説明

パイプと被接合部材との接合構造体

【課題】被接合部材がパイプに接合された状態においてパイプの周壁部の外周面の周方向の全体がその軸方向に分断されるのを防止することができるパイプと被接合部材との接合構造体を提供する。
【解決手段】被接合部材(ブラケット)20の外挿部22の周方向の一部には、第1切欠き部23が外挿部22の軸方向に延びて形成されている。パイプ(サポートビーム本体)10が被接合部材20の外挿部22の挿通孔21に挿通されている。パイプ10が拡管加工されることにより、被接合部材20がパイプ10に接合固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプと被接合部材との接合構造体及び接合方法に関する。この接合構造体及び接合方法は、例えば、車両(例:自動車)用ステアリングサポートビーム及びその製造方法に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
自動車の前部のインストルメントパネルの内部には、車体の左右のフロントピラー間にステアリングサポートビームが架設されている。このようなステアリングサポートビームが配置されることによって、車体の側面からの衝突等による衝撃に対して十分な剛性、強度が確保される。このステアリングサポートビームでは、中空部を有するサポートビーム本体に複数の取付用ブラケットが溶接固定されており、これら取付用ブラケットにそれぞれ各種車載部品が取付固定される。
【0003】
さらに、車載部品のハーネス(ワイヤハーネス)は、一般に、サポートビーム本体にその軸方向に沿って保持される。ハーネスをサポートビーム本体に保持させる方法として、サポートビーム本体の中空部を横断状に仕切る隔壁部に設けられた切欠き部にハーネスを係止保持させる方法や、サポートビーム本体にその軸方向に延びて設けられた空間にハーネスを収容保持させる方法などが知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
【0004】
ところで、特開2007−275932号公報(特許文献3)は、拡管接合と称される方法によりブラケットをサポートビーム本体に取り付ける方法を開示している。この方法では、サポートビーム本体にブラケットを外挿した状態でサポートビーム本体が拡管加工(エキスパンド加工)され、これによりブラケットがサポートビーム本体に接合固定される。
【0005】
この拡管接合方法によれば、ブラケットを溶接によりサポートビーム本体に接合する方法に比べて、容易にブラケットを接合できる等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−18841号公報
【特許文献2】特開2003−237633号公報
【特許文献3】特開2007−275932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この拡管接合方法には次のような欠点があった。
【0008】
従来のブラケットは、サポートビーム本体に外挿される外挿部を有しているが、この外挿部は周方向の全周に亘って連続した環状に形成されるとともに、該外挿部の内側にサポートビーム本体が挿通される挿通孔が形成されている。そのため、この挿通孔にサポートビーム本体を挿通した状態でサポートビーム本体を拡管加工すると、サポートビーム本体の周壁部の外周面の周方向の全体がその軸方向に外挿部にて分断される。その結果、ハーネスをサポートビーム本体にその軸方向に沿って保持させる際にハーネスが外挿部に干渉してしまい、ハーネスのサポートビーム本体への保持作業が困難になるという欠点があった。さらに、外挿部を跨いでハーネスをサポートビーム本体に保持させなければならないので、ハーネスの長さが長くなるという欠点もあった。
【0009】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、ブラケット等の被接合部材をサポートビーム本体等のパイプに容易に接合することができ、更に、被接合部材がパイプに接合された状態においてパイプの周壁部の外周面の周方向の全体がその軸方向に分断されるのを防止することができるパイプと被接合部材との接合構造体、及び、該接合構造体に好適に用いられるパイプと被接合部材との接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1] 中空部を有するパイプと、
前記パイプが挿通される挿通孔が設けられた外挿部を有するとともに、前記外挿部の周方向の一部に前挿通孔と前記外挿部の外側とを連通する第1切欠き部が前記外挿部の軸方向に延びて形成された被接合部材と、を備え、
前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されるとともに、
前記パイプが拡管加工されて前記被接合部材が前記パイプに接合固定されていることを特徴とするパイプと被接合部材との接合構造体。
【0012】
[2] 前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記中空部と前記周壁部の外側とを連通する第2切欠き部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの中空部が前記第2切欠き部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されている前項1記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0013】
[3] 前記パイプの周壁部における前記第2切欠き部の両側端部が、前記被接合部材の外挿部における前記第1切欠き部の両側端部に前記周壁部の周方向に係止されている前項2記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0014】
[4] 前記第1切欠き部に、第1切欠き部を閉塞する閉塞部材が第1切欠き部と前記第2切欠き部とに連通した状態に嵌合されている前項2又は3記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0015】
[5] 前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の内側に凹むとともに前記周壁部の外側に向けて開口した開口部を有する凹条部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの凹条部の内部が前記開口部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されている前項1記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0016】
[6] 前記第1切欠き部に、第1切欠き部を閉塞する閉塞部材が第1切欠き部と前記開口部とに連通した状態に嵌合されている前項5記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0017】
[7] 前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の外側に突出した突条部が前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの突条部が前記被接合部材の第1切欠き部の内側を軸方向に通過するように、前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されている前項1記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0018】
[8] 前記パイプの突条部の少なくとも基部が前記被接合部材の第1切欠き部に嵌合されている前項7記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0019】
[9] 前記パイプの周壁部には、前記中空部を複数個に仕切る隔壁部が前記周壁部の軸方向に延びて一体形成されている前項1〜8のいずれかに記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【0020】
[10] 中空部を有するパイプと、
前記パイプが挿通される挿通孔が設けられた外挿部を有するとともに、前記外挿部の周方向の一部に前挿通孔と前記外挿部の外側とを連通する第1切欠き部が前記外挿部の軸方向に延びて形成された被接合部材と、を準備し、
前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通し、
その後、前記パイプを拡管加工して前記被接合部材を前記パイプに接合固定することを特徴とするパイプと被接合部材との接合方法。
【0021】
