説明

パターン形成方法

【課題】ブロックポリマーを所望の位置に所望の配向でミクロ相分離させるパターン形成方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第1の表面エネルギーを有しシリコン化合物を含む層の上に、第1の表面エネルギーとは異なる第2の表面エネルギーを有するパターンを形成する工程と、層および第2の表面エネルギーを有するパターンの上に、ブロックポリマーを形成する工程と、ブロックポリマーをミクロ相分離させて、配列した複数のポリマーを含むラメラ構造またはシリンダー構造のいずれかのパターンを形成する工程と、を含む。層上で、ラメラ構造は、層の層面に対して垂直に配向し、シリンダー構造は、層の層面の垂線に平行な軸を有するように配向する。第2の表面エネルギーは、ブロックポリマーを構成する複数のポリマーのそれぞれの表面エネルギーのうちの最大値以上、または、最小値以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置などの各種の電子デバイスにおける微細なパターンは、リソグラフィー技術によって形成される。今後のパターンの微細化に対応するための新しい技術として、複数種類のポリマーブロックが結合したブロックポリマーをミクロ相分離させ、これを用いて加工を行う方法がある。この方法においては、ブロックポリマーを所望の位置に所望の配向でミクロ相分離させることが重要である。さらに、ミクロ相分離させたブロックポリマーの少なくとも一つのポリマーブロックをマスクに被加工膜をマスクに被加工膜を加工することが重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Joy Y. Cheng, Daniel P. Sanders, Hoa D. Truong, Stefan Harrer, Alexander Friz, Steven Holmes, Matthew Colburn, and William D. Hinsberg, "Simple and Versatile Methods To Integrate Direct Self-Assembly with Optical Lithography Using a Polarity-Switched Photoresist", ACS Nano, vol.4, No.8, pp.4815-4823 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、ブロックポリマーを所望の位置に所望の配向でミクロ相分離させ、ミクロ相分離させたブロックポリマーの少なくとも1つのポリマーブロックをマスクに被加工膜を加工するパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、第1の表面エネルギーを有しシリコン化合物を含む層の上に、前記第1の表面エネルギーとは異なる第2の表面エネルギーを有するパターンを形成する工程と、前記層およびパターンの上に、ブロックポリマーを形成する工程と、前記ブロックポリマーをミクロ相分離させて、配列した複数のポリマーを含むラメラ構造またはシリンダー構造のいずれかの構造を形成する工程と、を含むパターン形成方法が提供される。前記層上で、前記ラメラ構造は、前記層の層面に対して垂直に配向し、前記シリンダー構造は、前記層の層面の垂線に平行な軸を有するように配向する。前記第2の表面エネルギーは、前記ブロックポリマーを構成する複数のポリマーのそれぞれの表面エネルギーのうちの最大値以上、または、前記複数のポリマーのそれぞれの前記表面エネルギーのうちの最小値以下である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、実施形態に係るパターン形成方法を示す模式的断面図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係るパターン形成方法を示す模式的平面図である。
【図3】図3(a)〜図3(h)は、実施形態に係るパターン形成方法を示す模式的断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(d)は、実施形態に係るパターン形成方法を示す模式的断面図である。
【図5】実施形態に係るパターン形成方法における反射を示す模式図である。
【図6】実施形態に係るパターン形成方法における反射率を示すグラフ図である。
【図7】図7(a)〜図7(f)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的断面図である。
【図8】実施形態に係るパターン形成方法に用いられる材料を示す模式図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、実施形態に係るパターン形成を例示する模式的断面図である。
【図10】実施形態にパターン形成方法を示す模式的断面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、実施形態に係るパターン形成方法を示す模式的斜視図である。
【図12】図12(a)〜図12(d)は、実施形態に係るパターン形成方法を示す模式的平面である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
ここで、まずブロックポリマーは、同一種類のモノマーが連続して複数結合したもの(ブロック)から構成されている。各々のブロックは、化学結合している。すなわち、ブロックポリマーは、ブロック状になった複数種類のポリマーが化学結合したものである。そして、ポリマー間の斥力によりミクロ相分離させることで微細な周期パターンが形成される。ブロックパターンのラメラ構造やシリンダー構造といったモルフォロジー(形態)はブロックの組成により決まる。例えば、2種類のポリマー(第一のポリマー、第二のポリマー)からなるブロックコポリマーの場合を例に取ると、ラメラ構造は2つのポリマーの比率が約50%、シリンダー構造は一方のポリマーの比率が約30%である。ラメラ構造は、交互に層を作り、第一のポリマー、第二のポリマー、第一のポリマー、第二のポリマー…と交互に並ぶ。一方、シリンダー構造は、比率の低いポリマーが円柱状の形態をとり、周期的に円柱が並び、比率の高いポリマーがその周囲のマトリックスを形成する。
【0009】
ブロックポリマーのラメラ構造やシリンダー構造においては、ラメラ構造は層状、シリンダー構造はシリンダーが横に並ぶほうが安定になることが多い。これはブロックポリマーと接する基板と、ブロックポリマーを構成するポリマーの親和性が、すべてのポリマーでほぼ同一ではないために、親和性の高いポリマーが基板側に形成されるためである。このため、ラメラやシリンダーを立たせるためには、ブロックポリマーを構成するポリマーに対してほぼ同等の親和性をもつ配向制御層を用いることが必要である。
【0010】
さらに、ミクロ相分離させただけでは、指紋状のパターンとなったり、種々のドメインができてしまい、半導体のパターンを形成する場合には、必要とされるラインアンドスペース(L&S)パターンやコンタクトホール(C/H)パターンのような規則的なパターンを形成することは困難である。さらに所望の位置にどのポリマーが配列するかも規定できない。このため、ブロックポリマーの特定のポリマーを所望の位置に規則的に配列させるための特定ポリマー固定パターン(ピニング層パターン)が必要である。
【0011】
ガイドパターンは上記のブロックポリマーの配向を制御する配向制御層と、特定のポリマーを所望の位置に規則的に配列させるためのピニング層パターンを含む。
【0012】
ガイドパターンには、ケミカルガイドと物理ガイドがある。
【0013】
ケミカルガイドの場合には、特定のポリマーを所望の位置に規則的に配列させるために一方のポリマーとのみ高い親和性をもつピニング層を形成する。また、ピニング層を形成しないところには、ブロックポリマーの配向を制御するための配向制御層を形成して、ブロックポリマーの配向を制御する。
【0014】
物理ガイドの場合には、構造体を形成する。その構造体の側壁とポリマーの親和性を利用する。構造体の側壁と一方のポリマーの親和性が高い場合には側壁に一方のポリマーが並ぶ。これを起点にしてブロックポリマーが規則配列をする。ブロックポリマーの配向制御は構造体底面に配向制御層を形成してブロックポリマーの配向を制御する。
【0015】
図1(a)及び図1(b)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的断面図である。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的平面図である。
図1(a)に表したように、実施形態に係るパターン形成方法は、第1の表面エネルギーを有しシリコン化合物を含む層10の上に、層10とは異なる第2の表面エネルギーを有するパターン20を形成する工程(第1ステップ)を備える。被加工膜110については、後述の実施形態において説明する。
【0016】
ここで、層10はブロックポリマーを配向させるための配向制御層である。また、第2の表面エネルギーは、ブロックポリマーを構成する複数のポリマーのそれぞれの表面エネルギーのうちの最大値以上、または、前記複数のポリマーのそれぞれの前記表面エネルギーのうちの最小値以下である。
【0017】
層10の主面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対しての垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0018】
図2(a)に表したように、この例では、第2の表面エネルギーを有するパターン20は、Y軸方向に沿って延びる。ただし、後述するように、第2の表面エネルギーを有するパターン20のパターンは任意である。
