説明

バルブユニット

【課題】バタフライ弁4が全閉位置に保持されている時の弁漏れを抑制できるバルブユニットを提供する。
【解決手段】弁漏れ防止手段は、バルブ通路2aの内周に圧入固定されるノズル(第1のノズル16と第2のノズル17)と、このノズルに形成される周溝18に配置される2個のシールリング19、20と、両シールリング19、20の間に配置されるバックアップリング21とで構成される。2個のシールリング19、20は、バタフライ弁4が全閉位置に保持されている時に、縮径方向に作用する自己の弾性復元力により、リング内周面がバタフライ弁4の外周面に押圧されて密着している。バックアップリング21は、両シールリング19、20に形成される合口隙間の間を遮断している。バタフライ弁4は、全閉位置が多少ばらついた場合でも、シールリング19、20との間に隙間が生じないように、径方向の外周面が球面状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路を流れる流体の流量をバタフライ弁によって調節するバルブユニットに関し、特に、内燃機関の排気ガス再循環装置に好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの排気に含まれるNOx(窒素酸化物)を抑制する手段として、排気の一部をEGRガスとしてエンジンの吸気系に再循環させる排気ガス再循環装置が公知である。この排気ガス再循環装置は、EGRガスの量を増やすことでNOxの量を減らすことができる反面、EGRガスを過剰に再循環させると、粒子状物質である黒鉛(PM)が発生しやすくなる。このため、エンジンの運転状態に応じてEGRガスの流量を適切に制御する必要があり、EGRガスの流量を調節できるEGRバルブを備えている。
このEGRバルブは、例えば、特許文献1に開示される様に、軸受を介してハウジングに回転自在に支持されるバルブシャフトと、このバルブシャフトに対し所定の角度だけ傾斜した状態でバルブシャフトの端部に固定されるバタフライ弁とを有し、このバタフライ弁の開度に応じてEGRガスの流量が調節される。
【0003】
また、特許文献1では、ハウジングに形成される通路(EGR通路の一部)をバタフライ弁が全閉した時のシール性を確保するための弁漏れ防止手段を備えている。
この弁漏れ防止手段は、図8に示す様に、ハウジング100に形成される通路110の内周面に周溝120が凹設され、この周溝120の内部に配置されるシールリング130と、周溝120の内部でシールリング130の片側(図示左側)に配置される保持リング140と、シールリング130を保持リング140側へ押圧する板ばね150とを備えている。シールリング130は、通路110を開閉するバタフライ弁160が全閉位置に保持されている時に、自己の弾性復元力により、バタフライ弁160の外周縁に押圧されて密着することにより、全閉時のシール性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平11−502582号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示された従来技術では、バタフライ弁160の全閉時において、図8の右側から左側へ向かう空気の流れをシールすることは出来るが、逆向きの流れに対してはシール性が不十分である。つまり、図8の左側から右側へ向かって空気が流れる場合は、その空気の流れによる圧力によって、シールリング130が板ばね150の付勢力に抗して保持リング140から離れる方向へ押されるため、シールリング130と保持リング140との間に隙間が形成され、その隙間を通じて空気漏れが発生することが考えられる。
【0006】
また、図8に示されるバタフライ弁160は、全閉時にシールリング130に当接する外周端の断面形状が曲率の大きい円弧状(図8から判断すると、バタフライ弁160の板厚の略1/2の寸法を曲率半径とする円弧状)に形成されているため、バタフライ弁160の全閉位置がばらつくと、シールリング130との間に隙間が生じて弁漏れを発生する恐れがある。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、バタフライ弁が通路を全閉する全閉位置に保持されている時の弁漏れを抑制できるバルブユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1の発明)
本発明のバルブユニットは、流体が流れる通路を形成するバルブハウジングと、このバルブハウジングに軸受を介して回転自在に支持されるバルブシャフト、および、通路の内部に配置されてバルブシャフトの軸心方向に対し傾斜した状態でバルブシャフトの端部に取り付けられる円板状のバタフライ弁を有し、このバタフライ弁がバルブシャフトと一体に回転することにより、通路を流れる流体の流量を調節する流量制御弁と、バタフライ弁が通路を全閉する全閉位置に保持されている時に、流体の漏れを防止する弁漏れ防止手段とを備える。