[11] 前記パイプの拡管加工は、周方向に複数個のセグメントに分割されるとともに前記中空部に配置された拡管加工用ダイによって前記周壁部を半径外方向に押圧することにより、行う前項10記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【0022】
[12] 前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記中空部と前記周壁部の外側とを連通する第2切欠き部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの中空部が前記第2切欠き部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通し、
前記ダイによって前記周壁部を半径外方向に押圧すると同時に、前記周壁部における第2切欠き部の両側端部を、当該両側端部が前記被接合部材の外挿部における第1切欠き部の両側端部に前記周壁部の周方向に係止されるように、前記ダイのセグメントに設けられた曲げ加工用凸部で前記周壁部の半径外方向に押し曲げる前項11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【0023】
[13] 前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の内側に凹むとともに前記周壁部の外側に向けて開口した開口部を有する凹条部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの凹条部の内部が前記開口部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通する前項10又は11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【0024】
[14] 前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の外側に突出した突条部が設けられており、
前記パイプの突条部が前記被接合部材の第1切欠き部の内側を軸方向に通過するように、前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通する前項10又は11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【0025】
[15] 前記ダイによって前記周壁部を半径外方向に押圧すると同時に、前記周壁部における第1切欠き部の内側部分を、当該内側部分が第1切欠き部に嵌合するように、前記ダイのセグメントに設けられた膨出加工用凸部で前記周壁部の半径外方向に押圧して膨出させる前項11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【0026】
[16] 前記被接合部材の外挿部の外側に配置された規制部材により前記外挿部の外側への変形量を規制した状態で、前記周壁部を半径外方向に押圧する前項10〜15のいずれかに記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明は以下の効果を奏する。
【0028】
なお本明細書では、パイプに被接合部材が接合された状態において、パイプの周壁部の周方向の荷重に対する被接合部材の接合強度を被接合部材の「捻り強度」といい、パイプの周壁部の軸方向の荷重に対する被接合部材の接合強度を被接合部材の「抜け強度」という。
【0029】
[1]の発明では、パイプが被接合部材の挿通孔に挿通されるとともに、パイプが拡管加工されて被接合部材がパイプに接合固定されているので、被接合部材を溶接によりパイプに接合する方法に比べて、容易に被接合部材を接合することができる。
【0030】
さらに、被接合部材の外挿部の周方向の一部に第1切欠き部が外挿部の軸方向に延びて形成されているので、被接合部材がパイプに接合された状態においてパイプの周壁部の外周面の周方向の全体はその軸方向に完全には分断されておらず、周壁部の外周面の周方向の一部が外挿部の第1切欠き部にて軸方向に連続している。これにより、パイプの周壁部における第1切欠き部の内側を有効に利用することができる。その利用例を挙げると、線状部材や棒状部材(以下「線状部材等」と記する)がパイプの周壁部における第1切欠き部の内側を周壁部の軸方向に通過するように線状部材等を配置することにより、線状部材等をパイプにその軸方向に沿って保持させる際に線状部材等が外挿部に干渉する不具合を防止することができる。これにより、線状部材等をパイプに容易に取付け保持させることができるし、線状部材等の長さを短くすることができる。
【0031】
しかも、被接合部材の外挿部に第1切欠き部が形成されているので、接合構造体の軽量化を図ることができる。
【0032】
[2]の発明では、パイプの中空部が第2切欠き部と第1切欠き部とを通じて外挿部の外側に連通しているので、パイプの中空部も有効に利用することができ、例えば、中空部を線状部材等用収容保持部として利用することができる。この場合でも、線状部材等をパイプの中空部にその軸方向に沿って外挿部の外側から収容保持させる際に線状部材等が外挿部に干渉しない。そのため、線状部材等の保持作業を容易に行うことができる。
【0033】
[3]の発明では、パイプの周壁部における第1切欠き部の両側端部が、被接合部材の外挿部における第1切欠き部の両側端部に周壁部の周方向に係止されている。そのため、被接合部材の捻り強度を向上させることができる。
【0034】
[4]の発明では、第1切欠き部に、第1切欠き部を閉塞する閉塞部材が第1切欠き部と第2切欠き部とに連通した状態に嵌合されているので、パイプと被接合部材の剛性を向上させることができるし、被接合部材の捻り強度を向上させることができる。さらに、例えば、パイプの中空部に線状部材等が収容保持されている場合には、線状部材等が不慮に外挿部の外側へ脱落するのを防止することができる。
【0035】
[5]の発明では、パイプの凹条部の内部が開口部と第1切欠き部とを通じて外挿部の外側に連通しているので、パイプの凹条部の内部も有効に利用することができ、例えば、凹条部の内部を線状部材等用収容保持部として利用することができる。この場合でも、線状部材等をパイプの凹条部の内部にその軸方向に沿って収容保持させる際に線状部材等が外挿部に干渉しない。そのため、線状部材等の保持作業を容易に行うことができる。
【0036】
[6]の発明では、第1切欠き部に、第1切欠き部を閉塞する閉塞部材が第1切欠き部と開口部とに連通した状態に嵌合されているので、パイプと被接合部材の剛性を向上させることができるし、被接合部材の捻り強度を向上させることができる。さらに、例えばパイプの凹条部の内部に線状部材等が収容保持されている場合には、線状部材等が不慮に外挿部の外側へ脱落するのを防止することができる。
【0037】
[7]の発明では、パイプの突条部が被接合部材の第1切欠き部の内側を軸方向に通過しているので、被接合部材の捻り強度を向上させることができるし、更に、パイプの突条部も有効に利用することができ、例えば、突条部を線状部材等用保持部として利用することができる。この場合でも、線状部材等をパイプの突条部にその軸方向に沿って保持させる際に線状部材等が外挿部に干渉しない。そのため、線状部材等の保持作業を容易に行うことができる。
【0038】
[8]の発明では、パイプの突条部の少なくとも基部が被接合部材の第1切欠き部に嵌合されているので、被接合部材の捻り強度を更に向上させることができる。
【0039】
[9]の発明では、パイプの周壁部には、中空部を複数個に仕切る隔壁部が周壁部の軸方向に延びて一体形成されているので、パイプの剛性を向上させることができる。
【0040】
[10]の発明では、上記[1]の発明に係る接合構造体を確実に製造することができる。
【0041】
[11]の発明では、パイプの拡管加工を確実に行うことができる。
【0042】
[12]の発明では、上記[3]の発明に係る接合構造体を確実に且つ容易に製造することができる。
【0043】
[13]の発明では、上記[5]の発明に係る接合構造体を確実に製造することができる。
【0044】
[14]の発明では、上記[7]の発明に係る接合構造体を確実に製造することができる。
【0045】
[15]の発明では、パイプの周壁部における第1切欠き部の内側部分を、当該内側部分が第1切欠き部に嵌合するように、ダイのセグメントの膨出加工用凸部で周壁部の半径外方向に押圧して膨出させるので、被接合部材の捻り強度を向上させることができる。さらに、被接合部材の捻り強度が高い接合構造体を確実に且つ容易に製造することができる。
【0046】
[16]の発明では、規制部材により外挿部の外側への変形量を規制した状態で、周壁部を半径外方向に押圧するので、被接合部材のパイプとの接合強度を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの斜視図である。
