説明

バーナ/インジェクタパネル装置

本発明は、金属の融解、精錬、及び/もしくは他の加工、例えば、電気アーク炉(EAF)での製鋼に使用するための装置及び方法に関わり、より詳しくは、種々のエネルギー源、例えば、化学エネルギー、酸素、粒子を、EAFに導入するための改良されたバーナ/インジェクタパネルと、これに関連した方法に関わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の融解、精錬、加工する際に使用するためのバーナ/インジェクタパネル装置に関わる。特に、本発明は、融解炉内で使用されるためのバーナ/インジェクタパネル装置に関わる。本発明は、小さい容積の炉内に酸素を射出するための改善されたプロセスに、更に関わる。
【背景技術】
【0002】
製鋼の分野は、非常に発達している。一般的に、電気アーク炉(EAF)は、この電気アーク炉内に配置された屑金属及び/もしくは鉄を含んだ供給原料及び合金を融解するために電気アークを適用することによって製綱するために、使用される。製鋼のための他の方法は、高炉から取り出した高熱の鉄に結合されたDRI(直接還元された鉄)を融解することによって製鋼する、高度なEAFを含む。製鋼のプロセスを高度化するために、更なる化学エネルギーが、補助的な手段によって炉に与えられる。補助的な手段の最も一般的な形態は、アークを補助するように高熱で燃焼生成物を生じさせるために燃料と酸化ガスとを用いるバーナと、インジェクタと、ジェットとを含んでいる。
【0003】
更なるプロセスは、炭化水素燃料を、例えば天然ガスもしくは石油を使用する、移動可能なもしくは永久的に固定されたバーナと、精錬のために融解された溶液に酸素流を射出するための少なくとも1つの可動の酸素ランスと、燃焼とスラグ形成とのために固形の炭化水素燃料を射出するための可動の手段とを含む。
【0004】
EAFの一般的なプロセスでは、屑鉄金属即ち装荷物(charge)が、開口から炉内に投入される。代表的に、このような装荷物は、炭素粒子と、スラグを発生させる他の材料とを更に有している。他の知られているプロセスは、高炉によって加熱された金属用の取鍋(ladle)を使用することと、例えばランスによるDRIの挿入によってEAF中にこれを挿入することとを含む。
【0005】
EAF炉及び/もしくはEAFに類似する炉内での装荷物のプロセスには、複数の工程を含む。融解の工程では、電気アークとバーナとが、装荷鉱石を溶かして鉄炭素融解物(iron carbon melt)と呼ばれる金属(融解された金属)の溶液プールにし、このプールが炉の底、即ち炉床にたまる。最も一般的には、装荷物を融解した後、この電気アーク炉は、精錬及び/もしくは脱炭の工程を果たす。この工程で、前記融解された金属は、スラグを発生させる材料が鉄炭素融解物中の不純物と組み合わさり、スラグとなって表面に浮上するまで、アークによって加熱され続ける。この鉄炭素融解物が、炭素の沸点である臨界温度に達すると、装荷され融解した炭素は、溶液の中にある酸素と組み合わさり、気泡性のスラグとなって溶液の表面に浮上する一酸化炭素の気泡を形成する。この気泡性のスラグは、炉全体にわたって、絶縁材として作用する。
【0006】
アーク炉がバーナ無しで動作するとき、装荷された屑鉄即ち装荷物は、最高電流密度の領域のホットスポットで、すばやく融解するが、多くの場合、コールドスポット(最低電流密度のスポット)では、融解されないままである。このことによって、後半部分の融解サイクルの間に、アークからの熱を過剰に受けるために、ホットスポットにある炉壁の一部とレンガの内面とに対して厳しい状況となる。コールドスポットの領域に配置された屑鉄は、この融解サイクルの間、低い割合で前記アークから熱を受け、従って、コールドスポットを生じさせる。コールドスポットで装荷屑鉄を融解するために、熱が、比較的長い総時間にわたって与えられ、従って、必要以上に長い間ホットスポットに熱を与えることになる。アークからのこのような非対称な熱分配と、炉の非均一な磨耗とが、バーナ無しで動作する交流及び直流両方のアーク炉によく生じる。
【0007】
炉のアークからより遠い所に配置されている屑鉄の方が、1トンの屑鉄あたり、より低い割合の電気エネルギーを受けるので、前記コールドスポットは、炉のアークからより遠い所に代表的に形成される。電気エネルギーは、コールドスポットを形成する電極間の角度を等分する線に沿うところが、最も弱い。コールドスポットの他の代表的な例は、アークから離れた位置であることによる、タッピング・スパウト(tapping spout)である。更に他のコールドスポットが、この領域から浸透して来る外気への過剰な熱の損失により、スラグ・ドア(slag door)のところに生じる。炉内にコールドスポットを生じさせる更なる共通の原因が、追加の材料、例えばスラグを形成する材料、直接還元された鉄、石灰などが射出される場所に生じる(このような材料は、スラグ・ドア即ち炉の側壁にある開口部から挿入される)。これは、このような材料が融解する時に熱を消費するためである。
【0008】
このような問題に対する従来の解決法は、コールドスポットに追加の熱源を与えるために、炉の周りに更なるバーナを組み込むことであった。コールドスポットにバーナが装備された電気アーク炉は、屑鉄の融解の均一性を改善し、コールドスポットでの材料の蓄積を減じた。バーナのような補助的な熱源が電気アーク炉に配置される時、この熱源の位置は、電極と炉のシェル(shell)との間に配置された屑鉄のすばやい融解によるホットスポット更なる過熱を防ぐように、選択される。より詳しくは、前記バーナは、可能な限りホットスポットから離して配置され、前記バーナの炎の出口の方向は、炎の浸透が、コールドスポットに配置された屑鉄に向かって主として生じ、前記炉のすでに加熱された部分には生じないように、選択される。
【0009】
更なる加熱と加工とが、脱炭のプロセスによって果たされる。高度な即ち最新のEAF技術を有効にする従来技術の代表的な実施形態では、高速の、通常は超音速の酸素流が、溶液中に含まれる炭素の酸化によってこの溶液を脱炭するために、ランスもしくはバーナ/ランスによって金属の溶液に射出される。酸素は、溶液中にある過剰な炭素と結合されると、CO及び/もしくはCOとなる。前記バーナ/ランスは、前記装荷物を融解し、過熱を減じ、もしくは防止し、融解のために必要な時間及びアークの動作時間を最小限にするように、より均一に作用する。
【0010】
金属の溶液即ち液体状の金属に酸素を射出することによって、この溶液中に溶けている炭素の含有量が、選択されたレベル即ち低いレベルに、減じられ得る。鉄炭素融解物が2%以下の炭素である場合、この融解物は、鋼鉄となる。EAF製鋼プロセスは、代表的に、1%より少ない炭素を含む物によって開始する。鋼鉄の溶液中の炭素は、特定の等級の鋼鉄を生産するために所望の含有量に達するまで減じられる。例えば、限定しないが、低炭素鋼に関しては、0.1%以下まで減じられ続ける。
電気アーク炉内での鋼鉄の生産時間を減じるために、種々の装置及び方法が、この炉に更なるエネルギーを送る手段を改良するように開発されている。このような改良は、水冷式の側壁(パネルもしくは炉)に取り付けられる一般のバーナと、一般のランスと、一般のバーナと、これらに類似するものとの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0011】
代表的に、脱炭のための酸素射出は、高速の酸素射出を開始する前に、前記プロセスの融解工程がほぼ完了するまで待たなければならない。これは、融解されていない装荷物が、バーナ/ランスと液体状の金属即ち金属融解物との間にあり得るので、前記バーナは、この時より前に、高速で酸素を有効に送ることができないからである。このような場合、酸素流は、逸れて、炉とバーナ/インジェクタパネルとに深刻なダメージを生じさせる可能性がある。
【0012】
このような事実は、ほぼ球形状を有している多くのEAF炉の構造によって、更に悪化される。金属の融解が、代表的に融解物の中間の、下側部分に生じ、そして側方に広がる。融解の工程の初期の段階では、高速の酸素流は、充分には融解されていない装荷物(金属)に浸入して金属融解物を脱炭する作用及び/もしくは能力をあまり有していない。
【0013】
追加のバーナの位置を選択する際に使用される原理と同じ原理が、脱炭で使用するための酸素射出ランスを含む他の追加の補助的な熱源の位置を選択するために、使用され得る。追加のランスがコールドスポットに対して位置されると、融解物の精錬の発熱エネルギーが、ホットスポットを過熱させないで屑鉄を融解するように、より有効に使用され得る。
【0014】
融解物の脱炭のための追加の酸素射出が、いくつかの手段によって果たされ得る。一般的な形式の装置及びプロセスが、少なくとも1つの可動の装置、例えば液内の消耗可能な酸素パイプ、及び/もしくは、少なくとも1つの水冷式の、液外の酸素ランスを含む。多くの場合、水冷式のランスの動作の間に、このランスは、まず炉内に導入され、そして、酸素の導入のための1つのもしくは複数のランス吐出口が位置されている位置(時には設定された位置)に、好ましくは、溶液より約150乃至300mm上方の位置に、次第に移動される。ランスからの酸素流の吐出速度は、動作位置に配置されているランスによって導入される酸素流が、融解された金属が炉壁と電極とに過度に飛散しないで、スラグに浸透して鉄炭素融解物と反応するように、選択される。しかしながら、不慮の金属の飛び散りは、生じるものであり、装置の欠陥の一般的な原因である。
【0015】
炉壁中に、炉壁の周りに配設された複数の専用のランスを有する種々の装置による炭素と酸素との混合ガスの射出が、特別な加熱をプロセスに追加するための一般的な方法となっている。代表的には、射出のための炭素流の供給が、圧縮空気、天然ガス、窒素などを含む圧縮されたガス状のキャリアのような炭素質材料のディスペンサによって、果たされる。
【0016】
バーナを炭素及び酸素ランスと一緒に使用することで、電気製鋼装置が、電気エネルギーの消費量を実質的に削減することができ、また、炉の生産速度を上げることができる。これは炭素の酸化と、アーク炉が熱を損失しないように絶縁する泡沫状のスラグの層の形成による熱効率の大幅な向上とによって、更に熱が取り入れられるからである。また、泡沫状のスラグは、アークを安定させ、この結果、電気の入力率を上げることができる。前記泡沫状のスラグの層は、射出された炭素のCOへの酸化によって発生されたCO気泡によって形成される。射出される炭素流を増加させることで、局地化されたCOの発生を増加させる。従って、多くのEAF炉ユニットが、オフガス中のCOの量を減じるもしくは除去するためのポスト生産手段(a post production means)を有している。アーク炉内でCOと酸素とを混ぜることが望ましいが、スラグと電極とを過剰に酸化させないように構成することが難しい。従って、本分野は、炭素の含有量が多いオフガスを処理するためのポスト生産手段を、改良している。