【0019】
本パターン形成方法は、さらに、層10および第2の表面エネルギーを有するパターン20の上に、ブロックポリマー200を形成する工程(第2ステップ)をさらに備える。
【0020】
図1(b)に表したように、本パターン形成方法は、さらに、ブロックポリマー200をミクロ相分離させて、配列した複数のポリマーを含むラメラ構造230及びシリンダー構造のいずれかのパターンを形成する工程(第3ステップ)を備える。この例では、ラメラ構造230のパターンが形成される。ラメラ構造230は、第1のポリマー210と、第2のポリマー220と、を含む。
【0021】
図2(b)に表したように、ラメラ構造230は、Y軸方向に沿って同種のポリマーが並ぶ構造を有している。
【0022】
ラメラ構造230を形成する場合は、層10上で、層10の層面に対して垂直に配向する。すなわち、ラメラ構造230の層面(第1のポリマー210と、第2のポリマー220と、の界面)は、X軸に対して垂直になる。
【0023】
後述するように、シリンダー構造を形成する場合は、前記層10の層面の垂線に平行な軸を有するように配向する。
【0024】
これにより、ブロックポリマーを所望の位置で所望の配向でミクロ相分離させることができる。
【0025】
実施形態においては、被加工膜110上に側鎖に有機基を持つSi酸化膜を形成する。側鎖に有機基を持つSi酸化膜は、ブロックポリマーを配向させるためのエネルギー調整膜である。
【0026】
実施形態は、例えば、半導体のパターンを形成するリソグラフィー技術に関する。
【0027】
実施形態は、例えば、特に、ブロックポリマーをミクロ相分離させた後、一部のポリマーブロックを除去して、所望のポリマーブロックのみを残してエッチングマスクとするパターニング技術に使用される。
【0028】
ミクロ相分離後のラメラ構造やシリンダー構造のうち、所望のポリマーをブロックごと除去することで、L&SパターンやC/Hパターンを形成できる。基板表面に垂直にポリマー界面を持つように配向したラメラ構造は、一方のポリマーをブロックごと除去することで、L&Sパターンとなる。また、基板の垂線に平行な円柱の軸を持つシリンダー構造は、円柱部分を構成するポリマーをブロックごと除去することで、C/Hパターンとなる。このようにブロックポリマーで形成されたL&SパターンやC/Hパターンはレジストパターンに代わるエッチングマスクとなる。
【0029】
ブロックコポリマー(BCP、2種類のポリマーブロックが結合したもの)の一方のブロックをマスクにデバイスパターンを形成するためには、BCPの膜厚では、被加工膜をエッチングすることは困難である。被加工膜110加工中にBCPパターンが消失してしまうからである。このため、被加工膜110加工に十分な膜厚と選択比を持つ膜に、BCPパターンを転写し、転写されたパターンをマスクに被加工膜を加工する。
【0030】
BCPをエッチングマスクとする場合、上記に述べたようにラメラ構造やシリンダー構造を立たせるための配向制御層が用いられる。ラメラ構造やシリンダー構造を立てるための配向制御層を配置し、さらにエッチングまでを考慮した構造もある。この構成では、下から、Transfer Layer、Low Temp Oxide/ Silicon Hardmaskの上に、Orientation Control Material(配向制御層)が配置される。
【0031】
BCPをミクロ相分離後、規則配列させるためのケミカルガイドパターン形成は、ほとんどがextreme ultraviolet(EUV)光、や電子ビーム(EB)によりレジストを露光してレジストパターンを形成することで行われてきた。形成されたレジストパターンのスペース部のみをOプラズマでエッチングしたり、軟X線でスペース部のみ露光して、材料を改質したりし、レジストパターンを除去することでケミカルガイドパターンを形成するのである。EUV光や電子ビームでは微細なパターンを形成することはできる。しかし、EUV光を使った露光装置は装置が高額で、ランニングコストが高いため、コストが高い。また、EBを使った露光装置(描画装置)では装置が高額であることと、描画に時間がかかるため、スループットが悪く、やはり、コストが高い。
【0032】
ArF露光装置においては、EUV露光装置よりも装置コストやランニングコストが安い。また、EB露光装置と比べると、装置コストは若干高いが、処理速度が数十倍速い。このため、ArF露光装置を使ってレジストパターンを形成すれば、EUV光やEB装置よりも低コストでガイドパターンを形成することが可能である。
【0033】
しかしレジストパターンをArFで露光しようとすると、EUVや電子ビームで露光するのとは異なる状況が発生する。ArFレジストは透過率が高いため、レジストと被加工膜との界面で生じた反射光がレジストパターンに影響を及ぼす。反射により光学像にバックグラウンドが乗ってしまい、コントラストが低下する。さらに、レジスト膜厚によって、レジスト上面で反射光とレジスト―被加工膜の界面からの反射光とが反射されて定在波がたってしまう。ArF露光装置の解像限界でパターンを形成する際には、バックグラウンドの増加や定在波を避ける。このため、ArF光を使用する場合には反射防止膜を被加工膜とレジストの間に形成する。
【0034】
レジストのパターニングにおいては、反射防止膜兼転写膜をレジスト下層に形成するtri-layer processが使われる。tri-layer processでは、レジストの下にSi酸化膜、有機膜(カーボン膜:C膜)、被加工膜という構造を形成する。レジストパターンをSi酸化膜に転写し、Si酸化膜パターンを有機膜に、有機膜パターンを被加工膜に転写する。有機膜で有機膜−被加工膜界面からの反射を低減し、有機膜−Si酸化膜界面の反射と、Si酸化膜−レジスト界面の反射と、を打ち消すようにSi酸化膜の膜厚を設定して、反射を抑える。
【0035】
前述したように、エッチングとブロックポリマーの配向を考慮したTransfer LayerとLow Temp Oxide/ Silicon Hardmaskの積層構造においては、Transfer Layerがレジストのtri-layer processにおけるC膜に対応し、Low Temp Oxide/Silicon Hardmaskがレジストのtri-layer processにおけるSi酸化膜に対応しており、Orientation Control Materialが配向制御層である。この場合には、光リソグラフィーでパターニングを行おうとすると、Transfer Layer、Low Temp Oxide/Silicon Hardmask、Orientation Control Material、ブロックポリマーの構成で、反射防止のための条件が設定される。このため、この構成においては、レジストのtri-layer processに比べると、膜厚の決定が煩雑で調整が難しい。また、Orientation Control Materialを1層加えるため、工程数が増加し、コストが増大する。
【0036】
つまり、安価にケミカルガイドパターンを形成するためには、配向制御層、反射防止膜、パターン転写膜の機能を有した膜構造が有効である。しかし、現状では、これらを兼ねる膜がなく、新たな膜を付加しなければならず、コストが増大してしまう。
【0037】
ケミカルガイドパターンを光露光で形成し、エッチングを行う構成として、Si-containing bottom anti-reflective coating (Si−ARC)とspin on carbon layerの積層構成を用いる方法があり、反射防止効果とエッチングを考慮している。しかしこの場合には、Si−ARCはピニング層であり、配向制御層は、レジストパターンを形成した後、レジストを不溶化し、レジストパターンやSi−ARC上にコンフォーマルに形成される。
【0038】
実施形態においては、被加工膜上にC膜を形成した後、側鎖に有機基を持つSi酸化膜を形成する。側鎖に有機基を持つSi酸化膜は、ブロックポリマーを配向させるためのエネルギー調整膜である。また、Si酸化膜とC膜との積層構造により反射防止膜となるよう、両者の膜厚を調整する。さらに、Si酸化膜及びC膜は、被加工膜への転写膜の機能も有する。これにより、ブロックポリマーミクロ相分離の際のガイドパターンを形成すると共に、反射防止膜、エッチング転写膜も形成することができる。
【0039】
(第1の実施例)
本実施例では、Si酸化膜を配向制御層として、ガイドパターンを形成する例について述べる。
【0040】
ここで、Si酸化膜には、ブロックコポリマーの表面エネルギーを調整して、配向制御層としての機能を有する膜が選択される。通常のSi酸化膜は、表面エネルギーが高い。たとえば水の接触角を表面エネルギーの指標とすると、通常のSi酸化膜の水に対する接触角は、11°である。ブロックポリマーの一例としてブロックコポリマー(BCP)であるポリスチレン(PS)−ポリメチルメタクリレート(PMMA)を考えると、同条件で接触角を測定した場合、水との接触は、PSでは89°、PMMAでは73°である。水との接触角が高いほど表面エネルギーは低くなる。Si酸化膜とPMMAとで表面エネルギーは大きく異なるが、PMMAの方がPSよりもSi酸化膜との親和性があるため、PMMAがSi酸化膜上に形成される。ラメラであれば、下がPMMAその上にPSといった層状構造になってしまう。また、シリンダーの場合は、PMMAのウェット層ができた後、シリンダーが横に並ぶ。つまり通常のSi酸化膜では配向制御層として機能しない。そこで、本実施形態においては、Si酸化膜の側鎖に有機基を導入することで、表面エネルギーを調整し、BCPの配向制御層とする。
【0041】
SOGを例にとり、表面エネルギーを調整する例を示す。テトラメトキシシラン(TMOS、Si(OMe))とメチルトリメチルシラン(MTMS、MeSi(OMe))とを比率を変えて加水分解縮合させる。