【図2】図2は、同ステアリングサポートビームを別の方向から見た斜視図である。
【図3A】図3Aは、図1中のX−X線横断面図である。
【図3B】図3Bは、図1中のY−Y線縦断面図である。
【図4】図4は、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工する前の状態の斜視図である。
【図5A】図5Aは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工する前の状態の横断面図である。
【図5B】図5Bは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工する前の状態の縦断面図である。
【図6A】図6Aは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工した状態の横断面図である。
【図6B】図6Bは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工した状態の縦断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第2実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームのサポートビーム本体を規制部材を用いて拡管加工する前の状態の横断面図である。
【図7B】図7Bは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を規制部材を用いて拡管加工した状態の横断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の第3実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工する前の状態の横断面図である。
【図8B】図8Bは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工した状態の横断面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の第4実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工する前の状態の横断面図である。
【図9B】図9Bは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工した状態の横断面図である。
【図10】図10は、本発明の第5実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの横断面図である。
【図11】図11は、本発明の第6実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの横断面図である。
【図12】図12は、本発明の第7実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの横断面図である。
【図13】図13は、本発明の第8実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの横断面図である。
【図14】図14は、本発明の第9実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの横断面図である。
【図15】図15は、本発明の第10実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの横断面図である。
【図16】図16は、本発明の第11実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの横断面図である。
【図17】図17は、本発明の第12実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの斜視図である。
【図18A】図18Aは、本発明の第13実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工する前の状態の横断面図である。
【図18B】図18Bは、同ステアリングサポートビームのサポートビーム本体を拡管加工した状態の横断面図である。
【図19】図19は、本発明の第14実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの斜視図である。
【図20】図20は、本発明の第15実施形態に係る接合構造体としてのステアリングサポートビームの斜視図である。管加工した状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
次に、本発明の複数の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0049】
図1〜6Bは、本発明の第1実施形態に係るパイプと被接合部材との接合構造体及びパイプと被接合部材との接合方法を説明するための図である。
【0050】
本第1実施形態の接合構造体は、車両用ステアリングサポートビーム1Aである。ステアリングサポートビーム1Aは、車両としての自動車の前部のインストルメントパネルの内部において車体の左右のフロントピラー間に配置されて両フロントピラーに連結固定されるものである。
【0051】
図1及び2に示すように、このステアリングサポートビーム1Aは、中空部を有するパイプとしてのサポートビーム本体10と、複数個の被接合部材としての複数個の取付用ブラケット20とを備えている。すなわち、本第1実施形態では、サポートビーム本体10がパイプに対応し、ブラケット20が被接合部材に対応し、ステアリングサポートビーム1Aが接合構造体に対応している。
【0052】
サポートビーム本体10は、断面円形状の中空部11を有する管状体からなる。このサポートビーム本体10に複数個の取付用ブラケット20が接合固定されている。
【0053】
これらブラケット20のうち、一対のフロントピラー取付用ブラケット20D、20Dは、サポートビーム本体10の両端部に接合固定されおり、ステアリング取付用ブラケット20C、一対の取付用センターブラケット20B、20B及び一対のエアバックユニット取付用ブラケット20A、20Aは、サポートビーム本体10の軸方向中間部の所定位置にそれぞれ接合固定されている。
【0054】
サポートビーム本体10は、金属押出材製であり、詳述するとアルミニウム(その合金を含む)やマグネシウム(その合金を含む)等の軽金属押出材製である。サポートビーム本体10の外径は例えば100mm、肉厚は例えば4mm、長さは例えば1000mmである。ただし本発明では、サポートビーム本体10の各寸法は上記の値であることに限定されるものではない。
【0055】
さらに、図2及び3Aに示すように、サポートビーム本体10の周壁部12は、基本的には横断面円環状に形成されるとともに、該周壁部12の周方向の一部に、中空部11と周壁部12の外側とを連通する帯状の切欠き部13が、周壁部12の全長さ領域に亘って周壁部12の軸方向に真直に延びて形成されている。この切欠き部13によって周壁部12がその周方向に分断されており、その結果、周壁部12の横断面形状がC字状に形成されている。切欠き部13の幅は例えば10〜50mmの範囲に設定されており、具体的には20mmに設定されている。
【0056】
ここで以下では、この切欠き部13について特許請求の範囲の記載と整合させるため「第2切欠き部13」と記する。
【0057】
図3A及び3Bに示すように、サポートビーム本体10の中空部11は、車載部品のハーネス(ワイヤハーネス)30が収容保持されるものであり、即ちハーネス用収容保持部として利用されるものである。なお本第1実施形態では、ハーネス30が、サポートビーム本体10に保持される被保持部材としての線状部材に対応する。
【0058】
各ブラケット20は、金属製であり、詳述するとアルミニウムやマグネシウム等の軽金属製又は軽金属押出材製である。
【0059】
これらのブラケット20の構成について、エアバックユニット取付用ブラケット20(20A)を代表にして以下に説明する。
【0060】
ブラケット20は、軽金属押出材製であり、サポートビーム本体10に外挿される外挿部22と、外挿部22の外周面から外側へ突出した板片状の突出部24とを有している。外挿部22には、サポートビーム本体10が挿通される挿通孔21が外挿部20の軸方向に貫通して設けられている。外挿部22の内径(即ち挿通孔21の直径)は、拡管加工前のサポートビーム本体10の直径よりも若干大きく設定されており、例えばサポートビーム本体10の直径よりも約1mm大きく設定されている。外挿部22の肉厚は例えば10mm、外挿部22の軸方向の長さは例えば40mmである。ただし本発明では、外挿部22の各寸法は上記の値であることに限定されるものではない。