【0017】
最新の電気アーク炉には、補助的な熱を与える及び/もしくは金属融解のために、すべてのもしくはいくつかの上記の手段が装備されている。金属融解炉のデザイン及び動作の改良に伴って、バーナパネルのデザインの改良が為される。例えば、種々のバーナパネルの構成が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12に開示されている。このような技術は、有効であると証明されている。例えば、特許文献11は、炉内のエネルギーの適用範囲の空間的拡大に対して、広い適用可能性を見出している。同様に、特許文献8は、バーナやランスのような種々の器具の届く範囲を炉の内側に拡張することに、適用可能性を見出している。しかしながら、従来の装置及び方法より更に有効であり、結果としてバーナ/インジェクタパネルの欠陥を減じるような、金属の融解のための更に改良された装置及び方法が、依然として必要である。
【0018】
バーナ/インジェクタパネルの欠陥の原因は、「フラッシュバック」と、「ブローバック」と、「リバウンド」と、「ジェット反射(jet reflection)」との少なくとも1つである。このような用語は、パネルに跳ね返されるジェット(酸素ランスもしくはバーナジェット)によって生じる状況を一般的に表しており、この跳ね返りが鋼鉄の溶液によって生じるか、融解する金属(炉内のまだ融解されていない屑鉄材料)によって生じるかは関係しない。本説明中の「フラッシュバック」という用語の使用は、特に他の方法で述べられない限りは、上に挙げた用語のすべてを意味及び言及する。フラッシュバックに関連する種々の問題に対する従来の解決法は、バーナジェット及び/もしくはランスをシールすることによって対処されている。しかしながら、このようなシールは、度々、バーナもしくはランスから鋼鉄の溶液もしくは融解する金属までの距離を長くする。従って、バーナジェットノズルもしくはランスノズルから融解された金属までの距離を最小限にし、一方で同時にバーナジェット及び/もしくはバーナジェットノズルのための良好なシール、及び/もしくは、保護を提供する装置及び方法が必要である。
【0019】
従来技術に係る更なる問題は、従来技術の適用が、比較的大型の炉(40トン以上の容量を有するもの)に主として限定されていることである。従って、大きい容量の炉内だけでなく、比較的小さい炉でも動作するパネルを有する必要がある。
【0020】
従来技術のパネルに係る更なる問題は、パネル中の冷却回路が、砂型鋳造プロセスを用いて(パネル中に)形成されていることである。砂型鋳造を用いる場合、砂を取り除くために、パネルの冷却回路に孔を開ける必要がある。そして、プレートもしくはプラグは、パネル中の冷却回路の一体性を保つために(即ち水が冷却装置から炉内に漏れないことを確実にするために)、前記孔を覆うように溶接されなければならない。このような場合において、プレートが融解された金属に繰り返し晒されることによって、冷却回路から前記炉内への水の漏れが生じ得るので、パネルをスプラッシュバック(splash back)から保護することが一層重要である。水があることによって、受け入れ難い危険が生じる。結果として、パネルは、取り除かれなければならず、多くの場合、取り替えられなければならない。従って、この問題を克服できるパネルを有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許4,703,336
【特許文献2】米国特許5,444,733
【特許文献3】米国特許6,212,218
【特許文献4】米国特許6,372,010
【特許文献5】米国特許5,166,950
【特許文献6】米国特許5,471,495
【特許文献7】米国特許6,289,035
【特許文献8】米国特許6,614,831
【特許文献9】米国特許5,373,530
【特許文献10】米国特許5,802,097
【特許文献11】米国特許6,999,495
【特許文献12】米国特許6,342,086
【発明の概要】
【0022】
本発明は、金属融解炉内で使用するためのバーナ/インジェクタパネル装置と、これに関連した方法とに関わる。一般的に、本発明は、バーナ/インジェクタパネル装置の少なくとも作業効率の向上及び/もしくは耐用年数の延長をもたらす高度な特徴を有するバーナ/インジェクタパネルと、これに関連した方法とに関わる。本発明のバーナ/インジェクタパネル装置は、水冷式のバーナ/インジェクタパネルと、この水冷式のバーナ/インジェクタパネル内に配置されこの水冷式のバーナ/インジェクタパネルを貫通している少なくとも1つの装置ボアと、前記少なくとも1つの装置ボア中に収容され配置されている少なくとも1つの射出装置と、を一般的に具備している。バーナ/インジェクタパネルは、炉から金属融解ラインまで、外方及び下方に延びている。前記射出装置は、熱エネルギー源と、粒子インジェクタと、酸素インジェクタとの少なくとも1つから選択される。本発明は、本発明のバーナ/インジェクタパネルを用いる酸素もしくは炭素粒子のような生成物の改良された射出のプロセスを、更に具備している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明のバーナ/インジェクタパネルの正面等尺斜視図である。
【図2】図2は、本発明のバーナ/インジェクタパネルの図1の斜視図の側面の断面図である。
【図3】図3は、本発明の図2のバーナ/インジェクタパネルの長方形の取り付け端部の後面図である。
【図4】図4は、炉壁に取着されている本発明のバーナ/インジェクタパネル装置の横断面図である。
【図5】図5は、同軸でない外側面及び内側面の断面図である。
【図6】図6は、同軸の外側面及び内側面の断面図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施形態のバーナ/インジェクタパネルの正面等尺斜視図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態の図7のバーナ/インジェクタパネルの斜視図の側面の断面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態の図8のバーナ/インジェクタパネルの長方形の取り付け端部の後面図である。
【図10】図10は、炉壁に取着されている本発明の他の実施形態のバーナ/インジェクタパネル装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、炉内で金属を融解、精錬、及び/もしくは加工する際に使用されるバーナ/インジェクタパネル装置を具備している。より詳しくは、本発明のバーナ/インジェクタパネル装置は、電気アーク炉(EAF)内での製鋼に使用されることができる。バーナ/インジェクタパネル装置は、このアーク炉の炉壁の側面に取り付けられる。本書で使用されているように、前記炉壁に取り付けられるバーナ/インジェクタパネル装置の説明には、この炉壁に取り付けられこれを貫通して延びるバーナ/インジェクタパネルが含まれる。
【0025】
請求される特定のバーナ/インジェクタパネルの構成は、このパネルの本体に少なくとも1つの遷移領域(transition regionディメンションが)を有する一方の実施形態と、このパネルの本体の第1の遷移領域とこのパネルの本体の偏心の拡大部を有しこのパネルの本体の中間領域に位置された第2の遷移領域とから成るもう一方の実施形態とを、有している。この請求される特定のバーナ/インジェクタパネルの構成を使用することによって、パネルの吐出端部が炉の融解ラインに向かって延び得るように、パネル装置をこの炉内に明確に位置づけることができるということが、判っている。特に、前記炉がスプリットライン(a split line)を有する実施形態では、前記パネルの吐出端部は、このパネルの底部が前記炉壁に接している位置から、少なくともこの炉の前記スプリットラインまで、もしくはこの下までの距離を、前記炉の融解ラインに向かって延びている。前記炉にスプリットラインがない実施形態では、このパネルの吐出端部は、このパネルの底部が前記炉壁に接している位置からこの炉の融解ラインまでの距離の少なくとも40%まで、延びている。更に、このバーナ/インジェクタパネル装置の特定の配置と、前記請求される特定の構造とを可能にすることによって、バーナ/インジェクタパネル及び/もしくは射出装置に経営効率の向上、及び/もしくは、耐用年数の延長という高度な特徴を与え、一方で、バーナ/インジェクタパネル装置の全体の大きさを縮小することが可能となる。更に、バーナ/インジェクタパネル装置の種々の実施形態の種々の他の高度な特徴が、本説明を通じて明らかになるだろう。
【0026】
本発明のバーナ/インジェクタパネル装置は、バーナ/インジェクタパネルと、バーナ/インジェクタパネル内を貫通しこのパネル内に配置されている少なくとも1つの装置のボア(孔とも呼ばれる)と、この装置のボア内に位置されるように設定されている少なくとも1つの射出装置とを、一般的に有している。ここで使用されているように、「バーナ/インジェクタパネル」という用語は、本発明のいくつかの実施形態に関しては、側壁に取り付けられるパネルである。更にここで使用されているように、「射出装置」という用語は、酸素燃料バーナのような熱エネルギー源と、粒子インジェクタと、酸素インジェクタとのいずれかとして定義される。本発明の特定の実施形態では、1つ以上の装置のボアが、バーナ/インジェクタパネル中にあっても良く、及び/もしくは、1つ以上の射出装置が、このバーナ/インジェクタパネルのそれぞれのボア中にあっても良い。
【0027】
本発明のバーナ/インジェクタパネルは、第1の端部に隣接している第1の遷移領域と、前記第1の端部の反対側の吐出端部と、前記第1の遷移領域と前記吐出端部との間に配置されている中間領域と、を具備し、一体鋳造即ちモールド成形された部品の形態であるパネル本体を具備している。より詳しくは、パネル本体は、(a)取り付け端部と、(b)第1の遷移領域と、(c)中間領域と、(d)終端領域とを有している。この中間領域は、(i)第1の筒状の領域と、(ii)選択的な第2の遷移領域と、(iii)選択的な第2の筒状の領域とを有している。前記第1の遷移領域と中間領域との各々は、上側の外面を有しており、これら領域の前記上側の外面は、互いに同じ平面上にある。更に、前記取り付け端部と、第1の遷移領域と、中間領域と、終端領域とは、前記パネル本体のこれら領域の各々を貫通するように前記パネル本体に配置された少なくとも1つの装置ボアを通じて、互いに流体接続されている。
【0028】
