説明

バーチカル型OHV式空冷エンジン

【課題】冷却風の経路を変更することなく,吸,排気弁の両方を均等に冷却し得るようにした前記バーチカル型OHV式空冷エンジンを提供する。
【解決手段】動弁装置35を,鉛直姿勢のクランク軸12により回転駆動されるよう,それと平行に配置されるカム軸36と,カム軸36の吸,排気カム36i,36eにより昇降駆動される吸,排気用プッシュロッド40i,40eと,これらの昇降にそれぞれ連動して吸,排気弁29i,29eを開閉する吸,排気用ロッカアーム42i,42eとで構成し,クランク軸12により駆動される冷却ファン18で発生した冷却風Wを,シリンダヘッド6に対して上下方向へ流すように誘導するシュラウド21を備えるバーチカル型OHV式空冷エンジンにおいて,吸,排気弁29i,29eを,クランク軸12の軸線Yと平行で且つシリンダボア4aの軸線Xを含む鉛直面Pの両側に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,シリンダヘッドに設けられる吸,排気弁を開閉駆動する動弁装置を,鉛直の姿勢でクランクケースに支持されるクランク軸により回転駆動されるよう,それと平行に配置されるカム軸と,シリンダブロック及びシリンダヘッドの一側部に配設されて前記カム軸により昇降駆動される吸,排気用プッシュロッドと,これら吸,排気用プッシュロッドの昇降にそれぞれ連動して前記吸,排気弁を開閉すべくシリンダヘッドに軸支される吸,排気用ロッカアームとで構成し,前記クランク軸には,これにより駆動される冷却ファンを付設し,この冷却ファンにより発生した冷却風を,シリンダヘッドに対して上下方向へ流すように誘導するシュラウドを備えるバーチカル型OHV式空冷エンジンの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝるバーチカル型OHV式空冷エンジンは,特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−70838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かゝるバーチカル型OHV式空冷エンジンは,クランクケースに連なるシリンダブロック及びシリンダヘッドが水平方向に向けて配置されることで,その全高を低く抑えて低重心化を図ることができるため,芝刈り機,その他の各種作業機の動力源となる汎用エンジンとして有効である。
【0005】
しかしながら,従来のバーチカル型OHV式空冷エンジンでは,冷却ファンがクランク軸の上端部に付設され,この冷却ファンで発生させた冷却風が,冷却ファンと同側のシリンダヘッドの上面側から下方に流れるようになっているが,シリンダヘッドでは,吸,排気弁が上下に並ぶように配置していたため,冷却風が強く当たるシリンダヘッドの上面に近い方の吸気弁又は排気弁の冷却は良好となるが,その下側に位置する排気弁又は吸気弁の冷却性は低下することになる。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,冷却風の経路を変更することなく,吸,排気弁の両方を均等に冷却し得るようにした前記バーチカル型OHV式空冷エンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,シリンダヘッドに設けられる吸,排気弁を開閉駆動する動弁装置を,鉛直の姿勢でクランクケースに支持されるクランク軸により回転駆動されるよう,それと平行に配置されるカム軸と,シリンダブロック及びシリンダヘッドの一側部に配設されて前記カム軸により昇降駆動される吸,排気用プッシュロッドと,これら吸,排気用プッシュロッドの昇降にそれぞれ連動して前記吸,排気弁を開閉すべくシリンダヘッドに軸支される吸,排気用ロッカアームとで構成し,前記クランク軸には,これにより駆動される冷却ファンを付設し,この冷却ファンにより発生した冷却風を,シリンダヘッドに対して上下方向へ流すように誘導するシュラウドを備えるバーチカル型OHV式空冷エンジンにおいて,前記吸,排気弁を,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダブロックのシリンダボアの軸線を含む鉛直面の両側に配置したことを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,シリンダヘッドの前記冷却風の流れに直面する面を,この面から前記吸,排気弁までの各距離が略等しくなるように形成したことを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,シリンダヘッドには,前記吸,排気弁の間を通るようにシリンダヘッドを上下方向に貫通する通風孔を設けたことを第3の特徴とする。
