説明

パスワード管理装置、パスワード管理方法およびパスワード管理用プログラム

【課題】アプリケーションにパスワードを入力する際に、画面上にパスワードが表示されず、さらにメモリ上にパスワードが記憶されている期間を短くすることのできるパスワード管理装置を提供する。
【解決手段】暗号鍵でアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化手段、暗号化されたアプリケーション用パスワードをアプリケーション毎に格納する第1記憶手段、或るアプリケーションに対応した暗号化されたアプリケーション用パスワードが第1の記憶手段から読み出された時に、読み出された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを記憶する第2の記憶手段、第2の記憶手段に記憶された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを暗号鍵に対応した復号鍵で復号する復号手段、復号されたアプリケーション用パスワードを或るアプリケーションの入力領域に貼り付ける貼り付け手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパスワード管理装置、パスワード管理方法およびパスワード管理用プログラムに関し、特にログイン画面等へのアプリケーション用パスワードのコピーを安全に行なうことのできるパスワード管理装置、パスワード管理方法およびパスワード管理用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で提供されるアプリケーション(サービスを含む。)等の普及に伴い、ユーザが認証のためにパスワードを入力する機会が増大している。しかし、安全性への配慮から複雑なパスワードの設定や、同一のパスワードを複数アプリケーションで使用しないことが要求されるため、ユーザは全てのアプリケーションのパスワードの記憶が困難になっている。
【0003】
そこで、ユーザの利便性を確保しつつ、複数のパスワードを安全に管理することが重要となっている。従来のパスワード管理装置の一例が、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されたパスワード管理装置は、ユーザはまず、管理用パスワードと、あらかじめ定めた装置を特定する固有情報と、アプリケーション用パスワードを格納するための格納用デバイスのIDを用いて生成した暗号鍵を使用してアプリケーション用パスワードを暗号化して、格納用デバイスに格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−108833号公報
【特許文献2】特開2006−074526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたパスワード管理装置では、暗号化されたパスワードはパスワード管理装置内で復号されて出力され、ユーザが直接入力するか、またはクリップボード等を介してアプリケーションのパスワード入力欄に入力される。そのため、アプリケーションに入力されるまでの間、画面上やメモリ上にパスワードが露呈される時間が長くなってしまい、可視的に、または不正ソフト等によりパスワードが盗み見られる危険性が高くなる。
【0007】
また、パスワードを保管する場所を指定する必要があり、さらにパスワードを利用する際にわざわざ復号するためのプログラムを明示的に起動する必要があるなど、パスワードのコピーペースト処理を行なう際に、通常のデータのコピーペースト処理と別の操作が必要となり、ユーザフレンドリーでない。
【0008】
なお、特許文献1に記載された発明と特許文献2に記載された発明とを組み合わせた場合、外部入力に暗号化データが含まれているかどうかをキーワードテーブルを使って検索することにより知り、暗号化データが含まれていれば認証し、復号して出力するという処理が得られるが、この処理では、暗号化データが全て復号されてしまうので、暗号化されたままデータを出力させることができない。
【0009】
そこで本発明の目的は、アプリケーションにパスワードを入力する際に、画面上にパスワードが表示されず、さらにメモリ上にパスワードが記憶されている期間を短くすることのできるパスワード管理装置、パスワード管理方法及びパスワード管理用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、暗号鍵を用いてアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化手段と、暗号化されたアプリケーション用パスワードをアプリケーション毎に格納する第1の記憶手段と、或るアプリケーションに対応した暗号化されたアプリケーション用パスワードが前記第1の記憶手段から読み出された時に、読み出された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを前記暗号鍵に対応した復号鍵で復号する復号手段と、復号されたアプリケーション用パスワードを前記或るアプリケーションの入力領域に貼り付ける貼り付け手段と、を備えることを特徴とするパスワード管理装置が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、暗号鍵を用いてアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化ステップと、暗号化されたアプリケーション用パスワードをアプリケーション毎に第1の記憶手段に格納するパスワード格納ステップと、或るアプリケーションに対応した暗号化されたアプリケーション用パスワードが前記第1の記憶手段から読み出された時に、読み出された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを第2の記憶手段に記憶させる記憶ステップと、前記第2の記憶手段に記憶された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを前記暗号鍵に対応した復号鍵で復号する復号ステップと、復号されたアプリケーション用パスワードを前記或るアプリケーションの入力領域に貼り付ける貼り付けステップと、を備えることを特徴とするパスワード管理方法が提供される。
【0012】
更に、本発明によれば、暗号鍵を用いてアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化手段と、暗号化されたアプリケーション用パスワードをアプリケーション毎に格納する第1の記憶手段と、或るアプリケーションに対応した暗号化されたアプリケーション用パスワードが前記第1の記憶手段から読み出された時に、読み出された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを前記暗号鍵に対応した復号鍵で復号する復号手段と、復号されたアプリケーション用パスワードを前記或るアプリケーションの入力領域に貼り付ける貼り付け手段と、を備えることを特徴とするパスワード管理装置としてコンピュータを機能させるためのパスワード管理用プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アプリケーションにパスワードを入力する際に、画面上にパスワードが表示されず、さらにメモリ上にパスワードが記憶されている期間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を示す流れ図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0016】
本実施形態では、アプリケーション用パスワードを使用する際は、格納用デバイスに格納されている全てのアプリケーション用パスワードを復号し、ユーザはその中から必要なアプリケーション用パスワードを選択し、出力する。
【0017】
以上の動作により、管理用パスワードさえ覚えれば、アプリケーションごとに異なるアプリケーション用パスワードをそれぞれ覚えることなく、各アプリケーションを利用することができる。
【0018】
図1は、本発明を実施するための第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態は、パスワード管理装置1と、キーボード等の入力装置2と、HDD等の記憶装置3とを含む。なお、パスワード管理装置1は、コンピュータをパスワード管理装置1として機能させるためのプログラムをコンピュータが読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0020】
パスワード管理装置1は、アプリケーション用パスワードを暗号化するための暗号化鍵と復号するための復号鍵を格納するための暗号鍵格納部10と、アプリケーション用パスワードを暗号化して記憶装置3へ格納する暗号化処理部11と、暗号化されたアプリケーション用パスワードのコピーペースト処理を行なうコピー処理部12とを含む。
【0021】
暗号鍵格納部10は、HDDといった内部記憶装置のほか、ICカードといった外部記憶装置を利用してもかまわない。
【0022】
暗号化処理部11は、入力装置2から入力されたアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化部111と、暗号化されたアプリケーション用パスワードにパスワード管理装置1によって暗号化されたことを示す識別情報を付与し、アプリケーション毎に、記憶装置3に格納する識別情報付与装置112とを含む。この結果、記憶装置3には、アプリケーション毎のアプリケーション用パスワードが、暗号化され、且つ、暗号化されたことを示す識別情報が付与された状態で格納されることとなる。また、アプリケーション毎のアプリケーション用パスワードは、記憶装置3の内部でアプリケーションとの対応が付けられることとなる。
