説明

パケット通信装置、パケット通信方法および記憶媒体

【課題】パケットの到達順序が入れ替わった場合でもリアルタイム性を失わずにデータを再生し、しかも通信品質を向上する。
【解決手段】このパケット通信システムの通信装置2は、パケットを受信するパケット送受信部23と、受信されたパケットに対してデパケット処理を行うパケットリアセンブラ回路24と、受信が期待されるパケットのリスト27と、デパケット処理されたデータとRTPヘッダのシーケンス番号フィールドの値Scと、リスト27に基づいてパケットを送信された順番に並べ替える処理を行う順序並替部28と、送信順に並べ替えられたパケットを格納する受信バッファ25とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばパケット網などを利用して音声および映像などのデータを通信するパケット通信装置、パケット通信方法および記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば音声および映像などのリアルタイム性が重視されるデータを、インターネットなどに代表されるパケット網を通じて伝送する場合、リアルタイム・トランスポート・プロトコル(以下RTPと称す)が用いられる。
【0003】このRTPの下位のプロトコルとして、通常は、ユーザ・データグラム・プロトコル(以下UDPと称す)およびインターネット・プロトコル(以下IPと称す)が用いられている。
【0004】UDPおよびIPは、コネクションレスなプロトコルであり、ベスト・エフォート型のプロトコルであるため信頼性にかける。
【0005】RTPを用いて送信側のパケット通信装置から送信されたパケットは、上記したUDPおよびIPで通信されるため、例えばパケット網がいくつかのルータで接続されていた場合などは、パケットの伝送経路が変わり受信側のパケット通信装置に受信されるパケットの送達順序が入れ替わったり、パケット網に伝送中のパケットが欠落したりすることがある。
【0006】RTPはRTPのパケットフォーマットとリアルタイム・コントロール・プロトコル(以下RTCPと称す)から定義されている。
【0007】RTPのパケットは、RTPヘッダとRTPペイロードから構成されている。RTPヘッダは、シーケンス番号、タイムスタンプ、ペイロードタイプなどのフィールドから構成されている。
【0008】RTPペイロードは伝送する音声および映像などのリアルタイム性が重視されるデータを格納するフィールドである。
【0009】通常、送信側のパケット通信装置は、送信するパケットの順にRTPヘッダのシーケンス番号フィールドに連続的に数値を与え、パケットを送信する。受信側のパケット通信装置は、受信したパケットのRTPヘッダのシーケンス番号フィールドを参照し、そのシーケンス番号が連続的でなければ、パケットの欠落もしくはパケットの順序入れ替えが起きていると判定できる。
【0010】RTPで伝送するデータは、前述のようにリアルタイム性が重視されるため、連続的に受信することができたパケットは有効なデータとして扱われる。
【0011】また、順序の入れ替えが起きて伝送されたパケットは、受信側のパケット通信装置でパケットが連続的に受信できなかった段階で、パケットの欠落が起こっている、もしくはパケットの順序入れ替えが起きていると判定されて、無効なデータとして扱われ、破棄される。
【0012】このため、パケットの順序が入れ替わって伝送された場合、受信側のパケット通信装置にデータが到着しているにもかかわらず、その内部では無効なデータとして破棄されるため、データの再生にはリアルタイム性が失われないものの、通信の品質が著しく低下する場合がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、RTPを用いて音声および映像などのリアルタイム性が重視されるデータをパケット網を通じて伝送し、受信側のパケット通信装置でパケットが受信されたときに、パケットの順序が入れ替わっているような場合、受信側のパケット通信装置にデータが到着しているにもかかわらず、無効なデータとして破棄されるため、データの再生にはリアルタイム性が失われないものの、通信の品質が低下するという問題がある。
【0014】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、パケットの到達順序が入れ替わった場合でもリアルタイム性を失うことなくデータを再生でき、しかも通信品質を向上することのできるパケット通信装置、パケット通信方法および記憶媒体を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、請求項1記載の発明のパケット通信装置は、通信網に接続され、前記通信網を通じてパケットを通信する通信装置において、前記通信網からパケットを受信する受信手段と、前記受信手段により受信されたパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と、送信対象のデータとを抽出する抽出手段と、前記受信手段によって新たなパケットが受信されるまでの所定時間内に受信されたパケットのシーケンス番号を記憶する記憶手段と、前記抽出手段により抽出された新たなパケットのシーケンス番号と前記記憶手段に記憶されているシーケンス番号とを基に、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えを行う並び替え手段とを具備したことを特徴としている。
