説明

パターン転写用粘着シート及びパターン転写方法

【課題】電子部品等の製造工程における電極、薄膜等のパターン形成において、より薄層化及び/又は高精細化が可能なパターンを形成して、任意の被写体に簡易に、高精細に転写することができるパターン転写用粘着シートを提供する。
【解決手段】基材11と、該基材の一面側に積層された粘着剤層12とを備えたパターン転写用粘着シート10であって、前記基材は、他面側表面に高さ5〜200μm及び幅10〜1000μmの凸部による剥離処理層11aを有することを特徴とするパターン転写用粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン転写用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セラミック材料等の誘電体材料と導電材料とを用いてコンデンサ、インダクタ、フィルタ等の電子部品が形成されている。これらの電子部品として、例えば、積層セラミックコンデンサ等がよく知られている。このような積層セラミックコンデンサは、例えば、所定の誘電率を有した複数のセラミック層と、それらの間に交互に積層された第一の内部電極、第二の内部電極等とが積層されて形成されている。また、セラミック層側面及び/又は主面等には、第一及び/又は第二の内部電極にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極が設けている。このようなコンデンサは、一対の外部電極を介して第一の内部電極と第二の内部電極との間に所定の電圧を印加し、第一の内部電極−第二の内部電極間に配置されているセラミック層に所定の静電気容量を形成することによってコンデンサとして機能する。
【0003】
この積層セラミックコンデンサは、例えば、特許文献1(特開2000−243650号公報)に記されているような工程を経て製作される。このうちの内部電極製造工程では、セラミックグリーンシートの主面に周知のスクリーン印刷等によって、ニッケル等の金属を主成分とする導電ペーストを所定のパターンに印刷・塗布して導体パターンが形成される。
しかし、近年の電子部品の小型化、薄層化に伴い、内部電極もより薄くすることが求められているが、従来のスクリーン印刷法等では、例えば、0.5μm以下の薄膜化は非常に難しい。
【0004】
また、通常、有機EL等の映像表示装置の製造工程では、有機膜及び陰極膜等は、所定の開口を有するマスクを通して真空蒸着することによって形成されている。しかし、このような従来の製造方法では、マスクのアライメント精度、マスク自体の加工精度等に限界があり、やはり、薄層パターン及び微細パターンの作製がますます困難となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電子部品等の製造工程における電極、薄膜等のパターン形成において、より薄層化及び/又は高精細化が可能なパターンを形成して、任意の被写体に簡易に転写することができるパターン転写用粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパターン転写用粘着シートは、基材と、該基材の一面側に積層された粘着剤層とを備えたパターン転写用粘着シートであって、
前記基材は、他面側表面に高さ5〜200μm及び幅10〜1000μmの凸部による剥離処理層を有することを特徴とする。
【0007】
このようなパターン転写用粘着シートは、以下の1以上を備えることが好ましい。
凸部は、断面形状が略四角形である。
粘着剤層は、エネルギー線硬化型粘着剤によって形成されてなる。
エネルギー線硬化型粘着剤が、エネルギー線照射前に0.3N/20mmよりも大きく、エネルギー線照射後に0.3N/20mm以下となる粘着力を有する。
粘着剤層は、加熱剥離型粘着剤によって形成されてなる。
粘着剤層に熱膨張性微小球を含有する。
基材と粘着剤層との間に、弾性層をさらに含む。
剥離処理層は、表面に所定の凹凸部を有する冷却部材に、加熱溶融状態の基材材料を加圧しつつ冷却することによって付与された凸部を備えたものである。
剥離処理層は、凹凸部を有する型に、平滑な基材を加熱しながら押し付けることによって付与された凸部を備えたものである。
さらに、剥離処理層表面に、パターン形成用の薄膜が形成されており、該薄膜は、前記剥離処理層の凸部上面に対応するパターンを有してなる。
【0008】
本発明のパターン転写方法は、上述したパターン転写用粘着シートの剥離処理層に形成された薄膜を被写体に転写することを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電子部品及び機器は、上述したパターン転写方法を用いて作製されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパターン転写用粘着シートによれば、半導体部品、映像表示装置等の電子部品及び/又は機器の製造工程における電極、薄膜等のパターン形成において、より薄層化及び/又は高精細化が可能なパターン形成が実現でき、任意の被写体に簡易に転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のパターン転写用粘着シートを示す概略断面図である。
