガイドローラ35a(ローラ群)の上面高さとの間隔はケース25の上下寸法よりも僅かに大きい。また、ガイドローラ35a(ローラ群)の上面高さ位置はケースストッカ32の前側のストッカプレート32bの上端位置と略一致しており、ローラ群のうちの最も前側のローラは後側のストッカプレート32aの第1板状部32a1の上端の上側に位置している。即ち、ガイドプレート35aの第2板状部35a2の内面と、ガイドプレート35aの第3板状部35a3の内面と、ガイドローラ35a(ローラ群)の上面と、ベースプレート31の左面によって、所定挿入待機位置に存するケース25を所定向きで後方に移動できるガイド領域(符号無し)が画成されており、該ガイド領域の後端口はケース押出口として利用される。
【0059】
ケースチェンジャ30の動作については、後記《チップマウンタの動作》の欄において詳述する。
【0060】
《チップマウンタの動作》
以下、図20〜図22を引用すると共に図23〜図28、図1及び図19を適宜引用して、図1に示したチップマウンタ10に準じて該チップマウンタ10の部品搭載動作を説明する。
【0061】
先ず、準備プロセスとして、図20に示したように、バルクフィーダ20の設置(ステップSP11)と、ケースチェンジャ30の設置(ステップSP12)と、各種データの登録(ステップSP13)と、ケースチェンジャ30からバルクフィーダ20へのケース25の挿入(ステップSP14)を行う。
【0062】
ステップSP11の「フィーダ設置」は、図1及び図19に示したように、ケース25がケース取付通路21aに取り付けられていない計13台のバルクフィーダ20を、フィーダテーブル14上に並べて設置することによって行う。フィーダテーブル14上におけるバルクフィーダ20の設置位置はリブやピン等の位置決め手段によって予め定められているので、該設置位置にバルクフィーダ20を置いて固定することによって各バルクフィーダ20の設置が行える。設置後の各バルクフィーダ20のケース排出口21cはフィーダテーブル14のケース落下口14a上に位置していて、ケース排出口21cを通じて落下したケース25がケース落下口14aを通過できるようになっている。
【0063】
ステップSP12の「チェンジャ設置」は、図1及び図19に示したように、複数の部品収納済みのケース25がケースストッカ32に貯蔵された計13台のケースチェンジャ30を、フィーダテーブル14とメインテーブル11との間に並べて設置することによって行う。13種類の部品を基板SUに搭載する場合は、計13台のケースチェンジャ30のそれぞれには種類別の部品が収納されたケース25が複数個貯蔵される。フィーダテーブル14とメインテーブル11との間におけるケースチェンジャ30の設置位置はリブやピン等の位置決め手段によって予め定められているので、該設置位置にケースチェンジャ30を置いて固定することよって各ケースチェンジャ30の設置が行える。設置後の各ケースチェンジャ30の挿入ガイド35の後端口(押出口に相当)は各バルクフィーダ20のケース取付通路21aの前端口(挿入口に相当)に対峙していて、挿入ガイド35の後端口から押し出された所定向きのケース25をケース取付通路21aの前端口に挿入できるようになっている。
【0064】
ステップSP13の「データ登録」は、計13台のケースチェンジャ30それぞれに貯蔵されているケース25の個数と、該ケース25に収納されている部品の種類と、該ケース25に収納されている部品の個数と、基板SUに搭載すべき部品の種類と搭載位置と、搭載すべき基板数等を、図2に示した入力機器によって入力して制御回路のメモリに登録することによって行う。因みに、部品の大きさ及び形状によって多少変動するが1つのケース25に収納される部品の個数はその種類によって3〜7万個の範囲内で予め定められているため、前記部品の個数の入力はこの定められた個数に基づいて入力される。
【0065】
ステップSP14の「ケース挿入」は、計13台のケースチェンジャ30それぞれに貯蔵されているケース25を、ケース25がケース取付通路21aに取り付けられていない計13台のバルクフィーダ20それぞれのケース取付通路21aに挿入して、該ケース取付通路21aの所定保持位置に保持させることによって行う。
【0066】
この「ケース挿入」は、図23に示したように、ケース搬送機33の無端ベルト33eを図中反時計回り方向に所定量回転させ、上方移動する搬送プッシャ33fによってケースストッカ32に貯蔵されている複数のケース25全てを上昇させて、最上位のケース25を所定挿入待機位置(最上位のケース25の上端部が挿入ガイド35のガイドプレート35aの第3板状部35a3の内側に挿入される位置)に搬送する。