【0023】
暗号化部111は、暗号鍵格納部10から暗号化鍵を取得し、入力装置2から入力されたアプリケーション用パスワードを暗号化する。アプリケーション用パスワードとしては文字列以外にも、画像、音声等コンピュータ上で扱われるデータも利用可能である。また、暗号化鍵はRSA暗号のような非対称鍵暗号方式の暗号鍵でも、DES暗号のような対称鍵暗号方式の暗号鍵でもどちらでもかまわない。
【0024】
識別情報付与部112は、暗号化部111で暗号化されたアプリケーション用パスワードにパスワード管理装置1によって暗号化されたことを識別するための識別情報を付与し、記憶装置3に格納する。識別情報は、例えば暗号化されたアプリケーション用パスワードが"HIMITSU"の場合に、識別情報"ENC"を文字列の前に付与し、"ENCHIMITSU"のようにして記憶装置3に格納する。識別情報がパスワード管理装置1によって暗号化されたことを識別可能とするものであれば、その付与の方法は問わない。
【0025】
コピー処理部12は、コピー用データを記憶するコピーデータ記憶部121と、コピーデータをコピーデータ記憶部121に書き込むコピーデータ書き込み部122と、コピーデータが暗号化されているかを識別する暗号化識別部123と、暗号化されたコピーデータから暗号化されたアプリケーション用パスワードのみに識別情報を削除した後に、コピーデータを復号する復号部125と、復号する際にユーザに管理用パスワードの入力を要求し、入力された管理用パスワードと予め保持している管理パスワードの対応データとの対応関係を確認することにより、ユーザ認証をするユーザ認証部124と、復号されたデータをアプリケーションが提供する入力領域(例えば、パスワード入力のためのテキストボックス)にペーストするコピーデータ貼り付け部126とを含む。
【0026】
コピーデータ記憶部121は、コピーされたデータを記憶する。コピーデータ記憶部121は通常メモリ上に実装され、通常、クリップボードと呼ばれている機能と同様の機能を有する。コピーデータ記憶部121は、オペレーティングシステムや通常のアプリケーションがアクセスできない領域(例えば、メインメモリやハードディスクとは別のメモリ)に設けてもよい。
【0027】
コピーデータ書き込み部122は、ユーザがキーボードやマウス等でコピーコマンドを実行した時に、コピーされたデータをコピーデータ記憶部121に書き込む。ここで、コピーされたデータとは、記憶部3に格納されていたアプリケーション用パスワードである。アプリケーション用パスワードが暗号化されていても、ユーザが利用しようとするアプリケーションに対応するアプリケーション用パスワードを利用者が識別してコピーできるようにするためには、例えば、画面にアプリケーションの名称とアプリケーション用パスワードとが組になったテーブルを画面に表示し、そのテーブルからユーザがアプリケーション用パスワードをコピーできるようにする。
【0028】
暗号化識別部123は、ユーザがキーボードやマウス等でペーストコマンドを実行した時に、コピーデータ記憶部121に記憶されているコピー用データに、暗号化処理部111によって識別情報が付与されているかをチェックする。暗号化処理部111によって識別情報が付与されていることを検出したならば、コピー用データは暗号化されていると判断する。
【0029】
ユーザ認証部124は、暗号化されたコピーデータがユーザが作成したデータであることを確認するために、画面にダイアログを出すなどして、ユーザに管理用パスワードの入力を要求する。
【0030】
復号部125は、ユーザ認証部124によってユーザの確認が出来たら、暗号鍵格納部10から暗号化部111が利用した暗号鍵に対応した復号鍵を取得し、暗号化されたコピーデータを復号する。
【0031】
コピーデータ貼り付け部126は、復号されたコピーデータを、ペースト先であるアプリケーションが提供する入力領域に貼り付ける。
【0032】
次に、図1及び図2を参照して本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0033】
暗号化部111は入力装置2から入力されたアプリケーション用パスワードを、暗号化鍵格納部10から取得した暗号鍵で暗号化する(ステップS101)。次に識別情報付与部112は、暗号化された文字列にパスワード管理装置1によって暗号化されたことを識別するための識別情報を付与する(ステップS102)。
【0034】
続いて、ユーザがコピー操作を行なった時、コピーデータ書き込み部122は、コピーデータをコピーデータ記憶部121に格納する(ステップS201)。
【0035】