【図2】本発明のパターン転写用粘着シートを用いたパターン形成方法を示す概略断面工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のパターン転写用粘着シート(以下、単に「粘着シート」と記載することがある)を、図1(A)〜(C)に示す。
本発明の粘着シート10は、図1(A)に示したように、主として、基材11と、基材11の一面側に形成された粘着剤層12とによって形成されている。なお、粘着剤層12の基材11と反対面には、通常、セパレータ13が配置されている。また、基材11の粘着剤層12と反対側の面(以下、「他面」と記載することがある)の表面には、凸部による剥離処理層11aが形成されている。
【0013】
また、別の実施形態として、粘着シート20は、図1(B)に示したように、基材11に第2の基材11bが積層されていてもよい。
【0014】
さらに、別の実施形態として、粘着シート30は、図1(C)に示したように、基材11に第2の基材11bが積層されており、その第2の基材11bと粘着剤層22との間に、さらに弾性層14が配置されていてもよい。なお、弾性層14は、単層構造の基材11と粘着剤層22との間に配置していてもよい。
弾性層14を用いる場合には、粘着剤層22は、加熱剥離型粘着剤によって形成されたものであることが適している。特に、加熱剥離型粘着剤を備えた粘着シートを被写体に接着する際に、その表面を、被写体の表面形状に良好に追従させて、大きな接着面積を確保することができるとともに、加熱剥離する際に、粘着剤層の加熱膨張のコントロールを容易にし、極力厚さ方向への優先的膨張性及び厚さの均一性を図ることができるからである。
【0015】
基材は、例えば、フィルム状に成形可能な材料によって形成されていることが適しており、押出成形によってフィルム状に成形することができる材料によって形成されていることが好ましい。
【0016】
例えば、構成材料としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリスチレン等の芳香族ビニル樹脂;ナイロン等のポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;その他、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、セルロース等が挙げられる。
【0017】
なお、基材を構成する材料には、上述した樹脂以外に、一般に樹脂成形用の添加剤として知られている各種成分を必要に応じて添加してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤(顔料、染料等)が挙げられる。
【0018】
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上述したように、基材は、単層であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。つまり、基材は、後述する剥離処理層とは別に、強度や耐熱性等を付与するため等の層を別個に設けてもよい(図1(B)参照)。このような別個の層は、目的に応じて、例えば、10〜500μm程度、より好ましくは、10〜200μm程度の厚みとすることが適している。
【0019】
基材は、粘着剤層と反対側の面の表面に凸部による剥離処理層を有している。この剥離処理層は、基材と一体的に形成されていてもよいし、積層されたものであってもよい。また、同一の材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。なかでも、剥離処理層は、基材と一体的に同一材料で形成されていることが好ましい。
【0020】
剥離処理層を構成する凸部は、高さが5〜200μm程度であることが適しており、5〜150μm程度が好ましい。また、幅は10〜1000μm程度であることが適しており、10〜500μm程度が好ましい。凸部をこのような高さ及び幅とすることにより、凸部の上面のみを安定して被写体に接触させることができ、パターンの転写を、所定の位置に、確実に、かつ高精度に行うことができる。
【0021】
凸部の数(密度)及び平面形状は特に限定されるものではなく、得ようとするパターンに対応した数(密度)及び平面形状とすることができる。具体的には、電子部品等の電極形状、回路配線パターン等に対応する種々の平面形状とすることができる。
【0022】
なお、凸部の断面形状は、最上面に平面を有していればよく、正方形、長方形、台形、平行四辺形等の四角形又は多角形等が適している。なかでも、凹凸パターンがシャープに現れる正方形又は長方形等、つまり、断面視において、最上面に相当する辺が略直角(±10°程度)以下の角度で凸部側面の辺と交差する形状であることが好ましい。このパターン転写用粘着シートは、後述するように、この凸部上面に転写しようとする薄膜のパターンを形成し、被写体にこのパターンを貼り付け、転写するものであるため、被写体に凸部上面以外の面、例えば、凸部側面が被写体に接触して、凸部上面によって規定された所定のパターン形状を変動させないようにするためである。