【0061】
さらに、ブラケット20の外挿部22は、基本的には横断面円環状に形成されるとともに、該外挿部22の周方向の一部に、挿通孔21と外挿部22の外側とを連通する帯状の切欠き部23が、外挿部22の全長さ領域に亘って外挿部22の軸方向に真直に延びて形成されている。この切欠き部23によって外挿部22がその周方向に分断されており、その結果、外挿部22の横断面形状がC字状に形成されている。切欠き部23の幅は例えば10〜50mmの範囲に設定されており、具体的には20mmに設定されている。なお本発明では、切欠き部23の幅は、第2切欠き部13の幅よりも小さくても大きくても良く、また同じであっても良い。
【0062】
ここで以下では、この切欠き部23について特許請求の範囲の記載と整合させるため「第1切欠き部23」と記する。
【0063】
このブラケット20の外挿部22と同様に他のブラケット20の外挿部22が構成されている。
【0064】
本第1実施形態のステアリングサポートビーム1Aによれば、図3A及び3Bに示すように、サポートビーム本体10は、その中空部11が第2切欠き部13と第1切欠き部23とを通じてブラケット20の外挿部22の外側に連通するように、ブラケット20の挿通孔21に挿通されている。そしてこの状態で、サポートビーム本体10の周壁部12の挿通孔21への挿通部分12dとその軸方向両側近傍部分12e、12deとが拡管加工(エキスパンド加工)されており(図3B参照)、これにより、ブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定されている。また、サポートビーム本体10の周壁部12の周方向における第2切欠き部13と第1切欠き部23との相互位置は、一致している(図3A参照)。
【0065】
なお、サポートビーム本体10の挿通部分12dとその軸方向両側近傍部分12e、12eとからなる部位は、サポートビーム本体10の周壁部12の「拡管加工予定部」である。
【0066】
このようにブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定された状態において、サポートビーム本体10の挿通部分12dは、拡管加工によって、外側に膨出するように局部的に塑性変形されている。更に、その両側近傍部分12e、12eは、拡管加工によって、外側に膨出するように局部的に塑性変形されており、そのため、当該両部分12e、12eに、それぞれ、周壁部12の周方向に連続する断面円弧状の膨出部Bが局部的に形成されている。両膨出部B、Bは、ブラケット20のサポートビーム本体10への接合位置がサポートビーム本体10の周壁部12の軸方向に不慮にずれるのを防止するためのものであり、両膨出部B、Bによってブラケット20の抜け強度が向上している。
【0067】
さらに、サポートビーム本体10の中空部11に車載部品のハーネス30がサポートビーム本体10の周壁部12の軸方向に沿って収容保持されている。
【0068】
次に、本第1実施形態のステアリングサポートビーム1Aの製造方法(即ち、パイプと被接合部材との接合方法)について以下に説明する。
【0069】
図4に示すように、上記サポートビーム本体10と上記各ブラケット20とをそれぞれ準備する。
【0070】
さらに、図4〜5Bに示すように、サポートビーム本体10の周壁部12(詳述すると、周壁部12の各拡管加工予定部位12d、12e、12e)を拡管加工する拡管加工装置40を準備する。拡管加工装置40は、エキスパンド加工装置とも称されるものである。
【0071】
拡管加工装置40は、図4に示すようにダイ41とマンドレル45とを備えている。ダイ41は、その中心部に楔孔部43が軸方向に延びて設けられており、この楔孔部43を中心にして周方向に複数個のセグメント42に分割されている。ダイ41の外周面における各ブラケット20の接合位置に対応した位置には、それぞれ軸方向に離間した一対の押圧凸部44、44が周方向の全周に亘って設けられている。押圧凸部44は、サポートビーム本体10の周壁部12の所定部位12eにその周方向に連続する膨出部Bを局部的に形成するものであり、その断面形状は円弧状である。マンドレル45の先端部には、楔孔部43に対応する楔部46が形成されている(図5B参照)。楔部46は先細り状であり、その横断面形状は円形状である。なお本発明では、楔部46及び楔孔部43の横断面形状は円形状であることに限定されるものではなく、その他に例えば多角形状であっても良い。
【0072】
次いで、図4に示すように、サポートビーム本体10を、その中空部11が第2切欠き部13と各第1切欠き部23とを通じて各外挿部22の外側に連通するように、各ブラケット20の挿通孔21に挿通する。
【0073】
その後、拡管加工装置40によってサポートビーム本体10の各ブラケット対応部分(即ち各拡管加工予定部位12d、12e、12e)を一括して同時に拡管加工する。この拡管加工は以下のように行われる。
【0074】
ダイ41をサポートビーム本体10の中空部11にその軸方向に挿入配置する。そして、図5A及び5Bに示すように、マンドレル駆動装置(図示せず)によってマンドレル45の楔部46をダイ41の楔孔部43に強制的に挿入することにより、ダイ41の各セグメント42を半径外方向に移動させる。これにより、図6A及び6Bに示すように、各セグメント42で、サポートビーム本体10の周壁部12の各挿通部分12d及びその軸方向両側近傍部分12e、12eを一括して同時に半径外方向に押圧し、これらの部分12d、12e、12eを塑性変形させて拡管加工する。その結果、各ブラケット20の外挿部22がサポートビーム本体10の周壁部12の外周面に圧接されて、各ブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定される。
【0075】
次いで、マンドレル45の楔部46をダイ41の楔孔部43から抜出するとともに、ダイ41をサポートビーム本体10の中空部11から抜出する。
【0076】
その後、ハーネス30を、各外挿部22の外側から各第1切欠き部23及び第2切欠き部13を通じてサポートビーム本体10の中空部11にその軸方向に沿って収容保持させる。
【0077】
以上の工程により、図1〜3Bに示した上記ステアリングサポートビーム1Aが得られる。
【0078】
本第1実施形態のステアリングサポートビームA及びその製造方法には次の利点がある。
【0079】
サポートビーム本体10が各ブラケット20の外挿部22の挿通孔21に挿通されるとともに、サポートビーム本体10が拡管加工されることで各ブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定されているので、ブラケット20を溶接によりサポートビーム本体10に接合する方法に比べて、容易にブラケット20を接合することができる。しかも、各ブラケット20がサポートビーム本体10に一括して接合されるので、各ブラケット20を更に容易に接合することができる。
【0080】
さらに、サポートビーム本体10の中空部11はハーネス30が収容保持されるもの(即ちハーネス用収容保持部)であり、サポートビーム本体10の中空部11が第2切欠き部13と各第1切欠き部23とを通じて各外挿部22の外側に連通している。したがって、ハーネス30を各外挿部22の外側から各第1切欠き部23及び第2切欠き部13を通じてサポートビーム本体10の中空部11に収容保持させることができる。すなわち、ハーネス30をサポートビーム本体10の中空部11に収容保持させる際にハーネス30が各外挿部22に干渉しない。そのため、ハーネス30の保持作業を容易に行うことができるし、ハーネス30をサポートビーム本体10に保持させるのに必要なハーネス30の長さを短くすることができる。
【0081】
しかも、ハーネス30がサポートビーム本体10の中空部11に収容保持されるので、ステアリングサポートビーム1Aの省スペース化を図ることができる。
【0082】
さらに、ブラケット20の外挿部22の一部に第1切欠き部23が形成されているので、ステアリングサポートビーム1Aの軽量化を図ることができる。その上、サポートビーム本体10の周壁部12の一部に第2切欠き部13が形成されているので、ステアリングサポートビーム1Aの更なる軽量化を図ることができる。
【0083】
以下、上記第1実施形態を変形した複数の実施形態(変形形態)について、図7A〜22Bに基づいて説明する。これらの図には、上記第1実施形態のステアリングサポートビーム1A及び拡管加工装置40の要素と同じ要素に同一の符号が付されている。各実施形態について上記第1実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0084】
図7A及び7Bは、本発明の第2実施形態に係るステアリングサポートビーム1Bの製造方法を説明する図である。
【0085】