nSi(OMe)+(2n+1.5m)HO+mMeSi(OMe)
→(SiO)n(MeSiO1.5)m+(4n+3m)MeOH

この際の接触角を測定すると、原料物質のMTMSの比率が上がることによって接触角が大きくなり、22°から89°の範囲で変化する。つまり表面エネルギーを有機基の導入量により変えることができる。
【0042】
また、原料ガスであるTMOSの有機基をメチル基からエチル基(エチルトリメトキシシラン)、プロピル基(プロピルトリメトキシシラン)、フェニル基(フェニルトリメトキシシラン)と大きくしていくと、加水分解縮合したSOGの接触角は大きくなっていき、フェニル基では95°となる。このように有機基の大きさを変化させることでも表面エネルギーを変化させることができる。
【0043】
SOGとPSとが親和性を持ちつつ、SOGとPMMAとが親和性を持ち、PSとPMMAとが層状で存在した場合よりも、交互に横方向に並んだ(ラメラがたった)方が系全体の自由エネルギーが小さくなるときに、シリンダーやラメラが立つ。SOGとポリマーと間の表面エネルギー差が小さくなることで自由エネルギーが小さくなるときに、シリンダー構造やラメラ構造が立つ。有機基を導入しない場合はSOGとPMMAとの親和性が高く、SOGとPSとの親和性が低いのでBCPは層状のラメラ構造をとってしまう。しかし、有機基を導入して表面エネルギーを調整することで、SOGの表面エネルギーが低くなり、SOGとPSとの親和性、及び、SOGとPMMAの親和性が高くなり、交互に横方向に並んだ(ラメラがたった)構造が安定となる。
【0044】
図3(a)〜図3(h)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的断面図である。
本実施例では、Wを被加工膜110とし、Si酸化膜120がSOGの場合を例に取る。W膜上に本実施形態に係るSOGを形成する(図3(a))。SOGにあらかじめ酸発生剤を添加すると、電子ビームでの露光時に酸が発生し、ピニング層が選択的に形成されるので、酸発生剤を添加することが望ましい。
【0045】
この上に電子ビームレジスト130を塗布し、電子ビームで描画してレジストパターンを形成する(図3(b))。電子ビームレジスト130は、SOGに酸発生剤を添加する場合は、ポジ型が望ましい。SOGを形成することで、近接効果も低減される。
【0046】
この後、レジスト上に、酸を触媒として架橋する架橋樹脂および架橋剤を水またはアルコールに溶解させた樹脂を塗布する。たとえば、架橋性樹脂や架橋剤はアミノ樹脂である。アミノ樹脂は、テトラメチロール尿素のような尿素樹脂、ヘキサメチロールメラミンのようなメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などである。アミノ樹脂は水やアルコールに溶解するため、レジストパターンをほとんど溶解させることなく、塗布できる。酸の存在下、SOG表面のシラノールとアミノ樹脂のメチロールとが反応するため、SOG膜表面に架橋樹脂が形成される。化学増幅型レジストを用いた場合、電子ビーム露光の際に発生した酸が架橋反応の触媒となる。また、SOG中に酸発生剤を添加しておけば、ポジレジストの場合、描画領域のSOG中の酸発生剤から酸が発生する。
【0047】
この後、水またはアルコールで未架橋の架橋性樹脂、架橋剤を除去することで、図3(c)に示すような架橋膜140がSi酸化膜120の表面に形成される。非化学増幅型レジストを用いた場合や化学増幅型レジストでも、側壁部分の酸発生量が少ない場合にはレジスト側面に架橋膜がつかないこともある。架橋膜140は、ピニング層150となる。
【0048】
この後、レジストを剥離液で除去する。この際、レジスト側壁についてしまった架橋膜はレジストと一緒に除去されるが、架橋膜は表面エネルギーが高いため、剥離されずに残る。これにより、SOG配向制御層上にピニング層として架橋膜が形成される。これにより図3(d)に示すようなケミカルガイドが形成される。
【0049】
BCPを構成しているポリマーの一方と、ポリマーを形成した基板表面と、の親和性が他方のポリマーに比べて完全に高くなると、BCPを構成するポリマーのうちの、一方のポリマーしか基板表面に形成されない。一方のポリマーとだけ高い親和性を持つパターンがピニング層150である。
【0050】
BCPが2種類のポリマーA、Bで構成されており、ポリマーAの表面エネルギーの方が小さいとする。ピニング層150の表面エネルギーがポリマーAの表面エネルギー以下になればポリマーAとピニング層150の親和性が高くなり、ポリマーAがピニング層150にピニングされる。一方、ピニング層150の表面エネルギーがポリマーBの表面エネルギー以上になればポリマーBとピニング層150の親和性が高くなり、ポリマーBがピニング層150にピニングされる。
【0051】
次に、図3(d)のケミカルガイドパターンを使って配向させたブロックポリマーパターンをエッチングマスクとして使うプロセスについて述べる。
【0052】
はじめにケミカルガイド上にブロックポリマーを塗布する。たとえば、分子量7300、PS体積分率51%のブロックコポリマー(BCP)PS−b−PMMAを塗布し、200℃で24時間アニールする。これによりミクロ相分離が起こり、表面エネルギーの高いPMMAは、架橋膜からなるピニング層150にピニングされる。また、SOG配向制御層により、PMMAとPSとが横方向に交互に配列する。このため、図3(e)のような周期44nm(ナノメートル)のBCPパターンが得られる。PMMA162とPS161とが交互に配列する。この場合はフリクエンシーダブリングを行っているので、ガイドパターン周期の半分の周期のBCPを配列させた。ガイドパターン周期はBCP周期の2倍に限定されるものではなく、ガイドパターン周期はBCP周期の整数倍になっていれば良い。また、BCPのミクロ相分離後の周期は分子量に依存しており、所望の寸法を得るために適宜分子量を選択することができる。
【0053】
この後、BCPの一方のブロックを除去する。たとえば、PMMA162は酸素プラズマにより除去され、PS161とエッチング選択比がとれる。このため、図3(f)のようなPSからなるL&Sパターンが得られる。
【0054】
次にPSパターンをマスクにフッ素系のガスを使用してSOG(Si酸化膜120)をエッチングする。(図3(g))。最後に形成されたSOGパターンをClガスで、W膜(被加工膜110)に転写する。W膜はSOGに対してエッチング速度が速く、選択比をとることができるので、SOGをエッチングマスクにW膜のパターンが得られる(図3(h))。
【0055】
PSパターン膜厚は45nm程度までで、それ以上ではラメラ構造をたたせることが難しいことや、Wと有機膜であるPSとのエッチング選択比があまりとれないため、PSパターンのみでWをパターニングすることは難しい。上記のようにPSパターンをSOGに、SOGパターンをWに転写することで、選択比をとることができ、膜厚の薄いPSでも加工が可能である。
【0056】
ここではピニング層150を形成するのに、アルコールや水に可溶で、酸の存在下で架橋する架橋剤や架橋性樹脂を使った。この方法では架橋性樹脂溶液の溶媒であるアルコールや水はレジストをほとんど溶解しないので、レジストを不溶化する必要がなく、工程数を減らすことができる。
【0057】
上記方法ではSOGは配向制御層であり、かつパターン転写膜となっている。SOGが配向制御層とパターン転写膜を兼ねているため、配向制御膜とパターン転写膜を別々に形成する必要がなく、工程数を減らすことができる。
【0058】
ここでは被加工膜をWとしたが、ポリSiであっても良い。HBrやClをエッチングガスとすることで、ポリSiとSOGのエッチング選択比がとれるため、BCPパターンを使ってポリSiパターンが得られる。その他、Si酸化物と選択比が取れる材料からなる膜であれば、Si酸化膜120をマスクに加工が可能である。
【0059】
上記では電子ビームレジスト130を用いて、電子ビームにより感光させて、レジストパターンを形成した。しかし、レジストパターンを形成する手段はこれに限定されない。エネルギー線照射により現像液可溶部と不溶部ができる材料であればレジストとして使用できる。また、エネルギー線も電子ビームに限定されず、EUV光、イオンビーム、粒子線を使用することが可能である。
【0060】
(第2の実施例)
本実施例では、Si配向制御層上に、光露光によりレジストパターンを形成してピニング層を形成する方法について述べる。
【0061】
図4(a)〜図4(d)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的断面図である。
はじめに本実施形態に係るケミカルガイドパターンの構成について、図4(d)を参照して説明する。
【0062】
被加工膜110上に順番にC膜115、及び、Si酸化膜120を形成する。この上にピニング層パターンを形成する。Si酸化膜120/C膜115の積層構造は、反射防止膜とパターン転写膜とを兼ねている。さらにSi酸化膜120は、有機基を導入することで表面エネルギーを調整し、配向制御層を兼ねている(第1の実施例と同様)。
【0063】
次に、ケミカルガイドパターン形成のためのレジストパターンをArF露光で行う際、Si酸化膜120、及び、C膜115が、反射防止膜としての機能を有していることについて述べる。
【0064】
まず反射について図5を用いて説明する。
図5は、実施形態に係るパターン形成方法における反射を例示する模式図である。
反射は界面で生じ、レジスト−Si酸化膜界面313、Si酸化膜−C膜界面312、及び、C膜−被加工膜界面311で生じる。
【0065】
C膜115は、ArF光(波長193nm)に対しては大きな消衰係数を持っており、一定膜厚になると、遮光膜となる。たとえば、塗布型C膜の消衰係数kは、波長193nmの光に対して0.39である。C膜−被加工膜界面311で生じた反射光(C膜−被加工膜界面反射光311r)の強度をICRとすれば、C膜115の高さzが大きくなるにつれて(C膜115の上の方になるほど)強度Iは低下して、