【0023】
基材に剥離処理層を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、フィルム状の基材に、凸部を有するシート状の剥離処理層を貼り付けてもよいし、フィルム状の基材の表面をドライエッチング、ウェットエッチング、レーザ加工等して凸部を形成してもよいし、表面に所定の凹凸部を有する冷却部材に、加熱溶融状態の基材材料を加圧しつつ冷却することによって基材の一表面に凸部を形成してもよいし、凹凸部を有する型に、平滑な基材を加熱しながら押し付けることによって基材の一表面に凸部を形成してもよい。なかでも、後2者が、簡便で迅速に形成することができるため、好ましい。
【0024】
基材自体の成形方法は、特に限定されず、当該分野で公知の方法、例えば、押出法等によって形成することができる。特に、積層構造とする場合には、例えば、溶融状態にある一方の材料と他方の材料とを隣接してそれぞれ帯状に押し出し、その押出物を冷却部材(ロール等)の間に挟みこんで押圧しながら冷却してシート状に成形する共押出成形を採用することが好ましい。この基材成形の際に、上述したような剥離処理層の形成を同時に行ってもよい。
【0025】
基材は、その表面、好ましくは、剥離処理層の表面に、一般的な粘着テープ用離型処理セパレータと同様に、公知の剥離剤(例えば、シリコーン系離型剤等)を塗布する表面処理を行う、あるいは基材材料自体を、離型性をもつ材料、例えば、オレフィン系ポリマーにシリコーンが化学結合したシリコーン変性ポリオレフィン系樹脂等を、剥離処理層として形成するなどが適している。これによって、凸部上面に離型性を付与することができる。
【0026】
また、基材は、粘着剤層との密着性を高めるため、その表面に、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗り剤(例えば、粘着物質等)によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0027】
基材の厚みは、特に限定されないが、剥離処理層の凸部の最上面を含む総厚みが、5〜500μm程度が適しており、10〜300μm程度、さらに、50〜200μm程度が好ましい。
【0028】
粘着剤層は、通常、粘着テープ等に用いられているものであれば、例えば、溶剤型粘着剤、エマルション型粘着剤、水溶性粘着剤のいずれの形態の粘着剤を用いて形成してもよい。
また、加熱剥離型粘着剤、エネルギー線硬化型粘着剤等の種々の特性を有する粘着剤を用いてもよい。なお、加熱剥離型粘着剤は、初期には粘接着性を有し、加熱により粘着力が低下し得る粘着剤である。この場合の加熱は、基材フィルム等の材料によって適宜選択することができるが、例えば、70〜200℃程度が適している。
【0029】
エネルギー線硬化型粘着剤は、初期には粘接着性を有し、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線の照射により硬化して、3次元網目構造を形成し得る粘着剤である。
【0030】
このような粘着剤の材料としては、公知の各種粘着剤を挙げることができ、例えば、ゴム系、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系等が例示さられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、以下に例示する各種成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
より詳細には、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、NBR等のゴム系ポリマーをベースポリマーに用いたゴム系粘着剤;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸C1〜C20アルキルエステル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独又は共重合体;該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他の共重合性モノマー[例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸モルホリル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー等]との共重合体等のアクリル系重合体をベースポリマーに用いたアクリル系粘着剤等が挙げられる
【0032】
アクリル系共重合体は、必要に応じ凝集力、耐熱性、架橋性等の改質等を目的に、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシルエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イコタン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のようなカルボキシル基含有モノマー;
