パケット転送装置の制御方法及び制御装置
【課題】予測入力帯域を適切に決定することによって、パケット転送装置の消費電力を低減することができるパケット転送装置の制御方法及び制御装置を提供する。
【解決手段】複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置において、複数のパケット処理回路の動作を制御する。単位時間の間にパケット転送装置に入出力されるパケットのパケット情報の履歴を蓄積する第1の手順と、パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間にパケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する第2の手順と、パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間にパケット転送装置のキューに蓄積されたパケット数を算出する第3の手順と、単位時間毎の入力帯域と、単位時間毎のパケット数とに応じて、動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する第4の手順と、設定された制御情報に基づいて、複数のパケット処理回路の動作を制御する第5の手順とを含む。
【解決手段】複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置において、複数のパケット処理回路の動作を制御する。単位時間の間にパケット転送装置に入出力されるパケットのパケット情報の履歴を蓄積する第1の手順と、パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間にパケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する第2の手順と、パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間にパケット転送装置のキューに蓄積されたパケット数を算出する第3の手順と、単位時間毎の入力帯域と、単位時間毎のパケット数とに応じて、動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する第4の手順と、設定された制御情報に基づいて、複数のパケット処理回路の動作を制御する第5の手順とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット転送装置の制御方法に関し、特に、省電力にパケットを転送するためのパケット転送装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ルータ、スイッチなどのパケット転送装置の高速化には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのデバイスの数を多くしたり、パケット転送装置の動作周波数を高くしたりする必要がある。しかしながら、このような方法で高速化させると、パケット転送装置の消費電力が増加する。このため、パケット転送装置の消費電力を低減すること、すなわち高速化に伴う消費電力の増加を最小限とすることが求められている。
【0003】
パケット転送装置の消費電力を低減する方法は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたパケット転送装置によれば、パケットを処理するパケット処理回路の電力を、通信を実施する回線数に応じた電力とすることができる。即ち、通信を実施する回線数が少ない場合、パケット転送装置の消費電力を低減することができる。さらに、パケット処理回路の電力を、処理するパケットの帯域に応じた電力とすることができる。即ち、パケット転送装置が送受信するパケット量が少ない場合、パケット転送装置の消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−111707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたパケット転送装置によれば、さらに、動作させるパケット処理回路の個数を、外部の制御端末が通知する予測入力帯域に応じた個数とすることができる。即ち、予測入力帯域が小さい場合、動作させるパケット処理回路の個数を減らすことによって消費電力を低減することができる。しかしながら、この予測入力帯域の決定方法については考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を考慮したものであって、予測入力帯域を適切に決定することによって、パケット転送装置の消費電力を低減することができるパケット転送装置の制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、入力されたパケットのヘッダ情報に基づいてパケット処理を実行する複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置において、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する方法であって、単位時間の間に前記パケット転送装置に入出力されるパケットのパケット数、パケット長を含むパケット情報の履歴を蓄積する第1の手順と、蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する第2の手順と、蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数を算出する第3の手順と、算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域と算出された前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数とに応じて、前記複数のパケット処理回路のうち動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する第4の手順と、設定された前記制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する第5の手順と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、予測入力帯域を適切に決定することによって、パケット転送装置の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の計算機システムの一構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の制御端末のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のパケット転送装置の一構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のパケット転送装置が送受信するパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のパケット転送装置の内部におけるパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のヘッダ処理部の一構成例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のヘッダ情報蓄積部の一構成例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の制御情報設定部の制御ロジックを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態の制御情報設定部の制御ロジックを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態の制御情報設定部の制御ロジックを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態の制御情報変換表の一構成例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のパケット転送装置の一構成例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の制御設定補正部の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の制御端末100、制御端末100の制御対象のパケット転送装置200の各装置について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態の計算機システム1の一構成例を示す図である。図1に示す計算機システム1は、制御端末100、制御端末100の制御対象の複数のパケット転送装置200を備える。
【0013】
制御端末100は、統計情報受信部101と、統計情報計算部102と、統計情報蓄積部103と、制御情報設定部104と、制御情報変換表105と、制御情報送信部106と、制御対象情報蓄積部110とを備える。また、統計情報計算部102は、入力帯域計算部107と、入力キュー長計算部108とを含む。
【0014】
以下、制御端末100の各部の動作を説明する。なお、以下の説明では制御端末100が1台のパケット転送装置200を制御する場合を例に説明する。制御端末100が複数のパケット転送装置200を制御する場合には、制御端末100の各部は、各々のパケット転送装置200に対して同様に動作する。
【0015】
統計情報受信部101は、パケット転送装置200から、パケット転送装置200に蓄積された統計情報を所定の頻度で受信する。ここでいう統計情報とは、パケット転送装置200のポート毎のパケットの総数やパケット長の総和等の統計情報である。統計情報受信部101が統計情報を受信する頻度は、例えば一分間等の時間ウインドウの間隔である。統計情報受信部101が受信した統計情報は、統計情報計算部102を介して統計情報蓄積部103に蓄積される。
【0016】
統計情報計算部102は、統計情報受信部103に蓄積された統計情報と、制御対象情報蓄積部110に蓄積された制御対象情報(詳細には後述)とに基づいて、入力帯域計算部107、入力キュー長計算部108により後述する計算(統計処理を含む)を実行する。計算結果は、統計情報蓄積部103に送信される。
【0017】
なお、以下の説明においては、統計情報受信部101が一つの時間ウインドウの統計情報を受信し、入力帯域計算部107、入力キュー長計算部108はこの一つの時間ウインドウの統計情報に基づいて計算を実行する場合を例に説明する。実際には、統計情報受信部101は各時間ウインドウの統計情報を受信し、入力帯域計算部107、入力キュー長計算部108は各時間ウインドウの統計情報に基づいて同様の計算を実行する。
【0018】
入力帯域計算部107は、統計情報受信部101が受信した所定の時間ウインドウの統計情報に基づき、パケット転送装置200のポート毎の入力帯域等を計算する。具体的には、パケット転送装置200のポート毎に、時間ウインドウの逆数とパケットの総数とを積算することによって、ポート毎のパケット処理速度(単位:パケット毎秒(packet per second、pps))を算出する。また、パケット転送装置200のポート毎に、時間ウインドウの逆数とパケット長の総和とを積算することによって、ポート毎の入力帯域(単位:ビット毎秒(bit per second、bps))を算出する。一方、入力キュー長計算部108は、統計情報受信部101が受信した所定の時間ウインドウの統計情報に基づき、パケット転送装置200の入力(受信)キュー毎に、キューに蓄積されたパケットの長さ(キュー長)を計算する。
【0019】
統計情報蓄積部103は、統計情報計算部102によって求められたパケット転送装置200のポート毎のパケット処理速度、入力帯域、及び、入力キュー毎のキュー長等の統計情報(以下、前述の統計情報と区別するため、「計算後統計情報」という。)を蓄積する。なお、統計情報蓄積部103は、この計算後統計情報を、当該計算後統計情報を求めるための統計情報が統計情報受信部101によって受信された時刻に関連付けて蓄積する。結果として、統計情報蓄積部103は、時刻(時間ウインドウ)毎の計算後統計情報を蓄積することになる。
【0020】
また統計情報蓄積部103は、時刻毎の計算後統計情報に対して統計情報計算部102が統計処理を実行することによって求められる、時刻毎の平均入力帯域を、例えば同じ曜日の同時刻の時間ウインドウでのスケジュールしたパケット転送装置200の性能予測値(以下、単に「性能予測値」という。)として蓄積する。即ち、統計情報蓄積部103は、時刻(時間ウインドウ)毎の性能予測値を蓄積する。さらに統計情報蓄積部103は、時刻毎の計算後統計情報に対して統計情報計算部102が統計処理を実行することによって求められる、時刻毎の性能予測値の変化量、時刻毎のキュー長の変化量、性能予測値の分散を併せて蓄積する。
【0021】
制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103に蓄積された計算後統計情報と、制御情報変換表105とに基づいて、パケット転送装置200に送信する制御情報を設定する。具体的には、まず統計情報蓄積部103に蓄積された時刻毎の性能予測値、性能予測値の変化量及びキュー長の変化量に対応する補正量を、制御情報変換表105から取得する。次に取得された補正量に基づいて性能予測値を補正する。制御情報設定部104は、補正された性能予測値を、制御対象のパケット転送装置200に送信する制御情報(パケット処理回路の性能を指示する制御量)として設定する。なお、この制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103に蓄積された計算後統計情報と、統計情報受信部101が受信した統計情報の一方又は両方からパケット転送装置200に送信する制御情報を設定してもよい。また、制御情報設定部104は、制御情報変換表105から制御情報の補正値を求め、補正された性能予測値を算出してもよい。この制御情報設定部104の動作については、図8、図9及び図10を用いて後述する。
【0022】