弁漏れ防止手段は、通路の内周に圧入固定される円環状のノズルと、このノズルに保持されるリング集合体とを有し、ノズルは、通路を流れる流体の流れ方向に対し、上流側に配置される第1のノズルと下流側に配置される第2のノズルとに分割され、且つ、第1のノズルと第2のノズルとで協働して形成される周溝を有し、この周溝が半径方向の内方に開口して全周に形成されている。
【0008】
リング集合体は、周溝内に収容されて第1のノズル側に配置される第1のシールリングと、周溝内に収容されて第2のノズル側に配置される第2のシールリングと、周溝内に収容されて第1のシールリングと第2のシールリングとの間に配置されるバックアップリングとを備え、第1、第2のシールリングは、それぞれ、円周方向の一部に合口隙間が形成され、バタフライ弁が全閉位置に保持されている時に、縮径方向に作用する自己の弾性復元力によりバタフライ弁の外周面を押圧して密着することでバタフライ弁との間をシールするシール面を有し、バックアップリングは、円周方向に連続したリング面を形成し、第1のシールリングに形成される合口隙間と第2のシールリングに形成される合口隙間との間をリング面によって遮断していることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1のシールリングと第2のシールリングとの間にバックアップリングを配置したことにより、バタフライ弁が通路を全閉する全閉位置に保持されている時に、第1、第2のシールリングに形成される合口隙間からの流体漏れを低減できる。
また、バックアップリングのリング面によって第1のシールリングに形成される合口隙間と第2のシールリングに形成される合口隙間との間が遮断されるので、通路を流れる流体の流れ方向に係わらず、全閉時の弁漏れを抑制できる。
さらには、バタフライ弁の外周を第1のシールリングと第2のシールリングとでシールできる、つまり、多段シール構造にできるので、全閉時の弁漏れを低減できる効果が増大する。
【0010】
(請求項2の発明)
請求項1に記載したバルブユニットにおいて、バタフライ弁は、径方向の外周面が球面状に形成されていることを特徴とする。
この場合、バタフライ弁の傾き等によって全閉位置が多少ばらついた場合でも、バタフライ弁の外周面が球面状であるため、弁漏れを防止できる。つまり、バタフライ弁の外周面が球面状であれば、全閉位置のばらつきに対して流量不感帯を作ることができる。よって、バタフライ弁の全閉位置が多少ばらついても、第1、第2のシールリングの各シール面とバタフライ弁の外周面との間に隙間が生じることはないので、シール性を確保でき、弁漏れを防止できる。
【0011】
(請求項3の発明)
請求項1または2に記載したバルブユニットは、内燃機関より排出される排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路に再循環させる排気ガス再循環装置に使用され、バルブハウジングに形成される通路は、EGRガスを吸気通路に還流させるEGR通路の一部であり、流量制御弁は、EGR通路を流れるEGRガスの流量を調節するEGR制御弁であることを特徴とする。
本発明によれば、EGR制御弁のバタフライ弁がEGR通路を全閉する全閉位置に保持されている時に、弁漏れを低減できるので、吸気通路に還流するEGRガスの流量を、内燃機関の運転状態に応じて適切に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】EGR制御弁と弁漏れ防止手段の構成を示す断面図である。
【図2】バルブユニットの断面図である。
【図3】バルブユニットの側面図である。
【図4】(a)第1のノズルの断面図、(b)同ノズルの平面図である。
【図5】(a)第2のノズルの断面図、(b)同ノズルの平面図である。
【図6】(a)シールリングの断面図、(b)同リングの平面図である。
【図7】(a)バックアップリングの断面図、(b)同リングの平面図である。
【図8】従来技術に係る弁漏れ防止手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
実施例1では、本発明のバルブユニットを内燃機関の排気ガス再循環装置に用いた一例を説明する。
排気ガス再循環装置は、例えば、自動車に搭載される内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路を有し、このEGR通路を通じて内燃機関から排出された排気ガスの一部(EGRガスと呼ぶ)を吸気通路に再循環させる装置である。なお、内燃機関は、例えば、燃料に軽油を使用するディーゼルエンジン、あるいは、ガソリンを使用するガソリンエンジンである。