無水マレイン酸、無水イコタン酸等の酸無水物モノマー;
【0033】
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルメタアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;
【0034】
スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のN−置換アミド系モノマー;
【0035】
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アルキリアミノ系モノマー;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;
【0036】
N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ブニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;
【0037】
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;
(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;
【0038】
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー;
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の多官能モノマー;
イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテル等のモノマー成分の1種又は2種以上を共重合したものであってもよい。
【0039】
粘着剤として、エネルギー線硬化型粘着剤を形成する場合には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の炭素−炭素多重結合を有する官能基等で化学修飾されたもの、具体的には、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基等の反応性官能基を含む単量体[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等]を(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させた反応性官能基含有アクリル系重合体に、分子内に前記反応性官能基と反応する基(イソシアネート基、エポキシ基等)及びエネルギー線反応性官能基(アクリロイル基、メタクリロイル基等)を有する化合物[例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチレンイソシアネート等]とともに反応させて得られる重合体等を用いる又は添加することが適している。
【0040】
また、エネルギー線硬化性化合物を用いる又は添加してもよい。このような化合物としては、エネルギー線、特に紫外線等により硬化可能なものであれば特に限定されないが、エネルギー線照射後の三次元網状化が効率よくなされるものが好ましい。
例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート,1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0041】
紫外線硬化性化合物として紫外線硬化性樹脂を用いてもよく、例えば、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート、分子末端にアリル基を有するチオール−エン付加型樹脂;光カチオン重合型樹脂;ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー;ジアゾ化したアミノノボラック樹脂、アクリルアミド型ポリマー;感光性反応基含有ポリマーあるいはオリゴマー等を用いてもよい。
【0042】
また、エネルギー線硬化性化合物として、オニウム塩等の有機塩類と、分子内に複数の複素環を有する化合物との混合物等を用いることもできる。
このような混合物は、エネルギー線の照射により有機塩が開裂してイオンを生成し、これが開始種となって複素環の開環反応を引き起こして3次元網目構造を形成することができる。
有機塩類としては、ヨードニウム塩、フォスフォニウム塩、アンチモニウム塩、スルホニウム塩、ボレート塩等が挙げられる。
分子内に複数の複素環を有する化合物における複素環としては、オキシラン、オキセタン、オキソラン、チイラン、アジリジン等が挙げられる。
【0043】
さらに、紫外線で反応するポリマーとして、エポキシ化ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルシロキサン等を用いてもよい。