【0016】請求項2記載の発明のパケット通信装置は、請求項1記載のパケット通信装置において、前記並び替え手段が、前記抽出手段により抽出されたシーケンス番号と前記記憶手段に記憶されているシーケンス番号とを比較してパケットの受信順序の正否を判定する手段と、この比較結果、パケットの受信順序が正しくない場合、今後、受信が期待されるパケットのシーケンス番号のリストを作成する手段と、前記受信手段によって所定時間内に新たなパケットが受信されたとき、前記リスト中のシーケンス番号を持った新たなデータを、受信済みのデータの中の適正な位置に挿入する手段とを具備したことを特徴としている。
【0017】請求項3記載の発明のパケット通信装置は、請求項2記載のパケット通信装置において、前記所定時間を経過した後に、該当するシーケンス番号を前記リストから削除する手段を具備したことを特徴としている。
【0018】請求項4記載のパケット通信方法は、通信網に接続されたパケット通信装置におけるパケット通信方法において、前記通信網からパケットを受信する工程と、受信されたパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と送信対象のデータとを抽出する工程と、所定時間内に、受信されたパケットのシーケンス番号と、今回受信されたパケットから抽出されたシーケンス番号とを基に、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えを行う工程とを有することを特徴としている。
【0019】請求項5記載の発明の記憶媒体は、通信網に接続されたパケット通信装置あるいはコンピュータを動作させるプログラムを記憶した記憶媒体において、前記パケット通信装置あるいはコンピュータに、前記通信網からパケットを受信させ、受信されたパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と送信対象のデータとを抽出させ、所定時間内に受信されたパケットのシーケンス番号と、今回受信されたパケットから抽出されたシーケンス番号とを基に、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えを行わせるプログラムを前記パケット通信装置あるいはコンピュータが読み取り可能に記憶したことを特徴としている。
【0020】送信側のパケット通信装置では、パケットを送信する順番にシーケンス番号が連続的に与えられて順次パケットが通信網に送信される。
【0021】請求項1,4,5記載の発明の場合、受信側のパケット通信装置において、受信手段によって新たなパケットが受信されるまでの所定時間内に受信されたパケットのシーケンス番号が記憶手段に記憶される。そして、受信手段により新たなパケットが受信されると、そのパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と送信対象のデータとが抽出され、この抽出された新たなパケットのシーケンス番号と記憶手段のシーケンス番号とに基づいて、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えが行われる。従って、パケットの到達順序が入れ替わった場合でもデータが欠落してしまうことがなくなり通信品質を向上することができる。
【0022】請求項2記載の発明の場合、受信側のパケット通信装置は、受信されたパケットに設定されていたシーケンス番号からパケットを受信した順序と送信側が送信したパケットの順序とが正しいか否かを判定し、この時点から所定の時間までタイマーを動作させる。そして、送信側と受信側とのパケットの順序が異なっていた場合、到着が期待されるシーケンス番号のリストを作り、パケットを待ち受ける。そして、所定時間内にリストのシーケンス番号に該当するパケットが受信されると、そのデータを適切な位置にデータを挿入する。
【0023】請求項3記載の発明の場合、請求項2記載の発明において、到着が期待されるパケットのシーケンス番号のリストを作ってからタイマーを動作させて、一定時間が経過しタイマーがタイムアウトしたときは、該当するシーケンス番号がリストから削除されるので、そのシーケンス番号のパケットは、欠落パレットとして扱われるようになり、これ以上、遅延することなくデータを再生できる。
【0024】すなわち、本発明では、受信側のパケット通信装置でパケットを受信したときに、パケットの到達順序が入れ替わっても、一定の時間、到着が期待されるパケットを待ち、一定の時間内にそのパケットが到着すれば、適正なパケット順序に並び替えるので、通信品質を向上することができる。
【0025】また、一定時間内に到着が期待されるパケットが到着しなかった場合は、通常通りに、そのパケットを欠落パケットとして扱い、受信したデータ列にてデータを再生するのでリアルタイム性を失うことはない。
【0026】この結果、パケットの到達順序が入れ替わった場合でもリアルタイム性を失うことなくデータを再生でき、しかも通信品質を向上することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0028】図1は本発明に係る一つの実施形態のパケット通信システムの概略構成を示す図である。
【0029】同図において、1、2は通信装置である。通信装置1と通信装置2は通信網3を介して接続されている。通信網3は例えばインターネットなどのパケット網であり、有線、無線のどちらでもよい。
【0030】通信装置1は、パケッタイザー回路11と、カウンタ12と、パケット送受信部13と、パケットリアセンブラ回路14と、受信バッファ15と、タイマー16と、受信期待パケットリスト17(以下リスト17と称す)と、順序並替部18とを備えている。
【0031】通信装置2は、パケッタイザー回路21と、カウンタ22と、パケット送受信部23と、パケットリアセンブラ回路24と、受信バッファ25と、タイマー26と、受信期待パケットリスト27(以下リスト27と称す)と、順序並替部28とを備えている。