本第2実施形態では、拡管加工装置40は、ダイ41とマンドレル45と更に規制部材47を備えている。この規制部材47は、拡管加工時にブラケット20の外挿部22が外側へ塑性変形しないように外挿部22の外側への変形量を規制するものであり、上部材47aと下部材47bとに二分割されており、上下両部材47a、47bの間にはブラケット20が配置される貫通孔48が形成される。
【0086】
本第2実施形態のステアリングサポートビーム1Aの製造方法では、サポートビーム本体10の拡管加工は以下のように行われる。
【0087】
図7Aに示すように、規制部材47の貫通孔48にブラケット20を配置することにより、ブラケット20の外挿部22の外側に外挿部22を包囲するように規制部材47を配置する。これにより、外挿部22の外側への変形量が規制部材47によって規制される。この状態で、サポートビーム本体10の周壁部12をダイ41の各セグメント42で半径外方向に押圧する。すると、外挿部22の外側への変形量が規制部材47により規制された状態で、周壁部12が拡管加工され、もってブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定される。その後、マンドレル45の楔部46をダイ41の楔孔部43から抜出するとともに、ダイ41をサポートビーム本体10の中空部11から抜出し、更に、規制部材47の貫通孔48からサポートビーム本体10及びブラケット20を取り出す。
【0088】
このブラケット20では、外挿部22が第1切欠き部23によってその周方向に分断されているので、外挿部22は拡管加工の際に外側へ塑性変形され易くなっている。もし外挿部22が外側へ塑性変形されると、ブラケット20のサポートビーム本体10との接合強度が低下するという欠点がある。
【0089】
これに対して、本第2実施形態では、ブラケット20の外挿部22の外側への変形量を規制部材47により規制した状態で、サポートビーム本体10の周壁部12が半径外方向に押圧されるため、第1切欠き部23によって外挿部22がその周方向に分断されている場合でも、外挿部22の塑性変形が防止される。これにより、ブラケット20のサポートビーム本体10との接合強度を確実に向上させることができる。
【0090】
図8A及び8Bは、本発明の第3実施形態に係るステアリングサポートビーム1C及びその製造方法を説明する図である。
【0091】
本第3実施形態では、図8Aに示すように、サポートビーム本体10の周壁部12の第2切欠き部13の幅が、ブラケット20の外挿部22の第1切欠き部23の幅よりも少し小さく設定されている。そして、サポートビーム本体10の中空部11が第2切欠き部13と第1切欠き部23とを通じて外挿部22の外側に連通するように、サポートビーム本体10がブラケット20の挿通孔21に挿通されている。この状態において、サポートビーム本体10の周壁部12における第2切欠き部13の両側端部12a、12aは、ブラケット20の外挿部22における第1切欠き部23の両側端部22a、22aの位置に対して第1切欠き部23の内側へはみ出している。そして、図8Bに示すように、この状態で、サポートビーム本体10の周壁部12が拡管加工装置40によって拡管加工されてブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定されており、更に、周壁部12の両側端部12a、12aが周壁部12の半径外方向に屈曲することで該両側端部12a、12aが外挿部22の両側端部22a、22a(詳述すると両側端部22a、22aの端面)に周壁部12の周方向に係止されている。
【0092】
拡管加工装置40のダイ41の複数個(本実施形態では4個)のセグメント42のうち、第2切欠き部13に対応するセグメント42の押圧面には、ダイ41の軸方向に延びた曲げ加工用凸部42aが形成されている。
【0093】
本第3実施形態のステアリングサポートビーム1Cの製造方法では、サポートビーム本体10の拡管加工は以下のように行われる。
【0094】
サポートビーム本体10の周壁部12をダイ41の各セグメント42で半径外方向に押圧すると同時に、周壁部12における第2切欠き部13の両側端部12a、12aを曲げ加工用凸部42aで周壁部12の半径外方向に押し曲げて、当該両側端部12a、12aを外挿部22の両側端部22a、22a(詳述すると両側端部22a、22aの端面)に周壁部12の周方向に係止する。すなわち、サポートビーム本体10の周壁部12の拡管加工を行うことにより、周壁部12における第2切欠き部13の両側端部12a、12aの曲げ加工が拡管加工と同時に行われる。したがって、ステアリングサポートビーム1Cを確実に且つ容易に製造することができる。
【0095】
本第3実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12の両側端部12a、12aが、ブラケット20の外挿部22の両側端部22a、22aに周壁部12の周方向に係止されている。そのため、ブラケット20の捻り強度を向上させることができる。
【0096】
図9A及び9Bは、本発明の第4実施形態に係るステアリングサポートビーム1D及びその製造方法を説明する図である。
【0097】
本第4実施形態では、上記第3実施形態と同様に、図9Aに示すように、サポートビーム本体10の周壁部12における第2切欠き部13の両側端部12a、12aが、ブラケット20の外挿部22における第1切欠き部23の両側端部22a、22aの位置に対して第1切欠き部23の内側へはみ出している。そして、図9Bに示すように、当該両側端部12a、12aが周壁部12の半径外方向に屈曲して該両側端部12a、12aが外挿部22の両側端部22a、22a(詳述すると両側端部22a、22aの角部)に周壁部12の周方向に係止されている。
【0098】
拡管加工装置40のダイ41の複数個(本実施形態では4個)のセグメント42のうち、第1切欠き部23に対応するセグメント42の押圧面には、ダイ41の軸方向に延びた曲げ加工用凸部42aが形成されている。この曲げ加工用凸部42aの突出量は、上記第4実施形態の曲げ加工用凸部42aの突出量よりも小さく設定されている。
【0099】
本第4実施形態のステアリングサポートビーム1Dの製造方法では、サポートビーム本体10の拡管加工は上記第3実施形態と同様に行われる。
【0100】
本第4実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12における第2切欠き部13の両側端部12a、12aが外挿部22の両側端部22a、22aに周壁部12の周方向に係止されている。そのため、ブラケット20の捻り強度を向上させることができる。
【0101】
図10は、本発明の第5実施形態に係るステアリングサポートビーム1Eを説明する図である。
【0102】
本第5実施形態では、上記第3実施形態と同様に、サポートビーム本体10の周壁部12の第2切欠き部13の幅が、ブラケット20の外挿部22の第1切欠き部23の幅よりも少し小さく設定されている。そして、サポートビーム本体10の中空部11が第2切欠き部13と第1切欠き部23とを通じて外挿部22の外側に連通するように、サポートビーム本体10がブラケット20の挿通孔21に挿通されている。この状態において、サポートビーム本体10の周壁部12における第2切欠き部13の両側端部12a、12aが、ブラケット20の外挿部22における第1切欠き部23の両側端部22a、22aの位置に対して第1切欠き部23の内側へはみ出している。そして、サポートビーム本体10の周壁部12が拡管加工されてブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定されている。なお、周壁部12の両側端部12a、12aは外挿部22の両側端部22a、22aに係止されるようには屈曲していない。また、サポートビーム本体10の中空部11にハーネス30が収容保持されている。
【0103】
図11は、本発明の第6実施形態に係るステアリングサポートビームを1F説明する図である。
【0104】
本第6実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12には、中空部11を二個に仕切る隔壁部14が周壁部12の軸方向に延びて一体形成されている。そして、二つに仕切られた中空部11の一方(第2切欠き部13側)にハーネス30が収容保持されている。このステアリングサポートビーム1Fのその他の構成は、上記第5実施形態のステアリングサポートビーム1Eと同じである。
【0105】
図12は、本発明の第7実施形態に係るステアリングサポートビーム1Gを説明する図である。
【0106】
本第7実施形態では、ブラケット20の外挿部22の第1切欠き部23に、第1切欠き部23を閉塞する閉塞部材26が、第1切欠き部23とサポートビーム本体10の周壁部12の第2切欠き部13とに外挿部22の外側から連通した状態に圧入嵌合されている。閉塞部材26は、金属押出材製であり、詳述すると軽金属押出材製である。閉塞部材26の軸方向の長さは外挿部22の軸方向の長さと略同じである。閉塞部材26の横断面形状は、先狭まり状に形成されており、具体的には略台形状又は略三角形状に形成されている。