紫外線硬化性化合物等を添加する場合には、その配合量は、用いるベースポリマー及び紫外線硬化性化合物等の種類等によって適宜調整することができる。例えば、粘着シートへのエネルギー線照射前に0.3N/20mmよりも大きく、エネルギー線照射後に0.3N/20mm以下となる粘着力を備える程度の量に調整することが適している。
【0044】
より具体的には、JIS Z0237に準拠した90°ピール粘着力試験(剥離速度:300mm/分)において、シリコンミラーウエハに対する紫外線照射前粘着力が、0.3N/20mmよりも大きく、紫外線照射後粘着力が0.3N/20mm以下となるように調整されることが好ましい。
【0045】
例えば、粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して5〜500重量部程度が適しており、好ましくは15〜300重量部程度、さらに好ましくは20〜150重量部程度である。
【0046】
エネルギー線硬化型粘着剤による粘着剤層には、紫外線硬化性化合物を硬化させるための紫外線重合開始剤及び紫外線硬化前後に適切な弾性率を得るために紫外線重合開始剤等の添加剤が必要に応じて配合されることが好ましい。
【0047】
代表的なエネルギー線重合開始剤として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、キノン、ナフトキノン、アンスラキノン、フルオレノン等のケトン系開始剤;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキシド、過安息香酸等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。
市販品として、例えば、チバガイギー社製の商品名「イルガキュア184」、「イルガキュア651」等がある。
【0048】
紫外線重合開始剤としては、公知の重合開始剤を適宜選択できる。配合量としては、粘着性物質100重量部に対して、0.1〜10重量部程度が適しており、好ましくは1〜5重量部程度である。必要に応じて、紫外線開始剤とともに紫外線重合促進剤を併用してもよい。
【0049】
粘着剤層を形成する場合には、これら粘着剤に、粘着付与剤、粘度調整剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、顔料・染料等の着色剤、安定剤、防腐剤、老化防止剤、帯電防止剤等の一般的な添加剤の1種又は2種以上を添加してもよい。
粘着剤層の厚みは、特に限定されず、例えば、5〜300μm程度が適しており、5〜150μm程度が好ましく、10〜100μm程度がより好ましい。
【0050】
粘着剤層には、熱膨張性微小球が添加されていてもよい。このような微小球を含有することにより、加熱によって微小球が膨張し、粘着剤層を分離、破壊して、粘着力を低減させることができる。
熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等のような容易にガス化して熱膨張性を示す材料を、コアセルベーション法、界面重合法等によって、殻形成物質内に内包させたものが挙げられる。このような殻は、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等の熱溶融性物質、熱膨張で破壊する物質等によって形成することができる。また、市販品、例えば、マイクロスフェア(商品名、松本油脂製薬社製)等を用いてもよい。
【0051】
また、熱膨張性微小球は、加熱による体積膨張率が5倍以上となるまで破裂しないものが適しており、7倍以上となるまで破裂しないもの、さらに10倍以上となるまで破裂しないものが好ましい。これにより、加熱処理による粘着層の接着力の適切な低下性を付与することができる。熱膨張性微小球の平均粒径は、例えば1〜100μm、好ましくは1〜20μm程度が挙げられる。
【0052】
熱膨張性微小球を添加する場合、添加量は、粘着剤層の膨張倍率、接着力の低下性等に応じて適宜調整することができるが、一般に、粘着剤層を形成するベースポリマー100重量部に対して、1〜150重量部程度が適しており、10〜130重量部程度が好ましく、25〜100重量部程度がより好ましい。
【0053】
接着剤層は、例えば、マイヤーバー、アプリケータ等を用いた方法、あるいは、ファンテンダイ、グラビアコーター等を用いた工業的に量産する方法等、所望の厚みに応じて、公知の塗布方法等を適宜選択して、形成することができる。また、適当な剥離ライナー上に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、これを基材に転写(移着)してもよい。
【0054】
基材と粘着剤層との間に配置していてもよい弾性層は、上述したように、被写体表面への追従性、熱膨張微小球の厚さ方向への膨張性、粘着剤層の厚さの均一性を図るために、例えば、ASTM D−2240のD型シュアーD型硬度にもとづいて50程度以下であることが適しており、40程度以下であることが好ましい。
【0055】
弾性層は、有機材料により形成されているものが好ましく、例えば、天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂等により形成することができる。