I=ICR exp(−4πkz/λ) λ:波長

となる。
【0066】
膜厚300nmでは、反射光は5×10−4CRとなり、C膜−被加工膜間の反射は、十分、低減できる。ここではC膜厚を300nmとした。
【0067】
次にレジスト−Si酸化膜界面313の反射を考える。この反射光(レジスト−Si酸化膜界面反射光313r)はレジスト131に与えられる光学像のバックグラウンドになるだけでなく、レジスト131上面で反射して定在波となる。定在波が原因で側壁が一定周期で、垂直方向に寸法が変動することが発生する。Si酸化膜−C膜界面312の反射を使って、レジスト−Si酸化膜界面313の反射を打ち消すのがこの構造である。Si酸化膜−C膜界面反射光312rの位相を、レジスト−Si酸化膜界面反射光313rの位相と180°ずらすことで、打ち消す。
【0068】
図6は、実施形態に係るパターン形成方法における反射率を例示するグラフ図である。 図6の横軸は、SOG膜(Si酸化膜120)の膜厚T(nm)である。縦軸は、反射率Ref(%)である。この図は、C膜115の膜厚が一定で、SOG(Si酸化膜120)の膜厚Tを変えたとき(つまりSi酸化膜−C膜界面反射光312rの位相を変えたとき)のレジスト−SOG界面での反射率Refを示している。反射率最小のSOG膜厚を選択すれば、レジスト−SOG界面での反射率を抑えることができる。膜厚48nmで、反射率Refを0.4%まで抑えることができる。また、レジスト131のパターニングを行ったところ、定在波は観察されず、HP44nmのレジストL&Sパターンを液浸露光により形成するのに十分なプロセスウィンドウを得ることができる。
【0069】
図4(a)〜図4(d)は本実施形態に係るケミカルガイドパターン作製方法の一つの例を示している。
【0070】
最初に被加工膜110上に順番にC膜115、及び、Si酸化膜120を形成する(図4(a))。
【0071】
次にこの上にレジストパターンを形成する。レジスト塗布後ベークし、その後、露光・ポストエクスポージャーベーク、現像を行う。これによりレジストパターン(レジスト131)が形成される(図4(b))。
【0072】
次にレジストパターンの上にピニング層を形成する。第1の実施例と同様、酸を触媒として架橋する架橋樹脂および架橋剤を水またはアルコールに溶解させた樹脂を塗布する。露光時に発生した酸が触媒となって、樹脂は加熱により、Si酸化膜120の表面水酸基やレジスト131のメタクリル酸と反応して架橋する。これを水またはアルコールで未架橋の架橋剤、架橋樹脂を除去することで、図4(c)に示すようなレジスト表面とSi酸化膜表面に架橋膜140が形成される。(レジスト表面とSi酸化膜表面での膜厚差を大きくするため、Si酸化膜120に光酸発生剤や熱酸発生剤を入れても良い。光酸発生剤はレジスト露光時に酸を発生するため、レジスト表面と、Si酸化膜表面と、で、酸の濃度の差をつけることができる。熱酸発生剤の場合は、ソフトベークやポストエクスポージャーベーク温度では酸を発生せず、高温で酸を発生するものを用いる。レジストパターニング後、加熱して熱酸発生剤から酸を発生させる。)
【0073】
この後、レジスト131をレジスト剥離液で除去する。レジスト除去の際に、レジスト131と共に架橋膜140も除去される。(レジスト除去はレジスト剥離液のかわりに、レジスト131にArF光照射後、ポストエクスポージャーベークを行い、レジスト131の保護基をはずしてアルカリ現像液可溶性のポリメタクリル酸にし、アルカリ現像しても良い。)これにより図4(d)に示すようなケミカルガイド(ピニング層150)が形成される。
【0074】
次に、図4(d)のケミカルガイドパターンを使って配向させたブロックポリマーパターンをエッチングマスクとして使うプロセスについて図7(a)〜図7(f)を使って説明する。
【0075】
図7(a)〜図7(f)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的断面図である。
PS−b−PMMAを用いた場合を例に取り、説明する。ブロックポリマーのミクロ相分離(図7(a))、PMMA162の除去(図7(b))、PS161をマスクにしたSOG(Si酸化膜120)のエッチング(図7(c))までは、第1の実施例と同様である。
【0076】
はじめにケミカルガイド上に分子量7300、PS体積分率51%のブロックコポリマーPS−b−PMMAを塗布し、200℃で24時間アニールする。これによりミクロ相分離が起こり、図7(a)のような周期44nmのBCPパターンが得られる。この場合はフリクエンシーダブリングを行っているので、ガイドパターン周期の半分の周期のBCPを配列させる。
【0077】
PMMA162を酸素プラズマにより除去する。これにより、図7(b)のようなPS161からなるL&Sパターンが得られる。ここから後は通常のレジストのパターン転写プロセスと同様である。PSパターンをマスクにフッ素系のガスを使用してSOGをエッチングする(図7(c))。図7(d)に例示した構造が形成される。次にCF/O/ArガスによりSOG(Si酸化膜120)をマスクにC膜をエッチングする(図7(e))。次にC膜115をマスクに被加工膜110をエッチングする(図7(f))。レジスト131とSOGとのエッチング選択比は2.5、SOGとC膜115とのエッチング選択比は30倍であった。C膜115と被加工膜110とは材質により選択比が異なる。被加工膜110がSiNの場合は、CF/O/Arガスをつかって選択比は1.2である。このように選択比の取れる材料をマスクに、PS161、SOG(Si酸化膜120)、C膜115、被加工膜110と、パターン転写していくことで、被加工膜110を精度良く加工することができる。
【0078】
エッチング選択比は、材料の形成方法や使用するガスの種類、混合比、エッチング装置の構造、パワー等で変わる。このため、目的に応じて、エッチング条件が選択される。
【0079】
上記ではSOGの原料としてTMOS、MTMSを用いたが、原料はこれに限定されるものではない。TMOSの代わりにSi(OR)の構造において、Rがエチル基、プロピル基、ブチル基及びフェニル基のいずれかであっても良い。MTMSの代わりにRaSi(OR)、Ra2Si(OR)、及び、Ra3SiORのいずれかの構造を持ち、Raがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、フェニル基のいずれかであり、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びフェニル基のいずれかであってもよい。また、アルキルクロロシランであっても良い。RSiCl、RSiCl、及び、RSiClの構造を持ち、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、フェニル基のいずれかである。この酸化膜は、例えば、スピンオングラスで、前記原料を用い、脱水縮合により形成することができる。
【0080】
また、SOGの原料として、TMOSのようなテトラアルコキシシラン(Si(OR))を用いずに、RSi(OR、RaSi(OR、及び、RaSiORのいずれかの構造を持ち、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、フェニル基のいずれかであり、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、フェニル基のいずれかであってもよい。また、アルキルクロロシランであっても良い。RSiCl、RSiCl、及び、RSiClの構造を持ち、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、フェニル基のいずれかであってもよい。このうちから少なくとも1つを原料ガスとして用いても良い。
【0081】