【0107】
本第7実施形態のステアリングサポートビーム1Gの製造方法では、上記第1実施形態と同様にサポートビーム本体10を拡管加工し、その後、サポートビーム本体10の中空部11にハーネス30を収容保持する。次いで、閉塞部材26を第1切欠き部23に外挿部22の外側からハンマー等の圧入具を用いて閉塞部材26が第1切欠き部23と第2切欠き部13とに連通するように圧入嵌合する。その後、閉塞部材26が第1切欠き部23から不慮に抜出しないようにするため、必要に応じて閉塞部材26を外挿部22に溶接等により固着する。
【0108】
本第7実施形態では、第1切欠き部23に、閉塞部材26が第1切欠き部23と第2切欠き部13とに連通した状態に嵌合されているので、サポートビーム本体10とブラケット20の剛性を向上させることができるし、ブラケット20の捻り強度を向上させることができるし、サポートビーム本体10の中空部11に収容されたハーネス30が不慮に外挿部22の外側へ脱落するのを防止することができる。
【0109】
図13は、本発明の第8実施形態に係るステアリングサポートビーム1Hを説明する図である。
【0110】
本第8実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12の周方向の一部に、周壁部12の内側に凹むとともに周壁部12の外側に向けて開口した開口部17を有する凹条部16が、周壁部12の全長さ領域に亘って周壁部12の軸方向に真直に延びて形成されている。凹条部16の内部はハーネス30を収容保持するものであり、即ちハーネス用収容保持部として利用されるものである。
【0111】
ブラケット20の構成は、上記第1実施形態と同じであり、即ち、ブラケット20の外挿部22の周方向の一部に、挿通孔21と外挿部22の外側とを連通する第1切欠き部23が形成されている。
【0112】
本第8実施形態のステアリングサポートビーム1Hの製造方法では、サポートビーム本体10を、その凹条部16の内部が開口部17と第1切欠き部23とを通じて外挿部22の外側に連通するように、ブラケット20の挿通孔21に挿通する。その後、サポートビーム本体10の周壁部12を拡管加工装置(図示せず)により拡管加工し、これにより、ブラケット20をサポートビーム本体10に接合固定する。次いで、ハーネス30を外挿部22の外側から第1切欠き部23と開口部17とを通じて凹条部16の内部に収容保持する。
【0113】
本第8実施形態では、サポートビーム本体10がブラケット20の挿通孔21に挿通されるとともに、サポートビーム本体10が拡管加工されてブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定されているので、ブラケット20を溶接によりサポートビーム本体10に接合する方法に比べて、容易にブラケット20を接合することができる。
【0114】
さらに、サポートビーム本体10の凹条部16の内部はハーネス30が収容保持されるもの(即ち、ハーネス用収容保持部)であり、サポートビーム本体10の凹条部16の内部が開口部17と第1切欠き部23とを通じて外挿部22の外側に連通しているので、ハーネス30を外挿部22の外側から第1切欠き部23及び開口部17を通じてサポートビーム本体10の凹条部16の内部に収容保持させることができる。すなわち、ハーネス30をサポートビーム本体10の凹条部16の内部に収容保持させる際にハーネス30が外挿部22に干渉しない。そのため、ハーネス30の保持作業を容易に行うことができる。
【0115】
しかも、ハーネス30がサポートビーム本体10の凹条部16の内部に収容保持されるので、ステアリングサポートビーム1Hの省スペース化を図ることができる。
【0116】
さらに、本発明では、図示していないが、本第8実施形態のステアリングサポートビーム1Hについて、図12に示した第7実施形態と同様に、ブラケット20の第1切欠き部23に、第1切欠き部23を閉塞する閉塞部材(図示せず)を第1切欠き部23と開口部17とに連通して嵌合しても良い。この場合には、サポートビーム本体10とブラケット20の剛性を向上させることができるし、ブラケット20の捻り強度を向上させることができるし、サポートビーム本体10の凹条部16の内部に収容されたハーネス30が不慮に外挿部22の外側へ脱落するのを防止することができる。
【0117】
さらに、本発明では、図示していないが、本第8実施形態のステアリングサポートビーム1Hについて、図11に示した第6実施形態と同様に、サポートビーム本体10の周壁部12に中空部11を複数個に仕切る隔壁部(図示せず)が周壁部12の軸方向に延びて一体形成されていても良い。この場合には、サポートビーム本体10の剛性を向上させることができる。
【0118】
図14は、本発明の第9実施形態に係るステアリングサポートビーム1Iを説明する図である。
【0119】
本第9実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12の周方向の一部に、周壁部12の外側に突出した横断面略コ字状の突条部18が、周壁部12の全長さ領域に亘って周壁部12の軸方向に真直に延びて一体形成されている。さらに、この突条部18の突出方向の先端部には、ハーネス30を保持する横断面略L字状又は略U字状のハーネス保持部19が、突条部18の全長さ領域に亘って一体形成されている。
【0120】
ブラケット20の構成は、上記第1実施形態と同じであり、即ち、ブラケット20の外挿部22の周方向の一部に、挿通孔21と外挿部22の外側とを連通する第1切欠き部23が形成されている。
【0121】
本第9実施形態のステアリングサポートビーム1Iの製造方法では、サポートビーム本体10を、その突条部18がブラケット20の第1切欠き部23の内側を軸方向に通過するように且つ突条部18の先端部のハーネス保持部19が第1切欠き部23を通じて外挿部22の外側に突出するように、ブラケット20の挿通孔21に挿通する。その後、サポートビーム本体10の周壁部12を拡管加工装置(図示せず)により拡管加工し、これにより、ブラケット20をサポートビーム本体10に接合固定する。次いで、ハーネス30をハーネス保持部19に受けさせて保持させる。
【0122】
本第9実施形態では、サポートビーム本体10がブラケット20の外挿部22の挿通孔21に挿通されるとともに、サポートビーム本体10が拡管加工されてブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定されているので、ブラケット20を溶接によりサポートビーム本体10に接合する方法に比べて、容易にブラケット20を接合することができる。
【0123】
さらに、サポートビーム本体10の突条部18はハーネス保持部19を有しており、サポートビーム本体10の突条部18がブラケット20の第1切欠き部23の内側を軸方向に通過しているので、ハーネス30をサポートビーム本体10のハーネス保持部19に保持させる際にハーネス30が外挿部22に干渉しない。そのため、ハーネス30をサポートビーム本体10のハーネス保持部19に容易に保持させることができ、すなわちハーネス30の保持作業を容易に行うことができる。
【0124】
図15は、本発明の第10実施形態に係るステアリングサポートビーム1Jを説明する図である。
【0125】
本第10実施形態では、ブラケット20の外挿部22における第1切欠き部23の両側端部22a、22aがサポートビーム本体10の突条部18の基部18aを互いに反対側から挟んだ状態に、サポートビーム本体10の突条部18の基部18aがブラケット20の第1切欠き部23に嵌合されている。また、突条部18の基部18aの周壁部12側には、周壁部12の一部を構成する壁部12fが形成されている。このステアリングサポートビーム1Jの他の構成は、上記第9実施形態のステアリングサポートビーム1Iと同じである。
【0126】
本第10実施形態では、サポートビーム本体10の突条部18の基部18aがブラケット20の第1切欠き部23に嵌合されているので、ブラケット20の捻り強度を更に向上させることができる。
【0127】
図16は、本発明の第11実施形態に係るステアリングサポートビーム1Kを説明する図である。
【0128】
本第11実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12は、基本的には横断面多角環状に形成され、詳述すると横断面四角環状に形成されるとともに、更に、該周壁部12の周方向の一部に周壁部12の外側に突出した横断面略コ字状の突条部18が、周壁部12の全長さ領域に亘って周壁部12の軸方向に真直に延びて一体形成されている。さらに、突条部18の突出方向の先端部には、ハーネス保持部19が突条部18の全長さ領域に亘って一体形成されている。