合成ゴム又は合成樹脂としては、例えば、ニトリル系、ジエン系、アクリル系等の合成ゴム;ポリオレフィン系、ポリエステル系等の熱可塑性エラストマー;エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニル等のゴム弾性を有する合成樹脂等が挙げられる。また、これらの成分を主体とする発泡体等を用いてもよい。
【0056】
なお、ポリ塩化ビニル等のような、本質的には硬質系ポリマーであっても可塑剤、柔軟剤等の添加剤との組み合わせによって、ゴム弾性をもたせたものを用いてもよいし、上述した粘着剤として例示した材料等も、弾性層の形成材料として用いてもよい。
弾性層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、500μm程度以下であることが一般的であり、3〜300μm程度が適しており、5〜150μm程度が好ましい。
【0057】
弾性層の形成は、公知の方法のいずれをも用いることができる。例えば、上述した材料の溶液を基材上に塗布する方法、上述した材料からなるフィルム等を基材と接着する方法等が挙げられる。
【0058】
本発明のパターン転写用粘着シートは、パターン転写に使用する際、まず、図2(A)に示すように、粘着剤層12の表面にセパレータ13を備えた、上述したパターン転写用粘着シート10を準備する。
セパレータ13は、粘着剤層12表面を使用前まで保護する役割を果たすためのフィルムであり、例えば、シリコーン系樹脂、長鎖アルキルアクリレート樹脂、フッ素系樹脂等の離型剤によって表面コートしたプラスチックフィルム(例えば、基材として例示した材料フィルム)、紙等からなる基材、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン等の無極性ポリマーからなる粘着性の小さい基材等によって形成することができる。
【0059】
図2(B)に示すように、セパレータ13を剥離し、図2(C)に示すように、粘着剤層12側を支持基板15に貼着する。この支持基板15は、粘着シートを自立させ、被写体表面の凹凸等に追従し及び/又は適当な耐熱性を付与し得る程度の厚み、硬さ、性質を有していればよく、例えば、ガラス、プラスチック、金属、木材等のいずれであってもよい。
【0060】
続いて、図2(D)に示すように、粘着シート10の基材11の剥離処理層11a表面に導電体、絶縁体又は半導体等による薄膜16を形成する。なかでも、導電体による薄膜が適している。薄膜16は、例えば、銅、金、白金、タングステン、ニッケル、コバルト等の金属又は合金、ITO等の導電体、酸化シリコン等の絶縁体の単層又は積層膜とすることができる。薄膜の製造方法は、当該分野で公知の方法によって形成することができ、例えば、スパッタリング、めっき、無電解めっき、蒸着等種々の方法が挙げられる。なかでも蒸着が適している。具体的には、公知の物理蒸着法、化学蒸着法を用いることができる。
ここでの薄膜は、剥離処理層11aの凸部及び凹部の上面及び底面に形成され、凸部の側面には形成されない膜厚で形成することが適している。具体的には、300nm程度以下が適しており、1nm程度以上が好ましい。
【0061】
次いで、図2(E)に示すように、電極又は回路配線パターンを形成しようとする被写体17、例えば、セラミックグリーンシートを剥離処理層11a表面に接触させ、押力を加える。なお、被写体への薄膜の転写は、ガラス板のような自己接着性を有しない被写体に対しては、予め、被写体表面に公知の接着剤等を塗布する処理を施した後、凸部の薄膜を被写体に接触させ、押力を加えることにより、容易に薄膜を転写させることができる。
【0062】
その後、図2(F)に示すように、被写体17を剥離処理層11aから分離することにより、剥離処理層11aの凸部の上面に形成されていた薄膜16のみが、被写体17の表面に転写され、凸部の形状に一致した電極又は回路配線パターン18が形成される。
【0063】
このように、本発明のパターン転写用粘着シートの凸部を備える剥離処理層を利用することにより、凸部の形状(パターン)を所望の形状に加工することによって、被写体に形成しようとするパターンを容易に実現することができる。また、剥離処理層の凸部を含む全面に薄膜を形成することによって、剥離処理層の表面において、凸部の段差を利用することにより、凸部の形状に一致したパターンを薄膜に付与することができるとともに、凸部上面のみを被写体の表面に接触させることにより、凸部上面に配置する薄膜のみを被写体に転写させることができ、簡便かつ高精度、高精細に、所望のパターンを被写体に形成することが可能となる。
【0064】
本発明においては、このような剥離処理層の表面に薄膜が形成されたパターン転写用粘着シートを用いることにより、種々の電子部品等を得ることが可能となる。
【0065】