制御情報変換表105は、統計情報蓄積部103に蓄積された時刻毎の性能予測値、性能予測値の変化量及びキュー長の変化量と、性能予測値の補正量とを対応付けて定義するテーブルである。この制御情報変換表105の詳細については、図11を用いて後述する。
【0023】
制御情報送信部106は、制御情報設定部104によって設定された制御情報を、パケット転送装置200に送信する。
【0024】
制御対象情報蓄積部110は、制御端末100の制御対象の各パケット転送装置200の設定情報(例えば後述するキュー長の閾値Th、性能予測値の閾値dev)を、初期設定として蓄積する。また制御対象情報蓄積部110は、各パケット転送装置200に対する制御情報の増減量(補正量)を蓄積する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態の制御端末100のハードウェア構成例を示す図である。図2に示す制御端末100は、それぞれバス20で相互に接続されたメモリ装置11、演算処理装置12、インタフェース装置13、入力装置14、補助記憶装置15、ドライブ装置16を備える。
【0026】
メモリ装置11は、制御端末100の起動時に補助記憶装置15に記憶されたプログラム(図1の各部101〜102、104、106の処理を実行するプログラム)等のプログラムを読み出して記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。このメモリ装置11は、プログラムの実行に必要なファイル、データ(図1の各部103、105、110)等も記憶する。演算処理装置12は、メモリ装置11に格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置である。インタフェース装置13は、外部ネットワーク等に接続するためのインタフェース装置である。入力装置14は、ユーザインターフェイスを提供する入力装置(例えばキーボード、マウス)である。
【0027】
補助記憶装置15は、プログラムやファイル、データ(図1の各部103、105、110)等を記憶するHDD等の記憶装置である。ドライブ装置16は、記録媒体17に記録されたプログラムを読み出す装置である。ドライブ装置16によって読み出されたプログラムは、補助記憶装置15にインストールされる。記録媒体17は、上記のプログラム等を記録したUSB(Universal Serial Bus)メモリ、SDメモリカード、光ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体である。
【0028】
図8、図9及び図10は、本発明の第1の実施形態の制御情報設定部104の制御ロジックを示すフローチャートである。図11は、本発明の第1の実施形態の制御情報変換表105の一構成例を示す図である。ここでは、制御情報設定部104が、統計情報受信部101が時刻T1において受信した統計情報に基づいて、制御情報を設定する制御ロジックを説明する。
【0029】
ステップS701では、制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103から、時刻T1の性能予測値A1と、時刻T1の直前(前述した時間ウインドウだけ前)の時刻T0の性能予測値A0と、性能予測値A1の分散(標準偏差σの2乗)とを取得する(S701)。
【0030】
ステップS702では、制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103から、時刻T1のキュー長Bを取得する(S702)。
【0031】
ステップS703では、制御情報設定部104は、性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きいか否かを判定する(S703)。ここでいう閾値devとは、性能予測値A1の信頼性を保証可能な性能予測値A1の分散(ばらつき)の上限値である。即ち、性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きい場合(S703でYES)、性能予測値A1の信頼度は低いと判定される。一方、性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さい場合(S703でNO)、性能予測値A1の信頼度は高いと判定される。この閾値devは、パケット転送装置200毎に設定される。
【0032】
ステップS704では、制御情報設定部104は、性能予測値A1が増加しているか否かを判定する(S704)。ここでは、制御情報設定部104は、ステップS701で取得された性能予測値A1と性能予測値A0とを比較することにより判定する。性能予測値A1が増加している場合(S704でYES)、パケット転送装置200が今後多くの量のパケットを転送することが予測される。一方、性能予測値A1が増加していない場合(S704でNO)、パケット転送装置200は今後同じ量又は少ない量のパケットを転送することが予測される。
【0033】
ステップS705では、制御情報設定部104は、キュー長Bが閾値Thよりも小さいか否かを判定する(S705)。ここでいう閾値Thとは、パケット転送装置200の処理速度の低下を生じさせないキュー長の上限値である。即ち、キュー長Bが閾値Thよりも小さい場合(S705でYES)、パケット転送装置200は適切にパケットを転送できると判定される。一方、キュー長が閾値Thよりも大きい場合(S705でNO)、パケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定される。この閾値Thは、パケット転送装置200の入力キュー毎に設定される。
【0034】
また、ステップS704でNOの場合、A(図9のステップS801)又はB(図10のステップ801)に進んで、制御情報設定部104は、性能予測値A1が変化していないか否かを判定する(S801)。性能予測値A1が変化していない場合(S801でYES)、パケット転送装置200は今後同じ量のパケットを転送することが予測される。一方、性能予測値A1が変化した(少ない量になった)場合(S801でNO)、パケット転送装置200は今後少ない量のパケットを転送することが予測される。
【0035】
以上に示されるステップS703〜S705及びS801の処理の結果に応じて、制御情報設定部104は、ステップS706〜S708、S802〜S805、S901〜S905を切り替える。
【0036】
図8のステップS706に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は増加しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する(S706)。ステップS706は、パケット転送装置200が今後多くの量のパケットを転送することが予測されるものの、性能予測値A1の信頼度が低く、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、性能予測値A1の信頼度が高くなるまでしばらく様子を見るために、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(1)である。
【0037】
ステップS707に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は増加しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S707)。ステップS707は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(2)である。
【0038】
ステップS708に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、且つ、性能予測値A1は増加している場合、制御情報設定部104は、パケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S708)。ステップS708は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200が今後多くの量のパケットを転送することが予測されるケースである。このケースでは、キュー長Bの大小に関わらず、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(3)、(4)である。
【0039】
図9のステップS802に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する(S802)。ステップS802は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200が今後同じ量のパケットを転送することが予測され、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、動作させるパケット処理回路数を増減させる必要がない。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(5)である。
【0040】
ステップS803に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S803)。ステップS803は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(6)である。
【0041】
ステップS804に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報を設定する(S804)。ステップS804は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200は今後少ない量のパケットを転送することが予測され、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、動作させるパケット処理回路数を減少させてもよい。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(11)である。
【0042】
ステップS805に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S805)。ステップS805は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200は今後少ない量のパケットを転送することが予測されるが、一方で、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(12)である。
【0043】
図10のステップS901に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する(S901)。ステップS901は、パケット転送装置200が今後同じ量のパケットを転送することが予測されるものの、性能予測値A1の信頼度が低く、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、性能予測値A1の信頼度が高くなるまでしばらく様子を見るために、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(9)である。
【0044】
ステップS902に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S902)。ステップS902は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(10)である。
【0045】
ステップS903に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報を設定する(S903)。ステップS903は、パケット転送装置200が今後少ない量のパケットを転送することが予測されるものの、性能予測値A1の信頼度が低く、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、性能予測値A1の信頼度が高くなるまでしばらく様子を見るために、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(7)である。
【0046】
ステップS904に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S904)。ステップS904は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(8)である。
【0047】
以上のように制御情報設定部104は、統計情報受信部101が受信したパケット転送装置200の統計情報の履歴に基づいて求められる性能予測値(性能予測値A0、A1、性能予測値A1の分散)と、リアルタイムなパケット到着状況を示すキュー長Bとの両方を用いて、設定する制御情報を切り替えている。これにより、理想的な予測入力帯域に近い予測入力帯域及びリアルタイムなパケット到着状況の両方を考慮して、パケット転送装置200を動作させ、パケット転送装置200の消費電力を低減することができる。なお、制御情報設定部104は、上記のキュー長Bに対応する補正量を加えた制御情報が、上記の性能予測値の上限値と下限値との範囲内に制限されるよう、制御情報を設定することが好ましい。なぜなら、性能予測値の上限値を超えた設定値は消費電力の増加をもたらす可能性があるためであり、性能予測値の下限値を下回る設定値は通信品質の劣化をもたらす可能性があるためである。
【0048】
図3は、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200の一構成例を示す図である。図3に示すパケット転送装置200は、N個のインタフェース部210−i(i=1、2、…、N)と、各インタフェース部210−iを結合するパケット中継処理部250と、外部の制御端末100に接続されるプロセッサ290とを備える。
【0049】
各インタフェース部210−iは、パケットの受信処理を実行するパケット受信回路230、パケット受信回路230が受信したパケットを蓄積する入力PB(Packet Buffer)240、パケットの送信処理を実行するパケット送信回路270、パケット送信回路270が送信するパケットを蓄積する出力PB280、パケットのヘッダ処理を実行するヘッダ処理部500を備える。