【0067】
そして、図24に示したように、ケース挿入機34の無端ベルト34eを図中反時計回り方向に所定量回転させ、後方移動する挿入プッシャ34fによって所定挿入待機位置に搬送されたケース25を挿入ガイド35に沿って後方に移動させて、該ケース25の後端部をバルクフィーダ20のケース取付通路21a内に挿入する。ケース取付通路21aの上面及び下面の前端には斜面21a3及び21a4(図3〜図5を参照)が設けられているので、挿入ガイド35の後端口とケース取付通路21aの前端口との高さ位置が多少ずれていても前記挿入を支障無く行える。
【0068】
そして、図25に示したように、挿入プッシャ34fをさらに後方に移動させ、ケース取付通路21a内に挿入されたケース25を該ケース取付通路21aに沿って後方移動させる。挿入プッシャ34fの後方移動量はケース25の下面の位置決め穴25h(図7〜図10を参照)がケース保持突起21dに相互嵌合する移動量に予め設定されているため、設定された移動量だけ挿入プッシャ34fが後方移動すると、ケース25の下面の位置決め穴25h(図7〜図10を参照)がケース保持突起21dに嵌合して、該ケース25がケース取付通路21aの所定保持位置で保持される。この後は挿入プッシャ34fを復帰させて図19の状態に戻す。
【0069】
準備プロセスが終了した後は、図21に示した手順に従って搭載プロセスを行う。詳しくは、図2に示したコンベア駆動機構のアクチュエータを動作させて基板SUの搬入を行う(ステップSP21)。搬入完了後は、基板SUに搭載すべき部品の種類と搭載位置と、搭載すべき基板数等のデータを図2に示した制御回路のメモリから読み出す(ステップSP22及びSP23)。データ読み出し後は、計13台のバルクフィーダ20のロータ22を回転させて各バルクフィーダ20の取出口25gから部品を取り出せるようにした上で、ノズルヘッド13を移動させて吸着ノズルによって取出口25gから部品を取り出して基板SUに搭載する作業を、必要部品が基板SUに搭載されるまで繰り返す(ステップSP24)。
【0070】
1枚の基板SUに対する部品搭載が完了した後は、搭載完了の基板数に1を加算し、図2に示したコンベア駆動機構のアクチュエータを動作させて基板SUの搬出を行う(ステップSP25及びSP26)。搬出完了後は、搭載完了の基板数が目標の基板数Nに達しているか否かを判断し、達していない場合にはステップSP21に戻って同様の手順を繰り返し、搭載完了の基板数が目標の基板数Nに達した場合には搭載プロセスを終了する(ステップSP27及びSP28)。
【0071】
前記搭載プロセス中は、図22に示した手順に従って交換プロセスを並行して行う。詳しくは、この交換プロセスは、各バルクフィーダ20の部品残数を管理してケース交換の要否を判別する処理(ステップSP31及びSP32)と、ケース交換が要と判別されたバルクフィーダ20に対してケース交換を行う処理(ステップSP33及びSP34)と、各ケースチェンジャ30のケース残数を管理してケース補充の要否を判断する処理(ステップSP35〜SP38)とから成る。
【0072】
ステップSP31の「部品残数管理」は、各バルクフィーダ20に取り付けられているケース25内の部品残数を個々に管理することによって行う。詳しくは、前記ステップSP14の「ケース挿入」で各バルクフィーダ20に取り付けられたケース25内の部品残数は初期値であるため、前記ステップSP24の「部品搭載」で部品が基板SUに搭載される度に該当するバルクフィーダ20の部品残数から1を減算する処理を行う。この減算処理によって部品残数が零或いは予め定めた下限値、例えば初期値の1%になったバルクフィーダ20に対してはステップSP32で「ケース交換が要」と判別する。
【0073】
ステップSP33の「ケース交換」は前記ステップSP14の「ケース挿入」と同じ動作を行う。即ち、図26に示したように、ケース搬送機33の無端ベルト33eを図23と同じ方向に所定量回転させ、上方移動する搬送プッシャ33fによってケースストッカ32に貯蔵されている複数のケース25全てを上昇させて、最上位のケース25を所定挿入待機位置(最上位のケース25の上端部が挿入ガイド35のガイドプレート35aの第3板状部35a3の内側に挿入される位置)に搬送する。
【0074】