上記では酸化膜(例えばSi酸化膜120)としてSOGを使った場合を述べた。しかし、酸化膜はこれに限定されるものではなく、ケミカルベーパーデポジション(CVD)で行うことも可能である。Si酸化膜120の原料ガスとしてはテトラエトキシシラン(TEOS、Si(OEt))と酸素の混合ガスが用いられることが多い。(TEOSは常温大気圧では液体であるが、真空中に導入することで、ガスとなる。以下に述べるSi含有ガスの中には、同様に、常温大気圧では液体であるが、真空中に導入する、または必要に応じて加熱することでガスとなるものもガスと呼んでいる。)この膜もそれだけでは表面エネルギーが高く、配向制御層とはならない。表面に有機基を導入することで、配向制御層とする。
【0082】
有機基を導入するために次のようなガスを用いることができる。SOG同様、CVDにより形成された酸化膜においても、MTMSを用いることができる。また、有機基を導入するために混入するガスはMTMSに限定されない。RSi(OR、RaSi(OR、及び、Ra3SiORの少なくともいずれかの構造を持ち、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、フェニル基の少なくともいずれかであり、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、及び、フェニル基の少なくともいずれかであってもよい。また、アルキルクロロシランであっても良い。RSiCl、RSiCl、及び、RSiClのいずれか構造を持ち、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、フェニル基の少なくともいずれかである。
【0083】
また直鎖型のガスでなくても良く、シクロシランであっても良い。
図8は、実施形態に係るパターン形成方法に用いられる材料を例示する模式図である。 図8に表したように、たとえばテトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)を用いることができる。TMCTS以外にも、(RSiO)の組成をもち、R、Rは水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及び、フェニルのいずれかで、nが3以上であっても良い。
【0084】
上記では酸素とTEOSを用いることを述べたが、テトラアルコキシシラン(Si(OR))はTEOSに限定されない。Rがメチル基、プロピル基、ブチル基およびフェニル基であってもよい。
【0085】
上記有機基を導入するためのガスのみ、有機基を導入するためのガスと酸素、有機基を導入するためのガスとテトラアルコキシシランと酸素の混合ガスいずれも使用することができる。
【0086】
さらに、有機基が表層に出ていれば良いので、有機酸を導入するためのガスをSi酸化膜120の成膜初期から入れる必要はない。成膜初期にはテトラアルコキシシランと酸素の混合ガスを原料がスとして用い、成膜途中でガスを切り替え、有機基を導入するためのガス、アルキルアルコキシシラン、アルキルクララシラン、アルキルシクロシロキサンのうちの少なくとも1つを添加することにより酸化膜の表面エネルギーを低くすることも可能である。また、有機基が酸化膜表面にしかないため、下層のC膜をエッチングする際、表面以外のエッチング速度は遅いので、エッチングマスクとしても良好な性能が得られる。
【0087】
また、最初からTEOSとMTMSの混合ガスを原料として用いるが、酸素量を表層で減少させる方法も、同様の効果がある。
【0088】
本実施形態に係る構造はレジストパターンを物理ガイドとする場合にも適用できる。レジスト物理ガイドは、レジストパターンである。レジストパターンのスペース部に中性化膜を形成する。レジストパターンエッジがBCPミクロ相分離後のBCP配列の起点となる。
【0089】
図9(a)及び図9(b)は、実施形態に係るパターン形成を例示する模式的断面図である。
図9(a)は、本実施形態に係るパターン形成方法を適用したレジスト物理ガイドを示す。図9(b)はミクロ相分離後の状態を例示している。この例ではレジストパターン(レジスト物理ガイド170)と第1のポリマー171とに親和性があるので、レジストパターン側に第1のポリマー171がウェット層を形成する。その後、第2のポリマー172と第1のポリマー171とが交互に並ぶ。
【0090】
レジスト物理ガイド170のレジストパターンは通常の光露光と同じなので、反射防止機能が利用される。Si酸化膜120/C膜115の積層構造が反射防止膜の機能を持つ。BCPのラメラを立たせるために、配向制御層が設けられ、これがSi酸化膜120である。また、形成されたBCPパターンは一方のブロックを除去した後、残ったブロックをマスクとしてパターン転写をSi酸化膜120、C膜115と行うことで、精度良く、被加工膜パターンを形成できる。
【0091】
以上、ラメラ構造を垂直配向させてL&Sパターンを形成する方法について述べた。しかし、シリンダー構造を垂直配向させる場合もSi酸化膜120を配向制御層として、上記と同様のプロセスを使って、ケミカルガイドを形成することができる。シリンダーの場合は、ガイドパターンはL&Sパターンではなく、二次元六方格子のC/Hパターンとなる。
【0092】
図11(a)及び図11(b)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的斜視図である。
図11(a)は、ケミカルガイドパターンを例示している。Si酸化膜120の上に、ピニング層150が形成されている。図11(b)は、ミクロ相分離後の状態を例示している。ブロックコポリマーのホール間の距離をLとすると、ケミカルガイドパターンのピニング層からなるピラー間の距離はLの整数倍となる。図11(a)及び図11(b)は、Lの2倍の場合を示している。
【0093】
図12(a)〜図12(d)は、実施形態に係るパターン形成方法を例示する模式的平面である。これらの図は、Si酸化膜120の主面に対して垂直方向からみたときの平面である。
【0094】
物理ガイドの場合には、被加工膜110、C膜115、Si酸化膜120の積層構造の上に、60°または120°の角度のひし形レジストパターン(レジスト131)を形成する(図12(a)、図12(c))。Si酸化膜120は配向制御層なので、シリンダーは垂直に配向する。レジストパターンの側壁が60°または120°となっているため、ブロックコポリマーがその中で二次元六方格子をとり、規則的に配列させることができる。
【0095】
レジスト131が第2のポリマー(172)と親和性を持つ場合、シリンダーは図12(b)に示すように、レジストパターン側面でウェット層ができた後、60°または120°の角度を持つ側面に沿ってシリンダーが配向する。レジストが第1のポリマー171と第2のポリマー172の中間の表面エネルギーを持つ場合には、シリンダーは半円状になってレジストパターンの側壁に並び、規則配列する(図12(d))。
【0096】
ここでは物理ガイドはひし形としたが、正六角形のような形状でも良い。2次元六方格子が配列できるように、上面から見て、約60°ないしは約120°の角度をもつ頂点をもつガイドパターンを形成できれば良い。
【0097】
上記では、配向制御層やピニング層150と、BCPを構成するポリマーと、の親和性を“表面エネルギー”を使って説明した。Si酸化膜120は中性化膜としての機能を有しており、Si酸化膜120は、BCPを構成する2種類のポリマーの中間の表面エネルギーを持つ。ここで、“表面エネルギー”という言葉について述べる。表面エネルギーは表面におけるギブスの自由エネルギーである。表面張力は単位面積当たりの表面でのギブスの自由エネルギーであるため、固体の表面張力を求めることで、表面エネルギーを求めることができる。
【0098】
固体の表面張力の測定方法はいくつか存在する。いずれの方法においても、表面張力の成分がわかっている液体を用いて、液体と表面張力を知りたい固体との接触角を測定する。
【0099】
ヤングデプレの式(θ:接触角、γ:液体の表面張力、WSL:固体と液体が付着することにより減少する付着仕事)