バルブユニット1は、図2に示す様に、EGR通路の一部を形成するバルブハウジング2と、EGR通路を流れるEGRガスの流量を調節するEGR制御弁と、このEGR制御弁を駆動するための駆動力を発生する電動アクチュエータ(図示せず)と、この電動アクチュエータの駆動力をEGR制御弁に伝達する動力伝達装置と、EGR制御弁の回転角度を検出して、内燃機関の運転状態を制御するための電子制御装置であるECU(図示せず)へ出力する回転角検出手段等より構成される。
【0015】
バルブハウジング2は、熱的に厳しい環境で使用されることから、高温に強い耐熱性材料、例えばアルミニウム合金を使用してダイカスト製造される。なお、以下の説明では、バルブハウジング2に形成される通路(EGR通路の一部)をバルブ通路2aと呼ぶ。
EGR制御弁は、動力伝達装置を介して電動アクチュエータの駆動力が伝達されるバルブシャフト3と、このバルブシャフト3の端部に溶接等によって固定される円板状のバタフライ弁4とで構成される。
バルブ通路2aには、図1に示す様に、バタフライ弁4がバルブ通路2aを全閉する全閉位置に保持されている時に、EGRガスが吸気側へ漏れることを防止する弁漏れ防止手段(後述する)が配設される。
【0016】
バルブシャフト3は、メタル軸受5とボールベアリング6を介してバルブハウジング2に回転自在に支持され、電動アクチュエータの駆動力が伝達される一方の軸端部と反対側である他方の軸端部がバルブ通路2aの内部に突き出ている。なお、メタル軸受5とボールベアリング6との間には、オイルシール7が配設されている。
バタフライ弁4は、図2に示す様に、バルブ通路2aの内部に配置されて、バルブシャフト3の軸心方向に対し所定の角度だけ傾斜した状態でバルブシャフト3の軸端部に取り付けられ、バルブシャフト3と一体に回転することによって、EGR通路を流れるEGRガスの流量を調節する。このバタフライ弁4及びバルブシャフト3は、高温に強い耐熱性材料、例えばSUS304等のステンレス鋼によって形成されている。また、バタフライ弁4の径方向の外周面は、球面状に形成されている(図1参照)。
【0017】
電動アクチュエータは、例えば、直流モータであり、回転角検出手段によって検出されるEGR制御弁の回転角度、つまり、バタフライ弁4の開度が、内燃機関の運転状態に応じて設定される制御目標値に一致するように、ECUによって直流モータに供給される電力がフィードバック制御される。
動力伝達装置は、直流モータの回転速度を減速してバルブシャフト3に伝達する歯車列によって構成される。この歯車列は、直流モータの出力軸(電機子軸)に取り付けられるピニオンギヤ(図示せず)と、このピニオンギヤに噛み合う中間減速ギヤ(図示せず)と、この中間減速ギヤと共通の中心軸に支持されて中間減速ギヤと一体に回転する小径ギヤ(図示せず)と、この小径ギヤに噛み合うバルブギヤ8(図2参照)とで構成され、このバルブギヤ8がバルブシャフト3の一方の軸端部に連結されている。
【0018】
回転角検出手段は、図2に示す様に、バルブシャフト3の一方の軸端部に固定されるロータ9と、このロータ9に保持される2個の磁石10と、この2個の磁石10を挟んで円環状に磁気回路を形成するヨーク(図示せず)と、2個の磁石10が発生する磁界の磁束密度に応じて電気信号を発生するホールIC11と、このホールIC11へ磁束を集束させるためのステータ12等より構成される。
ホールIC11は、磁束密度に応じた電圧(ホール電圧)を出力するホール素子と、このホール素子の出力電圧を増幅する増幅回路等を半導体チップに集積化したIC回路であり、センサカバー13に組み付けられている。
センサカバー13は、図3に示す様に、バルブハウジング2の図示上端面に装着され、スクリュ14によってバルブハウジング2に固定されている。また、センサカバー13には、ECUとの間をケーブル(図示せず)によって接続するための接続用コネクタ15が設けられている。
【0019】
続いて、上記の弁漏れ防止手段について説明する。
弁漏れ防止手段は、バルブ通路2aの内周に圧入固定されるノズルと、このノズルに保持されるリング集合体とで構成される。
ノズルは、図1に示す様に、バルブ通路2aを排気側から吸気側へ向かって流れるEGRガスの流れ方向に対し、上流側(排気側)に配置される第1のノズル16と、下流側(吸気側)に配置される第2のノズル17とに分割され、且つ、第1のノズル16と第2のノズル17とで協働して形成される周溝18を有し、この周溝18が半径方向の内方に開口してノズルの全周に形成されている。