【0010】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,前記吸,排気用ロッカアームを,前記吸,排気用プッシュロッド及び吸,排気弁の各間の距離に応じて互いに長さが異なるように形成し,その長い側のロッカアームを,シリンダヘッドに軸支される中央部が両端部より外側方にオフセットするように屈曲形成し,前記吸,排気弁間に,この両弁間の距離がそれぞれの弁頭に向かって広がる挟み角を付与したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば,吸,排気弁は,クランク軸の軸線と平行で且つシリンダブロックのシリンダボアの軸線を含む鉛直面の両側に配置されるので,冷却風が強く当たるシリンダヘッドの上面又は下面の放熱の影響を略等しく受けることになり,これら吸,排気弁の冷却が共に効果的に促進され,吸,排気効率の向上により,エンジン出力の向上とエミッションの低減を図ることができる。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば,シリンダヘッドの冷却風の流れに直面する面は,その面から吸,排気弁までの各距離が略等しくなるように形成されるので,吸,排気弁は,シリンダヘッドの前記面側から,より等しい条件で冷却されることになり,吸,排気両弁の冷却効果を高めることができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば,シリンダヘッドに向かう冷却風の一部は,吸,排気弁間に設けられる通風孔を通過する際,通風孔の周壁からの放熱を促すことで,それに近接した吸,排気弁の冷却を促進することができる。
【0014】
本発明の第4の特徴によれば,排気用ロッカアームと吸気弁との干渉を回避しつゝ,吸,排気弁間に挟み角を付与することを容易にし,燃焼室を,混合気の燃焼を良好にし得るペントルーフ型に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るバーチカル型OHV式空冷エンジンの縦断平面図。
【図2】図1の2−2線拡大断面図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】図2の4矢視方向から見た動弁装置の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0017】
先ず,図1において,バーチカル型OHV式空冷エンジン(以下,単にエンジンという。)Eのエンジン本体1は,クランクケース2と,このクランクケース2の開放した下端面に接合されるオイルパン3と,このクランクケース2の一側に一体に連設されて水平に配置されるシリンダブロック4と,このシリンダブロック4の端面にガスケット5を介して接合されるシリンダヘッド6とより構成され,シリンダブロック4及びシリンダヘッド6は,複数のボルト7(図3参照)により相互に結合される。これらシリンダブロック4及びシリンダヘッド6の各外周には放熱フィン8,9が形成される。
【0018】
クランクケース2にはボールベアリング10が装着され,オイルパン3には軸受ボス11が一体に形成され,これらによって鉛直姿勢のクランク軸12の上下両端部が回転自在に支承される。
【0019】
シリンダブロック4に形成される水平方向のシリンダボア4aにはピストン15が摺動可能に嵌装され,このピストン15は,コンロッド16を介してクランク軸12に連接される。
【0020】
クランク軸12の上端部には,フライホイール17がキー結合されると共に,このフライホイール17と,その上端面に重ねられる遠心式の冷却ファン18と,この冷却ファン18の中心部上端面に重ねられる始動筒19とがナット20により固着される。したがって,冷却ファン18はフライホイール17と共にクランク軸12により回転駆動されるようになっている。
【0021】