【0050】
各インタフェース部210−iは、M個の入力回線201−ij(i=1、2、…、N、j=1、2、…、M)と、M個の出力回線202−ij(i=1、2、…、N、j=1、2、…、M)を収容する。図3の例では、インタフェース部210−1が入力回線201−11〜14と、出力回線202−11〜14とを収容している。インタフェース部210−2は、入力回線201−21、22と、出力回線202−21、22とを収容している。インタフェース部210−Nは、入力回線201−Nと、出力回線202−Nとを収容している。これら入力回線201−ijと出力回線202−ijは、例えばクライアントPC2000やサーバ2100などの他の通信ノードに接続される。
【0051】
プロセッサ290は、メモリ(不図示)に格納されたプログラムを実行する演算処理装置である。このプロセッサ290は、制御端末100から受信した指示(動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報を含む)を各インタフェース部210−iのヘッダ処理部500に通知したり、インタフェース部210−iの情報を制御端末100に通知したりする。
【0052】
図4は、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200が送受信するパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。図4では、図3の入力回線201−ij、出力回線202−ijから入出力されるパケットのデータフォーマットの一例を示している。
【0053】
このデータフォーマットは、ヘッダ部310と、データ部320とを含む。ヘッダ部310は、送信元IPアドレス(SIP:Source IP address)311と、宛先IPアドレス(DIP:Destination IP address)312と、送信元ポート(SPORT:Source PORT)313と、宛先ポート(DPORT:Destination PORT)314と、DSCP(Differentiated Services Code Point)315と、送信元MACアドレス(SMAC:Source MAC address)316と、宛先MACアドレス(DMAC:Destination MAC address)317と、イーサ優先度(UPRI:User PRIority)318とを含む。送信元IPアドレス311は、ネットワーク層の送信元アドレス(送信端末のアドレス)である。宛先IPアドレス312は、ネットワーク層の宛先アドレス(受信端末のアドレス)である。送信元ポート313は、送信元のポート番号である。宛先ポート314は、宛先のポート番号である。DSCP315は、ネットワーク層の転送優先度である。送信元MACアドレス316は、データリンク層の送信元MACアドレスである。宛先MACアドレス317は、データリンク層の宛先MACアドレスである。イーサ優先度318は、データリンク層の転送優先度である。一方、データ部320は、アプリケーションのデータであるユーザデータ321を含む。
【0054】
図5は、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200の内部におけるパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。図5に示すデータフォーマットは、図4のヘッダ部310及びデータ部320に加え、内部ヘッダ部330を含む。
【0055】
内部ヘッダ部330は、パケットを入力した入力回線201−ijの識別番号である入力回線番号331と、パケットを出力する出力回線202−ijの識別番号である出力回線番号332と、パケットの送信優先度を示すQoS情報333とを含む。
【0056】
図3に戻り、パケット転送装置200の各部の動作を順不同に説明する。
【0057】
パケット受信回路230は、入力回線201−ijから図4に示すデータフォーマットのパケットを入力すると、入力されたパケットに内部ヘッダ330(図5参照)を付加する。また、内部ヘッダ330内の入力回線番号331のフィールドに、パケットを入力した入力回線201−ijの番号を書込み、入力PB240に蓄積する。また、ヘッダ部310の全情報と入力回線番号331を、ヘッダ情報21としてヘッダ処理部500に送信する。
【0058】
ヘッダ処理部500は、パケット受信回路230から受信したヘッダ情報21に基づき、入力されたパケットの出力回線番号を判定する処理、入力されたパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等を実施する。その後、判定された出力回線番号、フィルタ情報、QoS情報を、出力情報22としてパケット受信回路230に送信する。
【0059】
パケット受信回路230は、ヘッダ処理部500から受信した出力情報22に基づき、以下の処理を実行する。即ち、出力情報22内のフィルタ情報がパケットの転送指示を示す場合、出力情報22内の出力回線番号、QoS情報を、入力PB240に蓄積されたパケットの内部ヘッダ330内の出力回線番号332、QoS情報333のフィールドにそれぞれ書込み、パケット中継処理部250に送信する。一方、出力情報22内のフィルタ情報がパケットの廃棄指示を示す場合、パケット受信回路230は、入力PB240に蓄積されたパケットをパケット中継処理部250に送信しない。このパケットは、最終的に他のパケットの到着時に上書きされて廃棄される。
【0060】
パケット中継処理部250は、パケット受信回路230から受信したパケットを、受信したパケットの内部ヘッダ330内の出力回線番号332に対応するインタフェース部210−iのパケット送信回路270に送信する。
【0061】
パケット送信回路270は、パケット中継処理部250から受信したパケットを、出力PB280に蓄積する。また、ヘッダ部310の全情報と出力回線番号332を、ヘッダ情報25としてヘッダ処理部500に送信する。
【0062】
ヘッダ処理部500は、パケット送信回路270から受信したヘッダ情報25に基づき、出力するパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等を実施する。その後、判定されたフィルタ情報、QoS情報を、出力情報26としてパケット送信回路270に送信する。
【0063】
パケット送信回路270は、ヘッダ処理部500から受信した出力情報26に基づき、以下の処理を実行する。即ち、出力情報26内のフィルタ情報がパケットの送信指示を示す場合、パケット受信回路270は、出力情報26内のQoS情報を、出力PB280に蓄積されたパケットの内部ヘッダ330内のQoS情報333のフィールドに書込む。また、このパケットの内部ヘッダ330内の出力回線番号332のフィールドの値に基づき、対応する出力回線202−ijに送信する。一方、出力情報26内のフィルタ情報がパケットの廃棄指示を示す場合、パケット送信回路270は、出力PB280に蓄積されたパケットを、出力回線202−ijに送信しない。このパケットは、最終的に他のパケット到着時に上書きされて廃棄される。
【0064】
以上説明してきた本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200では、ヘッダ処理部500は、パケット受信回路230に接続される入力回線201−ij及びパケット送信回路270に接続される出力回線202−ijの回線数に応じて、ヘッダ処理部500内において動作させるパケット処理回路510−k(図6参照)の数を切り替える。なお、一対の入力回線201−ijと出力回線202−ijとが一組をなし、この組単位で接続又は非接続される。ヘッダ処理部500は、パケット受信回路230から、入力回線201−ijと出力回線202−ijの回線数を示す回線数情報24の通知を受ける。
【0065】
またヘッダ処理部500は、プロセッサ290を介して制御端末100から受信した動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報に応じて、ヘッダ処理部500内において動作させるパケット処理回路510−k(図6参照)の数を切り替える。即ち、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報である場合、動作させるパケット処理回路510−kの数を増加させる。また、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報である場合、動作させるパケット処理回路510−kの数を変更しない。また、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報である場合、動作させるパケット処理回路510−kの数を減少させる。
【0066】
図6は、本発明の第1の実施形態のヘッダ処理部500の一構成例を示す図である。ヘッダ処理部500は、入力されたパケットのヘッダ処理を実行する入力ヘッダ処理部501と、出力するパケットのヘッダ処理を実行する出力ヘッダ処理部502とを備える。
【0067】
入力ヘッダ処理部501は、ヘッダ情報21に基づき、パケット処理(前述した入力されたパケットの出力回線番号を判定する処理、入力されたパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等)を実施し、処理結果(出力回線番号、フィルタ情報、QoS情報)を、出力情報22としてパケット受信回路230に送信する。この入力ヘッダ処理部501は、N個(図6では4個)のパケット処理回路510−k(k=1、2、…、N)、ヘッダ情報蓄積部520、整列回路540、回路数判定回路570を備える。回路数判定回路570は、前述の回線数情報24の通知を受ける。
【0068】
出力ヘッダ処理部502は、ヘッダ情報25に基づき、パケット処理(前述した出力するパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等)を実施し、処理結果(フィルタ情報、QoS情報)を、出力情報26としてパケット送信回路270に送信する。この出力ヘッダ処理部502は、回線数情報24の通知手段を備えない点を除き、入力ヘッダ処理部501と同様の構成である。
【0069】
以下、入力ヘッダ処理部501の各部の動作について説明する。なお、出力ヘッダ処理部502の各部の動作も同様である。
【0070】
パケット処理回路510−kは、パケット処理(上記の出力回線番号判定処理、フロー処理等)を実行する。
【0071】
ヘッダ情報蓄積部520は、入力された複数のヘッダ情報21(又はヘッダ情報25)を蓄積し、蓄積されたヘッド情報21(又はヘッダ情報25)を、いずれかのパケット処理回路510−kに振り分けて送信する。このヘッダ情報蓄積部520の詳細は、図7を用いて後述する。
【0072】
整列回路540は、パケット処理回路510−kの処理結果(出力回線番号、フィルタ情報、QoS情報)を、これらの情報に対応するヘッダ情報21(又はヘッダ情報25)が入力された順番に、入力回線201−ij(又は出力回線202−ij)毎に並び替えて、出力情報22(又は出力情報25)として出力する。この整列回路540は、各パケット処理回路510−kの処理速度の違いによるパケットの順序の入替えを防止するために設けられている。
【0073】
回路数判定回路570は、パケット受信回路230から受信した回線数情報24と、プロセッサ290を介して制御端末100から受信した動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報とに基づいて、動作させるパケット処理回路510−kの個数を判定する。また、判定結果をヘッダ情報蓄積部520内の振分回路523(図7参照)に送信する。
【0074】
図7は、本発明の第1の実施形態のヘッダ情報蓄積部520の一構成例を示す図である。図7に示すヘッダ情報蓄積部520は、キュー521と、シーケンス番号付加回路522と、振分回路523と、キューカウンタ524とを備える。
【0075】
以下、ヘッダ情報蓄積部520の各部の動作を順不同に説明する。
【0076】
シーケンス番号付与回路522は、入力されたヘッダ情報21にシーケンス番号を付与する。具体的には、入力回線201−ij毎にカウンタを備えており、ヘッダ情報21を入力すると、入力されたヘッダ情報21内の入力回線番号331(図5参照)に対応する入力回線201−ijのカウンタ値を、シーケンス番号として付与する。シーケンス番号が付与されたヘッダ情報21は、キュー521に送信される。このとき、シーケンス番号付与回路522は、入力回線番号331に対応する入力回線201−ijのカウンタ値を1だけカウントアップする。
【0077】
キュー521は、シーケンス番号付与回路522によってシーケンス番号が付与されたヘッダ情報21を蓄積する。
【0078】
振分回路523は、キュー521に蓄積されたヘッダ情報21を、各パケット処理回路510−kに送信する。具体的には、パケット処理回路510−kから受信したBUSY信号と、回路数判定回路570から受信した動作させるパケット処理回路510−kの個数とに基づいて、複数のパケット処理回路510−kの中から、動作中でパケット受信可能なパケット処理回路510−kを決定し、決定されたパケット処理回路510−kに送信する。これにより、複数のパケット処理回路510−kは、振分回路523から各々受信したパケットを並列に処理することができる。
【0079】
以上のように、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200は、回線数情報24及び制御端末100からの指示(動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報)に基づいて、動作させるパケット処理回路510−kの個数を変更することができる。なお、動作させるパケット処理回路510−kの個数を変更する代わりに、動作させるパケット処理回路510−kの動作周波数を変更してもよい。この場合、短期間(例えば1分等)の性能制御では、パケット処理回路510−kの動作周波数を変更し、長期間(例えば1時間等)の性能制御では、パケット処理回路510−kの動作個数を変更することによって、より効果的に、パケット転送装置200の消費電力を低減することができる。長期間とは、キュー521に処理すべきパケットが0個になる期間を含む期間を想定している。逆に短期間とは処理すべきパケットが常にキュー521に処理待ちの状態になっている期間を想定している。