【0032】パケッタイザー回路11,21は、送信対象のデータ列に必要な情報を付加してパケット化する装置である。パケット送受信部13,23は、有線もしくは無線もしくは有線・無線双方の通信インターフェースを備えており、パケッタイザー回路11,21によりパケット化されたパケットを通信網3へ送信する。また、パケット送受信部13,23は、通信網3からパケットを受信する。カウンタ12,22は、パケッタイザー回路11,21においてRTPパケットが生成されるたびにカウントアップされる。受信バッファ15,25は、送信側が送信した順序で受信側からデータが出力できるようにするバッファである。この受信バッファ25からアプリケーションなどがデータを取り出すことでさまざまな処理を行うことができる。アプリケーションが例えばインターネット電話などのソフトウェアであれば音声データをリアルタイムに通信することができ、テレビ会議用のソフトウェアであれば、映像と音声をリアルタイムに再現しテレビ会議を実現できる。
【0033】また、受信バッファ25には、既に到達した中でデータ列の順序が最後のパケットのシーケンス番号Sbも格納されている。リスト17,27は、到達が期待されるパケットのシーケンス番号が列記されるリストである。順序並替部18,28は、上記各部、回路を制御すると共に、受信したパケットの到達順序を並び替える処理とリスト17,27への到達期待パケット登録処理などを行う。
【0034】以下、このパケット通信システムにおいて、通信装置1と通信装置2とは同じ構成であるが、通信動作の一例として、通信装置1から通信装置2へデータを伝送する場合で説明するため、通信装置1を送信側、通信装置2を受信側ということにする。
【0035】送信側において、送信対象のデータ列が入力されると、パケッタイザー回路11にデータ列が渡される。
【0036】パケッタイザー回路11では、データ列を適当な長さに区切り、これをRTPペイロードとし、RTPヘッダを付加し、データ列のRTPパケット化が行われる。RTPヘッダのシーケンス番号フィールドには、カウンタ12から読み出した値が格納される。カウンタ12は、パケッタイザー回路11においてRTPパケットが生成されるたびにカウントアップされ、このカウント値がパケットのシーケンス番号として設定される。
【0037】RTPパケットは、パケット化装置11によって、さらにUDPヘッダ、IPヘッダが付加されてパケット化処理される。パケッタイザー回路11でパケット化されたパケットは、パケット送受信部13へ送られる。パケット送受信部13から出力されたパケットは通信網3を通じて受信側のパケット送受信部23へ送信されて受信される。
【0038】受信側では、パケット送受信部23にてパケットが受信されると、そのパケットは、パケットリアセンブラ回路24に送られて、IP・UDP・RTPのデパケット処理が行われ、データとRTPヘッダのシーケンス番号フィールドの値Scが抽出される。このパケットリアセンブラ回路24によって抽出されたデータとRTPヘッダのシーケンス番号フィールドの値Scは、順序並替部28に渡される。
【0039】ここで、図2を参照して通信装置2の順序並替部28が行う処理について説明する。図2はこのパケット通信システムにおいて、受信側の通信装置2にパケットが到着したときに、そのパケットを送信された順番に並べ替える順序並替部の処理を示すフローチャートである。
【0040】上記のように、受信側の通信装置2において、パケットリアセンブラ回路24にパケットが到着し、RTPヘッダのシーケンス番号フィールドが認識できると、パケットリアセンブラ回路24は、データおよびシーケンス番号Scを順序並替部28に渡す。
【0041】すると、順序並替部28は、渡されたシーケンス番号Scと既に受信バッファ25に格納されているシーケンス番号Sb(前に到達したパケットのもの)とを比較する(S101,S103,S105)。
【0042】そして、この比較結果、例えばSc=Sbのときは(S101のY)、新たに受信されたパケットは重複したパケットであるものと順序並替部28が判定し、そのデータは、受信バッファ25から消去(破棄)される(102)。
【0043】また、上記比較結果、Sc=Sb+1のとき(S103のY)、順序並替部28は、シーケンス番号Sbとシーケンス番号Scとは連続したパケットであるとみなし、シーケンス番号Scのデータは、受信バッファ25のシーケンス番号Sbのデータの次の記憶領域(受信バッファ25内の記憶位置)に記憶される(S104)。
【0044】さらに、上記比較結果、Sc<Sbの場合(S105のY)、順序並替部28は、待ち受けパケットのリスト27からシーケンス番号Scを探索する(S106)。
【0045】そして、シーケンス番号Scが待ち受けパケットのリスト27になければ(S106のN)、順序並替部28は、そのシーケンス番号Scを持つパケットを破棄する(S107)。
【0046】また、リスト27を探察した結果、シーケンス番号Scがヒットすると(S106のY)、順序並替部28は、リスト27から当該のシーケンス番号を削除し(S108)、該当するシーケンス番号に対応するタイマー26の計時動作を解除(停止)し(S109)、シーケンス番号Scに該当する受信バッファ25の適切な記憶位置にデータ列を挿入する(S110)。
【0047】一方、上記S105の比較処理において、Sc<Sbでない場合(S105のN)、つまりSc>(Sc+1)であれば、順序並替部28は、シーケンス番号Scのパケットを受信バッファ25へ格納すると共に(S111)、Sb+1〜Sc−1のシーケンス番号を持つパケットを待ち受けるため、それらのシーケンス番号を待ち受けパケットのリスト27に加え(S112)、それぞれの待ち受けパケットのシーケンス番号についてタイマー26の計時動作を開始(スタート)させる(S113)。タイマー26は、ソフトウェアでもハードウェアでもよく、装置の許す限りの数だけ備えられるものとする。