エンジン本体1の上面には,冷却ファン18を囲みながらシリンダヘッド6側へ延びるシュラウド21の周縁部が,エンジン本体1の上面に突設される複数のボス22(図1にはそのうちの1個のみ示す。)にボルト23により固着される。このシュラウド21の,冷却ファン18に対向する部分には,上方へ膨出したルーバ24が連結され,このルーバ24の内壁に,前記始動筒19と協働してクランク軸12をクランキングし得るリコイル式のスタータ26が取り付けられる。
【0022】
ルーバ24は複数の冷却風導入孔25を有しており,またシュラウド21は,冷却ファン18の回転により,冷却風導入孔25から導入した冷却風Wをシリンダヘッド6に対して,その上方から下方へ向けて誘導するようになっている。
【0023】
図2〜図4に示すように,シリンダヘッド6には,ピストン15の頂面が臨む燃焼室27と,この燃焼室27に開口する吸気ポート28i及び排気ポート28eとが形成されると共に,これら吸気ポート28i及び排気ポート28eの燃焼室27への各開口端部をそれぞれ開閉する吸気弁29i及び排気弁29eが取り付けられ,また燃焼室27に電極を臨ませる点火プラグ30が螺着される。吸気ポート28iには気化器31が,また排気ポート28eにはマフラ32がそれぞれ接続される。
【0024】
図2及び図3に明示するように,吸気弁29i及び排気弁29eは,クランク軸12の軸線Yと平行で且つシリンダボア4aの軸線Xを含む鉛直面Pの両側に配置される。また吸気弁29iは,シリンダボア4aの軸線Xと平行に配置され,排気弁29eは,これと吸気弁29iとの間の間隔が,それらの弁頭に向かって広くなるように配置される。即ち吸,排気弁29i,29e間には挟み角θが付与され,これによって前記燃焼室27は,混合気の燃焼を良好にし得るペントルーフ型に形成される。
【0025】
また排気弁29eは,図3に示すように,吸気弁29iよりやや下方に配置され,シリンダヘッド6の,シリンダブロック4との接合部を除く上面6aは,この上面6aから上記吸気弁29i及び排気弁29eまでの各距離が略等しくなるよう,斜面に形成される。
【0026】
さらにシリンダヘッド6には,上記吸気弁29i及び排気弁29eの間を通るようにシリンダヘッド6を上下方向に貫通する通風孔33が設けられ,この通風孔33の入口近傍に前記点火プラグ30が配置される。
【0027】
上記吸気弁29i及び排気弁29eを開閉駆動する動弁装置35が次の構成される。動弁装置35は,吸,排気カム36i,36eを有してクランク軸12と平行に配置されるカム軸36と,クランク軸12及びカム軸36間を連結するタイミングギヤ列37と,シリンダブロック4の横方向一側部に形成されるガイド孔38i,38eに摺動自在に支承されて前記吸,排気カム36i,36eにそれぞれ摺接可能に当接する吸,排気用タペット39i,39eと,これら吸,排気用タペット39i,39eの先端に一端を球面係合させる吸,排気用プッシュロッド40i,40eと,これら吸,排気用プッシュロッド40i,40eの他端に一端を球面係合させ,他端を弁頭間隙調節ボルト41i,41eを介して吸,排気弁29i,29eの各頭部に当接させる吸,排気用ロッカアーム42i,42eと,吸,排気弁29i,29eにそれぞれ装着されて各弁を閉じ方向に付勢する吸,排気用弁ばね43i,43eとより構成される。
【0028】
前記カム軸36は,クランクケース2とオイルパン3にそれぞれ形成される軸受ボス45a,45bにより回転自在に支承され,前記タイミングギヤ列37は,オイルパン3の軸受ボス11の内端に隣接してクランク軸12に固設される駆動ギヤ37aと,カム軸36に一体に形成されて駆動ギヤ37aから1/2の減速比で駆動される従動ギヤ37bとよりなっている。
【0029】
またシリンダブロック4及びシリンダヘッド6の横方向一側部に,前記ガイド孔38i,38eと連通するように形成されるプッシュロッド通路46が形成され,このプッシュロッド通路46に前記吸,排気用プッシュロッド40i,40eが収容される。その際,これら吸,排気用プッシュロッド40i,40eは,それらの間に前記吸気ポート28iを挟むように配置される(図4参照)。
【0030】
図2及び図3に明示するように,シリンダヘッド6には,吸,排気弁29i,29eの弁頭より外側方に突出する吸,排気用支柱47i,47eが一体に形成されており,吸気用支柱47iは,吸気用プッシュロッド40i及び吸気弁29iの中間点に,また排気用支柱47eは排気用プッシュロッド40e及び排気弁29eの中間点にそれぞれ配置される。その吸気用支柱47iに,吸気用ロッカ軸48iを介して吸気用ロッカアーム42iの中央部が,また排気用支柱47eに,排気用ロッカ軸48eを介して排気用ロッカアーム42eの中央部がそれぞれ揺動自在に支持される。上記吸,排気用ロッカ軸48i,48eは,クランク軸12と平行に配置される。