前記バーナ/インジェクタパネルの前記取り付け端部は、前記パネル本体の前記第1の端部に対応しており、前記終端領域は、このパネル本体の前記吐出端部に対応している。このパネル本体の種々の部分即ち領域の相互関係に関して、本発明の一実施形態では、前記取り付け端部は、前記第1の遷移領域と接続されており、この第1の遷移領域は、前記第1の筒状の領域と接続されており、この第1の筒状の領域は、前記第2の遷移領域と接続されており、この第2の遷移領域は、前記第2の筒状の領域と接続されており、この第2の筒状の領域は、前記終端領域と接続されている。2次的な代案の実施形態では、前記取り付け端部は、前記第1の遷移領域と接続されており、この第1の遷移領域は、前記第1の筒状の領域と接続されており、この第1の筒状の領域は、前記終端領域と接続されている。
【0029】
ここで使用されているように、「遷移領域」という用語は、パネル本体の特定の領域の外形を、大きさと形状との観点から表している。この領域は、(前記第1の筒状の領域の小さい外形から前記第2の筒状の領域の大きい外形に延びている前記第2の遷移領域の場合のように、)小さい外形から大きい外形へと遷移し、あるいは、(前記取り付け端部の大きい形状から前記第1の筒状の形状の小さい外形に延びている前記第1の遷移領域の場合のように、)大きい外形から小さい外形へと遷移する。この「遷移領域」は、前記領域のそれぞれの外形が各々の前記領域に渡って即ち前記領域の一方の端から他方の端までほぼ一定である「第1の筒状の領域」の外形及び「第2の筒状の領域」の外形と対照される。ここで使用されているように、「外形」という用語は、パネルの前記特定の領域の輪郭を表しており、この輪郭は、主要な横方向のディメンションの1つに対して直角の(この特定の場合では、ボアがパネルを貫通する方向に対して直角の)、このパネルに渡る縦方向の面を成している。この遷移は、大きさのみでなく形状にも関わり得る。例えば、前記取り付け端部が長方形の形状を有している場合、前記第1の遷移領域は、大きさの変化だけでなく形状の変化、即ち、前記第1の遷移領域の始まる位置(この第1の遷移領域が前記取り付け端部と交わるところ)の長方形の外形から、この第1の遷移領域の終わる位置(この第1の遷移領域が前記第1の筒状の領域と交わるところ)のほぼ筒状の外形への変化を有し得る。
【0030】
説明されたように、前記パネル本体の前記取り付け端部は、前記バーナ/インジェクタパネルの前記第1の端部を成している。この第1の端部は、いかなる形状を有していても良いが、一般的に長方形の形状である。前記取り付け端部は、バーナ/インジェクタパネル装置の外側即ち供給側に向かって位置されている後面を有している。この後面は、バーナ/インジェクタパネル装置を炉の内側の壁に取り付けることを可能にするように適合されており、もしくは他の例では、バーナ/インジェクタパネル装置を炉の内側の壁に貫通するように取り付けることを可能にするように適合されている。
【0031】
バーナ/インジェクタパネルの前記パネル本体の前記終端領域は、このパネル本体の前記吐出端部を成しており、半回転楕円形状を有している。射出される生成物(酸素燃料、微粒子、もしくは酸素)が、パネル本体に具備されている少なくとも1つのボア内に配置されている少なくとも1つの射出装置から、パネル本体の前記吐出端部を通して、射出される。
【0032】
上述のように、前記パネルの本体の構成は、互いに流体接続されている複数の領域/部分を有している。このような複数の領域/部分を考慮に入れて、少なくとも2つの異なる実施形態がある。両実施形態のうち第1の最も好ましい実施形態では、前記中間の領域は、第1の筒状の領域と、第2の遷移領域と、第2の筒状の領域とを有している。両実施形態のうち第2の実施形態では、前記中間の領域は、第1の筒状の領域のみを有している。
【0033】
従って、本発明の第1の実施形態に関して、パネル本体は、取り付け端部と、第1の遷移領域と、(第1の筒状の領域と、第2の遷移領域と、第2の筒状の領域とを含む)中間領域と、終端領域とを具備している。この実施形態に関して、前記取り付け端部と前記第1の遷移領域との間に、角度の変化がある(この角度は、水平線に対する前記パネルの角度に対応する)。前記第1の遷移領域と前記終端領域との間の上側の外面は、直線を成している。従って、前記第1の筒状の領域と第2の遷移領域と前記第2の筒状の領域との上側の外面が、同じ平面上にある。上述したように、前記取り付け端部は、前記取り付け端部の後面を、前記炉に、この炉の内側の壁に沿って、もしくは、この内側の壁を貫通するようにして、取り付けることができるように形成されている。この取り付け端部から、前記第1の遷移領域は、開始する。この第1の遷移領域は、前記パネルの前記取り付け端部を、前記パネルの前記第1の筒状の領域に接続するように機能しており、従って、前記取り付け端部の外面の形状から前記第1の筒状の領域の実際の筒状に遷移している。この第1の遷移は、大きさと形状とに関してだけでなく、前記炉内でのパネルの前記吐出端部の位置に関しても、重要な本発明の態様である。前記第1の遷移領域は、前記パネルの前記炉壁に対する角度の変化を可能にするよう機能している。この遷移は、前記取り付け端部から前記第1の筒状の領域の一端まで延びるに従って、この遷移領域の上側の外面の角度が、前記取り付け端部の上側の外面に対して変化する。より詳しくは、前記取り付け端部の上側の外面は、前記炉の水平線(例えば、縦の前記炉壁に対して90度の角度を有する線)に対して0度の角度を有していると言える。これに対して、前記第1の遷移領域の上側の外面は、前記炉の前記水平線に対して約35乃至60度の角度を有していると言える。この角度によって、前記パネルの前記吐出端部を、前記金属融解ラインに対して、より精度良く位置づけることが可能となり、従って、種々の生成物を、前記射出装置からより精度良く射出することが可能となる。
【0034】
この第1の実施形態では、次の領域は、前記中間領域である。この特定の実施形態では、前記中間領域は、第1の筒状の領域と、第2の遷移領域と、第2の筒状の領域とを具備している。この中間領域の範囲内で、この第1の実施形態に関する他の重要な態様が、示される。この態様は、前記中間領域内のパネルの外形であり、より詳しくは、前記第1の筒状の領域と前記第2の筒状の領域との間でのパネルの外形全体の変化である。前記バーナ/インジェクタパネルのこの第1の実施形態では、このパネル本体の中間領域の外形の大きさが、前記第2の遷移領域に渡って、即ち、バーナ/インジェクタパネルの前記第1の筒状の領域の終点から前記第2の筒状の領域の始点まで、偏心で変化する。更に、このような構成を有効にすることによって、このパネル全体の表面積を最小限にすることが可能となり、従って、前記炉の障害となる可能性を最小限にすると同時に熱の摂取量を最小限にすることが可能となるので、このパネルの効率を最大限にすることができる。
【0035】
ここで使用されているように、「偏心の」及び「偏心で」という用語とこれらのすべての派生語とが表す状態は、互いに平行であるオフセットされた面を成す2つの筒状の物体の外形の端部が、直角図から判るようにどちらの面にも接している1つの地点で分けられると、一方の外形の中心点が、もう一方の外形の中心点と同じでない状態である。より詳しくは、この用語は、オフセットされて互いに平行である面にそれぞれ位置されており互いに異なる直径を有する2つの円(この特定の場合では、前記第1及び第2の筒状の領域の外形の直径)が、正射図で見ると判るように前記互いに平行である面に接している1つの地点で分けられている状態を表している。ここで使用されているように、「正射」という用語は、直角への方向付けを表し、また直角であることを表している。前記パネル本体にわたって延びるボアに関しては、前記第1の筒状の領域では、前記ボアとこの第1の筒状の領域とが同じ中心線を共有していないが、前記第2の遷移領域における直径の偏心の変化の後に、前記ボアと第2の筒状の領域とが同じ中心線を共有していることが、重要である。
【0036】
前記第1の遷移領域の遷移に関連したこのような偏心の拡大によって、従来のパネル装置より優れた本発明の改良が、果たされる。より詳しくは、2つの遷移領域の使用によって、前記パネル全体の表面積を最小限にすることが可能となり、そしてオフセットによって熱の摂取量における冷却効率を最大限にすることができる(熱の摂取量は、表面積に直接的に比例する)。更に、このような構成を有効にすることによって、前記パネルの効率を上げることができる。この構成によって前記吐出端部を前記炉内により深く位置することが可能となるので、この構成によって前記射出装置から種々の生成物を前記炉の金属融解ラインの近くに(スプリットラインを有する炉では、このスプリットラインまで、もしくはこれを越えて、またスプリットラインのない炉では、パネルの底部が炉壁に接している位置からこの炉の金属ラインへの距離の少なくとも40%まで)射出することが可能となるからである。
【0037】
前記第1の実施形態のパネルの最後の領域は、終端領域である。前述したように、この領域は、パネルの吐出端部を有しており、この吐出端部から、前記射出装置からの種々の生成物が射出される。この終端領域の形状もまた、本発明の更なる重要な態様を与える。というのも、前記終端領域は、この終端領域が隣接の前記筒状の領域に接続しているすべての地点に接している半回転楕円形状を有しているからである。前記パネルの終端部を半回転楕円形状にすることによって、前記パネルの大きさと表面積との両方が、最小限になる。半回転楕円形状を使用する更なる効果は、半回転楕円体を使用することによって、フラッシュバックが大いに減じられることにある。フラッシュバックによるダメージは、1回の溶液もしくは屑鉄の反射によって与えられた場合、最も強力である。前記終端領域が半回転楕円形状であることによって、前記半回転楕円体は、半回転楕円形の1回の反射を前記パネルにダメージを与えないではね返すことができるため、この半回転楕円形状に対して一回の反射が生じる可能性が、従来の一般的な平坦な端面に比べて低い。
【0038】