【0080】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の制御端末100、制御端末100の制御対象のパケット転送装置1100の各装置について説明する。
【0081】
前述の第1の実施形態(図1参照)では、制御端末100のみが、パケット転送装置200の制御情報を設定した。第2の実施形態(図12参照)では、制御端末100と、パケット転送装置1100に設けられた制御設定補正部1200とが、パケット転送装置200の制御情報を設定する形態について説明する。なお、以下では、前述の第1の実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0082】
図12は、本発明の第2の実施形態のパケット転送装置1100の一構成例を示す図である。図12に示すパケット転送装置1100は、前述の第1の実施形態のパケット転送装置200の各部に加え、制御端末100の機能を有する制御設定補正部1200を備える。
【0083】
図13は、本発明の第2の実施形態の制御設定補正部1200の一構成例を示す図である。図13に示す制御設定補正部1200は、統計情報計算部1020と、統計情報蓄積部1030と、制御情報設定部1040と、制御情報変換表105と、制御対象情報蓄積部110と、タイマ1100とを備える。
【0084】
統計情報計算部1020は、入力帯域計算部107と、入力キュー長計算部108と、キュー長増加率判定部1090とを含む。
【0085】
キュー長増加率判定部1090は、プロセッサ290から受信した統計情報と、タイマ1100の値とに基づいて、パケット転送装置200の各入力キューのキュー長の増加率(単位時間当たりのキュー長の増加量)を計算する。その後、計算されたキュー長の増加率が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。ここでいう閾値とは、制御端末100が適切にフィードバック制御できない程度のキュー長の急激な増加を示す増加率の値である。即ち、キュー長増加率判定部1090は、キュー長が急激に増加しているか否かを判定している。その後、判定結果を制御情報設定部1040に送信する。
【0086】
統計情報蓄積部1030は、統計情報計算部1020によって求められた計算後統計情報を蓄積する。なお、この統計情報蓄積部1030が蓄積するデータ量は、前述の第1の実施形態の統計情報蓄積部103よりも少ない。例えば、この統計情報蓄積部1030は、前述した時間ウインドウの数倍の時間ウインドウ毎の計算後統計情報を蓄積する。これは、パケット転送装置200の記憶領域の負荷を低減するためである。
【0087】
制御情報設定部1040は、統計情報蓄積部103に蓄積された計算後統計情報と、制御情報変換表105とに基づいて、パケット転送装置200に送信する制御情報を設定する。なお、キュー長増加率判定部1090からキュー長が急激に増加している旨の情報を受信した場合、この制御情報設定部1040は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。これは、キュー長の急激な増加によるパケット転送装置200の処理性能不足に起因するパケット廃棄を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要があるからである。この場合さらに、この制御情報設定部1040によって設定された制御情報を、制御端末100によって設定された制御情報に優先して適用する旨の情報を、制御情報に付加してプロセッサ290に送信する。その後、プロセッサ290は、制御情報設定部1040によって設定された制御情報を優先して適用する旨の情報を受信すると、動作させるパケット処理回路の数を増加させるようヘッダ処理部500に指示する。
【0088】
以上のように、本発明の第2の実施形態のパケット転送装置200は、制御端末100及び制御設定補正部1200の各々からの指示(動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報)に基づいて、動作させるパケット処理回路の個数を変更することができる。これにより、キュー長が急激に増加して制御端末100が適切にフィードバック制御できない場合であっても、このようなキュー長の急激な増加を考慮して、パケット転送装置200を動作させ、パケット転送装置200の消費電力を低減することができる。
【0089】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 計算機システム
21、25 ヘッダ情報
22 出力回線情報
24 回線数情報
100 制御端末(制御装置)
200 パケット転送装置
500 ヘッダ処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット転送装置の制御方法に関し、特に、省電力にパケットを転送するためのパケット転送装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ルータ、スイッチなどのパケット転送装置の高速化には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのデバイスの数を多くしたり、パケット転送装置の動作周波数を高くしたりする必要がある。しかしながら、このような方法で高速化させると、パケット転送装置の消費電力が増加する。このため、パケット転送装置の消費電力を低減すること、すなわち高速化に伴う消費電力の増加を最小限とすることが求められている。
【0003】
パケット転送装置の消費電力を低減する方法は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたパケット転送装置によれば、パケットを処理するパケット処理回路の電力を、通信を実施する回線数に応じた電力とすることができる。即ち、通信を実施する回線数が少ない場合、パケット転送装置の消費電力を低減することができる。さらに、パケット処理回路の電力を、処理するパケットの帯域に応じた電力とすることができる。即ち、パケット転送装置が送受信するパケット量が少ない場合、パケット転送装置の消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−111707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたパケット転送装置によれば、さらに、動作させるパケット処理回路の個数を、外部の制御端末が通知する予測入力帯域に応じた個数とすることができる。即ち、予測入力帯域が小さい場合、動作させるパケット処理回路の個数を減らすことによって消費電力を低減することができる。しかしながら、この予測入力帯域の決定方法については考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を考慮したものであって、予測入力帯域を適切に決定することによって、パケット転送装置の消費電力を低減することができるパケット転送装置の制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、入力されたパケットのヘッダ情報に基づいてパケット処理を実行する複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置において、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する方法であって、単位時間の間に前記パケット転送装置に入出力されるパケットのパケット数、パケット長を含むパケット情報の履歴を蓄積する第1の手順と、蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する第2の手順と、蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数を算出する第3の手順と、算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域と算出された前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数とに応じて、前記複数のパケット処理回路のうち動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する第4の手順と、設定された前記制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する第5の手順と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、予測入力帯域を適切に決定することによって、パケット転送装置の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態の計算機システムの一構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の制御端末のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のパケット転送装置の一構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のパケット転送装置が送受信するパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のパケット転送装置の内部におけるパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のヘッダ処理部の一構成例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のヘッダ情報蓄積部の一構成例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の制御情報設定部の制御ロジックを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態の制御情報設定部の制御ロジックを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態の制御情報設定部の制御ロジックを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態の制御情報変換表の一構成例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のパケット転送装置の一構成例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の制御設定補正部の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の制御端末100、制御端末100の制御対象のパケット転送装置200の各装置について説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態の計算機システム1の一構成例を示す図である。図1に示す計算機システム1は、制御端末100、制御端末100の制御対象の複数のパケット転送装置200を備える。
【0013】
制御端末100は、統計情報受信部101と、統計情報計算部102と、統計情報蓄積部103と、制御情報設定部104と、制御情報変換表105と、制御情報送信部106と、制御対象情報蓄積部110とを備える。また、統計情報計算部102は、入力帯域計算部107と、入力キュー長計算部108とを含む。
【0014】
以下、制御端末100の各部の動作を説明する。なお、以下の説明では制御端末100が1台のパケット転送装置200を制御する場合を例に説明する。制御端末100が複数のパケット転送装置200を制御する場合には、制御端末100の各部は、各々のパケット転送装置200に対して同様に動作する。
【0015】
統計情報受信部101は、パケット転送装置200から、パケット転送装置200に蓄積された統計情報を所定の頻度で受信する。ここでいう統計情報とは、パケット転送装置200のポート毎のパケットの総数やパケット長の総和等の統計情報である。統計情報受信部101が統計情報を受信する頻度は、例えば一分間等の時間ウインドウの間隔である。統計情報受信部101が受信した統計情報は、統計情報計算部102を介して統計情報蓄積部103に蓄積される。
【0016】
統計情報計算部102は、統計情報受信部103に蓄積された統計情報と、制御対象情報蓄積部110に蓄積された制御対象情報(詳細には後述)とに基づいて、入力帯域計算部107、入力キュー長計算部108により後述する計算(統計処理を含む)を実行する。計算結果は、統計情報蓄積部103に送信される。
【0017】
なお、以下の説明においては、統計情報受信部101が一つの時間ウインドウの統計情報を受信し、入力帯域計算部107、入力キュー長計算部108はこの一つの時間ウインドウの統計情報に基づいて計算を実行する場合を例に説明する。実際には、統計情報受信部101は各時間ウインドウの統計情報を受信し、入力帯域計算部107、入力キュー長計算部108は各時間ウインドウの統計情報に基づいて同様の計算を実行する。
【0018】
入力帯域計算部107は、統計情報受信部101が受信した所定の時間ウインドウの統計情報に基づき、パケット転送装置200のポート毎の入力帯域等を計算する。具体的には、パケット転送装置200のポート毎に、時間ウインドウの逆数とパケットの総数とを積算することによって、ポート毎のパケット処理速度(単位:パケット毎秒(packet per second、pps))を算出する。また、パケット転送装置200のポート毎に、時間ウインドウの逆数とパケット長の総和とを積算することによって、ポート毎の入力帯域(単位:ビット毎秒(bit per second、bps))を算出する。一方、入力キュー長計算部108は、統計情報受信部101が受信した所定の時間ウインドウの統計情報に基づき、パケット転送装置200の入力(受信)キュー毎に、キューに蓄積されたパケットの長さ(キュー長)を計算する。