続いて、ユーザがペースト操作を行なった場合、暗号化識別部123はコピーデータ記憶部121から取得したコピーデータに識別情報付与部112で付与した識別情報があるか判別する(ステップS301、S302)。暗号化されている場合、ユーザ認証部124はユーザに対して管理用パスワードを要求しユーザ認証を行なう(ステップS303)。ユーザ認証が完了したら復号部125は、暗号鍵格納部10から復号鍵を取得してコピーデータ記憶部121から取得したコピーデータの復号を行う(ステップS304)。コピーデータ貼り付け部126は復号されたデータをアプリケーションにペーストする(ステップS305)。
【0036】
次に、発明を実施するための第2の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図3を参照すると、本発明の第2の発明を実施するための形態は、図1に示された第1の実施の形態の構成に加え、パスワード管理装置4が、ハッシュ値格納部43と、ハッシュ生成部413と、を有する点で異なる。なお、パスワード管理装置4は、コンピュータをパスワード管理装置4として機能させるためのプログラムをコンピュータが読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0038】
ハッシュ値格納部43は、暗号化されたアプリケーション用パスワードのハッシュ値をアプリケーション毎に格納する。
【0039】
ハッシュ生成部413は、暗号化部111で暗号化されたアプリケーション用パスワードのハッシュ値を生成し、ハッシュ値格納部43に格納する。ハッシュ値の生成にはMD5やSHA−1や、その他ハッシュ関数を用いる。
【0040】
また、ユーザ認証部424は、ユーザから入力された管理用パスワードを暗号化し、さらにハッシュ値を生成し、ハッシュ値格納部43に同値のハッシュ値があるかを検索する。同値のハッシュ値が存在する場合、ユーザをアプリケーション用パスワードの所有者であると認証する。
【0041】
これにより、ユーザは唯一の管理用パスワードを記憶しなくても、複数のアプリケーション用パスワードのうちの一つを管理用パスワードとして記憶していれば、記憶していない他のアプリケーション用パスワードを安全にパスワード入力欄にコピーペーストすることができる。
【0042】
次に、図3及び図4を参照して本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0043】
暗号化部111は入力装置2から入力されたアプリケーション用パスワードを、暗号化鍵格納部40から取得した暗号鍵で暗号化する(ステップS401)。次に、ハッシュ生成部413は、S401にて暗号化されたアプリケーション用パスワードのハッシュを生成し、ハッシュ値格納部43に格納する(ステップS402)。次に、識別情報付与部112は、暗号化された文字列に装置固有の識別文字列を付与する(ステップS403)。
【0044】
データのコピー処理は、図2のステップS201と同一であるため、説明を省略する。
【0045】
また、データのペースト処理は図2のステップS301からS305までと同一のため、説明を省略する。
【0046】
また、識別情報付与部112は、暗号化されたアプリケーション用パスワードのみに識別情報を付与する代わりに、暗号化されなかったアプリケーション用パスワードのみに識別情報を付与してもよい。この場合、暗号化識別部123は、暗号化処理部111によって識別情報が付与されていないことを検出したならば、コピー用データは暗号化されていると判断する。
【0047】
更に、識別情報付与部112は、暗号化されたアプリケーション用パスワードのみに識別情報を付与する代わりに、暗号化されたか、されなかったを示す識別情報を暗号化されたアプリケーション用パスワード及び暗号化されなかったアプリケーション用パスワードに付与しても良い。この場合、暗号化識別部123は、暗号化処理部111によって識別情報の内容を検査することにより、コピー用データが暗号化されているか否かを判断する。
【0048】
なお、全てのアプリケーション用パスワードが暗号化されるのであれば、識別情報付与部112は、暗号化されたアプリケーション用パスワードに識別情報を付加する必要はなく、また、暗号化識別部123により、アプリケーション用パスワードが暗号化されているかどうかを識別する必要はなく、ステップS101、S301、S302は省略される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の第1のパスワード管理装置は、アプリケーション用パスワードを暗号化する暗号処理部と、アプリケーション用パスワードのコピーペースト処理を行なうコピー処理部とを含む。
【0050】
暗号処理部は、アプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化部と、暗号化されたアプリケーション用パスワードに装置固有の識別情報を付与する識別情報付与部とを含む。
【0051】
コピー処理部は、コピーデータを記憶するコピーデータ記憶部と、コピーデータに本発明のパスワード管理装置固有の識別情報が付与されているかを判別する暗号化識別部と、暗号化されているアプリケーション用パスワードを復号する復号部とを含む。