本発明のパネルに関して見られる従来のパネルより優れた更なる効果は、本パネルの構成によって、このパネルの実際の大きさを、従来のパネルより縮小することできることである。前記炉内に突出して/延びているパネルに関して、一般のパネルは、本発明のパネルより大きい。従って、本発明の好ましい実施形態では、前記パネルの取り付け端部の実際の大きさは、幅が約6インチ乃至約10インチ(約15.24cm乃至約25.4cm)であり、高さが約11インチ乃至約17インチ(約27.94cm乃至約43.18cm)である。前記パネルの残りの部分に関しては、(前記第1の遷移領域の端部から前記終端領域の端部まで測定して)最も広い部分の幅が約5インチ乃至約10インチ(約12.7cm乃至約25.4cm)、(装置のボアに従って、前記第1の遷移領域の開始点から前記終端領域の一端までを最も長い全長で測定して)全長が約8インチ乃至約38インチ(約20.32cm乃至約96.52cm)のディメンションを有している。好ましくは、前記取り付け端部の大きさは、幅が約6インチ乃至約8インチ(約15.24cm乃至約20.32cm)であり、高さが約11インチ乃至約13インチ(約27.94cm乃至約33.02cm)である。好ましくは、前記パネルの残りの部分は、(前記第1の遷移領域の一端から前記終端領域の一端までを測定して)最も広い部分の幅が約4.5インチ乃至約8.5インチ(約11.43cm乃至約21.59cm)であり、(装置のボアに従って、前記第1の遷移領域の開始点から前記終端領域の一端までを最も長い全長で測定して)長さが約25インチ乃至約30インチ(約63.5cm乃至約76.2cm)である。このような構造の変化のために、本発明のパネル装置は、代表的に、従来のパネル装置の表面積の約80%より小さく、より好ましくは、従来のパネル装置の表面積の約50%より小さく、更に好ましくは、従来のパネル装置の表面積の約25%より小さい表面積を有する。また、このような構造の変化のために、本発明のパネル装置は、代表的に、従来のパネル装置の重量の約50%よりも重量が少なく、より好ましくは、従来のパネル装置の重量の約40%よりも重量が少なく、更に好ましくは、従来のパネル装置の重量の約30%よりも重量が少ない。
【0039】
本発明のバーナ/インジェクタパネルの第2の実施形態では、パネルは、このパネルの中間領域を除いて、第1の実施形態と同じである。より詳しくは、この第2の実施形態では、この中間領域が、第1の筒状の領域のみから成る。この実施形態に関しては、前記パネルのこの中間領域の外形の形状は、前記中間領域の一方の端部からこの中間領域の他方の端部まで、変化しない。言い換えると、この中間領域の外形の形状は、この中間領域に渡って一定であり、パネルの前記取り付け端部とパネルの前記中間領域との間に生じるパネルの上記の遷移、即ち前記第1の遷移領域で生じる遷移のみを有する。
【0040】
本発明のバーナ/インジェクタパネルは、最終的な製品が一体成形された部品である場合、本分野で知られている鋳造即ちモールド成形方法によって形成され得る。ここで使用されているように、「一体成形された部品」、もしくは、このバーナ/インジェクタパネルに関してここで使用されているこの用語の派生語、例えば「一体鋳造された部品」もしくは「一体鋳造部品」即ち「一体成形部品」は、一体部品を形成するために、溶接、もしくはクランプ及び/もしくはブラケットのような固定手段の使用によって一体的に接合される複数の独立した部品を有していないことを、意味する。更に、「一体鋳造もしくは成形された部品」もしくは上記に挙げられた派生語によって表されることは、前記バーナ/インジェクタパネルが、成形されてから、いかなる方法によって、例えば砂型から砂を取り除くために前記部品に穴を開けることによって、この部品を更に完成させるために、貫通されるか、穿孔されるか、漏れが生じるかのような形態ではないことである。この代わりに、このバーナ/インジェクタパネルは、型即ちモールドに材料を注入することによって形成された単一の部品でなければならない。より詳しくは、バーナ/インジェクタパネルは、型即ちモールドに銅を注入することによって形成された単一の部品である。しかしながら、「一体鋳造もしくは成形された部品」という用語は、前記炉に前記パネルを取着させる手段を設けるために、前記取り付け端部の前記後面に穴を形成することを除外しないことに、注意されたい。より詳しくは、取り付けプレートに取着されたボルトによって前記パネルを前記炉の内側の壁に固定するか、この取り付けプレートによって前記パネルを前記炉の壁の内側にある程度固定することを可能にするために、ねじ穴のような手段が、前記取り付け端部の前記後面に形成され得る。
【0041】
また、例えば、本発明の目的のために、「一体鋳造もしくは成形された部品」は、少なくとも1つのボア即ち冷却回路の経路を、以下に説明されているように前記パネル内に形成するために、パイプを使用して前記パネルを鋳造即ち成形することが可能である。本発明のバーナ/インジェクタパネルが「一体(solid)」と述べられる一方で、この一体という用語の使用は、このパネルを成す一体鋳造即ち成形された部品に関わる。この成形された部品は、前記バーナ/インジェクタパネルの一方の端部から他方の端部へ延びる少なくとも1つのボアを含むことが、重要である。このようなボアは、この部品の鋳造後に追加されるのではなく、この部品が鋳造即ち成形される時に加えられる(即ち、前記ボアは、パネルが鋳造即ち成形される時に、このパネルの一部として形成される)。
【0042】
前記ボアは、少なくとも1つの射出装置を収容するために加えられ、パイプコア鋳造のような手順によって、前記バーナ/インジェクタパネル内に配置される。パイプコア鋳造を使用することによって、溶接のようなプロセスを除くことが可能となるので、前記バーナ/インジェクタパネルの耐用年数を延長することができる。バーナ/インジェクタパネルの溶接のようなプロセスは、前記パネル本体を弱めて、前記パネルが前記炉内の環境にさらされる時に安全上の問題を生じさせる可能性があることが、よく知られている。これは、溶接の失敗が原因であり、この失敗によって水が前記水冷式回路から製鋼プロセス中に入り込む。前記パイプコア鋳造のプロセスにおいて、前記パネルを形成するための材料が、前記ボアが必要とされる位置に配置された少なくとも1つのパイプを含んだモールド中に注入され得る。そして、前記パイプは、最終的な部品の一体部分となる。本発明の好ましい実施形態では、前記パイプは、前記パネルのように銅、好ましくは高純度の銅によって、形成され得る。
【0043】
前記少なくとも1つの射出装置を収容するためにバーナ/インジェクタパネル内に配置されている前記少なくとも1つのボアに関して、好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのボアは、前記バーナ/インジェクタパネルの前記第1の領域と中間領域との上側の外面に対して平行に延びている。この上側の外面は、側面図から判るように、直線を成している。このようなボアの実際の内側の構成は、前述の領域の上側の外面と前記ボアの範囲内に配置される射出装置とに、完全に応じる。従って、本発明で使用される装置は、バーナ/インジェクタパネルの分野で知られているいかなる装置も含み得る。前記バーナ/インジェクタパネルに代表的に関連して設けられる射出装置は、熱エネルギー源、例えば、バーナ、もしくは炭素のような粒子を射出するための粒子インジェクタ、もしくは酸素か空気か酸素と空気との混合ガスを射出するための酸素インジェクタ、もしくはこれらの少なくとも1つを組み合わせたもの(例えば、バーナとインジェクタとの組み合わせ)を可能にする装置を含むが、これらに限定されない。使用されるインジェクタは、この分野で知られているいかなる種類のインジェクタであっても良い。このインジェクタは、例えば、ランス(lance)、超音速ランス、粒子インジェクタ、ポスト燃焼装置などを含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、この装置は、酸素燃料バーナと、炭素のような粒子を射出する粒子インジェクタと、酸素もしくは空気を主に含むガスを射出する酸素インジェクタとのような熱エネルギー源から選択される。最も好ましい実施形態では、前記射出装置は、使用されるガスが純酸素である酸素インジェクタである。この射出装置のための前記ボアは、前記パネル全体に渡って、即ち、このパネルの前記取り付け端部と前記第1の遷移領域と少なくとも1つの領域から成る前記中間領域と終端領域とに渡って延びている。この結果、前記生成物は、前記パネルの終端領域の吐出端部から前記炉内に(前記射出装置によって)射出されることができる。本発明の一実施形態では、前記ボア内に配置される装置は、酸素インジェクタである。更なる実施形態では、複数のボアが、前記バーナ/インジェクタパネル内にある。このような実施形態の1つでは、1つのボア中に1つの酸素インジェクタと1つの粒子インジェクタとがある。本発明の更なる他の実施形態では、2つのボアがあり、一方のボアは、酸素インジェクタが中に設けられており、もう一方のボアは、粒子インジェクタもしくはバーナが中に設けられている。
【0044】
前記炉によっては、前記炉が複数のパネル装置を有している場合があることが重要である。従って、例えば、前記炉は、粒子インジェクタを収容した1つのボアが中に設けられているパネルを有する第1のパネル装置と、酸素インジェクタと熱源とを収容した1つのボアが中に設けられているパネルを有する第2のパネル装置と、2つのボア、即ち、酸素インジェクタと熱源とを収容した一方のボアと粒子インジェクタを収容したもう一方のボアとが設けられているパネルを有する第3のパネル装置とを含み得る。少なくとも1つの射出装置をそれぞれ収容した少なくとも1つのボアを備えた少なくとも1つのパネルを含む、パネルの異なる組み合わせが、いかなるものであっても炉内で使用され得、またこのような組み合わせは、多くの場合、前記炉の種類と前記炉全体の構成とに基づいて決定されることが、本分野の当業者に認識される。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、前記バーナ/インジェクタパネルは、流体冷却式回路を使用する、流体冷却式、好ましくは水冷式である。流体冷却式回路は、前記電気アーク炉の不利な環境に耐えることができ、且つこの炉の構造に大きな変化を与えること無くこの炉内に収容されるように設定される。前記パネルの冷却の最適化が、可能な限りこのパネル全体を覆う標準的な流体冷却回路を使用する構成を与えることによって、果たされる。また、前記パネルの冷却の最適化は、周囲からの熱の摂取量を最小限にするために、また、冷却される必要があるパネルの大きさを最小限にするために、前記バーナ/インジェクタパネルの外側の表面積を可能な限り減じることによって、果たされる。そして、このことは、前記冷却回路を援助するように機能する。前記ボアを形成するときと同様に、前記冷却回路は、前記パネルが鋳造即ちモールド成形される時に、このパネル中に設けられる。言い換えると、前記パネルは、この冷却回路の周りに成形される。本分野で知られているいかなる流体冷却回路が、本発明で使用され得る。前記冷却回路は、前記パネルを鋳造するために使用される融解された材料からの熱に耐え得るいかなる種類の材料によって形成され得るが、前記流体冷却回路に対して好ましい材料は、前記パネルが鋳造される材料と同じ材料、即ち銅、好ましくは高純度の銅である。代表的に、冷却効率を最大にするために、前記流体冷却回路は、前記パネルの全体の形状に沿うようにしてこのパネルの周面中にのみ配置されている。更に、前記パネルは、このパネルに渡って形成された前記装置ボアを囲む複数の流体冷却回路を有していても良い。更なる射出装置を収容する複数のボアを有する実施形態では、更なる射出装置は、複数の更なるボアの側面に沿って1つの水冷式回路に囲まれ得る。