【0019】
統計情報蓄積部103は、統計情報計算部102によって求められたパケット転送装置200のポート毎のパケット処理速度、入力帯域、及び、入力キュー毎のキュー長等の統計情報(以下、前述の統計情報と区別するため、「計算後統計情報」という。)を蓄積する。なお、統計情報蓄積部103は、この計算後統計情報を、当該計算後統計情報を求めるための統計情報が統計情報受信部101によって受信された時刻に関連付けて蓄積する。結果として、統計情報蓄積部103は、時刻(時間ウインドウ)毎の計算後統計情報を蓄積することになる。
【0020】
また統計情報蓄積部103は、時刻毎の計算後統計情報に対して統計情報計算部102が統計処理を実行することによって求められる、時刻毎の平均入力帯域を、例えば同じ曜日の同時刻の時間ウインドウでのスケジュールしたパケット転送装置200の性能予測値(以下、単に「性能予測値」という。)として蓄積する。即ち、統計情報蓄積部103は、時刻(時間ウインドウ)毎の性能予測値を蓄積する。さらに統計情報蓄積部103は、時刻毎の計算後統計情報に対して統計情報計算部102が統計処理を実行することによって求められる、時刻毎の性能予測値の変化量、時刻毎のキュー長の変化量、性能予測値の分散を併せて蓄積する。
【0021】
制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103に蓄積された計算後統計情報と、制御情報変換表105とに基づいて、パケット転送装置200に送信する制御情報を設定する。具体的には、まず統計情報蓄積部103に蓄積された時刻毎の性能予測値、性能予測値の変化量及びキュー長の変化量に対応する補正量を、制御情報変換表105から取得する。次に取得された補正量に基づいて性能予測値を補正する。制御情報設定部104は、補正された性能予測値を、制御対象のパケット転送装置200に送信する制御情報(パケット処理回路の性能を指示する制御量)として設定する。なお、この制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103に蓄積された計算後統計情報と、統計情報受信部101が受信した統計情報の一方又は両方からパケット転送装置200に送信する制御情報を設定してもよい。また、制御情報設定部104は、制御情報変換表105から制御情報の補正値を求め、補正された性能予測値を算出してもよい。この制御情報設定部104の動作については、図8、図9及び図10を用いて後述する。
【0022】
制御情報変換表105は、統計情報蓄積部103に蓄積された時刻毎の性能予測値、性能予測値の変化量及びキュー長の変化量と、性能予測値の補正量とを対応付けて定義するテーブルである。この制御情報変換表105の詳細については、図11を用いて後述する。
【0023】
制御情報送信部106は、制御情報設定部104によって設定された制御情報を、パケット転送装置200に送信する。
【0024】
制御対象情報蓄積部110は、制御端末100の制御対象の各パケット転送装置200の設定情報(例えば後述するキュー長の閾値Th、性能予測値の閾値dev)を、初期設定として蓄積する。また制御対象情報蓄積部110は、各パケット転送装置200に対する制御情報の増減量(補正量)を蓄積する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態の制御端末100のハードウェア構成例を示す図である。図2に示す制御端末100は、それぞれバス20で相互に接続されたメモリ装置11、演算処理装置12、インタフェース装置13、入力装置14、補助記憶装置15、ドライブ装置16を備える。
【0026】
メモリ装置11は、制御端末100の起動時に補助記憶装置15に記憶されたプログラム(図1の各部101〜102、104、106の処理を実行するプログラム)等のプログラムを読み出して記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。このメモリ装置11は、プログラムの実行に必要なファイル、データ(図1の各部103、105、110)等も記憶する。演算処理装置12は、メモリ装置11に格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置である。インタフェース装置13は、外部ネットワーク等に接続するためのインタフェース装置である。入力装置14は、ユーザインターフェイスを提供する入力装置(例えばキーボード、マウス)である。
【0027】
補助記憶装置15は、プログラムやファイル、データ(図1の各部103、105、110)等を記憶するHDD等の記憶装置である。ドライブ装置16は、記録媒体17に記録されたプログラムを読み出す装置である。ドライブ装置16によって読み出されたプログラムは、補助記憶装置15にインストールされる。記録媒体17は、上記のプログラム等を記録したUSB(Universal Serial Bus)メモリ、SDメモリカード、光ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体である。
【0028】
図8、図9及び図10は、本発明の第1の実施形態の制御情報設定部104の制御ロジックを示すフローチャートである。図11は、本発明の第1の実施形態の制御情報変換表105の一構成例を示す図である。ここでは、制御情報設定部104が、統計情報受信部101が時刻T1において受信した統計情報に基づいて、制御情報を設定する制御ロジックを説明する。
【0029】
ステップS701では、制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103から、時刻T1の性能予測値A1と、時刻T1の直前(前述した時間ウインドウだけ前)の時刻T0の性能予測値A0と、性能予測値A1の分散(標準偏差σの2乗)とを取得する(S701)。
【0030】
ステップS702では、制御情報設定部104は、統計情報蓄積部103から、時刻T1のキュー長Bを取得する(S702)。
【0031】
ステップS703では、制御情報設定部104は、性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きいか否かを判定する(S703)。ここでいう閾値devとは、性能予測値A1の信頼性を保証可能な性能予測値A1の分散(ばらつき)の上限値である。即ち、性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きい場合(S703でYES)、性能予測値A1の信頼度は低いと判定される。一方、性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さい場合(S703でNO)、性能予測値A1の信頼度は高いと判定される。この閾値devは、パケット転送装置200毎に設定される。
【0032】
ステップS704では、制御情報設定部104は、性能予測値A1が増加しているか否かを判定する(S704)。ここでは、制御情報設定部104は、ステップS701で取得された性能予測値A1と性能予測値A0とを比較することにより判定する。性能予測値A1が増加している場合(S704でYES)、パケット転送装置200が今後多くの量のパケットを転送することが予測される。一方、性能予測値A1が増加していない場合(S704でNO)、パケット転送装置200は今後同じ量又は少ない量のパケットを転送することが予測される。
【0033】
ステップS705では、制御情報設定部104は、キュー長Bが閾値Thよりも小さいか否かを判定する(S705)。ここでいう閾値Thとは、パケット転送装置200の処理速度の低下を生じさせないキュー長の上限値である。即ち、キュー長Bが閾値Thよりも小さい場合(S705でYES)、パケット転送装置200は適切にパケットを転送できると判定される。一方、キュー長が閾値Thよりも大きい場合(S705でNO)、パケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定される。この閾値Thは、パケット転送装置200の入力キュー毎に設定される。
【0034】
また、ステップS704でNOの場合、A(図9のステップS801)又はB(図10のステップ801)に進んで、制御情報設定部104は、性能予測値A1が変化していないか否かを判定する(S801)。性能予測値A1が変化していない場合(S801でYES)、パケット転送装置200は今後同じ量のパケットを転送することが予測される。一方、性能予測値A1が変化した(少ない量になった)場合(S801でNO)、パケット転送装置200は今後少ない量のパケットを転送することが予測される。
【0035】
以上に示されるステップS703〜S705及びS801の処理の結果に応じて、制御情報設定部104は、ステップS706〜S708、S802〜S805、S901〜S905を切り替える。
【0036】
図8のステップS706に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は増加しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する(S706)。ステップS706は、パケット転送装置200が今後多くの量のパケットを転送することが予測されるものの、性能予測値A1の信頼度が低く、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、性能予測値A1の信頼度が高くなるまでしばらく様子を見るために、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(1)である。
【0037】
ステップS707に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は増加しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S707)。ステップS707は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(2)である。
【0038】
ステップS708に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、且つ、性能予測値A1は増加している場合、制御情報設定部104は、パケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S708)。ステップS708は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200が今後多くの量のパケットを転送することが予測されるケースである。このケースでは、キュー長Bの大小に関わらず、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(3)、(4)である。
【0039】
図9のステップS802に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する(S802)。ステップS802は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200が今後同じ量のパケットを転送することが予測され、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、動作させるパケット処理回路数を増減させる必要がない。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(5)である。
【0040】
ステップS803に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S803)。ステップS803は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(6)である。
【0041】
ステップS804に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報を設定する(S804)。ステップS804は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200は今後少ない量のパケットを転送することが予測され、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、動作させるパケット処理回路数を減少させてもよい。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(11)である。
【0042】
ステップS805に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも小さく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S805)。ステップS805は、性能予測値A1の信頼度が高く、パケット転送装置200は今後少ない量のパケットを転送することが予測されるが、一方で、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(12)である。
【0043】
図10のステップS901に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する(S901)。ステップS901は、パケット転送装置200が今後同じ量のパケットを転送することが予測されるものの、性能予測値A1の信頼度が低く、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、性能予測値A1の信頼度が高くなるまでしばらく様子を見るために、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(9)である。
【0044】