【0020】
第1のノズル16と第2のノズル17は、図4、図5に示す様に、内周に丸孔16a、17aが開口する円環状に設けられ、丸孔16a、17aの直径、つまり、第1のノズル16と第2のノズル17の内径が、それぞれ、バタフライ弁4の外径より若干大きい寸法に設定されている。
第1のノズル16は、図4(a)に示す様に、板厚方向(図示左右方向)の両側面、つまり、吸気側の側面と排気側の側面とが平行に形成され、且つ、吸気側の側面と排気側の側面との間で内径(丸孔16aの直径)が一定である。
第2のノズル17は、図5(a)に示す様に、板厚方向の排気側(図示左側)に内径を拡大して形成された拡大内径部を有している。この拡大内径部は、第2のノズル17の排気側に開口する円筒内周面17bと、この円筒内周面17bと直交する径方向側面17cとで形成され、第1のノズル16の吸気側の側面との間に上記の周溝18を形成している。つまり、周溝18は、第1のノズル16の吸気側の側面〔図4(a)に示す右側の側面〕と第2のノズル17の径方向側面17cとで溝幅方向の両側面が形成され、第2のノズル17の円筒内周面17bによって周溝18の底面が形成されている。
【0021】
リング集合体は、2個のシールリング19、20と1個のバックアップリング21から成る。2個のシールリング19、20は、図1に示す様に、ノズルに形成された周溝18の内部で第1のノズル16側に配置される第1のシールリング19と、周溝18の内部で第2のノズル17側に配置される第2のシールリング20である。
2個のシールリング19、20は、それぞれ、図6(b)に示す様に、円周方向の一部に合口隙間19a、20aを有するC字状に形成されている。この2個のシールリング19、20は、リング内径がバタフライ弁4の外径より若干小さく形成され、バタフライ弁4が図1に示す全閉位置に保持されている時に、縮径方向に作用する自己の弾性復元力により、リング内周面がバタフライ弁4の外周面に押圧されて密着している。つまり、図6(a)に示すリング内周面は、バタフライ弁4との間を全周シールするシール面19b、20bを形成している。
【0022】
バックアップリング21は、図1に示す様に、周溝18の内部で第1のシールリング19と第2のシールリング20との間に配置される。このバックアップリング21は、図7(b)に示す様に、合口隙間の無い完全なリング体であり、円周方向に連続したリング面21aを形成している。
このバックアップリング21は、リング内径がバタフライ弁4の外径と干渉しない程度に若干小さく形成され、第1のシールリング19と第2のシールリング20との間に配置されることで、両シールリング19、20に形成される合口隙間19a、20aの間をリング面21aによって遮断している。
【0023】
なお、第1のノズル16、第2のノズル17、2個のシールリング19、20、および、バックアップリング21は、それぞれ、高温に強い耐熱性材料、例えばSUS304等のステンレス鋼によって形成されている。
また、2個のシールリング19、20とバックアップリング21の各板厚を合計したリング集合体の幅寸法は、ノズルに形成される周溝18の幅寸法より若干小さく設定されている。一方、バタフライ弁4は、全閉位置に保持されている時に、球面状に形成された外周面が、2個のシールリング19、20の各シール面19b、20bに密着できるだけの板厚寸法を有している。つまり、図1に示す様に、バタフライ弁4の板厚寸法tは、リング集合体の幅寸法より大きく形成されている。
【0024】
(実施例1の効果)
実施例1に示すバルブユニット1は、ノズルに形成される周溝18の内部に2個のシールリング19、20を配置しているので、バタフライ弁4がバルブ通路2aを全閉する全閉位置に保持されている時に、バタフライ弁4の外周を第1のシールリング19と第2のシールリング20とでシールできる、つまり、多段シール構造にできるので、バルブ全閉時にEGRガスの漏れを防止できる効果が大きく、EGRガスが吸入空気に混入することを防止できる。
【0025】
また、第1のシールリング19と第2のシールリング20との間にバックアップリング21を配置しているので、第1のシールリング19に形成される合口隙間19aと第2のシールリング20に形成される合口隙間20aとの間をバックアップリング21のリング面21aによって遮断できる。これにより、バタフライ弁4が全閉位置に保持されている時に、内燃機関に吸入される吸入空気がバタフライ弁4の排気側へ漏れることを防止できると共に、EGRガスがバタフライ弁4の吸気側へ漏れることも防止できる。すなわち、バルブ通路2を排気側から吸気側へ流れる順方向の流れと、吸気側から排気側へ逆流する逆方向の流れの両方でバルブ全閉時の弁漏れを抑制できる。
【0026】