【0052】
このような構成を採用し、ユーザは普段利用するアプリケーションを利用するためのアプリケーション用パスワードを暗号処理部で暗号化、識別情報付与をして、記憶装置に記憶する。
【0053】
続いて、アプリケーション利用時にアプリケーション用パスワードを入力する際には、記憶装置に記憶されている暗号化されたアプリケーション用パスワードに対してコピー操作を実行し、アプリケーション上の貼り付けを行ないたい箇所でペースト操作を実行する。コピー処理部は、ペースト処理実行時に暗号化されたアプリケーション用パスワードかどうかの判別を行い、暗号化されたアプリケーション用パスワードであれば復号し、ユーザの指定する箇所に復号したアプリケーション用パスワードを貼り付ける。
【0054】
すなわち、暗号化されたままデータをクリップボードへ格納し、ペースト処理がユーザによって要求されてから、復号を行なってアプリケーションに貼り付ける。また、暗号化データを格納するための専用の記憶装置を必要とせず、復号を開始するためのトリガーを貼り付け処理にしている。
【0055】
従って、アプリケーションにアプリケーション用パスワードを入力する際に、画面上にアプリケーション用パスワードが表示されず、さらにメモリ上にアプリケーション用パスワードが記憶されている期間を短くすることができるという効果(暗号化されたデータを復号して貼り付ける際に復号されたデータがコンピュータ上のメモリと記憶装置に記憶されている時間を短くできるという効果)、及び、従来のコピーペーストを行なう際と同様のユーザ操作によって暗号化されたアプリケーション用パスワードを復号してペーストすることができるという効果(通常のデータをコピーペーストするのとほとんど同様の動作で暗号化データをコピーペーストすることができるという効果)が得られる。
【0056】
また、本実施形態の第2のパスワード管理装置は、第1のパスワード管理装置の構成に加え、ハッシュ値を格納するハッシュ値格納部を備え、暗号処理部は、暗号化処理部が暗号化したアプリケーション用パスワードのハッシュ値をハッシュ値格納部に格納するハッシュ生成部とを含む。
【0057】
また、ユーザ認証部は、ユーザから入力された管理用パスワードを暗号化し、ハッシュを生成して、ハッシュ値格納部に同値のハッシュ値が存在するかを検索する。
【0058】
すなわち、暗号化したアプリケーション用パスワードのハッシュ値を保存しておき、コピーデータのペースト時に入力されたアプリケーション用パスワードを暗号化し、ハッシュ生成した値がいずれかに一致するかによってユーザ認証を行なう。
【0059】
従って、ユーザの保有するアプリケーション用パスワードのうちのいずれかを覚えていれば、アプリケーション用パスワードのコピーペーストを安全に行なうことができるという効果(ユーザの保有するアプリケーション用パスワードのうちのいずれかを覚えていれば、アプリケーション用パスワードのコピーペーストを安全に行なうことができるという効果)が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、アプリケーション用パスワードを安全にコピーペーストするパスワード管理装置や、パスワード管理装置をコンピュータに実現するためのプログラムといった用途に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 パスワード管理装置
10 暗号鍵格納部
11 暗号処理部
111 暗号化部
112 識別情報付与部
12 コピー処理部
121 コピーデータ記憶部
122 コピーデータ書き込み部
123 暗号化識別部
124 ユーザ認証部
125 復号部
126 コピーデータ貼り付け部
2 入力装置
3 記憶装置
4 パスワード管理装置
40 暗号鍵格納部
41 暗号処理部
413 ハッシュ生成部
42 コピー処理部
424 ユーザ認証部
43 ハッシュ値格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号鍵を用いてアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化手段と、
暗号化されたアプリケーション用パスワードをアプリケーション毎に格納する第1の記憶手段と、
或るアプリケーションに対応した暗号化されたアプリケーション用パスワードが前記第1の記憶手段から読み出された時に、読み出された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを前記暗号鍵に対応した復号鍵で復号する復号手段と、
復号されたアプリケーション用パスワードを前記或るアプリケーションの入力領域に貼り付ける貼り付け手段と、
を備えることを特徴とするパスワード管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパスワード管理装置において、