ステップS902に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は変化しておらず、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S902)。ステップS902は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(10)である。
【0045】
ステップS903に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも小さい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報を設定する(S903)。ステップS903は、パケット転送装置200が今後少ない量のパケットを転送することが予測されるものの、性能予測値A1の信頼度が低く、且つ、キュー長Bに基づく判定ではパケット転送装置200が適切にパケットを転送できると判定されたケースである。このケースでは、性能予測値A1の信頼度が高くなるまでしばらく様子を見るために、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報を設定する。図11のケース(7)である。
【0046】
ステップS904に進んだ場合、即ち性能予測値A1の分散が閾値devよりも大きく、性能予測値A1は減少しており、且つ、キュー長Bは閾値Thよりも大きい場合、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する(S904)。ステップS904は、キュー長Bに基づく判定においてパケット転送装置200の処理速度が低下してしまうと判定されたケースである。このケースでは、パケット転送装置200の処理速度の低下を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要がある。そのため、制御情報設定部104は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。図11のケース(8)である。
【0047】
以上のように制御情報設定部104は、統計情報受信部101が受信したパケット転送装置200の統計情報の履歴に基づいて求められる性能予測値(性能予測値A0、A1、性能予測値A1の分散)と、リアルタイムなパケット到着状況を示すキュー長Bとの両方を用いて、設定する制御情報を切り替えている。これにより、理想的な予測入力帯域に近い予測入力帯域及びリアルタイムなパケット到着状況の両方を考慮して、パケット転送装置200を動作させ、パケット転送装置200の消費電力を低減することができる。なお、制御情報設定部104は、上記のキュー長Bに対応する補正量を加えた制御情報が、上記の性能予測値の上限値と下限値との範囲内に制限されるよう、制御情報を設定することが好ましい。なぜなら、性能予測値の上限値を超えた設定値は消費電力の増加をもたらす可能性があるためであり、性能予測値の下限値を下回る設定値は通信品質の劣化をもたらす可能性があるためである。
【0048】
図3は、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200の一構成例を示す図である。図3に示すパケット転送装置200は、N個のインタフェース部210−i(i=1、2、…、N)と、各インタフェース部210−iを結合するパケット中継処理部250と、外部の制御端末100に接続されるプロセッサ290とを備える。
【0049】
各インタフェース部210−iは、パケットの受信処理を実行するパケット受信回路230、パケット受信回路230が受信したパケットを蓄積する入力PB(Packet Buffer)240、パケットの送信処理を実行するパケット送信回路270、パケット送信回路270が送信するパケットを蓄積する出力PB280、パケットのヘッダ処理を実行するヘッダ処理部500を備える。
【0050】
各インタフェース部210−iは、M個の入力回線201−ij(i=1、2、…、N、j=1、2、…、M)と、M個の出力回線202−ij(i=1、2、…、N、j=1、2、…、M)を収容する。図3の例では、インタフェース部210−1が入力回線201−11〜14と、出力回線202−11〜14とを収容している。インタフェース部210−2は、入力回線201−21、22と、出力回線202−21、22とを収容している。インタフェース部210−Nは、入力回線201−Nと、出力回線202−Nとを収容している。これら入力回線201−ijと出力回線202−ijは、例えばクライアントPC2000やサーバ2100などの他の通信ノードに接続される。
【0051】
プロセッサ290は、メモリ(不図示)に格納されたプログラムを実行する演算処理装置である。このプロセッサ290は、制御端末100から受信した指示(動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報を含む)を各インタフェース部210−iのヘッダ処理部500に通知したり、インタフェース部210−iの情報を制御端末100に通知したりする。
【0052】
図4は、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200が送受信するパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。図4では、図3の入力回線201−ij、出力回線202−ijから入出力されるパケットのデータフォーマットの一例を示している。
【0053】
このデータフォーマットは、ヘッダ部310と、データ部320とを含む。ヘッダ部310は、送信元IPアドレス(SIP:Source IP address)311と、宛先IPアドレス(DIP:Destination IP address)312と、送信元ポート(SPORT:Source PORT)313と、宛先ポート(DPORT:Destination PORT)314と、DSCP(Differentiated Services Code Point)315と、送信元MACアドレス(SMAC:Source MAC address)316と、宛先MACアドレス(DMAC:Destination MAC address)317と、イーサ優先度(UPRI:User PRIority)318とを含む。送信元IPアドレス311は、ネットワーク層の送信元アドレス(送信端末のアドレス)である。宛先IPアドレス312は、ネットワーク層の宛先アドレス(受信端末のアドレス)である。送信元ポート313は、送信元のポート番号である。宛先ポート314は、宛先のポート番号である。DSCP315は、ネットワーク層の転送優先度である。送信元MACアドレス316は、データリンク層の送信元MACアドレスである。宛先MACアドレス317は、データリンク層の宛先MACアドレスである。イーサ優先度318は、データリンク層の転送優先度である。一方、データ部320は、アプリケーションのデータであるユーザデータ321を含む。
【0054】
図5は、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200の内部におけるパケットのデータフォーマットの一例を示す図である。図5に示すデータフォーマットは、図4のヘッダ部310及びデータ部320に加え、内部ヘッダ部330を含む。
【0055】
内部ヘッダ部330は、パケットを入力した入力回線201−ijの識別番号である入力回線番号331と、パケットを出力する出力回線202−ijの識別番号である出力回線番号332と、パケットの送信優先度を示すQoS情報333とを含む。
【0056】
図3に戻り、パケット転送装置200の各部の動作を順不同に説明する。
【0057】
パケット受信回路230は、入力回線201−ijから図4に示すデータフォーマットのパケットを入力すると、入力されたパケットに内部ヘッダ330(図5参照)を付加する。また、内部ヘッダ330内の入力回線番号331のフィールドに、パケットを入力した入力回線201−ijの番号を書込み、入力PB240に蓄積する。また、ヘッダ部310の全情報と入力回線番号331を、ヘッダ情報21としてヘッダ処理部500に送信する。
【0058】
ヘッダ処理部500は、パケット受信回路230から受信したヘッダ情報21に基づき、入力されたパケットの出力回線番号を判定する処理、入力されたパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等を実施する。その後、判定された出力回線番号、フィルタ情報、QoS情報を、出力情報22としてパケット受信回路230に送信する。
【0059】
パケット受信回路230は、ヘッダ処理部500から受信した出力情報22に基づき、以下の処理を実行する。即ち、出力情報22内のフィルタ情報がパケットの転送指示を示す場合、出力情報22内の出力回線番号、QoS情報を、入力PB240に蓄積されたパケットの内部ヘッダ330内の出力回線番号332、QoS情報333のフィールドにそれぞれ書込み、パケット中継処理部250に送信する。一方、出力情報22内のフィルタ情報がパケットの廃棄指示を示す場合、パケット受信回路230は、入力PB240に蓄積されたパケットをパケット中継処理部250に送信しない。このパケットは、最終的に他のパケットの到着時に上書きされて廃棄される。
【0060】
パケット中継処理部250は、パケット受信回路230から受信したパケットを、受信したパケットの内部ヘッダ330内の出力回線番号332に対応するインタフェース部210−iのパケット送信回路270に送信する。
【0061】
パケット送信回路270は、パケット中継処理部250から受信したパケットを、出力PB280に蓄積する。また、ヘッダ部310の全情報と出力回線番号332を、ヘッダ情報25としてヘッダ処理部500に送信する。
【0062】
ヘッダ処理部500は、パケット送信回路270から受信したヘッダ情報25に基づき、出力するパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等を実施する。その後、判定されたフィルタ情報、QoS情報を、出力情報26としてパケット送信回路270に送信する。
【0063】
パケット送信回路270は、ヘッダ処理部500から受信した出力情報26に基づき、以下の処理を実行する。即ち、出力情報26内のフィルタ情報がパケットの送信指示を示す場合、パケット受信回路270は、出力情報26内のQoS情報を、出力PB280に蓄積されたパケットの内部ヘッダ330内のQoS情報333のフィールドに書込む。また、このパケットの内部ヘッダ330内の出力回線番号332のフィールドの値に基づき、対応する出力回線202−ijに送信する。一方、出力情報26内のフィルタ情報がパケットの廃棄指示を示す場合、パケット送信回路270は、出力PB280に蓄積されたパケットを、出力回線202−ijに送信しない。このパケットは、最終的に他のパケット到着時に上書きされて廃棄される。
【0064】
以上説明してきた本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200では、ヘッダ処理部500は、パケット受信回路230に接続される入力回線201−ij及びパケット送信回路270に接続される出力回線202−ijの回線数に応じて、ヘッダ処理部500内において動作させるパケット処理回路510−k(図6参照)の数を切り替える。なお、一対の入力回線201−ijと出力回線202−ijとが一組をなし、この組単位で接続又は非接続される。ヘッダ処理部500は、パケット受信回路230から、入力回線201−ijと出力回線202−ijの回線数を示す回線数情報24の通知を受ける。
【0065】
またヘッダ処理部500は、プロセッサ290を介して制御端末100から受信した動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報に応じて、ヘッダ処理部500内において動作させるパケット処理回路510−k(図6参照)の数を切り替える。即ち、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報である場合、動作させるパケット処理回路510−kの数を増加させる。また、動作させるパケット処理回路数を変更しない旨の制御情報である場合、動作させるパケット処理回路510−kの数を変更しない。また、動作させるパケット処理回路数を減少させる旨の制御情報である場合、動作させるパケット処理回路510−kの数を減少させる。
【0066】
図6は、本発明の第1の実施形態のヘッダ処理部500の一構成例を示す図である。ヘッダ処理部500は、入力されたパケットのヘッダ処理を実行する入力ヘッダ処理部501と、出力するパケットのヘッダ処理を実行する出力ヘッダ処理部502とを備える。
【0067】
入力ヘッダ処理部501は、ヘッダ情報21に基づき、パケット処理(前述した入力されたパケットの出力回線番号を判定する処理、入力されたパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等)を実施し、処理結果(出力回線番号、フィルタ情報、QoS情報)を、出力情報22としてパケット受信回路230に送信する。この入力ヘッダ処理部501は、N個(図6では4個)のパケット処理回路510−k(k=1、2、…、N)、ヘッダ情報蓄積部520、整列回路540、回路数判定回路570を備える。回路数判定回路570は、前述の回線数情報24の通知を受ける。
【0068】
出力ヘッダ処理部502は、ヘッダ情報25に基づき、パケット処理(前述した出力するパケットの属するフローのフィルタ情報、QoS情報を判定するフロー処理等)を実施し、処理結果(フィルタ情報、QoS情報)を、出力情報26としてパケット送信回路270に送信する。この出力ヘッダ処理部502は、回線数情報24の通知手段を備えない点を除き、入力ヘッダ処理部501と同様の構成である。
【0069】
以下、入力ヘッダ処理部501の各部の動作について説明する。なお、出力ヘッダ処理部502の各部の動作も同様である。
【0070】
パケット処理回路510−kは、パケット処理(上記の出力回線番号判定処理、フロー処理等)を実行する。
【0071】