ここで、電子部品とは、電子工作、電気工学、電気工学等において使用される全ての部品、電子機器を構成する全ての部品を包含するものであり、半導体、導電体及び/又は絶縁体のいずれかによって、あるいはこれらが組み合わせられて形成されていてもよい。例えば、能動部品(主に半導体から形成され、例えば、トランジスタ、IC、LSI、超LSI、ダイオード、発光ダイオード、レーザ、サイリスタ、三端子レキュレータ、撮像素子、電子管、真空管、進行波管、ブラウン管、マグネトロン等)、受動素子(たとえば、抵抗器、コンデンサ、スピーカ、コイル、変圧器、変成器、リレー、圧電素子、水晶振動子、セラミック発振子、バリスタ等)、構造部品(配線部品、プリント基板、コネクタ、開閉器、電線、がいし、端子等)等、これらの電子部品を含む電子機器(例えば、映像表示装置、照明機器、分析機器、通信機器、医療機器、放送機器等)等が包含される。
より具体的には、セラミックコンデンサ等の電子部品の内部電極パターン形成工程、半導体ウエハ上へのパターン形成工程、回路基板上へのパターン形成工程、映像表示装置に必要となる各種のパターン形成工程等が例示される。
【0066】
以下に、実施例に基づいて本発明のパターン転写用粘着テープをより詳細説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
パターン転写用粘着テープの基材材料として、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂、日本ポリプロ株式会社製品;商品名『ノバテックPP FL6CK』)を用いた。
このPP樹脂を240℃でT大ダイ押出成形することにより、厚さ80μmのフィルムを成形した。
【0067】
このフィルムを、表面に深さ30μm、一辺50μm×50μmの凹部が100μm間隔で溝加工された加工ロール(冷却ロール)と、表面が平滑な加圧ロール(冷却ロール)との間に導入した。そして、これら加工ロールと加圧ロールとの間にフィルムを挟み、押圧しながら冷却することにより、表面に格子状の凸部による剥離処理層を備えるPPシートを成形した。
次いで、成形した剥離処理層の表面に、シリコーン離型剤(信越化学工業製品;商品名『KS−847T』)を塗布して、離型処理を施した。
【0068】
さらに、アクリル酸2エチルヘキシル−アクリル酸エチル−メチルメタアクリレート(50部−50部−5部)共重合体系感圧接着剤100重量部(ポリウレタン系架橋剤1重量部配合)をトルエンに溶解した粘着剤溶液を調製した。
離型処理したPPフィルムの反対面(平滑面)に、乾燥後の厚みが30μmとなるように、上述した粘着剤溶液を塗布し、図2(A)に示したように、シリコーン離型処理PETセパレータ13(東レ加工フィルム製品;商品名『セラピール』)を貼り合せて、パターン転写用粘着シート10を得た。
図2(B)に示すように、このパターン転写用粘着シート10から、セパレータ13を剥離し、図2(C)に示すように、サポート基板15に貼り付けた。
【0069】
次に、図2(D)に示したように、得られたパターン転写用粘着シート10の剥離処理層11aの表面に、真空蒸着装置によって、厚さ0.1μmのニッケルによる薄膜16を蒸着した。
続いて、図2(E)に示したように、薄膜16が形成された剥離処理層11aの表面を、被写体17となるセラミックグリーンシートに押圧転写し、図2(F)に示すように、両者を分離した。これにより、セラミックグリーンシート上に厚さ0.1μmのニッケルによる薄膜16を所定のパターン18で形成することができた。
【0070】
実施例2
パターン転写用粘着テープの基材材料として、シリコーン含有量40重量%のシリコーングラフトPP樹脂(東レ・ダウコーニング社製品;商品名『BY27−201』)と実施例1のPP樹脂を30:70の質量比となる割合でドライブレンドした。
次いで、別の基材材料として、実施例1のPP樹脂と線状低密度ポリエチレン(LDPE:住友化学株式会社製品;商品名『スミカセンG201』)を、100:10の質量比となるように混合した。
そして、これら材料を共押出成形(二色押出成形)することにより、剥離処理層(50μm)が一体化した積層構造の基材(総膜厚80μm)を得た。
【0071】
続いて、この基材の剥離処理層側に、表面に深さ30μm、一辺50μm×50μmの凹部が100μm間隔で溝加工された加工ロール(冷却ロール)を向け、反対側に、表面が平滑な加圧ロールに向けて、これら加工ロールと加圧ロールとの間に基材を挟みこんで押圧しながら冷却することにより、表面に格子状の凸部による剥離処理層が設けられた積層基材を得た。
その後、実施例1に準じて、粘着剤層、薄膜を形成して、セラミックグリーンシート上に貼り付けることにより、セラミックグリーンシート上に厚さ0.1μmのニッケルによる薄膜を所定のパターンで形成することができた。
【0072】
実施例3
粘着剤層に、実施例1の粘着剤溶液に、熱膨張性微小球(松本油脂製薬株式会社製 『商品名:マツモトマイクロスイフェア F−301D』)を、30重量部添加した加熱剥離型粘着剤を調製し、パターン転写用粘着シートを作製し、実施例2に準じてセラミックグリーンシート上にパターンを形成した。
これにより、セラミックグリーンシート上に厚さ0.1μmのニッケルによる薄膜を所定のパターンで形成することができた。