【0046】
前記バーナ/インジェクタパネルの構成によって、前記パネルが前記炉壁から炉内へ、外方に延びるだけでなく、スプリットラインを有する炉に関しては、前記バーナ/インジェクタパネルの前記吐出端部が、前記炉壁から炉のこのスプリットラインまで、もしくはこれよりわずかに下まで、下方に延びることも可能にするようにして、バーナ/インジェクタパネル装置を前記炉内に配置させることができる。このような特定の炉では、スプリットラインまで、もしくはこれよりわずかに下までとは、前記パネルの底面が前記炉壁の内面に接して(もしくは交差して)いる位置とこの炉の前記金属ラインとに対する、このパネルの前記吐出端部の最終位置を表している。より詳しくは、「わずかに下」という表現は、前記パネルの底面が前記炉壁の内面に接して(もしくは交差して)いる点から前記金属ラインまでの距離の約40%の範囲、好ましくは、前記距離の約50%の範囲、より好ましくは前記距離の約60%の範囲の延びを表している。
【0047】
前記炉内にスプリットラインのない実施形態では、バーナ/インジェクタパネル装置は、前記パネルが、前記炉壁から炉内へ、外方に延びるだけでなく、前記耐火レンガを越えてこの炉の前記金属ラインまで延びるようにして、前記炉内に配置されている。より詳しくは、この特定の実施形態で、前記パネルの前記吐出端部は、このパネルの底面が前記炉壁の内面に接してもしくは交差している点から前記金属ラインまでの距離の約40%の範囲、好ましくはこの距離の約50%の範囲、より好ましくは、この距離の約60%の範囲まで延びている。
【0048】
このバーナ/インジェクタパネルが前記炉壁に取り付けられると、前記吐出端部は、前記炉壁から離れる方向に、一般的に前記水平線から約35度乃至約65度、好ましくはこの水平線から約35度乃至約55度、最も好ましい実施形態では、この水平線から約42度乃至約48度の範囲の角度で延びている。多くの場合、「水平線」という用語は、このパネルの前記吐出端部から延び、前記炉の前記スプリットラインと金属ラインとに対して平行である線を表している。前記バーナ/インジェクタパネルの特定の構造と角度とは、前記炉の金属ラインに対してパネルがこのような位置づけであることによって、前記終端領域の吐出端部から前記炉への吐出の最適化を可能にする。従って、前記バーナ/インジェクタパネルから融解された金属即ち金属ラインまでの距離が、減じられる。前記炉がスプリットラインを有する実施形態では、前記吐出端部は、前記炉のこのスプリットラインまで、もしくはこれよりわずかに下まで、延びている。ここで使用されているように、「スプリットライン」という表現は、前記炉の上側のシェル(shell)(代表的に水冷式である領域)が前記炉の下側のシェル(代表的に耐火性レンガから成る炉の領域)に接し、これに取着されている領域を表している。より詳しくは、図4を参照されたい。前記炉がスプリットラインを有していない場合では、この構造は、前記炉壁からこの炉内へと、外方に、また、前記耐火性レンガを越えて前記炉の前記金属ラインまで延びることによって、最適化が果たされる。より詳しくは、図10を参照されたい。
【0049】
大きさを減じられた本発明のバーナ/インジェクタパネルによって、いくつかの実施形態では、このパネル装置を既存の炉にいかなる変化も与えずに取り付けることが可能となる。他の実施形態では、前記炉のこの構造のために、前記炉のシェルを成している、もしくはいくつかの炉では前記炉の下側のシェルを成している前記耐火レンガを、前記耐火レンガにノッチもしくはへこみ(indentation)を形成して耐火レンガにわずかな凹部を形成することによって、取り除くか変形する必要があり得る。このような変形は、前記凹部によって与えられるわずかな程度のシールによって、バーナ/インジェクタパネル装置を更に保護するように機能する。このような例では、バーナ/インジェクタパネル装置は、このようなパネル装置のためのいかなる一般的な方法によっても、取り付けられることができる。複数の炉では、前記炉の上側のシェルが前記炉の下側のシェルに接するところで、この下側のシェルから内側に延びている「レンガ段部(a “brick step”)」がある。このような実施形態では、前記ノッチもしくはへこみが、多くの場合、実際のレンガ段部に形成される。他の例では、前記レンガ段部は、前記炉内での前記パネルの位置づけを援助する。
【0050】
本発明の更なる実施形態では、前記バーナ/インジェクタパネルと、前記炉の前記耐火レンガもしくはレンガ段部との間に間隙があり、粘土のような詰め込み可能な耐火性材料や火を点けられても燃えない他のいかなる耐火性材料も、この間隙を埋めるために使用され得る。このような材料は、一般的に電気アーク炉に使用されており、当業者に既に知られている。更なる実施形態では、前記バーナパネルは、バーナパネルのための既存のスロット内に適合するように形成されている。前記バーナ/パネルは、代表的に、ボルトと、クランプと、スクリューと、ネイルと、ラグと、ウェッジと、これらに類似するものとの少なくとも1つのような炉用パネル取着手段を有効にするように適合されている。好ましくは、ラグとウェッジとが、使用される。本分野の当業者は、このような変形が必要であるかどうかが、パネル装置が使用される炉の種類に拠ることに、気付くだろう。
【0051】
この構成によって、前記融解された金属/金属ラインの可能な限り近くでの酸素及び/もしくは粒子のような生成物の実際の射出が、可能になる。このパネルの形状によって、射出される実際の前記生成物が前記融解された金属/金属ラインの近くにもたらされると同時に、前記射出装置を保護することが、可能となる。
【0052】
更に、本発明のバーナ/インジェクタパネルの前記遷移領域の前記上面が、複数の成形された溝を選択的に有している。あるいは、本発明のバーナ/インジェクタパネルの全体の上面が、複数の成形された溝を有している。これら溝は、V字型と、U字型と、ダイヤモンド型と、四角形と、円形と、長円形と、これらの形状のいかなる組み合わせとの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない形状及び大きさであっても良い。前記成形された溝は、意外に有利にスラグの流れを向ける。種々の実施形態では、流されたスラグは、前記バーナ/インジェクタパネルに少なくとも部分的に固化した層を形成することができ、これによってバーナ/インジェクタパネルに更なる保護を与えることができる。しかしながら、他の実施形態では、前記スラグは、液体状、もしくはほぼ液体状のままである。前記バーナ/インジェクタパネルの面にスラグの少なくとも部分的に固化した層を有する実施形態では、前記スラグは、前記バーナ/インジェクタパネルを少なくとも部分的に絶縁することができ、従って、このバーナ/インジェクタパネルをダメージから保護すること、及び/もしくは、このバーナ/インジェクタパネルの耐用年数を延長することを、可能にする。同様に、液体状のスラグは、限られた値の絶縁を提供する。ここで使用されているように、「スラグ」という用語は、金属鉱の精錬によって残留物として残ったガラスに似た塊を意味及び言及する。精錬の過程の間に鉄炭素融解物(iron carbon melt)から適切なスラグ成分を生成することが、所望の鋼鉄化学の達成と、融解生成物からの不純物の除去とにおいて、重要である。炉内には、スラグが代表的に液体状と固体/半固体状との両方の状態で存在している。
【0053】
本発明のバーナ/インジェクタパネル装置の種々の実施形態の改善された及び/もしくは高度な種々の特徴は、a)前記バーナ/インジェクタパネルの前記吐出端部から前記融解された金属/金属ラインまでの距離を減じることと、b)従来のパネルのデザインを簡潔にし、結果として、使用される材料を少なくすることによって生産を省力化することと、c)エネルギーの節約と、d)前記バーナ/インジェクタが前記融解された金属のラインにより近くなることによって、このバーナ/インジェクタパネルの効率が向上することと、e)流体冷却される表面積を最小限にすることによって前記バーナ/インジェクタパネルの流体冷却効率が向上することと、f)少なくとも1つの射出装置の欠陥を含めて、バーナ/インジェクタパネルの欠陥を全体的に減じることと、g)前記バーナ/インジェクタパネルが一体鋳造即ち成形された部品から成ることによって安全上の問題が全体的に減じられることと、h)前記吐出部を最適化し、これによってフラッシュバックによるダメージが生じる可能性を減じることとの、少なくとも1つである。
【0054】
本発明のバーナ/インジェクタパネルは、前記炉壁から、いくつかの例では前記耐火レンガ段部を通って及び/もしくはこれを越えて延びているので、少なくとも1つのボアは、前記金属融解物/金属ラインの表面に比較的近い。同様に、上記の第2の実施形態のようないくつかの実施形態では、前記炉の中心のより近くに前記装置ボアを有することができ、このことによって場合によって効率を上げることができる。
【0055】
本発明の種々の実施形態は、高度な及び/もしくは改良された炉用のバーナ/インジェクタと、これに関連する使用法とを提供するために、本分野に渡って広い適用可能性を有している。本開示は、主として製鋼の分野における炉に関連しており、本発明の種々の改良点の適用について説明する。しかしながら、一部の当業者は、あらゆる炉技術に渡って容易にこの技術を適用することができ、ここに説明されている特定の実施形態は、本明細書と添付の請求項との全範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0056】