ヘッダ情報蓄積部520は、入力された複数のヘッダ情報21(又はヘッダ情報25)を蓄積し、蓄積されたヘッド情報21(又はヘッダ情報25)を、いずれかのパケット処理回路510−kに振り分けて送信する。このヘッダ情報蓄積部520の詳細は、図7を用いて後述する。
【0072】
整列回路540は、パケット処理回路510−kの処理結果(出力回線番号、フィルタ情報、QoS情報)を、これらの情報に対応するヘッダ情報21(又はヘッダ情報25)が入力された順番に、入力回線201−ij(又は出力回線202−ij)毎に並び替えて、出力情報22(又は出力情報25)として出力する。この整列回路540は、各パケット処理回路510−kの処理速度の違いによるパケットの順序の入替えを防止するために設けられている。
【0073】
回路数判定回路570は、パケット受信回路230から受信した回線数情報24と、プロセッサ290を介して制御端末100から受信した動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報とに基づいて、動作させるパケット処理回路510−kの個数を判定する。また、判定結果をヘッダ情報蓄積部520内の振分回路523(図7参照)に送信する。
【0074】
図7は、本発明の第1の実施形態のヘッダ情報蓄積部520の一構成例を示す図である。図7に示すヘッダ情報蓄積部520は、キュー521と、シーケンス番号付加回路522と、振分回路523と、キューカウンタ524とを備える。
【0075】
以下、ヘッダ情報蓄積部520の各部の動作を順不同に説明する。
【0076】
シーケンス番号付与回路522は、入力されたヘッダ情報21にシーケンス番号を付与する。具体的には、入力回線201−ij毎にカウンタを備えており、ヘッダ情報21を入力すると、入力されたヘッダ情報21内の入力回線番号331(図5参照)に対応する入力回線201−ijのカウンタ値を、シーケンス番号として付与する。シーケンス番号が付与されたヘッダ情報21は、キュー521に送信される。このとき、シーケンス番号付与回路522は、入力回線番号331に対応する入力回線201−ijのカウンタ値を1だけカウントアップする。
【0077】
キュー521は、シーケンス番号付与回路522によってシーケンス番号が付与されたヘッダ情報21を蓄積する。
【0078】
振分回路523は、キュー521に蓄積されたヘッダ情報21を、各パケット処理回路510−kに送信する。具体的には、パケット処理回路510−kから受信したBUSY信号と、回路数判定回路570から受信した動作させるパケット処理回路510−kの個数とに基づいて、複数のパケット処理回路510−kの中から、動作中でパケット受信可能なパケット処理回路510−kを決定し、決定されたパケット処理回路510−kに送信する。これにより、複数のパケット処理回路510−kは、振分回路523から各々受信したパケットを並列に処理することができる。
【0079】
以上のように、本発明の第1の実施形態のパケット転送装置200は、回線数情報24及び制御端末100からの指示(動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報)に基づいて、動作させるパケット処理回路510−kの個数を変更することができる。なお、動作させるパケット処理回路510−kの個数を変更する代わりに、動作させるパケット処理回路510−kの動作周波数を変更してもよい。この場合、短期間(例えば1分等)の性能制御では、パケット処理回路510−kの動作周波数を変更し、長期間(例えば1時間等)の性能制御では、パケット処理回路510−kの動作個数を変更することによって、より効果的に、パケット転送装置200の消費電力を低減することができる。長期間とは、キュー521に処理すべきパケットが0個になる期間を含む期間を想定している。逆に短期間とは処理すべきパケットが常にキュー521に処理待ちの状態になっている期間を想定している。
【0080】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の制御端末100、制御端末100の制御対象のパケット転送装置1100の各装置について説明する。
【0081】
前述の第1の実施形態(図1参照)では、制御端末100のみが、パケット転送装置200の制御情報を設定した。第2の実施形態(図12参照)では、制御端末100と、パケット転送装置1100に設けられた制御設定補正部1200とが、パケット転送装置200の制御情報を設定する形態について説明する。なお、以下では、前述の第1の実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0082】
図12は、本発明の第2の実施形態のパケット転送装置1100の一構成例を示す図である。図12に示すパケット転送装置1100は、前述の第1の実施形態のパケット転送装置200の各部に加え、制御端末100の機能を有する制御設定補正部1200を備える。
【0083】
図13は、本発明の第2の実施形態の制御設定補正部1200の一構成例を示す図である。図13に示す制御設定補正部1200は、統計情報計算部1020と、統計情報蓄積部1030と、制御情報設定部1040と、制御情報変換表105と、制御対象情報蓄積部110と、タイマ1100とを備える。
【0084】
統計情報計算部1020は、入力帯域計算部107と、入力キュー長計算部108と、キュー長増加率判定部1090とを含む。
【0085】
キュー長増加率判定部1090は、プロセッサ290から受信した統計情報と、タイマ1100の値とに基づいて、パケット転送装置200の各入力キューのキュー長の増加率(単位時間当たりのキュー長の増加量)を計算する。その後、計算されたキュー長の増加率が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。ここでいう閾値とは、制御端末100が適切にフィードバック制御できない程度のキュー長の急激な増加を示す増加率の値である。即ち、キュー長増加率判定部1090は、キュー長が急激に増加しているか否かを判定している。その後、判定結果を制御情報設定部1040に送信する。
【0086】
統計情報蓄積部1030は、統計情報計算部1020によって求められた計算後統計情報を蓄積する。なお、この統計情報蓄積部1030が蓄積するデータ量は、前述の第1の実施形態の統計情報蓄積部103よりも少ない。例えば、この統計情報蓄積部1030は、前述した時間ウインドウの数倍の時間ウインドウ毎の計算後統計情報を蓄積する。これは、パケット転送装置200の記憶領域の負荷を低減するためである。
【0087】
制御情報設定部1040は、統計情報蓄積部103に蓄積された計算後統計情報と、制御情報変換表105とに基づいて、パケット転送装置200に送信する制御情報を設定する。なお、キュー長増加率判定部1090からキュー長が急激に増加している旨の情報を受信した場合、この制御情報設定部1040は、動作させるパケット処理回路数を増加させる旨の制御情報を設定する。これは、キュー長の急激な増加によるパケット転送装置200の処理性能不足に起因するパケット廃棄を防ぐため、動作させるパケット処理回路数を増加させる必要があるからである。この場合さらに、この制御情報設定部1040によって設定された制御情報を、制御端末100によって設定された制御情報に優先して適用する旨の情報を、制御情報に付加してプロセッサ290に送信する。その後、プロセッサ290は、制御情報設定部1040によって設定された制御情報を優先して適用する旨の情報を受信すると、動作させるパケット処理回路の数を増加させるようヘッダ処理部500に指示する。
【0088】
以上のように、本発明の第2の実施形態のパケット転送装置200は、制御端末100及び制御設定補正部1200の各々からの指示(動作させるパケット処理回路数を増減させる旨の制御情報)に基づいて、動作させるパケット処理回路の個数を変更することができる。これにより、キュー長が急激に増加して制御端末100が適切にフィードバック制御できない場合であっても、このようなキュー長の急激な増加を考慮して、パケット転送装置200を動作させ、パケット転送装置200の消費電力を低減することができる。
【0089】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 計算機システム
21、25 ヘッダ情報
22 出力回線情報
24 回線数情報
100 制御端末(制御装置)
200 パケット転送装置
500 ヘッダ処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたパケットのヘッダ情報に基づいてパケット処理を実行する複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置において、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する方法であって、
単位時間の間に前記パケット転送装置に入出力されるパケットのパケット数、パケット長を含むパケット情報の履歴を蓄積する第1の手順と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する第2の手順と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数を算出する第3の手順と、
算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域と算出された前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数とに応じて、前記複数のパケット処理回路のうち動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する第4の手順と、
設定された前記制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する第5の手順と、
を含むことを特徴とするパケット転送装置の制御方法。
【請求項2】
前記制御情報は、前記動作させるパケット処理回路の数及び動作周波数の少なくとも一方を制御する情報を含み、
前記第4の手順では、設定すべき制御情報と、前記単位時間毎のパケットの入力帯域及び前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数と、を関連付けた制御情報変換表を用いて、前記単位時間のうち現在の時刻に対応する時間に関連付けられた設定すべき制御情報を、現在の時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項3】
前記制御情報を設定する手順では、所定の単位時間の間にキューに蓄積されたパケット数が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を向上させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項4】
前記制御情報を設定する手順では、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも小さい場合、前記入力帯域の時間変化に合わせて、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を変化させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定し、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を維持する旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項5】
前記制御情報を設定する手順では、算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域の上限値と下限値との範囲内で、前記制御情報を設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項6】
前記制御する手順では、短期間の制御の場合、前記動作させるパケット処理回路の動作周波数を制御し、長期間の制御の場合、前記動作させるパケット処理回路の個数を制御することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項7】
前記パケット転送装置には、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサによって実行されるプログラムを格納するメモリと、前記プロセッサに接続されたインタフェースとを備えた制御装置が接続されており、
前記制御装置が、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、を実行し、
前記パケット転送装置が、前記5の手順を実行することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項8】
前記パケット転送装置は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサによって実行されるプログラムを格納するメモリと、前記プロセッサに接続されたインタフェースとを備え、
前記パケット転送装置が、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、前記第5の手順と、を実行することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項9】
前記パケット転送装置には、前記パケット転送装置を制御する制御装置が接続され、
前記パケット転送装置、前記制御装置の各々は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサによって実行されるプログラムを格納するメモリと、前記プロセッサに接続されたインタフェースとを備え、
前記制御装置は、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、を実行し、
前記パケット転送装置は、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、前記第5の手順を実行し、