(1+cosθ)γ=WSL

で付着仕事と接触角とを関連付ける。
【0100】
一方、付着仕事量をモデル化し、モデル中に含まれる表面張力成分のうち、液体についてはわかっているので、固体の表面張力成分を求めればよい。その際、不明な表面張力成分の数と同じだけの種類の液体について測定すれば、不明な固体の表面張力成分が求められる。
【0101】
例えば、Fowkes-van Oss-Chaudhury-Good(FOCG)表面張力モデルによれば、固体の表面張力は、Lifshitz-van der Waals成分と、ルイス酸・塩基の極性相互作用成分と、からなる。
【0102】
γtotal=γLW+γAB

ここで、γLWは、Lifshitz-van der Waals成分である。γABは、極性相互作用(または水素結合成分)である。
【0103】
γABは、以下のように表される。

γAB=2(γγ1/2

ここで、γは、電子供与成分であり、γは電子受容成分である。
【0104】
付着仕事WSLは、以下のように表される。

SL=2{(γLWγLW1/2+(γγ1/2+(γγ1/2

これにより、
(1+cosθ)γ=2{(γLWγLW1/2+(γγ1/2+(γγ1/2

と表される。
【0105】
液体についての成分γ、γLW、γ及びγは、分かっているので、求める固体の表面張力成分は、γLW、γ及びγであり、変数は3つである。このため、3種類の液体について接触角を測定し、固体の表面張力成分を求める。固体の表面張力成分から、固体の表面張力が求められる。
【0106】
FOCGモデル以外にも、界面張力を分散力、極性による相互作用力、及び、水素結合力に分け、付着仕事WSLを以下の式で表すモデルもある。