本発明のより多くの理解が、本発明の少なくとも2つの実施形態を例示する図の詳細な説明を参照することによって、得られる。しかしながら、このような実施形態は、本発明を限定することを意図していない。図1乃至図4は、本発明の第1の実施形態を示している。図1は、本発明のバーナ/インジェクタパネル1の一実施形態の正面等尺斜視図である。図1に示されているように、この特定のバーナ/インジェクタパネル1は、取り付け端部2と、第1の遷移領域3と、第1の筒状の中間領域4と、第2の遷移領域5と、第2の筒状の中間領域6と、終端領域7とを有している。このバーナ/インジェクタパネル1の前記取り付け端部2は、矩形の形状を代表的に有しており、後面9を有している。図3に更に示されているこのバーナ/インジェクタパネル1の主部から離して配置された前記後面9は、図4に示されているように、前記バーナ/インジェクタパネル1を炉壁14の内側に取り付けることを可能にするように適合されている。特に、図3に示されているように、前記取り付け端部2の後面9は、前記炉壁14に前記パネル1を取着させるための手段を有している。代表的に、図3に示されているように、この手段は、前記取り付け端部2の前記炉壁14への取着を可能にするように、取り付けボルト即ちねじのための複数のねじ穴10を有している。図1に例示されている実施形態の側面の断面図である図2に示されているように、前記第1の遷移領域3では、前記パネル1は、前記取り付け端部2の形状及び大きさから前記第1の遷移領域の形態への第1の遷移を開始する。言い換えると、例えば、前記取り付け端部2が矩形の形状である図1の第1の実施形態に関して、前記取り付け端部2は、この取り付け端部2の矩形の形状から遷移を始め、前記第1の遷移領域3の最後の部分までに、ほぼ筒状に近い外形となる。
【0057】
図2に更に示されているように、前記第1の遷移領域3は、第1の筒状の中間領域4と流体接続されている(この特定の実施形態では、中間の領域は、領域4と、領域5と、領域6とから成る)。前記第1の筒状の領域4と、前記第2の遷移領域5と、前記第2の筒状の領域6とから成る上側の外面21(図1参照、線X)が、同じ面に位置されている。前記領域4と領域5と領域6とから成る中間領域のうち第1の筒状の領域4は、前記第1の遷移領域3とは異なり、これの外面の大きさと形状との遷移を含まず、代わって、前記第1の筒状の領域4全体に渡って一定の外面を有している(図2のB−BからB’―B’参照)。この第1の筒状の領域4は、パネル1の前記第2の遷移領域5と流体接続されている。前記パネル1のこの位置で、このパネル1は、このパネル1の外形の大きさと形状とに対して第2の遷移を開始する。より詳しくは、この位置で、前記パネル1は、前記第1の遷移領域と対照して、前述したように「偏心で」遷移する。上記に規定されているように、本発明の第1の実施形態の第2の遷移領域に関して、「偏心」によって意味されることは、(図2の線B’−B’によって示されている)前記第2の遷移領域5の始まりの部分の外形と、(図2のC−C線によって示されている)前記第2の遷移領域5の終わりの部分の外形とが、正射図から判るように、前記第2の遷移領域5の外形(B’−B’線とC−C線との間のパネルの上側の外面21)の1つの接触地点で分けられる場合である。前記筒状の領域4の外形の中心を通って延びる中心線が、前記筒状の領域6の外形の中心を通って延びる中心線と、同軸ではないが、これに対して平行である。線B’−B’によって示されている前記第2の遷移領域5の初めの部分と、C−C線によって示されている前記第2の遷移領域5の終わりの部分とによってそれぞれ図示されている異なる外形は、B’−B’線とC−C線とによって示されているパネルの外形を表しているオフセットして互いに平行する面とそれぞれの円形の直径とに位置されており、正射図に見られるように、前記互いに平行する面に接している1つの接触地点で分けられている。前記第1の筒状の領域4と、第2の遷移領域5と、第2の筒状の領域6との上側の外面21は、各々の対応する領域の縦の面の大部分を成しており、この外面21は直線を成している。前記外面21は、図1の線Xに対応する。第2の遷移領域でのすべての遷移が、前記外面21の下で(前記パネルの底面27に沿って)生じる。
【0058】
更に、図2に示されているような前記第2の遷移領域5での遷移のために、前記第1の筒状の領域4中に配置された前記ボア11の断面部は、前記第1の筒状の領域4の外形と同じ中心点を共有していない。図5が、図2の線B−Bによって示されている前記ボアと前記第1の筒状の領域4の外形とを含んだ断面図を示すために、参照される。しかしながら、前記第2の遷移領域5での偏心の遷移の後、このパネルの横断面図は、前記第2の筒状の領域6中に配置された前記ボア11の断面部が前記第1の筒状の領域6の外形と同じ中心点を共有するように、変化する。図2の線C’―C’によって示されているように、前記ボア11と前記第2の筒状の領域6の外形とを含む横断面図である図6が、参照される。前記第1の遷移領域3及び第2の遷移領域5でのこのような遷移によって、前記ボア11は、前記終端領域7の前記吐出端部8に対して一直線に延びている。更に図4に関しては、バーナ/インジェクタパネル装置が前記炉内に取り付けられた時、このパネル1の前記吐出端部8は、前記炉内に、前記金属ライン/融解ライン24に向かって、水平線から約35度乃至約60度、好ましくは約45度の角度で、延びている(この水平線は、パネル1の吐出端部8から延び、前記炉のスプリットライン22及び/もしくは融解ラインに対して平行である)。この角度は、図4では記号Φによって表されている。
【0059】
先に述べたように、前記終端領域7は、前記第2の遷移領域6と異なって回転楕円形状の部分を有する半回転楕円形状であり、この回転楕円形状の部分は、前記バーナ/インジェクタパネル1の前記終端領域7の前記吐出端部8を言及している。前記パネル1の前記ボア11は、多くの場合、チューブの形状を有する中空のキャビティである。前記ボア11は、少なくとも1つの射出装置16の挿入を可能にするために、前記取り付け端部2のところで開いている。また、前記ボア11は、前記吐出端部8のところで開いており、これによって、パネル1の前記ボア11中に配置された前記射出装置16からの生成物(酸素、酸素燃料など)の射出が可能となる。
【0060】
図2に更に示されているように、バーナ/インジェクタパネル装置は、前記取り付け端部2と、前記遷移領域3と、前記第1の筒状の領域4と、前記第2の遷移領域5と、前記第2の筒状の領域6と、前記終端領域7とを貫通しているボア11を有している。前記バーナ/インジェクタパネル1内の前記ボア11の角度は、前記ボア11が、前記第1の筒状の領域4と前記第2の遷移領域5と前記第2の筒状の領域6とを含む(線Xによって示されている)前記上側の面21に対して平行に延びるように、設定されている。更に、すでに述べたように、前記ボア11は、前記第2の筒状の領域6内に、この領域6と同心となるように配置されている(図6参照)。図1を再度参照すると、本適用の発明では、前記第2の遷移領域5は、第1の外形ライン25(図2のB’―B’線)と第2の外形ライン26(図2のC−C線)とを有している。前記第2の遷移領域5の第1の外形ライン25は、前記第1の筒状の領域4の一端部と対応しており、前記第2の外形ライン26は、前記第2の筒状の領域6の一端部と対応している。これら筒状の領域は、中に配置された前記ボア11によって、全領域に渡って流体接続されている。前記第1の筒状の領域4及び前記第2の筒状の領域6に関しては、前述のように、前記ボア11は、前記第1の筒状の領域4及び前記第2の筒状の領域6の前記上側の面21に沿って延びている。本発明の前記ボア11の形状は、変更可能であることが、重要である。一般的に、ボアの多くは、円形である。しかしながら、ボアは、いかなる形状でも良く、例えば、球形と、三角形と、五角形と、六角形と、これらに類似する構造体との少なくとも1つであり得、またこれらに限定されない。
【0061】
図4に示されているように、本発明の射出装置16は、本発明のバーナ/インジェクタパネル装置のバーナ/インジェクタパネル1の前記ボア11中に配置される。前記ボア11の形状は、実際に使用される射出装置16と、1つのボア11中に配置される射出装置16の数とによって異なる。先に述べたように、2つ以上のボア11が、前記バーナ/インジェクタパネル1中にあっても良い。1つのボアを有している場合と同じように、すべてのボア11は、前記第1の筒状の領域4と前記第2の遷移領域5と前記第2の筒状の領域6とから成る前記上側の面21に対して平行であるか、これと一直線上に延びていなければならない。
【0062】
本発明の第2の実施形態は、図7乃至図10に示されている。図7は、本発明のバーナ/インジェクタパネル1の新たな実施形態の正面等尺図である。この特定の実施形態では、前記バーナ/インジェクタパネル1は、取り付け端部2と、第1の遷移領域3と、第1の筒状の領域4のみから成る中間領域と、終端領域7とを有している。この実施形態のバーナ/インジェクタパネル1の前記取り付け端部2は、長方形もしくは正方形(図7及び図9参照)の形態であり得、前記バーナ/インジェクタパネル1の主部から離して配置されておりバーナ/インジェクタパネル1を炉壁に取り付け得るように適合された後面9を有している。この特定の実施形態では、前記パネル1は、炉用レンガ即ち耐火レンガから成る厚い壁14を有する炉内に収容されるように設定されている。従って、この特定の実施形態の前記取り付け端部2は、先に説明された本発明の第1の実施形態に示された比較的薄い取り付け端部2より、奥行きの厚い取り付け端部2を有している。特に、図10に示されているように、前記取り付け端部2は、この取り付け端部2が前記炉壁14の炉内レンガ即ち耐火レンガ23の全範囲を貫通するために十分な奥行きを有している。従って、前記取り付け端部2の好ましい全体形状は、長方形か正方形であり、この取り付け端部2の(前記取り付け端部2の前面から前記後面9までの)奥行きは、多くの場合、前記パネル1が挿入される前記炉壁14の厚さによって異なる。この特定の実施形態に関しては、前記取り付け端部2が、前記炉壁14中に実際に配置されることが、重要である。従って、この実施形態に関しては、前記炉壁14への取り付けに関する説明は、スプリットラインを有しておらず厚い壁を有する炉内での、前記炉壁を貫通する取り付けも、含み得る。
【0063】
本発明の第1の実施形態のように、この第2の実施形態において、図9に示されている前記取り付け端部2の前記後面9は、前記取り付け端部2のこの後面9を前記炉壁14に取り付けることを可能にするボルト即ちねじ用のねじ穴10を有している。図7に例示されている実施形態の側面の断面図である図8に更に明らかなように、前記第1の遷移領域3で、前記パネル1は、前記取り付け端部2の形状及び大きさから、前記第1の遷移領域3の形態へと、第1の遷移を開始する。より詳しくは、例えば前記取り付け端部2が正方形の形状である第2の実施形態に関して、前記取り付け端部2は、この取り付け端部2の正方形の形状から、前記第1の筒状の領域4に対応した前記第1の遷移領域3の最後の部分のほぼ筒状の外形へと、変形し始める。
【0064】
更に図10に関しては、バーナ/インジェクタパネル装置が炉内に取り付けられた時、前記パネル1の前記吐出端部は、前記炉内を、前記金属ライン/融解ライン24へと、水平線から約35度乃至60度、好ましくは約45度の角度で、延びている(この水平線は、前記パネル1の前記吐出端部8から延び、前記炉の融解ライン24に対して平行である)。この角度は、図10の記号Φによって表されている。
【0065】