【0031】
ところで,前述のように,吸,排気弁29i,29eは,クランク軸12の軸線Yと,シリンダボア4aの軸線Xとを通る鉛直面Pの両側に配置されると共に,これら吸,排気弁29i,29e間には挟み角θが付与されることから,吸気弁29i及び吸気用プッシュロッド40i間の距離は短く,排気弁29e及び排気用ロッカアーム42e間の距離は長い。したがって,吸気用ロッカアーム42i及び吸気弁29i間を連接する吸気用ロッカアーム42iは短く,排気用プッシュロッド40e及び排気弁29e間を連接する排気用ロッカアーム42eは長く形成される。この長い排気用ロッカアーム42eを支持する排気用ロッカ軸48eは,吸気弁29iとの干渉を避けて排気弁29eより外方へオフセットして配置される。これに関連して,排気用ロッカアーム42eは,排気用ロッカ軸48eに支持される中央部が,排気用プッシュロッド40e及び排気弁29eに連接させる両端部より吸気弁29iと反対側へオフセットするように屈曲形成される。
【0032】
シリンダヘッド6には,シリンダヘッド6上の動弁装置35を覆うヘッドカバー50がシール部材51を介して複数のボルト52(図3参照)により接合される。
【0033】
次に,この実施形態の作用について説明する。
【0034】
エンジンEの運転中,カム軸36がクランク軸12よりタイミングギヤ列37を介して駆動され,吸,排気カム36i,36eが吸,排気用タペット39i,39eを介して吸,排気用プッシュロッド40i,40eをそれぞれ押動すると,吸,排気用ロッカアーム42i,42eが吸,排気用弁ばね43i,43eのセット荷重に抗して揺動して,吸,排気弁29i,29eをそれぞれ開弁する。また吸,排気カム36i,36eが吸,排気用タペット39i,39eを解放すると,吸,排気弁29i,29eはそれぞれの弁ばね43i,43eの反発力で閉弁する。
【0035】
一方,クランク軸12により回転駆動される冷却ファン18は,ルーバ24の冷却風導入孔25より外気を冷却風として取り入れて半径方向外方へ圧送する。すると,その冷却風Wは,シュラウド21により誘導されてシリンダヘッド6側へ流れ,そして冷却ファン18と同側のシリンダヘッド6の上面6aから,その周囲及び通風孔33を下方へ向かって流れ,シリンダヘッド6を冷却していく。その際,冷却風Wは,シリンダヘッド6の上面6aに強く当たるので,その上面6aからの放熱が特に良好に行われる。
【0036】
ところで,吸,排気弁29i,29eは,クランク軸12の軸線Yと平行で且つシリンダブロック4のシリンダボア4aの軸線Xを含む鉛直面Pの両側に配置されるので,シリンダヘッド6の上面6aの放熱の影響を略等しく受けることになり,これら吸,排気弁29i,29eの冷却が共に効果的に促進され,吸,排気効率の向上により,エンジン出力の向上とエミッションの低減を図ることができる。
【0037】
特に,シリンダヘッド6の冷却風Wの流れに直面する上面6aは,その上面6aから吸,排気弁29i,29eまでの各距離が略等しくなるように形成されるので,吸,排気弁29i,29eは,シリンダヘッド6の上面6a側から,より等しい条件で冷却されることになり,両弁29i,29eの冷却効果を高めることができる。
【0038】
さらにシリンダヘッド6の上面6aに向かう冷却風Wの一部は,吸,排気弁29i,29e間に設けられる通風孔33を通過する際,通風孔33の周壁からの放熱を促すことで,それに近接した吸,排気弁29i,29eの冷却を促進することができる。しかも通風孔33の入口近傍には点火プラグ30が配置されるので,通風孔33に流入する冷却風Wにより点火プラグ30の冷却をも図ることができ,その耐久性の向上に寄与し得る。
【0039】
また吸,排気用ロッカアーム42i,42eは,吸,排気用プッシュロッド40i,40e及び吸,排気弁29i,29eの各間の距離に応じて,吸気用ロッカアーム42iが短く,排気用ロッカアーム42eが長く形成され,その長い排気用ロッカアーム42eは,排気用ロッカ軸48eに支持される中央部が両端部より外側方にオフセットするように屈曲形成されるので,排気用ロッカアーム42eと吸気弁29iとの干渉を回避しつゝ,吸,排気弁29i,29e間に挟み角θを付与することを容易に可能にする。