前記方法は、さらに、前記パケット転送装置が、前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数の急激な増加を判定する第6の手順を含み、
前記第5の手順では、
前記第6の手順において前記キューに蓄積されたパケット数の急激な増加が判定された場合、前記パケット転送装置は、前記パケット転送装置が前記第4の手順により設定した制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御し、
前記第6の手順において前記キューに蓄積されたパケット数の急激な増加が判定されない場合、前記パケット転送装置は、前記制御装置が前記第4の手順により設定した制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項10】
入力されたパケットのヘッダ情報に基づいてパケット処理を実行する複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置に接続され、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する制御装置であって、
単位時間の間に前記パケット転送装置に入出力されるパケットのパケット数、パケット長を含むパケット情報の履歴を蓄積する蓄積部と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する入力帯域計算部と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数を算出する入力キュー長計算部と、
算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域と算出された前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数とに応じて、前記複数のパケット処理回路のうち動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する制御情報設定部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項11】
前記制御情報は、前記動作させるパケット処理回路の数及び動作周波数の少なくとも一方を制御する情報を含み、
前記制御情報設定部は、設定すべき制御情報と、前記単位時間毎のパケットの入力帯域及び前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数と、を関連付けた制御情報変換表を用いて、前記単位時間のうち現在の時刻に対応する時間に関連付けられた設定すべき制御情報を、現在の時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御情報設定部は、所定の単位時間の間にキューに蓄積されたパケット数が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を向上させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御情報設定部は、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも小さい場合、前記入力帯域の時間変化に合わせて、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を変化させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定し、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を維持する旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御情報設定部は、算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域の上限値と下限値との範囲内で、前記制御情報を設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項1】
入力されたパケットのヘッダ情報に基づいてパケット処理を実行する複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置において、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する方法であって、
単位時間の間に前記パケット転送装置に入出力されるパケットのパケット数、パケット長を含むパケット情報の履歴を蓄積する第1の手順と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する第2の手順と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数を算出する第3の手順と、
算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域と算出された前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数とに応じて、前記複数のパケット処理回路のうち動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する第4の手順と、
設定された前記制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する第5の手順と、
を含むことを特徴とするパケット転送装置の制御方法。
【請求項2】
前記制御情報は、前記動作させるパケット処理回路の数及び動作周波数の少なくとも一方を制御する情報を含み、
前記第4の手順では、設定すべき制御情報と、前記単位時間毎のパケットの入力帯域及び前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数と、を関連付けた制御情報変換表を用いて、前記単位時間のうち現在の時刻に対応する時間に関連付けられた設定すべき制御情報を、現在の時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項3】
前記制御情報を設定する手順では、所定の単位時間の間にキューに蓄積されたパケット数が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を向上させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項4】
前記制御情報を設定する手順では、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも小さい場合、前記入力帯域の時間変化に合わせて、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を変化させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定し、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を維持する旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項5】
前記制御情報を設定する手順では、算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域の上限値と下限値との範囲内で、前記制御情報を設定することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項6】
前記制御する手順では、短期間の制御の場合、前記動作させるパケット処理回路の動作周波数を制御し、長期間の制御の場合、前記動作させるパケット処理回路の個数を制御することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項7】
前記パケット転送装置には、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサによって実行されるプログラムを格納するメモリと、前記プロセッサに接続されたインタフェースとを備えた制御装置が接続されており、
前記制御装置が、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、を実行し、
前記パケット転送装置が、前記5の手順を実行することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項8】
前記パケット転送装置は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサによって実行されるプログラムを格納するメモリと、前記プロセッサに接続されたインタフェースとを備え、
前記パケット転送装置が、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、前記第5の手順と、を実行することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項9】
前記パケット転送装置には、前記パケット転送装置を制御する制御装置が接続され、
前記パケット転送装置、前記制御装置の各々は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサによって実行されるプログラムを格納するメモリと、前記プロセッサに接続されたインタフェースとを備え、
前記制御装置は、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、を実行し、
前記パケット転送装置は、前記第1の手順と、前記第2の手順と、前記第3の手順と、前記第4の手順と、前記第5の手順を実行し、
前記方法は、さらに、前記パケット転送装置が、前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数の急激な増加を判定する第6の手順を含み、
前記第5の手順では、
前記第6の手順において前記キューに蓄積されたパケット数の急激な増加が判定された場合、前記パケット転送装置は、前記パケット転送装置が前記第4の手順により設定した制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御し、
前記第6の手順において前記キューに蓄積されたパケット数の急激な増加が判定されない場合、前記パケット転送装置は、前記制御装置が前記第4の手順により設定した制御情報に基づいて、前記複数のパケット処理回路の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送装置の制御方法。
【請求項10】
入力されたパケットのヘッダ情報に基づいてパケット処理を実行する複数のパケット処理回路を備えたパケット転送装置に接続され、前記複数のパケット処理回路の動作を制御する制御装置であって、
単位時間の間に前記パケット転送装置に入出力されるパケットのパケット数、パケット長を含むパケット情報の履歴を蓄積する蓄積部と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置に入力されたパケットの入力帯域を算出する入力帯域計算部と、
蓄積された前記パケット情報の履歴に基づいて、各単位時間の間に前記パケット転送装置が備えるキューに蓄積されたパケット数を算出する入力キュー長計算部と、
算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域と算出された前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数とに応じて、前記複数のパケット処理回路のうち動作させるパケット処理回路の処理性能の制御情報を設定する制御情報設定部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項11】
前記制御情報は、前記動作させるパケット処理回路の数及び動作周波数の少なくとも一方を制御する情報を含み、
前記制御情報設定部は、設定すべき制御情報と、前記単位時間毎のパケットの入力帯域及び前記単位時間毎のキューに蓄積されたパケット数と、を関連付けた制御情報変換表を用いて、前記単位時間のうち現在の時刻に対応する時間に関連付けられた設定すべき制御情報を、現在の時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御情報設定部は、所定の単位時間の間にキューに蓄積されたパケット数が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を向上させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御情報設定部は、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも小さい場合、前記入力帯域の時間変化に合わせて、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を変化させる旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定し、
所定の単位時間の間の前記入力帯域の分散が所定の閾値よりも大きい場合、前記動作させるパケット処理回路の処理性能を維持する旨を、前記所定の単位時間に対応する時刻の制御情報として設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御情報設定部は、算出された前記単位時間毎のパケットの入力帯域の上限値と下限値との範囲内で、前記制御情報を設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−250237(P2011−250237A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122446(P2010−122446)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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