そして、図27に示したように、ケース挿入機34の無端ベルト33eを図中反時計回り方向に所定量回転させ、後方移動する挿入プッシャ34fによって所定挿入待機位置に搬送されたケース25を挿入ガイド35に沿って後方に移動させて、該ケース25の後端部をバルクフィーダ20のケース取付通路21a内に挿入する。ケース取付通路21aの上面及び下面の前端には斜面21a3及び21a4(図3〜図5を参照)が設けられているので、挿入ガイド35の後端口とケース取付通路21aの前端口との高さ位置が多少ずれていても前記挿入を支障無く行える。
【0075】
そして、図27に示したように、挿入プッシャ34fをさらに後方に移動させ、ケース取付通路21a内に新たに挿入されたケース25を該ケース取付通路21aに沿って後方移動させ、該ケース25によってケース取付通路21aの所定保持位置で保持されているケース25を強制的に押圧して後方移動させる。各ケース保持突起21dは半球状上端を有するピンが上方にバネ付勢された構造を有しているため、新たに挿入されたケース25によって所定保持位置で保持されているケース25を押圧すると、各ピンが沈み込むようにして位置決め穴25h(図7〜図10を参照)に対する嵌合が解かれる。
【0076】
挿入プッシャ34fの後方移動量はケース25の下面の位置決め穴25h(図7〜図10を参照)がケース保持突起21dに相互嵌合する移動量に予め設定されているため、設定された移動量だけ挿入プッシャ34fが後方移動すると、新たに挿入されたケース25の下面の位置決め穴25h(図7〜図10を参照)がケース保持突起21dに嵌合して、該ケース25がケース取付通路21aの所定保持位置で保持される。
【0077】
これと同時に、新たに挿入されたケース25によって、ケース取付通路21aの所定保持位置で保持されていたケース25がケース取付通路21aのケース排出孔21cの上方位置、つまり、所定排出位置に強制的に押し込まれ、図28に示したように、該ケース25がケース排出孔21cを通じて落下し、さらにフィーダテーブル14のケース落下口14aを通じて落下して、その下側に配置されている専用ボックス(図示省略)に回収される。この後は挿入プッシャ34fを復帰させて図19の状態に戻す。
【0078】
ステップSP35の「ケース残数管理」は、各ケースチェンジャ30に貯蔵されているケース残数を個々に管理することによって行う。詳しくは、前記ステップSP14の「ケース挿入」後に各ケースチェンジャ30に貯蔵されているケース残数は初期値−1であり、前記ステップSP33の「ケース交換」後の各ケースチェンジャ30に貯蔵されているケース残数は初期値−2であるため、前記ステップSP33の「ケース交換」が行われる度に該当するケースチェンジャ30のケース残数から1を減算する処理を行う。この減算処理によってケース残数が零或いは1になったケースチェンジャ30に対してはステップSP36で「ケース補充が要」と判別し、ステップSP37でアラーム発報やLED点滅等で作業者にケース補充を通知する。
【0079】
ケース補充の通知があったときには、該当するケースチェンジャ30のケースストッカ32に部品補充済みのケース25を補充する作業を行い、作業後のケース残数の図2に示した入力機器によって入力して制御回路のメモリに登録する(ステップSP38を参照)。
【0080】
別のバルクフィーダ20に対してステップSP32で「ケース交換が要」と判別された場合も、前記同様の手順でケース交換を行うと共に各ケースチェンジャ30のケース残数を管理してケース補充の要否を判断する処理ステップ(ステップSP35〜SP38)を行う。
【0081】
《バルクフィーダ、ケースチェンジャ及びチップマウンタによる効果》
(1)前記バルクフィーダ20によれば、ケース取付通路21aの前端口に部品収納済みケース25を挿入し後方移動させることによって、ケース取付通路21aの所定保持位置で保持されているケース25を所定排出位置に強制的に押し込んでケース排出孔21cを通じて落下させることできると共に、部品収納済みケース25をケース取付通路21aの所定保持位置で保持させることできる。即ち、ケース取付通路21aの前端口に部品収納済みケース25を所定向きで挿入するだけの簡単な操作で、部品残数が零或いは少数になったケース25を部品収納済みケース25に交換し且つ回収できるため、ケース交換を自動で行うのに極めて適している。
【0082】
(2)前記ケースチェンジャ30によれば、ケースストッカ32に貯蔵されている部品収納済みケース25をケース搬送機33によって挿入待機位置に搬送し、該部品収納済みケース25をケース挿入機34によって挿入ガイド35の後端口から所定向きで押し出すことができる。即ち、ケースチェンジャ30をその挿入ガイド35の後端口が前記バルクフィーダ20のケース取付通路21aの前端口に対峙した状態で配置すれば、挿入ガイド35の後端口から押し出された所定向きの部品収納済みケース25を該バルクフィーダ20のケース取付通路21aの前端口に挿入できるため、前記バルクフィーダ20のケース交換を自動で行うのに極めて適している。