【0129】
ブラケット20の外挿部22は、基本的には横断面多角環状に形成され、詳述すると横断面四角環状に形成されるとともに、更に、該外挿部22の周方向の一部に第1切欠き部23が形成されている。この第2切欠き部23によって外挿部22がその周方向に分断されており、その結果、外挿部22の横断面形状がC字状に形成されている。
【0130】
ブラケット20の外挿部22における第1切欠き部23の両側端部22a、22aがサポートビーム本体10の突条部18の基部18aを互いに反対側から挟んだ状態に、サポートビーム本体10の突条部18の基部18aがブラケット20の第1切欠き部23に嵌合されている。
【0131】
このステアリングサポートビーム1Kの他の構成は、上記第9実施形態のステアリングサポートビーム1Iと同じである。
【0132】
本第11実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12は、基本的には横断面多角環状に形成されるとともに、ブラケット20の外挿部22も周壁部12に対応して横断面多角環状に形成されている。そして、ブラケット20の挿通孔21にサポートビーム本体10が挿通されているので、ブラケット20の捻り強度を更に向上させることができる。
【0133】
また本発明では、図示していないが、本第9〜11実施形態のステアリングサポートビーム1H、1J、1Kについて、サポートビーム本体10の突条部18の基部18aではなく突条部18の突出方向の全部が第1切欠き部23に嵌合されていても良い。
【0134】
また上記第9〜11実施形態では、ポートビーム本体10の突条部18のハーネス保持部19は、ハーネス30を下から受けて保持するものであるが、本発明では、ハーネス保持部19はこれに限定されるものではなく、その他に、例えばハーネス30を係止保持するものであっても良い。
【0135】
図17は、本発明の第12実施形態に係るステアリングサポートビーム1Lを説明する図である。
【0136】
本第12実施形態では、ステアリングサポートビーム1Lは、エアバックユニット取付用ブラケット20Aの突出部24の断面形状が略三角形状である点を除いて、上記第1実施形態のステアリングサポートビーム1Aと同じである。このように、本発明ではブラケット20の突出部24の形状は、ブラケット20に取り付けられる車載部品に応じて様々に変更されるものである。
【0137】
図18A及び18Bは、本発明の第13実施形態に係るステアリングサポートビーム1M及びその製造方法を説明する図である。
【0138】
本第13実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12には第2切欠き部が設けられておらず、そのため、図18Aに示すように、周壁部12の横断面形状はその周方向の全周に亘って連続した円環状に形成されている。そして、図18Bに示すように、サポートビーム本体10の周壁部12が拡管加工装置40によって拡管加工されてブラケット20がサポートビーム本体10に接合固定されており、更に、周壁部12における第1切欠き部23の内側部分12gが第1切欠き部23に嵌合するように周壁部12の外側に膨出している。
【0139】
拡管加工装置40のダイ41の複数個のセグメント42のうち、第1切欠き部23に対応するセグメント42の押圧面には、ダイ41の軸方向に延びた膨出加工用凸部42bが形成されている。
【0140】
本第13実施形態のステアリングサポートビーム1Mの製造方法では、サポートビーム本体10の拡管加工は以下のように行われる。
【0141】
サポートビーム本体10の周壁部12をダイ41の各セグメント42で半径外方向に押圧すると同時に、周壁部12における第1切欠き部23の内側部分12gを膨出加工用凸部42bで周壁部12の半径外方向に押圧して周壁部12の外側に膨出させ、これにより当該内側部分12gを第1切欠き部23に嵌合させる。すなわち、サポートビーム本体10の周壁部12の拡管加工を行うことにより、周壁部12における第1切欠き部23の内側部分12gの膨出加工が拡管加工と同時に行われる。したがって、このステアリングサポートビーム1Mを確実に且つ容易に製造することができる。
【0142】
さらに、サポートビーム本体10の周壁部12における第1切欠き部23の内側部分12gが第1切欠き部23に嵌合されているので、ブラケット20の捻り強度を向上させることができる。
【0143】
上記第1〜13実施形態では、サポートビーム本体10に保持される被保持部材はハーネス30であるが、本発明では、ハーネス30に限定されるものではなく、その他の線状部材であっても良いし、棒状部材であっても良い。さらに本発明では、被保持部材は、以下に示す第13及び14実施形態のような支持部材31であっても良いし、あるいはその他の部材であっても良い。
【0144】
図19は、本発明の第14実施形態に係るステアリングサポートビーム1Nを説明する図である。
【0145】
本第14実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12には第2切欠き部が設けられておらず、そのため、周壁部12の横断面形状はその周方向の全周に亘って連続した円環状に形成されている。
【0146】
また、ブラケット20がサポートビーム本体10に接合された状態において、サポートビーム本体10の周壁部12の外周面の周方向の全体はその軸方向に完全には分断されておらず、周壁部12の外周面の周方向の一部が外挿部22の第1切欠き部23にて軸方向に連続している。
【0147】
このステアリングサポートビーム1Nでは、サポートビーム本体10の周壁部12における2個のブラケット20、20の第1切欠き部23、23の内側部分12g、12gに、コ字枠状の支持部材31の両脚部がボルトによって固定保持されている。支持部材31には車載部品が取付支持される。なお、支持部材31のサポートビーム本体10への取付けは、サポートビーム本体10の拡管加工の後で行われている。
【0148】
このステアリングサポートビーム1Nによれば、支持部材31のサポートビーム本体10への取付時に、支持部材31が外挿部22に干渉しない。そのため、支持部材31のサポートビーム本体10への取付け保持作業を容易に行うことができる。
【0149】
図20は、本発明の第15実施形態に係るステアリングサポートビーム1Pを説明する図である。
【0150】
本第15実施形態では、サポートビーム本体10の周壁部12の周方向の一部に、周壁部12の外側に突出した横断面略コ字状の突条部18が、周壁部12の全長さ領域に亘って周壁部12の軸方向に真直に延びて一体形成されている。そして、この突条部18は、各ブラケット20の第1切欠き部23の内側を軸方向に通過しており、更に、突条部18の突出方向における突条部18の基部18aから先端部までの全領域が第1切欠き部23に嵌合されている。
【0151】
このステアリングサポートビーム1Pでは、サポートビーム本体10の突条部18の先端部(詳述すると先端面)にコ字枠状の支持部材31の両脚部がボルトによって固定保持されている。なお、支持部材31のサポートビーム本体10への取付けは、サポートビーム本体10の拡管加工の前又は後で行われている。
【0152】
このステアリングサポートビーム1Pによれば、支持部材31のサポートビーム本体10への取付けがサポートビーム本体10の拡管加工の後で行われる場合においては、支持部材31のサポートビーム本体10への取付時に、支持部材31が外挿部22に干渉しない。そのため、支持部材31のサポートビーム本体10への取付け保持作業を容易に行うことができる。
【0153】
以上で本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に示したものであることに限定されるものではない。例えば、本発明は、これらの実施形態に適用された技術思想のなかから複数の技術思想を組み合わせたものであっても良い。
【0154】
また本発明では、サポートビーム本体10とブラケット20とが互いに同じ材質であっても良いし、異なる材質であっても良い。
【0155】
また本発明では、これらの実施形態に示したように複数個のブラケット20をサポートビーム本体10に一括して接合固定して良いし、あるいはブラケット20をサポートビーム本体10に一個ずつ接合しても良い。
【0156】
また本発明では、これらの実施形態に示したように、複数個のブラケット20の全部が外挿部22に第1切欠き部23が形成されたものであっても良いし、あるいは、複数個のブラケット20のうち少なくとも1個が外挿部22に第1切欠き部23が形成されたものでも良い。
【0157】
またこれらの実施形態は、パイプがサポートビーム本体10、被接合部材がブラケット20、接合構造体がステアリングサポートビーム1A〜1Pである場合を好適例として示したが、本発明は、このような場合であることに限定されるものではなく、パイプに被接合部材を接合して製造される様々な接合構造体に適用可能である。