この実施形態に示されているように、前記第1の遷移領域13は、前記パネル1の前記第1の筒状の領域4と流体接続されており、この第1の筒状の領域4は、前記終端領域7と流体接続されている。前記第1の筒状の領域4は、前記第1の遷移領域とは異なり、外形の大きさ及び形状に係る遷移を含まず、代わりに、前記第1の筒状の領域4の全領域に渡って一定の外形を有している。
【0066】
先に述べたように、前記終端領域7は、回転楕円形状の外側の部分(前記金属ラインに面する部分)を有する半回転楕円形状であり、この回転楕円形状の部分は、前記バーナ/インジェクタパネル1の前記終端領域7の前記吐出端部8と称される。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態では、前記パネル1の前記ボア11は、多くの場合、チューブの形状を有する中空のキャビティである。前記ボア11は、少なくとも1つの前記射出装置16の挿入を可能にするために、前記取り付け端部2のところで開いている。また、前記ボア11は、前記吐出端部8のところで開いており、これによって、前記パネル1の前記ボア11中に配置された前記射出装置16からの生成物(酸素、酸素燃料など)の射出が可能となる。
【0067】
図8に更に示されているように、バーナ/インジェクタパネル装置は、前記取り付け端部2と前記遷移領域3と前記第1の筒状の領域4と前記終端領域7とに渡って延びているボア11を有している。この特定の実施形態では、第2の遷移領域を有しておらず、また前記取り付け端部2の奥行きに適合させるために、前記ボア自体が、前記吐出端部8の位置付けと、この吐出端部8での少なくとも1つの射出装置16からの生成物の最後の搬送とを果たすように、前記パネルの第1の遷移領域で遷移している。好ましい一実施形態(図示されていない)では、前記射出装置16の端部が、前記終端領域7の端部と同一平面上にある。図8のパネル1の前記ボア11は、直線でないことが重要である。この特定の実施形態では、前記ボア11と射出装置16とは、前記パネル装置からの前記射出装置16の吐出部が、前記終端領域7の端部とほぼ一直線上にあるように、これらの全長に沿った曲げを必要とする。上述の実施形態と同様に、この実施形態では、前記バーナ/インジェクタパネル1中の前記ボア11の角度は、前記ボア11が前記中間の領域(この場合前記第1の筒状の領域4)の前記上側の面21に対して平行であるように、設定されている。
【0068】
第1の実施形態と同様に、前記ボア11の形状は、変更可能である。図10に示されているように、本発明の前記射出装置16は、本発明のバーナ/インジェクタパネル装置の前記バーナ/インジェクタパネル1の前記ボア11中に配置される。前記ボア11の形状は、実際に使用される前記射出装置16と、1つのボア11中に配置される前記射出装置16の数とによって異なる。前記射出装置が前記ボア中に収容される時、装置を取り付けるブラケットが、少なくとも1つの射出装置を所定の位置に保持するのを助けるために、収容され得る。
【0069】
前記パネル1の構成に関わらず、炉に取り付けられるバーナ/インジェクタパネル装置は、流体冷却式の、好ましくは水冷式の、バーナ/インジェクタパネル1(図2及び図8参照)であり、このパネルは、(図2、図3、図8、図9に示されているような)少なくとも1つのボア11と、(図4及び図10に示されているような)少なくとも1つの射出装置16とを、有している。
【0070】
図4及び図10に更に示されているように、バーナ/インジェクタパネル装置は、前記炉壁14に前記パネル1を取り付けるための手段によって、前記炉壁14に代表的に取り付けられている。この手段は、前記取り付け端部2の前記後面9に配置されている。ラグと、ドリル・ドリフトと、フックと、ブラケットと、ねじもしくは溶接接続機構とのようなバーナ/インジェクタパネル装置を前記炉壁14に取り付けるための手段は、いくつでも利用可能であるが、代表的に、前記パネル1は、図4と図10とに示されているような取り付けプレート15によって、前記炉壁14に取り付けられ得る。図4のように前記炉が炉のスプリット(a furnace split)20を有する場合、前記取り付けプレート15は、更なる支持のために、耐火レンガの最上段の上部に当接し得る。前記パネル1が前記炉壁14に取り付けられると、前記射出装置16は、前記ボア11中に挿入され得、前記射出装置を取り付けるブラケット19の使用によって、更に固定され得る。前記ボア11をこのように構成することによって、このボア11は、前記炉壁14から前記パネル1全体を取り外す必要なく前記射出装置16を交換、変更、加工することを可能にする、という更なる効果を有する。前記射出装置16を取り外しのためには、前記射出装置16を取り外しできるように、前記取り付けブラケット19を取り外せば良いだけである。
【0071】
前記炉の動作中、前記炉内のスラグが、少なくとも2つの状態、即ち液体状と固体状とで、発生する。前記スラグが、沸騰し、破裂し、膨張し、及び/もしくはこれに似た状態である時、スラグの少なくとも一部が、前記バーナ/インジェクタパネル1の表面に接する。液体の状態のスラグが前記バーナ/インジェクタパネル1に所定の保護を与えるのに対して、固体の状態の前記スラグは、このバーナ/インジェクタパネル1に、よりずっと多くの保護を与える。従って、前記バーナ/インジェクタパネル1の更なる実施形態は、図1及び図7に示されているように、前記バーナ/インジェクタパネル1の前記第1の遷移領域3の前記上側の外面21に、少なくとも1つの成形された溝13を有している。前記バーナ/インジェクタパネル1の更なる実施形態は、前記第1の遷移領域3と、中間の領域4、もしくは領域4と領域5と領域6とから成る中間領域との前記上側の外面21に、前記成形された溝13を有し得る(図示されていない)。前記少なくとも1つの成形された溝13は、前述のように、V字型の溝を含めていくつもの異なる形状を有し得る。更なる実施形態では、数種類の溝の形状があっても良い(図示されていない)。前記溝13がある場合、前記溝13は、代表的に、前記バーナ/インジェクタパネル1の遷移領域の前記上側の面21に沿って方向付けられ得るが、前記溝13は、前記終端領域7の上側の領域にあっても良い。前記溝13が前記第1の遷移領域3の上側の外面21に沿って位置されている実施形態では、前記溝13は、前記バーナ/インジェクタパネル1の前記第1の遷移領域3に沿って、スラグを流すように作用する。前記溝13は、前記スラグが前記バーナ/インジェクタパネル1の周りに少なくとも部分的に固化した層を形成することができるように、前記スラグの流れを設定する。前記パネル1のスラグの前記少なくとも部分的に固化した層は、前記バーナ/インジェクタパネル1を少なくとも部分的に絶縁することができ、従ってこのバーナ/インジェクタパネル1をダメージから保護し、及び/もしくは、このバーナ/インジェクタパネル1の耐用年数を延長することができる。このパネル1の他の領域にある前記溝13に関しても、同じことが言える。
【0072】
バーナ/インジェクタパネル装置17の前記バーナ/インジェクタパネル1は、図2、図4、図8に示されているような流体冷却回路12を有する流体冷却システムを更に有しており、このシステムは、前記バーナ/インジェクタパネル1内に、前記射出装置16を収容した前記ボア11に対してほぼ軸方向に整列されている少なくとも1つの流体冷却回路12を有している。前述したように、前記流体冷却システムは、好ましくは水冷式システムである。図3及び図9に更に示されているように、前記取り付け端部2の前記後面9は、前記流体冷却回路12中に射出される流体のための入口手段12.1及び出口手段12.2をそれぞれ有している。前述の各実施形態では、前記流体冷却回路12は、好ましくは直線ではなく図2及び図8に示されているようなバーナ/インジェクタパネル1の形状に応じた経路即ちルートの形状を有している。一般的に、冷却効率を最大にするために、前記流体冷却回路12は、前記パネル1の形状に沿って延びるように、このパネル1の周面中に配置されている。更に、前記パネル1は、更なる冷却効率を提供するために、このパネル1に渡って形成されている少なくとも1つのボア11を取り囲む複数の流体冷却回路12を有していても良い。
【0073】
図4には詳しく示されておらず、本分野の当業者には容易に理解されるであろうが、前記炉は、前記炉壁14の表面から、またある程度は前記バーナ/インジェクタパネル1から熱を取り除くことを助けるために前記炉壁14内に配置される水冷式の炉用パネル18を、代表的に有していても良い。上記のように、種々の実施形態で、前記バーナ/インジェクタパネル1は、流体冷却回路12の形態の独立した流体冷却システムを有しているが、前記水冷式の炉用パネル18を利用することもできる。前記炉壁14及び/もしくはバーナ/インジェクタパネル1から熱を取り除くことによって、バーナ/インジェクタパネル1と射出装置16と前記炉との冷却による失敗の発生率を減じることができる。前記流体冷却回路12に関しては、一般的に、前記流体冷却回路12を通る流体の流れが増加するのに従って、前記バーナ/インジェクタパネル1の温度が、低下するか維持される。同時に、前記水冷式の炉用パネル18を通る流れが増加するのに従って、前記炉壁14とバーナインジェクタパネル1との温度も、低下するか維持される。前記バーナ/インジェクタパネル1と炉壁14との温度の維持もしくは低下によって、装置全体の耐用年数を延長することができる。
【0074】
図に示されている各実施形態のバーナインジェクタパネル1の構造は、一般のバーナ/インジェクタパネルより優れた種々の効果を有している。最も重要な効果は、小型の炉(容量が40トン以下のもの)のためのパネル1を設けるための実用的な手段を提供することである。また、より小型化し、更に表面積を最小限にすることによって、生産費と、熱の取り入れ/冷却と、前記射出装置16を保護する能力とに関する効率が良くなり、一方で、同時に、本発明のバーナ/インジェクタパネル1から前記金属ライン24までの距離が、狭められる。第1の実施形態では、本発明のバーナ/インジェクタパネル1は、少なくとも前記スプリットライン22(前記炉の上側のシェルと下側のシェルとが合わさるところ)に達することができる。図4に示されているような他の実施形態では、本発明のバーナ/インジェクタパネル1は、前記スプリットライン22を越えて、及び/もしくはこれより下方に延びている。この特定の実施形態では、前記装置は、前記炉のスプリットライン22の下方に、前記金属ライン24に向かって延びており、従って、酸素と、酸素燃料と、微粒子とのような種々の生成物を、少なくとも1つの前記射出装置16から射出することができる。前記炉がスプリットラインを有していない図10に示されているような更なる実施形態では、前記バーナ/インジェクタパネルは、前記炉用耐火レンガ23を越えて前記炉の金属ライン24に向かって、下方に延びることができる。