【0048】図3はタイマー26がタイムアウトしたときの処理を示すフローチャートである。
【0049】同図に示すように、順序並替部28がタイマー26の計時動作をスタートさせてから、ある一定の時間が経過し、タイマー26がタイムアウトすると(S201)、順序並替部28は、タイマー26と関連付けられた該当するシーケンス番号を検索する(S202)。
【0050】この検索した結果、シーケンス番号が見つかった場合は(S202のY)、そのシーケンス番号が待ち受けリスト27から削除され(S203)、欠落パケットとして扱われ、順序並替部28は、処理を終了する。
【0051】また、上記検索結果、シーケンス番号が見つからなかった場合(S202のN)、順序並替部28は、そのまま処理を終了する。
【0052】なお、タイマー26がタイムアウトするまでの時間はユーザ側で任意に設定できるものとする。
【0053】このようにこの実施形態のパケット通信システムによれば、受信側の通信装置2において、パケットが到着し、RTPヘッダのシーケンス番号フィールドが認識できると、パケットリアセンブラ回路24からデータおよびシーケンス番号Scが順序並替部28に渡され、順序並替部28は、渡されたシーケンス番号Scと既に受信バッファ25に格納されているシーケンス番号Sb(前に到達したパケットのもの)とを比較し、この比較結果に応じて、受信されたデータと受信バッファ25内のデータとの並び替え処理を行うので、パケットの到達順序が入れ替わった場合でもリアルタイム性を失わずにデータを再生でき、しかも通信品質を向上することができる。
【0054】また、通信装置2でパケットを受信したときに、タイマー26がタイムアウトするまでの時間を任意に設定できるようにしたことで、アプリケーションに必要な遅延時間を保ちつつ、受信したパケットを送信順に並べ替えることができる。
【0055】すなわち、パケットの到達順序が入れ替わっても、パケットを破棄することなく、また再送要求を行うことなく、リアルタイム性を失わずに、適正なパケット順序に並び替えることができ、通信品質を向上することができる。
【0056】なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではない。上記実施形態では、通信装置1がパケットを送信し、通信装置2が受信する動作について説明したが、通信装置1と通信装置2とは同様に構成されていることからこの逆の動作も可能である。
【0057】また、上記実施形態では、各通信装置1,2に、パケッタイザー回路、カウンタ、パケット送受信部、パケットリアセンブラ回路、受信バッファ、タイマー、受信期待パケットリストなどの各構成を設けた例について説明したが、これらをソフトウェアで実現してもよい。
【0058】ソフトウェアは、フロッピーディスク、フラッシュメモリなどのコンピュータあるいは携帯型の通信端末などが読み出し可能な記憶媒体に記憶されていても良く、この場合、記憶媒体に記憶されたソフトウェア(プログラム)をコンピュータあるいは携帯型の通信端末が読み出すことにより、各実施形態における処理が可能になる。
【0059】なお、記憶媒体としては、フロッピーディスク、フラッシュメモリの他、磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM、CD−R、DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、半導体メモリなど、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式はいずれの形態であっても良い。
【0060】また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフトなどのMW(ミドルウェア)などが本実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0061】さらに、記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネットなどにより伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0062】また、記憶媒体は一つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本発明における記録媒体に含まれ、媒体構成はいずれの構成であっても良い。
【0063】なお、コンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコンなどの一つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステムなどのいずれの構成であっても良い。
【0064】また、コンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコンなども含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1,4,5記載の発明によれば、受信側のパケット通信装置において、受信手段によって新たなパケットが受信されるまでの所定時間内に受信されたパケットのシーケンス番号が記憶手段に記憶され、受信手段により新たなパケットが受信されると、そのパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と送信対象のデータとが抽出され、この抽出された新たなパケットのシーケンス番号と記憶手段のシーケンス番号とに基づいて、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えが行われる。従って、パケットの到達順序が入れ替わった場合でもデータが欠落してしまうことがなくなり通信品質を向上することができる。