【0083】
(3)前記チップマウンタ10によれば、フィーダテーブル14上に設置された前記バルクフィーダ20の部品残数をチェックし、部品残数が零或いは予め定めた下限値になったバルクフィーダ20に対して前記ケースチェンジャ30を利用してケース交換を行うことができる。即ち、フィーダテーブル14上に設置されたバルクフィーダのケース交換をタイムリ且つ迅速に行うことができる。
【0084】
《バルクフィーダ、ケースチェンジャ及びチップマウンタの変形例》
(1)前記バルクフィーダ20として、ケース取付通路21aの左面側に確認用開口を該ケース取付通路21aに沿って設けたものを示したが、上下の帯状板21a1及び21a2が連続したような板状部分として該開口を無くしても良い。
【0085】
また、前記バルクフィーダ20として、ケース取付通路21aの下面に押し込み可能なケース保持突起21dを2個設け、該2個のケース保持突起21dをケース25の位置決め穴25hにそれぞれ嵌合させることで該ケース25をケース取付通路21aの所定保持位置で保持するものを示したが、ケース保持突起21dの前後間隔を広げてケース25の前面下端及び後面下端を支持できるようにしても該ケース25をケース取付通路21aの所定保持位置で保持することができる。勿論、ケース取付通路21aの上面に同様のケース保持突起21dを少なくとも1個設けて、上下のケース保持突起21dの群によってケース25を保持するようにしても良い。
【0086】
さらに、前記バルクフィーダ20として、ロータ22を回転させるためのモータ23をフレーム21の右面に固着したものを示したが、フレーム21の後側左面に凹部を形成して該凹部内にモータ23を固着しても良い。このようにすれば、バルクフィーダ20の最大左右寸法を減少させて該バルクフィーダ20を薄型化できる。
【0087】
さらに、前記バルクフィーダ20として、モータ軸23aの回転を無端ベルト24を介してロータ軸23aに伝えるものを示したが、モータ軸23aとロータ軸23aに互いに噛合する歯車を固着して該歯車によって回転伝達を行うようにしても良い。
【0088】
(2)前記ケースチェンジャ30として、部品収納済みケース25を上下方向に積み重ねて貯蔵するケースストッカ32を1つ有するものを示したが、2以上のケースストッカ32及びケース搬送機33を前後方向に並設すれば、より多くの部品収納済みケース25を貯蔵することができる。
【0089】
また、前記ケースチェンジャ30として、搬送プッシャ33fを上下方向に移動させるために無端ベルト33eをケース搬送機33に使用し、挿入プッシャ34fを前後方向に移動させるたに無端ベルト34eをケース挿入機34に使用したものを示したが、各無端ベルト33e及び34eの代わりにナット付きボールネジを各モータ軸33b及び34bに連結してナットを各プッシャ33f及び34fに固着しても、該各プッシャ33f及び34fに同様の動きを与えることができる。
【0090】
(3)前記チップマウンタ10として、ケース交換及びケース補充に必要なデータを図2に示した入力機器によって入力して制御回路のメモリに登録するものを示したが、ケース25に収納部品の種類及び個数に関するデータが記録されたバーコードや二次元コードやICタグ等の情報記録部をケース25に設けて該情報記録部を専用リーダで読み込むようにすれば、図2に示した入力機器によって入力する作業を簡便化できる。このような情報記録部をケース25に設けておけば、ケースチェンジャ30のケースストッカ32にケース25を貯蔵する際のケース照合を行えるので、ケース補充に際して不適正ケースが貯蔵されるミスを防止できる。
【0091】
また、前記チップマウンタ10として、無端ベルト33eの回転量(モータ軸33bの回転量)によって最上位のケース25が所定挿入待機位置に搬送されたことを検知し、無端ベルト33eの回転量(モータ軸34bの回転量)によって所定挿入待機位置のケース25がバルクフィーダ20のケース取付通路21aの所定保持位置で保持されたことを検知するものを示したが、所定挿入待機位置の近傍と所定保持位置の近傍にマイクロスイッチや光スイッチ等のセンサを設けて、該センサの作動によって搬送プッシャ33fの上方移動と挿入プッシャ34fの後方移動を制御しても良い。
【符号の説明】
【0092】