SL=2{(γγ1/2+(γγ1/2+(γγ1/2

ここで、γは分散力でありγは極性力であり、γは水素結合力である。この式を用いて、同様に、固体の表面張力を求めることができる。
【0107】
また、液体と固体との親和性を見るのであれば、固体に液体を滴下して接触角を測定する方法もある。
【0108】
例えば、ヤングデュプレの式、すなわち(1+cosθ)γ=WSL(θは接触角であり、γは液体の表面張力であり、WSLは、固体と液体とが付着することにより減少する付着仕事である)から、付着仕事が計算できる。付着仕事は、以下の式で表される。

γSL=γ+γ−WSL

ここで、γSLは、固体―液体間の界面エネルギーであり、γは、固体の表面エネルギーであり、γは、液体の表面エネルギーである。つまり付着仕事は液体と固体とが付着したことによって低下したエネルギーである。付着仕事が大きいほど、安定化されやすい。つまり、親和性が高いことになる。これについて異なる固体について同一の液体で接触角を測定すれば、固体間の親和性を比較できる。
【0109】
次にピニング層形成方法の他の例について述べる。
図10は、実施形態にパターン形成方法を例示する模式的断面図である。
この例においては、レジストスペース部のSi酸化膜にのみ、選択的に膜を形成する。この例では、図4(a)に関して説明したレジストパターン形成後、ピニング層前駆体150aを供給し、Si酸化膜表面の表面水酸基と反応させる(図10)。その後、未反応のピニング層前駆体150aを除去してケミカルガイドパターン(図4(d)に例示したピニング層150)を得る。
【0110】
この例においては、ピニング層前駆体150aが、ブロックコポリマーの一方のポリマーと略同一の表面エネルギーを持つポリマーまたは分子で、その末端がOH基、Cl基、及びアルコキシ基のいずれかである。末端がOHの例としては、たとえばBCPがPS−PMMAであれば、たとえばPS−C−OH等を使用できる。BCPがPS−ポリジメチルシラン(PDMS)であれば、たとえばCCH(CH)−PDMS−OH等であってもよい。末端がCl基やアルコキシ基の例としては、シランカップリング剤がある。この場合は有機基部分の表面エネルギーがBCPと同程度のものを用いる。たとえば分子式Ph−R−SiClで、Rが直鎖アルキルで、表面エネルギーによりC(炭素)の数を変えるということもできる。
【0111】
上記ポリマーまたは分子を溶媒に溶解させ、塗布することでSi酸化膜表面に供給する。Cl基は比較的低温で短時間で反応するが、OH基やアルコキシ基は加熱することでSi酸化膜120の表面水酸基と反応させる。未反応の前駆体を溶媒で除去して、ピニング層150とする。
【0112】
ピニング層前駆体150aを溶かす溶媒でレジスト131を溶解させないために、あらかじめ、レジスト131に処理が行われる。
【0113】
1つ目の例では、レジスト131をアニソール等の有機溶媒で有機現像する。この場合には現像後に残ったレジストパターンにおいては保護基が外れており、ArFレジストであればポリメタクリレートが主成分となる。このため、前述したピニング層前駆体150aの溶媒となりうるトルエンやポリエチレングリコールメチルエーテルアセテートといった溶媒に不溶となる。
【0114】
別の例では、レジスト131をアルカリ現像液、たとえばテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイドで現像する。この後、露光、ベークしてレジスト131の保護基をはずし、同様に前述したピニング層前駆体150aの溶媒となりうるトルエンやポリエチレングリコールメチルエーテルアセテートといった溶媒に不溶とすることができる。
【0115】
さらに別の例では、ピニング層前駆体150aを、ポリシラザンのように気体としてSi酸化膜表面に供給する。ポリシラザンもSi酸化膜120の表面水酸基と100℃程度の温度で短時間で反応し、Self-assembled monomer (SAM)を形成する。
【0116】
上記の例ではBCPとしてPS−b−PMMAを用いた。しかしBCPはPS−b−PMMAに限定されない。PS−b−ポリ2−ビニルピリジン、PS−b−ポリイソプレン(PI)、PS−b−ポリエチレンオキサイド(PEO)、PS−b−ポリジメチルシロキサン(PDMS)、PI−b−PEO、ポリブタジエン(PB)−b−ポリヘキサフルオロピロピレンオキサイド、ポリペンタフルオロスチレン−b−PMMA、PS−b−ポリ{11−[4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]−アンデシル−メタクリレート](PMAAzo)、PEO−b−PMAAzo、PS−b−ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサンメタクリレート(PMAPOSS)、及び、PMMA−PMMAPOSS等、ミクロ相分離するのに十分なΧパラメーターを有するポリマーの組み合わせであれば、BCPに使用することができる。エッチング耐性、所望のサイズ等目的に合わせてBCPを選択して本方法を用いることは可能である。
【0117】
また、ブロックポリマーはコポリマーに限定されない。例えば、ブロックポリマーは、3種類のポリマーから構成されるトリブロックポリマーであってもよい。この場合には、3種類のポリマーがA、B、Cからなると、ラメラ構造としては−A−B−A−C−の繰り返し、または−A−B−C−の繰り返しとなる。このため、ガイドパターンのピニング層の親和性がポリマーAとのみ高く、配向制御層とポリマーA、配向制御層とポリマーB、配向制御層とポリマーCの親和性がほぼ同一となるようにピニング層および配向制御層の表面エネルギーを調整することで、同様にラメラを配列させることができる。トリブロックポリマーの例としては、PS−b−PB−b−PMMA、PS−b−(ポリエチレン−co−ポリブチレン)−b−PMMA等がある。BCP同様、トリブロックポリマーでも、目的に合わせてトリブロックポリマーの種類を選択して、本実施形態に係るパターン形成方法を用いることは可能である。
【0118】
本実施形態では、例えば、ブロックポリマーのミクロ相分離をフォーミングガス中で加熱することにより行う。しかし真空中や窒素中でも良い。また、加熱ではなく、有機溶媒雰囲気下にブロックポリマーを塗布したケミカルガイド付き基板を置くことで、ポリマーを移動させてミクロ相分離させても良い(ソルベントアニール)。
【0119】
一方のポリマーの除去は、上記の例で述べたようなOプラズマを用いる方法に限定されない。ドライ現像においては、ポリマー1とポリマー2の選択比が取れるガスを選択すればよい。フッ素や塩素、臭素、ヨウ素を含むハロゲン系のガスやハロゲン化炭素を用いることもできる。さらに、少量のガスをハロゲン系のガスに添加して選択比や形状を制御しても良い。また、ドライ現像のみならず、ウェット現像しても良い。PS−b−PMMAの場合は、たとえば、PMMAにUV光を照射してポリマー鎖を切断し、酢酸により現像しても良い。また、熱により一方のポリマーを蒸散させても良い。たとえばPS−b−PMMAにおいてUV光を真空中で照射してPMMAを除去しても良い。また、PS−PDMSの場合には、真空中で400℃以上に加熱してPSを除去しても良い。一方のポリマーを除去する方法は使用するBCPによって種々選択可能である。
【0120】
本実施形態において、例えば、ArF露光が用いられる。ただし、実施形態において、光露光の波長はArFエキシマレーザー光の193nmに限定されるものではない。KrFエキシマレーザー光である243nmや水銀ランプのi線(波長365nm)、g線(波長436nm)等、紫外光であってもよい。光露光で反射防止が実施される処理において、本実施形態に係るパターン形成方法を用いることで同様の特性が得られる。
【0121】
その他、実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、材料、プロセス条件を変更することは可能である。
【0122】
実施形態においては、ブロックポリマーの残存するブロックからなるパターンをSi酸化膜120、有機膜に転写することで、精度良く被加工膜110を加工できる。Si酸化膜120と有機膜が少なくとも光露光時の反射防止膜になっていることで安価な光露光でブロックポリマーを規則配列させるケミカルガイドパターン形成が可能になる。Si酸化膜120はブロックポリマーを構成する複数のポリマーの各々との親和性が略同一であるため、ブロックポリマーのラメラ構造をSi酸化膜120の表面に対して垂直に配向させ、またはシリンダー構造をSi酸化膜120表面の垂線に平行な軸を有するように配向させるための配向制御層となる。このようにパターン転写膜、反射防止膜、配向制御層の機能を有したケミカルガイドパターンを安価に形成できるようになる。