【0066】請求項2記載の発明によれば、受信側のパケット通信装置は、受信されたパケットに設定されていたシーケンス番号からパケットを受信した順序と送信側が送信したパケットの順序が正しいか否かを判定し、送信側と受信側とのパケットの順序が正しくない場合、到着が期待されるシーケンス番号のリストを作り、パケットを待ち受ける。そして、所定時間内にリストのシーケンス番号に該当するパケットが受信されると、そのデータを適切な位置にデータを挿入する。
【0067】請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明において所定時間を経過した後に、該当するシーケンス番号をリストから削除するので、そのシーケンス番号のパケットは、欠落パケットとして扱われるようになり、これ以上、遅延することなくデータを再生できる。
【0068】この結果、パケットの到達順序が入れ替わった場合でもリアルタイム性を失うことなくデータを再生でき、しかも通信品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態のパケット通信システムの概略構成を示す図。
【図2】このパケット通信システムにおいてパケット順序の並び替え処理を示すフローチャート。
【図3】タイマーがタイムアウトしたときの処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
11,21…パケッタイザー回路、12,22…カウンタ、13,23…パケット送受信部、14,24…パケットリアセンブラ回路、15,25…受信バッファ、16,26…タイマー、17,27…受信期待パケットリスト、18,28…順序並替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信網に接続され、前記通信網を通じてパケットを通信する通信装置において、前記通信網からパケットを受信する受信手段と;前記受信手段により受信されたパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と、送信対象のデータとを抽出する抽出手段と;前記受信手段によって新たなパケットが受信されるまでの所定時間内に受信されたパケットのシーケンス番号を記憶する記憶手段と;前記抽出手段により抽出された新たなパケットのシーケンス番号と前記記憶手段に記憶されているシーケンス番号とを基に、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えを行う並び替え手段とを具備したことを特徴とするパケット通信装置。
【請求項2】 請求項1記載のパケット通信装置において、前記並び替え手段が、前記抽出手段により抽出されたシーケンス番号と前記記憶手段に記憶されているシーケンス番号とを比較してパケットの受信順序の正否を判定する手段と;この比較結果、パケットの受信順序が正しくない場合、今後、受信が期待されるパケットのシーケンス番号のリストを作成する手段と;前記受信手段によって所定時間内に新たなパケットが受信されたとき、前記リスト中のシーケンス番号を持った新たなデータを、受信済みのデータの中の適正な位置に挿入する手段とを具備したことを特徴とするパケット通信装置。
【請求項3】 請求項2記載のパケット通信装置において、前記所定時間を経過した後に、該当するシーケンス番号を前記リストから削除する手段を具備したことを特徴とするパケット通信装置。
【請求項4】 通信網に接続されたパケット通信装置におけるパケット通信方法において、前記通信網からパケットを受信する工程と;受信されたパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と送信対象のデータとを抽出する工程と;所定時間内に、受信されたパケットのシーケンス番号と、今回受信されたパケットから抽出されたシーケンス番号とを基に、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えを行う工程とを有することを特徴とするパケット通信方法。
【請求項5】 通信網に接続されたパケット通信装置あるいはコンピュータを動作させるプログラムを記憶した記憶媒体において、前記パケット通信装置あるいはコンピュータに、前記通信網からパケットを受信させ;受信されたパケットから、パケット送信時にパケットに与えられたシーケンス番号と送信対象のデータとを抽出させ;所定時間内に受信されたパケットのシーケンス番号と、今回受信されたパケットから抽出されたシーケンス番号とを基に、今回受信されたパケットのデータを含めた受信データの並び替えを行わせるプログラムを前記パケット通信装置あるいはコンピュータが読み取り可能に記憶したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−189755(P2001−189755A)
【公開日】平成13年7月10日(2001.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−375682
【出願日】平成11年12月28日(1999.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】