また、転写後のパターン転写用粘着シートを100℃にて加熱処理したところ、加熱剥離型粘着剤の粘着力が大きく低下し、使用済みの粘着シートを容易にサポート基板から回収することができた。
【0073】
実施例4
粘着剤層に、紫外線硬化型粘着層を用いた以外は、実施例2に準じて、パターン転写用粘着シートを作製し、実施例2に準じてセラミックグリーンシート上にパターンを形成した。
これにより、セラミックグリーンシート上に厚さ0.1μmのニッケルによる薄膜を所定のパターンで形成することができた。
また、転写後のパターン転写用粘着シートに、シート背面側から、空冷式高圧水銀灯(46mJ/分、23℃)により紫外線を10秒間照射した。これにより、紫外線硬化型粘着剤層が大きく低下し、使用済みのパターン転写シートを容易にサポート基板から回収することができた。
【0074】
比較例
セラミックグリーンシートに、ニッケル粒子ペーストをスクリーン印刷法により塗布したが、得られたニッケル膜の厚さは、0.5〜1.0μm程度であり、0.3μm以下の薄層ニッケル膜を得ることはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のパターン転写用粘着シートは、種々のパターンを転写する際に用いることができ、特に、電子部品、半導体部品、映像表示装置等の製造工程における電極、薄膜等のパターン形成において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10、20、30 パターン転写用粘着シート
11 基材
11a 剥離処理層
11b 第2の基材
12、22 接着剤層
13 セパレータ
14 弾性層
15 サポート基板
16 薄膜
17 被写体
18 パターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2000−243650号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の一面側に積層された粘着剤層とを備えたパターン転写用粘着シートであって、
前記基材は、他面側表面に高さ5〜200μm及び幅10〜1000μmの凸部による剥離処理層を有することを特徴とするパターン転写用粘着シート。
【請求項2】
凸部は、断面形状が略四角形である請求項1に記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項3】
粘着剤層は、エネルギー線硬化型粘着剤によって形成されてなる請求項1又は2記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項4】
エネルギー線硬化型粘着剤が、エネルギー線照射前に0.3N/20mmよりも大きく、エネルギー線照射後に0.3N/20mm以下となる粘着力を有する請求項3に記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項5】
粘着剤層は、加熱剥離型粘着剤によって形成されてなる請求項1又は2記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項6】
粘着剤層に熱膨張性微小球を含有する請求項5に記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項7】
基材と粘着剤層との間に、弾性層をさらに含む請求項1から6のいずれか1つに記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項8】
剥離処理層は、表面に所定の凹凸部を有する冷却部材に、加熱溶融状態の基材材料を加圧しつつ冷却することによって付与された凸部を備えたものである請求項1から7のいずれか1つに記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項9】
剥離処理層は、凹凸部を有する型に、平滑な基材を加熱しながら押し付けることによって付与された凸部を備えたものである請求項1から7のいずれか1つに記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項10】
さらに、剥離処理層表面に、パターン形成用の薄膜が形成されており、該薄膜は、前記剥離処理層の凸部上面に対応するパターンを有してなる請求項1から9のいずれか1つに記載のパターン転写用粘着シート。
【請求項11】
請求項10に記載のパターン転写用粘着シートの剥離処理層に形成された薄膜を被写体に転写することを含むことを特徴とするパターン転写方法。
【請求項12】
請求項11に記載のパターン転写方法を用いて作製された電子部品及び機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−270188(P2010−270188A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121538(P2009−121538)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】