【0123】
実施形態においては、Si酸化膜120と有機膜が少なくとも光露光時の反射防止膜になっていることで、安価な光露光で、ブロックポリマーを規則配列させるための、レジストパターンを物理ガイドとする、物理ガイドパターン形成が可能になる。Si酸化膜120はブロックポリマーを構成する複数のポリマー各々との親和性が略同一であるため、ブロックポリマーのラメラ構造をSi酸化膜120の表面に対して垂直に配向させ、またはシリンダー構造をSi酸化膜120表面の垂線に平行な軸を有するように配向させるための配向制御層となる。このようにパターン転写膜、反射防止膜、配向制御層の機能を有したレジスト物理ガイドパターンを安価に形成できるようになる。
【0124】
実施形態によれば、ブロックポリマーを所望の位置に所望の配向でミクロ相分離させ、ミクロ相分離させたブロックポリマーの少なくとも1つのポリマーブロックをマスクに被加工膜を加工するパターン形成方法が提供できる。
【0125】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、パターン形成方法で用いられる、各種の層、膜、固体、液体及びガスなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0126】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0127】
その他、本発明の実施の形態として上述したパターン形成方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのパターン形成方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0128】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
10…層、 20…第2の表面エネルギーを有するパターン、 110…被加工膜、 115…C膜、 120…Si酸化膜、 130…電子ビームレジスト、 131…レジスト、 140…架橋膜、 150…ピニング層、 150a…ピニング層前駆体、 170…レジスト物理ガイド、 171…第1のポリマー、 172…第2のポリマー、 200…ブロックポリマー、 210…第1のポリマー、 220…第2のポリマー、 230…ラメラ構造、 311…C膜−被加工膜界面、 311r…C膜−被加工膜界面反射光、 312…Si酸化膜−C膜界面、 312r…Si酸化膜−C膜界面反射光、 313…レジスト−Si酸化膜界面、 313r…レジスト−Si酸化膜界面反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面エネルギーを有しシリコン化合物を含む層の上に、前記第1の表面エネルギーとは異なる第2の表面エネルギーを有するパターンを形成する工程と、
前記層および前記パターンの上に、ブロックポリマーを形成する工程と、
前記ブロックポリマーをミクロ相分離させて、配列した複数のポリマーを含むラメラ構造またはシリンダー構造のいずれかの構造を形成する工程と、
を備え、
前記層上で、前記ラメラ構造は、前記層の層面に対して垂直に配向し、前記シリンダー構造は、前記層の層面の垂線に平行な軸を有するように配向し、
前記第2の表面エネルギーは、前記ブロックポリマーを構成する複数のポリマーのそれぞれの表面エネルギーのうちの最大値以上、または、前記複数のポリマーのそれぞれの前記表面エネルギーのうちの最小値以下であることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記層の下には、被加工膜が形成され、前記ミクロ相分離したブロックポリマーの一部のブロックを除去する工程と、
前記ブロックポリマーの残存するブロックをマスクにして前記層をエッチングする工程と、
前記エッチングされた前記層をマスクにして前記層の下に設けられた被加工膜をエッチングして、前記エッチングされた被加工膜のパターンを形成する工程と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記層の下には、被加工膜が形成され、前記ミクロ相分離したブロックポリマーの一部のブロックを除去し、前記ブロックポリマーの残存するブロックをマスクに被加工膜をエッチングして被加工膜からなるパターンを形成するパターン形成方法であり、
前記層と被加工膜の間に有機膜を形成する工程と、
前記層の上に、光により感光性材料パターンを形成する工程と、
前記ブロックポリマーの残存するブロックをマスクに前記層をエッチングする工程と、
前記層をマスクに前記有機膜をエッチングする工程と、
をさらに備え、
前記層と前記有機膜の積層構造が光露光時の反射防止膜になっていることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記層の下には、被加工膜が形成され、前記ミクロ相分離したブロックポリマーの一部のブロックを除去し、前記ブロックポリマーの残存するブロックをマスクに被加工膜をエッチングして被加工膜からなるパターンを形成するパターン形成方法であり、
前記第2の表面エネルギーを有するパターンは光により形成された感光性材料パターンであり、
前記層と被加工膜の間に有機膜を形成する工程と、
前記ブロックポリマーの残存するブロックをマスクに前記層をエッチングする工程と、
前記層をマスクに前記有機膜をエッチングする工程と、
をさらに備え、
前記層と前記有機膜の積層構造が光露光時の反射防止膜になっていることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記層はスピンオングラスで、
原料として、RSi(OR)、Ra2Si(OR)2、Ra3SiORの少なくともいずれかの構造を持つ有機アルコキシシラン(R=メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基の少なくともいずれか、R=メチル、エチル、プロピル、フェニルの少なくともいずれか)、及び、RSiCl、RSiCl、RSiClの少なくともいずれかの構造を持つアルキルクロロシラン(Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基)の少なくともいずれかを含み、
脱水縮合により形成されることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記層はケミカルベーパーデポジションにより形成された酸化膜であり、
原料ガスは、アルキルアルコキシシラン、アルキルクロロシラン、アルキルシクロシロキサンのうちの少なくともいずれかを含み、
前記アルキルアルコキシシラン、アルキルクロロシラン、アルキルシクロシロキサンのアルキル基がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基の少なくともいずれかから、前記アルキルアルコキシシランのアルコキシ基がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基の少なくともいずれかからなることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記原料ガス中に酸素を含んでいることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記原料ガス中にテトラアルコキシシランを含んでいることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記ケミカルベーパーデポジションにより酸化膜を形成する際に、成膜初期には前記アルコキシシランと酸素を原料ガスとして用い、
成膜途中で前記アルキルアルコキシシラン、アルキルクロロシラン、アルキルシクロシロキサンのうちの前記少なくともいずれかを添加することを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−68882(P2013−68882A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208745(P2011−208745)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】