10…チップマウンタ、13…ノズルヘッド、14…フィーダテーブル、SU…基板、20…バルクフィーダ、21a…ケース取付通路、21b…ケース露出口、21c…ケース排出口、21d…ケース保持突起、22…ロータ、22b…永久磁石、25…ケース、25d…収納室、25e…案内溝、25f…供給通路、25g…取出口、30…ケースチェンジャ、32…ケースストッカ、33…ケース搬送機、34…ケース挿入機、35…挿入ガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在なロータと、着脱自在な部品収納用のケースとを備え、(a1)前記ロータは、ロータ回転時に所定円軌道で移動する少なくとも1個の永久磁石を有し、(a2)前記ケースは、多数の部品をバルク状態で収納するための収納室と、該収納室の側壁内面に前記所定円軌道に沿うように形成された円弧状の案内溝と、該案内溝と連続して前記所定円軌道に沿うように形成された円弧状の供給通路と、該供給通路の端部に設けられた上面開口の取出口とを有している、バルクフィーダであって、
該バルクフィーダは、ケース取付通路と、ケース保持手段と、ケース露出口と、ケース排出口とをさらに備え、(a3)前記ケース取付通路は、その一端口から所定向きで挿入された前記ケースを同向きのままその他端に向かって移動できる態様を有し、(a4)前記ケース保持手段は、前記案内溝及び供給通路が前記所定円軌道で移動する永久磁石と向き合うように前記ケースを前記ケース取付通路内の所定保持位置で保持するものであり、(a5)前記ケース露出口は、前記所定保持位置で保持された前記ケースの取出口を露出させるために前記ケース取付通路の上面に形成され、(a6)前記ケース排出口は、前記所定保持位置から強制的に所定排出位置に押し込まれた前記ケースを落下させるために前記ケース取付通路の所定保持位置よりも後端側の下面に形成されている、
ことを特徴とするバルクフィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルクフィーダのケース取付通路内に保持されているケースを部品収納済みケースと交換するためのケースチェンジャであって、
該ケースチェンジャは、ケースストッカと、ケース搬送機と、挿入ガイドと、ケース挿入機とを備え、(b1)前記ケースストッカは、複数の前記部品収納済みケースを貯蔵するものであり、(b2)前記ケース搬送機は、前記ケースストッカ内に貯蔵されている部品収納済みケースの1つを所定向きで所定挿入待機位置に搬送するための機構を有し、(b3)前記挿入ガイドは、前記所定挿入待機位置に搬送された部品収納済みケースを前記所定向きのまま該所定挿入待機位置からその一端口に向かって案内するものであり、(b4)前記ケース挿入機は、前記所定挿入待機位置に搬送された部品収納済みケースを前記挿入ガイドに沿ってその一端口から外部に押し出すための機構を有しており、
前記ケースチェンジャは、前記挿入ガイドの一端口から押し出された所定向きの部品収納済みケースが前記バルクフィーダのケース取付通路の一端口に挿入できるように、前記挿入ガイドの一端口が前記ケース取付通路の一端口に対峙した状態で用いられる、
ことを特徴とするケースチェンジャ。
【請求項3】
フィーダテーブル上に設置された複数のフィーダから必要部品をノズルヘッドによって選択的に取り出して基板等の部品搭載対象に搭載するチップマウンタであって、
前記フィーダの少なくとも1つとして請求項1に記載のバルクフィーダが用いられていると共に、該バルクフィーダに対応して請求項2に記載のケースチェンジャがその挿入ガイドの一端口が前記バルクフィーダのケース取付通路の一端口に対峙した状態で設置されており、
該チップマウンタは、(c1)前記バルクフィーダの部品残数を管理する手段と、(c2)前記バルクフィーダの部品残数が零或いは予め定めた下限値になったときに前記ケースチェンジャに所定のケース交換動作を行わせて、該ケースチェンジャの挿入ガイドの一端口から押し出された所定向きの部品収納済みケースを前記バルクフィーダのケース取付通路の一端口に挿入して該ケース取付通路の所定保持位置で保持されているケースを所定排出位置に強制的に押し込んでケース排出孔を通じて落下させると共に部品収納済みケースをケース取付通路の所定保持位置で保持させる手段とを備えている、
ことを特徴とするチップマウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−80855(P2013−80855A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220798(P2011−220798)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】