【0075】
本発明のパネル1は、いくつもの異なる種類の炉に使用され得るが、前記パネル1は、好ましくは、電気アーク炉に使用され、燃料と酸化用のガスと粒子との流れがすべて、前記パネル1を通り、前記電気アーク炉内のほぼ同じ位置に案内される。種々の流れを方向付け得ることによって、前記射出装置16は、超音速での酸化用のガスの射出による燃料の酸化、もしくは、前記スラグもしくは溶液中の酸化可能な構成要素の酸化、及び/もしくはこれらの組み合わせからの熱エネルギーによるスラグ/装荷物の局所的なスポットを加熱することが可能となる。
【0076】
更に、本発明は、バーナ/インジェクタパネル装置から炉内に生成物を射出する方法を提供する。この方法は、バーナ/インジェクタパネル装置から炉内に少なくとも1つの生成物を射出する最初の工程を有している。このバーナ/インジェクタパネル装置は、少なくとも1つの装置ボア11と少なくとも1つの射出装置16とを有している。またバーナ/インジェクタパネル1は、炉壁14から外方に少なくとも炉のスプリットライン22まで、もしくはこれより下方まで延びている。また、前記生成物は、補助的な熱エネルギーと、少なくとも1つの微粒子と、酸素と、これらの混合物とから選択される。
【0077】
説明された実施形態は、あらゆる観点で、例として見なされ得、制限するものではない。従って、本発明の範囲は、前述の説明よりも添付の請求項によって示されている。請求項の同義の意味や範囲内にある請求項への変更は、本発明の範囲内である。更に、本書に言及されている公開文書、特許、適用は、参照によって、全体が述べられているかのように、本書に組み入れられている。
【符号の説明】
【0078】
1…バーナ/インジェクタパネル、2…取り付け端部、3…第1の遷移領域、4…第1の筒状の領域、5…第2の遷移領域、6…第2の筒状の領域、7…終端領域、8…吐出端部、11…ボア、14…炉壁、16…射出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁(14)に取り付けられるバーナ/インジェクタパネル装置であって、このパネル装置は、
A)第1の端部と吐出端部とを有し、(a)前記第1の端部としての取り付け端部(2)と、(b)第1の遷移領域(3)と、(c)第1の筒状の領域(4)と、(d)選択的な第2の遷移領域(5)と、(e)選択的な第2の筒状の領域(6)と、(f)前記吐出端部(8)を有している終端領域(7)とを有するようにして形成されている、バーナ/インジェクタパネル(1)と、
B)このバーナ/インジェクタパネル(1)の前記第2の取り付け端部(2)と、前記第1の遷移領域(3)と、前記第1の筒状の領域(4)と、前記選択的な第2の遷移領域(5)と、前記選択的な第2の筒状の領域(6)と、前記終端領域(7)とを貫通している少なくとも1つのボア(11)と、
C)少なくとも1つの熱エネルギー源と、特定のインジェクタと、酸素インジェクタとの少なくとも1つから選択された少なくとも1つの射出装置(16)と、
を具備し、
前記終端領域(7)は、半回転楕円形状を有しており、
前記バーナ/インジェクタパネル(1)の前記取り付け端部(2)と、前記第1の遷移領域(3)と、前記第1の筒状の領域(4)と、前記選択的な第2の遷移領域(5)と、前記選択的な第2の筒状の領域(6)と、前記終端領域(7)とは、前記バーナ/インジェクタパネル(1)を貫通した前記少なくとも1つのボア(11)によって互いに流体接続されており、
前記第1の筒状の領域(4)と、選択された場合は前記第2の遷移領域(5)と、選択された場合は前記第2の筒状の領域(6)との各々は、前記少なくとも1つのボア(11)に対して平行に延びている上側の外面を有しており、
前記第2の遷移領域(5)の外形は、前記第1の筒状の領域(4)から前記第2の筒状の領域(6)まで偏心で拡大しており、
前記少なくとも1つの射出装置(16)は、前記少なくとも1つのボア(11)内に配置されており、
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、前記炉壁(14)に取り付けられた時に、前記バーナ/インジェクタパネル(1)の前記吐出端部(8)が、前記炉内の金属融解ラインに向かって延びるように、前記炉壁(14)から外方に及び下方に延びている、バーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項2】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、一体成形された部品である、請求項1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項3】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、前記取り付け端部(2)と、第1の遷移領域(3)と、第1の筒状の領域(4)と、第2の遷移領域(5)と、第2の筒状の領域(6)と、終端領域(7)とを具備する、請求項1または2に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項4】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、取り付け端部(2)と、第1の遷移領域(3)と、第1の筒状の領域(4)と、終端領域(7)とを具備する、請求項1または2に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項5】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)の前記吐出端部(8)は、水平線から35度乃至65度の角度で、好ましくは水平線から42乃至48度の角度で延びている、請求項1乃至4のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項6】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)の前記吐出端部(8)は、前記バーナ/インジェクタパネル(1)の底面が炉壁(14)に接している点から金属融解ライン(24)までの距離の約40%まで、好ましくは前記バーナ/インジェクタパネル(1)の底面が前記炉壁(14)に接している点から前記金属融解ライン(24)までの距離の約50%まで延びている、請求項1乃至5のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項7】
前記取り付け端部(2)の幅は、6インチ乃至10インチ(約15.24cm乃至約25.4cm)であり、この取り付け端部(2)の高さは、11インチ乃至17インチ(約27.94cm乃至約43.18cm)であり、前記バーナ/インジェクタパネル(1)の他の部分の最も広い領域の幅が、5インチ乃至10インチ(約15.24cm乃至約25.4cm)であり、前記バーナ/インジェクタパネル(1)の全長が、8インチ乃至38インチ(約20.32cm乃至約96.52cm)である、請求項1乃至6のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項8】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、このバーナ/インジェクタパネル(1)の周面に沿って配置されている流体冷却式回路(12)を使用して流体冷却される、請求項1乃至7のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項9】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、1つのボア(11)を有しており。このボア(11)内に1つの射出装置(16)が配置されている請求項1乃至8のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項10】
1つの更なる射出装置(16)が、前記バーナ/インジェクタパネル(1)の前記1つのボア(11)に配置されている、請求項9に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項11】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、このバーナ/インジェクタパネル(1)の前記第1の遷移領域(3)の上側の外面(21)に沿って、複数の成形された溝(13)を更に具備する請求項1乃至10のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項12】
前記バーナ/インジェクタパネル(1)は、前記第1の筒状の領域(4)と、前記選択的な第2の遷移領域(5)と、前記選択的な第2の筒状の領域(6)との上側の外面に沿って、複数の成形された溝(13)を更に具備する請求項1乃至11のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項13】
前記炉は、電気アーク炉である、請求項1乃至12のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置。
【請求項14】
A)上側のシェルと下側のシェルと炉のスプリットラインとから成る炉壁を有し、電気アークを使用する炉本体と、
B)請求項1乃至12のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置と、
を具備する電気アーク炉。
【請求項15】
酸素燃料と、粒子もしくは酸素を含むガスと、これらの混合物とから選択された生成物を、バーナ/インジェクタパネル装置から炉内に射出する方法であり、この方法は、
A.請求項1乃至12のいずれか1に記載のバーナ/インジェクタパネル装置を有する炉を提供する工程と、
B. このバーナ/インジェクタパネル装置の吐出端部から前記炉の金属融解ラインに向かって少なくとも1つの生成物を射出する工程と、
を具備する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−517759(P2011−517759A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502052(P2011−502052)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038387
【国際公開番号】WO2009/120858
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】