さらに、バタフライ弁4の外周面が球面状に形成されているので、バタフライ弁4の傾き等によって全閉位置が多少ばらついた場合でも、バルブ全閉時の弁漏れを防止できる。つまり、バタフライ弁4の外周面が球面状であれば、全閉位置のばらつきに対して流量不感帯を作ることができる。これにより、バタフライ弁4の全閉位置が多少ばらついても2個のシールリング19、20の各シール面19b、20b(リング内周面)とバタフライ弁4の外周面との間に隙間が生じることはなく、2個のシールリング19、20によるシール性を確保できるので、弁漏れを防止できる。
【0027】
(変形例)
実施例1では、本発明に係るバルブユニット1の流量制御弁を、排気ガス再循環装置のEGR制御弁として使用する一例を説明したが、例えば、内燃機関に吸入される吸入空気量を調節するスロットルバルブ、あるいは、吸気通路に吸気負圧を発生させるための吸気絞りバルブ等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 バルブユニット
2 バルブハウジング
2a バルブ通路
3 バルブシャフト(流量制御弁)
4 バタフライ弁(流量制御弁)
5 メタル軸受(軸受)
6 ボールベアリング(軸受)
16 第1のノズル
17 第2のノズル
18 周溝
19 第1のシールリング
19a シールリングに形成される合口隙間
20 第2のシールリング
20a シールリングのシール面
21 バックアップリング
21a バックアップリングのリング面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる通路を形成するバルブハウジングと、
このバルブハウジングに軸受を介して回転自在に支持されるバルブシャフト、および、前記通路の内部に配置されて前記バルブシャフトの軸心方向に対し傾斜した状態で前記バルブシャフトの端部に取り付けられる円板状のバタフライ弁を有し、このバタフライ弁が前記バルブシャフトと一体に回転することにより、前記通路を流れる流体の流量を調節する流量制御弁と、
前記バタフライ弁が前記通路を全閉する全閉位置に保持されている時に、流体の漏れを防止する弁漏れ防止手段とを備えるバルブユニットであって、
前記弁漏れ防止手段は、
前記通路の内周に圧入固定される円環状のノズルと、
このノズルに保持されるリング集合体とを有し、
前記ノズルは、前記通路を流れる流体の流れ方向に対し、上流側に配置される第1のノズルと下流側に配置される第2のノズルとに分割され、且つ、前記第1のノズルと前記第2のノズルとで協働して形成される周溝を有し、この周溝が半径方向の内方に開口して全周に形成され、
前記リング集合体は、
前記周溝内に収容されて前記第1のノズル側に配置される第1のシールリングと、
前記周溝内に収容されて前記第2のノズル側に配置される第2のシールリングと、
前記周溝内に収容されて前記第1のシールリングと前記第2のシールリングとの間に配置されるバックアップリングとを備え、
前記第1、第2のシールリングは、それぞれ、円周方向の一部に合口隙間が形成され、前記バタフライ弁が全閉位置に保持されている時に、縮径方向に作用する自己の弾性復元力により前記バタフライ弁の外周面を押圧して密着することで前記バタフライ弁との間をシールするシール面を有し、
前記バックアップリングは、円周方向に連続したリング面を形成し、前記第1のシールリングに形成される合口隙間と前記第2のシールリングに形成される合口隙間との間を前記リング面によって遮断していることを特徴とするバルブユニット。
【請求項2】
請求項1に記載したバルブユニットにおいて、
前記バタフライ弁は、径方向の外周面が球面状に形成されていることを特徴とするバルブユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載したバルブユニットは、
内燃機関より排出される排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路に再循環させる排気ガス再循環装置に使用され、
前記バルブハウジングに形成される前記通路は、EGRガスを前記吸気通路に還流させるEGR通路の一部であり、
前記流量制御弁は、前記EGR通路を流れるEGRガスの流量を調節するEGR制御弁であることを特徴とするバルブユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−219890(P2012−219890A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85187(P2011−85187)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】