暗号化されたアプリケーション用パスワードから、そのハッシュ値を生成するハッシュ生成手段と、
前記ハッシュ値をアプリケーション毎に格納するハッシュ値格納手段と、
ユーザから管理用パスワードを入力し、入力した管理用パスワードから、そのハッシュ値を生成し、入力した管理用パスワードのハッシュ値と前記ハッシュ値格納手段に格納されている何れかのアプリケーションのハッシュ値とが一致しているかどうかを確認することにより、ユーザ認証をするユーザ認証手段を更に備え、
ユーザ認証ができた場合にのみ前記復号手段と前記貼り付け手段は動作することを特徴とするパスワード管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパスワード管理装置において、
前記管理用パスワードは、何れかのアプリケーション用パスワードと同一であることを特徴とするパスワード管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のパスワード管理装置において、
ユーザから管理用パスワードを入力し、入力した管理用パスワードと予め保持している管理パスワードの対応データとの対応関係を確認することにより、ユーザ認証をするユーザ認証手段を更に備え、
ユーザ認証ができた場合にのみ前記復号手段と前記貼り付け手段は動作することを特徴とするパスワード管理装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1項に記載のパスワード管理装置において、
一部のアプリケーションに対しては、アプリケーション用パスワードを前記暗号化手段により暗号化せず、
暗号化されたアプリケーション用パスワードと暗号化されなかったアプリケーション用パスワードとを識別するための識別情報を、暗号化されたアプリケーション用パスワード、暗号化されなかったアプリケーション用パスワード又はその双方に付与する識別情報付与手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された、アプリケーション用パスワードが暗号化されているか否かを前記識別情報を調べることにより識別する暗号化識別手段と、
を更に備え、
前記復号手段及び前記ユーザ認証手段は、前記暗号化識別手段が、アプリケーション用パスワードが暗号化されていると判断した場合にのみ、動作することを特徴とするパスワード管理装置。
【請求項6】
暗号鍵を用いてアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化ステップと、
暗号化されたアプリケーション用パスワードをアプリケーション毎に第1の記憶手段に格納するパスワード格納ステップと、
或るアプリケーションに対応した暗号化されたアプリケーション用パスワードが前記第1の記憶手段から読み出された時に、読み出された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを第2の記憶手段に記憶させる記憶ステップと、
前記第2の記憶手段に記憶された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを前記暗号鍵に対応した復号鍵で復号する復号ステップと、
復号されたアプリケーション用パスワードを前記或るアプリケーションの入力領域に貼り付ける貼り付けステップと、
を備えることを特徴とするパスワード管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載のパスワード管理方法において、
暗号化されたアプリケーション用パスワードから、そのハッシュ値を生成するハッシュ生成ステップと、
前記ハッシュ値をアプリケーション毎にハッシュ値格納手段に格納するハッシュ値格納ステップと、
ユーザから管理用パスワードを入力し、入力した管理用パスワードから、そのハッシュ値を生成し、入力した管理用パスワードのハッシュ値と前記ハッシュ値格納手段に格納されている何れかのアプリケーションのハッシュ値とが一致しているかどうかを確認することにより、ユーザ認証をするユーザ認証ステップを更に備え、
ユーザ認証ができた場合にのみ復号ステップ及び貼り付けステップを行うことを特徴とするパスワード管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載のパスワード管理方法において、
前記管理用パスワードは、何れかのアプリケーション用パスワードと同一であることを特徴とするパスワード管理方法。
【請求項9】
請求項6に記載のパスワード管理方法において、
ユーザから管理用パスワードを入力し、入力した管理用パスワードと予め保持している管理パスワードの対応データとの対応関係を確認することにより、ユーザ認証をするユーザ認証ステップを更に備え、