【0040】
本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,冷却ファン18をクランク軸12の下端部に取り付け,冷却ファン18で発生した冷却風をシリンダヘッド6の下面側から上方へ流すようにすることもできる。また上記実施形態において,吸気弁29iと排気弁29i,29eとの配置を互いに逆にすると共に,動弁装置35における吸気系の部材と排気系の部材との配置を互いに逆にすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
E・・・・・バーチカル型OHV式空冷エンジン
P・・・・・鉛直面
X・・・・・シリンダボアの軸線
Y・・・・・クランク軸の軸線
θ・・・・・吸,排気弁間の挟み角
2・・・・・クランクケース
4・・・・・シリンダブロック
4a・・・・シリンダボア
6・・・・・シリンダヘッド
6a・・・・シリンダヘッドの,冷却風の流れに直面する面(上面)
21・・・・シュラウド
29i,29e・・・吸,排気弁
33・・・・通風孔
35・・・・動弁装置
36・・・・カム軸
36i,36e・・・吸,排気カム
40i,40e・・・吸,排気用プッシュロッド
42i,42e・・・吸,排気用ロッカアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッド(6)に設けられる吸,排気弁(29i,29e)を開閉駆動する動弁装置(35)を,鉛直の姿勢でクランクケース(2)に支持されるクランク軸(12)により回転駆動されるよう,それと平行に配置されるカム軸(36)と,シリンダブロック(4)及びシリンダヘッド(6)の一側部に配設されて前記カム軸(36)により昇降駆動される吸,排気用プッシュロッド(40i,40e)と,これら吸,排気用プッシュロッド(40i,40e)の昇降にそれぞれ連動して前記吸,排気弁(29i,29e)を開閉すべくシリンダヘッド(6)に軸支される吸,排気用ロッカアーム(42i,42e)とで構成し,前記クランク軸(12)には,これにより駆動される冷却ファン(18)を付設し,この冷却ファン(18)により発生した冷却風(W)を,シリンダヘッド(6)に対して上下方向へ流すように誘導するシュラウド(21)を備えるバーチカル型OHV式空冷エンジンにおいて,
前記吸,排気弁(29i,29e)を,クランク軸(12)の軸線(Y)と平行で且つシリンダブロック(4)のシリンダボア(4a)の軸線(X)を含む鉛直面(P)の両側に配置したことを特徴とするバーチカル型OHV式空冷エンジン。
【請求項2】
請求項1記載のバーチカル型OHV式空冷エンジンにおいて,
シリンダヘッド(6)の前記冷却風(W)の流れに直面する面(6a)を,この面(6a)から前記吸,排気弁(29i,29e)までの各距離が略等しくなるように形成したことを特徴とするバーチカル型OHV式空冷エンジン。
【請求項3】
請求項1又は2記載のバーチカル型OHV式空冷エンジンにおいて,
シリンダヘッド(6)には,前記吸,排気弁(29i,29e)の間を通るようにシリンダヘッド(6)を上下方向に貫通する通風孔(33)を設けたことを特徴とするバーチカル型OHV式空冷エンジン。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のバーチカル型OHV式空冷エンジンにおいて,
前記吸,排気用ロッカアーム(42i,42e)を,前記吸,排気用プッシュロッド(40i,40e)及び吸,排気弁(29i,29e)の各間の距離に応じて互いに長さが異なるように形成し,その長い側のロッカアーム(42e)を,シリンダヘッド(6)に軸支される中央部が両端部より外側方にオフセットするように屈曲形成し,前記吸,排気弁(29i,29e)間に,この両弁(29i,29e)間の距離がそれぞれの弁頭に向かって広がる挟み角(θ)を付与したことを特徴とするバーチカル型OHV式空冷エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113264(P2013−113264A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262326(P2011−262326)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】