【0158】
またこれらの実施形態は、パイプの周壁部における第1切欠き部の内側を有効に利用する好適例を示したものであり、本発明は必ずしもこれらの好適例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、パイプと被接合部材との接合構造体及び接合方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0160】
1A〜1L:ステアリングサポートビーム(接合構造体)
10:サポートビーム本体(パイプ)
11:中空部
12:周壁部
13:第2切欠き部
14:隔壁部
16:凹条部
17:開口部
18:突条部
18a:基部
19:ハーネス保持部
20:取付用ブラケット(被接合部材)
21:挿通孔
22:外挿部
23:第1切欠き部
26:閉塞部材
30:ハーネス(線状部材)
31:支持部材
40:拡管加工装置
41:ダイ
42:セグメント
42a:曲げ加工用凸部
42b:膨出加工用凸部
45:マンドレル
47:規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有するパイプと、
前記パイプが挿通される挿通孔が設けられた外挿部を有するとともに、前記外挿部の周方向の一部に前挿通孔と前記外挿部の外側とを連通する第1切欠き部が前記外挿部の軸方向に延びて形成された被接合部材と、を備え、
前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されるとともに、
前記パイプが拡管加工されて前記被接合部材が前記パイプに接合固定されていることを特徴とするパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項2】
前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記中空部と前記周壁部の外側とを連通する第2切欠き部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの中空部が前記第2切欠き部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されている請求項1記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項3】
前記パイプの周壁部における前記第2切欠き部の両側端部が、前記被接合部材の外挿部における前記第1切欠き部の両側端部に前記周壁部の周方向に係止されている請求項2記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項4】
前記第1切欠き部に、第1切欠き部を閉塞する閉塞部材が第1切欠き部と前記第2切欠き部とに連通した状態に嵌合されている請求項2又は3記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項5】
前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の内側に凹むとともに前記周壁部の外側に向けて開口した開口部を有する凹条部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの凹条部の内部が前記開口部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されている請求項1記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項6】
前記第1切欠き部に、第1切欠き部を閉塞する閉塞部材が第1切欠き部と前記開口部とに連通した状態に嵌合されている請求項5記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項7】
前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の外側に突出した突条部が前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの突条部が前記被接合部材の第1切欠き部の内側を軸方向に通過するように、前記パイプが前記被接合部材の挿通孔に挿通されている請求項1記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項8】
前記パイプの突条部の少なくとも基部が前記被接合部材の第1切欠き部に嵌合されている請求項7記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項9】
前記パイプの周壁部には、前記中空部を複数個に仕切る隔壁部が前記周壁部の軸方向に延びて一体形成されている請求項1〜8のいずれかに記載のパイプと被接合部材との接合構造体。
【請求項10】
中空部を有するパイプと、
前記パイプが挿通される挿通孔が設けられた外挿部を有するとともに、前記外挿部の周方向の一部に前挿通孔と前記外挿部の外側とを連通する第1切欠き部が前記外挿部の軸方向に延びて形成された被接合部材と、を準備し、
前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通し、
その後、前記パイプを拡管加工して前記被接合部材を前記パイプに接合固定することを特徴とするパイプと被接合部材との接合方法。
【請求項11】
前記パイプの拡管加工は、周方向に複数個のセグメントに分割されるとともに前記中空部に配置された拡管加工用ダイによって前記周壁部を半径外方向に押圧することにより、行う請求項10記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【請求項12】
前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記中空部と前記周壁部の外側とを連通する第2切欠き部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの中空部が前記第2切欠き部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通し、
前記ダイによって前記周壁部を半径外方向に押圧すると同時に、前記周壁部における第2切欠き部の両側端部を、当該両側端部が前記被接合部材の外挿部における第1切欠き部の両側端部に前記周壁部の周方向に係止されるように、前記ダイのセグメントに設けられた曲げ加工用凸部で前記周壁部の半径外方向に押し曲げる請求項11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【請求項13】
前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の内側に凹むとともに前記周壁部の外側に向けて開口した開口部を有する凹条部が、前記周壁部の軸方向に延びて形成されており、
前記パイプの凹条部の内部が前記開口部と前記第1切欠き部とを通じて前記外挿部の外側に連通するように、前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通する請求項10又は11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【請求項14】
前記パイプの周壁部の周方向の一部に、前記周壁部の外側に突出した突条部が設けられており、
前記パイプの突条部が前記被接合部材の第1切欠き部の内側を軸方向に通過するように、前記パイプを前記被接合部材の挿通孔に挿通する請求項10又は11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【請求項15】
前記ダイによって前記周壁部を半径外方向に押圧すると同時に、前記周壁部における第1切欠き部の内側部分を、当該内側部分が第1切欠き部に嵌合するように、前記ダイのセグメントに設けられた膨出加工用凸部で前記周壁部の半径外方向に押圧して膨出させる請求項11記載のパイプと被接合部材との接合方法。
【請求項16】
前記被接合部材の外挿部の外側に配置された規制部材により前記外挿部の外側への変形量を規制した状態で、前記周壁部を半径外方向に押圧する請求項10〜15のいずれかに記載のパイプと被接合部材との接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−194579(P2010−194579A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42521(P2009−42521)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】