ユーザ認証ができた場合にのみ復号ステップ及び貼り付けステップを行うことを特徴とするパスワード管理方法。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れか1項に記載のパスワード管理方法において、
一部のアプリケーションに対しては、アプリケーション用パスワードを前記暗号化ステップにより暗号化せず、
暗号化されたアプリケーション用パスワードと暗号化されなかったアプリケーション用パスワードとを識別するための識別情報を、暗号化されたアプリケーション用パスワード、暗号化されなかったアプリケーション用パスワード又はその双方に付与する識別情報付与ステップと、
前記第2の記憶手段に記憶された、アプリケーション用パスワードが暗号化されているか否かを前記識別情報を調べることにより識別する暗号化識別ステップと、
を更に備え、
前記復号ステップ及び前記ユーザ認証ステップは、前記暗号化識別ステップで、アプリケーション用パスワードが暗号化されていると判断した場合にのみ、行うことを特徴とするパスワード管理方法。
【請求項11】
暗号鍵を用いてアプリケーション毎のアプリケーション用パスワードを暗号化する暗号化手段と、
暗号化されたアプリケーション用パスワードをアプリケーション毎に格納する第1の記憶手段と、
或るアプリケーションに対応した暗号化されたアプリケーション用パスワードが前記第1の記憶手段から読み出された時に、読み出された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された、暗号化されたアプリケーション用パスワードを前記暗号鍵に対応した復号鍵で復号する復号手段と、
復号されたアプリケーション用パスワードを前記或るアプリケーションの入力領域に貼り付ける貼り付け手段と、
を備えることを特徴とするパスワード管理装置としてコンピュータを機能させるためのパスワード管理用プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のパスワード管理用プログラムにおいて、
前記パスワード管理装置は、
暗号化されたアプリケーション用パスワードから、そのハッシュ値を生成するハッシュ生成手段と、
前記ハッシュ値をアプリケーション毎に格納するハッシュ値格納手段と、
ユーザから管理用パスワードを入力し、入力した管理用パスワードから、そのハッシュ値を生成し、入力した管理用パスワードのハッシュ値と前記ハッシュ値格納手段に格納されている何れかのアプリケーションのハッシュ値とが一致しているかどうかを確認することにより、ユーザ認証をするユーザ認証手段を更に備え、
ユーザ認証ができた場合にのみ前記復号手段と前記貼り付け手段は動作することを特徴とするパスワード管理用プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のパスワード管理用プログラムにおいて、
前記管理用パスワードは、何れかのアプリケーション用パスワードと同一であることを特徴とするパスワード管理用プログラム。
【請求項14】
請求項11に記載のパスワード管理用プログラムにおいて、
前記パスワード管理装置は、
ユーザから管理用パスワードを入力し、入力した管理用パスワードと予め保持している管理パスワードの対応データとの対応関係を確認することにより、ユーザ認証をするユーザ認証手段を更に備え、
前記パスワード管理装置では、ユーザ認証ができた場合にのみ前記復号手段と前記貼り付け手段は動作することを特徴とするパスワード管理用プログラム。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れか1項に記載のパスワード管理用プログラムにおいて、
前記パスワード管理装置は、
一部のアプリケーションに対しては、アプリケーション用パスワードを前記暗号化手段により暗号化せず、
暗号化されたアプリケーション用パスワードと暗号化されなかったアプリケーション用パスワードとを識別するための識別情報を、暗号化されたアプリケーション用パスワード、暗号化されなかったアプリケーション用パスワード又はその双方に付与する識別情報付与手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された、アプリケーション用パスワードが暗号化されているか否かを前記識別情報を調べることにより識別する暗号化識別手段と、
を更に備え、
前記パスワード管理装置では、前記復号手段及び前記ユーザ認証手段は、前記暗号化識別手段が、アプリケーション用パスワードが暗号化されていると判断した場合にのみ、動作することを特徴とするパスワード管理用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−205020(P2010−205020A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50459(P2009−50459)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】